半月板組織を修復するための方法及びデバイス
【課題】半月板内の断裂を修復するための方法及びデバイスを提供する。
【解決手段】一対の定着部材のそれぞれは、縫合糸の長さにより一緒に結合された、予め形成した結び目構成を含む。定着部材は半月板組織上に縫合糸の長さが断裂をまたがるように配置され、結び目構成が固定用結び目を形成するように拡大され、縫合糸の長さが短縮されて断裂を閉鎖する。
【解決手段】一対の定着部材のそれぞれは、縫合糸の長さにより一緒に結合された、予め形成した結び目構成を含む。定着部材は半月板組織上に縫合糸の長さが断裂をまたがるように配置され、結び目構成が固定用結び目を形成するように拡大され、縫合糸の長さが短縮されて断裂を閉鎖する。
【発明の詳細な説明】
【開示の内容】
【0001】
本発明は一般に、半月板組織を修復するためのデバイス、システム及び方法、特に、縫合糸及び固定用結び目を使用するデバイス、システム及び方法に関する。
【0002】
〔発明の背景〕
半月板は、主に膝内の大腿骨と脛骨との間に位置する緩衝物質からなる一対のC形状の円盤を含む。半月板内に断裂が生じる場合があり、これらの外傷の修復は、特に、修復のために皮膚内の小さい開口を介して半月板にアクセスする関節鏡又は半開放処置(semi-open procedure)においては未だに課題である。現在の修復方法は、断裂を横切る、ある長さの縫合糸により接続される第1の固体インプラントと第2の固体インプラントを送達して断裂を閉鎖し、組織を一緒に増殖させることを含む。一般に、これらの方法は、大腿骨に向いた半月板の表面上にインプラント又は結び目を使用し、このことは使用中に表面が支持する荷重により完全に望ましいものではない。
【0003】
本発明は、これら及び他の限界を克服するよう努め、半月板組織の損傷を修復するための改良されたデバイス及び方法を提供する。
【0004】
〔発明の概要〕
本発明による半月板修復装置は、縫合糸の長さに結合した第1及び第2の定着部材を含み、その縫合糸の長さは、第1の定着部材と第2の定着部材との間で縫合糸の長さを短縮するいくつかの手段と共に、第1の定着部材及び第2の定着部材に結合している。各定着部材は、縫合糸の長さの一部分に沿った予め形成した結び目構成を含み、その結び目構成は、縫合糸の長さに沿って最大直径を有し、かつ前記最大直径の少なくとも3倍大きい最小直径を有する固定用結び目に再構成されることができる。
【0005】
好ましくは、半月板修復装置は無菌であり、細菌不透過性の閉鎖容器(enclosure)内に包装され、また好ましくは生物学的に適合性の材料から形成される。
【0006】
本発明の一態様において、定着部材の一方又は両方は、縫合糸の長さから形成される。あるいは、定着部材の一方又は両方は、縫合糸の長さと編み合わせられた(interwined)別個の縫合糸の部分を含んでもよい。
【0007】
好ましくは、縫合糸の長さに関連した、縫合糸の長さを短縮する手段は、縫合糸の長さのループ内に形成された固定滑り結び目を含み、その結び目によりループを短縮する。本発明はループに制限される必要はなく、滑り結び目を通過する縫合糸の単一の長さ、又は摺動及び固定構成を使用してもよい。好ましくは、そのような滑り結び目は定着部材の1つに位置し、縫合糸の長さの一部分を、予め形成した第1の結び目構成及び予め形成した結び目第2の構成のうち一方に通過させること(passing a portion of the suture length through of the first preformed knot configuration and second preformed knot configuration)により形成され得る。大腿骨に接触する部分等の大きい荷重を支持する表面から離れた半月板の表面上に定着部材を配置する際、これは滑り結び目も荷重支持表面から除去する。
【0008】
好ましくは、固定用結び目の最小直径は、予め形成した結び目構成の最大直径の少なくとも5倍大きく、より好ましくは少なくとも10倍大きい。
【0009】
使用のための指示書が含まれることが好ましく、使用は、定着部材の一方を半月板内の断裂に隣接した半月板上の位置に配置する工程と、他方の定着部材を断裂に隣接した半月板上の異なる位置に配置する工程と、断裂を横切って縫合糸の長さを通過させる工程と、縫合糸の長さを短縮して断裂を閉鎖する工程と、を含む。
【0010】
本発明による半月板内の断裂の修復方法は、予め形成した第1の結び目構成を含み、かつ縫合糸の長さに結合した第1の定着部材を、半月板内の断裂に隣接した第1の位置に配置する工程と、第1の定着部材から離間した縫合糸の長さに結合した、予め形成した第2の結び目構成を含む第2の定着部材を、半月板内の断裂に隣接した第2の位置に配置する工程であって、ここで縫合糸の長さは半月板を通過し、かつ断裂を横切っている、工程と、予め形成した第1の結び目構成を第1の固定用結び目に拡大する工程と、予め形成した第2の結び目構成を第2の固定用結び目に拡大する工程と、第1の定着部材と第2の定着部材との間で縫合糸の長さを短縮して、断裂を閉鎖する工程と、を含む。
【0011】
好ましくは、第1の定着部材と第2の定着部材との間の縫合糸の長さの一部分は、滑り結び目を有するループを含み、第1の定着部材と第2の定着部材との間で縫合糸の長さを短縮する工程は、少なくとも部分的にループを閉鎖するように滑り結び目を摺動させる工程を含む。好ましくは、滑り結び目は、第1の定着部材又は第2の定着部材のうち一方に配置され、滑り結び目を摺動させる工程の間、その位置から移動しない。
【0012】
半月板は、大腿骨に向いた第1の表面と、大腿骨から離れて外側又は内側に向いた第2の表面とを有し、好ましくは第1の位置及び第2の位置は、第2の表面上に選択される。したがって、これは一般に、第1の表面の一部分を通過する縫合糸の長さの一部分を使用する。
【0013】
好ましくは、定着部材のうち1つ以上を半月板上のその位置に配置する工程は、中空針を、半月板を通して第1の表面から第2の表面に通過させる工程と、それらの(sucht)定着部材をその位置に放出する工程とを含む。
【0014】
好ましくは、予め形成した結び目構成を拡大する工程は、結び目構成から延びる縫合糸尾部を、予め形成した結び目に対して引っ張る工程を含む。好ましくは、中空針に関連した当接部が、縫合糸尾部を引っ張る間、予め形成した第1の結び目に対抗して配置される。また好ましくは、縫合糸尾部は縫合糸の長さを含む。
【図面の簡単な説明】
【0015】
本発明は、以下の詳細な説明を付属の図面と併せ読むことでより完全に理解されよう。
【図1a】本発明による縫合糸固定デバイス及びその留置の実施形態を示す図。
【図1b】本発明による縫合糸固定デバイス及びその留置の実施形態を示す図。
【図1c】本発明による縫合糸固定デバイス及びその留置の実施形態を示す図。
【図1d】本発明による縫合糸固定デバイス及びその留置の実施形態を示す図。
【図2a】捻られた編組縫合糸頭部を含む、本発明による縫合糸定着デバイスの非摺動実施形態を示す図。
【図2b】捻られた編組縫合糸頭部を含む、本発明による縫合糸定着デバイスの非摺動実施形態を示す図。
【図2c】捻られた編組縫合糸頭部を含む、本発明による縫合糸定着デバイスの非摺動実施形態を示す図。
【図2d】捻られた編組縫合糸頭部を含む、本発明による縫合糸定着デバイスの非摺動実施形態を示す図。
【図3a】かぎ針編み縫合糸頭部を含む、本発明による縫合糸定着デバイスの非摺動実施形態を示す図。
【図3b】かぎ針編み縫合糸頭部を含む、本発明による縫合糸定着デバイスの非摺動実施形態を示す図。
【図3c】かぎ針編み縫合糸頭部を含む、本発明による縫合糸定着デバイスの非摺動実施形態を示す図。
【図4a】本発明による縫合糸固定デバイスの摺動実施形態を示す図。
【図4b】本発明による縫合糸固定デバイスの摺動実施形態を示す図。
【図4c】本発明による縫合糸固定デバイスの摺動実施形態を示す図。
【図4d】本発明による縫合糸固定デバイスの摺動実施形態を示す図。
【図5a】互いに貫通し合う縫合糸を含む、本発明による縫合糸固定デバイスの実施形態を示す図。
【図5b】互いに貫通し合う縫合糸を含む、本発明による縫合糸固定デバイスの実施形態を示す図。
【図5c】互いに貫通し合う縫合糸を含む、本発明による縫合糸固定デバイスの実施形態を示す図。
【図5d】互いに貫通し合う縫合糸を含む、本発明による縫合糸固定デバイスの実施形態を示す図。
【図6a】膝内の半月板の修復に適用可能な、本発明による縫合糸固定デバイスの実施形態を示す図。
【図6b】膝内の半月板の修復に適用可能な、本発明による縫合糸固定デバイスの実施形態を示す図。
【図7a】図6a及び図6bに示した固定デバイスを組織に送達するのに使用し得る、本発明の送達ツールの実施形態を示す図。
【図7b】図6a及び図6bに示した固定デバイスを組織に送達するのに使用し得る、本発明の送達ツールの実施形態を示す図。
【図8a】屈曲した送達針を含む、本発明の送達ツールの実施形態を示す図。
【図8b】屈曲した送達針を含む、本発明の送達ツールの実施形態を示す図。
【図9a】膝内の断裂した半月板の修復のための、本発明の外科修復処置の実施形態を示す図。
【図9b】膝内の断裂した半月板の修復のための、本発明の外科修復処置の実施形態を示す図。
【図9c】膝内の断裂した半月板の修復のための、本発明の外科修復処置の実施形態を示す図。
【図9d】膝内の断裂した半月板の修復のための、本発明の外科修復処置の実施形態を示す図。
【図9e】膝内の断裂した半月板の修復のための、本発明の外科修復処置の実施形態を示す図。
【図9f】膝内の断裂した半月板の修復のための、本発明の外科修復処置の実施形態を示す図。
【図9g】膝内の断裂した半月板の修復のための、本発明の外科修復処置の実施形態を示す図。
【図9h】膝内の断裂した半月板の修復のための、本発明の外科修復処置の実施形態を示す図。
【図9i】膝内の断裂した半月板の修復のための、本発明の外科修復処置の実施形態を示す図。
【図9j】膝内の断裂した半月板の修復のための、本発明の外科修復処置の実施形態を示す図。
【図9k】膝内の断裂した半月板の修復のための、本発明の外科修復処置の実施形態を示す図。
【図10a】単一位置固定及びデイジーチェーン(daisy-chaining)固定位置のための、本発明の送達ツールの実施形態を示す図。
【図10b】単一位置固定及びデイジーチェーン(daisy-chaining)固定位置のための、本発明の送達ツールの実施形態を示す図。
【図11a】本発明のデイジーチェーン固定手順の実施形態を示す図。
【図11b】本発明のデイジーチェーン固定手順の実施形態を示す図。
【図11c】本発明のデイジーチェーン固定手順の実施形態を示す図。
【図11d】本発明のデイジーチェーン固定手順の実施形態を示す図。
【図11e】本発明のデイジーチェーン固定手順の実施形態を示す図。
【図11f】本発明のデイジーチェーン固定手順の実施形態を示す図。
【図11g】本発明のデイジーチェーン固定手順の実施形態を示す図。
【図11h】本発明のデイジーチェーン固定手順の実施形態を示す図。
【図11i】本発明のデイジーチェーン固定手順の実施形態を示す図。
【図12a】硬組織内への本発明の縫合糸固定デバイスの送達の実施形態を示す図。
【図12b】硬組織内への本発明の縫合糸固定デバイスの送達の実施形態を示す図。
【図12c】硬組織内への本発明の縫合糸固定デバイスの送達の実施形態を示す図。
