説明

医療用流体の処理のための装置および外部機能手段および処理機器

本発明は、少なくとも1つの流体受容チャンバ(1)と少なくとも1つの疎水性フィルタ手段とを備える装置(100)に関し、疎水性フィルタ手段を貫通する垂直線は、流体受容チャンバ(1)内に存在する流体(5)の流体レベル(7)と交点を有さない。また、本発明は、外部機能手段および処理機器に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は請求項1の前文に係る装置に関する。また、本発明は、請求項28に係る外部機能手段、および、請求項32に係る処理機器に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば医療技術などにおける様々な処理機器は、流体が処理されあるいは一時的に保管されるようになっている装置を備える。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明の目的は、この目的に適した他の装置を特定することである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
この目的は、請求項1の特徴を有する装置によって達成される。以下の説明の全てにおいて、表現「よい(場合がある、できる)/(複数が)有する」の使用は、「好ましい/(単数が)有する」と同じ意味であると理解されるべきである。
【0005】
本発明の装置は、少なくとも1つの第1の医療用流体を受けるのに適しかつ受けるように構成されている少なくとも1つの流体受容チャンバを備える。本発明の装置は、第2のガス流体を流体受容チャンバの内部へ送り込むあるいは供給するための少なくとも1つの疎水性フィルタ手段を更に備える。
【0006】
ここで使用される表現「流体受容チャンバ」は、流体で完全にあるいは部分的に満たされて流体を受けるのに適し、かつその使用目的にしたがって流体で完全にあるいは部分的に満たされて流体を受けるように意図されている内部または内側空間を有するチャンバまたは容器を示す。
【0007】
本発明の意味の範囲内の「第1の流体」は、本発明に係る受容手段へ導入するように想定されあるいは意図される任意の医療用液体および/または任意の医療用ガスならびにこれらの任意の組み合わせを含む。好ましい態様では、第1の流体は血液である。
【0008】
したがって、表現「第1の流体」は、表現「医療用流体」と同じ意味で使用されるものとする。
【0009】
「第2の流体」は、ガス流体であり、好ましくは空気である。
【0010】
ここで同意語として使用される表現「フィルタ手段」または「疎水性フィルタ手段」は、流体受容チャンバを通じて導かれるようになっている流体に対してフィルタ効果を及ぼすように構成されて意図される手段を示す。あるいは、本発明の意味の範囲内のフィルタ手段は、フィルタ効果を有さない膜を示す。
【0011】
フィルタ効果は、例えば、流体受容チャンバに送り込まれるあるいは供給される流体の浄化、特に例えば固形物、ウイルスまたはバクテリアなどの微生物などの保持を包含してもよい。
【0012】
本発明によれば、フィルタ手段は、疎水性フィルタ手段のフィルタ表面の法線ベクトルが流体受容チャンバ内に存在する第1の流体の流体レベルの面の法線ベクトルと平行に延びないように配置される。すなわち、2つの法線ベクトルが1つの面内に存在しない。
【0013】
フィルタ表面に関してここで使用される表現「法線ベクトル」は、フィルタ手段の任意の表面部または断面またはセグメントに対する法線ベクトルを示す。フィルタ表面の法線ベクトルは、フィルタ手段の主延在部の面に対して垂直な線、特に好ましい態様では、フィルタ手段の主要部の表面に対して垂直な線、非常に特別に好ましい態様では、フィルタ手段の中心部に対して垂直な線、または、フィルタ手段または非フィルタリング膜のフィルタリング部に対して垂直な線であってもよい。フィルタ表面のそのような法線ベクトルは、垂直線、または、前述した部分のうちの1つに対して垂直な線を表わしてもよい。
【0014】
ここで使用される表現「流体レベルの面の法線ベクトル」(前述のフィルタ表面の法線ベクトルに関する定義と同様に)は、流体レベルの面の任意の部分またはセグメントまたは領域に対する法線ベクトルを示す。
【0015】
本発明によれば、表現「流体表面」は、流体受容チャンバ内に存在する第1の流体の流体表面またはレベル(これらの2つの表現は以下では同意語として使用される)に関する。
【0016】
流体レベルは流体受容チャンバの内部に制限される。流体レベルは流体受容チャンバの外側を越えない。流体レベルは、好ましくは、流体レベルを通って描かれる面全体であると理解されず、壁または他の構造によって限定される流体受容チャンバの内側のこの面の領域のみである。
【0017】
流体レベルは、流体受容チャンバ内に同様に存在する第1の流体と第2の流体との接触領域または接触部分に限定されるのが好ましい。流体レベルはこれを越えて延在しないことが好ましい。したがって、流体レベルは、流体受容チャンバ内にのみ存在することが好ましい。
【0018】
ハンティング(hunting)またはスロッシング(sloshing)のそれぞれの場合、および/または、例えば流体受容チャンバ内に存在する流体の回転動作および/または波打つ動作などの流れ動作の場合には、流体レベルまたはその垂直線をそれぞれ引いて決定することが難しい場合がある。したがって、本発明に関しては、流体レベルは、平均レベル、または、流体受容チャンバ内に存在する流体の任意のスロッシングおよび/または流れ動作を考慮して平均化された充填高さであると理解されることが好ましい。
【0019】
流体レベルは、好ましくは、流体の流れの静止状態または静的な流体状態で決定されてもよい。そのような静止状態が装置の使用中に得られるかどうかは重要ではない。この目的のためには、そのような静止状態を想定すればあるいはそのような静止状態に近づければ十分である。
【0020】
本発明の有利な実施形態または進展がそれぞれの添付の特許請求の範囲の主題である。
【0021】
好ましい実施形態において、フィルタ表面の法線ベクトルは、流体レベルの面の法線ベクトルに対して略垂直である。
【0022】
ここで使用される表現「略垂直」は、本発明の装置を備える外部機能手段(例えば血液処理カセット)が使用中に僅かな傾き、例えば最大で±15°の傾きを成すが、それにもかかわらず外部機能手段内の流体または液体のレベルがフィルタ手段のそのような傾きで水平のままとどまるという事実に例えば起因する、直角からのずれを包含する。
