半導体装置の製造方法及び製造装置
【課題】半導体バーに保護膜を形成する行程においてスペーサと半導体バーを短時間で分離する。
【解決手段】半導体バー12とスペーサ14とを交互に積層する。半導体バー12は、複数の半導体素子が長手方向に連接されて板状に形成されている。スペーサ14は、長手方向において半導体バー12よりも長く、長手方向で互いに対向する第1端面及び第2端面を有する。スペーサ14の第1端面に切り欠きが設けられている。積層された半導体バー12とスペーサ14の露出端面に一体的に保護膜24を形成する。スペーサ14の切り欠き内において半導体バー12の端面に第1押圧バー16を押し当て、スペーサ14の第2端面に第2押圧バー18を押し当てる。これにより半導体バー12に対してスペーサ14を移動させて、半導体バー12とスペーサ14の境界に沿って保護膜24をせん断応力により破断させる。積層された半導体バー12をコレットにより順番に取り出す。
【解決手段】半導体バー12とスペーサ14とを交互に積層する。半導体バー12は、複数の半導体素子が長手方向に連接されて板状に形成されている。スペーサ14は、長手方向において半導体バー12よりも長く、長手方向で互いに対向する第1端面及び第2端面を有する。スペーサ14の第1端面に切り欠きが設けられている。積層された半導体バー12とスペーサ14の露出端面に一体的に保護膜24を形成する。スペーサ14の切り欠き内において半導体バー12の端面に第1押圧バー16を押し当て、スペーサ14の第2端面に第2押圧バー18を押し当てる。これにより半導体バー12に対してスペーサ14を移動させて、半導体バー12とスペーサ14の境界に沿って保護膜24をせん断応力により破断させる。積層された半導体バー12をコレットにより順番に取り出す。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体バーとスペーサを交互に積層して半導体バーの端面に保護膜を形成する半導体装置の製造方法及び製造装置に関し、特に保護膜を形成した半導体バーをスペーサから短時間で確実に分離することができる半導体装置の製造方法及び製造装置に関する。
【背景技術】
【0002】
レーザ光が出射する半導体レーザの端面を鏡面にするため、複数の半導体レーザが形成された半導体ウェハを劈開して端面が形成される。しかし、そのままでは端面への酸化膜の形成やレーザ光の吸収により端面が劣化してしまう。そこで、端面劣化を防止するために端面に保護膜が形成される(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
半導体装置の製造方法では、まず半導体ウェハを劈開して複数の半導体レーザがバー状(短冊状)に一列に並んだ半導体バーを形成する。次に、専用の治具に半導体バーとスペーサを交互に積み重ねて保護膜を形成する。そして、保護膜を形成した半導体バーをスペーサから分離する(例えば、特許文献2参照)。
【0004】
しかし、保護膜によって半導体バーとスペーサが一体化されるために、半導体バーをスペーサから確実に分離できない場合があった。この問題を解消するために、最上部のスペーサを取り出す場合は、そのスペーサの両端を積層方向下方に向けて押圧して撓ませていた。また、最上部の半導体バーを取り出す場合は、その半導体バーの下方に接するスペーサの両端を積層方向下方に向けて押圧して撓ませて両端を保持していた(例えば、特許文献3参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平10−125994号公報
【特許文献2】特開2007−123374号公報
【特許文献3】特開2008−306098号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、積層されたスペーサと半導体バーをそれぞれ取り出す毎に上記処理を行っていたため、全てのスペーサと半導体バーを分離して取り出すには長い時間がかかるという問題があった。
【0007】
本発明は、上述のような課題を解決するためになされたもので、その目的は、保護膜を形成した半導体バーをスペーサから短時間で確実に分離することができる半導体装置の製造方法及び製造装置を得るものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、複数の半導体素子が長手方向に連接されて板状に形成された半導体バーと、前記長手方向において前記半導体バーよりも長く、前記長手方向で互いに対向する第1端面及び第2端面を有し、前記第1端面に切り欠きが設けられたスペーサとを交互に積層する工程と、積層された前記半導体バーと前記スペーサの端面に一体的に保護膜を形成する工程と、前記スペーサの前記切り欠き内において前記半導体バーの端面に第1押圧バーを押し当て、前記スペーサの前記第2端面に第2押圧バーを押し当てて前記半導体バーに対して前記スペーサを移動させて、前記半導体バーと前記スペーサの境界に沿って前記保護膜をせん断応力により破断させる工程と、前記保護膜を破断させた後に、積層された前記半導体バーをコレットにより順番に取り出す工程とを備えることを特徴とする半導体装置の製造方法である。
【発明の効果】
【0009】
本発明により、保護膜を形成した半導体バーをスペーサから短時間で確実に分離することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】実施の形態1に係る半導体装置の製造方法及び製造装置を説明するための上面図である。
【図2】実施の形態1に係る半導体装置の製造方法及び製造装置を説明するための側面図である。
【図3】実施の形態1に係る半導体装置の製造方法及び製造装置を説明するための上面図である。
【図4】実施の形態1に係る半導体装置の製造方法及び製造装置を説明するための側面図である。
【図5】実施の形態1に係る半導体装置の製造方法及び製造装置を説明するための上面図である。
【図6】実施の形態1に係る半導体装置の製造方法及び製造装置を説明するための側面図である。
【図7】実施の形態1に係る半導体装置の製造方法及び製造装置を説明するための側面図である。
【図8】実施の形態1に係る半導体装置の製造方法及び製造装置を説明するための側面図である。
【図9】実施の形態2に係る半導体装置の製造方法及び製造装置を説明するための上面図である。
【図10】実施の形態2に係る半導体装置の製造方法及び製造装置を説明するための側面図である。
【図11】実施の形態2に係る半導体装置の製造方法及び製造装置を説明するための上面図である。
【図12】実施の形態2に係る半導体装置の製造方法及び製造装置を説明するための側面図である。
【図13】実施の形態2に係る半導体装置の製造方法及び製造装置を説明するための上面図である。
【図14】実施の形態2に係る半導体装置の製造方法及び製造装置を説明するための側面図である。
【図15】実施の形態2に係る半導体装置の製造方法及び製造装置を説明するための側面図である。
【図16】実施の形態2に係る半導体装置の製造方法及び製造装置を説明するための側面図である。
【図17】実施の形態3に係る半導体装置の製造方法及び製造装置を説明するための上面図である。
【図18】実施の形態3に係る半導体装置の製造方法及び製造装置を説明するための側面図である。
【図19】実施の形態3に係る半導体装置の製造方法及び製造装置を説明するための上面図である。
【図20】実施の形態3に係る半導体装置の製造方法及び製造装置を説明するための側面図である。
【図21】実施の形態3に係る半導体装置の製造方法及び製造装置を説明するための上面図である。
【図22】実施の形態3に係る半導体装置の製造方法及び製造装置を説明するための側面図である。
【図23】実施の形態4に係る半導体装置の製造方法及び製造装置を説明するための側面図である。
【図24】実施の形態4に係る半導体装置の製造方法及び製造装置を説明するための側面図である。
【図25】実施の形態4に係る半導体装置の製造方法及び製造装置を説明するための側面図である。
【図26】実施の形態4に係る半導体装置の製造方法及び製造装置を説明するための側面図である。
【図27】実施の形態4に係る半導体装置の製造方法及び製造装置を説明するための側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
実施の形態1.
