説明

医療用針安全装置

医療用針の受動的安全装置は、針を支持するための載置部と、載置部に対して、遮蔽位置から非遮蔽位置まで、摺動移動するために同軸あるいは配列された針遮蔽スリーブとを有する。スリーブと載置部の一方の上に当接面が備えられ、変形されないときに、半径方向に変形可能なフィンガにより係合可能である。制御部材も、載置部とスリーブに摺動可能に配置され、初期設定位置がある。制御部材は、フィンガと協働するので、その初期遮蔽位置からスリーブを摺動移動する際に、フィンガは、半径方向外側に移動され、当接面とその上の摺動面に間隙を形成する。スリーブが継続的に移動して、フィンガの変形を増進し、フィンガと摺動面の間に復元力を発生させ、処置実行に伴い、スリーブを針遮蔽位置に戻し、そして、フィンガを当接面に対して半径方向に配列するように戻す。制御部材は、その設定位置から移動して留まる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、鋭利な先端を有する医療用針を、当該針に受動的な保護を与えるように使用する安全装置に関する。本発明は、さらに、このような安全装置を含む安全針組立品、及びそのような安全針組立品が組み込まれた注射装置に関する。
【背景技術】
【0002】
本発明の安全装置は、人体や動物の体に突き刺すために使用される医療用針の使用、又は、例えば、静脈医療システムで突き刺せる皮膜に突き刺して使用するような他の医療的使用を予定している。以下の記述において、特定の実施形態は他の医療的使用を予定しているが、全ての針の安全装置の医療用使用は、単に身体に突き刺すものとして説明する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本明細書を通して、「前方の」及び「前方へ」という用語は、針安全装置及びそれに使用されるシリンジに関して使用されるときは、操作が実行されるときに、肉体に近づけられる構成部材の端部をいい、構成部材の端部が向かう方向をいう。反対に、「後方の」及び「後方へ」という用語は、前端部と反対側の構成部材の端部をいい、前端部から離れる方向をいう。
【0004】
多種の液体が、必要とされる液体の供給源に接続する中空の針によって肉体に投与される。例えば、液体薬剤を保持する注射装置に付随する針、薬剤が投与される肉体の箇所を貫通するために使用される針である。同様に、液体が抜き取られる箇所にその先端を配置して、肉体を突き刺す中空の針を使用することで、体液が抜き取られる。
【0005】
上述の目的のために医療用針を使用あるいは扱う臨床医及び他の人々にとって、認知されている危険には、いわゆる針の突き刺し傷、すなわち、針によって他の人の皮膚を偶然に突き刺す危険がある。液体を注入するため、あるいは肉体から液体を引き抜くために針を使用する前には、めったに問題は起きない。しかし、一旦、針が使用されると、臨床医にとって重大な結果を引き起こす高いリスク、あるいは使用された針の露出に伴う他のリスクが存在する。患者の肉体組織を突き刺すような針の使用時、針は、種々の細菌により汚染される可能性がある。もし、次にだれかが針の突き刺し傷を負うと、感染がおきることになる。
【0006】
針の使用に伴う針の突き刺し傷のリスクを軽減するために、使用される針の鋭利な先端を保護する多くの提案がなされている。いくつかの提案は、その後のリスクは軽減されるが、先端を保護するために行わなくてはならない行為に伴う怪我の可能性は増大している。従来から行われている全ての提案にもかかわらず、商業的な成功はほとんどなく、医療業界で広く受け入られることもなかった。多くの提案は、いくぶん複雑で、多額の製造コストを含み、経済的にも受け入れがたい。他の提案は、保護されていない針と比べ、使用がより難しく、臨床医からは拒否されている。さらに、提案は、最適な実務上の手続きにしたがっていない。
【0007】
肉体から針を引き抜くという追加の動作をすべき操作者を要することなく、使用後の針の先端を保護する装置は、通常、受動的保護装置と言われている。この装置は、操作者が、肉体から針を引き抜くことに付随して、針を保護するために追加の作業が必要となる能動的保護装置と対局にあるものである。追加の作業が必要になることで、受動的保護装置と比較すると、長期間針を非保護の状態にさらすことになる。さらに、追加の作業の実行をすることで、針の突き刺し事故が発生するときに、操作者は潜在的な危険状態にさらされる。
【0008】
針に使用される受動的保護装置には、多大な需要がある、そして、臨床医又は多分他の者は、非保護の針を使用するのと同様な方法で、針を使用することができる。この方法は、経済的に生産でき、針突き刺し傷に対して高く保護することができる。健康の専門家の場合、このような需要は、健康と安全の規定から要請されるが、いわゆるペン型注射器を自分で注射する者の場合、鋭利な収納容器がすぐには利用できない時でさえ、使用済みの針は他者にとって最小限のリスクで、安全に配置しなければならない。さらに、特に自己注射は、保護を重畳するために決められた操作以外で、使用前後の双方で針の先端に接触しないように、使用者が障害となることなく、装置が完全に自動で操作することが高く望まれている。このように、臨床医や他の針を使用する者のみではなく、使用済みの針の危険な状況に接する人々、例えば、廃棄操作者、洗浄者なども、保護される。
【0009】
本発明は、簡単で、使用しやすく、経済的に実現可能な医療用針の安全装置であって、受動的な保護を与えることができる装置を提供することを目的として開発されたものである。特に、本発明は、プラスチック材料から成形された装置であり、金属ばねの使用が不要である装置に関する。ばねが圧縮状態に保持されたときに、プラスチックばねは特有の問題を有する。ばねは、少なくとも何らかの弾性を失い、製造された際の非圧縮状態に戻らなくなるという可能性がある。もし、このような状態が生じたら、プラスチックばねを使用する装置の受動的操作の信頼性は、なくなる。
【0010】
本発明は、プラスチックばねと組み合わされて、充分な非圧縮状態のばねを保持する医療用針の受動的安全装置を提供することを主な目的とし、それにより、装置に受動的な保護が必要なときに、効果的に信頼性を持って操作することができる。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、鋭利な先端を有する医療用針を遮蔽する安全装置であって、