【0023】
本発明の他の好ましい実施形態において、フィルタ表面の法線ベクトルは、流体受容チャンバ内に存在する第1の流体の(先に規定された)流体レベルと交点を有さない。
【0024】
本発明に係る好ましい実施形態において、装置は、第2の流体を供給するための少なくとも1つの流体供給チャンバを備える。
【0025】
ここで使用される表現「流体供給チャンバ」は、第2の流体を受けてこの第2の流体を流体受容チャンバへ供給するのに適しかつそのように意図された内部または内側空間を有するチャンバまたは容器を示す。
【0026】
流体供給チャンバが射出成形チャンバとして製造されてもよい。流体供給チャンバが使い捨て流体供給チャンバであってもよい。
【0027】
流体供給チャンバはその少なくとも一部が流体受容チャンバに接続されてもよい。
【0028】
流体供給チャンバは、材料接続によって流体受容チャンバに接続されてもよく、あるいは、流体受容チャンバと一体であってもよい。
【0029】
流体供給チャンバは、例えば、流体受容チャンバの製造中に実現されてもよい。
【0030】
流体供給チャンバは、少なくとも1つの隔壁または部分壁によって流体受容チャンバから分離されてもよい。
【0031】
本発明の他の好ましい実施形態では、フィルタ手段が流体供給チャンバの内部に配置される。
【0032】
好ましい態様では、流体供給チャンバおよび流体受容チャンバがフィルタ手段だけを介して互いに流体連通する。第2の流体が流体供給チャンバからフィルタ手段を介して流体受容チャンバ内へ導入されあるいは供給されあるいは送り込まれることが好ましい。
【0033】
特に好ましい態様において、フィルタ手段は、流体受容チャンバ内に存在する第1の流体がフィルタ手段を通じて流体供給チャンバ内に入ることができないように構成されて設けられる。
【0034】
この目的を達成するため、流体受容チャンバに供給されるべき第2の流体がフィルタ手段を通過しあるいは流通してもよい。好ましい態様において、第2の流体は、望ましくない固体、望ましくない流体、バクテリアなどからフィルタ手段であるいはフィルタ手段によって洗浄されあるいは浄化されるのが有益である。このようにすると、装置の外部から流体受容チャンバ内への望ましくない物質の導入または取り込みを防止することができ有益である。また、流体受容チャンバを発端とするその拡散または蔓延も回避することができ有益である。
【0035】
第2の流体は、流体供給チャンバに接続できるあるいは接続される流体コネクタを介して流体供給チャンバへ供給され、流れ込まされ、導入されるなどしてもよい。
【0036】
流体コネクタはスリーブタイプ構造であってもよい。流体コネクタは、流体供給チャンバの壁または側壁と一体に製造されてもよい。流体コネクタは、流体供給チャンバの壁または側壁の外面上にあるいは外面に設けられてもよい。流体コネクタは、流体供給チャンバ内に配置されるフィルタ手段の領域内に設けられてもよい。流体コネクタは、フィルタ手段に直接に接続されあるいは結合されてもよい。
【0037】
流体コネクタは、1または複数の接続孔の媒介により流体供給チャンバの壁または側壁の内側に接続されてもよい。
【0038】
本発明に係るそれぞれの実施形態において、流体受容チャンバは、例えば、射出成形チャンバの形態で製造されてもよい。
【0039】
流体受容チャンバが使い捨て流体受容チャンバであってもよい。
【0040】
流体受容チャンバがチャンバの外側と流体連通してもよい。流体受容チャンバがチャンバの外側との2つ以上の流体接続部を有してもよい。
【0041】
他の好ましい実施形態では、フィルタ手段が少なくとも1つのフィルタ膜を備える。
【0042】
「フィルタ膜」は、流体受容チャンバに供給される第2の流体から望ましくない異物などを濾過するように構成されて意図されることが好ましい。しかしながら、本発明によれば、フィルタリング機能が膜の不可欠なあるいは必須の特性ではない。フィルタ膜は、膜においてよく知られる通例の特性を有する。
【0043】
フィルタ膜を用いて、流体受容チャンバが流体供給チャンバの流体コネクタからおよび/または装置の外側から外されることが好ましい。
【0044】
フィルタ膜が任意の適した形状を有してもよい。フィルタ膜は、例えば、円形、多角形、特に長方形、楕円形などになるように構成されてもよい。
【0045】
フィルタ膜は、フィルタ膜リボンから切り出されてもよく、および/または、所定のケースでは、特定の形状にカットされてもよい。
【0046】
フィルタ膜が使い捨てフィルタ膜であってもよい。
【0047】
フィルタ膜が疎水性膜であってもよい。フィルタ膜が少なくとも一方側で疎水性を有してもよい。
【0048】
フィルタ膜は、2つの層、すなわち、第1に、主にPTFE(ポリテトラフルオロエチレン)などの溶着が難しく接着が難しい材料から成る適切な膜自体と、第2に、排出機能および/または支持機能を有しかつ主に溶着されおよび/または接着され得る織布および/または不織布から成る層とから成ってもよい。前述の層は別として、フィルタ膜が選択的に更なる層または構成要素を備えてもよい。
【0049】
フィルタ膜が殺菌膜であってもよい。
【0050】
フィルタ膜は、接着に適さないあるいは不十分にしか適さない材料および/または溶着に適さないあるいは不十分にしか適さない材料から構成されてもよく、あるいは該材料を含んでもよい。
【0051】
フィルタ膜は、材料接続によって(例えば溶着および/または接着によって)および/または摩擦接続によって(例えばOリングによる押圧によって)および/または形状閉塞接続によって流体供給チャンバと接続されあるいは一体化されてもよい。
【0052】
例えば処理の継続時間中など、装置の使用中に、フィルタ膜は、流体受容チャンバによって課される(流出ガス、蓄積液体)および/または処理機器の方向からの(流入ガス、障害時の蓄積液体、および/または、凝縮によってもたらされる望ましくない液体)変動圧力に晒される場合がある。構造的損傷または膜の裂けを引き起こす場合があるこれらの圧力差による変形に対して、平面利用領域でおよび/またはその例えば流体供給チャンバの壁上のシール(一般的には溶着)位置でフィルタ膜を保護するものとして、フィルタ膜の機械的支持が有利な場合がある。
【0053】
そのような機械的な支持を達成するために支持構造体を使用することができる。支持構造体は、フィルタ膜の支持面がフィルタ膜を通じた流体の望ましい通過、例えば有用なガスの通過を妨げるべくシールしないように構成される。
【0054】
フィルタ手段は対称構造または非対称構造を有してもよい。
