説明

医療器具用容器

【課題】 医療器具の長尺部分を巻回した状態で医療器具の保管および搬送が可能であり、しかも医療器具を取り出す際に医療器具が不潔部分に接触するおそれが少ない医療器具用容器を提供すること。
【解決手段】 ハンドル部8と、当該ハンドル部8に接続される長尺部分10とを有する医療器具6を収容するための医療器具用容器2である。この容器2は、下ケース20と上ケース30とを有し、下ケース20には、ハンドル部8が収容されるハンドル部用凹部22が形成してあると共に、長尺部分10が少なくとも半周以上巻回して収容される巻回用凹部24が形成してある。上ケース30には、巻回用凹部24における外周部の少なくとも1/4周以上を覆う巻回蓋部34が形成してあり、しかも、下ケース20に対して上ケース30を取り付けるための接合部36a,36bが巻回蓋部34の外周側に形成してある。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、長尺部分を有する医療器具を収容するための医療器具用容器に係り、さらに詳しくは、医療器具を取り出す際に医療器具が不潔部分に接触するおそれが少ない医療器具用容器に関する。
【背景技術】
【0002】
カテーテルのように長くて弾力性のある医療器具を商品として販売する場合には、カテーテルを医療器具用容器に入れて発送する。従来の医療器具用容器としては、下記の特許文献1にも示すように、カテーテルを巻いた状態で収容する下ケースと、下ケースの上面全体を覆うように着脱自在に取り付けられる上ケース蓋とを有するものが知られている。
【0003】
従来の医療器具用容器において、カテーテルを取り出すときには、下ケースから上ケース蓋を取り外してから、ハンドル部分を手にとってカテーテルを取り出す。カテーテルを取り出す前には、カテーテルの長尺部分が下ケースの凹部に巻かれた状態であり、ハンドル部を下ケースから引き上げると、弾力性を有するカテーテルの長尺部分が収容する前の真っ直ぐな形状に戻ろうとする。
【0004】
このために、カテーテルを取り出すときに、長尺部分が下ケースから跳ね上がることがある。そのため、カテーテルの長尺部分や、その長尺部分の先端に装着してある処置具部分などが、床や壁などの不潔な部分に触れてしまうことがあり、その場合には、そのカテーテルを使用することができなくなることもある。
【0005】
【特許文献1】特開2002−68309号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、このような実状に鑑みてなされ、その目的は、医療器具の長尺部分を巻回した状態で医療器具の保管および搬送が可能であり、しかも医療器具を取り出す際に医療器具が不潔部分に接触するおそれが少ない医療器具用容器を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明に係る医療器具用容器は、
ハンドル部と、当該ハンドル部に接続される長尺部分とを有する医療器具を収容するための医療器具用容器であって、
第1ケースと第2ケースとを有し、
前記第1ケースには、
前記ハンドル部が収容されるハンドル部用凹部が形成してあると共に、
前記長尺部分が少なくとも半周以上巻回して収容される巻回用凹部が形成してあり、
前記第2ケースには、
前記巻回用凹部における外周部の少なくとも一部を覆う巻回蓋部が形成してあり、
しかも、前記第1ケースに対して前記第2ケースを取り付けるための接合部が前記巻回蓋部の外周側に形成してある。
【0008】
本発明に係る医療器具用容器では、医療器具を取り出す際に、第1ケースに対して第2ケースを取り外すことなく、医療器具のハンドル部を第1ケースから取り出すのみで良い。医療器具のハンドル部を第1ケースから取り出すと、巻回用凹部に収容してある医療器具の長尺部分は、ハンドル部に近い側から、巻回用凹部の内周側に位置する第1ケースと第2ケースとの隙間を押し広げて少しずつ取り出され、最後に、長尺部分の先端が取り出される。すなわち、巻回用凹部の内周側に位置する第1ケースと第2ケースとの隙間を押し広げて少しずつ取り出される部分以外で巻回用凹部に位置する長尺部分は、第1ケースと第2ケースとに挟まれることで跳ね上がりが制限される。
