説明

医療診断支援装置、バーチャル顕微鏡システムおよび標本支持部材

【課題】 ユーザに負担をかけることなく、最適な医療診断支援情報を取得できる医療診断支援装置を提供する。
【解決手段】複数の画像処理方法を記憶する画像処理方法記憶部152と、複数の撮像方法を記憶する撮像方法記憶部153と、標本Sの識別情報を取得する識別情報取得部160と、取得された識別情報に基づいて、画像処理方法記憶部152から対応する画像処理方法を選択する画像処理方法選択部141と、取得された識別情報、または、選択された画像処理方法に基づいて、撮像方法記憶部153から対応する撮像方法を選択する撮像方法選択部142と、選択された撮像方法に従って、標本Sを撮像して標本画像を取得する標本撮像部110と、画像処理方法選択部141により選択された画像処理方法に従って、標本撮像部110により取得された標本画像を画像処理する画像処理部145と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、標本を解析して医療診断支援情報を取得する医療診断支援装置およびバーチャル顕微鏡システムならびにこれらに用いられる標本支持部材に関するものである。
【背景技術】
【0002】
病理検査の一つとして、病変部位の組織を採取して顕微鏡で観察することにより、病気の診断または病変の拡大の程度を調べる組織診が知られている。この組織診は、生検(バイオプシー)とも呼ばれ、臓器摘出によって得たブロック標本や針生検によって得た病理標本を、厚さ数ミクロン程度に薄切りした後、様々な所見を得るために顕微鏡を用いて拡大観察することが広く行われている。なかでも、光学顕微鏡を用いた透過観察は、機材が比較的安価で取り扱いが容易である上、歴史的に古くから行われてきたこともあって、最も普及している観察方法の一つである。この場合、薄切りされた標本は、光を殆ど吸収および散乱せず無色透明に近いため、観察に先立って色素による染色を施すのが一般的である。
【0003】
この組織診では、染色標本を撮像して標本画像を取得し、その標本画像を医師による診断に供するようにしている。しかしながら、医師が標本画像を見て行う診断は、医師の主観に依存するところが多い。そこで、近年では、撮像して得た標本画像を解析して様々な特徴量を取得し、それらの特徴量を定量的に判定して病変を検知あるいは分類することにより、医師に客観的な情報を提示するようにした医療診断支援装置が開発されている。
【0004】
また、病理標本の染色方法や解析方法も、年々進化しており、様々な染色液、形態解析あるいは染色解析に関する提案がなされている。今後も、染色方法およびそれによる解析方法の技術は、進歩していくことが容易に推測される。このため、適切な医療診断支援情報を得るには、標本の染色方法に応じて、最適な解析方法を選択する必要がある。
【0005】
ところが、例えば、「癌の浸潤検出」や「シグナル検出」といった解析方法は、医療診断支援装置に固有のものであり、ユーザが診断の内容に応じて、解析方法を追加あるいは改良することができない。このようなことから、近年、複数の解析方法(診断支援コンテンツ)を記憶し、診断の目的や内容に応じた解析方法を選択的に利用できる診断支援装置が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2003−126045号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記の特許文献1に開示の診断支援装置によると、ユーザは、診断の目的や内容に応じて、記憶されている複数の解析方法のなかから、所望の解析方法を選択して利用することが可能となる。
【0008】
しかしながら、この診断支援装置では、ユーザが所望の解析方法を選択する必要がある。このため、今後、診断に応じて様々な方法で染色された大量の標本を自動的にスクリーニングする技術が普及した場合を想定すると、各標本に適した解析方法を逐一選択するのは、ユーザに負担が掛かることになる。その上、解析方法のパラメータまで逐一設定することを想定すると、その負担は多大となる。
【0009】
例えば、大量の標本であっても、解析方法の種類別にカセットにセットして処理すれば、同一種類では、標本画像の取得方法を含む画像処理方法は全て同じにできるので、ユーザによる画像処理方法の選択処理は各種類で1回で済むことになる。しかし、例えば、小さい病院で染色方法や臓器が様々な標本を一度に処理する場合は、標本毎に適切な画像処理方法を選択することになるため、選択処理が煩雑となる。また、連続した切片を異なる染色方法で染色した標本を一度に処理する場合も、標本毎に適切な画像処理方法を選択することになるため、選択処理が煩雑となる。また、画像処理方法がユーザにより選択されるため、特に、ユーザが初心者の場合は、誤った処理方法や、最適でない処理方法が選択されて、望ましい結果を得られなくなることも懸念される。
【0010】
したがって、かかる事情に鑑みてなされた本発明の第1の目的は、ユーザに負担をかけることなく、標本に最適な画像処理方法および撮像方法を自動的に選択して標本を解析できる医療診断支援装置およびバーチャル顕微鏡システムを提供することにある。
【0011】
さらに、本発明の第2の目的は、ユーザに負担をかけることなく、標本に最適な画像処理方法および撮像方法を自動的に選択して標本を解析でき、より的確な診断を支援できるバーチャルスライド画像が得られるバーチャル顕微鏡システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記第1の目的を達成する第1の観点に係る発明は、標本を解析する医療診断支援装置であって、
複数の画像処理方法を記憶する画像処理方法記憶部と、
複数の撮像方法を記憶する撮像方法記憶部と、
前記標本の識別情報を取得する識別情報取得部と、
前記識別情報取得部により取得された識別情報に基づいて、前記画像処理方法記憶部に記憶されている前記複数の画像処理方法から対応する画像処理方法を選択する画像処理方法選択部と、
前記識別情報取得部により取得された識別情報、または、前記画像処理方法選択部により選択された画像処理方法に基づいて、前記撮像方法記憶部に記憶されている前記複数の撮像方法から対応する撮像方法を選択する撮像方法選択部と、
前記撮像方法選択部により選択された撮像方法に従って、前記標本を撮像して標本画像を取得する標本撮像部と、
前記画像処理方法選択部により選択された画像処理方法に従って、前記標本撮像部により取得された標本画像を画像処理する画像処理部と、
を備えることを特徴とするものである。
【0013】
第2の観点に係る発明は、第1の観点に係る医療診断支援装置において、
前記標本撮像部は、
光学フィルタ、液晶チューナブルフィルタまたは音響光学チューナブルフィルタを含むマルチバンドカメラを有する、
ことを特徴とするものである。
【0014】
第3の観点に係る発明は、第1または2の観点に係る医療診断支援装置において、
前記撮像方法記憶部は、バンド数、多段階露光の段数、深度の異なる撮像画像枚数、撮像倍率のいずれかを変更した複数の撮像方法を記憶する、
ことを特徴とするものである。
【0015】
第4の観点に係る発明は、第1〜3のいずれか一つの観点に係る医療診断支援装置において、
前記画像処理方法記憶部は、染色分離処理、デジタルステイン処理、シグナル強調処理、色正規化処理のいずれかの画像処理方法を含む複数の画像処理方法を記憶する、
ことを特徴とするものである。
【0016】
第5の観点に係る発明は、第4の観点に係る医療診断支援装置において、
前記複数の画像処理方法の各々は、スペクトル推定処理、色素量推定処理、アンミキシング処理のいずれかを含む、
ことを特徴とするものである。
【0017】
第6の観点に係る発明は、第1〜5のいずれか一つの観点に係る医療診断支援装置において、
前記識別情報は、前記標本の支持部材に付されたバーコードからなり、
前記識別情報取得部は、バーコードリーダからなる、
ことを特徴とするものである。
【0018】
第7の観点に係る発明は、第1〜5のいずれか一つの観点に係る医療診断支援装置において、
前記識別情報は、文字情報からなり、
前記識別情報取得部は、文字読み取り装置からなる、
ことを特徴とするものである。
【0019】
第8の観点に係る発明は、第1〜7のいずれか一つの観点に係る医療診断支援装置において、
前記識別情報は、前記標本の診断方法、染色方法、臓器、診断情報の少なくとも1つを含む、
ことを特徴とするものである。
【0020】
第9の観点に係る発明は、第1〜8のいずれか一つの観点に係る医療診断支援装置において、
前記標本の解析に関するユーザ要件を指定するユーザ要件指定部と、
前記ユーザ要件指定部により指定されたユーザ要件を、前記撮像方法選択部による撮像方法の選択または前記画像処理方法選択部による画像処理方法の選択に反映させるユーザ要件反映部と、
をさらに備えることを特徴とするものである。
【0021】
第10の観点に係る発明は、第9の観点に係る医療診断支援装置において、
前記ユーザ要件は、処理時間に関する要件を含む、
ことを特徴とするものである。
【0022】
第11の観点に係る発明は、第9または10の観点に係る医療診断支援装置において、
前記ユーザ要件は、解析の精度に関する要件を含む、
ことを特徴とするものである。
【0023】
第12の観点に係る発明は、第1〜11のいずれか一つの観点に係る医療診断支援装置において、
前記撮像方法選択部により選択された撮像方法と、前記画像処理方法選択部により選択された画像処理方法とに基づいて、少なくとも前記標本撮像部による前記標本の撮像開始から前記画像処理部による画像処理終了までに要する予定の処理時間を算出する処理時間計算部、
をさらに備えることを特徴とするものである。
【0024】
第13の観点に係る発明は、第12の観点に係る医療診断支援装置において、
前記処理時間計算部は、さらに、前記標本の解析中に前記予定の処理時間までの残りの処理時間を算出する、
ことを特徴とするものである。
【0025】
第14の観点に係る発明は、第12または13の観点に係る医療診断支援装置において、