【0055】
本発明の好ましい実施形態において、フィルタ手段は、少なくとも一方側または両側に支持構造体を備える。
【0056】
第1および第2の支持構造体がフィルタ膜の両側に設けられてもよい。これらの支持構造体は別々に配置されてもよくあるいはフィルタ膜と別個となるように配置されてもよい。第3の支持構造体が膜層上に配置されてもよい。第3の支持構造体は不織布、織布などの形態を成すことが好ましい。
【0057】
第1の支持構造体は流体コネクタのハウジングの内側に設けられることが好ましい。第1の支持構造体は排出構造体を有していてもよい。第1の支持構造体は排出効果をもたらしあるいは与えてもよい。
【0058】
第1の支持構造体は、摩擦によっておよび/または形状閉塞によっておよび/または材料接続によって流体供給チャンバに接続されてもよい。好ましい態様において、第1の支持構造体は、その外周領域で摩擦によりおよび/または形状閉塞によりおよび/または材料接続により流体供給チャンバに接続される。
【0059】
フィルタ膜は、一般に、接着に適さないあるいは不十分にしか適さない材料および/または溶着に適さないあるいは不十分にしか適さない材料から成るため、流体供給チャンバの内部に面する支持構造体は、少なくとも1つの外側領域で、好ましくはその外周領域で、流体供給チャンバに接続されてもよい。
【0060】
好ましい態様において、第1の支持構造体は、材料接続によって、例えば溶着によって、例えば熱溶着によって、流体供給チャンバに接続される。第1の支持構造体は、流体供給チャンバとあるいはその接続領域に熱溶着されてもよい。
【0061】
この目的を達成するため、第1の支持構造体は、(好ましくはその外側領域が)流体供給チャンバの接続領域よりも融点が高い材料から形成される。
【0062】
第1の支持構造体を流体供給チャンバまたはその接続領域と溶着する最中に、加熱により液化される流体供給チャンバの材料が支持構造体の多孔質構造中に侵入してもよい。液体材料がフィルタ膜に至るまで侵入してもよい。このようにすると、流体供給チャンバ、第1の支持構造体、および、フィルタ膜の間に解放不可能な接続を形成することができ有益である。同時に、フィルタ膜を特に横方向でシールすることができ有益である。
【0063】
第2の支持構造体は薄壁の射出成形部品であることが好ましい。第2の支持構造体は、膜層に面する側にあるいは両側に排出構造体を備えることが好ましい。
【0064】
第1および/または第2の支持構造体は射出成形によって形成されてもよい。
【0065】
例えば、第1の支持構造体は、射出成形技術によって製造される流体供給チャンバの壁に組み込まれてもよい。
【0066】
他の好ましい実施形態において、フィルタ膜は、流体供給チャンバの内部から離れたほうを向くフィルタ膜の側に第2の支持構造体を備える。
【0067】
第2の支持構造体がフィルタ膜と略平行に配置されてもよい。
【0068】
第2の支持構造体は、フィルタ膜と非加圧接触状態でおよび/または流体供給チャンバの内部から離れたほうを向くフィルタ膜の側に殆ど遊びを伴うことなく設けられてもよい。
【0069】
第2の支持構造体は流体供給チャンバと同じ材料から形成されてもよい。
【0070】
第2の支持構造体は別個の要素として形成されあるいは製造されてもよい。例えば、第2の支持構造体は薄壁の射出成形部品として製造されてもよい。
【0071】
更なる好ましい実施形態において、第2の支持構造体はフィルタ膜をほぼ完全に覆う。
【0072】
流体供給チャンバの内部から離れたほうを向く第2の支持構造体は、その領域および/または境界が、排出効果を有さないリング帯またはリング領域により外側へ向けて画定されてもよい。
【0073】
表現「リング帯」または「リング領域」は、第2の支持構造体の外部領域または外端または外縁または外側端部または外側縁部を示す。しかしながら、用語成分「リング」は、本発明を円形形態の帯域または領域に限定しようと意図するものではない。むしろ、それは、任意の他の適した形状、例えば長方形、楕円形などの形状に構成されてもよい外周領域または外周帯を示そうと意図するものである。
【0074】
このリング帯またはリング領域の外側境界は、フィルタ膜の外寸法にほぼ対応してもよい。
【0075】
このリング帯またはリング領域の内部境界は、リング帯またはリング領域に対するフィルタ膜の固定後に残されるフィルタリング効果を有するフィルタ膜領域にほぼ対応してもよい。
【0076】
フィルタ膜は第2の支持構造体に対して気密態様で接続されてもよい。フィルタ膜はリング帯またはリング領域の壁材料に接続されてもよい。例えば、フィルタ膜は、その外側領域、好ましくは外周領域が、第2の支持構造体または第2の支持構造体の外側リング領域に接続されてもよい。
【0077】
フィルタ膜は材料接続によって壁材料に接続されてもよい。フィルタ膜は、例えば、壁材料と接着されあるいは溶着されてもよい。
【0078】
フィルタ膜は、第1の支持構造体および第2の支持構造体の両方に対応して接続されてもよくあるいはこれらの両方と一体化されてもよい。
【0079】
第2の支持構造体は、溶着および/または接着によってフィルタ膜および/またはフィルタ手段のハウジングに対して接続できる薄壁の射出成形部品または要素であってもよい。
【0080】
少なくとも3つの支持構造体を備える本発明の装置の構造は典型的には以下のように形成される。
【0081】
第3の支持層がフィルタ膜に加えられる。組付け中、第3の支持層、例えば溶着可能な不織布は、不織布の側で第1の支持構造体上に配置される。第3の支持層は、フィルタ膜層の外周で、すなわち、好ましくは第1の支持構造体の外側に配置される領域において、外周シール態様で第1の支持構造体と溶着されおよび/または第1の支持構造体に対して接着される。このようにすると、第3の支持構造体と第1の支持構造体との間のシール機能を得ることができ有益である。
【0082】
第2の支持構造体、例えば薄壁の射出成形部品は、第1の支持構造体に溶着されるフィルタ膜上に、その支持構造体を伴う蓋のように配置される。第2の支持構造体は、フィルタ膜層の外側の外側リング帯で流体コネクタのハウジング(射出成形ハウジング)と溶着されおよび/または該ハウジングに接着される。
【0083】
第2の支持構造体はフィルタ膜に保持機能を有利に与える。
【0084】
第1および/または第2の支持構造体は、支持構造体を配置した後に、フィルタ膜の幾つかの自由にアクセスできる表面部分が何ら支持を伴うことなく依然として存在するように構成されてもよい。この場合、自由にアクセスできる表面部分のそれぞれは、隣接する機械的な支持体または支持構造体への延在部が十分に小さい。
