説明

半導体ナノクリスタルの制御された修飾

価数制御された半導体ナノクリスタルは、それと結合された所望の数の化合物を有することができる。該半導体ナノクリスタルは、それと結合された正確に1個の化合物を有することができ、該化合物は、親和性標的に対して正確に1個の結合部位を有することができる。該半導体ナノクリスタルは、細胞表面タンパク質の単一コピーをイメージ化するために用いることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(優先権の主張)
本出願は2007年6月26日に出願の米国特許出願番号第60/946,281号及び2007年11月27日に出願の米国特許出願番号第60/990,485号に対して優先権を主張する。それぞれはその全体において本明細書中に引用により取り込まれている。
(連邦政府による資金提供を受けた研究又は開発)
アメリカ政府は、NIHグラント番号1U65-CA119349及び1P20GM072029-01に従って、本発明の特定の権利を有し得る。
【0002】
(技術分野)
本発明は、半導体ナノクリスタルの制御された修飾に関する。
【背景技術】
【0003】
半導体ナノクリスタルは、可視及び近赤外波長、大きいモル吸光係数及び高量子収率を通じて調整可能な狭い発光スペクトルを有する光安定性蛍光団である。これらの特性により、半導体ナノクリスタルは、生物学的、生医学的及び環境的関係において、標識化及び光学的検出のための強力なツールとなる。半導体ナノクリスタルの異例な輝度及び光安定性は、それらに、単一分子レベルでの生物学的事象の分析に関して、大きな可能性を与える。しかし、細胞標識化用途のために設計される現状のナノクリスタルは、サイズ、非特異的結合、及び誘導体化能の間の相容れない調整に悩まされる。
【0004】
一般に、ナノクリスタルは、有機配位子の層によって囲まれる無機ナノ粒子を含む。この有機配位子シェルは、処理、特定の他の部位への結合、様々な基板への結合のために、ナノクリスタルに欠かせないものである。ナノクリスタルは、アルキルホスフィン及びアルキルホスフィンオキシドなどの大過剰量の配位子を含むそれらの成長溶液中で、著しく劣化することなく長期間、保存することができる。最も多くの用途、特に水性用途のため、ナノクリスタルは、それらの成長溶液外で処理され、様々な化学的環境に移されなければならない。しかし、それらの成長溶液から取り出されるとき、ナノクリスタルは多くの場合、その高い蛍光性を失い、又は不可逆的に凝集される。
【発明の概要】
【0005】
(要旨)
単一粒子追跡は、細胞表面タンパク質の動作について、アンサンブル平均の簡略化なしに先例のない理解を提供することができる。しかし、単一粒子追跡は、蛍光団の光退色、プローブ多価性、標識プローブのサイズ、及び標的からのプローブの解離によって複雑になる。半導体ナノクリスタルは、輝度及び光安定性の単一粒子追跡に関して固有の利点を有する。多価性は、一価ストレプトアビジンの単一コピーに結合する半導体ナノクリスタルを精製することによって回避することができる。半導体ナノクリスタルのサイズは、IgG抗体のそれと同等であり得る。プローブの解離は、ナノクリスタルを部位特異的ビオチン化細胞表面タンパク質に連結するために、一価ストレプトアビジンを用いることにより最小化されることができる。一価の半導体ナノクリスタルを用いて、例えば、シナプシスでの神経伝達物質レセプターをイメージ化し、野生型又は疾患関連変異体の低密度リポタンパク質レセプターの拡散を追跡することができる。
【0006】
一態様において、価数制御された半導体ナノクリスタルを製造する方法は、半導体ナノクリスタルの集団を当該半導体ナノクリスタルに対して親和性を有する化合物と接触させ、化合物結合ナノクリスタルの分布を形成すること;及び、化合物結合ナノクリスタルの分布のメンバーを、それぞれのナノクリスタルに結合した化合物の数に従って分離することを含む。
【0007】
当該方法は、ナノクリスタルと正確に1個の化合物が結合した、化合物結合ナノクリスタルの分布のメンバーを単離することを含むことができる。当該化合物は、配位子を選択的に結合することができる。当該化合物は、正確に1個の配位子を選択的に結合することができる。当該化合物は、アビジン又はストレプトアビジンであることができる。当該化合物は、一価のアビジン又は一価のストレプトアビジンであることができる。当該化合物は、ポリヒスチジンタグを含むことができる。当該化合物は、単鎖抗体などの、抗体であることができる。
【0008】
当該半導体ナノクリスタルは、式(I)の化合物を含む外部層を含むことができる:
R1-L1-R2-L2-R3
(I)式中、R1は、任意に1つ以上の-O-、-S-、-C(O)-、-N(R4)-又は-C(O)N(R4)-で中断され;かつヒドロキシ、チオール、アミノ、窒素酸化物、ホスフィン又はホスフィンオキシドから選択される2つ以上の基によって置換された、直鎖又は分枝鎖のC1-C10アルキル、アルケニル、又はアルキニル鎖である。L1は、-C(O)-、-N(R4)C(O)-、-C(O)N(R4)-、-O-、-N(R4)-、-O-N(R4)C(O)-、-C(O)N(R4)-O-又は-(CR5R6)n-である。R2は-[(CR5R6)n-X-(CR5R6)n]m-であり、XはO、S、C(=O)又はN(R4)であり;かつmは、範囲0〜20の整数である。L2は、-C(O)-、-N(R4)C(O)-、-C(O)N(R4)-、-O-、-N(R4)-、-O-N(R4)C(O)-、-C(O)N(R4)-O-又は-(CR5R6)n-である。R3は、-(CR5R6)p-R7であり、R7は-COOH、-OP(O)(OH)OH、アミノ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ又はトリアルキルアミノであり;かつpは、0、1、2、3、4、5、又は6である。R4は、H又はC1-C6アルキルである。各R5及び各R6は、独立に、H、ヒドロキシ、アミノ、チオ、ニトロ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、アルキル、シクロアルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、アリール及びヘテロアリールから選択され;かつ各nは、独立に0、1、2、3、4、5、又は6である。
【0009】
別の態様において、単一粒子をイメージ化する方法は、親和性タグを細胞表面タンパク質に結合させること;該細胞を、該親和性タグに対して正確に1個の結合部位を有する正確に1個の化合物と結合した価数制御された半導体ナノクリスタルを含む組成物と接触させること;及び該細胞及び半導体ナノクリスタルを実質的に同時にイメージ化することを含む。
【0010】
該親和性タグは、ビオチンであることができる。親和性タグを細胞表面タンパク質に結合させることは、受容体ペプチド(AP)配列を含む融合タンパク質をビオチンリガーゼと接触させることを含むことができる。半導体ナノクリスタルは、正確に1個の一価アビジン又は正確に1個の一価ストレプトアビジンと結合することができる。
【0011】
該半導体ナノクリスタルは、上記の式(I)の化合物を含む外部層を含む。
式(I)の化合物は、下記式:
【化1】

又は下記式:
【化2】

を有することができる。
【0012】
別の態様において、上記の式(I)の化合物を含む外部層を含む半導体ナノクリスタル。 R1は、HS-CH2CH2CH(SH)-(CH2)4-であることができる。R2は、ポリ(アルキレンオキシド)であることができる。R2は、ポリ(エチレングリコール)であることができる。R2は式-[CH2-O-CH2]m-を有することができ、mは約8である。R3は、-CH2-R7であることができ、R7はアミノ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ又はトリアルキルアミノである。R7は、-COOHであることができる。R3は、-CH2COOHであることができる。
【0013】
いくつかの実施態様において、R1はHS-CH2CH2CH(SH)-(CH2)4-であり、R2はポリ(アルキレンオキシド)であり、かつR7は-COOH、アミノ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ又はトリアルキルアミノである。
【0014】
該化合物は、下記式:
【化3】

又は下記式:
【化4】

を有することができる。
【0015】
本発明の他の特徴、目的及び効果は、下記説明及び図面から、並びに請求項から明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】図1Aは、半導体ナノクリスタルの光学的特性を表すグラフである。図1Bは、半導体ナノクリスタルの物理的特性を表すグラフである。
【図2】図2Aは、半導体ナノクリスタルの静電的性質を表すグラフである。図2Bは、異なる配位子を有する半導体ナノクリスタルを用いた、電気泳動ゲルイメージである。
【図3】図3A〜3Eは、異なる半導体ナノクリスタルに曝された細胞の蛍光イメージ及び写真である。
【図4】図4Aは、半導体ナノクリスタルに対する色素の結合の模式図である。図4B〜4Cは、半導体ナノクリスタルの光学的特性を表すグラフである。図4D〜4Fは、ゲル濾過クロマトグラフィー時の標準試料及び半導体ナノクリスタルの溶出プロファイルを表すグラフである。
【図5】図5は、細胞表面タンパク質を半導体ナノクリスタルで標識した模式図である。
【図6】図6A〜6Cは、細胞の合成写真/蛍光イメージである。図6Dは、単一分子拡散係数を表すグラフである。
【図7】図7Aは、電気泳動ゲルのイメージである。図7B〜7Eは、細胞の合成写真/蛍光イメージである。
【図8】図8Aは、細胞表面タンパク質を半導体ナノクリスタルで標識した模式図及びFRETを介した蛍光の検出である。図8Bは、細胞の蛍光イメージである。
【図9】図9Aは、異なる親和性標識を有する半導体ナノクリスタルの模式図である。図9Bは、単一細胞表面タンパク質を単一半導体ナノクリスタルで標識した模式図である。
【図10】図10A〜10Bは、正確に1個のストレプトアビジンと結合した半導体ナノクリスタルの単離を示す電気泳動ゲルのイメージである。
【図11】図11Aは、半導体ナノクリスタルを示すAFM像である。図11Bは、細胞の蛍光イメージ及び写真である。
【図12】図12は、細胞の蛍光イメージ及び写真である。
【図13】図13は、細胞の蛍光イメージである。
【図14】図14A〜14Bは、正確に1個の抗体と結合した半導体ナノクリスタルの単離を表す電気泳動ゲルのイメージである。図14Cは、細胞の蛍光イメージ及び写真である。
【図15】図15A〜15Bは、細胞の蛍光イメージ及び写真である。
【図16】図16は、細胞表面タンパク質を半導体ナノクリスタルで標識した模式図である。
【図17】図17は、細胞の一連の蛍光イメージ及び写真である。
【図18】図18は、細胞の蛍光イメージ及び写真である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
(詳細な説明)
細胞イメージングの究極の目的は、生きている細胞において単一生体分子の変化を観察することである。インビトロでの単一分子イメージングは、miRNA又はウイルス粒子などの低含量の生体分子を検出し、感度において究極点となるその能力を証明している(例えば、Neely, L.A.らの論文, (2006). Nat. Methods 3, 41-46;及びAgrawal, A.らの論文, (2006). Anal. Chem. 78, 1061-1070を参照されたい。その各々は、全体において引用により取り込まれている。)。インビトロでの単一分子イメージング方法は、酵素の回転率の間の一時的な配座変化、及び光の回折限界より小さいキネシンステップを検出し、アンサンブル方法に固有の平均化も回避する。例えば、English, B.P.らの論文 (2006). Nat. Chem. Biol. 2, 87-94; Kusumi A.らの論文 (2005). Annu. Rev. Biophys. Biomol. Struct. 34, 351-378;及びYildiz, A., Selvin,P.R. (2005). Acc. Chem. Res. 38, 574-582を参照されたい。その各々は、全体において引用により取り込まれている。一方、細胞の単一分子イメージング(例えば、Saxton,M.J., Jacobson,K. (1997). Annu.Rev.Biophys.Biomol.Struct. 26, 373-399、それは全体において引用により取り込まれている。)は大きな挑戦であり、色素又は蛍光タンパク質からの弱くかつ不安定な蛍光シグナルに対して不変の戦いが行われている(例えば、Tardin,C.らの論文 (2003). EMBO J. 22, 4656-4665;Lommerse, P.H.らの論文 (2004). Biophys.J. 86, 609-616;及びDouglass,A.D., Vale,R.D. Cell 121, 937-950を参照されたい。その各々は全体において引用により取り込まれている。)。色素標識化Fab分子は一価であるが、薄暗く、容易に退色し、かつ弱い結合を示す。幾つかのケースにおいて、全反射照明蛍光(TIRF)顕微鏡を用いて、単一蛍光タンパク質を生きた哺乳動物細胞中において検出している。しかし、その蛍光は通常10秒以内に退色する。金粒子又はラテックスビーズは、安定な単一粒子イメージングを可能にするが、通常、直径30-500nmである。近年、金サイズは、光散乱でなく金照射時の局部加熱を検出することによって5nmに減少している(例えば、Lasne, D.らの論文 (2006). Biophys.J. 91, 4598-4604を参照されたい。それは全体において引用により取り込まれている。)。これは有望な進展であるが、5nmは金の核を意味し、その後、それは不動態化され、一次及び二次抗体に結合された。
【0018】
半導体ナノクリスタルは、細胞の単一分子の変化を追跡する際に特定の利点を提供する。単一半導体ナノクリスタルは、TIRFを必要とすることなく、広い領域の蛍光顕微鏡で容易に認識されるだけの十分な輝度があり、極めて光安定性である(Gao, X.らの論文 (2005). Curr.Opin.Biotechnol. 16, 63-72、それは全体において引用により取り込まれている。)。しかし、半導体ナノクリスタルは、サイズ、ナノクリスタルと対象タンパク質との不安定な結合、及びナノクリスタル多価性(すなわち、ナノクリスタルが複数の標的とクロスリンクし得るような、ナノクリスタル上の多数の標的結合部位の存在)の問題に悩まされている。例えば、Groc, L.らの論文 (2004). Nat.Neurosci. 7, 695-696;Howarth, M.らの論文 (2005). Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A. 102, 7583-7588;及びJaiswal, J. K.及びSimon, S. M. (2004) Trends Cell Biol. 14[9], 497-504を参照されたい、その各々は全体において引用により取り込まれている。常用のナノクリスタルは直径20-30nmであり、それはサイトゾル又はシナプシスなどの混雑した細胞位置において拡散を低下し得る。ナノクリスタルと標的タンパク質との不安定な結合は、通常数分でその標的から解離する一価抗体に起因する。これは、生細胞の最も動的なプロセスを正確に追跡するのには短すぎる(Schwesinger, F.らの論文 (2000). Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A. 97, 9972-9977を参照されたい。これは全体において引用により取り込まれている。)。
【0019】
ナノクリスタルの多価性(金ナノ粒子などの他のナノ粒子も同様)は、重大な懸案事項である:表面タンパク質の架橋結合は、シグナル経路を活性化させ、細胞骨格との接触を促進することによって、レセプター移動度を低下させ得る。例えば、Klemm, J.D.らの論文 (1998). Annu.Rev.Immunol. 16, 569-592;及びIino, R.らの論文 (2001). Biophys. J. 80, 2667-2677を参照されたい。それらは全体において引用により取り込まれている。ナノクリスタルの過剰添加は、架橋問題の完全な解決にはならない。なぜなら、標的タンパク質が1つのナノクリスタルから解離し、別のナノクリスタルに架橋し得るからである。また、例えばリサイクリングエンドソーム中の標的タンパク質のプールは、ナノクリスタルの初期パルス(initial pulse)に接近することができず、別のナノクリスタル上の表面に到達し、かつその遊離結合部位に架橋し得る。可能な架橋結合に対する完全溶解は、一様に単一結合部位を有するナノ粒子を要求する。
【0020】
一価のナノ粒子を調製する1つの方法は、異なる数のDNA配位子からの移動度シフトによる電気泳動分離に基づくものである。例えば、Fu, A.らの論文 (2004). J.Am.Chem.Soc. 126, 10832-10833;Qin, W.J., Yung, L.Y. (2005). Langmuir 21, 11330-11334;及びAckerson, C.J.らの論文 (2005). Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A. 102, 13383-13385を参照されたい。その各々は全体において引用により取り込まれている。DNAに基づくタンパク質価数を制御する方法は、ナノ粒子があまり大きくない場合、その後にDNAの除去を必要とするであろう。別の方法は、ポリスチレンビーズ上の低密度官能性部位に基づくものであり、粒子上の1つの配位子が配位子結合のために活性化され得る(例えば、Sung, K.M.らの論文 (2004). J.Am.Chem.Soc. 126, 5064-5065;及びWorden, J.G.らの論文 (2004). Chem.Commun.(Camb.) 518-519を参照されたい。その各々は全体において引用により取り込まれている。)。この方法は、〜60%に一価性を与えるのみであった。ニッケルアフィニティーカラムを用いる、His6タグ化ペプチドの数に準じた金ナノ粒子の精製が示されている。しかし、一価及び多価粒子の溶出プロファイルにおいて大幅な重なりがあった(Levy, R.らの論文 (2006). Chembiochem. 7, 592-594、それは全体において引用により取り込まれている。)。別の方法は、ビオチン化上皮成長因子(EGF)などの配位子を、ストレプトアビジン-ナノクリスタルに半化学量論的比率で加えることである。大部分のナノクリスタルは、EGFを結合せず、幾つかは1つのEGFを結合し、2つのEGF分子を結合することはほとんどない(Lidke, D.S.らの論文 (2005). J.Cell Biol. 170, 619-626、それは全体において引用により取り込まれている。)。これはナノクリスタルの非効率的な使用であり、ビオチン化配位子が2以上のビオチン基を含む場合、ナノクリスタルは互いに架橋し得る。
【0021】
生細胞の単一分子イメージングのための半導体ナノクリスタルの最適な設計は、固有の課題である。ナノ粒子は、複数の連結戦略、低い非特異的結合、少ない流体力学的サイズ、高量子収率、及び広いpH範囲に渡って凝集のない水分散を形成する能力を通じて、容易な誘導体化を特徴とするであろう。
【0022】
現在、単一分子細胞イメージングのために使用するナノクリスタルの優位な種類は、合成から疎水性表面配位子を保持し、両親媒性ポリマーシェル内にカプセル化されるものである。例えば、Wu, X.らの論文 Nature Biotechnol. 2003, 21, 41-46;Medintz, I.らの論文 Nature Mater. 2005, 4, 435-446;Zhou, M.らの論文 Bioconjugate Chem. 2007, 18, 323-332;Dahan, M.らの論文 2003, 302, 442-445;及びCourty, S.らの論文 Nano. Lett. 2006, 6, 1491-1495を参照されたい。その各々は全体において引用により取り込まれている。このようなカプセル化されたナノクリスタルは、高量子収率(QY)の利益を得る。しかし、ポリマーシェルはわずか4-6nmの無機コア/シェル直径のため、約20-30nmの大きな集合を形成する(例えば、Smith, A. M.らの論文 Phys. Chem. Chem. Phys. 2006, 8, 3895-3903を参照されたい。それは全体において引用により取り込まれている。)。ポリマーで被覆したナノクリスタルのサイズは、多くの場合、標識化された標的より非常に大きく、生物学的イメージングにおいて、ナノクリスタルの広範囲使用の大きな障害であった。これは、標識化タンパク質の機能を潜在的に妨げ、ニューロンシナプシスなどの障害空間へのアクセスを制限する。例えば、Howarth, M.らの論文 PNAS. 2005, 102, 7583-7588;及びGroc, L.らの論文 Nat Neurosci 2004, 7, 695-696を参照されたい。その各々は全体において引用により取り込まれている。さらに、多くの場合、両親媒性ポリマー被覆は高度に充填される。これは細胞膜への非特異的結合の原因となり、低いバックグラウンドが必須の単一粒子イメージングとって不適当なものとする。非特異的吸着は、ポリマーカプセル化ナノクリスタルのPEG化を介して緩和されることができるが、これは更にナノ粒子サイズを増加させる(例えば、Bentzen, E. L.らの論文 Bioconjugate Chem. 2005, 16, 1488-1494を参照されたい。それは全体において引用により取り込まれている。)。リン脂質又はシリカシェルで被覆されたナノクリスタルも、生体系において用いられているが、固有の大きなサイズについて同様の制限、及びかさ高いPEG不動態化層の必要性という欠点がある。例えば、Dubertret, B.らの論文 Science 2002, 298, 1759-1762;及びParak, W.らの論文 2002, 14, 2113-2119を参照されたい。その各々は全体において引用により取り込まれている。
【0023】
ネイティブな疎水性被覆を、メルカプト酢酸(MAA)などのカルボン酸エステルを含んだ小分子配位子で置換することにより、ナノクリスタルのサイズを大きく減少させ、同時に誘導体化能を維持することができる。例えば、Aldana, J.らの論文 J. Am. Chem. Soc. 2001, 123, 8844-8850;Mattoussi, H.らの論文 J. Am. Chem. Soc. 2000, 122, 12142-12150;Kim, S.の論文 Bawendi, M. G., J. Am. Chem. Soc. 2003, 125, 14652-14653;及びAlgar, W. R.の論文 Krull, U. J., 2006, 22, 11346-11352を参照されたい。その各々は全体において引用により取り込まれている。そのようなナノクリスタルは、わずか〜6-8nmの流体力学的直径(HD)を有するにもかかわらず、それらは弱い配位子-ナノクリスタル相互作用のため、本質的に不安定であり得、周囲条件下において数時間の時間スケールでナノクリスタル沈殿を生じる。例えば、Smith, A. M.らの論文 Phys. Chem. Chem. Phys. 2006, 8, 3895-3903;及びAldana, J.らの論文 J. Am. Chem. Soc. 2001, 123, 8844-8850を参照されたい。その各々は全体において引用により取り込まれている。さらに、ナノクリスタルを水分散性にするために必要なカルボキシラート基のイオン化は、酸性状態下で不安定性を生じ、また、細胞への非特異的結合を促進する(Bentzen, E. L.らの論文 Bioconjugate Chem. 2005, 16, 1488-1494;及びXue, F.らの論文 Journal of Fluorescence 2007, 17, 149-154、その各々は全体において引用により取り込まれている。)。さらに、このようなモノチオール系配位子で配位子交換されるナノクリスタルは、量子収率の大きな減少を被る(Smith, A. M.らの論文 Phys. Chem. Chem. Phys. 2006, 8, 3895-3903、それは全体において引用により取り込まれている。)。ジヒドロリポ酸(DHLA)などのジチオール配位子は、配位子解離に対してより安定であるが、それでも、弱酸性条件下で沈殿するナノクリスタルを形成する。例えば、Mattoussi, H.らの論文 J. Am. Chem. Soc. 2000, 122, 12142-12150;及びPons, T.らの論文 J. Phys. Chem. B 2006, 110, 20308-20316を参照されたい。その各々は全体において引用により取り込まれている。さらに、DHLA被覆ナノクリスタルは、高い非特異的結合を示し、単一粒子追跡用途で使用できない。様々な長さのPEGを有するDHLAのエステルでの配位子交換は、水溶液中で非常に安定であり、かつ生細胞イメージングに適したナノクリスタルを形成した(例えば、Uyeda, H. T.らの論文 J. Am. Chem. Soc. 2005, 127, 3870-3878を参照されたい。それは全体において引用により取り込まれている。)。しかし、これらのDHLA-PEGナノクリスタルのヒドロキシル末端表面は、温和条件下で、例えば、細胞上のレセプター標識化のための標的化生体分子との効率的かつ選択的な共有結合誘導体化のための官能性を欠いている。
【0024】
2つの共通に使用されるナノクリスタル誘導体化戦略は、アミノ及びカルボキシル官能基間の1-エチル-3-(3-ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド(EDC)及びN-ヒドロキシスクシンイミド(NHS)を媒介した架橋カップリングなどの一般の生物共役化方法を用いるナノクリスタルの直接共有結合修飾、及びナノクリスタル上への静電的又は金属親和性相互作用を介した生体分子の自己組織化である。例えば、Wu, X.らの論文 Nature Biotechnol. 2003, 21, 41-46;Yan Zhangらの論文 Angew. Chem. Int. Ed. 2006, 45, 4936-4940;及びGoldman, E. R.らの論文 J. Am. Chem. Soc. 2002, 124, 6378-6382を参照されたい。その各々は全体において引用により取り込まれている。ポリマー/リン脂質/シリカシェルにカプセル化されたナノクリスタルは、通常、共有結合的連結によって誘導体化される。DHLA又はDHLA-PEGでキャップされたナノクリスタルは、His6にタグ化生体分子とナノクリスタルの金属表面との金属-親和性相互作用を用いる連結に影響されやすく、配位生体分子のナノクリスタル発光及び官能性を保持する安定抱合体をもたらす(例えば、Medintz, I. L., Nature Mater. 2003, 2, 630-638を参照されたい。それは全体において引用により取り込まれている。)。現在、単一ナノ粒子上の共有結合及びHis6-タグ結合能力を組み合わせ、同時に小サイズ、低非特異的結合、及び溶液安定性の特性を維持する、強力な戦略が欠如している。
【0025】
ナノクリスタル配位子は、1つ以上の配位原子を含む第1部分、1つ以上の親水基を含む第2部分、及び1つ以上のイオン性基を含む第3部分を含むことができる。配位原子は、例えば、N、O、P又はSであることができる。配位原子は、配位基(例えば、アミン、窒素酸化物、アルコール、カルボキシラート、チオカルボキシラート、ホスフィン、ホスフィンオキシド、チオール等)に含まれることができる。親水基は、例えば、アルコキシド、アミン、チオール、アルコール、カルボキシラート、ケトン、アルデヒド等を含むことができる。イオン性基は、静電気荷電を有する基又は水性環境下で静電的に荷電され得る基であることができる。典型的なイオン性基は、アミン(例えば、一級、二級、三級、及び四級アミン)、カルボキシラート、アルコール、チオールなどを含む。
【0026】
幾つかの実施態様において、配位子の第1部分、第2部分及び第3部分は各々、異なる前駆体化合物から誘導される。第1部分は2、3、4、5、6つ以上の配位原子など、2つ以上の配位原子を含むことができる。幾つかの実施態様において、第1部分は、2つの配位原子を有する。第2部分は、ポリ(エチレングリコール)又はポリ(プロピレングリコール)から実質的に誘導されることができる。
【0027】
R1-L1-R2-L2-R3 (I)
式中、R1は、任意に1つ以上の-O-、-S-、-C(O)-、-N(R4)-又は-C(O)N(R4)-で中断され;かつ、ヒドロキシ、チオール、アミノ、窒素酸化物、ホスフィン又はホスフィンオキシドから選択される2つの以上基によって置換された、直鎖又は分枝鎖のC1-C10アルキル、アルケニル、又はアルキニル鎖である。
【0028】
L1は、-C(O)-、-N(R4)C(O)-、-C(O)N(R4)-、-O-、-N(R4)-、-O-N(R4)C(O)-、-C(O)N(R4)-O-又は-(CR5R6)n-である。
R2は-[(CR5R6)n-X-(CR5R6)n]m-であり、XはO、S、C(=O)又はN(R4)であり;かつmは、範囲0〜20の整数である。
【0029】
L2は、-C(O)-、-N(R4)C(O)-、-C(O)N(R4)-、-O-、-N(R4)-、-O-N(R4)C(O)-、-C(O)N(R4)-O-又は-(CR5R6)n-である。
R3は、-(CR5R6)p-R7であり、R7は-COOH、-OP(O)(OH)OH、アミノ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ又はトリアルキルアミノであり;かつpは、0、1、2、3、4、5、又は6である。
R4は、H又はC1-C6アルキルである。
【0030】
各R5及び各R6は、独立に、H、ヒドロキシ、アミノ、チオ、ニトロ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、アルキル、シクロアルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、アリール及びヘテロアリールから選択される。かつ各nは、独立に0、1、2、3、4、5、又は6である。
【0031】
幾つかの実施態様において、配位子は、下記式を有することができる:
【化5】

式中、nは範囲1〜100、1〜50又は1〜20である。nの値は約8である。すなわち、配位子の個々の分子は整数値のみを有することができるが、配位子のバルク試料においては、nは整数値の分布を有することができ、nの平均値が約8である。
【0032】
アミン又はカルボキシ官能基末端DHLA-PEGでナノクリスタルを被覆するための効率的手段を記載する。これらのナノクリスタルは、優れた光物理学的特性、及びカプセル化されたナノクリスタルより実質的に小さいサイズを有する。これらのナノクリスタルは、標的細胞の標識化用途のために、共有結合形成及びHis6-タンパク質カップリングを介して連結されることができる。これらのDHLA-PEG誘導体化ナノクリスタルの量子収率(QY)は、合金ZnCd1-xSxシェルを介して強化され、配位子交換後に、45%と同程度のQYを与えた。これらのナノクリスタルは、細胞への非常に低い非特異的結合を示し、優れたpH安定性を有する。また、当該ナノクリスタルを、その輸送が冠状動脈疾患の予防に重要な役割を有するタンパク質である低密度リポタンパク質レセプターを標的とすることにより、生細胞イメージングのために使用した。加えて、高親和性及び低価数架橋としてストレプトアビジンの一価変異体を用い、ナノクリスタルを、特異的にビオチン化されたレセプターに安定して連結させる、ナノクリスタル標的化のためのビオチンリガーゼの使用を記載する(例えば、Howarth, M.らの論文 PNAS. 2005, 102, 7583-7588; 及びHowarth, M.らの論文 Nat Meth 2006, 3, 267-273を参照されたい。その各々は全体において引用により取り込まれている。)。
【0033】
ナノクリスタルコアは、高温の配位剤中で有機金属前駆体を熱分解することによって調製されることができる。例えば、Murray, C.B.らの論文 J. Am. Chem. Soc. 1993, 115, 8706, 及びMikulec, F., Ph.D. Thesis, MIT, Cambridge, 1999を参照されたい。その各々は全体において引用により取り込まれている。裸のナノクリスタルコア上のシェル層の成長は、従来のオーバーコーティング手順の単純な変更によって実施されることができる。例えば、 Peng, X.らの論文 J. Am. Chem. Soc. 1997, 119, 7019, Dabbousi, B.O.らの論文 J. Phys. Chem. B 1997, 101, 9463, 及びCao, Y. W. 及びBanin, U. Angew. Chem. Int. Edit. 1999, 38, 3692を参照されたい。その各々は全体において引用により取り込まれている。
【0034】
配位剤は、ナノクリスタルの成長の制御に役立ち得る。配位剤は、ドナー孤立電子対を有する化合物であり、例えば、成長するナノクリスタルの表面に配位するのに利用できる孤立電子対を有する。配位剤は、溶媒であることができる。溶媒配位は、成長するナノクリスタルを安定化させることができる。代表的な配位溶媒としては、アルキルホスフィン、アルキルホスフィンオキシド、アルキルホスホン酸、又はアルキルホスフィン酸があるが、ピリジン、フラン、及びアミンなどの他の配位溶媒も、ナノクリスタルの生成に適し得る。適切な配位溶媒の例としては、ピリジン、トリ-n-オクチルホスフィン(TOP)、トリ-n-オクチルホスフィンオキシド(TOPO)、及びトリス-ヒドロキシルプロピルホスフィン(tHPP)がある。工業用のTOPOを使用することができる。
【0035】
ナノクリスタルの外部表面は、成長プロセス中に使用された配位剤から誘導される化合物の層を含むことができる。過剰な競合配位基へ繰り返し曝露することによって表面を改質し、被覆層を形成することができる。例えば、成長時に使用した配位剤でキャップされたナノクリスタルの分散は、ピリジンなどの配位性有機化合物を用いて処理され、ピリジン、メタノール、及び芳香族中では容易に分散するが、脂肪族溶媒中ではもはや分散しない結晶を生成することができる。そのような表面交換プロセスは、例えばホスフィン、チオール、アミン、及びホスフェートを含めた、ナノクリスタルの外部表面と配位、又は結合できる任意の化合物を用いて実施することができる。ナノクリスタルは、該表面に対して親和性を示し且つ懸濁液又は分散媒体に対して親和性を有する部位を末端とする短鎖ポリマーに曝露されることができる。そのような親和性は、懸濁液の安定性を改善し、ナノクリスタルの凝集を妨げる。
【0036】
単座配位アルキルホスフィン及びアルキルホスフィンオキシドは、効率的にナノクリスタルを不動態化する。用語ホスフィンは、ホスフィン及び下記のホスフィンオキシドに関連することに注意されたい。チオール又はホスホン酸などの他の従来の配位子は、長期間に渡って初期の高いナノクリスタル発光を維持する単座配位ホスフィンより非効果的であり得る。例えば、ナノクリスタルの光ルミネセンスは、チオール又はホスホン酸で配位子交換された後、一貫して減弱するか又は消光する。
【0037】
配位子交換は、一相又は二相法によって実施されることができる。配位子交換の前に、ナノクリスタルを、メタノール添加によって、それらの成長溶液から沈殿させることができる。過剰な配位剤(例えば、トリオクチルホスフィン)を含む上清を廃棄することができる。沈殿したナノクリスタルは、ヘキサン中で再分散することができる。基本的にすべての過剰配位剤がナノクリスタルから分離されるまで、沈殿及び再分散を繰り返すことができる。ナノクリスタル及び導入される配位子が同じ溶媒中に可溶である場合、一相プロセスを用いることができる。過剰な新しい配位子を有する溶液を、ナノクリスタルと混合することができる。配位子交換が終了するまで、該混合液を高温で撹拌することができる。一相方法は、例えば、オクチル修飾オリゴマーホスフィン又はメタクレート修飾オリゴマーホスフィンを交換するために用いることができ、その双方は、ヘキサンなどの、ナノクリスタルと混合可能な溶媒に溶解する。ナノクリスタル及び新しい配位子が共通溶剤を有しない場合、二相配位子交換プロセスが好ましい。ナノクリスタルをジクロロメタンなどの有機溶媒に溶解し、新しい配位子を水溶液に溶解することができる。ナノクリスタルを、例えば、超音波処理によって有機相から水相に移動させることができる。当該移動は、吸収及び発光光分析でモニターすることができる。類似の二相配位子交換過程は以前に報告されている。例えば、その全体において引用により取り込まれているWang, Y.A.らの論文 2002 J. Am. Chem. Soc 124, 2293を参照されたい。
【0038】
ナノクリスタルは、狭いサイズ分布を有するナノクリスタルの集団のメンバーであってよい。ナノクリスタルは、球形、棒状、円盤状、又は他の形状とすることができる。ナノクリスタルは、半導体物質のコアを含むことができる。ナノクリスタルは、式MXを有するコアを含むことができ、ここでMは、カドミウム、亜鉛、マグネシウム、水銀、アルミニウム、ガリウム、インジウム、タリウム、又はそれらの混合物であり、Xは、酸素、硫黄、セレン、テルル、窒素、リン、ヒ素、アンチモン、又はそれらの混合物である。
【0039】
ナノクリスタルのコアを形成する半導体は、II-VI族の化合物、II-V族の化合物、III-VI族の化合物、III-V族の化合物、IV-VI族の化合物、I-III-VI族の化合物、II-IV-VI族の化合物、又はII-IV-V族の化合物、例えばZnO、ZnS、ZnSe、ZnTe、CdO、CdS、CdSe、CdTe、MgO、MgS、MgSe、MgTe、HgO、HgS、HgSe、HgTe、AlN、AlP、AlAs、AlSb、GaN、GaP、GaAs、GaSb、InN、InP、InAs、InSb、TlN、TlP、TlAs、TlSb、PbS、PbSe、PbTe、又はそれらの混合物を含むことができる。
【0040】
コアは、該コアの表面上にオーバーコーティングを有することができる。オーバーコーティングは、該コアの組成物とは異なる組成物を有する半導体物質であってもよい。ナノクリスタルの表面上の半導体物質のオーバーコートは、II-VI族の化合物、II-V族の化合物、III-VI族の化合物、III-V族の化合物、IV-VI族の化合物、I-III-VI族の化合物、II-IV-VI族の化合物、又はII-IV-V族の化合物、例えばZnO、ZnS、ZnSe、ZnTe、CdO、CdS、CdSe、CdTe、MgO、MgS、MgSe、MgTe、HgO、HgS、HgSe、HgTe、AlN、AlP、AlAs、AlSb、GaN、GaP、GaAs、GaSb、InN、InP、InAs、InSb、TlN、TlP、TlAs、TlSb、PbS、PbSe、PbTe、又はそれらの混合物を含むことができる。オーバーコーティング材料は、コア材料のバンドギャップより大きいバンドギャップを有することができる。あるいは、オーバーコーティング材料は、コア材料の価電子帯及び伝導帯にエネルギーにおいて中間のバンド(すなわち価電子帯又は伝導帯)を有することができる。例えば、表題「半導体ナノクリスタルへテロ構造(Semiconductor Nanocrystal Heterostructures」の米国特許出願公開番号第20040110002号を参照されたい。それは全体において引用により取り込まれている。
【0041】
ナノクリスタルからの発光は、狭いガウス発光バンド(Gaussian emission band)とすることができ、ナノクリスタルのサイズ、ナノクリスタルの組成、又はその両方を変化させることによって、紫外領域、可視領域、又は赤外領域のスペクトルの全波長範囲にわたって調整することができる。例えば、CdSeは、可視領域において調整することができ、InAsは、赤外領域において調整することができる。
【0042】
ナノクリスタルの集団は、狭いサイズ分布を有することができる。集団は、単分散にすることができ、ナノクリスタルの直径について15%rms未満の偏差、好ましくは10%未満の偏差、より好ましくは5%未満の偏差を示すことができる。可視において発光するナノクリスタルのために、半値全幅(FWHM)が約10nm〜100nmの範囲である狭い範囲のスペクトル発光を観察することができる。半導体ナノクリスタルは、2%、5%、10%、20%、40%、60%、70%又は80%を超える発光量子効率を有することができる。
【0043】
半導体ナノクリスタルの調製方法は、高温の配位溶媒に注入されるジメチルカドミウムなど有機金属試薬の熱分解を含む。これは、個々の核形成を可能にし、巨視量のナノクリスタルの制御された成長をもたらす。ナノクリスタルの調製及び操作は、例えば、米国特許第6,322,901号に記載されており、その全体は本明細書中に引用により取り込まれている。ナノクリスタルの製造方法は、コロイド成長プロセスであり、単分散粒子集団を生成することができる。コロイド成長は、Mドナー及びXドナーを高温配位溶媒に急速に注入することによって生じる。この注入により核が生成され、その核は、ナノクリスタルを形成する制御された様式で成長させることができる。反応混合物は、ナノクリスタルを成長させ、かつアニールするために、穏やかに加熱されることができる。試料中のナノクリスタルの平均サイズとサイズ分布との両方が、成長温度に依存する。安定した成長を維持するために必要な成長温度は、平均結晶サイズの増加に伴って増加する。ナノクリスタルは、ナノクリスタルの集団のメンバーである。個々の核形成及び制御された成長の結果、得られるナノクリスタルの集団は、狭い単分散の直径分布を有する。単分散の直径分布は、サイズと呼ぶこともできる。核形成に続く、配位溶媒中でのナノクリスタルの制御された成長及びアニーリングのプロセスは、一様な表面誘導体化及び規則的なコア構造を生じさせることもできる。サイズ分布が鋭くなるにつれて、安定した成長を維持するために、温度を上昇させることができる。より多くのMドナー又はXドナーを添加することによって、成長期間を短縮することができる。
【0044】
オーバーコーティングプロセスは、例えば米国特許第6,322,901号に記載されている。その全体は本明細書中に引用により取り込まれている。オーバーコーティング中に反応混合物の温度を調節し、コアの吸収スペクトルをモニタリングすることによって、高い発光量子効率と狭いサイズ分布とを有するオーバーコートされた材料を得ることができる。
【0045】
Mドナーは、無機化合物、有機金属化合物、又は元素金属とすることができる。無機化合物M含有塩は、ハロゲン化金属、カルボン酸金属、炭酸金属、水酸化金属又は金属アセチルアセトネートなどの金属ジケトンネートであることができる。例えば、米国特許第6,576,291号を参照されたい。それは全体において引用により取り込まれている。Mは、カドミウム、亜鉛、マグネシウム、水銀、アルミニウム、ガリウム、インジウム、又はタリウムである。Xドナーは、Mドナーと反応して一般式MXを有する物質を生成することができる化合物である。通常、Xドナーは、カルコゲニドドナー又はプニクタイドドナー、例えば、ホスフィンカルコゲニド、ビス(シリル)カルコゲニド、二酸素、アンモニウム塩、又はトリス(シリル)プニクタイドである。適切なXドナーは、二酸素、ビス(トリメチルシリル)セレニド((TMS)2Se)、トリアルキルホスフィンセレニド(例えば(トリ-n-オクチルホスフィン)セレニド(TOPSe)又は(トリ-n-ブチルホスフィン)セレニド(TBPSe)など)、トリアルキルホスフィンテルリド(例えば(トリ-n-オクチルホスフィン)テルリド(TOPTe)又はヘキサプロピルホスホラストリアミドテルリド(HPPTTe)など)、ビス(トリメチルシリル)テルリド((TMS)2Te)、ビス(トリメチルシリル)スルフィド((TMS)2S))、トリアルキルホスフィンスルフィド(例えば(トリ-n-オクチルホスフィン)スルフィド(TOPS)など)、アンモニウム塩(例えばハロゲン化アンモニウム(例えばNH4Cl)など)、トリス(トリメチルシリル)ホスフィド((TMS)3P)、トリス(トリメチルシリル)アルセニド((TMS)3As)、又はトリス(トリメチルシリル)アンチモニド((TMS)3Sb)を含む。特定の実施態様において、Mドナー及びXドナーは、同一分子内の成分とすることができる。
【0046】
反応の成長段階中のサイズ分布は、粒子の吸収線幅をモニタリングすることによって評価することができる。粒子の吸収スペクトルの変化に応じた反応温度の修正により、成長中、鋭い粒子サイズ分布の維持が可能になる。より大きな結晶を成長させるために、結晶成長中に、核形成溶液に反応物を添加することができる。特定のナノクリスタル平均直径で成長を停止させ、150Å未満の平均ナノクリスタル直径を有する集団を得ることができる。ナノクリスタルの集団は、15Å〜125Åの範囲の平均直径を有する。
【0047】
その全体において本明細書中に引用により取り込まれている米国特許第6,322,901号に記載されているように、粒子サイズ分布を、メタノール/ブタノールなどのナノクリスタルに対する貧溶媒を用いるサイズ選択的沈殿法によって、さらに精製することができる。例えば、ナノクリスタルを、10%ブタノールのヘキサン溶液中に分散させることができる。メタノールを、乳光が持続するまで、攪拌溶液に滴下して加えることができる。遠心分離による上清と凝集物との分離により、試料中の最大結晶に富んだ沈殿物が生成される。この手順を、吸光スペクトルのさらなる鋭利化が認められなくなるまで繰り返すことができる。サイズ選択的沈殿法は、ピリジン/ヘキサン及びクロロホルム/メタノールを含めた種々の溶媒/非溶媒のペアで実施することができる。サイズ選択されたナノクリスタル集団は、平均直径から15%rms以下の偏差、好ましくは10%rms以下の偏差、より好ましくは5%rms以下の偏差を有することができる。
【0048】
透過型電子顕微鏡(TEM)は、ナノクリスタル集団のサイズ、形状、及び分布に関する情報を提供することができる。粉末X線回折(XRD)パターンは、ナノクリスタルの結晶構造の種類及び質に関する最も完全な情報を提供することができる。また、粒子径はX線コヒーレンス長を介してピーク幅に反比例するので、サイズ見積りも可能である。例えば、ナノクリスタルの直径は、透過型電子顕微鏡によって直接測定することができ、又は、例えばシェラーの式を使用してX線回折データから評価することができる。また、UV/Vis吸収スペクトルから見積もることも可能である。
【0049】
価数制御された半導体ナノクリスタルは、親和性標的に対する結合部位について所望の価数を有することができる。従って、半導体ナノクリスタルは、親和性標的に対して、正確に1、正確に2、正確に3、正確に4、正確に5、正確に6、正確に7、正確に8、正確に9、正確に10、正確に11、正確に12、又は正確により大きい数の結合部位を有するように調製されることができる。集団内の半導体ナノクリスタルの各々が正確に所望の価数を有する半導体ナノクリスタルの集団を調製することができる。一価の半導体ナノクリスタルは、親和性標的に対して正確に1個の結合部位を有することができる。
【0050】
価数制御された半導体ナノクリスタルは、化合物を半導体ナノクリスタルに連結することによって調製されることができる。いくつかの実施態様では、連結鎖は、個々の半導体ナノクリスタルに結合する化合物の数の確率分布を生じる。当該分布は、連結時に存在する化合物と半導体ナノクリスタルとの相対量を変えることによって影響され得る。半導体ナノクリスタルに結合する異なる数の化合物(例えば、0個の化合物、正確に1個の化合物、正確に2個の化合物、正確に3個の化合物又は正確により高い数の化合物など)を有する分布のメンバーを、互いから分離することができる。当該分離は、サイズに基づく分離(例えば、電気泳動又はゲル濾過クロマトグラフィーなど)、又は親和性に基づく分離(例えば、アフィニティークロマトグラフィーなど)であることができる。アフィニティークロマトグラフィーは、該化合物が結合する固定配位子(すなわち、親和性標的)を有するカラムを生成することを含むことができる。親和性標的は、公知技術の方法に従って反応性官能基を有するクロマトグラフィー樹脂に連結されることができる。該化合物と結合したナノクリスタルは、該化合物と親和性標的との間の相互作用の効力によって、樹脂と固定されることができる。カラムと結合しないナノクリスタルは固定されず、樹脂を洗浄することによって効率的に除去されることができる。その後、樹脂は、該化合物とナノクリスタルとの間の相互作用を弱める溶出状態(例えば、pH、イオン強度、温度、又は競争配位子又は配位子類似体への暴露の変化)によって洗浄される。更に、溶出条件への暴露の増加は、正確に1個の化合物と結合したナノクリスタルが正確に複数の化合物と結合したナノクリスタルの前に樹脂から溶出されるように該相互作用を弱める。
【0051】
この相互作用は、その標的抗原を結合する抗体又はアミラーゼに結合するタンパク質を結合するマルトースなどの特異的結合相互作用;カチオン又はアニオン交換カラムと結合する高荷電ペプチドなどの静電的相互作用;又はポリイミダゾールタグ(例えば、His6タグ)と結合するニッケル又はコバルトカラムのような金属-配位子相互作用でもあろう。
【0052】
幾つかの実施態様において、半導体ナノクリスタルの実質的に全てが正確に1個の化合物と結合された半導体ナノクリスタルの集団を調製することができる。幾つかの実施態様において、該化合物は、親和性標的のために正確に1個の結合部位、正確に2個の結合部位、正確に3個の結合部位又は正確に4個の結合部位を有する。この方法において、半導体ナノクリスタルの集団の各部分が親和性標的に対して0〜12以上の範囲の正確な数の結合部位と結合することができる半導体ナノクリスタルの集団を調製することができる。
【0053】
該化合物は、例えば、アビジン又はストレプトアビジンであることができる。アビジン又はストレプトアビジンは、1つ以上のモノマーがビオチンを結合することが実質的にできないように、改質アミノ酸配列を有する1つ以上のモノマーを有することができる。アビジン又はストレプトアビジンは、一価のアビジン(mA)又は一価のストレプトアビジン(mSA)であることができる。該化合物は、親和性標的、例えば、アビマー(avimer)又はアフィボディ(affibody)に対して特異的結合親和性を有する抗体、単鎖抗体、又は他のタンパク質若しくはペプチド配列であることができる(例えば、Binz HKらの論文 Nat Biotechnol. 2005 Oct;23(10):1257-68を参照されたい。それは全体において引用により取り込まれている。)。親和性標的は、例えば、タンパク質、核酸、ペプチド、代謝産物又は小分子であることができる。
【0054】
細胞表面タンパク質は、抗体標的化(図9A)によって、ナノクリスタルで標識されることができる。ビオチンリガーゼを用いる細胞表面タンパク質を部位特異的にビオチン化する方法は公知である(例えば、Howarth, M.らの論文 (2005). Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A. 102, 7583-7588;及びChen, I.らの論文 (2005). Nat.Methods 2, 99-104を参照されたい。その各々は全体において引用により取り込まれている。)。ビオチンリガーゼは、関心対象のタンパク質に遺伝的に加えられた15-アミノ酸受容体ペプチド(AP)配列内のリシン側鎖を速やかにビオチン化する。例えば、Beckett, D.らの論文 Protein Sci. 1999 Apr;8(4):921-9を参照されたい。それは全体において引用により取り込まれている。その後、ビオチン化されたAPタグ化タンパク質は、ストレプトアビジン被覆ナノクリスタルを用いて単一分子レベルで安定に追跡されることができる(Howarth, M.らの論文 2005)。ストレプトアビジン標識化の高安定性は、大部分の抗体-抗原相互作用に特徴的である分オーダーの可逆性を回避する(Green, N.M. (1990). Methods Enzymol. 184, 51-67、それは全体において引用により取り込まれている。)。しかし、以前の研究において使用されたナノクリスタルのサイズ及び多価性は、レセプタ拡散及び輸送に関する信頼性が高い定量的データを得るための障害である(例えば、Groc, L., (2004). Nat.Neurosci. 7, 695-696;及び Howarth, M.らの論文 (2005). Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A. 102, 7583-7588を参照されたい。その各々は全体において引用により取り込まれている。)。市販のストレプトアビジン-ナノクリスタルは、1粒子にあたり4〜10コピーの四価のストレプトアビジンを有する(例えば、Grecco, H.E.らの論文 (2004). Microsc.Res.Tech. 65, 169-179を参照されたい。それは全体において引用により取り込まれている。)。これは、1ナノクリスタルあたり16〜40の可能なビオチン結合部位を与える。加えて、特定の市販のナノクリスタルの最高30%は、二量体化又は三量化され得る(Nehilla,B.J.らの論文 (2005). J. Phys. Chem.B Condens. Matter Mater. Surf. Interfaces. Biophys、それは全体において引用により取り込まれている。)。
【0055】
四量体ストレプトアビジンで細胞表面タンパク質を標識化するときに架橋結合を回避するため、4つよりもむしろ1つのビオチン結合部位を有するストレプトアビジンが開発された(例えば、Howarth, M.らの論文 (2006). Nat.Methods 3, 267-273;及び表題「一価ストレプトアビジン組成物(Monovalent streptavidin compositions)」の米国特許出願公開番号第2007/0099248号を参照されたい。その各々は全体において引用により取り込まれている。)。このストレプトアビジンは、野生型ストレプトアビジンとして同じ結合親和性、外れた速度(off-rate)及び耐熱性を有したが、細胞表面タンパク質の標識に用いたときに架橋結合が起こらなかった。
【0056】
改質ストレプトアビジンモノマーは、コア野生型ストレプトアビジンアミノ酸配列の改質を有することができる。ストレプトアビジンサブユニットの配列の改質は、野生型アミノ酸配列からの、ストレプトアビジンモノマーサブユニットのアミノ酸配列の変更である。ストレプトアビジンアミノ酸配列の改質は、その配列の1以上のアミノ酸残基を別のアミノ酸配列に置換することを含むことができ、1つのアミノ酸配列を野生型ストレプトアビジンの成熟配列中の別のものに置換すること(配列番号:1の残基25〜163)が、ストレプトアビジン・サブユニットの改質の例である。Genbankアクセッション番号P22629(配列番号:1)として示される配列の残基25は、成熟野生型ストレプトアビジンモノマーの一残基であると考えられ、配列番号:1の残基37は、野生型コアストレプトアビジン配列の一残基であると考えられる。この番号付け方法を用いて、本発明の幾つかの改質モノマーの調製において変更される残基は、残基N23、S27及びS45を含む。改質ストレプトアビジンモノマーサブユニットの例は、Dサブユニットであり、以下の置換を含む:成熟野生型ストレプトアビジンモノマーのアミノ酸配列の位置23でN―>A;成熟野生型ストレプトアビジンモノマーのアミノ酸配列の位置27でS―>D;及び成熟野生型ストレプトアビジンモノマーのアミノ酸配列の位置27でS―>Aである。
【0057】
野生型ストレプトアビジン:
【化6】

【0058】
デッド(D)モノマー配列として記載される配列は、以下の置換アミノ酸残基を含む:N23A、S27D及びS45A(成熟野生型ストレプトアビジン配列の番号付けに基づく番号付け、これは配列番号:1のアミノ酸1〜163に相当する)。デッドモノマー配列は、配列番号:3として本明細書中に記載される。上記のアライブ(A)モノマーサブユニットの配列は、未改質コア野生型ストレプトアビジンモノマー配列を有し、His6精製タグを含むこともできる。幾つかの実施態様では、アライブ(A)モノマーは、精製タグを有しない。His6タグを有するアライブ ストレプトアビジン モノマー サブユニットは、配列番号:4として本明細書中に記載される。本発明の幾つかの方法及び調製に使用するため、配列番号:2、3、及び4の配列は、開始メチオニンでプラスミドにコード化され、その後E.コリによって取り除かれる。開始メチオニンの存在がコア配列の変更でなく、従って改質でないことが理解されよう。
【0059】
デッドモノマー(Dead Monomer):
【化7】

【0060】
アライブモノマー(Alive monomer):
【化8】

【0061】
His6タグを有するアライブモノマー:
【化9】

【0062】
一価ストレプトアビジン(mSA)四量体は、ビオチンへの野生型ストレプトアビジン結合親和性を維持する1つの野生型ストレプトアビジンモノマーサブユニット又はその断片、及び野生型ストレプトアビジンアミノ酸配列から改質されたアミノ酸配列を有する3つの改質ストレプトアビジンサブユニットを含む。本発明の一価ストレプトアビジン四量体に使用される改質ストレプトアビジンサブユニットの1つの型は、本明細書中において、デッド(D)型ストレプトアビジンモノマーサブユニットと称され、改質ストレプトアビジンモノマーサブユニットである。本発明の好ましい一価ストレプトアビジン四量体は、野生型及び改質ストレプトアビジンサブユニットを1:3の比率で含む。一価ストレプトアビジン四量体は、単一官能性ビオチン結合サブユニットのみを含む。幾つかの好ましい一価ストレプトアビジン四量体において、3つの改質ストレプトアビジンモノマーサブユニット全ては、同じ型の配列改質を有する。
【0063】
また、野生型ストレプトアビジンモノマーサブユニットは、一価ストレプトアビジンポリマーの調製及び精製のために使用され得る精製タグを含むことができる。野生型ストレプトアビジンモノマーサブユニットは、必要としないが、以下から成る一価ストレプトアビジンポリマーの調製及び精製のために使用され得る精製タグを含むことができる。精製タグを使用せずに一価ストレプトアビジンポリマーを精製する別法の1つの例を挙げると、イミノビオチンカラムを用いる種々の四量体の分離がある。イミノビオチンカラムでは、D4四量体はカラムに結合せず、他のストレプトアビジン四量体がA1D3、A2D2、A3D1の順に溶出し、その後pHを下げて、後の四量体を有するA4が溶出する。当業者は、付加的な方法が、AとDストレプトアビジンサブユニットの異なる比を有するストレプトアビジン四量体の分離及び/又は精製に使用できることを認識するであろう。
【0064】
DHLA-PEG-CO2Hで被覆したナノクリスタルは負の表面電荷を有し、アガロースゲル電気泳動においてより速く移動し、1キロベースのDNAと類似の移動度を有する(図2B)。His6タグ化タンパク質は、イミダゾール基とナノクリスタルのCd/ZnSシェルとの多座配位相互作用によって、これらのナノクリスタルに効率的に連結されることができる(Clapp,A.R.らの論文 (2004). J.Am.Chem.Soc. 126, 301-310、それは全体において引用により取り込まれている。)。DHLA-PEG-CO2Hナノクリスタルを、単一His6-タグを含む異なる濃度の一価ストレプトアビジンとともにインキュベートし、電気泳動によって分析したとき、ナノクリスタル移動度の著しいラダーを得た。観察された不連続かつ鋭いバンドは、ナノクリスタルに連結したストレプトアビジンの異なる数に相当する(図10A)。このようなラダーは、以前まで、タンパク質がナノクリスタルに連結した後に観察されたが、精製については示されていなかった。例えば、Pinaud, F.らの論文 (2004). J.Am.Chem.Soc. 126, 6115-6123;及びPons, T.らの論文 (2006). J.Phys.Chem.B Condens.Matter Mater.Surf.Interfaces.Biophys. 110, 20308-20316を参照されたい。その各々は全体において引用により取り込まれている。電気泳動分離は、ナノクリスタルあたり単一の一価ストレプトアビジン(mSA) (すなわち一価ナノクリスタル)を有するナノクリスタルを生成するための最適ストレプトアビジン濃度の簡単な較正を可能にした。mSAの連結は、His-タグのないタンパク質のこれらのナノクリスタルへのEDC連結に関して通常得られる収率<10%とは異なり、ほぼ定量的であった。さらに、一価ナノクリスタルは、ゲルから目に見えるバンドを切除し、遠心によりナノクリスタルをアガロースから分離することによって、簡単に精製することができた。これらの一価ナノクリスタルの回収後、アガロースゲルで再検査したとき、0又は2コピーのストレプトアビジンに結合したナノクリスタルは検出されなかった(図10B)。これは、一価ナノクリスタルが良好な純度で単離されたことを示した。
【実施例】
【0065】
(材料及び分析)
全ての化学物質は、Sigma Aldrich社から得て、受け取ったままの状態で用いた。空気感受性物質は、Omni-Lab VACグローブボックス中、<0.2ppmの酸素レベルの乾燥窒素雰囲気下で扱った。全ての溶媒は、分光光度的等級で、EMD Biosciencesから購入した。アミンを含む化合物は、ニンヒドリン溶液を用いて薄層クロマトグラフィ(TLC)プレート上で視覚化した。他の全てのTLCプレートは、ヨウ素染色によって視覚化した。NMRスペクトルは、Bruker DRX 401 NMR分光計で記録した。ESI-MSは、Applied Biosystems QTrap 質量分析計(Forster City, CA)で測定した。試料は、2.5pmol/μLの濃度でアセトニトリル、水及び酢酸(50:50:0.01v/v)の溶液に溶解し、シリンジポンプを介して20μL/分の流速で導入した。全てのポリ(エチレン)グリコール化合物は分子量配布を生じ、44m/zで分離した。分布の最大質量は、全ての試料のESI-MS特徴付けにおいて報告する。UV- Vis吸光度スペクトルは、HP 8453ダイオードアレイ分光光度計を用いて得た。光ルミネセンススペクトルは、SPEX FluoroMax-3分光蛍光計で記録した。全ての溶液の吸光度は、内部フィルタ効果を回避するために、0.1OD以下を保持した。ゼータ電位測定は、Zeta PALS計測器(Brookhaven Instruments社)で行った。
【0066】
(ゲル濾過装置)
GFCは、Superose 6 10/300GLカラムを備えた、Amersham BiosciencesのAKTAprime Plusクロマトグラフィーシステムを用いて行った。リン酸緩衝生理食塩溶液(1X PBS)を移動相として、0.5mL/分の流速で使用した。典型的注入量は50μLとした。検出は、280nmで吸収を測定することにより達成し、蛍光スペクトルは、Ocean Optics LS-450 LED光源から460nmでの励起を有するOcean Optics SD2000光ファイバ分光器を用いて、設定された時間間隔で同時に記録した。カラムは、MW1.3〜158kDaの範囲で、Bio-Radからゲル濾過タンパク質標準(cat. 151-1901)を用いて較正した
【0067】
(動的光散乱)
光散乱分析は、DynaPro Dynamic Light Scattererを用いて行った。全てのナノクリスタル試料は、濃度0.5〜2μMであり、分析の前に0.02μmフィルターを通して濾過した。典型的カウント速度は、85〜150kHzであった。それぞれの自己相関関数(ACF)を10秒間得て、測定値につき10分間を平均化した。ソフトウェアフィルターを使用し、平方誤差の総和>15で全てのACFフィットを切り捨てた。結果として生じるACFは、非負最小二乗フィッティングアルゴリズムを使用するDynamics V6ソフトウェアを用いてフィットさせた。流体力学的サイズデータは、質量加重サイズ分布分析から得て、3組測定値の平均として報告した。
【0068】
(CdSe(ZnCdS) コア(シェル)ナノクリスタルの水可溶化)
ナノクリスタル上の自然TOPO/TOP表面配位子の、PEG誘導体化配位子との交換は、幾つかの変更態様で、以前に報告された手順に従って行った(Uyeda, H. T.らの論文 J. Am. Chem. Soc. 2005, 127, 3870-3878、それは全体において引用により取り込まれている。)。ナノクリスタル成長溶液0.2mLに、混濁するまでアセトンを加えた。遠心及びデカントの後に、ニートのDHLA-PEG 誘導体化配位子50μL、及びMeOH 10μLを加えた。混合液を、60℃で2.5時間撹拌し、0.3mLのエタノール、0.05mLのクロロホルム、及び0.5mLのヘキサンを連続して加えることによって沈殿させた。3000gで2分間の遠心により、上清を得て、それを廃棄した。ペレットを、0.5mLのPBSに分散し、0.2μmフィルターを通して濾過した。当該試料を、凝集ナノクリスタルの除去のためにゲル濾過クロマトグラフィを用いて浄化し、画分をVivaspin-6 10,000スピン濃縮器を用いて3500gで濃縮した。ナノクリスタル調製の典型的濃度を8μMとした。水のQYを〜40%とした。
【0069】
(量子収率測定)
565nm発光ナノクリスタルのQYを、490nmで励起を有するローダミン590に対して測定した。ナノクリスタルのPBS溶液及び色素のエタノール溶液を、励起波長で光学的に一致させた。QD及び色素の蛍光スペクトルを、同じ分光器状態下、3組で得て、平均化した。ピークの光学濃度を0.1以下に保ち、屈折率及び濃度の違いについて較正した発光スペクトルの積分強度を用い、発光QYNC = (吸光度)色素/(吸光度)NC x (ピーク面積)NC/(ピーク面積)色素 x (nNC溶媒)2/(n色素溶媒)2 x QY色素により、量子収率を計算した(例えば、Eaton, D., IUPAC. 1988, 60, 1107-1114を参照されたい。それは全体において引用により取り込まれている。)。
【0070】
(ジアミノ-PEG(化合物1))
配位子の合成は、下記スキーム1においても例示される。ニートのポリ(エチレングリコール)(平均MW 400)(20.0g、48.3mmol)を、撹拌しながら80℃で1時間、脱気し、微量の水を除去した。フラスコをN2で充填し、氷浴で冷却し、塩化チオニル(10.51mL、145.0mmol)をゆっくり加えた。溶液を室温に暖め、2時間撹拌した。変換を、IRスペクトルにおいて3500cm-1の幅広いO-H伸縮の消滅、及び730cm-1のC-Cl伸縮の出現によってモニターした。生成物をDMF(20mL)で希釈し、溶媒を減圧下で除去した。これを、残余塩化チオニルを全て除去するために、3回繰り返した。その試料をアジ化ナトリウム(9.42g、145.0mmol)のDMF溶液250mLに溶解し、85℃で一晩撹拌した。減圧下で溶媒を除去し、200mLのジクロロメタンを加えた。沈殿物を減圧濾過によって除去し、溶媒を減圧下で留去し、中間体のアジド官能化生成物を得た。転換を、IRスペクトルにおいて2100cm-1の鋭いアジド伸縮の出現、及び730cm-1のC-Cl伸縮の消滅によって確認した。その試料を300mLのテトラヒドロフランに溶解し、トリフェニルホスフィン(27.9g、106mmol)を加えた。溶液を室温で4時間撹拌し、4mLの水を加え、一晩撹拌した。溶媒を減圧下で除去し、100mLの脱イオン水を加えた。沈殿物を減圧濾過で除去し、濾液をトルエン(3×50mL)で洗浄した。溶媒を減圧下で除去し、純粋生成物を淡黄色オイルとして得た(15.5g、78%)。
【化10】

【0071】
(チオクト酸NHSエステル(TA-NHS))
リポ酸(5.00g、24.23mmol)及びNHS(3.35g、29.1mmol)のTHF溶液150mLに、0℃で、DCC(6.00g、29.1mmol)のTHF溶液10mLを加えた。混合液を室温に暖め、5時間撹拌した。沈殿物を減圧濾過により除去し、溶媒を減圧下で留去した。粗生成物を、100mLの酢酸エチルに再溶解し、減圧濾過によって再度濾過した。生成物を、熱い酢酸エチル:ヘキサン(1:1 v/v)の溶液から、淡黄色固体として再結晶した(5.88g、80%)。
【化11】

【0072】
(TA-PEG-NH2(化合物2))
化合物1(12g、29.1mmol)及び炭酸水素ナトリウム(2.44g、29.1mmol)のDMF/水(100mL、50:50 v/v)溶液に、0℃で、リポ酸-NHS(1.60 g, 5.27 mmol)の10 mL DMF溶液を1時間かけて滴下添加した。溶液を室温に暖め、一晩撹拌し、クロロホルムで抽出した(3×30mL)。合わせた有機抽出液を水(3×30mL)で洗浄し、Na2SO4で乾燥し、濾過し、溶媒を留去した。粗生成物をアルミナカラム(ジクロロメタン/メタノール95:5)によって精製し、最終生産物を黄色オイルとして得た(1.90g、60%)。
【化12】

【0073】
(TA-PEG-CO2H(化合物5))
化合物2(1.90g、3.16mmol)及びトリエチルアミン(0.320g、3.16mmol) のジクロロメタン溶液(30mL)に、0℃で、メチルマロニルクロリド(0.475g、3.48mmol)のジクロロメタン溶液 (10mL)をゆっくり滴下した。溶液を室温で4時間撹拌し、溶媒を減圧下で除去した。粗生成物をシリカカラム(ジクロロメタン/メタノール95:5)によって精製し、溶媒を留去して、純粋生成物(化合物3)を黄色オイルとして得た(1.97g、89%)。メチルエステルの脱保護は、メタノール中の3.5当量のNaOHを用いて、 60℃で5時間撹拌することによって達成した。溶媒を3M HClでpH 7に中和した後、減圧下で除去した。生成物を水に溶解し、pH 2に酸性化し、クロロホルム(3×20mL)で抽出して、純粋生成物を定量的収率で得た。
【化13】

