説明

半導体の金属粒子を検出する方法と装置

【課題】シリコンなどの半導体材料の電気活性に影響を与える可能性がある欠陥の特性を明らかにすること。
【解決手段】シリコンなどの半導体の表面粒子欠陥、特に金属粒子を検出する方法であって、表面粒子近傍の半導体構造表面を適当な光源からの少なくとも1つの高強度の光ビームにさらして、光ルミネッセンス反応を収集して処理すること、粒子の汚染物質が半導体構造中に拡散した結果生じる許容できない汚染レベルを特定するためにその結果を用いることを含む方法。任意で、半導体構造を焼鈍し、汚染物質の拡散速度を特定するために焼鈍前後の光ルミネッセンス反応を収集する。また、同様の装置についても記載されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はシリコンなどの半導体の表面の粒子欠陥(surface particulate defects)、特に金属粒子を検出する方法と装置に関する。特に、本発明はそのような半導体材料の電気活性に影響を与え、その結果、それらから製造された動作デバイスに悪影響を及ぼす可能性のある欠陥の特性を明らかにするための改良された方法と装置に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体処理における表面粒子は、デバイス性能の低下やデバイスの歩留まり損失の主要な原因である。汚染粒子はリソグラフ、インプラント、またはエッチング工程を局所的にマスクし、ショートや開路を引き起すことがある。また、そのような粒子はゲート酸化膜の信頼性を低下させ、あらゆる(MOS)金属酸化膜半導体デバイスの動作を低下させる。チップの最小機能の破片(the chip's smallest features)などの特徴的な寸法の粒子はキラー欠陥を招く。
【0003】
技術の臨界サイズは、歴史的に、MOSデバイスのゲート長の半分または3分の1である。銅はアルミニウムよりも導電性に優れているので、半導体が小さくなればなるほど、インターコネクトには銅がより良い選択であると考えられる。インターコネクトから周囲のチップ材中に拡散し、シリコンや他の半導体材料に悪影響を与える(poisoning)銅の傾向は、エッチングした跡をライニングするバリア物質を最初に蒸着し、その上に銅を蒸着し、さらにバリア物質を蒸着してシールした、蒸着ステップの改良によって主に克服された。
【0004】
しかしながら、処理中に発生した粒子が何らかの事情でウエハを汚染することがある。従って、半導体を製造するステップと同様に、表面粒子をコントロールすることが重要である。処理ステップ後、そしてまた表面洗浄後にもウエハへの粒子の付加を測定するのが通例である。ウエハ表面の粒子の位置付け(location)と定量化は、表面粒子からの散乱光を検出するレーザ表面スキャナを用いて行われる。ウエハ表面を集光レーザビームで励起し、反射させ、散乱光を励起方向に対して別の角度に置いた複数の異なる検出装置を用いて収集する。表面粒子は鏡面反射方向以外の全方向に光を散乱させる。ウエハ全体にレーザをスキャンすると、粒子密度が散乱光パルスによって検出される。粒径は散乱光のサイズ依存性によって検出され、修正された標準粒径を用いて割り出される(determined)。
【0005】
ウエハの表面は粗いため、検出可能な粒径には下限がある。表面自体には一定の量の散乱光があり、粒子の散乱が表面散乱の範囲内であれば検出できない。新規なレーザ走査システムの角度分解測定は、この限界を克服した。現在の国際的な粒子仕様は、デザインテクノロジの半分として定義される。すなわち、190nmのデバイスプロセスでは、これは≧90nmで、密度≦0.18cm−2の粒子である。
【0006】
粒径が品質仕様(qualification specification)よりも小さければ、粒子の検出中には検出されない。しかしながら、現在の粒子仕様の範囲内であるが、処理後に半導体材料中に拡散し、デバイス性能に潜在的な悪影響を及ぼして漏出の増大やゲート酸化膜の劣化を招くことがある金属粒子がウエハ表面に存在する可能性がある。
【0007】
レーザ表面スキャナは、有機、非金属、金属などの全種類の粒子を検出する。ウエハ表面のまたはウエハ中に拡散した(現在の検出限界以下の)小さい金属粒子の検出は、銅のインターコネクトを用いるデバイスプロセスには重要である。従って、デバイス処理した(device-processed)ウエハと同様に、金属粒子が入るウエハをモニタすることが重要である。さらに、モニタウエハは、火炉や金属エッチング装置(metal etcher)などのデバイス処理装置内の粒子を検出するのに使用され、このウエハのタイプを評価する必要がある。
【特許文献1】WO98/11425
【特許文献2】WO02/29883