【0085】
したがって、好ましい態様では、支持されないフィルタ膜領域に作用する第2の流体の最大許容流体圧は、許容できない高い応力(例えば、フィルタ膜の座屈に起因する)をもはや生み出さない。
【0086】
例えば、単一のあるいは全ての支持構造体、例えば排出構造体などは、約0.5〜2mmの幅を有してもよい。
【0087】
外側に配置される流体コネクタは、孔、凹部、または、開口を介して、外側排出構造体または支持構造体、すなわち、フィルタ膜のための第1の支持構造体と連通してもよい。
【0088】
第1および第2の支持構造体間に配置されるフィルタ膜は、使用目的にしたがって必要とされる程度まで機械的な荷重にかなり耐えることができる。
【0089】
そのような膜接続部(すなわち、フィルタ膜と2つの支持構造体との間の接続部)が配置される面は、排出構造体の突出領域が配置される面にほぼ対応してもよい。
【0090】
フィルタ膜の接続技術および/または厚さに応じて、排出構造体の突出領域とフィルタ膜の外側面との間の千鳥状の高さは妥当となり得る。そのような千鳥状の高さは、フィルタ膜の外側面を非加圧接触状態でおよび/または遊びを殆ど伴うことなく突出された排出構造体上に載置させる役目を果たすことができる。
【0091】
突出された排出構造体は、可能な限り小さくなるように配置されてもよい。
【0092】
好ましくは、第2の流体の制限された流れだけがフィルタ膜領域を通じて起こってもよく、該フィルタ膜領域はそれらに当接する突出された排出構造体と接触するおよび/または加圧接触する。
【0093】
流体コネクタに対する接続孔のサイズおよび/または数、および/または、凹状の排出構造体の配置、数、幅、および/または、深さは、これらの流路によって引き起こされる第2の流体の想定し得る圧力降下がフィルタ手段を通過する際に生じる全圧力降下の無視できるあるいは許容できる一部を補うようになっていてもよい。
【0094】
凹状の排出構造体の幅および/または流体コネクタに対する接続孔の直径は、最大の想定し得る圧力差の下でフィルタ膜に作用する張力(例えば、凹状の構造体に座屈をもたらす)が、好ましくはフィルタ膜内および(感度が一般的に高い)リング固定(例えば溶着)に対する界面域の両方で許容張力よりも明らかに低くなるように、十分小さくなるべく適合されてもよい。
【0095】
他の好ましい実施形態において、第1および第2の支持構造体は、膜の主面に対して鏡面反転態様で同一であるあるいは略同一である排出構造体を備える。
【0096】
好ましい態様において、凹状のおよび/または突出された排出構造体は、適合するあるいはほぼ適合する態様で互いに対向する。
【0097】
好ましい態様において、一方のフィルタ膜側の凹状の排出構造体は狭くなるように実現され、あるいは、フィルタ膜のこの側の突出された排出構造体は、フィルタ膜の他方側の排出構造体よりも幅広くなるように実現される。これは、より大きな横方向取り付け公差を許容し得る。しかしながら、好ましい態様では、構造体のピッチおよび/または配置が両側で全く同じように実現されてもよい。
【0098】
このように、横方向取り付け公差を使用することにより、流体通過抵抗や機械的支持度合などの特性に関して非常に一定の特性プロファイルが得られる。
【0099】
第2の支持構造体の構造の全体の厚さは、排出構造体の深さおよび/または第2の支持構造体の材料の最小の想定し得る壁厚によってもたらされてもよく、あるいは、その合計であってもよい。結果として、第2の支持構造体は、構造的スペースをあまり必要とせずおよび/または低コストで製造することができ有益である。
【0100】
他の利点は、精度および剛性に関して第2の支持構造体に特定の要求が存在しないという事実から生じ得る。また、コストおよび/または最も低い想定し得る複雑さの見地に基づいてのみ流体供給チャンバに第2の支持構造体を取り付けることができ有益である。
【0101】
図1および図2に示されるように、第2の支持構造体は、例えば、差し込み固定またはリベット固定によって、あるいはボルト固定の原理にしたがって流体供給チャンバに接続されてもよい。同様に、第2の支持構造体は、ドット形状溶着によっておよび/または流体供給チャンバの側壁または壁の適した幾何学的形態に嵌め込むことにより流体供給チャンバに接続されてもよい。
【0102】
本発明に係る1つの実施形態において、第2の支持構造体の排出構造体は、該排出構造体がそれらの外側の膜境界で終わらずにそれらの外側の構成要素境界に至るまで径方向に続くという点においてのみ外側排出構造体と異なってもよい。このようにすると、流入するおよび/または流出する流体は、第2の支持グリッドと流体供給チャンバの上側境界または上端あるいは上縁との間に残存する環状空間またはリング空間内へ自由に侵入できる。流体は、大きいルーメンを介して流体受容チャンバと連通でき有益である。
【0103】
本発明の更なる好ましい実施形態では、流体受容チャンバが第1の構造高さを有し、流体供給チャンバが第1の構造高さとは異なる第2の構造高さを有する。
【0104】
また、あるいは更に、流体供給チャンバは、装置の使用中に流体受容チャンバの上側(「トップ」)に配置されてもよい。「上側」は、地球の中心を通って引かれる基準系に関連してもよい。
【0105】
流体受容チャンバおよび流体供給チャンバのそのような構成では、装置が段付き深さを伴って具現化されることが好ましい。装置の使用中に流体供給チャンバの下側(「ボトム」)に配置される深い流体受容チャンバは、使用中にその内部に存在する流体のためのリザーバおよび/または処理空間として利用されてもよい。
【0106】
本発明の装置はカセット設計を成して構成されてもよい。本発明の装置が例えば外部機能手段の一部であってもよい。装置は、例えば、材料接続によって外部機能手段に組み込まれてもよい。
【0107】
外部機能手段には少なくとも一方側にカバー部材が設けられてもよい。
【0108】
「カバー部材」は例えば膜、フィルムなどであってもよい。適したカバー部材の典型的な実施形態ならびに外部機能手段におけるそれらの実現および配置は、例えば、2009年3月10日にドイツ特許商標局に出願された本発明の出願人の表題 「Abdichtungseinrichtung zum Abdichten eines Volumens einer medizinischen Behandlungsanordnung gegen ein weiteres Volumen sowie Anordnung und Verfahren」[A sealing means for sealing a volume of a medical treatment arrangement against another volume,as well as arrangement and a method]を有する出願10 2009 012 632.5(代理人のファイルFM19A25)から解釈されてもよく、その関連する開示内容は参照することにより全体が本願に組み入れられる。
