説明

医薬品用タックラベル

【課題】 医薬品包装体に貼付されるベースラベルに、医薬品情報表示を印刷可能で且つ剥離可能な個別ラベルが貼付されたタックラベルに於いて、ベースラベルに所定の表示を印刷し、この印刷表示が脱落しないようにした医薬品用タックラベルを提供することを課題とする。
【解決手段】 医薬品包装体に貼付されるベースラベル3と、裏面に粘着剤5が設けられ且つ表面印刷可能な個別ラベル6と、を備え、ベースラベル3の表面に粘着剤5を介して個別ラベル6が剥離可能に貼付されているタックラベルに於いて、個別ラベル6が貼付されていない領域であって、ベースラベル3の表面の一部分には、印刷可能なインキ定着面7が一体的に形成されている医薬品用タックラベル。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、医薬品包装体に貼付されるベースラベルの表面に、粘着剤を介して、所定表示を印刷できる個別ラベルが剥離可能に貼付されている医薬品用タックラベルに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、医薬品が包装された医薬品包装体に貼付する医薬品用のタックラベルとして、2層構造のタックラベルが知られている。
具体的には、該医薬品用タックラベル10は、図5に示すように、離型紙11上に粘着剤層12を介して仮貼付されたベースラベル13と、このベースラベル13に粘着剤層14を介して剥離可能に貼付された複数の個別ラベル15と、ベースラベル13に粘着剤層14を介して剥離可能に貼付された表示ラベル16と、から構成されている。ベースラベル13の表面全体には、予めシリコーンなどの剥離剤を塗工する易剥離処理を施すことによって易剥離面17が形成されており、更に、この易剥離面17の表面のうち、個別ラベル15の端部が貼付される範囲に、易剥離面17に比べて粘着剤層14がより接着し難くなる高剥離面18が形成されている。この個別ラベル15及び表示ラベル16は、何れも表面印刷可能な基材からなり、使用時に於いては、各個別ラベル15の表面に、包装された医薬品に関する情報の表示(例えば、当該医薬品の名称、同型番など。以下、医薬品情報表示という)が印刷され、一方、表示ラベル16の表面に、包装体の流通上に於ける管理のため、医薬品包装体に関する情報の表示(例えば、包装体の製造年月日、同製造ロットなど。以下、包装体情報表示という)が印刷される。
【0003】
上記タックラベル10は、次の製法で作製されている。離型紙11の上に粘着剤層12を介して貼付され、且つ表面に易剥離処理が施された合成樹脂フィルム(ベースラベル13に相当する)の表面に、個別ラベル15の端部に相当する位置に非接着処理を施し、表面印刷可能な基材(個別ラベル15及び表示ラベル16に相当する)を積層する。この表面印刷可能基材の上から該基材及び粘着剤層14を型抜きし、不要な部分を取り除く。次に、合成樹脂フィルム又は合成樹脂フィルムと機材の両方を型抜きし、不要な部分を取り除くことにより、図5に示すような、ベースラベル13の表面に複数の個別ラベル15と表示ラベル16とが剥離可能に貼付されたタックラベル10が作製されている。
【0004】
上記タックラベル10の使用方法は、以下の通りである。
例えば、医薬品製造元に於いて、タックラベル10の各個別ラベル15に医薬品情報表示を印刷し、且つ表示ラベル16に包装体情報表示を印刷する。
この印刷済みタックラベル10を、複数の医薬品が纏めて包装された医薬品包装体に、ベースラベル13の粘着剤層12を介して貼付する。かかるタックラベル付き包装体は、表示ラベル16に印刷された包装体情報表示を読取りながら流通過程を経て、使用者に提供される。
使用者は、このタックラベル付き包装体を開封して個々の医薬品を使用するが、その際、個別ラベル15をベースラベル13から引き剥がし、使用した医薬品容器に粘着剤層14を介して個別ラベル15を貼付し、更に、該医薬品を投与した患者のカルテに個別ラベル15を貼付する。
尚、上記使用法に供されるタックラベル10は、商慣習上、参考シールとも呼ばれている。
【0005】
このように医薬品情報表示が印刷された個別ラベル15は、使用した医薬品を備忘録的に明示するためのものであって、使用者が、医薬品の使用時に利用している。また、表示ラベル16に印刷された包装体情報表示は、主として包装体の流通過程に利用されるが、使用者に於いてもその包装体情報表示を読取り、包装体の製造年月日などを確認するために利用されている。一方、ベースラベル13は、個別ラベル15や表示ラベル16を包装体に貼付するための媒体として利用されている。
