説明

医療固定部材配置システム

放射線透過性又はX線技術下でインプラント(6、66)の穴(8、68)と整合し得るものであり、かつ固定部材シャフト又は本体の範囲又は境界を示し得る、インプラントドリルガイド(12、72)及び1つ以上のインジケータ(20、80)を具備するタワー(18、78)。或る実施形態は手術固定部材(10)の配置及び選択を予測するか又は、さもなければ、決定するための手術システム(2、62)を使用する方法を含む。
或る実施形態はより高精度の配置及び手術固定部材(10)の選択を可能にするための放射線透過性インジケータ(20、80)の使用を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、「ネジ配置装置」と題する、2005年3月17日に出願された特許文献1(米国仮特許出願第60/662,878号明細書)と、2005年7月25日に出願された「ネジ配置装置」と題する、特許文献2(米国仮特許出願第60/702,230号明細書)に基づく優先権を主張する。これらの内容は参考文献として本願明細書に援用されている。
【0002】
本発明は、一般に医療方法及び装置に関する。より詳細には、本発明は、X線又は蛍光放射線透視検査技術、及び、挿入、配置、あるいは、さもなければ、髄内釘、骨プレート及びインプラント、並びにネジ、ピン、及び他の固定部材を使用する他の装置を利用する方法及びシステムに関連する。
【背景技術】
【0003】
1800年代終了時のX線の発見の直後、X線は写真感板に画像を作り出し、かつ、紙、木、或る金属、及び生体組織のような多くの材料を透過することが発見された。この発見は、当初は、体内を見るための非手術ツールを提供した。X線及び蛍光放射線透視検査、リアルタイムX線画像形成技術の医学での使用は、欧州及び米国全体に急速に拡がった。無数の調査及び補正医学技法は、例えば、なかんずく、胃腸管調査、血管造影法および多くのタイプの整形外科および泌尿器科手術を含む、X線及び蛍光放射線透視検査に取って代わっている。
【0004】
整形及び他の医学領域では、と同様に髄内釘、骨プレート、及び他のインプラント並びにX線及び蛍光放射線透視検査技術が、ワイヤ、ピン、ネジ及び他のタイプの固定部材の骨又は組織内への挿入又は配置を要する多くのタイプの手術処理で使用されてきた。
場合によっては、例えば、髄内釘が骨の髄管に挿入されるときに、X線及び蛍光放射線透視検査が髄内釘(例えば、骨の断片を固定するために)の穴の1つ以上を通じての1つ以上のネジの挿入によって支援するために使用されてきた。
【0005】
少なくとも1970年代初期に、患者の体内で固定部材の将来位置を予測するために患者の体内に対して外に位置付けられた標的装置から成るX線画像の使用を含んでいた。
例えば、Halloranへの特許文献3(米国特許第3,704,707号明細書)は、標的装置、案内装置、及び、案内装置が標的装置と整合されるときに指示するためのインジケータを具備するハンドーヘルドピストル装置を記載」している。
【0006】
Frigg等への特許文献4(米国特許第4,803,976号明細書)は、ツール・ソケット及びハンドルに取り付けられた方向ファインダを含んでいる、骨に穴をあけるための観察固定部材を開示している。Frigg等も、装置を整合する支援をするために2つの放射不透過金属ワイヤの使用も記載している。
【0007】
Behrensへの特許文献5(米国特許第5,334,192号明細書)は、骨の髄内管導管内にn挿入されるインプラントに取り付けるためのヘッドと、インプラントに略平行に延在する標的アームと、を具備する標的装置を開示している。標的アームは、ドリルスリーブを受け入れるための標的穴と、X線によって位置制御するために横方向に延在するKirschnerワイヤを挿入するための2つの略平行な、ヘッドにある、ガイド穴と、を含む。Behrens等は、仮にKirschnerワイヤがX線の受信平面(横方向中間方向)で互いに対して整合されると、X線の中央軸線が大腿骨インプラント及び標的アームの平面に位置することが保証されることを説明している。
【0008】
Crickenberger等への特許文献6(米国特許第5,728,128明細書)は準備した骨髄内管導管に挿入するための遠位端及び大腿骨首部角度及び大腿骨前傾を決定可能にするための周知の角度でステム内に埋設された放射線不透過角度ロケータワイヤを具備するX線半透過性ステムを含んでいる大腿首前傾ガイドを開示している。Crickenberger等は内部に放射線不透過ピンがガイドの位置を適切に案内する支援をするためのインジケータとして働くように挿入し得るピン穴を開示している。
