説明

半導体集積回路装置

【課題】システムオンチップ上のマイクロコントローラユニットの動作開始をソース機器からDDCを介して供給される電源電圧であるDDC5Vによって制御可能とする。
【解決手段】チップ上に構成され、ソース機器との間で機器間の認証を行うための機器間認証部と、前記チップ上に構成されて前記機器間認証部を制御するものであって、発振部からのシステムクロックが供給されて動作すると共に前記発振部の発振停止を指示可能な制御部と、入力端に前記ソース機器からのDDC5Vが供給されるか否かに基づいて、前記発振部の発振を再開させるための発振停止解除信号を出力する発振停止解除部とを具備したことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、機器間認証を行って映像情報の受信を行う受信装置に好適な半導体集積回路装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、映像情報及びオーディオ情報等(以下、AV情報という)のデジタル化が進められている。BSデジタル放送や地上デジタル放送等のデジタル放送も開始されており、デジタル化されたAV情報(AVデータ)がデジタルコンテンツとして放送されるようになってきている。このようなデジタルAVデータを記録する装置として、DVDレコーダやハードディスクレコーダ、半導体メモリレコーダ等も普及している。
【0003】
デジタル記録においては、オリジナルのAVデータを劣化させることなく、複製を作成することが可能であり、著作権の保護の観点から、デジタルコンテンツのコピーを制限可能にする必要性が高くなっている。このような著作権保護機能及び高画質化のための伝送、更に、ケーブルの取り回しも考慮して、1本のケーブルで非圧縮の映像信号を伝送すると共に音声信号及び制御信号を伝送するHDMI(High-Definition Multimedia Interface)が採用されるようになってきた。なお、HDMIについては、例えば、特許文献1等に開示されている。
【0004】
HDMIにおいては、物理層における伝送規格であるTMDS(Transition Minimized Differential Signaling )を採用する。また、HDMIにおいては、ディスプレイの各種電気的仕様等を記録機器等のソース機器に自動識別させるためにDDC(ディスプレイ・データ・チャンネル)が採用される。このDDCでは、IC(アイ・スクエア・シー)バス形式の2線式シリアル伝送が採用される。そして、このDDCを利用した自動認識のために、電気的仕様等の規格としてEDID(extended display identification data)規格が採用される。
【0005】
デジタル記録機器等のソース機器からの信号を受信するHDMIの受信装置(HDMI RX)においては、TMDS信号を受信するデータ認証部の他に、機器間認証のためのEDID部を備える。EDID部は、ディスプレイ装置等のレシーバ機器の性能及び機能等を確認する為のEDID情報を扱う。
【0006】
近年、HDMIに対応した出力を出力するソース機器の増加に伴い、デジタルテレビジョン受像機等のレシーバ機器には、複数のHDMIポートを備えたものが普及している。このようなレシーバ機器では、各HDMIポート毎に、EDID部を設けて各HDMIポート毎に対応するソース機器にEDID情報の伝送を可能にする。
【0007】
一般的には、EDID部としては、EDID情報を記憶したEPROMが採用される。従って、複数のHDMIポートを備えた場合には、EDIDを構成するEPROMを複数用意すると共に、複数のEPROMの1つを選択するための切換スイッチが必要となる。このような複数のEPROMを備えたシステムについては、装置の小型化、低消費電力化等の点からは、複数のEPROMを集積化して、複数のHDMIポートに対応する複数のEDID部を1つのLSI上に構成した方が有利である。そこで、デジタルテレビジョン受像機を構成するSoC(システムオンチップ)上に、データ認証部とEDID部とを内蔵したものが開発されている。
【0008】