前記処理時間計算部により算出された前記処理時間を表示する処理時間表示部、
をさらに備えることを特徴とするものである。
【0026】
第15の観点に係る発明は、第1〜14のいずれか一つの観点に係る医療診断支援装置において、
前記画像処理方法記憶部に記憶する画像処理方法または前記撮像方法記憶部に記憶する撮像方法を、ネットワークを経由してサーバから取得する通信部、
をさらに備えることを特徴とするものである。
【0027】
第16の観点に係る発明は、第1〜15のいずれか一つの観点に係る医療診断支援装置において、
前記画像処理部により得られる情報に基づいて、当該標本に対する医療診断支援情報を取得する医療診断支援情報取得部、
をさらに備えることを特徴とするものである。
【0028】
第17の観点に係る発明は、第16の観点に係る医療診断支援装置において、
前記医療診断支援情報取得部により取得した前記医療診断支援情報を、医療データを共有する医療システムに送信する医療診断支援情報送信部、
をさらに備えることを特徴とするものである。
【0029】
第18の観点に係る発明は、第1〜17のいずれか一つの観点に係る医療診断支援装置において、
複数の表示方式を記憶する表示方式記憶部と、
前記画像処理方法選択部により選択された画像処理方法に基づいて、前記表示方式記憶部に記憶されている前記複数の表示方式から対応する表示方式を選択する表示方式選択部と、
前記表示方式選択部により選択された表示方式に基づいて、前記画像処理部により処理された画像を表示する画像表示部と、
をさらに備えることを特徴とするものである。
【0030】
第19の観点に係る発明は、第18の観点に係る医療診断支援装置において、
前記表示方式記憶部は、デジタルステイン処理による画像表示を含む複数の表示方式を記憶する、
ことを特徴とするものである。
【0031】
第20の観点に係る発明は、第18または19の観点に係る医療診断支援装置において、
前記表示方式記憶部は、シグナル強調処理による画像表示を含む複数の表示方式を記憶する、
ことを特徴とするものである。
【0032】
第21の観点に係る発明は、第1〜20のいずれか一つの観点に係る医療診断支援装置において、
前記識別情報取得部により取得された識別情報と、前記標本撮像部が撮像した撮像方法と、前記画像処理部が画像処理した画像処理方法とを含む、前記標本に対するジョブデータを記憶するジョブデータ記憶部、
をさらに備えることを特徴とするものである。
【0033】
第22の観点に係る発明は、第21の観点に係る医療診断支援装置において、
前記ジョブデータは、さらに、前記標本撮像部により取得された標本画像、前記画像処理部による画像処理に基づいて得られる情報を含む、
ことを特徴とするものである。
【0034】
さらに、上記第2の目的を達成する第23の観点に係る発明は、顕微鏡を用いて標本を撮像し、その取得した標本画像に基づいて前記標本のバーチャルスライド画像を取得するバーチャル顕微鏡システムであって、
複数の画像処理方法を記憶する画像処理方法記憶部と、
複数の撮像方法を記憶する撮像方法記憶部と、
前記標本の識別情報を取得する識別情報取得部と、
前記識別情報取得部により取得された識別情報に基づいて、前記画像処理方法記憶部に記憶されている前記複数の画像処理方法から対応する画像処理方法を選択する画像処理方法選択部と、
前記画像処理方法選択部により選択された画像処理方法に基づいて、前記撮像方法記憶部に記憶されている前記複数の撮像方法から対応する撮像方法を選択する撮像方法選択部と、
前記撮像方法選択部により選択された撮像方法に従って、前記標本を撮像して標本画像を取得する標本撮像部と、
前記画像処理方法選択部により選択された画像処理方法に従って、前記標本撮像部により取得された標本画像を画像処理する画像処理部と、
前記画像処理部により画像処理された画像に基づいてバーチャルスライド画像を生成するバーチャルスライド画像生成部と、
を備えることを特徴とするものである。
【0035】
さらに、第24の観点に係る発明は、標本を解析する医療診断支援装置であって、
複数の画像処理方法を記憶する画像処理方法記憶部と、
複数の撮像方法を記憶する撮像方法記憶部と、
所定の撮像方法に基づいて前記標本を撮像することにより得られた識別情報取得用標本画像から、前記標本の識別情報を算出する識別情報算出部と、
前記識別情報算出部により算出された識別情報に基づいて、前記画像処理方法記憶部に記憶されている前記複数の画像処理方法から対応する画像処理方法を選択する画像処理方法選択部と、
前記識別情報算出部により算出された識別情報、または、前記画像処理方法選択部により選択された画像処理方法に基づいて、前記撮像方法記憶部に記憶されている前記複数の撮像方法から対応する撮像方法を選択する撮像方法選択部と、
前記撮像方法選択部により選択された撮像方法に従って、前記標本を撮像して標本画像を取得する標本撮像部と、
前記画像処理方法選択部により選択された画像処理方法に従って、前記標本撮像部により取得された標本画像を画像処理する画像処理部と、
を備えることを特徴とするものである。
【0036】
第25の観点に係る発明は、第24の観点に係る医療診断支援装置において、
前記識別情報取得用標本画像は、前記標本撮像部によって前記標本を低倍で撮像することにより取得する、
ことを特徴とするものである。
【0037】
さらに、第26の観点に係る発明は、標本を解析する医療診断支援装置であって、
複数の画像処理方法を記憶する画像処理方法記憶部と、
複数の撮像方法を記憶する撮像方法記憶部と、
複数の標本の個体番号および識別情報を記憶する識別情報記憶部と、
前記標本から個体番号を取得し、前記識別情報記憶部に記憶されている識別情報から、前記取得した個体番号に対応する識別情報を選択する識別情報選択部と、
前記識別情報選択部により選択された識別情報に基づいて、前記画像処理方法記憶部に記憶されている前記複数の画像処理方法から対応する画像処理方法を選択する画像処理方法選択部と、
前記識別情報選択部により選択された識別情報、または、前記画像処理方法選択部により選択された画像処理方法に基づいて、前記撮像方法記憶部に記憶されている前記複数の撮像方法から対応する撮像方法を選択する撮像方法選択部と、
前記撮像方法選択部により選択された撮像方法に従って、前記標本を撮像して標本画像を取得する標本撮像部と、
前記画像処理方法選択部により選択された画像処理方法に従って、前記標本撮像部により取得された標本画像を画像処理する画像処理部と、
を備えることを特徴とするものである。
【0038】
さらに、第27の観点に係る発明は、標本を解析する医療診断支援装置であって、
複数の画像処理方法を記憶する画像処理方法記憶部と、
複数の撮像方法を記憶する撮像方法記憶部と、
ネットワークを経由してサーバと通信する通信部と、
前記標本から取得した個体番号に対応する識別情報を、前記通信部を介してネットワークを経由してサーバから選択する識別情報選択部と、
前記識別情報選択部により選択された識別情報に基づいて、前記画像処理方法記憶部に記憶されている前記複数の画像処理方法から対応する画像処理方法を選択する画像処理方法選択部と、
前記識別情報選択部により選択された識別情報、または、前記画像処理方法選択部により選択された画像処理方法に基づいて、前記撮像方法記憶部に記憶されている前記複数の撮像方法から対応する撮像方法を選択する撮像方法選択部と、
前記撮像方法選択部により選択された撮像方法に従って、前記標本を撮像して標本画像を取得する標本撮像部と、
前記画像処理方法選択部により選択された画像処理方法に従って、前記標本撮像部により取得された標本画像を画像処理する画像処理部と、
を備えることを特徴とするものである。
【0039】
さらに、第28の観点に係る発明は、標本を解析する医療診断支援装置であって、
複数の画像処理方法を記憶する画像処理方法記憶部と、
複数の撮像方法を記憶する撮像方法記憶部と、
前記標本の識別情報を取得する識別情報取得部と、
前記識別情報取得部により取得された識別情報に基づいて、前記画像処理方法記憶部に記憶されている前記複数の画像処理方法から対応する画像処理方法を選択する画像処理方法選択部と、
複数の参照データを記憶する参照データ記憶部と、
前記識別情報取得部により取得された識別情報と前記画像処理方法選択部により選択された画像処理方法に基づいて、前記参照データ記憶部に記憶されている前記複数の参照データから対応する参照データを選択する参照データ選択部と、
前記識別情報取得部により取得された識別情報、または、前記画像処理方法選択部により選択された画像処理方法に基づいて、前記撮像方法記憶部に記憶されている前記複数の撮像方法から対応する撮像方法を選択する撮像方法選択部と、
前記撮像方法選択部により選択された撮像方法に従って、前記標本を撮像して標本画像を取得する標本撮像部と、
前記画像処理方法選択部により選択された画像処理方法および参照データ選択部により選択された参照データに従って、前記標本撮像部により取得された標本画像を画像処理する画像処理部と、
を備えることを特徴とするものである。
【0040】
第29の観点に係る発明は、第28の観点に係る医療診断支援装置において、
前記参照データ記憶部は、スペクトル推定処理に用いる統計データ、色素量推定に用いる色素のスペクトル、デジタルステイン処理や特定領域判定処理に用いる学習データ、色正規化処理に用いる色素量基準値のいずれかの参照データを含む複数の参照データを記憶する、
ことを特徴とするものである。
【0041】
第30の観点に係る発明は、第1の観点に係る医療診断支援装置において用いられる標本支持部材であって、診断方法、染色方法、臓器、診断情報の少なくとも1つの識別情報が記録されたバーコードを備えることを特徴とするものである。
【0042】
第31の観点に係る発明は、第1の観点に係る医療診断支援装置において用いられる標本支持部材であって、診断方法、染色方法、臓器、診断情報の文字が記載されたことを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0043】