【0006】
しかしながら、上記従来の医薬品用タックラベル10は、表示ラベル16が、個別ラベル15と同様に、粘着剤層14を介してベースラベル13に剥離可能に貼付されているので、使用者が、個別ラベル15を剥離しようとする際に、誤って表示ラベル16を引き剥がすことがある。また、包装体を運搬・保管している間に、異物に接触して表示ラベル16が脱落する虞もある。
このように表示ラベル16がベースラベル13から剥がれて脱落すると、事後、包装体情報表示が失われ、流通過程のみならず、使用者においても包装体情報表示を利用できなくなる。また、使用者が、個別ラベル15と勘違いして引き剥がした表示ラベル16を、使用した医薬品容器やカルテに貼付する虞もある。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
そこで、本発明は、医薬品包装体に貼付されるベースラベルに、医薬品情報表示を印刷可能で且つ剥離可能な個別ラベルが貼付されたタックラベルに於いて、該ベースラベルに包装体情報表示が脱落しないように表示できるタックラベルを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するため、本発明は、医薬品包装体に貼付されるベースラベルと、裏面に粘着剤が設けられ且つ表面印刷可能な個別ラベルと、を備え、ベースラベルの表面に粘着剤を介して個別ラベルが剥離可能に貼付されているタックラベルに於いて、個別ラベルが貼付されていない領域であって、ベースラベルの表面の一部分には、印刷可能なインキ定着面が一体的に形成されている医薬品用タックラベルを提供する。
【0009】
上記医薬品用タックラベルは、個別ラベルの表面に医薬品情報表示を印刷し、インキ定着面に包装体情報表示を印刷した後、ベースラベルの貼着剤を介して医薬品包装体に貼付して使用される。
このタックラベル付き包装体を開封し、医薬品を使用する際には、個別ラベルをベースラベルから引き剥がし、これを、使用した医薬品容器やカルテなどの所望箇所に貼付することができる。
そして、包装体情報表示が印刷されたインキ定着面は、ベースラベルの表面に一体的に形成されているので、個別ラベルを引き剥がす際などに、インキ定着面が脱落することがない。
【0010】
本発明の好ましい態様では、インキ定着面が、ベースラベルの表面の一部分に表面処理を施すことにより形成されている上記医薬品用タックラベルに係り、かかる医薬品用タックラベルは、インキ定着面をベースラベルの表面の所望箇所に簡単に形成することができる。
【0011】
さらに、本発明の好ましい態様では、ベースラベルの表面の一部に、易剥離処理が施され、その処理面に粘着剤を介して個別ラベルが貼付されている上記医薬品用タックラベルに係り、かかる医薬品用タックラベルは、個別ラベルをベースラベルから容易に剥離することができる。
【0012】
また、本発明の好ましい態様では、個別ラベルの裏面の端部に、粘着剤の粘着力を隠蔽する非接着処理が施されている医薬品用タックラベルに係り、かかる医薬品用タックラベルは、個別ラベルの裏面の端部に非接着処理が施されているので、この部分を起点として、個別ラベルをベースラベルから容易に捲り始めることができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明の医薬品用タックラベルは、従来のものと同様に、医薬品情報表示と包装体情報表示を印刷でき、医薬品情報表示が印刷された個別ラベルを引き剥がし、使用した医薬品容器などの所望箇所に貼付することができる。一方、包装体情報表示が印刷されたインキ定着面は、ベースラベルに一体的に形成されているので、脱落する虞がない。従って、流通業者や使用者は、包装体情報表示を利用して、医薬品包装体の管理などを行うことができる。
また、本発明の好ましい態様では、個別ラベルを容易に剥離できる医薬品用タックラベルを提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明について、図面を参照しつつ具体的に説明する。
図1及び図2に於いて、1は、裏面に貼着剤層2が設けられ、且つ表面の一部に易剥離面4が形成されたベースラベル3と、この易剥離面4の表面に粘着剤層5を介して貼付された個別ラベル6と、ベースラベル3の表面のうち個別ラベル6が貼付されていない領域(易剥離面4が形成されていない領域)に設けられたインキ定着面7と、を備える医薬品用タックラベルを示す。
尚、上記タックラベル1は、通常、ベースラベル3の裏面に設けられた貼着剤層2を離型紙8の上に仮貼付することで提供される。
【0015】