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の目的は、上記不利益のいくつかまたは全てを軽減する、シリコンなどの半導体の表面粒子欠陥、特に金属粒子を検出する方法と装置を開発することである。
本発明の特定の目的は、現在の粒子の品質仕様より小さいサイズの表面粒子欠陥を検出する方法と装置を提供することである。
本発明の特定の目的は、少なくともある程度、サイズだけではなく半導体の電気活性への影響に関わる形で表面粒子欠陥の特徴を明らかにする方法と装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
従って、本発明による第1の態様におけるシリコンなどの半導体の表面粒子欠陥、特に金属粒子を検出する方法で、特にそのような半導体材料の電気活性に影響を及ぼす可能性がある欠陥を検出する方法は、以下のステップを含む:
表面粒子近傍の半導体構造表面を、適当な光源、好ましくはレーザ、特に高強度レーザからの、少なくとも1つの高強度の光ビームにさらすこと;
該光ビームで半導体構造を励起して発生させた光ルミネッセンスを収集すること;
光ルミネッセンスの反応強度を示す結果を出すために、該収集した光ルミネッセンスを処理すること;
例えば次いで粒子の汚染物質(contaminant from particulate)が半導体構造中に拡散した結果生じる許容できない汚染のレベルを特定するために該結果を適当な参照データ、例えば所定の許容可能な光ルミネッセンスの仕様の範囲と比較することによって、シリコンなどの半導体の表面粒子欠陥、特に金属粒子を検出し、且つ特性を明らかにするために、特にそのような半導体材料の電気活性に影響を及ぼす可能性がある欠陥の特性を明らかにするために該結果を用いること。
【0010】
光ルミネッセンス技術は、高強度の光ビーム特性によって決まる分解能で空間分解されたPLマップを作成する。これは本方法のさらに好ましい特徴に利用できるが、本発明の基本的な目的としては、表面粒子近傍のウエハ領域上のPL強度を示す結果を出せるレベルまで当該PLマップを分解し、ひいては汚染のレベルとその結果予想される電気活性への損害に関する有益な情報を得ることである。
【0011】
光ルミネッセンス(PL)分光法は、半導体中の不純物の内部電子遷移および外部電子遷移の両方を調査するための非常に高感度の技術である。シリコンが材料のバンドギャップを超えてレーザ照射により励起されると、電子・正孔対が生成される。これらのキャリアは数多くの方法で再結合し、その一部がルミネッセンスを生じる。電子・正孔対はシリコン中の不純物にたまり、この相互作用に特有のフォトン(光子)を放つので、その結果光ルミネッセンススペクトルで不純物特有の情報が得られる。スペクトルは本質的に粒子近傍の半導体材料の電気活性を示し、そのため現在の仕様より小さい粒子によってでさえ製造中に生じる可能性があるような、半導体ウエハへの粒子の汚染物質の拡散がこの電気活性に与える影響を示す。従って、本方法によって粒子領域での電気活性の悪化に関する結果が得られ、粒径の検討に頼る間接的なスクリーニングよりもむしろこのような問題の直接検出が可能になる。
【0012】
次にこの光ルミネッセンスの結果は、例えば既知の欠陥及び/または既知のサンプル性能がある半導体サンプルなどから予め得られた結果と当該結果を比較することにより、欠陥及び/または予想される電気活性への悪影響の特徴を明らかにするのに用いられる。そして例えば当該光ルミネッセンスの結果は、より正確な解析方法(製造したデバイスに関する電気収率試験法など)を利用する研究に関連して開発された所定の条件を満たす仕様の範囲と比較できる。本方法の改良版では、最後のステップにこのような比較に基いて半導体構造の品質分類をすること、特に改善措置として前記所定の条件を満たす仕様の範囲外の光ルミネッセンス反応を示す半導体構造を拒絶または選択することが含まれる。
【0013】
この光学中心のスペクトル情報と明確な化学的同定を得るために、測定は液体ヘリウム温度で行う必要があることが、一般に受け入れられている。室温ではPL信号は非常に弱まり、ほとんど有益なスペクトル情報が得られないことが業界全体で知られている。しかしながら、国際特許出願WO98/11425には、室温PLに基づく半導体構造の電気的活性欠陥の検出を実用化する非破壊的技術が記載されている。当該文献には、数分以内にイメージを作り出せるという点で産業上の利用性があり、デバイスが製造される、特にウエハ表面近くの小さい個々の欠陥のマイクロイメージを作り出す際に、さらなる別の利点を有するPL技術が開示されている。
【0014】
