説明

半導体装置及び半導体装置の製造方法

【課題】半導体素子の周囲を電磁シールドする。
【解決手段】半導体装置は、基板と、電極が形成されている表面が基板の方向を向くように基板の上に設置された半導体素子と、基板の上に設置されたチップコンデンサと、半導体素子の表面の反対面である背面を覆い、かつ、チップコンデンサの一方の端子電極と接合されている導電材と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体装置及び半導体装置の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、デバイスの高速化や高周波数化に伴い、半導体パッケージには放熱性の向上や電源電圧の安定した供給が求められる。従来のパッケージは、熱伝導の良い放熱板でパッケージを封止し、且つ半導体素子を熱伝導材で接続する構造を取ることによって放熱性を高めている。また、従来のパッケージは、安定した電源電圧供給を実現するために、多くのチップコンデンサを基板上に配置した構造を取っている。
【0003】
このような特性向上のために、基板上に多数の受動部品や部材を配置する必要性が求められながら、反面パッケージの小型化や薄型化も求められている。また、更なる高周波数への対応として、電磁ノイズ放射低減や外部からの電磁ノイズによる誤動作の防止も必要になる。一般的には放熱板と基板とを電気的に接続して半導体素子の周囲をシールドすることが知られている。しかし、基板上の限られたエリアの中で、基板上に導電材等で接続するためのエリアを新たに設け、基板内の配線を行うことは困難であり、また、導電材や接続材の材料費も余計にかかってしまう。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2000−138340号公報
【特許文献2】特開2007−324246号公報
【特許文献3】特開2001−210778号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本件は、効率よく半導体素子を電磁シールドすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本件の一観点による半導体装置は、基板と、電極が形成されている表面が前記基板の方向を向くように前記基板の上に設置された半導体素子と、前記基板の上に設置されたチップコンデンサと、前記半導体素子の表面の反対面である背面を覆い、かつ、前記チップコンデンサの一方の端子電極と接合されている導電材と、を備える。
【0007】
本件の一観点による半導体装置の製造方法は、チップコンデンサを基板に設置する工程と、電極が形成されている半導体素子の表面が前記基板の方向を向くように前記半導体素子を前記基板に設置する工程と、前記半導体素子の表面の反対面である背面を覆い、かつ、前記チップコンデンサの一方の端子電極と接触する導電材を配置する工程と、前記導電材の上に放熱板を配置する工程と、加熱処理により、前記半導体素子の背面と前記導電材との接合、前記導電材と前記放熱板との接合及び前記チップコンデンサの一方の端子電極と前記導電材との接合を行う工程と、を備える。
【発明の効果】
【0008】
本件によれば、効率よく半導体素子を電磁シールドすることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】図1の(A)は、配線基板1の上面図である。図1の(B)は、配線基板1の部分拡大図である。図1の(C)は、図1の(A)の一点鎖線A−Aにおける配線基板1の断面図である。
【図2】図2の(A)は、電極パッド3の上にハンダ10を形成し、電極パッド4の上にハンダ11を形成した場合の配線基板1の上面図である。図2の(B)は、図2の(A)の一点鎖線A−Aにおける配線基板1の断面図である。
【図3】図3の(A)は、配線基板1の上にチップコンデンサ12を配置した場合の配線基板1の上面図である。図3の(B)は、図3の(A)の一点鎖線A−Aにおける配線基板1の断面図である。
【図4】図4の(A)は、配線基板1の上に半導体素子15を設置した場合の半導体装置の上面図である。図4の(B)は、図4の(A)の一点鎖線A−Aにおける半導体装置の断面図である。
【図5】図5の(A)は、配線基板1と半導体素子15との間にアンダーフィル樹脂18を充填した場合の半導体装置の上面図である。図5の(B)は、図5の(A)の一点鎖線A−Aにおける半導体装置の断面図である。
【図6】図6の(A)は、配線基板1の上方に導電材20を配置した場合の半導体装置の上面図である。図6の(B)は、図6の(A)の一点鎖線A−Aにおける半導体装置の断面図である。
【図7】図7の(A)は、配線基板1の上方に放熱板21を配置した場合の半導体装置の上面図である。図7の(B)は、図7の(A)の一点鎖線A−Aにおける半導体装置の断面図である。
【図8】図8は、接着剤24を介して配線基板1と放熱板21とを接着させ、導電材20と放熱板21の凹部22の中央部分とを接触させた場合の半導体装置の断面図である。
【図9】図9は、配線基板1の上方に放熱板21を配置し、放熱板21の凹部22の中央部分に導電性接着剤25を塗布した場合の半導体装置の断面図である。
【図10】図10は、配線基板1の電極パッド6の上にハンダボール26を接合した場合の半導体装置の断面図である。
【図11】チップコンデンサ12の実装高さが、半導体素子15の実装高さよりも高い場合の半導体装置の断面図である。
【図12】チップコンデンサ12の実装高さが、半導体素子15の実装高さよりも低い場合の半導体装置の断面図である。
【図13】図13の(A)は、複数のチップコンデンサ12を密着させて連続して配線基板1の上に配置した場合の半導体装置の上面図である。図13の(B)は、図13の(A)の一点鎖線A−Aにおける半導体装置の断面図である。
【図14】図14の(A)は、半導体素子15の設置領域5を囲繞するように導電層30をし、電極パッド4の上にハンダ11を形成した場合の配線基板1の上面図である。図14の(B)は、図14の(A)の一点鎖線A−Aにおける配線基板1の断面図である。図14の(C)は、図14の(A)の一点鎖線B−Bにおける配線基板1の断面図である。
【図15】図15の(A)は、配線基板1の上にチップコンデンサ12を配置した場合の配線基板1の上面図である。図15の(B)は、図15の(A)の一点鎖線A−Aにおける配線基板1の断面図である。図15の(C)は、図15の(A)の一点鎖線B−Bにおける配線基板1の断面図である。
【図16】図16の(A)は、配線基板1の上に半導体素子15を設置した場合の半導体装置の上面図である。図16の(B)は、図16の(A)の一点鎖線A−Aにおける半導体装置の断面図である。図16の(C)は、図16の(A)の一点鎖線B−Bにおける配線基板1の断面図である。
【図17A】図17Aの(A)は、配線基板1と半導体素子15との間にアンダーフィル樹脂18を充填した場合の半導体装置の上面図である。図17Aの(B)は、図17Aの(A)の一点鎖線A−Aにおける半導体装置の断面図である。図17Aの(C)は、図17Aの(A)の一点鎖線B−Bにおける配線基板1の断面図である。
【図17B】図17Bの(A)は、半導体素子15の設置領域5の周囲に複数の矩形状の導電層30を形成し、電極パッド4の上にハンダ11を形成し、配線基板1の上にチップコンデンサ12を設置した場合の配線基板1の上面図である。図17Bの(B)は、図17Bの(A)の一点鎖線A−Aにおける配線基板1の断面図である。図17Bの(C)は、図17Bの(A)の一点鎖線B−Bにおける配線基板1の断面図である。
【図18】図18の(A)は、配線基板1の上方に導電材20を配置した場合の半導体装置の上面図である。図18の(B)は、図18の(A)の一点鎖線A−Aにおける半導体装置の断面図である。図18の(C)は、図18の(A)の一点鎖線B−Bにおける配線基板1の断面図である。
【図19】図19の(A)は、接着剤24を介して配線基板1と放熱板21とを接着し、放熱板21の凹部22の中央部分と導電材20とを接触させた場合の半導体装置の上面図である。図19の(B)は、図19の(A)の一点鎖線A−Aにおける半導体装置の断面図である。図19の(C)は、図19の(A)の一点鎖線B−Bにおける配線基板1の断面図である。
【図20】図20の(A)は、配線基板1の電極パッド6の上にハンダボール26を接合した場合の半導体装置の上面図である。図20の(B)は、図20の(A)の一点鎖線A−Aにおける半導体装置の断面図である。図20の(C)は、図20の(A)の一点鎖線B−Bにおける配線基板1の断面図である。
【図21】図21の(A)は、配線基板1の上方に導電材20を設置した場合の半導体装置の上面図である。図21の(B)は、図21の(A)の一点鎖線A−Aにおける半導体装置の断面図である。
【図22】図22の(A)は、配線基板1の上方に放熱板21を設置した場合の半導体装置の上面図である。図22の(B)は、図22の(A)の一点鎖線A−Aにおける半導体装置の断面図である。
【図23】図23の(A)は、導電材20がチップコンデンサ12と半導体素子15との間に濡れ広がった場合の半導体装置の断面図である。図23の(B)は、導電材20が配線基板1の実装面まで濡れ広がった場合の半導体装置の断面図である。
【図24】図24の(A)は、導電材20の量が所定量より多い場合の半導体装置の断面図である。図24の(B)は、導電材20によってチップコンデンサ12の端子電極13と端子電極14とが電気的に接続される場合の半導体装置の断面図である。
【図25】図25の(A)は、放熱板21の凹部22の中央部分に凸面41が形成された放熱板21の下面図である。図25の(B)は、図25の(A)の一点鎖線A−Aにおける放熱板21の断面図である。
【図26】図26の(A)は、放熱板21の凹部22の中央部分に凸面41が形成された放熱板21を、配線基板1の上方に配置した場合の半導体装置の断面図である。図26の(B)は、配線基板1と、放熱板21の凹部22の中央部分に凸面41が形成された放熱板21とを接着した場合の半導体装置の断面図である。図26の(C)は、配線基板1と、放熱板21の凹部22の中央部分に凸面41が形成された放熱板21とを接着した場合の半導体装置の部分拡大図である。
【図27】図27の(A)は、放熱板21の凹部22の中央部分を囲むように放熱板21に突起部50を形成した場合の放熱板21の下面図である。図27の(B)は、図27の(A)の一点鎖線A−Aにおける放熱板21の断面図である。
【図28】図28の(A)は、放熱板21の凹部22の中央部分を囲むように突起部50が形成された放熱板21を、配線基板1の上方に配置した場合の半導体装置の上面図である。図28の(B)は、図28の(A)の一点鎖線A−Aにおける半導体装置の断面図である。
【図29】図29の(A)は、放熱板21の凹部22の中央部分を囲むように突起部50が形成された放熱板21と配線基板1とを接着した場合の半導体装置の上面図である。図29の(B)は、図29の(A)の一点鎖線A−Aにおける半導体装置の断面図である。
【図30】図30の(A)は、放熱板21の凹部22の中央部分を囲むように絶縁部60が設けられた放熱板21の下面図である。図30の(B)は、図30の(A)の一点鎖線A−Aにおける放熱板21の断面図である。
【図31】図31の(A)は、放熱板21の凹部22の中央部分を囲むように絶縁部60が設けられた放熱板21を、配線基板1の上方に配置した場合の半導体装置の上面図である。図31の(B)は、図31の(A)の一点鎖線A−Aにおける半導体装置の断面図である。
【図32】図32の(A)は、配線基板1と、放熱板21の凹部22の中央部分を囲むように絶縁部60が設けられた放熱板21とを接着した場合の半導体装置の上面図である。図32の(B)は、図32の(A)の一点鎖線A−Aにおける半導体装置の断面図である。