【図12d】硬組織内への本発明の縫合糸固定デバイスの送達の実施形態を示す図。
【図12e】硬組織内への本発明の縫合糸固定デバイスの送達の実施形態を示す図。
【図13】本発明の縫合糸固定デバイスを受容するための骨内の皮質下に拡張した孔の実施形態を示す図。
【図14a】本発明の送達デバイスの代替的な実施形態を示す図。
【図14b】本発明の送達デバイスの代替的な実施形態を示す図。
【図14c】本発明の送達デバイスの代替的な実施形態を示す図。
【図14d】本発明の送達デバイスの代替的な実施形態を示す図。
【図15a】縫合糸頭部が中間固定インプラントと共に使用される、本発明の縫合糸固定システムの実施形態を示す図。
【図15b】縫合糸頭部が中間固定インプラントと共に使用される、本発明の縫合糸固定システムの実施形態を示す図。
【図15c】縫合糸頭部が中間固定インプラントと共に使用される、本発明の縫合糸固定システムの実施形態を示す図。
【図15d】縫合糸頭部が中間固定インプラントと共に使用される、本発明の縫合糸固定システムの実施形態を示す図。
【図16a】縫合糸頭部が中間固定インプラントの内部に留置される、本発明の固定システムの別の実施形態を示す図。
【図16b】縫合糸頭部が中間固定インプラントの内部に留置される、本発明の固定システムの別の実施形態を示す図。
【図16c】縫合糸頭部が中間固定インプラントの内部に留置される、本発明の固定システムの別の実施形態を示す図。
【図16d】縫合糸頭部が中間固定インプラントの内部に留置される、本発明の固定システムの別の実施形態を示す図。
【0016】
〔詳細な説明〕
本明細書で開示するデバイス、システム及び方法の構造、機能、製造、及び使用の原理が総括的に理解されるように、特定の例示的実施形態について、これから説明することにする。当業者は、本明細書で明確に記載され、付属の図面に示されるデバイス及び方法が、非限定の例示的な実施形態であり、本発明の範囲が、特許請求の範囲のみにより定義されることを認識するであろう。ある実施形態に関連して例示又は説明した特徴は、他の実施形態の特徴と組み合わされてもよい。こうした改変及び変形は、本発明の範囲内に含まれるものとする。図面は一般に概略的であり、当尺で図示されず、本発明の特定の実施形態の記載を容易にすることのみを意図することに留意するべきである。
【0017】
本発明は一般に、縫合糸を組織に固定するためのデバイス、システム及び方法を提供する。用語「組織」は、軟骨、皮膚、筋肉、骨、腱、靱帯及び器官を含むが、これらに限定されない任意の天然の身体組織、並びに縫合糸及び固定デバイスを用いて天然の身体組織を修復し又は組織に取り付けられ得るグラフト又は他の補綴具等の補綴材料を指すように本明細書において使用される。本明細書には、医療デバイスとして使用され得る外科縫合糸又は任意の細長い、糸様の材料(以後、「縫合糸」)から実質的に製作された縫合糸固定デバイスの実施形態が開示されている。縫合糸は、単一の繊維又は複数の編み合わせられた繊維を含んでもよく、また非限定的に、実質的に円形の断面、及び扁平なリボン又はテープ様の断面を含む任意の断面形状を有してもよい。更に、縫合糸は、非吸収性、生体吸収性、又は部分的に生体吸収性であってもよい。本発明の意図又は範囲から逸脱することなく、縫合糸材料は、潤滑性又は結び目保持能力を向上させるため、薬物を溶出するため、又は前述した若しくは他の治療目的の任意の組み合わせのために、機械的又は化学的に変更、処理又は被覆されてもよい。更に、本発明による固定デバイスの様々な実施形態は、完全に縫合糸から構成され得るが、本発明の意図及び範囲から逸脱することなく、例えばクリップ又は接着剤等の更なる構成要素を含んでもよい。
【0018】
本発明による固定デバイスは、一般に、長手方向に細長い、小さい断面の当初構成を有する固定部材(以後、縫合糸頭部)から延びる、縫合糸の1つ以上のセグメント(以後、縫合糸尾部)を含む。留置後、縫合糸頭部は再構成(圧潰)されて、それに応じて縫合糸頭部よりも大きい断面を有する、長手方向に圧縮された構成(固定用結び目)となる。即ち、固定用結び目は、より大きい断面積と、縫合糸頭部の対応する寸法よりも大きい平均断面寸法(以後、断面寸法)を有する。いくつかの実施形態において、組織へ送達されるために、縫合糸固定デバイスは、固定用結び目の断面寸法よりも実質的に小さい外径を有する中空の(cannulated)送達針内に配置される。一般に、縫合糸頭部の固定用結び目への圧潰は、1つ以上の縫合糸尾部の特定の1つ以上(圧潰尾部)を、縫合糸頭部に対して引っ張ることにより達成される。
【0019】
図1aは、本発明による縫合糸固定デバイス100の実施形態を概略的に示す。図1aに未留置状態で示される縫合糸固定デバイス100は、第1の頭部末端104、第2の頭部末端106、第1の頭部末端と第2の頭部末端との間の頭部長さ108、及び頭部長さ108よりも短い未留置断面寸法110を有する縫合糸頭部102を含む。第1の縫合糸尾部112は、実質的に第1の頭部末端104から延びるのが見える。一実施形態において、第2の縫合糸尾部114は、実質的に第2の頭部末端106から延びる。更なる実施形態において、第2の縫合糸尾部114は、第2の頭部末端106から延びる縫合糸の閉鎖ループを含む。別の実施形態では、2つ以上の縫合糸尾部が、第1の頭部末端104及び第2の頭部末端106の一方又は両方から延びる。
【0020】
縫合糸頭部102は、長手方向に延びた、予め形成した結び目構成を含み、この構成により本発明者らは、任意の、編組され、かぎ針編みされ、織り合わされ、結ばれ又は別様に構成された縫合糸のセクションを意味し、そのセクションは、組織に対して留置及び定着されるために、容易に圧潰されて、本明細書で固定用結び目と称する、長手方向に圧縮された拡張断面形態となり得る。
【0021】
縫合糸頭部102は、組織118内に又はその組織を通して送達されるために、中空送達針116内に配置されているのが見える。送達針116は、遠位送達末端120、外径122及び内径124を有する。更に、送達針116は、その長さに沿って真直又は屈曲していてもよい。一実施形態において、送達末端120は、組織貫通地点126を含む。別の実施形態では(図示せず)、送達末端120は尖っていない。内部に長手方向のピストン空洞130を有するピストン128が、送達針116内にて縫合糸頭部102の近位に摺動可能に配置されているのが見える。第1の縫合糸尾部112は、縫合糸頭部102からピストン空洞130を介して近位方向に通過するのが見える。
【0022】
以後図1bを参照すると、一実施形態において、縫合糸頭部102は、ピストン128を縫合糸頭部102に対して遠位方向に押して縫合糸頭部102を送達針116から排出することにより、送達針116から組織118へ送達される。ピストン128は、排出された縫合糸頭部102に当接しているのが見える。一実施形態において、ピストン128は、ピストン128の送達針116内での長手方向の位置を制御する近位取っ手(図示せず)に結合されている。代替的な実施形態では、縫合糸頭部102は、第2の縫合糸尾部114を遠位方向に引くことにより送達針116から送達される。一実施形態において、針116は真直である。別の実施形態では、針116は屈曲し、ピストン128は、ピストン128が曲線に沿って摺動して縫合糸頭部102を針116から送達するよう可撓性を有する。縫合糸頭部102は実質的に縫合糸を含むため、縫合糸頭部もまた、屈曲した針を通って摺動するよう可撓性を有する。
【0023】
以後図1cを参照すると、縫合糸頭部102の針116からの送達後、又は送達と同時に、縫合糸頭部102は圧潰されて、固定用結び目136を形成する。一実施形態において、縫合糸頭部102は、縫合糸頭部102がピストン128によって針116の遠位端120から完全に押し出された後、第1の縫合糸尾部112(圧潰尾部)を縫合糸頭部102に対して引っ張る138ことにより、圧潰されて固定用結び目136となる。縫合糸頭部102に当接するピストン128は、第1の縫合糸尾部112の縫合糸頭部102に対する引っ張り138の逆向きの力を提供し、縫合糸頭部102を圧潰して固定用結び目136とする。
【0024】
用語「圧潰尾部」は、本明細書にて、縫合糸頭部に対して引っ張られた際に、縫合糸頭部を圧潰して固定用結び目とするのに使用され得る任意の縫合糸尾部を記載するよう使用される。固定用結び目136は、頭部長さ108よりも短い結び目長さ140を有し、それに応じて、元々縫合糸頭部102を含む縫合糸の容積により実質的に決定される増大された断面142を有する。
【0025】
別の実施形態では、縫合糸頭部102が針116の遠位端120から排出されるのと同時に、第1の縫合糸尾部112が引っ張られて、縫合糸頭部が針116から出現するにつれて縫合糸頭部102を圧潰して固定用結び目136とする。この実施形態では、留置中、縫合糸頭部102の完全な頭部長さ108が送達針116から遠位方向に延びず、代わりに結び目長さ140のみ延びる。この、より浅い延長は、その遠位方向に位置するが送達針の遠位端の近位に位置する、組織に対する外科手術による外傷を最小にする固定デバイス100の留置を提供することができる。
【0026】
図1dは、完全に留置された固定デバイス144を示し、針116が除去されているのが見え、固定用結び目136が組織118に対して固定され、第1の縫合糸尾部112を組織若しくは他の一固定デバイスに対して接続可能なように、又は組織に固定された縫合糸が必要な任意の他の外科工程のために残している。特定の外科修復の要求に従って、固定用結び目136は、図1dに示すように組織壁の後部、又はバルク組織内、例えば縫合糸を骨に固定するために骨内に留置されてもよい。別の実施形態では、縫合糸により相互接続された2つ以上の縫合糸頭部が、2つ以上の組織固定地点を必要とする外科手術のために針内に配置される。
【0027】
固定用結び目136は、頭部長さ108よりも短い結び目長さ140を有し、それに応じて未留置断面寸法110よりも大きい、また針116の外径122よりも大きい留置断面寸法142を有する。一実施形態において、固定用結び目136は無定形であり、即ち縫合糸頭部102から固定用結び目136へ圧潰した後、不完全に予め決められた外形を有する。一般に、本発明の様々な実施形態による縫合糸頭部から形成される固定用結び目は、無定形である。縫合糸頭部102も固定用結び目136も完全な所定の形状を有さないが、いずれか一方は長さと、その長さを横断する直径とを有するものとして合理的に記載することができ、直径は、長さを横断する平均断面寸法によりほぼ定義される。
【0028】
非限定的な例として、一実施形態では、頭部長さ108は未留置断面寸法110の約10〜15倍であり、留置断面寸法142は未留置断面寸法110の3〜10倍である。縫合糸−固定デバイス100は、実質的に、縫合糸の単一の連続した長さ、又は縫合糸の複数の結合した長さから製作されてもよい。複数の結合した長さは、単一の種類の縫合糸、又は縫合糸の種類及び寸法の組み合わせを含んでもよい。更に、1つ以上の縫合糸尾部を固定用結び目に固定的に結合し、又は固定用結び目を通して摺動可能に結合してもよい。一実施形態において、針116の内径124は、縫合糸頭部を構成する縫合糸材料の直径の約6倍未満である。別の実施形態では、針116の内径124は、縫合糸頭部を構成する縫合糸材料の直径の約4倍未満である。
【0029】
