説明

半導体記憶装置

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、半導体記憶装置に係り、特に、書き込み時間を短縮することが可能で、低消費電力のスタティック型の半導体記憶装置(以下、SRAMという)に関する。
【0002】
【従来の技術】
SRAMの書き込みに関する従来技術として、例えば、特開平05−166376号公報等に記載された技術が知られている。
【0003】
図10は従来技術のSRAMの書き込みの動作を説明するタイムチャートであり、以下、図10を参照して従来技術によるSRAMの書き込みの動作を説明する。図10において、ADは外部アドレス信号、WE ̄は外部書き込み信号、Dinは外部書き込みデータ、W ̄は内部書き込み信号、Dは内部書き込みデータである。なお、 ̄はその前に示す信号の否定を表わすものであり、以後の説明において全て同様である。
【0004】
従来技術によるSRAMへの書き込みは、書き込みサイクルの開始からtWAS 時間後に外部書き込み信号WE ̄がアサートされて立ち下がり、内部書き込み信号W ̄が外部書き込み信号WE ̄の立下りから所定時間td 遅らせて立ち下げられ、所定の書き込み時間 twpを確保した上で外部書き込み信号WE ̄の立ち上りに応じて立ち上げられることにより行われる。なお、外部書き込み信号WE ̄立ち上げられるのは書き込みサイクルの終了時点である。また、書き込み時間twpは、記憶装置の容量サイズ、書き込みアンプの特性、メモリセルの書き込み特性、電源電圧変動、温度変動、プロセス変動など種々の変動要因を勘案した上で所定のマージンを加えて決定される。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
前述したように、従来技術におけるSRAMへの書き込みにおける内部書き込み信号W ̄は、書き込みサイクルの終了時点で立ち上げられる外部書き込み信号WE ̄の立上りに応じて立ち上げられるため、書き込み動作の終了が次のメモリサイクルに食い込んでしまうことになる。このため、前述した従来技術は、次のメモリサイクルが読み出しサイクルの場合、書き込み時のメモリセルへの大振幅信号から読み出し時の小振幅信号への回復が遅くなり、読み出しアクセス時間が著しく増大するという問題点を生じる。
【0006】
また、前記従来技術は、内部書き込み時間twpに、種々の変動要因を考慮して実際の書き込み動作の時間よりも相当のマージンを持たせてあるため、メモリセルへのデータの書き込みが完了してから書き込みサイクルが終了するまでの時間、無駄な書き込み電流を流し続けることになり、書き込み時の消費電力が大きくなるという問題点を有している。このことは、特に、×32ビット、×64ビット等のワイドビットメモリにおいて、低消費電力化のための大きな障害となっている。
【0007】
また、前述した従来技術は、書き込み要求が発行されている間に、書き込み制御回路の動作を制御して書き込み動作を無効化する等の要求に対応することができず、記憶装置の応用の拡大が困難であるという問題点を有している。
【0008】
本発明の目的は、前記従来技術の問題点を解決し、書き込み動作の終了が次のメモリサイクルに食い込んでしまうことを防止して、消費電力を低減することを可能にし、記憶装置の応用の拡大が可能な半導体記憶装置を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明によれば前記目的は、
書き込み用コモンデータ線対の信号を入力とする書き込み終了検出手段を備え、該書き込み終了検出手段が、メモリアレイに対する書き込み用カラム選択スイッチと等価な性能を有するMOSトランジスタスイッチと、メモリアレイ内のデータ線と等価な遅延特性を有する模擬線路手段と、メモリアレイ内のメモリセルと等価な書き込み時間特性を有する模擬メモリ手段と、書き込み終了信号を出力するバッフア手段とを含み、
前記模擬メモリ手段を駆動して、前記模擬メモリ手段の一方の記憶ノードの信号を書き込み終了信号として前記バッフア手段から出力することにより達成される。
【0011】
【作用】