【図33】図33の(A)は、端子電極の位置の間隔が広いチップコンデンサ70を配線基板1の上に設置するとともに、配線基板1の上方に放熱板21を配置した場合の半導体装置の上面図である。図33の(B)は、図33の(A)の一点鎖線A−Aにおける半導体装置の断面図である。
【図34】図34の(A)は、チップコンデンサ70が設置された配線基板1と放熱板21とを接着した場合の半導体装置の上面図である。図34の(B)は、図34の(A)の一点鎖線A−Aにおける半導体装置の断面図である。
【図35】図35の(A)は、チップコンデンサ80の下面に形成された端子電極82を有するチップコンデンサ80を配線基板1の上に設置するとともに、配線基板1の上方に放熱板21を配置した場合の半導体装置の上面図である。図35の(B)は、図35の(A)の一点鎖線A−Aにおける半導体装置の断面図である。
【図36】図36の(A)は、チップコンデンサ80が設置された配線基板1と放熱板21とを接着した場合の半導体装置の上面図である。図36の(B)は、図36の(A)の一点鎖線A−Aにおける半導体装置の断面図である。
【図37】図37の(A)は、四角形状の導電材20の上面図である。図37の(B)は、導電材20の外周部分を突起形状に変形した場合の導電材20の上面図である。
【図38】図38の(A)は、外周部分を突起形状に変形した導電材20を、配線基板1の上方に配置した場合の半導体装置の上面図である。図38の(B)は、図38の(A)の一点鎖線A−Aにおける半導体装置の断面図である。
【図39】図39の(A)は、導電材20を配線基板1の上方に配置した場合の半導体装置の上面図である。図39の(B)は、図39の(A)の一点鎖線A−Aにおける半導体装置の断面図である。
【図40】図40の(A)は、小型化した放熱板90を配線基板1の上方に配置した場合の半導体装置の上面図である。図40の(B)は、図40の(A)の一点鎖線A−Aにおける半導体装置の断面図である。
【図41】図41の(A)は、突起部91が形成された放熱板90を配線基板1の上方に配置した場合の半導体装置の上面図である。図41の(B)は、図41の(A)の一点鎖線A−Aにおける半導体装置の断面図である。
【図42】図42の(A)は、チップコンデンサ12の上面と放熱板90の突起部91とを接触させた場合の半導体装置の上面図である。図42の(B)は、図42の(A)の一点鎖線A−Aにおける半導体装置の断面図である。
【図43】図43の(A)は、絶縁部92が設けられた放熱板90を配線基板1の上方に配置した場合の半導体装置の上面図である。図43の(B)は、図43の(A)の一点鎖線A−Aにおける半導体装置の断面図である。
【図44】図44の(A)は、チップコンデンサ12の上面と放熱板90の絶縁部92とを接触させた場合の半導体装置の上面図である。図44の(B)は、図44の(A)の一点鎖線A−Aにおける半導体装置の断面図である。
【図45】図45の(A)は、複数の半導体素子15を配線基板1に配置した場合の半導体装置の上面図である。図45の(B)は、図45の(A)の一点鎖線A−Aにおける半導体装置の断面図である。
【図46】図46の(A)は、チップコンデンサ12、半導体素子15、電子部品100を配線基板1に配置した場合の半導体装置の上面図である。図46の(B)は、図46の(A)の一点鎖線A−Aにおける半導体装置の断面図である。
【図47】図47の(A)から(D)は、実施例16に係る半導体装置の断面図である。
【図48】図48の(A)から(D)は、実施例16に係る半導体装置の断面図である。
【図49】図49の(A)は、チップコンデンサ12の配置を変更した場合の半導体装置の上面図である。図49の(B)は、四角形状の導電材20の外周部分の各辺に対してそれぞれ一つのチップコンデンサ12を配置し、チップコンデンサ12の端子電極13と導電材20とを接触させた場合の半導体装置の上面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照して、発明を実施するための形態(以下、実施形態という)に係る半導体装置及びその製造方法について実施例を挙げて説明する。以下の実施例の構成は例示であり、本実施形態は実施例の構成に限定されない。
【実施例1】
【0011】
実施例1に係る半導体装置及びその製造方法について説明する。まず、図1に示すように、配線基板1を用意する。配線基板1は、例えば、アルミナ基板などのセラミック基板又はビルドアップ基板などの有機基板等である。図1の(A)は、配線基板1の上面図である。図1の(B)は、配線基板1の部分拡大図である。図1の(C)は、図1の(A)の一点鎖線A−Aにおける配線基板1の断面図である。配線基板1の実装面には、半導体素子の電極等と接合するための電極パッド2と、コンデンサの電極等と接合するための電極パッド3及び電極パッド4とが形成されている。電極パッド2は、半導体素子の設置領域5に複数形成されている。配線基板1の背面には、ハンダボール等を接合するための電極パッド6が形成されている。
【0012】
配線基板1は、グランド層と、電源層とを有している。グランド層には、グランド配線7が形成され、電源層には、電源配線が形成されている。グランド配線7には、電極パッド3が接続されている。また、グランド配線7には、電極パッド2の一部及び電極パッド6の一部が接続されている。電源配線には、電極パッド4が接続されている。また、電源配線には、電極パッド2の一部及び電極パッド6の一部が接続されている。図1では、グランド層、電源層及び電源配線の図示は省略している。
【0013】
次に、図2に示すように、電極パッド3の上にハンダ10を形成し、電極パッド4の上にハンダ11を形成する。例えば、印刷マスクを用いてハンダペーストを印刷することにより、電極パッド3の上にハンダ10を形成し、電極パッド4の上にハンダ11を形成する。図2の(A)は、電極パッド3の上にハンダ10を形成し、電極パッド4の上にハンダ11を形成した場合の配線基板1の上面図である。図2の(B)は、図2の(A)の一点鎖線A−Aにおける配線基板1の断面図である。
【0014】
そして、図3に示すように、配線基板1の上に複数のチップコンデンサ12を配置する。複数のチップコンデンサ12は、所定の間隔を離して配線基板1の上に配置されている。図3の(A)は、配線基板1の上にチップコンデンサ12を配置した場合の配線基板1の上面図である。図3の(B)は、図3の(A)の一点鎖線A−Aにおける配線基板1の断面図である。図3に示すように、チップコンデンサ12の端子電極13と電極パッド3とが電気的に接続され、チップコンデンサ12の端子電極14と電極パッド4とが電気的
に接続されるように、配線基板1の上にチップコンデンサ12が横置きで配置されている。また、図3に示すように、チップコンデンサ12の端子電極13が半導体素子の設置領域5の方向を向くように、配線基板1の上にチップコンデンサ12が配置されている。
【0015】
次いで、配線基板1を加熱炉に搬送し、加熱処理(リフロー処理)を行う。加熱処理を行うことにより、ハンダ10及びハンダ11が溶融し、ハンダ10が電極パッド3及びチップコンデンサ12の端子電極13と接合され、ハンダ11が電極パッド4及びチップコンデンサ12の端子電極14と接合される。これにより、ハンダ10を介してチップコンデンサ12の端子電極13と電極パッド3とが接合され、ハンダ11を介してチップコンデンサ12の端子電極14と電極パッド4とが接合される。チップコンデンサ12の端子電極13と電極パッド3とが接合され、チップコンデンサ12の端子電極14と電極パッド4とが接合されることにより、配線基板1の上にチップコンデンサ12が設置(実装)される。
【0016】
次に、図4に示すように、配線基板1の上に半導体素子15を設置する。すなわち、配線基板1の実装面に半導体素子15を実装する。半導体素子の15の表面にはバンプ(電極)16が形成されており、半導体素子15の表面の反対面である背面には金属膜17が形成されている。例えば、半導体素子15の表面が配線基板1の方向を向くように、配線基板1の上に半導体素子15を配置する。すなわち、半導体素子15の表面と配線基板1の実装面とが向かい合うように、半導体素子15を配線基板1に配置する。そして、加熱処理を行い、配線基板1の電極パッド2と半導体素子15のバンプ16とを接合することにより、配線基板1の上に半導体素子15を設置する。次いで、例えば、チタン(Ti)及び金(Au)を用いてスパッタリングを行うことにより、半導体素子15の背面に金属膜17を形成する。
【0017】
図4の(A)は、配線基板1の上に半導体素子15を設置した場合の半導体装置の上面図である。図4の(A)において、半導体素子15の上に金属膜17が形成されているので、符号15は()内に示した。図4の(B)は、図4の(A)の一点鎖線A−Aにおける半導体装置の断面図である。図4に示すように、配線基板1の実装面と半導体素子15のバンプ16とが向かい合うように、配線基板1の上に半導体素子15が設置されている。
【0018】
そして、図5に示すように、配線基板1と半導体素子15との間にアンダーフィル樹脂18を充填する。図5の(A)は、配線基板1と半導体素子15との間にアンダーフィル樹脂18を充填した場合の半導体装置の上面図である。図5の(B)は、図5の(A)の一点鎖線A−Aにおける半導体装置の断面図である。アンダーフィル樹脂18の充填は、例えば、ディスペンサから半導体素子15の周囲にアンダーフィル樹脂18を供給することにより行われる。次いで、配線基板1を加熱炉に搬送し、加熱処理を行う。加熱処理を行うことにより、配線基板1と半導体素子15との間のアンダーフィル樹脂18が硬化する。
【0019】
そして、図6に示すように、配線基板1の上方に導電材20を配置する。図6の(A)は、配線基板1の上方に導電材20を配置した場合の半導体装置の上面図である。図6の(B)は、図6の(A)の一点鎖線A−Aにおける半導体装置の断面図である。導電材20は、導電性、熱伝導性及び加工性が良い材料を用いることが好ましい。例えば、導電材20としてハンダペーストやハンダペレット等を用いてもよく、ハンダは、例えば、インジウム(In)及び銀(Ag)を主成分とするインジウム−銀(In−Ag)ハンダである。導電材20は、半導体素子15の背面を覆っており、チップコンデンサ12の端子電極13と導電材20とが接触している。すなわち、導電材20の一方の面の中央部分が半導体素子15の背面を覆い、導電材20の一方の面の中央部分を囲む外周部分の一部がチ
ップコンデンサ12の端子電極13に接触している。
【0020】
チップコンデンサ12の厚みは、例えば、0.600mmであり、電極パッド3及び電極パッド4の上に形成されたハンダの厚みは、例えば、0.010mmである。よって、チップコンデンサ12の実装高さは、0.610mmである。半導体素子15の厚みは、例えば、0.550mmであり、半導体素子15のバンプ16の高さは、例えば、0.060mmである。よって、半導体素子15の実装高さは、0.610mmである。チップコンデンサ12の実装高さと、半導体素子15の実装高さとは一致している。導電材20の厚みは、例えば、0.350mmである。
【0021】
次いで、図7に示すように、配線基板1の上方に放熱板21を配置する。図7の(A)は、配線基板1の上方に放熱板21を配置した場合の半導体装置の上面図である。図7の(B)は、図7の(A)の一点鎖線A−Aにおける半導体装置の断面図である。放熱板21は、熱伝導性(放熱性)の良い材料を用いる。放熱板21として、例えば、Cu、Al、AlSiC、AlC等の金属板を用いてもよい。放熱板21は、凹形状に加工されており、放熱板21の凹部22の中央部分には金属膜23が形成されている。金属膜23は、例えば、ニッケル(Ni)及び金(Au)を用いた無電界メッキを行うことにより形成される。放熱板21の凹部22の突起部分には、接着剤24が設けられている。すなわち、放熱板21の一方面のうち配線基板1と接触する部分に接着剤24が設けられている。接着剤24として、例えば、絶縁性のテープ状接着剤(APAS1592、住友スリーエム株式会社製)を用いてもよい。