従って、特にWO98/11425で開示されたような、室温PL技術は好ましい。さらに、表面に近い半導体構造中の銅汚染を特定するこの技術特有の効果は、国際特許出願WO02/29883に記載されている。これらの出願に記載され、参照することにより本明細書に援用された方法の好ましい特徴が、本発明に適用できることが理解されるであろう。本発明は、これらの方法が、単にこれらの文献に記載された理由により半導体構造に内在する格子汚染(lattice contamination)を検出するのに用いられるだけでなく、表面粒子の汚染物質の半導体構造中への拡散から生じる汚染を検出するのに非常に有効であり、それによって、粒径だけに基づく測定方法などの直接的な粒子測定方法よりも最終的なデバイス性能に関わる前記粒子の影響に関する情報を実際に提供するのに非常に有効であるとの驚くべき認識に基づいている。
【0015】
上記文献に開示された室温PL方法の成功は、1つには、好ましくは0.1〜20μm、理想的には2〜5μmの小さい空間分解能で、104〜109ワット/cm2の間のピークまたは平均出力密度のレーザで探査した探査量のためであり、その結果局在した(localised)汚染物質が測定PL強度に非常に大きな影響を与える。そしてまた、1つには、励起が集中するので注入されるキャリア濃度が高いためであると考えられている。
【0016】
デバイスが製造されるレベルを示す適当な表面近くの深さからのPL情報を集めるために、前記半導体構造において選択した深さで欠陥を特定できるようにPL効果を発生させるのに用いられる光ビームはコントロールされ、特にビーム出力及び/または波長及び/またはスポットサイズがコントロールされる。これは通常、例えば半導体構造の上方の12μmから得られる。特定の材料とデバイスについては、例えば5μmまたはさらに1μmの、より小さい深さが適当である。特にPL効果を発生させるのに用いられる光ビームは高強度レーザである。
ここで高強度レーザとは、レーザ出力に関わらず、放射力(emittance)が収束される(focused)場合に高強度出力密度のレーザを含むことになっているが、これに限定されない。
【0017】
本発明の方法を効果的に実施するため、潜在的な問題を引き起す粒子の位置を突き止め(locating)、その近傍の汚染の電気活性の特性を示すPL情報を得て、表面への粒子拡散が問題かどうかの指標を示す必要がある。従って、好ましい実施例では、本方法は適当な粒子のイメージング方法(imaging method)を用いて表面粒子の位置を突き止める第1のステップと、粒子の汚染物質が半導体表面近くの領域に拡散した程度、特に汚染物質のレベルがデバイス性能に弊害をもたらす程度を定量化するため、その後または同時に各粒子の近傍から前記PL強度情報を発生させる第2のステップを含む。
【0018】
基本的なPL技術は、ウエハ全体のPL反応をイメージングするPLマップを作成するのに使用できる。これはおそらく実際には最も高速の選択肢ではない。その代りに、粒子をイメージングし、マッピングし、位置を突き止める(locating)方法は、別の適当な方法で行うのが都合が良い場合がある。これは散乱光の暗視野像及び/または反射光の明視野像の発生を伴うことがある。
【0019】
前者の場合では、本方法は、例えば前述の従来のレーザ表面スキャン方法または別の適当な比較的高速のスキャン方法でもよい。後者の場合では、本方法は、好ましくは同じ光源を用いてPLイメージと同時に、被試験領域の反射光の表面マップを作成すること含む。
【0020】
すなわち、本方法は以下のステップを含む:
前述の方法で被試験半導体構造のサンプルの表面に高強度レーザなどの高強度の光ビームを当てること;
該光ビームで半導体構造を励起して発生させた光ルミネッセンスから第1のイメージまたは光ルミネッセンス像を作り出すこと;
該半導体構造の表面からの散乱光の暗視野像または半導体構造の表面からの反射光の明視野像のいずれかとして、粒子の位置(location)をマッピングする第2のイメージを作り出すこと;
表面粒子を検出しマッピングするために該第2のイメージを用いること;
そのようにして検出した(so detected)表面粒子近傍の半導体構造の光ルミネッセンスの反応強度を示す結果を出すために光ルミネッセンスを処理すること;
次いで、例えば該結果を所定の許容可能な光ルミネッセンスの仕様の範囲と比較すること。
【0021】
前記第2のイメージは、PLイメージを発生させるのと同じ第1の光源から、または追加の高強度光源からの光から作り出してもよい。後者の場合、追加の光源は従来のレーザスキャナなどのレーザ源であるのが好ましく、該方法には、前記粒子のマップイメージと前記PL反応をそれぞれ発生させるために、第1の高強度の光ビームと同時にまたは連続して被試験半導体構造のサンプルの表面に高強度レーザなどの第2の高強度の光ビームを当てることが含まれる。
【0022】
ターゲット粒子を特定するための第1のイメージと第2のイメージとの比較は、単に同時観察することによって行う。しかしながら、イメージは、例えば数値比較/分析する前にデジタル化することにより、統計的に分析されるのが好ましい。
【0023】
好ましくは、本方法は、第1のPLイメージの強度を示す、デジタル化した強度の測定値(例えば、逐一読み込むこと、しかし好ましくはデジタル化した強度マップ)を発生させること、第2のPLイメージの強度を示す、デジタル化した強度の測定値(例えば、逐一読み込むが好ましくはデジタル化した強度マップ)を発生させること、上記結果を得るためにデジタル化した強度の測定値を数値処理することを含む。
このような方法に関する適当な詳しい実施例は、国際出願No.WO02/077621に記載されている。
【0024】
前記PLイメージと、光学顕微鏡像に相当する対応する反射した表面のイメージまたはその他のマップを記録してもよい。表面粒子は反射像で検出される。表面粒子の汚染物質がウエハ中に拡散した後(そして現在シリコンまたはその他の半導体結晶格子が汚染されている)にだけ、電気的に活性な金属に関係のある欠陥が生じる。これらの金属に関係のある欠陥は電気的に活性なのでPLマップで今や観察される。従って、同位置で記録されたPLイメージと表面のイメージを調べて比較することによって調査領域を特定するのは容易である。
【0025】
本発明の好ましいPL技術によれば、ウエハ領域全体に亘る空間分解されたPLマップを作成することができる。本発明の第1の方法では、各粒子のPL強度データが品質管理解析(quality control decision)をするために収集され、このデータが参照データと比較される。当該方法がこのような継続か中止かの品質管理の解析に用いられるのであれば、粒子に関連するPLレベルだけが重要である。粒子の位置を突き止めるための別のより高速な方法による粗いスキャニングが上述のように用いられる。
【0026】
それにもかかわらず(Nevertheless)、前記PL技術を、さらに被試験半導体の表面全体に亘る空間分解されたマップの作成に用いることができること、特にそれらのシグナルの空間分解されたイメージの作成に用いることができることは、本発明の技術に関する特定の利点である。従って、好ましい実施例では、本方法はさらにそのようなマップおよび/またはイメージを作成するステップを含む。これらの事情により、ウエハ全体に亘って0.5mm以下のマッピング/イメージング分解能に作用するのが適当な場合がある。例えば、バッチサンプリングベース(batch sampling base)でそのようなより多くの詳細なマップの作成に用いることは適している。
【0027】
前記ウエハを焼鈍すると(the wafer is annealed)、粒子の汚染物質がウエハ中に拡散され、該汚染物質の検出がより容易になる。従って、本方法の好ましい実施例では、上述のような検出ステップを実行する前に、最初に半導体材料を加熱して焼鈍し、そのような拡散を生じさせる。これは、品質管理のためのバッチテストの方法(batch testing process)に、より適する場合もある。
【0028】
半導体材料の加熱は、例えば加熱手段をいずれかのキャリア装置に組み込むなど、どのような適当な方法で行ってもよい。200〜400℃の温度に加熱することは、ターゲット種(target species)のより急速な拡散を促し、望みの焼鈍効果を生み出すのに適している。あるいは、焼鈍効果は、特にデバイス処理中に、より低温で拡散速度が高い種については本質的に得られる場合がある。
【0029】
他の金属不純物と比べて、特に銅は低温で非常に急速に拡散する。従って、ウエハを解析前に加熱すると、観察される主効果は特に銅に起因するはずである。本方法は、特に銅表面粒子の汚染物質(contamination from copper surface particles)を検出する方法であり、本方法の当該実施例では任意の加熱ステップが特に有益である。
【0030】
焼鈍したサンプルからの結果もまた、例えば次いで半導体構造中に粒子の汚染物質(contamination from particles)が拡散した結果生じる許容できない汚染レベルを特定するために所定の許容可能な光ルミネッセンスの仕様の範囲と該結果を比較することによって、シリコンなどの半導体の表面粒子欠陥、特に金属粒子を検出し、且つ特性を明らかにするために、特にそのような半導体材料の電気活性に影響を与える可能性のある欠陥の特性を明らかにするために用いてもよい。
【0031】
さらに、拡散速度は種の間で異なる。このことが本発明のさらなる改良を可能にする。検出ステップを繰返すことで、焼鈍前後の光ルミネッセンスの結果を収集し、差異を測定して拡散速度の指標を得て汚染物質を特定するために該結果を比較してもよい。
【0032】
従って、さらに別の方法では、本発明は、上記のように光ビームで半導体構造を励起して発生させた光ルミネッセンスを収集し、光ルミネッセンスの反応強度を示す第1の結果を出すために収集した光ルミネッセンスを処理する第1のステップと;
サンプルを焼鈍するための上記のような加熱ステップと;
焼鈍後に上記のように光ビームで半導体構造を励起して発生させた光ルミネッセンスを収集し、光ルミネッセンスの反応強度を示す第2の結果を出すために収集した光ルミネッセンスを処理することからなる第2のステップと;
差異を測定して拡散速度の指標を得て汚染物質を同定するために各光ルミネッセンスのステップの結果を比較するステップを含む。
【0033】
さらに、第1と第2の光ルミネッセンス結果の比較は、例えば予想される汚染物質種に関する既知の拡散データを参照して数値比較/分析する前に各段階で収集した光ルミネッセンス情報をデジタル化することにより、数値的に実行されるのが好ましい。
【0034】
本発明の別の態様によれば、シリコンなどの半導体の表面粒子欠陥、特に金属粒子を検出するための装置、特にそのような半導体材料の電気活性に影響を与える可能性のある欠陥の特性を明らかにするための装置は、前述の方法を実施する手段を備える。
【0035】
従って、特定の実施例では、前記装置は、被試験半導体サンプル用の支持体と、高強度の光源、好ましくはレーザ、特に高強度レーザと、該支持体上の被試験半導体サンプルの表面に光源からの高強度の光ビームの焦点を合わせる手段と、少なくともその表面粒子近傍の半導体構造を光ビームで励起して発生させた光ルミネッセンスデータを収集する手段と、該近傍の光ルミネッセンスの反応強度を示す結果を出すために収集したデータを処理する手段と、好ましくはさらに、適当な参照データ、例えば粒子の汚染物質(contamination from particles)が半導体構造中に拡散した結果生じる許容できない汚染レベルを特定するために、該結果と所定の許容可能な光ルミネッセンスの仕様の範囲とを比較する比較器(comparator)とを備える。
【0036】
好ましくは、前記装置は、半導体構造表面の粒子の位置を突き止める手段と、特に、PL信号またはその他のもの(the PL signal or otherwise)と同時に、そのような位置に関するイメージマップを作成するイメージング手段をさらに備える。これは散乱光の暗視野像および/または反射光の明視野像である。
【0037】
前者の場合、前記イメージング手段は、例えば適当な収集光学(collection optics)または別の適当な比較的高速のスキャン方法を用いる上記のような従来のレーザ表面スキャナでもよい。後者の場合、前記イメージング手段は、好ましくは同一の光源を用いてPLイメージと同時に、被試験領域の反射光の表面マップを作成できるように設けられる。
【0038】
例えば前記装置は、光ビームで半導体構造を励起して発生させた光ルミネッセンスから第1のイメージを作り出す第1のイメージング手段と、半導体構造表面から散乱した光の暗視野像または半導体構造表面から反射した光の明視野像のいずれかとして、その上の粒子をマッピングするために半導体構造表面の第2のイメージを作り出す第2のイメージング手段と、表面粒子を検出しマッピングするために該第2のイメージを処理し、そして、そのようにして検出した(so detected)表面粒子近傍の半導体構造の光ルミネッセンス反応の強度を示す結果を出すために該第1のイメージを処理するためのイメージプロセッサと、該結果を所定の許容可能な光ルミネッセンスの仕様の範囲と比較するための比較器とを備える。
前記第2のイメージは、PL効果を発生させるのと同じ第1の光源または追加の光源からの光から作り出される。後者の場合、追加の光源は従来のレーザスキャナなどのレーザ源であるのが好ましい。
【0039】
前記イメージング手段には、観察者が同時に見ることができるディスプレイ(ダイレクトスクリーン、写真またはカメラによるスクリーンなど)が含まれる。さらに、または、あるいは、デジタルカメラなどのデジタルイメージング装置(digital imagers)が上記のような数的に処理されるデジタル化されたイメージの強度データを収集する。
【0040】
本発明のさらに好ましい実施例では、本装置の光源にはスポットサイズが0.1mmから0.5ミクロンの間、および/または出力密度が104から109ワット/cm2の間のレーザが含まれる。
好ましくは、本装置は、上述の焼鈍効果を発生させるために被試験サンプルを加熱する手段をさらに備える。従って、1つの態様において、本装置は、シリコンなどの半導体材料の電気活性に影響を与える可能性のある欠陥の特性を明らかにするために、そのような半導体の表面の粒子欠陥、特に金属粒子を検出するための装置であり、被試験半導体サンプル用の支持体と、高強度の光源と、該支持体上の被試験半導体サンプルの表面に該光源からの高強度の光ビームの焦点を合わせる手段と、少なくともその表面粒子近傍の半導体構造を該光ビームで励起して発生させた光ルミネッセンスデータを収集する手段と、該サンプル表面近傍の光ルミネッセンス反応の強度を示す結果を出すために収集したデータを処理する手段と、加熱前後の光ルミネッセンス反応を測定可能にする、原位置で(in situ)該サンプルを加熱するための加熱手段と、差異を測定して拡散速度の指標を得て汚染物質を同定するために前記2つの光ルミネッセンス反応を比較する比較器とを備える。
【0041】
特に加熱手段は支持体と結合している。例えば、支持体は加熱ステージ(heating stage)を備える。
他の好ましい装置の特徴は、本方法の上記説明から類推して分かるであろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0042】
本発明を添付図面1〜5を参照して説明する。
図1〜4は、本発明による装置によって作り出される各種イメージを示す。
図5は、本発明の実施略図である。
【0043】
図1aは、汚染を誘発する表面金属粒子を含む領域を明らかにするPLイメージを示す。250℃の低温で加熱した後(図1b参照)、汚染(contamination)によって生じた領域の欠陥コントラストとサイズが増大した。同様の効果が図2a−2bに示される。これは、シリコンウエハ中に金属粒子が拡散したことが原因であると考えられる。
【0044】
銅は室温でシリコンウエハ中に拡散し、4時間でウエハ背面からウエハ前面にウエハの厚み(約625μm)を通って拡散する。ハンドリング(handling)に起因する背面の汚染はすべてウエハ前面に移り、この部分(region)で製造されたデバイスがもたらされるのは明らかである。
【0045】
上述の通り、銅は他の金属不純物と比べて比較的低温で非常に急速に拡散する。従って、ウエハを本発明による解析前に加熱した場合、観察される主効果は特に銅に起因するはずである。また、低レベルの銅が結晶格子中に拡散すると、これがローカルPL信号(先のSiPHERの銅特許)を増加させ、ウエハ中に拡散した銅金属粒子を特定するのに用いられる。
【0046】
また、意図的に(intentional)汚染を生じさせる銅粒子の効果を調べた。ウエハを30分間400℃で焼鈍し、ウエハ中への金属汚染の拡散を増加させて、欠陥のある領域のコントラストを高めた。図3a−3bは、表面粒子による汚染の効果を明らかにする広範囲のスキャンを示す。これらの欠陥は、ハロー効果や月のような形のものとして示される(図3a−3bのPというラベルを貼った欠陥を見よ)。欠陥領域を生じさせるこれらの粒子は200から600μmまでの範囲に及ぶ。次いで当該ウエハをマッピングしてウエハマップを作成した。拡散領域を増大させた粒子は容易に特定できた。
【0047】
高解像度で記録されたマイクロスキャン(図4a−4b)は、ウエハ中への粒子の拡散効果を明らかにする。PLマイクロマップと対応する表面イメージはスキャン領域中心の粒子を示す。
加熱制御後に前記イメージを測定することで、金属拡散の性質に関する情報が得られる。各金属はシリコンでよく知られている拡散定数を有するので、一定の時間と温度でウエハを加熱し、加熱前後のSiPHERイメージを測定することによって、潜在型の金属汚染の徴候(indication)が得られる。
【数1】

D=加熱温度の拡散係数(cm2/s)
L=拡散距離(cm)
T=時間(秒)
【0048】
例えば1050℃の温度で1時間加熱する。銅は2mmの鉄とチタンの約0.007mmと比べて12mmまで拡散できる。
金属粒子欠陥は、異なる加熱方法と、炉の酸化、急速加熱処理(RTP)などの通常のデバイスプロセスで用いられる化学的処理を使用することで検出できる。また、現場の高温ウエハチャック(in-situ hot wafer chuck)またはハロゲンランプも使用できる。あるいは、前述のPL効果および/または粒子のイメージングに用いる光源、またはさらに別の専用のソース(source)からのどちらかを用いる、レーザ加熱が使用できる。これらはすべてシステムの一部となる。
【0049】
また、粒子群はハードウエハの一部であるレーザ表面スキャナを使用することで検出できる。粒子群は、例えば上述の従来技術の特許出願に記載された測量光学を用いることで、同じハードウエア・コンフィギュレーションで直接調べることができる。
【0050】
また、ウエハマップはウエハ背面に記録できる。これは、汚染源がウエハ背面に端を発するものであるかどうかを識別するのに役立つ。
図5は、本発明の実施可能性を図示する測定プロセスのフローチャートである。
【図面の簡単な説明】
【0051】
【図1】本発明による装置によって作り出される各種イメージを示す。
【図2】本発明による装置によって作り出される各種イメージを示す。
【図3】本発明による装置によって作り出される各種イメージを示す。
【図4】本発明による装置によって作り出される各種イメージを示す。
【図5】本発明の実施例の測定プロセスのフローチャートを示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
シリコンなどの半導体材料の電気活性に影響を与える可能性がある欠陥の特性を明らかにするために、シリコンなどの半導体の表面の粒子欠陥(surface particulate defects)、特に金属粒子を検出する方法であって、
表面粒子近傍の半導体構造表面を適当な光源からの少なくとも1つの高強度の光ビームにさらすこと;
光ビームで半導体構造を励起して発生させた光ルミネッセンスを収集すること;
光ルミネッセンスの反応強度を示す結果(a result representative of the intensity)を出すために収集した光ルミネッセンスを処理すること;
粒子の汚染物質(contamination from particulate)が半導体構造中に拡散した結果生じる許容できない汚染レベルを同定するために、当該結果と所定の許容可能な光ルミネッセンスの仕様の範囲(specification range)とを比較すること;
を含むステップからなるシリコンなどの半導体の表面の粒子欠陥(surface particulate defects)を検出する方法。
【請求項2】
そのような比較に基づいて半導体構造の品質分類をして、前記所定の許容可能な仕様の範囲外の光ルミネッセンス反応を示す半導体構造の改善措置として拒絶または選択することをさらに含む品質管理方法である請求項1記載の方法。
【請求項3】
電気収率試験法を用いて製造したデバイスのサンプルの研究から所定の許容可能な仕様を決定する(determine)事前のステップをさらに含む請求項1または2記載の方法。
【請求項4】
粒子の汚染物質(contamination from particulate)を半導体材料中に拡散させて検出をより容易にするために、検出ステップを実行する前に半導体を焼鈍することを特徴とする先行するいずれかの請求項に記載の方法。
【請求項5】
検出ステップを焼鈍ステップ前後に繰り返すことで差異を測定して(determine the difference)拡散速度の指標を得て汚染物質を同定するためにその結果を比較することを特徴とする請求項4記載の方法。
【請求項6】
シリコンなどの半導体材料の電気活性に影響を与える可能性がある欠陥の特性を明らかにするために、シリコンなどの半導体の表面の粒子欠陥(surface particulate defects)、特に金属粒子を検出する方法であって、
表面粒子近傍の半導体構造表面を適当な光源からの少なくとも1つの高強度の光ビームにさらすこと、
光ビームで半導体構造を励起して発生させた光ルミネッセンスを収集すること、
光ルミネッセンスの反応強度を示す第1の光ルミネッセンス結果を出すために収集した光ルミネッセンスを処理すること、
によって光ルミネッセンスを収集する第1のステップと;
粒子の汚染物質(contamination from particulate)を半導体材料中に拡散するための半導体への加熱ステップと;
焼鈍後に前述の光ルミネッセンスのような光ルミネッセンスの反応強度を示す第2の光ルミネッセンスを発生させるために第1のステップと類似の方法によって発生させた光ルミネッセンスを収集する第2のステップと;
差異を測定して(determine the difference)拡散速度の指標を得て汚染物質を同定するために各ルミネッセンスの結果を比較するステップ;
を含む半導体の表面の粒子欠陥(surface particulate defects)を検出する方法。
【請求項7】
前記光源は高強度レーザであることを特徴とする先行するいずれかの請求項に記載の方法。
【請求項8】
前記レーザの空間分解能は0.1から20μmであることを特徴とする請求項7記載の方法。
【請求項9】
前記レーザは104〜109ワット/cm2の間のピークまたは平均出力密度を提供することを特徴とする請求項7または8記載の方法。
【請求項10】
PL効果を発生させるのに用いる光ビームは、PL情報を半導体構造の上部12μmより深くないところから収集できるようにコントロールされていることを特徴とする先行するいずれかの請求項に記載の方法。
【請求項11】