図1,3,5は実施の形態1に係る半導体装置の製造方法及び製造装置を説明するための上面図である。図2,4,6−8は実施の形態1に係る半導体装置の製造方法及び製造装置を説明するための側面図である。
【0012】
実施の形態1に係る製造装置は、コーティング治具10と、半導体バー12と交互に積層されるスペーサ14と、積層された半導体バー12とスペーサ14を挟む第1押圧バー16及び第2押圧バー18と、積層された半導体バー12を順番に取り出すコレット20とを備える。
【0013】
半導体バー12は、複数のレーザダイオード(半導体素子)が長手方向に連接されて板状に形成されている。スペーサ14は、長手方向において半導体バー12よりも長く、長手方向で互いに対向する第1端面14a及び第2端面14bを有する。
【0014】
スペーサ14の第1端面14aに切り欠き22が設けられている。なお、切り欠き22の形状は、本実施の形態ではV字状であるが、これに限らずU字状やコ字状でも良く、第1端面14aが凹んでいればどのような形状でも良い。第1押圧バー16の先端部は、本実施の形態ではスペーサ14の切り欠き22に合致する形状であるが、これに限らず切り欠き22に挿入できる形状であれば良い。
【0015】
続いて、実施の形態1に係る半導体装置の製造方法について説明する。まず、図1及び図2に示すように、コーティング治具10上に半導体バー12とスペーサ14とを交互に積層する。
【0016】
次に、図3及び図4に示すように、積層された半導体バー12とスペーサ14の露出端面に一体的に光学薄膜などの保護膜24をスパッタ法、真空蒸着法、CVD法などにより形成する。積層された半導体バー12とスペーサ14の長手方向の両側に第1押圧バー16と第2押圧バー18をそれぞれ配置する。
【0017】
次に、図5及び図6に示すように、積層された半導体バー12とスペーサ14を第1押圧バー16と第2押圧バー18で挟み、スペーサ14の切り欠き22内に第1押圧バー16の先端部を挿入する。即ち、スペーサ14の切り欠き22内において半導体バー12の端面に第1押圧バー16を押し当て、スペーサ14の第2端面14bに第2押圧バー18を押し当てる。これにより半導体バー12に対してスペーサ14を移動させて、半導体バー12とスペーサ14の境界に沿って保護膜24をせん断応力により破断させる。
【0018】
なお、上記動作を行う際に半導体バー12とスペーサ14が不用意に動いてしまう場合、保護膜24を形成した面又はその面と対向する面を真空吸着して姿勢保持しても良い。また、第1押圧バー16が半導体バー12に接触し、第2押圧バー18がスペーサ14に接触した後の第1押圧バー16と第2押圧バー18の移動量は、保護膜24を破断させる量で良いが、それより大きくても良い。当該移動量は保護膜24の膜質や膜厚等で変化するので、必要に応じて調整する必要がある。
【0019】
次に、図7及び図8に示すように、第1押圧バー16と第2押圧バー18を半導体バー12及びスペーサ14から離し、積層された半導体バー12とスペーサ14をコレット20により順番に取り出す。なお、上記動作を行う際に半導体バー12とスペーサ14が不用意に動いてしまう場合、保護膜24を形成した面又はその面と対向する面を真空吸着して姿勢保持しても良い。
【0020】
本実施の形態に係る製造方法では、コレット20により取り出す前に、積層された半導体バー12とスペーサ14の各境界に沿って保護膜24を一括で破断させる。従って、半導体バー12とスペーサ14をコレット20により取り出すたびに分離処理を行う必要は無い。よって、保護膜24を形成した半導体バー12をスペーサ14から短時間で確実に分離することができる。
【0021】
また、半導体バー12の素子面では無い箇所を第1押圧バー16と第2押圧バー18により押圧するため、素子面を傷つけない。さらに、スペーサ14を弾性変形させないため、スペーサ14の上下の半導体バー12には応力が発生せず、損傷を受けることもない。
【0022】
実施の形態2.
図9,11,13は実施の形態2に係る半導体装置の製造方法及び製造装置を説明するための上面図である。図10,12,14−16は実施の形態2に係る半導体装置の製造方法及び製造装置を説明するための側面図である。実施の形態1と同様の構成要素には同じ番号を付し、説明を省略する。
【0023】
実施の形態2に係る製造装置では、スペーサ14の切り欠き22は、開口部の幅が内部の幅より小さい鍵穴状である。第1押圧バー16は、切り欠き22に引っ掛かる形状である。その他の構成は実施の形態1と同様である。
【0024】
続いて、実施の形態2に係る半導体装置の製造方法について説明する。まず、コーティング治具10上に半導体バー12とスペーサ14とを交互に積層する。次に、図9及び図10に示すように、積層された半導体バー12とスペーサ14の露出端面に一体的に光学薄膜などの保護膜24をスパッタ法、真空蒸着法、CVD法などにより形成する。積層された半導体バー12とスペーサ14の長手方向の両側に第1押圧バー16と第2押圧バー18をそれぞれ配置する。
【0025】
次に、図11及び図12に示すように、積層された半導体バー12とスペーサ14を第1押圧バー16と第2押圧バー18で挟み、スペーサ14の切り欠き22内に第1押圧バー16の先端部を挿入する。即ち、スペーサ14の切り欠き22内において半導体バー12の端面に第1押圧バー16を押し当て、スペーサ14の第2端面14bに第2押圧バー18を押し当てる。これにより半導体バー12に対してスペーサ14を移動させて、半導体バー12とスペーサ14の境界に沿って保護膜24をせん断応力により破断させる。
【0026】
次に、図13及び図14に示すように、第1押圧バー16を切り欠き22に引っ掛けた状態で第1押圧バー16を移動させて、スペーサ14を半導体バー12に対して引き抜く。スペーサ14を引き抜くと半導体バー12間にスペーサ14の厚み分の間隙が残る。この間隙の影響で半導体バー12が倒れてコレット20により取り出し難くなる場合、図15に示すように、コレット20により積層方向へ押し縮めて当該間隙を詰める。なお、上記動作を行う際に半導体バー12とスペーサ14が不用意に動いてしまう場合、保護膜24を形成した面又はその面と対向する面を真空吸着して姿勢保持しても良い。
【0027】
次に、図16に示すように、第2押圧バー18を半導体バー12から離し、積層された半導体バー12をコレット20により順番に取り出す。
【0028】
本実施の形態に係る製造方法では、実施の形態1と同様の効果を得ることができる。さらに、第1押圧バー16によりスペーサ14だけを一括して取り除くことができるため、コレット20により半導体バー12だけを取り出せばよい。従って、処理時間を大幅に短縮することができる。
【0029】
実施の形態3.
