医療用針カバー装置
先端がとがった医療用針(11)を備えた単回使用用の注射器(10)の医療用針カバー装置において、針用ハブ(12)から前方に突き出した状態で、医療用針は注射器に取り付けられる。安全装置(13)の一部を構成するスリーブ(19)は、注射器に取り付けられる。スリーブは、医療用針(11)に対して、初期の保護位置から非保護位置まで軸方向に移動するよう配備されており、スリーブは、初期の保護位置から注射器に対して前方に移動しないように妨げられている。針用ソフトカバー(23)は、針用ソフトカバーにより針のとがった先端が保護される状態で医療用針を覆う。針用ソフトカバーの後端(25)と注射器のハブ(12)の前端(15)とは、相互係合面の外形を有する。針用ソフトカバーの両端の間には段部(27)があり、注射器のハブから針用ソフトカバーが前方に離れないようにし、針用ソフトカバーとハブ(12)との間の密封性が保たれるように、段部は、スリーブ(19)の前端の内部の係合位置と係合する。ハブと段部(27)間の針用ソフトカバーの部分は密封性を高めるために圧力を受けるものとしても良い。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、前方に突出する医療用針を有する注射器に関連して使用される針用ソフトカバーのための医療用針カバー装置に関する。本発明の好ましい観点において、本発明は、単回使用用の注射器から前方に突出する医療用針に受動的な保護を与えるために配置された針安全装置に関連した針用ソフトカバーの改良に関する。
【背景技術】
【0002】
本発明で使用される医療用針を備えた注射器は、人間や動物の体への注射に使用することを想定している。あるいは、本発明に関する医療用針を備えた注射器は、静脈内投薬システムにおける貫通可能な膜への注射のような他の医療目的で使用される。他の医療目的での使用が具体例として想定されるかもしれないが、以下では、注射器と針の全ての医療目的の使用は、単に体への注射について述べる。
【0003】
本明細書を通して、注射器、針及び針用安全装置に関して用いられる「前方」や「前方に」という語句は、注射するとき体に近づく構成要素の端や、構成要素の端に向かう方向に関する。逆に、「後方」や「後方に」という語句は、前端に相対する構成要素の端や、前端から離れる方向に関する。
【0004】
永久的に針が固定された注射器は、液体薬物や薬剤が、たびたび予め充填され、注射を実行するために一度だけ使用される。一度使用すると、注射器と針は、安全な方法で廃棄されなければならない。そのような注射器を扱わなければならない可能性のある人を守るために、注射の実行前あるいは実行後に、健康と安全の法規が要求されることと同様に、偶発的に針を刺して傷を付ける危険性を最小限にする安全装置のようなものを針に備える最善の方法が要求される。そのような安全装置は、「受け身」を基準として作用することが望ましい。すなわち、使用者が、針の保護を確保するためのいかなる行為をとる必要がないことが望ましい。
【0005】
典型的には、そのような安全装置は、注射器に取り付けられるスリーブを備えても良く、針を保護する位置と保護しない位置との間で、軸方向にスライド可能である。弾性力が働くことにより、スリーブは注射器に対する保護位置である前方に押されるものとしても良い。注射を実行する過程において、スリーブは注射器に対して後方に移動されるが、その後、スリーブは注射の完了時に弾性力により、保護位置である前方に戻るように動くものとしても良い。安全装置は、注射の後に2度とスリーブが保護位置から後方に動かないようにロック機構を備えるものとしても良い。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
注射器の胴体の前方端の針用ハブに、しっかりと永久的に針が固定された単回使用用の注射器の製造過程において、液体薬物や薬剤を充填する前で、注射器が、殺菌され、貯蔵や輸送用のため包装される前に、針に針カバーを装着することが通常の実務となっている。そのようなカバーは、通常TPEのような軟質のエラストマー製で、薬剤の適合性と安定性を保たなければならない。カバーの後端は、針用ハブに適合し、針のとがった先端は、密封されるようにカバー素材に突き刺さる。しかし、カバーは、針に通常塗布されている潤滑剤を取り除かないように、針の長さの大部分を圧迫しない。よって、注射器の針用ハブから針の鋭利な先端付近までの針の大部分の周囲には空間がある。
【0007】
単回使用用の注射器の製造工程に関する重要な問題は、殺菌と包装の工程で生ずる。殺菌と包装の工程では、針カバーが、針用ハブへの嵌合状態から移動する傾向がある。いわゆる、「ポップオフ」(pop-off)として知られる現象である。この現象は主に、注射器とカバーが洗浄と殺菌の工程で受ける圧力変化と、密封空間内の針とカバーの間に事実上空間が存在することにより生じる。この問題について、そのような空間を換気することで対処してきたが、針の滅菌状態が損なわれる可能性がある。結果として、注射器の針用ハブへの針カバーの装着状態の安全性を増す試みとして、注射器の針用ハブに少なくとも1つの構成要素を備え、当該ハブの構成要素と協働するために、針カバーの後端に対応する構成要素を備えて、機械的に針カバーを針用ハブに固定することが、通常の慣例である。例えば、針用ハブの周りに直立したリブを備え、針カバーは、後端内側の周りにフランジを有し、フランジの後ろ側がリブに係合して適合することにより、針カバーを注射器のハブに固定する。
【0008】
上記したように、注射器と針カバーが針安全装置に装着された際、針安全装置は、外方向への広がりはできる限り小さい方がより有益である。よって、針安全装置の内部は、注射器に近づけて適合させなければならない。これにより、針カバーの除去にかかる問題が生じうる。針カバーが針から引き抜かれるとき、針カバーの後端は、フランジが注射器の針用ハブに備えられたリブを超えてスライドするのに十分なぐらい広がらなければならない。しかし、針カバーの後端の広がりを許容するほどの十分な空間は、針安全装置内には存在しない可能性がある。