【0022】
次に、配線基板1及び放熱板21の位置合わせを行う。そして、図8に示すように、導電材20の上に放熱板21を配置し、接着剤24を介して配線基板1と放熱板21とを接着させ、導電材20と放熱板21の凹部22の中央部分とを接触させる。図8は、接着剤24を介して配線基板1と放熱板21とを接着させ、導電材20と放熱板21の凹部22の中央部分とを接触させた場合の半導体装置の断面図である。
【0023】
導電材20は、導電性接着剤25であってもよい。導電性接着剤25として、例えば、導電性接着転写テープ(住友スリーエム株式会社製)又は導電性両面粘着テープ(住友スリーエム株式会社製)を用いてもよい。導電性接着剤25を用いる場合、図9に示すように、配線基板1の上方に放熱板21を配置し、放熱板21の凹部22の中央部分には導電性接着剤25を塗布しておく。図9は、配線基板1の上方に放熱板21を配置し、放熱板21の凹部22の中央部分に導電性接着剤25を塗布した場合の半導体装置の断面図である。導電性接着剤25を用いた場合、図8と同様に、配線基板1及び放熱板21の位置合わせを行い、配線基板1の上方に、導電性接着材25を塗布した放熱板21を配置する。そして、接着剤24を介して配線基板1と放熱板21とを接着し、半導体素子15の背面と、放熱板21の凹部22の中央部分に塗布した導電性接着剤25とを接触させる。
【0024】
配線基板1と放熱板21とを接着した後、半導体装置を加熱炉に搬送し、加熱処理(リフロー処理)を行う。加熱処理を行うことにより、導電材20が溶融し、チップコンデンサ12の端子電極13と導電材20とが接合され、半導体素子15の背面と導電材20とが接合され、導電材20と放熱板21とが接合される。半導体素子15の背面と導電材20とが接合されることにより、半導体素子15の上に導電材20が設置される。導電材20と放熱板21とが接合されることにより、導電材20の上に放熱板21が設置される。例えば、導電材20としてインジウム系のハンダを使用する場合、インジウム系のハンダの融点は156℃であるため、156℃以上の温度で導電材20を加熱することによって、導電材20を溶融することが可能である。なお、放熱板21の重量により溶融した導電材20が変形し、導電材20の厚みは、例えば、0.280mmとなる。
【0025】
次いで、マスクを用いて、配線基板1の電極パッド6の上にフラックスを塗布する。次いで、配線基板1の電極パッド6の上にハンダボール26を配置し、半導体装置を加熱炉に搬送し、加熱処理(リフロー処理)を行う。加熱処理を行うことにより、図10に示すように、配線基板1の電極パッド6の上にハンダボール26が接合される。図10は、配線基板1の電極パッド6の上にハンダボール26を接合した場合の半導体装置の断面図である。
【0026】
チップコンデンサ12の端子電極13は、グランド配線7に接続されている電極パッド3と電気的に接続されており、グランド配線7を介してチップコンデンサ12の端子電極13に接地電圧が供給されている。チップコンデンサ12の端子電極13と導電材20とが接合されているため、チップコンデンサ12の端子電極13と導電材20とは電気的に接続される。その結果、チップコンデンサ12の端子電極13及び導電材20は接地電位となり、半導体素子15の周囲が電磁シールドされる。なお、半導体素子15の下方全面にグランド配線7を設けることにより、半導体素子15の下方全体を電磁シールドするようにしてもよい。
【0027】
チップコンデンサ12の端子電極14は、電源配線に接続されている電極パッド4と電気的に接続されており、電源配線を介してチップコンデンサ12の端子電極14に電源電圧が供給されている。半導体素子15によって発生された熱は、導電材20を介して放熱板21に伝わり、放熱板21によって放熱される。
【0028】
チップコンデンサ12の端子電極13は、半導体素子15の側面方向を電磁シールドするシールド部材として機能するとともに、配線基板1と導電材20とを接続する接続部材として機能する。したがって、実施例1の半導体装置によれば、半導体素子15の側面方向を電磁シールドするための新たな部材を、半導体装置に設置する必要がなく、半導体装置の大型化を抑制することができる。
【0029】
上記では、チップコンデンサ12の実装高さと、半導体素子15の実装高さとを一致させた場合の例を示した。導電材20が平面であれば、チップコンデンサ12の実装高さと、半導体素子15の実装高さとが同等であるほど、チップコンデンサ12の端子電極13と導電材20との接合及び半導体素子15の背面と導電材20との接合が容易である。チップコンデンサ12の端子電極13と導電材20との接合及び半導体素子15の背面と導電材20との接合が可能であれば、チップコンデンサ12の実装高さは、半導体素子15の実装高さよりも高くても低くてもよい。
【0030】
図11は、チップコンデンサ12の実装高さが、半導体素子15の実装高さよりも高い場合の半導体装置の断面図である。図11に示す半導体装置では、導電材20を溶融させた際に、放熱板21を配線基板1の方向に押し付けることにより、導電材20を凸形状に変形させることで、半導体素子15の背面と導電材20との接合を可能としている。チップコンデンサ12の厚みは、例えば、0.850mmであり、電極パッド3及び電極パッド4の上に形成されたハンダの厚みは、例えば、0.010mmである。よって、チップコンデンサ12の実装高さは、0.860mmである。半導体素子15の厚みは、例えば、0.550mmであり、半導体素子15のバンプ16の高さは、例えば、0.060mmである。よって、半導体素子15の実装高さは、0.610mmである。半導体素子15と放熱板21との間の導電材20の厚みは、例えば、0.280mmであり、チップコンデンサ12の端子電極13と放熱板21との間の導電材20の厚みは、例えば、0.030mmである。なお、溶融前の導電材20の厚みは、0.350mmである。
【0031】
図12は、チップコンデンサ12の実装高さが、半導体素子15の実装高さよりも低い場合の半導体装置の断面図である。図12に示す半導体装置では、導電材20を溶融させ
た際に、放熱板21を配線基板1の方向に押し付けることにより、導電材20を凹形状に変形させることで、チップコンデンサ12の端子電極13と導電材20との接合を可能としている。チップコンデンサ12の厚みは、例えば、0.300mmであり、電極パッド3及び電極パッド4の上に形成されたハンダの厚みは、例えば、0.010mmである。よって、チップコンデンサ12の実装高さは、0.310mmである。半導体素子15の厚みは、例えば、0.550mmであり、半導体素子15のバンプ16の高さは、例えば、0.060mmである。よって、半導体素子15の実装高さは、0.610mmである。半導体素子15と放熱板21との間の導電材20の厚みは、例えば、0.350mmであり、チップコンデンサ12の端子電極13と放熱板21との間の導電材20の厚みは、例えば、0.050mmである。なお、溶融前の導電材20の厚みは、0.350mmである。
【0032】
また、放熱板21の厚みや接着剤24の厚みを変更することによって、半導体素子15と放熱板21との間の導電材20の厚みやチップコンデンサ12の端子電極13と放熱板21との間の導電材20の厚みを制御してもよい。更に、接着剤24として延性を有する材料を使用し、放熱板21に荷重を加えて接着剤24の厚みを調整することにより、導電材20の厚みを制御してもよい。例えば、接着剤24が延性を有する材料の場合、放熱板21に荷重を加えることによって、導電材20が半導体素子15の背面やチップコンデンサ12に押し付けられ、導電材20の厚みを薄くすることができる。放熱板21の面積当たりの荷重値は、チップコンデンサ12の実装高さ、半導体素子15の実装高さ、放熱板21の厚み及び接着剤24の厚みに基づいて予め求めておく。
【0033】
〈実施例1の変形例〉
図3では、所定の間隔を離して複数のチップコンデンサ12を配線基板1の上に配置する例を示したが、複数のチップコンデンサ12を密着させて連続して配線基板1の上に配置するようにしてもよい。図13の(A)は、複数のチップコンデンサ12を密着させて連続して配線基板1の上に配置した場合の半導体装置の上面図である。図13の(A)においては、導電材20、放熱板21、金属膜23及び接着剤24の図示は省略している。図13の(B)は、図13の(A)の一点鎖線A−Aにおける半導体装置の断面図である。複数のチップコンデンサ12を密着させて連続して配置した配線基板1を用いて、実施例1に示した方法で半導体装置を製造することにより、半導体素子15の側面方向の電磁シールドの効果を高めることができる。また、実施例1の変形例を、以下で説明する実施例2から実施例16に係る半導体装置及びその製造方法に適用してもよい。
【実施例2】
【0034】
実施例2に係る半導体装置及びその製造方法について説明する。なお、実施例1と同一の構成要素については、実施例1と同一の符号を付し、その説明を省略する。まず、配線基板1を用意し、半導体素子15の設置領域5の周囲に導電層30を形成し、電極パッド4の上にハンダ11を形成する。図14に示すように、半導体素子15の設置領域5を囲繞するように導電層30を形成してもよい。例えば、印刷マスクを用いてハンダペーストを印刷することにより、半導体素子15の設置領域5を囲繞するように導電層30を形成し、電極パッド4の上にハンダ11を形成する。導電層30は、導電層パッド31の上に形成されており、導電層パッド31は、半導体素子15の設置領域5を囲繞するように配線基板1に形成されている。図14の(A)は、半導体素子15の設置領域5を囲繞するように導電層30をし、電極パッド4の上にハンダ11を形成した場合の配線基板1の上面図である。図14の(B)は、図14の(A)の一点鎖線A−Aにおける配線基板1の断面図である。図14に示すように、半導体素子15の設置領域5を囲繞するように形成された導電層30は、リング状となっている。
【0035】
そして、図15に示すように、配線基板1の上に複数のチップコンデンサ12を配置す
る。複数のチップコンデンサ12は、所定の間隔を離して配線基板1の上に配置されている。図15の(A)は、配線基板1の上にチップコンデンサ12を配置した場合の配線基板1の上面図である。図15の(B)は、図15の(A)の一点鎖線A−Aにおける配線基板1の断面図である。図15の(C)は、図15の(A)の一点鎖線B−Bにおける配線基板1の断面図である。図15に示すように、チップコンデンサ12の端子電極13と導電層30とが接触するように、配線基板1の上にチップコンデンサ12が横置きで配置されている。また、図15に示すように、チップコンデンサ12の端子電極13と導電層パッド31とが電気的に接続され、チップコンデンサ12の端子電極14と電極パッド4とが電気的に接続されるように、配線基板1の上にチップコンデンサ12が配置されている。図15に示すように、チップコンデンサ12の端子電極13が半導体素子15の設置領域5の方向を向くように、配線基板1の上にチップコンデンサ12が配置されている。
【0036】
次いで、配線基板1を加熱炉に搬送し、加熱処理を行う。加熱処理を行うことにより、導電層30及びハンダ11が溶融し、導電層30が導電層パッド31及びチップコンデンサ12の端子電極13と接合され、ハンダ11が電極パッド4及びチップコンデンサ12の端子電極14と接合される。これにより、導電層30を介してチップコンデンサ12の端子電極13と導電層パッド31とが接合され、ハンダ11を介してチップコンデンサ12の端子電極14と電極パッド4とが接合される。チップコンデンサ12の端子電極13と導電層パッド31とが接合され、チップコンデンサ12の端子電極14と電極パッド4とが接合されることにより、配線基板1の上にチップコンデンサ12が設置(実装)される。
【0037】
