説明

医療用処置室、医療用支援システム

【課題】分娩など被処置者が精神の安定を得られる医療用処置室を提供する。
【解決手段】医療用処置室10は、映写装置(プロジェクター)20a〜20dからなる映像出力部と、音響装置(スピーカ)30aおよび30bからなる音声出力部と、照明装置40a〜40dからなる照明部と、操作板50aおよび操作パネル50bからなる操作部50と、制御装置と、に加え、医療用処置室としての通常の設備を有して、接合部が湾曲した壁面に境界なく画像を映写することによって、被処置者にとって快適な空間を演出する。また、音声、照明、芳香等を協調させることで、被処置者がより精神の安定を得られるよう支援する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、医療用処置室、及び医療用支援システムに関する。
【背景技術】
【0002】
今日、分娩に母体の精神状態が大きく関わることが知られており、母体の精神状態を安定させる分娩法が実践されている。例えば、ラマーズ法と称される呼吸法は、呼吸に集中することで母体の緊張を緩和させ陣痛を和らげるものである。引用文献1には、呼吸のリズムを知らせる装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−325702号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、実際に呼吸法によって十分なリラックス効果を得るには、出産前からのトレーニングが必要である。また、その他の分娩法も数多くあるが、トレーニングなしに精神状態を安定させるのは難しく、そもそも分娩時に意識をコントロールすることは容易なことではない。
【0005】
そこで本発明は、被処置者が精神の安定を得られるよう支援する医療用処置室を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る医療用処置室は、壁面をスクリーンとして使用する医療用処置室であって、側面と、天井面と、の接合部の少なくとも一部が相互に湾曲し、前記側面と、前記天井面と、にわたって画像を投影する複数の映写装置と、床面の中央部に設置される、被処置者を収容する処置台と、を備えていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
被処置者が精神の安定を得られるよう支援する医療用処置室を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る医療用支援システム100の上面図である。
【図2】医療用処置室10を、図1のX−X’線断面を矢視方向Yから見た場合の断面図である。
【図3】医療用処置室10の斜視図である。
【図4】図4は、医療用支援システム100の機能構成を説明するためのブロック図である。
【図5】テーマテーブル1211の説明図である。
【図6】条件テーブル1221の説明図である。
【図7】制御装置101の処理を説明するためのフロー図である。
【図8】制御装置101の電気的な構成を説明するためのブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明の一実施形態について、図面を参照しながら説明する。尚、すべての図面において同様の構成要素には同様の符号を付し、適宜説明を省略する。
【0010】
図1に、本発明の一実施形態に係る医療用支援システム100の斜視図を示す。
【0011】
図1に示すように、医療用支援システム100は、スクリーンを兼ねる医療用処置室10と、図示しない制御装置101と、を有している。
【0012】
医療用処置室10は、映写装置(プロジェクター)20a〜20dからなる映像出力部20と、音響装置(スピーカ)30aおよび30bからなる音声出力部30と、照明装置40a〜40dからなる照明部40と、操作板50aおよび操作パネル50bからなる操作部50と、制御装置101と、に加え、医療用処置室としての通常の設備を有しているものである。
【0013】
図2に、医療用処置室10を図1のX−X’線断面を矢視方向Yから見た場合の断面図を、図3に、医療用処置室10の斜視図を示す。
【0014】
医療用処置室10は、4つの側面、天井面5、および床面6の計6面からなり、その中央に処置台90が設置された分娩室である。ここでは、被処置者が処置台90に収容された場合において、被処置者の左側の側面を左側面1、足側の面を前面2、右側の側面を右側面3、頭部側の面を背面4として説明する。
【0015】
医療用処置室10は、背面4及び床面6を除いた面の接合部(すなわち、図3に示す左側面1と前面2との接合部である湾曲面12、前面2と右側面3との接合部である湾曲面23、左側面1と天井面5との接合部である湾曲面15、前面2と天井面5との接合部である湾曲面25、および、右側面3と天井面5との接合部である湾曲面35)が、四分円状に湾曲面して構成されている。このような医療用処置室10では、視覚上、背面4を除く側面と側面、および天井と側面の境界が分からないようになっている。
