説明

医療用複室容器、薬剤入り医療用複室容器

【課題】混合前の薬剤の誤投与を防ぐことができ、複数の薬剤の混合および排出をより確実かつ容易に行うことができる医療用複室容器および薬剤入り医療用複室容器の提供。
【解決手段】対向する一対の可撓性フィルム11,12で構成され、剥離可能な弱シール部13により複数の薬剤収納室14,15に区画された容器本体10と、両端が開口し、薬剤収納室15と容器本体10の外側とを連通可能にする中空形状の排出口部材20と、排出口部材20の薬剤収納室15側の開口端面22に剥離可能に接着した、薬剤収納室15側の開口を閉鎖する剥離部材30と、を備え、排出口部材30は、開口端面22が傾斜面を有し、開口端面22と可撓性フィルム11とが対向するように容器本体10に取り付けられ、剥離部材30は、排出口部材20の先端22aから突出する突出部31を有し、該突出部31の末端31aにて可撓性フィルム11に接着されている医療用複室容器。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、弱シール部により区画された複数の薬剤収納室を備える医療用複室容器および該医療用複室容器の薬剤収納室に薬剤を収納した薬剤入り医療用複室容器に関する。
【背景技術】
【0002】
ビタミン剤等を生理食塩水に混合して患者に注射または点滴する等、複数の薬剤を混合した薬液を患者に投与することが行われている。
複数の薬剤を混合する場合、組み合わせる薬剤の種類によっては、予め混合しておくと変質することがある。従来、変質の可能性のある薬剤を組み合わせる場合には、使用直前にガラス容器中の薬剤に対して別の薬剤を注射器等で注入し混合していた。しかし、このような混合作業では、混合比率を間違えたり、混合し忘れたりするという人的ミスを生じるおそれがあった。
このような人的ミスを回避するために、入力された処方に基づいて2種以上の薬剤を混合して薬液を調製するシステムが示されている(例えば、特許文献1)。しかし該システムでは薬剤の調製に時間を要し、緊急性を要する場合等には適さない。そのため、簡易な方法により薬剤の混合を正確に行う技術が要請されていた。
【0003】
こうした要請に対し、容器本体の内部を弱シール部により区画して複数の薬剤収納室を設け、該複数の薬剤収納室に、複数の薬剤をそれぞれ混合することなく収容した医療用複室容器が提案されている(例えば、特許文献2)。このような医療用複室容器の容器本体には通常、薬液の排出口となる口部材が、複数の薬剤収納室のうちの1つに連通して液密に取り付けられており、該口部材から薬液を排出できるようになっている。
該医療用複室容器においては、使用する際に外部から薬剤収納室に圧力を加えることで、各薬剤収納室を区画する弱シール部を剥離し、結果、各薬剤収納室に収容された薬剤が混合される。そのため、該医療用複室容器を用いることで、複数の薬剤を正確な混合率で混合することができ、また、その混合作業の簡易化が図れる。しかし、該医療用複室容器を用いる場合、弱シール部を剥離し忘れたまま注射や点滴を行ってしまうおそれがある。また、弱シール部を剥離させるために圧力を加えた場合でも、目視では剥離したかどうかを確認しにくいため、弱シール部が剥離していない状態で注射や点滴を行ってしまうおそれがある。
このような問題に対して種々の検討がなされている。例えば特許文献3には、プラスチックフィルムにて形成され、内部空洞を弱シール部により複数の隔室に区画された薬剤バッグと、複数の隔室の一つを臨ませつつ外周が薬液バッグに流密装着された排出口と、通常状態において前記排出口を閉鎖するように貼着された剥離膜とを具備し、該剥離膜が、薬剤バッグの対向面に、排出口に対する剥離膜の貼着より強固に貼着された薬剤収納封止体が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特表2007−515213号公報
【特許文献2】特開2003−111818号公報
【特許文献3】特開2006−020964号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献3記載の薬剤収納封止体においては、通常は剥離膜によって排出口が閉鎖され、薬剤バッグから排出口への薬剤の排出が阻止される一方、該剥離膜が薬剤バッグを構成するプラスチックフィルムの対向面に強固に粘着されていることから、弱シール部が剥離して薬剤バッグが拡開変形すると、薬剤バッグと一体に剥離膜が変位して排出口より剥離され、薬剤の排出が可能となるとされている。しかしながら、この薬剤収納封止体においては、該剥離膜において、プラスチックフィルムに粘着されている面の対応する裏面が排出口に剥離可能に密着している。そのため、剥離膜が剥がれるきっかけがなく、剥離膜が排出口から剥離しない可能性がある。また製造も困難であると思われる。この場合、薬剤バッグの外側からの指操作によって剥離膜の剥離を容易に行うことができるとされているものの、薬剤の排出に手間がかかることは否めない。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであって、混合前の薬剤の誤投与を防ぐことができ、複数の薬剤の混合および排出をより確実かつ容易に行うことができる医療用複室容器および薬剤入り医療用複室容器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明は以下の構成を採用した。