【0009】
Lambrecht等への特許文献7(米国特許第6,036,696号明細書)、特許文献8(米国特許第6,214,013号明細書)、及び特許文献9(米国特許第6,520,969号明細書)は、挿入されるべき機器の軸線及び蛍光X線透視検査装置のX線との整合を示す放射線不透過性マーカを具備する標的マーカ装置を開示している。
【0010】
従来技術は集合的に幾つかの欠点を被る。例えば、従来技術装置は、通常、骨又はインプラント内に挿入されるべき固定部材の将来の位置の中心のみを示す。場合によっては、外科医は、ネジのシャンク又はシャフトが、あるいはそのネジ山部分が、場合に応じて、皮膚の層、他の組織、あるいは特にインプラント構造に載っているか又は貫通するようにネジを配置することを所望し得る。したがって、外科医は、骨及びインプラント構造のような空間関係を見るか、視覚化するか、決めるか、推定する、あるいは、さもなければ予測することが可能である必要がある。例えば、大腿骨内の髄内釘の特定の位置が与えられた場合、望ましくない切抜きを減じるように、どのようにして且つどこに、このように位置づけられた髄内釘を貫通し、従って大腿骨ヘッド内に延在する大腿骨ネジが大腿骨ヘッド及び首部の部分に対して位置づけられるのかを理解したがっている。
【0011】
さらに、現在の装置の整合はしばしば満足が行かない。何故なら、厄介な装備及びインジケータを要するためである。単純化され且つ改良された整合装置と技術が必要とされる。
【0012】
さらにまた、慣用のドリルガイド構造の構造的な誤整合によって導き得る潜在的な誤差源を減じるか又は削除することが望ましいであろう。例えば、幾つかのこうした構造は、ドリルガイド上の2つの共平面のしるしの画像が骨ネジと同じ平面内に整合されることを示すことによって、骨ネジが適切に骨内に整合されたことを示す。しかしながら、2つの共平面にあるしるしがネジによって貫通されるインプラントに対してそれら自身誤整合されると、これらの共平面のしるしは、ネジが適切に骨内に整合される放射線写真の画像内で潜在的に間違って反射され得る。こうした誤りは、骨及び/又はインプラントに対するネジの正しい位置決めを示すためにインプラント内の実際のネジ又は開口と整合される、放射線写真で認識し得る線のような唯一のしるしを使用することによって、本発明では減じられるか又は回避される。
【特許文献1】米国仮特許出願第60/662,878号明細書
【特許文献2】米国仮特許出願第60/702,230号明細書
【特許文献3】米国特許第3,704,707号明細書
【特許文献4】米国特許第4,803,976号明細書
【特許文献5】米国特許第5,334,192号明細書
【特許文献6】米国特許第5,728,128明細書
【特許文献7】米国特許第6,036,696号明細書
【特許文献8】米国特許第6,214,013号明細書
【特許文献9】米国特許第6,520,969号明細書
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明の或る実施形態は改良された予測、選択、及びX線及び放射線透視検査技術を使用した手術インプラントの挿入及び固定部材を可能にする方法及びシステムを提供する。
或る実施形態は、位置の改良された整合及び予測と固定部材が一旦挿入される境界を供するために、画像形成装置、インプラント、及び関連するドリルガイド装置を使用する方法及びシステムを提供する。或る実施形態は、撮像素子の画像上に陰影及び重複イメージを生成する放射線透視検査の変更程度のインジケータの使用を含む。或る実施形態は、撮像素子の画像上に陰影及び重複イメージを生成する放射線透視検査の変更程度のインジケータの使用を含む。
【0014】
本発明の第1の態様によれば、骨を処理するための手術方法であって、インプラントを前記骨と接触するように位置決めする位置決め段階であって、前記インプラントは固定部材に接触するための少なくとも1つの穴を備える、前記位置決め段階と;前記インプラントの露出した部分に素子を取り付ける取付段階であって、前記素子は固定部材と共に使用するための挿入部分と、前記インプラントと撮像素子との間に延在する部分を具備するタワーを備える、前記取付段階と;を備える方法において、タワー・インジケータの画像を前記骨と接触するように位置付けられた前記インプラントの穴の画像に整合させることによって、前記撮像素子を使用して前記骨に対する、挿入された固定部材位置を決定することを特徴とする方法が提供される。
【0015】
本発明別の実施形態によれば、挿入された前記固定部材の位置の少なくとも1つを決定する段階を更に備える。
【0016】
本発明の別の実施形態によれば、前記タワー・インジケータの画像は前記固定部材の外郭を備える。
【0017】
本発明の別の実施形態によれば、前記インジケータの画像の端縁が前記穴の画像の端縁と整合するときに、前記タワー・インジケータの画像が前記インプラントの穴の画像に整合されるか、あるいは、前記タワー・インジケータの画像の一部が前記インプラントの溝の画像と整合するときに、前記タワー・インジケータの画像の一部が前記インプラントの溝の画像に整合される。
【0018】
本発明の別の実施形態によれば、前記ディスプレイに前記インプラントの画像を移動させるために前記タワーの一部を摺動させることによって、適切な固定部材長さを決定する段階を更に備える。別様に、前記ディスプレイ上に前記固定部材の先端の所望の位置に前記ボール・マーカーの画像を配置するために調節可能な部分及びボール形状インジケータを移動させることによって適切な固定部材長さを決定する段階を更に備える
【0019】
本発明の別の実施形態によれば、第2配向で撮像素子を使用し、ドリルガイド・インジケータの画像が前記ディスプレイ上の前記インプラントの画像の中心に合わせられるまで前記ドリルガイドを回転させる段階を更に備える。
【0020】
本発明の別の実施形態によれば前記骨が大腿骨である。
【0021】
本発明の別の態様によれば、撮像素子を有する手術で使用するシステムであって、固定部材に接触するための少なくとも1つの穴によって骨内に位置づけられるように構成されたインプラントと;前記インプラントに着脱可能に取り付けられるように形状構成された第1部分と、前記固定部材を前記インプラントの穴内に挿入するように形状構成された第2位置と、を備えるドリルガイドと;前記ドリルガイドに取り付くように形状構成され、かつ、前記インプラントと前記撮像素子との間で延在するタワーと;を備え、タワー・インジケータは、前記タワー・インジケータの画像が前記撮像素子によって作り出されるディスプレイ上の前記骨内に位置づけられた前記インプラントの穴の画像と整合されるときに、前記骨に対する挿入された固定部材位置の少なくとも1つの境界を示すことを特徴とするシステムが提供される。
【0022】
本発明の態様によれば、前記タワー・インジケータは、該タワー・インジケータの画像が前記ディスプレイ上の前記インプラントの穴の画像と整合されるときに、固定部材の外郭を示すか、あるいは前記インジケータの画像は、該インジケータの一部の画像が前記ディスプレイ上で前記インプラントの溝の画像と整合するときに、前記インプラントの穴の画像と整合される。
【0023】
本発明の態様によれば、前記インジケータの画像は、該インジケータの端縁の画像が前記ディスプレイ上で前記穴の端縁の画像と整合するときに、前記インプラントの穴の画像と整合されるか、あるいは、前記インジケータの画像は、該インジケータの一部の画像が前記ディスプレイ上で前記インプラントの溝の画像と整合するときに、前記インプラントの穴の画像と整合される。
【0024】
本発明の別の態様によれば、前記タワーは調節可能な部分を更に備え得る。前記タワーは、複数の位置に位置づけられ得る調節可能な部分を備え得る。固定部材を示す複数のマーキングは前記複数の位置の各々に対応し得る。前記タワーは、調節可能な部分及びボール形状のインジケータを備え得るものであり、前記調節可能な部分は、前記固定部材の先端の位置を示すために所望の位置に前記ボール・マーカーを配置するために調節可能である。
【0025】
本発明の別の態様によれば、前記骨は大腿骨であり得、前記ドリルガイドは回転インジケータを更に備え、前記回転インジケータの画像が、第2配向にある前記撮像素子によって作り出されるディスプレイ上の前記インプラントの画像に中心を合わせられるときに回転整合が達成される。
【0026】
本発明の別の態様によれば、前記骨は大腿骨であり、前記ドリルガイドはワイヤを具備する回転インジケータを更に備え、前記回転インジケータの画像が、第2配向にある前記撮像素子によって作り出されるディスプレイ上の前記インプラントの画像に中心を合わせられるときに回転整合が達成される。
【0027】
本発明の別の態様によれば、前記骨は大腿骨であり、前記ドリルガイドはワイヤをエポキシの回転インジケータを更に備え、前記回転インジケータの画像が、第2配向にある前記撮像素子によって作り出されるディスプレイ上の前記インプラントの画像に中心を合わせられるときに回転整合が達成される。
【0028】
本発明の別の態様によれば、前記タワー・インジケータが放射線透過性である。
【0029】
本発明の別の態様によれば、前記タワー・インジケータは、1つ以上のプラスチック、PEEK、ポリスルホン、ポリカーボネート、ガラス繊維、ポリエーテルイミド、ポリエーテルスルフォン、ポリフェニルスルホン、ポリフェニル硫化物、黒鉛繊維、モールド成形し得る材料、及び射出成形し得る材料で形成される。
【0030】
本発明の別の態様によれば、前記タワー・インジケータが前記タワーの一部である。
前記タワーが単一の材料から形成される、請求項10から請求項22までのいずれか1項に記載のシステム。
【0031】
本発明の別の態様によれば、前記タワーが単一の材料から形成されている。
【0032】
本発明の更なる態様、特徴、目的、及び利点と、本発明の実施形態は特許請求の範囲に記載されている。
【発明を実施するための最良の形態】
【0033】
本発明の一実施形態は、骨(例えば、骨髄内の釘又は上腕骨、大腿骨、脛骨等と接触するように挿入されたインプラントに取り付けられた骨プレートのような)ドリルガイドを提供するような)及びドリルガイドと共に使用するためのタワーと接触するように挿入されたインプラントに取り付けるためのドリルガイドを提供する。タワー、あるいはタワーの一部は、蛍光放射線透視又はX線技術の下でインプラントの穴と整合し得る。或る実施形態では、蛍光放射線透視下で、インプラントのネジ穴は視認され得る。何故なら、インプラント材料は穴の領域では密度が低いためである。一旦、整合されると、タワー装置又はタワーの一部は固定部材シャフト又は本体の範囲又は境界を示し得る。例えば、撮像素子の表示上のタワー装置の画像はネジの幅を示すか、あるいは、さもなければ、ネジの幅を表示し得る。別の実施例では、タワー装置は延在するか又は調整されて、1つ以上の異なるタイプの適切な固定部材の長さを示すか、表すか、あるいは、さもなければ、表示し得るものであり、外科医又はユーザが適切な長さの固定部材を選択可能にする。
【0034】
インジケータは、長さ及び幅寸法以外の固定部材位置の特性を表示し得る。例えば、このインジケータの形状は形状、突出部、凹所、穴、溝、切込み、リング、ネジ山、及び、固定部材が有し得る他の輪郭を表示するために使用し得る。異なる材料から形成された固定部材の部分をも示し得る。インジケータは固定部材又は固定部材のタイプをも同定し得るものであり、外科医が正しいか又は、さもなければ、適切な固定部材が使用されていることを確認可能にする。或る実施形態では、第1インジケータは第1固定部材のタイプを示す、第2インジケータは第2部材のタイプを示す。
【0035】
図1〜図3は、骨4、この場合は大腿骨を含む、外科手術で使用するための、本発明の或る実施形態に従よるシステム2を例示している。固定、固定部材10と協働するか、あるいは該固定部材10に接触するための穴8を有するインプラント6はドリルガイド12に取り付けられる。ドリルガイドは、インプラント6への着脱可能な取付のために形状構成された第1部分14と、固着部材10をインプラント6の穴8内に挿入するように形状構成された第2部分16と、を具備する。
【0036】
タワー18は、ドリルガイド12に取り付けられるように形状構成され、かつ1つ以上のインジケータ20を含む。使用中、タワー18の一部は、インプラント6と、例えば、X線又は蛍光放射線透視検査装置のような撮像素子と、の間に延在する。撮像素子は、システム構成要素のディスプレイを作り出すことができる何れか適切な装置(例えば、X線画像、蛍光X線透視検査ディスプレイ、CAD画像、その他)とし得る。通常、撮像素子は、システム構成部品の画像及び外科手術部位フィーチャーを生成するために整合される。通常、撮像素子は、システム構成部品及び外科手術部位に対して全体的に標準の配向に配向される。例えば、撮像素子は、AP又はML配向に配向し得る。
【0037】
図4及び図5は、タワー18、インジケータ20、及びインプラント穴8のこうした撮像素子からの画像の表示を示している。図4において、インジケータ20は、インプラント6の穴8の端縁に整合されない。穴8の端縁に整合されないときに、インジケータ20の投影画像は外科医又は他のユーザに、撮像素子(図示せず)及び/又はドリルガイド及びタワー装置の形状構成を調節する必要があり得ることを示す。
