医療輸液ポンプ装置用操作スイッチ、医療輸液ポンプ装置用操作パネル及び医療輸液ポンプ装置
【課題】医療輸液ポンプ装置において、操作スイッチを片手で確実に操作できるとともに誤操作を防止することができる、医療輸液ポンプ装置用操作スイッチを提供する。
【解決手段】医療輸液ポンプ装置1に設けられる操作スイッチ21,31であって、親指と、親指以外の1又は2以上の指を位置させてこれら指の間において挟むようにして操作できる操作部13,14を設け、上記各指を位置させる複数の操作面13a,13b,14a,14bの少なくとも1の操作面に、上記操作スイッチを作動させるスイッチ部21a,21b,31a,31bを設けて構成される。
【解決手段】医療輸液ポンプ装置1に設けられる操作スイッチ21,31であって、親指と、親指以外の1又は2以上の指を位置させてこれら指の間において挟むようにして操作できる操作部13,14を設け、上記各指を位置させる複数の操作面13a,13b,14a,14bの少なくとも1の操作面に、上記操作スイッチを作動させるスイッチ部21a,21b,31a,31bを設けて構成される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願発明は、医療輸液ポンプ装置用操作スイッチに関する。詳しくは、誤操作や異物の接触等による不用意な作動を防止できる医療輸液ポンプ装置用操作スイッチに関する。
【背景技術】
【0002】
患者の体内に薬剤を投与するために、自然落下により薬剤が滴下するいわゆる点滴装置が用いられる。しかしながら、自然落下による点滴装置は精度が低いため、注入速度等に高い精度が要求される薬剤の投与や、微量な薬剤を投与するのは困難である。このため、ポンプによる機械的な力を利用した種々の医療輸液ポンプ装置が用いられる。
【0003】
上記医療輸液ポンプ装置は、患者の体内に薬剤を自動的に注入するものであり、看護士が注入速度や注入量の設定を誤るときわめて重大な事態を招く場合も多い。このため、種々の安全装置が設けられている。
【0004】
医療輸液ポンプ装置の操作スイッチは、医療輸液ポンプ装置の本体ケーシング側面あるいは上面に設定された操作パネル部上に設けられており、操作スイッチのスイッチ部を押圧操作することによりON−OFF等のスイッチ操作を行うように構成されている。誤操作を防止して安全性を高めるため、たとえば、重要な操作を行う場合については、2以上のスイッチ部を同時に押圧操作するように構成されることもある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平11−137680号公報
【特許文献2】特開2007−312860号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記医療輸液ポンプ装置は比較的小型のものが多く、患者ベッドの傍らに設置されたポールスタンド等に装着して使用される場合が多い。
【0007】
上記ポールスタンドは、床面に設置される脚部と、この脚部から上方に延出するポール部とを備え、上記脚部には、移動を容易に行えるようにキャスタが設けられている。
【0008】
上記医療輸液ポンプ装置は、上記ポールスタンドの中間部においてクランプ等を介して取り付けられて、たとえば、ポール部の上端に設けられた竿部に掛止された輸液バッグ等から供給される薬剤の流速等を精度高く管理するとともに、輸液チューブを介して患者に送り出すように構成されている。
【0009】
上記医療輸液ポンプ装置を操作するための操作スイッチは、操作パネル部に設けたスイッチ部を上記操作パネル部の操作面と直交する方向に押圧することにより操作するように設定されている。このため、操作パネル部が鉛直面に沿って設定された場合、押圧操作力が上記ポールスタンドに支持されることになる。
【0010】
ところが、上記ポールスタンドは、キャスタによって移動可能に構成されているため、上記操作スイッチの押圧操作力によって上記ポールスタンドが動いてしまう恐れがある。スイッチ操作中にポールスタンドが動くと、操作している手指がスイッチから離れてスイッチ操作が中断されたり、手指が操作中のスイッチから滑って、他のスイッチを押圧してしまうといった誤操作が発生しやすい。
【0011】
また、上記ポールスタンドのキャスタには、ストッパが設けられており、ストッパを作動させることにより、スイッチ操作力をある程度バックアップすることができる。しかしながら、ポールスタンドは床面に脚部を介して立設されているため、ポールに加わる力が大きくなると、モーメント力によってポールスタンドが揺れたり、転倒する恐れがあった。このため、一方の手指で操作スイッチを押圧操作すると同時に、他方の手指で上記ポールスタンドを保持して、スイッチ操作力をバックアップする必要があった。
【0012】
操作パネル部が水平面に沿って設定される場合、操作スイッチを真上から操作することにより、床面によって操作力をバックアップしてスイッチ操作を行うことができる。しかしながら、使用現場においてはスイッチ部を斜め方向から押圧することも多い。特にポールスタンドに設置してスイッチ操作力を鉛直下方に作用させる場合であっても、ポールスタンドに揺れが生じやすく、スイッチ部を押圧する手指が滑って誤操作を行う危険性があった。このため、操作パネル部を鉛直面に沿って設定した場合と同様に、ポールスタンドを保持する必要があった。
【0013】
しかも、医療輸液ポンプ装置を用いる場合、看護士は、片手にシリンジや輸液バッグを保持している場合が多く、片手で安全に操作できる操作スイッチを設けることが望まれていた。
【0014】
本願発明は、上記問題を解決するために案出されたものであり、医療輸液ポンプ装置において、操作スイッチを片手で確実に操作できるとともに誤操作を防止することができる、医療輸液ポンプ装置用操作スイッチを提供することを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本願の請求項1に記載した発明は、医療輸液ポンプ装置に設けられる操作スイッチであって、親指と、親指以外の1又は2以上の指を位置させてこれら指の間において挟むようにして操作できる操作部を設け、上記各指を位置させる複数の操作面の少なくとも1の操作面に、上記操作スイッチを作動させるスイッチ部を設けて構成される。
【0016】
本願発明は、スイッチ操作を片方の手指の複数の指を用いて行うことにより誤操作を防止し、また、ポールスタンド等に力が作用しないように構成したものである。
【0017】
本願発明では、親指と、親指以外の1又は2以上の指を位置させてこれら指の間において挟むようにして操作できる操作部を設ける。上記操作部には、操作を行う指を位置させる操作面が設定されており、これら操作面の少なくとも1の操作面に、操作スイッチを作動させるスイッチ部が設けられている。
【0018】
上記操作部を親指と他の指の間で挟むようにして操作することにより、医療輸液ポンプ装置本体や、医療輸液ポンプ装置を装着したポールスタンドに力を作用させることなくスイッチ操作を行うことが可能となる。このため、操作面において手指が滑ったり、操作力によってポールスタンドが移動する恐れはない。
【0019】
しかも、本願発明においては、複数の指を所定の操作面に位置させた状態で、少なくとも1の操作面に設けられたスイッチ部を操作するように構成されている。このため、スイッチ操作する意思をもって操作する場合にのみ操作スイッチを作動させることができる。したがって、誤操作が生じる可能性を低減させることができる。