[1]対向する一対の可撓性フィルムで構成され、剥離可能な弱シール部により複数の薬剤収納室に区画された容器本体と、両端が開口し、前記複数の薬剤収納室のうちの1つと前記容器本体の外側とを連通可能にする中空形状の排出口部材と、前記排出口部材の前記薬剤収納室側の開口端面に剥離可能に接着した、該薬剤収納室側の開口を閉鎖する剥離部材と、を備え、
前記排出口部材は、前記薬剤収納室側の開口端面が傾斜面を有し、該開口端面と前記一対の可撓性フィルムの一方とが対向するように前記容器本体に取り付けられ、
前記剥離部材は、前記排出口部材の前記薬剤収納室側の先端から突出する突出部を有し、該突出部にて、前記開口端面と対向する可撓性フィルムに接着されていることを特徴とする医療用複室容器。
[2]前記排出口部材は、前記薬剤収納室側の先端の、前記傾斜面を含む平面とは異なる平面上に端面が形成されている[1]に記載の医療用複室容器。
[3]前記排出口部材は、前記薬剤収納室側の開口端面に、開口部を囲む凸条が形成されている[1]または[2]に記載の医療用複室容器。
[4]前記凸条は、少なくとも当該開口端面の先端側に、応力集中部を有する[3]に記載の医療用複室容器。
[5]前記排出口部材により前記容器本体の外側と連通可能な薬剤収納室内にて、前記剥離部材が接着されていない方の可撓性フィルムに前記排出口部材が接着されている[1]〜[4]のいずれか一項に記載の医療用複室容器。
[6]前記排出口部材と前記薬剤収納室内とが非液密に閉塞されている[1]〜[5]のいずれか一項に記載の医療用複室容器。
[7][1]〜[6]のいずれか一項に記載の医療用複室容器に薬剤を収容した、薬剤入り医療用複室容器。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、混合前の薬剤の誤投与を防ぐことができ、複数の薬剤の混合および排出をより確実かつ容易に行うことができる医療用複室容器および薬剤入り医療用複室容器を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明の一実施形態(第一の実施形態)の医療用複室容器の正面図である。
【図2】図1に示す医療用複室容器の部分断面図である。
【図3】図1に示す医療用複室容器に薬剤を収納し、排出口部材が取り付けられた側が下方となるようにつり下げた状態を示す縦断面図(図3(a))および該医療用複室容器に外方から圧力を加えて弱シール部を剥離して、第一の薬剤収納室14と第二の薬剤収納室15とを開通させた後の状態を示す縦断面図(図3(b))である。
【図4】本発明の一実施形態(第二の実施形態)の医療用複室容器が備える排出口部材の薬剤収納室側の先端部分の斜視図である。
【図5】図4に示す先端部分を開口端面側から見た上面図(図5(a))およびその側面図(図5(b))である。
【図6】本発明の一実施形態(第三の実施形態)の医療用複室容器が備える排出口部材の薬剤収納室側の先端部分の斜視図である。
【図7】本発明の一実施形態(第四の実施形態)の医療用複室容器の部分断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の医療用複室容器について、実施形態例を示して説明する。ただし本発明は以下の実施形態に限定されるものではない。
【0010】
[第一の実施形態]
図1〜2に、本実施形態の医療用複室容器1を示す。図1は、医療用複室容器1の正面図であり、図2は、医療用複室容器1の、図1中の位置A−A’における部分断面図である。
医療用複室容器1は、周縁部が剥離不能に融着された、対向する一対の略長方形の可撓性フィルム11、12で構成された容器本体10と、両端が開口し、容器本体10の内と外とを連通可能にする中空形状の排出口部材20と、排出口部材20の、容器本体10内側の開口を閉鎖する略矩形の剥離フィルム(剥離部材)30と、を備える。
【0011】
容器本体10には、可撓性フィルム11と可撓性フィルム12とが剥離可能にシールされてなる弱シール部13が、該容器本体10の短手方向に直線状に設けられ、該弱シール部13により容器本体10の内部が第一の薬剤収納室14と第二の薬剤収納室15とに区画されている。第一の薬剤収納室14および第二の薬剤収納室15は、容器本体10の長手方向に並んで配置されている。
弱シール部13は、第一の薬剤収納室14、第二の薬剤収納室15のそれぞれに薬剤が収納された状態で、薬剤収納室14、15の少なくとも一方に対して外方から力を加えることによって、可撓性フィルム11と可撓性フィルム12とが剥離するようになっている。
