説明

半導体集積回路装置及びその制御方法

【課題】 信頼性の高い電源電圧検知回路を備えた半導体集積回路装置を提供することを目的とする。
【解決手段】 電源電圧を検出し、前記電源電圧が第1の基準電圧よりも低下したときに、第1のディスエーブル信号を生成し、前記電源電圧が第2の電源電圧よりも低下したときに、第2のディスエーブル信号を生成する電源電圧検出回路と、前記電源電圧検出回路と接続され、前記第1のディスエーブル信号が入力されるときに動作を停止する第1の回路ブロックと、前記電源電圧検出回路と接続され、前記第2のディスエーブル信号が入力されるときに動作を停止する第2の回路ブロックと、前記第1の回路ブロックの動作時には、前記第1のディスエーブル信号または前記第2のディスエーブル信号を無効化する電源電圧検出無効化回路と、を有することを特徴とする半導体集積回路装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体集積回路装置及びその制御方法に関し、例えば、ICカードやSIMカード等の低電源電圧状態における誤動作を防止するためのICカード用LSI、ICカード及びICカードの動作方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、LSIの微細化に伴い、LSIの低電源電圧化が進行している。ICカードやSIMカード(携帯情報端末で使用されるICカード)では、電源電圧が5V及び3Vの規格に加え、さらに1.8Vのものが規格化され始めている。このように、外部電源電圧の低下が進むにつれ、ICカードやSIMカード等に使用されるLSIは、幅広い電源電圧への対応が要求されてきている。
【0003】
このような電源電圧の状態に応じたICの内部回路の動作を安定させるものとして、例えば、特許文献1に示すようなものがある。
【0004】
従来のICカード等には、電源電圧検知回路が搭載されており、この電源電圧検知回路により電源電圧が動作保証範囲外になったときには、異常処理動作として、ICカード内の情報の書き込みや読み出し等の動作を中断し、ICカード内に記憶されている情報の保持のために電源電圧が使われる。
【0005】
しかし、ICカード内の不揮発性メモリの書き込み時や消去時、コプロセッサの動作時等の急激に大電力を必要とする場合に、ICカード内部の配線抵抗及び配線容量によりICカードの内部電圧が一時的に低下する。この内部電圧の低下は、一時的な低下であり、且つ電源電圧が動作保証範囲内であっても発生するため、ICカードの動作として異常と認識する必要があるものではなかった。
【0006】
このように、一時的な電源電圧の正常な低下を異常動作であると認識してしまうため、電源電圧検知機能の信頼性が高いとは言えなかった。
【特許文献1】特開2003−132310号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、信頼性の高い電源電圧検知機能を備えた半導体集積回路装置及びその制御方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一態様の半導体集積回路装置は、電源電圧を検出し、前記電源電圧が第1の基準電圧よりも低下したときに、第1のディスエーブル信号を生成し、前記電源電圧が第2の電源電圧よりも低下したときに、第2のディスエーブル信号を生成する電源電圧検出回路と、前記電源電圧検出回路と接続され、前記第1のディスエーブル信号が入力されると動作を停止する不揮発性メモリと、前記電源電圧検出回路と接続され、前記第2のディスエーブル信号が入力されると動作を停止する制御回路と、前記不揮発メモリに対する書き込み若しくは消去時には、前記第1のディスエーブル信号または前記第2のディスエーブル信号を無効化する電源電圧検出無効化回路と、を有することを特徴としている。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、信頼性の高い電源電圧検知機能を備えた半導体集積回路装置及びその制御方法を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、本発明の実施例について、図面を参照して説明する。
