説明

医療処置後に生体液流動を制御するための逆感熱性ポリマーの使用

本発明の一態様は、哺乳類のある部位における生体液流動を現場形成ポリマープラグの使用により制御する方法に関する。いくつかの実施形態において、本発明は、カテーテル挿入処置後に出血を制御する方法、腰椎穿刺後に脳脊髄液の漏出を制御する方法、瘻孔を塞ぐ方法、またはリンパ節郭清後に漿液の流動を制御する方法に関する。いくつかの実施形態において、温度変化、pH変化、またはイオン相互作用によって、ポリマープラグが現場で生成する。いくつかの実施形態において、ポリマープラグは、少なくとも1種の任意選択で精製された逆感熱性ポリマーを含む。

【発明の詳細な説明】
【関連出願】
【0001】
本出願は、2007年2月22日出願の米国仮特許出願第60/902,817号の優先権の利益を主張し、その全体は、参照により本明細書に組み込まれる。
【技術分野】
【0002】
本発明は、医療処置後に生体液流動を制御するための逆感熱性ポリマーの使用に関する。
【背景技術】
【0003】
末梢動脈カテーテル挿入処置後に穿刺動脈を閉鎖する必要がある。手による加圧から、生物デバイス、複雑な機械的デバイスまで種々の方法が使用されている。例えば、複雑な機械装置としては、Abbott LaboratoriesのStarcloseが挙げられる。
【0004】
広く使用されている「プラグ」方法の1つは、特に完全な抗凝固状態で心カテーテル挿入を行った後、大腿動脈穿刺部位を閉鎖するために吸収性コラーゲンプラグを使用するものである。この方法の潜在的合併症は、下腿における急性虚血である。Steilおよび共同研究者らは、2%の患者の右下腿において、VasoSealで穿刺部位を閉鎖することに成功した後、急性虚血を認めた。血管造影で、遠位右膝窩動脈の急性閉塞が確認された。25mm×50mm長の円柱状異物塞栓を、フォガティカテーテルを用いて逆行性間接塞栓除去法で除去した。組織病理診断によって、付着血栓と共に新しいコラーゲンクロットが確認された。非特許文献1。
【0005】
残念なことに、このような動脈閉鎖のために水溶性逆感熱性ポリマーを使用する以前の試みは、主にイントロデューサの存在によっていずれの有効な閉塞効果も妨げられたので失敗に終わった。具体的には、以前の研究から、19℃で固体ゲルを形成する22%ポロキサマー407溶液を使用して、腎内血流を停止できることがわかった。非特許文献2。しかし、このポリマーは、異なる目的、すなわちより小さくより冷たい表面露出動脈における止血のために開発されたものであり、例えばポロキサマーを閉鎖のために使用すると、圧迫または出血することなく、カテーテルを大腿動脈から回収することができるが、いずれの場合も約15〜30分後に、創傷が突然再び開き、通常の圧迫で止血する必要があることが明らかになった。
【0006】
文献中の以前の報告とは対照的に、本発明の一態様は、著しいことに、末梢動脈カテーテル挿入処置後に、時間のかかる手による圧迫を必要とすることなく、機械装置の複雑さなしに、かつコラーゲンプラグに関連した塞栓形成のリスクなしに穿刺動脈を迅速、簡単、かつ完全に閉鎖するための逆感熱性ポリマー組成物の使用方法を提供する。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0007】
【非特許文献1】Stiel, G.M.ら、Z. Kardiol. 1992年、81巻(10号)、543〜5頁
【非特許文献2】J. Raymond、A. Metcalfe、I. Salazkin、およびA. Schwarz、「Temporary vascular occlusion with poloxamer 407」、Biomaterials、2004年、25巻、3983頁
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一態様は、哺乳類のある部位における生体液流動を現場(現場)形成ポリマープラグの使用により制御する方法に関する。いくつかの実施形態において、本発明は、カテーテル挿入処置後に出血を制御する方法、腰椎穿刺後に脳脊髄液の漏出を制御する方法、瘻孔を塞ぐ方法、またはリンパ節郭清後に漿液の流動を制御する方法に関する。いくつかの実施形態において、温度変化、pH変化、またはイオン相互作用によって、ポリマープラグが現場で生成する。いくつかの実施形態において、ポリマープラグは、少なくとも1種の任意選択で精製された逆感熱性ポリマーを含む。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】精製ポロキサマー407の様々な溶液の粘度を温度の関数として示すグラフである。
【図2】ポロキサマー407の精製を示す表(表1)、および選択された逆感熱性ポリマーの生理食塩水中でのゲル化温度を示す表(表2)である。表1において、「*」は、円錐および平板型粘度計を使用して、30℃で測定した25%溶液の粘度を示す。
【発明を実施するための形態】
【0010】
著しいことに、末梢動脈カテーテル挿入後に穿刺動脈を閉塞する方法および製剤であって、いくつかの実施形態において、次のステップ:(1)カテーテルイントロデューサを取り外すステップ;(2)逆感熱性ポリマー溶液またはゲルを穿刺創傷に直接注入するステップ;(3)逆感熱性溶液またはゲルが体温で粘度を上昇させて、プラグを形成するステップ;(4)プラグが、自然の止血を起こすことが可能になるほど十分に長く持続するステップを含む方法および製剤が発見された。
【0011】
この方法は、ポリマー組成物が水溶性および非血栓形成性であり、したがって動脈を穿通するいずれのポリマーも流動血液に急速に溶解するので、(上述した)ゼラチンプラグに関連した潜在的合併症をなくす。さらに、逆感熱性ポリマー溶液は、室温で低粘度であることによって、イントロデューサを使用する必要がなく、穿刺創傷へのその注入が可能になる。
【0012】
さらに、本発明は、ブタにおいて実施することを低減した。具体的には、逆感熱性ポリマー溶液を導入すると、開存動脈を維持しながら、大腿動脈および頚動脈の挿入部位の迅速な止血をもたらすことが観察された。本明細書に記載するすべての実験では、挿入部位の止血が、配置後の圧迫から50秒以内に実現した。実験の一部において、止血は第1の圧迫直後に観察された。圧迫を、3つの実験では20秒しか持続させず、その他の2つの実験では40〜45秒持続させた。いずれの場合も、止血は、診査切開を可能にするための実験が終了するまで、または動物の屠殺まで継続した。観察された最長時間は90分であった。実験の一部において、血管が逆感熱性ポリマー溶液の展開直後に開存していることが観察された。ある種の場合には、血管の一時的閉塞が起こり、続いて血管が40分後に完全に再び開くこともあれば、血管が30分後に部分的に再び開くこともある。この後者の場合、時間の制約のため、完全に再び開く前に実験を終了し、動物を屠殺した。一実験では、血管は、おそらく動脈切開を位置決めする間に血管が被る外傷のため、完全に血栓形成した。これらが「清浄な」スティックでなかったことは注目に値する。これらは、損傷を引き起こした可能性がある大腿動脈へアクセスする複数の試みが必要であった。切開によって明らかになった血栓形成血管は、試みの失敗によって引き起こされたクロットの結果であり得る。
【0013】
重要なことに、動脈切開の自然治癒を可能にするために開存動脈を維持することは重要であるが、血管に進入する逆感熱性ポリマー溶液に直接関連した安全性の懸念はない。逆感熱性ポリマー溶液を含むポリマーは、生体適合性および非毒性であることがわかった。このような溶液は、一時的血管閉塞デバイスで使用され、血管を一時的に塞ぎ、所望の粘性ポリマー組成物閉塞を実現した後、適時に溶解することがわかった。一度溶解すると、逆感熱性ポリマーは再凝固する恐れがなく、したがって遠位塞栓に関する潜在的懸念を軽減する。
【0014】
末梢動脈カテーテル挿入処置後の穿刺動脈の閉鎖方法に加えて、本明細書に記載する方法も使用して、例えば腰椎穿刺、望ましくない瘻孔の治療、およびリンパ節郭清における生体液の流動の制御に関連した問題を解決することができる。
【0015】
脊椎穿刺とも呼ばれる腰椎穿刺を行って、脳脊髄液(CSF)を抜き取るが、処置後にCSFが数日間漏出する場合がある。最新式の解決策は、患者の血液から作製された凝血塊を使用して、チャネルを密閉する。残念なことに、患者の凝血塊は、可変性の粘度および無菌性など予測不可能な品質の材料をもたらす。また、患者の血液を取り出すことは厄介であり、かつ時間がかかる。著しいことに、この問題を、本発明は、既知の粘度パラメータを有する無菌のすぐに使える逆感熱性ポリマー組成物を利用することによって解決する。
【0016】
さらに、体液のある領域から別の領域への流動を防止するための粘性材料を使用して、痔瘻など望ましくない瘻孔を塞ぐことができる。医学において、瘻孔は、上皮で裏打ちされた通常は結合していない2つの器官または血管の間の異常な結合または通路である。著しいことに、この問題を、本発明は、既知の粘度パラメータを有する無菌のすぐに使える逆感熱性ポリマー組成物を利用することによって解決する。粘性材料が空間を一時的に占め、流体のある領域から別の領域への流動を防止する。
【0017】
リンパ節郭清(リンパ節除去)によって、典型的には節が除去された領域にリンパが流れ込み、しばしば漿液腫が生じる。漿液腫は、手術後に体内で発生することがある透明な漿液の嚢である。粘性材料を使用して、空間を一時的に占めることができ、したがって漿液腫を防止することができる。著しいことに、この問題を、本発明は、既知の粘度パラメータを有する無菌のすぐに使える逆感熱性ポリマー組成物を利用することによって解決する。
【0018】
本発明の選択された利点
重要なことに、本発明の組成物および方法は、現在市場に出ている材料および方法より顕著な利点を有する。本発明は、例えば動脈塞栓形成または漿液腫のあらゆるリスクを低減しながら、穿刺部位、瘻孔、またはリンパ節郭清によって生じた空隙を効果的に閉塞することを可能にする。送達システムを使用して、逆感熱性ポリマー組成物の注入を容易にし、制御することができる。
【0019】
本発明のポリマープラグは、逆感熱性ポリマーまたは他の粘性ポリマー組成物が穿刺部位に送達されたとき、物理的または化学的転換を受けて、プラグの形成が可能になる限り、これらの組成物から形成することができる。好ましくは、組成物は、流動血液に容易に可溶であって、塞栓形成のリスクを最小限に抑制する。
【0020】
定義
便宜上、本発明をさらに説明する前に、本明細書、実施例、および添付の特許請求の範囲で使用するいくつかの用語をここにまとめる。これらの定義は、開示の残りを考慮に入れて読まれるべきであり、当業者として理解されるべきである。
【0021】
本明細書および特許請求の範囲においてここに使用する「a」および「an」という不定冠詞は、別段の明白な記載のない限り、「少なくとも1つ」を意味するものと理解されたい。
【0022】
本明細書および特許請求の範囲においてここに使用する「および/または」という語句は、そのように連接している要素、すなわち接続的に存在する場合もあれば、離接的に存在する場合もある要素の「いずれかまたは両方」を意味するものと理解されたい。「および/または」と共に列挙された複数の要素、すなわちそのように連接している要素の「1つまたは複数」は、同じ様に解釈されたい。「および/または」の節で具体的に特定された要素以外の他の要素が、具体的に特定された要素と関係していようと無関係であろうと、場合によっては存在してもよい。したがって、非限定的な例として、「Aおよび/またはB」を示す言葉は、「含む(comprising)」などの非限定的言語と一緒に使用するとき、一実施形態においては、Aのみ(場合によっては、B以外の要素を含む)、別の実施形態においては、Bのみ(場合によっては、A以外の要素を含む)、さらに別の実施形態においては、AとBの両方(場合によっては、他の要素を含む)などを指すことができる。
【0023】
本明細書および特許請求の範囲においてここに使用するように、1つまたは複数の要素の一覧に関連して「少なくとも1つ」という語句は、要素の一覧中の要素のいずれか1つまたは複数から選択された少なくとも1つの要素を意味するが、要素の一覧内に具体的に列挙されたあらゆる要素の少なくとも1つを必ずしも含むわけではなく、かつ要素の一覧中の要素のいかなる組合せも排除しないものと理解されたい。この定義によって、「少なくとも1つ」という語句が指す要素の一覧内で具体的に特定された要素以外の要素が、具体的に特定された要素と関係していようと無関係であろうと、場合によっては存在してもよいことが可能になる。したがって、非限定的な例として、「AおよびBの少なくとも1つ」(または、同義的に「AまたはBの少なくとも1つ」、または同義的に「Aおよび/またはBの少なくとも1つ」)は、一実施形態においては、任意選択で1つを超えることを含む少なくとも1つのA、ただしBは存在しない(場合によっては、B以外の要素を含む);別の実施形態においては、任意選択で1つを超えることを含む少なくとも1つのB、ただしAは存在しない(場合によっては、A以外の要素を含む);さらに別の実施形態においては、任意選択で1つを超えることを含む少なくとも1つのA、および任意選択で1つを超えることを含む少なくとも1つのB(場合によっては、他の要素を含む)などを指す。