直接的又は間接的に医療用針を支持する針載置部と、
支持された針を囲む針遮蔽スリーブであって、前記載置部と同軸上に配置されて、前記スリーブに与えられた力で、前記スリーブを前記載置部に対して、針の遮蔽位置から非遮蔽位置に向けて摺動させ、そこで少なくとも針の先端が前記スリーブを越えて露出される針遮蔽スリーブと、
前記スリーブと前記載置部の一方に備えられる当接面と摺動面と、
前記スリーブと前記載置部の他方に備えられる半径方向に変形可能な弾性フィンガであって、前記フィンガが、その針遮蔽位置からスリーブの移動を阻止するために、変形されないとき、前記当接面と半径方向に位置決めされた位置の外側に部分を有するフィンガと、
前記スリーブと前記載置部と同軸で、設定位置から摺動移動可能に配置された制御部材と、
を備え、
非遮蔽位置へ向う前記スリーブの動きが、前記フィンガと前記制御部材との間の相対移動を生じさせ、それにより、前記フィンガは、前記当接面と半径方向に位置決めされた位置の外側に前記部分を変形させ、前記制御部材を前記設定位置から摺動可能に移動させて、前記スリーブを非遮蔽位置に移動させ、前記フィンガを前記摺動面に接触させ、
前記スリーブの継続的移動が、前記フィンガを前記摺動面に沿って摺動させ、前記フィンガの変形を増進させ、前記スリーブを針遮蔽位置に戻すエネルギを前記フィンガに蓄え、当該針遮蔽位置では、前記フィンガは変形せず、前記部分は前記当接面と半径方向に位置合わせされ、
前記制御部材の前記設定位置からの移動の結果として、前記スリーブの非遮蔽位置への移動を阻止する安全装置。
【0012】
医療用針は、本質的に従来のものであり、針自体を移動するハブを有し、ハブは、注射される液体源または、患者から抜き取る液体を収納する容器に取り付けられる。利便性のため、液体の注射の説明にのみ以下が参照される。したがって、通常は、液体源は、予め薬剤で満たされた注射器か、薬剤の瓶が挿入された噴射器のどちらかで構成されている。シリンジの場合、その前端部に既知のコネクタを有し、それに針ハブが取り付けられる。例えば、ルアースリップコネクタまたはルアーロックコネクタである。噴射器の場合、針ハブは、内側にネジが形成された孔を有し、噴射器の前端部で、外方向にネジ山が形成された凸部上にハブがネジ止めされる。噴射器上の針ハブをネジ止めすることで、針の後端部は、瓶に備えられた蓋を貫通し、その後、針を介して薬剤が投薬される。
【0013】
製造中に、針をシリンジに永続的に固定するという他の可能性もある。そのようなシリンジは、しばしば、薬剤が予め充填されており、安全な方法で処置する前に、1回分の薬剤を分配するために使用される。
【0014】
「針載置部」という用語は、ここでは、上述した針を移動する針ハブまで拡大され、あるいは針ハブが備えられた別構成部材を備えるものとして使用される。永続的に固定された針を有するシリンジの場合、針載置部は、シリンジの前端部に備えられ、直接針を移動させる。シリンジの筒体自体あるいは、別構成部材は、シリンジの前端部で、構成部に固定される。針遮蔽スリーブが、針載置部に対して同軸上に摺動するように配置されているかぎり、これらの配列のいずれでも可能であり、これらは、直接的、間接的に(すなわち、針ハブを介して)医療行為で使用される針を支持する。そして、初期位置にあるとき(例えば、注射領域で、皮膚に対して押し付けられることで)スリーブの前端部に加わる力で、スリーブを載置部に対して後方に摺動させる。それにより、少なくとも針の長さの一部が、その鋭利な先端部から後ろに露出する。針は、スリーブを超えて露出されるが、使用時に、注射領域を実際に突き刺す。特定の構成に応じて、スリーブは、載置部の外面上あるいは、載置部内の内側を摺動する。
【0015】
利便性のため、本発明の好ましい観点の以下の説明は、単一のフィンガを有する装置に関し、本装置の実際の実施形態は、少なくとも1つ、典型的には2つ、3つ、あるいはそれ以上の数で、半径方向に変形可能な弾性フィンガを有する装置である。各フィンガは、リーフばねとして機能し、フィンガを移動する構成部材の周囲に間隔を隔てて環状に設けられている。少なくとも2つのフィンガがあるときには、双方あるいは全てのフィンガは、本質的には同一である。変更例として、ひとつのフィンガは、当接面に係合する部分を備え、他のフィンガは摺動面上を摺動するように配置されている。
【0016】
フィンガは、スリーブ上に設けられ、当接面あるいは載置部の摺動面のどちらかと接触するように配置されている。変形例として、フィンガは、載置部の上に設けられ、スリーブ上の当接面あるいは摺動面のどちらかと接触する。フィンガは、本来的には、変形されていない状態(すなわち、成形され、押圧されていない状態)であり、その状態では、もし、フィンガの部分が当接面との配列から外れて移動しなければ、スリーブの載置部に対して後方への相対移動を、フィンガによって阻止する。同様に、制御部材が動作して、スリーブが初期位置から第1段階へ移動する。
【0017】
好ましい実施形態では、フィンガは、フィンガを移動する構成部材と一体的に成形されているが、フィンガを別部材として、構成部材に取り付けあるいは組み合わせ、スリーブか載置部のどちらか一方とともに製造することも可能である。このことで、構成部材とフィンガに、異なる材料を使用することも可能となる。例えば、板ばねとして、フィンガを適切な金属から製造することも可能である。
【0018】
フィンガが、摺動面に係合されるとき、摺動面上のフィンガの摺動により、スリーブの後方移動が可能となる。これにより、フィンガは、通常の半径方向の外側に、弾性的に屈折する。したがって、フィンガ内にエネルギを蓄積する。そして、スリーブが載置部に対して、前方向に移動することで、(スリーブが注射領域に静的に係合している間に、通常は、シリンジ、載置部、及び針を注射領域に対して後側に移動することにより)、蓄積されたエネルギで、スリーブは遮蔽位置まで、後方に移動される。弾性フィンガは、ばねとしても機能し、スリーブを針遮蔽位置まで移動させる。
【0019】