次に、図16に示すように、配線基板1の上に半導体素子15を設置する。すなわち、配線基板1の実装面に半導体素子15を実装する。例えば、半導体素子15の表面が配線基板1の方向を向くように、配線基板1の上に半導体素子15を配置する。そして、加熱処理を行い、配線基板1の電極パッド2と半導体素子15のバンプ16とを接合することにより、配線基板1の上に半導体素子15を設置する。次いで、例えば、チタン(Ti)及び金(Au)を用いてスパッタリングを行うことにより、半導体素子15の背面に金属膜17を形成する。
【0038】
図16の(A)は、配線基板1の上に半導体素子15を設置した場合の半導体装置の上面図である。図16の(B)は、図16の(A)の一点鎖線A−Aにおける半導体装置の断面図である。図16の(C)は、図16の(A)の一点鎖線B−Bにおける配線基板1の断面図である。図16に示すように、配線基板1の実装面と半導体素子15のバンプ16とが向かい合うように、配線基板1の上に半導体素子15が設置されている。
【0039】
そして、図17Aに示すように、配線基板1と半導体素子15との間にアンダーフィル樹脂18を充填する。図17Aの(A)は、配線基板1と半導体素子15との間にアンダーフィル樹脂18を充填した場合の半導体装置の上面図である。図17Aの(B)は、図17Aの(A)の一点鎖線A−Aにおける半導体装置の断面図である。図17Aの(C)は、図17Aの(A)の一点鎖線B−Bにおける配線基板1の断面図である。アンダーフィル樹脂18の充填は、例えば、ディスペンサから半導体素子15の周囲にアンダーフィル樹脂18を供給することにより行われる。
【0040】
実施例2では、半導体素子15の設置領域5を囲繞するように導電層30を形成する例を示すが、導電層30の形状はこれに限らず、他の形状であってもよい。例えば、図17Bに示すように、半導体素子15の設置領域5の周囲に複数の矩形状の導電層30を形成してもよい。図17Bの(A)は、半導体素子15の設置領域5の周囲に複数の矩形状の導電層30を形成し、電極パッド4の上にハンダ11を形成し、配線基板1の上にチップコンデンサ12を設置した場合の配線基板1の上面図である。図17Bの(B)は、図1
7Bの(A)の一点鎖線A−Aにおける配線基板1の断面図である。図17Bの(C)は、図17Bの(A)の一点鎖線B−Bにおける配線基板1の断面図である。
【0041】
次いで、配線基板1を加熱炉に搬送し、加熱処理を行う。加熱処理を行うことにより、配線基板1と半導体素子15との間のアンダーフィル樹脂18が硬化する。そして、図18に示すように、配線基板1の上方に導電材20を配置する。図18の(A)は、配線基板1の上方に導電材20を配置した場合の半導体装置の上面図である。図18の(B)は、図18の(A)の一点鎖線A−Aにおける半導体装置の断面図である。図18の(C)は、図18の(A)の一点鎖線B−Bにおける配線基板1の断面図である。導電材20は、半導体素子15の背面を覆っており、チップコンデンサ12の端子電極13と導電材20とが接触するとともに、導電材20と導電層30とが接触する。すなわち、導電材20の一方の面の中央部分が半導体素子15の背面を覆い、導電材20の一方の面の中央部分を囲む外周部分がチップコンデンサ12の端子電極13及び導電層30に接触する。
【0042】
次いで、配線基板1の上方に放熱板21を配置し、配線基板1及び放熱板21の位置合わせを行う。そして、図19に示すように、接着剤24を介して配線基板1と放熱板21とを接着し、放熱板21の凹部22の中央部分と導電材20とを接触させる。図19の(A)は、接着剤24を介して配線基板1と放熱板21とを接着し、放熱板21の凹部22の中央部分と導電材20とを接触させた場合の半導体装置の上面図である。図19の(B)は、図19の(A)の一点鎖線A−Aにおける半導体装置の断面図である。図19の(C)は、図19の(A)の一点鎖線B−Bにおける配線基板1の断面図である。
【0043】
そして、半導体装置を加熱炉に搬送し、加熱処理を行う。加熱処理を行うことにより、導電材20が溶融し、チップコンデンサ12の端子電極13と導電材20とが接合され、半導体素子15の背面と導電材20とが接合され、導電材20と放熱板21とが接合され、導電材20と導電層30とが接合される。半導体素子15の背面と導電材20とが接合されることにより、半導体素子15の上に導電材20が設置される。導電材20と放熱板21とが接合されることにより、導電材20の上に放熱板21が設置される。
【0044】
次いで、マスクを用いて、配線基板1の電極パッド6の上にフラックスを塗布する。次に、配線基板1の電極パッド6の上にハンダボール26を配置し、半導体装置を加熱炉に搬送し、加熱処理を行う。加熱処理を行うことにより、図20に示すように、配線基板1の電極パッド6の上にハンダボール26が接合される。図20の(A)は、配線基板1の電極パッド6の上にハンダボール26を接合した場合の半導体装置の上面図である。図20の(B)は、図20の(A)の一点鎖線A−Aにおける半導体装置の断面図である。図20の(C)は、図20の(A)の一点鎖線B−Bにおける配線基板1の断面図である。
【0045】
チップコンデンサ12の端子電極13は、グランド配線7に接続されている電極パッド3と電気的に接続されており、グランド配線7を介してチップコンデンサ12の端子電極13に接地電圧が供給されている。チップコンデンサ12の端子電極13と導電材20とが接合されているため、チップコンデンサ12の端子電極13と導電材20とは電気的に接続される。チップコンデンサ12の端子電極13と導電材30とが接合されているため、チップコンデンサ12の端子電極13と導電層30とは電気的に接続される。その結果、チップコンデンサ12の端子電極13、導電材20及び導電層30は接地電位となり、半導体素子15の周囲が電磁シールドされる。チップコンデンサ12の端子電極13及び導電層30は、半導体素子15の側面方向を電磁シールドするシールド部材として機能するとともに、配線基板1と導電材20とを接続する接続部材として機能する。なお、半導体素子15の下方全面にグランド配線7を設けることにより、半導体素子15の下方全体を電磁シールドするようにしてもよい。
【実施例3】
【0046】
実施例3に係る半導体装置及びその製造方法について説明する。なお、実施例1〜2と同一の構成要素については、実施例1〜2と同一の符号を付し、その説明を省略する。実施例3に係る半導体装置及びその製造方法は、実施例1の図5を用いて説明した処理を行った後、加熱処理を行うまでは、実施例1と同様であるので、加熱処理を行うまでの説明を省略する。
【0047】
実施例3に係る半導体装置及びその製造方法は、加熱処理を行った後、図21に示すように、配線基板1の上方に導電材20を設置する。図21の(A)は、配線基板1の上方に導電材20を設置した場合の半導体装置の上面図である。図21の(B)は、図21の(A)の一点鎖線A−Aにおける半導体装置の断面図である。導電材20は、半導体素子15の背面を覆っており、導電材20とチップコンデンサ12の端子電極13とが接触している。すなわち、導電材20の一方の面の中央部分が半導体素子15の背面を覆い、導電材20の一方の面の中央部分を囲む外周部分の一部がチップコンデンサ12の端子電極13に接触している。
【0048】
チップコンデンサ12の厚みは、例えば、0.600mmであり、電極パッド3及び電極パッド4の上に形成されたハンダの厚みは、例えば、0.010mmである。よって、チップコンデンサ12の実装高さは、0.610mmである。半導体素子15の厚みは、例えば、0.550mmであり、半導体素子15のバンプ16の高さは、例えば、0.060mmである。よって、半導体素子15の実装高さは、0.610mmである。チップコンデンサ12の実装高さと、半導体素子15の実装高さとが一致している。導電材20の厚みは、例えば、0.660mmである。
【0049】
次に、配線基板1の上方に放熱板21を配置し、配線基板1及び放熱板21の位置合わせを行い、図22に示すように、放熱板21の凹部22の中央部分と導電材20とを接触させる。図22の(A)は、配線基板1の上方に放熱板21を設置した場合の半導体装置の上面図である。図22の(B)は、図22の(A)の一点鎖線A−Aにおける半導体装置の断面図である。
【0050】
そして、半導体装置を加熱炉に搬送し、加熱処理を行う。加熱処理を行うことにより、導電材20が溶融し、図23の(A)に示すように、導電材20がチップコンデンサ12と半導体素子15との間に濡れ広がる。また、加熱処理を行う際に、放熱板21に荷重を加えることで、導電材20がチップコンデンサ12と半導体素子15との間に濡れ広がるようにしてもよい。図23の(A)は、導電材20がチップコンデンサ12と半導体素子15との間に濡れ広がった場合の半導体装置の断面図である。
【0051】
チップコンデンサ12と半導体素子15との間に濡れ広がった導電材20は、半導体素子15の側面及びチップコンデンサ12の端子電極13の側面を伝わり、図23の(B)に示すように、導電材20が配線基板1の実装面まで濡れ広がる。図23の(B)は、導電材20が配線基板1の実装面まで濡れ広がった場合の半導体装置の断面図である。導電材20が配線基板1の実装面まで濡れ広がることで、チップコンデンサ12と半導体素子15との間には導電材20が存在することになる。したがって、導電材20の一方の面の中央部分が半導体素子15の背面を覆い、導電材20の一方の面の中央部分を囲む周辺部分が半導体素子15の側面を覆い、導電材20の一方の面の中央部分を囲む周辺部分の一部がチップコンデンサ12の端子電極13に接触する。
【0052】
導電材20が配線基板1の実装面まで濡れ広がることによって、図23の(B)に示すように、接着剤24を介して配線基板1と放熱板21とが接着する。また、加熱処理を行う際に、放熱板21に荷重を加えることで、接着剤24を配線基板1に接触させてもよい
。なお、溶融後の導電材20が半導体素子15の側面を覆うこととなるように、計算、実験又はシミュレーション等によって、溶融前の導電材20の厚み、体積、サイズを設計するようにしてもよい。
【0053】
導電材20がハンダペーストやハンダペレット等である場合、ハンダ量のバラツキが大きかったり、放熱板21に対する荷重が大きかったりすると、導電材20が拡がり過ぎてしまうことがある。導電材20が拡がり過ぎると、導電材20によってチップコンデンサ12の端子電極13と端子電極14とがショートする可能性がある。例えば、図24の(A)に示すように、導電材20の量が所定量より多い場合、配線基板1と放熱板21とを接着したとき、図24の(B)に示すように、導電材20によってチップコンデンサ12の端子電極13と端子電極14とが電気的に接続される。図24の(A)は、導電材20の量が所定量より多い場合の半導体装置の断面図である。図24の(B)は、導電材20によってチップコンデンサ12の端子電極13と端子電極14とが電気的に接続される場合の半導体装置の断面図である。実施例4〜10、12及び14では、チップコンデンサ12の端子電極13と端子電極14とが電気的に接続されることを抑止する方法について説明する。
【実施例4】
【0054】
実施例4に係る半導体装置及びその製造方法について説明する。なお、実施例1〜3と同一の構成要素については、実施例1〜3と同一の符号を付し、その説明を省略する。実施例4に係る半導体装置及びその製造方法では、放熱板21の凹部22の中央部分に凸面41を形成することで、チップコンデンサ12の端子電極13と端子電極14とが電気的に接続されることを抑止する。図25の(A)は、放熱板21の凹部22の中央部分に凸面41が形成された放熱板21の下面図である。図25の(B)は、図25の(A)の一点鎖線A−Aにおける放熱板21の断面図である。図25の(B)に示すように、放熱板21の凸面41は台形状に形成されているが、これに限らず、放熱板21の凸面41は、矩形状又は半球形状等の他の形状であってもよい。凸面41は、抑止部の一例である。
【0055】
