説明

医療用チューブ物品

本発明は、熱可塑性または熱硬化性ポリマーベース材料および両親媒性ブロック共重合体のポリマー混合物を含む医療用チューブ物品に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はポリマー混合物を含む医療用中空チューブ物品に関する。
【背景技術】
【0002】
米国第5084315号は、濡れた場合に滑らかになり、ベースポリマーおよびその上のコーティング組成物を含む物品を開示する。医療用物品を用いる場合、例えば、一方の物品を他方の物品に挿入する場合、物品表面の擦過(scraping)が生じ得る。このコーティングした物品は、表面のかかる擦過の間に物品の表面からコーティングを除去しかねないという欠点を有し、これは、擦過された領域を余り潤滑性にさせない。
【0003】
さらに、ヒト開口部においてチューブのごとき医療用物品を用いる場合、いくらかのコーティングは人の内部に常に残り、これは有害で、かくして、容認できないものであり得る。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明はポリマー混合物を含む医療用中空チューブ物品に関する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の目的は、先行技術の前記の不利および欠点を全体的または部分的に克服することである。より詳細には、表面が擦過される場合でさえ、低い摩擦特性を維持する改善された医療用物品を提供することが、目的である。このように、潤滑(lubricious)特性は物品の全表面にわたって維持される。
【0006】
さらなる目的は、生成物の機械的特性を維持つつ、製造することが容易な生成物を提供することである。
【0007】
以下の記載から明らかになる、多数の他の目的、利点および特徴と一緒の前記の目的は、第1および第2のポリマーを含むポリマー混合物から成形または押出された医療用チューブ物品による本発明の溶液によって達成され、第1のポリマーは、熱可塑性または熱硬化性ポリマーであり、第2のポリマーは、親水性および親油性の特性の双方を所有する両親媒性ブロック共重合体である。
【0008】
1つの具体例において、両親媒性ブロック共重合体は、式CHCH(CHCH)a(式中、「a」は10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24または25である)の炭化水素鎖ブロック、および親水性であるB−ブロックであり得る。
【0009】
かくして、ベース材料として熱可塑性ポリマーならびに、親水性および親油性特性の双方を所有し、疎水性である主ブロックおよび親水性であるもう一つのブロックを含む両親媒性ブロック共重合体を含む医療用物品が提供される。第1のポリマーはベース材料として働いて、優れた機械的特性を提供し、また、両親媒性ブロック共重合体の親水性ブロックがベースポリマーとの不適合性により物品の表面方向を求めるので、表面の摩擦効率が低下する。両親媒性ブロック共重合体の炭化水素鎖ならびに親油性および疎水性ブロックは、親水性部分をベース材料より下でそのベース材料自体に固定するのを確実する。このように、物品表面の意図的な擦過のごとき、表面が機械的作用に曝露されるかにかかわらず、表面の特性は無傷のままであることが得られる。
【0010】
両親媒性ブロック共重合体の親油性特性は、そのブロック共重合体が第1のポリマーと混合され、かくして、ブロック共重合体が第1のポリマーに安全に固定されることを確実にする。さらに、両親媒性ブロック共重合体の疎水性ブロックは、ベースポリマーとして働く第1のポリマーの疎水性部分と適合性である。
【0011】
ポリオレフィンのごとき疎水性のベースポリマーとのポリマー混合物において、両親媒性ブロック共重合体の親水性部分は、疎水性の第1のポリマーとの不適合性により表面に拡散するであろう。
【0012】
さらに、両親媒性ブロック共重合体の親水性部分が表面に拡散し、非常に薄い層を形成し、その薄い層がより厚いコーティング層よりも少ない水を必要とするので、医療用物品は、まさにウェットティッシュで表面を拭くことにより十分に湿らせることができることが得られる。