【0020】
上記スイッチ部を構成するスイッチの種類や構造は特に限定されることはない。親指と親指以外の1又は2以上の指によって挟むようにして操作できるものであれば、種々のスイッチを採用することができる。
【0021】
本願発明では、一の指によって上記スイッチ部に作用する押圧操作力を、他の指で支持(バックアップ)しながら操作を行うことができる。このため、スイッチ操作に要する力の強弱や押圧時間を自由に設定できる。したがって、種々の仕様のスイッチ部を設けることが可能となり、設計の自由度も高まる。
【0022】
また、繰り返し押圧操作する操作スイッチや、一定時間継続して押圧操作する操作スイッチの場合においても、操作力が他の指によって相殺されるため、スイッチ操作をより確実に行うことが可能となる。
【0023】
請求項2に記載した発明は、二以上の上記操作面に、上記スイッチ部をそれぞれ設けるとともに、これらスイッチ部を同時に押圧操作することにより、上記操作スイッチを作動させるように構成したものである。
【0024】
複数のスイッチ部を同時に操作することにより、誤操作をより確実に防止することができる。また、異物が一方のスイッチ部に衝突等した場合にも、操作スイッチが作動することはなく、安全性を高めることができる。
【0025】
また、2以上のスイッチ部は、手指で挟むように操作されるため、手指が滑ったり、輸液ポンプ装置を装着したポールスタンドに力が作用してポールスタンドが動くこともない。
【0026】
上記2以上のスイッチ部を操作する手指は特に限定されることはない。親指を位置させる操作面と、他の指を位置させる操作面にこれらスイッチ部を設けて挟むように操作するように構成することもできるし、親指以外の指を位置させる複数の操作面にスイッチ部を設けて、親指以外の指によって複数のスイッチ部を押圧操作する一方、親指によってスイッチ操作力をバックアップさせるように構成することもできる。
【0027】
請求項3に記載した発明は、上記操作部の少なくとも1の操作面に、一の指によって押圧操作できるスイッチ部を設けるとともに、上記操作部の少なくとも1の操作面に、他の指が位置していることを検出できる指検出手段を設け、上記指検出手段によって他の指を検出した状態で、上記一の指で上記スイッチ部を押圧操作することにより、上記操作スイッチを作動させるように構成したものである。
【0028】
上記指検出手段として、種々のセンサを採用することができる。たとえば、指が光を遮断することにより指の存在を検出する光電センサ、指の圧力を検出する圧力センサ、操作面の静電容量が変化することを利用して指の存在を検出する静電センサ等を採用することができる。
【0029】
また、リミットスイッチ等を利用して、輸液装置と別回路を構成する指検出手段を設けることともできる。さらに、指による押圧操作によって解除できる機械的なロック機構を指検出手段として採用し、一の指によってロック解除を行いながらスイッチ部を押圧操作できるように構成することもできる。
【0030】
上記指検出手段を採用することにより、複数のスイッチ部を設けるのと同様の効果を発揮させることができる。また、指検出手段を、輸液ポンプ装置の作動回路等と切り離して設けることができるため、安全性もより高まる。
【0031】
上記操作部の形態も特に限定されることはない。2つの指の間で挟むように操作できる凸部によって上記操作部を構成できる。また、所定間隔で複数の凹部を設け、これら凹部に指を挿入して凹部内面を挟圧するように構成できる。また、操作パネル部の周縁近傍に凹部を設けた場合、上記凹部と側面とを利用して操作部を構成できる。
【0032】
上記操作部を設ける部位は特に限定されることはない。たとえば、請求項4に記載した発明のように、上記操作部を、上記医療輸液ポンプ装置の操作パネル部及び/又はこの操作パネル部を囲むように位置するケーシングの側面に、凸部及び/又は凹部を設けることにより形成することができる。
【0033】
請求項5に記載した発明は、請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の操作スイッチを備える医療輸液ポンプ装置用操作パネルに係るものである。上記操作パネルの形態や設置部位は限定されることはない。
【0034】
また、上記操作パネルのパネル面の方向も特に限定されることはない。たとえば、鉛直面に沿って設けられるパネル面や、水平面や傾斜面に沿って設けられるパネル面を備える医療輸液ポンプに本願発明の操作部を設けることができる。
【0035】
請求項6に記載した発明は、請求項1から請求項4のいずれか1項に記載された操作スイッチを備える医療輸液ポンプ装置に係るものである。医療輸液ポンプ装置の構造も特に限定されることはない。たとえば、チューブを蠕動手段等によって扱いて送液を行う医療輸液ポンプ装置のみならず、薬液を充填したシリンジを装着して、押し子を押動させる医療輸液ポンプ装置の操作スイッチに本願発明を適用できる。
【0036】
さらに、請求項7に記載した発明のように、ポールスタンドに装着される医療輸液ポンプに本願発明を適用することにより、大きな効果が期待できる。なお、机上や壁面に設置される医療輸液ポンプに本願発明を適用することもできる。
【0037】
請求項8に記載した発明は、医療輸液ポンプ装置用操作スイッチの操作方法であって、親指と、親指以外の1又は2以上の指にそれぞれ対応する操作面が設けられた操作部を、これら指の間で挟むようにして操作するとともに、少なくとも1の上記操作面に設けたスイッチ部を押圧操作することにより操作スイッチを作動させる、医療輸液ポンプ用操作スイッチの操作方法に係るものである。
【0038】
請求項9に記載した発明は、複数の操作面に上記スイッチ部を設け、これらスイッチを同時に押圧操作することにより、上記操作スイッチを作動させる医療輸液ポンプ装置用操作スイッチの操作方法に係るものである。
【0039】
請求項10に記載した発明は、少なくとも1の操作面に対応する指によって押圧操作されるスイッチ部を設ける一方、他の操作面に他の指が位置することを検出する指検出手段を設け、上記他の指を上記指検出手段によって検出した状態で、一の指で上記スイッチ部を操作することにより上記操作スイッチを作動させる医療輸液ポンプ装置用操作スイッチの操作方法に係るものである。
【発明の効果】
【0040】
医療輸液ポンプ装置のスイッチ操作を行う場合の安全性を高め、また、誤操作を防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】本願発明に係る操作スイッチが適用される医療輸液ポンプ装置をポールスタンドに装着した使用状態を示す図である。
【図2】本願発明の第1の実施形態に係る操作スイッチを備える医療輸液ポンプ装置の全体斜視図である。
【図3】図2に示す医療輸液ポンプ装置の正面図である。
【図4】操作スイッチを操作する状態を示す図であり、図3におけるIV−IV線に沿う拡大断面図である。
【図5】本願発明に係る第2の実施形態を示す図であり、図4に対応する断面図である。
【図6】本願発明に係る第3の実施形態の操作スイッチを備える医療輸液ポンプ装置の正面図である。
【図7】図6におけるVII−VII線に沿う断面図である。