放熱板21の凹部22の中央部分に凸面41を形成することによって、図26に示すように、導電材20が拡がっても、導電材20が放熱板21の凹部22に流れ込むので、チップコンデンサ12の端子電極13と端子電極14とが電気的に接続されることが抑止される。図26の(A)は、放熱板21の凹部22の中央部分に凸面41が形成された放熱板21を、配線基板1の上方に配置した場合の半導体装置の断面図である。図26の(B)は、配線基板1と、放熱板21の凹部22の中央部分に凸面41が形成された放熱板21とを接着した場合の半導体装置の断面図である。図26の(C)は、配線基板1と、放熱板21の凹部22の中央部分に凸面41が形成された放熱板21とを接着した場合の半導体装置の部分拡大図である。
【0056】
配線基板1と放熱板21とを接着させた場合において、チップコンデンサ12の端子電極13と導電材20とが接合できるように、放熱板21の凸面41の幅Wを設定する。例えば、配線基板1と放熱板21とを接着させた場合において、放熱板21の凸面41の端部が、チップコンデンサ12の端子電極13の上方に配置されるように、放熱板21の凸面41の幅Wを設定するようにしてもよい。また、導電材20の拡がりは、導電材20の厚みや放熱板21に対する荷重によっても変化するため、計算、実験又はシミュレーション等によって、放熱板21の凸面41の高さHを決定するようにしてもよい。
【0057】
また、放熱板21が配線基板1の下方に位置するようにして、導電材20を溶融する際の加熱処理を行ってもよい。すなわち、配線基板1の実装面を下方向(重力方向)に向け、放熱板21の凸面41を上方向(重力方向の逆方向)に向けて、導電材20を溶融する際の加熱処理を行ってもよい。放熱板21の凸面41を上方向(重力方向の逆方向)に向
けて、導電材20を溶融する際の加熱処理を行うことにより、導電材20が放熱板21の凹部22に流れ込み易くなる。
【実施例5】
【0058】
実施例5に係る半導体装置及びその製造方法について説明する。なお、実施例1〜4と同一の構成要素については、実施例1〜4と同一の符号を付し、その説明を省略する。実施例5に係る半導体装置及びその製造方法では、放熱板21の凹部22の中央部分を囲むように放熱板21に突起部50を形成することで、チップコンデンサ12の端子電極13と端子電極14とが電気的に接続されることを抑止する。図27の(A)は、放熱板21の凹部22の中央部分を囲むように放熱板21に突起部50を形成した場合の放熱板21の下面図である。図27の(B)は、図27の(A)の一点鎖線A−Aにおける放熱板21の断面図である。突起部50は、抑止部の一例である。
【0059】
図28の(A)は、放熱板21の凹部22の中央部分を囲むように突起部50が形成された放熱板21を、配線基板1の上方に配置した場合の半導体装置の上面図である。図28の(B)は、図28の(A)の一点鎖線A−Aにおける半導体装置の断面図である。なお、図28の(A)では、放熱板21の形状を点線Bで示しており、放熱板21の突起部50の形状を点線Cで示しており、導電材20、金属膜23及び接着剤24の図示を省略している。図28の(A)及び(B)に示すように、放熱板21に形成された突起部50によって導電材20が囲まれている。チップコンデンサ12の実装高さは、例えば、0.610mmである。半導体素子15の実装高さは、例えば、0.610mmである。チップコンデンサ12の実装高さと、半導体素子15の実装高さとは一致している。導電材20の厚みは、例えば、0.350mmである。放熱板21の突起部50の高さは、例えば、0.280mmである。突起部50は、放熱板21と同じ材料である。
【0060】
図29の(A)は、放熱板21の凹部22の中央部分を囲むように突起部50が形成された放熱板21と配線基板1とを接着した場合の半導体装置の上面図である。図29の(B)は、図29の(A)の一点鎖線A−Aにおける半導体装置の断面図である。なお、図29の(A)では、放熱板21の形状を点線Bで示しており、放熱板21の突起部50の形状を点線Cで示しており、導電材20、金属膜23及び接着剤24の図示を省略している。放熱板21と配線基板1とを接着した後の導電材20の厚みは、0.280mmである。
【0061】
図29の(B)に示すように、導電材20を囲むように放熱板21に突起部50を形成することで、導電材20の拡がりが抑制され、チップコンデンサ12の端子電極13と端子電極14とが電気的に接続されることが抑止される。放熱板21の突起部50は、チップコンデンサ12と接触してもよいし、接触しなくてもよい。放熱板21の突起部50がチップコンデンサ12の端子電極13と端子電極14との間(図29の(B)の矢印Dで示される位置)に配置されるように、放熱板21に対して突起部50を形成するようにしてもよい。
【実施例6】
【0062】
実施例6に係る半導体装置及びその製造方法について説明する。なお、実施例1〜5と同一の構成要素については、実施例1〜5と同一の符号を付し、その説明を省略する。実施例6に係る半導体装置及びその製造方法では、放熱板21の凹部22の中央部分を囲むように放熱板21に絶縁部60を設けることで、チップコンデンサ12の端子電極13と端子電極14とが電気的に接続されることを抑止する。図30の(A)は、放熱板21の凹部22の中央部分を囲むように絶縁部60が設けられた放熱板21の下面図である。図30の(B)は、図30の(A)の一点鎖線A−Aにおける放熱板21の断面図である。絶縁部60の高さは、例えば、0.280mmである。絶縁部60として、例えば、ポリ
イミド粘着テープ(日東電工株式会社製)を用いてもよい。絶縁部60は、抑止部の一例である。
【0063】
図31の(A)は、放熱板21の凹部22の中央部分を囲むように絶縁部60が設けられた放熱板21を、配線基板1の上方に配置した場合の半導体装置の上面図である。図31の(B)は、図31の(A)の一点鎖線A−Aにおける半導体装置の断面図である。なお、図31の(A)では、放熱板21の形状を点線Bで示しており、放熱板21に設けられた絶縁部60の形状を点線Cで示しており、導電材20、金属膜23及び接着剤24の図示を省略している。図31の(A)及び(B)に示すように、放熱板21に設けられた絶縁部60によって導電材20が囲まれている。チップコンデンサ12の実装高さは、例えば、0.610mmである。半導体素子15の実装高さは、例えば、0.610mmである。チップコンデンサ12の実装高さと、半導体素子15の実装高さとは一致している。導電材20の厚みは、例えば、0.350mmである。放熱板21に設けられた絶縁部60の高さは、例えば、0.280mmである。
【0064】
図32の(A)は、配線基板1と、放熱板21の凹部22の中央部分を囲むように絶縁部60が設けられた放熱板21とを接着した場合の半導体装置の上面図である。図32の(B)は、図32の(A)の一点鎖線A−Aにおける半導体装置の断面図である。なお、図32の(A)では、放熱板21の形状を点線Bで示しており、放熱板21に設けられた絶縁部60の形状を点線Cで示しており、導電材20、金属膜23及び接着剤24の図示を省略している。配線基板1と放熱板21とを接着した後の導電材20の厚みは、0.280mmである。
【0065】
図32の(B)に示すように、放熱板21に設けられた絶縁部60によって導電材20の拡がりが抑制される。また、図32の(B)に示すように、放熱板21に設けられた絶縁部60によってチップコンデンサ12の端子電極14の上部が覆われるため、拡がった導電材20とチップコンデンサ12の端子電極14との接触が抑止される。このように、導電材20を囲むように放熱板21に絶縁部60を設けることで、チップコンデンサ12の端子電極13と端子電極14とが電気的に接続されることが抑止される。放熱板21に設けられた絶縁部60は、チップコンデンサ12と接触してもよいし、接触しなくてもよい。放熱板21の絶縁部60がチップコンデンサ12の端子電極13と端子電極14の端部との間(図32の(B)の矢印Dで示される位置)に配置されるように、放熱板21に対して絶縁部60を設けるようにしてもよい。
【実施例7】
【0066】
実施例7に係る半導体装置及びその製造方法について説明する。なお、実施例1〜6と同一の構成要素については、実施例1〜6と同一の符号を付し、その説明を省略する。実施例7に係る半導体装置及びその製造方法では、端子電極の位置の間隔が広いチップコンデンサ70を配線基板1の上に設置することで、チップコンデンサ70の端子電極71と端子電極72とが電気的に接続されることを抑止する。
【0067】
図33の(A)は、端子電極の位置の間隔が広いチップコンデンサ70を配線基板1の上に設置するとともに、配線基板1の上方に放熱板21を配置した場合の半導体装置の上面図である。図33の(B)は、図33の(A)の一点鎖線A−Aにおける半導体装置の断面図である。なお、図33の(A)では、放熱板21の形状を点線Bで示しており、導電材20の形状を点線Cで示しており、金属膜23及び接着剤24の図示を省略している。図33に示すように、チップコンデンサ70の端子電極71と電極パッド3とが電気的に接続され、チップコンデンサ70の端子電極72と電極パッド4とが電気的に接続されるように、配線基板1の上にチップコンデンサ70が横置きで設置されている。
【0068】
図34の(A)は、チップコンデンサ70が設置された配線基板1と放熱板21とを接着した場合の半導体装置の上面図である。図34の(B)は、図34の(A)の一点鎖線A−Aにおける半導体装置の断面図である。なお、図34の(A)では、放熱板21の形状を点線Bで示しており、導電材20の形状を点線Cで示しており、金属膜23及び接着剤24の図示を省略している。
【0069】
端子電極の位置の間隔が広いチップコンデンサ70を配線基板1の上に設置することで、図34の(B)に示すように、導電材20が拡がってもチップコンデンサ70の端子電極71と端子電極72とが電気的に接続されることが抑止される。すなわち、端子電極71の位置と端子電極72の位置との間隔が広いため、導電材20が端子電極72の方向に拡がっても、導電材20が端子電極72まで達しないので、端子電極71と端子電極72とが電気的に接続されることが抑止される。導電材20の拡がりは、導電材20の厚みや放熱板21に対する荷重によっても変化するため、計算、実験又はシミュレーション等によって、チップコンデンサ70の端子電極71と端子電極72との位置の間隔を決定するようにしてもよい。
【実施例8】
【0070】
実施例8に係る半導体装置及びその製造方法について説明する。なお、実施例1〜7と同一の構成要素については、実施例1〜7と同一の符号を付し、その説明を省略する。実施例8に係る半導体装置及びその製造方法では、チップコンデンサ80の上面に端子電極82を形成しないことで、チップコンデンサ80の端子電極81と端子電極82とが電気的に接続されることを抑止する。
【0071】
図35の(A)は、チップコンデンサ80の下面に形成された端子電極82を有するチップコンデンサ80を配線基板1の上に設置するとともに、配線基板1の上方に放熱板21を配置した場合の半導体装置の上面図である。図35の(B)は、図35の(A)の一点鎖線A−Aにおける半導体装置の断面図である。なお、図35の(A)では、放熱板21の形状を点線Bで示しており、導電材20の形状を点線Cで示しており、金属膜23及び接着剤24の図示を省略している。
【0072】
端子電極81は、チップコンデンサ80の上面及び下面の両方に形成されており、端子電極82は、チップコンデンサ80の下面にのみ形成されている。図35に示すように、チップコンデンサ80の端子電極81と電極パッド3とが電気的に接続され、チップコンデンサ80の端子電極82と電極パッド4とが電気的に接続されるように、配線基板1の上にチップコンデンサ80が横置きで設置されている。
【0073】