本発明に係る医療診断支援装置よれば、標本に最適な画像処理方法および撮像方法が自動的に選択されるので、利用者に負担をかけることなく、標本を解析することが可能となる。
【0044】
本発明に係るバーチャル顕微鏡システムによれば、標本に最適な画像処理方法および撮像方法が自動的に選択されるので、利用者に負担をかけることなく、より的確な診断支援が可能なバーチャルスライド画像を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【図1】本発明の第1実施の形態に係る医療診断支援装置の要部の機能構成を示すブロック図である。
【図2】図1に示した標本撮像部の要部の構成を示す模式図である。
【図3】図2に示したRGBカメラに配置されるカラーフィルタの配列例およびRGB各バンドの画素配列を模式的に示す図である。
【図4】図2に示したRGBカメラの分光感度特性を示す図である。
【図5】図2に示したフィルタ部を構成する一方の光学フィルタの分光透過率特性を示す図である。
【図6】図2に示したフィルタ部を構成する他方の光学フィルタの分光透過率特性を示す図である。
【図7】図1に示した画像処理方法テーブルのデータ構成を示す図である。
【図8】図1に示した撮像方法テーブルのデータ構成を示す図である。
【図9】図1に示したユーザ要件テーブルのデータ構成を示す図である。
【図10】図1に示した画像表示方法テーブルのデータ構成を示す図である。
【図11】図1に示した医療診断支援装置の概略動作を示すフローチャートである。
【図12】対象標本に付される識別情報の一例を示す図である。
【図13】ユーザ要件指定画面の一例を示す図である。
【図14】本発明の第2実施の形態に係るバーチャル顕微鏡システムを構成する顕微鏡装置の要部の構成を示す図である。
【図15】図14に示したホストシステムの要部の構成を示すブロック図である。
【図16】本発明の第3実施の形態に係る医療診断支援装置の要部の機能構成を示すブロック図である。
【図17】図16に示した医療診断支援装置の概略動作を示すフローチャートである。
【図18】本発明の第4実施の形態に係る医療診断支援装置の要部の機能構成を示すブロック図である。
【図19】図18に示した識別情報記憶テーブルのデータ構成を示す図である。
【図20】図18に示した医療診断支援装置の概略動作を示すフローチャートである。
【図21】本発明の第5実施の形態に係る医療診断支援装置の要部の機能構成を示すブロック図である。
【図22】本発明の第6実施の形態に係る医療診断支援装置の要部の機能構成を示すブロック図である。
【図23】図22に示した参照データのデータ構成を示す図である。
【図24】図22に示した医療診断支援装置の概略動作を示すフローチャートである。
【図25】本発明の変形例を説明するジョブデータの構成例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0046】
以下、本発明の好適実施の形態について、図を参照して詳細に説明する。
【0047】
(第1実施の形態)
図1は、本発明の第1実施の形態に係る医療診断支援装置の要部の機能構成を示すブロック図である。この医療診断支援装置は、パーソナルコンピュータ等のコンピュータを含んで構成されるもので、顕微鏡を含む標本撮像部110、入力部120、表示部130、演算部140、記憶部150、識別情報取得部160、および各部を制御する制御部170を備える。また、制御部170は、通信部180を介して医療データを共有するローカルな医療システムと通信可能となっているとともに、ネットワーク181を経由して診断支援サーバ190や外部の医療システムと通信可能となっている。
【0048】
標本撮像部110は、対象の染色標本(以下、「対象標本」と称す)の顕微鏡によるマルチバンド画像を取得する。この標本撮像部110は、図2に6バンド画像を得る場合の一例の構成を模式的に示すように、CCD(Charge Coupled Devices)やCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)等の撮像素子等を備えたRGBカメラ111、対象標本Sが載置される標本保持部112、標本保持部112上の対象標本Sを透過照明する照明部113、対象標本Sからの透過光を集光して結像させる顕微鏡対物レンズを含む光学系114、結像する光の波長帯域を所定範囲に制限するためのフィルタ部115を有して構成する。
【0049】
RGBカメラ111は、例えばデジタルカメラ等で広く用いられているもので、モノクロの二次元センサからなる撮像素子上に、例えば図3(a)に示すようなベイヤー配列のRGBのカラーフィルタ116が配置された単板式のものを用いる。このRGBカメラ111は、撮像される画像の中心が照明光の光軸上に位置するように設置される。このRGBカメラ111の場合、各画素は、図3(b)に示すように、R,G,Bいずれかの成分しか撮像することはできないが、近傍の画素値を利用することで、不足するR,G,B成分が補間される。この手法は、例えば特許第3510037号公報において公知である。
【0050】
なお、RGBカメラ111は、3CCDタイプ(3板式)のカメラを使用すれば、最初から各画素におけるR,G,B成分を取得できる。本実施の形態では、単板式または3板式のいずれを用いても構わないが、以下ではRGBカメラ111で撮像された画像の各画素においてR,G,B成分が取得できているものとする。また、RGBカメラ111は、照明部113からの照明光を、光学系114を介して撮像する際、図4に示すような、R,G,Bの各バンドの分光感度特性を有するものとする。
【0051】
図2に例示した標本撮像部110は、図4に示した分光感度特性を有するRGBカメラ111を用いて6バンドの画像を取得する。このため、フィルタ部115には、回転式のフィルタ切り替え部117を設け、このフィルタ切り替え部117に、R,G,Bの各バンドの透過波長領域を2分するように、それぞれ異なる分光透過率特性を有する2枚の光学フィルタ118a,118bを保持する。図5は、この場合の一方の光学フィルタ118aの分光透過率特性を示し、図6は、他方の光学フィルタ118bの分光透過率特性を示す。
【0052】
そして、制御部170により、先ず、例えば光学フィルタ118aを、照明部113からRGBカメラ111に至る光路上に位置させて、照明部113により標本保持部112上に載置された対象標本Sを照明し、その透過光を光学系114および光学フィルタ118aを経てRGBカメラ111の撮像素子上に結像させて第1の撮像を行う。次いで、制御部170により、フィルタ切り替え部117を回転させて、光学フィルタ118bを照明部113からRGBカメラ111に至る光路上に位置させて、同様にして第2の撮像を行う。
【0053】
これにより、第1の撮像および第2の撮像でそれぞれ異なる3バンドの画像を得て、合計で6バンドのマルチバンド画像を得る。
【0054】
なお、フィルタ部115に設ける光学フィルタの数は2枚に限定されるものではなく、3枚以上の光学フィルタを用いて、さらに多くのバンドの画像を得ることも可能である。また、フィルタ部115は、公知の液晶チューナブルフィルタ、あるいは、音響光学チューナブルフィルタを用いて、より多バンドの画像を取得するように構成することもできる。また、RGBカメラ111は、RGBフィルタを有する一次元センサからなる撮像素子を用い、この撮像素子を画素の配列方向と直交する方向に移動走査して二次元の標本画像を取得するように構成することもできる。
【0055】
図1において、上記の標本撮像部110で取得された対象標本Sのマルチバンド画像(以下、「対象標本画像」と称す)は、マルチバンド画像データとして記憶部150に格納される。
【0056】
入力部120は、例えば、キーボードやマウス、タッチパネル、各種スイッチ等の各種入力装置によって構成されるものであり、操作入力に応じた情報を制御部170に出力する。本実施の形態では、入力部120をユーザ要件指定部としても機能させて、該入力部120から対象標本を解析する際のユーザ要件として、「迅速」、「通常」、「高精度」の処理(モード)のいずれかを指定させるようにする。
【0057】
表示部130は、LCD(Liquid Crystal Display)やEL(Electro Luminescence)ディスプレイ、CRT(Cathode Ray Tube)ディスプレイ等の表示装置によって構成されるものであり、制御部170からの表示信号をもとに各種画面を表示する。
【0058】
演算部140は、CPU等のハードウェアによって構成されるもので、画像処理方法選択部141、撮像方法選択部142、ユーザ要件反映部143、処理時間計算部144、画像処理部145、画像表示方法選択部146、および、医療診断支援情報取得部147を有する。
【0059】
記憶部150は、更新記憶可能なフラッシュメモリ等のROMやRAMといった各種ICメモリ、内蔵あるいはデータ通信端子で接続されたハードディスク、CD−ROM等の情報記憶媒体およびその読取装置等によって構成されるものである。この記憶部150には、本実施の形態に係る医療診断支援装置を動作させて、この医療診断支援装置が備える種々の機能を実現するための画像処理プログラム151、このプログラムの実行中に使用される画像処理方法テーブル152、撮像方法テーブル153、ユーザ要件テーブル154、画像表示方法テーブル155を含むデータ等が格納される。
【0060】
ここで、画像処理方法テーブル152は、画像処理方法記憶部を構成するもので、例えば、図7(a)に示すように、診断方法に関連付けられている画像処理方法の一覧や、図7(b)に示すように、染色方法に関連付けられている画像処理方法の一覧や、図7(c)に示すように、臓器に関連付けられている画像処理方法の一覧や、図7(d)に示すように、腫瘍のグレードに関連付けられている撮像方法の一覧を示すデータを格納する。本実施の形態では、この画像処理方法テーブル152に格納するデータとして、ユーザにより指定されるユーザ要件の「通常」モードに対応する画像処理方法のデータを格納する。なお、図7(b)において、HE染色はヘマトキシリン・エオシン染色を示し、HE・VB染色は、HE染色とビクトリアブルー染色との組み合わせを示し、HE・DAB染色は、HE染色とジアミノベンジジン染色との組み合わせを示し、CISH染色は、Chromogenic In Situ Hybridization染色を示す。