制御部材は、好ましくは、より大きな径の構成部材内(スリーブか載置部のどちらか、他方の中を構成部材が摺動するか否かによる)に設けられ、載置部の非遮蔽位置へ向かう載置部に対するスリーブの後方への移動である初期段階の間、フィンガを半径方向外側に変形する。そして、フィンガの部分を当接部との配列の外側に移動させ、フィンガを摺動面と接触させる。そして、継続的に後方への移動することで、フィンガの変形を増進させて、フィンガの弾性変形により、よりエネルギを蓄積する。
【0020】
制御部材は、制御部材の近傍あるいは係合するフィンガの設定位置に、スリーブと載置部に対応して、当初は配置される。そして、スリーブが当初後方に移動する際に、制御部材は、フィンガを変形して、フィンガの部分を当接面の半径方向外側に移動させる。スリーブが移動すると、制御部材が移動し、それにより、続いて、スリーブが針遮蔽位置に戻る。制御部材は、設定位置には、もはや位置していない。そして、スリーブを後方に、故意的にあるいは偶発的に移動させようとすると、フィンガの部分は、当接面と係合し、スリーブの移動を阻止しようとする。
【0021】
フィンガは、スリーブまたは載置部のどちらかの上に設置される一端部を有し、フィンガの部分はその他端部に、あるいはその近傍に形成される。フィンガが実質的に変形されない状態にあるときに、フィンガは他の構成部材の当接面と係合して構成される。当接面は、他の構成部材上に形成された肩部を備え、肩部は、前記他の構成部材の大径部と小径部との間の、環状面の形状である。
【0022】
本発明の実施形態において、載置部に関連し、後方への移動を阻止するときは、スリーブの最終針遮蔽位置は、載置部に関連した当初針遮蔽位置と全く同一、あるいは当初位置から僅かに相違する位置である。いくつかの実施形態では、スリーブが、摺動位置にあるときに、軸方向において、小さな移動の自由度を許容する点、安全装置の適切な運転を確保する点が、有利な点である。そのような場合、スリーブの当初位置は、ある極端な移動自由度となり、最終位置は、他の極端な移動自由度となる。スリーブの当初あるいは最終位置におけるこの多様可能性にも拘わらず、最終位置は、実質的に当初位置と同一になり、機能的にも同一であり、双方の位置において、針はスリーブにより遮蔽されている。したがって、スリーブの当初遮蔽位置とさらなる遮蔽位置は、実際は軸位置に置いて同一である。
【0023】
いずれかの実施形態の装置を使用する前に、当接面に係合するフィンガの部分と、当接面自身との間には、十分な間隔があることが重要である。これにより、フィンガと制御部材間の相対移動が可能になり、スリーブの初期移動中に、フィンガの部分は制御部材によって半径方向に当接面と間隔を空けるように移動される。スリーブがその最終摺動位置に戻る場合、スリーブが完全に前に移動すると、フィンガの部分と当接面との間にはまだ隙間がある。しかし、スリーブを後方に移動させようとすると、制御部材は、もはやその設定位置にはないので、フィンガは、制御部材により半径方向には移動しない。したがって、当接面と協働するフィンガの部分が動作して、スリーブの阻止が起きる。
【0024】
制御部材は、装置が使用状態にあるのか、あるいは、使用済みであり、載置部に対するスリーブの摺動が阻止されているかを示す表示部として機能する。この機能を強化するために、制御部材は、スリーブと載置部の色と対称色である。スリーブと載置部とに同軸に配置した窓を備え、制御部材がその内部を摺動可能に移動する。スリーブが非遮蔽位置にあるときに、制御部材が移動する軸位置に窓があり、それにより、制御部材は、窓を介して認識することができる。スリーブと載置部の同軸配列の少なくともひとつが、半透明な部材であり、それによって内部の制御部材の位置が確認できる。
【0025】
本発明は、針載置部から前方に突出する医療用針と組み合わされる上述の安全針装置まで及び、安全装置と医療用針と組み合わされて固定された注射装置まで及ぶ。
【0026】
単に、例示することにより、本発明のある特定の実施形態を詳細に説明する。以下の図面を参照して説明する。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本発明のシリンジと第1の実施形態の安全装置の概略等角図であり、装置が露出された状態を示す図である。
【図2】図1と同様に、シリンジ上に組み立てられ、載置された装置を示す。
【図3】装置の断面図であり、遮蔽位置にあるスリーブの初期設定状態を示す図である。
【図4】図3と同様に、スリーブが、図3の位置から連続して非遮蔽位置(図7)まで完全に移動するまでを示す。
【図5】図3と同様に、スリーブが、図3の位置から連続して非遮蔽位置(図7)まで完全に移動するまでを示す。
【図6】図3と同様に、スリーブが、図3の位置から連続して非遮蔽位置(図7)まで完全に移動するまでを示す。
【図7】図3と同様に、スリーブが、図3の位置から連続して非遮蔽位置(図7)まで完全に移動するまでを示す。
【図8】図7と同様に、スリーブの戻り移動を示す。
【図9】スリーブが、戻されて、針遮蔽位置で阻止された状態を示す。
【図10】図6に対応する位置の安全装置の断面等角図である。
【図11】シリンジと本発明の安全装置の第2の実施形態の概略等角図であり、装置が露出された状態を示す図である。
【図12】図11と同様に、シリンジ上に組み立てられ載置された装置を示す。
【図13】初期遮蔽位置から非遮蔽位置までのスリーブの連続移動する2つの工程を示す。
【図14】初期遮蔽位置から非遮蔽位置までのスリーブの連続移動する2つの工程を示す。
【図15】スリーブが、完全に戻り遮蔽位置で阻止された状態を示す。
【図16】第1の実施形態の装置において、針カバーが固定された針を備える装置を示し、シリンジが装置に固定できる状態を示す。
【図17】第1の実施形態の装置において、針カバーが固定された針を備える装置を示し、装置が固定され、使用可能になった状態を示す。
【図18】第1の実施形態の装置において、針カバーが固定された針を備える装置を示し、針カバーがはずされた状態を示す。
【図19】第1の実施形態の装置において、装置が再度針カバーに固定され、図16〜18とは相違する形態を示す。
【図20】第1の実施形態の装置において、装置が再度針カバーに固定され、図16〜18とは相違する形態を示す。