【0009】
本願発明の主な目的は、先端に針を備えた単回使用用の注射器に針用ソフトカバーを装着する際の上述した問題を軽減することである。特に、本願発明の主な目的は、従来の予め薬剤が充填された単回使用用の注射器の製造にともなう「ポップオフ」の現象が起こる可能性を軽減することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本願発明の第1の観点は、注射器と、注射器から前方に突出するように注射器に設けられた鋭利な先端を有する医療用針と、初期の保護位置から非保護位置まで、医療用針に対して軸方向後方に移動するように注射器に設けられた針用保護部材と、医療用針を覆う針用ソフトカバーであって、当該針用ソフトカバーの後端と、注射器の前端とが相補的に係合する表面により形状が形成される、当該針用ソフトカバーと、を備え、針用保護部材は、注射器に対する初期の保護位置に対して前方に移動することを阻止され、かつ、針用ソフトカバーが注射器から前方に離れる動きに抵抗するように、針用ソフトカバーの後端の前方で針用ソフトカバーを係合するように適合された、医療用針カバー装置である。
【0011】
本発明によれば、注射器と針用ソフトカバーが相互に係合する外形を有していることにより、針用ソフトカバーの後端と、注射器の前端との間の密封性が実現される。針用保護部材を含む安全装置は、針用ソフトカバーと針用保護部材とが係合するように注射器に装着されている限り、注射器のハブの周囲に形成されたリブの後ろに係合する内周フランジのように、注射器のハブと針用ソフトカバーに取り付けられた機械的に内部係合する構造によって、針用ソフトカバーが注射器に固定される必要がない。本発明では、注射器のハブにリブや他の構成を備えることなく、密封が実現される。針用保護部材が、保護位置から前に移動することが阻止されてることにより、保護位置にあるときの針用ソフトカバーと針用保護部材との係合が、製造工程中やその後も、注射器のハブから針用ソフトカバーがスライドして離れることを妨げる。これにより、針の周囲の密封空間が通常圧力変異にさらされる殺菌工程の間でさえ、針用ソフトカバーと注射器のハブとの間の完全な密封状態が持続されうる。
【0012】
従来の針用ソフトカバー同様に、針のとがった先端は、針用ソフトカバーにより密封されるように、カバー素材に受け止められる。また、これにより、注射器の製造工程、その殺菌、包装、その後の充填のための開梱、充填、再包装の様々な場面において、針のとがった先端に、更に保護が与えられる。
【0013】
針用保護部材と針用ソフトカバーとが係合することで、針用ソフトカバーの後端と、スリーブが針用ソフトカバーに係合する位置との間において、針用ソフトカバー内に圧縮力を生じさせても良い。これにより、針用ソフトカバーの後端は後方に押され、針用ソフトカバーの後端と注射器のハブとの間の密封性が保たれることを確実にする。針用ソフトカバーが弾力特性を有していることから、針用ソフトカバーの圧縮は、注射器の製造中、輸送中、及び保管中も持続され、故に同じく効果的な密封性が持続されることを確実にする。
【0014】
安全装置が、直接的または間接的に注射器に接続可能(または接続されている状態)であって、針用ソフトカバーの後端を注射器のハブに固定するように、針用ソフトカバーを針に係合させるものである限り、本発明は、注射器に使用する安全装置のいかなる種類のものにも制限されない。好ましくは、針用保護部材は、保護位置と、保護位置より(注射器に対して)軸方向後方に間隔を隔て位置する非保護位置との間で、注射器の胴体上をスライドして動くように、注射器に直接的または間接的に取り付けられたスリーブの形状である。使用後に針が保護されるように、注射器の胴体に対して前方の保護位置にスリーブを移動させる弾性力が働いても良い。注射器を使用する準備として針用ソフトカバーが装置から外されるまで、針用ソフトカバーは、スリーブが後方へスライドするのを防ぐ働きをするものとしても良い。1つのスリーブを用いるものとしても良いし、特に針が比較的長い場合には、2以上のスリーブが結合したスリーブを用いるものとしても良い。
【0015】
本発明の他の様々な態様によれば、前端にハブを有する単回使用用の注射器と、注射器のハブから前方につきだしている医療用針と、針を覆い、後端が注射器のハブと係合する針用ソフトカバーと、注射器に設けられ、初期の保護位置から非保護位置まで、針に対して軸方向後方に移動する針用保護部材とを備え、針用保護部材は、初期の保護位置から注射器に対して前方に移動することを阻止され、針用ソフトカバーの後端と注射器のハブとの間の密封状態が実現された状態において、注射器から針用ソフトカバーが前方に離れないように、針用保護部材は、針用ソフトカバーの後端から前部分と係合するものであって、更に、
(a)針用ソフトカバーの前方への移動は、単に針用ソフトカバーがスリーブに係合することのみで妨げられており、
(b)密封は、針用ソフトカバーの後端部とハブの間の機械的なロック機構なしで実現され、
(c)密封は、放射状、円錐状、又は弓状の係合面の針用ソフトカバーの後端とハブとの間で、十分に実現されている。
【0016】
本発明は、針用ソフトカバーと、前方に針が突き出た単回使用用の注射器の一部である針用ハブとの間の密封を実現する方法であって、注射器に設けられ、初期の保護位置から非保護位置まで、針に対して軸方向後方に移動する針用保護部材を提供し、針用ソフトカバーの後端が、針用ハブの前端においてそれと相補的な形状を有し、針用保護部材は、初期の保護位置から前方に移動することを阻止され、針用保護部材の一部は、針用ソフトカバーの後端から前方に間隔を隔てた位置で、針用ソフトカバーと係合し、それにより当該位置と針用ソフトカバーの後端との間において、針用ソフトカバーの部分に圧縮力がかかり、これにより、針用ソフトカバーの後端と針用ハブとの間の密封を維持することが実現される、密封を実現するための方法である。