本発明による固定デバイスにおいて、縫合糸頭部の設計は、全体の設計並びに送達及び留置の手順の詳細を実質的に決定する。縫合糸頭部の設計は、留置された固定用結び目の引き抜き強度、アンカー密度、即ち所定の断面寸法を有する固定用結び目内の縫合糸材料の質量も決定する。本発明の範囲内で、多数の固定デバイスの設計が可能である。本明細書の非限定的な説明を目的として、これらの設計は一般的な2つのカテゴリーに分類され、これらはそれぞれ非摺動実施形態及び摺動実施形態と称され、非摺動実施形態では、完全に留置された固定用結び目から延びる全部の縫合糸尾部が、実質的に結び目を通して摺動しないように固定され、摺動実施形態では、縫合糸の少なくとも1つの長さが、完全に留置された固定用結び目を摺動的に通過する。摺動実施形態は、いくつかの外科的用途、例えば縫合糸を、留置された固定部材と、取り付けられた組織との間で引っ張ること、2つ以上の固定デバイスを一緒に引いて組織断裂を閉鎖すること、又は固定デバイス間に介在する組織を一緒にすることが所望される場合に有利である。
【0030】
例示的な摺動実施形態では、固定デバイスは、少なくとも第1の長さの縫合糸と第2の長さの縫合糸とを含む。縫合糸の第1の長さは、一般に縫合糸頭部のバルク(及び、留置後、対応する固定用結び目)を含む。縫合糸の第2の長さは、2つの縫合糸尾部を含み、2つの尾部の一方又は他方を固定用結び目に対して個別に引っ張ることにより、固定用結び目を通って摺動可能である。摺動実施形態は、対応する縫合糸尾部の対を有する追加の摺動縫合糸を更に含んでもよい。摺動実施形態は、縫合糸の第1の長さの一部を含んでもよい1つ以上の固定縫合糸尾部、又は縫合糸の第1の長さに固定的に接続された、例えば繋がれた縫合糸の追加の長さも含むことができる。更に、縫合糸頭部の特定のデザインに応じて、1つ以上の縫合糸尾部は、圧潰尾部及び摺動尾部の一方又は両方を含むことができる。
【0031】
非摺動実施形態は、縫合糸の単一の長さ、又は例えば1つ以上の結び目により固定的に一緒に結合された縫合糸の複数の長さを含んでもよい。非摺動実施形態は縫合糸頭部を含み、その頭部から1つ以上の縫合糸尾部が延び、その1つ以上の縫合糸尾部の少なくとも1つは、圧潰尾部を含む。
【0032】
本発明による縫合糸頭部は、長手方向に延びた形態から、長手方向に圧縮された、増大した断面を有する固定用結び目へ圧潰され得る任意の予め形成した結び目構成を含むことができる。様々な実施形態において、縫合糸頭部は、縫合糸の第1の長手方向のセクションに沿って形成された、ループ、貫通部又は他の開口を含む複数の開口を含む。圧潰尾部を含む縫合糸の第2の長手方向のセクションは、複数の開口のうち2つ以上を介して織り合わされる。縫合糸頭部から1つ以上の縫合糸尾部が延び、1つ以上の縫合糸尾部の少なくとも1つは、圧潰尾部を含む。一実施形態において、縫合糸の第1のセクション、縫合糸の第2のセクション及び1つ以上の縫合糸尾部は、縫合糸の単一の連続した長さを含む。別の実施形態では、縫合糸の第1のセクション、縫合糸の第2のセクション及び1つ以上の縫合糸尾部は、縫合糸の2つ以上の連結した長さを含む。
【0033】
本発明の固定デバイスは、多様な種類の縫合糸頭部のうち1つ以上を含むことができ、多様な方法を用いて製作されることができる。縫合糸頭部の1つの種類は、固定用結び目に圧潰可能な縫合糸の編組されたセクションを含む。任意の種類の縫合糸の編組を用いて、縫合糸頭部を構成することができる。非摺動の、捻られた編組縫合糸固定デバイスの実施形態を、図2a及び図2bに概略的に示す。図2aに第1の構成工程200を示し、縫合糸202の長さは、第1の頭部末端206、第2の頭部末端208、及びそれらの間の頭部長さ210を有する開始ループ204に形成されているのが見える。縫合糸尾部212は、第2の頭部末端208から延びる。図2bに、構成された縫合糸頭部214を示す。図2bから明かであり得るように、ループ204は繰り返し捻られて、頭部長さ210に沿って複数の開口216を提供している。更に、縫合糸尾部212は、複数の開口216を介して第2の頭部末端208から第1の頭部末端206へ織り合わされているのが見え、第1の頭部末端206から延び、そこで圧潰尾部を構成する。
【0034】
縫合糸頭部構成を詳細に述べている図2b及び本明細書の他の図では、縫合糸頭部は一般に、拡大された概略形態にて示されて、縫合糸頭部を通る縫合糸の経路の説明を支持することに留意するべきである。本明細書に開示される任意の縫合糸頭部は、例えば図1aに示したように、中空送達針内に配置されるために断面が容易に圧縮され得る。例として、図2cに、送達針内での配置のために圧縮された断面形態218を有する縫合糸頭部214を示す。縫合糸頭部214は、縫合糸尾部212(圧潰尾部)を縫合糸頭部214に対して引っ張ることにより圧潰されて、図2dに示すように固定用結び目220となり得る。
【0035】
第1の縫合糸尾部212を縫合糸頭部214に対して引っ張ることにより、本発明者らは、第1の縫合糸尾部212を縫合糸頭部214から離れるよう引っ張り(引き寄せ)、それにより複数の開口216を介して織り合わされた第1の縫合糸尾部212の一部が、複数の開口216及び第1の頭部末端206を介して更に引かれて、捻られた縫合糸を頭部長さ210に沿って寄せ集め又は束ねて固定用結び目220とすることを意味する。第1の縫合糸尾部212を縫合糸頭部214に対して引っ張る222ために、第1の頭部末端に対する当接部、例えば図1のピストン128は、固定用結び目220へと圧潰するために、縫合糸頭部を定位置に保持する必要がある。圧潰尾部を引っ張る前に縫合糸頭部が組織内に埋め込まれ、又は組織壁の後部に捕捉されているいくつかの実施形態では、固定用結び目に圧潰する間、組織との摩擦も縫合糸頭部を保持することができる。
【0036】
任意の種類及び直径の縫合糸、並びに編組するための、又は内部を縫合糸が通過するための任意の数の開口216を使用して、本発明による縫合糸頭部を構成することができる。より多数の開口は一般に、より長い縫合糸頭部を提供し、留置後、より大きい断面寸法を有する固定用結び目を提供し、それにより組織に対する固定用結び目のより大きい固定強度を提供する。一実施形態において、20mm長の縫合糸頭部は、内部を通って縫合糸が織り合わされることができる15〜35個の開口を含む。別の実施形態では、複数の開口は、20〜30個の開口である。尚別の実施形態では、縫合糸頭部は約25ミリメートル(mm)の長さを有し、組織内での留置後、縫合糸頭部は、直径約5mmの実質的に無定形の固定用結び目に圧潰する。
【0037】
1つの試験実施形態において、直径約0.5ミリメートル(mm)の部分的に吸収性のポリエチレン含有編組縫合糸(Raynham,MassachusettsのDePuy Mitek製のORTHOCORD(商標)Orthopaedic Suture)から、約20mm長の縫合糸頭部を構成した。直径2mmの孔から厚さ3mm、55デュロメータの皮質を有する人工骨の海綿層内へ留置し、得られた固定用結び目の引き抜き強度は、約20.4kg(約45ポンド)であった。同様に構成した固定デバイスの、厚さ3mm、35デュロメータの皮質を有する人工骨内の直径2mmの孔を通した留置により、約10.0kg(約22ポンド)の引き抜き強度が提供された。
【0038】
当業者は、本発明の範囲内で、多数の異なる方法を用いて、固定用結び目に圧潰可能な、長手方向に延びる構成を有する縫合糸頭部を構成し得ることを理解するであろう。例えば、編組体は多様な方法により、任意の数の縫合糸セクションを一緒に編組して形成することができ、任意の編組パターンを含むように構成された縫合糸頭部は、本発明の範囲内に含まれる。更に、編組は、多様な方法のうちの1つのみを含んで、本発明による縫合糸頭部を構成する。縫合糸頭部を構成するために、例えばかぎ針編み及び織り合わせ等、他の織物分野からの他の方法を適用してもよい。
【0039】
本発明の別の固定デバイスは、縫合糸ループの鎖を使用して構成された縫合糸頭部を含む。ループの鎖は、複数の独立した縫合糸ループ、物理的に接続された区別されるループの鎖、又はかぎ針編みなどの公知の織物分野を用いて縫合糸の連続した長さに沿って形成された複数のループを含んでもよく、鎖内の複数のループのそれぞれは、縫合糸に以前に形成されたループを介して、縫合糸のセクションを引くことにより形成される。複数のループは対応する複数の開口を提供し、その開口を通して縫合糸が織り合わされ得る。かぎ針編み縫合糸を使用して形成された縫合糸頭部を含む縫合糸固定デバイスの非摺動実施形態を、図3a〜図3cに概略的に示す。図3aにかぎ針編み構成工程230を示し、縫合糸232の長さが、第1のかぎ針編み末端238及び第2のかぎ針編み末端240を有するかぎ針編みセクション236に沿って複数の開口234を画定するようにかぎ針編みされている。第1の縫合糸尾部242は第1のかぎ針編み末端238から延び、第2の縫合糸尾部244は第2のかぎ針編み末端240から延びている。
【0040】
図3bは、かぎ針編み縫合糸固定デバイスの第1の実施形態250を示す。この実施形態は縫合糸頭部252を含み、第1の縫合糸尾部242が、複数の開口234の1つ以上を通してかぎ針編みセクション236に沿って第1のかぎ針編み末端238から第2のかぎ針編み末端240へ織り合わされているのが見え、またこの第1の縫合糸尾部242は、第2のかぎ針編み末端240から延びている。縫合糸頭部250は、第1の縫合糸尾部242(圧潰尾部)を縫合糸頭部252に対して引っ張ることにより、固定用結び目に圧潰され得る。
【0041】
図3cは、かぎ針編み縫合糸固定デバイスの第2の実施形態260を示す。第2の実施形態260は第1の実施形態250に類似するが、それに加えて第2の実施形態260では、第1のかぎ針編み末端238から第2のかぎ針編み末端240へ織り合わされた後、第1の縫合糸尾部242は複数の開口234の1つ以上を通して第2のかぎ針編み末端240から第1のかぎ針編み末端238へ戻って、第1のかぎ針編み末端238から延びている。縫合糸頭部262は、第1の縫合糸尾部242(圧潰尾部)を縫合糸頭部262に対して引っ張ることにより、固定用結び目に圧潰され得る。
【0042】
全ての縫合糸尾部が圧潰尾部ではないことを理解するべきである。図3b及び図3cを参照すると、第1の実施形態250又は第2の実施形態260のいずれにおいても、第2の縫合糸尾部244は第2のかぎ針編み末端に直接接続し、かつその末端から延び、第2の縫合糸尾部244をそれぞれの縫合糸頭部252、262に対して引っ張っている(第2のかぎ針編み末端240に対する当接部は、それぞれの縫合糸頭部を固定用結び目に圧潰しないことを条件とする。それ故、第2の縫合糸尾部244は、例えば、それぞれの縫合糸頭部を固定用結び目に圧潰することなく、組織に又は組織を介して送達するために、それぞれの縫合糸頭部252、262を中空針内に引くように使用することができる。
【0043】