しかしながら、EDID部は、EDID情報をDDCを介してソース機器に伝送して、機器間認証を可能にするためのものであり、ソース機器からのアクセス時に動作可能とする必要がある。このため、EDID部には、レシーバ機器の電源のオン,オフ等の動作状態に拘わらず、ソース機器からのアクセス時には常に電源が供給されている必要がある。即ち、EDID部をSoC化すると、EDID部への電源供給のためにSoCに常時電力を供給する必要があり、消費電力が増大する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2007−108198号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は、システムオンチップ上のマイクロコントローラユニットの動作の開始をソース機器からDDCを介して供給される電源電圧であるDDC5Vによって制御可能とすることにより、消費電力を増大させることなくデータ認証部及び機器間認証部を集積回路化することができる半導体集積回路装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の一態様の半導体集積回路装置は、チップ上に構成され、ソース機器との間で機器間の認証を行うための機器間認証部と、前記チップ上に構成されて前記機器間認証部を制御するものであって、発振部からのシステムクロックが供給されて動作すると共に前記発振部の発振停止を指示可能な制御部と、入力端に前記ソース機器からのDDC5Vが供給されるか否かに基づいて、前記発振部の発振を再開させるための発振停止解除信号を出力する発振停止解除部とを具備したことを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、システムオンチップ上のマイクロコントローラユニットの動作開始をソース機器からDDCを介して供給される電源電圧であるDDC5Vによって制御可能とすることにより、消費電力を増大させることなくデータ認証部及び機器間認証部を集積回路化することができるという効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の一実施の形態に係る半導体集積回路装置を示すブロック図。
【図2】発振停止解除部35の具体的な構成を示す回路図。
【図3】実施の形態の動作を説明するためのタイミングチャート。
【図4】実施の形態の動作を説明するための説明図。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について詳細に説明する。図1は本発明の一実施の形態に係る半導体集積回路装置を示すブロック図である。
【0015】
図1の半導体集積回路装置10はHDMI受信装置を構成するSoC(システムオンチップ)を示している。この半導体集積回路装置10は、入力可能なTMDS信号が3系統で、4系統のHDMIポートに対応する。なお、本実施の形態においては、入力数はこれに限定されるものではない。
【0016】
半導体集積回路装置10は、データ認証ブロック11及びEDIDブロック12を有する。本実施の形態においては、後述するように、EDIDブロック12については常時電力を供給する一方、MCU28へのEDIDシステムクロックの供給を停止可能にすることで、消費電力の削減を図っている。
【0017】
データ認証ブロック11は、HDCP(High-bandwidth Digital Content Protection system)認証を行って、入力されたTMDS信号に基づく映像データ及び音声データを出力する。機器間認証部としてのEDIDブロック12は、ソース機器がレシーバ機器の性能・機能を確認するためのEDID情報を扱い、ソース機器に対してEDID情報を送信すると共に、ソース機器からのHDCP認証のための情報(以下、HDCP認証情報という)をデータ認証ブロック11に供給するようになっている。
【0018】
データ認証ブロック11は、制御部20によって各部が制御される(図示省略)。物理層(PHY)部14A〜14Cには夫々端子T1〜T3を介してTMDS信号が入力される。物理層部14A〜14Cは、夫々入力されたTMDS信号に対する処理によって、差動信号であるTMDS信号をデジタル信号に変換してセレクタ15に出力する。セレクタ15は、制御部20からチャンネル選択信号が与えられて、物理層部14A〜14Cの出力の1つをチャンネル選択信号に基づいて選択してデマルチプレクサ16に出力する。デマルチプレクサ16は、入力された信号から映像データ及び音声データ等を分離してHDCP認証部17に出力する。
【0019】
HDCPレシーバ18は、後述するように、DDC4チャンネルのうち選択されたチャンネルのICバスを介して伝送されたHDCP認証情報がセレクタ23を介して入力される。HDCPレシーバ18は受信したHDCP認証情報をHDCP認証部17に出力するようになっている。