【0109】
特に好ましい態様において、フィルタ手段は、外部機能手段のカバー部材と平行にあるいは略平行に配置される。
【0110】
外部機能手段は、第1の流体を処理するのに適してもよくあるいは第1の流体を処理するように意図されていてもよい。
【0111】
そのような処理は、例えば、流体受容チャンバ内の第1の流体の量および/または圧力を充填により、空にすることにより、および/または、圧力の付与により変えることによって行なわれてもよい。この目的を果たすため、流体受容チャンバ内の第1の流体は、例えば、所定量の第2の流体によって重ね合されてもよい。第2の流体は、例えば、前述した機能を、対応する作用体および/または制御手段または調整手段を備えてもよい処理機器への接続部の媒介により液体に伝えてもよい。
【0112】
本発明の特に好ましい実施形態では、第2の流体がガスである。更なる好ましい態様では、第1の流体が液体、例えば血液であってもよい。
【0113】
本発明の装置は、医療処理機器、臨床技術で使用される機器、食品および/または薬物製造で使用される機器などの処理機器で用いるのに適し、あるいは該処理機器と共に使用するのに適する。したがって、本発明にしたがって受容手段へ導入されあるいは供給されあるいは導かれるのに適する流体は、血液などの医療用液体、代替物(例えば、生理食塩水溶液)、活性剤の生成物、例えば溶液、懸濁液、乳濁液、活性剤などのためのキャリアガス、洗浄液または洗浄ガス、消毒液または消毒ガス、殺菌液または殺菌ガス、飲料液などのいずれを包含してもよい。
【0114】
フィルタ膜が殺菌膜として設けられる場合、本発明の装置は、特に、流体受容チャンバへの殺菌空気供給のために利用されてもよい。
【0115】
本発明の目的は、請求項28に係る外部機能手段によっても達成される。本発明に係る受容手段の利点の全てが本発明の外部機能手段によって得られてもよい。
【0116】
本発明の外部機能手段は本発明に係る装置を備える。
【0117】
本発明の外部機能手段が処理方法で用いるように想定されてもよい。本発明の意味の範囲内の処理方法は、医療または医療技術処理方法、臨床技術の処理方法、食品または薬物製造などを包含する。
【0118】
そのような外部機能手段は、例えばプラスチック材料から製造される使い捨て構成要素または使い捨て物品であってもよい。
【0119】
外部機能手段が射出成形技術によって製造されてもよい。
【0120】
外部機能手段の上端が開放されてもよい。
【0121】
外部機能手段は、作用体および/またはセンサに結合するための液体および/またはガス接続部、半開通路および/またはチャンバおよび/または構造を含んでもよい。そのような作用体および/またはセンサは、好ましくはカセット内の液体の殺菌に関して侵襲しないおよび/または分離される機能を果たすのに役立ってもよい。例えば膜、特に低コストフィルムなどの1または複数のカバー部材は、通路およびチャンバの閉塞および/またはシールをもたらしてもよい。
【0122】
更なる好ましい実施形態において、装置のフィルタ手段は、流体受容チャンバの内部を外部に対して閉じるための装置のカバー部材と平行に配置される。
【0123】
好ましい実施形態では、本発明の外部機能手段が血液カセットとして構成される。
【0124】
そのような血液カセットは、例えば、本発明の出願人によって2009年4月23日にドイツ特許商標局に出願された表題「Externe Funktionseinrichtung,Blutbehandlungsvorrichtung zum Aufnehmen einer erfindungsgemaBen externen Funktionseinrichtung,sowie Verfahren」[External functional means,blood treatment apparatus for receiving an external functional means in accordance with the invention,and method]を有する出願10 2009 018 664.6(代理人のファイルFM19A27)および2009年6月10日に出願された同じ表題の特許出願(G09/046;11FM19A27DE)に記載されており、その関連する開示内容は参照することにより全体が本願に組み入れられる。
【0125】
外部機能手段は、処理機器で用いるために設けられあるいは処理機器に設けられてもよい。
【0126】
したがって、本発明の目的は、請求項32に係る本発明の処理機器によって同様に達成される。本発明の装置の全ての利点を本発明の処理機器によって得ることもできる。
【0127】
本発明の処理機器は、本発明の装置および/または本発明の外部機能手段を備えてもよい。
【0128】
処理機器が前述した処理方法で利用されてもよい。
【0129】
例えば、処理機器は、血液透析、血液濾過、血液透析濾過などの透析処理を行なうための透析機器などの血液処理機器であってもよい。
【0130】
本発明の装置は、流体受容チャンバの殺菌空気供給のために利用することができ有益である。
【0131】
処理機器は、本発明の少なくとも1つの装置を備える少なくとも1つの血液処理カセットを受けるのに適しかつ受けるように意図されている少なくとも1つの受容手段を備えてもよい。
【0132】
疎水性殺菌膜が流体受容チャンバの最も高いポイントに自由流体表面と略平行に配置される外部機能手段の殺菌空気供給のための従来の構成とは異なり、本発明にしたがって設けられるフィルタ膜は、好ましくは、通常は流体が最大限まで満たされる流体受容チャンバの上側に測地学的態様で配置されてもよい。したがって、故障がない動作中、流体供給チャンバは、第2の流体、例えばガスと接触するだけであり、また、少量の第1の流体、例えば血液などの液体と接触するだけであり有益である。
【0133】
