説明

半導体装置、光電変換装置および光電変換装置の製造方法

【課題】 光電変換素子の量子効率の低下と集積回路に与える影響とが少なく、光電変換素子と集積回路とを積層することができる半導体装置を提供すること。
【解決手段】 半導体基板2上に、LSI3を形成する。LSI3上には、層間膜19を積層する。層間膜19上には、カルコパイライト構造の化合物半導体からなる光吸収層45を有する光電変換素子11を複数形成する。そして、複数の光電変換素子11によって太陽電池4および/またはイメージセンサ5を構成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光電変換素子と集積回路とを混載する半導体装置、およびカルコパイライト系化合物半導体を光吸収層の材料として用いた光電変換装置およびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
たとえば、外部からの電力供給を必要としない自己発電可能な半導体装置として、太陽電池とLSIとを混載した半導体装置が知られている。
この種の半導体装置では、太陽電池チップとLSIチップとが基板上に並べて設置され、配線によって電気的に接続されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004−134577号公報
【特許文献2】国際公開WO2008/093834号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のような設置形態は、2つのチップ(太陽電池チップおよびLSIチップ)の搭載スペースを有する基板を使用するため、装置の大型化を余儀なくさせる。
その一方で、半導体装置などの電子デバイスの分野では、サイズの縮小化が近年要求されている。サイズの制約に準拠する目的で、各チップサイズを縮小化すると、それに伴なって太陽電池の受光面積が小さくなるので、太陽電池の量子効率が低下する。したがって、2つのチップを並べて設置するのではなく、別の設置形態を検討する必要がある。
【0005】
別の設置形態の一つとして、太陽電池とLSIとの積層配置が挙げられる。
太陽電池とLSIとを積層する場合、太陽電池の受光面を確保する観点から、まず、LSIを半導体基板上に形成し、そのLSI上に太陽電池を積層することによって、太陽電池を半導体装置の最表層に配置する必要がある。
しかし、太陽電池を単に積層するだけでは、LSIに悪影響を与える場合がある。たとえば、シリコン薄膜を用いて太陽電池を形成する場合、シリコン薄膜の成膜にあたって、基板が1400℃程度まで加熱される。そのため、先立って作製されるLSIの配線が溶融するといった不具合が発生する。
【0006】
そして、この種の不具合は、たとえば、イメージセンサなど、他の光電変換素子とLSIとを積層する場合にも生じる。
本発明の目的は、光電変換素子の量子効率の低下と集積回路に与える影響とが少なく、光電変換素子と集積回路とを積層することができる半導体装置を提供することである。
また、本発明の他の目的は、光吸収層の感度の向上およびその均一化、ならびに製造コストの低減を図ることができる、光電変換装置およびその製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するための本発明の半導体装置は、半導体基板と、前記半導体基板上に形成された集積回路と、前記集積回路上に積層され、カルコパイライト構造の化合物半導体からなる光吸収層を有する光電変換素子とを含む。
この構成によれば、半導体基板上に集積回路が形成され、その集積回路上に光電変換素子が積層して配置されている。このような集積回路と光電変換素子との積層配置は、光電変換素子の光吸収層が、カルコパイライト構造の化合物半導体からなることによって達成することができる。なぜならば、カルコパイライト構造の化合物半導体は、たとえば、400℃未満の比較的低温で成長させることができ、光電変換素子の形成にあたって、集積回路に対して与える影響を低減することができるためである。
【0008】
そして、集積回路と光電変換素子とを積層配置できるので、集積回路と光電変換素子との1チップ化を図ることができる。その結果、半導体装置の大型化を抑制することができる。
また、集積回路上に光電変換素子が積層配置されているため、その配置エリアのほぼ全域を光電変換素子の受光面とすることができる。そのため、受光面積を十分に確保可能な光電変換素子を設計することができるので、光電変換素子の量子効率の低下を抑制することができる。
【0009】
また、前記半導体装置では、複数の前記光電変換素子によって太陽電池が構成されており、前記太陽電池と前記集積回路とを電気的に接続する電源回路をさらに含んでいてもよい。
この構成では、太陽電池と集積回路とが電源回路を介して電気的に接続されている。そのため、太陽電池で受光されると、集積回路に電力が供給される。よって、集積回路に対して別途電力を供給することなく、太陽電池からの電力を利用して集積回路を動作させることができる。また、電源装置を省略することができるので、半導体装置を小型化することができる。
【0010】
また、前記半導体装置では、複数の前記光電変換素子によってイメージセンサが構成されており、前記イメージセンサと前記集積回路とを電気的に接続する信号回路をさらに含んでいてもよい。
この構成では、イメージセンサと集積回路とが信号回路を介して電気的に接続されている。そのため、イメージセンサで受光されると、集積回路に電気信号が入力される。そして、集積回路では、複数の素子から入力された信号を処理することによって、イメージセンサに入力された光を画像情報として検出することができる。
【0011】
また、イメージセンサが太陽電池と併用される場合には、イメージセンサから入力された信号を、太陽電池から供給された電力によって処理することができる。
また、前記半導体装置では、前記光吸収層が、Gaを含有していることが好ましい。
この構成では、光吸収層がGaを含有しているので、光電変換素子の量子効率を向上させることができる。
【0012】
また、前記半導体装置では、前記光電変換素子は、第1絶縁層と、前記第1絶縁層上に形成された下部電極と、前記第1絶縁層上に積層され、前記下部電極の上面をその底面に含む凹部を有する第2絶縁層とを含んでいてもよい。その場合、前記光吸収層は、前記凹部に埋設され、その上面が受光面であり、その前記光吸収層上には、光透過性材料からなる上部電極が形成されている。そして、前記受光面の表面積は、前記凹部の開口面積以上である。言い換えれば、前記受光面の表面積は、平面視における前記凹部の面積(平面積)以上である。
【0013】
この構成によれば、第1絶縁層上に、下部電極が形成されている。また、第1絶縁層上には、第2絶縁層が積層されている。第2絶縁層には、下部電極の上面をその底面に含む凹部が形成されている。凹部には、光吸収層が埋設されている。光吸収層は、カルコパイライト系化合物半導体からなる。光吸収層上には、光透過性材料からなる上部電極が形成されている。
【0014】
光吸収層の上面は、受光面となり、その受光面の表面積(受光面積)は、凹部の開口面積以上である。したがって、凹部の開口面積をなるべく大きく取ることにより、受光面積の拡大を図ることができ、その受光面積の拡大による光吸収層の感度の向上を図ることができる。
また、光吸収層は、第2絶縁層に凹部を形成し、その凹部に光吸収層の材料であるカルコパイライト系化合物半導体を埋め込むことにより得られる。SiOなどの絶縁材料からなる層に凹部を精密に形成する技術は確立されているので、各凹部間の間隔をなるべく小さくしつつ、各凹部のサイズが均一となるように、各凹部を精度よく形成することができる。そのため、各光吸収層のサイズにばらつきを生じることなく、そのサイズを大きく確保することができる。その結果、各光吸収層の感度の向上およびその均一化を図ることができる。
【0015】
さらに、光吸収層をエッチングによりパターニングする工程を不要とすることができるので、そのパターニングのためのフォトリソグラフィ工程の省略による製造コストの低減を図ることができる。
また、前記半導体装置は、前記凹部の開口面積が、前記下部電極の上面の面積よりも大きく、前記凹部の底面が、前記下部電極の上面の全域を含む構成であってもよい。これにより、下部電極の上面の表面積よりも受光面の表面積を大きくすることができるので、光吸収層の感度をさらに向上させることができる。
【0016】
また、前記半導体装置では、前記受光面が、前記第2絶縁層の上面と面一をなしていてもよい。この場合、開口面積と受光面積とが一致する。この受光面を有する光吸収層は、凹部内を光吸収層の材料で埋め尽くし、第2絶縁層の上面が露出するまで光吸収層を化学機械研磨することにより形成することができる。
また、前記光吸収層と前記上部電極との間には、バッファ層が介在されることが好ましい。光吸収層と上部電極とは、互いに異なる材料で構成されているので、それらの格子定数が異なる。よって、光吸収層上に上部電極が直接に積層されると、光吸収層および/または上部電極に格子定数の違いに起因する応力が生じ、格子欠陥が生じる場合がある。これらの間にバッファ層が介在されることにより、格子定数の違いに起因する応力を緩和させることができるので、光吸収層および上部電極に格子欠陥が生じるのを防止することができる。