【0074】
(ジスルフィド開環(化合物3及び6)のための一般的手順)
TA-PEGの0.25M NaHCO3溶液(20mL)に、0℃で、4当量の水素化ホウ素ナトリウムを30分かけてゆっくり加えた。溶液を氷上で2時間撹拌し、3M HClでpH 2に酸性化し、クロロホルムで抽出した(3×15mL)。合わせた有機物をMgSO4で乾燥し、濾過した。溶媒を減圧下で除去し、生成物を無色オイルとして得た。
【0075】
(アガロースゲル電気泳動)
ナノクリスタルの電気泳動は、TAE (40 mM トリス-酢酸塩, 1 mM EDTA, pH 8.3)中1% Omnipurアガロース(EMD)を有するMinicell Primo (Thermo)を用いて、15分7.9 V/cmで行った。ナノクリスタルをTAEで150 nMに希釈し、6xローディング緩衝液(16% スクロース)と混合し、ゲルにロードした。ゲルを、ChemiImager 5500(Alpha Innotech社)を用いて305nm UV下で視覚化した。PBS中の一価ストレプトアビジンを、以前に記載されいるように調製した(Howarthらの論文. 2006)。野生型ストレプトアビジンを、PBS中に1mg/mLで溶解した。ナノクリスタル連結His6-タグの影響を試験するために、600nmで発光し且つ10mMのDHLA-PEG-CO2Hで被覆された、ホウ酸ナトリウムpH 7.4中の3μMナノクリスタルの5μLを、PBS 中27 uMの一価ストレプトアビジン5μLとともに1時間24℃でインキュベートした。その後、ストレプトアビジン連結を電気泳動で検査した。これらのナノクリスタルを、細胞の標識化のために50nMで用いた。
【0076】
(一価ナノクリスタルの精製)
PBS中8μMのナノクリスタル0.5μLを、PBS中の一価ストレプトアビジン(19μM)又はscFv(13μM)の指示量とともに、総量5μLにおいて1時間24℃でインキュベートした。一価ストレプトアビジンを開示されているように調製した(Howarthらの論文. 2006)mSA及びscFvは各々、Cd/ZnSシェルに安定して結合する単一His6-タグを含んだ(Clappらの文献, 2004)1-エチル-3-ジイソプロピルアミノカルボジイミド(EDC)の添加は、連結効率を変えなかった。ナノクリスタル-タンパク質連結の分析は、10mM ホウ酸ナトリウム(1 M HClを用いてpH 8.0に調整した)中1% Omnipurアガロース(EMD)を有するMinicell Primo (Thermo)を用いて、15分7.9 V/cmで電気泳動により行った。試料に6xローディング緩衝液(ddH2O中16%スクロース)を加え、ロードした。精製のために、緩衝液を氷上で冷却し、電気泳動装置を氷で囲み、ゲルを20分6.4V/cmで作動した。1ナノクリスタル対1 mSAのモル比を用いて、一価ナノクリスタル精製のための試料を生成した。ゲルを、分析用ChemiImager 5500(Alpha Innotech社)を用いて305nm UV下で可視化、又は精製のための周囲光下で肉眼により可視化した。関心対象バンドを外科用メスで切除し、Nanosep MF 0.2μmカラム(Pall)に配置し、24℃で3分間、5,000gで遠心分離した。この遠心は、下の収集管にアガロースから緩衝液及びナノクリスタル-タンパク連結体を回転させた(例えば、Loweth, C.J.らの論文 (1999). Angewandte Chemie-International Edition 38, 1808-1812を参照されたい。それは全体において引用により取り込まれている。)。アガロースからの抽出効率は、30〜50%(データ示さず)であった。
【0077】
(一価ストレプトアビジン色素官能化ナノクリスタルの連結)
ナノクリスタルにストレプトアビジンを連結させるために、10mMホウ酸ナトリウムpH 7.4中3μMのコントロール又は色素連結ナノクリスタルの5 μLを、PBS 中27uMの一価ストレプトアビジンの5μLとともに24℃で1時間インキュベートした。その後、これらのナノクリスタルを、細胞の標識化のために50nMで使用した。
【0078】
(細胞培養、標識化及びイメージング)
HeLa(ヒト癌)及びCOS7(アフリカミドリザル腎臓)細胞を、10%ウシ胎仔血清、50U/mLペニシリン及び50μg/mLストレプトマイシンを有するDMEMで生育した。トランスフェクションは、製造業者の指示に従って、リポフェクトアミン2000(Invitrogen)で行い、トランスフェクション後翌日に、細胞をイメージ化した。pEYFP-H2B(Platani Swedlow 2002)はA.K. Leung (MIT)の親切な贈り物であった。これは、核局所的同時トランスフェクションマーカーとして、EYFPに融合したヒストンH2Bをコード化する。LDLR-APは、ヒト低密度リポタンパク質レセプターのシグナル配列の後に挿入されたAPを有し、細胞外表示を可能にした。pEGFP(Clontech)のLDLRは、T. Kirchhausen(Blood Research (Center for Blood Research, Harvard Medical School)の親切な贈り物であった。細胞質同時トランスフェクションマーカーBFPは、R. Y. Tsien(UCSD)からの贈り物であった。pcDNA3(Invitrogen)のヒトEGFR遺伝子は、K. D. Wittrup(MIT)からの贈り物であった。APを、プライマー
【化14】

及び
【化15】

を用いて逆PCRによって、pEGFP-LDLRに挿入した。EGFPを、プライマー
【化16】

及びその逆補体を用いてQuikChange(商標)により除去した。構築物を、配列決定によって検査した。
【0079】
CHO ldlA7(A7)は、内因性LDLRを欠くCHOの変異体であり、M. Krieger (MIT, US)からの親切な贈り物であった。CHO、HeLa及びA7を、10%ウシ胎仔血清、50U/mLペニシリン、50μg/mLストレプトマイシン、1mMピルベート及び69mg/LでL-プロリンを有するDMEM中で生育した。DMEMはビオチンを含まないことが報告され(Invitrogen)、100%のウシ胎仔血清は〜 90nMビオチンを含む(例えば、Baumgartner, M.R.らの論文 (2004). Am.J.Hum.Genet. 75, 790-800を参照されたい。それは全体において引用により取り込まれている。)。細胞株を、48ウェルプレートの1ウェル当たり、1μlのリポフェクトアミン2000(Invitrogen)、0.1μgの関心対象の遺伝子及び5ngの同時トランスフェクションマーカーを用いてトランスフェクションした。細胞をBirA-ER及びAP融合によって同時トランスフェクションした場合、1ウェル当たり各プラスミド0.1μgを用いた。トランスフェクション後翌日に細胞をイメージ化した。MITガイドラインに従って、主要な海馬培養物を、E18-19ラットから調製した。簡潔には、海馬をパパインで分離し、ニューロンを200,000細胞/ウェルの密度で、イーグル基礎培地(BME)プラス5%ウシ胎仔血清の12mmカバースリップ上へ塗布した。カバースリップを、ポリ-D-リシン(Mw 300,000)(Sigma)(0.1mg/ml)、及びマウスラミニン(Invitrogen)(5μg/ml)でプレコートした。培養物を8時間 37℃で生育した後、更なる培養のために、培地を2% B27(Invitrogen)、0.5mMグルタミン、25U/mLペニシリン、及び25μg/mLストレプトマイシンで補充したNeurobasal培地(Invitrogen)と交換した。ニューロンを、DIV6でリン酸カルシウムを用いてトランスフェクションした。
【0080】
(プラスミド)
pEYFP-H2Bは、A.K. Leung (MIT, US)の親切な贈り物であった。これは、核局所的同時トランスフェクションマーカーとして、EYFPに融合されたヒトヒストンH2Bをコード化する。pcDNA3の強化青色蛍光タンパク質(R.Y. Tsienの親切な贈り物)を、細胞質内同時トランスフェクションマーカーとして使用した。LDLR-APはAPを有し、ヒトLDLRのシグナル配列の後に挿入し、その結果、APは細胞表面で露出された。pEGFPのLDLR(Clontech)は、T. Kirchhausen(Harvard Medical School, US)の親切な贈り物であった。APを、プライマー
【化17】

及び
【化18】

を用いて逆PCRによって、pEGFP-LDLRに挿入した。EGFPを、プライマー
【化19】

及びその逆補体を用いてQuikChange(商標) (Stratagene)により除去した。LDLR-Alaを、以前に開示されたプライマを用いてQuikChange(商標)によってLDLR-APから生じた(Chen, I.らの論文 (2005). Nat.Methods 2, 99-104;及びChen, I., Ting, A.Y. (2005). Curr.Opin.Biotechnol. 16, 35-40を参照されたい。その各々は全体において引用により取り込まれている。)。これらの変化は、DNA配列決定によって検査した。FH LDLR-APは、突然変異を含み、プライマー
【化20】

及びその逆補体を用いてQuikchange(商標)により生じた。CMVbipep-neoのGluR2-APは、開示されている(Howarthらの論文, 2005)。pCIのポストシナプスマーカーHomer1b-GFPは、Yasunori Hayashi (MIT, US)の親切な贈り物であった。BirA-YFP-ERは構造:Igシグナル配列-HAタグ-BirA-YFP-KDELを有し、PCRによってE.コリBirA及び黄色蛍光タンパク質(YFP)をpDisplay (Invitrogen)に挿入し、かつQuikChange(商標)によってKDEL ER保持配列及びBirAの直後の停止コドンを挿入して生成した。
【0081】
YFPを除去し、Quikchange(商標)によってBirA-ERを得た。pEF-BOSのEphA3-APは、Martin Lackmann (Monash University, Australia)からの親切な贈り物であった。APを、プライマー
【化21】

及び
【化22】

を用いてヒトEphA3のシグナル配列の直後に、逆PCRによって挿入した。pCIのヒト癌胎児性抗原(CEA)は、G. Prud'homme (University of Toronto, Canada)の親切な贈り物であった。pcDNA3のヒトEGFR-AP及びpDisplayのAP-CFP-TMは、開示されている(Chenらの論文, 2005)。
【0082】
(ナノクリスタルの非特異的結合)
エンドサイトーシスを最小化するためにPBS 中、5分間4℃に冷却されたHeLaを、10分間の0.5%透析ウシN,N-ジメチルカゼイン(Calbiochem)を含むPBS中の40nMナノクリスタルとともに4℃で10分間インキュベートした。その後、細胞を氷冷PBSで4回洗浄し、PBS中でイメージ化した。
【0083】
(細胞のビオチン化及び標識化)
細胞を、2.6μMビオチンリガーゼ及び10μMビオチン-AMPを含むPBS 5mM MgCl2中、24℃で10分間、ビオチン化した(Howarthらの論文, 2006)。その後、細胞をPBSで4回洗浄し、0.5%透析ウシN,N-ジメチルカゼイン(Calbiochem)を含むPBS中の20nMナノクリスタルとともに、24℃で5分間インキュベートした。細胞をPBSで3回洗浄し、PBS中24℃でイメージ化した。
【0084】
BirA-ERを発現する細胞株のイメージ化のため、トランスフェクション4時間に、細胞を、10μMビオチンで補充した通常の成長培地(Tanabe USA)中でインキュベートした。翌日に細胞をPBSで4回洗浄し、0.5%透析カゼインを含むPBS中の20nM一価ナノクリスタルとともに24℃で5分間インキュベートした。特異性検査のために、細胞を、100 nMの一価ストレプトアビジンAlexa Fluor 568((Howarthらの論文, 2006)に開示されているように調製)とともに、3%透析ウシ血清アルブミンを含むPBS中4℃で10分間インキュベートした。その後、細胞をPBSで3回洗浄し、ライブでイメージ化した。EphA3-APクラスター形成の分析のため、細胞を10分間上記のようにビオチン化し、PBS中で3回洗浄し、続いて、10nM一価のナノクリスタル又は多価性ナノクリスタル(6mSA:ナノクリスタルのモル比)とともに37℃で14分間インキュベートした。細胞を氷冷PBS中で3回洗浄し、4℃でイメージ化した。ニューロンのビオチン化及びイメージ化のために、PBSをタイローズバッファー(Tyrode's buffer)と置き換えた。
【0085】
(EDCカップリングによってナノクリスタルに連結されるストレプトアビジンでのEGFレセプター標識化)
COS7細胞を、48ウェルプレートの1ウェル当たり、0.2μgのpcDNA3 EGFR及び7.5ngのpcDNA3 BFPでトランスフェクションした。翌日に細胞を、5mM MgCl2、0.5%透析カゼイン及び90nMビオチン化EGF(Invitrogenからのビオチン-XX-EGF:長いスペーサアームを介してビオチンに単一サイトで連結したヒトEGF)を含むPBS中、室温で5分間インキュベートした。細胞をPBSで3回洗浄し、PBS、0.5%透析カゼイン及び70nM 20%アミノNC605-wtSAとともに5分間室温でインキュベートし、その後PBSで4回洗浄し、PBS中でイメージ化した。ネガティブコントロールとして、NC605-wtSAを500倍過剰量の遊離ビオチン(Tanabe, USA)とともに5分間室温でインキュベートし、その後、細胞に加えた。ビデオイメージ化のために、COS7細胞を、20 nM 20%アミノNC605-wtSAを用いた以外、上述のように標識化し、環境管理システム(Solent Scientific)を用いて、37℃で顕微鏡中に維持した。
【0086】
(EGFレセプターに結合されたナノクリスタル及び色素のFRETのイメージ化)
PBS中の5倍モル過剰量のhSAを、20%アミノNC558又は20%アミノNC558-Alexa Fluor 568とともに室温で30分間インキュベートし、ナノクリスタルシェルにhSAのHis6-タグを安定して結合させた。HeLaを、48ウェルプレートの1ウェル当たり、0.2μgのpcDNA3 EGFR及び5ngのH2B-YFPでトランスフェクションした。その翌日に、細胞を5mM MgCl2、0.5%透析カゼイン及び60nMビオチン化EGF(Invitrogenからのビオチン-XX-EGF:長いスペーサアームを介してビオチンに単一サイトで連結したヒトEGF)を含むPBSとともにインキュベートし、レセプター内部移行を停止させた。細胞を冷PBSで4回洗浄し、PBS、0.5%透析カゼイン及び40nM QD558-hSA又はQD558-hSA-Alexa Fluor 568とともに4℃で5分間インキュベートし、その後、冷PBSで4回洗浄し、イメージ化した。
【0087】
(蛍光及び位相差顕微鏡法)
HeLa細胞のイメージを、40x油浸レンズ及び3500でセットした増感Cascade IIカメラを有する落射蛍光顕微鏡(Photometrics)を反転したZeiss Axiovert 200Mを用いて、生細胞において収集した。YFP(495DF10励起、515DRLP二色性、530DF30発光)、Alexa Fluor 568(560DF20励起、585DRLP二色性、605DF30発光)、QD 565(405DF20励起、515DRLP二色性、565DF20発光)、及びQD 605(405DF20励起、585DRLP二色性、605DF30発光)イメージを収集し、Slidebookソフトウェア(Intelligent Imaging Innovations)を用いて分析した。典型的な暴露時間を0.1〜0.5秒とした。AlexaFluor 568蛍光は、30秒の強405DF20励起で退色した。蛍光イメージはバックグラウンド修正した。
【0088】
(原子力顕微鏡検査)
ビオチン化DNAを、pIVEX-BirA(A. Griffiths, MRC Laboratory for Molecular Biology, UKの親切な贈り物)から、プライマー
【化23】

及び
【化24】

(Eurogentec)を有するTaqポリメラーゼを用いて、95℃で30秒、50℃で30秒、72℃で1分間の27サイクルの条件により、PCRによって生成した。そのDNAを、TAE中、臭化エチジウム-染色2%アガロースゲルにおいて9.3V/cmで30分間泳動させた。唯一の119bp PCR産物をUV下で視覚化し、QIAquickゲル抽出キット(Qiagen)を用いてddH2Oに抽出し、一定分量を−20℃で保存した。9nMビオチン化DNAを、10mMホウ酸ナトリウムpH 7.3中、3nMナノクリスタルとともに24℃で1時間インキュベートした。20μL 0.1%ポリ-L-リシン(Mw 500-2000)(Sigma)を、新たに切断されたマスコバイト雲母V2(Electron Microscopy Sciences)上にピペットで取った。3分間の培養の後、その雲母を1mLのddH2Oで洗浄し、窒素流下で乾燥した。20μLのDNA-ナノクリスタル複合体を、その雲母上にピペットで取った。6分後に、その雲母を、1mLのddH2Oでリンスし、窒素流下で乾燥した。その雲母を、273.3kHz共鳴周波数で作動する名目上<10nm(Veeco Probes)のチップ半径を有するエッチングされたTESPシリコンプローブを使用して、タッピングモードでDimension 3100原子間力顕微鏡(Digital Instruments, Santa Barbara CA)を用いてイメージ化した。高さ及び位相画像を、2Hzの走査速度及び256×256ピクセルの解像度で、1×1μm域全体にわたって同時に収集した。得られたイメージを、Nanoscope v 5.30ソフトウェア(Digital Instruments)を用いて分析した。
【0089】
(蛍光相関分光法)
二光子蛍光相関分光法は、顕微鏡対物の下で溶液中のナノクリスタルの発光の自己相関を測定し、較正された焦点体積における所要時間の動態、したがって拡散定数を決定する。その結果、拡散定数は、ストークス-アインシュタイン関係式を介して流体力学的直径と関連する。手製の装置は、Ar+イオンレーザーでポンプされ且つ〜120 fsのパルス幅及び80MHzの繰返し率で作動する、Coherent Ti-Sapphire発振器(Coherent Mira)からの780nmの光により開始する。光線は、40x, 1.2NA水浸対物(Zeiss)を通して送られる。蛍光は、720長期通過二色(720 longpass dichroic)(Chroma) 400nmホログラフィックノッチフィルタ及び適当な帯域通過を通してフィルターした前記と同じ対物を通して収集される。その結果、光は、2つのアバランシェフォトダイオード(EG&G及びSPCM-AQR14)に、50/50ビームスプリッタを介して通過する。信号は、マルチタウ自己相関器カード(multi-tau autocorrelator card)(ALV GmbH)によって相互相関される。この相互相関は、測定のノイズを減らし、フォトダイオードのアフターパルスからの人為的影響を除去する。3D焦点体積ウエスト及びアスペクト比は、標準3Dガウス近似に従って較正される。アスペクト比は、最初に、既知濃度のRH = 22nmビーズ(Duke Scientific, 製品G40)を用いて計算される。その後、この比率は、一連の新にフィルターしたビード(RH=22 nm、28.5nm、35.5nm、44nm、Duke Scientific, G40, G50, G75, G80)に適用され、ビームウエストが決定される。これらの一致のためのR2値は、0.999よりも大きかった。本発明者らは、点滅、飽和及び光退色が測定に影響するであろう体制下になかったことを確実にするため、試料を励起力の範囲で測定した(例えば、Larson, D. R.らの論文 Science 300[5624], 1434-1436. 2003を参照されたい。それは全体において引用により取り込まれている。)。最終的な測定のために、DHLA-PEG-CO2Hナノクリスタルを光で満たした対物の後焦点面で、0.75 mWで励起し、市販のナノクリスタル-SAを0.5mWで励起した。試料をそれぞれ30秒の10回作動で測定し、r2値は平均的曲線>0.998であった。流体力学的直径を、開示されているように計算した(例えば、Schwille, P.らの論文(1996). Biochemistry 35, 10182-10193を参照されたい。それは全体において引用により取り込まれている。)。
【0090】
(抗体産生)
抗CEA scFv sm3Eのための分泌ベクターは、開示されている(Graff, C.P.らの論文 (2004). Protein Eng Des Sel 17, 293-304、それは全体において引用により取り込まれている。)。タンパク質二量体化を防ぐために、ジスルフィド結合を、残基R44及びG234をQuikChange(商標)でシステインに変異させて、scFvのVHとVL領域の間に挿入した。また、QuikChange(商標)を用いて、PEG化のためにHis6タグの直前のscFvのC末端にシステインを挿入した。プラスミドを、EZ 酵母キット(Zymo Research)を使用してYVH10酵母に変え、40μg/mLトリプトファンで補充されたSD-CAA培地に播種した。個々のコロニーを1Lのフラスコで増殖させ、開示されているように37℃で48時間分泌を誘発した(Graffらの論文, 2004)。透明な上清を、10kDa限外ろ過膜(Millipore)で濃縮し、製造業者のバッチ-カラムプロトコルに続いて、Hisタグ化タンパク質をTalon金属親和性樹脂(BD Biosciences)で精製した。モノマーscFvsを、Superdex 75カラム(GE Healthcare)によるサイズ排除クロマトグラフィーで更に精製し、PEG化緩衝液(100mMのNa2HPO4、500mMのNaCl、2mMのEDTA、pH 6.5)に溶出した。未改質scFvは、ナノクリスタルへの連結後に、分離したバンドを与えるにはあまりに小さい(27kDa)、しかし、scFvのPEG化は、抗原認識を損なうことなく、有効な水力学的サイズを著しく増加させる。PEG化のために、0.5-1mg/mLの濃度のscFvsを、5倍モル過剰量の5kDa PEG-マレイミド(Nektar)及び1mLの反応あたり150μLゲル濃度でゲルを減少する固定化トリス[2-カルボキシエチル]ホスフィン塩酸塩(TCEP)で共インキュベートした。C末端システインを還元する可溶性TCEP又はジチオスレイトールの代わりにTCEP樹脂を使用することにより、タンパク質中の部分的に覆い隠されたジスルフィド結合の還元を防止した。反応混合物を、ロッカー上で5時間、25℃でインキュベートした。その後、TCEP樹脂を遠心によって除去した。未反応PEGを、20mMのトリスHCl(pH 8.2 )で平衡化したHi-Qカラム(GE Healthcare)のイオン交換クロマトグラフィーによって除去した。PEG化scFvsを、0.5mL/分の流速で、Superdex 75カラム上の非連結化scFvsと分離し、PBS中に溶出した。PEG化効率及び連結体の純度は、SDS-PAGEによって評価した。
【0091】
(配位子合成)
ジアミン官能化ポリエチレングリコールは、安価かつ市販のPEG(平均MW 400)開始物質から、最小限の要求される精製工程とともに3段階の反応を介して高収率で合成した(スキーム1)。全収率は、30gスケール上で89%であった。全ての中間生成物は、FTIR分光法によって容易にモニターされた。
【0092】
【化25】