【0061】
撮像方法テーブル153は、撮像方法記憶部を構成するもので、例えば、図8に示すように、画像処理方法に関連付けられているバンド数、多段階露光数、あるいは、深度の異なる撮像画像枚数、撮像倍率等の撮像方法の一覧を示すデータを格納する。本実施の形態では、この撮像方法テーブル153に格納するデータとして、画像処理方法テーブル152の場合と同様に、ユーザにより指定されるユーザ要件の「通常」モードに対応する画像処理方法のデータを格納する。すなわち、バンド数は、多いほど詳細な分光特性を取得でき、高精度の画像処理が可能となる。しかし、バンド数が多いと、その分、時間と記憶部150のメモリ容量を費やすことになるので、選択された画像処理方法に応じて、「通常」モードに最適なバンド数とする。ここでは、形態観察であれば3バンド、染色分離処理を行う場合は6バンド、デジタルステインであれば16バンド、等としている。なお、標本撮像部110は、図2では最大6バンドの画像を得るように構成したが、所要のバンド数が得られるように、例えばチューナブルフィルタを用いて構成すればよい。
【0062】
また、多段階露光数は、多いほどS/Nが向上するが、その分、同様に時間とメモリ容量を費やすことになるので、選択された画像処理方法における染色数に応じて、「通常」モードに対応する露光数とする。ここでは、2染色標本であれば1段階露光、3染色標本であれば2段階露光、等としている。同様に、深度の異なる撮像画像枚数は、多いほど3次元情報を高精度に取得できるが、その分、時間とメモリ容量を費やすことになるので、同様に、選択された画像処理方法に応じて、「通常」モードに対応する撮像画像枚数とする。ここでは、シグナル強調処理を行う画像処理方法の場合は、3μm毎に深度の異なる画像を撮像する撮像方法としている。
【0063】
ユーザ要件テーブル154は、ユーザにより指定される「迅速」、「通常」、「高精度」の各モードに関連付けられた、例えば図9(a)に示すような画像処理方法の一覧や、図9(b)に示すような撮像方法の一覧を示すデータを格納する。図9(a)に示す画像処理方法の一覧には、染色分離およびシグナル強調の場合、「迅速」モードでは、リニア・アンミキシングの画像処理を実行し、「通常」および「高精度」の各モードでは、スペクトル推定および色素量推定の画像処理を実行するデータを格納している。また、図9(b)に示す撮像方法の一覧には、画像処理方法が染色分離の場合、「迅速」モードでは6バンド撮像とし、「通常」モードでは2段階露光で9バンド撮像とし、「高精度」モードでは2段階露光で16バンド撮像とするデータを格納している。
【0064】
なお、図9(a)および(b)に示したユーザ要件テーブル154には、「通常」モードのデータも格納しているが、本実施の形態の場合、「通常」モードによる画像処理方法および撮像方法のデータは、それぞれ図7に示した画像処理方法テーブル152および図8に示した撮像方法テーブル153の内容と同じなので、ユーザ要件テーブル154の「通常」モードのデータを省略するか、あるいは、ユーザ要件テーブル154を画像処理方法テーブル152あるいは撮像方法テーブル153としても兼用して、画像処理方法テーブル152あるいは撮像方法テーブル153を省略することもできる。
【0065】
画像表示方法テーブル155は、表示方式記憶部を構成するもので、例えば、図10に示すように、画像処理方法に関連付けられている画像表示方法の一覧を示すデータを格納する。
【0066】
なお、図7〜図10に例示した関連付けは、例えば、公知のデータベース管理ツールを用いて管理される。ただし、データ構成は、これに限定されるものではなく、各属性項目の属性値を指定することにより、その属性値に応じた特性データを取得可能な構成であればよい。また、撮像方法や画像処理方法は、例えば、通信部180によりネットワーク181を経由して定期的に診断支援サーバ190からダウンロードする。これにより、常に最新の画像処理方法や撮像方法に対応することができる。また、診断支援サーバ190を検索して、撮像方法テーブル153や画像処理方法テーブル152にない新たな撮像方法や画像処理方法がある場合は、これをダウンロードする。こうすることで、新たな染色方法あるいは診断方法の標本が出現した場合に即座に対応することができる。
【0067】
識別情報取得部160は、対象標本Sの識別情報を取得するもので、例えば、対象標本Sが支持されたスライドの端に記載されたバーコード(一次元または二次元)や文字を読み取るバーコードリーダや文字読み取り装置によって構成される。ここで、対象標本Sの識別情報には、対象標本Sの診断方法、対象標本Sを染色した染色方法あるいは対象標本Sの臓器名が含まれる。
【0068】
制御部170は、CPU等のハードウェアによって構成される。この制御部170は、入力部120から入力される入力信号や標本撮像部110から入力される画像データ、記憶部150に格納されているプログラムやデータ等に基づいて医療診断支援装置を構成する各部への指示やデータの転送等を行って全体の動作を統括的に制御する。また、制御部170は、標本撮像部110の動作を制御して対象標本画像を取得する画像取得制御部171と、識別情報取得部160の動作を制御して対象標本の識別情報を取得する識別情報取得制御部172とを有する。
【0069】
以下、本実施の形態に係る医療診断支援装置の概略動作について、図11に示すフローチャートを参照しながら説明する。なお、以下に説明する処理は、記憶部150に格納された画像処理プログラム151に従って制御部170により医療診断支援装置の各部の動作を制御することによって実行される。
【0070】
先ず、制御部170は、識別情報取得制御部172により識別情報取得部160の動作を制御して、対象標本Sの識別情報を取得させる(ステップS101)。
【0071】
ここで、識別情報取得部160は、例えば、図12に示すように、対象標本Sを支持するスライド(支持部材)161の端に、当該対象標本Sの識別情報が記録されたバーコード162が付されている場合は、このバーコード162をバーコードリーダにより読み取って、識別情報を取得する。なお、図12は、一次元のバーコード162が付されている場合を示している。また、文字による識別情報が付されている場合は、文字読み取り装置により文字を読み取って、識別情報を取得する。この識別情報取得部160で取得された対象標本Sの識別情報は、記憶部150に格納される。
【0072】
次に、制御部170は、演算部140の画像処理方法選択部141により、識別情報に含まれる診断方法、染色方法あるいは臓器に基づいて、記憶部150の画像処理方法テーブル152から画像処理方法を選択させる(ステップS103)。
【0073】
選択させる画像処理方法は、例えば、図7(a)〜(c)に示したように、染色分離、デジタルステイン、シグナル強調、色正規化等が考えられる。そして、画像処理方法選択部141は、識別情報が診断方法の場合は、図7(a)に示したように、形態観察であれば画像処理を実行しない「なし」を選択し、染色部位比較であれば染色分離処理を選択し、シグナル判定であればシグナル強調処理を選択する。また、識別情報が染色方法の場合は、図7(b)に示したように、HE・DAB染色であれば、通常あり得ない染色の組み合わせであるから染色分離処理を選択し、CISH染色であればシグナルを判定するのでシグナル強調処理を選択する。また、識別情報が臓器の場合は、図7(c)に示したテーブルから臓器に対応する画像処理を選択する。この画像処理方法選択部141で選択された画像処理方法は、記憶部150に格納される。なお、画像処理方法テーブル152から選択される画像処理方法による画像処理は、上述したように、ユーザにより指定されるユーザ要件の「通常」モードに対応する画像処理とする。
【0074】
次に、制御部170は、撮像方法選択部142により、画像処理方法選択部141で選択された画像処理方法に基づいて、記憶部150の撮像方法テーブル153から「通常」モードに対応する撮像方法を選択させる(ステップS105)。選択された撮像方法は、記憶部150に格納される。
【0075】
その後、制御部170は、入力部120を介してユーザによるユーザ要件の指定を受けると(ステップS107)、指定されたユーザ要件に基づいて、選択された画像処理方法および撮像方法を決定するか、あるいはユーザ要件反映部143により変更させる(ステップS109)。
【0076】
このため、制御部170は、ステップS107において、表示部130あるいは入力部120が有する入力用表示部に、図13に示すようなユーザ要件指定画面を表示させる。これにより、精度よりも処理時間を優先させる「迅速」モード、通常の精度および処理時間の「通常」モード、処理時間よりも精度を優先させる「高精度」モードのいずれかを、ダイアログ上で入力部120を介してユーザに指定させる。この際、制御部170は、処理時間計算部144により、選択された画像処理方法および撮像方法による「迅速」、「通常」、「高精度」の各モードに対応する予定処理時間を計算させて、それらの結果をユーザ要件指定画面に表示させる。このステップS107で指定されたユーザ要件(モード)は、記憶部150に格納される。
【0077】
そして、制御部170は、ステップS107で「通常」モードが指定された場合、ステップS103およびステップS105でそれぞれ選択された画像処理方法および撮像方法を実行する画像処理方法および撮像方法として決定し、「迅速」または「高精度」のモードが指定された場合は、指定されたモードに基づいて、ユーザ要件反映部143により、図9に示したユーザ要件テーブル154から対応する画像処理方法あるいは撮像方法に選択し直して、実行する画像処理方法あるいは撮像方法を決定する。すなわち、制御部170は、ユーザにより指定されたユーザ要件を反映して、適切な画像処理方法および撮像方法を選択する。この選択し直された画像処理方法あるいは撮像方法は、記憶部150に格納される。