【0016】
なお、各接合部は、長方形状の鉄板を複数並べて湾曲面を形成した後、鉄板上に下地となるボードを貼り、塗料を塗装することで形成することができる。色は白色が望ましい。
【0017】
図2に示すように、医療用処置室10の右側面3には出入口Aが、背面4には出入口BおよびCが設けられている。
加えて、右側面1、前面2、および左側面3と、これらの接合部を形成する湾曲面12、23に沿って、照明棚7が形成されている。照明棚7は、その上面のみが光透過性の部材で構成されており、内部に収容された照明装置40aおよび40bからの光を透過させて室内を上方向に照明させる。すなわち、照明は天井側の接合部15、25、35に向かって照射されるので、陰が生じにくく、間接光でありながら処置に要する光量を確保することが可能である。なお、照明棚7の上面と同じ高さの台8をさらに設けてもよい。
【0018】
さらに背面4には、出入り口BおよびCの上部に前面2の方向に開口する機材設置棚45が形成されている。機材設置棚45には、後述の映写装置、照明装置、音響装置等が設置される。なお、機材設置棚45に、図1〜3には図示しない制御装置101を設置してもよい。
【0019】
映像出力部20は、左側面1と接合部12、15を含むA面に映像を投影する映写装置20aと、前面2と接合部12、23、25を含むB面に映像を投影する映写装置20bと、右側面3と接合部23、35を含むC面に映像を投影する映写装置20cと、天井面5と接合面15、25、35を含むD面に映像を投影する映写装置20dと、を有している。これらの映写装置20a〜20dは、液晶パネルを内蔵し、放電光を利用した光源ランプからの光を透過させてレンズを介し拡大投射するプロジェクターである。なお、画像を各面に投影可能であれば、プロジェクターの形式に制限はない。
【0020】
また、各映写装置は、制御装置101から供給される画像信号に基づいて画像を投影する。該画像信号が相互に協調した4面合成画像であれば、各映写装置からの画像は、映像ブレンディングによりA面〜D面に境界なく一体の画像として映写される。
【0021】
またここでは、映写装置20aは右側面3と背面4との接合部の上角部に、映写装置20bは機材設置用の棚45に、映写装置20cは左側面1と背面4との接合部の下角部に、映写装置20dは右側面3と背面4との接合部の下角部に、それぞれ設置されているものとする。
【0022】
音声出力部30は、機材設置棚45に設置される音響装置30aと音響装置30bとからなる。これらの音響装置30aおよび30bは、制御装置101に接続され、制御装置101から供給される音声信号に基づいて音声を出力する。なお、各音響装置は、処置台90に音声が届き、医療行為の妨げにならない位置であれば、特に制限はない。
【0023】
照明部40は、照明棚7の内部に収容され、上方を照らす3色(RGB)LEDの照明装置40a、40bと、機材設置用の棚45に設置され、室内の任意の場所を照らす3色(RGB)LEDの照明装置40c、40dと、からなる。各照明装置は、制御装置101に接続され、制御装置101から供給される信号により発光する。これらは、輝度の調節を受けることでさまざまな色での照明を実現できる。
【0024】
操作部50は、オペレータからの入力を受け付けるためのユーザインタフェースであり、利用者が踏みつけることで押下可能なペダルスイッチを備える操作板50aと、ディスプレイおよびGUI上の目的の動作を示すグラフィクスを操作するためのポインティングデバイス等を含む操作パネル50bと、を備えている。なお、ポインティングデバイスは、マウスや画面に直接接触するようなタッチパネル等、どのようなものでもよい。操作部50を介した指示は、制御装置101に送信される。
【0025】
操作板50aは、医療用処置室の床面6に設置され、医師、看護師、助産師などの処置を施す者が手を使用せずに、足で衛生的に操作できるようになっている。なお、操作板50aは複数のペダルスイッチを搭載しており、本実施形態では、それぞれのペダルが後述するテーマにリンクされ、利用者はスイッチを踏むことで再生テーマを設定することができるようになっている。また、操作板50aには、後述するモードを選択するためのペダルスイッチも別途設けられているものとする。なお、各ペダルスイッチには、それぞれ異なる色彩が施されており、暗い中でもテーマおよびモード別の各ペダルスイッチが明確に見分けられるようになっている。
これにより、操作者は、テーマ選択と再生開始・終了指示を、ペダルスイッチを介して入力することができる。
【0026】
操作パネル50bは、ディスプレイ上に制御装置101から送信される画像情報に基づく選択メニューが表示され、利用者は当該選択メニューを介して、テーマおよびモードを選択することができる。
【0027】
なお、室内には、複数の芳香剤を収容し、医療用処置室内に芳香剤を放出する芳香装置80がさらに設けられていてもよい。なお、芳香装置80は、制御装置101に接続されており、制御装置101からの信号に基づいて任意の芳香剤を放出することができる。