具体的には、ベースラベル3は、複数の個別ラベル6を貼付し且つインキ定着面7を形成できる大きさであればその平面形状は特に限定されず、例えば、平面視矩形状に形成することができる。個別ラベル6についても、後述する医薬品情報表示を印刷できる程度の大きさであればその平面形状は特に限定されず、例えば平面視横長状などに形成することができる。
このベースラベル3の表面の一部領域には、インキ定着面7が一体的に形成されている。該インキ定着面7についても同様に、後述する包装体情報表示を印刷できる程度の大きさであればその平面形状は特に限定されず、例えば平面視矩形状などに形成することができる。
【0016】
上記ベースラベル3の表面のうち、上記インキ定着面7が形成されていない領域には、易剥離面4が形成されている。ベースラベル3に形成される易剥離面4は、個別ラベル6の中央部がベースラベル3に対して剥離可能な程度に弱く接着するように設けられるものである。易剥離面4は、例えば、シリコーン樹脂などの剥離剤を含む塗工液(例えば、シリコーンを含む紫外線硬化型インキなど)、ワックス・滑剤・シリコーンオイルなどの離型性を向上できる添加剤を混合した塗工液、微粒子を含む塗工液などを、ベースラベル3の表面に塗工することにより形成することができる。
ベースラベル3の易剥離面4の表面に、複数の個別ラベル6が並んで貼付されている。この個別ラベル6の表面は、印刷可能とされている。さらに、個別ラベル6の粘着剤層5の裏面の両端部には、非接着処理面9が形成されている。この非接着処理面9は、粘着剤層5の粘着力を抑えるもので、例えば、紫外線硬化型シリコーンや紫外線硬化型インキなどを凸版輪転印刷機などを用いて粘着剤層5の裏面に塗工されている。尚、かかる非接着処理面9の形成は、一般に糊押さえと呼ばれる。
【0017】
ベースラベル3を構成する基材としては、特に限定されず、例えば、ポリエチレンテレフタレートなどのポリエステル系、ポリスチレン系、ポリエチレン系、ポリプロピレン系、ポリカーボネート系、ポリアミド系などの単層又は2層以上の積層フィルムなどの柔軟な熱可塑性樹脂フィルムなど、従来のタックラベルの基材として用いられているものが挙げられる。中でも、フィルムの腰が強いことから、二軸延伸ポリエステル系フィルムを用いることが好ましい。該基材の厚みは、通常、30〜100μm程度のものが用いられる。
【0018】
貼着剤層2を構成する貼着剤は、医薬品包装体の外面に貼付可能な粘着剤又は接着剤が用いられる。ベースラベル3は、医薬品包装体に貼付した後、必ずしも剥離する必要はないので、接着剤を用いることも可能である。該貼着剤としては、例えば、タックラベルとして一般に用いられている感圧型粘着剤の他、加熱することで粘着性を発揮する感熱性粘着剤又は感熱性接着剤、紫外線などの光線照射により硬化する光硬化型粘着剤又は光硬化型接着剤などを用いることができる。これらの中では、汎用的で取扱いも簡便なことから、感圧型粘着剤を用いることが好ましい。
【0019】
ベースラベル3の表面に一体的に形成されるインキ定着面7は、公知の印刷機(例えば、インクジェットプリンタ、熱転写型インクリボンプリンタ、レーザープリンタ、熱直接発色プリンタ(ダイレクトサーマル方式)など)を用い、機械的読取記号などを印刷することができるものであれば特に限定されない。
このインキ定着面7は、例えば、ベースラベル3の表面に直接表面処理を施して印字用コーティング層を設けることにより形成することができる。印字用コーティング層は、印刷方式に応じて適宜設計され、例えば、インクジェットプリンタ用コーティング層、レーザープリンタ用コーティング層、溶融型熱転写プリンタ用コーティング層、昇華型熱転写プリンタ用コーティング層などのようなインキを定着させる受理層などが例示される。前記受理層としては、例えば、(株)T&K TOKA社製、SA(白)インキなどを用いることができ、これをベースラベル3の表面に塗工することにより、ベースラベル3の表面に白色又は乳白色のインキ定着面7を形成することができる。該受理層からなるインキ定着面7は、インクジェットプリンタ、レーザープリンタ、溶融型熱転写プリンタ、昇華型熱転写プリンタなどを用いて、機械的読取記号などの所定の表示を鮮明に印刷することができる。
【0020】
また、インキ定着面7の他の形成方法としては、表面印刷可能なフィルムを、接着剤を介してベースラベル3の表面に一体的に接着することにより形成することもできる。すなわち、表面印刷可能なフィルムをインキ定着面7の形成範囲と略同面積に作製し、このフィルム片を、ベースラベル3の表面に剥離不能に接着することでインキ定着面7を形成してもよい。このような表面印刷可能なフィルムとしては、コート紙、アート紙、コピー紙、合成紙(例えば、日清紡績(株)、商品名:ピーチコートなど)などが挙げられる。