図17,19,21は実施の形態3に係る半導体装置の製造方法及び製造装置を説明するための上面図である。図18,20,22は実施の形態3に係る半導体装置の製造方法及び製造装置を説明するための側面図である。実施の形態1と同様の構成要素には同じ番号を付し、説明を省略する。
【0030】
実施の形態3に係る製造装置は、コーティング治具10と、半導体バー12と交互に積層されるスペーサ26と、スペーサ26を支持する支持バー28,30と、半導体バーに押し当てられる押圧バー32と、積層された半導体バー12を順番に取り出すコレット20とを備える。
【0031】
スペーサ26は、長手方向において半導体バー12よりも長く、短手方向で互いに対向する第1端面26a及び第2端面26bを有する。スペーサ26の第2端面26bに切り欠き34が設けられている。なお、切り欠き34の形状は、本実施の形態ではU字状であるが、これに限らずV字状やコ字状でも良く、第2端面26bが凹んでいればどのような形状でも良い。押圧バー32の先端部は、本実施の形態ではスペーサ26の切り欠き34に合致する形状であるが、これに限らず切り欠き34に挿入できる形状であれば良い。
【0032】
続いて、実施の形態3に係る半導体装置の製造方法について説明する。まず、コーティング治具10上に半導体バー12とスペーサ26とを交互に積層する。次に、図17及び図18に示すように、積層された半導体バー12とスペーサ26の第1端面26a側の露出端面に一体的に光学薄膜などの保護膜24をスパッタ法、真空蒸着法、CVD法などにより形成する。積層された半導体バー12とスペーサ26の長手方向の両側に支持バー28,30をそれぞれ配置し、保護膜24を形成した面とは短手方向の反対側に押圧バー32を配置する。
【0033】
次に、図19及び図20に示すように、スペーサ26の第1端面26aを支持バー28,30で支持しながら、スペーサ26の切り欠き34内において半導体バー12の端面に押圧バー32を押し当てる。これによりスペーサ26に対して半導体バー12を移動させて、半導体バー12とスペーサ26の境界に沿って保護膜24をせん断応力により破断させる。
【0034】
なお、押圧バー32が半導体バー12に接触した後の押圧バー32の移動量は、保護膜24を破断させる量で良いが、それより大きくても良い。当該移動量は保護膜24の膜質や膜厚等で変化するので、必要に応じて調整する必要がある。
【0035】
次に、図21及び図22に示すように、支持バー28,30と押圧バー32を半導体バー12及びスペーサ26から離し、積層された半導体バー12とスペーサ26をコレット20により順番に取り出す。なお、上記動作を行う際に半導体バー12とスペーサ26が不用意に動いてしまう場合、保護膜24を形成した面又はその面と対向する面を真空吸着して姿勢保持しても良い。
【0036】
本実施の形態に係る製造方法では、コレット20により取り出す前に、積層された半導体バー12とスペーサ26の各境界に沿って保護膜24を一括で破断させる。従って、半導体バー12とスペーサ26をコレット20により取り出すたびに分離処理を行う必要は無い。よって、保護膜24を形成した半導体バー12をスペーサ26から短時間で確実に分離することができる。
【0037】
また、半導体バー12の素子面では無い箇所を第1押圧バー32と第2押圧バー18により押圧するため、素子面を傷つけない。さらに、スペーサ26を弾性変形させないため、スペーサ26の上下の半導体バー12には応力が発生せず、損傷を受けることもない。
【0038】
実施の形態4.