【0020】
デマルチプレクサ16からHDCP認証部17に入力されたデータにはHDCPによる暗号化が施されている。HDCP認証部17は、HDCPレシーバ18から暗号化データに対するHDCP認証情報が与えられる。キーROM19には、暗号化データの復号化のための認証鍵が格納されている。HDCP認証部17は、HDCPレシーバ18からのHDCP情報及びキーROM19からの認証鍵を用いて、HDCP認証を行う。これにより、HDCP認証部17は、暗号化データを復号化し、選択されたチャンネルの映像データ及び音声データを出力する。
【0021】
本実施の形態においては、データ認証ブロック11には、電源回路31から、スイッチ32を介して電源電圧が供給されるようになっている。スイッチ32は、例えばシステムの主電源のオン,オフに応じてオン,オフするものであり、例えばディスプレイ装置に適用した場合には、HDMIポートに接続されたソース機器からのTMDS信号に対する表示を行う場合にはオンとなって、データ認証ブロック11に対する電源投入を行うようになっている。
【0022】
なお、データ認証ブロック11内の各部には、クロック発振器29からデータ認証システムクロックが供給されるようになっている。クロック発振器29は、水晶発振子30の出力が与えられ、データ認証システムクロック及びEDIDシステムクロックを発生することができるようになっている。なお、クロック発振器29は、発振制御部36からの発振制御信号によって、EDIDシステムクロックを発振するか又は停止するかが制御されるようになっている。
【0023】
また、制御部20は、ソース機器にHDMI接続可能であることを知らせるホットプラグ信号(HOT PLUG)を生成して出力するようになっている。
【0024】
一方、EDIDブロック12は、EDIDメモリ部21、EDIDレシーバ22A〜22D、セレクタ23,25及びスイッチ24によって構成されている。EDIDメモリ部21は、EDID情報を記憶するための記憶領域を有し、例えばSRAM等によって構成することができる。図1の例では、EDIDメモリ部21は、4チャンネルのHDMIポートに対応した4つのEDID情報を記憶及び処理することができる。
【0025】
なお、この場合には、4つのEDID情報間の相違は、物理アドレスのみであり、1つのEDID情報と残りのEDID情報については物理アドレスの差分情報である物理アドレスが存在するアドレスデータ及び物理アドレスデータのみを記憶するようにしてもよい。この場合には、EDIDメモリ部21における必要な記憶容量を削減可能である。これにより、EDIDのチャンネル数が増えた場合でもEDIDメモリ部21の記憶容量の増加を抑制することができ、LSI設計上、EDIDのチャンネル数を増やすことが比較的容易となる。
【0026】
なお、EDIDメモリ部21をSRAMで構成することにより、EDID情報をレシーバ機器の機能・性能に応じて容易に書き換えることが可能となる。
【0027】
EDIDメモリ部21からソース機器に伝送するEDID情報はDDCのICバスによって伝送される。図1においては、チャンネルA〜Dの4チャンネルのICバスが設けられており、各ICバスは、図示しない4つのソース機器に接続可能である。チャンネルA〜Dの各ICバスは、夫々DDCのSCL(シリアルクロック)、SDA(シリアルデータ)、ACK(アクノレッジ)(SCL/SDA/ACK_DDC_A〜D)を伝送する。
【0028】
EDIDレシーバ22A〜22Dは、夫々端子T4〜T7を介して各チャンネルのICバスに接続されており、ソース機器からのEDID情報読出し要求に応じて、EDIDメモリ部21からのEDID情報を、ICバス介して接続されたソース機器に供給することができるようになっている。
【0029】
EDIDレシーバ22A〜22Dは、夫々ソース機器からHDCP認証情報を受信して、セレクタ23に供給することができる。セレクタ23は、制御部20からチャンネル選択信号が与えられて、HDCPレシーバ18に接続すべきICバスを選択する。セレクタ23によって、チャンネル選択信号に対応するソース機器からのHDCP認証情報がHDCPレシーバ18に供給される。
【0030】
本実施の形態においては、EDIDブロック12は、半導体集積回路装置10内に組み込まれたことから、DDCを介して供給されるDDC5Vを電源とすることはできない。本実施の形態においては、EDIDブロック12には、電源回路33から電源電圧が供給されるようになっている。電源回路33は、データ認証ブロックの動作状態に拘わらず、常時電源電圧を発生してEDIDブロック12に供給するようになっている。なお、EDIDブロック12には後述するクロック発振器29からEDIDシステムクロックが供給されて、各部が動作するようになっている。