容器本体10は、第二の薬剤収納室15側の末端を下端、第一の薬剤収納室14側の末端を上端とし、その下端側の周縁部では、排出口部材20が、可撓性フィルム11と可撓性フィルム12との間に狭持され、熱溶着により一体化されている。また、上端側の周縁部では、円形の吊孔16が設けられている。
【0012】
排出口部材20は、容器本体10の第二の薬剤収納室15側の開口端面22が、当該排出口部材20の長さ方向に対して一定の傾斜角度θで傾斜した傾斜面となっている。該傾斜角度θは、剥離フィルム30が剥離しやすいことから、30〜45度程度が好ましい。
排出口部材20の、容器本体10外側の開口は、図示しないゴム栓等で閉栓されており、使用前(輸送・保管時等)には容器本体10内の薬剤の流出を阻止し、使用時には刺栓針や専用のアダプター等の排出手段の接続によって容器本体10内の薬剤を排出できるようになっている。また、排出口部材20の、容器本体10外側の開口端面21には、刺栓針が刺入できる面を覆う図示しない保護フィルムが剥離可能に設けられている。
【0013】
排出口部材20は、第二の薬剤収納室15側の開口端面22と可撓性フィルム11の内面とが対向するように、容器本体10に取り付けられている。この排出口部材20の開口端面22に、剥離フィルム30が剥離可能に接着されることで、排出口部材20の第二の薬剤収納室15側の開口が閉鎖されている。
剥離フィルム30は、開口端面22へ接着している時、該剥離フィルム30の一部が、排出口部材20の薬剤収納室側の先端から容器本体10の長手方向に突出する突出部31が形成される長さを有しており、該突出部31の末端31aにて、排出口部材20に接着された面とは反対側の面が、第二の薬剤収納室15内にて、可撓性フィルム11の内面に接着されている。
剥離フィルム30の突出部31の末端31aと可撓性フィルム11の内面との接着の接着強度は、排出口部材20の開口端面22と剥離フィルム30とが剥離する際に、剥離しない強度であればよい。
【0014】
上記のように剥離フィルム30の一端が、排出口部材20の傾斜した開口端面22に剥離可能に接着し、突出した他端に設けられた突出部31が可撓性フィルム11に接着していることで、医療用複室容器1の第一の薬剤収納室14に収納された薬剤と、第二の薬剤収納室15に収納された薬剤との混合と同時に、開口端面22から剥離フィルム30を確実かつ容易に剥離させることができる。
医療用複室容器1を用いた薬剤との混合および排出手順の一例を、図3を用いて説明する。図3(a)は、第一の薬剤収納室14、第二の薬剤収納室15それぞれに第一の薬液L、第二の薬液Lが収納された、弱シール部13の剥離前の医療用複室容器1を、排出口部材20が取り付けられた側が下方となるように例えば点滴スタンド等のフックFにつり下げた状態を示す縦断面図であり、図3(b)は、該弱シール部13を剥離させて、第一の薬剤収納室14と第二の薬剤収納室15とを開通させた後の状態を示す縦断面図である。
図3(a)に示すように、弱シール部13の剥離前においては、排出口部材20の第二の薬剤収納室15側の開口が剥離フィルム30により閉鎖され、第二の薬剤収納室15内の薬液Lの流出が阻止されている。
この医療用複室容器1の第一の薬剤収納室14、第二の薬剤収納室15のいずれか一方または両方に外方から圧力を加えると、その押圧により可撓性フィルム11の内面と可撓性フィルム12の内面との弱シール部13が剥離する。弱シール部13が剥離すると、第一の薬剤収納室14と第二の薬剤収納室15とが開通し、第一の薬剤収納室14内の薬液Lが下方に移動し、薬液Lと混合され、混合薬液Lが調製される。
このとき、薬液Lおよび薬液Lの混合と同時に、剥離フィルム30が開口端面22から剥離する。つまり、弱シール部13が剥離し、薬液Lが下方に移動すると、図3(b)に示すように、排出口部材20の先端22a付近において、用基本対10が膨らむことで、可撓性フィルム11と可撓性フィルム12との間の距離が長くなる。このような可撓性フィルム11の変形に伴い、剥離フィルム30は、末端31aが可撓性フィルム11の内面に接着していることで、可撓性フィルム11側に引っ張られ、剥離フィルム30の末端31aと排出口部材20の先端22aとの距離が長くなり、開口端面22の先端22aに、剥離フィルム30を剥離しようとする力がかかる。これがきっかけとなり、剥離フィルム30が、開口端面22の先端22aから剥離し始める。また、開口端面22が傾斜面を有していることで、剥離フィルム30が、開口端面22の先端22aから順次剥離される。さらに、開口端面22が傾斜面を有していることで、容器本体10の膨らみが小さくとも、開口端面22から剥離フィルム30が剥離しやすく、混合薬液Lが排出されるのに充分な開口を得ることができる。剥離フィルム30が開口端面22から完全に分離される場合もある。
【0015】
上記のようにして剥離フィルム30が開口端面22から剥離することにより、容器本体10内と排出口部材20内とが連通する。そのため、容器本体10の外側の、排出口部材20の開口端面21側の開口を閉栓するゴム栓等に点滴針等の刺栓針を刺入れることにより、容器本体10内で調製された混合薬液Lを排出させ、点滴などにより患者に投与することができる。