【0078】
次に、制御部170は、決定された撮像方法に基づいて、画像取得制御部171により標本撮像部110の動作を制御し、これにより対象標本Sを撮像して対象標本画像を取得し、当該対象標本Sの解析を開始させる(ステップS111)。この取得された対象標本画像の画像データは、記憶部150に格納される。この解析の開始後、制御部170は、必要に応じて、処理時間計算部144により、処理予定時間から経過時間を差し引いて残りの処理時間を計算させ、その結果を表示部130あるいは入力部120が有する入力用表示部に表示させる。したがって、表示部130あるいは入力部120が有する入力用表示部は、処理時間表示部を構成する。
【0079】
その後、制御部170は、取得された対象標本画像に対して、画像処理部145により決定された画像処理方法による画像処理を施す(ステップS113)。この画像処理された画像データは、記憶部150に格納される。
【0080】
次に、制御部170は、決定された画像処理方法に基づいて、画像表示方法選択部146により、図10に示した画像表示方法テーブル155から画像表示方法を選択させる(ステップS115)。この選択された画像表示方法は、記憶部150に格納される。
【0081】
そして、制御部170は、選択された画像表示方法に基づいて、画像処理された画像を表示部130に表示させる(ステップS117)。
【0082】
また、制御部170は、画像処理画像に基づいて、医療診断支援情報取得部147により医療診断支援情報を取得させる(ステップS119)。この取得された医療診断支援情報は、記憶部150に格納される。また、必要に応じて、医療診断支援情報を、通信部180からローカルな医療システムに送信したり、ネットワーク181を経由して外部の診断支援サーバ190や外部の医療システムに送信したりする。したがって、本実施の形態において、通信部180は、医療診断支援情報送信部も構成する。
【0083】
以上のように、本実施の形態に係る医療診断支援装置によれば、対象標本Sは、その識別情報およびユーザの要望に最適な画像処理方法および撮像方法が自動的に選択されて処理されるので、ユーザに負担をかけることなく、最適な医療診断支援情報を得ることができる。したがって、種々の対象標本を順次解析する場合、不要な撮像を行うのを回避できるので、画像処理方法に拠らず全ての対象標本を高精度に撮像する方法と比較して、撮像時間を短縮でき、記憶部150のメモリ容量を低減できる。
【0084】
(第2実施の形態)
図14および図15は、本発明の第2実施の形態に係るバーチャル顕微鏡システムの要部の構成を示す図である。このバーチャル顕微鏡システムは、第1実施の形態で説明した医療診断支援装置の機能を有するもので、ホストシステム400と、該ホストシステム400に接続された顕微鏡装置200、例えばキーボードやマウス等を有する入力部510、表示部520およびバーコードリーダ等の識別情報取得部530とを有する。ここで、顕微鏡装置200は図1の標本撮像部110に相当し、入力部510は図1の入力部120に相当し、表示部520は図1の表示部130に相当し、識別情報取得部530は図1の識別情報取得部160に相当する。なお、図14は、主として顕微鏡装置200の概略構成を示し、図15は、主としてホストシステム400の概略構成を示す。
【0085】
図14に示すように、顕微鏡装置200は、対象標本Sが載置される電動ステージ210と、側面視略コの字状を有し、電動ステージ210を支持するとともにレボルバ260を介して対物レンズ270(図2の光学系114に相当)を保持する顕微鏡本体240と、顕微鏡本体240の底部後方に配設された光源280と、顕微鏡本体240の上部に載置された鏡筒290とを備える。また、鏡筒290には、対象標本Sの標本像を目視観察するための双眼部310と、対象標本Sの標本像を撮像するためのTVカメラ320とが取り付けられている。ここで、図14に示す対物レンズ270の光軸方向をZ方向とし、Z方向と垂直な平面をXY平面として定義する。
【0086】
電動ステージ210は、XYZ方向に移動自在に構成されている。すなわち、電動ステージ210は、モータ221およびこのモータ221の駆動を制御するXY駆動制御部223によってXY平面内で移動自在である。XY駆動制御部223は、顕微鏡コントローラ330の制御のもと、図示しないXY位置の原点センサによって電動ステージ210のXY平面における所定の原点位置を検知し、この原点位置を基点としてモータ221の駆動量を制御することによって、対象標本S上の観察箇所を移動させる。そして、XY駆動制御部223は、観察時の電動ステージ210のX位置およびY位置を適宜顕微鏡コントローラ330に出力する。
【0087】
また、電動ステージ210は、モータ231およびこのモータ231の駆動を制御するZ駆動制御部233によってZ方向に移動自在である。Z駆動制御部233は、顕微鏡コントローラ330の制御のもと、図示しないZ位置の原点センサによって電動ステージ210のZ方向における所定の原点位置を検知し、この原点位置を基点としてモータ231の駆動量を制御することによって、所定の高さ範囲内の任意のZ位置に対象標本Sを焦準移動させる。そして、Z駆動制御部233は、観察時の電動ステージ210のZ位置を適宜顕微鏡コントローラ330に出力する。
【0088】
レボルバ260は、顕微鏡本体240に対して回転自在に保持され、対物レンズ270を対象標本Sの上方に配置する。対物レンズ270は、レボルバ260に対して倍率(観察倍率)の異なる他の対物レンズとともに交換自在に装着されており、レボルバ260の回転に応じて観察光の光路上に挿入されて対象標本Sの観察に用いる対物レンズ270が択一的に切り換えられるようになっている。
【0089】
顕微鏡本体240は、底部において対象標本Sを透過照明するための照明光学系を内設している。この照明光学系は、光源280から射出された照明光を集光するコレクタレンズ251、照明系フィルタユニット252、視野絞り253、開口絞り254、照明光の光路を対物レンズ270の光軸に沿って偏向させる折曲げミラー255、コンデンサ光学素子ユニット256、トップレンズユニット257等が、照明光の光路に沿って適所に配置されて構成される。光源280から射出された照明光は、照明光学系によって対象標本Sに照射され、その透過光が観察光として対物レンズ270に入射する。したがって、光源280および照明光学系は、図2の照明部113に相当する。
【0090】
また、顕微鏡本体240は、その上部においてフィルタユニット300を内設している。フィルタユニット300は、標本像として結像する光の波長帯域を所定範囲に制限するための2枚以上の光学フィルタ303を回転自在に保持し、この光学フィルタ303を、適宜対物レンズ270後段において観察光の光路上に挿入する。このフィルタユニット300は、図2に示したフィルタ部115に相当する。なお、ここでは、光学フィルタ303を対物レンズ270の後段に配置する場合を例示したが、これに限定されずるものではなく、光源280からTVカメラ320に至る光路上のいずれかの位置に配置することとしてよい。対物レンズ270を経た観察光は、このフィルタユニット300を経由して鏡筒290に入射する。
【0091】
鏡筒290は、フィルタユニット300を経た観察光の光路を切り換えて双眼部310またはTVカメラ320へと導くビームスプリッタ291を内設している。対象標本Sの標本像は、ビームスプリッタ291によって双眼部310内に導入され、接眼レンズ311を介して検鏡者に目視観察される。あるいはTVカメラ320によって撮像される。TVカメラ320は、標本像(詳細には対物レンズ270の視野範囲の標本像)を結像するCCDやCMOS等の撮像素子を備えて構成され、標本像を撮像し、標本像の画像データをホストシステム400に出力する。すなわち、TVカメラ320は、図2に示したRGBカメラ111に相当する。
【0092】
さらに、顕微鏡装置200は、顕微鏡コントローラ330とTVカメラコントローラ340とを備える。顕微鏡コントローラ330は、ホストシステム400の制御のもと、顕微鏡装置200を構成する各部の動作を統括的に制御する。例えば、顕微鏡コントローラ330は、レボルバ260を回転させて観察光の光路上に配置する対物レンズ270を切り換える処理や、切り換えた対物レンズ270の倍率等に応じた光源280の調光制御や各種光学素子の切り換え、あるいはXY駆動制御部223やZ駆動制御部233に対する電動ステージ210の移動指示等、対象標本Sの観察に伴う顕微鏡装置200の各部の調整を行うとともに、各部の状態を適宜ホストシステム400に通知する。
【0093】
TVカメラコントローラ340は、ホストシステム400の制御のもと、自動ゲイン制御のON/OFF切換、ゲインの設定、自動露出制御のON/OFF切換、露光時間の設定等を行ってTVカメラ320を駆動し、TVカメラ320の撮像動作を制御する。
【0094】
一方、ホストシステム400は、図15に示すように、演算部410、記憶部420、通信部430、各部を制御する制御部440を備えている。なお、図15には、ホストシステム400の機能構成を示したが、実際のホストシステム400は、CPUやビデオボード、メインメモリ(RAM)等の主記憶装置、ハードディスクや各種記憶媒体等の外部記憶装置、通信装置、外部入力を接続するインターフェース装置等を備えた公知のハードウェア構成で実現でき、例えばワークステーションやパソコン等の汎用コンピュータを利用することができる。
【0095】
図15において、演算部410は、図1の演算部140の機能に加えて、画像処理した画像からバーチャルスライド(VS)画像を生成するための画像合成機能を有するVS画像生成部411を有している。
【0096】
VS画像生成部411は、顕微鏡装置200が対象標本Sを部分的にマルチバンド撮像することによって得られる複数の対象標本画像をそれぞれ処理して、VS画像を生成する。ここで、VS画像とは、顕微鏡装置200によってマルチバンド撮像した1枚以上の画像を繋ぎ合せて生成した画像であり、例えば高倍率の対物レンズ270を用いて対象標本Sを部分毎に撮像した複数の高解像画像を繋ぎ合せて生成した画像であって、対象標本Sの全域を映した広視野でかつ高精細のマルチバンド画像のことを言う。