【実施例】
【0011】
本発明の実施例に係る半導体集積回路装置を図1乃至図4を用いて説明する。図1は、本発明の実施例に係るICカード用LSIの内部の回路構成を示す概略図である。
【0012】
本実施例では、電源(VDD)端子パッド3から入力される電源電圧VDDが1.8Vであり、電源電圧VDDの動作保証範囲の下限が1.6Vであるとして本実施例を説明する。
【0013】
図1に示すように、本発明の実施例に係るLSIチップ(以下において、単に「LSI」と言う)100は、外部装置との接触インターフェイスとして、クロック(CLOCK)端子パッド1、リセット(RESET)端子パッド2、電源(VDD)端子パッド3、接地(GND)端子パッド4、入出力(I/O)端子パッド5の各端子パッド(ボンディングパッド)を有している。このLSIは、例えば、ICカードとして用いられる。
【0014】
また、LSI100は、回路ブロックとして、CPU10、電源電圧検出回路(BLD)20、システムコントロール回路(制御回路)40、不揮発性メモリ50、ROM60、RAM70及びBLD無効化回路200を有している。BLD無効化回路200は、BLDマスク回路30、論理回路(AND回路)A及び論理回路(AND回路)Bを有している。システムコントロール回路40は、履歴保持部45を有している。
【0015】
電源電圧検出回路(BLD)20は、電源端子パッド3に接続され、外部電源から印加された電圧VDDを検出し、電源電圧VDDを第1の基準電圧V1、第2の基準電圧V2と比較し、その比較結果を検知信号BLD1、BLD2として生成し、検知信号BLD1を論理回路Aに、検知信号BLD2を論理回路Bに出力する回路ブロックである。ここで、検知信号BLD1は、VDD<V1であるか否かを示す信号であり、検知信号BLD2は、
VDD<V2であるか否かを示す信号である。
【0016】
そして、検知信号BLD1は、不揮発性メモリ50に対する書き込みを行なうか否かを判断するための検知信号であり、検知信号BLD2は、LSI100内の動作に必要な電圧に達しているか否かを判断するための検知信号である。
【0017】
この電源電圧検出回路20は、電源電圧VDDが、LSIの動作保証範囲(例えば、1.6V。)の下限より低い電圧である第1の基準電圧V1(例えば、1.55V。)以下になった場合にBLD1にHを出力する。また、電源電圧VDDが、第1の基準電圧V1よりも低い第2の基準電圧V2(例えば、1.5V。)以下になった場合にBLD2にHを出力する。この第1の基準電圧V1及び第2の基準電圧V2の設定方法は、後述する。
【0018】
CPU20は、LSI100の処理を実行する処理制御装置であり、電源電圧検出回路20、システムコントロール回路40、ROM60、RAM70、不揮発性メモリ50等の入出力をそれぞれ制御する制御手段も備える。また、LSI100の内部で大電力動作の実行を開始するときに大電力動作モード信号を生成し、BLDマスク回路30に出力する。本実施例では、大電力動作として、不揮発性メモリ50に情報の書き込みを開始するときに書き込み信号WRをBLD無効化回路200内のBLDマスク回路30に出力する。
【0019】
電源電圧検出無効化回路(BLD無効化回路)200は、不揮発性メモリ50及びシステムコントロール回路40を動作させるか否かを決めるディスエーブル信号を送る。ディスエーブル信号が入力されると、不揮発性メモリ50及びシステムコントロール回路40のそれぞれは、動作を中止する。
【0020】
BLDマスク回路は30、CPU10から書き込み信号WRが入力された後に、信号MASKを論理回路Aに出力する。
【0021】
論理回路Aでは、電源電圧検出回路20の出力BLD1と、BLDマスク回路30の出力MASKとを入力としている。論理回路Aは出力信号として、不揮発性メモリ50のディスエーブル信号EEDISを不揮発性メモリ50、システムコントロール回路40内の履歴保持部45と論理回路Bに出力する。
【0022】
論理回路Bでは、電源電圧検出回路20の出力BLD2と、論理回路Aの出力信号EEDISとを入力としている。論理回路Bは出力信号として、システムコントロール回路40のディスエーブル信号SYSRESをシステムコントロール回路40に出力する。
【0023】
このように、BLD無効化回路200は構成されているので、CPU10から書き込み信号WRが入力されると、不揮発性メモリ50及びシステムコントロール回路40には、ディスエーブル信号がL、つまりノンアクティブとなるので、不揮発性メモリ50及びシステムコントロール回路40は動作を中止しない。書き込み信号WRが入力されていないときには、V2<VDD<V1のときにBLD1がHならばEEDISがHとなり、BLD0がHならば、EEDISがH、SYSRESがHとなる。
【0024】
したがって、書き込み信号WRが入力されていないときには、EEDISにはBLD1と同じ論理値が、SYSRESにはBLD0と同じ論理値が入力される。
【0025】
システムコントロール回路40は、CPU10、電源電圧検出回路20、ROM60、RAM70、不揮発性メモリ50及び論理回路Bの各回路ブロックに接続され、各種信号の制御処理を行なう回路ブロックである。また、履歴保持部45を有しており、論理回路Aから出力された不揮発性メモリ50のディスエーブル信号EEDISが入力され、この信号を保持する。履歴保持部45は、不揮発性メモリ50への書き込みが中止されているか否かを記憶しておく部分である。また、論理回路Bからディスエーブル信号SYSRESが入力され、ディスエーブル信号SYSRESがHとなったときには、LSI100内部に異常が生じたと認識し、異常動作モードに移行し、不揮発性メモリ50の情報の保持等を行なう。
【0026】
ROM60は、CPU10において実行されるプログラムを格納しているプログラムメモリ等として機能する。
【0027】
RAM70は、CPU10におけるプログラム実行処理中に利用されるデータ等の格納や、作業領域として利用されるデータメモリ等として機能する。
【0028】
不揮発性メモリ50は、LSI100の外部との間で送受信される情報が記憶されている部分であり、例えば、フラッシュメモリ等が用いられる。このフラッシュメモリは、情報の書き込み時に大電力を消費し、VDDパッドから入力される電源電圧が1.6-5.5Vであるのに対して、LSI100内部の昇圧回路等(図示しない)により昇圧され、12Vの電圧を用いて書き込み動作が行なわれる。
【0029】
また、不揮発性メモリ50に対する書き込み動作の開始時において、論理回路Aから不揮発性メモリ50のディスエーブル信号EEDISがHであるときには、不揮発性メモリ50に対しての書き込みが行なわれない。以上のようにして、本実施例に係るICカード用LSIが形成されている。
【0030】
ここで、第1の基準電圧V1及び第2の基準電圧V2の設定方法について説明する。
【0031】
まず、第1の基準電圧V1は、不揮発性メモリ50に対する書き込みを行なうか否かを判断する基準電圧である。電源電圧が低いと、LSI10内の昇圧回路で昇圧しても、不揮発性メモリの書き込みに必要な電圧を生成することができない。そして、第1の基準電圧V1よりも電源電圧が低いときには、書き込みに必要な電圧を生成できないため、不揮発性メモリ50に対しても書き込みを中止し、書き込みを行なわない。
【0032】
一方、第2の電源電圧V2は、LSI100内の動作に必要な電圧に達しているか否かを判断する電圧である。電源電圧がさらに低下すると、LSI100に供給される電源電圧が不足するため、通常の電源電圧と同じような処理をLSI100内で行っていると、LSI100内に異常動作が生じやすくなる。そして、第2の基準電圧よりも電源電圧が低いときには、LSI100内の誤動作を防止するため、通常の処理動作を中止し、不揮発性メモリ50内のデータを保持するなどの異常時を行なう。
【0033】
なお、第1の基準電圧V1と第2の基準電圧V2とでは、0<V2<V1という大小関係になるように設定される。
【0034】
このように、本実施例に係る半導体集積回路装置では、不揮発性メモリの書き込み動作開始時など、大電力動作を消費する回路ブロックを動作しているときに、BLD無効化回路により、不揮発性メモリ及びシステムコントロール回路のディスエーブル信号を一時無効化する。これにより、LSI内の動作に起因して、一時的に電源電圧が低下するときに、この電源電圧の低下を異常と認識しないので、LSI内の動作を止めずに処理を行なう。そのため、信頼性の高い電源電圧検出回路を有している。
【0035】
次に、LSI100の処理動作について図1及び図2を参照しながら説明する。図2は、本実施例に係る半導体集積回路装置において大電力動作に伴い電源電圧が低下したときの各信号のタイミングチャートである。
【0036】
まず、時刻t0において、不揮発性メモリ50に書き込みを行ない、時刻t2において、電源電圧検出回路20に入力される電圧VDDが第1の基準電圧V1より低い電圧であり、第2の基準電圧V2より高い電圧(V2<VDD<V1)にまで低下した後、さらに、時刻t3において、電源電圧VDDが第2の基準電圧V2より低い電圧(VDD<V2)にまで低下したときについて説明する。
【0037】
はじめに、時刻t0のときに、不揮発性メモリ50に対して書き込み動作を開始する。このとき、CPU20からBLDマスク回路30に出力される書き込み信号WRがLからHに切り替わる。この書き込み信号WRは、不揮発性メモリ50に書き込みを行なっているときにはHとなり、書き込みを行なっていないときにはLとなる。
【0038】
BLDマスク回路30において、書き込み信号WRがLからHに切り替わった後、時刻t1に出力信号MASKがHからLに切り替わり、この出力信号MASKが論理回路Aに入力される。
【0039】
電源電圧検出回路20は、不揮発性メモリ50に書き込み開始した後、書き込み信号WRがHに切り替わった後の時刻t2に、不揮発性メモリ50に書き込みを行なったことに起因して、LSI100の内部電源電圧VDDが低下し、VDD<V1となり、出力信号BLD1がHに切り替わる。なお、t2-t0後に応答が現れるのは、LSI100の内部に配線容量等により、遅れが生じるためである。
【0040】
そして、出力信号BLD1が論理回路Aに入力され、出力信号BLD0は、VDD>V2であるため切り替わらずLを維持し、論理回路Bに入力される。論理回路Aは、入力信号のうちMASKがLであるため、論理回路Aの出力信号であって不揮発性メモリ50のディスエーブル信号EEDISがLとして出力し、不揮発性メモリ50に入力する。不揮発性メモリ50は、Lが入力されるため、異常動作が行なわれたとは認識せず、不揮発性メモリ50の書き込みを中止しない。したがって、不揮発性メモリ50ではデータの書き込みが続行される。
【0041】
一方、論理回路Bの入力信号は、ともにLであるため、出力信号SYSRESとしてLを出力し、システムコントロール回路40に入力される。システムコントロール回路40ではLが入力されるので、システムコントロールは通常動作を続行し、LSI100内の各ブロックの制御を行なう。
【0042】
そして、時刻t3のときに、電源電圧VDDはさらに低下し、電源電圧VDD<V2となるので、BLD0はHを出力する。論理回路Aの出力信号EEDISはLであるので、論理回路Bの出力信号SYSRESは、Lとなり、システムコントロール回路40に入力される。システムコントロール回路40は、Lが入力されるので、異常動作モード動作に移行せず、通常動作を持続する。
【0043】
以上のように、不揮発性メモリの書き込み開始した後に、電源電圧VDDが、第1の基準電圧よりも低くなり、VDD<V1となっても、不揮発性メモリ50の書き込み動作を停止させない。また、不揮発性メモリ50の書き込み動作を開始した後に、電源電圧VDDが、第2の基準電圧よりも低くなり、VDD<V2となっても、システムコントロール回路40は異常動作であるとは認識せず、通常動作を続行する。
【0044】
したがって、不揮発性メモリ50の書き込み開始時など、大電力を消費する動作の直後に電源電圧VDDが低下したとしても、ディスエーブル信号を一時的に無効としているため、LSI内の動作に伴い電源電圧が低下したときには、LSI内の回路ブロックの動作を中止させない。そのため、正常な電源電圧の低下のときには、異常動作と認識せず、処理動作を止めないので電源電圧検出機能の信頼性が高くなる。
【0045】
次に、書き込み動作に起因せずに、電源電圧VDDが低下する場合について図1及び図3を参照しながら説明する。図3は、大電力動作に起因せずに電源電圧VDDが低下したときのタイミングチャートである。
【0046】
まず、時刻t0より電源電圧VDDが低下し始め、時刻t11において、電源電圧検出回路20に入力される電圧VDDが第1の基準電圧V1より低い電圧であり、第2の基準電圧V2より高い電圧(V2<VDD<V1)にまで低下した後、さらに、時刻t22において、電源電圧VDDが第2の基準電圧V2より低い電圧(VDD<V2)にまで低下したときについて説明する。
【0047】
はじめに、CPU10からBLDマスク回路20に書き込み信号WRが入力されるが、不揮発性メモリ50に対して書き込み動作が行なわれないので、WRはLを出力する。そして、BLDマスク回路20において、WRがLを出力し続けるので、出力信号MASKはHを出力し続け、この出力信号MASKが論理回路Aに入力される。
【0048】
時刻t11において、電源電圧VDDが、第1の基準電圧よりも低くなり、VDD<V1となると、電源電圧検出回路30の出力信号BLD1がHとなる。不揮発性メモリ50に対して書き込み動作を行なっていないので、BLDマスク回路30からの出力信号MASKは、Hのままである。そのため、論理回路Aの出力信号EEDISは、Hとなり、不揮発性メモリ50の書き込みを中止する。V2<VDDのときには、BLD0はLであるので、論理回路Bは出力信号としてSYSRESとしてLを出力し、システムコントロール回路40にLが入力される。電源電圧VDDが、V2<VDDのときにはシステムコントロール回路40は、異常動作であると認識しないため、正常動作を持続する。
【0049】
そして、時刻t22において、電源電圧がVDD<V2となると、電源電圧検出回路20の出力信号BLD0がHとなる。不揮発性メモリ50に対して書き込み動作を行なっていないので、BLDマスク回路20からの出力信号MASKは、Hのままである。EEDISがHであり、そのため、SYSRESがHとなる。そのため、システムコントロール回路40は、LSI100内部に異常が生じたと認識し、異常動作モードに移行し、不揮発性メモリ50のデータの保持などを行なう。このとき、EEDISは、システムコントロール回路40内の履歴保持部45にも入力される。履歴保持部45では、EEDISがHとなっていることを保持し、データバスを介してCPU10に通知される。
【0050】
CPU10は、時刻t00において、書き込み信号WRをBLDマスク回路30にLを入力しているので、不揮発メモリ50に対して、ディスエーブル信号EEDISが有効とする指令を出力する。これにより、不揮発性メモリ50はディスエーブル信号EEDISがHとして入力されているので、書き込み動作を中止する。
【0051】
さらに、時刻t33において、電源電圧VDDが、第2の基準電圧よりも高くなり、VDD>V2となると、電源電圧検出回路20からの出力信号BLD0がLとなるので、論理回路Bの出力信号SYSRESが、HからLに切り替わる。そのため、システムコントロール回路40は、異常動作モードとして動作していたものが正常動作に戻り、LSI100内の各ブロックの信号制御を行なう。
【0052】
そして、時刻t44において、電源電圧VDDが、第1の基準電圧よりも高くなり、VDD>V1となると、電源電圧検出回路40からの出力信号BLD1がLとなるので、論理回路Aの出力信号EEDISが、HからLに切り替わる。そのため、不揮発性メモリ50は、書き込み動作を中止していたものから、通常通り、書き込み動作を行なう。
【0053】
以上のように、書き込み動作開始時などの大電力消費動作以外に、電源電圧VDDが低下したときには、電源電圧VDDに応じて、不揮発性メモリ50、システムコントロール回路40の動作を制限することが可能となる。
【0054】
ここで、書き込み動作を開始した直後に、電源電圧VDDが低下する場合について図1及び図4を参照しながら説明する。電源電圧が低下している状態で書き込みを開始した、あるいは、電源電圧VDDの低下が急峻であったなどの場合が考えられるが、本実施例では、時刻t10において電源電圧が低下している状態で書き込みを開始した後、時刻t20において電圧VDDが第1の基準電圧V1より低い電圧であり、第2の基準電圧V2より高い電圧(V2<VDD<V1)にまで低下した後に、時刻t30において、マスク信号MASKがHからLに切り替わった場合について説明する。
【0055】
時刻t10で、CPU10において、書き込み信号WRがLからHに切り替わる。この後、マスク信号MASKがHからLに切り替わる前に、時刻t20において、電源電圧VDDがVDD<V1となるまで低下する。その後、時刻t30において、マスク信号MASKがHからLに切り替わる。
【0056】
この時刻t20から時刻t30の間に、不揮発性メモリ50のディスエーブル信号EEDISがHとなる。そして、ディスエーブル信号EEDISがHであるので、不揮発性メモリ50及び、システムコントロール回路40内の履歴保持部45にディスエーブル信号EEDISが入力される。
【0057】
このとき、ディスエーブル信号EEDISが不揮発性メモリ50に入力されるが、直ぐには書き込みは中止しない。履歴保持部45に入力されたディスエーブル信号EEDISがHとなったということを、システムコントロール回路40はデータバスを介してCPU10に通知する。このとき、ディスエーブル信号EEDISがHになったのは、書き込み開始信号WRがLからHに切り替わった後であるので、このディスエーブル信号EEDISがHになったことをエラーとして処理し、不揮発性メモリ50に対して、入力されるディスエーブル信号EEDISを無効化する指示を出し、書き込みを続行する指示を出す。ディスエーブル信号EEDISがHになったのは、書き込み開始信号WRが切り替わった後でなければ、不揮発性メモリに対して、ディスエーブル信号EEDISが有効であるとする指示を出し、不揮発性メモリに対する書き込みが中止される。
【0058】
この書き込みを開始してから、10[μs]の間であれば、EEDISがHとなっても中止しないとする。つまりt10からt20までの期間が10[μs]であれば、EEDISがHとして不揮発性メモリに入力されても、不揮発性メモリの書き込みを中止しない。
【0059】
また、CPU10は、ディスエーブル信号EEDISがHになったという履歴が通知された場合、再度書き込みを行なうか否かを決定するため、入出力(I/O)端子パッド5を介して、LSI100の外部に通知する。
【0060】
以上のように、書き込み開始後に、電源電圧が低下したとしても、システムコントロール回路40でディスエーブル信号の履歴を保持し、書き込み信号が入力されていることを確認した後に、不揮発性メモリ、システムコントロール回路のディスエーブル信号を有効とするので、書き込み動作を開始した直後に、電源電圧VDDが低下場合であっても、高い電源電圧検出能力を発揮することが可能である。
【0061】
以上のように、本実施例に係る半導体集積回路装置では、LSI内部の不揮発性メモリの書き込み開始等、大電力を消費するLSI内の処理動作に起因して、一時的に電源電圧が低下するLSI内部の電源電圧の低下に対して、不揮発性メモリの書き込み等の動作を中止することなく、回路動作を続けることが可能となる。
【0062】
また、本実施例に係る半導体集積回路装置では、LSI内部の異常または、電源電圧が十分に供給されなくなったときなどの原因により、電源電圧が低下したときには、異常状態であると認識し、電源電圧に応じて、不揮発性メモリ、システムコントロール回路の動作を制限することが可能となる。
【0063】
本実施例では、大電力消費動作として、不揮発性メモリの書き込みを一例として挙げて説明したが、大電力消費動作は、この他にも、不揮発性メモリの消去開始時、コプロセッサの動作開始時などがある。
【図面の簡単な説明】
【0064】
【図1】本発明の実施例に係るICカード用LSIのLSIチップの内部の構成を示す図。
【図2】本発明の実施例に係る大電力消費動作に伴い電源電圧が低下したときのタイミングチャート。
【図3】本発明の実施例に係る半導体集積回路装置内の異常に伴い電源電圧が低下したときのタイミングチャート。
【図4】本発明の実施例に係る書き込み動作を開始した直後に、電源電圧VDDが低下する電源電圧が低下したときのタイミングチャート。
【符号の説明】
【0065】
1 クロック(CLOCK)端子パッド
2 リセット(RESET)端子パッド
3 電源(VDD)端子パッド
4 接地(GND)端子パッド
5 入出力(I/O)端子パッド
10 CPU
20 電源電圧検出回路(BLD)
30 BLDマスク回路
40 システムコントロール回路(制御回路)
45 履歴保持部
50 不揮発性メモリ
60 ROM
70 RAM
100 LSIチップ
200 BLD無効化回路(電源電圧検出無効化回路)
A 論理回路(AND回路)A
B 論理回路(AND回路)B

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電源電圧を検出し、前記電源電圧が第1の基準電圧よりも低下したときに、第1のディスエーブル信号を生成し、前記電源電圧が第2の電源電圧よりも低下したときに、第2のディスエーブル信号を生成する電源電圧検出回路と、
前記電源電圧検出回路と接続され、前記第1のディスエーブル信号が入力されるときに動作を停止する第1の回路ブロックと、
前記電源電圧検出回路と接続され、前記第2のディスエーブル信号が入力されるときに動作を停止する第2の回路ブロックと、
前記第1の回路ブロックの動作時には、前記第1のディスエーブル信号または前記第2のディスエーブル信号を無効化する電源電圧検出無効化回路と、
を有することを特徴とする半導体集積回路装置。
【請求項2】
電源電圧を検出し、前記電源電圧が第1の基準電圧よりも低下したときに、第1のディスエーブル信号を生成し、前記電源電圧が第2の電源電圧よりも低下したときに、第2のディスエーブル信号を生成する電源電圧検出回路と、
前記電源電圧検出回路と接続され、前記第1のディスエーブル信号が入力されると動作を停止するメモリと、
前記電源電圧検出回路と接続され、前記第2のディスエーブル信号が入力されると動作を停止する制御回路と、
前記メモリに対する書き込み若しくは消去時には、前記第1のディスエーブル信号または前記第2のディスエーブル信号を無効化する電源電圧検出無効化回路と、
を有することを特徴とする半導体集積回路装置。
【請求項3】
電源電圧を検出し、前記電源電圧が第1の基準電圧よりも低下したときに、第1のディスエーブル信号を生成し、前記電源電圧が第2の電源電圧よりも低下したときに、第2のディスエーブル信号を生成する電源電圧検出回路と、
前記電源電圧検出回路と接続され、前記第1のディスエーブル信号が入力されると動作を停止するコプロセッサと、
前記電源電圧検出回路と接続され、前記第2のディスエーブル信号が入力されると動作を停止する制御回路と、
前記コプロセッサの動作時には、前記第1のディスエーブル信号または前記第2のディスエーブル信号を無効化する電源電圧検出無効化回路と、
を有することを特徴とする半導体集積回路装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2006−155038(P2006−155038A)
【公開日】平成18年6月15日(2006.6.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−342276(P2004−342276)
【出願日】平成16年11月26日(2004.11.26)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】