本発明にしたがって使用されるフィルタ膜は、感度が良い要素であり、検査が難しく、したがって一般に全ての処理利用ごとに交換されなければならないため、フィルタ膜が使い捨ての機能手段の構成要素であってもよく有益である。また、そのようなフィルタ膜は、更に有利な態様では、使い捨て機能手段と組み合わせて殺菌されてもよく、および/または、使い捨て部分システムを保管中におよび/または処理機器に接続している最中に殺菌態様で閉じられた状態に維持してもよい。
【0134】
また、疎水性フィルタ膜は、流体受容チャンバ内に存在する処理されるべき流体が故障時に処理機器に入るのが防止されるようにすることができ有益である。
【0135】
本発明の装置は、処理機器、特に血液処理機器のためにしばしば設けられる使い捨て機能手段に存在する空間的および/または機能的構成を利用して、適合でき、押圧でき、公差を補償でき、力を制限でき、装着でき、方向付けることができ、および/または、構成全体の他の機能ユニットと同時に取り扱うことができ有益である。
【0136】
本発明に係る装置の流体受容チャンバおよび流体供給チャンバの構成と併せた従来の構成の異なる幾何学的環境状態は、フィルタ膜の周囲環境の閉ざされた空間に起因して、排出構造体および支持構造体で、単位面積当たりの高いガス圧損失をもたらすことができ有益である。このようにすると、同一の圧力損失で費用効率が更に高くかつ構造が更に小さいフィルタ膜を使用することができ有益であり、それにより、同時に、長方形形状に起因して更に効率的に構造空間を利用することがしばしば可能である。
【0137】
更に、処理機器のドア側押圧構造と処理機器の本体側押圧構造との間の外部機能手段全体の押圧および取り付けとほぼ同じ変位方向および押圧で、処理機器と外部機能手段との間のガス接続をもたらすことができ有益である。したがって、変位に起因する並列的に定められた機能の両方および/または処理機器の押圧手段または押圧構造の力を利用することが経済的な態様で可能である。外部機能手段のガス接続のための別個の取り扱い操作を省くことができ有益である。押圧プロセスおよび接続プロセスの厳格で等方向の並行性に起因して、外部機能手段の一般的な押圧の空間方向とは異なる空間方向で別個の移動および押圧手段によりガス接続が実現された場合に必要な、外部機能手段と処理機器との間、および処理機器の単一の構成要素間の、狭いあるいは厳しい公差に関する要求を省くことができ更に有益である。
【0138】
本発明にしたがって設けられるガスコネクタ構成は、スペース節約、低コスト、機能的に安全、頑丈、および、ユーザーフレンドリーとなるように同時に適合させることができ有益である。
【0139】
機能的なグループの数を本発明によって減少させることができるため、特に製造、保管、物流、および、組み立てに関してコストを節約することができ有益である。また、本発明は、単一機能グループ間で精度に対する要求を減少させることができ、そのため、コスト低減に更に寄与でき有益である。
【0140】
本装置に起因して、使い捨て機能手段のその装着中および取り外し中の取り扱いを容易にしかつより安全にすることができ有益である。
【0141】
流体コネクタ、支持構造体、排出構造体、膜、フィルタ膜、および、膜マウントおよび/またはシールなどの外部機能手段の構成要素の剛性、精度、材料、および/または、製造中の製造プロセスに対する高い要求を省くことに起因して、外部機能手段を製造するためのコストの明確な低減を有利に図ることができると同時に、機能的信頼性を高めることができる。
【0142】
特に、フィルタ膜のその排出構造体または支持構造体に対するその両側での体系的に力調整されるおよび/または遊びのない結合は、本発明の構成の特に有用な特徴を表わすことができる。フィルタ膜は、明らかに、従来の構成よりも歪みに対して耐性がありかつ機能的に安全となり得る。
【0143】
従来のシステムのフィルタ膜は、一般に、周囲の支持構造の機械的強度に起因して円形にされなければならず、かつ低い横方向公差でハウジング環境に組み込まれなければならないが、本発明の装置のフィルタ膜は、切断損失を伴うことなくフィルタ膜から長方形として製造することができるとともに、十分な横方向公差を伴って流体供給チャンバの壁に対して溶着し、接着し、あるいは、押圧することができる。
【0144】
外部機能手段の多くの従来の構成とは異なり、本発明によれば、第2の排出構造体または支持構造体の装着および支持を満足に解決することができる。第2の支持構造体を、十分な剛性と押圧力の十分な伝達とを有して、また、同時に排出能力をもって、フィルタ膜表面の前方に正確な態様で装着することができ有益である。
【0145】
本発明は、第2の支持構造体の精度および剛性を意図的に排除できるため、コストを更に節約でき有益である。
【0146】
支持構造体とフィルタ膜との間に同じシール効果をもたらすが歪みに対して低い機械的接続感受性を伴う、同じタイプのあるいは両側が溶融される接続相手同士の間の溶着接続とは異なり、本発明に係る流体供給チャンバにおける低融点材料の選択は、機械的な歪みに同時に十分に晒される得るシール接続を達成できる。このようにすると、溶融および押圧に起因して第1の支持層が薄くなるのを避けることができ有益である。また、材料不良および/またはフィルタ膜の非溶融領域に対する界面における断面の好ましくない不連続性を避けることができ有益である。
【0147】
また、フィルタ膜の面内での横方向からのフィルタ膜の良好な接近可能性は、本発明にしたがって設けられる第2の支持構造体によって可能である。これは、特に、液体によるフィルタ膜の不慮の湿潤時に利点となり得る。
【0148】
流体受容チャンバの内部へ向かう高い排出能力は、重要な安全性の利点をもたらすことができ有益である。従来のフィルタ膜構成では、フィルタ膜が液体の表面と並行に配置されると、フィルタ膜へ至る許容できない完全な溢出時に圧力衝撃が生じる場合があり、それにより、フィルタ膜の破壊および外部機能手段および/または処理機器の他の構成要素との干渉の両方がもたらされる場合がある。しかしながら、本発明の装置を用いると、許容できないほど増大し続けるレベルをフィルタ膜表面にわたって連続的に一掃することができ、それにより、通路圧力が徐々に増大する態様でかつ衝撃を伴うことなく上昇できる。
【0149】
また、本発明にしたがって設けられるフィルタ手段の構成は、流体受容チャンバの完全溢出を伴う故障の無害の複数の繰り返しに耐えることができ有益である。これは、本発明では、重力の影響下で液体を再びフィルタ膜から流体受容チャンバへ自動的に排出できるからである。
【0150】
また、この現象を対応する評価または評価手段によって使用することにより故障を認識して妥当な措置を開始することさえでき有益である。
【0151】