【0097】
記憶部420は、更新記憶可能なフラッシュメモリ等のROMやRAMといった各種ICメモリ、内蔵あるいはデータ通信端子で接続されたハードディスク、CD−ROM等の情報記憶媒体およびその読取装置等によって実現されるもので、図1の記憶部150の機能を有する。さらに、この記憶部420には、ホストシステム400を動作させ、このホストシステム400が備える種々の機能を実現するためのプログラムや、このプログラムの実行中に使用されるデータ等が格納される。
【0098】
例えば、記憶部420には、VS画像生成プログラム421を含む画像処理プログラム422と、VS画像データ(マルチバンド画像データ)423が格納される。ここで、VS画像生成プログラム421は、対象標本SのVS画像を生成する処理を実現するためのプログラムである。また、VS画像データ423は、例えば、顕微鏡装置200によって部分毎に取得された対象標本画像の画像データを繋ぎ合わせて生成した対象標本Sの全域の画像データである。
【0099】
通信部430は、図1の通信部180の機能を有するもので、第1実施の形態と同様に、外部の診断支援サーバ190(図1参照)からネットワーク181を経由して、最新の画像処理方法や撮像方法をダウンロードしたり、必要に応じて、当該バーチャル顕微鏡システムで取得した医療診断支援情報やVS画像を、ローカルな医療システムに送信したり、ネットワーク181(図1参照)を経由して外部の診断支援サーバ190や外部の医療システムに送信したりする。
【0100】
制御部440は、図1の制御部170に相当するもので、CPU等のハードウェアによって実現されるものである。この制御部440は、識別情報取得部530の動作を制御して対象標本Sの識別情報を取得する識別情報取得制御部441と、顕微鏡装置200の各部の動作を制御して、対象標本Sを部分毎に撮像したマルチバンドの対象標本画像を取得するための画像取得制御部442とを有する。そして、制御部440は、識別情報取得部530から得られた識別情報、入力部510から入力される入力信号、顕微鏡コントローラ330から入力される顕微鏡装置200の各部の状態、TVカメラ320から入力される画像データ、記憶部420に記録されるプログラムやデータ等に基づいて、ホストシステム400を構成する各部への指示やデータの転送等、さらには顕微鏡コントローラ330やTVカメラコントローラ340に対する顕微鏡装置200の各部の動作を制御して、バーチャル顕微鏡システム全体の動作を統括的に制御する。
【0101】
これにより、本実施の形態に係るバーチャル顕微鏡システムによれば、第1実施の形態に係る医療診断支援装置と同様の効果を奏することができるとともに、より的確な診断を可能とするVS画像を提供することができる。
【0102】
(第3実施の形態)
図16は、本発明の第3実施の形態に係る医療診断支援装置の要部の機能構成を示すブロック図である。本実施の形態に係る医療診断支援装置は、図1に示した医療診断支援装置の演算部140に、識別情報算出部148を追加したものである。その他の構成は、図1と同様であるので、同一作用をなす構成要素には同一の参照符号を付して説明を省略する。
【0103】
識別情報算出部148は、所定の撮像方法に基づいて前記標本を撮像することにより取得した識別情報取得用標本画像から、前記標本の識別情報を算出する。
【0104】
以下、本実施の形態に係る医療診断支援装置の概略動作について、図17に示すフローチャートを参照しながら説明する。先ず、制御部170は、所定の撮像方法に基づいて、例えば画像取得制御部171により標本撮像部110の動作を制御し、これにより対象標本Sを撮像して、識別情報取得用標本画像を取得する(ステップS201)。取得された識別情報取得用標本画像は記憶部150に格納される。なお、識別情報取得用標本画像は、後に行われるステップS111における高倍での本撮影の撮影条件を決める画像なので、ステップS201における撮像は、本撮影の撮影倍率よりも低い倍率で行うことができる。
【0105】
次に、制御部170は、識別情報算出部148に、識別情報取得用標本画像に基づいて識別情報を算出させる。算出方法は、例えば、画像の色分布から染色方法を判定する方法がある。対象標本の色分布が、HE染色、HE・VB染色、HE・DAB染色等のいずれの色分布と最も適合するかを色空間で比較、判定する。
【0106】
このようにして算出された識別情報を用い、第1実施の形態と同様に、ステップS103〜S119が実行される。
【0107】
以上のように、本実施の形態に係る医療診断支援装置によれば、対象標本Sの識別情報が標本画像から取得されるため、識別情報が付与されていない標本においても、標本に最適な画像処理方法および撮像方法が自動的に選択され、最適な医療診断支援情報を得ることができる。なお、この場合において、識別情報は標本画像から取得されるため、識別情報取得部160は省略してもよい。
【0108】
(第4実施の形態)
図18は、本発明の第4実施の形態に係る医療診断支援装置の要部の機能構成を示すブロック図である。本実施の形態に係る医療診断支援装置は、図1に示した医療診断支援装置の演算部140に、識別情報選択部149を追加し、さらに、記憶部150に、識別情報記憶テーブル156を追加したものである。その他の構成は、図1と同様であるので、同一作用をなす構成要素には同一の参照符号を付して説明を省略する。
【0109】
識別情報選択部149は、識別情報記憶部に記憶されている識別情報から、標本から取得した個体識別番号に対応する識別情報を選択する。
【0110】
識別情報記憶テーブル156は、識別情報記憶部を構成するもので、例えば図19に示すように、各標本の固体番号、ならびに、染色方法および臓器等の標本情報の一覧を示すデータを格納する。なお、図19に例示した関連付けは、例えば、公知のデータベース管理ツールを用いて管理される。ただし、データ構成は、これに限定されるものではなく、各属性項目の属性値を指定することにより、その属性値に応じた特性データを取得可能な構成であればよい。
【0111】
以下、本実施の形態に係る医療診断支援装置の概略動作について、図20に示すフローチャートを参照しながら説明する。先ず、制御部170は、例えば標本撮像部110または識別情報取得部160により対象標本Sの固体番号を取得する(ステップS301)。
【0112】
次に、制御部170は、演算部140の識別情報選択部149により、識別情報記憶テーブル156から個体番号に対応する識別情報を選択させる(ステップS302)。
【0113】
このようにして選択された識別情報を用い、第1実施の形態と同様に、ステップS103〜S119が実行される。
【0114】
以上のように、本実施の形態に係る医療診断支援装置によれば、対象標本Sの識別情報が個体情報から取得されるため、標本に識別情報を記載しないでよい。したがって、識別情報を標本に記載せずに、標本に最適な画像処理方法および撮像方法が自動的に選択され、最適な医療診断支援情報を得ることができる。
【0115】
(第5実施の形態)
図21は、本発明の第5実施の形態に係る医療診断支援装置の要部の機能構成を示すブロック図である。本実施の形態に係る医療診断支援装置は、図1に示した医療診断支援装置の演算部140に、識別情報選択部149を追加し、さらに、診断支援サーバ190に、識別情報記憶テーブル156を追加したものである。その他の構成は、図1と同様であるので、同一作用をなす構成要素には同一の参照符号を付して説明を省略する。
【0116】
通信部180は、ネットワークを経由してサーバと通信し、識別情報選択部149は、前記標本から取得した個体番号に対応する識別情報を、通信部180を介してネットワークを経由してサーバから選択する。
【0117】
識別情報記憶テーブル156は、例えば図19に示すように、各標本の固体番号、ならびに、染色方法および臓器等の標本情報の一覧を示すデータを格納する。
【0118】
本実施の形態に係る医療診断支援装置の概略動作は、図20に示した第4実施の形態と同様に、ステップS301〜S302,S103〜S119が実行される。
【0119】
以上のように、本実施の形態に係る医療診断支援装置によれば、対象標本Sの識別情報が個体情報から取得されるため、標本に識別情報を記載しないでよい。したがって、識別情報を標本に記載せずに、標本に最適な画像処理方法および撮像方法が自動的に選択され、最適な医療診断支援情報を得ることができる。
【0120】
(第6実施の形態)
図22は、本発明の第6実施の形態に係る医療診断支援装置の要部の機能構成を示すブロック図である。本実施の形態に係る医療診断支援装置は、図1に示した医療診断支援装置の演算部140に、参照データ選択部14Aを追加し、さらに、記憶部150に、参照データテーブル157を追加したものである。その他の構成は、図1と同様であるので、同一作用をなす構成要素には同一の参照符号を付して説明を省略する。
【0121】
参照データ選択部14Aは、識別情報取得部160により取得された識別情報と画像処理方法選択部146により選択された画像処理方法に基づいて、参照データ記憶部に記憶されている複数の参照データから対応する参照データを選択する。
【0122】
参照データテーブル157は、参照データ記憶部を構成するもので、例えば図23(a)に示すように、臓器に関連付けられているスペクトル推定処理に用いる統計データの一覧や、図23(b)に示すように、染色方法に関連付けられている色素量推定処理に用いる色素のスペクトルの一覧や、図23(c)に示すように、臓器に関連付けられているデジタルステイン処理や特異領域判定処理に用いる学習データの一覧を示すデータを格納する。
【0123】
以下、本実施の形態に係る医療診断支援装置の概略動作について、図24に示すフローチャートを参照しながら説明する。先ず、制御部170は、識別情報取得制御部172により識別情報取得部160の動作を制御して、対象標本Sの識別情報を取得させる(ステップS101)。