【0017】
単なる例示としてではあるが、下記添付した図を参照しつつ、本発明の密封性を有する針用ソフトカバーの一例について詳細に記す。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】注射器と、協働して機能する針用ソフトカバーの第1の実施形態を示し、注射器に組み合わされる前の、針用ソフトカバーを移動する安全装置の等角断面図である。
【図2】注射器と、協働して機能する針用ソフトカバーの第1の実施形態を示し、安全装置が注射器に装着された状態を示す。
【図3】第1の実施形態の軸断面図であり、図1に対応する。
【図4】第1の実施形態の軸断面図であり、図2に対応する。
【図5】第1の実施形態の軸断面図であり、針用ソフトカバーが安全装置から外された状態を示す。
【図6A】針用ソフトカバーと、注射器のハブ(または突出部)との、係合面の別例を示す軸断面図と等角図である。
【図6B】針用ソフトカバーと、注射器のハブ(または突出部)との、係合面の別例を示す軸断面図と等角図である。
【図7A】針用ソフトカバーと、注射器のハブ(または突出部)との、係合面の別例を示す軸断面図と等角図である。
【図7B】針用ソフトカバーと、注射器のハブ(または突出部)との、係合面の別例を示す軸断面図と等角図である。
【図8A】図6Aに対応し、針用ソフトカバーと、注射器のハブとの係合面について、更に他の可能性を示す。
【図8B】図6Bに対応し、針用ソフトカバーと、注射器のハブとの係合面について、更に他の可能性を示す。
【図9A】図7Aに対応し、針用ソフトカバーと、注射器のハブとの係合面について、更に他の可能性を示す。
【図9B】図7Bに対応し、針用ソフトカバーと、注射器のハブとの係合面について、更に他の可能性を示す。
【図10A】図6Aに対応し、針用ソフトカバーと、注射器のハブとの係合面について、更に他の可能性を示す。
【図10B】図6Bに対応し、針用ソフトカバーと、注射器のハブとの係合面について、更に他の可能性を示す。
【図11A】図7Aに対応し、針用ソフトカバーと、注射器のハブとの係合面について、更に他の可能性を示す。
【図11B】図7Bに対応し、針用ソフトカバーと、注射器のハブとの係合面について、更に他の可能性を示す。
【発明を実施するための形態】
【0019】
まず、図1から図5まで参照すると、注射器の突出部12に針11が装着された注射器10と、当該針を保護するための安全装置13が示されている。安全装置及びその操作方法の詳細、とりわけ、注射後に安全装置のスリーブをロック可能とすることに関しては、本願発明の構成ではないため、ここでは詳細な説明は省略する。本発明は、特定の安全装置を使用することに制限されないことは、理解されるはずである。
【0020】
注射器の突出部は、針のためのハブとして機能しており、後方で面するショルダー14を画定し、そのショルダーの前方において、突出部は、おおよそ円錐形状をなし、当該円錐形状が係合面15を画定する。突出部の中心における少量の接着剤16は、突出部12の中を通り穴17に至った針11を固定する機能を有する。保護スリーブ19のためのキャリア18を含む安全装置13は、注射をする際は、針11に対して後方にスライド可能である。キャリアは、注射器の突出部のための穴20を有する。注射器が安全装置に取り付けられた際は、安全装置が注射器を保持するよう、ショルダー14の後方と係合するように穴の内部に内側に指向したリブ21が形成されている。
【0021】
保護スリーブ19は、その前端に円形開口部22を有し、開口22の中にはゴム製ソフトカバー23が配置されている。当該カバーは、スリーブを超えて伸びる前方部分24と、スリーブ内に配置される後方部分25を有する。当該カバーの後端からカバー内に穴26が伸び、注射器10の突出部12から突き出たむき出しの針11の長さ以下の距離である。当該カバーの外側の面には、その両端面の途中に段部27がある。段部27は、前端面で、スリーブ内面に係合し、前方部分24がスリーブから当該カバーを取り外すのに十分な力で引っ張られることがない限り、スリーブ内に当該カバーを保持する。
【0022】
穴20周囲のカバーの後端面28は、スリーブの突出部の円錐形の係合面15の外形と相補的な外形を有する。図2と図4に示すように、カバーの後端面から段部27までの長さは、安全装置を注射器に適合させることに基づくよう定められており、カバーの端面28は、注射器の突出部の係合面15と係合する。そして、カバーの端面28は、注射器の突出部に対して安全装置を十分深く押し込むことで、弾性的に付勢されて、それとの係合がもたらされる。このように、カバーの後方部分25は、安全装置を注射器に係合させることで、軸方向の圧力を受け、図2と図4に示すように、カバーと注射器の突出部の間の空密性を実質的に保証する。
【0023】
示したように、針のとがった先端は、ゴム製のソフトカバーにわずかに突き刺さることで密封される。これにより、当該カバー内の針の先端を置くことのみで、針から薬剤が漏出する可能性を防ぐことができるが、カバー内部に針が入るだけなので、針が身体に突き刺さることを容易にするために針につけられている潤滑剤は、当該カバーによって拭き取られることはない。その上、構成部材の組み立てが、殺菌性が保たれた状況で行われる限り、当該カバーの端面28と、注射器の突出部の係合面15とが係合することで、針の殺菌効果の残存を保証する密閉性を奏することになる。
【0024】