【図21】第1の実施形態の装置において、装置が再度針カバーに固定され、図16〜18とは相違する形態を示す。
【図22】図19〜21と同様の配列であるが、囲われた針を備えないシリンジを示す。
【図23】第2の実施形態と同様な装置で、囲われた針を備える予め注入されたシリンジを固定するための別体容器としての配列を示し、シリンジに容器が固定された状態を示す。
【図24】第2の実施形態と同様な装置で、囲われた針を備える予め注入されたシリンジを固定するための別体容器としての配列を示し、容器が開放された状態を示す。
【図25】第2の実施形態と同様な装置で、囲われた針を備える予め注入されたシリンジを固定するための別体容器としての配列を示し、使用可能となった装置とシリンジの組立体を示す。
【図26】第2の実施形態と同様な装置で、囲われた針を備える予め注入されたシリンジを固定するための別体容器としての配列を示し、スリーブを備える組立体が引き出され、針が露出した状態を示す。
【図27】針を含む自己充填容器としての装置配列を示し、シリンジが固定可能となった状態を示す。
【図28】針を含む自己充填容器としての装置配列を示し、シリンジが固定可能となった状態を示す。
【図29】本発明の安全装置の他の実施形態を示し、第1の実施形態の変形例であり、ペン型注射器の使用に適した装置を示す。
【図30】第1の実施形態における2つの変形表示器の配列を示す。
【図31】第1の実施形態における2つの変形表示器の配列を示す。
【図32】第1の実施形態における2つの変形表示器の配列を示す。
【図33】第1の実施形態における2つの変形表示器の配列を示す。
【発明を実施するための形態】
【0028】
本発明の安全装置の好ましい実施の形態について以下に説明し、同一の参照文字が、種々の実施の形態に対応する箇所を特定するために使用される。唯一、第1の実施の形態は、詳細に記載され、他の実施の形態を完全に理解するために、第1の実施の形態の説明が参照される。
【0029】
まず、図1〜10に、従来の形式の医療用針21を遮蔽するため配置され、従来のシリンジ22を確保するに意図された安全装置20である第1の実施の形態が示す。シリンジは、液体薬剤のための円筒状チャンバとして画定される円筒状本体23を有する。シリンジの先端部25から薬剤を排出する前端部には、ピストン(図示せず)に固定されたプランジャ24を備える。当該先端部は、従来のルアースリップテーパとして作用する外面を有し、内側ルアースリップテーパを有するハブ26と結合する針と結合している。針27は、恒久的にハブ26に接続され、鋭利な先端部28を有する。この配列は、全て従来のものであり、ここでは、更に詳細に説明しない。
【0030】
安全装置20は、針ハブ26のリブ領域31上の近接する押し込みとなる孔を備える載置部30を有する。ハブと載置部間の十分な摩擦を確保するよう湾曲部を若干変形可能としている。載置部は、円筒状摺動面32を有し、スリーブ33は当該面上に支持され、当該スリーブは、載置部に対して、あるいは針に対して軸方向に摺動移動するように配列されている。当初の針摺動位置を、図3に示す。スリーブは、図7で示される非摺動位置まで後方に摺動される。この位置で、鋭利な先端部28から後ろの針の一部が露出し医療行為が実行される。スリーブの摺動移動は当該行為の一部、たとえは注射として実行される。
【0031】
スリーブは、一対の対向する長孔34を有し、当該長孔内には、前端部36でスリーブの主要部と接続されるそれぞれのフィンガ35が形成されており、板ばねとして機能する。2つのそのような孔は、それぞれフィンガを有することが開示されているが、フィンガの孔の数として他の数も採用でき、単一の孔とフィンガから、3つ又は4つの孔とフィンガ、おそらく5以上のものも採用できる。各フィンガ35は、半径方向外側に弾性的に変形可能であり、本装置の以下の説明から明らかになる。
【0032】
載置部30は、載置部の摺動面32の前端部に形成される、対向する一対の突起37を含む。当該突起は、スリーブの孔34内に配置され、載置部からスリーブが離脱することを防止する。一旦、固定されると、スリーブは図3に示すように、その初期位置内に位置する。各突起の前方指向面38は弧状形状であり、スリーブを載置部に容易に固定するとともに、スリーブが載置部に対して摺動する際に対応するフィンガの摺動面を備える。
【0033】
制御部材40は、スリーブ33の内部に配置され、装置の初期設定で、載置部30の前端部に形成された凸部41に対向して設けられる。制御部材は、針27が、組み立て中に容易に通過できるのに十分な大きさの内径42を有しているが、当該内径は凸部41の直径より小さい。それにより制御部材は、処理中に、スリーブが後方に移動する際に凸部41上を圧迫する。各フィンガ35には、一対の対向する内方向突起部43が形成され、制御部材の外側面と係合可能であり、図3に示すように、装置の初期設定において、制御部材のごく近傍に設けられている。各フィンガは、スリーブが後方に移動するときに、載置部の摺動面38上を移動する中央リブを有する。フィンガが装置の初期設定時の非押圧状態の際、摺動面32と載置部の凸部41との間の肩部45と係合する各フィンガの後端部44が形成されている。図面に示すように、各フィンガの自由端は、僅かにこすられ、肩部45は、凹んで、肩部と係合するフィンガの後端部44上で、フィンガは深く移動するように係合される。
【0034】
スリーブの前端部36には、直径方向に対向する2つの窓46が形成されており、フィンガ間で垂直線上に延在されている。スリーブが完全に後方向に移動すると、制御部材はスリーブの前端部36まで押圧される。そして、装置が使用され、現在、遮蔽位置で固定されていることを示す表示器として機能する窓を介して、制御部材は視認できる。この表示は、スリーブの材料と対称色である明るい色の材料を使用することにより、強化される。
【0035】
本実施の形態において、載置部、スリーブ及び制御部材の各々は、プラスチック成型された材料で製造されている。フィンガ35は、フィンガを曲げることで、弾性的に半径方向外側に変形可能である。しかし、図3に示す初期位置では、フィンガは、変形されない(押圧されない)状態である。したがって、装置は、フィンガの弾性損失を受けることなく、その状態で保存することができる。さもなければ、押圧されたとき、保存時に損失が起きる。