【0017】
また、前記受光面には、前記受光面の周縁部と、その周縁部に取り囲まれる中央部分との間に段差が形成されていることが好ましい。段差が形成されていることにより、受光面の面積は、凹部の開口幅よりも大きくなる。したがって、光電変換素子の感度をより向上させることができる。
また、前記段差は、前記受光面の前記中央部分が前記受光面の前記周縁部よりも1段下がることにより形成されていてもよい。
【0018】
また、本発明の光電変換装置は、第1絶縁層と、前記第1絶縁層上に形成された下部電極と、前記第1絶縁層上に積層され、前記下部電極の上面をその底面に含む凹部を有する第2絶縁層と、前記凹部に埋設され、カルコパイライト系化合物半導体からなり、その上面が受光面である光吸収層と、前記光吸収層上に形成され、光透過性材料からなる上部電極とを含む。そして、前記受光面の表面積は、前記凹部の開口面積以上である。言い換えれば、前記受光面の表面積は、平面視における前記凹部の面積(平面積)以上である。
【0019】
この光電変換装置では、第1絶縁層上に、下部電極が形成されている。また、第1絶縁層上には、第2絶縁層が積層されている。第2絶縁層には、下部電極の上面をその底面に含む凹部が形成されている。凹部には、光吸収層が埋設されている。光吸収層は、カルコパイライト系化合物半導体からなる。光吸収層上には、光透過性材料からなる上部電極が形成されている。
【0020】
光吸収層の上面は、受光面となり、その受光面の表面積(受光面積)は、凹部の開口面積以上である。したがって、凹部の開口面積をなるべく大きく取ることにより、受光面積の拡大を図ることができ、その受光面積の拡大による光吸収層の感度の向上を図ることができる。
また、光吸収層は、第2絶縁層に凹部を形成し、その凹部に光吸収層の材料であるカルコパイライト系化合物半導体を埋め込むことにより得られる。SiOなどの絶縁材料からなる層に凹部を精密に形成する技術は確立されているので、各凹部間の間隔をなるべく小さくしつつ、各凹部のサイズが均一となるように、各凹部を精度よく形成することができる。そのため、各光吸収層のサイズにばらつきを生じることなく、そのサイズを大きく確保することができる。その結果、各光吸収層の感度の向上およびその均一化を図ることができる。
【0021】
さらに、光吸収層をエッチングによりパターニングする工程を不要とすることができるので、そのパターニングのためのフォトリソグラフィ工程の省略による製造コストの低減を図ることができる。
また、前記光電変換装置は、前記凹部の開口面積が、前記下部電極の上面の面積よりも大きく、前記凹部の底面が、前記下部電極の上面の全域を含む構成であってもよい。これにより、下部電極の上面の表面積よりも受光面の表面積を大きくすることができるので、光吸収層の感度をさらに向上させることができる。
【0022】
また、前記光電変換装置では、前記受光面が、前記第2絶縁層の上面と面一をなしていてもよい。この場合、開口面積と受光面積とが一致する。この受光面を有する光吸収層は、凹部内を光吸収層の材料で埋め尽くし、第2絶縁層の上面が露出するまで光吸収層を化学機械研磨することにより形成することができる。
また、前記光吸収層と前記上部電極との間には、バッファ層が介在されることが好ましい。光吸収層と上部電極とは、互いに異なる材料で構成されているので、それらの格子定数が異なる。よって、光吸収層上に上部電極が直接に積層されると、光吸収層および/または上部電極に格子定数の違いに起因する応力が生じ、格子欠陥が生じる場合がある。これらの間にバッファ層が介在されることにより、格子定数の違いに起因する応力を緩和させることができるので、光吸収層および上部電極に格子欠陥が生じるのを防止することができる。
【0023】
前記光電変換装置は、本発明の光電変換装置の製造方法により製造することができる。具体的には、第1絶縁層上に下部電極の材料からなる電極材料層を積層する工程と、前記電極材料層上に犠牲層を積層する工程と、フォトリソグラフィおよびエッチングにより、前記犠牲層および前記電極材料層を選択的に除去する工程と、前記第1絶縁層上に、少なくとも前記犠牲層および前記電極材料層の除去された部分が前記犠牲層の上面まで埋め尽くされるように、第2絶縁層を形成する工程と、前記第2絶縁層を化学機械研磨し、前記犠牲層の上面を前記第2絶縁層の上面と面一をなす状態に露出させる工程と、前記第2絶縁層の化学機械研磨の後、等方性エッチングにより、前記犠牲層を除去する工程と、前記犠牲層の除去により前記第2絶縁層に形成される凹部内を埋め尽くすように、カルコパイライト系化合物半導体を堆積させる工程と、前記カルコパイライト系化合物半導体の堆積層を化学機械研磨し、前記凹部内に埋設された光吸収層を形成する工程とを含む製造方法により製造することができる。
【0024】
この方法によれば、光電変換装置を形成するために行われるフォトリソグラフィ工程が1回ですむ。よって、従来の光電変換装置の製造方法と比較して、製造工程の簡素化および製造コストの低減を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明の第1実施形態に係る半導体装置の電気的構成を示すブロック図である。
【図2A】本発明の第1実施形態に係る半導体装置の模式平面図である。
【図2B】図2Aに示す半導体装置の要部拡大図である。
【図3】本発明の第1実施形態に係る半導体装置の模式断面図であって、(a)は図2AのIIIa−IIIaの切断線による切断面、(b)は図2BのIIIb−IIIbの切断線による切断面、および(c)は図2AのIIIc−IIIcの切断線による切断面をそれぞれ示している。
【図4A】図3に示す半導体装置の製造方法を示す模式断面図である。
【図4B】図4Aの次の工程を示す模式断面図である。
【図4C】図4Bの次の工程を示す模式断面図である。
【図4D】図4Cの次の工程を示す模式断面図である。
【図4E】図4Dの次の工程を示す模式断面図である。
【図4F】図4Eの次の工程を示す模式断面図である。
【図4G】図4Fの次の工程を示す模式断面図である。
【図4H】図4Gの次の工程を示す模式断面図である。
【図4I】図4Hの次の工程を示す模式断面図である。
【図4J】図4Iの次の工程を示す模式断面図である。
【図4K】図4Jの次の工程を示す模式断面図である。
【図5】本発明の第2実施形態に係る半導体装置の模式断面図である。
【図6】本発明の第3実施形態に係る半導体装置の模式断面図である。
【図7】本発明の第4実施形態に係る半導体装置の電気的構成を示すブロック図である。
【図8A】本発明の第4実施形態に係る半導体装置の模式平面図である。
【図8B】図8Aに示す半導体装置の要部拡大図である。
【図9】本発明の第4実施形態に係る半導体装置の模式断面図であって、(a)は図8AのIXa−IXaの切断線による切断面、(b)は図8BのIXb−IXbの切断線による切断面、および(c)は図8AのIXc−IXcの切断線による切断面をそれぞれ示している。
【図10A】図9に示す半導体装置の製造方法を示す模式断面図である。
【図10B】図10Aの次の工程を示す模式断面図である。
【図10C】図10Bの次の工程を示す模式断面図である。
【図10D】図10Cの次の工程を示す模式断面図である。
【図10E】図10Dの次の工程を示す模式断面図である。
【図10F】図10Eの次の工程を示す模式断面図である。
【図10G】図10Fの次の工程を示す模式断面図である。
【図10H】図10Gの次の工程を示す模式断面図である。
【図10I】図10Hの次の工程を示す模式断面図である。
【図11】本発明の第5実施形態に係る半導体装置の模式平面図である。
【図12】本発明の第6実施形態に係る半導体装置の模式平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
<第1〜第3実施形態>
1.半導体装置の電気的構成
図1は、本発明の一実施形態に係る半導体装置の電気的構成を示すブロック図である。
半導体装置1は、半導体基板2上に、集積回路としてのLSI3と、太陽電池4と、イメージセンサ5とを混載している。
【0027】
LSI3と太陽電池4とは、電源回路としての電源線6によって電気的に接続されている。これにより、LSI3−太陽電池4間が、電源線6を介して導電可能となる。そのため、太陽電池4で受光されると、LSI3に電力が供給される。
また、LSI3とイメージセンサ5とは、電源線6とは絶縁された信号回路としての信号線7によって電気的に接続されている。これにより、LSI3−イメージセンサ5間が、信号線7を介して導電可能となる。そのため、イメージセンサ5で受光されると、受光により発生する電子がCMOSやCCDなどの電荷読出素子(図示せず)によって電気信号に変換され、その電気信号がLSI3に入力される。
2.半導体装置の平面構成