【0031】
なお、電源回路33は、データ認証ブロック11及びEDIDブロック12以外の各部にも電源電圧を供給することができるようになっている。
【0032】
このように、本実施の形態においては、電源回路31,33を備えて、データ認証ブロック11とEDIDブロック12とで、独立して電源電圧を供給することを可能にしている。これにより、データ認証ブロック11の電源をオフにした状態であっても、EDIDブロック12の電源をオンにすることができ、ソース機器からアクセスがあった場合に、EDIDブロック12とソース機器との間でEDID情報の送受信を確実に行うことが可能である。
【0033】
更に、本実施の形態においては、ソース機器からEDIDブロック12に対してアクセスがない場合において、EDIDシステムクロックの供給を停止させることで、EDIDブロック12の電力消費を抑制することができるようになっている。
【0034】
本実施の形態においては、EDIDシステムクロックの供給の停止はMCU(microcontroller unit)28によって制御される。MCU28は、EDIDシステムクロックの供給の停止させることで、EDIDブロック12及び自己の動作を停止させることができるようになっている。MCU28は、例えばシステムの主電源がオフとなる場合、或いは自己が動作不要と判断した場合等には、EDIDシステムクロックの発振を停止させるための発振停止信号を発振制御部36に出力する。発振制御部36は、例えば主電源がオンになるとクロック発振器29の発振を開始させるための発振制御信号を出力すると共に、MCU28からの発振停止信号が入力されると、クロック発振器29のEDIDシステムクロックの発振を停止させるための発振制御信号をクロック発振器29に出力する。
【0035】
一方、EDIDシステムクロックの供給の開始は、主電源のオンだけでなく、DDCによって伝送されるDDC5Vをトリガとしても実行可能である。MCU28はEDIDシステムクロックが供給されることで、動作を再開する。即ち、本実施の形態においては、DDCによって伝送されるDDC5Vをトリガとして、MCU28の動作が再開されるようになっている。
【0036】
チャンネルA〜Dの4チャンネルのDDC5Vは、半導体集積回路装置10の端子T9を介してI/O制御部27に供給されると共に発振停止解除部35にも供給される。発振停止解除部35は、DDC5Vの伝送を検出することで、ソース機器からEDIDブロック12に対するアクセスの有無を判定する。発振停止解除部35は、DDC5Vを検出すると、発振停止を解除するための発振停止解除信号を発振制御部36に出力する。発振制御部36は発振停止解除信号が非アクティブな状態からアクティブな状態に遷移することを検出すると、クロック発振器29のEDIDシステムクロックの発振停止を解除して、発振させるための発振制御信号をクロック発振器29に出力する。即ち、MCU28及び発振停止解除部35によって、EDIDシステムクロックの発振及び停止が制御される。
【0037】
図2は発振停止解除部35の具体的な構成を示す回路図である。
【0038】
図2では、発振停止解除部35には、4つのチャンネルA〜DのDDC5Vが入力されるだけでなく、図1では図示を省略したパワーキー信号(Power key)、リモコン入力及びHDMI CEC(High Definition MultimediaInterface-Consumer Electronics Control)等も入力される。
【0039】
図2の発振停止解除部35は、9入力に対応しており、入力端I1〜I9に入力される9入力のいずれの信号によってもMCU28を再起動させるための発振停止解除信号を発生させることができる。なお、図2の例では発振停止解除信号がローレベル(以下、Lレベルという)からハイレベル(以下、Hレベルという)に遷移する場合に、EDIDシステムクロックの発振が再開されるようになっている。
【0040】