本発明は、半導体記憶装置内に設けられる書き込み終了検出手段が、メモリアレイへのデータの書き込みの終了を検出したとき、内部の書き込み動作を、外部書き込み信号の終了を待たずに終了させることができるので、内部書き込みパルスによる消費電力の低減を図ることができ、また、書き込みサイクルに続く次の読み出しサイクルに対する影響をなくすことができるので、高速なデータの書き込み、読み出しを行うことができる。
【0012】
また、本発明は、書き込み制御手段が、スキップ信号により連続的なデータの書き込み処理中に、書き込み動作を無効化することができるので、例えば、奇数アドレスまたは偶数アドレスのどちらか一方にだけ実際のデータの書き込みを行い、他方のアドレスの書き込みをスキップさせるという制御を行うことができ、このような記憶装置を使用して電子装置を構成した場合、記憶装置の新しい様々な応用を図ることができる。
【0013】
【実施例】
以下、本発明による半導体記憶装置の一実施例を図面により詳細に説明する。
【0014】
図1は本発明の一実施例による半導体記憶装置の構成を示すブロック図、図2は本発明の一実施例の主要部の詳細な構成を示すブロック図、図3は書き込み動作を説明するタイムチャート、図4はメモリセルの構成例を示す図、図5は書き込み終了検出回路の構成例を示すブロック図、図6は図5に示す書き込み終了検出回路の動作を説明するタイムチャートである。図1、図2、図4、図5において、100は半導体記憶装置、101はメモリアレイ、110は行デコーダ、120は列デコーダ、130は列選択回路、140はセンスアンプ、150は出力バッファ、160は書き込み制御回路、170は書き込みアンプ、180は書き込み終了検出回路、400はメモリセルである。
【0015】
本発明の一実施例による半導体記憶装置100の全体は、図1に示すように、複数の機能回路を備えて構成されている。以下、それらの機能回路について説明する。
【0016】
メモリアレイ101は、複数のメモリセルがマトリクス状に配列されているスタティック型のメモリアレイであり、行デコーダ110は、アドレスAXを入力としてメモリアレイ101の行アドレスを決定し、列デコーダ120は、アドレスAYを入力としてメモリアレイ101の列アドレスを決定している。列選択回路130は、列デコーダ120の出力に従って選択されたメモリセルとデータ読み出し用のセンスアンプ140または書き込みアンプ170とを接続し、出力バッフア150は、読み出しデータを外部に出力する。
【0017】
書き込み制御回路160は、外部からのチップ選択信号CSN(以下、CSN信号という)、書き込み指令信号WEN(以下、WEN信号という)を受けて、内部書き込みパルス信号WEP(以下、WEP信号という)、内部書き込みモード信号WMOD(以下、WMOD信号という)、内部チップ選択信号CSP(以下、CSP信号という)を発生する。CSP信号は、行デコーダ110、列デコーダ120、センスアンプ140、出力バッフア150に接続されており、半導体記憶装置100が非選択の時これらの回路の動作を停止させて、半導体記憶装置の消費電力を低減している。
【0018】
書き込みアンプ170は、WEP信号と書き込みデータ信号DINとに基づいて、書き込み用コモンデータ線WCD1、WCD2を駆動し、メモリアレイ101に所望のデータを書き込む。
【0019】
書き込み終了検出回路180は、本発明により設けられた特徴的な回路であり、書き込み制御回路160からのWMOD信号と書き込み用コモンデータ線WCD1、WCD2への信号を入力として書き込み終了を検出して書き込み終了信号WENDを発生し、書き込み制御回路160にフィードバックする。書き込み制御回路160は、この信号を受け取るとWEP信号を終結させる。
【0020】
なお、本発明の一実施例において、書き込み制御回路160は、外部から書き込みスキップ信号SKIPが入力されており、この信号がアサートされると書き込みサイクルであっても書き込み動作をスキップさせることができる。
【0021】
次に、本発明の一実施例の主要部の詳細な構成を図2を参照して説明する。
【0022】