図2Aは、本発明の第1実施形態に係る半導体装置の模式平面図である。図2Bは、図2Aに示す半導体装置の要部拡大図である。
【0028】
半導体装置1は、平面視四角状に形成されている。半導体装置1の表面は、窒化シリコンからなる表面保護膜8によって被覆されている。
表面保護膜8には、半導体装置1の中央部を露出させる受光開口9が形成されている。受光開口9は、半導体装置1と相似形の平面視四角形状に形成されており、その各辺が半導体装置1の各辺と平行をなすように形成されている。この受光開口9を介して、太陽電池4およびイメージセンサ5が、半導体装置1の外部に面している。
【0029】
受光開口9を平面視長方形状の線対称となるように分割線10によって2分割する場合、太陽電池4およびイメージセンサ5は、受光開口9の一方領域(紙面右側の領域)および他方領域(紙面左側の領域)にそれぞれ配置され、分割線10を挟んで隣接している。
太陽電池4およびイメージセンサ5は、互いに同じ構造の光電変換素子11を複数有しており、それぞれ複数の光電変換素子11が集合することによって構成されている。複数の光電変換素子11は、受光開口9全域にわたって行列状に整列して配置されている。各光電変換素子11は、太陽電池4側では、光エネルギを電力に変換する最小の発電単位(単位セル)であり、イメージセンサ5側では、画像情報1画素である。
【0030】
太陽電池4とイメージセンサ5とを区画する分割線10は、太陽電池4側の光電変換素子11とイメージセンサ5側の光電変換素子11との間に設定される。
上記のように配置された複数の光電変換素子11はそれぞれ、半導体装置1の外部に面する部分に受光面12を有している。全ての受光面12は、1つの上部電極13によって一体的に覆われている。すなわち、太陽電池4およびイメージセンサ5における受光側の電極(上部電極13)は、太陽電池4およびイメージセンサ5の区別なく、全ての光電変換素子11によって共有されている。
【0031】
また、表面保護膜8には、太陽電池4とイメージセンサ5との隣接方向(分割線10に直交する方向)における受光開口9の両側に、複数のパッド開口14が受光開口9と離隔して形成されている。複数のパッド開口14は、それぞれ同数ずつ設けられ、分割線10に平行な方向に等間隔に配置されている。
各パッド開口14には、LSI3と電気的に接続された配線が露出している。受光開口9の一方側に配列された複数のパッド開口14のうちの一つは、電源線6を露出させる電源用パッド開口15である。そして、電源用パッド開口15から露出する電源線6は、受光開口9と電源用パッド開口15とに跨る電源取出電極16(たとえば、Alからなる。)によって、上部電極13と電気的に接続されている。
【0032】
一方、受光開口9の他方側に配置された複数のパッド開口14のうちの一つは、信号線7を露出させる信号用パッド開口17である。そして、信号用パッド開口17から露出する信号線7は、受光開口9と信号用パッド開口17とに跨る信号取出電極18(たとえば、Alからなる。)によって、上部電極13と電気的に接続されている。
3.半導体装置の断面構成
図3は、本発明の第1実施形態に係る半導体装置の模式断面図であって、(a)は図2AのIIIa−IIIaの切断線による切断面、(b)は図2BのIIIb−IIIbの切断線による切断面、および(c)は図2AのIIIc−IIIcの切断線による切断面をそれぞれ示している。
【0033】
半導体装置1において、上記したLSI3、太陽電池4およびイメージセンサ5は、半導体基板2上に積層配置されている。具体的には、半導体基板2上にLSI3が形成され、LSI3上には、層間膜19が積層されている。そして、その層間膜19上に、太陽電池4およびイメージセンサ5が互いに隣接して配置されている。これにより、太陽電池4およびイメージセンサ5は、層間膜19を介してLSI3上に積層されている。
【0034】
半導体基板2は、たとえば、シリコンからなる。半導体基板2のサイズは、たとえば、2mm〜7mm角、厚さ200μm〜725μmである。
LSI3は、複数種の回路素子21を備えている。複数種の回路素子21は、たとえば、トランジスタ(Tr)、コンデンサ(C)、レジスタ(R)などを含んでいる。
層間膜19は、酸化シリコンからなり、LSI3の側から順に第1層間膜24、第2層間膜25、第3層間膜26および第1絶縁層としての第4層間膜27が積層された構造を有している。
【0035】
各層間膜24〜26上には、第1層間膜24の側から順にそれぞれ第1配線28〜第3配線30が形成されている。第1配線28〜第3配線30は、たとえば、Al(融点:約500℃)からなる。
第1配線28−第2配線29間および第2配線29−第3配線30間は、それぞれ第2層間膜25を貫通する第1ビアプラグ31および第3層間膜26を貫通する第2ビアプラグ32によって電気的に接続されている。第1ビアプラグ31および第2ビアプラグ32は、たとえば、W(融点:約3400℃)からなる。第1配線28〜第3配線30が第1層間膜24〜第3層間膜26に跨って電気的に接続されることによって、第1層間膜24〜第3層間膜26に跨る多層配線構造33が形成されている。
【0036】
多層配線構造33は、太陽電池4とLSI3とを電気的に接続する電源線6と、イメージセンサ5とLSI3とを電気的に接続する信号線7とを少なくとも含み、これらの他には、たとえば、複数の回路素子21間を電気的に接続し、LSI3の一部をなす素子間回路20、LSI3から出力される信号を伝送する出力回路34などを含む。
電源線6は、正極電源配線35と、負極電源配線36とを有している。正極電源配線35は、太陽電池4の下方に配置されている。正極電源配線35と太陽電池4との間は電源用ビアプラグ37によって電気的に接続され、正極電源配線35とLSI3との間は電源用コンタクトプラグ38によって電気的に接続されている。電源用ビアプラグ37および電源用コンタクトプラグ38は、たとえば、W(融点:約3400℃)からなる。
【0037】
一方、負極電源配線36は、太陽電池4の側方に配置されている。負極電源配線36と太陽電池4との間は、電源取出電極16および電源用ビアプラグ37によって電気的に接続され、負極電源配線36とLSI3との間は電源用コンタクトプラグ38によって電気的に接続されている。
信号線7は、正極信号配線39と、負極信号配線40とを有している。正極信号配線39は、イメージセンサ5の下方に配置されている。正極信号配線39とイメージセンサ5との間は信号用ビアプラグ41によって電気的に接続され、正極信号配線39とLSI3との間は、信号用コンタクトプラグ42によって電気的に接続されている。信号用ビアプラグ41および信号用コンタクトプラグ42は、たとえば、W(融点:約3400℃)からなる。
【0038】
一方、負極信号配線40は、イメージセンサ5の側方に配置されている。負極信号配線40とイメージセンサ5との間は、上記信号取出電極18および信号用ビアプラグ41によって電気的に接続され、負極信号配線40とLSI3との間は、信号用コンタクトプラグ42によって電気的に接続されている。
太陽電池4およびイメージセンサ5を構成する光電変換素子11は、下部電極43と、第2絶縁層としての絶縁層44と、光吸収層45と、高抵抗バッファ層46と、上部電極13とを備えている。
【0039】
下部電極43は、たとえば、Mo(モリブデン)、W(タングステン)からなり、第4層間膜27上に、マトリクス状に複数配列されて形成されている。この実施形態では、1つの下部電極43が、太陽電池4の単位セルおよびイメージセンサ5の1画素に対応している。また、第4層間膜27において、第3配線30と各下部電極43とが対向する位置には、第4層間膜27をその積層方向に貫通するビアホール22が形成されており、このビアホール22内に電源用ビアプラグ37および信号用ビアプラグ41が埋設されている。これにより、各下部電極43は、電源用ビアプラグ37または信号用ビアプラグ41を介して、第3配線30と電気的に接続されている。
【0040】
絶縁層44は、第4層間膜27および下部電極43上に積層されている。絶縁層44は、たとえば、SiOからなる。絶縁層44には、各下部電極43に対応して、その上面から掘り下がった凹部23が形成されている。凹部23は、その開口面積が下部電極43の上面47の面積よりも大きいように、断面視で下部電極43よりも側方に張り出すように形成され、その底面48に下部電極43の上面47の全域を含む。凹部23の深さは、たとえば、1μmである。
【0041】
この凹部23内には、光吸収層45が形成されている。光吸収層45は、P型のカルコパイライト系化合物半導体からなる。
カルコパイライト構造の化合物半導体は、黄銅鉱(chalcopyrite)と同じ結晶構造であり、たとえば、組成式I−III−VI、II−IV−Vで示される。ただし、組成式中のローマ数字は、周期表の族番号を示している。たとえば、ローマ数字のIは、IB族元素であり、IIは、IIB族元素である。
【0042】
組成式中、IB族元素としては、たとえば、Cu、Agなどが挙げられ、IIIB族元素としては、たとえば、Al、Ga、Inなどが挙げられ、VIB族元素としては、たとえば、S、Se、Teなどが挙げられる。