一方、医療用複室容器1においては、図3(a)に示す弱シール部13が剥離していない状態では、剥離フィルム30の剥離は生じないため、その状態で刺栓針を刺入れても、第二の薬剤収納室15内の薬液Lのみでの排出は開始されず、未混合による誤投与を防止できる。
【0016】
なお、図3には、医療用複室容器1をつり下げた状態で混合を行う例を示したが、本発明はこれに限定されない。たとえばつり下げていない場合でも、第一の薬剤収納室14、第二の薬剤収納室15のいずれか一方または両方に外方から圧力を加えることにより、弱シール部13が剥離し、その押圧により、第二の薬剤収納室15において容器本体10が膨らみ、剥離フィルム30が排出口部材20の開口端面22から剥離する。このとき、場合によっては剥離フィルム30が排出口部材20の開口端面22からわずかに剥離するのみで混合薬液Lが排出されるのに充分な開口を得るための剥離が生じないおそれはある。しかしその場合も、その後、排出口部材20が取り付けられた側が下方となるようにフックFにつり下げた際に、混合薬液Lが下方に移動し、第二の薬剤収納室15において容器本体10は充分に膨らむため、特に追加の操作を行わなくても、剥離フィルム30を開口端面22から充分に剥離させることができ、混合薬液Lが排出されるのに充分な開口を得ることができる。
【0017】
上記医療用複室容器1において、可撓性フィルム11としては、医療用容器の分野で用いられている合成樹脂のフィルムが使用できる。一般に、容器本体10内に収納された薬剤を視認できる程度の透明性を有するものが使用される。
医療用容器の分野で用いられる合成樹脂としては、例えば、ポリオレフィン樹脂、ポリアミド樹脂、ポリエステル樹脂、(メタ)アクリル樹脂、塩化ビニル樹脂、塩化ビニリデン樹脂、ポリエーテルサルホン、エチレン−ビニルアルコール共重合体等が挙げられる。これらのなかでも、透明性、柔軟性及び衛生性に優れ、低コストである点から、ポリオレフィン樹脂が好ましい。
ポリオレフィン樹脂としては、例えば、高密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高圧法低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体等のポリエチレン系樹脂、エチレン−αオレフィンランダム共重合体等のオレフィン系エラストマー、ポリプロピレン、エチレン−プロピレンランダム共重合体、α−オレフィン−プロピレンランダム共重合体等のポリプロピレン系樹脂、環状ポリオレフィン樹脂、これらのいずれか2種以上の混合物等が挙げられる。
これらの合成樹脂は、耐熱性向上等を目的として一部架橋されていてもよい。
可撓性フィルム11は、単層フィルムであってもよく、多層フィルムであってもよい。
可撓性フィルム11の厚みは、50〜1000μm程度が好ましく、100〜500μm程度がより好ましい。
【0018】
可撓性フィルム12としては、可撓性フィルム11と同様のものが挙げられ、好ましい態様も同様である。
可撓性フィルム11を構成する材質と可撓性フィルム12を構成する材質とは異なっていても同じであってもよいが、熱溶着が容易である点から、少なくとも容器本体10の内面が同種の合成樹脂からなるフィルムであることが好ましい。
【0019】
排出口部材20は、少なくとも容器本体10と接着させる部分(以下、シール部という場合がある。)と、容器本体10の内側の開口端面22は、容器本体10とヒートシールにより接着させやすい観点から、合成樹脂で構成されていることが好ましい。
該合成樹脂としては、例えば、ポリオレフィン樹脂、ポリアミド樹脂、ポリエステル樹脂、(メタ)アクリル樹脂、塩化ビニル樹脂、塩化ビニリデン樹脂、ポリエーテルサルホン、エチレン−ビニルアルコール共重合体等が挙げられる。これらのなかでも、透明性、柔軟性及び衛生性に優れ、低コストである点から、ポリオレフィン樹脂が好ましい。
ポリオレフィン樹脂としては、例えば、高密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高圧法低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体等のポリエチレン系樹脂、エチレン−αオレフィンランダム共重合体等のオレフィン系エラストマー、ポリプロピレン、エチレン−プロピレンランダム共重合体、α−オレフィン−プロピレンランダム共重合体等のポリプロピレン系樹脂、環状ポリオレフィン樹脂、これらのいずれか2種以上の混合物等が挙げられる。
これらの合成樹脂は、性能向上のためにブレンドされていてもよく、耐熱性向上等を目的として一部架橋されていてもよい。
シール部および開口端面22は、それぞれ、単一の材料から構成される単層構造であってもよく、複数の合成樹脂層からなる多層構造であってもよい。