【0009】
そのため、従来の医療器具用容器とは異なり、ハンドル部を手にとって長尺状の医療器具を片手で取り出す際にも、長尺部分が第1ケースから跳ね上がることがない。そのため、カテーテルの長尺部分や、その長尺部分の先端に装着してある処置具部分などが、床や壁などの不潔な部分に触れてしまうことも無い。
【0010】
好ましくは、前記第1ケースにおける前記巻回用凹部の底部には、巻回された前記長尺部分の内周側に位置する第1凸部が形成してあり、
前記第2ケースにおける巻回蓋部には、前記第1凸部に向けて突出する第2凸部が形成してある。
【0011】
このような構成にすることで、医療器具のハンドル部を第1ケースから取り出す際に、巻回用凹部に収容してある医療器具の長尺部分は、ハンドル部に近い側から、巻回用凹部の内周側に位置する第1凸部と第2凸部との隙間を押し広げて少しずつ取り出される。
【0012】
好ましくは、周方向に沿って前記ハンドル部用凹部に近い側の前記第2凸部の端部には、テーパ部が形成してある。このような構成にすることで、医療器具のハンドル部を第1ケースから取り出す際に、巻回用凹部に収容してある医療器具の長尺部分は、ハンドル部に近い側から、巻回用凹部の内周側に位置する第1凸部と第2凸部との隙間を押し広げ易くなる。また、長尺部分がテーパ部に接触することで、長尺部分が無理に折り曲げられることを防止することができ、長尺部分をスムーズに取り出すことが可能になる。
【0013】
好ましくは、前記巻回用凹部における外周側壁には、当該巻回用凹部の底部に向けて突出高さが小さくなる抜け止め用凸部が形成してある。このような構成にすることで、医療器具の長尺部分が、それ自身の弾力性により巻き解されようとしたとしても、抜け止め用凸部に引っかかり、何ら外力が作用しない状態では、巻回された長尺部分が巻回用凹部から飛び出すことを防止する。
【0014】
好ましくは、前記第1ケースに対して前記第2ケースを着脱自在に取り付けるための接合部が前記巻回蓋部の外周側に少なくとも二以上で形成してあり、
前記ハンドル部用凹部に最も近い前記接合部が、その他の接合部に比較して外れやすく構成してある。
【0015】
このような構成にすることで、片手でハンドル部を第1ケースから引き出すことで、巻回用凹部に収容してある医療器具の長尺部分が、ハンドル部に近い側から、巻回用凹部の内周側に位置する第1ケースと第2ケースとの隙間を押し広げ易くなる。
【0016】
好ましくは、前記第2ケースは、前記ハンドル部用凹部を覆わないように構成してある。このような構成にすることで、片手でハンドル部を第1ケースから引き出す作業が容易になる。
【0017】
好ましくは、前記長尺部分の先端には、医療用処置具が具備してあり、前記第1ケースには、前記医療用処置具を収容する処置具用凹部が形成してあり、
前記第2ケースには、前記処置具用凹部を覆う処置具蓋部が前記巻回蓋部に連続して形成してある。このような構成にすることで、長尺部分の先端に装着してある医療用処置具の部分が、第1ケースと第2ケースとに囲まれて保護される。
【0018】
好ましくは第1ケースおよび第2ケースは、柔軟性および/または弾力性を有するプラスチックで構成される。医療器具のハンドル部を引き出して長尺部分を取り出す際に、巻回用凹部の内周側に位置する第1ケースと第2ケースとの隙間を押し広げ易くするためである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、本発明を、図面に示す実施形態に基づき説明する。
【0020】
図1に示すように、本発明の一実施形態に係る医療器具用容器2は、医療器具6を収容するための容器であり、その医療器具6を収容している状態で、滅菌処理がなされた滅菌袋4により覆われて搬送される。図2に示すように、医療器具用容器2が病院の処置室などの使用場所に搬送されると、滅菌袋4が取り除かれる。