また、IIB族元素としては、たとえば、Zn、Cdなどが挙げられ、IVB族元素としては、たとえば、Si、Ge、Snなどが挙げられ、VB族元素としては、たとえば、P、As、Sbなどが挙げられる。
【0043】
カルコパイライト構造の化合物半導体として、好ましくは、I−III−VI型カルコパイライト構造のものが適用され、さらに好ましくは、Cu(In,Ga(1−x))Se(0≦x≦1)で示されるCIGS系半導体が適用される。とりわけ、Gaを含有すること(つまり、0≦x<1)が好ましい。
なお、CIGS系半導体とは異なるものの具体例は、たとえば、I−III−VI型として、CuAlS、CuAlSe、CuAlTe、CuGaS、CuGaSe、CuGaTe、CuInS、CuInTe、AgAlS、AgAlSe、AgAlTe、AgGaS、AgGaSe、AgGaTe、AgInS、AgInSe、AgInTeなど、たとえば、II−IV−Vとして、ZnSiP、ZnSiAs、ZnSiSb、ZnGeP、ZnGeAs、ZnGeSb、ZnSnP、ZnSnAs、ZnSnSb、CdSiP、CdSiAs、CdSiSb、CdGeP、CdGeAs、CdGeSb、CdSnP、CdSnAs、CdSnSbなどであり、これらの半導体も適用することができる。
【0044】
光吸収層45の上面は、受光面12であり、絶縁層44の上面49とほぼ面一をなしている。したがって、受光面12の表面積(受光面積)は、凹部23の開口面積と一致している。また、凹部23が断面視で下部電極43よりも側方に張り出すように形成されているので、光吸収層45の周縁部の下方には、絶縁層44が存在している。
高抵抗バッファ層46は、絶縁層44および光吸収層45上に形成されている。高抵抗バッファ層46は、CdS(硫化カドミウム)からなる。高抵抗バッファ層46は、絶縁層44の上面49および光吸収層45の上面(受光面12)の全域を被覆している。高抵抗バッファ層46の厚さは、たとえば、500Å(50nm)である。
【0045】
上部電極13は、高抵抗バッファ層46上に積層されている。上部電極13は、光透過性を有するZnO(酸化亜鉛)からなる。ZnOには、N型の不純物(たとえば、P(リン)またはAs(ヒ素))が添加されることにより導電性が付与されている。すなわち、上部電極13は、導電性を有する透明電極である。上部電極13の厚さは、たとえば、6000Å(600nm)である。また、上部電極13は、電源取出電極16および電源用ビアプラグ37を介して負極電源配線36と電気的に接続され(図3(a)参照)、信号取出電極18および信号用ビアプラグ41を介して負極信号配線40と電気的に接続されている(図3(c)参照)。
4.半導体装置の製造方法
図4A〜図4Kは、図3に示す半導体装置の製造方法を示す模式断面図である。図4A〜図4Kでは、太陽電池4およびイメージセンサ5を構成する光電変換素子11を1つずつ示している。
【0046】
上記半導体装置1の製造に際しては、まず、公知の素子集積技術によって半導体基板2上に各種回路素子21が搭載される。続いて、公知の多層配線技術によって、層間膜19および電源線6および信号線7が形成される。そして、図4Aに示すように、第4層間膜27を選択的にエッチングすることにより、第3配線30の上面の一部を露出させるビアホール22が貫通形成される。
【0047】
図4Bに示すように、CVD法により、ビアホール22内を含む第4層間膜27上に、Wからなる電極材料層50が形成される。この電極材料層50は、ビアホール22内を埋め尽くすような厚さに形成される。
次に、図4Cに示すように、PECVD(Plasma Enhanced Chemical Vapor Deposition:マイクロ波プラズマ化学的気相成長)法により、電極材料層50上に、犠牲層51が積層される。具体的には、まず、電極材料層50上に、TEOS(Tetraethoxisilane:テトラエトキシシラン)からなるエッチストップ層52が形成される。次に、エッチストップ層52上に、SiN(窒化シリコン)からなるSiN層53が形成される。エッチストップ層52は、たとえば、厚さ300Å(30nm)に形成される。SiN層53は、後述する光吸収層45の研磨量を考慮して、最終的に所望の厚さの光吸収層45が得られるような厚さに形成される。光吸収層45の厚さが1μmである場合、SiN層53は、たとえば、12000Å(1.2μm)に形成される。
【0048】
その後、図4Dに示すように、フォトリソグラフィにより、SiN層53上に、下部電極43(図3参照)が形成されるべき部分を被覆するレジスト膜54が形成される。
その後、図4Eに示すように、レジスト膜54をマスクとして、犠牲層51および電極材料層50がエッチングされることにより、電極材料層50が各画素単位の下部電極43にパターニングされるとともに、ビアホール22に埋設された電源用ビアプラグ37および信号用ビアプラグ41が得られる。下部電極43の形成後、レジスト膜54は除去される。
【0049】
次いで、図4Fに示すように、CVD法により、第4層間膜27および犠牲層51上に、絶縁層44が積層される。絶縁層44は、犠牲層51および下部電極43が除去された部分において、その上面が犠牲層51の上面よりも高くなるように形成される。
その後、図4Gに示すように、CMP法により、絶縁層44が化学機械研磨される。この絶縁層44の研磨は、絶縁層44の上面49と犠牲層51の上面とが面一になるまで続けられる。
【0050】
次に、図4Hに示すように、たとえば、ドライエッチングによってSiN層53が除去される。これにより、絶縁層44にその上面49から掘り下がった形状の凹部23が形成される。
続いて、図4Iに示すように、フッ酸を用いたウェットエッチングによって、エッチストップ層52が除去される。このとき、絶縁層44もエッチングされ、凹部23の開口幅が広がり、凹部23が断面視で下部電極43よりも側方に張り出した形状となる。
【0051】
その後、図4Jに示すように、MBE法により、凹部23内を含む絶縁層44上に、光吸収層45が形成される。光吸収層45は、凹部23を埋め尽くすような厚さに形成される。
次に、図4Kに示すように、CMP法により、光吸収層45が研磨される。この光吸収層45の研磨は、光吸収層45の上面(受光面12)と絶縁層44の上面49とが面一になるまで行われる。
【0052】
そして、スパッタ法により、絶縁層44および光吸収層45上に、高抵抗バッファ層46、および上部電極13が層間膜19側からこの順に積層される。これにより、図3に示す半導体装置1が得られる。
この半導体装置1によれば、LSI3が形成された半導体基板2上に層間膜19が積層され、その層間膜19を介してLSI3上に太陽電池4およびイメージセンサ5が積層して配置されている。LSI3と、太陽電池4およびイメージセンサ5との積層配置は、光電変換素子11の光吸収層45が、カルコパイライト構造の化合物半導体からなることによって達成することができる。なぜならば、カルコパイライト構造の化合物半導体は、たとえば、300℃〜450℃のMBE法によって形成できるので、光電変換素子11の形成にあたって、LSI3に対して与える影響を低減することができるためである。たとえば、第1配線28〜第3配線30などの溶融を防止することができるためである。
【0053】
そして、LSI3と、太陽電池4およびイメージセンサ5とを積層配置できるので、LSI3と、太陽電池4およびイメージセンサ5との1チップ化を図ることができる。その結果、半導体装置1の大型化を抑制することができる。
また、LSI3上に太陽電池4およびイメージセンサ5が積層配置されているため、層間膜19上の配置エリアのほぼ全域を光電変換素子11の受光面12とすることができる。そのため、光電変換素子11のサイズの設計自由度を広げることができる。そのため、太陽電池4およびイメージセンサ5を構成する各光電変換素子11の開口率を、たとえば、80%〜100%にすることができる。その結果、光電変換素子11の受光面積を十分に確保可能できるので、光電変換素子11の量子効率の低下を抑制することができる。
【0054】
そして、太陽電池4とLSI3とが電源線6を介して電気的に接続されている。そのため、太陽電池4側の光電変換素子11の受光面12から光が取り入れられると、その光エネルギによって、N型の上部電極13中の電子が電源取出電極16によって取り出され、負極電源配線36を介してLSI3に供給される。太陽電池4が受光している間、電子が継続して供給されるので、光吸収層45から順に正極電源配線35、LSI3、負極電源配線36、電源取出電極16および上部電極13に至るように電流が流れる。これにより、LSI3に電力が供給される。
【0055】
したがって、LSI3に対して別途電力を供給することなく、LSI3を動作させることができる。また、電源装置を省略することができるので、半導体装置1を小型化することができる。