【0028】
次に、制御装置101について説明する。図4は、制御装置101の機能的な構成を示すブロック図である。
【0029】
制御装置101は、図4に示すように、制御部110と、記憶部120と、センサ群130と、I/F部140と、を有する。
【0030】
I/F(入出力インターフェース)部140は、映像出力部20と、音声出力部30と、照明部40と、操作部50と、センサ群130と、を制御装置111の制御部110に接続する。
【0031】
センサ群130を構成するセンサはどのようなものであっても良いが、ここでは、被処置者の脈拍を脈拍計131、被処置者の心臓の拍動に伴う心筋細胞の活動電位の時間的変動を検出する心電計132、室内の音声の音域および音量を検出する音声センサ133を備えているものとする。
【0032】
次に記憶部120について説明する。記憶部120は、テーマに関するデータを記憶するテーマ記憶領域121と、テーマの再生条件を記憶する条件テーブル記憶領域122と、を有している。
【0033】
テーマとは、画像データ、音声データ、照明データ、および芳香データ等単体、または、複数組み合わせたものであり、テーマ記憶領域121には、各データと、図5に示すテーマテーブル1211とが格納されている。画像データは、例えば、写真画像、ビデオ画像、CGアニメーション画像等であり、照明データは、例えば、照明の照射時間、照射タイミング、色、輝度等のパターンに関する情報である。芳香データは、例えば芳香剤の種類、芳香タイミング、芳香剤の放出強度等に関する情報である。各データはそれぞれ識別子が付与されて管理されている。
【0034】
テーマテーブル1211は、テーマ名が格納されるテーマ名格納領域1211aと、各テーマで再生される各データの識別子が格納されるデータ識別子格納領域1211bと、を有している。なお、テーマは、画像データ、音声データ、照明データ、および芳香データの全てが揃っている必要はないが、テーマを構成する各データは、協調して利用者にエンタテインメント性を感じさせるものであることが望ましい。
特に、本実施形態の分娩室は、視覚効果上、つなぎ目の無いスクリーンに投影するものであるから、開放空間を演出可能な動画像が効果的である。たとえば、大地や草原などの大自然を連想させる画像、上昇する気泡を写し水中に潜ったような感覚を抱かせる画像、など幻想的な画像が挙げられる。
【0035】
次に、条件テーブル記憶領域122について説明する。条件テーブル記憶領域122には、テーマの再生条件が格納される条件テーブル1221が記憶されている。図6に示すように、条件テーブル1221は、テーマの再生条件が格納される条件格納領域1221aと、再生テーマ名が格納される再生テーマ名格納領域1221bと、を有している。
【0036】
テーマの再生条件とは、再生テーマを決定するための条件であり、センサ群130からの信号に基づくものある。ここでは例えば、脈拍計131から判断される被処置者の脈拍値、心電計132から判断される心拍数や心拍リズム、音声センサ133から判断される音域や音量等、もしくは、その組み合わせである。
【0037】
具体的には、被処置者の脈拍値の所定の範囲、心拍数の所定の範囲、音域の所定の(例えば、新生児の泣き声に特徴的な)範囲等が再生条件として条件格納領域1221aに格納され、検出値がその範囲にあれば、関連付けられた再生テーマが再生される。なお、利用者が操作部50を介して、任意の条件と当該条件を満たす場合の再生テーマとを登録することも可能である。
【0038】
制御部101は、利用者の操作から動作モードを変更するモード設定部111と、再生するテーマを選択するテーマ選択部112と、各テーマで再生されるデータを記憶部120から読み出して信号を生成・出力するテーマ再生部113と、を有している。
【0039】
モード設定部111は、利用者からの操作部50を介した動作モードの変更を受け付ける。本実施形態では、利用者が望む再生テーマを選択する利用者選択モードと、センサ群130からの検出信号に基づいて、制御装置101が自動的にテーマを選択する自動選択モードと、の2通りの動作モードが備えられているものとする。モード設定部111は、動作モードが変更されると、テーマ選択部112に変更先の動作モードを識別するための情報を含む変更通知を出力する。
【0040】
テーマ選択部112は、変更通知を受信すると、変更先の動作モードに基づく処理の実行を開始する。各動作モードにおけるテーマ選択部112の処理について、以下、説明する。
【0041】
動作モードが利用者選択モードに変更された場合、テーマ選択部112は、操作部50を介して利用者からテーマの変更操作を受け付ける。そして、テーマ選択部112は、利用者から指示されたテーマの再生を、テーマ再生部113へと要求する。
【0042】
動作モードが自動選択モードに変更された場合、テーマ選択部112は、センサ部130から検出信号の受信を開始する。そして、テーマ選択部112は条件テーブル1221を参照して、センサ部130の検出信号と合致する再生条件と、当該再生条件に関連付けられた再生テーマを特定し、当該テーマの再生をテーマ再生部113へと要求する。
【0043】
なお、検出信号に基づく再生条件の特定は、どのような方法で行われてもよい。例えば、全ての検出値が完全に一致する内容の条件を特定する方法や、各条件に予め優先順位を付与しておき、優先順位の高い順に検出値と条件とを比較する方法等である。
【0044】
テーマ再生部113は、テーマ選択部112からテーマの再生要求を受け付けると、テーマテーブル1211を参照して、再生テーマに関連付けられた画像データ、音声データ、照明データ、および芳香データの識別子を特定し、記憶部120から当該データを読み込む。そして、各データを再生するための信号を生成し、映像出力部20、音声出力部30、照明部40、芳香装置80に対して出力する。
【0045】
ここで、医療用支援システム100のハードウェア構成について説明する。図8は、制御装置101の電気的な構成を示すブロック図である。
【0046】
図8に示すように、制御装置101は、プログラムが動作する一般的なコンピュータであり、例えば、パーソナルコンピュータや、ワークステーションである。
【0047】
図8に示すように、制御装置101は、各部を集中的に制御するCPU(Central Processing Unit)901と、各種データを書換え可能に記憶するメモリ902と、各種のプログラム、プログラムの生成するデータ等を格納する外部記憶装置903と、これらを接続するバス904と、を備える。制御装置101は、例えば、外部記憶装置903に記憶されている所定のプログラムを、メモリ902に読み込み、CPU901で実行することにより実現可能である。
【0048】
なお、上記した各構成要素は、制御装置101の構成を理解容易にするために、主な処理内容に応じて分類したものである。その名称によって、本願発明が制限されることはない。制御装置101が行う処理は、処理内容に応じて、さらに多くの構成要素に分類することもできる。また、1つの構成要素がさらに多くの処理を実行するように分類することもできる。
【0049】
また、各機能部は、ハードウエア(ASICなど)により構築されてもよい。また、各機能部の処理が一つのハードウェアで実行されてもよいし、複数のハードウェアで実行されてもよい。
【0050】
以上のような制御装置101の処理について、図7を用いて説明する。図7は、電源投入後に開始される制御装置101の制御部110の処理の流れを示すフローチャートである。
【0051】
モード設定部111は、操作部50を介した利用者からのモード変更指示を受け付ける(S11)。モード変更指示があった場合には(YES)、モード設定部111は、テーマ選択部112に、指示されたモードを識別するための情報を含むモード変更通知を出力する(S12)。
【0052】
テーマ選択部112は、モード変更通知を受け付けると、利用者から指示されたモードの種類を判断する(S13)。指示されたモードが自動選択モードであった場合には(YES)、ステップS14へ、利用者選択モードであった場合には(NO)、ステップS18へと進む。
【0053】
モードが自動選択モードであった場合(S13でYES)、テーマ選択部112は、センサ群130の各センサからそれぞれ信号を取得し(S14)、条件テーブル1221を参照して各信号に一致するレコードの再生テーマ名を取得する(S15)。そして、テーマ選択部112は、再生テーマを識別するための情報(テーマ名)を含むテーマ再生要求を、テーマ再生部113へと出力する。
【0054】
一方、モードが自動選択モードであった場合(S13でNO)、テーマ選択部112は、操作部50を介した利用者からのテーマ変更指示を受け付ける(S18)。テーマ変更指示があった場合には(YES)、テーマ選択部112は、指示された再生テーマを識別するための情報(テーマ名)を含むテーマ再生要求を、テーマ再生部113へと出力する。
【0055】
テーマ再生部113は、テーマ再生要求を受け付けると、テーマテーブル1211を参照して、一致するテーマ名のレコードから、当該テーマに関連付けられた画像データ、音声データ、照明データの識別子を取得する(S16)。さらに、テーマ再生部113は、各識別子で特定されるデータをテーマ記憶領域121から読み込み、映像出力部20、音声出力部30、照明部40に対し、各データを再生するための信号を出力し(S17)、再びS13に戻って、処理を繰り返す。なお、テーマ再生部113は、データの再生中に、操作部50を介して中止要求を受け付けると、再生を中止してS11の処理を戻す。
【0056】
上記したフローの各処理単位は、制御装置101の処理を理解容易にするために、主な処理内容に応じて分割したものである。構成要素の分類の仕方やその名称によって、本願発明が制限されることはない。制御装置101の構成は、処理内容に応じて、さらに多くの構成要素に分割することもできる。また、1つの構成要素がさらに多くの処理を実行するように分類することもできる。