【0093】
化合物3(DHLA-PEG-NH2)との配位子交換後、ナノクリスタルは水分散性となり、単純なN-ヒドロキシスクシンイミジル(NHS)カップリング化学を経て、更なる共有結合性修飾され得る表面アミノ基を有した。
【0094】
あるいは、化合物2を更に修飾し、化合物6(DHLA-PEG-CO2H)を得て、配位子交換後に、水分散性カルボキシル表面基を有するナノクリスタルを与えた。
【0095】
示した合成スキームは、一末端にナノクリスタル表面への強い配位のための多座配位性部位、水溶性を伝達し且つ非特異的結合を減らす短いスペーサ、及び末端に更なる誘導体化を可能にするイオン化官能性を有するヘテロ二官能性配位子に関する単純な手段を提供する。さらに、全てのカップリングは、加水分解に対してエステル結合より安定であるアミド結合形成を介して達成されることができる。この特徴は、細胞環境が多くの非特異的エステラーゼを含み得る細胞標識化において、安定性に関して特に適切となり得る(例えば、Gerolf, V. Z., ACTA Path. Micro. IM. B. 1970, 78, 258-260を参照されたい。それは全体において引用により取り込まれている。)。
【0096】
(官能性親水性ナノクリスタルの配位子交換及び特徴付け)
565及び600nmで発光するナノクリスタルを、周知の文献手順に従って、幾つかの変更態様で合成した。簡潔には、Cd及びSe前駆体を熱い溶媒系に迅速に注入して、CdSeコアを形成した。続いて、そのコアを沈殿により精製し、配位溶媒中に再分散し、約5つの単層の合金ZnxCd(1-x)Sシェル(x≒0.7)でオーバーコートした。図1Aに示したように、合金シェルの形成は、シェル成長において、吸光度最大の30nmもの大きいレッドシフトが付随された。図1Aは、CdSeコア(黒)及びオーバーコーティング後のCdSe(ZnxCd(1-x)S))コア(シェル) (赤)のNC605吸収スペクトルを示す。1サイクルの沈殿後にヘキサン中のNC605を520 nmで励起した蛍光スペクトル(緑、QY=65%)、及び化合物3で配位子交換した後にPBS緩衝液中のNC605を520 nmで励起した蛍光スペクトル(青、QY = 43%)は、最小の減少を示す。
【0097】
合金シェルの使用は、純粋なZnSシェルでオーバーコートされたナノクリスタルと比較して水溶液への移動において、ナノクリスタルの量子収率を2倍も強化するとわかった。DHLA-PEG-NH2(化合物3)及びDHLA-PEG-CO2H(化合物6)を用いたCdSe(ZnxCd(1-x)S)コア(シェル)ナノクリスタルの配位子交換を、以前に報告されている手順に従って実施した(例えば、Uyeda, H. T.らの論文, J. Am. Chem. Soc. 2005, 127, 3870-3878を参照されたい。それは全体において引用により取り込まれている。)。簡潔には、成長溶液中のナノクリスタルの200μLを極性溶媒の添加によって沈殿させ、〜10mgの乾燥ペレットを得て、50μLのニートDHLA-PEG誘導体化配位子及び10μLのMeOHを加えた。混合物を、N2下、2.5時間、60℃で穏やかに撹拌し、エタノール、クロロホルム及びヘキサンの添加によって沈殿させた。3000gで2分間遠心し、過剰量の配位子及び有機可溶性不純物を含む透明上清を得て、それを廃棄した。ペレットを、0.5mLのリン酸緩衝食塩水(PBS、pH 7.4)中に分散させ、凝集体を除去するために0.2μmフィルタを通して濾過し、2サイクルの限外ろ過によって精製した。DHLA-PEG-NH2(化合物3)でキャップされたナノクリスタルの典型的QYは33%であり、一方、DHLA-PEG-CO2H(化合物6)でキャップされたナノクリスタルのQYは水可溶化後に43%と同じ程度であった。
【0098】
DHLA-PEG-CO2HでキャップされたナノクリスタルのHDを、動的光散乱(DLS)で測定し、NC605について〜11.2 nmであることがわかった。HD = 11.2nmを有する、PBS中の化合物3と配位子交換されるNC605の代表的DLSデータを示す図1Bを参照されたい。予想通り、化合物3又は化合物6で配位子交換された同じナノクリスタルのHDは、配位子コーティングの同程度のサイズに起因する約〜11 nmのほぼ同一のHDを示した。
【0099】
化合物3又は化合物6と配位子交換されたナノクリスタルの安定性を、pH 5からpH 9の範囲の水性緩衝液中で試験した。周囲実験室条件下の2日後に、ナノクリスタルは溶液中で十分な分散を維持した。以前の報告と整合したDHLA-PEG系配位子で被覆したナノクリスタルの優れたpH安定性を強調する。
【0100】
(混合配位子系を用いて表面電荷及び官能基価数の調整)
化合物3又は化合物6で配位子交換されたナノクリスタルは、それぞれ、中性緩衝液中において正及び負に荷電される表面を有し、不動態化PEGスペーサにもかかわらず非特異的結合に関与することができる。表面電荷は、ナノクリスタル表面上のアミン又はカルボキシ官能基の比率に加えて、化合物3又は化合物6と中性DHLA-PEG8-OHとの混合物を用いて配位子交換することにより調整されることができ、以前に報告された手順に従って合成される。異なるDHLA系配位子の混合物を用いる配位子交換の概念は、その全体において引用により取り込まれているUyeda, H. T.らの論文, J. Am. Chem. Soc. 2005, 127, 3870-3878によって最初に示された。同様に、本発明者らは、DHLA-PEG-NH2又はDHLA-PEG-CO2HとDHLA-PEG-OHとの比率を変化させた混合物を用いて配位子交換することにより、混合配位子水性ナノクリスタルを調製した。得られたナノクリスタルの表面電荷は、ゼータ電位及びアガロースゲル電気泳動(図2A及び2Bを参照)によって分析した。測定は、単にDHLA-PEG-NH2でキャップされたナノクリスタルが+36.2 mVのゼータ電位を有し、配位子混合物中の-NH2組成物の減少と共にほぼ線形様式で減少することを示した。類似の傾向がカルボキシ被覆ナノクリスタル(図2A)で観測され、電気泳動ゲル移動度(図2B)において反映された。また、100%DHLAで被覆されたナノクリスタルは比較のための測定に含められ、DHLAキャップ化ナノクリスタルが、より高い配位子充填密度及び/又はより小さい流体力学半径を有するため、100%のDHLA-PEG-CO2H被覆ナノクリスタルより高い負電荷を有することを示した。
【0101】
混合配位子系を用いる配位子交換は、表面電荷を調整し、ナノクリスタル表面上の官能基の1粒子当たりの価数を制御する。1ナノクリスタル当たりの反応性官能基数は、アミン被覆ナノクリスタルを、迅速に一級アミンと反応して487nmでモニターできる蛍光産物を形成する蛍光発生プローブのフルオレサミンに曝すことによって調査した。-NH2及び-OH官能化DHLA-PEGの様々な混合物で配位子交換したナノクリスタルを、繰り返し限外ろ過により精製し、過剰量の配位子を除去し、過剰量のフルオレサミンと反応させた。既知濃度で3の試料と反応後、フルオレサミンの蛍光強度を較正することにより、100%のDHLA-PEG-NH2配位子交換ナノクリスタルに対して〜140のアミン/ナノクリスタルの推定値を得た。これは、少し異なる方法を用いて得られた以前に報告された値と一致している(Ballou, B.らの論文, Bioconjugate Chem. 2004, 15, 79-86、それはその全体において引用により取り込まれている。)。さらにまた、キャップ-交換混合物において使用されるアミン末端配位子の割合と、1ナノクリスタル当たり検出されるアミンの量に関して、ほぼ線形の相関が得られた。
【0102】
これらの結果は、荷電及び中性DHLA-PEG系配位子の混合配位子混合物の使用が、得られる水溶性ナノクリスタルの最終的な表面組成及び電荷を正確に調整する単純かつ強力な方法を提供することを示唆した。このような混合配位子系は、ナノクリスタルが用途のために1粒子当たり高い十分な価数の表面アミノ又はカルボキシル基を示し、一方で、その非特異的結合を軽減し得る最小限度の荷電粒子表面を維持するための手段を提供することができる。
【0103】
(非特異的細胞結合の評価)
非特異的結合の問題は、細胞標識化用途に有用なナノクリスタルのために、特に、高いシグナル対ノイズ比が有意なデータを得るのに限界である単一分子イメージングのために対処されなければならない。ナノクリスタルイメージング実験において、非特異的細胞結合は、荷電ナノクリスタル配位子被覆を有する細胞表面の静電的相互作用に部分的に起因し、不完全な配位子交換の結果として、細胞膜の脂質とナノクリスタル表面上の残余の疎水性キャッピング配位子との疎水性相互作用によって生じる場合もある。例えば、Bentzen, E. L.らの論文, Bioconjugate Chem. 2005, 16, 1488-1494を参照されたい。それは全体において引用により取り込まれている。)。様々な配位子で被覆されたナノクリスタルをヒト細胞株に4℃で10分間曝した。その後、未結合のナノクリスタルを除去するために細胞を緩衝液で洗浄し、残余のナノクリスタル蛍光をイメージ化して、配位子組成物の機能として非特異的結合の効果を調査した。図3を参照。
【0104】
図3の全ての蛍光イメージは同一のカメラ条件の下で得られたものであり、それらを直接比較することができるように同じコントラストレベルで表示した。コントロール試料(図3A)は、細胞自己蛍光からの発光を示した。負荷電DHLAで被覆されたナノクリスタルは、細胞及びガラスに有意な非特異的結合を示した(図3B)。中性DHLA-PEG-OH被覆ナノクリスタルは、予想された最小の非特異的結合を示した(図3C)。このケースにおいて、細胞自己蛍光がはっきりと見られた。非特異的に結合した幾つかの個々のナノクリスタルを矢印で示す。意外なことに、アガロースゲルシフトによって示されるようにDHLA被覆ナノクリスタルと類似の電荷を有するDHLA-PEG-CO2H被覆ナノクリスタルも、中性PEG-OH官能化ナノクリスタルで見られた非特異的細胞結合と比べて、最小の非特異的細胞結合を示した(図3D)。負電荷にもかかわらずDHLA-PEG-CO2H被覆ナノクリスタルの非特異的結合の欠如は、非特異的結合の減少においてPEGスペーサの重要な役割を強調する(図3C)。しかし、ジヒドロリポアート(dihydrolipoate)部分が周囲条件下で数日のうちに部分的にその環閉形態に酸化したDHLA-PEG-CO2H試料で配位子交換を行ったとき、非特異的結合の程度は増加した。非特異的結合のこの増加は、配位子交換の効率の低下に起因していた。おそらく最初の疎水性キャッピングシェルの不完全な置換をもたらす。最小の非特異的結合のために、遮光下、<4℃、N2雰囲気下でDHLA系化合物を保存し、酸化を最小化することは重要であった。
【0105】
一方、DHLA-PEG-NH2被覆ナノクリスタルは、細胞膜へのひどい非特異的結合を示した(データ示さず)。これは、強く正に荷電したナノクリスタルと負に荷電した細胞膜との静電的相互作用に起因していた。しかし、-OH官能化DHLA-PEGに対して-NH2官能化DHLA-PEGの20%混合物で被覆したナノクリスタル(図3E)は、-OH官能化DHLA-PEG単独よりも非特異的結合を有意に示さなかった。
【0106】
これらの結果は、DHLA-PEG-CO2H及び20%DHLA-PEG-NH2被覆ナノクリスタルが細胞への最小の非特異的結合を示し、それらが細胞標識化及び単一粒子イメージング用途に適していることを示唆している。また、20%DHLA-PEG-NH2被覆ナノクリスタルは、ナノクリスタルの表面特性を所望の用途に合わせるため、混合配位子系を用いて配位子交換を行う重要性及び汎用性を示す。
【0107】
(FRET系検出のための色素への共有結合的連結)
ルーチン的誘導体化のための混合アミン/ヒドロキシル-PEGキャップ化ナノクリスタルの適合性を評価するために、80%-OH及び20%-NH2末端配位子で被覆したナノクリスタルを、赤色発光有機蛍光色素であるカルボキシ-X-ローダミン(ROX)のアミン反応性N-ヒドロキシスクシンイミジルエステル(図4A)と反応させた。ナノクリスタル光ルミネセンスと色素吸光度とのスペクトル重なり部分は、ナノクリスタルから色素への効率的なフェルスター共鳴エネルギー移動(FRET)を生じる。それ自体、この系は、最近調査されている化学的高感度ナノクリスタル-色素エネルギー移動系の良好なモデルとして役立つ(Snee, P. T.らの論文, J. Am. Chem. Soc. 2006, 128, 13320-13321、それは全体において引用により取り込まれている。)。
【0108】
ROXスクシンイミジルエステルとの反応後に、ナノクリスタルを、限外ろ過を介して未結合色素及びNHS副生成物から分離した。UV-Vis吸収スペクトルを用いて、精製前後の色素:ナノクリスタルのモル比をモニターした。図4Bは明らかに可視できる色素吸収ピークを有する出発ナノクリスタル、反応混合物及び精製物の吸収スペクトルを示す。ナノクリスタル及び色素寄与の合計としてのスペクトル一致は、混合時5.0、及び精製時2.9の色素:ナノクリスタル比を表し、これは58%のカップリング収率を表す。対照実験(図4C)において、同じバッチからのナノクリスタル試料を、同一の反応条件下で遊離酸形態のROXと混合した。精製に応じて3.4%未満の色素が残った。連結手順の温和条件下では遊離カルボン酸を有する一級アミンが反応しないことが予想されたため、予想通りであった。
【0109】
ナノクリスタル-色素対のFRET効率は、色素連結後にナノクリスタル蛍光消光の量を測定することによって、〜90%であると推定した。測定されたFRET効率、測定された1ナノクリスタル当たりの色素の量及びフェルスター距離(R0 = 5.6nm)から、分離距離はr=4.8nmであると計算された(例えば、Aaron R. Clappらの論文 ChemPhysChem 2006, 7, 47-57を参照されたい。それは全体において引用により取り込まれている。)。精製されたナノクリスタル-ROX連結体を、280nmでの吸光度のインライン検出及び460nmで励起した全スペクトル蛍光の獲得を用いて、ゲル濾過クロマトグラフィ(GFC)によってさらに特徴付けした。周知の流体力学的直径(HD)のタンパク質分子量標準(図4D)との比較により、調査中の試料についてサイズの表示を提供した。図4Eは、図4Bに示した精製ナノクリスタル-ROX連結体についてのGFC結果を示す。15.7mLの溶出量で、〜94kDのタンパク質等価分子量又は〜8.2nmのHDに相当し、DLSにより得られたHDと合理的に一致する、単一UV吸収特徴を検出した。この量での発光スペクトルは、それぞれ、ナノクリスタル及びROX発光波長に相当する、558nm及び610nmの2つの顕著な特徴を示した。ナノクリスタルに相当する溶出体積でのROX発光の存在は、ナノクリスタル及び色素が実際に結合していることを示す。
【0110】
対照的に、結合試料と同じ色素:ナノクリスタル比での遊離ナノクリスタルとROX色素との混合物のGFCは、連結体と同じ溶出体積でUV吸光度及びナノクリスタルシグナルを示したが、色素蛍光はなかった(図4F)。実際、色素は、装置により用いられた吸光度及び励起波長で、その低い吸収断面積のために全く検出されなかった:ナノクリスタルに結合した色素分子がFRETによって励起されるため、ROX蛍光は結合されたケースにおいて検出された。また、この実験において、非結合ナノクリスタルが15.7mLで溶出されたことは、色素結合がナノクリスタルHDを著しく変更しなかったことを示唆している。総合して、GFCデータは、NHSエステル型の小分子色素がナノクリスタルサイズを混乱させることなく混合配位子ナノクリスタルに共有結合できること、及び非活性化色素を用いたコントロール実験がカップリング/結合の徴候を示さないことを示した。
【0111】
(高親和性細胞標識化のためのストレプトアビジンへの共有結合)
ストレプトアビジン/ビオチン相互作用を解して、直接ナノクリスタルを膜タンパクに連結した標識化構築物を設計した。この方法は、かさ高い中間一次及び二次抗体の必要を回避した(例えば、Wu, X.らの論文, Nature Biotechnol. 2003, 21, 41-46を参照されたい。それは全体において引用により取り込まれている。)。直接の標識化は、関心対象のレセプターのいずれか末端に融合した受容体ペプチドと呼ばれる15アミノ酸認識配列の部位特異的ビオチン化のためのビオチンリガーゼ(BirA)の開発によって可能となった(図5;Howarth, M.らの論文, PNAS. 2005, 102, 7583-7588、それは全体において引用により取り込まれている。)。組換えBirA、ビオチン及びATPを細胞培地に添加することにより、APタグの特異的かつ効率的なビオチン化が可能であり、その後、ストレプトアビジンに連結されたナノクリスタル(ナノクリスタル-SA)を、ビオチン化されたタンパク質集団を視覚化するために適用することができる。
【0112】
従って、SA を、20%-NH2/80%-OH DHLA-PEG被覆ナノクリスタルに連結した。最初に、SAを、1000当量のEDC/NHSを用いてMES緩衝液(pH 5.5)中で30分間活性化した。カップリングを効率的に進行させるために、活性化SAをアミン-官能化ナノクリスタルに適用する前に、過剰カップリング試薬を限外ろ過によって除去することが重要であった。活性化SAを、重炭酸緩衝液(pH 8.4)中でナノクリスタルと混合し、1時間反応させ、限外ろ過によって精製した。ナノクリスタル-SAを、低密度リポタンパク質レセプター-受容体ペプチド融合構築物(LDLR-AP)でトランスフェクトしたHeLa細胞に、核同時トランスフェクションマーカーとして強化黄色蛍光タンパク質(EYFP)とともに適用させた。従って、核からのEYFP蛍光を示す細胞も、細胞表面上にLDLR-APを含む。ナノクリスタル-SAをLDLR-APのビオチン化後に50 nMで細胞培地に適用し、トランスフェクト細胞の表面にナノクリスタルの特異的結合を観察した(図6A)。隣接する非トランスフェクト細胞(EYFP核マーカーの欠如によって示される)は、ナノクリスタル-SA結合を示さず、標識化の高い特異性を明らかにした。また、非連結ナノクリスタルを適用したコントロール実験(図6B)、及びBirAを除外したコントロール実験(図6C)は、結合を示さなかった。図6において、赤はNC605チャンネル;緑、EYFPチャンネルを示す。図6Aは、BirAでビオチン化され、20% -NH/-OH DHLA-PEG被覆ナノクリスタルに共有結合したストレプトアビジンを用いて標識化したHeLa細胞上のAP-LDLRレセプターのイメージである。図6B及び6Cは、それぞれ、非結合ナノクリスタル用いたコントロール実験及びBirAのないコントロール実験である。
【0113】
一価ナノクリスタルを、家族性高コレステロール血症(FH)の個人から当初見つかった、欠失サイトゾル側末端での低密度リポタンパク質(LDL)レセプターの変異体の移動度を研究するために、使用した(例えば、Hobbs,H.H.らの論文, Annu. Rev. Genet. 24, 133-170 (1990)を参照されたい。それは全体において引用により取り込まれている。)。FH表現型は、レセプター、LDLの配位子に従って広範囲に分析されているが、この方法はレセプター自体の挙動を分析したものであった。wt APタグ化レセプターの速い内部移行を確認するために、mSA-Alexa Fluor 568を用いるパルスチェイスは、FHと比較した。ビオチン化AP-LDLレセプターに結合した単一の一価ナノクリスタルを、ナノクリスタル蛍光強度及び点滅よって示されるようにイメージ化した。一価ナノクリスタルで標識化したレセプターの移動度は、FHに関して、野生型LDLレセプターより著しく大きく(p=1.6x10-14)(図6D)、クラスリン被覆ピット(clathrin-coated pits)のアダプタによる野生型サイトゾル側末端の束縛と一致した(例えば、Michaely,P.らの論文, J. Biol. Chem. 279, 34023-34031 (2004)を参照されたい。それは全体において引用により取り込まれている。)。
【0114】
図6Dは、一価ナノクリスタルを用いたLDLレセプターの単一分子追跡の結果を示す。ヒストグラムは、野生型及びFH LDLレセプターのための単一分子拡散係数の異なった分布を示す。(コルモゴロフ-スミルノフD'統計= 0.317、片側、p=1.6x10-14)WTについて平均log(D), -1.36 (416トラック)。FHについて, -0.84 (256トラック)。
【0115】
(タンパク質のHis6-タグ結合)
DHLA-PEG-CO2H被覆ナノクリスタルは、アガロースゲル上の高移動度を示した。本発明者らは、これらのナノクリスタルを、単一ビオチン結合部位を含ストレプトアビジン(mSA)のHis6タグ化一価変異体とともにインキュベートし(例えば、Howarth, M.らの論文, Nat Meth 2006, 3, 267-273を参照されたい。それは全体において引用により取り込まれている。)、ナノクリスタルのゲル移動度の有意な減少を観察した(図7A)。おそらく、ナノクリスタル面(ナノクリスタル-mSA)上のタンパク質の金属-親和性駆動自己集合のためである。例えば、Pons, T.らの論文, J. Phys. Chem. B 2006, 110, 20308-20316を参照されたい。それは全体において引用により取り込まれている。野生型ストレプトアビジン(wtSA)とのインキュベーションは、His6-タグを特徴とせず、ゲル上のナノクリスタル移動度の変化はなかった(図7A)。連結タンパク質が生物学的官能性を保持したことを示すために、ナノクリスタル-mSAを細胞標識化において試験した。ビオチン化AP-LDLRを示すHeLa細胞にナノクリスタル-mSA添加することにより、高い程度の特異的結合が生じた(図7B)。非結合ナノクリスタル(図7C)、wtSAとインキュベートしたナノクリスタル(図7D)、及びBirAの添加のないナノクリスタル-mSA(図7E)を用いてラベル化を試みたコントロール実験は全て、予想通り、結合を生じなかった。さらにまた、これらのナノクリスタルの安定性、特異性及び高いQYは、長期間に渡って細胞表面上のLDLRの単一粒子追跡を可能にした。
【0116】
mSAへの連結は、単に、所望の比のナノクリスタル対His6タグ化タンパク質を混合し、続いて室温で1時間インキュベートすることにより達成された。細胞標識に適切なナノクリスタルを精製するためのカップリング剤又は精製工程は必要なかった。標的化細胞イメージ化用途のための生物学的官能性ナノクリスタルにおいて、この連結方法の容易性を強調する。さらにまた、His6-タグタンパク質連結後のナノクリスタルゲルシフトの独特な性質は、mSA対ナノクリスタルの所定の比が、ポアソン強度分布に従ってバンドのラダーを生じることである。各バンドは異なる数のmSAに結合したナノクリスタルを表している(例えば、Pons, T.; Uyeda, H. T.; Medintz, I. L.; Mattoussi, H., J. Phys. Chem. B 2006, 110, 20308-20316を参照されたい。それは全体において引用により取り込まれている。)。正確に1個のmSAに結合されたナノクリスタルに相当する第1バンドを分離することができる場合、真の一価ナノクリスタルを調製することができる。mSAの単一ビオチン結合部位は、1ナノクリスタル当たりmSAの単一コピーとともに、1ナノクリスタル当たり結合部位の量を正確に1個に減少し、1ナノクリスタル当たりwtSAを最大20含み従って1ナノクリスタル当たり最大80の結合部位を含む市販のナノクリスタルが有する大きな問題である、架橋タンパク質標的の任意の可能性を排除する。例えば、Medintz, I.らの論文, Nature Mater. 2005, 4, 435-446を参照されたい。それは全体において引用により取り込まれている。
【0117】
(共有及び非共有結合戦略の適用)
最初に、20%-NH2/80%-OH DHLA-PEGで被覆されたNC565を、アミド結合形成を介してAlexa 568 NHS-エステルに連結した。限外ろ過による精製の後、ナノクリスタルに対する色素の平均数は、UV-vis吸光度スペクトルから、〜1.3であると算出された。最小の色素吸光度がある420nm での励起は、ナノクリスタル及び色素発光を生じ、FRETの発生を示唆した。結合された色素のないナノクリスタルと比較してナノクリスタル蛍光の消光に基づき、FRET効率は、〜74%であると概算した。その後、ナノクリスタル-色素連結体をmSAとともにインキュベートし、標識化のためのビオチン化AP-LDLRを示すHeLa細胞に適用した(図8A〜8B)。ナノクリスタル及び色素からの2つの発光は、それぞれ、緑及び赤チャンネルにおいて見られ、標的細胞上の2つのチャンネルの共存は、ナノクリスタル-色素-mSA連結体の完全性を検査した(図8B)。長期間の420nm励起での強度照射に応じて、緑チャンネルにおけるナノクリスタル発光の回復とともに、赤チャンネルにおいて色素の退色が観察された。これは、細胞表面上の標的化ナノクリスタル-色素からFRETの発生を更に示唆している。結合された色素のないナノクリスタル-mSAを用いたコントロール試料は、長期照射の後に赤及び緑チャンネルの比率に違いはなかった。
【0118】
(一価ナノクリスタルの特徴付け)
単離されたナノクリスタルの価数を確認するために、本発明者らは、3倍過剰量のモノビオチン化DNAとともにインキュベートした一価ナノクリスタル上の原子力顕微鏡検査(AFM)を行った(図11A)。AFMによって、ナノクリスタル及びDNAの単一分子が視覚化され、単一ビオチン化DNAに結合したナノクリスタルを示した。これにより、1ナノクリスタル当たり単一ビオチン結合部位の存在が支持された。数コピーの一価ストレプトアビジンで連結されたナノクリスタル(多価性ナノクリスタル)を同じように分析したとき、DNAの複数コピーがナノクリスタルに結合した。多価ナノクリスタルは、mSA余分コピーがナノ粒子サイズに寄与した結果として、AFMでより大きく現れた。
【0119】
また、一価抗体断片の単一コピーに結合したナノクリスタルを、アガロース電気泳動によって精製した。図10Bを参照されたい。腫瘍マーカー癌胎児性抗原と例外的に強く結合する酵母表面表示によって選択された単鎖Fv抗体を選択した(Graffらの文献、2004)。一価抗体-ナノクリスタルを同様に精製し(図13A〜13B)、特異的に標識された癌胎児性抗原は細胞表面で発現した(図13C)。一価抗体-ナノクリスタルは、LDLR-APで代わりにトランスフェクトされた細胞を標識せず、非連結ナノクリスタルは、癌胎児性抗原を結合しなかった。タンパク質は、価数に従ってナノクリスタル連結体を分離するために、>50kDaであることを必要とした。また、価数に従うナノクリスタルの電気泳動分離は、市販のポリアクリル酸被覆ナノクリスタルに効率的であったが、これらのナノクリスタルは細胞に容認できないほど高い非特異的粘着を与えた。以前に観察されたように、PEG-アミン被覆ナノクリスタルは、低い非特異的結合を有したが、価数に従って分離できるだけのゲル上での十分な移動はなかった。例えば、So, M.K.らの論文. (2006). Nat.Biotechnol. 24, 339-343を参照されたい。それは全体において引用により取り込まれている。
【0120】
(トランスフェトされたBirA-ERは、一価ナノクリスタルの標的化を可能にする。)
生細胞の表面上の受容体ペプチドタグ化タンパク質を、組換えビオチンリガーゼを培地に添加することによってビオチン化した(Howarthらの論文, 2005;Chenらの論文, 2005)。細胞生物学のためのストレプトアビジン-ナノクリスタルを有するレセプターの標識化及び生きている動物における潜在的用途を単純化するために、細胞を、イムノグロブリンシグナル配列を有する小胞体(ER)に目標化されたビオチンリガーゼによってトランスフェクトし、KDEL C末端配列(BirA-ER)によって小胞体において保持された。分泌経路において発現されるビオチンリガーゼは、以前、レセプター追跡のためにでなく遺伝子治療及び抗体修飾用途のために使われていた。例えば、Nesbeth, D.らの論文 (2006). Mol.Ther. 13, 814-822;及びBarat,B., Wu,A.M. (2007). 「小胞体に保持されるビオチンリガーゼによる組換え抗体の代謝ビオチン化(Metabolic biotinylation of recombinant antibody by biotin ligase retained in the endoplasmic reticulum.)」 Biomol.Eng.を参照されたい。その各々は全体において引用により取り込まれている。
【0121】
BirA-ERは、低密度リポタンパク質レセプター(LDLR)に縮合されるAPを効率的にビオチン化し、細胞表面をストレプトアビジン-色素で標識化できる(図9B及び11B)。BirA-ERは、内因性細胞表面タンパク質をビオチン化しなかった。これは、BirA-ERがAP(LDLR-Ala)(図11B)の変異体を有するネガティブコントロール構築物とともに発現される場合、細胞がストレプトアビジンで染色されないためである。この方法は一般に効果的であった:BirA-ERを、また、上皮細胞成長因子レセプター及びHeLa細胞のAP及びニューロンのGluR2-APに縮合したEphA3を標識するために使用した(図15B)。この概略は、サイトゾルのビオチンリガーゼによるレセプタービオチン化の以前の報告と対照をなす。それは、ビオチン受容体領域のサブセットをビオチン化するのみである。通常の成長培地のビオチン(〜9 nM)は、ERにおいてAP融合体のビオチン化に充分であり得る(例えば、Baumgartner, M.R.らの論文 (2004). Am.J.Hum.Genet. 75, 790-800を参照されたい。それは全体において引用により取り込まれている。)。しかし、トランスフェクションの日にビオチンで成長培地を補充することは、ビオチン化効率を改善することができる。10μMビオチンは、LDLR-APの最適ビオチン化を与えた。ビオチンは、1mMでさえ、HeLa又はニューロン培養物の生存度において、見かけ上の変化を生じなかった。ニューロンに関して、BirA-ERによる効率的APビオチン化を得るために、ビオチンで培地を補充する必要はなかった(図13)。
【0122】
一価ナノクリスタルを、小胞体のBirAによりビオチン化されるLDLR-APを標識するために用いた(図11B)。この場合において、本発明者らは、黄色蛍光タンパク質(YFP)のBirA-YFP-ERを含むBirA-ERの変形体を使用した。それは、BirA-ERと同等に振舞ったが、トランスフェクト細胞の視覚化も可能にした。一価ナノクリスタルは、AP発現細胞とのみ結合し、APタグの点変異を有するLDLR発現ネガティブコントロール細胞(LDLR-Ala)と結合しなかった。これは、一価ナノクリスタルが、市販のストレプトアビジン-ナノクリスタルと同様に細胞標識化の高い特異性を保持することを示した(Howarthらの文献、2005)。
【0123】
(ナノクリスタル一価性は、レセプター活性化及び移動度の障害を回避する)
レセプターのクラスター形成は、シグナル伝達を活性化させる一般的な方法である。一方で、単一粒子追跡のために使用されるナノ粒子は、多くの場合、多価性である(例えば、Saxton,M.J., Jacobson,K. (1997). Annu.Rev.Biophys.Biomol.Struct. 及びJaiswal, J. K. 及びSimon, S. M. Trends Cell Biol. 14[9], 497-504. 2004を参照されたい。その各々は全体において引用により取り込まれている。)。発生及び転移の細胞運動において重要な役割を有するエフリンに対するレセプターであるチロシンキナーゼEphA3は、エフリン被覆ビーズによってクラスター化されたときにリン酸化された。例えば、Wimmer-Kleikamp,S.H., Lackmann,M. (2005). IUBMB.Life 57, 421-431;及びWimmer-Kleikamp,S.H.らの論文 (2004). J.Cell Biol. 164, 661-666を参照されたい。その各々は全体において引用により取り込まれている。価数制御されたナノクリスタルを、EphA3-AP発現CHO細胞のイメージ化のために用いた。EphA3-APを、一価ストレプトアビジンの1つ又は複数のコピーに結合したDHLA-PEG8-CO2Hナノクリスタルとともにインキュベートした(図12)。一価ナノクリスタルは、レセプターを標識化し、細胞表面上に広い局所化を維持した。このパターンの染色は、EphA3-APが、Alexa Fluor 568色素に連結した一価ストレプトアビジンで標識化されたときと同じであった。対照的に、多価性ナノクリスタルは、エフリンビーズ刺激で観察されたように、EphA3-APをクラスター化し、内部移行を誘発した。市販の(多価性)ストレプトアビジン-ナノクリスタルは、同様に、レセプタークラスター形成及び内部移行を生じた。
【0124】
また、レセプター架橋結合は、レセプター細胞表面上のレセプター移動度において減少を生じた。家族性高コレステロール血症(FH)の個人から当初見つかった、欠失サイトゾル側末端での低密度リポタンパク質レセプター(LDLR)の変異体の移動度を検討した。低密度リポタンパク質の形態において、LDLRは、末梢によるコレステロールの取込みのキー・レセプターである。この欠失変異体は、被覆ピット及び減少したエンドサイトーシスのレセプターの保持を破棄する。LDLRは、その配位子LDLの標識化によって、単一分子レベルで以前にイメージ化されている。配位子結合及び非結合レセプターが同じ輸送挙動を有する場合、それはまだ明白でない。レセプターFH LDLR-APを、外因性ビオチンリガーゼでビオチン化し、一価又は多価ナノクリスタルを加えることによって標識化した。ナノクリスタル蛍光強度及び点滅によって示されるように、単一レセプター結合ナノクリスタルは、個々にイメージ化されることができる(例えば、Nirmal,M.らの論文 (1996). Nature 383, 802-804を参照されたい。それは全体において引用により取り込まれている。)。一価ナノクリスタルで標識化したレセプターの移動度は、多価性ナノクリスタルで標識かしたものよりも実質的に大きく、これは多価性ナノクリスタルによるレセプター架橋と整合していた。
【0125】
(一価ナノクリスタルは、抗体と同等のサイズを有する。)
多くの細胞位置のために、レセプターに結合されたナノ粒子のサイズは、レセプター移動度に著しく影響を及ぼさない。例えば、Borgdorff, A.J., Choquet,D. (2002) Nature 417, 649-653;Kusumi, A.らの論文 (2005). Annu.Rev.Biophys.Biomol.Struct. 34, 351-378;及びThoumine, O.らの論文 (2005) Biophys.J. 89, L40-L42を参照されたい。その各々は全体において引用により取り込まれている。サイトゾル側末端の膜貫通らせん及び相互作用は、多くの場合、レセプター移動度の決定要因である(Saxton及びJacobson, 1997)。しかし、特定の限られた位置のために、ナノ粒子サイズは、著しく移動度が遅れ得る、又は標識化、とりわけ、わずか24-30nm広さのニューロンシナプスにおいて、混乱させ得る。例えば、Groc, L.らの論文 (2004). Nat.Neurosci. 7, 695-696;Howarth, M.らの論文 (2005). Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A. 102, 7583-7588;及びZuber, B.らの論文 (2005). Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A. 102, 19192-19197を参照されたい。その各々は全体において引用により取り込まれている。
【0126】
605nmで発光するDHLA-PEG8-CO2Hナノクリスタルは、11nmの流体力学的直径を与えた。これは、動的光散乱(DLS、表1)により、細胞表面標識化の標準プローブであるIgG抗体(9.7nm)及び単一粒子追跡で使用されるが制限的光安定性を有するプローブである非連結R-フィコエリトリン(11 nm)と比較して決定された。共通して使用される市販の605nmとして発光するストレプトアビジンナノクリスタルは、21nmの直径を有する。複数コピーよりも単一の一価ストレプトアビジンに結合したナノクリスタルの生成は、サイズをできるだけ小さく保つことに寄与しなければならない。本発明者らは、ナノクリスタルへの単一の一価ストレプトアビジンの結合に応じて、直径が1.2nmだけ増加することを見出した。ナノクリスタルサイズの別の測定方法、蛍光相関分光法(FCS)は、同程度の値を与えた(表1)。
【0127】
【表1】