【0013】
第1のポリマーと両親媒性ブロック共重合体とを混合すると、固有の潤滑特性を有する物品が得られ、さらに、その生成物は、まさに物品を成形または押出すことにより容易に製造され、かくして、引き続いてのコーティングプロセスは必要ではなく、これは生産のコストおよび時間を節約する。
【0014】
1つの具体例において、熱可塑性の第1のポリマーは、ポリオレフィン、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリウレタン(PUR)、ポリオレフィン、スチレンブタジエン共重合体(SBC)、スチレン−エチレン−ブチレン−スチレン共重合体(SEBS)および熱可塑性エラストマー、またはその組合せよりなる群から選択され得る。
【0015】
もう一つの具体例において、Bブロックは、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、エチレングリコール、プロピレングリコール、エピクロルヒドリン、アクリル酸、メタクリル酸、エチレンイミン、カプロラクトン、ビニルアルコールおよび酢酸ビニルの群から選択されたモノマーに由来した2〜10個のモノマー単位よりなる親水性オリゴマー、すなわち、ホモ−またはコ−オリゴマーであり得る。
【0016】
さらに、両親媒性ブロック共重合体は、Irgasurf(商標)、Aquazol(商標)またはUnithox(商標)のいずれでもあり得る。
【0017】
加えて、両親媒性ブロック共重合体は、ポリマー混合物の0.1〜20重量%、好ましくは0.5〜15重量%、より好ましくは0.5〜5重量%を構成し得る。
【0018】
物品は、気道チューブ、栄養カテーテル、腸カテーテル、吸引カテーテルまたは尿カテーテルのごとき、いずれの医療用中空チューブ物品でもあり得る。
【0019】
加えて、医療用物品は表面摩擦を有し、表面摩擦は、0.4未満、好ましくは閉区間0.2〜0.1の動摩擦係数であり得る。
【0020】
加えて、ポリマー混合物はBブロックの濃度を有し、物品の表面でのBブロックの濃度は、ポリマー混合物の中心におけるBブロックの濃度の2〜60倍、好ましくは、ポリマー混合物の中心におけるBブロックの濃度の3〜50倍を超え得る。
【0021】
さらに、熱可塑性の第1のポリマーは、Accurel(商標)、Styroflex(商標)、Styrolux(商標)、MelifleX(商標)またはMediprene(商標)であり得、これらのすべてが疎水性である。
【0022】
また、熱可塑性の第1のポリマーは、Estane 58315であり得、これは疎水性および親水性の双方である。
【0023】
また、本発明は、気道、直腸、膣または尿道のごとき、ヒト開口部への挿入のための前記に開示された医療用物品の使用に関する、
【0024】
最後に、本発明は、前記に開示された医療用チューブ物品の製造方法に関し、
−熱可塑性または熱硬化性ポリマーである第1のポリマー、および両親媒性共重合体である第2のポリマーの粒状混合物の混合、および
−医療用物品の射出成形または押出し
の工程を含む。
【0025】
本方法の1つの具体例において、両親媒性ブロック共重合体は、親水性および親油性特性の双方を所有し得る。
【0026】
さらに、本方法は、熱可塑性または熱硬化性ポリマーである第1のポリマー、および両親媒性共重合体である第2のポリマーの粒状混合物を溶融し、次いで、もう一つの粒状物を形成し、ここに、各粒状物は第1および第2のポリマーの混合物である工程を含み得る。
【0027】
また、本発明およびその多数の利点が、添付した模式図を参照して以下に詳細に記載されるが、これは、その例示の目的でいくつかの非限定の具体例を示す。
全ての図は高度に模式的であり、必ずしもスケールを示さず、それらは、本発明を説明するために必要であるそれらの部分だけを示し、他の部分は省略または単に示唆されている。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】図1は、本発明によりポリマー混合物から製造された物品の一部を示し、これは溶融状態にある。
【図2】図2は、冷却の間にポリマー混合物から製造された物品の一部を示す。