図36の(A)は、チップコンデンサ80が設置された配線基板1と放熱板21とを接着した場合の半導体装置の上面図である。図36の(B)は、図36の(A)の一点鎖線A−Aにおける半導体装置の断面図である。なお、図36の(A)では、放熱板21の形状を点線Bで示しており、導電材20の形状を点線Cで示しており、金属膜23及び接着剤24の図示を省略している。
【0074】
チップコンデンサ80の下面に端子電極82を形成することで、図36の(B)に示すように、導電材20が拡がってもチップコンデンサ80の端子電極81と端子電極82とが電気的に接続されることが抑止される。すなわち、チップコンデンサ80の上面に端子電極82が形成されていないため、導電材20が端子電極82の方向に拡がっても、導電材20が端子電極82にまで達しないので、端子電極81と端子電極82とが電気的に接続されることが抑止される。例えば、両方の端子電極が下面に形成されているチップコンデンサをチップコンデンサ80として用いる場合、ディップ方式により、一方の端子電極をチップコンデンサの上面及び下面の両方に形成するようにすればよい。
【実施例9】
【0075】
実施例9に係る半導体装置及びその製造方法について説明する。なお、実施例1〜8と同一の構成要素については、実施例1〜8と同一の符号を付し、その説明を省略する。実施例9に係る半導体装置及びその製造方法では、導電材20の形状を変形することにより導電材20の量を減少させることで、導電材20が過剰に拡がることを抑止する。
【0076】
図37の(A)は、四角形状の導電材20の上面図である。加熱処理の際において、四角形状の導電材20は、図37の(A)に示すように、一定方向(矢印の方向)に幅広く拡がるため、導電材20が拡がり過ぎる場合がある。
【0077】
図37の(B)は、導電材20の外周部分を突起形状に変形した場合の導電材20の上面図である。図37の(A)に示す導電材20と比較して、図37の(B)に示す導電材20は、導電材20の外周部分が突起形状に形成されている。図37の(B)に示すように、外周部分が突起形状に形成されている導電材20は、加熱処理において、導電材20の拡がる方向(矢印の方向)が分散される。そのため、突起形状の先端部分についての導電材20の拡がる幅が低減される。
【0078】
図38の(A)は、外周部分を突起形状に変形した導電材20を、配線基板1の上方に配置した場合の半導体装置の上面図である。図38の(B)は、図38の(A)の一点鎖線A−Aにおける半導体装置の断面図である。図38の(A)に示すように、外周部分を突起形状に変形した導電材20は、四角形状の導電材20を配線基板1の上方に配置した場合(図6参照)と比較して、導電材20の外周部分の量が減少している。そのため、減少した導電材20の外周部分の量だけ導電材20の拡がり幅が低減される。
【実施例10】
【0079】
実施例10に係る半導体装置及びその製造方法について説明する。なお、実施例1〜9と同一の構成要素については、実施例1〜9と同一の符号を付し、その説明を省略する。実施例10に係る半導体装置及びその製造方法では、導電材20の形状を小さくすることにより導電材20の量を減少させることで、導電材20が過剰に拡がることを抑止する。
【0080】
図39の(A)は、導電材20を配線基板1の上方に配置した場合の半導体装置の上面図である。図39の(B)は、図39の(A)の一点鎖線A−Aにおける半導体装置の断面図である。図39の(A)に示すように、導電材20の四角形状の各頂点部分と、チップコンデンサ12の端子電極13とが接触するように、導電材20を配線基板1の上方に配置している。導電材20の四角形状の各頂点部分と、チップコンデンサ12の端子電極13とが接触するように、導電材20を配線基板1の上方に配置することで、導電材20の形状を小さくすることが可能である。導電材20の形状を小さくすることで導電材20の量が減少し、導電材20が過剰に拡がることを抑止することができる。図39の(A)に示すように、導電材20の形状を小さくこと以外に、導電材20に対して特別な加工処理を行う必要がないため、処理工程を増加せずに導電材20が過剰に拡がることを抑止することができる。
【実施例11】
【0081】
実施例11に係る半導体装置及びその製造方法について説明する。なお、実施例1〜10と同一の構成要素については、実施例1〜10と同一の符号を付し、その説明を省略する。実施例11に係る半導体装置及びその製造方法では、放熱板21を小型化することで、半導体装置の小型化及び軽量化を図る。
【0082】
図40の(A)は、放熱板21を小型化した放熱板90を配線基板1の上方に配置した
場合の半導体装置の上面図である。図40の(B)は、図40の(A)の一点鎖線A−Aにおける半導体装置の断面図である。放熱板90は、熱伝導性(放熱性)の良い材料を用いる。放熱板90として、例えば、Cu、Al、AlSiC、AlC等の金属板を用いてもよい。放熱板90は、平面形状であり、放熱板90の中央部分には金属膜23が形成されている。金属膜23は、例えば、ニッケル(Ni)及び金(Au)を用いた無電界メッキを行うことにより形成される。なお、図40の(A)では、導電材20の形状を点線Bで示しており、放熱板90の形状を点線Cで示しており、金属膜23の図示を省略している。
【0083】
実施例11に係る半導体装置及びその製造方法においては、放熱板21と比較して、放熱板90を小型化及び軽量化しているため、半導体装置の小型化及び軽量化を図ることができる。また、実施例11に係る半導体装置及びその製造方法においては、放熱板21と比較して、放熱板90に接着剤24を設けていないため、半導体装置の小型化及び軽量化を図ることができる。なお、加熱処理を行うことにより、導電材20が溶融し、導電材20とチップコンデンサ12の端子電極13とが接合され、導電材20と半導体素子15の背面とが接合され、導電材20と放熱板90とが接合されている。
【実施例12】
【0084】
実施例12に係る半導体装置及びその製造方法について説明する。なお、実施例1〜11と同一の構成要素については、実施例1〜11と同一の符号を付し、その説明を省略する。実施例12に係る半導体装置及びその製造方法では、放熱板21を小型化することで、半導体装置の小型化及び軽量化を図る。また、実施例12に係る半導体装置及びその製造方法では、放熱板21を小型化した放熱板90の外周部分に突起部91を形成することで、チップコンデンサの12端子電極13と端子電極14とが電気的に接続されることを抑止する。
【0085】
図41の(A)は、突起部91が形成された放熱板90を配線基板1の上方に配置した場合の半導体装置の上面図である。図41の(B)は、図41の(A)の一点鎖線A−Aにおける半導体装置の断面図である。なお、図41の(A)では、導電材20の形状を点線Bで示しており、放熱板90の形状を点線Cで示しており、金属膜23の図示を省略している。図41の(A)及び(B)に示すように、放熱板90の外周部分に突起部91が形成されており、放熱板90の突起部91によって導電材20が囲まれている。突起部91は、放熱板90と同じ材料である。突起部91は、抑止部の一例である。
【0086】
図42の(A)は、チップコンデンサ12の上面と放熱板90の突起部91とを接触させた場合の半導体装置の上面図である。図42の(B)は、図42の(A)の一点鎖線A−Aにおける半導体装置の断面図である。なお、図42の(A)では、導電材20の形状を点線Bで示しており、放熱板90の形状を点線Cで示しており、金属膜23の図示を省略している。加熱処理を行うことによって、導電材20が溶融し、導電材20とチップコンデンサ12の端子電極13とが接合され、導電材20と半導体素子15の背面とが接合され、導電材20と放熱板90とが接合されている。導電材20を溶融させるための加熱処理の際に、放熱板90に荷重を加えることによって、チップコンデンサ12の上面と放熱板90の突起部91とを接触させるようにしてもよい。放熱板90の突起部91がチップコンデンサ12の端子電極13と端子電極14との間(図42の(B)の矢印Dで示される位置)に配置されるように、放熱板90に対して突起部91を形成するようにしてもよい。
【0087】
図42の(B)に示すように、導電材20を囲むように放熱板90に突起部91を形成することで、導電材20の拡がりが抑制され、チップコンデンサ12の端子電極13と端子電極14とが電気的に接続されることが抑止される。チップコンデンサ12の上面と放
熱板90の突起部91とを接触させた場合、溶融後の導電材20の厚みと、放熱板90の突起部91の高さとは同等になる。したがって、放熱板90の突起部91の高さを調整することにより、溶融後の導電材20の厚みを制御することができる。
【0088】
実施例12に係る半導体装置及びその製造方法においては、放熱板21と比較して、放熱板90を小型化及び軽量化しているため、半導体装置の小型化及び軽量化を図ることができる。また、実施例12に係る半導体装置及びその製造方法においては、放熱板21と比較して、放熱板90に接着剤24を設けていないため、半導体装置の小型化及び軽量化を図ることができる。
【実施例13】
【0089】
実施例13に係る半導体装置及びその製造方法について説明する。なお、実施例1〜12と同一の構成要素については、実施例1〜12と同一の符号を付し、その説明を省略する。実施例13に係る半導体装置及びその製造方法では、放熱板21を小型化することで、半導体装置の小型化及び軽量化を図る。また、実施例13に係る半導体装置及びその製造方法では、放熱板21を小型化した放熱板90の外周部分に絶縁部92を設けることで、チップコンデンサ12の端子電極13と端子電極14とが電気的に接続されることを抑止する。
【0090】
図43の(A)は、絶縁部92が設けられた放熱板90を配線基板1の上方に配置した場合の半導体装置の上面図である。図43の(B)は、図43の(A)の一点鎖線A−Aにおける半導体装置の断面図である。なお、図43の(A)では、導電材20の形状を点線Bで示しており、放熱板90の形状を点線Cで示しており、金属膜23の図示を省略している。図43の(A)及び(B)に示すように、放熱板90の外周部分に絶縁部92が設けられており、放熱板90の絶縁部92によって導電材20が囲まれている。絶縁部92として、例えば、ポリイミド粘着テープ(日東電工株式会社製)を用いてもよい。絶縁部92は、抑止部の一例である。
【0091】
図44の(A)は、チップコンデンサ12の上面と放熱板90の絶縁部92とを接触させた場合の半導体装置の上面図である。図44の(B)は、図44の(A)の一点鎖線A−Aにおける半導体装置の断面図である。なお、図44の(A)では、導電材20の形状を点線Bで示しており、放熱板90の形状を点線Cで示しており、金属膜23の図示を省略している。加熱処理を行うことによって、導電材20が溶融し、導電材20とチップコンデンサ12の端子電極13とが接合され、導電材20と半導体素子15の背面とが接合され、導電材20と放熱板90とが接合されている。導電材20を溶融させるための加熱処理の際に、放熱板90に荷重を加えることによって、チップコンデンサ12の上面と放熱板90の絶縁部92とを接触させるようにしてもよい。放熱板90の絶縁部92がチップコンデンサ12の端子電極13と端子電極14の端部との間(図44の(B)の矢印Dで示される位置)に配置されるように、放熱板90に対して絶縁部92を設けるようにしてもよい。
【0092】
図44の(B)に示すように、放熱板90に設けられた絶縁部92によって導電材20の拡がりが抑制される。また、図44の(B)に示すように、放熱板90に設けられた絶縁部92によってチップコンデンサ12の端子電極14の上面が覆われるため、拡がった導電材20とチップコンデンサ12の端子電極14との接触が抑止される。このように、導電材20を囲むように放熱板90に絶縁部92を設けることで、チップコンデンサ12の端子電極13と端子電極14とが電気的に接続されることが抑止される。チップコンデンサ12の上面と放熱板90の絶縁部92とを接触させた場合、溶融後の導電材20の厚みと、放熱板90の絶縁部92の高さとは同等になる。したがって、放熱板90の絶縁部92の高さを調整することにより、溶融後の導電材20の厚みを制御することができる。