【0124】
次に、制御部170は、演算部140の画像処理方法選択部141により、識別情報に含まれる診断方法、染色方法あるいは臓器に基づいて、記憶部150の画像処理方法テーブル152から画像処理方法を選択させる(ステップS103)。
【0125】
次に、制御部170は、参照データ選択部14Aにより、識別情報と画像処理方法選択部141により選択された画像処理方法に基づいて、記憶部150の参照データ記憶テーブル157から対応する参照データを選択させる(ステップS404)。
【0126】
次に、制御部170は、撮像方法選択部142により、画像処理方法選択部141で選択された画像処理方法に基づいて、記憶部150の撮像方法テーブル153から「通常」モードに対応する撮像方法を選択させる(ステップS105)。選択された撮像方法は、記憶部150に格納される。
【0127】
その後、制御部170は、入力部120を介してユーザによるユーザ要件の指定を受けると(ステップS107)、指定されたユーザ要件に基づいて、選択された画像処理方法および撮像方法を決定するか、あるいはユーザ要件反映部143により変更させる(ステップS109)。
【0128】
次に、制御部170は、決定された撮像方法に基づいて、画像取得制御部171により標本撮像部110の動作を制御し、これにより対象標本Sを撮像して対象標本画像を取得し、当該対象標本Sの解析を開始させる(ステップS111)。
【0129】
その後、制御部170は、取得された対象標本画像に対して、画像処理部145により決定された画像処理方法および参照データに基づいて画像処理を施す(ステップS413)。この画像処理された画像データは、記憶部150に格納される。
【0130】
その後、第1実施の形態と同様に、ステップS115〜S119が実行される。
【0131】
以上のように、本実施の形態に係る医療診断支援装置によれば、対象標本Sは、その識別情報に基づいて、最適な画像処理方法や撮像方法に加え、参照データも自動的に選択され、この参照データに基づいて、処理が行われる。したがって、最適な条件で画像処理を行うことができる。
【0132】
なお、本発明は、上記実施の形態にのみ限定されるものではなく、幾多の変形または変更が可能である。例えば、上記各実施の形態において、公知の標本染色手段を付加してもよい。この場合は、染色工程から画像撮像、画像処理、医療診断支援情報取得等の一連の処理を自動的に実行することが可能となる。
【0133】
また、上記各実施の形態において、記憶部に格納される識別情報、撮像方法および画像処理方法は、例えば図16に示すように、一綴りにまとめたジョブデータとしてもよい。この場合、記憶部は、ジョブデータ記憶部をも構成する。なお、図16に示すジョブデータは、ジョブ番号、ユーザ要件モード、撮像画像、処理画像、表示方法、医療診断支援情報も含んだものを例示している。ここで、ジョブ番号は、各ジョブを判定できるユニークな番号とすればよい。こうすることで、ジョブを明瞭に管理することができる。
【0134】
さらに、上記各実施の形態において、複数の標本をセットする標本保持部と、該標本保持部に保持された複数の標本を、識別情報取得部を経て標本撮像部に自動的に順次供給するオートロード機構と、画像取得が終了した標本を標本撮像部から自動的に取り出すオートアンロード機構とを設けて、複数の標本を自動的に順次解析するように構成してもよい。この場合、識別情報取得部、標本撮像部および演算部を、平行して動作させることもできる。
【0135】
また、上記各実施の形態において、ユーザ要件指定に関連する構成要件、処理時間計算および表示に関連する構成要件、通信部、画像表示方法や画像表示に関連する構成要件、診断支援情報取得に関連する構成要件は、適宜省略することも可能である。例えば、ユーザ要件指定に関連する構成要件を省略する場合は、第1実施の形態で説明した画像処理方法テーブル152および撮像方法テーブル153を用いて「通常」モードで処理すればよい。また、画像表示方法や画像表示に関連する構成要件、診断支援情報取得に関連する構成要件を省略する場合は、画像処理した画像データを記憶部に記憶し、その記憶した画像データを、通信部を介して、あるいは通信部を設けることなく直接的に、診断支援用画像データとして提供するように構成すればよい。さらに、対象標本Sを識別する識別情報は、一次元のバーコードに限らず、QRコード(登録商標)等のマトリックス式やスタック式の二次元バーコードに記録することもできる。このように二次元バーコードを用いれば、より多くの情報を記録できるので、対象標本Sの診断方法、染色方法、臓器名等の識別情報の増加に容易に対処することできる。
【符号の説明】
【0136】
110 標本撮像部
111 RGBカメラ
112 標本保持部
113 照明部
114 光学系
115 フィルタ部
116 カラーフィルタ
117 フィルタ切り替え部
118a,118b 光学フィルタ
120 入力部
130 表示部
140 演算部
141 画像処理方法選択部
142 撮像方法選択部
143 ユーザ要件反映部
144 処理時間計算部
145 画像処理部
146 画像表示方法選択部
147 医療診断支援情報取得部
148 識別情報算出部
149 識別情報選択部
14A 参照データ選択部
150 記憶部
151 画像処理プログラム
152 画像処理方法テーブル
153 撮像方法テーブル
154 ユーザ要件テーブル
155 画像表示方法テーブル
156 識別情報記憶テーブル
157 参照データテーブル
160 識別情報取得部
170 制御部
171 画像取得制御部
172 識別情報取得制御部
180 通信部
181 ネットワーク
190 診断支援サーバ
200 顕微鏡装置
210 電動ステージ
240 顕微鏡本体
270 対物レンズ
280 光源
290 鏡筒
300 フィルタユニット
303 光学フィルタ
310 双眼部
320 TVカメラ
330 顕微鏡コントローラ
340 TVカメラコントローラ
400 ホストシステム
410 演算部
411 VS画像生成部
420 記憶部
421 VS画像生成プログラム
422 画像処理プログラム
423 VS画像データ
430 通信部
440 制御部
441 識別情報取得制御部
442 画像取得制御部
510 入力部
520 表示部
530 識別情報取得部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
標本を解析する医療診断支援装置であって、
複数の画像処理方法を記憶する画像処理方法記憶部と、
複数の撮像方法を記憶する撮像方法記憶部と、
前記標本の識別情報を取得する識別情報取得部と、
前記識別情報取得部により取得された識別情報に基づいて、前記画像処理方法記憶部に記憶されている前記複数の画像処理方法から対応する画像処理方法を選択する画像処理方法選択部と、
前記識別情報取得部により取得された識別情報、または、前記画像処理方法選択部により選択された画像処理方法に基づいて、前記撮像方法記憶部に記憶されている前記複数の撮像方法から対応する撮像方法を選択する撮像方法選択部と、
前記撮像方法選択部により選択された撮像方法に従って、前記標本を撮像して標本画像を取得する標本撮像部と、
前記画像処理方法選択部により選択された画像処理方法に従って、前記標本撮像部により取得された標本画像を画像処理する画像処理部と、
を備えることを特徴とする医療診断支援装置。
【請求項2】
前記標本撮像部は、
光学フィルタ、液晶チューナブルフィルタまたは音響光学チューナブルフィルタを含むマルチバンドカメラを有する、
ことを特徴とする請求項1に記載の医療診断支援装置。
【請求項3】
前記撮像方法記憶部は、バンド数、多段階露光の段数、深度の異なる撮像画像枚数、撮像倍率のいずれかを変更した複数の撮像方法を記憶する、
ことを特徴とする請求項1または2に記載の医療診断支援装置。
【請求項4】
前記画像処理方法記憶部は、染色分離処理、デジタルステイン処理、シグナル強調処理、色正規化処理のいずれかの画像処理方法を含む複数の画像処理方法を記憶する、
ことを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の医療診断支援装置。
【請求項5】
前記複数の画像処理方法の各々は、スペクトル推定処理、色素量推定処理、アンミキシング処理のいずれかを含む、
ことを特徴とする請求項4に記載の医療診断支援装置。
【請求項6】
前記識別情報は、前記標本の支持部材に付されたバーコードからなり、
前記識別情報取得部は、バーコードリーダからなる、
ことを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載の医療診断支援装置。
【請求項7】
前記識別情報は、文字情報からなり、
前記識別情報取得部は、文字読み取り装置からなる、
ことを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載の医療診断支援装置。
【請求項8】
前記識別情報は、前記標本の診断方法、染色方法、臓器、診断情報の少なくとも1つを含む、
ことを特徴とする請求項1〜7のいずれか一項に記載の医療診断支援装置。
【請求項9】
前記標本の解析に関するユーザ要件を指定するユーザ要件指定部と、
前記ユーザ要件指定部により指定されたユーザ要件を、前記撮像方法選択部による撮像方法の選択または前記画像処理方法選択部による画像処理方法の選択に反映させるユーザ要件反映部と、
をさらに備えることを特徴とする請求項1〜8のいずれか一項に記載の医療診断支援装置。
【請求項10】
前記ユーザ要件は、処理時間に関する要件を含む、
ことを特徴とする請求項9に記載の医療診断支援装置。
【請求項11】
前記ユーザ要件は、解析の精度に関する要件を含む、
ことを特徴とする請求項9または10に記載の医療診断支援装置。
【請求項12】
前記撮像方法選択部により選択された撮像方法と、前記画像処理方法選択部により選択された画像処理方法とに基づいて、少なくとも前記標本撮像部による前記標本の撮像開始から前記画像処理部による画像処理終了までに要する予定の処理時間を算出する処理時間計算部、