【0024】
別段の明白な記載のない限り、2つ以上のステップまたは行為であるステップまたは行為を含む本明細書で特許請求したいずれの方法においても、方法のステップまたは行為の順序は、必ずしも方法のステップまたは行為が記載されている順序に限定されるものではないことも理解されたい。
【0025】
特許請求の範囲ならびに上述の明細書において、「含む(comprising)」、「含む(including)」、「持っている(carrying)」、「有する(having)」、「含む(containing)」、「含む(involving)」、「保持する(holding)」、「構成される」などすべての移行句は、非限定的である、すなわち包含するものであって、限定するものではないと理解されたい。United States Patent Office Manual of Patent Examining Procedures, Section 2111.03に記載のように、「〜からなる(consisting of)」および「本質的に〜からなる」という移行句のみ、それぞれ限定的または半限定的移行句であるものとする。
【0026】
治療剤または他の材料に関連して使用するとき、「徐放」という用語は、当技術分野で認識されている。例えば、物質を経時的に放出する対象組成物は、一度に物質の全量を生物学的に利用可能にするボーラス型投与とは対照的に、徐放特性を示すことができる。
【0027】
「ポロキサマー」という用語は、その両方の末端ヒドロキシル基にポリオキシエチル化させたPPGのコアからなる、すなわち互換性のある一般式(PEG)−(PPG)−(PEG)および(PEO)−(PPO)−(PEO)と一致する対称ブロックコポリマーを意味する。ポロキサマーの名称はそれぞれ、XおよびYで示したそれぞれのモノマー単位の平均的数値と関係付けられた任意のコード番号で終わる。
【0028】
「ポロキサミン」という用語は、一般型[(PEG)−(PPG)−NCHCHN−[(PPG)−(PEG)と一致する、エチレンジアミンのポリアルコキシル化対称ブロックコポリマーを意味する。各ポロキサミンの名称には、XおよびYで示したそれぞれのモノマー単位の平均的数値と関係付けられた任意のコード番号が付いている。
【0029】
本明細書では「逆感熱性ポリマー」という用語は、周囲温度で水に可溶であるが、生理的温度で水と少なくとも部分相分離するポリマーを指す。逆感熱性ポリマーとしては、例えばポロキサマー407、ポロキサマー188、Pluronic(登録商標)F127、Pluronic(登録商標)F68、ポリ(N−イソプロピルアクリルアミド)、ポリ(メチルビニルエーテル)、ポリ(N−ビニルカプロラクタム);およびいくつかのポリ(オルガノホスファゼン)が挙げられる。B. H. Leeら、「Synthesis and Characterization of Thermosensitive Poly(organophosphazenes) with Methoxy−Poly(ethylene glycol) and Alkylamines as Side Groups」、Bull. Korean Chem. Soc. 2002年、23巻、549〜554頁を参照のこと。
【0030】
「可逆的ゲル化」および「逆感熱性」という用語は、温度の低下時ではなく温度の上昇時にゲル化が起こるポリマーの特性を指す。
【0031】
「転移温度」という用語は、逆感熱性ポリマーのゲル化が起こる温度または温度範囲を指す。
【0032】
本明細書では「分解性」という用語は、ある種の条件下、例えば溶解によって、破壊または分解する特性を有することを指す。
【0033】
「多分散指数」という語句は、特定ポリマーの「重量平均分子量」と「数平均分子量」の比を指す。これは、ポリマー試料における個々の分子量の分布を反映する。
【0034】
「重量平均分子量」という語句は、ポリマーの分子量の特定の尺度を指す。重量平均分子量は、以下の通り算出される。いくつかのポリマー分子の分子量を決定し、これらの重量の二乗を加算し、次いで分子の全重量で除する。
【0035】
「数平均分子量」という語句は、ポリマーの分子量の特定の尺度を指す。数平均分子量は、個々のポリマー分子の分子量の通常の平均である。これは、n個のポリマー分子の分子量を測定し、重量を合計し、nで除することによって決定する。
【0036】
本明細書では「生体適合性の」という用語は、生組織において毒性、傷害性、または免疫学的応答を生じないことによって生物学的に適合性であるという特性を有することを指す。
【0037】
本明細書では「コールドパック」は、壊れやすいシールで分離された化学物質が入っている2つの容器である。シールが壊れると、別々の容器の内容物が反応し始めるにつれて、冷却効果を生み出す周囲物からエネルギーが吸収される。コールドパック中で混合することができる化学物質の例は、硝酸アンモニウムおよび水である。いくつかの実施形態において、コールドパックには、2つの密封された袋があり、一方は他方の内部に存在する。外側の袋は、厚くて強いプラスチックで作製されている。これには、硝酸アンモニウムおよび第2のプラスチック袋が入れてある。第2(内側)の袋は、薄くて弱いプラスチックで作製されており、水が入れてある。袋を絞ると、内側の袋が破れ、水が冷却効果を生み出す粉末と混合する。
【0038】
「止血」という用語は、体の血管または器官を通る血流の停止を指す。止血は、正常な血管収縮(血管壁の一時的閉鎖)によってであろうと、異常な閉塞(歯垢など)によってであろうと、または凝固もしくは外科的手段(結紮など)によってであろうと、一般に出血の停止を指す。本明細書では、止血は、粘性ポリマー溶液を使用して、閉塞をもたらすことによって実現される。
【0039】
上述するポリマー、副単位、および他の組成物の考慮される等価物としては、通常ならそれらに対応し、その同じ一般的特性(例えば、生体適合性)を有し、その意図した目的を実現するこのような分子の有効性に悪影響を及ぼさない置換基の1個または複数の単純な変化が行われるこのような材料が挙げられる。一般に、本発明の化合物は、容易に入手可能な出発材料、試薬、および通常の合成手順を使用して、例えば下記に示す方法、またはその改変で調製することができる。これらの反応では、それ自体既知であるが、ここに記載されていない変種を使用することも可能である。
【0040】
逆感熱性ポリマー
いくつかの実施形態において、本発明の方法は、温度、pH、圧力の影響下にあり、化学もしくは生物学的反応の結果であるプラグを体内で形成し、次いで溶解しもしくは溶解させられるポリマー、具体的には他の逆感熱性ポリマー、および任意のポリマー溶液、または体内でゲルを形成するポリマーの組合せの使用によって実施することができる。他の実施形態において、本発明の方法で使用する粘性ポリマー溶液は、架橋性ポリマーである。いくつかの実施形態において、粘性ポリマー溶液を現場で生成することができる。いくつかの実施形態において、粘性ポリマー溶液は、組織非接着性とすることができる。
【0041】
いくつかの実施形態において、ポリマー溶液および架橋剤溶液の2つの溶液は、別々に(例えば、デュアルルーメンカテーテルを通して)生体内腔に注入され、そこでゲル化し、粘性ポリマー溶液となる。ポリマー溶液は、アニオン性ポリマー、カチオン性ポリマー、または非イオン性架橋性ポリマーを含んでもよい。このようなポリマーは、次の1つまたは複数を含んでもよい:アルギン酸、アルギン酸ナトリウム、アルギン酸カリウム、ナトリウムジェラン、カリウムジェラン、カルボキシメチルセルロース、ヒアルロン酸、およびポリビニルアルコール。ポリマーゲルを形成するためのポリマーの架橋は、アニオン性架橋イオン、カチオン性架橋イオン、または非イオン性架橋剤で実現することができる。架橋剤としては、次の1つまたは複数が挙げられるが、これらに限定されるものではない:ホスフェート、シトレート、ボレート、スクシナート、マレエート、アジペート、オキサレート、カルシウム、マグネシウム、バリウム、およびストロンチウム。例示的なポリマーと架橋剤の組合せとしては、例えばアルギネートとカルシウム、バリウム、もしくはマグネシウム;ジェランとカルシウム、マグネシウム、もしくはバリウム;またはヒアルロン酸とカルシウムなどアニオン性ポリマー単量体とカチオンが挙げられる。非イオン性ポリマーと化学的架橋剤の例示的な組合せの例は、ポリビニルアルコールとボレート(わずかにアルカリ性pH)である。
【0042】
一般に、本発明の方法で使用するポリマーは、体温またはほぼ体温でゲルになるが、液体の形で投与することができる。いくつかの実施形態において、本発明のポリマー組成物は、可撓性または流動性材料であってもよい。「流動性」は、それが入れてある空間の形状を体温で経時的に取る能力を意味する。この特性には、例えば針を装着した手動シリンジによる注入、またはカテーテルによる送達に適した、例えば液体組成物が含まれる。「流動性」という用語には、注ぎ、管から絞り、または手動手段単独で加えられるはずより高い注入圧をもたらす市販のパワーインジェクションデバイスのいずれか1つによって注入されることによって所望の部位に送達することができる、室温において非常に粘性の高いゲル様材料も包含される。使用するポリマーがそれ自体流動性であると、本発明のポリマー組成物は、微量または残留量の生体適合性溶媒が存在する可能性があるが、粘性である場合でさえ、流動性であるための生体適合性溶媒を含む必要がない。
【0043】
さらに、いくつかの実施形態において、本発明の粘性ポリマー溶液は、1種または複数の逆感熱性ポリマーの水溶液であってもよい。これらのポリマー溶液は、体温未満で液体であり、ほぼ体温でゲル化する。いくつかの実施形態において、ポリマー溶液を体外、すなわち体温未満の温度で調製する。ポリマー溶液は、体内に導入された後、ゲルが液体の形で滞留する時間を延長するためにさらに冷却してもよい。好ましい温度は、ポリマー溶液のゲル化温度より約10℃低い。いくつかの実施形態において、本発明の方法と共に使用する粘性ポリマー溶液は、インバースサーマルゲル化特性を有するブロックコポリマーを含んでもよい。ブロックコポリマーは、さらにポリエチレンオキシドとポリプロピレンオキシドの生分解性生体適合性コポリマーなどのポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレンブロックコポリマーを含んでもよい。また、逆感熱性ポリマーは、1種または複数の添加剤も含むことができる。例えば、治療剤を逆感熱性ポリマーに添加してもよい。
【0044】
いくつかの実施形態において、ブロックコポリマーの分子量は、約2,000〜約1,000,000ダルトン、より具体的には少なくとも約10,000ダルトン、さらにより具体的には少なくとも約25,000ダルトン、さらには少なくとも約50,000ダルトンである。いくつかの実施形態において、ブロックコポリマーの分子量は、約5,000ダルトン〜約30,000ダルトンである。いくつかの実施形態において、逆感熱性ポリマーの分子量は、約1,000〜約50,000ダルトン、または約5,000〜約35,000ダルトンとすることができる。他の実施形態において、適当な逆感熱性ポリマー(ポロキサマーまたはポロキサミンなど)の分子量は、例えば約5,000〜約25,000ダルトン、または約7,000〜約20,000ダルトンとすることができる。数平均分子量(M)も様々であり得るが、一般に約1,000〜約400,000ダルトンの範囲に入り、約1,000〜約100,000ダルトンの実施形態もあれば、約1,000〜約70,000ダルトンの実施形態もある。いくつかの実施形態において、Mは約5,000〜約300,000ダルトンの範囲で様々である。
【0045】
いくつかの実施形態において、ポリマーは水溶液中に存在する。例えば、典型的な水溶液は、約5%〜約30%、好ましくは約10%〜約25%のポリマーを含有する。哺乳類に投与された逆感熱性ポリマー製剤のpHは、一般に約6.0〜約7.8であり、これは哺乳類の体内への注入に適したpHレベルである。pHレベルは、塩酸または水酸化ナトリウムなど任意の適当な酸または塩基で調整することができる。
【0046】
いくつかの実施形態において、本発明の逆感熱性ポリマーはポロキサマーまたはポロキサミンである。Pluronic(登録商標)ポリマーは、独特の界面活性剤の能力、および極めて低い毒性、および免疫原性応答を有する。これらの生成物は、急性経口および経皮毒性が低く、刺激または感作を引き起こす可能性が低く、一般慢性および亜慢性毒性が低い。実際には、Pluronic(登録商標)ポリマーは、医学的用途における直接使用および食品添加物としてFDAが認可した少数の界面活性剤の1つである。BASF (1990年) Pluronic(登録商標) & Tetronic(登録商標) Surfactants、BASF Co.、Mount Olive, N.J.を参照のこと。最近、複数のPluronic(登録商標)ポリマーは、薬物の治療効果、およびアデノウイルスによって媒介される遺伝子導入効率を向上させることが見出された。K. L. March、J. E. Madison、およびB.C. Trapnell、「Pharmacokinetics of adenoviral vector−mediated gene delivery to vascular smooth muscle cells: modulation by poloxamer 407 and implication for cardiovascular gene therapy」、Hum Gene Therapy、1995年、6巻、41〜53頁。
【0047】
興味深いことに、ポロキサマー(またはPluronic)は、ノニオン性界面活性剤として、多様な工業用途で広く使用されている。例えば、Nonionic Surfactants: polyoxyalkylene block copolymers、60巻、Nace VM, Dekker M (編集者)、New York、1996年、280頁を参照のこと。これらの界面活性剤の特性は、洗浄性、分散、安定化、発泡、および乳化に有用であった。A. Cabana、A. K. Abdellatif、およびJ. Juhasz, 「Study of the gelation process of polyethylene oxide. polypropylene oxide−polyethylene oxide copolymer (poloxamer 407) aqueous solutions」、Journal of Colloid and Interface Science、1997年、190巻、307〜312頁。いくつかのポロキサミン、例えばポロキサミン1307および1107も、インバース感熱性を示す。
【0048】
重要なことに、このポリマークラスの複数のメンバーであるポロキサマー188、ポロキサマー407、ポロキサマー338、ポロキサミン1107、およびポロキサミン1307は、生理的温度範囲内でインバース感熱性を示す。Y. Qiu、およびK. Park、「Environment−sensitive hydrogels for drug delivery」、Adv Drug Deliv Rev、2001年、53巻(3号)、321〜339頁;ならびにE. S. Ron、およびL. E. Bromberg、「Temperature−responsive gels and thermogelling polymer matrices for protein and peptide delivery」、Adv Drug Deliv Rev、1998年、31巻(3号)、197〜221頁。言い換えれば、これらのポリマーは、低温で水溶液に可溶であるが、より高い温度でゲル化するクラスのメンバーである。ポロキサマー407は、平均分子量が約12,500であり、ポリオキシプロピレン分画が約30%である生体適合性ポリオキシプロピレン−ポリオキシエチレンブロックコポリマーである。ポロキサマー188は、平均分子量が約8400であり、ポリオキシプロピレン分画が約20%である。ポロキサマー338は、平均分子量が約14,600であり、ポリオキシプロピレン分画が約20%である。ポロキサミン1107は、平均分子量が約14,000であり、ポロキサミン1307は、平均分子量が約18,000である。このタイプのポリマーは、その粘度が、温度の上昇および下降と共にそれぞれ上昇および下降するので、可逆的ゲル化とも呼ばれる。このような可逆的ゲル化系は、材料を流動状態で取り扱うことが望ましい場合はいつでも有用であるが、性能はゲル化したまたはより粘性の高い状態であることが好ましい。上記に指摘したように、いくつかのポリ(エチレンオキシド)/ポリ(プロピレンオキシド)ブロックコポリマーは、これらの特性を有する。これらは、Pluronic(登録商標)ポロキサマーおよびTetronic(登録商標)ポロキサミン(BASF、Ludwigshafen,Germany)として市販されており、それぞれポロキサマーおよびポロキサミンと総称される。米国特許第4,188,373号明細書、同第4,478,822号明細書、および同第4,474,751号明細書を参照のこと。これらはすべて、参照により本明細書に組み込まれる。
【0049】
市販のポロキサマーおよびポロキサミンの平均分子量は、約1,000から16,000ダルトンを超える範囲である。ポロキサマーは連続した一連の反応の生成物であるので、個々のポロキサマー分子の分子量は、平均分子量に関して統計分布をなす。さらに、市販のポロキサマーは、相当量のポリ(オキシエチレン)ホモポリマーおよびポリ(オキシエチレン)/ポリ(オキシプロピレン)ジブロックポリマーを含有する。これらの副生成物の相対量は、ポロキサマーの構成要素ブロックの分子量が増大するにつれて増大する。製造業者により、これらの副生成物は、市販ポリマーの全質量の約15%〜約50%を構成する可能性がある。
【0050】
逆感熱性ポリマーは、既知量のポリマーを水に溶解するステップと、可溶性抽出塩をポリマー溶液に添加するステップと、異なった2相が出現するのに十分な時間、一定の最適温度で溶液を維持するステップと、相を物理的に分離するステップとを含む水溶性高分子の分別方法を使用して、精製してもよい。さらに、好ましい分子量のポリマー分画を含む相を元の体積まで水で希釈してもよく、元の濃度を実現するように、抽出塩を添加してもよく、出発材料より狭い分子量分布および最適な物理的諸特性を有するポリマーを回収することができるまで、必要に応じて分離方法を繰り返す。
【0051】
いくつかの実施形態において、精製ポロキサマーまたはポロキサミンの多分散指数は、約1.5〜約1.0である。いくつかの実施形態において、精製ポロキサマーまたはポロキサミンの多分散指数は、約1.2〜約1.0である。
【0052】
上記方法は、水中でポリマーと適切な塩から構成される水性2相系を形成するステップからなる。このような系では、単一相のポリマー−水系に可溶性塩を添加して、相分離を誘導して、高塩濃度で低ポリマー濃度の下相、および低塩濃度で高ポリマー濃度の上相を得ることができる。より低い分子量のポリマーは、優先的に高塩濃度で低ポリマー濃度の相に分配される。この方法を使用して分別することができるポリマーとしては、ポリエーテル、ポリ(エチレングリコール)およびポリ(エチレンオキシド)などのグリコール、ポロキサマー、ポロキサミン、およびポリオキシプロピレン/ポリオキシブチレンコポリマーなどのポリオキシアルキレンブロックコポリマー、ならびにポリビニルアルコールなど他のポリオールが挙げられる。これらのポリマーの平均分子量は、約800から100,000ダルトンを超える範囲であり得る。米国特許第6,761,824号明細書を参照のこと(参照により本明細書に組み込まれる)。上記の精製方法は、本質的にポロキサマー分子、ポリ(オキシエチレン)ホモポリマー、およびポリ(オキシエチレン)/ポリ(オキシプロピレン)ジブロック副生成物間のサイズおよび極性、ひいては溶解性の差を利用する。一般により低い分子量の分画および副生成物を含むポロキサマーの極性分画を除去して、ポロキサマーのより高い分子量の分画の回収を可能にする。この方法で回収されたより高い分子量のポロキサマーは、より高い平均分子量、より低い多分散性、および水溶液中でのより高い粘度を含めて、出発材料または市販のポロキサマーと実質的に異なる物理的諸特性を有する。
【0053】
他の精製方法を使用して、所望の結果を実現してもよい。例えば、国際公開第92/16484号パンフレット(参照により本明細書に組み込まれる)には、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーを使用して、潜在的に有害な副作用を引き起こすことなく、有益な生体効果を示すポロキサマー188の分画を単離することが開示されている。このようにして得られたコポリマーは、多分散指数が1.07以下であり、実質的に飽和していた。潜在的に有害な副作用は、ポリマーの低分子量不飽和部分に関連することがわかったが、医学的に有益な効果は均一でより高い分子量の材料に存在した。コポリマーの合成時のポリオキシプロピレン中心ブロック、またはコポリマー生成物自体を精製することによって、同様に改良された他のコポリマーが得られた(例えば、米国特許第5,523,492号明細書および米国特許第5,696,298号明細書;これらは両方とも、参照により本明細書に組み込まれる)。
【0054】
さらに、米国特許第5,567,859号明細書に開示されるように、超臨界流体抽出技法を使用して、ポリオキシアルキレンブロックコポリマーを分別した(参照により本明細書に組み込まれる)。多分散性が1.17未満であるかなり均一なポリオキシアルキレンブロックコポリマーから構成された精製分画が得られた。この方法に従って、より低い分子量の分画を、圧力2200ポンド/平方インチ(psi)(約15MPa)および温度40℃で維持された二酸化炭素流中で除去した。
【0055】
さらに、米国特許第5,800,711号明細書(参照により本明細書に組み込まれる)には、塩抽出および液相分離技法を使用して、低分子量種をバッチ式で除去することによるポリオキシアルキレンブロックコポリマーの分別方法が開示されている。ポロキサマー407およびポロキサマー188をこの方法で分別した。いずれの場合にも、出発材料に比べて高い平均分子量および低い多分散指数を有するコポリマー分画が得られた。しかし、多分散指数の変化は大きくなく、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーによる分析は、一部の低分子量材料が残存していることを示唆した。分別したポリマーの水溶液の10℃〜37℃の温度における粘度は、市販のポリマーの粘度より大幅に高く、いくつかの医学的用途および薬物送達用途にとって重要な特性である。それにもかかわらず、これらのポリマーの低分子量汚染物質の一部は、体内で使用すると有害な副作用を引き起こすと思われ、分別方法で除去されることが特に重要になる。結果として、この方法で分別したポリオキシアルキレンブロックコポリマーは、すべての医学的使用に適していない。
【0056】
逆感熱性ポリマーの転移温度の改変は、いくつかの方式でもたらすことができる。例えば、転移温度は、転移温度改変添加剤の添加または改変ポリマーの開発によって改変することができる。転移温度は、いくつかの添加剤、例えばオレイン酸ナトリウム、ラウリン酸ナトリウム、またはカプリン酸ナトリウムなどの医薬脂肪酸賦形剤の添加の影響を受けることがある。他の可能な医薬品賦形剤は、水;アルコール、特にエタノール、n−プロパノール、2−プロパノール、イソプロパノール、t−ブチルアルコールなどのC〜Cアルコール;MTBEなどのエーテル;アセトン、メチルエチルケトンなどのケトン;グリセロールなどの保湿剤;エチレングリコール、プロピレングリコールなどのグリコール;乳化剤、具体的にはモノステアリン酸グリセロール、ミリスチン酸イソプロピルなど長鎖(C12〜C24)脂肪酸で部分エステル化した低級、場合によっては多価C〜Cアルコール、ソルビタンモノ脂肪酸エステルなどの糖アルコールの脂肪酸エステル、このような化合物のポリエトキシル化誘導体、ポリエトキシエチレン脂肪酸エステルおよび脂肪アルコールエーテル、コレステロール、セチルステアリルアルコール、ウールワックスアルコール、および低HLB値を有する合成界面活性剤;カルボポールなどの可溶化剤;低粘度パラフィン、トリグリセリド;ミリスチン酸イソプロピルなどの親油性物質;TEA、カーボネートおよびホスフェートなどのpH制御因子;EDTAおよびその塩などのキレート剤;ならびに保存剤などの溶媒であり得る。さらに、他のポロキサマーを添加して、ポロキサマーの混合物を生成すると、転移温度に影響を及ぼすことが知られている。
【0057】
いくつかの実施形態において、可視化を助けるために、本発明の粘性ポリマー組成物にコントラスト促進剤を添加することができる。例示的コントラスト促進剤は、放射線不透過性材料、常磁性材料、重原子、遷移金属、ランタニド、アクチニド、染料、および放射性核種含有材料である。
【0058】
治療剤の選択
本発明の方法で使用する可逆的ゲル化ポリマーは、通常の低分子薬物、および高分子(例えば、ペプチド)薬物、または他の治療生成物に適した送達ビヒクルにする物理化学的諸特性を有する。したがって、感熱性ポリマーを含む組成物は、予め選択した薬効をもたらすように選択された薬剤をさらに含んでもよい。薬効は、疾患または身体障害の原因または症状を予防または治療するために求めるものである。薬剤としては、FDA医薬品ガイドラインの下で規制を受ける生成物が挙げられる。重要なことに、本発明の方法で使用する組成物は、生理活性材料を可溶化および放出することができる。可溶化は、バルク水相における溶解の結果としてまたはポロキサマーの疎水性領域で生じたミセルにおける溶質の取込みによって起こるものと予想される。薬物の放出は、拡散または網目構造浸食機序によって起こるはずである。
【0059】
本発明の方法で使用する組成物を同時に利用して、広範囲の種々の薬剤を創傷部位に送達できることを、当業者は理解されよう。医薬組成物を調製するために、望ましい薬効を与える有効量の医薬活性剤を、本発明の方法で使用する可逆的ゲル化組成物に組み込む。好ましくは、選択した活性剤は水溶性であり、それ自体が、可逆的ゲル化組成物全体にわたって均質分散液に容易に加えられる。活性剤は、組成物とは反応しないことも好ましい。水溶性でない材料については、組成物全体にわたって親油性材料を分散または懸濁させることも本発明の方法の範囲内である。無数の生理活性材料は、本発明の方法を使用して送達することができる。送達される生理活性材料としては、麻酔剤、抗菌剤(抗菌剤、抗真菌剤、抗ウイルス剤)、抗炎症剤、診断剤、および創傷治癒剤が挙げられる。
【0060】
本発明の方法で使用する可逆的ゲル化組成物は、種々の環境条件下での適用に適しているので、広範囲の種々の医薬活性剤を組成物に組込み、組成物を介して投与することができる。感熱性ポリマーのポリマー網状構造に加えられた薬剤は、タンパク質、ポリペプチド、ポリヌクレオチド、核タンパク質、多糖、糖タンパク質、リポタンパク質、ならびにそれらの合成および生物学的改変類似体を含めて、生物活性を有する任意の物質とすることができる。
【0061】
膨大な数の治療剤を、本発明の方法で使用するポリマーに組み込んでもよい。一般に、本発明の方法により投与することができる治療剤としては、抗生物質および抗ウイルス薬などの抗感染薬;鎮痛薬および鎮痛薬の組合せ;食欲抑制薬;抗蠕虫薬;抗関節炎薬;抗喘息剤;抗痙攣薬;抗うつ薬;抗利尿剤;制瀉薬;抗ヒスタミン剤;抗炎症剤;抗片頭痛製剤;制吐薬;抗腫瘍薬;抗パーキンソン病薬;鎮痒薬;抗精神病薬;下熱剤、鎮痙剤;抗コリン薬;交感神経興奮薬;キサンチン誘導体;ピンドロールおよび抗不整脈薬などカルシウムチャネル阻害薬およびβ遮断薬を含めて心血管系製剤;抗高血圧薬;利尿薬;全身、冠状、末梢および脳を含めて血管拡張薬;中枢神経刺激薬;鬱血除去薬を含めて、咳および感冒用製剤;コルチコステロイドを含めて、エストラジオールおよび他のステロイドなどのホルモン;催眠薬;免疫抑制薬;筋弛緩薬;副交感神経遮断薬;覚醒薬;鎮静薬;および精神安定薬;ならびに天然由来もしくは遺伝子組換えタンパク質、多糖、糖タンパク質、またはリポタンパク質が挙げられるが、これらに限定されるものではない。非経口投与に適した薬剤は、Handbook on Injectable Drugs, 6th Edition, by Lawrence A. Trissel, American Society of Hospital Pharmacists, Bethesda, Md.、1990年(参照により本明細書に組み込まれる)によって例証されるように周知である。
【0062】
医薬活性化合物は、タンパク質、ポリペプチド、ポリヌクレオチド、核タンパク質、多糖、糖タンパク質、リポタンパク質、ならびにそれらの合成および生物学的改変類似体を含めて、生物活性を有する任意の物質とすることができる。「タンパク質」という用語は、当技術分野で認識されており、本発明ではペプチドも包含される。タンパク質またはペプチドは、天然または合成の任意の生物活性タンパク質またはペプチドとすることができる。
【0063】
タンパク質の例としては、抗体、酵素、成長ホルモンおよび成長ホルモン放出ホルモン、ゴナドトロピン放出ホルモンならびにそのアゴニストおよびアンタゴニスト類似体、ソマトスタチンおよびその類似体、黄体形成ホルモンおよび卵胞刺激ホルモンなどのゴナドトロピン、ペプチドT、サイロカルシトニン、副甲状腺ホルモン、グルカゴン、バソプレシン、オキシトシン、アンジオテンシンIおよびII、ブラジキニン、カリジン、副腎皮質刺激ホルモン、甲状腺刺激ホルモン、インスリン、グルカゴン、ならびに上述の分子の多数の類似体および同類物が挙げられる。薬剤は、インスリン、MMR(流行性耳下腺炎、麻疹、および風疹)ワクチン、腸チフスワクチン、A型肝炎ワクチン、B型肝炎ワクチン、単純ヘルペスウイルス、細菌トキソイド、コレラ毒素Bサブユニット、インフルエンザワクチンウイルス、百日咳菌(bordetela pertussis)ウイルス、ワクシニアウイルス、アデノウイルス、カナリア痘、ポリオワクチンウイルス、熱帯熱マラリア原虫(plasmodium falciparum)、カルメット・ゲラン菌(BCG)(bacillus calmette geurin)、肺炎桿菌(klebsiella pneumoniae)、HIVエンベロープ糖タンパク質、およびサイトカインからなる群から選択される抗原、ならびにウシソマトロピン(BSTと呼ばれることもある)、エストロゲン、アンドロゲン、インスリン成長因子(IGFと呼ばれることもある)、インターロイキンI、インターロイキンII、およびサイトカインからなる群から選択される他の作用物質から選択することができる。このような3種のサイトカインは、インターフェロン−β、インターフェロン−γ、およびタフトシンである。
【0064】
本発明の方法で使用する組成物に組み込むことができる細菌トキソイドの例は、破傷風、ジフテリア、シュードモナス(Pseudomonas)A、結核菌(mycobaeterium tuberculosis)である。本発明の閉塞方法で使用する組成物に組み込むことができる例は、AIDSワクチンについてはHIVエンベロープ糖タンパク質、例えばgp120またはgp160である。含めてもよい抗潰瘍性H2受容体アンタゴニストの例は、ラニチジン、シメチジン、およびファモチジンであり、他の抗潰瘍薬は、オムパラジド(omparazide)、セスプリド(cesupride)、およびミソプロストールである。血糖降下剤の例は、グリピザイドである。
【0065】
本発明の閉塞方法で使用する組成物に組み込むことができる医薬活性化合物のクラスとしては、抗AIDS物質、抗癌物質、抗生物質、免疫抑制薬(例えば、シクロスポリン)、抗ウイルス物質、酵素阻害薬、神経毒、オピオイド、催眠薬、抗ヒスタミン薬、滑沢剤、精神安定薬、抗痙攣薬、筋弛緩薬および抗パーキンソン物質、鎮痙薬および筋収縮薬、縮瞳薬および抗原虫薬、抗緑内障化合物、抗寄生虫および/または抗原虫化合物、抗高血圧薬、鎮痛薬、解熱薬およびNTHEなどの抗炎症剤、局所麻酔薬、眼薬、プロスタグランジン、抗うつ薬、抗精神病物質、制吐薬、造影剤、特異的ターゲティング剤、神経伝達物質、タンパク質、細胞応答調節因子、ならびにワクチンが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0066】
本発明の方法で使用する組成物に組み込むのに特に適していると考えられる例示的な薬剤の例としては、ミコナゾール、エコナゾール、テルコナゾール、サペルコナゾール、イトラコナゾール、メトロニダゾール、フルコナゾール、ケトコナゾール、およびクロトリマゾールなどのイミダゾール、黄体形成ホルモン放出ホルモン(LHRH)およびその類似体、ノノキシノール−9、GnRHアゴニストまたはアンタゴニスト、選択プロゲステロンなどの天然または合成プロゲストリン(progestrin)、酢酸メドロキシプロゲステロンなどの17−ヒドロキシプロゲステロン誘導体、およびノルエチンドロンなどの19−ノルテストステロン類似体、天然または合成エストロゲン、抱合卵胞ホルモン、エチニルエストラジオール、エストロピパート、およびエストラジオール、エチドロネート、アレンドロネート、チルドロネート、リセドロネート、クロドロネート、およびパミドロネートを含めてビスホスホネート、カルシトニン、副甲状腺ホルモン、フェルバマートおよびドルゾラミドなどの炭酸脱水酵素阻害薬、ゼスタベルグステロール−A、ロドキサミン、およびクロモリンなどの肥満細胞安定薬、ジクロフェナクおよびケトロラックなどのプロスタグランジン阻害薬、プレドニゾロン、デキサメタゾン、フルオロメトロン、リメキソロン、およびロテプレドノールなどのステロイド、アンタゾリン、フェニラミン、およびヒスタミナーゼなどの抗ヒスタミン剤、ピロカルピン硝酸塩、レボブノロールおよびマレイン酸チモロールなどのβ遮断薬が挙げられるが、これらに限定されるものではない。当業者が理解するように、特定の効果のために、2種以上の薬剤を組み合わせてもよい。活性成分の必要量は、簡単な実験で決定することができる。
【0067】
例にすぎないが、いくつかの抗生物質および抗菌薬をいずれでも、本発明の方法で使用する感熱性ポリマーに含めてもよい。本発明の閉塞方法で使用する組成物に含めるのに好ましい抗菌薬としては、ラクタム薬物、キノロン薬物、シプロフロキサシン、ノルフロキサシン、テトラサイクリン、エリスロマイシン、アミカシン、トリクロサン、ドキシサイクリン、カプレオマイシン、クロルヘキシジン、クロロテトラサイクリン、オキシテトラサイクリン、クリンダマイシン、エタンブトール、ヘキサミジンイセチオネート、メトロニダゾール、ペンタミジン、ゲンタマイシン、カナマイシン、リネオマイシン、メタサイクリン、メテナミン、ミノサイクリン、ネオマイシン、ネチルマイシン、パロモマイシン、ストレプトマイシン、トブラマイシン、ミコナゾール、およびアマンタジンなどの塩が挙げられる。例にすぎないが、抗炎症の場合、本発明の閉塞方法で使用する組成物に、プロピオン酸誘導体、酢酸、フェナム酸誘導体、ビフェニルカルボン酸誘導体、オキシカムなどの非ステロイド性抗炎症剤(NTHES)を組み込んでもよく、アスピリン、アセトアミノフェン、イブプロフェン、ナプロキセン、ベノキサプロフェン、フルルビプロフェン、フェンブフェン、ケトプロフェン、インドプロフェン、ピルプロフェン、カプロフェン、およびブクロクス酸などが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0068】
注入システム
送達システムを使用して、逆感熱性ポリマー組成物の注入を容易にし、制御することができる。理想的には、注入システムを使用すれば、注入前に動脈の切開の必要性が最小限に抑えられるはずである。さらに、最適の注入システムを構築する際に、様々な直径の針で、ポリマーを液体の形で0.5mL/秒の流量を維持しながら注入するのに必要とされる親指の圧力を決定することは役立つ。引張試験装置(例えば、Instron(登録商標))を使用して、プランジャーを押し下げるのに必要とされた力および得られた圧縮速度を測定することができる。
【0069】
いくつかの実施形態において、手術室で標準非侵襲性システム(例えば、ハンドヘルド超音波装置)を使用して、血管中で検知することができるカニューレの使用は、カニューレが腎臓の動脈に正しく留置していることを検証する際に役立つ。カテーテルは、ダイラテーションカテーテルとすることができる。一実施形態において、カテーテルのサイズは、3〜10フレンチ、より好ましくは3〜6フレンチである。別の実施形態において、カテーテルを使用して、ポリマー溶液以外の1種もしくは複数の流体、またはポリマー溶液に加えて1種もしくは複数の流体を調合することができる。この実施形態では、カテーテルは、ポリマー溶液の送達用のルーメン、造影剤溶液など他の流体の送達用のルーメンを有するマルチルーメンカテーテルとすることができる。
【0070】
別の実施形態において、ポリマー溶液を体内に注入するために使用することができるシリンジまたは他の機構は、例えば1〜100ccのシリンジ、1〜50ccのシリンジ、または1〜5ccのシリンジとすることができる。シリンジへの加圧は、手動または自動シリンジプッシャーで行うことができる。いくつかの実施形態において、粘性材料を注入するため補助動力をシリンジに供給するシステム(例えば、スプリング付きプランジャー支援デバイス)を、使用することができる。
【0071】
本発明の方法
本発明の一態様は、哺乳類のある部位における生体液流動を現場形成ポリマープラグの使用により制御する方法であって、
粘性ポリマー組成物が体温で凝固することができ、それによってポリマープラグが現場で形成されるステップを含む方法に関する。
【0072】
いくつかの実施形態において、本発明は、粘性ポリマー組成物を部位に直接注入するステップをさらに含む、上記の方法のいずれかおよび付帯制限のいずれかに関する。
【0073】
いくつかの実施形態において、本発明は、温度変化、pH変化、またはイオン相互作用によって、ポリマープラグが現場で生成する、上記の方法のいずれか1つおよび付帯制限のいずれかに関する。
【0074】
いくつかの実施形態において、本発明は、第1の組成物を哺乳類の部位に直接注入するステップと、第2の組成物を哺乳類の部位に直接注入するステップとをさらに含み、第1の組成物は第2の組成物と接触し、それによって粘性ポリマー組成物が現場で形成される、上記の方法のいずれか1つおよび付帯制限のいずれかに関する。
【0075】
いくつかの実施形態において、本発明は、第1の組成物および第2の組成物を別々に注入する、上記の方法のいずれか1つおよび付帯制限のいずれかに関する。
【0076】
いくつかの実施形態において、本発明は、第1の組成物および第2の組成物を同時に注入する、上記の方法のいずれか1つおよび付帯制限のいずれかに関する。
【0077】
いくつかの実施形態において、本発明は、方法が、カテーテル挿入処置後に出血を制御し、腰椎穿刺後に脳脊髄液の漏出を制御し、瘻孔を塞ぎ、またはリンパ節郭清後に漿液の流動を制御する、上記の方法のいずれか1つおよび付帯制限のいずれかに関する。
【0078】
いくつかの実施形態において、本発明は、方法が、カテーテル挿入処置後に出血を制御し、かつ部位が、カテーテル挿入によって生じるルーメンの穿刺部位である、上記の方法のいずれか1つおよび付帯制限のいずれかに関する。
【0079】
いくつかの実施形態において、本発明は、方法が、腰椎穿刺後に脳脊髄液の漏出を制御し、かつ部位が、腰椎穿刺によって生じるルーメンの穿刺部位である、上記の方法のいずれか1つおよび付帯制限のいずれかに関する。
【0080】
いくつかの実施形態において、本発明は、方法が瘻孔を塞ぎ、かつ部位が、上皮で裏打ちされた通常は結合していない2つの器官または血管の間の異常な結合または通路である、上記の方法のいずれか1つおよび付帯制限のいずれかに関する。
【0081】
いくつかの実施形態において、本発明は、方法が、リンパ節郭清後に漿液の流動を制御し、かつ部位が、リンパ節郭清によって生じる空隙である、上記の方法のいずれか1つおよび付帯制限のいずれかに関する。
【0082】
いくつかの実施形態において、本発明は、粘性ポリマー組成物の体積が約1〜25mLである、上記の方法のいずれか1つおよび付帯制限のいずれかに関する。
【0083】
いくつかの実施形態において、本発明は、粘性ポリマー組成物の体積が約1〜10mLである、上記の方法のいずれか1つおよび付帯制限のいずれかに関する。
【0084】
いくつかの実施形態において、本発明は、粘性ポリマー組成物が約30秒にわたって導入される、上記の方法のいずれか1つおよび付帯制限のいずれかに関する。
【0085】
いくつかの実施形態において、本発明は、粘性ポリマー組成物が約20秒にわたって導入される、上記の方法のいずれか1つおよび付帯制限のいずれかに関する。
【0086】
いくつかの実施形態において、本発明は、粘性ポリマー組成物が約10秒にわたって導入される、上記の方法のいずれか1つおよび付帯制限のいずれかに関する。
【0087】
いくつかの実施形態において、本発明は、粘性ポリマー組成物が、哺乳類の生理的温度において固体である、上記の方法のいずれか1つおよび付帯制限のいずれかに関する。
【0088】
いくつかの実施形態において、本発明は、粘性ポリマー組成物が、少なくとも1種の任意選択で精製された逆感熱性ポリマーを含む、上記の方法のいずれか1つおよび付帯制限のいずれかに関する。
【0089】
いくつかの実施形態において、本発明は、粘性ポリマー組成物が約5%〜約35%の逆感熱性ポリマーを含む、上記の方法のいずれか1つおよび付帯制限のいずれかに関する。
【0090】
いくつかの実施形態において、本発明は、粘性ポリマー組成物が約10%〜約30%の逆感熱性ポリマーを含む、上記の方法のいずれか1つおよび付帯制限のいずれかに関する。
【0091】
いくつかの実施形態において、本発明は、粘性ポリマー組成物が約20%の逆感熱性ポリマーを含む、上記の方法のいずれか1つおよび付帯制限のいずれかに関する。
【0092】
いくつかの実施形態において、本発明は、少なくとも1種の任意選択で精製された逆感熱性ポリマーの多分散指数が約1.5〜約1.0である、上記の方法のいずれか1つおよび付帯制限のいずれかに関する。
【0093】
いくつかの実施形態において、本発明は、少なくとも1種の任意選択で精製された逆感熱性ポリマーの多分散指数が約1.2〜約1.0である、上記の方法のいずれか1つおよび付帯制限のいずれかに関する。
【0094】
いくつかの実施形態において、本発明は、少なくとも1種の任意選択で精製された逆感熱性ポリマーが、ブロックコポリマー、ランダムコポリマー、グラフトポリマー、および分枝状コポリマーからなる群から選択される、上記の方法のいずれか1つおよび付帯制限のいずれかに関する。
【0095】
いくつかの実施形態において、本発明は、少なくとも1種の任意選択で精製された逆感熱性ポリマーがポリオキシアルキレンブロックコポリマーである、上記の方法のいずれか1つおよび付帯制限のいずれかに関する。
【0096】
いくつかの実施形態において、本発明は、少なくとも1種の任意選択で精製された逆感熱性ポリマーが、ポロキサマーおよびポロキサミンからなる群から選択される、上記の方法のいずれか1つおよび付帯制限のいずれかに関する。
【0097】
いくつかの実施形態において、本発明は、少なくとも1種の任意選択で精製された逆感熱性ポリマーが、ポロキサマー407、ポロキサマー288、ポロキサマー188、ポロキサマー338、ポロキサマー118、Tetronic(登録商標)1107、およびTetronic(登録商標)1307からなる群から選択される、上記の方法のいずれか1つおよび付帯制限のいずれかに関する。
【0098】
いくつかの実施形態において、本発明は、少なくとも1種の任意選択で精製された逆感熱性ポリマーがポロキサマー407である、上記の方法のいずれか1つおよび付帯制限のいずれかに関する。
【0099】
いくつかの実施形態において、本発明は、少なくとも1種の任意選択で精製された逆感熱性ポリマーが、精製ポロキサマーおよび精製ポロキサミンからなる群から選択される、上記の方法のいずれか1つおよび付帯制限のいずれかに関する。
【0100】
いくつかの実施形態において、本発明は、少なくとも1種の任意選択で精製された逆感熱性ポリマーが、精製ポロキサマー407、精製ポロキサマー288、精製ポロキサマー188、精製ポロキサマー338、精製ポロキサマー118、精製Tetronic(登録商標)1107、および精製Tetronic(登録商標)1307からなる群から選択される、上記の方法のいずれか1つおよび付帯制限のいずれかに関する。
【0101】
いくつかの実施形態において、本発明は、少なくとも1種の任意選択で精製された逆感熱性ポリマーが精製ポロキサマー407である、上記の方法のいずれか1つおよび付帯制限のいずれかに関する。
【0102】
いくつかの実施形態において、本発明は、粘性ポリマー組成物ゲルが賦形剤を含む、上記の方法のいずれか1つおよび付帯制限のいずれかに関する。
【0103】
いくつかの実施形態において、本発明は、粘性ポリマー組成物ゲルが医薬脂肪酸賦形剤を含む、上記の方法のいずれか1つおよび付帯制限のいずれかに関する。
【0104】
いくつかの実施形態において、本発明は、医薬脂肪酸賦形剤が、オレイン酸ナトリウム、ラウリン酸ナトリウム、またはカプリン酸ナトリウムである、上記の方法のいずれか1つおよび付帯制限のいずれかに関する。
【0105】
いくつかの実施形態において、本発明は、粘性ポリマー組成物ゲルが治療剤を含む、上記の方法のいずれか1つおよび付帯制限のいずれかに関する。
【0106】
いくつかの実施形態において、本発明は、治療剤が、抗炎症薬、抗生物質、抗菌薬、化学療法薬、抗ウイルス薬、鎮痛薬、および抗増殖剤からなる群から選択される、上記の方法のいずれか1つおよび付帯制限のいずれかに関する。
【0107】
いくつかの実施形態において、本発明は、治療剤が抗生物質である、上記の方法のいずれか1つおよび付帯制限のいずれかに関する。
【0108】
いくつかの実施形態において、本発明は、粘性ポリマー組成物ゲルがコントラスト促進剤を含む、上記の方法のいずれかおよび付帯制限のいずれかに関する。
【0109】
いくつかの実施形態において、本発明は、コントラスト促進剤が、放射線不透過性材料、常磁性材料、重原子、遷移金属、ランタニド、アクチニド、染料、および放射性核種含有材料からなる群から選択される、上記の方法のいずれかおよび付帯制限のいずれかに関する。
【0110】
いくつかの実施形態において、本発明は、粘性ポリマー組成物の転移温度が約20℃〜約50℃である、上記の方法のいずれか1つおよび付帯制限のいずれかに関する。
【0111】
いくつかの実施形態において、本発明は、粘性ポリマー組成物の転移温度が約30℃〜約40℃である、上記の方法のいずれか1つおよび付帯制限のいずれかに関する。
【0112】
いくつかの実施形態において、本発明は、生理的温度における粘性ポリマー組成物の体積が、その転移温度未満におけるその体積の約80%〜約120%である、上記の方法のいずれか1つおよび付帯制限のいずれかに関する。
【0113】
いくつかの実施形態において、本発明は、生理的温度における粘性ポリマー組成物の体積が、その転移温度未満におけるその体積の約80%〜約120%であり、かつ粘性ポリマー組成物の転移温度が約20℃〜約50℃である、上記の方法のいずれか1つおよび付帯制限のいずれかに関する。
【0114】
いくつかの実施形態において、本発明は、生理的温度における粘性ポリマー組成物の体積が、その転移温度未満におけるその体積の約80%〜約120%であり、かつ粘性ポリマー組成物の転移温度が約30℃〜約40℃である、上記の方法のいずれか1つおよび付帯制限のいずれかに関する。
【0115】
いくつかの実施形態において、本発明は、生理的温度における粘性ポリマー組成物の体積が、その転移温度未満におけるその体積の約80%〜約120%であり、粘性ポリマー組成物の転移温度が約20℃〜約50℃であり、かつ粘性ポリマー組成物が、ポロキサマーおよびポロキサミンからなる群から選択される少なくとも1種の任意選択で精製された逆感熱性ポリマーを含む、上記の方法のいずれか1つおよび付帯制限のいずれかに関する。
【0116】
いくつかの実施形態において、本発明は、生理的温度における粘性ポリマー組成物の体積が、その転移温度未満におけるその体積の約80%〜約120%であり、粘性ポリマー組成物の転移温度が約30℃〜約40℃であり、かつ粘性ポリマー組成物が、ポロキサマーおよびポロキサミンからなる群から選択される少なくとも1種の任意選択で精製された逆感熱性ポリマーを含む、上記の方法のいずれか1つおよび付帯制限のいずれかに関する。
【0117】
いくつかの実施形態において、本発明は、粘性ポリマー組成物が、アニオン性、カチオン性、または非イオン性架橋性ポリマーを含む、上記の方法のいずれか1つおよび付帯制限のいずれかに関する。
【0118】
いくつかの実施形態において、本発明は、粘性ポリマー組成物が、アルギン酸、アルギン酸ナトリウム、アルギン酸カリウム、ナトリウムジェラン、カリウムジェラン、カルボキシメチルセルロース、ヒアルロン酸、およびポリビニルアルコールからなる群から選択されるポリマーを含む、上記の方法のいずれか1つおよび付帯制限のいずれかに関する。
【0119】
いくつかの実施形態において、本発明は、粘性ポリマー組成物が、ホスフェート、シトレート、ボレート、スクシナート、マレエート、アジペート、オキサレート、カルシウム、マグネシウム、バリウム、またはストロンチウムを含む、上記の方法のいずれか1つおよび付帯制限のいずれかに関する。
【0120】
いくつかの実施形態において、本発明は、粘性ポリマー組成物が、アルギン酸、アルギン酸ナトリウム、アルギン酸カリウム、ナトリウムジェラン、およびカリウムジェランからなる群から選択されるポリマー、ならびにカルシウム、マグネシウム、またはバリウムを含む、上記の方法のいずれか1つおよび付帯制限のいずれかに関する。
【0121】
いくつかの実施形態において、本発明は、粘性ポリマー組成物が、アルギン酸、アルギン酸ナトリウム、およびアルギン酸カリウムからなる群から選択されるポリマー、ならびにカルシウムを含む、上記の方法のいずれか1つおよび付帯制限のいずれかに関する。
【0122】
いくつかの実施形態において、本発明は、粘性ポリマー組成物が、ナトリウムジェランおよびカリウムジェランからなる群から選択されるポリマー、ならびにマグネシウムを含む、上記の方法のいずれか1つおよび付帯制限のいずれかに関する。
【0123】
いくつかの実施形態において、本発明は、粘性ポリマー組成物がヒアルロン酸およびカルシウムを含む、上記の方法のいずれか1つおよび付帯制限のいずれかに関する。
【0124】
いくつかの実施形態において、本発明は、粘性ポリマー組成物がポリビニルアルコールおよびボレートを含む、上記の方法のいずれか1つおよび付帯制限のいずれかに関する。
【0125】
いくつかの実施形態において、本発明は、粘性ポリマー組成物が、コラーゲン、ゼラチン、エラスチン、アルブミン、プロタミン、フィブリン、フィブリノゲン、ケラチン、リーリン、およびカゼインからなる群から選択されるタンパク質を含む、上記の方法のいずれか1つおよび付帯制限のいずれかに関する。
【0126】
いくつかの実施形態において、本発明は、粘性ポリマー組成物がヒアルロン酸またはキトサンを含む、上記の方法のいずれか1つおよび付帯制限のいずれかに関する。
【0127】
いくつかの実施形態において、本発明は、粘性ポリマー組成物が、アルギネート、ペクチン、メチルセルロース、またはカルボキシメチルセルロースを含む、上記の方法のいずれか1つおよび付帯制限のいずれかに関する。
【0128】
いくつかの実施形態において、本発明は、粘性ポリマー組成物が架橋性ポリマーを含む、上記の方法のいずれか1つおよび付帯制限のいずれかに関する。
【0129】
いくつかの実施形態において、本発明は、粘性ポリマー組成物の寿命が約30分である、上記の方法のいずれか1つおよび付帯制限のいずれかに関する。
【0130】
いくつかの実施形態において、本発明は、粘性ポリマー組成物の寿命が約40分である、上記の方法のいずれか1つおよび付帯制限のいずれかに関する。
【0131】
いくつかの実施形態において、本発明は、哺乳類がヒトである、上記の方法のいずれか1つおよび付帯制限のいずれかに関する。
【0132】
いくつかの実施形態において、本発明は、シリンジ、カニューレ、カテーテル、または経皮アクセスデバイスを使用して、粘性ポリマー組成物、第1の組成物、または第2の組成物を導入する、上記の方法のいずれか1つおよび付帯制限のいずれかに関する。
【0133】
いくつかの実施形態において、本発明は、デュアルルーメンカテーテルまたはトリプルルーメンカテーテルを使用して、粘性ポリマー組成物、第1の組成物、または第2の組成物を導入する、上記の方法のいずれか1つおよび付帯制限のいずれかに関する。
【0134】
いくつかの実施形態において、本発明は、カテーテルのサイズが、3〜10フレンチまたは3〜6フレンチである、上記の方法のいずれか1つおよび付帯制限のいずれかに関する。
【0135】
いくつかの実施形態において、本発明は、カテーテルを使用して、ポリマー溶液以外の1種もしくは複数の流体、またはポリマー溶液に加えて1種もしくは複数の流体を調合することができる、上記の方法のいずれか1つおよび付帯制限のいずれかに関する。例えば、カテーテルは、ポリマー溶液の送達用のルーメン、造影剤溶液など他の流体の送達用のルーメンを有するマルチルーメンカテーテルとすることができる。
【0136】
いくつかの実施形態において、本発明は、シリンジを使用して、粘性ポリマー組成物、第1の組成物、または第2の組成物を導入する、上記の方法のいずれか1つおよび付帯制限のいずれかに関する。
【0137】
いくつかの実施形態において、本発明は、ポリマー溶液を体内に注入するために使用するシリンジが、1〜100ccのシリンジ、1〜50ccのシリンジ、または1〜5ccのシリンジであり得る、上記の方法のいずれか1つおよび付帯制限のいずれかに関する。シリンジへの加圧は、手動または自動シリンジプッシャーで行うことができる。
【0138】
いくつかの実施形態において、本発明は、粘性ポリマー組成物、第1の組成物、または第2の組成物を、導入前に約15℃に冷却する、上記の方法のいずれか1つおよび付帯制限のいずれかに関する。
【0139】
いくつかの実施形態において、本発明は、粘性ポリマー組成物、第1の組成物、または第2の組成物を、導入前に約10℃に冷却する、上記の方法のいずれか1つおよび付帯制限のいずれかに関する。
【0140】
いくつかの実施形態において、本発明は、粘性ポリマー組成物、第1の組成物、または第2の組成物を、導入前に約5℃に冷却する、上記の方法のいずれか1つおよび付帯制限のいずれかに関する。
【0141】
いくつかの実施形態において、本発明は、粘性ポリマー組成物、第1の組成物、または第2の組成物を、導入前に約0℃に冷却する、上記の方法のいずれか1つおよび付帯制限のいずれかに関する。
【0142】
いくつかの実施形態において、本発明は、粘性ポリマー組成物、第1の組成物、または第2の組成物を、導入前に氷、水、またはコールドパックで冷却する、上記の方法のいずれか1つおよび付帯制限のいずれかに関する。
【0143】
いくつかの実施形態において、本発明は、ポリマープラグの溶解を助けるために生理食塩水を導入するステップをさらに含む、上記の方法のいずれか1つおよび付帯制限のいずれかに関する。
【0144】
いくつかの実施形態において、本発明は、部位を冷却するステップをさらに含む、上記の方法のいずれか1つおよび付帯制限のいずれかに関する。
【0145】
キット
本発明は、本発明の方法を好都合にかつ効果的に実施するためのキットも提供する。このようなキットは、本発明のポリマーのいずれかまたはその組合せ、および本発明の方法と両立してそれらの使用を容易にする手段を含む。このようなキットには、氷、コールドパック、または他の冷却手段も含めることができる。このようなキットは、本方法が効果的に実施されることを保証する好都合でかつ効果的な手段を提供する。このようなキットの順守手段は、本発明の方法の実施を容易にする任意の手段を含む。このような順守手段には、指示書、パッケージング、および調合手段、ならびにそれらの組合せが含まれる。キット構成要素は、上述の方法の手動、または一部自動もしくは全自動での実施用に包装することができる。他の実施形態において、本発明は、本発明のブロックコポリマー、および場合によってはそれを使用するための指示書を含むキットを企図する。いくつかの実施形態において、本発明のこのようなキットの逆感熱性コポリマーは、1個または複数のシリンジに入れてある。
【0146】
いくつかの実施形態において、本発明は、本発明の方法を好都合でかつ効果的に実施するためのキットであって、それを使用するための指示書、およびある体積の組成物を含む第1の容器を含み、組成物は、哺乳類の生理的温度で粘性ポリマー組成物を形成するキットに関する。いくつかの実施形態において、本発明は、コールドパックをさらに含む、上記のキットおよび付帯制限のいずれかに関する。いくつかの実施形態において、本発明は、シリンジまたはカニューレをさらに含む、上記のキットおよび付帯制限のいずれかに関する。いくつかの実施形態において、本発明は、粘性ポリマー組成物が、上述するものなど少なくとも1種の任意選択で精製された逆感熱性ポリマーを含む、上記のキットおよび付帯制限のいずれかに関する。
【実施例】
【0147】
本発明を全体的に説明してきたが、次の実施例を参照すると、さらに容易に理解することができるが、実施例は、本発明のいくつかの態様および実施形態を例示するために記載されているものにすぎず、本発明を限定するものではない。見出しはすべて、読者の便宜のためのものであり、見出しに続く本文の意味を限定する指定のない限り、そのように使用すべきでない。
【0148】
実施例1
20%水性のLeGoo(商標)(ポロキサマー407)を使用して、それぞれ体重約30キログラムのブタ1〜3の大腿動脈を閉鎖した。
【0149】
実験1−−ブタ1の左大腿動脈
8フレンチイントロデューサを取り除くと、拍動性出血が観察された。血の柱が脚から約4cm上がった。シリンジのノーズ部のみを使用して、3mLのLeGoo(商標)を(室温)注入した。出血は即座に止まり、創傷は、動物が屠殺されるまで0.75時間閉鎖したままだった。
【0150】
実験2−−ブタ2の右大腿動脈
8フレンチイントロデューサを取り除くと、拍動性出血が観察された。血液が、鼠径部領域において急速に湧出した(2秒で約10mL)。16ゲージカニューレを使用して、3mLのLeGoo(商標)を(室温)注入した。出血は数秒以内に止まり、創傷は、動物が屠殺されるまで1.5時間閉鎖したままだった。
【0151】
実験3−−ブタ3の左大腿動脈
10フレンチイントロデューサを取り除くと、拍動性出血が観察された。血液が、鼠径部領域において非常に急速に湧出した(ブタ2より速い)。16ゲージカニューレを使用して、6mLのLeGoo(商標)を(室温)注入した。出血は数秒以内に止まり、創傷は、動物が屠殺されるまで0.5時間閉鎖したままだった。
【0152】
より長い期間の効果を調査し、かつプラグが組織で溶解した後、閉鎖が鎮静することを検証するための、上述する実験と同様のさらなる実験を以下に記載する。
【0153】
実施例2
診査方法
2匹の雌ブタの大腿動脈および頚動脈について、7つの実験を行った。ブタ4の体重は34kgであり、ブタ5の体重は27kgであった。Montreal Heart Institute動物実験委員会プロトコルに従って、動物に、2部の空気:1部のO(4:2)を含む2〜3%のイソフルランで麻酔をかけた。
【0154】
大腿動脈および頚動脈への投与は、両側の動脈への6フレンチイントロデューサシースの通常の経皮挿入を行って得られた。導入については、8ccのケタミン(100mg/mL)に0.88ccのキシラジン(100mg/mL)を加えたものを筋肉内に送達した。左頚動脈にカテーテル挿入して、蛍光透視下に造影剤を使用して閉鎖部位を可視化した。カテーテルは、頚動脈を経て6フレンチに通して挿入し、それぞれの側の腸骨動脈に下行した。逆感熱性ポリマー溶液を動脈切開部位に送達する2つの方法を使用した。
【0155】
方法1
イントロデューサシースを取り除いたとき動脈へのアクセスを維持するように、0.018ガイドワイヤーをイントロデューサシースに通して挿入した。「ロケーター」シースを動脈切開の深度を位置決めするためワイヤで導入した。次いで、「送達」シースを、ロケーターシースで特定した深度に導入した。次いで、動脈切開部位の上に逆感熱性ポリマー溶液を配置する前に、ガイドワイヤーを取り除いた。
【0156】
方法2
3ccのシリンジを6フレンチの拡張器に接続した。拡張器をイントロデューサシースに通して遠位端に挿入した。次いで、拡張器を介して逆感熱性ポリマー溶液を配置する前に、イントロデューサシースを動脈切開より2〜4mm上に引いた。
【0157】
逆感熱性ポリマー溶液を配置した後、止血を評価する前に動脈を指で圧迫した。頚動脈カテーテルを介して、造影剤を蛍光透視下に注入して、配置後の血管開存性を評価した。蛍光透視を使用して、血管開存に沿って各動物の評価部位を、処置後90分間までまたは動物屠殺もしくは実験終了まで観察した。
【0158】
試験の終了時に、Montreal Heart Institute動物実験委員会プロトコルに従って、2部の空気:1部のO(4:2)を含む5%のイソフルランに、0.7mEq/kgで静脈内に送達された10mLのKCl 2mEq/mLを加えたもので、動物を安楽死させた。
【0159】
実験4−−ブタ4の右大腿動脈
0.2ccの20%ポロキサマー407水溶液を、配置する約5分前まで冷蔵によって冷却した。「ロケーター」シースおよび「送達」シース方法(方法#1)を使用した。
【0160】
動脈切開の位置決めには、かなり厳密な操作を5分間要した。アクセストラックを約8〜10フレンチに拡張して、「ロケーター」シースを収容した。逆感熱性ポリマー溶液を配置し、指による圧迫を40秒間維持した。挿入部位の出血がないことによってわかるように、止血が即座に実現した。著しい操作にもかかわらず、鼠径部において眼に見える血腫または腫脹はなかった。動脈は、動脈切開部位で不規則な形状をしているように見えたが、蛍光透視によって、逆感熱性ポリマー溶液の配置後に、おそらく6フレンチシースのサイズに比べて血管のサイズに関連して、開存血管が確認された。蛍光透視像は動脈切開の位置決めより前にも逆感熱性ポリマー溶液の配置より前にも得られていなかったので、この仮説を確認することはできなかった。これは、後の実験で修正された。
【0161】
配置後60分に、挿入部位の止血は継続し、動脈は不規則な形状のままであったが、蛍光透視によって、動脈の開存が確認された。90分に、止血は継続した。
【0162】
実験5−−ブタ4の左大腿動脈
イオヘキソール造影剤を添加した0.2ccの20%ポロキサマー407水溶液を、配置する約5分前まで冷蔵によって冷却した。「ロケーター」シースおよび「送達」シース方法(方法#1)を使用した。
【0163】
動脈切開の位置決めは、この場合も著しい操作を要し、「ロケーターシース」は、約8〜10フレンチのトラック直径を生じた。ロケーターシースを挿入した後ではあるが逆感熱性ポリマー溶液を配置する前に撮影した蛍光透視像は、ロケーターシースの遠位にある流動がないことを明らかにした。逆感熱性ポリマー溶液を配置し、指による圧迫を35〜40秒間維持した。挿入部位の止血は、圧迫直後に実現し、鼠径部腫脹または血腫の徴候はなかった。イオヘキソールを添加したにもかかわらず、蛍光透視によって逆感熱性ポリマー溶液を検出することはできなかった。蛍光透視によって、配置後に動脈を通る流動はないことが明らかになった。30分後、止血は継続し、血腫の徴候は存在せず、動脈の閉塞は続いた。
【0164】
次いで、実験を終了し、切開を行って、閉塞の原因を評価した。切開によって、得られたポリマープラグは依然として無傷であり、トラックにおける動脈より約1cm上に位置することが明らかになった。これは、逆感熱性ポリマー溶液が、おそらく動脈に直接配置されなかったことを示唆する。動脈は、かなり押しつぶされ、完全に血栓形成していることが分かった。この閉塞は、原因は不明であるが、潜在的に動脈攣縮と関係付けられた。次いで、創傷を縫合し、動物をその後の実験のために調製した。
【0165】
実験6−−ブタ4の左頚動脈
20%水性ポロキサマー407を使用した。動脈切開部位における血管への外傷を回避するために、シリンジ−シーズ送達システム(方法#2)を使用した。このシステムは、外傷性がより低いものの、逆感熱性ポリマー溶液を動脈切開部位の真上に送達する際に正確性もより低い。逆感熱性ポリマー溶液を配置し、続いて指による圧迫を25秒間行った。一様であるが加圧されていない「トラック滲出」が続いて起こるので、止血は即座には実現しなかった。圧迫をさらに20秒継続すると、止血が起こった。配置直後の蛍光透視によって、潜在的に痙攣、または血管中の逆感熱性ポリマー溶液の存在により閉塞した頚動脈が明らかになった。30分後、蛍光透視によって、部分開存血管が明らかになり、配置後40分に、蛍光透視によって、完全開存血管が明らかになった。挿入部位の止血は、50分後、動物屠殺まで(次の実験後)継続した。
【0166】
実験7−−ブタ4の右頚動脈
20%水性ポロキサマー407を使用した。より正確な送達位置決めを実現するために、「ロケーター」シースおよび「送達」シースを、再び利用した。動脈切開を位置決めには、このシステムの前の使用に比べて著しく少ない操作を要した。蛍光透視によって、位置決め後および配置前に開存頚動脈が明らかになった。逆感熱性ポリマー溶液を配置し、続いて指による圧迫を20秒間行った。血腫の徴候がなく、止血は即座に実現した。配置直後の蛍光透視によって、開存頚動脈が明らかになった。30分に、蛍光透視によって、開存性および挿入部位の止血は、動物が屠殺されるまで継続していることを確認した。
【0167】
実験8−−ブタ5の左大腿動脈
20%水性ポロキサマー407を使用した。「ロケーター」シースおよび「送達」シースを、この場合も利用した。
【0168】
頚動脈カテーテルを介して、造影剤を注入すると、6フレンチイントロデューサシース留置前に完全開存大腿動脈が明らかになった。イントロデューサシースを留置した後、頚動脈カテーテルを介した造影剤の2回目の注入を行うと、おそらくイントロデューサシースの存在および比較的小さい直径の血管のため、シースの遠位にある大腿動脈を通る流動がないことが明らかになった。6フレンチイントロデューサシースを(0.18ワイヤのみを適切な位置に残して)取り除いた後、頚動脈カテーテルを介した造影剤の3回目の注入を行うと、完全開存大腿動脈が明らかになった。動脈切開の位置決めを容易に行い、頚動脈カテーテルを介した4回目の注入を繰り返して、完全開存大腿動脈を明らかにした(痙攣なし)。
【0169】
次いで、逆感熱性ポリマー溶液を配置した。20秒圧迫した後、挿入部位において、止血は即座に実現した。少量のトラック滲出が約2秒間継続した。配置した直後、蛍光透視下に頚動脈カテーテルを介した造影剤の注入によって、完全開存血管が明らかになった。挿入部位の止血は、動物が屠殺されるまで(実験9および10の後)70分間にわたって継続した。
【0170】
実験9−−ブタ5の右大腿動脈
20%水性ポロキサマー407を使用した。「ロケーター」シースおよび「送達」シースを、この場合も利用した。
【0171】
頚動脈カテーテルを介して、造影剤を注入すると、6フレンチイントロデューサシース留置前に完全開存大腿動脈が明らかになった。イントロデューサシースを留置した後、頚動脈カテーテルを介した造影剤の2回目の注入を行うと、おそらくイントロデューサシースの存在および比較的小さい直径の血管のため、シースの遠位にある大腿動脈を通る流動がないことが明らかになった。6フレンチイントロデューサシースを(0.18ワイヤのみを適切な位置に残して)取り除いた後、頚動脈カテーテルを介した造影剤の3回目の注入を行うと、完全開存大腿動脈が明らかになった。動脈切開の位置決めを容易に行い、頚動脈カテーテルを介した4回目の注入を繰り返して、完全開存大腿動脈を明らかにした(痙攣なし)。
【0172】
より大きい体積(0.3cc)の逆感熱性ポリマー溶液を配置する最初の試みは、「送達」シースシステムで行われた改変のため失敗した。圧迫を約2分間保持しながら、追加の「送達」シースに0.2ccの逆感熱性ポリマー溶液を加えた。頚動脈カテーテルを介して、造影剤を注入して、大腿動脈が、圧迫および時の経過後でさえ依然として開存していることを確認した。手による圧迫を解放すると、その部位で出血が顕著であり、圧迫は配置の前に止血を引き起こさなかったことが実証された。逆感熱性ポリマー溶液を配置した。20秒圧迫した後、挿入部位において、止血は即座に実現した。やはり、この場合も、少量のトラック滲出が約2秒間継続した。配置直後に、蛍光透視によって、動脈切開部位の開存大腿動脈が明らかになり、動脈切開の遠位にある流動がわずかに遅くなった。これは、おそらく第1の配置に失敗した後、圧迫を拡大したためであった。挿入部位の止血は、動物が屠殺されるまで56分間継続した。
【0173】
実験10−−ブタ5の左大腿動脈再アクセス
20%水性のポロキサマー407を氷浴から引き出した直後に使用した。シリンジ−シースシステム送達方法(方法#2)を使用した。
【0174】
左大腿動脈に再アクセスした。配置時の逆感熱性ポリマー溶液の温度(ひいては粘度)の変動に起因する性能の変化を調査する試みとして、依然として液体の形のまま、逆感熱性ポリマー溶液を氷浴から取り出した直後に配置した。これは、「ロケーター」シースおよび「送達」シースシステムが気密ではなく、液体ポリマーを入れることができなかったので、シリンジ−シースシステムの使用が必要であった。1.5ccの逆感熱性ポリマー溶液を配置し、圧迫を20秒間保持した。一様に出血が見られ、続いて圧迫をさらに30秒行った。次いで、止血が行われた。軽度の血腫が存在した。蛍光透視によって、血管が閉塞されていることがわかった。30分後、蛍光透視によって、血管が部分的に再び開いていることを確認し、そのとき、時間の制約のため、動物が屠殺された。
【0175】
均等形態
当業者は、通常の実験を使用して、本明細書に記載する本発明の特定の実施形態の多くの均等形態を認識し、または確認することができるであろう。したがって、上述の実施形態は例として記載されているにすぎず、添付の特許請求の範囲およびその均等形態の範囲内で、本発明を具体的に記載および特許請求したものとは異なって実施できることを理解されるべきである。
【0176】
参照組み込み
本明細書に引用したすべての米国特許および米国特許出願は、参照により本明細書に組み込まれる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
哺乳類のある部位における生体液流動を現場形成ポリマープラグの使用により制御する方法であって、
粘性ポリマー組成物が体温で凝固することができ、それによってポリマープラグが現場で形成されるステップ
を含むことを特徴とする方法。
【請求項2】
前記粘性ポリマー組成物を直接前記部位に注入するステップ
をさらに含むことを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
温度変化、pH変化、またはイオン相互作用によって、ポリマープラグが現場で生成することを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
第1の組成物を哺乳類の前記部位に直接注入するステップと、
第2の組成物を哺乳類の前記部位に直接注入するステップと
をさらに含み、前記第1の組成物は前記第2の組成物と接触し、それによって前記粘性ポリマー組成物が現場で形成されることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記第1の組成物および前記第2の組成物を別々に注入することを特徴とする、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記第1の組成物および前記第2の組成物を同時に注入することを特徴とする、請求項4に記載の方法。
【請求項7】
前記方法が、カテーテル挿入処置後に出血を制御し、腰椎穿刺後に脳脊髄液の漏出を制御し、瘻孔を塞ぎ、またはリンパ節郭清後に漿液の流動を制御することを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記方法が、カテーテル挿入処置後に出血を制御し、かつ前記部位が、カテーテル挿入によって生じるルーメンの穿刺部位であることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記方法が、腰椎穿刺後に脳脊髄液の漏出を制御し、かつ前記部位が、腰椎穿刺によって生じるルーメンの穿刺部位であることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記方法が瘻孔を塞ぎ、かつ前記部位が、上皮で裏打ちされた通常は結合していない2つの器官または血管の間の異常な結合または通路であることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記方法が、リンパ節郭清後に漿液の流動を制御し、かつ前記部位が、リンパ節郭清によって生じる空隙であることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
前記粘性ポリマー組成物の体積が約1〜25mLであることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
前記粘性ポリマー組成物の体積が約1〜10mLであることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項14】
前記粘性ポリマー組成物が、約30秒にわたって導入されることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項15】
前記粘性ポリマー組成物が、約20秒にわたって導入されることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項16】
前記粘性ポリマー組成物が、約10秒にわたって導入されることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項17】
前記粘性ポリマー組成物が、哺乳類の生理的温度において固体であることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項18】
前記粘性ポリマー組成物が、少なくとも1種の任意選択で精製された逆感熱性ポリマーを含むことを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項19】
前記粘性ポリマー組成物が、約5%〜約35%の逆感熱性ポリマーを含むことを特徴とする、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記粘性ポリマー組成物が、約10%〜約30%の逆感熱性ポリマーを含むことを特徴とする、請求項18に記載の方法。
【請求項21】
前記粘性ポリマー組成物が、約20%の逆感熱性ポリマーを含むことを特徴とする、請求項18に記載の方法。
【請求項22】
少なくとも1種の任意選択で精製された逆感熱性ポリマーの多分散指数が約1.5〜約1.0であることを特徴とする、請求項18に記載の方法。
【請求項23】
少なくとも1種の任意選択で精製された逆感熱性ポリマーの多分散指数が約1.2〜約1.0であることを特徴とする、請求項18に記載の方法。
【請求項24】
少なくとも1種の任意選択で精製された逆感熱性ポリマーが、ブロックコポリマー、ランダムコポリマー、グラフトポリマー、および分枝状コポリマーからなる群から選択されることを特徴とする、請求項18に記載の方法。