【0093】
実施例13に係る半導体装置及びその製造方法においては、放熱板21と比較して、放熱板90を小型化及び軽量化しているため、半導体装置の小型化及び軽量化を図ることができる。また、実施例13に係る半導体装置及びその製造方法においては、放熱板21と比較して、放熱板90に接着剤24を設けていないため、半導体装置の小型化及び軽量化を図ることができる。
【実施例14】
【0094】
実施例14に係る半導体装置及びその製造方法について説明する。なお、実施例1〜13と同一の構成要素については、実施例1〜13と同一の符号を付し、その説明を省略する。実施例14では、複数の半導体素子15を配線基板1に配置する構造(マルチチップパッケージタイプ)の半導体装置及びその製造方法について説明する。
【0095】
図45の(A)は、複数の半導体素子15を配線基板1に配置した場合の半導体装置の上面図である。図45の(B)は、図45の(A)の一点鎖線A−Aにおける半導体装置の断面図である。なお、図45の(A)では、導電材20の形状を点線Bで示しており、放熱板21の形状を点線Cで示しており、金属膜23の図示を省略している。
【0096】
図45の(A)及び(B)に示すように、複数の半導体素子15の背面が導電材20によって覆われており、導電材20とチップコンデンサ12の端子電極13とが接触している。チップコンデンサ12の端子電極13は、グランド配線7に接続されている電極パッド3と電気的に接続されており、グランド配線7を介してチップコンデンサ12の端子電極13に接地電圧が供給されている。チップコンデンサ12の端子電極13と導電材20とは電気的に接続されているため、チップコンデンサ12の端子電極13及び導電材20は接地電位となり、複数の半導体素子15の周囲を電磁シールドすることが可能となる。
【実施例15】
【0097】
実施例15に係る半導体装置及びその製造方法について説明する。なお、実施例1〜14と同一の構成要素については、実施例1〜14と同一の符号を付し、その説明を省略する。実施例15では、チップコンデンサ12、半導体素子15、メモリ部品、受動部品等の電子部品を配線基板1に配置する構造(システムインパッケージタイプ)の半導体装置及びその製造方法について説明する。
【0098】
図46の(A)は、チップコンデンサ12、半導体素子15、電子部品100を配線基板1に配置した場合の半導体装置の上面図である。図46の(B)は、図46の(A)の一点鎖線A−Aにおける半導体装置の断面図である。なお、図46の(A)では、導電材20の形状を点線Bで示しており、放熱板21の形状を点線Cで示しており、金属膜23の図示を省略している。電子部品100は、例えば、メモリ部品や、抵抗、コンデンサ等の受動部品等である。チップコンデンサ12の端子電極13は、半導体素子15の側面方向を電磁シールドするシールド部材として機能するとともに、配線基板1と導電材20とを接続する接続部材として機能する。
【実施例16】
【0099】
実施例16に係る半導体装置及びその製造方法について説明する。なお、実施例1〜15と同一の構成要素については、実施例1〜15と同一の符号を付し、その説明を省略する。
【0100】
まず、図47の(A)に示すように、配線基板1を用意する。図47の(A)は、配線基板1の断面図である。
【0101】
次に、図47の(B)に示すように、配線基板1の上に半導体素子15を設置する。すなわち、配線基板1の実装面に半導体素子15を実装する。例えば、半導体素子15の表面が配線基板1の方向を向くように、配線基板1の上に半導体素子15を配置する。そして、加熱処理を行い、配線基板1の電極パッド2と半導体素子15のバンプ16とを接合することにより、配線基板1の上に半導体素子15を設置する。そして、例えば、チタン(Ti)及び金(Au)を用いてスパッタリングを行うことにより、半導体素子15の背面に金属膜17を形成する。図47の(B)は、配線基板1の上に半導体素子15を設置した場合の半導体装置の断面図である。図47の(B)に示すように、配線基板1の実装面と半導体素子15のバンプ16とが向かい合うように、配線基板1の上に半導体素子15が設置されている。
【0102】
次いで、図47の(C)に示すように、配線基板1と半導体素子15との間にアンダーフィル樹脂18を充填する。図47の(C)は、配線基板1と半導体素子15との間にアンダーフィル樹脂18を充填した場合の半導体装置の断面図である。次に、配線基板1を加熱炉に搬送し、加熱処理を行う。加熱処理を行うことにより、配線基板1と半導体素子15との間のアンダーフィル樹脂18が硬化する。
【0103】
そして、図47の(D)に示すように、印刷マスク110を用いて配線基板1の上にハンダペースト111を印刷する。図47の(D)は、印刷マスク110を用いて配線基板1の上にハンダペースト111を印刷した場合の半導体装置の断面図である。
【0104】
次いで、印刷マスク110を除去し、図48の(A)に示すように、電極パッド3の上にハンダ10を形成し、電極パッド4の上にハンダ11を形成する。図48の(A)は、電極パッド3の上にハンダ10を形成し、電極パッド4の上にハンダ11を形成した場合の半導体装置の断面図である。
【0105】
次に、図48の(B)に示すように、配線基板1の上に複数のチップコンデンサ12を設置する。複数のチップコンデンサ12は、所定の間隔を離して配線基板1の上に配置されている。図48の(B)は、配線基板1の上にチップコンデンサ12を設置した場合の配線基板1の断面図である。図48の(B)に示すように、チップコンデンサ12の端子電極13と電極パッド3とが電気的に接続され、チップコンデンサ12の端子電極14と電極パッド4とが電気的に接続されるように、配線基板1の上にチップコンデンサ12が横置きで配置されている。
【0106】
そして、配線基板1の上方に導電材20を配置する。次いで、配線基板1及び放熱板21の位置合わせを行い、図48の(C)に示すように、配線基板1の上方に放熱板21を配置する。図48の(C)は、配線基板1の上方に放熱板21を設置した場合の半導体装置の断面図である。放熱板21は、凹形状に加工されており、放熱板21の凹部22の中央部分には金属膜23が形成されている。放熱板21の凹部22の突起部分には、接着剤24が設けられている。導電材20は、導電性接着剤25であってもよく、実施例1と同様の方法で、導電性接着剤25を用いることが可能である。
【0107】
次に、図48の(D)に示すように、接着剤24を介して配線基板1と放熱板21とを接着し、放熱板21の凹部22の中央部分と導電材20とを接触させた後、半導体装置を加熱炉に搬送し、加熱処理(リフロー処理)を行う。図48の(D)は、配線基板1と放熱板21とを接着させた場合の半導体装置の断面図である。
【0108】
加熱処理を行うことにより、ハンダ10及びハンダ11が溶融し、ハンダ10が電極パッド3及びチップコンデンサ12の端子電極13と接合され、ハンダ11が電極パッド4及びチップコンデンサ12の端子電極14と接合される。これにより、ハンダ10を介し
てチップコンデンサ12の端子電極13と電極パッド3とが接合され、ハンダ11を介してチップコンデンサ12の端子電極14と電極パッド4とが接合される。チップコンデンサ12の端子電極13と電極パッド3とが接合され、チップコンデンサ12の端子電極14と電極パッド4とが接合されることにより、配線基板1の上にチップコンデンサ12が設置(実装)される。
【0109】
加熱処理を行うことにより、導電材20が溶融し、チップコンデンサ12の端子電極13と導電材20とが接合され、半導体素子15の背面と導電材20とが接合され、導電材20と放熱板21とが接合される。半導体素子15の背面と導電材20とが接合されることにより、半導体素子15の上に導電材20が設置される。導電材20と放熱板21とが接合されることにより、導電材20の上に放熱板21が設置される。
【0110】
導電材20の上に放熱板21を設置した後、マスクを用いて、配線基板1の電極パッド6の上にフラックスを塗布する。次いで、配線基板1の電極パッド6の上にハンダボール26を配置し、半導体装置を加熱炉に搬送し、加熱処理(リフロー処理)を行う。加熱処理を行うことにより、配線基板1の電極パッド6の上にハンダボール26が接合される。実施例16において、配線基板1の電極パッド6の上にハンダボール26が接合した後の半導体装置の断面図は、実施例1の図10に示す半導体装置の断面図と同様である。
【0111】
実施例16では、配線基板1に対するチップコンデンサ12の設置、端子電極13と導電材20との接合、半導体素子15の背面と導電材20との接合、導電材20と放熱板21との接合を、1回の加熱処理により行うことができる。実施例16では、チップコンデンサ12の上に導電材20及び放熱板21を重ねて配置した状態で、配線基板1に対するチップコンデンサ12の設置を行うため、チップコンデンサ12の立ち上がり現象を抑止できる。
【0112】
実施例1〜16において、隣接するチップコンデンサ12を直線的に並べて配線基板1の上に配置する例を示したが、チップコンデンサ12の配置を必要に応じて変更してもよい。また、配線基板1の上に配置されるチップコンデンサ12の数を必要に応じて変更してもよい。図49の(A)は、チップコンデンサ12の配置を変更した場合の半導体装置の上面図である。図49の(B)は、四角形状の導電材20の外周部分の各辺に対してそれぞれ一つのチップコンデンサ12を配置し、チップコンデンサ12の端子電極13と導電材20とを接触させた場合の半導体装置の上面図である。なお、図49の(A)及び(B)では、導電材20の形状を点線Aで示している。
【0113】
また、四角形状の導電材20の外周部分の何れか一辺に対して一つのチップコンデンサ12を配置し、チップコンデンサ12の端子電極13と導電材20とを接触させるようにしてもよい。四角形状の導電材20の外周部分の何れか二辺又は三辺に対してそれぞれ一つのチップコンデンサ12を配置し、チップコンデンサ12の端子電極13と導電材20とを接触させるようにしてもよい。
【0114】
実施例2〜16において、実施例1と同様に、チップコンデンサ12の実装高さと半導体素子15の実装高さとを一致させてもよいし、チップコンデンサ12の実装高さと半導体素子15の実装高さと異ならせてもよい。実施例2〜16において、実施例1と同様に、導電材20は、導電性接着剤25であってもよい。実施例2〜16において、実施例1と同様に、放熱板21の厚みや接着剤24の厚みを変更することによって、半導体素子15と放熱板21との間の導電材20の厚みやチップコンデンサ12の端子電極13と放熱板21との間の導電材20の厚みを制御してもよい。実施例2〜16において、実施例1と同様に、接着剤24として延性を有する材料を使用し、放熱板21に荷重を加えて接着剤24の厚みを調整することにより、導電材20の厚みを制御してもよい。実施例1〜1
6を互いに組み合わせてもよく、実施例1〜16のうちの複数の実施例を組み合わせてもよい。
【0115】
以上の実施例1〜16を含む実施形態に関し、更に以下の付記を開示する。
(付記1)
基板と、
電極が形成されている表面が前記基板の方向を向くように前記基板の上に設置された半導体素子と、
前記基板の上に設置されたチップコンデンサと、
前記半導体素子の表面の反対面である背面を覆い、かつ、前記チップコンデンサの一方の端子電極と接合されている導電材と、を備えることを特徴とする半導体装置。
(付記2)
前記半導体素子の周囲に形成された導電層を更に備え、
前記チップコンデンサの一方の端子電極と前記導電層とは接合されており、前記導電材と前記導電層とは接合されていることを特徴とする付記1に記載の半導体装置。
(付記3)
前記導電材は、前記半導体素子の側面を覆っていることを特徴とする付記1又は2に記載の半導体装置。