イネーブル制御記憶部42には、9入力のいずれの入力が使用されているかを示す発振イネーブル信号ENi(iは1〜9の整数)が記憶されている。例えば、図2の例のように入力端I5,I9に入力信号が供給されない場合には、イネーブル制御記憶部42には、ローレベル(以下、Lレベルという)の発振イネーブル信号EN5,EN9及びハイレベル(以下、Hレベルという)の発振イネーブル信号EN1〜EN4,EN6〜EN8が記憶される。発振イネーブル信号EN1〜EN9は夫々ANDゲートAND1〜AND9に供給される。これにより、ANDゲートAND1〜AND9のうちLレベルの発振イネーブル信号ENiが供給されるANDゲートの出力はLレベルとなる。
【0041】
ANDゲートAND1〜AND9の各他方入力端には、夫々排他的論理和回路EXOR1〜EXOR9の出力が与えられる。排他的論理和回路EXOR1〜EXOR9は各一方入力端に夫々入力端子I1〜I9に入力される信号が供給され、各他方入力端に極性制御記憶部41からの極性制御信号INV1〜INV9が供給される。
【0042】
入力端に入力される信号としては、ハイアクティブの信号だけでなく、ローアクティブの信号も考えられる。極性制御記憶部41は、入力端Iiに入力される信号がハイアクティブの信号である場合にはLレベルの極性反転信号INViを記憶し、入力端Iiに入力される信号がローアクティブの信号である場合にはHレベルの極性反転信号INViを記憶するようになっている。排他的論理和回路EXOR1〜EXOR9は、夫々2入力の排他的論理和演算を行う。これにより、排他的論理和回路EXOR1〜EXOR9の出力は、入力端Iiにアクティブな信号が入力されることによって、LレベルからHレベルに遷移するようになっている。
【0043】
ANDゲートAND1〜AND9の出力はOR回路OR1に供給される。OR回路OR1はANDゲートAND1〜AND9の出力のオア演算を行って、出力を発振停止解除信号として発振制御部36に出力するようになっている。即ち、発振停止解除部35は、入力端I1〜I9のいずれかに、アクティブな信号が入力されることによって、LレベルからHレベルに遷移するハイアクティブな発振停止解除信号を出力するようになっている。
【0044】
本実施の形態においては、MCU28は、入力端I1〜I9の入力を監視して、イネーブル制御記憶部42に、入力端I1〜I9の使用の有無を示す発振イネーブル信号ENiを書き込むと共に更新するようになっている。また、MCU28は、入力端I1〜I9に入力される入力信号がハイアクティブの信号であるかローアクティブの信号であるかに基づいて、極性制御記憶部41に極性制御信号INViを書き込むと共に更新するようになっている。
【0045】
ところで、入力端I1〜I9に入力される信号がパワーキー信号(Power key)やリモコン入力である場合には、これらの信号はシステムに応じた極性でアクティブになるので、これらの信号に対応する極性制御信号はシステムに応じた固定のレベルでよい。
【0046】
一方、DDC5Vを供給するケーブルは、MCU28が動作中であるか停止中であるかに拘わらず端子T9に挿抜されることがあり、MCU28の停止中にDDC5Vが供給されなくなることもある。一方、MCU28はこれらのケーブルの挿抜に際して動作する必要性がある。例えば、ケーブルに接続されたソース機器と端子との対応をケーブルの挿抜毎に検出するために、MCU28が動作する必要がある。
【0047】
ところが、DDC5Vに対応した極性制御信号が常にLレベルの信号である場合には、DDC5VがLレベルからHレベルに変化したこと、即ち、ケーブルを介してDDC5Vが伝送されたことのみしか検出することができない。そこで、本実施の形態においては、MCU28は、自己が動作を停止する直前において、入力端Iiに接続されるケーブルを介してDDC5Vが供給されているか否かに応じて、極性記憶部41に記憶させる極性制御信号INViを更新するようになっている。
【0048】
即ち、MCU28は、DDC5Vが供給されている場合に、自己の動作を停止させるときには、停止させる直前に、極性制御信号をHレベルにし、その他の場合には自己が停止する直前に、極性制御信号をLレベルにするようになっている。
【0049】
クロック発振器29は、発振制御信号に基づいてEDIDシステムクロックの発振又は発振停止を行う。クロック発振器29からのEDIDシステムクロックは、発振安定回路37に供給される。発振安定回路37は、クロック発振器29からのクロックをMCU28に供給すると共に、MCU28からのデータに基づいて、EDIDシステムクロックが安定的に発振されているか否かを判定する。発振安定回路37は、クロック発振器29からのEDIDシステムクロックの発振が安定すると、このEDIDシステムクロックをEDIDブロック12に供給するようになっている。