シール部および開口端面22をそれぞれ構成する合成樹脂としては、熱溶着による接着が容易であり、接着強度も高いことから、容器本体10の内面を構成する合成樹脂と同種の合成樹脂が好ましい。
排出口部材20は、シール部および開口端面22のみが合成樹脂製であっても、排出口部材20全体が合成樹脂製であってもよい。また、排出口部材20のそれぞれの部分を、それぞれ異なる合成樹脂、または合成樹脂以外の材料で形成してもよい。
排出口部材20は、公知の成型方法により作製できる。
排出口部材20は、複数の部材を一体化することで形成されていてもよい。たとえば排出口部材20の、シール部を含む開口端面22側の部分と、シール部よりも開口端面21側の部分とを別々に成形し、融着させてもよい。
【0020】
剥離フィルム30の、容器本体10内にて可撓性フィルム11の内面に接着される面(以下、接着面30Aという場合がある。)を形成する層の材質は、容器本体10内にて可撓性フィルム11の内面と熱溶着が可能であることから、可撓性フィルム11の内面を構成する合成樹脂と同種の合成樹脂で構成されることが好ましい。
接着面30Aを形成する層の厚さは、50〜500μmであることが好ましく、100〜350μmであることが特に好ましい。この層が50μm以上であれば、剥離フィルム30をヒートシールにより排出口部材20の開口端面22および可撓性フィルム11の内面に接着する際の圧力により、薄肉化することなく、反対面である開口端面22に接着される面を形成する層が接着面30Aに露出してしまうことを抑えられ、接着面30Aと可撓性フィルム11の内面とに充分な接着強度を得ることができるため、好ましい。また、この層が500μm以下であれば、ヒートシールにより可撓性フィルム11の内面に接着させる際の熱伝導性が低下しないため、必要な接着強度で接着させることが可能であるため、好ましい。
【0021】
一方、剥離フィルム30の、排出口部材20の開口端面22に接着される面(以下、接着面30Bという場合がある。)を形成する層の材質は、開口端面22と剥離可能に接着することができる材質であればよい。このような材質としては、たとえば、開口端面22を構成する合成樹脂と同種の合成樹脂や、開口端面22を構成する合成樹脂と相溶性の合成樹脂と、これと非相溶性の合成樹脂とを溶融混練させた混合樹脂が挙げられる。開口端面22を構成する合成樹脂と同種の合成樹脂を用いる場合は、開口端面22にヒートシールにより接着させる際の、温度や圧力等の条件を変更させることで、剥離可能に接着することが可能である。また、上記混合樹脂は、たとえば開口端面22がポリエチレンにより形成されているものであった場合、ポリエチレンと、これと非相溶性を有するポリプロピレンとを混合したもの等が挙げられる。
接着面30Bを形成する層の厚さは、20〜60μmであることが好ましく、25〜50μmであることが特に好ましい。この層が20μm以上であれば、剥離フィルム30をヒートシールにより排出口部材20の開口端面22および可撓性フィルム11の内面に接着する際の圧力により、反対面である接着面30Aを形成する層が接着面30Bに露出して接着面Bと剥離フィルム30との接着強度が強まり剥離しにくくなってしまうことを抑えられ、本発明に必要な剥離可能な接着強度を得られるため、好ましい。また、この層が60μm以下であれば、ヒートシールにより開口端面22に接着させる際の熱伝導性が低下しないため、開封可能に接着させることが可能であるため好ましい。
【0022】
剥離フィルム30は、接着面30Aおよび接着面30Bの両面を形成する材質の各フィルムが共押出しにより形成されたフィルムでもよく、積層されたフィルムでもよい。積層方法としては、ドライラミネート法、押出しラミネート法、熱ラミネート法などの公知の方法が用いられる。また、これら両面を形成する層の他に、必要に応じて、他の層を含んだものでもよい。さらに、剥離フィルム30は、単層で形成されていてもよい。
剥離フィルム30の総厚としては、70〜560μmであることが好ましく、125〜400μmであることが特に好ましい。この層が70μm以上であれば、剥離フィルム30をヒートシールにより開口端面22および可撓性フィルム11の内面に接着する際の圧力により、接着面30A、接着面30Bのそれぞれの面を形成する層が薄肉化することなく、それぞれに要求される適正な接着強度が発現でき好ましい。また、この層が560μm以下であれば、ヒートシールにより開口端面22および可撓性フィルム11の内面に接着させる際の熱伝導性が低下しないため、接着面30A、接着面30Bをそれぞれ可撓性フィルム11の内面、開口端面22に必要な接着強度で接着させることが可能であるため好ましい。
【0023】
医療用複室容器1の第一の薬剤収納室14、第二の薬剤収納室15それぞれに薬剤を充填することで、薬剤入り医療用複室容器とすることができる。
第一の薬剤収納室14に収納する薬剤(以下、第一薬剤ということがある。)は、流動性を有するものであればよく、液体、粉体等の薬剤を挙げることができる。