(付記4)
前記導電材と接合されている放熱板を更に備え、
前記放熱板は、前記導電材と前記チップコンデンサの他方の端子電極とが接触することを抑止する抑止部を有することを特徴とする付記1から3の何れか1項に記載の半導体装置。
(付記5)
前記チップコンデンサの他方の端子電極は、前記チップコンデンサの下面に形成されていることを特徴とする付記1から4の何れか1項に記載の半導体装置。
(付記6)
前記チップコンデンサの一方の端子電極には接地電圧が供給され、
前記チップコンデンサの他方の端子電極には電源電圧が供給されることを特徴とする付記1から5の何れか1項に記載の半導体装置。
(付記7)
チップコンデンサを基板に設置する工程と、
電極が形成されている半導体素子の表面が前記基板の方向を向くように前記半導体素子を前記基板に設置する工程と、
前記半導体素子の表面の反対面である背面を覆い、かつ、前記チップコンデンサの一方の端子電極と接触する導電材を配置する工程と、
前記導電材の上に放熱板を配置する工程と、
加熱処理により、前記半導体素子の背面と前記導電材との接合、前記導電材と前記放熱板との接合及び前記チップコンデンサの一方の端子電極と前記導電材との接合を行う工程と、
を備えることを特徴とする半導体装置の製造方法。
(付記8)
基板の所定領域の周囲に導電層を形成する工程と、
チップコンデンサを、前記導電層と前記チップコンデンサの一方の端子電極とが接触するように前記基板に配置する工程と、
加熱処理により、前記導電層と前記チップコンデンサの一方の端子電極との接合を行う工程と、
電極が形成されている半導体素子の表面が前記基板の方向を向くように前記半導体素子を前記基板に設置する工程と、
前記半導体素子の反対面である背面を覆い、かつ、前記導電層及び前記チップコンデン
サの一方の端子電極と接触する導電材を配置する工程と、
前記導電材の上に放熱板を配置する工程と、
加熱処理により、前記導電層と前記導電材との接合、前記半導体素子の背面と前記導電材との接合、前記チップコンデンサの一方の端子電極と前記導電材との接合、前記導電材と前記放熱板との接合を行う工程と、
を備えることを特徴とする半導体装置の製造方法。
(付記9)
電極が形成されている半導体素子の表面が基板の方向を向くように前記半導体素子を前記基板に設置する工程と、
前記基板の第1電極パッド及び第2電極パッドの上にハンダを形成する工程と、
前記第1電極パッド上のハンダとチップコンデンサの一方の端子電極とが接触し、前記第2電極パッド上のハンダと前記チップコンデンサの他方の端子電極とが接触するように、前記基板にチップコンデンサを配置する工程と、
前記半導体素子の反対面である背面を覆い、かつ、前記チップコンデンサの一方の端子電極と接触する導電材を配置する工程と、
前記導電材の上に放熱板を配置する工程と、
加熱処理により、前記第1電極パッドと前記チップコンデンサの一方の端子電極との接合、前記第2電極パッドと前記チップコンデンサの他方の端子電極との接合、前記半導体素子の背面と前記導電材との接合、前記導電材と前記放熱板との接合及び前記チップコンデンサの一方の端子電極と前記導電材との接合を行う工程と、
を備えることを特徴とする半導体装置の製造方法。
(付記10)
前記導電材は、前記半導体素子の側面を覆っていることを特徴とする付記7から9の何れか1項に記載の半導体装置の製造方法。
(付記11)
前記放熱板は、前記導電材と前記チップコンデンサの他方の端子電極とが接触することを抑止する抑止部を有することを特徴とする付記7から10の何れか1項に記載の半導体装置の製造方法。
(付記12)
前記チップコンデンサの他方の端子電極は、前記チップコンデンサの下面に形成されていることを特徴とする付記7から11の何れか1項に記載の半導体装置の製造方法。
(付記13)
前記チップコンデンサの一方の端子電極には接地電圧が供給され、
前記チップコンデンサの他方の端子電極には電源電圧が供給されることを特徴とする付記7から12の何れか1項に記載の半導体装置の製造方法。
【符号の説明】
【0116】
1 配線基板
2、3、4 電極パッド
5 設置領域
6 電極パッド
7 グランド配線
10、11 ハンダ
12、70、80 チップコンデンサ
13、14、71、72、81、82 端子電極
15 半導体素子
16 バンプ
17、23 金属膜
18 アンダーフィル樹脂
20 導電材
21、90 放熱板
22 凹部
24 接着剤
25 導電性接着剤
26 ハンダボール
30 導電層
31 導電層パッド
41 凸面
50、91 突起部
60、92 絶縁部
100 電子部品
110 印刷マスク
111 ハンダペースト

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板と、
電極が形成されている表面が前記基板の方向を向くように前記基板の上に設置された半導体素子と、
前記基板の上に設置されたチップコンデンサと、
前記半導体素子の表面の反対面である背面を覆い、かつ、前記チップコンデンサの一方の端子電極と接合されている導電材と、を備えることを特徴とする半導体装置。
【請求項2】
前記半導体素子の周囲に形成された導電層を更に備え、
前記チップコンデンサの一方の端子電極と前記導電層とは接合されており、前記導電材と前記導電層とは接合されていることを特徴とする請求項1に記載の半導体装置。
【請求項3】
前記導電材は、前記半導体素子の側面を覆っていることを特徴とする請求項1又は2に記載の半導体装置。
【請求項4】
前記導電材と接合されている放熱板を更に備え、
前記放熱板は、前記導電材と前記チップコンデンサの他方の端子電極とが接触することを抑止する抑止部を有することを特徴とする請求項1から3の何れか1項に記載の半導体装置。
【請求項5】
前記チップコンデンサの他方の端子電極は、前記チップコンデンサの下面に形成されていることを特徴とする請求項1から4の何れか1項に記載の半導体装置。
【請求項6】
前記チップコンデンサの一方の端子電極には接地電圧が供給され、
前記チップコンデンサの他方の端子電極には電源電圧が供給されることを特徴とする請求項1から5の何れか1項に記載の半導体装置。
【請求項7】
チップコンデンサを基板に設置する工程と、
電極が形成されている半導体素子の表面が前記基板の方向を向くように前記半導体素子を前記基板に設置する工程と、
前記半導体素子の表面の反対面である背面を覆い、かつ、前記チップコンデンサの一方の端子電極と接触する導電材を配置する工程と、
前記導電材の上に放熱板を配置する工程と、
加熱処理により、前記半導体素子の背面と前記導電材との接合、前記導電材と前記放熱板との接合及び前記チップコンデンサの一方の端子電極と前記導電材との接合を行う工程と、
を備えることを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項8】
基板の所定領域の周囲に導電層を形成する工程と、
チップコンデンサを、前記導電層と前記チップコンデンサの一方の端子電極とが接触するように前記基板に配置する工程と、
加熱処理により、前記導電層と前記チップコンデンサの一方の端子電極との接合を行う工程と、
電極が形成されている半導体素子の表面が前記基板の方向を向くように前記半導体素子を前記基板の所定領域に設置する工程と、
前記半導体素子の反対面である背面を覆い、かつ、前記導電層及び前記チップコンデンサの一方の端子電極と接触する導電材を配置する工程と、
前記導電材の上に放熱板を配置する工程と、
加熱処理により、前記導電層と前記導電材との接合、前記半導体素子の背面と前記導電
材との接合、前記チップコンデンサの一方の端子電極と前記導電材との接合、前記導電材と前記放熱板との接合を行う工程と、
を備えることを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項9】
電極が形成されている半導体素子の表面が基板の方向を向くように前記半導体素子を前記基板に設置する工程と、
前記基板の第1電極パッド及び第2電極パッドの上にハンダを形成する工程と、
前記第1電極パッド上のハンダとチップコンデンサの一方の端子電極とが接触し、前記第2電極パッド上のハンダと前記チップコンデンサの他方の端子電極とが接触するように、前記基板にチップコンデンサを配置する工程と、
前記半導体素子の反対面である背面を覆い、かつ、前記チップコンデンサの一方の端子電極と接触する導電材を配置する工程と、
前記導電材の上に放熱板を配置する工程と、
加熱処理により、前記第1電極パッドと前記チップコンデンサの一方の端子電極との接合、前記第2電極パッドと前記チップコンデンサの他方の端子電極との接合、前記半導体素子の背面と前記導電材との接合、前記導電材と前記放熱板との接合及び前記チップコンデンサの一方の端子電極と前記導電材との接合を行う工程と、
を備えることを特徴とする半導体装置の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17A】
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【図17B】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【図33】
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【図34】
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【図35】
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【図36】
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【図37】
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【図38】
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【図39】
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【図40】
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【図41】
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【図42】
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【図43】
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【図44】
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【図45】
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【図46】
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【図47】
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【図48】
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【図49】
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【公開番号】特開2012−129355(P2012−129355A)
【公開日】平成24年7月5日(2012.7.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−279284(P2010−279284)
【出願日】平成22年12月15日(2010.12.15)
【出願人】(308014341)富士通セミコンダクター株式会社 (2,507)