また、このようにインキ定着面7をフィルムの接着によって形成する場合、該フィルムは、個別ラベル6と同じ素材を用いてもよい。同じ素材を用いても、一方(インキ定着面7のフィルム)は、ベースラベル3に直接接着され、一方(個別ラベル6のフィルム)は、ベースラベル3の易剥離面4に貼付されるので、インキ定着面7が剥がれる虞はない。
【0021】
次に、個別ラベル6を構成する基材としては、表面印刷可能であれば特に限定されない。個別ラベル6は、例えば、ポリエチレンテレフタレートなどのポリエステル系、ポリスチレン系、ポリエチレン系、ポリプロピレン系、ポリカーボネート系、ポリアミド系などの単層又は2層以上の積層フィルムなどの柔軟な熱可塑性樹脂フィルムの表面に、上記インキ定着面7で例示した表面処理が施されたフィルムを用いる他、コート紙、アート紙、コピー紙、合成紙(例えば、日清紡績(株)、商品名:ピーチコートなど)などを用いることもできる。
【0022】
該個別ラベル6の粘着剤層5を構成する粘着剤は、シリコーンなどからなる易剥離面4から剥離した後、所望箇所に再貼付可能な粘着剤であれば特に限定されず、例えば、タックラベルとして一般に用いられている感圧型粘着剤を用いることができる。
さらに、個別ラベル6の粘着剤層5の裏面の両端部には、非接着処理面9が形成されているので、該端部を起点にして個別ラベル6をベースラベル3から容易に捲ることができる。また、非接着処理面9は、個別ラベル6の粘着剤層5の裏面の一方の端部に形成しても良いが、上記のように、両端部に設けることにより、個別ラベル6の左右端部のどちらからでも容易に捲ることができる。
【0023】
上記医薬品用タックラベル1は、例えば、下記の方法にて製造することができる。
表面に感圧型粘着剤などが塗布された離型紙に、ベースラベル3を構成する基材原反を重ね合わせ、該基材原反の裏面に粘着剤を転写して離型紙付きベースラベル原反を作製する。次に、図3(a)に示すように、この離型紙付きベースラベル原反31の表面の所定範囲に、シリコーン樹脂を含む塗工液を公知の印刷法にて塗工することにより、易剥離面4を帯状に形成する。さらに、この離型紙付きベースラベル原反31の表面の所定範囲に、(株)T&K TOKA社製、SA(白)インキなどを公知の印刷法にて塗工することにより、インキ定着面7を所定間隔を開けて形成する。
【0024】
一方、個別ラベル6を構成する基材原反の裏面に感圧型粘着剤が設けられた個別ラベル原反61を準備し、図3(b)に示すように、この個別ラベル原反61の裏面の所定範囲に、凸版輪転などの公知の印刷法にて、紫外線硬化型インキなどを塗工して、非接着処理面9を形成した後、上記ベースラベル原反31の表面のうち、易剥離面4が形成された範囲に貼り合わせる。そして、複数の個別ラベル6の外形を形成すべく、同図(b)に示す二点鎖線Cに沿って、粘着剤と共に個別ラベル原反61のみを型抜きして個別ラベル6以外の不要部分を取り除いた後、更に、ベースラベル3の外形を形成すべく、二点鎖線Dに沿って、粘着剤と共にベースラベル原反31を型抜きし、ベースラベル原反31の抜き滓を除去する。
これら工程を経て、図1に示すような、離型紙8上に複数の医薬品用タックラベル1が所定間隔を開けて仮貼付されたタックラベル連続体を得ることができる。
【0025】
上記医薬品用タックラベル1は、医薬品の製造元などに於いて、図4に示すように、インキ定着面7に包装体情報表示(例えば、タックラベル1を貼付する医薬品包装体の製造年月日、同製造ロット、シリアルナンバーなど)が印刷され、各個別ラベル6の表面に同一の医薬品情報表示(該包装体に包装された医薬品の名称、同型番など)が印刷される。
包装体情報表示は、主として流通過程で利用され、POS管理下、リーダ装置によって処理ができることから、インキ定着面7には、包装体情報表示の内容をバーコードや2次元コード(例えば、RSSコードなどのスタック式コード、QRコードなどのマトリックス式コード)などで表示した機械的読取記号を含む包装体情報表示を印刷することが好ましい。もっとも、包装体情報表示は、バーコードなどの機械的読取記号を用いて表す以外に、人が認識できる文字や記号で表わしたり、機械的読取記号と併記して表すことも可能である。
【0026】
一方、医薬品情報表示は、使用した医薬品を備忘録的に明示するために利用されることから、人が認識できる文字や記号で表すことが好ましい。もっとも、医薬品情報表示は、人が認識できる文字や記号で表すこと以外に、機械的読取記号を用いて表わしたり、機械的読取記号と併記して表すことも可能である。