【0057】
以上、本実施形態に係る医療用支援システム100について説明した。
【0058】
このような構成によれば、医療用支援システム100は、映像、音声、照明、および芳香等を組み合わせることによって、被処置者の望む空間を演出し、被処置者は精神的な安定を速やかに得ることができる。
【0059】
また、3面アール構造の医療用処置室10をスクリーンとして使用することで、境界の無い画像を4面に映し出すことができる。これにより、被処置者の方向感覚を混乱させ、あたかも空中に浮いているような間隔を呼び起こすことが可能である。また、処置室という限られた空間においても、天井や壁面による閉塞感感じさせることなく、開放感を感じさせることができる。
【0060】
さらに、全天型のドームとは異なり、中央に映写装置を置く必要がないため、被処置者を部屋の中央に位置させることができる。これにより、被処置者は自分が中心となってより臨場感を得る事が可能である。また、ドーム型ではないため、音声が被処置者に集まってしまい、処置の妨げとなることがない。
【0061】
また、センサからの信号に基づいて再生テーマを変更することで、より被処置者の状態にあわせた最適な空間を演出することができる。
【0062】
例えば、制御部101は、脈拍や心拍数が予め定めた値を超えた場合に、予め定められたリラックスを促す画像や音声を出力することができる。
【0063】
また、制御部101は、取得音声が予め定められた音域にある場合、予め定められたリラックスを促す画像や音声を出力することができる。たとえば、取得音声の音域が、予め定められた新生児の泣き声の音域に相当する場合、予め定められた妊婦にリラックスを促す画像や音声を出力することができる。
【0064】
また、制御部101は、取得した音声の音域を監視し、予め定めた音域の音声の取得があった後に、所定の時間経過後、取得される脈拍や心拍数が予め定めた値に収まった場合は、妊婦が出産後に緊張が緩和したとして、予め定めた誕生を祝う画像や音声を出力するようにしてもよい。
【符号の説明】
【0065】
1:左側面、2:前面、3:右側面、4:背面、5:天井面、6:床面、7:照明棚、8:台、10:医療用処置室、12,23,15,25,35:湾曲面、45:機材設置棚、20:映像出力部、30:音声出力部、40:照明部、50:操作部、80:方向装置、90:処置台、101:制御装置、110:制御部、120:記憶部、130:センサ群、140:入出力インターフェース部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
壁面をスクリーンとして使用する医療用処置室であって、
側面と、天井面と、の接合部の少なくとも一部が相互に湾曲し、
前記側面と、前記天井面と、にわたって画像を投影する複数の映写装置と、
床面の中央部に設置される、被処置者を収容する処置台と、を備えている
ことを特徴とする医療用処置室。
【請求項2】
請求項1に記載の医療用処置室であって、
前記画像が投影される側面は、前記処置台に前記被処置者が収容された際における、該被処置者の左右の側面、および足側の側面である
ことを特徴とする医療用処置室。
【請求項3】
請求項1または2に記載の医療用処置室であって、
音響装置をさらに備えている
ことを特徴とする医療用処置室。
【請求項4】
請求項1から3の何れか一項に記載の医療用処置室であって、
照明装置をさらに備えている
ことを特徴とする医療用処置室。
【請求項5】
請求項4に記載の医療用処置室であって、
前記照明装置は、前記側面に沿って配置され、上方向を照射するものである
ことを特徴とする医療用処置室。
【請求項6】
請求項1から5の何れか一項に記載の医療用処置室を備える医療用支援システムであって、
画像データを記憶する記憶手段と、前記映写装置に投影させる前記画像データを出力する制御手段と、を有する制御装置を備えている
ことを特徴とする医療用支援システム。
【請求項7】
請求項6に記載の医療用支援システムであって、
前記医療用処置室は、当該医療用処置室内の音声の音域を検出するセンサを備え、
前記制御装置は、前記センサが検出した音域が所定の範囲にある場合に、前記記憶手段に記憶される所定の画像データを出力する
ことを特徴とする医療用支援システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2011−229596(P2011−229596A)
【公開日】平成23年11月17日(2011.11.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−100617(P2010−100617)
【出願日】平成22年4月26日(2010.4.26)
【出願人】(510116314)株式会社 T&Mコーポレーション (1)
【出願人】(510116325)有限会社 デルタデザイン (1)
【Fターム(参考)】