注射器と安全装置が使用されるときは、カバー23の前方部分24がつかまれ、安全装置13と注射器10からカバー23が引き抜かれる(図5参照)。当該カバーは、段部27が、スリーブの前端に位置する円形開口部22を通過するのに十分な程度に、放射状に圧縮される。そして、注射器と安全装置の注射実施への準備が整うと、当該カバーは、廃棄されても良い。
【0025】
図6A,6B,7A,7Bは、上記実施形態とほぼ同様の第2の実施形態を示す。しかし、これらの図では、安全装置自体は示されていない。注射器の突出部の係合面30と、カバー端面31は、比較的浅い円錐の輪郭を持ち、円錐の角度は約30度である。これにより、圧縮力が減らされ、第1の実施形態より、しっかりした密封性を獲得しうる。
【0026】
図8A,8B,9A,9Bは、他の実施形態を示す。注射器の突出部には、ほぼ丸く盛り上がった輪郭33があり、カバー端面内は、相対的に丸く凹んだ輪郭34がある。これらの対応しあう輪郭形状により、当該カバーと注射器との間の実質的な空密性を獲得しうる。図10A,10B,11A,11Bは、更に他の実施形態示す。当該実施形態では、注射器の突出部は、針を内部に備え付けるための中央突起部37を有する円錐状凹部36を画定し、カバーは、後端部で、中央突起部を受け止めるのに適した輪郭を有する。当該カバーの後端部で、当該カバーの外面は、凹部36に対する密封性を保つような輪郭形状を有する。
【0027】
いずれの装置において、スリーブの内側前端と段部27が係合することにより、安全装置が注射器に適合して、カバーの後方部分25は、圧縮力を受ける。上述したように、カバーの後端面を、注射器の対応する係合面との密封係合の状態に維持するように、カバーの後方部分が、圧縮力を受けるのを保証するのに適した変形をカバーになすことで、安全装置の他のデザインも採用しうる。
【技術分野】
【0001】
本発明は、前方に突出する医療用針を有する注射器に関連して使用される針用ソフトカバーのための医療用針カバー装置に関する。本発明の好ましい観点において、本発明は、単回使用用の注射器から前方に突出する医療用針に受動的な保護を与えるために配置された針安全装置に関連した針用ソフトカバーの改良に関する。
【背景技術】
【0002】
本発明で使用される医療用針を備えた注射器は、人間や動物の体への注射に使用することを想定している。あるいは、本発明に関する医療用針を備えた注射器は、静脈内投薬システムにおける貫通可能な膜への注射のような他の医療目的で使用される。他の医療目的での使用が具体例として想定されるかもしれないが、以下では、注射器と針の全ての医療目的の使用は、単に体への注射について述べる。
【0003】
本明細書を通して、注射器、針及び針用安全装置に関して用いられる「前方」や「前方に」という語句は、注射するとき体に近づく構成要素の端や、構成要素の端に向かう方向に関する。逆に、「後方」や「後方に」という語句は、前端に相対する構成要素の端や、前端から離れる方向に関する。
【0004】
永久的に針が固定された注射器は、液体薬物や薬剤が、たびたび予め充填され、注射を実行するために一度だけ使用される。一度使用すると、注射器と針は、安全な方法で廃棄されなければならない。そのような注射器を扱わなければならない可能性のある人を守るために、注射の実行前あるいは実行後に、健康と安全の法規が要求されることと同様に、偶発的に針を刺して傷を付ける危険性を最小限にする安全装置のようなものを針に備える最善の方法が要求される。そのような安全装置は、「受け身」を基準として作用することが望ましい。すなわち、使用者が、針の保護を確保するためのいかなる行為をとる必要がないことが望ましい。
【0005】
典型的には、そのような安全装置は、注射器に取り付けられるスリーブを備えても良く、針を保護する位置と保護しない位置との間で、軸方向にスライド可能である。弾性力が働くことにより、スリーブは注射器に対する保護位置である前方に押されるものとしても良い。注射を実行する過程において、スリーブは注射器に対して後方に移動されるが、その後、スリーブは注射の完了時に弾性力により、保護位置である前方に戻るように動くものとしても良い。安全装置は、注射の後に2度とスリーブが保護位置から後方に動かないようにロック機構を備えるものとしても良い。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
注射器の胴体の前方端の針用ハブに、しっかりと永久的に針が固定された単回使用用の注射器の製造過程において、液体薬物や薬剤を充填する前で、注射器が、殺菌され、貯蔵や輸送用のため包装される前に、針に針カバーを装着することが通常の実務となっている。そのようなカバーは、通常TPEのような軟質のエラストマー製で、薬剤の適合性と安定性を保たなければならない。カバーの後端は、針用ハブに適合し、針のとがった先端は、密封されるようにカバー素材に突き刺さる。しかし、カバーは、針に通常塗布されている潤滑剤を取り除かないように、針の長さの大部分を圧迫しない。よって、注射器の針用ハブから針の鋭利な先端付近までの針の大部分の周囲には空間がある。
【0007】
単回使用用の注射器の製造工程に関する重要な問題は、殺菌と包装の工程で生ずる。殺菌と包装の工程では、針カバーが、針用ハブへの嵌合状態から移動する傾向がある。いわゆる、「ポップオフ」(pop-off)として知られる現象である。この現象は主に、注射器とカバーが洗浄と殺菌の工程で受ける圧力変化と、密封空間内の針とカバーの間に事実上空間が存在することにより生じる。この問題について、そのような空間を換気することで対処してきたが、針の滅菌状態が損なわれる可能性がある。結果として、注射器の針用ハブへの針カバーの装着状態の安全性を増す試みとして、注射器の針用ハブに少なくとも1つの構成要素を備え、当該ハブの構成要素と協働するために、針カバーの後端に対応する構成要素を備えて、機械的に針カバーを針用ハブに固定することが、通常の慣例である。例えば、針用ハブの周りに直立したリブを備え、針カバーは、後端内側の周りにフランジを有し、フランジの後ろ側がリブに係合して適合することにより、針カバーを注射器のハブに固定する。