【図8】本願発明に係る第4の実施形態を示す図であり、図7に対応する断面図である。
【図9】本願発明の第5の実施形態に係る操作スイッチを備える医療輸液ポンプ装置の全体斜視図である。
【図10】図9に示す医療輸液ポンプ装置の正面図である。
【図11】図9に示す医療輸液ポンプ装置の平面図である。
【図12】本願発明に係る第6の実施形態の医療輸液ポンプ装置の正面図である。
【図13】図12に示す医療輸液ポンプ装置のスイッチ装置方法を示す平面図である。
【図14】本願発明に係る第7の実施形態に係る医療輸液ポンプ装置用操作スイッチの斜視図である。
【図15】図14に示す医療輸液ポンプ装置用操作スイッチの平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0042】
以下、本願発明の実施形態を、図に基づいて具体的に説明する。
【0043】
図1に示すように、本実施形態に係る医療輸液ポンプ装置1は、ポールスタンド7に装着して使用される。上記ポールスタンド7は、床面に載置される脚部8と、上記脚部8から上方に向けて立設されたポール部9と、このポール部9の上端部において水平方向に延出する竿部4とを備えて構成される。上記竿部4には、薬剤を収容した輸液バッグ2が掛止されており、上記輸液バッグ2から輸液チューブ3aが下方に向けて延出されている。
【0044】
上記医療輸液ポンプ装置1は、クランプ6を介して上記ポール部9の中間部に取り付けられている。上記輸液チューブ3aが上記医療輸液ポンプ装置1の上部から装置内に導入されており、内部に設けられた図示しないポンプ機構によって流量等が精度高く管理されて、医療輸液ポンプ装置1の下方から延出する輸液チューブ3bを介して薬剤が送出される。
【0045】
図2に示すように、本実施形態に係る医療輸液ポンプ装置1は、全体が直方体状に形成されており、本体11と、この本体11の前面に設けられた操作パネル部12とを備えて構成されている。上記操作パネル部12は、蝶番12a,12aによって、本体11に対して開閉回動可能に装着されている。上記本体11と上記操作パネル部12とから構成される内部空間には、図示しないポンプ機構が収容されており、上記輸液チューブ3aから供給される薬剤の流速等を精度高く管理できるように構成されている。
【0046】
本実施形態に係る操作パネル部12は、中央部に設けられた液晶表示部50,60と、この液晶表示部50,60を囲むようにして、両側部及び上部に配置されたコ字状の操作部13,14,15を備えて構成される。
【0047】
上記操作部13,14,15は断面矩形状をした凸条を設けて構成されており、図3に示すように、この凸条の両側面に操作面13a,13b,14a,14b,15a,15bが設定される。
【0048】
本実施形態では、各操作部の内側の各操作面13a,14a,15aに、内面側スイッチ部17a,21a,31aを設ける一方、外側の操作面13b,14b,15bに外面側スイッチ部17b,21b,31bを配列して構成されている。
【0049】
上記各スイッチ部は、上記操作部13,14,15を挟んで反対側に対応する一対のスイッチ部を挟むようにして押圧操作することによりスイッチ操作を行うことができるように構成されている。すなわち、図4に示すように、各操作スイッチ17,21,31は、上記各スイッチ表示部17c,21c,31cの両側に位置する一対のスイッチ部を、親親指と他の指の間で挟むようにして操作するように構成されている。
【0050】
また、上記各操作スイッチ17,21,31の機能等を表示したスイッチ表示部17c,21c,31cの両側のスイッチ部を同時に押圧操作することにより、各操作スイッチが作動するように構成されているため、スイッチ操作の意思をもって操作する場合にのみ各操作スイッチを作動させることができる。したがって、誤操作が生じる可能性を低減させることができる。また、異物が一方のスイッチ部に衝突等した場合にも、スイッチが作動することはなく、安全性を高めることができる。
【0051】
また、上記一対のスイッチ部は、手指で挟むように操作されるため、スイッチ操作力が医療輸液ポンプ装置1やポールスタンド7に作用することはない。このため、医療輸液ポンプ装置1やポールスタンド7を他の手指で支持する必要はなく、使用者の片手のみで確実にスイッチ操作を行うことができる。したがって、ポールスタンドがスイッチ操作によって動くことはない。
【0052】
上記各スイッチ部を構成するスイッチの種類や構造は特に限定されることはない。親指と親指以外の1又は2以上の指によって挟むようにして操作できるものであれば、種々の構造のスイッチ部を採用することができる。
【0053】
また、本願発明では、一の指によって各スイッチ部に作用する押圧操作力を、他の指で支持(バックアップ)しながら操作を行うことができる。このため、スイッチ操作に要する力の強弱や押圧時間を変更しても問題が生じることはない。したがって、種々の仕様のスイッチ部を設けることが可能となり、設計の自由度も高まる。
【0054】
また、繰り返し押圧操作する操作スイッチや、一定時間継続して押圧操作する場合においても、操作力が対向する指によって相殺されるため、スイッチ操作をより確実に行うことが可能となる。
【0055】
図5に、操作スイッチの第2の実施形態を示す。第1の実施形態では、操作部の両側面に同時に操作するスイッチ部を設けたが、第2の実施形態では、操作部213,214の内側操作面213a,214aに、押圧操作できるスイッチ部221a,231aを設ける一方、操作部213,214の外側操作面213b,214bに、添着された指を検出できる指検出手段221b,231bを設けている。
【0056】
本実施形態では、上記指検出手段221b,231bとして指が接触したことを検出できる圧力センサを採用している。なお、上記指検出手段は特に限定されることはなく、指が光を遮断することにより指の存在を検出する光電センサや、静電容量の変化を検出して指の存在を検出できる静電センサ等を採用できる。
【0057】
また、リミットスイッチ等を利用して、輸液装置と別回路を構成する指検出手段を設けることもできる。さらに、操作面に、スイッチ部を作動させるための機械的なロック機構を設けておき、他の指によって上記ロック解除を行うことにより指を検出するように構成した指検出手段を設けることもできる。
【0058】
上記指検出手段を採用することにより、同時に操作することが要求される複数のスイッチ部を設けるのと同様の効果を発揮させることができる。また、医療輸液ポンプの作動回路等と切り離して指検出手段を設けることができるため安全性がより高まる。
【0059】
図6に本願発明の第3の実施形態を示す。この実施形態は、操作パネル部312に所定間隔を開けて凹部351,352を設けることにより、親指と、親指以外の1又は2以上の指を位置させてこれら指の間において上記凹部351,352の内面を挟むようにして操作できる操作部314,315を設けたものである。上記操作部314,315の両側に設けられた操作面314a,314b,315a,315bには、スイッチ部321a,321b,331a,331bが設けられているとともに、上記操作部314,315の外面に、スイッチ表示部321c,331cが設けられている。
【0060】