【0036】
上述した安全装置20の操作を、装置に針21を固定することに続いて、説明する。この動作は、シリンジ22の前端部で、針ハブ26がルアースリップコネクタに固定される前又は後のどちらで、実行される。装置の初期設定を、図2及び3に示す。針が遮蔽されるように、針に対してスリーブ23をその前端遮蔽位置に配置する。本設定において、フィンガ35は、実質的にスリーブと載置部の軸と、上述したように、実質的に平行に延在し、変形ではなく成型された状態となっている。制御部材40は、凸部41の近傍で、制御部材の前面近傍にフィンガ35の突起部43をともなって、配置される。スリーブは、各孔34の後端部と各突起37が係合することで、載置部30に対して前方移動に対抗するように保持されている。
【0037】
シリンジ、針及び装置は、注射領域に向って前進し、スリーブの前端部36は、皮膚に対して押圧される。これにより、スリーブは載置部30に対して後方に移動され、それにより突出部43は制御部材40の外周面上に乗り上げ、載置部に対して静止した状態になる。図4に示すように、これにより、フィンガは半径方向外側に弾性的に曲げられ、後端部44は、肩部45から離れて上昇され、ラグ37の前面38上にもたれるように移動される(図5)。シリンジが継続的に前方向に動くことで、スリーブを更に載置部30に対して後方に移動させ(図6)、ラグ37上をフィンガの内面が摺動し、フィンガは更に半径方向外側に反る。最終的に、制御部材40がスリーブ33の前端部に位置し、針がスリーブの前端部から十分に突出する位置(図7)まで達する。フィンガは、最大限反らされて、エネルギを蓄え、スリーブを突出位置に戻す作用をするばねとして機能する。
【0038】
図7の位置にあるとき、針27を介してシリンジから液体薬剤を投与するため、プランジャ24を押圧して注射する。シリンジを皮膚から離す際、弾性的フィンガ35によりスリーブ上に軸方向の力が加えられると、スリーブの前端部に制御部40がとどまっている間、スリーブを載置部に対して(図8)前方に移動させる一方、例えば摩擦により、そこで維持させる。最終的に、図9に示す位置、フィンガ35は、載置部は解放されて、当初の変形されない状態に戻った位置に達する。しかし、制御部材40は、スリーブの前方端部36で維持される。したがって、スリーブは再度、針がスリーブで囲われた状態の針の遮蔽位置となる。もし、再度、スリーブを後方に移動させようとすると、フィンガ35の後方端部44は、載置部30の肩部45に係合し、フィンガと肩部の両端部の各々の外形を考慮して、スリーブにかかる後方向の押圧力の増加により、フィンガと肩部の相互の係合が強化され、そして、スリーブの後方向の移動が阻止される。
【0039】
図9の阻止された設定時に、制御部材は窓46を介して視認でき、窓は、装置が使用済みであり、廃棄しなければならないことを表示する。従来は、このようなことは、シリンジ、針及び装置の全体的組立体を適切な鋭利な収容部に保持することにより行われていた。装置が使用済みであることの表示は、制御部材を明るく色づけし、窓46を介する視認性を強化することができる。
【0040】
図11〜16には、安全装置50の第2の実施の形態を示し、安全装置は、可能な限り第1の実施形態と広義には同一の原理で動作し、類似する部分は同様の参照記号を用いて示され、ここでは再度説明しない。上述の通り、シリンジ22と針は、針ハブと共に本質的に従来技術である。本実施の形態おいて、スリーブ33(第1の実施の形態の)は、装置の載置部51として機能するように、針ハブ26上に直接載置されている。載置部30(第1の実施形態の)は、第2の実施形態ではスリーブ52として機能し、針に対して後ろの十分な遮蔽位置(図12)から、注射がされる非遮蔽位置(図14)まで移動可能である。次に、スリーブ52は、スリーブ52が後方に移動する間に、フィンガ35が弾性的に半径方向外側に変形されるという動作を受け、その遮蔽位置(図15)に戻るように前方に移動する。
【0041】
フィンガ35、制御部材40、スリーブ52のラグ37、窓26の構成は、第1の実施形態に関連して全て上述されており、同一の機能を有する。装置の操作とその手順は、ここでは再度説明はしない。第1の実施形態において十分に説明したが、装置の載置部30は、針ハブ26の上を移動され、スリーブ33はその載置部30上を後方に摺動する。第2の実施形態において、スリーブ33(第1の実施形態の)は載置部51として機能し、針ハブ上に移動される。載置部30(第1の実施形態の)はスリーブ52として機能し、載置部51内で後方に摺動する。
【0042】
図16〜21、図22〜26の装置は全て、囲われた針を有する予め注入されているシリンジを使用することを意図している。装置は、製造中にシリンジに固定され、シリンジに注入される前に、シリンジのプランジャのピストンで蓋がされる。例えば、装置は、従来の柔軟な又は硬い針カバーに代えて、製造中及び注入前に、シリンジに固定される。可能な限り、実質的に同一又は本質的に類似する部分を示すために、上述で使用された参照番号が、図16〜21、図22〜26においても使用される。これらの部分は再度詳細に説明しない。
【0043】
図16〜18は、図1〜10(第1の実施形態)の装置20を示すが、柔らかい針カバー55に固定されている。ニードカバーの開口端56は円筒状であり、スリーブ33内に密着し、カバーの主要部57は、テーパ形状である閉塞端58を有する。使用時に、針カバーに十分な圧縮力を与えるために、対向する平行なリブ59が、開口端56から針カバーにそって部分的に延在している。当該技術分野でよく知られる方法において、特定の規格の密封材(図示せず)が、針カバー内に位置し、針の鋭利な先端28を有効に密封する。
【0044】
図16は、針カバー55が組み込まれた装置20を示す。開口端56は、制御部材40に対向して設けられ、リブ59は、スリーブ33の前端部56で終了し、リブは、フィンガ35に対して90°に配置される。針カバーの圧縮力は、過度の力が加わらなければ、スリーブ33が載置部30に対して後方に移動できないように作用する。
【0045】