【図3】図3は、本発明による材料から製造された医療用物品の第1の例を示す。
【図4】図4は、物品が気道チューブであり、本発明による材料から製造される医療用物品の第2の例を示す。
【図5】図5は、本発明による材料から製造された物品の表面の摩擦をテストするための装置を示す。
【図6】図6は、ベース材料中で異なる量のIrgasurf 560 HLの図表を示す。
【図7】図7は、両親媒性ブロック共重合体を含む異なるベースポリマーの図表を示す。
【発明を実施するための形態】
【0029】
図1は、本発明によるポリマー混合物から製造された試料を示し、その試料はその溶融状態において示される。ポリマー混合物は、ベース材料4として働く第1のポリマーに混合された両親媒性共重合体2、3である第2のポリマーを含む。ベース材料4は熱可塑性または熱硬化性ポリマーである。両親媒性ブロック共重合体2、3は式CHCH(CHCHの炭化水素鎖ブロック(式中、「a」は、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24または25である)、ならびに親水性のBブロックである。親水性のBブロックは、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、エチレングリコール、プロピレングリコール、エピクロルヒドリン、アクリル酸、メタクリル酸、エチレンイミン、カプロラクトン、ビニルアルコールおよび酢酸ビニルの群から選択されたモノマーに由来する2〜10個のモノマー単位よりなる親水性オリゴマー、すなわち、ホモ−またはコ−オリゴマーである。熱可塑性のベース材料4は、ポリオレフィン、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリウレタン(PUR)、ポリオレフィン、スチレンブタジエン共重合体(SBC)、スチレン−エチレン−ブチレン−スチレン共重合体(SEBS)および熱可塑性エラストマー、またはその組合せの群から選択し得る。試料は、第1のポリマー4ならびに、適切な混合物中の両親媒性ブロック共重合体2および3である第2のポリマーを含む粒状物で作成され、試料は、通常の成形または押出しプロセス中に加熱され、当該物品に成形される粒状物で達成される。
【0030】
かくして、第1および第2のポリマーを混合して、親水性および親油性特性の双方を含む1つの混合物を形成する。引き続いて、その混合物はチューブ形の物品に成形または押出される。第1のポリマーはベース材料として働き、優れた機械的特性を提供する。両親媒性ブロック共重合体は親水性および親油性特性の双方を所有し、疎水性であるブロック、および親水性であるもう一つのブロックを含む。両親媒性ブロック共重合体の親水性ブロックは、ベースポリマーとの不適合性により物品の表面方向を求め、結果的に、表面の摩擦効率が低減される。両親媒性ブロック共重合体の炭化水素鎖ならびに親油性および疎水性ブロックは、親水性ブロックがベース材料中で固定されることを確実にする。
【0031】
第1および第2のポリマーは同じ化合物に含まれ、各々の粒状物は、物品の成形、または押出し前に第1および第2のポリマーの双方を含む。第1および第2のポリマーの1つの混合物からの物品の成形または押出しは、物品をコーティングする引き続いてのプロセスを取り除き、物品の表面上の親水性の特性に帰着する要素が、ベースポリマーに化学的に固定され、それは容易に拭き取られず、患者内部に残らない。さらに、何らかの理由で表面が引っ掻かれれば、ベース材料中の両親媒性ブロック共重合体の疎水性および親油性の部分を依然として固定しつつ、化学状態の平衡の回復のために、新しい親水性部分は物品の表面に拡散するであろう。
【0032】
両親媒性ブロック共重合体の親油性特性は、ブロック共重合体が第1のポリマーと混合され、かくして、ブロック共重合体が、第1のポリマーに安全に固定されることを確実にする。さらに、両親媒性ブロック共重合体の疎水性部分は、第1のポリマーの疎水性部分と適合性であり、したがって、粒状物を作成するため、および引き続いての成形または押出しプロセスにおいて第1および第2のポリマーを混合する場合に双方の相溶化剤として働く。
【0033】
第1のポリマーとしてのポリオレフィン、SEBS−、SIS−およびSBC−エラストマーのごとき疎水性のベースポリマーにおいて、両親媒性ブロック共重合体の親水性部分は、疎水性の第1のポリマーとの不適合性により表面に拡散するであろう。
【0034】
両親媒性ブロック共重合体の親水性部分が表面に拡散し、非常に薄い層を形成し、その薄い層が、より厚いコーティング層よりも少ない水を必要とするので、さらなる利点は、ウェットティッシュで表面を拭くことによって、または高湿度または水分によって十分に医療用物品を湿らせることができるということである。
【0035】
図2は、両親媒性ブロック共重合体2、3が親水性のBブロックが表面方向を求めるように、冷却した材料にそれ自体を入れると、冷却の間にポリマー中の材料がどのように反応するかを示し、炭素鎖ブロックは、Bブロックがベース材料4に保持されることを確実にする。ベース材料4は、ポリオレフィン、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリウレタン(PUR)、ポリオレフィン、スチレンブタジエン共重合体(SBC)、熱可塑性エラストマーまたはスチレン−エチレン−ブチレン−スチレン共重合体(SEBS)のいずれでもあり得る。このように、親水性のBブロックが表面方向を求める点で、平衡の新しい状態が表面に創製されるので、表面は、擦過された場合にその潤滑特性のごときその機械的特性を変更できないであろう。擦過され、擦過プロセスの間にそのコーティングの一部を失うコーティングされた表面と比較して、本発明による材料から製造された物品は、炭化水素鎖が両親媒性ブロック共重合体2、3がベース材料4に安全に固定されることを確実にするので、その機械的特性を変更しない。
【0036】
ベース材料4と両親媒性ブロック共重合体とを混合すると、親水性ブロックが液体へのその親和性により物品の表面方向を求めるので、物品は優れた機械的特性および固有の潤滑特性の双方を有する。両親媒性ブロック共重合体2、3の炭化水素鎖は、親水性部分がベース材料4に固定されることを確実にする。このように、物品表面の意図的な擦過のごとき、表面がいずれの機械的作用に曝露されるかにかかわらず、表面の特性は無傷のままであることが得られる。
【0037】
さらに、物品が固有の潤滑特性を有するようにベース材料4と両親媒性ブロック共重合体2、3と混合すると、引き続いてのコーティングプロセスは必要ではなく、これは生産のコストおよび時間を節約する。
【0038】
両親媒性ブロック共重合体2、3は、商業的に入手可能な共重合体であるIrgasurf(商標)またはUnithox(商標)のいずれでもあることができる。ポリマー混合物全体の重量と比較した、両親媒性ブロック共重合体2、3の重量は、好ましくは0.1%〜20%、より好ましくは、0.5%〜15%、さらにより好ましくは、0.5%〜5%である。
【0039】
少量の両親媒性ブロック共重合体により、ベース材料、すなわち、第1のポリマーの機械的特性は、実質的に減少せず、かくして、医療用物品の機械的特性は維持される。
【0040】
熱可塑性のベース材料4は、例えば、Accurel(商標)、Styroflex(商標)、Styrolux(商標)、Mediprene(商標)、Meliflex(商標)またはEstane(商標)であることができ、こららはすべて、商業的に入手可能な熱可塑性ポリマーである。異なる種類の気道チューブ、例えば、気管内チューブもしくはラリンゲアルマスク、または尿カテーテルのごとき医療用物品の生成のためにその材料を用いることができる。
【0041】
図3は、本発明による材料から製造される中空チューブ部分5’を含む吸引カテーテル5のごとき気道チューブの例を示す。カテーテルは、遠位端および近位端の開口6を有することもでき、カテーテルは、チューブ部分5’を握るためのコネクター7を提供し得る。カテーテルを用いる場合には、開口部に入れる前に体液でわずかだけ湿らせた場合に表面が非常に滑りやすくなるというのが利点である。十分に潤滑になるためには、先行技術からの野高地の公知のコーティングされた物品を30秒まで水に沈めなければならないが、本発明の物品は、単に、例えば、そのようになるように表面上を拭くウェットティッシュによって湿らせることが必要なだけである。
【0042】
さらに、本発明の生成物が先行技術物品においてのごときコーティングを含有しないので、実質的に、化学物質は体内に残らない。また、カテーテルが体内から取り出されていない場合、コーティングがしばしば滴り、体液と接触している場合に汚染を引き起こすために、表面にコーティングはないことは、利点である。コーティングを用いない本発明によるカテーテルを用いる場合には、そうではない。かかるカテーテルの一例は、出典明示して本明細書の一部とみなすWO第2008/155145号に示されている。
【0043】
図4は、チューブ部分9も有利に本発明による混合物から製造できる場合の気道チューブ、気管切開留置用チューブの例を示す。この物品は、外部カニューレであるチューブ部分9自体を含み、それは気道に入場した場合に滑りやすくなるであろう。外部カニューレの内部に、本発明によるポリマー混合物から有利に製造できる内部カニューレ11が入れらされる。このカテーテルはフランジ10に固定された近位端にあり、回転固定部材12は、外部のカニューレに固定される。このデバイスの詳細な記載は、出典明示して本明細書の一部とみなすWO第2008/046418号に見出される。
【0044】
もう一つの具体例において、本発明による混合物の外層、および抗菌性特性のごとき異なる特性を有する、例えば、Agイオンを含む安価な材料または材料の内層を有する医療用物品が、同時押出しされる。
【0045】
以下の実施例において、表面摩耗抵抗の決定方法は公知のコーティングされた物品の表面と比較して説明される。
【0046】
実施例
本発明によるポリマー混合物材料から製造された円形表面、すなわち、カテーテルに対する摩擦の測定を行った。
【0047】
目的:
装置は、円形表面上、例えば、所定の距離でのチューブおよびロッド上での動摩擦を測定するために用いる。このテストは、2つの物品間の比較に単に用い、それはテスト物品が、実質的に同一寸法のものであることを必要とする。
【0048】
方法:
摩擦は式:F=F*μ(式中、F(N)およびFが記録される)を用いることにより計算されるであろう。
【0049】
は、重力を掛けた固定要素(以下に固定物という)−Fを含む物品、すなわち、チューブの重量である。Fは、水平方向で固定物を引っ張ることにより記録される。
【0050】
試験装置は、以下のものよりなる:
・垂直引張強度試験機(ロードセル10N)、
・置換可能な表面および、水平運動を垂直運動に転換するための滑車を持つ水平面、および
・2つの管材料/ロッドの装備用のスライダー固定物。スライダー固定物の重量は調節できる。
【0051】
・試験機は以下を用いた:
2009年6月に較正されたLloyd LRX PLUS、シリアル番号105239、Load cell 10N、シリアル番号015511。
【0052】
プロセス:
図5について、テスト品15はスライダー13の真下に取り付け、置換可能な表面を調製する。現在、濡れた洗浄革を用いる。スライダー13は置換可能な表面に配置し、このスライダーは異なる材料から製造された2本のチューブで作成され、テスト配列を開始する。チューブは、濡れた洗浄革が配列した平面14に配置される。
【0053】
引張力をグラフに記録する。
【0054】
既知の因子FおよびFによって、摩擦係数を計算する。
【0055】
記録:
・スライダーの重量
・記録された平均の力(規定された移動内の1000計測点/秒)
・引張速度(定常値)。
・用いた表面
・起源の利用可能なデータを含むテストした生成物。
【0056】
表1に実験結果をリストする。
選択された材料は、本発明による材料から製造された4つの試料をカバーする。これを4つの商業的に入手可能なカテーテル:SpeediCath(商標)、EasiCath(商標)、LoFric(商標)およびLoFric Plus(商標)と比較する。これらの商業的に入手可能なカテーテルのすべてをコーティングする。結果から見ることができるように、本発明による材料から製造された円筒品で測定された摩擦Fは、商業的カテーテルよりはるかに低く、これはLoFric Plus(商標)に匹敵する。
【0057】
【表1】

【0058】