図7に示すように、上記凹部351,352に親指341と、他の指342をそれぞれ挿入するとともに、上記操作面314a,314bに設けたスイッチ部321a,321bを挟むように押圧することにより、操作スイッチ321を作動させる。この実施形態においても、上述した第1の実施形態と同様の効果を発揮させることができる。
【0061】
また、図8に示す第4の実施形態のように、一方の操作面414bに上記第2の実施形態同様の指検出センサ421bを設けることにより、操作スイッチ421を構成することもできる。
【0062】
図9から図11に、本願発明の第5の実施形態を示す。
【0063】
この実施形態は、操作パネル部512の両側部に、斜め前方に延出する凸条からなる操作部513,514を設け、この操作部513,514の両側面に操作面513a,513b,514a,514bを設定したものである。各操作面には、第1の実施形態と同様に、スイッチ部521a,521b,531a,531bが設けられており、上記操作部513,514を挟んで対応する位置に設けられた一対の操作部を挟むようにして押圧操作することにより、上記各操作スイッチが作動させられる。なお、操作スイッチ等の構成は、第1の実施形態と同様であるので説明は省略する。
【0064】
本実施形態では、上記操作部513,514は、操作パネル部512の前面両側部から斜め外側へ拡がるように延出させて構成されている。一方、上記操作部513,514の裏面側には、凹部513c,514cが設けられている。上記凹部513c,514cを設けることにより、上記操作部513,514の背面側の操作面513b,514bのスイッチ部521b,531bの操作を容易に行うことが可能となる。
【0065】
また、上記操作部513,514を、操作パネル部512の側部から斜め前方へ拡がるように延出させることにより、液晶表示部550,560のスペース及び操作面のスペースを確保できる。
【0066】
図12及び図13に、本願発明の第6の実施形態を示す。この実施形態は、操作パネル部612の前面両側縁に沿ってスイッチ部621,631を配列する一方、上記操作パネル部の側面に、上記スイッチ部621,631を操作する指と異なる指を掛止できる耳部613,614を設けて構成される。
【0067】
図13に示すように、上記スイッチ部621,631を親指641で押圧操作する場合、親指以外の指642を上記耳部613の背面に掛止してスイッチ操作を行うことができる。なお、上記耳部613,614に掛止される指は、1本の指に限定されることはなく、複数の指を掛止して操作することができる。
【0068】
上記構成を採用することにより、上記スイッチ部621,631を操作する際の操作力を、上記耳部613,614に掛止した指で保持することができる。このため、上述した実施形態と同様に、医療輸液ポンプ装置601や、ポールスタンドにスイッチ部を操作する操作力が加わることはない。
【0069】
また、上記耳部613,614の背面側に掛止した指を検出できる指検出手段621a,631aを設けている。上記指検出手段621a,631aによって掛止された指を検出した状態で、上記スイッチ部621,631を押圧操作することにより、操作スイッチを作動させるように構成することができる。
【0070】
また、本実施形態では、上記操作パネル部前面の操作スイッチの配置を大きく変更することなく、スイッチ操作力をバックアップすることが可能となる。
【0071】
図14及び図15に本願発明に係る第7の実施形態を示す。この実施形態は3本の指で摘むようにして操作できる操作面713a,713b,713cを備える操作部713を設け、一つの操作面713aにスイッチ部721aを設けて、操作スイッチ721を構成したものである。
【0072】
上記操作部713は、操作パネル部712から延出する棒状に形成されており、手指を位置させる部位を窪ませることにより上記3つの操作面713a、713b,713cを設けている。
【0073】
上記操作部713の3つの操作面713a、713b,713cを、図示しない親指と、人差指と、中指とによって摘むように保持して、上記スイッチ部721aを押圧操作する。これにより、上述した実施形態と同様に、誤操作を確実に防止することができる。
【産業上の利用可能性】
【0074】
医療輸液ポンプ装置において、操作スイッチの誤操作を防止できる。
【符号の説明】
【0075】
1 医療輸液ポンプ装置
13 操作部
13a 操作面
13b 操作面
14 操作部
14a 操作面
14b 操作面
21 操作スイッチ
21a スイッチ部
21b スイッチ部
31 操作スイッチ
31a スイッチ部
31b スイッチ部
【技術分野】
【0001】
本願発明は、医療輸液ポンプ装置用操作スイッチに関する。詳しくは、誤操作や異物の接触等による不用意な作動を防止できる医療輸液ポンプ装置用操作スイッチに関する。
【背景技術】
【0002】
患者の体内に薬剤を投与するために、自然落下により薬剤が滴下するいわゆる点滴装置が用いられる。しかしながら、自然落下による点滴装置は精度が低いため、注入速度等に高い精度が要求される薬剤の投与や、微量な薬剤を投与するのは困難である。このため、ポンプによる機械的な力を利用した種々の医療輸液ポンプ装置が用いられる。
【0003】
上記医療輸液ポンプ装置は、患者の体内に薬剤を自動的に注入するものであり、看護士が注入速度や注入量の設定を誤るときわめて重大な事態を招く場合も多い。このため、種々の安全装置が設けられている。
【0004】
医療輸液ポンプ装置の操作スイッチは、医療輸液ポンプ装置の本体ケーシング側面あるいは上面に設定された操作パネル部上に設けられており、操作スイッチのスイッチ部を押圧操作することによりON−OFF等のスイッチ操作を行うように構成されている。誤操作を防止して安全性を高めるため、たとえば、重要な操作を行う場合については、2以上のスイッチ部を同時に押圧操作するように構成されることもある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平11−137680号公報
【特許文献2】特開2007−312860号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記医療輸液ポンプ装置は比較的小型のものが多く、患者ベッドの傍らに設置されたポールスタンド等に装着して使用される場合が多い。
【0007】
上記ポールスタンドは、床面に設置される脚部と、この脚部から上方に延出するポール部とを備え、上記脚部には、移動を容易に行えるようにキャスタが設けられている。
【0008】
上記医療輸液ポンプ装置は、上記ポールスタンドの中間部においてクランプ等を介して取り付けられて、たとえば、ポール部の上端に設けられた竿部に掛止された輸液バッグ等から供給される薬剤の流速等を精度高く管理するとともに、輸液チューブを介して患者に送り出すように構成されている。
【0009】
上記医療輸液ポンプ装置を操作するための操作スイッチは、操作パネル部に設けたスイッチ部を上記操作パネル部の操作面と直交する方向に押圧することにより操作するように設定されている。このため、操作パネル部が鉛直面に沿って設定された場合、押圧操作力が上記ポールスタンドに支持されることになる。
【0010】
ところが、上記ポールスタンドは、キャスタによって移動可能に構成されているため、上記操作スイッチの押圧操作力によって上記ポールスタンドが動いてしまう恐れがある。スイッチ操作中にポールスタンドが動くと、操作している手指がスイッチから離れてスイッチ操作が中断されたり、手指が操作中のスイッチから滑って、他のスイッチを押圧してしまうといった誤操作が発生しやすい。