【0021】
図3に示すように、医療器具用容器2に収容される医療器具6は、ハンドル部8と、そのハンドル部8に接続される長尺部分であるカテーテル10とを有する。カテーテル10の先端には、この実施形態では、ループ状電極12などの医療用処置具が具備してある。カテーテル10は、何ら外力が作用しない状態では、真っ直ぐな形状になるように成形されており、容器2の内部に収容される際に、円形に巻回されて収容される。容器2から取り出すと、実際には、カテーテル10の弾性力により、カテーテル10は、真っ直ぐな状態に戻るが、図3では、収容状態を示すために、円形に巻回してある。
【0022】
図2および図3に示すように、容器2は、下ケース(第1ケース)20と上ケース(第2ケース)30とを有する。これらのケース20および30は、たとえばポリスチレン、ポリエチレンテレフタレートなどの合成樹脂で構成され、適度な弾力性を有する。下ケース20は必ずしも透明ではなくても良いが、上ケース30は、透明であることが好ましい。上ケース30を透明にすることで、容器2に収容してある医療器具6の収容状態を外部から観察することができる。
【0023】
図2〜図5に示すように、下ケース20は、全体として長方形状のトレイであり、厚さ0.3〜1mm程度の合成樹脂シートに凹凸を設けることにより、後述する凹部22,24,28や、凸部25、接合部26a,26bなどが形成されている。下ケース20は、たとえばプレス成形、真空成形などにより製造される。なお、上ケース30も、下ケース20と同様な成形法により成形される。上ケース30および下ケース20は、弾力性を有し、多少変形しても元の形状に戻る。
【0024】
全体として長方形状の下ケース20における一つの角部近くに形成してある凹部22は、医療器具6のハンドル部8を着脱自在に収容するハンドル部用凹部である。このハンドル部用凹部22に連続して形成される全体としてリング状の凹部24は、巻回用凹部であり、医療器具6のカテーテル10が、少なくとも半周以上巻回して収容される。図示する例では、この巻回用凹部24には、カテーテルが1周半で巻回して収容される。
【0025】
巻回用凹部24の中央部には、円形凸部23が形成してあり、円形凸部23と凹部24とで、下ケース20の大部分の面積を占めている。この凹部24には、カテーテル10の先端部に具備してあるループ状電極12を収容するための処置具用凹部28が連続して形成してある。凹部28は、長方形状の下ケースの角部に位置し、凹部22の隣に位置する。
【0026】
巻回用凹部24の底部には、巻回されたカテーテル10の内周側に位置する下凸部(第1凸部)25が形成してある。巻回されたカテーテル10は、それ自身の弾力性により、巻回用凹部24の外周側壁に向けて広がろうとする。巻回用凹部24の外周側壁には、周方向に沿って断続的に、巻回用凹部24の底部に向けて突出高さが小さくなる抜け止め用凸部27が形成してある。
【0027】
したがって、カテーテル10が、それ自身の弾力性により巻き解されようとしたとしても、抜け止め用凸部27に引っかかり、何ら外力が作用しない状態では、巻回されたカテーテル10が巻回用凹部24から飛び出すことを防止することができる。
【0028】
また、下ケース20には、上ケース30を取り付けるための接合部26a,26bが巻回用凹部24の外周側に位置する下ケース平板部20aに形成してある。下ケース平坦部20aの外周側には、フランジ状の外縁20bが下ケース20の全周に沿って形成してある。
【0029】
図2,図3および図6に示すように、上ケース30は、下ケース20とは異なる形状を有する。この上ケース30は、下ケース20における下ケース平板部20aに対応する上ケース平板部30aを有する。上ケース30は、下ケース20における外縁20bの全周に対して一部が一致する外縁30bを有する。上ケース30の外縁30bは、下ケース20における長方形状の外縁20bの一部を切り欠いた形状になっている。外縁30bは、上ケース平板部30aの外側に形成してある。
【0030】