図23−27は実施の形態4に係る半導体装置の製造方法及び製造装置を説明するための側面図である。実施の形態1と同様の構成要素には同じ番号を付し、説明を省略する。
【0039】
実施の形態4に係る製造装置は、コーティング治具10と、半導体バー12と交互に積層されるスペーサ36と、積層された半導体バー12とスペーサ36を長手方向において挟み込んだ状態で回転することができる第1回転支持バー38及び第2回転支持バー40と、積層された半導体バー12を順番に取り出すコレット20とを備える。スペーサ36は、長手方向において半導体バー12と同じ長さである。
【0040】
続いて、実施の形態4に係る半導体装置の製造方法について説明する。まず、図23に示すように、コーティング治具10上に半導体バー12とスペーサ36とを交互に真っ直ぐに積層する。積層された半導体バー12とスペーサ36の長手方向の両側に第1回転支持バー38及び第2回転支持バー40をそれぞれ配置する。
【0041】
次に、図24に示すように、積層された半導体バー12とスペーサ36の露出端面に一体的に光学薄膜などの保護膜24をスパッタ法、真空蒸着法、CVD法などにより形成する。真っ直ぐに積層された半導体バー12とスペーサ36を長手方向において第1回転支持バー38及び第2回転支持バー40で挟み込む。第1回転支持バー38及び第2回転支持バー40は、半導体バー12及びスペーサ36の端面と接触しても良いし、端面の近くで停止しても良い。
【0042】
次に、図25に示すように、第1回転支持バー38及び第2回転支持バー40を同じ方向に回転させて半導体バー12とスペーサ36の積層状態を階段状に変形させる。これにより半導体バー12とスペーサ36の境界に沿って保護膜24をせん断応力により破断させる。第1回転支持バー38及び第2回転支持バー40の回転方向は、右回転でも左回転でも良い。
【0043】
なお、上記動作を行う際に半導体バー12とスペーサ36が不用意に動いてしまう場合、保護膜24を形成した面又はその面と対向する面を真空吸着して姿勢保持しても良い。また、第1回転支持バー38及び第2回転支持バー40の回転量は、保護膜24を破断させる量で良いが、それより大きくても良い。当該回転量は保護膜24の膜質や膜厚等で変化するので、必要に応じて調整する必要がある。
【0044】
次に、図26に示すように、第1回転支持バー38及び第2回転支持バー40を先ほどとは逆方向に回転させて半導体バー12とスペーサ36の積層状態を真っ直ぐに戻す。
【0045】
次に、図27に示すように、第1回転支持バー38及び第2回転支持バー40を半導体バー12及びスペーサ36から離し、積層された半導体バー12とスペーサ36をコレット20により順番に取り出す。なお、上記動作を行う際に半導体バー12とスペーサ36が不用意に動いてしまう場合、保護膜24を形成した面又はその面と対向する面を真空吸着して姿勢保持しても良い。
【0046】
本実施の形態に係る製造方法では、コレット20により取り出す前に、積層された半導体バー12とスペーサ36の各境界に沿って保護膜24を一括で破断させる。従って、半導体バー12とスペーサ36をコレット20により取り出すたびに分離処理を行う必要は無い。よって、保護膜24を形成した半導体バー12をスペーサ36から短時間で確実に分離することができる。
【0047】
また、半導体バー12の素子面では無い箇所を第1回転支持バー38及び第2回転支持バー40により押圧するため、素子面を傷つけない。さらに、スペーサ36を弾性変形させないため、スペーサ36の上下の半導体バー12には応力が発生せず、損傷を受けることもない。
【0048】
なお、本実施の形態では第1回転支持バー38及び第2回転支持バー40を回転軸に対して回転させている。これに限らず、第1回転支持バー38及び第2回転支持バー40の上端と下端を逆方向へ移動させて第1回転支持バー38及び第2回転支持バー40を回転させても良い。
【0049】
実施の形態1−4では、積層された半導体バー12とスペーサ14の一方の露出端面に一体的に保護膜24を形成しているが、これに限らず保護膜24を形成した面と対向する面にも保護膜を形成してもよい。即ち、半導体バー12の対向する両方の露出端面に保護膜を形成してもよい。このように両面に保護膜を形成した後に、実施の形態1−4の分離工程を行うことで同様の効果が得られる。
【符号の説明】
【0050】
12 半導体バー
14,26,36 スペーサ
14a,26a 第1端面
14b,26b 第2端面
16 第1押圧バー
18 第2押圧バー
20 コレット
22 切り欠き
24 保護膜
28,30 支持バー
32 押圧バー
38 第1回転支持バー
40 第2回転支持バー
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体バーとスペーサを交互に積層して半導体バーの端面に保護膜を形成する半導体装置の製造方法及び製造装置に関し、特に保護膜を形成した半導体バーをスペーサから短時間で確実に分離することができる半導体装置の製造方法及び製造装置に関する。
【背景技術】
【0002】
レーザ光が出射する半導体レーザの端面を鏡面にするため、複数の半導体レーザが形成された半導体ウェハを劈開して端面が形成される。しかし、そのままでは端面への酸化膜の形成やレーザ光の吸収により端面が劣化してしまう。そこで、端面劣化を防止するために端面に保護膜が形成される(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
半導体装置の製造方法では、まず半導体ウェハを劈開して複数の半導体レーザがバー状(短冊状)に一列に並んだ半導体バーを形成する。次に、専用の治具に半導体バーとスペーサを交互に積み重ねて保護膜を形成する。そして、保護膜を形成した半導体バーをスペーサから分離する(例えば、特許文献2参照)。
【0004】
しかし、保護膜によって半導体バーとスペーサが一体化されるために、半導体バーをスペーサから確実に分離できない場合があった。この問題を解消するために、最上部のスペーサを取り出す場合は、そのスペーサの両端を積層方向下方に向けて押圧して撓ませていた。また、最上部の半導体バーを取り出す場合は、その半導体バーの下方に接するスペーサの両端を積層方向下方に向けて押圧して撓ませて両端を保持していた(例えば、特許文献3参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平10−125994号公報
【特許文献2】特開2007−123374号公報
【特許文献3】特開2008−306098号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、積層されたスペーサと半導体バーをそれぞれ取り出す毎に上記処理を行っていたため、全てのスペーサと半導体バーを分離して取り出すには長い時間がかかるという問題があった。
【0007】
本発明は、上述のような課題を解決するためになされたもので、その目的は、保護膜を形成した半導体バーをスペーサから短時間で確実に分離することができる半導体装置の製造方法及び製造装置を得るものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、複数の半導体素子が長手方向に連接されて板状に形成された半導体バーと、前記長手方向において前記半導体バーよりも長く、前記長手方向で互いに対向する第1端面及び第2端面を有し、前記第1端面に切り欠きが設けられたスペーサとを交互に積層する工程と、積層された前記半導体バーと前記スペーサの端面に一体的に保護膜を形成する工程と、前記スペーサの前記切り欠き内において前記半導体バーの端面に第1押圧バーを押し当て、前記スペーサの前記第2端面に第2押圧バーを押し当てて前記半導体バーに対して前記スペーサを移動させて、前記半導体バーと前記スペーサの境界に沿って前記保護膜をせん断応力により破断させる工程と、前記保護膜を破断させた後に、積層された前記半導体バーをコレットにより順番に取り出す工程とを備えることを特徴とする半導体装置の製造方法である。
【発明の効果】
【0009】
本発明により、保護膜を形成した半導体バーをスペーサから短時間で確実に分離することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】実施の形態1に係る半導体装置の製造方法及び製造装置を説明するための上面図である。
【図2】実施の形態1に係る半導体装置の製造方法及び製造装置を説明するための側面図である。
【図3】実施の形態1に係る半導体装置の製造方法及び製造装置を説明するための上面図である。
【図4】実施の形態1に係る半導体装置の製造方法及び製造装置を説明するための側面図である。
【図5】実施の形態1に係る半導体装置の製造方法及び製造装置を説明するための上面図である。
【図6】実施の形態1に係る半導体装置の製造方法及び製造装置を説明するための側面図である。
【図7】実施の形態1に係る半導体装置の製造方法及び製造装置を説明するための側面図である。
【図8】実施の形態1に係る半導体装置の製造方法及び製造装置を説明するための側面図である。
【図9】実施の形態2に係る半導体装置の製造方法及び製造装置を説明するための上面図である。
【図10】実施の形態2に係る半導体装置の製造方法及び製造装置を説明するための側面図である。
【図11】実施の形態2に係る半導体装置の製造方法及び製造装置を説明するための上面図である。
【図12】実施の形態2に係る半導体装置の製造方法及び製造装置を説明するための側面図である。
【図13】実施の形態2に係る半導体装置の製造方法及び製造装置を説明するための上面図である。
【図14】実施の形態2に係る半導体装置の製造方法及び製造装置を説明するための側面図である。
【図15】実施の形態2に係る半導体装置の製造方法及び製造装置を説明するための側面図である。
【図16】実施の形態2に係る半導体装置の製造方法及び製造装置を説明するための側面図である。
【図17】実施の形態3に係る半導体装置の製造方法及び製造装置を説明するための上面図である。
【図18】実施の形態3に係る半導体装置の製造方法及び製造装置を説明するための側面図である。
【図19】実施の形態3に係る半導体装置の製造方法及び製造装置を説明するための上面図である。
【図20】実施の形態3に係る半導体装置の製造方法及び製造装置を説明するための側面図である。
【図21】実施の形態3に係る半導体装置の製造方法及び製造装置を説明するための上面図である。
【図22】実施の形態3に係る半導体装置の製造方法及び製造装置を説明するための側面図である。
【図23】実施の形態4に係る半導体装置の製造方法及び製造装置を説明するための側面図である。
【図24】実施の形態4に係る半導体装置の製造方法及び製造装置を説明するための側面図である。
【図25】実施の形態4に係る半導体装置の製造方法及び製造装置を説明するための側面図である。
【図26】実施の形態4に係る半導体装置の製造方法及び製造装置を説明するための側面図である。
【図27】実施の形態4に係る半導体装置の製造方法及び製造装置を説明するための側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
実施の形態1.