第二の薬剤収納室15に収納する薬剤(以下、第二薬剤ということがある。)は、第一薬剤と同様である。ただし、医療用複室容器1は、輸液用の薬剤や注射用の薬剤の収納に用いられることが多いため、第一薬剤および第二薬剤の一方または両方が液体の薬剤(薬液)であることが好ましい。
第一薬剤、第二薬剤の充填量は、各薬剤の種類に応じて決定できる。
排出口部材20は、第二の薬液収納室15へ第二薬剤を充填するための注入口としても使用できる。なお、第一の薬液収納室14への第一薬剤の充填は、図示略の第1薬液注入口から行われる。
【0024】
該薬剤入り医療用複室容器は、例えば次の製造方法により製造できる。
まず、可撓性フィルム11と可撓性フィルム12とを重ね合わせ、容器本体10の側端部側の周縁部を、ヒートシールにより剥離不能に接着する。
次に、第一の薬剤収納室14と第二の薬剤収納室15とに区画する位置に、ヒートシールにより、剥離可能な弱シール部13を設ける。
別途、排出口部材20の開口端面22に、剥離フィルム30を、ヒートシールにより剥離可能に接着する。
この剥離フィルム30が融着された排出口部材20を、容器本体10の下端部側の任意の位置に位置するように可撓性フィルム11と可撓性フィルム12とで挟み込んだ後、ヒートシールして、該下端部側の周縁部および排出口部材20を剥離不能に接着する。
その後、剥離フィルム30の末端31a部分にて、ヒートシールにより、開口端面22に接着した面とは反対側の面を可撓性フィルム11に接着する。このようにして、容器本体10の上端部側が開口した状態の医療用複室容器1が得られる。
次に、容器本体10の上端部から第一の薬剤収納室14に任意の量の第一薬剤を充填し、その後、上端部側の周縁部をヒートシールにより剥離不能に接着する。接着された上端部側の任意の位置を穿孔して、吊孔16を設ける。
次に、例えば、排出口部材20から第二の薬剤収納室15内に第二薬剤を充填し、その後、排出口部材20をゴム栓等で閉栓し、さらに剥離可能な保護フィルムで排出口部材20の開口端面21を覆う。こうして、医療用複室容器1の第一の薬剤収納室14に第一薬剤が充填され、第二の薬剤収納室15に第二薬剤が充填された薬剤入り医療用複室容器を得ることができる。
ただし本発明における薬剤入り医療用複室容器の製造方法はこれに限定されず、本発明の効果を損なわない範囲で、各工程の順序を変更してもよい。
得られた薬剤入り医療用複室容器に対し、滅菌処理を行ってもよい。滅菌処理としては、通常、高圧蒸気による加熱滅菌処理が行われる。
【0025】
ここで、「剥離可能に接着」は、当該薬剤入り医療用複室容器を外側から押圧した際に剥離する強度で接着していることを示す。該強度は、例えば15mm幅の短冊を用いた剥離試験(JIS Z0238)により測定されるヒートシール強さとして、2.0〜5.0N/15mmが好ましく、2.5〜3.0N/15mmがより好ましい。排出口部材20の開口端面22と剥離フィルム30との間のヒートシール強さと、弱シール部13のヒートシール強さとは、剥離可能な範囲であれば、同じであっても異なっていてもよい。
「剥離不能に接着」は、当該薬剤入り医療用複室容器を外側から押圧した際に剥離しない強度で接着していることを示す。該強度は、例えば15mm幅の短冊を用いた剥離試験(JIS Z0238)により測定されるヒートシール強さとして、20〜30N/15mmが好ましく、23〜25N/15mmがより好ましい。容器本体10の周縁部のヒートシール強さ、容器本体10と排出口部材20との間のヒートシール強さ、剥離フィルム30と可撓性フィルム11との間のヒートシール強さは、それぞれ、剥離不能な範囲であれば、同じであっても異なっていてもよい。
なお、ヒートシール強さに関しては、以下、剥離強度または接着強度という場合がある。
ヒートシール強さは、ヒートシールの温度および圧力などの条件を変更することにより調整できる。また、弱シール部13のヒートシール強さを剥離可能な強度とする方法は、たとえば、容器本体10の内面側に、ポリエチレンとポリプロピレンとの混合物等の、融点や相溶性の異なる樹脂混合物からなる層を形成させた合成樹脂フィルムを用いて、高融点の樹脂の溶融温度以下の温度でシールする方法が挙げられる。また、ヒートシールを低温で行い、半溶着状態で弱接着させる方法、弱シール部13の形成部分に予め電子線等で架橋した可撓性材料を用いる方法、強融着部分を特定の面積割合で発生させるシールバーを用いる方法、可撓性フィルム11と可撓性フィルム12との間に易剥離性の樹脂テープを挟む方法等が挙げられる。
また、ヒートシールによる接着方法の他、インパルスシールや接着剤を用いたシールによる接着方法により製造してもよい。
【0026】
[第二の実施形態]
本実施形態の医療用複室容器は、排出口部材20の代わりに、第二の薬剤収納室15側の先端の、傾斜面を含む平面とは異なる平面上に端面が形成されている排出口部材20’を備える以外は、第一の実施形態の医療用複室容器と同様の構成である。