【0008】
上記したように、注射器と針カバーが針安全装置に装着された際、針安全装置は、外方向への広がりはできる限り小さい方がより有益である。よって、針安全装置の内部は、注射器に近づけて適合させなければならない。これにより、針カバーの除去にかかる問題が生じうる。針カバーが針から引き抜かれるとき、針カバーの後端は、フランジが注射器の針用ハブに備えられたリブを超えてスライドするのに十分なぐらい広がらなければならない。しかし、針カバーの後端の広がりを許容するほどの十分な空間は、針安全装置内には存在しない可能性がある。
【0009】
本願発明の主な目的は、先端に針を備えた単回使用用の注射器に針用ソフトカバーを装着する際の上述した問題を軽減することである。特に、本願発明の主な目的は、従来の予め薬剤が充填された単回使用用の注射器の製造にともなう「ポップオフ」の現象が起こる可能性を軽減することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本願発明の第1の観点は、注射器と、注射器から前方に突出するように注射器に設けられた鋭利な先端を有する医療用針と、初期の保護位置から非保護位置まで、医療用針に対して軸方向後方に移動するように注射器に設けられた針用保護部材と、医療用針を覆う針用ソフトカバーであって、当該針用ソフトカバーの後端と、注射器の前端とが相補的に係合する表面により形状が形成される、当該針用ソフトカバーと、を備え、針用保護部材は、注射器に対する初期の保護位置に対して前方に移動することを阻止され、かつ、針用ソフトカバーが注射器から前方に離れる動きに抵抗するように、針用ソフトカバーの後端の前方で針用ソフトカバーを係合するように適合された、医療用針カバー装置である。
【0011】
本発明によれば、注射器と針用ソフトカバーが相互に係合する外形を有していることにより、針用ソフトカバーの後端と、注射器の前端との間の密封性が実現される。針用保護部材を含む安全装置は、針用ソフトカバーと針用保護部材とが係合するように注射器に装着されている限り、注射器のハブの周囲に形成されたリブの後ろに係合する内周フランジのように、注射器のハブと針用ソフトカバーに取り付けられた機械的に内部係合する構造によって、針用ソフトカバーが注射器に固定される必要がない。本発明では、注射器のハブにリブや他の構成を備えることなく、密封が実現される。針用保護部材が、保護位置から前に移動することが阻止されてることにより、保護位置にあるときの針用ソフトカバーと針用保護部材との係合が、製造工程中やその後も、注射器のハブから針用ソフトカバーがスライドして離れることを妨げる。これにより、針の周囲の密封空間が通常圧力変異にさらされる殺菌工程の間でさえ、針用ソフトカバーと注射器のハブとの間の完全な密封状態が持続されうる。
【0012】
従来の針用ソフトカバー同様に、針のとがった先端は、針用ソフトカバーにより密封されるように、カバー素材に受け止められる。また、これにより、注射器の製造工程、その殺菌、包装、その後の充填のための開梱、充填、再包装の様々な場面において、針のとがった先端に、更に保護が与えられる。
【0013】
針用保護部材と針用ソフトカバーとが係合することで、針用ソフトカバーの後端と、スリーブが針用ソフトカバーに係合する位置との間において、針用ソフトカバー内に圧縮力を生じさせても良い。これにより、針用ソフトカバーの後端は後方に押され、針用ソフトカバーの後端と注射器のハブとの間の密封性が保たれることを確実にする。針用ソフトカバーが弾力特性を有していることから、針用ソフトカバーの圧縮は、注射器の製造中、輸送中、及び保管中も持続され、故に同じく効果的な密封性が持続されることを確実にする。
【0014】
安全装置が、直接的または間接的に注射器に接続可能(または接続されている状態)であって、針用ソフトカバーの後端を注射器のハブに固定するように、針用ソフトカバーを針に係合させるものである限り、本発明は、注射器に使用する安全装置のいかなる種類のものにも制限されない。好ましくは、針用保護部材は、保護位置と、保護位置より(注射器に対して)軸方向後方に間隔を隔て位置する非保護位置との間で、注射器の胴体上をスライドして動くように、注射器に直接的または間接的に取り付けられたスリーブの形状である。使用後に針が保護されるように、注射器の胴体に対して前方の保護位置にスリーブを移動させる弾性力が働いても良い。注射器を使用する準備として針用ソフトカバーが装置から外されるまで、針用ソフトカバーは、スリーブが後方へスライドするのを防ぐ働きをするものとしても良い。1つのスリーブを用いるものとしても良いし、特に針が比較的長い場合には、2以上のスリーブが結合したスリーブを用いるものとしても良い。
【0015】
本発明の他の様々な態様によれば、前端にハブを有する単回使用用の注射器と、注射器のハブから前方につきだしている医療用針と、針を覆い、後端が注射器のハブと係合する針用ソフトカバーと、注射器に設けられ、初期の保護位置から非保護位置まで、針に対して軸方向後方に移動する針用保護部材とを備え、針用保護部材は、初期の保護位置から注射器に対して前方に移動することを阻止され、針用ソフトカバーの後端と注射器のハブとの間の密封状態が実現された状態において、注射器から針用ソフトカバーが前方に離れないように、針用保護部材は、針用ソフトカバーの後端から前部分と係合するものであって、更に、
(a)針用ソフトカバーの前方への移動は、単に針用ソフトカバーがスリーブに係合することのみで妨げられており、
(b)密封は、針用ソフトカバーの後端部とハブの間の機械的なロック機構なしで実現され、
(c)密封は、放射状、円錐状、又は弓状の係合面の針用ソフトカバーの後端とハブとの間で、十分に実現されている。