【0038】
タワー・インジケータ20が、図5のような撮像素子によって作り出された画像上のインプラント6の穴8と整合されるとき、タワー20は挿入された固定部材10が有する位置を示す。或る実施形態では、穴端縁に加えて他のインプラント・フィーチャーをタワー・インジケータと整合させるために使用し得る。例えば、溝又はインプラントの他の端縁は、1つ以上のタワー・インジケータと整合し得る。何れかの適切なフィーチャーも使用し得る。
【0039】
或る実施形態では、タワー・インジケータ20は、挿入された固定部材10の1つ以上の範囲、プロファイル、物理的又は空間特性、あるいは他の境界をも示し得る。これらは固定部材10が挿入される骨に関して示し得る。その結果、外科医は、何処で固定部材10が骨に嵌合する、骨に嵌合しないか、そして、必要に応じて、インプラントと関連して、切断の機会を減じるために、例えば、骨又は皮層のある骨の端縁に関するようなことを見ることができるか、あるいは、さもなければ、決定又は判断することができる。図5において、インジケータ20は、インプラントされた固定部材10が一旦挿入される側部境界を示す。或る実施形態では、タワー・インジケータはシルエット又はラグスクリュー、圧縮ネジ、あるいは他の固定部材の輪郭を示す。或る実施形態では、タワー・インジケータは、単一の金属ガイドピン又はワイヤとし得る。
【0040】
或る実施形態では、タワーは摺動部分、調節可能な部分、あるいは1つ以上の適した固定部材の奥行を予測するために使用される他の装置を含む。タワーの摺動部分を摺動させることによって、外科医又は他のユーザは撮像素子によって作り出された画像上で適切な固定部材が骨内に貫通する深さを予測又は見ることができる。或る実施形態では、タワー・インジケータは調節可能なボールを含み、そして、タワーはユーザがボール・マーカーを固定部材チップの所望の位置に配置するために調整し得る。或る実施形態では、タワーは、マーキング、文字、あるいは、撮像素子によって作り出される画像上に出現する他の表示を含む。
【0041】
或る実施形態は、インプラント及び1つ以上の関連する固定部材を大腿骨内にインプラントするために手術装置を使用する方法を含む。この方法は以下の段階の1つ以上を何れか適切な順序で含み得る。
(a)入力及び大腿骨準備;
(b)ドリルガイドに対するインプラントの取付;
(c)ドリルガイドに対するタワーの取付;
(d)インプラントの大腿骨内への挿入;
(e)AP平面画像獲得;
(f)インジケータ及び大腿骨構造の位置に基づく大腿骨内のインプラント深さの決定;
(g)AP平面画像獲得;
(h)インプラント穴とインジケータの整合;及び
(i)大腿骨内のインプラントの位置の確認。
【0042】
図6及び図7は、骨64、この場合は大腿骨を含む、外科手術で使用するための、本発明の或る実施形態に従よるシステム62を例示している。固定、固定部材(図示せず)と協働するか、あるいは該固定部材に接触するための穴68を有するインプラント66はドリルガイド72に取り付けられる。ドリルガイドは、インプラント66への着脱可能な取付のために形状構成された第1部分74と、固定部材をインプラント66の穴68内に挿入するように形状構成された第2部分76と、を具備する。
【0043】
本発明の他の実施例と同様に、使用中に、タワー78はインプラント66と、撮像素子(図示せず)と、の間に延在する。この実施形態では、インジケータ80はタワーの開口82によって分離されるタワー78の単に部分である。これらのインジケータ80の形状は、インプラント66に挿入される固定部材の形状に類似している。穴68の端縁に整合されないときに、インジケータ80の投影画像は外科医又は他のユーザに、撮像素子(図示せず)及び/又はドリルガイド及びタワー装置の形状構成を調節する必要があり得ることを示す。
【0044】
一方で、タワー・インジケータ80が撮像素子によって作り出される画像上でインプラント66の穴68に整合されるとき、インジケータ20は挿入された固定部材が有する位置を示す。タワー78又はインジケータ80は、インプラントされるべき固定部材の1つ以上の幾つか又は全ての形状に極めて類似した形状を有し得る。例えば、タワー78又はインジケータ80の尖端部分は挿入される固定部材のネジ山に類似する形状84を有し得る。
【0045】
或る実施形態では、タワーは多数の構成要素又は部分から成っている。例えば、或る実施形態では、タワーは、スタンド部分及び互いに対して取付し合うか又は、さもなければ、互いに対して協働する延在部分を備える。タワー構成要素間で固定された又は調節可能な取付をするかの何れかの適切な手段を使用し得る。例えば、或る実施形態では、タワーの調節可能な部分は延在する部分が複数の分離した所定距離まで延在することを可能にするようにタワーのスタンド部分に取り付く。こうした取付は延在する部分の図6のスロット88と協働するスタンド部分上のバネ付勢されたボール(図示せず)を含み得る。何れか適切な取付方法又は装置がタワーの部分を取り付けるか又は、さもなければ、連結するために使用し得る。
【0046】
本発明の種々の実施形態は、多様な目的のためにタワー又はその構成要素を調整することを含む(例えば、延在する部分を異なる距離まで突出させて別の固定部材の深さが一旦挿入されたところまで延在するかを表示する等のような)。モジュール式のタワー構成要素を含む実施形態では、種々の構成要素間の相互作用又は接続はこうした調整を容易にする。或る実施形態におけるモジュール式のタワー構成要素は交換可能な構成要素を使用可能にする(別の適切な固定部材が一旦挿入される位置を表示可能にするために、例えば、別の延在する部分を特定且つ異なる特性を有する固定部材に対応する各々の延在する部分の構成要素と交換するような)。
【0047】
1s又は放射線透過性装置を含む或る実施形態では、1つ以上のインジケータは放射線不透性又は放射線透過性である。しかしながら、多くの実施形態では、インジケータの画像が陰として現れ、かつ他の要素が影内に見られることを可能にするように、インジケータは放射線不透過性でなくて、その代わりに放射線透過性である。従って、多くの実施形態では、1つ以上のインジケータは幾分かの放射線の通過を可能にする放射線透過材料から構成される。或る実施形態では、インジケータはタワーの他の部分、システムの他の部分、あるいは外科医サイトの他の部分より、より少ない放射線量の通過を許容する1つ以上の材料から構成される。或る実施形態では、インジケータは、本願明細書に参考文献として援用されたDimarcoへの米国特許第5,403,321号明細書に記載された材料のような放射線透過性材料から構成される。したがって、特定の実施例で、タワー・インジケータは、一つ以上のプラスチック、PEEK、ポリスルホン、ポリカーボネート、ガラス繊維、ポリエーテルイミド、ポリエーテルスルフォン、ポリフェニル・スルホン、ポリフェニル硫化物、黒鉛繊維、モールド成形し得る材料、及び射出成形し得る材料で形成される。
【0048】
或る実施形態では、タワー自体はインジケータを形成する。或る実施形態では、タワー自体は、単数又は複数のインジケータを構成し、かつ放射線透過可能な1つ以上の材料から構成される。こうした放射線透過性材料は、外科医が、撮像素子によって作り出された画像にインジケータのかすかな又は陰のある画像を観察可能にする利点を提供する。撮像素子によって作り出される画像にインジケータの一部を通じて見る能力は、対応するインプラント穴の画像を有するインジケータの画像の整合を容易にする。
【0049】
本発明の或る実施形態は大腿骨のインプラント手術における前傾整合を判断するための装置及び方法を更に供する。図6に示されているシステムは前傾インジケータ86を含む。この特定のインジケータ86は、インプラントの軸線及びネジが貫通する骨に整合し得る実質的に直線状の要素をしている。再び、実質的に直線状の要素はインプラント及びその潜在的なネジが骨内に正しく整合されることを間違って指示を与え得る慣用の共平面要素の誤整合によって引き起こされる問題を回避する。こうした回転インジケータは、例えば、インプラント66、インプラントの所望の軸線、インプラントの穴、あるいは、さもなければ、所望されるものと整合されたインジケータ86を示す能力を有する画像形成要素と共に使用し得る。外科医又はユーザは、前傾インジケータ86の画像をインプラント66の画像の中心に置くために、ドリルガイド装置(及び取り付けられたインプラント)を回転させることによって、ドリルガイド及びこれに取り付けられたインプラント66の前傾を整合させることができる。
【0050】
上述したことは本発明の或る実施形態を開示する。そして、多数の変更又は変形が本発明の精神及び範囲から逸脱せずになし得る。本発明はX線又は蛍光板透視画像形成技術に限定されず、コンピュータ支援手術システム及び未だに開発されていないシステムから作り出された画像を含む。さらに、本発明は何れか特定の骨を含む手術に限定されるのではなく、かつ整形外科用途に限定されるものではない。
【図面の簡単な説明】
【0051】
【図1】本発明の一実施形態による手術システムを例示する図である。
【図2】本発明の実施形態による、請求項1の手術システムを例示する図である。
【図3】請求項1の手術システムのインプラント及び固定部材を示す図である。
【図4】請求項1の手術システムの撮像素子の画像を例示する図である。
【図5】請求項1の手術システムの別の撮像素子の画像を例示する図である。
【図6】本発明の一実施形態による手術システムを例示する図である。
【図7】本発明の実施形態による、請求項6の手術システムの使用を例示する図である。
【図8】本発明の実施形態による、請求項6の手術システムの使用を例示する図である。
【符号の説明】
【0052】
2 システム
4 骨
6 インプラント
8 穴
10 固定部材
12 ドリルガイド
14 第1部分
16 第2部分
18 タワー
20 インジケータ
62 システム
64 骨
66 インプラント
68 穴
72 ドリルガイド
74 第1部分
76 第2部分
78 タワー
80 タワー・インジケータ
82 開口
84 ネジ山に類似する形状
86 インジケータ
88 スロット

【特許請求の範囲】
【請求項1】
骨を処理するための手術方法であって、
インプラントを前記骨と接触するように位置決めする位置決め段階であって、前記インプラントは固定部材に接触するための少なくとも1つの穴を備える、前記位置決め段階と;
前記インプラントの露出した部分に素子を取り付ける取付段階であって、前記素子は固定部材と共に使用するための挿入部分と、前記インプラントと撮像素子との間に延在する部分を具備するタワーを備える、前記取付段階と;を備える方法において、
タワー・インジケータの画像を前記骨と接触するように位置付けられた前記インプラントの穴の画像に整合させることによって、前記撮像素子を使用して前記骨に対する、挿入された固定部材位置を決定することを特徴とする方法。
【請求項2】
挿入された前記固定部材の位置の少なくとも1つを決定する段階を更に備えることを特徴とする、請求項1に記載の手術方法。
【請求項3】
前記タワー・インジケータの画像は前記固定部材の外郭を備える、請求項1または請求項2に記載の手術方法。
【請求項4】
前記インジケータの画像の端縁が前記穴の画像の端縁と整合するときに、前記タワー・インジケータの画像が前記インプラントの穴の画像に整合される、請求項1から請求項3までのいずれか1項に記載の手術方法。
【請求項5】
前記タワー・インジケータの画像の一部が前記インプラントの溝の画像と整合するときに、前記タワー・インジケータの画像の一部が前記インプラントの溝の画像に整合される、請求項1から請求項4までのいずれか1項に記載の手術方法。
【請求項6】
前記ディスプレイに前記インプラントの画像を移動させるために前記タワーの一部を摺動させることによって、適切な固定部材長さを決定する段階を更に備える、請求項1から請求項5までのいずれか1項に記載の手術方法。
【請求項7】
前記ディスプレイ上に前記固定部材の先端の所望の位置に前記ボール・マーカーの画像を配置するために調節可能な部分及びボール形状インジケータを移動させることによって適切な固定部材長さを決定する段階を更に備える、請求項1から請求項6までのいずれか1項に記載の手術方法。
【請求項8】
第2配向で撮像素子を使用し、ドリルガイド・インジケータの画像が前記ディスプレイ上の前記インプラントの画像の中心に合わせられるまで前記ドリルガイドを回転させる段階を更に備える、請求項1から請求項7までのいずれか1項に記載の手術方法。
【請求項9】
前記骨が大腿骨である、請求項1から請求項8までのいずれか1項に記載の手術方法。
【請求項10】
撮像素子を有する手術で使用するシステムであって、
固定部材に接触するための少なくとも1つの穴によって骨内に位置づけられるように構成されたインプラントと;
前記インプラントに着脱可能に取り付けられるように形状構成された第1部分と、前記固定部材を前記インプラントの穴内に挿入するように形状構成された第2位置と、を備えるドリルガイドと;
前記ドリルガイドに取り付くように形状構成され、かつ、前記インプラントと前記撮像素子との間で延在するタワーと;を備え、