図4a〜図4dは、本発明による縫合糸固定デバイスの摺動実施形態を示す。図4aに、捻られた環の縫合糸固定デバイス300の摺動実施形態を示す。捻られた環の縫合糸固定デバイス300は、縫合糸の閉鎖環である縫合糸環302を含み、縫合糸環302は、繰り返し捻られて第1の捻り末端306と第2の捻り末端308との間に複数の開口304を形成する。第1の縫合糸尾部312及び第2の縫合糸尾部314を有する縫合糸の長さ310は、第1の捻り末端306と第2の捻り末端308との間で複数の開口304を通して織り合わされ、第1の捻り末端306の近傍の複数の開口304の少なくとも1つを通して戻って、第1の捻り末端306から延びる第1の312と第2の縫合糸尾部314との両方を有する縫合糸頭部316を構成する。縫合糸頭部316は、第1の縫合糸尾部312と第2の縫合糸尾部314とを、縫合糸頭部316に対して同時に引っ張ることにより、固定用結び目に圧潰され得る。それ故、第1の縫合糸尾部312及び第2の縫合糸尾部314は、縫合糸頭部316に対して同時に引っ張られた場合、圧潰尾部を含む。図4aに見られるように、縫合糸の長さ310は、縫合糸環302に対して固定的に接続されず、縫合糸310の長さの固定用結び目を通した摺動性を保存するために、縫合糸環302を通して織り合わされている。縫合糸の長さ310は、第1の縫合糸尾部312又は第2の縫合糸尾部314のいずれかを、それぞれ固定用結び目に対して個別に引っ張ることにより、固定用結び目を通して摺動し得る。
【0044】
本発明による縫合糸頭部を構成するのに使用される縫合糸環は、縫合糸材料の連続した環として形成される縫合糸を含んでもよく、又は閉鎖されて環を形成する縫合糸の長さを含んでもよい。縫合糸の長さを閉鎖して環を形成する任意の方法を使用することができ、その方法は、結ぶ、溶接する、糊付けする、又は結合クランプ若しくは他の連結部材を用いて若しくは用いずに結び合わせることを含むが、これらに限定されない。更に、縫合糸環は、その周辺の周りに、編組、かぎ針編み、又は別様に連結された縫合糸からなる、複数の実質的に平行な縫合糸のストランドを含んでもよい。一実施形態において、縫合糸環は、第1の周辺を有する縫合糸の連続環を含み、その連続環は、2つ重ねられて、第1の周辺の実質的に半分である第2の周辺を有する二重縫合糸環を形成する。
【0045】
図4bは、縫合糸鎖の縫合糸固定デバイス322の摺動実施形態を示す。縫合糸鎖の縫合糸固定デバイス322は、第1の鎖末端328と第2の鎖末端330との間に複数の開口326を画定する、縫合糸環324の接続された鎖を含む。第1の縫合糸尾部334及び第2の縫合糸尾部336を有する縫合糸332の長さは、第1の鎖末端328と第2の鎖末端330との間で複数の開口326を通して織り合わされた後、第1の鎖末端328の近傍の複数の開口326の少なくとも1つを通して戻って、第1の鎖末端328から延びる第1の縫合糸尾部334及び第2の縫合糸尾部336の両方を有する縫合糸頭部338を形成する。縫合糸頭部338は、第1の縫合糸尾部334及び第2の縫合糸尾部336を縫合糸頭部338に対して同時に引っ張ることにより、固定用結び目に圧潰され得る。それ故、第1の縫合糸尾部334及び第2の縫合糸尾部336は、同時に引っ張られた場合、圧潰尾部を含む。図4bに見ることができるように、縫合糸の長さ332は、縫合糸環324に対して固定的に接続されず、縫合糸環324を通して織り合わされて、縫合糸の長さ332の固定用結び目を通した摺動性を保存している。縫合糸の長さ332は、第1の縫合糸尾部334又は第2の縫合糸尾部336のいずれかを、それぞれ固定用結び目に対して個別に引っ張ることにより、固定用結び目を通して摺動し得る。
【0046】
図4cは、縫合糸と、留置された固定用結び目との間に摺動接続を提供する巻かれた環の縫合糸固定デバイス344の摺動実施形態を示す。巻かれた環の縫合糸固定デバイス344は、上述した任意の種類の縫合糸環であってもよい縫合糸環346を含む。巻かれた環の縫合糸固定デバイス344は、第1の縫合糸尾部350及び第2の縫合糸尾部352を有する縫合糸の第1の長さ348も含む。縫合糸の第1の長さ348は、第1の縫合糸尾部350及び第2の縫合糸尾部352が互いに実質的に隣接して、縫合糸環346の周辺の周りにおいて縫合糸環346から延びるように、縫合糸環346の周囲に実質的に螺旋状に巻かれて縫合糸頭部354を形成する。代替的な実施形態では、縫合糸の第1の長さ348は、縫合糸の第2の長さの周囲に実質的に螺旋状に巻かれている。次に縫合糸の第2の長さは、その周囲の巻線(winding)と共にその長さに沿って閉鎖地点356にて連結されて縫合糸環346を形成する。縫合糸頭部354は、第1の縫合糸尾部350と第2の縫合糸尾部352とを、縫合糸頭部354に対して同時に引っ張ることにより、固定用結び目に圧潰され得る。それ故、第1の縫合糸尾部350及び第2の縫合糸尾部352は、同時に引っ張られた場合、圧潰尾部を含む。縫合糸の第1の長さ348は、第1の縫合糸尾部350又は第2の縫合糸尾部352のいずれかを、それぞれ固定用結び目に対して個別に引っ張ることにより、固定用結び目を通して摺動し得る。
【0047】
かぎ針編み型の縫合糸固定デバイス362の摺動実施形態を、図4dに示す。かぎ針編み型の縫合糸固定デバイス362は、第1のかぎ針編み末端368と第2のかぎ針編み末端370との間に複数の開口366を画定する、縫合糸364のかぎ針編みセクションを含む。かぎ針編みセクション364は、図3aに関連して記載したかぎ針編みセクション236と類似している。かぎ針編み型の縫合糸固定デバイス362は、第1の縫合糸尾部374及び第2の縫合糸尾部376を有する縫合糸の第1の長さ372も含む。
【0048】
図4dに見られるように、縫合糸頭部378を構成するために、縫合糸の第1の長さ372は、第1のかぎ針編み末端368と第2のかぎ針編み末端370との間で複数の開口366の1つ以上を通して織り合わされ、第1のかぎ針編み末端368の近傍の複数の開口366の少なくとも1つを通して第1のかぎ針編み末端368に戻っている。第1の縫合糸尾部374及び第2の縫合糸尾部376は、第1のかぎ針編み末端368から延びている。一実施形態において、複数の開口の割合は、複数の開口366のほぼ毎3番目の開口を含む。別の実施形態では、縫合糸の第1の長さ372は、実質的に複数の開口366のそれぞれを通して織り合わされている。別の実施形態では、間隔は、第1のかぎ針編み末端368と第2のかぎ針編み末端370との間で複数の開口366に沿って変動する。尚別の実施形態では、縫合糸の第1の長さ372は複数の開口366の1つを通過し、この複数の開口366の1つは、内部を縫合糸372の第1の長さが通過する小穴として機能する。
【0049】
当業者は、縫合糸の任意の数の追加の長さが、独立して複数の開口の1つ以上を通して織り合わされることにより、複数の縫合糸の脚部が延びる固定デバイス(マルチ縫合糸固定デバイス)を提供し得ることを理解するであろう。様々な実施形態では、縫合糸の2つ、3つ又は4つの長さが、それぞれ、複数の開口の1つ以上を介して織り合わされ、縫合糸の4つ、6つ、又は8つの脚部がそれぞれ延びる固定デバイスを提供する。いくつかの外科的状況において、留置された固定デバイスに接続される縫合糸の数を増大させることが望ましい場合がある。そのような状況では、縫合糸が取り付けられた1つ以上の縫合糸針を、留置された固定用結び目に通過させて、マルチ縫合糸固定デバイスを提供してもよい。
【0050】
縫合糸頭部378は、第1の縫合糸尾部374及び第2の縫合糸尾部376を縫合糸頭部378に対して同時に引っ張ることにより、固定用結び目に圧潰され得る。それ故、第1の縫合糸尾部374及び第2の縫合糸尾部376は、縫合糸頭部378に対して同時に引っ張られた場合、圧潰尾部を含む。縫合糸の第1の長さ372は、第1の縫合糸尾部374又は第2の縫合糸尾部376のいずれかを、それぞれ固定用結び目に対して個別に引っ張ることにより、固定用結び目を通して摺動し得る。
【0051】
図5a〜図5dは、互いに貫通し合う縫合糸を含む縫合糸固定デバイスの実施形態を示す。これらの実施形態による縫合糸頭部は、長手方向に分配された、縫合糸の第1のセクションの材料を通した実質的に横方向の複数の貫通部と、複数の貫通部を通して織り合わされた縫合糸の第2のセクションとを含む。複数の貫通部は、任意の種類の貫通部を含んでもよい。一実施形態において、複数の貫通部は、縫合糸尾部に接続された裁縫針又は縫合針等の鋭い器具を使用して画定される。別の実施形態では、複数の貫通部は、それらを通した縫合糸尾部の織り合わせを可能にするように、縫合糸材料を通して形成された複数の細長孔又は穴を含む。尚別の実施形態では、縫合糸のセクションの製作中、複数の予め形成した貫通部が提供される。更に別の実施形態では、縫合糸自体が、例えば編組縫合糸などの編組された材料を含み、複数の貫通部が、対応する複数の位置において編組体を通過する。
【0052】
図5a及び図5bは、互いに貫通し合う摺動実施形態を示す。図5aは、縫合糸頭部402が縫合糸環404を含み、その環はその周辺の周りに分配された複数の貫通部406を有する、縫合糸固定デバイスの第1の互いに貫通し合う、摺動実施形態400を示す。縫合糸環404は、本明細書に開示した任意の種類の縫合糸環であってもよい。縫合糸頭部402は、複数の貫通部406を通して織り合わされ、第1の縫合糸尾部410及び第2の縫合糸尾部412にて終結する縫合糸の第1の長さ408を更に含み、第1の縫合糸尾部410及び第2の縫合糸尾部412はそれぞれ互いに実質的に隣接して、縫合糸環404の周辺の周りにおいて縫合糸頭部402から延びる。縫合糸頭部402は固定用結び目に圧潰することができ、その結び目を通して縫合糸の第1の長さ408は、固定用結び目が形成された後、第1の縫合糸尾部410及び第2の縫合糸尾部412を縫合糸頭部402に対して同時に引っ張ることにより摺動することができる。それ故、第1の縫合糸尾部410及び第2の縫合糸尾部412は、同時に引っ張られた場合、圧潰尾部を含む。縫合糸の第1の長さ408は、第1の縫合糸尾部410又は第2の縫合糸尾部412のいずれかを、それぞれ固定用結び目に対して個別に引っ張ることにより、固定用結び目を通して摺動し得る。
【0053】
代替的な実施形態において、縫合糸環404は、周辺上の地点418にて開放する縫合糸の第2の長さを含み、環形状は、縫合糸の第2の長さの、縫合糸408の第1の長さにより隣接される貫通部420、422により維持される。更なる代替的な実施形態では、縫合糸の第1の長さ408が、縫合糸の第2の長さを貫通する代わりに、縫合糸の第2の長さが、縫合糸の第1の長さを貫通する。
【0054】
図5bは、縫合糸固定デバイスの第2の互いに貫通し合う摺動実施形態424を示し、縫合糸頭部426は長さの第1の部分432に沿って複数の貫通部430を有する縫合糸の第1の長さ428を含み、それに対応する複数の開口436を画定するように、長さの第2の部分434が第1の長さ428の貫通部を通過する。縫合糸頭部426は、複数の開口436を通して織り合わされ、第1の縫合糸尾部440及び第2の縫合糸尾部442にて終結する縫合糸438の第2の長さを更に含み、第1の縫合糸尾部440及び第2の縫合糸尾部442はそれぞれ縫合糸頭部426から延びる。縫合糸頭部426は、第1の縫合糸尾部440及び第2の縫合糸尾部442を縫合糸頭部426に対して同時に引っ張ることにより、結び目を通して縫合糸438の第2の長さが摺動することができる固定用結び目に圧潰することができる。それ故、第1の縫合糸尾部440及び第2の縫合糸尾部442は、同時に引っ張られた場合、圧潰尾部を含む。縫合糸438の第2の長さは、第1の縫合糸尾部440又は第2の縫合糸尾部442のいずれかを、それぞれ固定用結び目に対して個別に引っ張ることにより、固定用結び目を通して摺動し得る。