をさらに備えることを特徴とする請求項1〜11のいずれか一項に記載の医療診断支援装置。
【請求項13】
前記処理時間計算部は、さらに、前記標本の解析中に前記予定の処理時間までの残りの処理時間を算出する、
ことを特徴とする請求項12に記載の医療診断支援装置。
【請求項14】
前記処理時間計算部により算出された前記処理時間を表示する処理時間表示部、
をさらに備えることを特徴とする請求項12または13に記載の医療診断支援装置。
【請求項15】
前記画像処理方法記憶部に記憶する画像処理方法または前記撮像方法記憶部に記憶する撮像方法を、ネットワークを経由してサーバから取得する通信部、
をさらに備えることを特徴とする請求項1〜14のいずれか一項に記載の医療診断支援装置。
【請求項16】
前記画像処理部により得られる情報に基づいて、当該標本に対する医療診断支援情報を取得する医療診断支援情報取得部、
をさらに備えることを特徴とする請求項1〜15のいずれか一項に記載の医療診断支援装置。
【請求項17】
前記医療診断支援情報取得部により取得した前記医療診断支援情報を、医療データを共有する医療システムに送信する医療診断支援情報送信部、
をさらに備えることを特徴とする請求項16に記載の医療診断支援装置。
【請求項18】
複数の表示方式を記憶する表示方式記憶部と、
前記画像処理方法選択部により選択された画像処理方法に基づいて、前記表示方式記憶部に記憶されている前記複数の表示方式から対応する表示方式を選択する表示方式選択部と、
前記表示方式選択部により選択された表示方式に基づいて、前記画像処理部により処理された画像を表示する画像表示部と、
をさらに備えることを特徴とする請求項1〜17のいずれか一項に記載の医療診断支援装置。
【請求項19】
前記表示方式記憶部は、デジタルステイン処理による画像表示を含む複数の表示方式を記憶する、
ことを特徴とする請求項18に記載の医療診断支援装置。
【請求項20】
前記表示方式記憶部は、シグナル強調処理による画像表示を含む複数の表示方式を記憶する、
ことを特徴とする請求項18または19に記載の医療診断支援装置。
【請求項21】
前記識別情報取得部により取得された識別情報と、前記標本撮像部が撮像した撮像方法と、前記画像処理部が画像処理した画像処理方法とを含む、前記標本に対するジョブデータを記憶するジョブデータ記憶部、
をさらに備えることを特徴とする請求項1〜20のいずれか一項に記載の医療診断支援装置。
【請求項22】
前記ジョブデータは、さらに、前記標本撮像部により取得された標本画像、前記画像処理部による画像処理に基づいて得られる情報を含む、
ことを特徴とする請求項21に記載の医療診断支援装置。
【請求項23】
顕微鏡を用いて標本を撮像し、その取得した標本画像に基づいて前記標本のバーチャルスライド画像を取得するバーチャル顕微鏡システムであって、
複数の画像処理方法を記憶する画像処理方法記憶部と、
複数の撮像方法を記憶する撮像方法記憶部と、
前記標本の識別情報を取得する識別情報取得部と、
前記識別情報取得部により取得された識別情報に基づいて、前記画像処理方法記憶部に記憶されている前記複数の画像処理方法から対応する画像処理方法を選択する画像処理方法選択部と、
前記画像処理方法選択部により選択された画像処理方法に基づいて、前記撮像方法記憶部に記憶されている前記複数の撮像方法から対応する撮像方法を選択する撮像方法選択部と、
前記撮像方法選択部により選択された撮像方法に従って、前記標本を撮像して標本画像を取得する標本撮像部と、
前記画像処理方法選択部により選択された画像処理方法に従って、前記標本撮像部により取得された標本画像を画像処理する画像処理部と、
前記画像処理部により画像処理された画像に基づいてバーチャルスライド画像を生成するバーチャルスライド画像生成部と、
を備えることを特徴とするバーチャル顕微鏡システム。
【請求項24】
標本を解析する医療診断支援装置であって、
複数の画像処理方法を記憶する画像処理方法記憶部と、
複数の撮像方法を記憶する撮像方法記憶部と、
所定の撮像方法に基づいて前記標本を撮像することにより得られた識別情報取得用標本画像から、前記標本の識別情報を算出する識別情報算出部と、
前記識別情報算出部により算出された識別情報に基づいて、前記画像処理方法記憶部に記憶されている前記複数の画像処理方法から対応する画像処理方法を選択する画像処理方法選択部と、
前記識別情報算出部により算出された識別情報、または、前記画像処理方法選択部により選択された画像処理方法に基づいて、前記撮像方法記憶部に記憶されている前記複数の撮像方法から対応する撮像方法を選択する撮像方法選択部と、
前記撮像方法選択部により選択された撮像方法に従って、前記標本を撮像して標本画像を取得する標本撮像部と、
前記画像処理方法選択部により選択された画像処理方法に従って、前記標本撮像部により取得された標本画像を画像処理する画像処理部と、
を備えることを特徴とする医療診断支援装置。
【請求項25】
前記識別情報取得用標本画像は、前記標本撮像部によって前記標本を低倍で撮像することにより取得する、
ことを特徴とする請求項24に記載の医療診断支援装置。
【請求項26】
標本を解析する医療診断支援装置であって、
複数の画像処理方法を記憶する画像処理方法記憶部と、
複数の撮像方法を記憶する撮像方法記憶部と、
複数の標本の個体番号および識別情報を記憶する識別情報記憶部と、
前記標本から個体番号を取得し、前記識別情報記憶部に記憶されている識別情報から、前記取得した個体番号に対応する識別情報を選択する識別情報選択部と、
前記識別情報選択部により選択された識別情報に基づいて、前記画像処理方法記憶部に記憶されている前記複数の画像処理方法から対応する画像処理方法を選択する画像処理方法選択部と、
前記識別情報選択部により選択された識別情報、または、前記画像処理方法選択部により選択された画像処理方法に基づいて、前記撮像方法記憶部に記憶されている前記複数の撮像方法から対応する撮像方法を選択する撮像方法選択部と、
前記撮像方法選択部により選択された撮像方法に従って、前記標本を撮像して標本画像を取得する標本撮像部と、
前記画像処理方法選択部により選択された画像処理方法に従って、前記標本撮像部により取得された標本画像を画像処理する画像処理部と、
を備えることを特徴とする医療診断支援装置。
【請求項27】
標本を解析する医療診断支援装置であって、
複数の画像処理方法を記憶する画像処理方法記憶部と、
複数の撮像方法を記憶する撮像方法記憶部と、
ネットワークを経由してサーバと通信する通信部と、
前記標本から取得した個体番号に対応する識別情報を、前記通信部を介してネットワークを経由してサーバから選択する識別情報選択部と、
前記識別情報選択部により選択された識別情報に基づいて、前記画像処理方法記憶部に記憶されている前記複数の画像処理方法から対応する画像処理方法を選択する画像処理方法選択部と、
前記識別情報選択部により選択された識別情報、または、前記画像処理方法選択部により選択された画像処理方法に基づいて、前記撮像方法記憶部に記憶されている前記複数の撮像方法から対応する撮像方法を選択する撮像方法選択部と、
前記撮像方法選択部により選択された撮像方法に従って、前記標本を撮像して標本画像を取得する標本撮像部と、
前記画像処理方法選択部により選択された画像処理方法に従って、前記標本撮像部により取得された標本画像を画像処理する画像処理部と、
を備えることを特徴とする医療診断支援装置。
【請求項28】
標本を解析する医療診断支援装置であって、
複数の画像処理方法を記憶する画像処理方法記憶部と、
複数の撮像方法を記憶する撮像方法記憶部と、
前記標本の識別情報を取得する識別情報取得部と、
前記識別情報取得部により取得された識別情報に基づいて、前記画像処理方法記憶部に記憶されている前記複数の画像処理方法から対応する画像処理方法を選択する画像処理方法選択部と、
複数の参照データを記憶する参照データ記憶部と、
前記識別情報取得部により取得された識別情報と前記画像処理方法選択部により選択された画像処理方法に基づいて、前記参照データ記憶部に記憶されている前記複数の参照データから対応する参照データを選択する参照データ選択部と、
前記識別情報取得部により取得された識別情報、または、前記画像処理方法選択部により選択された画像処理方法に基づいて、前記撮像方法記憶部に記憶されている前記複数の撮像方法から対応する撮像方法を選択する撮像方法選択部と、
前記撮像方法選択部により選択された撮像方法に従って、前記標本を撮像して標本画像を取得する標本撮像部と、
前記画像処理方法選択部により選択された画像処理方法および参照データ選択部により選択された参照データに従って、前記標本撮像部により取得された標本画像を画像処理する画像処理部と、
を備えることを特徴とする医療診断支援装置。
【請求項29】
前記参照データ記憶部は、スペクトル推定処理に用いる統計データ、色素量推定に用いる色素のスペクトル、デジタルステイン処理や特定領域判定処理に用いる学習データ、色正規化処理に用いる色素量基準値のいずれかの参照データを含む複数の参照データを記憶する、
ことを特徴とする請求項28に記載の医療診断支援装置。
【請求項30】
請求項1に記載の医療診断支援装置において用いられる標本支持部材であって、診断方法、染色方法、臓器、診断情報の少なくとも1つの識別情報が記録されたバーコードを備えることを特徴とする標本支持部材。
【請求項31】
請求項1に記載の医療診断支援装置において用いられる標本支持部材であって、診断方法、染色方法、臓器、診断情報の文字が記載されたことを特徴とする標本支持部材。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【公開番号】特開2011−27725(P2011−27725A)
【公開日】平成23年2月10日(2011.2.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−140147(P2010−140147)
【出願日】平成22年6月21日(2010.6.21)
【出願人】(000000376)オリンパス株式会社 (11,466)
【Fターム(参考)】