包装体情報表示及び医薬品情報表示の印刷方式は、医薬品の小ロット単位の製造にオンデマンド的に対応でき、且つ鮮明に印刷できることから、インクジェットプリンタ、熱転写型インクリボンプリンタ、レーザープリンタ、熱直接発色プリンタ(ダイレクトサーマル方式)などを用いることが好ましい。
【0027】
上記印刷済みのタックラベル1は、離型紙8から剥離して、ベースラベル3の貼着剤層2を介して医薬品包装体の外面などに貼付して使用される。
医薬品包装体は、1個又は2個以上の医薬品(医薬品は、成形容器、袋、注射器などの医薬品容器に充填されている)が包装されているものであれば、その包装形態は特に限定されず、例えば、各種の組立型紙箱、各種の成形容器、各種のブリスターパックなどに1個以上の医薬品が包装されているものなどが挙げられる。
【0028】
上記タックラベル付き包装体は、インキ定着面7に印刷された機械的読取記号をリーダ装置で読取り、流通過程を経て、使用者に提供される。
使用者は、医薬品包装体を開封して医薬品を使用する。その際、使用者は、包装体に貼付されたタックラベル1から、個別ラベル6を引き剥がし、使用した医薬品容器に貼付したり、或いは、該医薬品を投与した患者のカルテに貼付するなど、個別ラベル6を所望箇所に貼付することができる。該個別ラベル6を貼付することで、使用者は、医薬品容器やカルテなどに、使用した医薬品の情報を書き込む手間を省略できる。
【0029】
また、ベースラベル3上には、個別ラベル6の端部に非接着処理面9が形成されているので、この部分に於いて、個別ラベル3はベースラベル3に対して非接着となり、個別ラベル6の端部を起点にして、個別ラベル6を容易に捲ることができる。また、ベースラベル3の表面には、易剥離面4が形成されているので、個別ラベル6を容易に引き剥がすことができる。
【0030】
上記医薬品用タックラベル1は、インキ定着面7がベースラベル3に剥離不能に一体的に形成されているので、タックラベル付き包装体の流通時や、使用者が個別ラベル6を引き剥がす際に、インキ定着面7が脱落することがない。従って、流通過程から使用者に至るまで、タックラベル1には包装体情報表示が表されており、該包装体情報表示を参照して、医薬品包装体の管理などを確実に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】離型紙上に仮貼付された医薬品用タックラベルの一実施形態を示す一部省略平面図。尚、易剥離処理が施された領域を、薄墨塗りで示す(図3も同様)。
【図2】(a)は、図1のA−A線断面図、(b)は、同B−B線断面図。
【図3】医薬品用タックラベルの製造工程の参考図であって、(a)は、ベースラベル原反上にインキ定着面及び易剥離面を形成した状態を示す一部省略平面図、(b)は、このベースラベル原反上に個別ラベル原反を貼り合わせ、二点鎖線に沿って型抜きする状態を示す一部省略平面図。
【図4】医薬品情報表示及び包装体情報表示が印刷された状態の医薬品用タックラベルの一実施形態を示す一部省略平面図。
【図5】(a)は、従来の医薬品用タックラベルを示す一部省略平面図、(b)は、同E−E線断面図、(c)は、同F−F線断面図。
【符号の説明】
【0032】
1…医薬品用タックラベル、2…貼着剤層、3…ベースラベル、4…易剥離面、5…粘着剤層、6…個別ラベル、7…インキ定着面、8…離型紙、9…非接着処理面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
医薬品包装体に貼付されるベースラベルと、裏面に粘着剤が設けられ且つ表面印刷可能な個別ラベルと、を備え、ベースラベルの表面に粘着剤を介して個別ラベルが剥離可能に貼付されているタックラベルに於いて、
個別ラベルが貼付されていない領域であって、ベースラベルの表面の一部分には、印刷可能なインキ定着面が一体的に形成されていることを特徴とする医薬品用タックラベル。
【請求項2】
インキ定着面が、ベースラベルの表面の一部分に表面処理を施すことにより形成されている請求項1記載の医薬品用タックラベル。
【請求項3】
ベースラベルの表面の一部に、易剥離処理が施され、その処理面に粘着剤を介して個別ラベルが貼付されている請求項1又2記載の医薬品用タックラベル。
【請求項4】
個別ラベルの裏面の端部に、粘着剤の粘着力を隠蔽する非接着処理が施されている請求項1〜3の何れかに記載の医薬品用タックラベル。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate