説明

半導体装置用パツケ−ジ

【発明の詳細な説明】
〔概要〕
超高周波用半導体装置に使用するパッケージにおいて、 側壁の一部を金属にして接地用外部リード端子を導出させ、更に底板の中央部を含む領域を金属にしてその上に半導体チップをボンディングさせることにより、 実用可能な周波数の上限を高め且つ半導体チップに対する放熱性を向上させたものである。
〔産業上の利用分野〕
本発明は、半導体装置用パッケージに係り、特に、超高周波用半導体装置に使用されるパッケージの構成に関す。
超高周波用半導体装置例えばガリウム砒素(GaAs)系電界効果トランジスタ(FET)を備えGHz帯で動作する半導体装置は、半導体チップの性能向上に伴い使用されるパッケージもそのチップの性能を発揮出来るように改良されることが必要である。
〔従来の技術〕
超高周波用半導体装置に使用される従来のパッケージ例の要部構成は第2図の平面図(a)と部分断面側面図(b)(c)に示す如くである。
同図において、1は角板状をなすセラミックの底板、2は底板1上にあり角枠状をなすセラミックの側壁、3は底板1および側壁2の一辺において底板1の上面、側面、底面および側壁2の外側面に互いに連通して被着された金属例えばタングステンの接地用メタライズ膜、4は底板1の一辺において上面、側面、底面に互いに連通して被着されメタライズ膜3と同様な入出力端用メタライズ膜、5は側壁2の上面にメタライズ膜3に連通して被着されメタライズ膜3と同様な蓋シール用メタライズ膜、である。
メタライズ膜3および4は、異なる辺でそれぞれ対向して二個宛設けられ、底板1、側壁2、各メタライズ膜3〜5は一緒に焼成されて一体に形成されている。
この焼成体のメタライズ膜3と4との底面部分にそれぞれ金属例えばコバールの接地用外部リード端子6と入出力端用外部リード端子7とがろう付けされ、金めっきが施されてパッケージの本体が形成されている。
半導体チップCの搭載は、チップCを底板1上面の略中央にボンディングし、メタライズ膜3と4の側壁2内部に表出する部分をそれぞれ接地用内部接続端子8と入出力端用内部接続端子9にして、チップCの各電極との間をワイヤボンディングにより接続ワイヤWで接続して行う。この後、例えばコバールなどからなる蓋10を側壁2上にメタライズ膜5を介しろう付けしてパッケージの封止を完了する。
〔発明が解決しようとする問題点〕
この構成のパッケージは、接地用外部リード端子6から接地用内部接続端子8および蓋シール用メタライズ膜5に至る接続が接地用メタライズ膜3によってなされている。そしてメタライズ膜3は、厚さが数μmの金属膜であるため超高周波の周波数が高くなった場合にはインダクタンス成分の作用が接地機能を低下させる。
このため、使用可能周波数が高くなった半導体チップCを搭載して使用周波数を高くすると、所定の利得が得られなかったり、メタライズ膜5や蓋10を介した出力から入力への帰還により動作が不安定になったりして、半導体チップCの性能を発揮させることが出来ない問題がある。
またこの構成のパッケージは、半導体チップCをセラミックの底板1にボンディングする。
このためチップCは、十分な放熱性が得られずして使用中の温度上昇が大きくなり、例えば寿命が短くなるなど半導体装置として信頼性が低下する問題がある。
〔問題点を解決するための手段〕
第1図は本発明によるパッケージ実施例の平面図(a)と部分断面側面図(b)(c)である。
上記問題点は、第1図に示される如く、側壁は周囲方向に連接された金属壁2aおよび絶縁体壁2bからなって金属壁2aは接地用外部リード端子6aを導出し、底板は中央部をを含む領域を形成する金属底板1aおよびその他の領域を形成する絶縁体底板1bからなって金属底板1a上に半導体チップCがボンディングされる本発明の半導体装置用パッケージによって解決される。
〔作用〕
本発明の構成により、第2図図示従来例の接地用メタライズ膜3は厚さが極めて厚くなった金属壁aに替わるので、その部分のインダクタンス成分が大幅に減少し使用周波数が高くなっても十分な接地機能が確保されて、利得の低減や出力から入力への帰還を抑制することが出来る。
また、金属底板1aの存在により半導体チップCに対する放熱性が従来例より大幅に向上してチップCの温度上昇が低減し、寿命が伸びるなど半導体装置としての信頼性が向上する。
〔実施例〕
以下、第1図を用い実施例について説明する。なお第1図1図の図(a)〜(c)はそれぞれ第2図の図(a)〜(c)に対応する図である。
第1図図示パッケージの第2図図示従来例との主な相違の第一点は、セラミックで角枠状にした従来例側壁2における接地用外部リード端子6導出側の辺を金属(金属壁2a)にし、金属壁2aから接地用外部リード端子を導出させた点であり、第二点は、従来例底板1における一部を金属(金属底板1a)にし、金属底板1aに半導体チップCをボンディングするようにした点である。なお第一の相違点は本願発明者が先に特願昭60−015904号により開示した構成と同様のものである。
即ち第1図において、1aは金属例えば無酸素銅からなり従来例底板1の中央部を形成する金属底板、1bはセラミックからなり同じく周辺部を形成する絶縁体底板、2aは金属例えば無酸素銅からなる従来例側壁2の接地用外部リード端子6導出側辺部を形成する金属壁、2bはセラミックからなり同じく入出力端用外部リード端子7導出側辺部を形成する絶縁体壁である。金属壁2aは同一材料の接地用外部リード端子6aおよび接地用内部接続端子8aと一体に製造された端子ブロック11を形成している。
また、12は絶縁体底板1bの金属底板1aとの接合面部に被着された金属例えばタングステンの接合用メタライズ膜、13および14はそれぞれ絶縁体底板1bおよび絶縁体壁2bの端子ブロック11との接合部に被着されメタライズ膜12と同様な接合用メタライズ膜、4aは従来例メタライズ膜4に相当して絶縁体底板1bの上面と絶縁体壁2bの下面に被着された入出力端用メタライズ膜、5aは従来例メタライズ膜5と同様に絶縁体壁2b上に被着された接合用メタライズ膜である。
絶縁体底板1b、絶縁体壁2b、各メタライズ膜4a、5aおよび12〜14は一緒に焼成されて一体に形成されている。
この焼成体の所定の位置に金属底板1aと端子ブロック11が、また入出力端用メタライズ膜4aの絶縁体壁2b下部に金属例えばコバールの入出力端用外部リード端子7aが、更に金属壁2aおよび絶縁体壁2bの上に角環板状をなす金属例えばコバールの蓋シール用金属環15がろう付けされ、金めっきが施されてパッケージの本体が形成されている。
半導体チップCの搭載は、チップCのボンディング位置が金属底板1a上に変わり、接地用内部接続端子8が8aに替わるのみで従来例と同様にして行う。この後、従来例と同様な蓋10を金属環15上にろう付けしてパッケージの封止を完了する。
この構成のパッケージは、接地用外部リード端子6aから接地用内部接続端子8aおよび蓋シール用金属環15に至る接続が肉厚の金属壁2aによってなされるため、その部分のインダクタンス成分が従来例より大幅に減少して、使用する周波数が高くなっても接地機能が従来例のように低下することがない。
ちなみに、従来例のパッケージを使用した際には実用可能な周波数の上限が凡そ12GHzであったのに対し、実施例のパッケージを使用すると凡そ20GHzまで高めることが出来る。
またこの構成のパッケージは、半導体チップCが金属底板1aにボンディングされてチップCに対する放熱性を従来例より大幅に向上させるため、使用中におけるチップCの温度上昇が低減して、寿命が延びるなど半導体装置としての信頼性を向上させる。
ちなみに本願発明者の一測定によれば、チップCにおけるFET部の温度上昇は従来例の場合より凡そ100℃程度低減した。これは寿命が3桁以上延びることに相当する。
なお上述した実施例における金属底板1aは、端子ブロック11から電気的に切り離すため底板の中央部のみを占める大きさにしたが、金属底板1aと端子ブロック11との接続が許されるならば、金属底板1aを接地用内部接続端子8aとオーバラップするように大きくしても良い。その場合半導体チップCに対する放熱性は更に大きくなる。
〔発明の効果〕
以上説明したように本発明の構成によれば、実用可能な周波数の上限を高め且つ半導体チップに対する放熱性を向上させた半導体装置用パッケージが提供出来て、超高周波領域において使用可能周波数が高くなった半導体チップの特性を発揮し且つ信頼性を高めた半導体装置の提供を可能にさせる効果がある。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明によるパッケージ実施例の平面図(a)と部分断面側面図(b)(c)、
第2図は従来のパッケージ例の平面図(a)と部分断面側面図(b)(c)、である。
図において、
1は底板、
1aは金属底板、
1bは絶縁体底板、
2は側壁、
2aは金属壁、
2bは絶縁体壁、
3は接地用メタライズ膜、
4、4aは入出力端用メタライズ膜、
5は蓋シール用メタライズ膜、
6、6aは接地用外部リード端子、
7、7aは入出力端用外部リード端子、
8、8aは接地用内部接続端子、
9は入出力端用内部接続端子、
10は蓋、
11は端子ブロック、
5a、12〜14は接合用メタライズ膜、
15は蓋シール用金属環、
Cは半導体チップ、
Wは接続ワイヤ、である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】側壁は周囲方向に連接された金属壁(2a)および絶縁体壁(2b)からなって該金属壁(2a)は接地用外部リード端子(6a)を導出し、底板は中央部を含む領域を形成する金属底板(1a)およびその他の領域を形成する絶縁体底板(1b)からなって該金属底板(1a)上に半導体チップ(C)がボンディングされることを特徴とする半導体装置用パッケージ。

【第1図】
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【第2図】
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【公告番号】特公平8−12888
【公告日】平成8年(1996)2月7日
【国際特許分類】
【出願番号】特願昭60−207503
【出願日】昭和60年(1985)9月19日
【公開番号】特開昭62−66650
【公開日】昭和62年(1987)3月26日
【出願人】(999999999)富士通株式会社
【参考文献】
【文献】特開昭61−174747(JP,A)
【文献】実開昭62−51748(JP,U)