半導体装置
【構成】入力保護回路用のMOSトランジスタのドレイン領域(2b)に接触する放熱器7aをタングステン膜などで形成する。ドレイン領域で発生するジュール熱の散逸を促進する。
【効果】半導体装置の過大電圧入力に対する耐性を高めることができる。
【効果】半導体装置の過大電圧入力に対する耐性を高めることができる。
【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は半導体装置に関し、特に入力保護回路を有する半導体装置に関する。
【0002】
【従来の技術】LSIにおいては、ESD(静電放電)等の過大電圧入力に対する対策として、入力保護回路が設けられているものがある。
【0003】入力保護回路の第一の従来例として、図3に示すような等価回路で示される形式の回路を挙げることができる。この回路は図のようにMOSトランジスタMを用いたものであり、この形式の入出力保護回路はBVDS型入力保護回路とも呼ばれている。従来、BVDS型入力保護回路は図5(a),(b)に示される例のような構成で製作される。これは通常のMOSトランジスタであり、P- 型シリコン基板1cの表面部に選択的に形成されたN型拡散層2c,2dをソース領域、ドレイン領域として有し、N型拡散層2c,2dにはそれぞれソース電極配線4b、ドレイン電極配線5bがオーム接触している。又、ソース電極配線4bはゲート電極配線3bと適当な箇所で接続されているものとする。
【0004】次に、入力保護回路の第二の従来例として、図4に示すような等価回路で示される形式の回路を挙げることができる。この回路は図のようなダイオードDを用いたものである。この形式の入力保護回路は、従来、図6(a),(b)に示される例のような構成で製作される。すなわち、P- 型シリコン基板1dに選択的に形成されたN型拡散層9bと、N型拡散層9bに形成されたP型拡散層10bとからなるPN接合ダイオードであり、陽極配線11b,陰極配線12bはそれぞれP型拡散層10b、N型拡散層9bと接触している。
【0005】また、入出力保護回路のMOSトランジスタやダイオード自身のESD等の過大電圧入力に対する耐性を向上する従来の方法としては、入力保護回路の前後に抵抗器を配置する方法や、MOSトランジスタやダイオードのPN接合部とP型拡散層あるいはN型拡散層に接する電極との距離を大きくして、その距離間の抵抗値を大きくする方法などが挙げられる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】前述した従来の技術の問題点としては、入力保護回路に用いている半導体素子のPN接合部に局部的に熱が発生した場合、それを放熱する対策が講じられていないことがあげられる。
【0007】LSI中の半導体素子のESD(静電放電)による接合破壊は、ジュール熱の発生による接合部の溶解によって起こっていると言われている。
【0008】すなわち、従来の半導体装置においては、ESDによって過大電力が入力されたときに、入力保護回路に用いている半導体素子のPN接合部に熱が発生し、その熱が十分に逃がされないためにその部分が溶解し、その素子が破壊される、という現象が起こりやすいという問題点がある。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明は、半導体基板の表面部に選択的に形成された第1導電型拡散層と、前記第1導電型拡散層に接触する電極配線とを有する半導体素子を含む入力保護回路を備えた半導体装置において、前記第1導電型拡散層には、金属膜または合金膜からなる放熱器が設けられているというものである。
【0010】
【実施例】次に本発明の実施例について図面を参照して説明する。
【0011】図1(a)は本発明の第1の実施例の一部の平面図である。また、図1(b)は図1(a)のX−X線断面図である。
【0012】MOSトランジスタにタングステン膜でできている放熱器7aが設けられている。この放熱器は、ドレイン電極配線5aとソース電極配線4aとに挟まれて配置されているが、N型拡散層7a以外には、電気的に接触はしておらず、このN型拡散層7aのみに接触している。
【0013】この半導体素子は、前述のBVDS型入力保護回路のMOSトランジスタMとして用いられるが、ESDなどによって過大電圧が入力されたときにジュール熱を発生し溶融破壊を起こしやすい箇所であるドレイン電極配線5a近傍のPN接合部の付近に熱伝導率の大きい金属膜を放熱器として配置したことによって、PN接合部に発生するジュール熱の散逸を促進し、溶融破壊を起こりにくくする。
【0014】図7は、本実施例の効果を示す特性図である。図中「放熱器配置」は本実施例の放熱器を入力保護回路に配置した半導体装置を示し「放熱器なし」は入力保護回路に放熱器を用いていない従来の半導体装置を示す。いずれにおいても、入力保護トランジスタのチャネル長は2μm、チャネル幅は100μm、放熱器の寸法は、長さ2μm,幅90μm,長さ4μmである。このように、従来の装置に比べて、放熱器を入力保護回路に配置した本実施例の半導体装置では、ESD耐圧が200〜400V程度向上している。
【0015】なお、放熱器の材料は電極配線の材料と同じ材料(アルミニウムやタングステンシリサイドなど)を用いても同様の効果が得られる。
【0016】図2(a)は第2の実施例の一部の平面図である。また、図2(b)は図2(a)のX−X線断面図である。
【0017】放熱器7bは第1の実施例と同様にタングステン膜でできている。このような、タングステン放熱器は、やはりPN接合ダイオードのN型拡散層9a以外には、電気的に接触はしておらず、このN型拡散層9aのみに接触している。また、陽極配線11aと陰極配線12aに挟まれた部分を有している。
【0018】このようなPN接合ダイオードを図4のDとして用いた半導体装置において、ESDなどによって過大電圧が入力されたときにジュール熱を発生し溶融破壊を起こしやすい箇所であるPN接合部の付近に熱伝導率の大きいタングステンなどの金属膜を放熱器として配置したことによって、接合部に発生するジュール熱の散逸を促進し、溶融破壊を起こりにくくする。
【0019】なお、放熱器の材料は電極配線の材料と同じ材料を用いても同様の効果が得られる。
【0020】
【発明の効果】本発明によれば、半導体装置に、ESDなどによって過大電圧が入力されたときに、入力保護回路に用いられるトランジスタやダイオード等の半導体素子中のPN接合部等にジュール熱が発生した際に、放熱器によってその部分の熱の散逸を促進し、溶融破壊を起こしにくくできる。
【0021】したがって、半導体装置の過大電圧入力に対する耐性を高めることができるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施例を示す平面図(図1(a))および断面図(図1(b))である。
【図2】本発明の第2の実施例を示す平面図(図2(a))および断面図(図2(b))である。
【図3】入力保護回路の一例を示す回路図である。
【図4】入力保護回路の他の例を示す回路図である。
【図5】第1の従来例を示す平面図(図5(a))および断面図(図5(b))である。
【図6】第2の従来例を示す平面図(図6(a))および断面図(図6(b))である。
【図7】第1の実施例の効果の説明に使用する特性図である。
【符号の説明】
1a,1b,1c,1d P- 型シリコン基板
2a,2b,2c,2d N型拡散層
3a,3b ゲート電極配線
4a,4b ソース電極配線
5a,5b ドレイン電極配線
6a,6b コンタクト穴
7a,7b 放熱器
8a〜8d 絶縁膜
9a,9b N型拡散層
10a,10b P型拡散層
11a,11b 陽極配線
12a,12b 陰極配線
13a,13b コンタクト穴
14a,14b コンタクト穴
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は半導体装置に関し、特に入力保護回路を有する半導体装置に関する。
【0002】
【従来の技術】LSIにおいては、ESD(静電放電)等の過大電圧入力に対する対策として、入力保護回路が設けられているものがある。
【0003】入力保護回路の第一の従来例として、図3に示すような等価回路で示される形式の回路を挙げることができる。この回路は図のようにMOSトランジスタMを用いたものであり、この形式の入出力保護回路はBVDS型入力保護回路とも呼ばれている。従来、BVDS型入力保護回路は図5(a),(b)に示される例のような構成で製作される。これは通常のMOSトランジスタであり、P- 型シリコン基板1cの表面部に選択的に形成されたN型拡散層2c,2dをソース領域、ドレイン領域として有し、N型拡散層2c,2dにはそれぞれソース電極配線4b、ドレイン電極配線5bがオーム接触している。又、ソース電極配線4bはゲート電極配線3bと適当な箇所で接続されているものとする。
【0004】次に、入力保護回路の第二の従来例として、図4に示すような等価回路で示される形式の回路を挙げることができる。この回路は図のようなダイオードDを用いたものである。この形式の入力保護回路は、従来、図6(a),(b)に示される例のような構成で製作される。すなわち、P- 型シリコン基板1dに選択的に形成されたN型拡散層9bと、N型拡散層9bに形成されたP型拡散層10bとからなるPN接合ダイオードであり、陽極配線11b,陰極配線12bはそれぞれP型拡散層10b、N型拡散層9bと接触している。
【0005】また、入出力保護回路のMOSトランジスタやダイオード自身のESD等の過大電圧入力に対する耐性を向上する従来の方法としては、入力保護回路の前後に抵抗器を配置する方法や、MOSトランジスタやダイオードのPN接合部とP型拡散層あるいはN型拡散層に接する電極との距離を大きくして、その距離間の抵抗値を大きくする方法などが挙げられる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】前述した従来の技術の問題点としては、入力保護回路に用いている半導体素子のPN接合部に局部的に熱が発生した場合、それを放熱する対策が講じられていないことがあげられる。
【0007】LSI中の半導体素子のESD(静電放電)による接合破壊は、ジュール熱の発生による接合部の溶解によって起こっていると言われている。
【0008】すなわち、従来の半導体装置においては、ESDによって過大電力が入力されたときに、入力保護回路に用いている半導体素子のPN接合部に熱が発生し、その熱が十分に逃がされないためにその部分が溶解し、その素子が破壊される、という現象が起こりやすいという問題点がある。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明は、半導体基板の表面部に選択的に形成された第1導電型拡散層と、前記第1導電型拡散層に接触する電極配線とを有する半導体素子を含む入力保護回路を備えた半導体装置において、前記第1導電型拡散層には、金属膜または合金膜からなる放熱器が設けられているというものである。
【0010】
【実施例】次に本発明の実施例について図面を参照して説明する。
【0011】図1(a)は本発明の第1の実施例の一部の平面図である。また、図1(b)は図1(a)のX−X線断面図である。
【0012】MOSトランジスタにタングステン膜でできている放熱器7aが設けられている。この放熱器は、ドレイン電極配線5aとソース電極配線4aとに挟まれて配置されているが、N型拡散層7a以外には、電気的に接触はしておらず、このN型拡散層7aのみに接触している。
【0013】この半導体素子は、前述のBVDS型入力保護回路のMOSトランジスタMとして用いられるが、ESDなどによって過大電圧が入力されたときにジュール熱を発生し溶融破壊を起こしやすい箇所であるドレイン電極配線5a近傍のPN接合部の付近に熱伝導率の大きい金属膜を放熱器として配置したことによって、PN接合部に発生するジュール熱の散逸を促進し、溶融破壊を起こりにくくする。
【0014】図7は、本実施例の効果を示す特性図である。図中「放熱器配置」は本実施例の放熱器を入力保護回路に配置した半導体装置を示し「放熱器なし」は入力保護回路に放熱器を用いていない従来の半導体装置を示す。いずれにおいても、入力保護トランジスタのチャネル長は2μm、チャネル幅は100μm、放熱器の寸法は、長さ2μm,幅90μm,長さ4μmである。このように、従来の装置に比べて、放熱器を入力保護回路に配置した本実施例の半導体装置では、ESD耐圧が200〜400V程度向上している。
【0015】なお、放熱器の材料は電極配線の材料と同じ材料(アルミニウムやタングステンシリサイドなど)を用いても同様の効果が得られる。
【0016】図2(a)は第2の実施例の一部の平面図である。また、図2(b)は図2(a)のX−X線断面図である。
【0017】放熱器7bは第1の実施例と同様にタングステン膜でできている。このような、タングステン放熱器は、やはりPN接合ダイオードのN型拡散層9a以外には、電気的に接触はしておらず、このN型拡散層9aのみに接触している。また、陽極配線11aと陰極配線12aに挟まれた部分を有している。
【0018】このようなPN接合ダイオードを図4のDとして用いた半導体装置において、ESDなどによって過大電圧が入力されたときにジュール熱を発生し溶融破壊を起こしやすい箇所であるPN接合部の付近に熱伝導率の大きいタングステンなどの金属膜を放熱器として配置したことによって、接合部に発生するジュール熱の散逸を促進し、溶融破壊を起こりにくくする。
【0019】なお、放熱器の材料は電極配線の材料と同じ材料を用いても同様の効果が得られる。
【0020】
【発明の効果】本発明によれば、半導体装置に、ESDなどによって過大電圧が入力されたときに、入力保護回路に用いられるトランジスタやダイオード等の半導体素子中のPN接合部等にジュール熱が発生した際に、放熱器によってその部分の熱の散逸を促進し、溶融破壊を起こしにくくできる。
【0021】したがって、半導体装置の過大電圧入力に対する耐性を高めることができるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施例を示す平面図(図1(a))および断面図(図1(b))である。
【図2】本発明の第2の実施例を示す平面図(図2(a))および断面図(図2(b))である。
【図3】入力保護回路の一例を示す回路図である。
【図4】入力保護回路の他の例を示す回路図である。
【図5】第1の従来例を示す平面図(図5(a))および断面図(図5(b))である。
【図6】第2の従来例を示す平面図(図6(a))および断面図(図6(b))である。
【図7】第1の実施例の効果の説明に使用する特性図である。
【符号の説明】
1a,1b,1c,1d P- 型シリコン基板
2a,2b,2c,2d N型拡散層
3a,3b ゲート電極配線
4a,4b ソース電極配線
5a,5b ドレイン電極配線
6a,6b コンタクト穴
7a,7b 放熱器
8a〜8d 絶縁膜
9a,9b N型拡散層
10a,10b P型拡散層
11a,11b 陽極配線
12a,12b 陰極配線
13a,13b コンタクト穴
14a,14b コンタクト穴
【特許請求の範囲】
【請求項1】 半導体基板の表面部に選択的に形成された第1導電型拡散層と、前記第1導電型拡散層に接触する電極配線とを有する半導体素子を含む入力保護回路を備えた半導体装置において、前記第1導電型拡散層には、金属膜または合金膜からなる放熱器が設けられていることを特徴とする半導体装置。
【請求項2】 半導体素子はMOSトランジスタであり、前記MOSトランジスタのドレイン電極とチャネル部とに挟まれて放熱器が設けられている請求項1記載の半導体装置。
【請求項3】 半導体素子はPN接合ダイオードであり、前記PN接合ダイオードの陽極配線と陰極配線とに挟まれて放熱器が設けられている請求項1記載の半導体装置。
【請求項1】 半導体基板の表面部に選択的に形成された第1導電型拡散層と、前記第1導電型拡散層に接触する電極配線とを有する半導体素子を含む入力保護回路を備えた半導体装置において、前記第1導電型拡散層には、金属膜または合金膜からなる放熱器が設けられていることを特徴とする半導体装置。
【請求項2】 半導体素子はMOSトランジスタであり、前記MOSトランジスタのドレイン電極とチャネル部とに挟まれて放熱器が設けられている請求項1記載の半導体装置。
【請求項3】 半導体素子はPN接合ダイオードであり、前記PN接合ダイオードの陽極配線と陰極配線とに挟まれて放熱器が設けられている請求項1記載の半導体装置。
【図3】
【図1】
【図4】
【図2】
【図5】
【図6】
【図7】
【図1】
【図4】
【図2】
【図5】
【図6】
【図7】
【公開番号】特開平5−3286
【公開日】平成5年(1993)1月8日
【国際特許分類】
【出願番号】特願平3−153655
【出願日】平成3年(1991)6月26日
【出願人】(000004237)日本電気株式会社 (19,353)
【公開日】平成5年(1993)1月8日
【国際特許分類】
【出願日】平成3年(1991)6月26日
【出願人】(000004237)日本電気株式会社 (19,353)
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