また、イメージセンサ5とLSI3とが信号線7を介して電気的に接続されている。そのため、イメージセンサ5側の光電変換素子11の受光面12から光が取り入れられると、その光エネルギによって発生する上部電極13中の電子が電荷読出素子で電気信号に変換され、その後、信号取出電極18によって取り出され、負極信号配線40を介してLSI3に入力される。イメージセンサ5が受光している間、電気信号が継続して入力されるので、光吸収層45から順に正極信号配線39、LSI3、負極信号配線40、信号取出電極18および上部電極13に至るように電気信号が流れる。
【0056】
そして、イメージセンサ5と太陽電池4とが併用されているので、LSI3では、イメージセンサ5を構成する複数の光電変換素子11から入力された信号を、太陽電池4から供給された電力によって処理することができる。これにより、イメージセンサ5に入力された光を画像情報として検出することができる。
さらに、光吸収層45がGaを含有していれば、光電変換素子11の量子効率を向上させることができる。たとえば、80%〜90%程度の優れた量子効率を実現することができる。
【0057】
また、この半導体装置1では、第4層間膜27上に、下部電極43が形成されている。また、第4層間膜27上には、絶縁層44が積層されている。絶縁層44には、下部電極43の上面47をその底面48に含む凹部23が形成されている。凹部23には、光吸収層45が埋設されている。光吸収層45は、CIGSからなる。光吸収層45上には、ZnOからなる上部電極13が形成されている。
【0058】
光吸収層45の上面は、受光面12であり、この受光面12は、絶縁層44の上面49と面一をなしている。したがって、受光面12の表面積(受光面積)は、凹部23の開口面積と一致している。したがって、凹部23の開口面積をなるべく大きく取ることにより、受光面積の拡大を図ることができ、その受光面積の拡大による光吸収層45の感度の向上を図ることができる。
【0059】
また、光吸収層45は、絶縁層44に凹部23を形成し、その凹部23に光吸収層45の材料であるCIGSを埋め込むことにより得られる。SiOなどの絶縁材料からなる層に凹部を精密に形成する技術は確立されているので、各凹部23間の間隔をなるべく小さくしつつ、各凹部23のサイズが均一となるように、各凹部23を精度よく形成することができる。そのため、各光吸収層45のサイズにばらつきを生じることなく、そのサイズを大きく確保することができる。その結果、各光吸収層45の感度の向上およびその均一化を図ることができる。
【0060】
さらに、光吸収層45をエッチングによりパターニングする工程を不要とすることができるので、そのパターニングのためのフォトリソグラフィ工程の省略による製造コストの低減を図ることができる。
また、光吸収層45と上部電極13との間には、高抵抗バッファ層46が介在されている。光吸収層45と上部電極13とは、互いに異なる材料で構成されているので、それらの格子定数が異なる。よって、光吸収層45上に上部電極13が直接に積層されると、光吸収層45および/または上部電極13に格子定数の違いに起因する応力が生じ、格子欠陥が生じる場合がある。これらの間に高抵抗バッファ層46が介在されることにより、格子定数の違いに起因する応力を緩和させることができるので、光吸収層45および上部電極13に格子欠陥が生じるのを防止することができる。
【0061】
図5は、本発明の第2実施形態に係る半導体装置の模式断面図である。図5において、図3に示す各部に相当する部分には、それらの各部に付した参照符号と同一の参照符号を付している。そして、以下では、同一の参照符号を付した各部の説明を省略する。
図1〜図3に示す半導体装置1では、光吸収層45の上面(受光面12)が絶縁層44の上面49とほぼ面一をなす平坦面となっている。これに対し、図5に示す半導体装置55では、光吸収層45の上面(受光面12)に段差56が形成されており、高抵抗バッファ層46がその段差56を被覆するように形成されている。具体的には、光吸収層45の上面(受光面12)の周縁部は、絶縁層44の上面49とほぼ面一をなし、光吸収層45の上面の中央部分は、その周縁部よりも1段下がって形成されている。これにより、光吸収層45の上面の周縁部と中央部分との間の部分に、段差56が形成されている。
【0062】
このような段差56が形成されていることにより、受光面12の面積は、凹部23の開口幅よりも大きくなる。そのため、受光面12の表面積(受光面積)を、凹部23の開口面積よりも大きくすることができる(受光面積>開口面積)。したがって、太陽電池4およびイメージセンサ5の感度をより向上させることができる。
段差56を有する光吸収層45は、たとえば、図4Jに示す工程の後、図4Kに示すCMP工程に代えて、光吸収層45をエッチバックすることにより形成することができる。
【0063】
図6は、本発明の第3実施形態に係る半導体装置の模式断面図である。図6において、図3に示す各部に相当する部分には、それらの各部に付した参照符号と同一の参照符号を付している。そして、以下では、同一の参照符号を付した各部の説明を省略する。
図6に示す半導体装置57では、光吸収層45の上面(受光面12)の中央部が絶縁層44の上面49とほぼ同じ高さに形成され、光吸収層45の上面(受光面12)の周縁部が中央部よりも1段下がって形成されることにより、光吸収層45の上面に段差58が形成されている。このような段差58が形成されていることにより、受光面12の面積は、凹部23の開口幅よりも大きくなる。そのため、受光面12の表面積(受光面積)を、凹部23の開口面積よりも大きくすることができる(受光面積>開口面積)。したがって、太陽電池4およびイメージセンサ5の感度をより向上させることができる。
【0064】
このような段差58を有する光吸収層45は、たとえば、図4Jに示す工程において、光吸収層45を凹部23の中央部上で凹部23の深さとほぼ同じ厚さとなるように形成し、図4Kに示すCMP工程に代えて、絶縁層44上および各凹部23内における光吸収層45の周縁部の表層部分を除去することにより形成することができる。
<第4実施形態>
1.半導体装置の電気的構成
図7は、本発明の第4実施形態に係る半導体装置の電気的構成を示すブロック図である。
【0065】
半導体装置61は、半導体基板62上に、LSI63と、太陽電池64と、イメージセンサ65とを混載している。
LSI63と太陽電池64とは、電源回路としての電源線66によって電気的に接続されている。これにより、LSI63−太陽電池64間が、電源線66を介して導電可能となる。そのため、太陽電池64で受光されると、LSI63に電力が供給される。
【0066】
また、LSI63とイメージセンサ65とは、電源線66とは絶縁された信号回路としての信号線67によって電気的に接続されている。これにより、LSI63−イメージセンサ65間が、信号線67を介して導電可能となる。そのため、イメージセンサ65で受光されると、受光により発生する電子がCMOSやCCDなどの電荷読出素子(図示せず)によって電気信号に変換され、その電気信号がLSI63に入力される。
2.半導体装置の平面構成
図8Aは、本発明の第4実施形態に係る半導体装置の模式平面図である。図8Bは、図8Aに示す半導体装置の要部拡大図である。
【0067】
半導体装置61は、平面視四角状に形成されている。半導体装置61の表面は、窒化シリコンからなる表面保護膜68によって被覆されている。
表面保護膜68には、半導体装置61の中央部を露出させる受光開口69が形成されている。受光開口69は、半導体装置61と相似形の平面視四角形状に形成されており、その各辺が半導体装置61の各辺と平行をなすように形成されている。この受光開口69を介して、太陽電池64およびイメージセンサ65が、半導体装置61の外部に面している。
【0068】
受光開口69を平面視長方形状の線対称となるように分割線70によって2分割する場合、太陽電池64およびイメージセンサ65は、受光開口69の一方領域(紙面右側の領域)および他方領域(紙面左側の領域)にそれぞれ配置され、分割線70を挟んで隣接している。
太陽電池64およびイメージセンサ65は、互いに同じ構造の光電変換素子71を複数有しており、それぞれ複数の光電変換素子71が集合することによって構成されている。複数の光電変換素子71は、受光開口69全域にわたって行列状に整列して配置されている。各光電変換素子71は、太陽電池64側では、光エネルギを電力に変換する最小の発電単位(単位セル)であり、イメージセンサ65側では、画像情報1画素である。
【0069】
太陽電池64とイメージセンサ65とを区画する分割線70は、太陽電池64側の光電変換素子71とイメージセンサ65側の光電変換素子71との間に設定される。
上記のように配置された複数の光電変換素子71は、半導体装置61の外部に面する部分が受光面72となっている。全ての受光面72は、1つの上部電極73によって一体的に形成されている。すなわち、太陽電池64およびイメージセンサ65における受光側の電極は、太陽電池64およびイメージセンサ65の区別なく、全ての光電変換素子71によって共有されている。
【0070】