【0016】
本発明は、針用ソフトカバーと、前方に針が突き出た単回使用用の注射器の一部である針用ハブとの間の密封を実現する方法であって、注射器に設けられ、初期の保護位置から非保護位置まで、針に対して軸方向後方に移動する針用保護部材を提供し、針用ソフトカバーの後端が、針用ハブの前端においてそれと相補的な形状を有し、針用保護部材は、初期の保護位置から前方に移動することを阻止され、針用保護部材の一部は、針用ソフトカバーの後端から前方に間隔を隔てた位置で、針用ソフトカバーと係合し、それにより当該位置と針用ソフトカバーの後端との間において、針用ソフトカバーの部分に圧縮力がかかり、これにより、針用ソフトカバーの後端と針用ハブとの間の密封を維持することが実現される、密封を実現するための方法である。
【0017】
単なる例示としてではあるが、下記添付した図を参照しつつ、本発明の密封性を有する針用ソフトカバーの一例について詳細に記す。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】注射器と、協働して機能する針用ソフトカバーの第1の実施形態を示し、注射器に組み合わされる前の、針用ソフトカバーを移動する安全装置の等角断面図である。
【図2】注射器と、協働して機能する針用ソフトカバーの第1の実施形態を示し、安全装置が注射器に装着された状態を示す。
【図3】第1の実施形態の軸断面図であり、図1に対応する。
【図4】第1の実施形態の軸断面図であり、図2に対応する。
【図5】第1の実施形態の軸断面図であり、針用ソフトカバーが安全装置から外された状態を示す。
【図6A】針用ソフトカバーと、注射器のハブ(または突出部)との、係合面の別例を示す軸断面図と等角図である。
【図6B】針用ソフトカバーと、注射器のハブ(または突出部)との、係合面の別例を示す軸断面図と等角図である。
【図7A】針用ソフトカバーと、注射器のハブ(または突出部)との、係合面の別例を示す軸断面図と等角図である。
【図7B】針用ソフトカバーと、注射器のハブ(または突出部)との、係合面の別例を示す軸断面図と等角図である。
【図8A】図6Aに対応し、針用ソフトカバーと、注射器のハブとの係合面について、更に他の可能性を示す。
【図8B】図6Bに対応し、針用ソフトカバーと、注射器のハブとの係合面について、更に他の可能性を示す。
【図9A】図7Aに対応し、針用ソフトカバーと、注射器のハブとの係合面について、更に他の可能性を示す。
【図9B】図7Bに対応し、針用ソフトカバーと、注射器のハブとの係合面について、更に他の可能性を示す。
【図10A】図6Aに対応し、針用ソフトカバーと、注射器のハブとの係合面について、更に他の可能性を示す。
【図10B】図6Bに対応し、針用ソフトカバーと、注射器のハブとの係合面について、更に他の可能性を示す。
【図11A】図7Aに対応し、針用ソフトカバーと、注射器のハブとの係合面について、更に他の可能性を示す。
【図11B】図7Bに対応し、針用ソフトカバーと、注射器のハブとの係合面について、更に他の可能性を示す。
【発明を実施するための形態】
【0019】
まず、図1から図5まで参照すると、注射器の突出部12に針11が装着された注射器10と、当該針を保護するための安全装置13が示されている。安全装置及びその操作方法の詳細、とりわけ、注射後に安全装置のスリーブをロック可能とすることに関しては、本願発明の構成ではないため、ここでは詳細な説明は省略する。本発明は、特定の安全装置を使用することに制限されないことは、理解されるはずである。
【0020】
注射器の突出部は、針のためのハブとして機能しており、後方で面するショルダー14を画定し、そのショルダーの前方において、突出部は、おおよそ円錐形状をなし、当該円錐形状が係合面15を画定する。突出部の中心における少量の接着剤16は、突出部12の中を通り穴17に至った針11を固定する機能を有する。保護スリーブ19のためのキャリア18を含む安全装置13は、注射をする際は、針11に対して後方にスライド可能である。キャリアは、注射器の突出部のための穴20を有する。注射器が安全装置に取り付けられた際は、安全装置が注射器を保持するよう、ショルダー14の後方と係合するように穴の内部に内側に指向したリブ21が形成されている。
【0021】
保護スリーブ19は、その前端に円形開口部22を有し、開口22の中にはゴム製ソフトカバー23が配置されている。当該カバーは、スリーブを超えて伸びる前方部分24と、スリーブ内に配置される後方部分25を有する。当該カバーの後端からカバー内に穴26が伸び、注射器10の突出部12から突き出たむき出しの針11の長さ以下の距離である。当該カバーの外側の面には、その両端面の途中に段部27がある。段部27は、前端面で、スリーブ内面に係合し、前方部分24がスリーブから当該カバーを取り外すのに十分な力で引っ張られることがない限り、スリーブ内に当該カバーを保持する。
【0022】
穴20周囲のカバーの後端面28は、スリーブの突出部の円錐形の係合面15の外形と相補的な外形を有する。図2と図4に示すように、カバーの後端面から段部27までの長さは、安全装置を注射器に適合させることに基づくよう定められており、カバーの端面28は、注射器の突出部の係合面15と係合する。そして、カバーの端面28は、注射器の突出部に対して安全装置を十分深く押し込むことで、弾性的に付勢されて、それとの係合がもたらされる。このように、カバーの後方部分25は、安全装置を注射器に係合させることで、軸方向の圧力を受け、図2と図4に示すように、カバーと注射器の突出部の間の空密性を実質的に保証する。
【0023】