適当な粒子のイメージング方法を用いて表面粒子の位置を突き止める(locating)第1のステップと、半導体の表面近くの領域に粒子の汚染物質が拡散した程度を定量化するため、その後または同時に各粒子の近傍から先行するいずれかの請求項に記載のPL強度情報を発生させる第2のステップを含む先行するいずれかの請求項に記載の方法。
【請求項12】
粒子をイメージングし(imaging)、マッピングし(mapping)、位置を突き止める方法は、散乱光の暗視野像及び/または反射光の明視野像の発生を含むことを特徴とする請求項11記載の方法。
【請求項13】
前述の方法で被試験半導体構造のサンプルの表面に高強度レーザなどの高強度の光ビームを当てること;
該光ビームで半導体構造を励起して発生させた光ルミネッセンスから第1のイメージまたは光ルミネッセン像を作り出すこと;
半導体構造の表面からの散乱光の暗視野像または半導体構造の表面からの反射光の明視野像のいずれかとして、粒子の位置をマッピングする第2のイメージを作り出すこと;
表面粒子を検出しマッピングするために該第2のイメージを用いること;
そのようにして検出した(so detected)表面粒子近傍の半導体構造の光ルミネッセンスの反応強度を示す結果を出すために光ルミネッセンスを処理すること;
を含む請求項12記載の方法。
【請求項14】
シリコンなどの半導体材料の電気活性に影響を与える可能性のある欠陥の特性を明らかにするために、そのような半導体の表面の粒子欠陥、特に金属粒子を検出するための装置であり、
被試験半導体サンプル用の支持体と、高強度の光源と、該支持体上の被試験半導体サンプルの表面に該光源からの高強度の光ビームの焦点を合わせる手段と、少なくともその表面の粒子近傍の半導体構造を該光ビームで励起して発生させた光ルミネッセンスデータを収集する手段と、該近傍の光ルミネッセンスの反応強度を示す結果を出すために収集したデータを処理する手段と、粒子の汚染物質が半導体構造中に拡散した結果生じる許容できない汚染レベルを特定するために、該結果と所定の許容可能な光ルミネッセンスの仕様の範囲とを比較する比較器(comparator)とを備える、半導体の表面の粒子欠陥を検出する装置。
【請求項15】
前記支持体と結合した被試験サンプルの加熱手段をさらに備えることを特徴とする請求項14記載の装置。
【請求項16】
シリコンなどの半導体材料の電気活性に影響を与える可能性のある欠陥の特性を明らかにするために、そのような半導体の表面の粒子欠陥、特に金属粒子を検出するための装置であって、
被試験半導体サンプル用の支持体と、高強度の光源と、該支持体上の被試験半導体サンプルの表面に該光源からの高強度の光ビームの焦点を合わせる手段と、少なくともその表面の粒子近傍の半導体構造を該光ビームで励起して発生させた光ルミネッセンスデータを収集する手段と、該近傍の光ルミネッセンスの反応強度を示す結果を出すために収集したデータを処理する手段と、加熱前後の光ルミネッセンス反応を測定可能にする、原位置で(in situ)該サンプルを加熱するための加熱手段と、差異を測定して(determine the difference)拡散速度の指標を得て汚染物質を特定するための前記2つの光ルミネッセンス反応を比較する比較器とを備える、半導体の表面の粒子欠陥を検出するための装置。
【請求項17】
前記加熱手段は、加熱ステージ(heating stage)を備える請求項15または16記載の装置。
【請求項18】
半導体構造表面の粒子の位置(location)に関するイメージマップを作成するためのイメージング手段をさらに備える請求項15から17のいずれかに記載の装置。
【請求項19】
前記イメージング手段は、散乱光の暗視野像および/または反射光の明視野像を発生させることを特徴とする請求項18記載の装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公表番号】特表2006−522929(P2006−522929A)
【公表日】平成18年10月5日(2006.10.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−506097(P2006−506097)
【出願日】平成16年4月8日(2004.4.8)
【国際出願番号】PCT/GB2004/001521
【国際公開番号】WO2004/090516
【国際公開日】平成16年10月21日(2004.10.21)
【出願人】(503122236)エーオーティーアイ オペレーティング カンパニー インコーポレーティッド (4)
【氏名又は名称原語表記】AOTI OPERATING COMPANY,INC.
【住所又は居所原語表記】Suite 207,131 N.W.Hawthorne Avenue,Bend,OR 97701 USA
【Fターム(参考)】