また、表面保護膜68には、太陽電池64とイメージセンサ65との隣接方向(分割線70に直交する方向)における受光開口69の両側に、複数のパッド開口74が受光開口69と離隔して形成されている。複数のパッド開口74は、それぞれ同数ずつ設けられ、分割線70に平行な方向に等間隔に配置されている。
各パッド開口74には、LSI63と電気的に接続された配線が露出している。受光開口69の一方側に配列された複数のパッド開口74のうちの一つは、電源線66を露出させる電源用パッド開口75である。そして、電源用パッド開口75から露出する電源線66は、受光開口69と電源用パッド開口75とに跨る電源取出電極76(たとえば、Alからなる。)によって、上部電極73と電気的に接続されている。
【0071】
一方、受光開口69の他方側に配置された複数のパッド開口74のうちの一つは、信号線67を露出させる信号用パッド開口77である。そして、信号用パッド開口77から露出する信号線67は、受光開口69と信号用パッド開口77とに跨る信号取出電極78(たとえば、Alからなる。)によって、上部電極73と電気的に接続されている。
3.半導体装置の断面構成
図9は、本発明の第4実施形態に係る半導体装置の模式断面図であって、(a)は図8AのIXa−IXaの切断線による切断面、(b)は図8BのIXb−IXbの切断線による切断面、および(c)は図8AのIXc−IXcの切断線による切断面をそれぞれ示している。
【0072】
半導体装置61において、上記したLSI63、太陽電池64およびイメージセンサ65は、半導体基板62上に積層配置されている。具体的には、半導体基板62上にLSI63が形成され、LSI63上には、層間膜79が積層されている。そして、その層間膜79上に、太陽電池64およびイメージセンサ65が互いに隣接して配置されている。これにより、太陽電池64およびイメージセンサ65は、層間膜79を介してLSI63上に積層されている。
【0073】
半導体基板62は、たとえば、シリコンからなる。半導体基板62のサイズは、たとえば、2mm〜7mm角、厚さ200μm〜725μmである。
LSI63は、複数種の回路素子81を備えている。複数種の回路素子81は、たとえば、トランジスタ(Tr)、コンデンサ(C)、レジスタ(R)などを含んでいる。
層間膜79は、酸化シリコンからなり、LSI63の側から順に第1層間膜84、第2層間膜85、第3層間膜86および第4層間膜87が積層された構造を有している。
【0074】
各層間膜84〜86上には、第1層間膜84の側から順にそれぞれ第1配線88〜第3配線90が形成されている。第1配線88〜第3配線90は、たとえば、Al(融点:約500℃)からなる。
第1配線88−第2配線89間および第2配線89−第3配線90間は、それぞれ第2層間膜85を貫通する第1ビアプラグ91および第3層間膜86を貫通する第2ビアプラグ92によって電気的に接続されている。第1ビアプラグ91および第2ビアプラグ92は、たとえば、W(融点:約3400℃)からなる。第1配線88〜第3配線90が第1層間膜84〜第3層間膜86に跨って電気的に接続されることによって、第1層間膜84〜第3層間膜86に跨る多層配線構造93が形成されている。
【0075】
多層配線構造93は、太陽電池64とLSI63とを電気的に接続する電源線66と、イメージセンサ65とLSI63とを電気的に接続する信号線67とを少なくとも含み、これらの他には、たとえば、複数の回路素子81間を電気的に接続し、LSI63の一部をなす素子間回路80、LSI63から出力される信号を伝送する出力回路94などを含む。
【0076】
電源線66は、正極電源配線95と、負極電源配線96とを有している。正極電源配線95は、太陽電池64の下方に配置されている。正極電源配線95と太陽電池64との間は電源用ビアプラグ97によって電気的に接続され、正極電源配線95とLSI63との間は電源用コンタクトプラグ98によって電気的に接続されている。電源用ビアプラグ97および電源用コンタクトプラグ98は、たとえば、W(融点:約3400℃)からなる。
【0077】
一方、負極電源配線96は、太陽電池64の側方に配置されている。負極電源配線96と太陽電池64との間は、上記電源取出電極76および電源用ビアプラグ97によって電気的に接続され、負極電源配線96とLSI63との間は電源用コンタクトプラグ98によって電気的に接続されている。
信号線67は、正極信号配線99と、負極信号配線100とを有している。正極信号配線99は、イメージセンサ65の下方に配置されている。正極信号配線99とイメージセンサ65との間は信号用ビアプラグ101によって電気的に接続され、正極信号配線99とLSI63との間は、信号用コンタクトプラグ102によって電気的に接続されている。信号用ビアプラグ101および信号用コンタクトプラグ102は、たとえば、W(融点:約3400℃)からなる。
【0078】
一方、負極信号配線100は、イメージセンサ65の側方に配置されている。負極信号配線100とイメージセンサ65との間は、上記信号取出電極78および信号用ビアプラグ101によって電気的に接続され、負極信号配線100とLSI63との間は、信号用コンタクトプラグ102によって電気的に接続されている。
太陽電池64およびイメージセンサ65を構成する光電変換素子71は、下部電極103と、光吸収層104と、酸化膜105と、バッファ層106と、上部電極73とを備えている。
【0079】
下部電極103は、たとえば、Mo(モリブデン)、W(タングステン)からなり、第4層間膜87上に形成されている。下部電極103のうち太陽電池64用は電源用ビアプラグ97と電気的に接続され、イメージセンサ65用は信号用ビアプラグ101と電気的に接続されている。また、下部電極103の厚さは、たとえば、4000Åである。
光吸収層104は、P型のカルコパイライト構造の化合物半導体からなる。
【0080】
カルコパイライト構造の化合物半導体として、好ましくは、I−III−VI型カルコパイライト構造のものが適用され、さらに好ましくは、Cu(In,Ga(1−x))Se(0≦x≦1)で示されるCIGS系半導体が適用される。とりわけ、Gaを含有すること(つまり、0≦x<1)が好ましい。
光吸収層104は、下部電極103の上面および側面を覆うように形成されている。また、光吸収層104の厚さ(第3層間膜86の上面からの高さ)は、たとえば、1μmである。また、光電変換素子71の一つにおける光吸収層104と、その光電変換素子71と隣接するものにおける光吸収層104との間には、たとえば、1μmの隙間107が設けられている。
【0081】
酸化膜105は、各光電変換素子71の光吸収層104の上面を覆うとともに、互いに隣接する光吸収層104の隙間107に入り込むことによって、それらの光吸収層104を絶縁分離している。酸化膜105は、全ての光電変換素子71の光吸収層104を覆うように一体的に形成されている。酸化膜105の厚さは、たとえば、4000Åである。酸化膜105には、各光電変換素子71の光吸収層104の上面を露出させる接合用開口108が形成されている。
【0082】
バッファ層106は、たとえば、CdS(硫化カドミウム)からなる。バッファ層106は、酸化膜105の表面および接合用開口108から露出する光吸収層104の上面を覆うように形成されている。バッファ層106の厚さは、たとえば、50nmである。
上部電極73は、バッファ層106上に形成されており、受光開口69から露出している。上部電極73は、ノンドープZnO膜およびN型ZnO膜をこの順に積層した構造を有している。ノンドープZnO膜は、不純物が添加されておらず、N型ZnO膜よりも高抵抗である。
【0083】
一方、N型ZnO膜は、光電変換素子71の受光面72をなし、N型不純物が添加されており(不純物濃度:1.5wt%)、導電性を有する透明電極である。また、ノンドープZnO膜の厚さは、たとえば、1000Åであり、N型ZnO膜の厚さは、たとえば、5000Åである。
このように、ノンドープZnO膜の厚さをN型ZnO膜の厚さよりも十分小さくすることによって、上部電極73におけるN型ZnO膜と、P型の光吸収層104との間でPN接合を形成することができる。また、上部電極73は、電源取出電極76および電源用ビアプラグ97を介して負極電源配線96と電気的に接続され(図9(a)参照)、信号取出電極78および信号用ビアプラグ101を介して負極信号配線100と電気的に接続されている(図9(c)参照)。
4.半導体装置の製造方法
図10A〜図10Iは、図9に示す半導体装置の製造方法を示す模式断面図である。図10A〜図10Iでは、太陽電池64およびイメージセンサ65を構成する光電変換素子71を1つずつ示している。
【0084】
上記半導体装置61の製造に際しては、まず、公知の素子集積技術によって半導体基板62上に各種回路素子81が搭載される。続いて、公知の多層配線技術によって、層間膜79および電源線66および信号線67が形成される。そして、図10Aに示すように、第4層間膜87にコンタクトホールが形成され、そのコンタクトホールを埋めるように、電源用ビアプラグ97および信号用ビアプラグ101が同時に形成される。