【請求項25】
少なくとも1種の任意選択で精製された逆感熱性ポリマーが、ポリオキシアルキレンブロックコポリマーであることを特徴とする、請求項18に記載の方法。
【請求項26】
少なくとも1種の任意選択で精製された逆感熱性ポリマーが、ポロキサマーおよびポロキサミンからなる群から選択されることを特徴とする、請求項18に記載の方法。
【請求項27】
少なくとも1種の任意選択で精製された逆感熱性ポリマーが、ポロキサマー407、ポロキサマー288、ポロキサマー188、ポロキサマー338、ポロキサマー118、Tetronic(登録商標)1107、およびTetronic(登録商標)1307からなる群から選択されることを特徴とする、請求項18に記載の方法。
【請求項28】
少なくとも1種の任意選択で精製された逆感熱性ポリマーが、ポロキサマー407であることを特徴とする、請求項18に記載の方法。
【請求項29】
少なくとも1種の任意選択で精製された逆感熱性ポリマーが、精製ポロキサマーおよび精製ポロキサミンからなる群から選択されることを特徴とする、請求項18に記載の方法。
【請求項30】
少なくとも1種の任意選択で精製された逆感熱性ポリマーが、精製ポロキサマー407、精製ポロキサマー288、精製ポロキサマー188、精製ポロキサマー338、精製ポロキサマー118、精製Tetronic(登録商標)1107、および精製Tetronic(登録商標)1307からなる群から選択されることを特徴とする、請求項18に記載の方法。
【請求項31】
少なくとも1種の任意選択で精製された逆感熱性ポリマーが、精製ポロキサマー407であることを特徴とする、請求項18に記載の方法。
【請求項32】
前記粘性ポリマー組成物ゲルが賦形剤を含むことを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項33】
前記粘性ポリマー組成物ゲルが、医薬脂肪酸賦形剤を含むことを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項34】
前記医薬脂肪酸賦形剤が、オレイン酸ナトリウム、ラウリン酸ナトリウム、またはカプリン酸ナトリウムであることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項35】
前記粘性ポリマー組成物ゲルが治療剤を含むことを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項36】
前記治療剤が、抗炎症薬、抗生物質、抗菌薬、化学療法薬、抗ウイルス薬、鎮痛薬、および抗増殖剤からなる群から選択されることを特徴とする、請求項35に記載の方法。
【請求項37】
前記治療剤が抗生物質であることを特徴とする、請求項35に記載の方法。
【請求項38】
前記粘性ポリマー組成物ゲルがコントラスト促進剤を含むことを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項39】
前記コントラスト促進剤が、放射線不透過性材料、常磁性材料、重原子、遷移金属、ランタニド、アクチニド、染料、および放射性核種含有材料からなる群から選択されることを特徴とする、請求項38に記載の方法。
【請求項40】
前記粘性ポリマー組成物の転移温度が約20℃〜約50℃であることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項41】
前記粘性ポリマー組成物の転移温度が約30℃〜約40℃であることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項42】
生理的温度における前記粘性ポリマー組成物の体積が、その転移温度未満におけるその体積の約80%〜約120%であることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項43】
生理的温度における前記粘性ポリマー組成物の体積が、その転移温度未満におけるその体積の約80%〜約120%であり、かつ前記粘性ポリマー組成物の転移温度が約20℃〜約50℃であることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項44】
生理的温度における前記粘性ポリマー組成物の体積が、その転移温度未満におけるその体積の約80%〜約120%であり、かつ前記粘性ポリマー組成物の転移温度が約30℃〜約40℃であることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項45】
生理的温度における前記粘性ポリマー組成物の体積が、その転移温度未満におけるその体積の約80%〜約120%であり、前記粘性ポリマー組成物の転移温度が約20℃〜約50℃であり、かつ前記粘性ポリマー組成物が、ポロキサマーおよびポロキサミンからなる群から選択される少なくとも1種の任意選択で精製された逆感熱性ポリマーを含むことを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項46】
生理的温度における前記粘性ポリマー組成物の体積が、その転移温度未満におけるその体積の約80%〜約120%であり、前記粘性ポリマー組成物の転移温度が約30℃〜約40℃であり、かつ前記粘性ポリマー組成物が、ポロキサマーおよびポロキサミンからなる群から選択される少なくとも1種の任意選択で精製された逆感熱性ポリマーを含むことを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項47】
前記粘性ポリマー組成物が、アニオン性、カチオン性、または非イオン性架橋性ポリマーを含むことを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項48】
前記粘性ポリマー組成物が、アルギン酸、アルギン酸ナトリウム、アルギン酸カリウム、ナトリウムジェラン、カリウムジェラン、カルボキシメチルセルロース、ヒアルロン酸、およびポリビニルアルコールからなる群から選択されるポリマーを含むことを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項49】
前記粘性ポリマー組成物が、ホスフェート、シトレート、ボレート、スクシナート、マレエート、アジペート、オキサレート、カルシウム、マグネシウム、バリウム、またはストロンチウムを含むことを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項50】
前記粘性ポリマー組成物が、アルギン酸、アルギン酸ナトリウム、アルギン酸カリウム、ナトリウムジェラン、およびカリウムジェランからなる群から選択されるポリマー、ならびにカルシウム、マグネシウム、またはバリウムを含むことを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項51】
前記粘性ポリマー組成物が、アルギン酸、アルギン酸ナトリウム、およびアルギン酸カリウムからなる群から選択されるポリマー、ならびにカルシウムを含むことを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項52】
前記粘性ポリマー組成物が、ナトリウムジェランおよびカリウムジェランからなる群から選択されるポリマー、ならびにマグネシウムを含むことを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項53】
前記粘性ポリマー組成物が、ヒアルロン酸およびカルシウムを含むことを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項54】
前記粘性ポリマー組成物が、ポリビニルアルコールおよびボレートを含むことを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項55】
前記粘性ポリマー組成物が、コラーゲン、ゼラチン、エラスチン、アルブミン、プロタミン、フィブリン、フィブリノゲン、ケラチン、リーリン、およびカゼインからなる群から選択されるタンパク質を含むことを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項56】
前記粘性ポリマー組成物が、ヒアルロン酸またはキトサンを含むことを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項57】
前記粘性ポリマー組成物が、アルギネート、ペクチン、メチルセルロース、またはカルボキシメチルセルロースを含むことを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項58】
前記粘性ポリマー組成物が架橋性ポリマーを含むことを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項59】
前記粘性ポリマー組成物の寿命が約30分であることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項60】
前記粘性ポリマー組成物の寿命が約40分であることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項61】
前記哺乳類がヒトであることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項62】
シリンジ、カニューレ、カテーテル、または経皮挿入デバイスを使用して、前記粘性ポリマー組成物、前記第1の組成物、または前記第2の組成物を導入することを特徴とする、請求項1または4に記載の方法。
【請求項63】
デュアルルーメンカテーテルまたはトリプルルーメンカテーテルを使用して、前記粘性ポリマー組成物、前記第1の組成物、または前記第2の組成物を導入することを特徴とする、請求項62に記載の方法。
【請求項64】
前記カテーテルのサイズが、3−10フレンチまたは3−6フレンチであることを特徴とする、請求項63に記載の方法。
【請求項65】
前記カテーテルを使用して、ポリマー溶液以外の1種もしくは複数の流体、またはポリマー溶液に加えて1種もしくは複数の流体を調合することができることを特徴とする、請求項63に記載の方法。
【請求項66】
シリンジを使用して、前記粘性ポリマー組成物、前記第1の組成物、または前記第2の組成物を導入することを特徴とする、請求項1または4に記載の方法。
【請求項67】
前記ポリマー溶液を体内に注入するために使用するシリンジが、1〜100ccのシリンジ、1〜50ccのシリンジ、または1〜5ccのシリンジであり得ることを特徴とする、請求項66に記載の方法。
【請求項68】
前記粘性ポリマー組成物、前記第1の組成物、または前記第2の組成物を、導入前に約15℃に冷却することを特徴とする、請求項1または4に記載の方法。
【請求項69】
前記粘性ポリマー組成物、前記第1の組成物、または前記第2の組成物を、導入前に約10℃に冷却することを特徴とする、請求項1または4に記載の方法。
【請求項70】
前記粘性ポリマー組成物、前記第1の組成物、または前記第2の組成物を、導入前に約5℃に冷却することを特徴とする、請求項1または4に記載の方法。
【請求項71】
前記粘性ポリマー組成物、前記第1の組成物、または前記第2の組成物を、導入前に約0℃に冷却することを特徴とする、請求項1または4に記載の方法。
【請求項72】
前記粘性ポリマー組成物、前記第1の組成物、または前記第2の組成物を、導入前に氷、水、またはコールドパックで冷却することを特徴とする、請求項1または4に記載の方法。
【請求項73】
ポリマープラグの溶解を助けるために生理食塩水を導入するステップをさらに含むことを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項74】
前記部位を冷却するステップをさらに含むことを特徴とする、請求項1に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2010−518990(P2010−518990A)
【公表日】平成22年6月3日(2010.6.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−551026(P2009−551026)
【出願日】平成20年2月22日(2008.2.22)
【国際出願番号】PCT/US2008/054694
【国際公開番号】WO2008/103891
【国際公開日】平成20年8月28日(2008.8.28)
【出願人】(506128226)プルーロームド インコーポレイテッド (8)
【氏名又は名称原語表記】PLUROMED, INC.
【Fターム(参考)】