図16には、ピストンとプランジャ24を有するシリンジ22が示されている。注入前のシリンジとして装置を使用することを意図しているが、その場合、注入が完了するまで、ピストンとプランジャはシリンジ本体に固定されず、装置がシリンジに固定された後に行われる。シリンジの先端部は、先端部の端部近傍の第1の環状隆起部60(通常は、囲われた針を有するシリンジの場合)と、第1の隆起部とシリンジの本体との間の第2の環状隆起と、を備えるように製造される。針は、シリンジの先端部内に形成された孔内に配置され、接着材62によって適切に保持されている。
【0046】
シリンジに装置を固定するのは、以下のように行われる。針カバー55が第1の隆起部60上通過して、空密な封を形成する。そして、針載置部30が、第2の隆起部61を超えて、第2の隆起部61の後方に係合し、機械的に装置をシリンジに保持する。シリンジと装置は、装置をシリンジに固定する前は無菌状態であり、固定が無菌状態で行われるときには、カバーと第1の隆起部60との間の封と係合する、針の先端とカバーの封は、針の無菌性を確保するために行われる。
【0047】
シリンジに装置を固定したことに引き続き、針カバーをシリンジに接続する組立てが、通常の方法を用いて行われる。組立体は、充填場所へ送られ、そこで、決められた1回分の薬剤がシリンジへ注入され、その後、蓋をされて、プランジャが固定されて、組立体は使用できるようになる。この条件は、図17に示される。
【0048】
組立体が使用されるとき、針カバー55の露出部分が、把持されて、装置20から引き抜かれることが図18に示されている。リブ59と円筒状開口端56が、スリーブ33の開口端36から引き抜かれるように、カバーは、必要なだけ曲げられる。その後、組立体は図2〜10に示されるように、上述したように使用される。
【0049】
第1と第2の環状隆起部60、61を示したが、針カバー55のために、他の封の配列をシリンジの先端部の上に設けてもよい。さらに、針載置部30は、第2の隆起部61上で折曲されなくても、シリンジの先端部と接続する。例えば、針載置部は、シリンジに接着剤で、あるいは相互に係合するネジで接続する。
【0050】
図19〜21は、図16〜18と同様な配列を示すが、装置は、開封の証拠が残る封63を備える堅い針カバーを有する。装置20自体は、図1〜10に示された第1の実施形態の装置と、本質的に同一である。
【0051】
堅い針カバー64は、外周がフルート形状である閉塞キャップ66から後方に延在するチューブ65を備える。キャップがスリーブ33の前端部36と係合し、粘着性の脆弱な封63(例えば、紙)がスリーブ33とキャップ66の間を接続すると、チューブ65の後端部67は、制御部材40に当接する。そして、図16〜18の配列で、チューブ65は、針の先端部を有効に封をする成形可能な封止剤68を含む。載置部30は、それ自身あるいは、接着剤等の他の手段により、シリンジの先端部の前端部の周囲に形成された隆起部69を、空密に封止する内径を有する。
【0052】
図16〜18の配列において、装置は、シリンジに充填される前に、シリンジに組み付けられる。組立体が充填されて使用可能になったとき、全針カバー64が装置から引きはがされた後に、封を破れるように(図20)、開封の証拠が残る封63は、キャップのフルート形状の部分を把持して、スリーブ33に対して捻ると、破れる。一旦、針カバーが外されると、組立体は、第1の実施の形態で記載された同様な方法で使用される。
【0053】
図22は、図19〜21に類似する装置を示すが、標準的なコネクタを有するシリンジ70、例えば、先端部71上に形成されるルアースリップテーパのようなコネクタを有するシリンジとして使用される。装置20は、予め針とハブ(図示せず)に、標準的な方式で固定され、シリンジ上にルアースリップテーパを載置する。変形例として、針のハブは、スリーブ33の載置部30として形成され、装置が使用されるときには、スリーブを直接摺動させる。装置は、先の実施形態のように、堅い針カバー64を備え、カバーのチューブ内(図22には示されず)に封止剤が充填される。
【0054】
図22の装置は、従来の針と同様に、無菌状の容器内に収められる。針ハブ内にシリンジを押し込むことで、シリンジとともに使用される。シリンジが押圧と捻り動作により針ハブに接続されるとき、堅いカバーのチューブ65は、針ハブ(装置の載置部として機能する)がスリーブ内で前方に移動することを阻止する。その後、針カバー64を取り外すことに引き続き、組立体は、図19〜21で説明したように使用される。
【0055】
図23〜26は、図11〜15の第2の実施形態に基づく配列を示す。この配列において、載置部73は、円筒状であり、シリンジ本体の全体を含む。載置部は、その後端部にシリンジ本体の後端部を保持するフランジ領域74を備える。第2の実施形態において、フィンガ75は、その後端部近傍で載置部73と接続し、スリーブ77上に形成され、シリンジ本体を覆う載置部73内を摺動するラグ76と係合する。スリーブ用の堅い閉塞したパッケージ部78は、開封の証拠が残る脆弱な封63によって、載置部73に固定される。
【0056】
パッケージ部78内で、構成部材78の前壁から内側に突出するチューブのような構造体を備える(図示せず)。構造体は、一般的に、安全装置と同軸で、針カバーをはずすものである。構造体は、針カバーを把持する構成を有し、封を破り、装置からパッケージ部78を引き出した後、針カバーが、安全装置からパッケージ部を離脱することに伴って、針から外される。針カバーは、パッケージ部内に残る。
【0057】
封63が破られ、カバー78が組立体から外されるまで(図24)、スリーブ77にアクセスすることはできない。その後、装置とシリンジの組立体は、第2の実施形態に関連して上述したように使用される。スリーブ77の前端部79を、射出領域に提供して、載置部73(シリンジを含む)を前方に移動すると、スリーブは、載置部内を後戻りし、弾性的にフィンガ75を外側方向に変形して、同時に制御部材を後方に移動させる。針が完全に突出すると(図26)、制御部材80は、載置部73の窓82を介して視認できるようになる。そして、フィンガは外側に大きく最大限変形する。組立体が射出領域から離れるように移動する際に、フィンガはスリーブ77上に力を与え、スリーブを後方の初期位置に移動させる。スリーブが完全に初期位置に戻るように移動し、制御部材が、載置部のフランジ領域74の近傍にとどまると、フィンガも当初の非押圧状態に戻り、スリーブの後方移動を阻止する。使用される装置に、このような保護が与えられる。