このようにすると、処理機器の制御エラーに起因する処理方法の失敗を回避でき有益である。
【0152】
使い捨て部品構造の殺菌空気供給のための本発明の機器は、簡単な態様であると同時にコスト低減の態様で現在のシステムの欠点を改善し、また、この他、処理機器および外部機能手段のシステム環境において更なる利点をもたらす。
【0153】
本発明の構成は、前述した押圧手段が設けられる外部機能手段の流体伝導要素および処理機器の要素を備える任意の流体構成全体で利用するのに適しており有益である。
【0154】
外部機能手段の使用できる構成の設計は、フィルムカバーを有する硬質部カセットから成るカセット設計だけに限定されず有益である。これまではカセット構造として想定されていない単一容器構成を本発明の装置の意味で再構成することもでき、それにより、殺菌疎水性膜を安全に機能させるという重要な特徴を経済的に得ることができる。そのような場合、例えばフィルムなどのカバー部材を弾性射出成形要素と交換することができる。
【0155】
処理機器による外部機能手段の一部としての本発明の装置の適した押圧により、簡単かつ費用効率の高い態様でフィルタ手段の良好な支持だけでなく最適な位置合わせ(外部機能手段および支持構造体を真っ直ぐに伸ばす)も更に得ることができ有益である。
【0156】
本発明の装置は、公差を補償して力を制限するための別個の機能性を有することができ有益である。この場合、少なくとも5つのオプション、すなわち、ばね実行される機械側流体コネクタ(通常は、シールに役立ち得るゴムプラグ);湾曲ばねディスクの態様で弾性がありかつ長手方向に広く弾力があるとともに(実質的に中心に適用される流体コネクタ、および、角度のある弾力を有する処理機器との接続と組み合わせて)処理機器によってそれ自体位置合わせするという効果を有する流体供給チャンバの平坦な底部;支持構造体のばね弾性実現、所定の場合には、加圧接触の方向でも(例えば、公差を補償するばね態様で処理機器のゴムマットに侵入できる波打つ形状またはノブの形状の結果として);別個に弾力を有するように第2の支持構造体の下側に局所的に形成されるゴムマットにより(例えば、プリズムまたはノブと共に);または、処理機器の本体側構造体の弾性またはばね構造(例えば、ばねまたはノブ)により;を簡単な態様で同時に与えることができ有益である。
【0157】
以下、添付図面を参照することにより本発明を説明する。図中、同一の参照符号は同じあるいは同一の要素を示す。
【図面の簡単な説明】
【0158】
【図1】本発明の装置の平面図である。
【図2】本発明の装置の断面図である。
【図3】図2の本発明の装置の詳細の長手方向断面の拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0159】
図1は、本発明の一実施形態に係る装置の平面図を示している。
【0160】
装置100は、流体受容チャンバ1と流体供給チャンバ3とを備える。
【0161】
流体受容チャンバ1内には、流体受容チャンバ1内に最大流体レベル7まで充填される第1の流体5が存在する。
【0162】
流体供給チャンバ3はフィルタ手段を備えており、図1には、フィルタ手段のフィルタ膜9および第1の支持構造体11が示されている。第1の支持構造体11は排出構造体13を備える。第1の支持構造体11は、固定手段15、例えばリベット接続を用いて流体供給チャンバ3に接続される。
【0163】
流体コネクタ17がフィルタ手段の第1の支持構造体11に接続される。
【0164】
流体コネクタ17を通じて第2の流体19が流体受容チャンバ1内に導入される。第2の流体は、例えば圧力を加えることにより、第1の流体5を処理するために使用されてもよい。
【0165】
この図1に示されるように、流体受容チャンバ1は下側領域21に相当し、流体供給チャンバ3は上側領域23に相当する。
【0166】
図2は、本発明の装置を断面図で示している。ここで、装置100は、処理機器300により押圧される外部機能手段200の一部として示される。
【0167】
装置100の下側領域21は、深い領域、すなわち、流体受容チャンバ1を形成する。上側領域23は、浅い領域、すなわち、流体供給チャンバ3を形成する。
【0168】
図2に二重矢印で示されるように、第2の流体19は、流体コネクタ17を通じて流体供給チャンバ3に導入される。
【0169】
図2の描写によれば、流体供給チャンバ3は、シール接続25、例えば溶着接続または接着接続によって流体供給チャンバ3に結合される第1の支持構造体11を備える。
【0170】
第1の支持構造体11上にはフィルタ膜9が配置され、該フィルタ膜上には第2の支持構造体27が設けられる。
【0171】
外部機能手段200は、カバー部材29、例えばフィルムによって一方側が覆われる。
【0172】
力および/または動作を処理機器300の作用体またはセンサを介して外部機能手段200またはチャンバおよび/またはその通路へ伝えるのに役立ち得るゴムマット31の媒介により、外部機能手段200が処理機器300により押圧される。
【0173】
ゴムマット31は、特定の弾力性がある構造体33を有してもよい。
【0174】
流体受容チャンバ1内に存在する流体を導入するあるいは除去する目的で、流体受容チャンバ1にはその底側に流体接続部35が設けられてもよい。
【0175】
図3は、図2の本発明の装置100の拡大詳細部または一部、より正確にはフィルタ手段を長手方向断面図で示している。
【0176】
図2の描写と比べると、フィルタ手段が90°だけ傾けられており、そのため、図3の描写では、第2の流体のための流体コネクタ17が上方へ向けられている。
【0177】
フィルタ膜9(典型的には織物の形態を有する第3の支持層(図示せず)および膜層を備える)は、第1の支持構造体11と第2の支持構造体27との間に配置される。
【0178】
単一の構成要素の詳細な記述に関しては、先の説明を参照されたい。
【0179】
第1の支持構造体11とフィルタ膜9との間のシール接続を形成するために、第1のリング帯または第1のリング領域37が設けられる。フィルタ膜9と第2の支持構造体との間の接続をもたらすために、第2のリング帯または第2のリング領域39が設けられる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つの第1の医療用流体(5)、特に血液を受けるための少なくとも1つの流体受容チャンバ(1)と、
フィルタ表面を有し、該フィルタ表面を通じて少なくとも1つの第2のガス流体(19)、特に空気を前記流体受容チャンバ(1)に供給できる、少なくとも1つの疎水性フィルタ手段と、