【0128】
(小さいナノクリスタルは、AMPAレセプターのシナプス染色を改善する)
21nmから12nmにストレプトアビジン-ナノクリスタルのサイズを減らすことは、AMPAレセプターサブユニットGluR2を標識するため、シナプシスへのナノクリスタルのアクセスを改善した。解離培養の海馬ニューロンは、シナプスマーカーHomer1b-GFPであるGluR2-AP(Xiao,B.らのぶ (1998). Neuron 21, 707-716を参照されたい。それは全体において引用により取り込まれている。)、及びBirA-ERで同時トランスフェクトした。GluR2-APをBirA-ERによりビオチン化し、表面を一価ナノクリスタル又は市販のストレプトアビジンナノクリスタルで標識した。その後、ナノクリスタル及びシナプシスの共存を比較した(図13)。以前に観察された(Howarthらの文献、2005)ように、市販のナノクリスタルは、シナプシスから外れた大きい部分に存在された。しかし、一価ナノクリスタル標識はシナプシスで凝集した。これらのナノクリスタルの減少したサイズと整合し、正確にGluR2を標識する能力が向上した(例えば、Passafaro,M.らの論文 (2001). Nat.Neurosci. 4, 917-926を参照されたい。それは全体において引用により取り込まれている。)。
【0129】
(EGFR追跡)
アミノNC-SA連結体を、生細胞上のEGFレセプター(EGFR)の特異的細胞標識化、及び単一粒子追跡に適用した。EGFRは、細胞分裂の重要な活性化因子、及び多くの癌の療法に対して標的となる(例えば、Moasser, M. M., Oncogene 2007, 26, 6577-92を参照されたい。それは全体において引用により取り込まれている。)。EGFRシグナル伝達におけるレセプター関連及び内部移行の機構についての多くの疑問がまだ存在する。それらは、単一分子レベルでの研究を通じて最適に対処される。例えば、Lidke, D. S.らの論文, J. Cell. Biol. 2005, 170, 619-626, 及びTeramura, Y.らの論文, EMBO J. 2006, 25, 4215-22を参照されたい。その各々は全体において引用により取り込まれている。)。
【0130】
図16は、ヒトEGFRでトランスフェクトされた生細胞の標的を概略的に示す。COS7細胞を、ビオチン化EGF(bioEGF)でインキュベートし、その後、アミノNC-SAで染色した。ナノクリスタルをEGFRトランスフェクト細胞の表面に特異的に結合することが観察され、青色蛍光タンパク質(BFP)同時トランスフェクションマーカーにより示された。図17の左パネルを参照されたい。それは、生細胞上のEGFRへの20%アミノNC-SA連結体の標的化を示す。EGFR発現細胞は、BFP同時トランスフェクションマーカーによって示される。上列:NC558チャンネル。下列:BFP + DICチャンネル。左列:ビオチン化EGFで処理され、アミノNC-SAで染色されたEGFR トランスフェクトCOS7細胞。右列:アミノNC-SAが過剰な遊離ビオチンによって防がれたコントロール実験。スケールバー, 10μm。BFPマーカーの欠如によって示される隣接する非トランスフェクト細胞は、ナノクリスタル染色を示さず、標識化の特異性を示した。
【0131】
さらにまた、これらのナノクリスタルの光安定性、特異性及び高いQYは、細胞表面上上のEGFRとのEGF相互作用の単一粒子追跡を可能にした(図18 左:DICチャンネル。右:NC605チャンネル。明るさの大きい部分は自己蛍光を現し、ドットはナノクリスタルのクラスターを表す。スケールバー, 5μm)。個々のナノクリスタルは、それらの蛍光強度及び断続、又は点滅、挙動により同定し、標識化レセプターの活性輸送と整合した方法において細胞の表面上に動いて見られることができた。
他の実施態様は、添付の請求項の範囲内である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
価数制御された半導体ナノクリスタルの製造方法であって:半導体ナノクリスタルの集団を当該半導体ナノクリスタルに対して親和性を有する化合物と接触させ、化合物結合ナノクリスタルの分布を形成すること;及び、化合物結合ナノクリスタルの分布のメンバーを、それぞれのナノクリスタルに結合した化合物の数に従って分離することを含む、前記方法。
【請求項2】
さらに、ナノクリスタルと正確に1個の化合物が結合した、化合物結合ナノクリスタルの分布のメンバーを単離することを含む、請求項1記載の方法。
【請求項3】
前記化合物が、配位子を選択的に結合することができる、請求項2記載の方法。
【請求項4】
前記化合物が、正確に1個の配位子を選択的に結合することができる、請求項3記載の方法。
【請求項5】
前記化合物が、アビジン又はストレプトアビジンである、請求項2記載の方法。
【請求項6】
前記化合物が、一価アビジン又は一価ストレプトアビジンである、請求項5記載の方法。
【請求項7】
前記化合物が、ポリヒスチジンタグを含む、請求項5記載の方法。
【請求項8】
前記化合物が、抗体である、請求項3記載の方法。
【請求項9】
前記化合物が、単鎖抗体である、請求項8記載の方法。
【請求項10】
前記半導体ナノクリスタルが、式(I)の化合物を含む外部層を含む、請求項1記載の方法:
R1-L1-R2-L2-R3 (I)
(式中、
R1は、1つ以上の-O-、-S-、-C(O)-、-N(R4)-又は-C(O)N(R4)-で中断され;かつヒドロキシ、チオール、アミノ、窒素酸化物、ホスフィン又はホスフィンオキシドから選択される2つ以上の基によって置換された、直鎖又は分枝鎖のC1-C10アルキル、アルケニル、又はアルキニル鎖であり;
L1は、-C(O)-、-N(R4)C(O)-、-C(O)N(R4)-、-O-、-N(R4)-、-O-N(R4)C(O)-、-C(O)N(R4)-O-又は-(CR5R6)n-であり;
R2は-[(CR5R6)n-X-(CR5R6)n]m-であり、XはO、S、C(=O)又はN(R4)であり;mは、範囲0〜20の整数であり;
L2は、-C(O)-、-N(R4)C(O)-、-C(O)N(R4)-、-O-、-N(R4)-、-O-N(R4)C(O)-、-C(O)N(R4)-O-又は-(CR5R6)n-であり;
R3は、-(CR5R6)p-R7であり、R7は-COOH、-OP(O)(OH)OH、アミノ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ又はトリアルキルアミノであり;pは、0、1、2、3、4、5、又は6であり;
R4は、H又はC1-C6アルキルであり;
各R5及び各R6は、独立に、H、ヒドロキシ、アミノ、チオ、ニトロ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、アルキル、シクロアルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、アリール及びヘテロアリールから選択され;
各nは、独立に、0、1、2、3、4、5、又は6である。)。
【請求項11】
単一粒子をイメージ化する方法であって:
親和性タグを細胞表面タンパク質に結合させること;
該細胞を、該親和性タグに対して正確に1個の結合部位を有する正確に1個の化合物と結合した価数制御された半導体ナノクリスタルを含む組成物と接触させること;及び
該細胞及び半導体ナノクリスタルを実質的に同時にイメージ化することを含む、前記方法。
【請求項12】
前記親和性タグが、ビオチンである、請求項11記載の方法。
【請求項13】
親和性タグを細胞表面タンパク質に結合させることが、受容体ペプチド(AP)配列を含む融合タンパク質をビオチンリガーゼと接触させることを含む、請求項12記載の方法。
【請求項14】
前記半導体ナノクリスタルが、正確に1個の一価アビジン又は正確に1個の一価ストレプトアビジンと結合する、請求項13記載の方法。
【請求項15】
前記半導体ナノクリスタルが、式(I)の化合物を含む外部層を含む、請求項14記載の方法:
R1-L1-R2-L2-R3 (I)
(式中、
R1は、1つ以上の-O-、-S-、-C(O)-、-N(R4)-又は-C(O)N(R4)-で中断され;かつヒドロキシ、チオール、アミノ、窒素酸化物、ホスフィン又はホスフィンオキシドから選択される2つの以上基によって置換された、直鎖又は分枝鎖のC1-C10アルキル、アルケニル、又はアルキニル鎖であり;
L1は、-C(O)-、-N(R4)C(O)-、-C(O)N(R4)-、-O-、-N(R4)-、-O-N(R4)C(O)-、-C(O)N(R4)-O-又は-(CR5R6)n-であり;
R2は-[(CR5R6)n-X-(CR5R6)n]m-であり、XはO、S、C(=O)又はN(R4)であり;mは、範囲0〜20の整数であり;
L2は、-C(O)-、-N(R4)C(O)-、-C(O)N(R4)-、-O-、-N(R4)-、-O-N(R4)C(O)-、-C(O)N(R4)-O-又は-(CR5R6)n-であり;
R3は、-(CR5R6)p-R7であり、R7は-COOH、-OP(O)(OH)OH、アミノ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ又はトリアルキルアミノであり;pは、0、1、2、3、4、5、又は6であり;
R4は、H又はC1-C6アルキルであり;
各R5及び各R6は、独立に、H、ヒドロキシ、アミノ、チオ、ニトロ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、アルキル、シクロアルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、アリール及びヘテロアリールから選択され;
各nは、独立に、0、1、2、3、4、5、又は6である。)。
【請求項16】
前記式(I)の化合物が下記式:
【化1】