図2において、M11〜Mm1及びM1n〜Mmnはメモリセルであり、それぞれ相補データ線d11、d12及びdn1、dn2に接続されている。また、メモリセルM11、M1nは行選択線X に、Mm1、Mmnは行選択線X に接続されている。相補データ線d11、d12と電源Vccとの間には、PMOS負荷手段201、202が接続され、また、相補データ線dn1、dn2と電源Vccとの間には、PMOS負荷手段203、204が接続されている。さらに、書き込み用のNMOS列選択スイッチ211、212が、それぞれのドレインがデータ線d11、d12に、ソースが書き込み用コモンデータ線WCD1、WCD2に接続され、ゲートが列選択信号Y1に共通接続されて設けられており、同様に、書き込み用のNMOS列選択スイッチ213、214が、それぞれのドレインがデータ線dn1、dn2に、ソースが書き込み用コモンデータ線WCD1、WCD2に接続され、ゲートが列選択信号Ynに共通接続されて設けられている。
【0023】
なお、前述において、メモリセルM11〜Mmnの構成は、特に制限されないが、例えば、図4にメモリセル400として示すように、2つのインバータ回路401、402によるメモリ素子と、行選択線であるワード信号WLにより駆動されてデータ線d 、d をメモリ素子に接続するNMOSスイッチ403、404とにより構成される。
【0024】
書き込み制御回路160は、インバータ161、NORゲート162、遅延回路163、ANDゲート164により構成されている。インバータ161は、外部チップ選択信号CSNの反転信号CSPを出力し、NORゲート162は、CSN信号とWEN信号とを入力として、両者が共に低レベルのとき、内部書き込みモード信号WMODを発生する。このWMOD信号は、書き込み終了検出回路180に入力されると共に、遅延回路163に入力され、その遅延出力がANDゲート164の1つの入力に接続される。ANDゲート164の他の入力には、書き込み終了検出回路180からの書き込み終了信号WENDと、オプション入力としての外部からの書き込みスキップ信号SKIPが接続されている。
【0025】
後述で詳細に説明する書き込み終了検出回路180は、書き込み制御回路160の出力であるWMOD信号と書き込み用コモンデータ線WCD1、WCD2の信号とに基づいてメモリセルへの書き込み終了を検出し、その書き込み終了信号であるWEND信号を書き込み制御回路160にフィードバックする。書き込み制御回路160は、このWEND信号を受信すると、外部からの信号CSN、WENがアサートされ続けていてもその時点で内部書き込みパルスWEPを立ち下げ、書き込み動作を終了させる。
【0026】
次に、図3に示すタイムチャートを参照して、本発明の一実施例における書き込み動作を説明する。なお、読み出し動作については、従来技術の場合と同一であるので、その説明は省略する。
【0027】
図3に示す書き込みサイクルにおいて、書き込みサイクルの開始からtWAS 時間後に外部書き込み指令信号WENがアサートされる。このWEN信号は、書き込みサイクルの終了時点まで低レベルに保持される。書き込みモード信号WMODは、チップ選択信号CSNと前記WEN信号とが共に低レベルのときに高レベルになる信号であり、それ以外のときには低レベルに維持されている。WEN信号の立ち下がりからtd時間後に内部書き込みパルスWEPが立ち上げられる。この時間tdは、正規のアドレスへの書き込みを保証するために、前記tWAS とデコーダの遅延時間tDEC との関係から
WAS+td≧tDEC
を満足するように決定される。
【0028】
WEPが立ち上がると書き込みデータDINに応じて、書き込み用コモンデータ線WCD1、WCD2のどちらか一方が低レベルに駆動され、他方が高レベルのままとされる。WCD1、WCD2のどちらか一方が低レベルに駆動されると、それに応答して書き込み終了検出回路180が動作し、書き込み終了検出回路180は、書き込みの終了を検出して、tWM時間後に書き込み終了信号WENDを立ち下げる。その後、WEND信号は、書き込みサイクルの終了時点でWMOD信号が立ち下げられるまで低レベルを維持する。また、WEPは、WEND信号が立ち下がるとそれに応答して立ち下げられる。内部の書き込み動作は、WEPが高レベルの期間だけ行われ、その期間だけWCD1またはWCD2のどちらか一方が低レベルに立ち下げられた状態に維持される。WEPが低レベルになると、WCD1、WCD2は、両方共に高レベル立ち上げられる。
【0029】
図3の中に示す点線は、従来技術の場合の動作を示すもので、従来技術の場合、内部書き込みパルスWEPは、WMOD信号が立ち下がってからtd時間後に立ち下げられていた。このため、従来技術では、WCD1またはWCD2を立ち下げておく時間もWEPを立ち下げられるまでに長くなり、次のサイクルにまで食い込んでしまうことになり、書き込みサイクルの直後に読み出しサイクルを実行すると、アクセス時間の著しい増大を招いてしまっていた。
【0030】
本発明の一実施例の場合、書き込みサイクルの終了時刻より前に書き込み終了信号WENDが出力され、それに応答して、WEP信号が立ち下げられ、WCD1またはWCD2も立ち上げられる。このため、本発明の一実施例は、従来技術における書き込みサイクルの直後の読み出しサイクルの実行時のアクセス時間の増大を解消することができる。また、内部書き込みパルスWEPが、外部からの書き込み指令信号WENの終了を待たずに立ち下げられるので、書き込みサイクル内でのその後の電力消費をなくすことができ、記憶装置全体の低消費電力化を図ることができる。
【0031】
次に、書き込み終了検出回路180の具体的な構成例を図5を参照して説明する。図5において、500は模擬メモリセル、530は模擬配線である。
【0032】
書き込み終了検出回路180は、図4により説明したメモリセルと書き込み時間特性が等価な模擬メモリセル500と、図2により説明した列選択スイッチ211〜214と等価な特性のNMOSスイッチ521、522と、図2のデータ線d11、d12〜dn1、dn2の配線と等価な模擬配線530と、NORゲート510とにより構成されている。
【0033】
そして、模擬メモリセル500を構成するNMOS503、504のゲートは電源Vccに接続されている。そして、NMOS503のドレインにはWMOD信号が入力され、NMOS504のドレインにはノードP2が接続されている。また、内部記憶ノードQ 、Q のうちQ は、NORゲート510の一方の入力に接続され、NORゲート510の他方の入力には必要に応じて、オプションとしての書き込みスキップ信号SKIPが接続される。SKIPを使用しない場合、NORゲート510のSKIP入力は低レベルに固定され、NORゲート510はインバータとして動作する。
【0034】
NMOSスイッチ521、522は、それぞれのドレインが書き込みコモンデータ線WCD1とWCD2とに接続され、NMOSスイッチ521のゲートがNMOSスイッチ522のドレインに、NMOSスイッチ522のゲートがNMOSスイッチ521のゲートに接続されており、また、それぞれのソースがノードP1に共通接続されている。
【0035】
ノードP1とP2との間には、例えば、抵抗と容量とにより構成される模擬配線530が接続されている。この模擬配線530はデータ線d11、d12〜dn1、dn2の配線遅延が無視できる場合省略することもできる。
【0036】
次に、図6に示すタイムチャートを参照して図5に示す書き込み終了検出回路180の動作を説明する。
【0037】
WMOD信号が低レベルのとき、コモンデータ線WCD1、WCD2は共に高レベルとなっている。従って、このとき、NMOS521、522の両方がオンとなってノードP1、P2が高レベルになり、擬似メモリセル500のNMOS504のドレインは高レベルになる。一方、NMOS503のドレインは低レベルとなっているため、NMOS503を通してノードQ が低レベルに引き下げられ、その結果ノードQ が高レベルとなる。なお、SKIP信号は、低レベルに保持されているものとし、従って、この状態で、書き込み終了信号WENDは高レベルになっている。
【0038】
前述した状態から書き込みサイクルになり、時刻t でWMOD信号が高レベルに立ち上ると、所定時間td1後に内部書き込みパルスWEPが立ち上る。WEPが立ち上ると、書き込みデータに応じて書き込み用コモンデータ線の例えばWCD1が低レベルに立ち下がり、WCD2は高レベルのままとされる。WCD1が立ち下がると、NMOS521を通じてノードP1、P2が順次低レベルになる。ノードP2が低レベルになると、NMOS504を通じてノードQ が低レベルに引き下げられ、インバータ501を通じてノードQ が高レベルに引き上げられる。ノードQ の高レベルへの変化は、疑似メモリセル500へのデータの書き込みの終了、すなわち、実際のメモリセルへのデータの書き込みが終了したことを意味し、書き込み終了検出回路108は、これにより、時刻t で書き込み終了信号WENDを低レベルとして書き込み終了を出力する。
【0039】
この書き込み終了信号は、書き込み制御回路160にフィードバックされ、内部書き込みパルスWEPを立ち下げる。内部書き込みパルスWEPが立ち下がると、WCD1、P1、P2も順次立ち上がり書き込み動作が終了する。その後、書き込みサイクルが終わり、時刻t でWMOD信号が立ち下げられると、それに応答してノードQ が低レベル、ノードQ が高レベルに順次セットされ、ノードQ の変化に応答して、書き込み終了信号WENDが高レベルに戻る。
【0040】
図6の中に示す点線は、従来技術の場合の動作を示すもので、従来技術の場合、内部書き込みパルスWEPは、WMOD信号が立ち下がってからtd1時間後に立ち下げられていた。このため、従来技術では、WCD1またはWCD2を立ち下げておく時間が、時刻t 以降の次のサイクルまで食い込んでしまい、書き込みサイクルの直後に読み出しサイクルを実行すると、アクセス時間の著しい増大を招いてしまっていた。
【0041】
本発明の一実施例の場合、書き込みサイクルの終了時刻t より前の時刻t で書き込み終了信号WENDが出力され、それに応答して、WEP信号が立ち下げられ、WCD1またはWCD2も立ち上げられる。このため、本発明の一実施例は、従来技術における書き込みサイクルの直後の読み出しサイクルの実行時のアクセス時間の増大を解消することができる。また、内部書き込みパルスWEPが、外部からの書き込み指令信号WENの終了を待たずに立ち下げられるので、書き込みサイクル内でのその後の電力消費をなくすことができ、記憶装置全体の低消費電力化を図ることができる。
【0042】
図7は書き込み終了検出回路の他の構成例を示すブロック図である。図7において、700は模擬メモリセル、731、731は模擬配線である。
【0043】
図示書き込み終了検出回路180は、図4により説明したメモリセルと書き込み時間特性が等価なフリップフロップにより構成される模擬メモリセル700と、図2により説明した列選択スイッチ211〜214と等価な特性のNMOSスイッチ721、722と、図2R>2のデータ線d11、d12〜dn1、dn2の配線と等価な模擬配線731、732と、NORゲート710とにより構成されている。
【0044】
模擬メモリセル700は、NANDゲート701と702とによフリップフロップと出力用のインバータ703とにより構成され、NANDゲート701の一方の入力には書き込み指令信号WMODが入力されている。また、NMOSスイッチ721、722は、それぞれのドレインが書き込みコモンデータ線WCD1とWCD2とに接続され、それぞれのゲートが電源Vccに共通接続されている。模擬配線731は、NMOS721のソースとNANDゲート702の一つの入力との間に、また、模擬配線732は、NMOS732のソースとNANDゲート702の他の入力との間に接続されている。これらの模擬配線は、例えば、抵抗と容量とにより構成される。
【0045】
そして、模擬メモリセル700内のインバータ703の出力は、NORゲート710の一方の入力に接続され、NORゲート710の他方の入力には、必要に応じて、書き込みスキップ信号SKIPが接続される。SKIPを使用しない場合、NORゲート710のSKIP入力は低レベルに固定され、NORゲート710はインバータとして動作する。なお、模擬配線731、732はデータ線の配線遅延を無視できる場合省略することもできる。
【0046】
図8は書き込み終了検出回路のさらに他の構成例を示すブロック図である。図8において、800は模擬メモリセル、820はENOR(Exclusive NOR)ゲートである。
【0047】
図示書き込み終了検出回路180は、図4により説明したメモリセルと書き込み時間特性が等価なフリップフロップにより構成される模擬メモリセル800と、フリップフロップをセットするENOR820とにより構成される。フリップフロップは、NANDゲート801と802とにより構成され、模擬メモリセル800内には、出力用のインバータ803が設けられている。フリップフロップを構成するNANDゲート801の一方の入力には、書き込み指令信号WMODが入力されており、このフリップフロップは、書き込み動作時に、WCD1とWCD2のいずれか一方が低レベルになるとその出力を低レベルにするENORゲート820によりセットされる。
【0048】
書き込み動作時、フリップフロップがセットされると、その結果、ノードQ が高レベル、ノードQ が低レベルとされ、インバータ803から高レベルの信号が出力され、書き込み終了信号WENDは低レベルとされる。
【0049】
図8に示す例では、図2のデータ線d11、d12〜dn1、dn2の配線と等価な模擬配線が省略されているが、必要に応じて、ENORゲート820とNANDゲート802との間に模擬配線を設けることができる。インバータ803の出力は、NORゲート810の一方の入力に接続され、NORゲート810の他方の入力には必要に応じて、書き込みスキップ信号SKIPが接続される。SKIPを使用しない場合、SKIP入力は低レベルに固定され、NORゲート810は、インバータとして動作する。
【0050】
前述で説明した図7、図8のような構成を有する書き込み終了検出回路においても、図5により説明した書き込み終了検出回路と同様に動作し、このような回路を使用することにより、従来技術における書き込みサイクルの直後の読み出しサイクルの実行時のアクセス時間の増大を解消することができ、また、低消費電力化を図ることができる。
【0051】
図9は本発明の応用例を示すブロック図である。図9において、900はマイクロプロセッサやマイクロコントローラ等のデータ処理装置、910、920は書き込みスキップ機能を有する前述で説明した本発明の実施例による記憶装置である。
【0052】
図示応用例は、本発明の実施例による半導体記憶装置を使用したデータ処理システムであり、データ処理装置900と記憶装置910、920とが、アドレスバスAB、データバスDB、コントロールバスCB、スキップ制御線SKIPを介して相互に接続されて構成され、データ処理装置900から記憶装置910、920に対してデータの読み出しまたはデータの書き込みを行う。
【0053】
そして、記憶装置910、920は、書き込みスキップ機能を備えており、端子Sに入力される信号に応じて、書き込みスキップ動作の有り/無しが制御される。このため、データ処理装置900は、コントロールバスCBを通して書き込み指令を出しながら任意の時点でスキップ信号SKIPをアサートすることにより、その時点での記憶装置への書き込みを無効化するように制御することができる。
【0054】
従って、前述した本発明の応用例によれば、例えば、あるアドレスから別の他のアドレスまで、連続的に書き込みを実行しながら奇数アドレスまたは偶数アドレスのどちらか一方にだけ実際のデータの書き込みを行い、他方のアドレスの書き込みはスキップさせることができる。この本発明の応用例は、本発明による半導体記憶装置を使用することにより、前述以外の他の新しい様々な記憶装置の応用を行うことができる。
【0055】
【発明の効果】
以上説明したように本発明によれば、内部書き込み動作が終了すると外部書き込み指令信号の終了を待たずに書き込みを終了することができるため、次の読み出しサイクルへの悪影響をなくすことができる。また、書き込み動作に費やす時間を短くすることができるので、書き込み時の消費電力の低減を図ることができるる。
【0056】
さらに、オプションシステムとして、スキップ信号を使用することができるので、あるアドレスから別の他のアドレスまで、連続して書き込みを実行しながら、例えば、奇数アドレスまたは偶数アドレスのどちらか一方にだけ実際のデータの書き込みを行い、他方のアドレスの書き込みをスキップさせるという制御を行うことができ、記憶装置の新しい様々な応用を実施することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例による半導体記憶装置の構成を示すブロック図である。
【図2】本発明の一実施例の主要部の詳細な構成を示すブロック図である。
【図3】書き込み動作を説明するタイムチャートである。
【図4】メモリセルの構成例を示す図である。
【図5】書き込み終了検出回路の構成例を示すブロック図である。
【図6】図5に示す書き込み終了検出回路の動作を説明するタイムチャートである。
【図7】書き込み終了検出回路の他の構成例を示すブロック図である。
【図8】書き込み終了検出回路のさらに他の構成例を示すブロック図である。
【図9】本発明の応用例を示すブロック図である。
【図10】従来技術による書き込み回路の動作を制御するタイムチャートである。
【符号の説明】
100 記憶装置
101 メモリアレイ
110 行デコーダ
120 列デコーダ
130 列選択回路
140 センスアンプ
150 出力バッフア
160 書き込み制御回路
170 書き込みアンプ
180 書き込み終了検出回路
400 メモリセル
500、700、800 模擬メモリセル
530、731、732 模擬配線
900 データ処理装置
910、920 記憶装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
データの読み出し、書き込み機能を有する半導体記憶装置において、
書き込み用コモンデータ線対の信号を入力とする書き込み終了検出手段を備え、該書き込み終了検出手段は、メモリアレイに対する書き込み用カラム選択スイッチと等価な性能を有するMOSトランジスタスイッチと、メモリアレイ内のデータ線と等価な遅延特性を有する模擬線路手段と、メモリアレイ内のメモリセルと等価な書き込み時間特性を有する模擬メモリ手段と、書き込み終了信号を出力するバッフア手段とを含み、
前記模擬メモリ手段を駆動して、前記模擬メモリ手段の一方の記憶ノードの信号を書き込み終了信号として前記バッフア手段から出力することを特徴とする半導体記憶装置。
【請求項2】
データの読み出し、書き込み機能を有する半導体記憶装置において、
書き込み用コモンデータ線対の信号を入力とする書き込み終了検出手段を備え、該書き込み終了検出手段は、メモリアレイに対する書き込み用カラム選択スイッチと等価な性能を有するMOSトランジスタスイッチと、メモリアレイ内のデータ線と等価な遅延特性を有する模擬線路手段と、メモリアレイ内のメモリセルと等価な書き込み時間特性を有するフリップフロップ手段と、書き込み終了信号を出力するバッフア手段とを含み、
前記フリップフロップ手段を駆動して、前記フリップフロップ手段の一方の記憶ノードの信号を書き込み終了信号として前記バッフア手段から出力することを特徴とする半導体記憶装置。
【請求項3】
データの読み出し、書き込み機能を有する半導体記憶装置において、
書き込み用コモンデータ線対の信号を入力とする書き込み終了検出手段を備え、該書き込み終了検出手段は、コモンデータ線信号の一方が高レベルで他方が低レベルのとき、低レベルの信号を出力するENOR回路と、メモリアレイ内のメモリセルと等価な書き込み時間特性を有するフリップフロップ手段と、書き込み終了信号を出力するバッフア手段とを含み、
前記フリップフロップ手段を駆動して、前記フリップフロップ手段の一方の記憶ノードの信号を書き込み終了信号として前記バッフア手段から出力することを特徴とする半導体記憶装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【特許番号】特許第3596937号(P3596937)
【登録日】平成16年9月17日(2004.9.17)
【発行日】平成16年12月2日(2004.12.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願平7−113358
【出願日】平成7年5月11日(1995.5.11)
【公開番号】特開平8−315580
【公開日】平成8年11月29日(1996.11.29)
【審査請求日】平成14年4月1日(2002.4.1)
【出願人】(503121103)株式会社ルネサステクノロジ (4,790)
【参考文献】
【文献】特開平04−159690(JP,A)
【文献】特開昭57−113474(JP,A)
【文献】特開平08−255485(JP,A)