図4に、本実施形態の医療用複室容器が備える排出口部材20’の第二の薬剤収納室15側の先端部分の斜視図を示す。また、図5に、該先端部分を、開口端面22側から見た上面図(図5(a))および側面図(図5(b))を示す。なお、以下に記載する実施形態において、第一実施形態に対応する構成要素には同一の符号を付してその詳細な説明を省略する。
本実施形態にて用いられる排出口部材20’は、図4〜5に示すように、第二の薬剤収納室15側の先端の、傾斜面を含む平面とは異なる平面上に端面23が形成されている。
端面23が形成されていることで、剥離フィルム30の剥離性がさらに向上する。すなわち、端面23が形成されておらず、先端が尖っている場合、先端の厚みは非常に薄く、剥離フィルム30が可撓性フィルム11側に引っ張られた際に、同時に開口端面22の先端が可撓性フィルム11側に引っ張られ、剥離フィルム30の剥離が生じにくい場合がある。しかし端面23を形成し、排出口部材20の先端部分に厚みを持たせることで、該先端部分における排出口部材20の剛性が向上し、また、開口端面22の先端の角の部分に応力がかかりやすくなるため、開口端面22の先端部分からの剥離が生じやすいため、好ましい。
排出口部材20’は、公知の成型方法により作製できる。また、例えば、排出口部材20と同様の形状の排出口部材を作製し、その開口端面22の先端をカットすることにより作製してもよい。
【0027】
[第三の実施形態]
本実施形態の医療用複室容器は、排出口部材20’の開口端面22に、開口部を囲む凸条が形成されている排出口部材20”を備える以外は、第二の実施形態の医療用複室容器と同様の構成である。
図6に、本実施形態の医療用複室容器が備える排出口部材20”の第二の薬剤収納室15側の先端部分の斜視図を示す。
本実施形態にて用いられる排出口部材20”は、図6に示すように、開口端面22に、開口部24を囲む連続した略楕円形状の凸条25が形成されている。また、凸条25の、開口端面22の先端側およびその反対側の2箇所に、それぞれ、外側に突出した、応力集中部となる角部25a、25bが設けられている。
この凸条25が形成されていることによっても、剥離フィルム30の開口端面22からの剥離性がさらに向上する。すなわち、本実施形態においては、剥離フィルム30が凸条25の上端に接着するため、開口端面22の全面に接着する場合に比べて接着面積が小さく、剥離フィルム30が剥離しやすいため好ましい。また、凸条25の、開口端面22の先端側において突出した角部25aが存在することで、弱シール部13が剥離して剥離フィルム30が可撓性フィルム11側に引っ張られた際に、開口端面22の先端にかかる力が角部25aに集中し、剥離フィルム30の剥離の起点となるため、剥離が生じやすい。
排出口部材20”は、公知の成型方法により作製できる。また、例えば、排出口部材20’と同様の形状の排出口部材を作製し、その開口端面22に、凸条25を熱溶着により形成することにより作製してもよい。
なお、本実施形態では2つの角部25a、25bを設けた例を示したが、少なくとも開口端面22の先端側の角部25aを設ければ上記効果が得られ、角部25bは必ずしも設ける必要はない。また、第一の実施形態における排出口部材20の開口端面22に凸条25および角部25a、25bを設けてもよい。
【0028】
[第四の実施形態]
本実施形態の医療用複室容器2は、第二の薬剤収納室15内にて、剥離フィルム30が接着されていない方の可撓性フィルムである可撓性フィルム12に排出口部材20’が接着されている以外は、第二の実施形態の医療用複室容器と同様の構成である。
図7に、本実施形態の医療用複室容器2の部分断面図を示す。医療用複室容器2は、図7に示すように、第二の薬剤収納室15内にて、排出口部材20’の開口端面22の背面部分26が可撓性フィルム12の内面に接着されている。
かかる構成とすることにより、剥離フィルム30の剥離性がさらに向上する。すなわち、排出口部材20’の開口端面22の背面部分26が可撓性フィルム12に接着されていることで、弱シール部13が剥離して容器本体10が膨らむと、剥離フィルム30が可撓性フィルム11側に引っ張られ、背面部分26が可撓性フィルム12側に引っ張られ、剥離フィルム30と開口端面22の背面部分26とが互いに逆方向に引っ張られるため、剥離フィルム30の開口端面22からの剥離が生じやすい。
なお、本実施形態では、第二の実施形態における排出口部材20’の開口端面22の背面部分26が可撓性フィルム12の内面に接着された例を示したが、第一の実施形態における排出口部材20または第三の実施形態における排出口部材20”の開口端面22の背面部分26が可撓性フィルム12の内面に接着されていてもよい。
【0029】
以上、上記第一〜第四の実施形態を説明したが本発明はこれらの実施形態に限定されるものではない。
たとえば医療用複室容器に形成された薬液収納室の数は、2つに限定されず、3つ以上であってもよい。
容器本体10を、2枚の可撓性フィルムで構成した例を示したが、例えば1枚の可撓性フィルムを折り曲げて使用してもよく、ブロー成形により形成されたフィルムを用いてもよい。
剥離フィルム30は略矩形状のものを例にして説明したが、これに限定されるものではなく、本発明の効果を損なわない範囲で、略矩形状以外の形状としてもよい。