図1,3,5は実施の形態1に係る半導体装置の製造方法及び製造装置を説明するための上面図である。図2,4,6−8は実施の形態1に係る半導体装置の製造方法及び製造装置を説明するための側面図である。
【0012】
実施の形態1に係る製造装置は、コーティング治具10と、半導体バー12と交互に積層されるスペーサ14と、積層された半導体バー12とスペーサ14を挟む第1押圧バー16及び第2押圧バー18と、積層された半導体バー12を順番に取り出すコレット20とを備える。
【0013】
半導体バー12は、複数のレーザダイオード(半導体素子)が長手方向に連接されて板状に形成されている。スペーサ14は、長手方向において半導体バー12よりも長く、長手方向で互いに対向する第1端面14a及び第2端面14bを有する。
【0014】
スペーサ14の第1端面14aに切り欠き22が設けられている。なお、切り欠き22の形状は、本実施の形態ではV字状であるが、これに限らずU字状やコ字状でも良く、第1端面14aが凹んでいればどのような形状でも良い。第1押圧バー16の先端部は、本実施の形態ではスペーサ14の切り欠き22に合致する形状であるが、これに限らず切り欠き22に挿入できる形状であれば良い。
【0015】
続いて、実施の形態1に係る半導体装置の製造方法について説明する。まず、図1及び図2に示すように、コーティング治具10上に半導体バー12とスペーサ14とを交互に積層する。
【0016】
次に、図3及び図4に示すように、積層された半導体バー12とスペーサ14の露出端面に一体的に光学薄膜などの保護膜24をスパッタ法、真空蒸着法、CVD法などにより形成する。積層された半導体バー12とスペーサ14の長手方向の両側に第1押圧バー16と第2押圧バー18をそれぞれ配置する。
【0017】
次に、図5及び図6に示すように、積層された半導体バー12とスペーサ14を第1押圧バー16と第2押圧バー18で挟み、スペーサ14の切り欠き22内に第1押圧バー16の先端部を挿入する。即ち、スペーサ14の切り欠き22内において半導体バー12の端面に第1押圧バー16を押し当て、スペーサ14の第2端面14bに第2押圧バー18を押し当てる。これにより半導体バー12に対してスペーサ14を移動させて、半導体バー12とスペーサ14の境界に沿って保護膜24をせん断応力により破断させる。
【0018】
なお、上記動作を行う際に半導体バー12とスペーサ14が不用意に動いてしまう場合、保護膜24を形成した面又はその面と対向する面を真空吸着して姿勢保持しても良い。また、第1押圧バー16が半導体バー12に接触し、第2押圧バー18がスペーサ14に接触した後の第1押圧バー16と第2押圧バー18の移動量は、保護膜24を破断させる量で良いが、それより大きくても良い。当該移動量は保護膜24の膜質や膜厚等で変化するので、必要に応じて調整する必要がある。
【0019】
次に、図7及び図8に示すように、第1押圧バー16と第2押圧バー18を半導体バー12及びスペーサ14から離し、積層された半導体バー12とスペーサ14をコレット20により順番に取り出す。なお、上記動作を行う際に半導体バー12とスペーサ14が不用意に動いてしまう場合、保護膜24を形成した面又はその面と対向する面を真空吸着して姿勢保持しても良い。
【0020】
本実施の形態に係る製造方法では、コレット20により取り出す前に、積層された半導体バー12とスペーサ14の各境界に沿って保護膜24を一括で破断させる。従って、半導体バー12とスペーサ14をコレット20により取り出すたびに分離処理を行う必要は無い。よって、保護膜24を形成した半導体バー12をスペーサ14から短時間で確実に分離することができる。
【0021】
また、半導体バー12の素子面では無い箇所を第1押圧バー16と第2押圧バー18により押圧するため、素子面を傷つけない。さらに、スペーサ14を弾性変形させないため、スペーサ14の上下の半導体バー12には応力が発生せず、損傷を受けることもない。
【0022】
実施の形態2.