示したように、針のとがった先端は、ゴム製のソフトカバーにわずかに突き刺さることで密封される。これにより、当該カバー内の針の先端を置くことのみで、針から薬剤が漏出する可能性を防ぐことができるが、カバー内部に針が入るだけなので、針が身体に突き刺さることを容易にするために針につけられている潤滑剤は、当該カバーによって拭き取られることはない。その上、構成部材の組み立てが、殺菌性が保たれた状況で行われる限り、当該カバーの端面28と、注射器の突出部の係合面15とが係合することで、針の殺菌効果の残存を保証する密閉性を奏することになる。
【0024】
注射器と安全装置が使用されるときは、カバー23の前方部分24がつかまれ、安全装置13と注射器10からカバー23が引き抜かれる(図5参照)。当該カバーは、段部27が、スリーブの前端に位置する円形開口部22を通過するのに十分な程度に、放射状に圧縮される。そして、注射器と安全装置の注射実施への準備が整うと、当該カバーは、廃棄されても良い。
【0025】
図6A,6B,7A,7Bは、上記実施形態とほぼ同様の第2の実施形態を示す。しかし、これらの図では、安全装置自体は示されていない。注射器の突出部の係合面30と、カバー端面31は、比較的浅い円錐の輪郭を持ち、円錐の角度は約30度である。これにより、圧縮力が減らされ、第1の実施形態より、しっかりした密封性を獲得しうる。
【0026】
図8A,8B,9A,9Bは、他の実施形態を示す。注射器の突出部には、ほぼ丸く盛り上がった輪郭33があり、カバー端面内は、相対的に丸く凹んだ輪郭34がある。これらの対応しあう輪郭形状により、当該カバーと注射器との間の実質的な空密性を獲得しうる。図10A,10B,11A,11Bは、更に他の実施形態示す。当該実施形態では、注射器の突出部は、針を内部に備え付けるための中央突起部37を有する円錐状凹部36を画定し、カバーは、後端部で、中央突起部を受け止めるのに適した輪郭を有する。当該カバーの後端部で、当該カバーの外面は、凹部36に対する密封性を保つような輪郭形状を有する。
【0027】
いずれの装置において、スリーブの内側前端と段部27が係合することにより、安全装置が注射器に適合して、カバーの後方部分25は、圧縮力を受ける。上述したように、カバーの後端面を、注射器の対応する係合面との密封係合の状態に維持するように、カバーの後方部分が、圧縮力を受けるのを保証するのに適した変形をカバーになすことで、安全装置の他のデザインも採用しうる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
注射器と、
前記注射器から前方に突出するように前記注射器に設けられた鋭利な先端を有する医療用針と、
初期の保護位置から非保護位置まで、前記医療用針に対して軸方向後方に移動するように前記注射器に設けられた針用保護部材と、
前記医療用針を覆う針用ソフトカバーであって、当該針用ソフトカバーの後端と、前記注射器の前端とが相補的に係合する表面により形状が形成される、当該針用ソフトカバーと、
を備え、
前記針用保護部材は、前記注射器に対する初期の保護位置に対して前方に移動することを阻止され、かつ、前記針用ソフトカバーが前記注射器から前方に離れる動きに抵抗するように、前記針用ソフトカバーの後端の前方で前記針用ソフトカバーを係合するように適合された、
医療用針カバー装置。
【請求項2】
前記針用保護部材は、前記注射器に渡って軸方向にスライドして動くように、前記注射器に直接的または間接的に設けられたスリーブ形状に形成された、
請求項1に記載の医療用針カバー装置。
【請求項3】
前記注射器は、その前端にハブを備え、前記医療用針は、当該ハブの穴に固定されており、前記相補的に係合する表面が、当該ハブと、前記針用ソフトカバーの後端とに形成された、
請求項1または請求項2に記載の医療用針カバー装置。
【請求項4】
前記相補的に係合する表面は、前記注射器のハブと、前記針用ソフトカバーの後端との各々の端面を備える、
請求項3に記載の医療用針カバー装置。
【請求項5】
前記注射器の前記ハブの周囲に少なくとも部分的に広がる外方向指向の構成を有し、当該構成の前方において、前記針用ソフトカバーの後端は前記ハブに受け入れられる、
請求項3または請求項4記載の医療用針カバー装置。
【請求項6】
前記針用保護部材と前記針用ソフトカバーとの前記係合は、前記ハブに対して後方に前記針用ソフトカバーを付勢し、前記針用ソフトカバーの少なくとも一部に圧縮力を与え続け、それにより、前記係合面の軸方向の係合による密封を実現する、
請求項1〜5のいずれか1項に記載の医療用針カバー装置。
【請求項7】
前記針用ソフトカバーは、前記針用保護部材の円形の開口に受容され、かつ周囲に段部を有し、前記針用保護部材との前記係合は、前記針用保護部材の一部が前記段部と係合することにより、実現される、
請求項1〜6のいずれか1項に記載の医療用針カバー装置。
【請求項8】
前記ハブの前記前端は、おおよそ凸状または円錐形であって、
前記針用ソフトカバーの前記後端は、おおよそ凹状または円錐形に凹んだ形状である、
請求項1〜7のいずれか1項に記載の医療用針カバー装置。
【請求項9】
前記医療用針のとがった前記先端は、前記針用ソフトカバーにより密封されるように、前記針用ソフトカバーの素材に受容される、
請求項1〜8のいずれか1項に記載の医療用針カバー装置。
【請求項10】
前記針用保護部材は、前記注射器に設けられた針安全装置の一部を構成する、
請求項1〜9のいずれか1項に記載の医療用針カバー装置。
【請求項11】
針用ソフトカバーと、前方に針が突き出た単回使用用の注射器の一部である針用ハブとの間の密封を実現する方法であって、
前記注射器に設けられ、初期の保護位置から非保護位置まで、前記針に対して軸方向後方に移動する針用保護部材を提供し、
前記針用ソフトカバーの後端が、前記針用ハブの前端においてそれと相補的な形状を有し、
前記針用保護部材は、初期の保護位置から前方に移動することを阻止され、前記針用保護部材の一部は、前記針用ソフトカバーの後端から前方に間隔を隔てた位置で、前記針用ソフトカバーと係合し、それにより前記位置と前記針用ソフトカバーの後端との間において、前記針用ソフトカバーの部分に圧縮力がかかり、これにより、前記針用ソフトカバーの後端と前記針用ハブとの間の密封を維持することが実現される、