剥離部材として剥離フィルム30を用いた例を示したが、例えば不織布、紙等を用いてもよい。
排出口部材20”では、開口端面22に、角部25a、25bを有する凸条25を設けたが、角部25a、25bを設けなくてもよい。
【0030】
本発明においては、排出口部材20内と第二の薬剤収納室15内とが非液密に閉塞されていることが好ましい。具体的には、排出口部材20(または排出口部材20’もしくは20”)および剥離フィルム30の少なくとも一方に、第二の薬剤収納室15と排出口部材20内とを連通する断面積0.5〜5.0mmの孔または切り欠きが形成されていることが好ましい。
一般的に、薬液入り医療用複室容器については、薬剤の充填後、無菌性を保証するために、高圧蒸気による加熱滅菌処理が行われる。しかし排出口部材20の両端の開口を閉鎖した状態で高圧蒸気による加熱滅菌処理を行う場合、排出口部材20内に水分等が存在し得ないため、滅菌が不充分となるおそれがある。第二の薬剤収納室15内と排出口部材20内とを非液密に閉塞し、通気性または通液性を持たせることで、加熱滅菌処理の際、薬剤中の水蒸気が該孔または切り欠きを介して排出口部材20内を流通可能となり、滅菌を充分に行うことができる。
孔または切り欠きは、排出口部材20および剥離フィルム30のいずれか一方に設けてもよく、両方に設けてもよい。
剥離フィルム30の場合、排出口部材20の第二の薬剤収納室15側の開口部24と重なる位置に孔を設けることが好ましい。
排出口部材20の場合、開口端面22に切り欠きを設けることが好ましい。開口端面22上、該切り欠きを設ける位置は特に限定されないが、開口端面22の先端が好ましい。これにより、該切り欠きが前記角部25aと同様に応力集中部として機能し、剥離フィルム30の開口端面22からの剥離性がさらに向上する。
なお、排出口部材20”の場合、切り欠きを設けることで、凸条25が不連続なものとなってもよい。また、開口端面22の先端に切り欠きを設ける場合、角部25aを形成しなくても同様の剥離性が得られる。
【符号の説明】
【0031】
1…医療用複室容器、2…医療用複室容器、10…容器本体、11…可撓性フィルム、12…可撓性フィルム、13…弱シール部、14…第一の薬液収納室、15…第二の薬液収納室、16…吊孔、20…排出口部材、20’…排出口部材、20”…排出口部材、21…開口端面、22…開口端面、23…端面、24…開口部、25…凸条、30…剥離フィルム、31…突出部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
対向する一対の可撓性フィルムで構成され、剥離可能な弱シール部により複数の薬剤収納室に区画された容器本体と、両端が開口し、前記複数の薬剤収納室のうちの1つと前記容器本体の外側とを連通可能にする中空形状の排出口部材と、前記排出口部材の前記薬剤収納室側の開口端面に剥離可能に接着した、該薬剤収納室側の開口を閉鎖する剥離部材と、を備え、
前記排出口部材は、前記薬剤収納室側の開口端面が傾斜面を有し、該開口端面と前記一対の可撓性フィルムの一方とが対向するように前記容器本体に取り付けられ、
前記剥離部材は、前記排出口部材の前記薬剤収納室側の先端から突出する突出部を有し、該突出部にて、前記開口端面と対向する可撓性フィルムに接着されていることを特徴とする医療用複室容器。
【請求項2】
前記排出口部材は、前記薬剤収納室側の先端の、前記傾斜面を含む平面とは異なる平面上に端面が形成されている請求項1に記載の医療用複室容器。
【請求項3】
前記排出口部材は、前記薬剤収納室側の開口端面に、開口部を囲む凸条が形成されている請求項1または2に記載の医療用複室容器。
【請求項4】
前記凸条は、少なくとも当該開口端面の先端側に、応力集中部を有する請求項3に記載の医療用複室容器。
【請求項5】
前記排出口部材により前記容器本体の外側と連通可能な薬剤収納室内にて、前記剥離部材が接着されていない方の可撓性フィルムに前記排出口部材が接着されている請求項1〜4のいずれか一項に記載の医療用複室容器。
【請求項6】
前記排出口部材と前記薬剤収納室内とが非液密に閉塞されている請求項1〜5のいずれか一項に記載の医療用複室容器。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれか一項に記載の医療用複室容器に薬剤を収容した、薬剤入り医療用複室容器。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate


【公開番号】特開2011−177438(P2011−177438A)
【公開日】平成23年9月15日(2011.9.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−46817(P2010−46817)
【出願日】平成22年3月3日(2010.3.3)
【出願人】(000143880)株式会社細川洋行 (130)
【Fターム(参考)】