【0011】
また、上記ポールスタンドのキャスタには、ストッパが設けられており、ストッパを作動させることにより、スイッチ操作力をある程度バックアップすることができる。しかしながら、ポールスタンドは床面に脚部を介して立設されているため、ポールに加わる力が大きくなると、モーメント力によってポールスタンドが揺れたり、転倒する恐れがあった。このため、一方の手指で操作スイッチを押圧操作すると同時に、他方の手指で上記ポールスタンドを保持して、スイッチ操作力をバックアップする必要があった。
【0012】
操作パネル部が水平面に沿って設定される場合、操作スイッチを真上から操作することにより、床面によって操作力をバックアップしてスイッチ操作を行うことができる。しかしながら、使用現場においてはスイッチ部を斜め方向から押圧することも多い。特にポールスタンドに設置してスイッチ操作力を鉛直下方に作用させる場合であっても、ポールスタンドに揺れが生じやすく、スイッチ部を押圧する手指が滑って誤操作を行う危険性があった。このため、操作パネル部を鉛直面に沿って設定した場合と同様に、ポールスタンドを保持する必要があった。
【0013】
しかも、医療輸液ポンプ装置を用いる場合、看護士は、片手にシリンジや輸液バッグを保持している場合が多く、片手で安全に操作できる操作スイッチを設けることが望まれていた。
【0014】
本願発明は、上記問題を解決するために案出されたものであり、医療輸液ポンプ装置において、操作スイッチを片手で確実に操作できるとともに誤操作を防止することができる、医療輸液ポンプ装置用操作スイッチを提供することを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本願の請求項1に記載した発明は、医療輸液ポンプ装置に設けられる操作スイッチであって、親指と、親指以外の1又は2以上の指を位置させてこれら指の間において挟むようにして操作できる操作部を設け、上記各指を位置させる複数の操作面の少なくとも1の操作面に、上記操作スイッチを作動させるスイッチ部を設けて構成される。
【0016】
本願発明は、スイッチ操作を片方の手指の複数の指を用いて行うことにより誤操作を防止し、また、ポールスタンド等に力が作用しないように構成したものである。
【0017】
本願発明では、親指と、親指以外の1又は2以上の指を位置させてこれら指の間において挟むようにして操作できる操作部を設ける。上記操作部には、操作を行う指を位置させる操作面が設定されており、これら操作面の少なくとも1の操作面に、操作スイッチを作動させるスイッチ部が設けられている。
【0018】
上記操作部を親指と他の指の間で挟むようにして操作することにより、医療輸液ポンプ装置本体や、医療輸液ポンプ装置を装着したポールスタンドに力を作用させることなくスイッチ操作を行うことが可能となる。このため、操作面において手指が滑ったり、操作力によってポールスタンドが移動する恐れはない。
【0019】
しかも、本願発明においては、複数の指を所定の操作面に位置させた状態で、少なくとも1の操作面に設けられたスイッチ部を操作するように構成されている。このため、スイッチ操作する意思をもって操作する場合にのみ操作スイッチを作動させることができる。したがって、誤操作が生じる可能性を低減させることができる。
【0020】
上記スイッチ部を構成するスイッチの種類や構造は特に限定されることはない。親指と親指以外の1又は2以上の指によって挟むようにして操作できるものであれば、種々のスイッチを採用することができる。
【0021】
本願発明では、一の指によって上記スイッチ部に作用する押圧操作力を、他の指で支持(バックアップ)しながら操作を行うことができる。このため、スイッチ操作に要する力の強弱や押圧時間を自由に設定できる。したがって、種々の仕様のスイッチ部を設けることが可能となり、設計の自由度も高まる。
【0022】
また、繰り返し押圧操作する操作スイッチや、一定時間継続して押圧操作する操作スイッチの場合においても、操作力が他の指によって相殺されるため、スイッチ操作をより確実に行うことが可能となる。
【0023】
請求項2に記載した発明は、二以上の上記操作面に、上記スイッチ部をそれぞれ設けるとともに、これらスイッチ部を同時に押圧操作することにより、上記操作スイッチを作動させるように構成したものである。
【0024】
複数のスイッチ部を同時に操作することにより、誤操作をより確実に防止することができる。また、異物が一方のスイッチ部に衝突等した場合にも、操作スイッチが作動することはなく、安全性を高めることができる。
【0025】
また、2以上のスイッチ部は、手指で挟むように操作されるため、手指が滑ったり、輸液ポンプ装置を装着したポールスタンドに力が作用してポールスタンドが動くこともない。
【0026】
上記2以上のスイッチ部を操作する手指は特に限定されることはない。親指を位置させる操作面と、他の指を位置させる操作面にこれらスイッチ部を設けて挟むように操作するように構成することもできるし、親指以外の指を位置させる複数の操作面にスイッチ部を設けて、親指以外の指によって複数のスイッチ部を押圧操作する一方、親指によってスイッチ操作力をバックアップさせるように構成することもできる。
【0027】
請求項3に記載した発明は、上記操作部の少なくとも1の操作面に、一の指によって押圧操作できるスイッチ部を設けるとともに、上記操作部の少なくとも1の操作面に、他の指が位置していることを検出できる指検出手段を設け、上記指検出手段によって他の指を検出した状態で、上記一の指で上記スイッチ部を押圧操作することにより、上記操作スイッチを作動させるように構成したものである。
【0028】
上記指検出手段として、種々のセンサを採用することができる。たとえば、指が光を遮断することにより指の存在を検出する光電センサ、指の圧力を検出する圧力センサ、操作面の静電容量が変化することを利用して指の存在を検出する静電センサ等を採用することができる。
【0029】
また、リミットスイッチ等を利用して、輸液装置と別回路を構成する指検出手段を設けることともできる。さらに、指による押圧操作によって解除できる機械的なロック機構を指検出手段として採用し、一の指によってロック解除を行いながらスイッチ部を押圧操作できるように構成することもできる。
【0030】
上記指検出手段を採用することにより、複数のスイッチ部を設けるのと同様の効果を発揮させることができる。また、指検出手段を、輸液ポンプ装置の作動回路等と切り離して設けることができるため、安全性もより高まる。
【0031】
上記操作部の形態も特に限定されることはない。2つの指の間で挟むように操作できる凸部によって上記操作部を構成できる。また、所定間隔で複数の凹部を設け、これら凹部に指を挿入して凹部内面を挟圧するように構成できる。また、操作パネル部の周縁近傍に凹部を設けた場合、上記凹部と側面とを利用して操作部を構成できる。
【0032】
上記操作部を設ける部位は特に限定されることはない。たとえば、請求項4に記載した発明のように、上記操作部を、上記医療輸液ポンプ装置の操作パネル部及び/又はこの操作パネル部を囲むように位置するケーシングの側面に、凸部及び/又は凹部を設けることにより形成することができる。