また、上ケース30には、下ケース20における円形凸部23を覆わないように避けるための円弧状切り欠き縁30cが形成してある。また、上ケース30には、下ケース20におけるハンドル部用凹部22を覆わないように避けるための切断縁30dが形成してあり、この切断縁30dが外縁30bと円弧状切り欠き縁30cとを結ぶようになっている。
【0031】
また、上ケース30には、下ケース20における処置具用凹部28を覆うための処置具蓋部38が形成してある。この処置具蓋部38は、上ケース平板部30aの一部となっている。処置具蓋部38は、処置具用凹部28を完全には覆わない形状であることが好ましく、処置具用凹部28におけるハンドル部用凹部22との隣接側上部を開けるように内側縁30eが形成してある。内側縁30eは、外縁30bと円弧状切り欠き縁30cとを結ぶように形成してある。
【0032】
上ケース30には、下ケース20の巻回用凹部24における外周部の少なくとも1/4周以上を覆う巻回蓋部34が形成してある。巻回蓋部34は、この実施形態では、下ケース20の巻回用凹部24の全周に対して約1/2周プラスα程度を覆い、巻回用凹部24の全周に対して約1/4周程度を覆わないような形状を有する。この実施形態では、巻回蓋部34は、上ケース平板部30aに対して下ケース20側に突出しており、下ケース20の巻回用凹部24に対して緩く嵌合するようになっている。なお、「緩く嵌合」とは、図4に示すように、後述する隙間C1が形成されるように、取り付けられるという意味である。
なお、巻回蓋部34が巻回用凹部24を覆う範囲は、上記範囲に限定されることはなく、たとえば、巻回蓋部34が巻回用凹部24の全周を覆うようにしても良いし、巻回蓋部34が巻回用凹部24の1/4周以下の範囲を覆うようにしても良い。
【0033】
巻回蓋部34の内周側に位置する円弧状切り欠き縁30cの曲率半径は、下ケース20における円形凸部23の半径と同等程度±10%の寸法であることが好ましい。また、図4に示すように、上ケース30と下ケース20とが組み合わされた状態で、円弧状切り欠き縁30cと円形凸部23との間には、隙間C1が形成されることが好ましい。
【0034】
また、上ケース30には、下ケース20に対して上ケース30を着脱自在に取り付けるための接合部36a,36bが巻回蓋部34の外周側に形成してある。接合部36a,36bは、巻回蓋部34の内周側には形成されない。
【0035】
これらの接合部36a,36bは、下ケース20の接合部26a,26bに対応する位置に複数設けられ、これらの接合部26a,26bに対して凹凸嵌合することで、上ケース30と下ケース20とは着脱自在に取り付けられる。しかも、ハンドル部用凹部22に最も近い接合部26a,36aが、その他の接合部26b,36bに比較して外れやすく構成してある。
たとえば接合部36a,36bの中央部を下側に凸形状に成形し、接合部26a,26bを上に向けて凹形状に成形し、これらが着脱自在に嵌め込み可能になっている。しかも、ハンドル部用凹部22に最も近い接合部36aの外径を、他の凸形状の接合部36bの外径よりも小さくしてある。あるいは、ハンドル部用凹部22に最も近い凹形状の接合部26aの内径を、他の凹形状の接合部26bの内径よりも大きくしてある。凸形状の接合部36bの外径は、凹形状の接合部26bの内径と略同一であり、接合部26a、36aに比較してきつく嵌め合わされる。
【0036】
図2〜図6に示すように、下ケース20における巻回用凹部24の底部には、巻回されたカテーテル10の内周側に位置する下凸部25が形成してあり、上ケース30における巻回蓋部34には、下凸部25に向けて突出する上凸部(第2凸部)35が形成してある。図4に示すように、上ケース30と下ケース20とが組み合わされた状態で、上凸部35と下凸部25との隙間C2は、カテーテル10の外径よりも小さければ良く、上凸部35と下凸部25とが接触するようにしても良い。
【0037】