【0050】
発振安定回路37は、発振開始直後において、発振が安定するまで、EDIDブロックに対するEDIDシステムクロックを供給しないディレイ機能を有することになる。これにより、発振起動時、再開時の不安定なシステムクロックがEDIDブロック12に供給されることを阻止して、EDIDブロック12の各回路が誤動作をするを防止することができる。
【0051】
このように、クロック発振器29からのEDIDシステムクロックは、4チャンネルのDDC5Vの検出結果に基づいて発振の再開が制御される。即ち、MCU28は、自己の動作が不要と判断した場合には発振停止信号を出力して発振制御部36の発振を停止させる。これにより、MCU28を停止させて消費電力を抑制する。一方、ソース機器が接続されてDDC5Vが伝送されてきた場合には、EDIDシステムクロックの発振を再開させて、MCU28の動作を再開させる。
【0052】
I/O制御部27は、入力されたDDC5Vをセレクタ25を介して制御部20に出力する。セレクタ25は、EDIDメモリ部21からのチャンネル選択信号に基づくチャンネルのDDC5Vを選択して制御部20に出力する。
【0053】
制御部20は、上述したように、ホットプラグ信号を出力する。スイッチ24は、EDIDメモリ部21からのチャンネル選択信号に基づいて、選択されたチャンネルのホットプラグ信号を選択してI/O制御部26に出力する。I/O制御部26は、EDIDメモリ部21に制御されて、ホットプラグ信号を端子T8から対応するチャンネルを介して対応するソース機器に出力する。
【0054】
また、MCU28は、内部バス34を介して、EDIDメモリ部21に対する各EDID情報の書き込みを制御することができるようになっている。なお、図1では内部バス34を利用してEDID情報を書き込む例を示したが、ICバス等の他のインタフェースを利用して書き込みを行うことも可能である。なお、EDIDメモリ部21をSRAMで構成した場合には、EDIDブロック12に電源電圧が供給される度に、MCU28によってEDIDメモリ部21は初期設定される。
【0055】
更に、MCU28は、図示しないICバスを介してチャンネル選択信号を伝送して、セレクタ25を制御するようにしてもよい。また、MCU28は、図示しないICバスを介してチャンネル選択信号を伝送して、スイッチ24を制御するようにしてもよい。また、MCU28は、制御部20から出力されるホットプラグ信号とは無関係に、ホットプラグ信号を出力するようにしてもよい。
【0056】
また、本実施の形態においては、HDMI入力用のスイッチ13が設けられている。スイッチ13は、2入力のTMDS信号の一方を選択して物理層部14Cに供給するようになっている。MCU28は端子T10を介してスイッチ13に制御信号を供給して、スイッチ13の選択を制御するようになっている。外付けのスイッチ13を用いて、入力されるTMDS信号を選択することで、データ認証ブロックの入力数よりも多い入力に対応可能である。
【0057】
次に、このように構成された実施の形態の動作について図3のタイミングチャート及び図4の説明図を参照して説明する。図3(a)は発振停止解除部35の入力端に供給されるDDC5Vを示し、図3(b)はMCU28の動作状態を示し、図3(c)極性制御記憶部41への書き込みを示している。なお、図3の「動」はMCU28が動作している状態を示し、「停」はMCU28が動作を停止している状態を示している。また、図4は極性制御信号記憶部41及びイネーブル制御記憶部42の記憶内容の一例を示している。
【0058】
いま、図1の半導体集積回路装置10が組み込まれたディスプレイ装置において、HDMIポートに接続されたソース機器からの映像を表示させるものとする。ここで、HDMIポートに接続されたソース機器の電源をオンにするものとする。ディスプレイ装置の主電源をオンにすることによって、スイッチ32もオンとなり、電源回路31からの電源電圧がデータ認証ブロック11に供給される。また、電源回路33の電源電圧もEDIDブロック12及び他の回路部分に供給される。
【0059】
発振制御部36は、主電源のオンによって、クロック発振器29にデータ認証システムクロック及びEDIDシステムクロックを発生させる。これにより、MCU28、データ認証ブロック11及びEDIDブロック12が動作を開始する。
【0060】