又は下記式:
【化2】

を有する、請求項15記載の方法。
【請求項17】
式(I)の化合物を含む外部層を含む、半導体ナノクリスタル:
R1-L1-R2-L2-R3 (I)
(式中、
R1は、1つ以上の-O-、-S-、-C(O)-、-N(R4)-又は-C(O)N(R4)-で中断され;かつヒドロキシ、チオール、アミノ、窒素酸化物、ホスフィン又はホスフィンオキシドから選択される2つの以上基によって置換された、直鎖又は分枝鎖のC1-C10アルキル、アルケニル、又はアルキニル鎖であり;
L1は、-C(O)-、-N(R4)C(O)-、-C(O)N(R4)-、-O-、-N(R4)-、-O-N(R4)C(O)-、-C(O)N(R4)-O-又は-(CR5R6)n-であり;
R2は-[(CR5R6)n-X-(CR5R6)n]m-であり、XはO、S、C(=O)又はN(R4)であり;mは、範囲0〜20の整数であり;
L2は、-C(O)-、-N(R4)C(O)-、-C(O)N(R4)-、-O-、-N(R4)-、-O-N(R4)C(O)-、-C(O)N(R4)-O-又は-(CR5R6)n-であり;
R3は、-(CR5R6)p-R7であり、R7は-COOH、-OP(O)(OH)OH、アミノ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ又はトリアルキルアミノであり;pは、0、1、2、3、4、5、又は6であり;
R4は、H又はC1-C6アルキルであり;
各R5及び各R6は、独立に、H、ヒドロキシ、アミノ、チオ、ニトロ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、アルキル、シクロアルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、アリール及びヘテロアリールから選択され;
各nは、独立に、0、1、2、3、4、5、又は6である。)。
【請求項18】
R1がHS-CH2CH2CH(SH)-(CH2)4-である、請求項17記載の半導体ナノクリスタル。
【請求項19】
R2がポリ(アルキレンオキシド)である、請求項17記載の半導体ナノクリスタル。
【請求項20】
R2がポリ(エチレングリコール)である、請求項19記載の半導体ナノクリスタル。
【請求項21】
R2が式-[CH2-O-CH2]m-を有し、mは約8である、請求項17記載の半導体ナノクリスタル。
【請求項22】
R3が-CH2-R7であり、R7がアミノ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ又はトリアルキルアミノである、請求項17記載の半導体ナノクリスタル。
【請求項23】
R7が-COOHである、請求項17記載の半導体ナノクリスタル。
【請求項24】
R3が-CH2COOHである、請求項17記載の半導体ナノクリスタル。
【請求項25】
R1がHS-CH2CH2CH(SH)-(CH2)4-であり、R2がポリ(アルキレンオキシド)であり、R7が-COOH、アミノ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ又はトリアルキルアミノである、請求項17記載の半導体ナノクリスタル。
【請求項26】
前記化合物が下記式:
【化3】

又は下記式:
【化4】

を有する、請求項17記載の半導体ナノクリスタル。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図6D】
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【図7A】
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【図7B】
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【図7C】
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【図7D】
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【図7E】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15A】
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【図15B】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【公表番号】特表2011−508793(P2011−508793A)
【公表日】平成23年3月17日(2011.3.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−514997(P2010−514997)
【出願日】平成20年6月20日(2008.6.20)
【国際出願番号】PCT/US2008/067649
【国際公開番号】WO2009/002837
【国際公開日】平成20年12月31日(2008.12.31)
【出願人】(596060697)マサチューセッツ インスティテュート オブ テクノロジー (233)
【Fターム(参考)】