タワー・インジケータは、前記タワー・インジケータの画像が前記撮像素子によって作り出されるディスプレイ上の前記骨内に位置づけられた前記インプラントの穴の画像と整合されるときに、前記骨に対する挿入された固定部材位置の少なくとも1つの境界を示すことを特徴とするシステム。
【請求項11】
前記タワー・インジケータは、該タワー・インジケータの画像が前記ディスプレイ上の前記インプラントの穴の画像と整合されるときに、固定部材の外郭を示す、請求項10に記載のシステム。
【請求項12】
前記インジケータの画像は、該インジケータの端縁の画像が前記ディスプレイ上で前記穴の端縁の画像と整合するときに、前記インプラントの穴の画像と整合される、請求項10または請求項11に記載のシステム。
【請求項13】
前記インジケータの画像は、該インジケータの一部の画像が前記ディスプレイ上で前記インプラントの溝の画像と整合するときに、前記インプラントの穴の画像と整合される、請求項10から請求項12までのいずれか1項に記載のシステム。
【請求項14】
前記タワーは調節可能な部分を更に備える、請求項10から請求項13までのいずれか1項に記載のシステム。
【請求項15】
前記タワーは、複数の位置に位置づけられ得る調節可能な部分を備え、
固定部材を示す複数のマーキングは前記複数の位置の各々に対応する、請求項10から請求項14までのいずれか1項に記載のシステム。
【請求項16】
前記タワーは、調節可能な部分及びボール形状のインジケータを備え、
前記調節可能な部分は、前記固定部材の先端の位置を示すために所望の位置に前記ボール・マーカーを配置するために調節可能である、請求項10から請求項15までのいずれか1項に記載のシステム。
【請求項17】
前記骨は大腿骨であり、
前記ドリルガイドは回転インジケータを更に備え、
前記回転インジケータの画像が、第2配向にある前記撮像素子によって作り出されるディスプレイ上の前記インプラントの画像に中心を合わせられるときに回転整合が達成される、請求項10から請求項16までのいずれか1項に記載のシステム。
【請求項18】
前記骨は大腿骨であり、前記ドリルガイドはワイヤを具備する回転インジケータを更に備え、前記回転インジケータの画像が、第2配向にある前記撮像素子によって作り出されるディスプレイ上の前記インプラントの画像に中心を合わせられるときに回転整合が達成される、請求項10から請求項17までのいずれか1項に記載のシステム。
【請求項19】
前記骨は大腿骨であり、前記ドリルガイドはワイヤをエポキシの回転インジケータを更に備え、前記回転インジケータの画像が、第2配向にある前記撮像素子によって作り出されるディスプレイ上の前記インプラントの画像に中心を合わせられるときに回転整合が達成される、請求項10から請求項18までのいずれか1項に記載のシステム。
【請求項20】
前記タワー・インジケータが放射線透過性である、請求項10から請求項19までのいずれか1項に記載のシステム。
【請求項21】
前記タワー・インジケータは、1つ以上のプラスチック、PEEK、ポリスルホン、ポリカーボネート、ガラス繊維、ポリエーテルイミド、ポリエーテルスルフォン、ポリフェニルスルホン、ポリフェニル硫化物、黒鉛繊維、モールド成形し得る材料、及び射出成形し得る材料で形成される、請求項10から請求項20までのいずれか1項に記載のシステム。
【請求項22】
前記タワー・インジケータが前記タワーの一部である、請求項10から請求項21までのいずれか1項に記載のシステム。
【請求項23】
前記タワーが単一の材料から形成される、請求項10から請求項22までのいずれか1項に記載のシステム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公表番号】特表2008−532707(P2008−532707A)
【公表日】平成20年8月21日(2008.8.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−502038(P2008−502038)
【出願日】平成18年3月16日(2006.3.16)
【国際出願番号】PCT/US2006/009507
【国際公開番号】WO2006/101971
【国際公開日】平成18年9月28日(2006.9.28)
【出願人】(397071355)スミス アンド ネフュー インコーポレーテッド (186)
【Fターム(参考)】