制御部20はHDMI接続可能であることを知らせるホットプラグ信号を発生し、スイッチ24及びI/O制御部26を介して対応するソース機器に出力する。EDIDレシーバ22A〜22Dは、ソース機器からの各チャンネルA〜DのICバスを介して入力されたEDID情報の読み出し要求に従って、EDIDメモリ部21に格納されているEDID情報を読出して対応するソース機器に出力する。これにより、ソース機器は、レシーバ機器の情報を取得し、機器間での認証が行われる。
【0061】
チャンネル選択信号によって指定された機器からのDDC5Vはセレクタ25を介して制御部20に供給される。また、チャンネル選択信号によって指定されたソース機器からのHDCP認証情報は、セレクタ23を介してHDCPレシーバ18に供給される。
【0062】
チャンネル選択信号によって指定された機器からのTMDS信号は、物理層部14A〜14Cによってデジタル信号に変換された後セレクタ15によって選択されてデマルチプレクサ16に供給される。デマルチプレクサ16は、入力された信号から映像データ及び音声データ等を分離してHDCP認証部17に供給する。
【0063】
HDCP認証部17は、HDCPレシーバ18からHDCP認証情報が与えられ、キーROM19から認証鍵が与えられて、HDCP認証を行う。これにより、デマルチプレクサ16からの暗号化データは復号化され、HDCP認証部17から映像データ及び音声データが出力される。こうして、レシーバ機器であるディスプレイ装置において、ソース機器からの映像の映出が可能である。
【0064】
ここで、MCU28が自己の動作が不要と判断するものとする。この場合には、MCU28は発振停止信号を発振制御部36に出力する。これにより、発振制御信号36はクロック発振器29に発振を停止させる。即ち、この場合には、MCU28及びEDIDブロック12には、電源回路33からの電源電圧は供給されているが、クロック発振器29からのEDIDシステムクロック供給されていない。従って、MCU28及びEDIDブロック12は動作を停止し、消費電力が削減される。
【0065】
この場合においても、EDIDブロック12及び他の回路部分には、電源回路33から電源電圧が供給されている。ここで、HDMIポートに接続されたソース機器の電源がオンとなって、4つのチャンネルA〜DのいずれかのDDC5Vが半導体集積回路装置10の発振停止解除部35に伝送されるものとする。
【0066】
例えば、チャンネルAのDDC5Vが発振停止解除部35に供給されるものとする。発振停止解除部35の排他的論理和回路EXOR1は、入力端I1に供給されるDDC5Vと極性制御記憶部41に記憶されている極性制御信号との排他的論理和演算を行う。いま、図4(a)に示すように、排他的論理和回路EXOR1に供給される極性制御信号がLレベルであるものとすると、排他的論理和回路EXOR1は、入力端I1のレベルがLレベルからHレベルになることによって、出力がHレベルとなる。これにより、ANDゲートAND1の出力もHとなる。OR回路OR1はANDゲートAND1の出力がHレベルになることによってLレベルからHレベルに遷移する発振停止解除信号を発生する。
【0067】
この発振停止解除信号によって、発振制御部36は、クロック発振器29のEDIDシステムクロックの発振を再開させる。クロック発振器29からのクロックは発振安定回路37を介してMCU28に供給されて、MCU28は動作を開始する。また、発振安定回路37からのEDIDシステムクロックはEDIDブロック12に供給されて、EDIDブロック12の動作が再開される。
【0068】
即ち、ソース機器からのDDC5Vが端子T9を介して発振停止解除部35に供給されることで、EDIDシステムクロックの供給を再開して、MCU28を再起動することが可能である。なお、この場合にはEDIDブロック12の動作も再開され、ソース機器との間でEDID情報の授受による機器認証を可能にすることができる。
【0069】
ところで、MCU28が動作停止時に、ソース機器からのケーブルが取り外されてDDC5Vの供給が停止することが考えられる。この場合にも、MCU28は動作を再開させた方がよい場合がある。そこで、本実施の形態においては、MCU28は動作停止直前のタイミングにおいて、図3(c)に示すように、DDC5Vが供給されている入力端に対応する極性制御信号をLレベルからHレベルに変化させるように極性記憶部41への書き込みを行う。これにより、図4(b)に示すように、入力端I1〜I4に対応する極性制御信号がHレベルとなる。
【0070】