図9,11,13は実施の形態2に係る半導体装置の製造方法及び製造装置を説明するための上面図である。図10,12,14−16は実施の形態2に係る半導体装置の製造方法及び製造装置を説明するための側面図である。実施の形態1と同様の構成要素には同じ番号を付し、説明を省略する。
【0023】
実施の形態2に係る製造装置では、スペーサ14の切り欠き22は、開口部の幅が内部の幅より小さい鍵穴状である。第1押圧バー16は、切り欠き22に引っ掛かる形状である。その他の構成は実施の形態1と同様である。
【0024】
続いて、実施の形態2に係る半導体装置の製造方法について説明する。まず、コーティング治具10上に半導体バー12とスペーサ14とを交互に積層する。次に、図9及び図10に示すように、積層された半導体バー12とスペーサ14の露出端面に一体的に光学薄膜などの保護膜24をスパッタ法、真空蒸着法、CVD法などにより形成する。積層された半導体バー12とスペーサ14の長手方向の両側に第1押圧バー16と第2押圧バー18をそれぞれ配置する。
【0025】
次に、図11及び図12に示すように、積層された半導体バー12とスペーサ14を第1押圧バー16と第2押圧バー18で挟み、スペーサ14の切り欠き22内に第1押圧バー16の先端部を挿入する。即ち、スペーサ14の切り欠き22内において半導体バー12の端面に第1押圧バー16を押し当て、スペーサ14の第2端面14bに第2押圧バー18を押し当てる。これにより半導体バー12に対してスペーサ14を移動させて、半導体バー12とスペーサ14の境界に沿って保護膜24をせん断応力により破断させる。
【0026】
次に、図13及び図14に示すように、第1押圧バー16を切り欠き22に引っ掛けた状態で第1押圧バー16を移動させて、スペーサ14を半導体バー12に対して引き抜く。スペーサ14を引き抜くと半導体バー12間にスペーサ14の厚み分の間隙が残る。この間隙の影響で半導体バー12が倒れてコレット20により取り出し難くなる場合、図15に示すように、コレット20により積層方向へ押し縮めて当該間隙を詰める。なお、上記動作を行う際に半導体バー12とスペーサ14が不用意に動いてしまう場合、保護膜24を形成した面又はその面と対向する面を真空吸着して姿勢保持しても良い。
【0027】
次に、図16に示すように、第2押圧バー18を半導体バー12から離し、積層された半導体バー12をコレット20により順番に取り出す。
【0028】
本実施の形態に係る製造方法では、実施の形態1と同様の効果を得ることができる。さらに、第1押圧バー16によりスペーサ14だけを一括して取り除くことができるため、コレット20により半導体バー12だけを取り出せばよい。従って、処理時間を大幅に短縮することができる。
【0029】
実施の形態3.
図17,19,21は実施の形態3に係る半導体装置の製造方法及び製造装置を説明するための上面図である。図18,20,22は実施の形態3に係る半導体装置の製造方法及び製造装置を説明するための側面図である。実施の形態1と同様の構成要素には同じ番号を付し、説明を省略する。
【0030】
実施の形態3に係る製造装置は、コーティング治具10と、半導体バー12と交互に積層されるスペーサ26と、スペーサ26を支持する支持バー28,30と、半導体バーに押し当てられる押圧バー32と、積層された半導体バー12を順番に取り出すコレット20とを備える。
【0031】
スペーサ26は、長手方向において半導体バー12よりも長く、短手方向で互いに対向する第1端面26a及び第2端面26bを有する。スペーサ26の第2端面26bに切り欠き34が設けられている。なお、切り欠き34の形状は、本実施の形態ではU字状であるが、これに限らずV字状やコ字状でも良く、第2端面26bが凹んでいればどのような形状でも良い。押圧バー32の先端部は、本実施の形態ではスペーサ26の切り欠き34に合致する形状であるが、これに限らず切り欠き34に挿入できる形状であれば良い。
【0032】
続いて、実施の形態3に係る半導体装置の製造方法について説明する。まず、コーティング治具10上に半導体バー12とスペーサ26とを交互に積層する。次に、図17及び図18に示すように、積層された半導体バー12とスペーサ26の第1端面26a側の露出端面に一体的に光学薄膜などの保護膜24をスパッタ法、真空蒸着法、CVD法などにより形成する。積層された半導体バー12とスペーサ26の長手方向の両側に支持バー28,30をそれぞれ配置し、保護膜24を形成した面とは短手方向の反対側に押圧バー32を配置する。
【0033】
次に、図19及び図20に示すように、スペーサ26の第1端面26aを支持バー28,30で支持しながら、スペーサ26の切り欠き34内において半導体バー12の端面に押圧バー32を押し当てる。これによりスペーサ26に対して半導体バー12を移動させて、半導体バー12とスペーサ26の境界に沿って保護膜24をせん断応力により破断させる。
【0034】
なお、押圧バー32が半導体バー12に接触した後の押圧バー32の移動量は、保護膜24を破断させる量で良いが、それより大きくても良い。当該移動量は保護膜24の膜質や膜厚等で変化するので、必要に応じて調整する必要がある。
【0035】
次に、図21及び図22に示すように、支持バー28,30と押圧バー32を半導体バー12及びスペーサ26から離し、積層された半導体バー12とスペーサ26をコレット20により順番に取り出す。なお、上記動作を行う際に半導体バー12とスペーサ26が不用意に動いてしまう場合、保護膜24を形成した面又はその面と対向する面を真空吸着して姿勢保持しても良い。
【0036】
本実施の形態に係る製造方法では、コレット20により取り出す前に、積層された半導体バー12とスペーサ26の各境界に沿って保護膜24を一括で破断させる。従って、半導体バー12とスペーサ26をコレット20により取り出すたびに分離処理を行う必要は無い。よって、保護膜24を形成した半導体バー12をスペーサ26から短時間で確実に分離することができる。
【0037】
また、半導体バー12の素子面では無い箇所を第1押圧バー32と第2押圧バー18により押圧するため、素子面を傷つけない。さらに、スペーサ26を弾性変形させないため、スペーサ26の上下の半導体バー12には応力が発生せず、損傷を受けることもない。
【0038】
実施の形態4.