【0055】
図5c及び図5dは、縫合糸固定デバイスの互いに貫通し合う縫合糸非摺動実施形態を示す。図5cは、第1の互いに貫通し合う非摺動実施形態448を示し、第1の頭部末端452及び第2の頭部末端454を有する縫合糸頭部450は、縫合糸の第1の長さ456を含み、第1の長さは、第1の頭部末端452と第2の頭部末端454との間で、第1の長さの第1の部分460に沿って複数の貫通部458を有する。前記長さの第2の部分462は、複数の貫通部458を通過し、縫合糸尾部464として第1の頭部末端452から延びる。縫合糸頭部450は、縫合糸尾部464を縫合糸頭部450に対して引っ張ることにより、固定用結び目に圧潰することができる。一実施形態において、第1の部分454を通した第2の部分462の貫通部468の1つは、結び又は他の手段により強化されて縫合糸頭部が留置中に解けることを防止する。複数の貫通部458は、縫合糸頭部450に沿って第1の頭部末端454と第2の頭部末端456との間で、複数の開口470を画定しているのが見える。
【0056】
図5dは、第2の互いに貫通し合う非摺動実施形態472を示す。第2の非摺動実施形態472は、図5cの縫合糸頭部450と類似する縫合糸頭部474を含むが、それに加えて第2の実施形態472では、縫合糸尾部464の方向が逆であるのが見え、加えて複数の開口470の1つ以上を介して織り合わされて、第2の頭部末端454から延びている。この縫合糸尾部464の更なる通過は、第2の実施形態472の縫合糸頭部474内の縫合糸材料の容積を、第1の実施形態448の縫合糸頭部450内の縫合糸材料の容積と比較して、より大きくする。縫合糸頭部内の縫合糸のより大きい容積は、それに応じて組織内に留置された際の固定用結び目をより大きくする。縫合糸頭部474は、縫合糸尾部464を縫合糸頭部474に対して引っ張ることにより、固定用結び目に圧潰され得る。
【0057】
摺動及び非摺動実施形態は概して上記にて別々に論じられたが、様々な非摺動実施形態は、留置前に非摺動縫合糸頭部内の開口を介して縫合糸の更なる長さを通過させることにより、摺動実施形態に変換することができる。例えば、図1を参照すると、第2の縫合糸尾部114が縫合糸の閉鎖ループを含む一実施形態において、固定デバイス100を組織に送達する前に、ループを通して縫合糸の長さを通過させることにより、縫合糸固定デバイスの摺動実施形態が提供され、これは通過された縫合糸の長さが、固定用結び目136に対して摺動可能となるためである。加えて、様々な摺動実施形態は、例えば1つ以上の摺動縫合糸尾部内に結び目を結ぶことにより、非摺動実施形態に変換することができる。
【0058】
当業者は、固定デバイスの構成に使用される縫合糸の材料、寸法、数、及び縫合糸の長さの組み合わせ、圧潰尾部を含む縫合糸が縫合糸頭部に沿って内部を通過する開口の数、並びに縫合糸頭部から延びる摺動及び非摺動縫合糸尾部の数の変形を含むが、これらに限定されない、本明細書に開示した縫合糸固定デバイスの多数の変形が、本発明の範囲内に含まれることを理解するであろう。更に、任意の数の縫合糸固定デバイスを縫合糸により一緒に結合させて、多地点固定システムを提供してもよい。
【0059】
本明細書に開示した縫合糸固定デバイスの用途の1つは、膝内の半月板の修復である。図6aは、一実施形態では断裂半月板組織の修復に使用される、本発明による二重固定デバイス500の実施形態を示す。二重固定デバイス500は、第1の遠位端504及び第1の近位端506を有する第1の縫合糸頭部502と、第2の遠位端510及び第2の近位端512を有する第2の縫合糸頭部508とを含む。第2の縫合糸頭部508は、第1の縫合糸頭部502の近位方向に配置されているのが見える。第1の縫合糸頭部502は、本明細書に開示した任意の種類の摺動縫合糸頭部であってもよい摺動縫合糸頭部、又は他の摺動縫合糸頭部である。一実施形態において、第1の縫合糸頭部502は、図4dに関連して記載した縫合糸頭部378と類似したかぎ針編み型の摺動縫合糸頭部である。第1の縫合糸頭部502は、第1の近位端506から第2の縫合糸頭部508に延びているのが見える、2つの遠位圧潰尾部514、516を含む。2つの遠位圧潰尾部514、516は、第1の縫合糸頭部502を通過する、縫合糸の連続した長さを含む。2つの遠位圧潰尾部514、516は共に、第1の502と第2の縫合糸頭部508との間の縫合糸の橋を含む。
【0060】
第2の縫合糸頭部508は、本明細書に開示した任意の種類の非摺動縫合糸頭部を含んでもよい非摺動縫合糸頭部であり、又は他の非摺動縫合糸頭部である。一実施形態において、第2の縫合糸頭部508は、図2cに関連して記載したかぎ針編み型の非摺動縫合糸頭部252に類似するが、それに加えて一体化した摺動結び目518が、第2の遠位端510から延びている。第2の縫合糸頭部508は、第2の近位端512から近位方向に延びる近位圧潰尾部520も含む。一実施形態において、第2の縫合糸頭部508と、摺動結び目518と、2つの遠位圧潰尾部514、516とは、縫合糸の単一の連続した長さを含む。別の実施形態では、摺動結び目518は、第2の遠位端510から延びるのではなく、第2の縫合糸頭部508に沿って第2の遠位端510と第2の近位端512との間の位置521に配置される。
【0061】
二重固定デバイス500の一部拡大図522が、摺動結び目518の実施形態の構成を示す図6bに概略的に示されている。2つの遠位圧潰尾部514、516の第1の圧潰尾部514は、摺動結び目518の一部分を実質的に含み、第2の遠位端510にて第2の縫合糸頭部508に接続(又は連続)しているのが見える。第2の遠位圧潰尾部516は、摺動結び目を通過して、摺動結び目518から近位方向に延び、引っ張り尾部524と連続しているのが見える。第2の圧潰尾部516は、第2の縫合糸頭部508と一体化した縫合糸ループ526も通過し、そこから遠位方向に延びているのが見える。
【0062】
二重固定デバイス500を組織に送達するための二重縫合糸頭部送達ツール530の実施形態を、図7aの断面図532、及び図7bの外観図534に概略的に示す。二重頭部送達ツール530は、遠位針末端538、近位針末端540及びそれらの間の長手方向の針空洞542を有する中空送達針536を含んでいるのが見える。送達針536は近位で中空取っ手544に結合し、その取っ手は、取っ手壁546と、実質的に円筒形の取っ手空洞548とを有し、針空洞542は取っ手空洞548と連続している。一実施形態において、針536は、補強部材550により近位にて補強される。
【0063】
遠位ピストン末端554、近位ピストン末端556、及びそれらの間の長手方向のピストン空洞557を有する中空ピストン552は、針空洞542内に摺動可能に配置され、取っ手空洞548内へ近位方向に延びているのが見える。一実施形態において、針536及びピストン552のそれぞれは、真直である。別の実施形態では、針536は、遠位針末端538と近位針末端540との間に1つ以上の屈曲を含み、ピストンは、針空洞542を通して摺動的に押され及び引かれるに十分な可撓性を有する。一実施形態において、ピストン552は、可撓性チューブを含む。別の実施形態では、ピストン552は、可撓性の、実質的に螺旋状のコイルを含む。
【0064】
ピストン位置決め部材558は、ピストン552に固定的に接続され、取っ手空洞548内に摺動可能に配置されている。一実施形態において、位置決め部材558は、ピストン552の周囲に配置された環状部材である。一実施形態において、ピストン位置決め部材558は、取っ手空洞548内で遠位方向に最大に前進された際、長手方向の定位置に実質的に不可逆的に固定される。ピストン位置決め部材558を固定する任意の手段を使用することができる。一実施形態において、ピストン位置決め部材558及び取っ手544は、連結ラッチ部材560、562を含んで、ピストン位置決め部材558を取っ手544内で遠位方向に固定する。
【0065】
制御部材564が位置決め部材558に接続されて、送達デバイスの外部から、ピストン552を二重頭部送達ツール530内で長手方向に位置決めする。説明を目的として、図7aにおいて、制御部材はツール530の長手方向軸線を中心として図7bに対して90度回転させて示されている。制御部材564は、取っ手壁546内の細長い開口566を介して、位置決め部材558から横方向外側へ延びる。細長い開口566は、送達デバイス内に配置された固定デバイスの要求、及び対応する外科送達要求に適合する任意の構成を有することができる。一実施形態において、図7a及び図7bに示すように、二重固定デバイス500を組織に送達するために、細長い開口566は実質的にH形である。一実施形態において、H形の開口は、それぞれ取っ手壁546に沿って互いに異なる長手方向の位置を有する第1の長手方向の細長孔812及び第2の長手方向の細長孔814を含み、2つの細長孔のそれぞれは、それぞれの位置により、送達針536からの第1の縫合糸頭部502と第2の縫合糸頭部508との一方の送達に適合されている。別の実施形態では、細長い開口は、実質的にT形、L形、長手方向に直線状であり、又は他の構成を有し、それぞれの構成は様々な縫合糸頭部送達要求に応えるよう適合されている。別の実施形態では、細長い開口は、ピストン位置決め部材558を取っ手空洞548内で遠位方向に固定する手段を含む。
【0066】
制御部材564は、長手方向及び周方向の位置決め力のうち一方又は両方を位置決め部材558に連絡し、それによりピストン552に連絡する任意の手段を含んでもよい。一実施形態において、制御部材564は、細長い開口566を介して位置決め部材558に固定的に接続されたシャフトである。別の実施形態では、制御部材564は二重頭部送達ツール530内でのピストンの移動を解放可能に防止する手段を含む。一実施形態において、制御部材564は、細長い開口566を介して位置決め部材558内に差し込まれた蝶ねじであり、それにより、二重頭部送達ツール530内でピストンの位置を選択的に固定及び解除するのに蝶ねじの回転が使用され得る。別の実施形態では、制御部材564は、取っ手壁546に対して弾性的に負荷されて、制御部材564の細長い開口566に沿った動きに対して所定の抵抗を付与する。
【0067】
二重固定デバイス500は、二重頭部送達ツール530内にて実質的に針空洞542内でピストン遠位端554の遠位に配置されているのが見える。第2の圧潰尾部520及び引っ張り尾部524は、二重固定デバイス500からピストン空洞557を介して近位方向へ通過する。ピストン近位端556の近位にて、引っ張り尾部524が引っ張り尾部末端568にて終結し、第2の圧潰尾部520が第2の圧潰尾部末端570にて終結する。第2の圧潰尾部520は、ピストン空洞557の外部において、近位ピストン末端556の近位に配置された解放可能な保持部材572も含む。解放可能な保持部材572は、第2の圧潰尾部520がピストン552の空洞を通って遠位方向に摺動することを防止する。一実施形態において、解放可能な保持部材572は、第2の圧潰尾部520に取り付けられた解放可能なクランプである。別の実施形態では、解放可能な保持部材572は、第2の圧潰尾部520における解放可能な結び目である。更なる実施形態では、第2の圧潰尾部520の近位方向への引っ張りは、解放可能な結び目を解放する。解放可能な保持部材572の解放後、第2の圧潰尾部520が、ピストン552の空洞を通って遠位方向へ摺動し得る。