を備える装置(100)において、
前記疎水性フィルタ手段の前記フィルタ表面の法線ベクトルが、前記流体受容チャンバ(1)内に存在する前記第1の流体(5)の流体レベル(7)の法線ベクトルと平行ではないことを特徴とする、装置。
【請求項2】
前記疎水性フィルタ手段の前記フィルタ表面の法線ベクトルが、流体レベル(7)の面の法線ベクトルに対して略垂直である、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記フィルタ表面の法線ベクトルが、前記流体受容チャンバ(1)内に存在する前記第1の流体(5)の流体レベル(7)と交点を有さない、請求項1または2に記載の装置。
【請求項4】
前記第2の流体(19)を供給するための少なくとも1つの流体供給チャンバ(3)を備える、請求項1〜3のいずれか一項に記載の装置。
【請求項5】
前記フィルタ手段が、前記流体供給チャンバ(3)の内側に配置される、請求項4に記載の装置。
【請求項6】
前記流体供給チャンバ(1)が、少なくとも1つの流体コネクタ(17)を備え、該流体コネクタを通じて前記第2の流体(19)を前記流体供給チャンバ(3)に供給できる、請求項4または5に記載の装置。
【請求項7】
前記フィルタ手段が、少なくとも1つのフィルタ膜(9)を備える、請求項1〜6のいずれか一項に記載の装置。
【請求項8】
前記フィルタ膜(9)が、長方形である、請求項7に記載の装置。
【請求項9】
前記フィルタ膜(9)が、殺菌膜である、請求項7または8に記載の装置。
【請求項10】
前記フィルタ手段が、前記フィルタ膜の少なくとも一方側に支持構造体を備える、請求項7〜9のいずれか一項に記載の装置。
【請求項11】
前記支持構造体が、前記流体供給チャンバ(3)の内部に面する前記フィルタ膜(9)の側に配置される第1の支持構造体(11)を備える、請求項10に記載の装置。
【請求項12】
前記支持構造体が第1の支持構造体(11)を備え、この第1の支持構造体はその少なくとも一方の外側領域で前記流体供給チャンバ(3)の接続領域に接続される、請求項11に記載の装置。
【請求項13】
前記支持構造体が、材料接続によって前記流体供給チャンバ(3)に接続される第1の支持構造体(11)を備える、請求項12に記載の装置。
【請求項14】
前記支持構造体が、前記流体供給チャンバ(3)と溶着される第1の支持構造体(11)を備える、請求項13に記載の装置。
【請求項15】
前記第1の支持構造体(11)は、少なくともその外側領域が、前記流体供給チャンバ(3)の接続領域よりも融点が高い材料から形成される、請求項11〜14のいずれか一項に記載の装置。
【請求項16】
第2の支持構造体(27)が、前記流体供給チャンバ(3)の内部から離れた方を向く前記フィルタ膜の面に配置される、請求項10〜15のいずれか一項に記載の装置。
【請求項17】
前記第2の支持構造体(27)が、前記流体供給チャンバ(3)と同じ材料から形成されまたは前記材料を備える、請求項16に記載の装置。
【請求項18】
前記第2の支持構造体(27)が、前記フィルタ膜(9)を実質的にほぼ完全に覆う、請求項16または17に記載の装置。
【請求項19】
前記第1の支持構造体(11)および/または前記第2の支持構造体(27)が、排出構造体(13)を備える、請求項11または12に記載の装置。
【請求項20】
前記第1および第2の支持構造体(11、27)が、前記フィルタ膜(9)の主面に対して鏡面反転態様で略同一である排出構造体を備える、請求項19に記載の装置。
【請求項21】
前記流体受容チャンバ(1)が第1の構造高さを有し、前記流体供給チャンバ(3)が前記第1の構造高さとは異なる第2の構造高さを有する、請求項4〜20のいずれか一項に記載の装置。
【請求項22】
前記流体供給チャンバ(3)が、装置(100)の使用中に前記流体受容チャンバ(1)の上側に配置される、請求項4〜11のいずれか一項に記載の装置。
【請求項23】
材料接続によって外部機能手段(200)に組み込まれる、請求項1〜22のいずれか一項に記載の装置(100)。
【請求項24】
前記第1の流体(5)の処理に適する、請求項1〜23のいずれか一項に記載の装置(100)。
【請求項25】
前記第2の流体(19)がガスである、請求項1〜24のいずれか一項に記載の装置。
【請求項26】
前記第1の流体(5)が液体である、請求項1〜25のいずれか一項に記載の装置。
【請求項27】
前記液体が血液である、請求項26に記載の装置。
【請求項28】
請求項1〜27のいずれか一項に記載の装置(100)を備える、少なくとも1つの流体を処理するための外部機能手段(200)。
【請求項29】
血液カセットとして構成される、請求項28に記載の外部機能手段。
【請求項30】
前記手段(200)のフィルタ手段が、前記流体受容チャンバ(3)の内部を外側に対して閉じるための装置(100)のカバー部材(29)と平行に配置される、請求項28または29に記載の外部機能手段。
【請求項31】
前記カバー部材(29)が、カバーフィルムとして実現される、請求項30に記載の外部機能手段。
【請求項32】
請求項1〜27のいずれか一項に記載の装置(100)または請求項28〜31のいずれか一項に記載の外部機能手段(200)を備える、少なくとも1つの流体を処理するための処理機器。
【請求項33】
血液処理機器である、請求項32に記載の処理機器。
【請求項34】
請求項1〜27のいずれか一項に記載の少なくとも1つの装置を備える少なくとも1つの血液処理カセットを受けるのに適しかつ受けるように意図されている少なくとも1つの受容手段を備える、請求項33に記載の処理機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公表番号】特表2012−524559(P2012−524559A)
【公表日】平成24年10月18日(2012.10.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−506376(P2012−506376)
【出願日】平成22年4月14日(2010.4.14)
【国際出願番号】PCT/EP2010/002296
【国際公開番号】WO2010/121742
【国際公開日】平成22年10月28日(2010.10.28)
【出願人】(597075904)フレゼニウス メディカル ケア ドイッチェランド ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング (55)
【Fターム(参考)】