【0085】
次いで、図10Bに示すように、たとえば、スパッタ法によって、第4層間膜87上にMo材料109(または、W材料)が堆積される。
次いで、図10Cに示すように、公知のパターニング技術によって、Mo材料109(または、W材料)がパターニングされる。これにより、下部電極103が形成される。
次いで、図10Dに示すように、たとえば、MBE(Molecular Beam Epitaxy:分子線エピタキシャル)法によって、300℃〜450℃の条件下、カルコパイライト構造の化合物半導体が成長させられ、カルコパイライト薄膜110が形成される。このとき、各元素が所定の比率で供給される。たとえば、CIGS系半導体の場合には、Cu、In、GaおよびSe元素が所定の比率で供給される。また、カルコパイライト薄膜110を形成するときのP型不純物としては、たとえば、Mgを適用できる。
【0086】
次いで、図10Eに示すように、たとえば、PZT(チタン酸ジルコン酸鉛)を用いて、カルコパイライト薄膜110が格子状にドライエッチングされる。これにより、隙間107が形成され、その隙間107によって区画される複数の光吸収層104が形成される。
次いで、図10Fに示すように、たとえば、TEOSを用いたプラズマCVD法によって、酸化シリコンからなる酸化膜105が形成される。
【0087】
次いで、図10Gに示すように、たとえば、公知のリソグラフィー技術およびエッチング技術によって、酸化膜105に接合用開口108が形成される。また、それと同時に、負極電源配線96および負極信号配線100を露出させる開口が形成される(図示を省略)。
次いで、図10Hに示すように、たとえば、CBD(Chemical Bath Deposition)法によって、CdS材料が堆積される。これにより、バッファ層106が形成される。
【0088】
次いで、図10Iに示すように、たとえば、スパッタ法によって、ノンドープZnO膜およびN型ZnO膜がこの順に堆積される。続いて、堆積された薄膜の不要部分(上部電極73以外の部分)がエッチングによって除去される。これにより、上部電極73が形成されて、各光電変換素子71が形成される。
その後は、図示を省略するが、たとえば、スパッタ法によってAlが堆積され、その後、そのAlがパターニングされることによって、電源取出電極76および信号取出電極78が形成される。そして、表面保護膜68が形成され、受光開口69およびパッド開口74(電源用パッド開口75および信号用パッド開口77)が形成される。
【0089】
以上の工程を得て、半導体装置61が得られる。
この半導体装置61によれば、LSI63が形成された半導体基板62上に層間膜79が積層され、その層間膜79を介してLSI63上に太陽電池64およびイメージセンサ65が積層して配置されている。LSI63と、太陽電池64およびイメージセンサ65との積層配置は、光電変換素子71の光吸収層104が、カルコパイライト構造の化合物半導体からなることによって達成することができる。なぜならば、カルコパイライト構造の化合物半導体は、たとえば、300℃〜450℃のMBE法によって形成できるので、光電変換素子71の形成にあたって、LSI63に対して与える影響を低減することができるためである。たとえば、第1配線88〜第3配線90などの溶融を防止することができるためである。
【0090】
そして、LSI63と、太陽電池64およびイメージセンサ65とを積層配置できるので、LSI63と、太陽電池64およびイメージセンサ65との1チップ化を図ることができる。その結果、半導体装置61の大型化を抑制することができる。
また、LSI63上に太陽電池64およびイメージセンサ65が積層配置されているため、層間膜79上の配置エリアのほぼ全域を光電変換素子71の受光面72とすることができる。そのため、光電変換素子71のサイズの設計自由度を広げることができる。そのため、太陽電池64およびイメージセンサ65を構成する各光電変換素子71の開口率を、たとえば、80%〜100%にすることができる。その結果、光電変換素子71の受光面積を十分に確保可能できるので、光電変換素子71の量子効率の低下を抑制することができる。
【0091】
そして、太陽電池64とLSI63とが電源線66を介して電気的に接続されている。そのため、太陽電池64側の光電変換素子71の受光面72から光が取り入れられると、その光エネルギによって、N型の上部電極73中の電子が電源取出電極76によって取り出され、負極電源配線96を介してLSI63に供給される。太陽電池64が受光している間、電子が継続して供給されるので、光吸収層104から順に正極電源配線95、LSI63、負極電源配線96、電源取出電極76および上部電極73に至るように電流が流れる。これにより、LSI63に電力が供給される。
【0092】
したがって、LSI63に対して別途電力を供給することなく、LSI63を動作させることができる。また、電源装置を省略することができるので、半導体装置61を小型化することができる。
また、イメージセンサ65とLSI63とが信号線67を介して電気的に接続されている。そのため、イメージセンサ65側の光電変換素子71の受光面72から光が取り入れられると、その光エネルギによって発生する上部電極73中の電子が電荷読出素子で電気信号に変換され、その後、信号取出電極78によって取り出され、負極信号配線100を介してLSI63に入力される。イメージセンサ65が受光している間、電気信号が継続して入力されるので、光吸収層104から順に正極信号配線99、LSI63、負極信号配線100、信号取出電極78および上部電極73に至るように電気信号が流れる。
【0093】
そして、イメージセンサ65と太陽電池64とが併用されているので、LSI63では、イメージセンサ65を構成する複数の光電変換素子71から入力された信号を、太陽電池64から供給された電力によって処理することができる。これにより、イメージセンサ65に入力された光を画像情報として検出することができる。
さらに、光吸収層104がGaを含有していれば、光電変換素子71の量子効率を向上させることができる。たとえば、80%〜90%程度の優れた量子効率を実現することができる。
【0094】
なお、この実施形態では、図10Eに示す工程において、光吸収層104は、エッチングにより各画素単位に切り分けられる。これにより、各光吸収層104間の間隔が決定される。この方法では、光吸収層104を各画素単位に切り分ける際に、アスペクト比を一定以上に高めるような微細加工をすることが困難である。そのため、切り分けられた各光吸収層104間の間隔が大きくなり、光吸収層104の上面の表面積が小さくなりやすい。
【0095】
また、図10Gに示す工程では、光吸収層104に対する酸化膜105に形成される接合用開口108の位置ずれを考慮して、接合用開口108は、光吸収層104の周縁に対してマージンをとって形成される。そのため、光吸収層104における接合用開口108から露出する面(受光面)は、光吸収層104の上面よりも小さい。
このように、この半導体装置61では、光吸収層104の上面の表面積が小さくなりやすいうえに、受光面が光吸収層104上面よりもさらに小さいので、各光吸収層104の感度が、第1〜第3の実施形態の各光吸収層45の感度よりも低い。
【0096】
また、光吸収層104を各画素単位に切り分ける際のエッチング工程は、いわゆるドライエッチング工程である。すなわち、光吸収層104の表面に粒子を衝突させることにより、光吸収層104が物理的にエッチングされるので、光吸収層104の側面(エッチングにより形成される面)が荒れやすい。その結果、各光吸収層104のサイズにばらつきが生じ、これに起因して各光吸収層104間で感度のばらつきが生じやすい。
【0097】
さらに、太陽電池64およびイメージセンサ65を製造するためには、少なくとも3度のフォトリソグラフィ工程を必要とする。そのため、第1〜第3の実施形態の太陽電池4およびイメージセンサ5よりも製造コストが高くつく。
これらの結果、第1〜第3実施形態の半導体装置1と、第4実施形態の半導体装置61とを比較すると、前者の方が、光吸収層45の感度の向上およびその均一化、ならびに製造コストの低減を図ることができる。
【0098】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は他の形態で実施することもできる。ことができる。
たとえば、半導体装置1,61は、それぞれ図11(第5実施形態)および図12(第6実施形態)に示すように、イメージセンサ5,65を備えていなくてもよい。すなわち、複数の光電変換素子11,71が、太陽電池4,64のみを構成していてもよい。また、それとは逆に、複数の光電変換素子11,71が、イメージセンサ5,65のみを構成していてもよい。
【0099】
また、半導体基板2,62上に形成される集積回路は、LSIに限らず、たとえば、SSI、MSI、VLSI、ULSIなどであってもよい。
その他、特許請求の範囲に記載された事項の範囲で種々の設計変更を施すことが可能である。