【0033】
請求項5に記載した発明は、請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の操作スイッチを備える医療輸液ポンプ装置用操作パネルに係るものである。上記操作パネルの形態や設置部位は限定されることはない。
【0034】
また、上記操作パネルのパネル面の方向も特に限定されることはない。たとえば、鉛直面に沿って設けられるパネル面や、水平面や傾斜面に沿って設けられるパネル面を備える医療輸液ポンプに本願発明の操作部を設けることができる。
【0035】
請求項6に記載した発明は、請求項1から請求項4のいずれか1項に記載された操作スイッチを備える医療輸液ポンプ装置に係るものである。医療輸液ポンプ装置の構造も特に限定されることはない。たとえば、チューブを蠕動手段等によって扱いて送液を行う医療輸液ポンプ装置のみならず、薬液を充填したシリンジを装着して、押し子を押動させる医療輸液ポンプ装置の操作スイッチに本願発明を適用できる。
【0036】
さらに、請求項7に記載した発明のように、ポールスタンドに装着される医療輸液ポンプに本願発明を適用することにより、大きな効果が期待できる。なお、机上や壁面に設置される医療輸液ポンプに本願発明を適用することもできる。
【0037】
請求項8に記載した発明は、医療輸液ポンプ装置用操作スイッチの操作方法であって、親指と、親指以外の1又は2以上の指にそれぞれ対応する操作面が設けられた操作部を、これら指の間で挟むようにして操作するとともに、少なくとも1の上記操作面に設けたスイッチ部を押圧操作することにより操作スイッチを作動させる、医療輸液ポンプ用操作スイッチの操作方法に係るものである。
【0038】
請求項9に記載した発明は、複数の操作面に上記スイッチ部を設け、これらスイッチを同時に押圧操作することにより、上記操作スイッチを作動させる医療輸液ポンプ装置用操作スイッチの操作方法に係るものである。
【0039】
請求項10に記載した発明は、少なくとも1の操作面に対応する指によって押圧操作されるスイッチ部を設ける一方、他の操作面に他の指が位置することを検出する指検出手段を設け、上記他の指を上記指検出手段によって検出した状態で、一の指で上記スイッチ部を操作することにより上記操作スイッチを作動させる医療輸液ポンプ装置用操作スイッチの操作方法に係るものである。
【発明の効果】
【0040】
医療輸液ポンプ装置のスイッチ操作を行う場合の安全性を高め、また、誤操作を防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】本願発明に係る操作スイッチが適用される医療輸液ポンプ装置をポールスタンドに装着した使用状態を示す図である。
【図2】本願発明の第1の実施形態に係る操作スイッチを備える医療輸液ポンプ装置の全体斜視図である。
【図3】図2に示す医療輸液ポンプ装置の正面図である。
【図4】操作スイッチを操作する状態を示す図であり、図3におけるIV−IV線に沿う拡大断面図である。
【図5】本願発明に係る第2の実施形態を示す図であり、図4に対応する断面図である。
【図6】本願発明に係る第3の実施形態の操作スイッチを備える医療輸液ポンプ装置の正面図である。
【図7】図6におけるVII−VII線に沿う断面図である。
【図8】本願発明に係る第4の実施形態を示す図であり、図7に対応する断面図である。
【図9】本願発明の第5の実施形態に係る操作スイッチを備える医療輸液ポンプ装置の全体斜視図である。
【図10】図9に示す医療輸液ポンプ装置の正面図である。
【図11】図9に示す医療輸液ポンプ装置の平面図である。
【図12】本願発明に係る第6の実施形態の医療輸液ポンプ装置の正面図である。
【図13】図12に示す医療輸液ポンプ装置のスイッチ装置方法を示す平面図である。
【図14】本願発明に係る第7の実施形態に係る医療輸液ポンプ装置用操作スイッチの斜視図である。
【図15】図14に示す医療輸液ポンプ装置用操作スイッチの平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0042】
以下、本願発明の実施形態を、図に基づいて具体的に説明する。
【0043】
図1に示すように、本実施形態に係る医療輸液ポンプ装置1は、ポールスタンド7に装着して使用される。上記ポールスタンド7は、床面に載置される脚部8と、上記脚部8から上方に向けて立設されたポール部9と、このポール部9の上端部において水平方向に延出する竿部4とを備えて構成される。上記竿部4には、薬剤を収容した輸液バッグ2が掛止されており、上記輸液バッグ2から輸液チューブ3aが下方に向けて延出されている。
【0044】
上記医療輸液ポンプ装置1は、クランプ6を介して上記ポール部9の中間部に取り付けられている。上記輸液チューブ3aが上記医療輸液ポンプ装置1の上部から装置内に導入されており、内部に設けられた図示しないポンプ機構によって流量等が精度高く管理されて、医療輸液ポンプ装置1の下方から延出する輸液チューブ3bを介して薬剤が送出される。
【0045】
図2に示すように、本実施形態に係る医療輸液ポンプ装置1は、全体が直方体状に形成されており、本体11と、この本体11の前面に設けられた操作パネル部12とを備えて構成されている。上記操作パネル部12は、蝶番12a,12aによって、本体11に対して開閉回動可能に装着されている。上記本体11と上記操作パネル部12とから構成される内部空間には、図示しないポンプ機構が収容されており、上記輸液チューブ3aから供給される薬剤の流速等を精度高く管理できるように構成されている。
【0046】
本実施形態に係る操作パネル部12は、中央部に設けられた液晶表示部50,60と、この液晶表示部50,60を囲むようにして、両側部及び上部に配置されたコ字状の操作部13,14,15を備えて構成される。
【0047】
上記操作部13,14,15は断面矩形状をした凸条を設けて構成されており、図3に示すように、この凸条の両側面に操作面13a,13b,14a,14b,15a,15bが設定される。
【0048】
本実施形態では、各操作部の内側の各操作面13a,14a,15aに、内面側スイッチ部17a,21a,31aを設ける一方、外側の操作面13b,14b,15bに外面側スイッチ部17b,21b,31bを配列して構成されている。
【0049】
上記各スイッチ部は、上記操作部13,14,15を挟んで反対側に対応する一対のスイッチ部を挟むようにして押圧操作することによりスイッチ操作を行うことができるように構成されている。すなわち、図4に示すように、各操作スイッチ17,21,31は、上記各スイッチ表示部17c,21c,31cの両側に位置する一対のスイッチ部を、親親指と他の指の間で挟むようにして操作するように構成されている。
【0050】
また、上記各操作スイッチ17,21,31の機能等を表示したスイッチ表示部17c,21c,31cの両側のスイッチ部を同時に押圧操作することにより、各操作スイッチが作動するように構成されているため、スイッチ操作の意思をもって操作する場合にのみ各操作スイッチを作動させることができる。したがって、誤操作が生じる可能性を低減させることができる。また、異物が一方のスイッチ部に衝突等した場合にも、スイッチが作動することはなく、安全性を高めることができる。
【0051】