結果から見ることができるように、3重量%のIrgasurfがベース材料に混合される場合には、摩擦係数は、ほぼ1桁だけ低下する。
【0059】
図6において、図表は、0.0%、0.1%、0.5%、1.5%、3.0または15%のIrgasurf 560HLと混合したMeliflex M6504の物品中で測定した動摩擦係数に基づいて示す。動摩擦係数は、ベース材料Meliflex M6504中の0.0%のIrgasurf 560HLにて1.32、0.1%のIrgasurf 560HLにて1.17、0.5%のIrgasurf 560 HLにて1.14、1.5%のIrgasurf 560HLにて0.15、3%のIrgasurf 560HLにて0.15、および15%のIrgasurf 560HLにて0.13に測定した。
【0060】
これらの結果から見ることができるように、添加したIrgasurf 560HLの量が依然として非常に少ない、すなわち、1.5%だけであるが、測定された動摩擦係数がこの濃度、すなわち、1.15から0.14に実質的に低下するので、Meliflex M6504に混合した1.5%のIrgasurf 560HLにて、意図した効果が得られる。かくして、患者に許容できるために十分な潤滑特性を持つ物品を同時に提供しつつ、この混合物から成形または押出された、カテーテルのごとき物品の機械的特性は依然として維持される。
【0061】
【表2】

【0062】
表2から見ることができるように、MeliflexおよびAccurel以外の熱可塑性ポリマーを第1のポリマー、すなわち、ベースポリマーとしてを用いることができる。表2において、様々なベースポリマーの動摩擦係数をリストし、これらの結果からの図表を図7に見ることができる。表1における両親媒性ブロック共重合体のないベース材料のチューブ物品、例えば、100%のAccurel XP850のチューブ物品を両親媒性ブロック共重合体を含むチューブ物品と比較する場合、両親媒性ブロック共重合体を含むチューブ物品は、両親媒性ブロック共重合体を含まないものより実質的に低い動摩擦係数を有する。また、表2から見ることができるように、MedipreneおよびEstaneは、物品の表面摩擦を低下するために、第1のポリマーとして適切であると分かった。
【0063】
物品の表面は、物品の外表面および/または内表面をいい得る。たとえ、外表面だけが前記に開示されたとしても、低い動摩擦係数を有する内表面は、例えば、患者の検査中に機器により貫かれる医療用チューブにおいて、同様に望ましいかもしれない。
【0064】
本発明の物品は、物品を押出成形、または射出成形により製造し得る。
【0065】
本発明は発明の好ましい具体例と関連して前記に記載されているが、以下の特許請求の範囲により規定される発明から逸脱することなく、いくつかの変形が考えられることは当業者に明らかであろう。
【符号の説明】
【0066】
1.発明によるポリマーを含む物品の一部
2.両親媒性ブロック共重合体炭化水素鎖ブロックの一部
3.両親媒性ブロック共重合体、すなわち、Bブロックの他の部分
4.ベース材料である熱可塑性または熱硬化性ポリマー
5.中空フレキシブルチューブを含む尿カテーテル
5’中空チューブ部分
6.開口
7.コネクター
8.気道チューブ(気管切開留置用チューブ)
9.外部カニューレ
10.気道デバイスの固定用フランジ
11.内部カニューレ
12.回転固定部材
13.スライダー
14.平面
15.テスト品

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1および第2のポリマーを含むポリマー混合物から成形または押出された医療用チューブ物品であって、
−第1のポリマーが熱可塑性または熱硬化性ポリマーであって、
−第2のポリマーが親水性および親油性特性の双方を所有する両親媒性ブロック共重合体であることを特徴とする該医療用チューブ物品。
【請求項2】
該両親媒性ブロック共重合体が、式CHCH(CHCH)a(式中、「a」は10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24または25である)の炭化水素鎖ブロックおよび親水性であるB−ブロックである請求項1記載の医療用チューブ物品。
【請求項3】