図23−27は実施の形態4に係る半導体装置の製造方法及び製造装置を説明するための側面図である。実施の形態1と同様の構成要素には同じ番号を付し、説明を省略する。
【0039】
実施の形態4に係る製造装置は、コーティング治具10と、半導体バー12と交互に積層されるスペーサ36と、積層された半導体バー12とスペーサ36を長手方向において挟み込んだ状態で回転することができる第1回転支持バー38及び第2回転支持バー40と、積層された半導体バー12を順番に取り出すコレット20とを備える。スペーサ36は、長手方向において半導体バー12と同じ長さである。
【0040】
続いて、実施の形態4に係る半導体装置の製造方法について説明する。まず、図23に示すように、コーティング治具10上に半導体バー12とスペーサ36とを交互に真っ直ぐに積層する。積層された半導体バー12とスペーサ36の長手方向の両側に第1回転支持バー38及び第2回転支持バー40をそれぞれ配置する。
【0041】
次に、図24に示すように、積層された半導体バー12とスペーサ36の露出端面に一体的に光学薄膜などの保護膜24をスパッタ法、真空蒸着法、CVD法などにより形成する。真っ直ぐに積層された半導体バー12とスペーサ36を長手方向において第1回転支持バー38及び第2回転支持バー40で挟み込む。第1回転支持バー38及び第2回転支持バー40は、半導体バー12及びスペーサ36の端面と接触しても良いし、端面の近くで停止しても良い。
【0042】
次に、図25に示すように、第1回転支持バー38及び第2回転支持バー40を同じ方向に回転させて半導体バー12とスペーサ36の積層状態を階段状に変形させる。これにより半導体バー12とスペーサ36の境界に沿って保護膜24をせん断応力により破断させる。第1回転支持バー38及び第2回転支持バー40の回転方向は、右回転でも左回転でも良い。
【0043】
なお、上記動作を行う際に半導体バー12とスペーサ36が不用意に動いてしまう場合、保護膜24を形成した面又はその面と対向する面を真空吸着して姿勢保持しても良い。また、第1回転支持バー38及び第2回転支持バー40の回転量は、保護膜24を破断させる量で良いが、それより大きくても良い。当該回転量は保護膜24の膜質や膜厚等で変化するので、必要に応じて調整する必要がある。
【0044】
次に、図26に示すように、第1回転支持バー38及び第2回転支持バー40を先ほどとは逆方向に回転させて半導体バー12とスペーサ36の積層状態を真っ直ぐに戻す。
【0045】
次に、図27に示すように、第1回転支持バー38及び第2回転支持バー40を半導体バー12及びスペーサ36から離し、積層された半導体バー12とスペーサ36をコレット20により順番に取り出す。なお、上記動作を行う際に半導体バー12とスペーサ36が不用意に動いてしまう場合、保護膜24を形成した面又はその面と対向する面を真空吸着して姿勢保持しても良い。
【0046】
本実施の形態に係る製造方法では、コレット20により取り出す前に、積層された半導体バー12とスペーサ36の各境界に沿って保護膜24を一括で破断させる。従って、半導体バー12とスペーサ36をコレット20により取り出すたびに分離処理を行う必要は無い。よって、保護膜24を形成した半導体バー12をスペーサ36から短時間で確実に分離することができる。
【0047】
また、半導体バー12の素子面では無い箇所を第1回転支持バー38及び第2回転支持バー40により押圧するため、素子面を傷つけない。さらに、スペーサ36を弾性変形させないため、スペーサ36の上下の半導体バー12には応力が発生せず、損傷を受けることもない。
【0048】
なお、本実施の形態では第1回転支持バー38及び第2回転支持バー40を回転軸に対して回転させている。これに限らず、第1回転支持バー38及び第2回転支持バー40の上端と下端を逆方向へ移動させて第1回転支持バー38及び第2回転支持バー40を回転させても良い。
【0049】
実施の形態1−4では、積層された半導体バー12とスペーサ14の一方の露出端面に一体的に保護膜24を形成しているが、これに限らず保護膜24を形成した面と対向する面にも保護膜を形成してもよい。即ち、半導体バー12の対向する両方の露出端面に保護膜を形成してもよい。このように両面に保護膜を形成した後に、実施の形態1−4の分離工程を行うことで同様の効果が得られる。
【符号の説明】
【0050】
12 半導体バー
14,26,36 スペーサ
14a,26a 第1端面
14b,26b 第2端面
16 第1押圧バー
18 第2押圧バー
20 コレット
22 切り欠き
24 保護膜
28,30 支持バー
32 押圧バー
38 第1回転支持バー
40 第2回転支持バー
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の半導体素子が長手方向に連接されて板状に形成された半導体バーと、前記長手方向において前記半導体バーよりも長く、前記長手方向で互いに対向する第1端面及び第2端面を有し、前記第1端面に切り欠きが設けられたスペーサとを交互に積層する工程と、
積層された前記半導体バーと前記スペーサの端面に一体的に保護膜を形成する工程と、
前記スペーサの前記切り欠き内において前記半導体バーの端面に第1押圧バーを押し当て、前記スペーサの前記第2端面に第2押圧バーを押し当てて前記半導体バーに対して前記スペーサを移動させて、前記半導体バーと前記スペーサの境界に沿って前記保護膜をせん断応力により破断させる工程と、
前記保護膜を破断させた後に、積層された前記半導体バーをコレットにより順番に取り出す工程とを備えることを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項2】
前記保護膜を破断させた後に、前記第1押圧バーを前記切り欠きに引っ掛けた状態で前記第1押圧バーを移動させて、前記スペーサを前記半導体バーに対して引き抜くことを特徴とする請求項1に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項3】
複数の半導体素子が長手方向に連接されて板状に形成された半導体バーと、前記長手方向において前記半導体バーよりも長く、前記短手方向で互いに対向する第1端面及び第2端面を有し、前記第2端面に切り欠きが設けられたスペーサとを交互に積層する工程と、
積層された前記半導体バーと前記スペーサの前記第1端面側の露出端面に一体的に保護膜を形成する工程と、
前記スペーサの前記第1端面を支持バーで支持しながら、前記スペーサの前記切り欠き内において前記半導体バーの端面に押圧バーを押し当て前記スペーサに対して前記半導体バーを移動させて、前記半導体バーと前記スペーサの境界に沿って前記保護膜をせん断応力により破断させる工程と、
前記保護膜を破断させた後に、積層された前記半導体バーをコレットにより順番に取り出す工程とを備えることを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項4】
複数の半導体素子が長手方向に連接されて板状に形成された半導体バーと、前記長手方向において前記半導体バーと同じ長さのスペーサとを交互に真っ直ぐに積層する工程と、
積層された前記半導体バーと前記スペーサの端面に一体的に保護膜を形成する工程と、
真っ直ぐに積層された前記半導体バーと前記スペーサを前記長手方向において第1回転支持バー及び第2回転支持バーで挟み込んだ後に、前記第1回転支持バー及び第2回転支持バーを同じ方向に回転させて前記半導体バーと前記スペーサの積層状態を階段状に変形させて、前記半導体バーと前記スペーサの境界に沿って前記保護膜をせん断応力により破断させる工程と、
前記保護膜を破断させた後に、積層された前記半導体バーをコレットにより順番に取り出す工程とを備えることを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項5】