【0058】
図27及び28は、第1の実施形態と類似する装置20を含む容器を示す。容器は、一端部86で閉塞し、他端部87で開口する中空本体85を含み、装置を受け入れる。キャップ88は、本体の開口他端部87に接続され、上述と類似する開封の証拠が残る封(図示せず)を備える。本体内の孔は対向するリブ89を含み、装置のフィンガ90と重なり、孔内配置されている。そして、リブは、フィンガ上で支持され、半径方向外側の移動を妨げることで、装置の駆動(すなわち、設定位置から制御部材の前方向の動き)を阻止する。
【0059】
装置は、ハブ91を有する従来の針に予め固定され、ハブは、従来のシリンジコネクタの一部を形成する孔を有する。コネクタとして例えば、ルアースリップあるいはルアーロックコネクタがある。ハブは、図2〜10を参照して説明したように、装置の載置部92内に固着される。変形例として、ハブは、特に装置の載置部として機能するように構成される。装置を本体85内に固定し、無菌環境内でキャップ88により他の端部87を閉鎖し、そして、キャップと本体との間を接続点の周囲に封を固定することで、無菌状態が保たれる。
【0060】
図27及び28の容器は、従来のシリンジが、針の露出したハブ91と接続されたら、キャップを捩って本体から外し、その間の封を破ることで、使用される。一旦、完全に接続されると、シリンジは、装置を、本体85から引き離すように使用される。その後、装置は、図1〜10の第1の実施の形態で説明したように使用できるようになる。
【0061】
図1〜10のシリンジの変形例として、図27と28の配列は、特に、シリンジの先端部に永久的に取り付けられた針を有し、予め充填されたシリンジに適用される。やわらかい針カバー(図示せず)は、針の無菌状態を維持し、かつ針の先端部を封するために、針に固定され、シリンジ内の予め充填された薬物の漏れを防止する。そのようなカバーは、中空本体85内の内部構造体(図示せず)によって外され、閉塞された端部86から後方に突出する。構造体は、針カバーを把持する配列を有し、中空本体85が外れることで、針からカバーを外れて、装置が使用可能状態となる。
【0062】
図29は、安全装置の第1の実施形態の変形例を示し、いわゆるペン型の射出器として使用されることを意図している。典型的には、インシュリンや他の薬物を自己注射するために使用される。ペン型射出器本体95は、薬剤の瓶(図示せず)を受け入れるように配置され、瓶はその前端部に蓋を有する。蓋は、射出を行うために使用される針(図示せず)の後端の鋭利な先端によって、突き刺される。針はハブ96内で移動される。ハブは、その後端部の内側にネジが切られた孔を有し、射出器本体の前端部において、スクリューネジ凸部上にネジ止めされるように配列される。それにより、針の後端部は、接続が完了すると、瓶の蓋を介して、後方に移動される。
【0063】
ハブ96は、安全装置97の載置部として機能し、本質的に、第1の実施形態の装置と同一の方法で構成される。したがって、装置は、摺動可能にハブ96上に載置されるスリーブ98を有し、その後端部でスリーブと接続される対向する一対の弾性変形フィンガ99を有する。スリーブ内に形成される開口部101を介して突出するラグ100によって、スリーブはハブ内に保持される。ラグは、スリーブが後方に移動する際に、フィンガを摺動する面を備える。制御部材(図示せず)は、スリーブ内に設けられ、スリーブが後方に摺動するときに、ハブ96に隣接する初期位置から、スリーブの前端部近傍の位置まで摺動移動される。
【0064】
図29の装置は、本質的に第1の実施形態の装置と同一であり、同一の方法で作動すると理解できるので、ここではさらに説明はしない。
【0065】
図30及び31は、図1〜10に示した第1の実施形態の変形例を示す。図30及び31の装置において、スリーブ33は、半透明プラスチック材料で成型され、窓46は省略されている。制御部材40は、載置部103と同様に、明るい色の材料(第1の実施形態に示すように)で成型されている。第1の実施形態と比較すると、載置部103は、載置部の前端部に別体の凸部を備えず、円筒面104は対向する断面領域105を有することで僅かに構成が相違する。それにより、載置部の前端部の外形は、制御部40の外形と一致する。
【0066】
図30には、装置の初期設定が示され、載置部103近傍の制御部材40の位置は、明確に半透明なスリーブ33を通して視認できる。そして、装置が使用されておらず、使用できる状態にあることを表示する。図31に示される使用によれば、制御部材40は、スリーブの前方端部36に配置され、分離された明瞭な色の載置部103と制御部材40は、装置が使用済みであること示す表示器として機能し、スリーブ33は、後方への摺動移動を阻止する。
【0067】
図32及び33は、図30及び31の装置の変形例を示す。再度、スリーブ33は半透明な材料で成型され、本実施形態では制御部材40と同様、無色は又は白いプラスチック材料から成型されている。載置部の前端面106は、明瞭な色であり、露出したときには、半透明なスリーブを通して、容易に視認可能である。
【0068】
本装置の初期設定において(図32)、制御部材40は、載置部103の明瞭に色づけされた前端面106を覆う。図33に示すように、次のように装置が使用される。制御部材は、スリーブ33の前端部36に配置され、載置部103の前端面106が露出することで、装置が使用済みであり、スリーブが後方への摺動移動が阻止されていることを示す表示器として機能する。
【0069】
上述した本発明の全ての実施形態において、装置は、延在する比較的大きな径の内径を備え、その中に、あるいはそこに針が位置する。大きな径の観点から、針を装置に組み込む間、針の先端部と内径との間の衝突は、他のよく知られた安全装置よりも、かなり低く、針の先端のダメージの可能性を大きく減少させることができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