熱可塑性の第1のポリマーが、ポリオレフィン、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリウレタン(PUR)、ポリオレフィン、スチレンブタジエン共重合体(SBC)、スチレン−エチレン−ブチレン−スチレン共重合体(SEBS)および熱可塑性エラストマーまたはその組合せよりなる群から選択される請求項1または2記載の医療用チューブ物品。
【請求項4】
Bブロックが、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、エチレングリコール、プロピレングリコール、エピクロルヒドリン、アクリル酸、メタクリル酸、エチレンイミン、カプロラクトン、ビニルアルコールおよび酢酸ビニルの群から選択されたモノマーに由来する2〜10個のモノマー単位よりなる親水性オリゴマー、すなわち、ホモ−またはコ−オリゴマーである、請求項1〜3のいずれか1記載の医療用チューブ物品。
【請求項5】
両親媒性ブロック共重合体が、Irgasurf(商標)、Aquazol(商標)またはUnithox(商標)のいずれかである請求項1〜4のいずれか1記載の医療用チューブ物品。
【請求項6】
両親媒性ブロック共重合体が、ポリマー混合物の0.1〜20重量%、好ましくは0.5〜15%、より好ましくは0.5〜5%を構成する請求項1〜5のいずれか1記載の医療用チューブ物品。
【請求項7】
医療用物品が、気道チューブ、栄養カテーテル、腸カテーテル、吸引カテーテルまたは尿カテーテルである請求項1〜6のいずれか1記載の医療用チューブ物品。
【請求項8】
医療用物品が表面摩擦を有し、表面摩擦が0.4未満、好ましくは開区間0.2〜0.1にある請求項1〜7のいずれか1記載の医療用チューブ物品。
【請求項9】
ポリマー混合物がBブロックの濃度を有し、物品の表面でのBブロックの濃度は、ポリマー混合物の中心におけるBブロックの濃度の2〜60倍、好ましくは、ポリマー混合物の中心におけるBブロックの濃度の3〜50倍を超える請求項1〜8のいずれか1記載の医療用チューブ物品。
【請求項10】
熱可塑性の第1のポリマーが、Accurel(商標)、Styroflex(商標)、Styrolux(商標)、Meliflex(商標)、Estane(商標)またはMediprene(商標)のいずれかである請求項1〜9のいずれか1記載の医療用チューブ物品。
【請求項11】
医療用物品が表面摩耗抵抗を有し、コーティングされた物品に比較した表面摩耗抵抗が、間隔1.5:1〜100:1にある請求項1〜10のいずれか1記載の医療用チューブ物品。
【請求項12】
気道、直腸、膣または尿道のごときヒト開口部への挿入のための請求項1〜11のいずれか1記載の医療用チューブ物品。
【請求項13】
−熱可塑性または熱硬化性ポリマーである第1のポリマー、ならびに両親媒性共重合体である第2のポリマーの粒状混合物の混合、および
−医療用物品の射出成形または押出し
の工程を含む医療用チューブ物品の製造方法。
【請求項14】
両親媒性ブロック共重合体が、親水性および親油性特性の双方を所有する請求項13記載の方法。
【請求項15】
さらに、熱可塑性または熱硬化性ポリマーである第1のポリマー、および両親媒性共重合体である第2のポリマーの粒状混合物を溶融し、次いで、もう一つの粒状物を形成し、ここに、各粒状物は第1および第2のポリマーの混合物である工程を含む請求項13記載の方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate


【公表番号】特表2013−509218(P2013−509218A)
【公表日】平成25年3月14日(2013.3.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−535845(P2012−535845)
【出願日】平成22年10月29日(2010.10.29)
【国際出願番号】PCT/EP2010/066459
【国際公開番号】WO2011/051439
【国際公開日】平成23年5月5日(2011.5.5)
【出願人】(506324208)ウノメディカル アクティーゼルスカブ (25)
【Fターム(参考)】