【符号の説明】
【0100】
1 半導体装置
2 半導体基板
3 LSI
4 太陽電池
5 イメージセンサ
6 電源線
7 信号線
11 光電変換素子
12 受光面
13 上部電極
23 凹部
27 第4層間膜
43 下部電極
44 絶縁層
45 光吸収層
46 高抵抗バッファ層
47 (下部電極の)上面
48 (凹部の)底面
50 電極材料層
51 犠牲層
55 半導体装置
56 段差
57 半導体装置
58 段差
61 半導体装置
62 半導体基板
63 LSI
64 太陽電池
65 イメージセンサ
66 電源線
67 信号線
71 光電変換素子
104 光吸収層

【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体基板と、
前記半導体基板上に形成された集積回路と、
前記集積回路上に積層され、カルコパイライト構造の化合物半導体からなる光吸収層を有する光電変換素子とを含む、半導体装置。
【請求項2】
複数の前記光電変換素子によって太陽電池が構成されており、
前記太陽電池と前記集積回路とを電気的に接続する電源回路をさらに含む、請求項1に記載の半導体装置。
【請求項3】
複数の前記光電変換素子によってイメージセンサが構成されており、
前記イメージセンサと前記集積回路とを電気的に接続する信号回路をさらに含む、請求項1または2に記載の半導体装置。
【請求項4】
前記光吸収層が、Gaを含有している、請求項1〜3のいずれか一項に記載の半導体装置。
【請求項5】
前記光電変換素子は、
第1絶縁層と、
前記第1絶縁層上に形成された下部電極と、
前記第1絶縁層上に積層され、前記下部電極の上面をその底面に含む凹部を有する第2絶縁層とを含み、
前記光吸収層は、前記凹部に埋設され、その上面が前記凹部の開口面積以上である表面積を有する受光面であり、
前記光吸収層上には、光透過性材料からなる上部電極が形成されている、請求項1〜4のいずれか一項に記載の半導体装置。
【請求項6】
前記凹部の開口面積が、前記下部電極の上面の面積よりも大きく、
前記凹部の底面が、前記下部電極の上面の全域を含む、請求項5に記載の半導体装置。
【請求項7】
前記受光面が、前記第2絶縁層の上面と面一をなしている、請求項5または6に記載の半導体装置。
【請求項8】
前記受光面には、前記受光面の周縁部と、その周縁部に取り囲まれる中央部分との間に段差が形成されている、請求項5または6に記載の半導体装置。
【請求項9】
前記段差は、前記受光面の前記中央部分が前記受光面の前記周縁部よりも1段下がることにより形成されている、請求項8に記載の半導体装置。
【請求項10】
前記光吸収層と前記上部電極との間に介在されたバッファ層をさらに含む、請求項5〜9のいずれか一項に記載の半導体装置。
【請求項11】
第1絶縁層と、
前記第1絶縁層上に形成された下部電極と、
前記第1絶縁層上に積層され、前記下部電極の上面をその底面に含む凹部を有する第2絶縁層と、
前記凹部に埋設され、カルコパイライト系化合物半導体からなり、その上面が受光面である光吸収層と、
前記光吸収層上に形成され、光透過性材料からなる上部電極とを含み、
前記受光面の表面積が、前記凹部の開口面積以上である、光電変換装置。
【請求項12】
前記凹部の開口面積が、前記下部電極の上面の面積よりも大きく、
前記凹部の底面が、前記下部電極の上面の全域を含む、請求項11に記載の光電変換装置。
【請求項13】
前記受光面が、前記第2絶縁層の上面と面一をなしている、請求項11または12に記載の光電変換装置。
【請求項14】
前記受光面には、前記受光面の周縁部と、その周縁部に取り囲まれる中央部分との間に段差が形成されている、請求項11または12に記載の光電変換装置。
【請求項15】
前記段差は、前記受光面の前記中央部分が前記受光面の前記周縁部よりも1段下がることにより形成されている、請求項14に記載の光電変換装置。
【請求項16】
前記光吸収層と前記上部電極との間に介在されたバッファ層をさらに含む、請求項11〜15のいずれか一項に記載の光電変換装置。
【請求項17】
第1絶縁層上に下部電極の材料からなる電極材料層を積層する工程と、
前記電極材料層上に犠牲層を積層する工程と、
フォトリソグラフィおよびエッチングにより、前記犠牲層および前記電極材料層を選択的に除去する工程と、
前記第1絶縁層上に、少なくとも前記犠牲層および前記電極材料層の除去された部分が前記犠牲層の上面まで埋め尽くされるように、第2絶縁層を形成する工程と、
前記第2絶縁層を化学機械研磨し、前記犠牲層の上面を前記第2絶縁層の上面と面一をなす状態に露出させる工程と、
前記第2絶縁層の化学機械研磨の後、等方性エッチングにより、前記犠牲層を除去する工程と、
前記犠牲層の除去により前記第2絶縁層に形成される凹部内を埋め尽くすように、カルコパイライト系化合物半導体を堆積させる工程と、
前記カルコパイライト系化合物半導体の堆積層を化学機械研磨し、前記凹部内に埋設された光吸収層を形成する工程とを含む、光電変換装置の製造方法。

【図1】
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【図2A】
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【図2B】
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【図3】
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【図4A】
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【図4B】
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【図4C】
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【図4D】
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【図4E】
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【図4F】
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【図4G】
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【図4H】
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【図4I】
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【図4J】
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【図4K】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8A】
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【図8B】
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【図9】
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【図10A】
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【図10B】
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【図10C】
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【図10D】
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【図10E】
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【図10F】
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【図10G】
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【図10H】
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【図10I】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2010−263190(P2010−263190A)
【公開日】平成22年11月18日(2010.11.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−65681(P2010−65681)
【出願日】平成22年3月23日(2010.3.23)
【出願人】(000116024)ローム株式会社 (3,539)
【Fターム(参考)】