【0068】
制御部材564は、送達針536内でのピストン552の遠位端の長手方向の位置を制御し、それにより二重固定デバイス500の送達針536からの排出を制御する。細長い開口566の構成及び長手方向の位置に応じて、制御部材564を使用して、所定の外科工程において送達針536から第1の縫合糸頭部502のみ選択的に排出し、後の外科工程において第2の縫合糸頭部508を選択的に排出することができ、かくして本発明のデバイス及び方法を使用した多地点固定手順を可能にする。
【0069】
特に屈曲した送達針を含む送達デバイスに関しては、取っ手を長手方向の軸線を中心として屈曲した針に対して回転可能として、特定の手順において取っ手上の制御部材へのアクセスを容易にし、又は左利き及び右利きの外科医の異なる好みに適合させることが有利であり得る。屈曲針送達ツール574の一実施形態を、図8aに示す。屈曲針送達ツール574は、一般に、真直な送達針を含む図7a及び図7bに関連した二重頭部送達ツール530と類似している。屈曲針の実施形態574は、共通の長手方向の軸線586を中心として取っ手584に回転可能に結合された、遠位送達末端578及び近位端580を有する中空の屈曲した送達針576を含む。制御部材588は、取っ手584の外表面590上でアクセス可能である。屈曲した送達針576は、1つ以上の屈曲した部分592を更に含み、その屈曲した部分の遠位において屈曲針576は、軸線586から逸れている。
【0070】
一実施形態において、屈曲針送達ツール574は、取っ手584と屈曲針576との間の軸線586を中心とした複数の好ましい相対的な回転配向を含む。更なる実施形態では、複数の好ましい配向は、取っ手590及び屈曲針576の一方又は両方の周辺の周りに周方向に分配された複数の戻り止め594を含む。別の実施形態では、角度マーキングが取っ手584及び屈曲針576の一方又は両方上に提供され、屈曲針576と取っ手584との間の相対的な回転配向を指示する。図8aは、取っ手584と屈曲針576との間の第1の角度方向596にある屈曲針送達ツール574を示す。図8bは、取っ手584と屈曲した針576との間の第2の角度方向598にある屈曲した針送達ツール574を示す。
【0071】
図9a〜図9kは、図6に示した二重固定デバイス500と、図7に示した二重頭部送達ツール530とを使用する、膝内の断裂半月板の外科修復処置を概略的に示す。手順は、関節鏡視下で又は開放外科手術として行われてもよい。手順の開始前に、断裂半月板へのアクセスの提供を含む公知の準備及び外科的手法に従って患者を準備する。以下の手順の記載は、図6及び図7、並びに図9a〜図9nを参照する。図9a〜図9nのそれぞれは外科工程の説明を含み、いくつかの図において、図7に示したように実質的にH形の細長い開口566内の制御部材564の位置を表す。
【0072】
図9aは、二重頭部送達ツール530の送達針536が、半月板断裂804を患った半月板802を通過したのが見える第1の工程を示す。半月板802は、大腿骨(図示せず)の方に向いた第1の半月板表面806と、大腿骨から離れて外側又は内側に向いた第2の半月板表面808を有するのが見える。大腿骨に向いた第1の表面806上の突出を最小にして、大腿骨からの荷重を支持するそれらの表面の刺激等を最小にすることが好ましい。送達針536は、第1の位置810にて半月板802を貫通し、第1の半月板表面806を介して進入し、第2の半月板表面808を介して退出したのが見える。第1の位置810は、手順を行う外科医により決定されて、半月板断裂804の閉鎖を最適にする。一実施形態において、送達針536は、半月板断裂804を横切って、半月板802を貫通する。
【0073】
H形の細長い開口566は第1の長手方向のチャネル812及び第2の長手方向のチャネル814を含んでいるのが見え、これらのチャネルは、それぞれ対応する近位端816、818及び遠位端820、822を有する。H形の細長い開口566は、第1のチャネル812と第2のチャネル814とを相互接続する架橋チャネル824を更に含む。制御部材564は、第1のチャネル812の近位端816に配置されているのが見える。この制御部材564の位置において、二重固定デバイス500は、送達針536内に最大に引き込められている。
【0074】
図9bを参照すると、第2の工程において、制御部材564が第1のチャネル812の遠位端820に再配置されることにより、第1の縫合糸頭部502を送達針536から遠位方向に排出しているのが見える。第1のチャネル812は、第2の縫合糸頭部508を送達針536から排出するのに十分な程、遠位方向に延びない。図9cを参照すると、第3の工程において、制御部材564は、第1のチャネル812の近位端816に引き込められているのが見える。制御部材564の引き込みにより、近位ピストン末端556が解放可能な保持部材572を圧迫し、近位圧潰尾部520、第2の縫合糸頭部508、及び2つの遠位圧潰尾部514、516を介して引っ張りを第1の縫合糸頭部502に伝達するにつれ、第1の縫合糸頭部502が第1の固定用結び目830に圧潰する。
【0075】
図9dを参照すると、第4の工程において、送達針536が半月板802から引き込められ、第1の固定用結び目830と第2の縫合糸頭部508との間をつなぐ2つの遠位圧潰尾部514、516を送達針536内に残留させているのが見える。一実施形態において、送達針536の引き込みは、第1の固定用結び目830を第2の半月板表面808に対抗して近位に配置する。制御部材は、送達針536が半月板802から引き込められるにつれ、第1の長手方向のチャネル812内で幾分遠位方向に移動し得る。
【0076】
図9eを参照すると、第5の工程において、制御部材564は第1の長手方向のチャネル812内で遠位方向に移動し、架橋チャネル824を経由して第2の長手方向のチャネル814内に再配置されたのが見える。図9fを参照すると、第6の工程において、送達針536は、第2の位置838にて半月板802を通過し、第1の半月板表面808を介して進入し、第2の半月板表面808を介して退出したのが見える。第2の位置838は、外科医により決定されて、半月板断裂804の閉鎖を最適にする。一実施形態において、送達針536は、半月板断裂804を横切って、半月板802を貫通する。
【0077】
図9gを参照すると、第7の工程840において、制御部材564が第2の長手方向のチャネル814の遠位端822に移動することにより、第2の縫合糸頭部508を送達針536から排出し、位置決め部材558及びピストン552の長手方向の位置を固定したのが見える。図9hを参照すると、第8の工程842において、第2の圧潰尾部520が近位方向に引っ張られて844、第2の縫合糸頭部508を第2の固定用結び目846に圧潰している。加えて、解放可能な保持部材572は、この工程にて解放されている。一実施形態において、解放可能な保持部材572は、第2の圧潰尾部における結び目であり、第2の圧潰尾部520の引っ張りは結び目を解放し、第2の圧潰尾部末端570を、ピストン空洞557内を自由に通過するよう残留させる。
【0078】
図9iを参照すると、第9の工程848において、送達針536が半月板802から引き込められ、第2の固定用結び目846と送達針536との間で半月板802を通して延びている第2の圧潰尾部520及び引っ張り尾部524を残留させているのが見える。図9jを参照すると、第10の工程850において、二重頭部送達ツール530が外科部位から完全に除去され、第2の固定用結び目846から、第1の半月板表面806を介して延びている第2の圧潰尾部520及び引っ張り尾部524を残留させているのが見える。更に、引っ張り尾部524の近位方向への引っ張り852が、引っ張りを次に摺動結び目518(目下、第2の固定用結び目846の一部)を介して第2の遠位圧潰尾部516に、第1の固定用結び目830を介して第1の遠位圧潰尾部514に伝達し、それにより第1の固定用結び目830と第2の固定用結び目846との間で縫合糸を短縮して、半月板断裂804を閉鎖する。図9kを参照すると、第11の工程854において、第2の圧潰尾部520及び引っ張り尾部524は、第1の半月板表面806に対して、又は表面806の下方で切り取られ、修復された半月板断裂804を生じているのが見える。
【0079】
代替的な実施形態において、引っ張り尾部524及び第2の圧潰尾部520の一方又は両方が切り取られずに残り、更なる縫合糸頭部から遠位方向に延びる縫合糸の閉鎖ループを通過して、更なる縫合糸頭部が組織に送達された際に、更なる「デイジーチェーン」縫合糸固定地点を提供する。一実施形態において、更なる縫合糸頭部は図1の縫合糸頭部102であり、第2の縫合糸尾部114は第2の頭部末端106から遠位方向に延びる縫合糸の閉鎖ループを含む。このデイジーチェーンプロセスにより、留置された固定用結び目のそれぞれが、尚別の縫合糸頭部の縫合糸ループを通過し得る少なくとも1つの縫合糸尾部を含むため、任意の数の更なる固定地点を提供して組織に固定することができる。
【0080】
当業者は、二重縫合糸固定デバイス、関連する送達ツール及び外科的方法の上述した実施形態が、単一地点、及び他の多地点固定の実施形態に容易に適合されることを理解するであろう。一実施形態において、単一の縫合糸頭部が送達針内に配置されて、単一の固定用結び目を組織に留置する。別の実施形態では、3つの縫合糸頭部が送達針内に配置されて、固定用結び目として組織に連続的に留置される。更に別の実施形態では、1つ以上の縫合糸頭部が2つ以上の送達針のそれぞれ内に配置され、少なくとも1つの縫合糸の橋が2つ以上の送達針内に配置された縫合糸頭部を相互接続する。
【0081】
図9a〜図9kは、第2の表面808に少なくとも幾分か平行した断裂804を示している。しかしながら、断裂は他の位置及び配向で形成される場合があり、固定用結び目830及び846の位置、並びにその間の縫合糸の経路は適宜変更され得る。例えば、断裂(図示せず)は断裂804と本質的に直交する配向で形成される場合があり、その場合、第1の固定用結び目830は、第2の表面808上のそのような断裂の片側上に配置されてもよく、縫合糸は半月板を通過して第1の表面806の断裂の同一側上に至った後、断裂を横切って第1の表面806に沿って通過し、次に半月板を介して断裂の他の側の第2の固定用結び目846及び第2の表面808に戻る。好ましくは、全部の結び目及び縫合糸上の他の有意な突出は、第2の表面808上に保たれ、大腿骨に向いた第1の表面806、又は脛骨の方に向いたもの等の荷重下の他の表面(図示せず)上には保たれない。
【0082】
縫合糸を単一の位置にて組織に固定するのに使用され得る、又は本発明によるデイジーチェーン縫合糸固定デバイスに使用され得る単一の縫合糸頭部送達ツール860の実施形態を、図10aの断面図862、及び図10bの外観図864に概略的に示す。単一頭部送達ツール860は、本明細書にて上述した二重頭部送達ツール530に類似する。
【0083】
単一頭部送達ツール860は、遠位針末端868、近位針末端870及びそれらの間の長手方向の針空洞872を有する中空送達針866含んでいるのが見える。送達針866は近位で中空取っ手874に結合し、取っ手は、取っ手壁876と、実質的に円筒形の取っ手空洞878とを有し、針空洞872は取っ手空洞878と連続している。一実施形態において、針866は、補強部材880により近位にて補強されている。