MCU28の動作停止時に、ソース機器からのケーブルが取り外されてDDC5Vの供給が停止するものとする。例えば、端子I2へのDDC5Vの供給が停止するものとする。そうすると、排他的論理和回路EXOR2の出力は、LレベルからHレベルに変化し、ANDゲートAND2の出力がLレベルからHレベルに遷移する。これにより、OR回路OR1からの発振停止解除信号がLレベルからHレベルに遷移する。こうして、クロック発振器29の発振が再開されて、MCU28が動作を開始する。
【0071】
このMCU28の動作が、図3に示すように、再度停止するものとする。この場合においては、MCU28は動作停止直前のタイミングにおいて、図3(c)に示すように、DDC5Vが供給される可能性がある入力端に対応する極性制御信号をHレベルからLレベルに変化させるように極性記憶部41への書き込みを行う。例えば、図4(a)に示すように、入力端I1〜I4に対応する極性制御信号がLレベルとなる。
【0072】
次いで、ソース機器からのDDC5Vの供給が再開されるものとする。例えば、入力端I2へのDDC5Vの供給が再開されるものとする。そうすると、排他的論理和回路EXOR2の出力は、LレベルからHレベルに変化し、ANDゲートAND2の出力がLレベルからHレベルに遷移する。これにより、OR回路OR1からの発振停止解除信号がLレベルからHレベルに遷移する。こうして、クロック発振器29の発振が再開されて、MCU28が動作を開始する。
【0073】
即ち、発振停止解除部35は、DDC5Vの供給が開始されるか否かを検出し、この検出結果に基づいて発振停止解除信号を発振制御部36に出力する。これにより、MCU28及びEDIDブロック12の動作を再開させることができる。
【0074】
このように本実施の形態においては、MCU及びEDIDブロックへのクロックを停止させることで、MCU及びEDIDブロックの電力消費を抑制することができる。また、DDC5Vの供給が開始されるか否かを検出することでシステムクロックの発生を再開させて、MCU及びEDIDブロックの動作を再開させる。これにより、EDIDブロック及びデータ認証ブロックを集積回路化した場合でも、MCU及びEDIDブロックの動作停止及び停止解除を制御することができ、電力消費の削減が可能である。
【符号の説明】
【0075】
10…半導体集積回路装置、11…データ認証ブロック、12…EDIDブロック、21…EDIDメモリ部、28…MCU、29…クロック発振器、31,33…電源回路、35…発振停止解除部、36…発振制御部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
チップ上に構成され、ソース機器との間で機器間の認証を行うための機器間認証部と、
前記チップ上に構成されて前記機器間認証部を制御するものであって、発振部からのシステムクロックが供給されて動作すると共に前記発振部の発振停止を指示可能な制御部と、
入力端に前記ソース機器からのDDC5Vが供給されるか否かに基づいて、前記発振部の発振を再開させるための発振停止解除信号を出力する発振停止解除部と
を具備したことを特徴とする半導体集積回路装置。
【請求項2】
前記発振停止解除部は、複数の入力端を備え、各入力端に前記DDC5Vが供給されるか否かを検出可能である
ことを特徴とする請求項1に記載の半導体集積回路装置。
【請求項3】
前記発振停止解除部は、複数の入力端を備え、前記DDC5V以外の入力に基づいて前記発振停止解除信号を出力可能である
ことを特徴とする請求項1に記載の半導体集積回路装置。
【請求項4】
前記発振停止解除部は、前記入力端に供給される信号のアクティブな極性に基づく極性制御信号を記憶する極性制御記憶部を有する
ことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1つに記載の半導体集積回路装置。
【請求項5】
前記制御部は、前記発振部に発振停止を指示する前に前記極性制御信号を変更する
ことを特徴とする請求項4に記載の半導体集積回路装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2010−252107(P2010−252107A)
【公開日】平成22年11月4日(2010.11.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−100216(P2009−100216)
【出願日】平成21年4月16日(2009.4.16)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】