また、図3に示すように、周方向に沿ってハンドル部用凹部22に近い側の上凸部35の端部35aには、テーパ部が形成してある。なお、同様に、下凸部25の端部25aには、テーパ部が形成してあることが好ましいが、必ずしも無くても良い。テーパ部は、下ケース20に上ケース30を取り付けた状態で、ハンドル8に近づくにつれて、下ケース20および上ケース30の隙間が広がるように形成してある。
【0038】
上ケース30の巻回蓋部34における外周壁部には、下ケース20の抜け止め用凸部27の上部に嵌合する凹部37が形成してある。
【0039】
本実施形態に係る医療器具用容器2では、図1に示す滅菌袋4を取り除いて医療器具6を容器2から取り出す際に、下ケース20に対して上ケース30を取り外すことなく、医療器具6のハンドル部8を下ケース20の凹部22から取り出すことができる。
【0040】
医療器具6のハンドル部8を下ケース20の凹部22から取り出すと、巻回用凹部24に収容してある医療器具6のカテーテル10は、ハンドル部8に近い側から、巻回用凹部24の内周側に位置する下凸部25と上凸部35との隙間C2を押し広げて少しずつ隙間C1から取り出される。
【0041】
最後に、カテーテル10の先端に具備してあるループ状電極12が取り出される。すなわち、巻回用凹部24の内周側に位置する下凸部25と上凸部35との隙間C2を押し広げて少しずつ隙間C1から取り出される部分以外で巻回用凹部24に位置するカテーテル10は、下ケース20と上ケース30とに挟まれることで跳ね上がりが制限される。
【0042】
そのため、従来の医療器具用容器とは異なり、ハンドル部8を手にとってカテーテル10を片手で取り出す際にも、カテーテル10が下ケース20から跳ね上がることがない。そのため、カテーテル10や、その先端に装着してあるループ状電極12などが、床や壁などの不潔な部分に触れてしまうことも無い。
【0043】
また、本実施形態では、医療器具6を医療器具用容器2に取り付ける際には、図3に示すように、下ケース20に対して上ケース30を取り外した状態で取り付けることができるが、下ケース20に対して上ケース30を取り付けた状態でも行うことができる。すなわち、下ケース20に対して上ケース30を取り付けた状態で、医療器具6の取り出しと逆の動作を行うことで、医療器具6の収容作業を行うこともできる。
【0044】
さらに、本実施形態では、周方向に沿ってハンドル部用凹部22に近い側の下凸部25の端部25aには、テーパ部が形成してある。このような構成にすることで、医療器具6のハンドル部8を下ケース20から取り出す際に、巻回用凹部24に収容してあるカテーテル10は、ハンドル部8に近い側から、巻回用凹部24の内周側に位置する下凸部25と上凸部35との隙間C2を押し広げ易くなる。また、カテーテル10がテーパ状の端部35aに接触することで、カテーテル10が無理に折り曲げられることを防止することができ、カテーテル10をスムーズに取り出すことが可能になる。
【0045】
また、巻回用凹部24における外周側壁に、抜け止め用凸部27が形成してあることから、カテーテル10が、それ自身の弾力性により巻き解されようとしたとしても、抜け止め用凸部27に引っかかり、何ら外力が作用しない状態では、巻回されたカテーテル10が巻回用凹部24から飛び出すことを防止する。
【0046】
さらに、ハンドル部用凹部22に最も近い接合部26a,36aが、その他の接合部26b,36bに比較して外れやすく構成してあることから、片手でハンドル部8を下ケース20から引き出すことで、巻回用凹部24に収容してある医療器具6のカテーテル10が、ハンドル部8に近い側から、巻回用凹部24の内周側に位置する下ケース20と上ケース30との隙間C1,C2を押し広げ易くなる。
【0047】
さらにまた、上ケース30は、ハンドル部用凹部22の上を覆わないように構成してあるので、片手でハンドル部8を下ケース20から引き出す作業が容易になる。ただし、本発明では、上ケース30は、ハンドル部用凹部22の上を覆うように構成することも可能である。
【0048】
なお、本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の範囲内で種々に改変することができる。