【0084】
遠位ピストン末端884、近位ピストン末端886及びそれらの間の長手方向のピストン空洞888を有する中空ピストン882は、針空洞872内にて摺動可能に配置され、取っ手空洞878内へ近位方向に延びているのが見える。針866は、二重頭部送達ツール530に関して本明細書にて上述したように、真直又は屈曲していてもよい。ピストン位置決め部材890は、ピストン882に対して固定的に接続され、取っ手空洞878内に摺動可能に配置されている。一実施形態において、ピストン位置決め部材890は、ピストン882の周囲に配置された環状部材である。一実施形態において、ピストン位置決め部材890は、二重頭部送達ツール530に関して本明細書にて上述したように、取っ手空洞878内で遠位方向に最大に前進された際、長手方向の定位置に実質的に不可逆的に固定される。
【0085】
制御部材892が位置決め部材890に接続されて、送達ツール860の外部から、ピストン882を送達ツール860内で長手方向に位置決めする。制御部材892は、本明細書にて上述した制御部材564と同一の構造、又は他の構造であってもよい。制御部材892は、取っ手壁876内の細長い開口894を介して、位置決め部材890から横方向外側へ延びる。細長い開口894は、取っ手壁を貫通する長手方向のチャネル896を含む。長手方向のチャネル896は、遠位チャネル末端898及び近位チャネル末端900を有するのが見える。一実施形態において、図10に示すように、細長い開口894は、近位チャネル末端898と遠位チャネル末端900との間の中間位置にて長手方向のチャネル896と交わる横方向チャネル902も含み、「T」形の開口を提供している。
【0086】
単一頭部縫合糸固定デバイス904は、単一頭部送達ツール860内にて実質的に針空洞872内で遠位ピストン末端884の遠位に配置されているのが見える。単一頭部固定デバイス904は、縫合糸頭部906と、縫合糸頭部906からピストン空洞888を介して近位方向に延びる少なくとも1つの圧潰尾部908とを含む。単一頭部固定デバイス904は、非摺動又は摺動縫合糸頭部を含んでもよい。1つのデイジーチェーン実施形態において、縫合糸頭部904は、縫合糸頭部906の遠位端に配置された遠位縫合糸ループ910も含む非摺動縫合糸頭部であり、解放可能な保持部材912が近位ピストン末端886の近位に配置され、解放可能な保持部材912は、二重頭部送達ツール530に関連して本明細書にて上述した任意の種類の解放可能な保持部材であってもよい。
【0087】
解放可能な保持部材912は、圧潰尾部908がピストンの空洞888を通って遠位方向に摺動することを防止する。更に、解放可能な保持部材912が定位置にあってピストン882を近位方向に引き込むと、縫合糸頭部906を固定用結び目に圧潰することなく、縫合糸固定デバイス904も縫合糸ループ910と共に針空洞872内に引き込まれる。解放可能な保持部材の解放後、圧潰尾部908が、ピストンの空洞888を通って遠位方向へ摺動し得る。
【0088】
図11a〜図11iは、単一頭部送達ツール860を使用したデイジーチェーン手順における外科工程の実施形態と、単一頭部縫合糸固定デバイス904のデイジーチェーン実施形態とを概略的に示す。デイジーチェーン手順は、関節鏡処置又は開放外科手術の一部として実施されてもよく、組織に固定された縫合糸尾部は以前の外科工程で提供されている。以下の手順の記載は、図10及び図11a〜図11iを参照する。図11a〜図11iのそれぞれは外科工程の説明を含み、いくつかの図において、図10に示したように実質的にT形の細長い開口894内の制御部材892の位置を表す。
【0089】
図11aは、デイジーチェーン手順の第1の工程を示す。固定された縫合糸尾部922は、第1の位置924において、第1の表面928及び第2の表面930を有する組織926に固定されているのが見える。一実施形態において、固定された縫合糸尾部922は、本発明による第1の固定用結び目932により組織926に固定されている。別の実施形態では、固定された縫合糸尾部922は、他の種類の縫合糸固定デバイスにより組織926に固定されている。固定された縫合糸尾部922は、単一頭部固定デバイス904の縫合糸ループ910を通過しているのが見え、そのループは単一頭部送達ツール860内に配置されている。制御部材892は、細長い開口894の横方向チャネル902内に配置されているのが見える。
【0090】
図11bを参照すると、第2の工程において、制御部材892は横方向チャネル902から長手方向のチャネル896へ、及び近位チャネル末端900へ移動されているのが見え、遠位縫合糸ループ910を含む単一頭部縫合糸固定デバイス904を、針空洞872の遠位端内に引き込んでいる。この引き込み工程は、固定された縫合糸尾部922の単一頭部送達ツール860への保留を提供する。図11cを参照すると、第3の工程において、単一頭部送達ツール860の針866は、保留された、固定された縫合糸尾部922と共に、第2の位置938において組織926を遠位方向に通過しているのが見える。固定された縫合糸尾部922は、第1の位置924と第2の位置938との間の組織926の範囲を架橋して、針866と並んで組織926を近位方向へ通過し、遠位縫合糸ループ910(針空洞872内)を通って、組織926を介して近位方向に戻り、引っ張り尾部940として近位方向に延びるのが見える。
【0091】
図11dを参照すると、第4の工程において、制御部材892は、長手方向のチャネル896に沿って遠位チャネル末端898に移動し、それにより縫合糸頭部906を送達針866から遠位方向に排出しているのが見える。図11eを参照すると、第5の工程において、圧潰尾部908は近位方向に引っ張られ946、それにより縫合糸頭部906を第2の固定用結び目948に圧潰したのが見える。加えて、解放可能な保持部材912は、この工程にて解放されている。図11fを参照すると、第6の工程において、送達針866は組織926から引き込められ、第2の固定用結び目948から延び、ピストン空洞888を介して延びる圧潰尾部908を残留させているのが見える。固定された縫合糸尾部922は、第1のアンカー結び目932と第2のアンカー結び目948との間の組織926の範囲を架橋し、第1の位置924と第2の位置938とにおいて組織926を通過しているのが見える。更に、引っ張り尾部940は、第2の固定用結び目948から組織926を介して近位方向に延びる。
【0092】
図11gを参照すると、第7の工程において、単一頭部送達ツール860は外科部位から完全に除去され、第2の固定用結び目948から組織926を介して近位方向に延びる圧潰尾部908及び引っ張り尾部940を残留させているのが見える。近位方向へ引っ張り尾部940を引っ張ることにより、遠位縫合糸ループ910(目下、第2の固定用結び目948の一部)を介して、固定された縫合糸尾部922に引っ張りを伝達し、それにより第1の固定用結び目932と第2の固定用結び目948との間で縫合糸を短縮する。一実施形態において、組織926は、第1の位置924と第2の位置938との間に断裂を含み、引っ張り尾部940の引っ張り954は、断裂に閉鎖力を適用する。
【0093】
図11hを参照すると、第8の工程において、引っ張り尾部940と圧潰尾部908との間で結び目958が結ばれて、第7の工程952で引っ張り尾部940に適用された引っ張りの緩みを防止しているのが見える。結び目958は、結び目プッシャー又は他の公知の外科的手法を用いて、第2の固定用結び目948に隣接して配置することができる。最終的に、図11iを参照すると、第9の工程において、圧潰尾部908及び引っ張り尾部940は、第1の組織表面928に対して、又は表面928の下方で切り取られているのが見える。代替的な実施形態では、引っ張り尾部940及び圧潰尾部908の一方又は両方が切り取られずに残り、更なる縫合糸頭部から遠位方向に延びる縫合糸の閉鎖ループを通過して、更なるデイジーチェーンのための他の縫合糸固定位置への出発地点を提供する。
【0094】
図12a〜図12eは、縫合糸を組織に固定するための、本発明による代替的な送達システム及び方法の実施形態を概略的に示す。代替的な送達システムは、皮質骨のような比較的硬い組織への縫合糸頭部の送達が必要な外科手術、及び縫合糸頭部を固定用結び目に圧潰する前に、送達針からの縫合糸頭部の完全な遠位延長が許容される手順に特に有用である。
【0095】
図12aを参照すると、第1の工程において、縫合糸固定デバイス963は、長手方向の針空洞966を有する中空送達針964内に配置されているのが見える。長手方向のピストン空洞970を有する、長手方向に摺動可能な中空ピストン968は、針空洞966内に配置されているのが見える。一実施形態において、縫合糸固定デバイス963は、縫合糸頭部972を含む摺動型のデバイスであり、頭部は、遠位頭部末端974、近位頭部末端976、及び近位頭部末端976から延びる2つの圧潰尾部978、980を有する。圧潰尾部978、980は、ピストン968の外側表面と、送達針964の内側表面との間に配置されているのが見える。遠位フォーク984を有するプッシャーロッド982がピストン空洞970を通して、縫合糸頭部972を通して遠位に、又は頭部と並んで配置されて、遠位頭部末端974の近辺にて、縫合糸頭部972が構成される縫合糸986の一部分と係合しているのが見える。送達針964は、組織990内に準備された固定孔988の入口内に配置されているのが見える。図12a〜図12eに示す実施形態において、組織990は骨であり、固定孔988は、皮質層992を通して海綿骨994内に貫通している。固定孔988は、外科ドリル又は他の骨貫通方法により準備されてもよい。
【0096】
図12bを参照すると、第2の工程において、プッシャーロッド982を使用して縫合糸頭部972を針964から固定孔988内に遠位方向に押し、ピストン968は、縫合糸頭部972の遠位方向の動きに追従しているのが見える。一実施形態において、ピストン968は、プッシャーロッド982と協働して使用されて、針964から縫合糸頭部972を押す。図12cを参照すると、第3の工程において、プッシャーロッド982は除去され、縫合糸頭部972をピストン968の遠位端に接して配置されたまま残留させているのが見える。図12dを参照すると、第4の工程において、縫合糸頭部972は、2つの圧潰尾部978、980の近位方向への引っ張りにより、固定用結び目1002に圧潰されたのが見える。図12eを参照すると、第5の工程において、針964及び針内のピストン968は固定孔988から近位方向に除去され、2つの圧潰尾部978、980を組織994に固定された状態で、外科手術で更なる使用に利用できるよう残留させているのが見える。
【0097】
特に、上に重なる皮質骨の後部の硬い海綿骨等の硬組織において、1つ以上の圧潰尾部の引っ張りは、縫合糸頭部を硬組織内の受容孔の壁に対して完全に拡張して固定用結び目を完全に形成するには不十分であり得る。これが当て嵌まり得る外科的状況では、海綿骨内の孔の直径は、送達針が挿入されて固定デバイスが送達される前に、皮質骨を通した入口を大きくすることなく拡大されることが好ましい。図13に骨1012内の変更された固定孔1010を示し、固定孔1010の海綿部分1014が固定孔1010の皮質部分1016と比較して拡張されて、固定用結び目1018の留置に適合されている。固定孔1010の海綿部分1014の拡張は、固定孔1010の皮質部分1016を通して挿入可能な屈曲切削ツール、穿孔した孔内に挿入され、かつ挿入の軸線から径方向外側に配置され得るツール、遠位末端の近傍に径方向に配置可能な切削部材を有するドリルビット、及び超音波又は他の動力を供給される切削ツールを含むが、これらに限定されない任意の手段により達成することができる。