鋭利な先端を有する医療用針を遮蔽する安全装置であって、
直接的又は間接的に医療用針を支持する針載置部と、
支持された針を囲む針遮蔽スリーブであって、前記載置部と同軸上に配置されて、前記スリーブに与えられた力で、前記スリーブを前記載置部に対して、針の遮蔽位置から非遮蔽位置に向けて摺動させ、そこで少なくとも針の先端が前記スリーブを越えて露出される針遮蔽スリーブと、
前記スリーブと前記載置部の一方に備えられる当接面と摺動面と、
前記スリーブと前記載置部の他方に備えられる半径方向に変形可能な弾性フィンガであって、当該フィンガが、その針遮蔽位置から前記スリーブの移動を阻止するために、変形されないとき、前記当接面と半径方向に位置決めされた位置の外側に部分を有するフィンガと、
前記スリーブと前記載置部と同軸で、設定位置から摺動移動可能に配置された制御部材と、
を備え、
非遮蔽位置へ向う前記スリーブの動きが、前記フィンガと前記制御部材との間の相対移動を生じさせ、それにより、前記フィンガは、前記当接面と半径方向に位置決めされた位置の外側に前記部分を変形させ、前記制御部材を前記設定位置から摺動可能に移動させて、前記スリーブを非遮蔽位置に移動させ、前記フィンガを前記摺動面に接触させ、
前記スリーブの継続的移動が、前記フィンガを前記摺動面に沿って摺動させ、前記フィンガの変形を増進させ、前記スリーブを針遮蔽位置に戻すエネルギを前記フィンガに蓄え、当該針遮蔽位置では、前記フィンガは変形せず、前記部分は前記当接面と半径方向に位置合わせされ、
前記制御部材の前記設定位置からの移動の結果として、前記スリーブの非遮蔽位置への移動を阻止する安全装置。
【請求項2】
前記載置部は、前記スリーブより小さい径であり、それによって前記スリーブは、前記載置部上を摺動し、前記フィンガは、前記スリーブにより移動されて前記載置部と接触するように後方に突出する、
請求項1に記載の安全装置。
【請求項3】
前記載置部は、円筒状であり、前記スリーブが摺動可能に載置される内径が画定され、前記フィンガは、前記載置部により移動されて前記スリーブと接触するように前方に突出する、
請求項1に記載の安全装置。
【請求項4】
前記針載置部は、針が前方に突出する医療用針のハブを受け入れる内径を有し、前記ハブは、シリンジに接続されるように構成されている、
請求項1〜3のいずれか1項に記載の安全装置。
【請求項5】
針は前記載置部から前方に突出するように前記載置部内を直接的に移動される、
請求項1〜3のいずれか1項に記載の安全装置。
【請求項6】
前記載置部に、針を永続的に固定し、前記載置部から前方に突出するシリンジの部分を備える、
請求項1〜3のいずれか1項に記載の安全装置。
【請求項7】
前記フィンガの一端部は、前記スリーブと前記載置部の一方に載置され、前記フィンガの前記部分は、前記フィンガが変形しない状態の時、前記スリーブ又は前記載置部の他方の当接面と係合するように前記フィンガの他端部又はその近傍に配置される、
請求項1〜6のいずれか1項に記載の安全装置。
【請求項8】
前記当接面は、前記スリーブと載置部の前記他方で、大径部と小径部との間に形成された肩部を備える、
請求項7に記載の安全装置。
【請求項9】
前記スリーブと前記載置部の前記他方の摺動面は、立ち上がりラグによって画定され、前記フィンガは、その上を摺動する半径方向に内面を有する、
請求項1に記載の安全装置。
【請求項10】
前記制御部材は、前記スリーブ及び前記載置部の前記大径の内で摺動可能に移動され、それらに関し回転に対して保持される、
請求項1〜9のいずれか1項に記載の安全装置。
【請求項11】
前記スリーブ及び前記載置部の前記他方は、周方向に間隔を隔てて配置される複数のフィンガを支持する、
請求項1〜10のいずれか1項に記載の安全装置。
【請求項12】
1つのフィンガは、前記当接面と係合する前記部分を備え、他のフィンガは、前記摺動面上を摺動するように配置される、
請求項11に記載の安全装置。
【請求項13】
前記制御部材は、前記装置が使用可能であるか、使用済みであるのかを示すための表示部として機能し、前記スリーブは、前記載置部に対して摺動移動を阻止する、
請求項1〜12のいずれか1項に記載の安全装置。
【請求項14】
前記制御部材は、前記スリーブ及び前記載置部の色と対照的な色である、
請求項13に記載の安全装置。
【請求項15】
前記スリーブ及び前記載置部の同軸配列上には窓が備えられ、前記スリーブが非遮蔽位置内にあるときに前記制御部材が軸方向位置に動き、前記制御部材が動かされる軸位置で、前記制御部材は軸の位置で摺動可能に移動され、それにより前記制御部材は、当該窓を介して認識できる、
請求項13又は14に記載の安全装置。
【請求項16】
前記スリーブ及び前記載置部と同軸配列の少なくとも一つは、半透明部材であり、それによって内側の前記制御部材の位置が認識できる、
請求項13又は14に記載の安全装置。
【請求項17】
請求項1〜16のいずれか1項に記載の安全装置であって、当該装置内に収容され、遮蔽位置にあるときに前記スリーブによって遮蔽されている医療用針と組み合わされた安全装置を備える安全針組立品。
【請求項18】
請求項17に記載の安全針組立品であって、当該組立体と協働するように配列され、前記医療針で医療行為を実行することを許容するが、前記針の鋭利な先端上の受動的安全を付与するシリンジ又は射出器と組み合わされた安全針組立品を備える注射装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【図33】
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【公表番号】特表2013−517919(P2013−517919A)
【公表日】平成25年5月20日(2013.5.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−551680(P2012−551680)
【出願日】平成23年2月1日(2011.2.1)
【国際出願番号】PCT/GB2011/050159
【国際公開番号】WO2011/092518
【国際公開日】平成23年8月4日(2011.8.4)
【出願人】(512201605)
【Fターム(参考)】