複数の半導体素子が長手方向に連接されて板状に形成された半導体バーと交互に積層され、前記長手方向において前記半導体バーよりも長く、前記長手方向で互いに対向する第1端面及び第2端面を有し、前記第1端面に切り欠きが設けられたスペーサと、
前記スペーサの前記切り欠き内において前記半導体バーの端面に押し当てられる第1押圧バーと、
前記スペーサの前記第2端面に押し当てられる第2押圧バーと、
積層された前記半導体バーを順番に取り出すコレットとを備えることを特徴とする半導体装置の製造装置。
【請求項6】
前記スペーサの前記切り欠きは、開口部の幅が内部の幅より小さい鍵穴状であり、
前記第1押圧バーは、前記切り欠きに引っ掛かる形状であることを特徴とする請求項5に記載の半導体装置の製造装置。
【請求項7】
複数の半導体素子が長手方向に連接されて板状に形成された半導体バーと交互に積層され、前記長手方向において前記半導体バーよりも長く、短手方向で互いに対向する第1端面及び第2端面を有し、前記第2端面に切り欠きが設けられたスペーサと、
前記スペーサの前記第1端面を支持する支持バーと、
前記スペーサの前記切り欠き内において前記半導体バーの端面に押し当てられる押圧バーと、
積層された前記半導体バーを順番に取り出すコレットとを備えることを特徴とする半導体装置の製造装置。
【請求項8】
複数の半導体素子が長手方向に連接されて板状に形成された半導体バーと交互に積層され、前記長手方向において前記半導体バーと同じ長さのスペーサと、
積層された前記半導体バーと前記スペーサを前記長手方向において挟み込んだ状態で回転することができる第1回転支持バー及び第2回転支持バーと、
積層された前記半導体バーを順番に取り出すコレットとを備えることを特徴とする半導体装置の製造装置。
【請求項1】
複数の半導体素子が長手方向に連接されて板状に形成された半導体バーと、前記長手方向において前記半導体バーよりも長く、前記長手方向で互いに対向する第1端面及び第2端面を有し、前記第1端面に切り欠きが設けられたスペーサとを交互に積層する工程と、
積層された前記半導体バーと前記スペーサの端面に一体的に保護膜を形成する工程と、
前記スペーサの前記切り欠き内において前記半導体バーの端面に第1押圧バーを押し当て、前記スペーサの前記第2端面に第2押圧バーを押し当てて前記半導体バーに対して前記スペーサを移動させて、前記半導体バーと前記スペーサの境界に沿って前記保護膜をせん断応力により破断させる工程と、
前記保護膜を破断させた後に、積層された前記半導体バーをコレットにより順番に取り出す工程とを備えることを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項2】
前記保護膜を破断させた後に、前記第1押圧バーを前記切り欠きに引っ掛けた状態で前記第1押圧バーを移動させて、前記スペーサを前記半導体バーに対して引き抜くことを特徴とする請求項1に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項3】
複数の半導体素子が長手方向に連接されて板状に形成された半導体バーと、前記長手方向において前記半導体バーよりも長く、前記短手方向で互いに対向する第1端面及び第2端面を有し、前記第2端面に切り欠きが設けられたスペーサとを交互に積層する工程と、
積層された前記半導体バーと前記スペーサの前記第1端面側の露出端面に一体的に保護膜を形成する工程と、
前記スペーサの前記第1端面を支持バーで支持しながら、前記スペーサの前記切り欠き内において前記半導体バーの端面に押圧バーを押し当て前記スペーサに対して前記半導体バーを移動させて、前記半導体バーと前記スペーサの境界に沿って前記保護膜をせん断応力により破断させる工程と、
前記保護膜を破断させた後に、積層された前記半導体バーをコレットにより順番に取り出す工程とを備えることを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項4】
複数の半導体素子が長手方向に連接されて板状に形成された半導体バーと、前記長手方向において前記半導体バーと同じ長さのスペーサとを交互に真っ直ぐに積層する工程と、
積層された前記半導体バーと前記スペーサの端面に一体的に保護膜を形成する工程と、
真っ直ぐに積層された前記半導体バーと前記スペーサを前記長手方向において第1回転支持バー及び第2回転支持バーで挟み込んだ後に、前記第1回転支持バー及び第2回転支持バーを同じ方向に回転させて前記半導体バーと前記スペーサの積層状態を階段状に変形させて、前記半導体バーと前記スペーサの境界に沿って前記保護膜をせん断応力により破断させる工程と、
前記保護膜を破断させた後に、積層された前記半導体バーをコレットにより順番に取り出す工程とを備えることを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項5】
複数の半導体素子が長手方向に連接されて板状に形成された半導体バーと交互に積層され、前記長手方向において前記半導体バーよりも長く、前記長手方向で互いに対向する第1端面及び第2端面を有し、前記第1端面に切り欠きが設けられたスペーサと、
前記スペーサの前記切り欠き内において前記半導体バーの端面に押し当てられる第1押圧バーと、
前記スペーサの前記第2端面に押し当てられる第2押圧バーと、
積層された前記半導体バーを順番に取り出すコレットとを備えることを特徴とする半導体装置の製造装置。
【請求項6】
前記スペーサの前記切り欠きは、開口部の幅が内部の幅より小さい鍵穴状であり、
前記第1押圧バーは、前記切り欠きに引っ掛かる形状であることを特徴とする請求項5に記載の半導体装置の製造装置。
【請求項7】
複数の半導体素子が長手方向に連接されて板状に形成された半導体バーと交互に積層され、前記長手方向において前記半導体バーよりも長く、短手方向で互いに対向する第1端面及び第2端面を有し、前記第2端面に切り欠きが設けられたスペーサと、
前記スペーサの前記第1端面を支持する支持バーと、
前記スペーサの前記切り欠き内において前記半導体バーの端面に押し当てられる押圧バーと、
積層された前記半導体バーを順番に取り出すコレットとを備えることを特徴とする半導体装置の製造装置。
【請求項8】
複数の半導体素子が長手方向に連接されて板状に形成された半導体バーと交互に積層され、前記長手方向において前記半導体バーと同じ長さのスペーサと、
積層された前記半導体バーと前記スペーサを前記長手方向において挟み込んだ状態で回転することができる第1回転支持バー及び第2回転支持バーと、
積層された前記半導体バーを順番に取り出すコレットとを備えることを特徴とする半導体装置の製造装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図2】
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【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【公開番号】特開2011−151147(P2011−151147A)
【公開日】平成23年8月4日(2011.8.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−10395(P2010−10395)
【出願日】平成22年1月20日(2010.1.20)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年8月4日(2011.8.4)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年1月20日(2010.1.20)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】
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