密封を実現するための方法。
【請求項1】
注射器と、
前記注射器から前方に突出するように前記注射器に設けられた鋭利な先端を有する医療用針と、
初期の保護位置から非保護位置まで、前記医療用針に対して軸方向後方に移動するように前記注射器に設けられた針用保護部材と、
前記医療用針を覆う針用ソフトカバーであって、当該針用ソフトカバーの後端と、前記注射器の前端とが相補的に係合する表面により形状が形成される、当該針用ソフトカバーと、
を備え、
前記針用保護部材は、前記注射器に対する初期の保護位置に対して前方に移動することを阻止され、かつ、前記針用ソフトカバーが前記注射器から前方に離れる動きに抵抗するように、前記針用ソフトカバーの後端の前方で前記針用ソフトカバーを係合するように適合された、
医療用針カバー装置。
【請求項2】
前記針用保護部材は、前記注射器に渡って軸方向にスライドして動くように、前記注射器に直接的または間接的に設けられたスリーブ形状に形成された、
請求項1に記載の医療用針カバー装置。
【請求項3】
前記注射器は、その前端にハブを備え、前記医療用針は、当該ハブの穴に固定されており、前記相補的に係合する表面が、当該ハブと、前記針用ソフトカバーの後端とに形成された、
請求項1または請求項2に記載の医療用針カバー装置。
【請求項4】
前記相補的に係合する表面は、前記注射器のハブと、前記針用ソフトカバーの後端との各々の端面を備える、
請求項3に記載の医療用針カバー装置。
【請求項5】
前記注射器の前記ハブの周囲に少なくとも部分的に広がる外方向指向の構成を有し、当該構成の前方において、前記針用ソフトカバーの後端は前記ハブに受け入れられる、
請求項3または請求項4記載の医療用針カバー装置。
【請求項6】
前記針用保護部材と前記針用ソフトカバーとの前記係合は、前記ハブに対して後方に前記針用ソフトカバーを付勢し、前記針用ソフトカバーの少なくとも一部に圧縮力を与え続け、それにより、前記係合面の軸方向の係合による密封を実現する、
請求項1〜5のいずれか1項に記載の医療用針カバー装置。
【請求項7】
前記針用ソフトカバーは、前記針用保護部材の円形の開口に受容され、かつ周囲に段部を有し、前記針用保護部材との前記係合は、前記針用保護部材の一部が前記段部と係合することにより、実現される、
請求項1〜6のいずれか1項に記載の医療用針カバー装置。
【請求項8】
前記ハブの前記前端は、おおよそ凸状または円錐形であって、
前記針用ソフトカバーの前記後端は、おおよそ凹状または円錐形に凹んだ形状である、
請求項1〜7のいずれか1項に記載の医療用針カバー装置。
【請求項9】
前記医療用針のとがった前記先端は、前記針用ソフトカバーにより密封されるように、前記針用ソフトカバーの素材に受容される、
請求項1〜8のいずれか1項に記載の医療用針カバー装置。
【請求項10】
前記針用保護部材は、前記注射器に設けられた針安全装置の一部を構成する、
請求項1〜9のいずれか1項に記載の医療用針カバー装置。
【請求項11】
針用ソフトカバーと、前方に針が突き出た単回使用用の注射器の一部である針用ハブとの間の密封を実現する方法であって、
前記注射器に設けられ、初期の保護位置から非保護位置まで、前記針に対して軸方向後方に移動する針用保護部材を提供し、
前記針用ソフトカバーの後端が、前記針用ハブの前端においてそれと相補的な形状を有し、
前記針用保護部材は、初期の保護位置から前方に移動することを阻止され、前記針用保護部材の一部は、前記針用ソフトカバーの後端から前方に間隔を隔てた位置で、前記針用ソフトカバーと係合し、それにより前記位置と前記針用ソフトカバーの後端との間において、前記針用ソフトカバーの部分に圧縮力がかかり、これにより、前記針用ソフトカバーの後端と前記針用ハブとの間の密封を維持することが実現される、
密封を実現するための方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6A】
【図6B】
【図7A】
【図7B】
【図8A】
【図8B】
【図9A】
【図9B】
【図10A】
【図10B】
【図11A】
【図11B】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6A】
【図6B】
【図7A】
【図7B】
【図8A】
【図8B】
【図9A】
【図9B】
【図10A】
【図10B】
【図11A】
【図11B】
【公表番号】特表2013−519415(P2013−519415A)
【公表日】平成25年5月30日(2013.5.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−552477(P2012−552477)
【出願日】平成23年2月11日(2011.2.11)
【国際出願番号】PCT/GB2011/050266
【国際公開番号】WO2011/098831
【国際公開日】平成23年8月18日(2011.8.18)
【出願人】(512201605)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成25年5月30日(2013.5.30)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年2月11日(2011.2.11)
【国際出願番号】PCT/GB2011/050266
【国際公開番号】WO2011/098831
【国際公開日】平成23年8月18日(2011.8.18)
【出願人】(512201605)
【Fターム(参考)】
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