また、上記一対のスイッチ部は、手指で挟むように操作されるため、スイッチ操作力が医療輸液ポンプ装置1やポールスタンド7に作用することはない。このため、医療輸液ポンプ装置1やポールスタンド7を他の手指で支持する必要はなく、使用者の片手のみで確実にスイッチ操作を行うことができる。したがって、ポールスタンドがスイッチ操作によって動くことはない。
【0052】
上記各スイッチ部を構成するスイッチの種類や構造は特に限定されることはない。親指と親指以外の1又は2以上の指によって挟むようにして操作できるものであれば、種々の構造のスイッチ部を採用することができる。
【0053】
また、本願発明では、一の指によって各スイッチ部に作用する押圧操作力を、他の指で支持(バックアップ)しながら操作を行うことができる。このため、スイッチ操作に要する力の強弱や押圧時間を変更しても問題が生じることはない。したがって、種々の仕様のスイッチ部を設けることが可能となり、設計の自由度も高まる。
【0054】
また、繰り返し押圧操作する操作スイッチや、一定時間継続して押圧操作する場合においても、操作力が対向する指によって相殺されるため、スイッチ操作をより確実に行うことが可能となる。
【0055】
図5に、操作スイッチの第2の実施形態を示す。第1の実施形態では、操作部の両側面に同時に操作するスイッチ部を設けたが、第2の実施形態では、操作部213,214の内側操作面213a,214aに、押圧操作できるスイッチ部221a,231aを設ける一方、操作部213,214の外側操作面213b,214bに、添着された指を検出できる指検出手段221b,231bを設けている。
【0056】
本実施形態では、上記指検出手段221b,231bとして指が接触したことを検出できる圧力センサを採用している。なお、上記指検出手段は特に限定されることはなく、指が光を遮断することにより指の存在を検出する光電センサや、静電容量の変化を検出して指の存在を検出できる静電センサ等を採用できる。
【0057】
また、リミットスイッチ等を利用して、輸液装置と別回路を構成する指検出手段を設けることもできる。さらに、操作面に、スイッチ部を作動させるための機械的なロック機構を設けておき、他の指によって上記ロック解除を行うことにより指を検出するように構成した指検出手段を設けることもできる。
【0058】
上記指検出手段を採用することにより、同時に操作することが要求される複数のスイッチ部を設けるのと同様の効果を発揮させることができる。また、医療輸液ポンプの作動回路等と切り離して指検出手段を設けることができるため安全性がより高まる。
【0059】
図6に本願発明の第3の実施形態を示す。この実施形態は、操作パネル部312に所定間隔を開けて凹部351,352を設けることにより、親指と、親指以外の1又は2以上の指を位置させてこれら指の間において上記凹部351,352の内面を挟むようにして操作できる操作部314,315を設けたものである。上記操作部314,315の両側に設けられた操作面314a,314b,315a,315bには、スイッチ部321a,321b,331a,331bが設けられているとともに、上記操作部314,315の外面に、スイッチ表示部321c,331cが設けられている。
【0060】
図7に示すように、上記凹部351,352に親指341と、他の指342をそれぞれ挿入するとともに、上記操作面314a,314bに設けたスイッチ部321a,321bを挟むように押圧することにより、操作スイッチ321を作動させる。この実施形態においても、上述した第1の実施形態と同様の効果を発揮させることができる。
【0061】
また、図8に示す第4の実施形態のように、一方の操作面414bに上記第2の実施形態同様の指検出センサ421bを設けることにより、操作スイッチ421を構成することもできる。
【0062】
図9から図11に、本願発明の第5の実施形態を示す。
【0063】
この実施形態は、操作パネル部512の両側部に、斜め前方に延出する凸条からなる操作部513,514を設け、この操作部513,514の両側面に操作面513a,513b,514a,514bを設定したものである。各操作面には、第1の実施形態と同様に、スイッチ部521a,521b,531a,531bが設けられており、上記操作部513,514を挟んで対応する位置に設けられた一対の操作部を挟むようにして押圧操作することにより、上記各操作スイッチが作動させられる。なお、操作スイッチ等の構成は、第1の実施形態と同様であるので説明は省略する。
【0064】
本実施形態では、上記操作部513,514は、操作パネル部512の前面両側部から斜め外側へ拡がるように延出させて構成されている。一方、上記操作部513,514の裏面側には、凹部513c,514cが設けられている。上記凹部513c,514cを設けることにより、上記操作部513,514の背面側の操作面513b,514bのスイッチ部521b,531bの操作を容易に行うことが可能となる。
【0065】
また、上記操作部513,514を、操作パネル部512の側部から斜め前方へ拡がるように延出させることにより、液晶表示部550,560のスペース及び操作面のスペースを確保できる。
【0066】
図12及び図13に、本願発明の第6の実施形態を示す。この実施形態は、操作パネル部612の前面両側縁に沿ってスイッチ部621,631を配列する一方、上記操作パネル部の側面に、上記スイッチ部621,631を操作する指と異なる指を掛止できる耳部613,614を設けて構成される。
【0067】
図13に示すように、上記スイッチ部621,631を親指641で押圧操作する場合、親指以外の指642を上記耳部613の背面に掛止してスイッチ操作を行うことができる。なお、上記耳部613,614に掛止される指は、1本の指に限定されることはなく、複数の指を掛止して操作することができる。
【0068】
上記構成を採用することにより、上記スイッチ部621,631を操作する際の操作力を、上記耳部613,614に掛止した指で保持することができる。このため、上述した実施形態と同様に、医療輸液ポンプ装置601や、ポールスタンドにスイッチ部を操作する操作力が加わることはない。
【0069】
また、上記耳部613,614の背面側に掛止した指を検出できる指検出手段621a,631aを設けている。上記指検出手段621a,631aによって掛止された指を検出した状態で、上記スイッチ部621,631を押圧操作することにより、操作スイッチを作動させるように構成することができる。
【0070】
また、本実施形態では、上記操作パネル部前面の操作スイッチの配置を大きく変更することなく、スイッチ操作力をバックアップすることが可能となる。
【0071】
図14及び図15に本願発明に係る第7の実施形態を示す。この実施形態は3本の指で摘むようにして操作できる操作面713a,713b,713cを備える操作部713を設け、一つの操作面713aにスイッチ部721aを設けて、操作スイッチ721を構成したものである。
【0072】
上記操作部713は、操作パネル部712から延出する棒状に形成されており、手指を位置させる部位を窪ませることにより上記3つの操作面713a、713b,713cを設けている。
【0073】
上記操作部713の3つの操作面713a、713b,713cを、図示しない親指と、人差指と、中指とによって摘むように保持して、上記スイッチ部721aを押圧操作する。これにより、上述した実施形態と同様に、誤操作を確実に防止することができる。