たとえば、カテーテル10の先端には、ループ状電極12以外に、バルーン、スネアなど、その他の医療用処置具が具備してあっても良い。
【0049】
また、本発明では、上ケース30と下ケース20とは、接合部26a,26b,36a,36bにて、着脱不可に接合してあっても良い。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【図1】図1は本発明の一実施形態に係る医療器具用容器の全体斜視図である。
【図2】図2は図1に示す滅菌袋を取り除いた医療器具用容器の全体斜視図である。
【図3】図3は図2に示す医療器具用容器の全体分解斜視図である。
【図4】図4は図2に示すIV−IV線に沿う断面図である。
【図5】図5は図3に示す下ケースの斜視図である。
【図6】図6は図3に示す上ケースの斜視図である。
【符号の説明】
【0051】
2… 医療器具用容器
4… 滅菌袋
6… 医療器具
8… ハンドル部
10… カテーテル
12… ループ状電極
20… 下ケース
22… ハンドル部用凹部
24… 巻回用凹部
25… 下凸部
26a、26b… 接合部
28… 処置具用凹部
30… 上ケース
34… 巻回蓋部
35… 上凸部
36a、36b… 接合部
38… 処置具蓋部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハンドル部と、当該ハンドル部に接続される長尺部分とを有する医療器具を収容するための医療器具用容器であって、
第1ケースと第2ケースとを有し、
前記第1ケースには、
前記ハンドル部が収容されるハンドル部用凹部が形成してあると共に、
前記長尺部分が少なくとも半周以上巻回して収容される巻回用凹部が形成してあり、
前記第2ケースには、
前記巻回用凹部における外周部の少なくとも一部を覆う巻回蓋部が形成してあり、
しかも、前記第1ケースに対して前記第2ケースを取り付けるための接合部が前記巻回蓋部の外周側に形成してある
医療器具用容器。
【請求項2】
前記第1ケースにおける前記巻回用凹部の底部には、巻回された前記長尺部分の内周側に位置する第1凸部が形成してあり、
前記第2ケースにおける巻回蓋部には、前記第1凸部に向けて突出する第2凸部が形成してある請求項1に記載の医療器具用容器。
【請求項3】
周方向に沿って前記ハンドル部用凹部に近い側の前記第2凸部の端部には、テーパ部が形成してある請求項2に記載の医療器具用容器。
【請求項4】
前記巻回用凹部における外周側壁には、当該巻回用凹部の底部に向けて突出高さが小さくなる抜け止め用凸部が形成してある請求項1〜3のいずれかに記載の医療器具用容器。
【請求項5】
前記第1ケースに対して前記第2ケースを着脱自在に取り付けるための接合部が前記巻回蓋部の外周側に少なくとも二以上で形成してあり、
前記ハンドル部用凹部に最も近い前記接合部が、その他の接合部に比較して外れやすく構成してある請求項1〜4のいずれかに記載の医療器具用容器。
【請求項6】
前記第2ケースは、前記ハンドル部用凹部を覆わないように構成してある請求項1〜5のいずれかに記載の医療器具用容器。
【請求項7】
前記長尺部分の先端には、医療用処置具が具備してあり、前記第1ケースには、前記医療用処置具を収容する処置具用凹部が形成してあり、
前記第2ケースには、前記処置具用凹部を覆う処置具蓋部が前記巻回蓋部に連続して形成してある請求項1〜6のいずれかに記載の医療器具用容器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2008−273575(P2008−273575A)
【公開日】平成20年11月13日(2008.11.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−119540(P2007−119540)
【出願日】平成19年4月27日(2007.4.27)
【出願人】(594170727)日本ライフライン株式会社 (83)
【Fターム(参考)】