【産業上の利用可能性】
【0074】
医療輸液ポンプ装置において、操作スイッチの誤操作を防止できる。
【符号の説明】
【0075】
1 医療輸液ポンプ装置
13 操作部
13a 操作面
13b 操作面
14 操作部
14a 操作面
14b 操作面
21 操作スイッチ
21a スイッチ部
21b スイッチ部
31 操作スイッチ
31a スイッチ部
31b スイッチ部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
医療輸液ポンプ装置に設けられる操作スイッチであって、
親指と、親指以外の1又は2以上の指を位置させてこれら指の間において挟むようにして操作できる操作部を設け、
上記各指を位置させる複数の操作面の少なくとも1の操作面に、上記操作スイッチを作動させるスイッチ部を設けた、医療輸液ポンプ装置用操作スイッチ。
【請求項2】
二以上の上記操作面に、上記スイッチ部をそれぞれ設けるとともに、これらスイッチ部を同時に押圧操作することにより、上記操作スイッチを作動させるように構成した、医療輸液ポンプ装置用操作スイッチ。
【請求項3】
上記操作部の少なくとも1の操作面に、一の指によって押圧操作できるスイッチ部を設けるとともに、
上記操作部の少なくとも1の操作面に、他の指が位置していることを検出できる指検出手段を設け、
上記指検出手段によって他の指を検出した状態で、上記一の指で上記スイッチ部を押圧操作することにより、上記操作スイッチを作動させるように構成した、請求項1に記載の医療輸液ポンプ装置用操作スイッチ。
【請求項4】
上記操作部は、上記医療輸液ポンプ装置の操作パネル部及び/又はこの操作パネル部を囲むように位置するケーシングの側面に、凸部及び/又は凹部を設けることにより形成されている、請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の医療輸液ポンプ装置用操作スイッチ。
【請求項5】
請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の操作スイッチを備える医療輸液ポンプ装置用操作パネル。
【請求項6】
請求項1から請求項4のいずれか1項に記載された医療輸液ポンプ装置用操作スイッチを備える医療輸液ポンプ装置。
【請求項7】
ポールスタンドに装着されるように構成された、請求項6に記載の医療輸液ポンプ装置。
【請求項8】
医療輸液ポンプ装置用操作スイッチの操作方法であって、
親指と、親指以外の1又は2以上の指にそれぞれ対応する操作面が設けられた操作部をこれら指の間で挟むようにして操作するとともに、
少なくとも1の上記操作面に設けたスイッチ部を押圧操作することにより、操作スイッチを作動させる、医療輸液ポンプ装置用操作スイッチの操作方法。
【請求項9】
複数の操作面に上記スイッチ部を設け、これらスイッチ部を同時に押圧操作することにより、上記操作スイッチを作動させる、請求項8に記載の医療輸液ポンプ装置用操作スイッチの操作方法。
【請求項10】
少なくとも1の操作面に対応する指によって押圧操作されるスイッチ部を設ける一方、他の操作面に他の指が位置することを検出する指検出手段を設け、
上記他の指を上記指検出手段によって検出した状態で、一の指で上記スイッチ部を操作することにより上記操作スイッチを作動させる、請求項8に記載の医療輸液ポンプ装置用操作スイッチの操作方法。
【請求項1】
医療輸液ポンプ装置に設けられる操作スイッチであって、
親指と、親指以外の1又は2以上の指を位置させてこれら指の間において挟むようにして操作できる操作部を設け、
上記各指を位置させる複数の操作面の少なくとも1の操作面に、上記操作スイッチを作動させるスイッチ部を設けた、医療輸液ポンプ装置用操作スイッチ。
【請求項2】
二以上の上記操作面に、上記スイッチ部をそれぞれ設けるとともに、これらスイッチ部を同時に押圧操作することにより、上記操作スイッチを作動させるように構成した、医療輸液ポンプ装置用操作スイッチ。
【請求項3】
上記操作部の少なくとも1の操作面に、一の指によって押圧操作できるスイッチ部を設けるとともに、
上記操作部の少なくとも1の操作面に、他の指が位置していることを検出できる指検出手段を設け、
上記指検出手段によって他の指を検出した状態で、上記一の指で上記スイッチ部を押圧操作することにより、上記操作スイッチを作動させるように構成した、請求項1に記載の医療輸液ポンプ装置用操作スイッチ。
【請求項4】
上記操作部は、上記医療輸液ポンプ装置の操作パネル部及び/又はこの操作パネル部を囲むように位置するケーシングの側面に、凸部及び/又は凹部を設けることにより形成されている、請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の医療輸液ポンプ装置用操作スイッチ。
【請求項5】
請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の操作スイッチを備える医療輸液ポンプ装置用操作パネル。
【請求項6】
請求項1から請求項4のいずれか1項に記載された医療輸液ポンプ装置用操作スイッチを備える医療輸液ポンプ装置。
【請求項7】
ポールスタンドに装着されるように構成された、請求項6に記載の医療輸液ポンプ装置。
【請求項8】
医療輸液ポンプ装置用操作スイッチの操作方法であって、
親指と、親指以外の1又は2以上の指にそれぞれ対応する操作面が設けられた操作部をこれら指の間で挟むようにして操作するとともに、
少なくとも1の上記操作面に設けたスイッチ部を押圧操作することにより、操作スイッチを作動させる、医療輸液ポンプ装置用操作スイッチの操作方法。
【請求項9】
複数の操作面に上記スイッチ部を設け、これらスイッチ部を同時に押圧操作することにより、上記操作スイッチを作動させる、請求項8に記載の医療輸液ポンプ装置用操作スイッチの操作方法。
【請求項10】
少なくとも1の操作面に対応する指によって押圧操作されるスイッチ部を設ける一方、他の操作面に他の指が位置することを検出する指検出手段を設け、
上記他の指を上記指検出手段によって検出した状態で、一の指で上記スイッチ部を操作することにより上記操作スイッチを作動させる、請求項8に記載の医療輸液ポンプ装置用操作スイッチの操作方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【公開番号】特開2011−245235(P2011−245235A)
【公開日】平成23年12月8日(2011.12.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−124377(P2010−124377)
【出願日】平成22年5月31日(2010.5.31)
【出願人】(591156618)株式会社テクトロン (13)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年12月8日(2011.12.8)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年5月31日(2010.5.31)
【出願人】(591156618)株式会社テクトロン (13)
【Fターム(参考)】
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