【0098】
図14a〜図14dは、縫合糸頭部を組織に送達するのに中空送達針を必要としない、本発明による縫合糸固定デバイス、及びデバイスの組織への送達の代替的な実施形態を概略的に示す。図14aを参照すると、縫合糸固定デバイス1020は、本明細書に開示した任意の種類の非摺動縫合糸頭部を含んでもよい非摺動縫合糸頭部1022を含んでいるのが見える。縫合糸頭部1022は、第1の頭部末端1024及び第2の末端1026を有するのが見える。第1の末端1024から圧潰尾部1028が延び、第2の末端1026から送達縫合糸尾部1030が延びて組織貫通ツール1032にて終結し、組織貫通ツールは、様々な実施形態にて縫合針又は外科用ガイドワイヤである。送達尾部1030は圧潰尾部として構成されていないため、縫合糸頭部1022に対する送達尾部1030の引っ張りは、縫合糸頭部1022を固定用結び目に圧潰しない。
【0099】
一実施形態において、縫合糸固定デバイス1020は、関節鏡処置のような患者の身体内1034で行われる外科手術に使用されて、患者の皮膚1038の下にある第1の内部身体組織1036に縫合糸を固定する。一実施形態において、第1の内部組織1036は、皮膚1038の下方の第2の内部身体組織1040の下にもある。一実施形態において、第1の内部組織1036は、膝の半月板であり、第2の内部組織1040は、膝の関節包である。
【0100】
第1の外科工程を図示する図14bを参照すると、組織貫通ツール1032は、患者の内部1034から第1の身体組織1036、第2の身体組織1040及び皮膚1038を通過しているのが見える。加えて、縫合糸頭部1022が第1の身体組織1036を介して引かれ、第1の身体組織1036と皮膚1038との間に縫合糸頭部1022を配置させている。図14cを参照すると、留置工程において、圧潰尾部1028及び送達尾部1030が両方とも縫合糸頭部1022に対して引っ張られて、縫合糸頭部1022を固定用結び目1050に圧潰しているのが見える。最終的に、図14dを参照すると、最後の工程において、固定用結び目が圧潰尾部1028の引っ張りにより第1の身体組織に対して固定されているのが見え、送達尾部1030が切り取られているのが見え、皮膚1038の上方に突出した縫合糸は残留していない。固定用結び目1050により固定された送達尾部1030は、次に、他の組織又は植え込み可能なデバイス(図14a〜図14dに示さず)に接続する外科手術での更なる使用に利用することができる。
【0101】
縫合糸を組織に直接固定することに加えて、本明細書にて上述した本発明の縫合糸固定デバイスは、そのものが組織に定着できる中間インプラントに対して縫合糸を固定するのに使用することができる。中間インプラントは、縫合糸アンカー、中空ねじ又はリベット、及び骨プレート等の植え込まれた他の物体を含むが、これらに限定されない任意の多様なインプラントタイプであってもよい。中間インプラントの組織に対する定着は、干渉、トグリング、ねじ山、拡大又は延長部材、接着剤及びセメントを含むが、これらに限定されない任意の公知の手段によるものであってもよい。図15a〜図15dは、縫合糸固定システム、及び本明細書にて上述した任意の種類の縫合糸頭部であってもよい縫合糸頭部を組み込む関連した方法、並びに組織に定着させるための中間インプラントの実施形態の断面図を示す。
【0102】
最初に図15aを参照すると、組織固定本体1060は、組織1064内の孔1062内に定着させるために提供されているのが見え、組織は一実施形態では皮質層1066及び海綿層1068を有する骨である。組織固定本体1060は、近位端1070、遠位端1072、及び近位端1070と遠位端1072との間に延びる空洞1074を有するのが見える。一実施形態において、空洞1074は、その長さに沿って実質的に固定した断面寸法(空洞が円形の断面を有する場合、直径)を有する。組織固定本体1060は、組織固定本体1060を孔1062内に定着するための1つ以上の外側定着部材1076を更に含むのが見える。任意の公知の方法を使用して、組織1064内に孔1062を準備し、孔内に固定本体1060を定着することができる。
【0103】
本実施形態では、1つ以上の定着部材1076は、孔1062の内壁と係合するために、固定本体1060上の外側ねじ山を含む。固定本体1060は、相補的な挿入ツール1080の固定本体1060との解放可能な接続のためのツール係合構造1078も含んで、固定本体1060を孔1062内に回転的に差し込む。ツール係合構造1078は、近位端1070と遠位端1072との間にて、その長さの少なくとも一部分に沿って、空洞1074の非円形の内部断面を含んでもよい。非円形の断面は、挿入ツール1080を受容する六角形の内側断面、又は正方形、星形及び他のねじ回し型の装着部(fitting)等を含むが、これらに限定されない他の構成等、回転係合に有効な任意の種類の断面であってもよい。別の実施形態では、固定本体1060は、予め穿孔された孔を提供することなく、組織1064内に定着し得る自己穿孔ねじを含む。図15bは、組織1064に定着された組織固定本体1060を示す。
【0104】
図15cを参照すると、1つ以上の近位方向に延びる縫合糸尾部1086を含む、縫合糸頭部1084を送達する送達ツール1082は、少なくとも部分的に空洞1074を通して固定本体1060の近位端1070から遠位端1072に向かって配置されているのが見える。送達ツール1082は、送達ツール1082の空洞1074内への最大挿入深度を決定する停止要素1088を含むことが好ましい。送達ツール1082がかように空洞1074内に配置された状態で、本明細書にて上述した方法及び装置を使用して、縫合糸頭部1084が送達ツール1082から遠位方向へ送達される。図15dを参照すると、縫合糸頭部1084は空洞1074の遠位端1072を越えて遠位方向に送達され、空洞1074の断面寸法よりも大きい断面寸法を有する固定用結び目1090に圧潰されて、1つ以上の縫合糸尾部1086が引っ張られた際に、固定用結び目1090が空洞1074を通して近位方向に引き抜かれることに抵抗するのが見える。送達ツール1082は、図15dにも、空洞1074から除去されて示されている。
【0105】
様々な実施形態において、挿入ツール1080は、図15bに示すように、固定本体1060を組織1064に定着した後に固定本体1060から除去され、又は定着後、固定本体1060に接続されたまま残留される。挿入ツール1080が固定本体1060を組織1064に定着した後に固定本体1060に接続されたまま残留される実施形態では、挿入ツール1080は、内部に送達ツール1082を受容し、そして空洞1074へ送るよう中空である。この実施形態において、挿入ツール1080は、縫合糸頭部1084を留置するために空洞1074を配置する外科医を補助する案内としても機能する。
【0106】
縫合糸固定システムと、縫合糸頭部及び組織に対する定着のために中間インプラントを組み込む関連した方法との別の実施形態を、図16a〜図16dに示す。図16a〜図16dの実施形態は図15a〜図15dの実施形態と類似しているが、図16a〜図16dの実施形態では、固定用結び目が、留置後、中間インプラントの遠位ではなく、実質的に中間インプラント内に含まれている。
【0107】
最初に図16aを参照すると、組織1064内の孔1062内に定着するための結び目保持固定本体1094が提供されている。結び目保持固定本体1094は、近位端1096、遠位端1098、及び近位端1096と遠位端1098との間に延びる可変断面空洞1100を有するのが見える。結び目保持固定本体1094は、図15a〜図15dの組織固定本体1060と類似しているのが見えるが、可変断面空洞1100は近位端1096から遠位方向に離間した拡大された直径部分1102を含むのが見える。一実施形態において、可変断面空洞は、その長さに沿って断面に段1104が付けられ、近位端1096よりも遠位端1098の断面が大きくなっている。別の実施形態では、可変断面空洞1094は、結び目保持固定本体1094の遠位端1098にて実質的に閉鎖されている。図16bに、組織1064に定着された結び目保持固定本体1094を示す。
【0108】
図16cを参照すると、縫合糸頭部1084は、図15cに関連して記載したように、送達ツール1084内に配置されているのが見えるが、図16dに示すように、可変空洞1100の拡大部分1102内に送達されて、実質的に可変空洞内に配置された固定用結び目1106に圧潰される。一実施形態において、固定用結び目1106は、可変空洞1100の拡大部分1102の内部断面と一致する。縫合糸頭部と中間インプラントの両方を含む、図15a〜図16dにあるようなハイブリッド実施形態は、例えば中間インプラント内の孔又は細長孔が、インプラント上の1つ以上の位置内に縫合糸を固定するために提供される又はされ得る外科手術に有用である。
【0109】
本発明による第1の固定デバイスの予め形成した孔又は空洞を介した留置の後、1つ以上の縫合糸の脚部が、第1の固定用結び目から孔又は空洞を介して近位方向へ延びる。マルチ固定の実施形態では、予め形成した孔又は空洞の断面寸法は、1つ以上の縫合糸の脚部と並んだ孔又は空洞を、第2の固定デバイス用の送達ツールが通過することを可能にするような大きさにされる。それ故、孔又は空洞を一定の大きさに作ることにより、外科手術の要求に従って外科医により決定される2つ以上の固定デバイスを孔又は空洞に留置することが可能となる。
【0110】
本発明による縫合糸固定デバイスは、それらの構成及び構造の材料、用途及び送達の多様性、低減された外科的外傷、定着強度、並びに破損モードに関連した利点を含むが、これらに限定されない多数の利点を有する。構造の材料に関して、本発明による縫合糸固定デバイスは、実質的に、アンカー本体と、本体に接続される縫合糸とに使用される材料間の材料適合性の問題が存在しない縫合糸から有利に作製される。更に、本発明は、縫合糸固定デバイスと、縫合糸の単一の連続した長さから構成される関連した縫合糸とを提供することができ、アンカー構成要素間の全てのインターフェースを有利に排除する。
【0111】
加えて、実質的に縫合糸から形成される縫合糸固定デバイスは、デバイスが植え込まれる組織に外傷を与え得る鋭利な縁又は角を有さない。更に、構造の材料は、高い機械的強度、卓越した組織適合性、制御される生体吸収性、及び組織内殖、並びに外科修復処置に好適な他の所望の特性の1つ以上を提供できる材料を含む、非常に様々な入手可能な縫合糸材料の中から選択することができる。また更に、潤滑性、結び又は化学的溶出を調節するための縫合糸の機械的及び化学的処理は、当技術分野にて公知であり、本発明の全体に容易に適用され、又は縫合糸固定デバイス構築に使用される縫合糸の一部のみを処理することにより、そのセクションに容易に適用される。また更に、本発明で提供される結ばれた固定構成自体が、治癒を向上させるための組織内殖を助長できる比較的開放された構造である。
【0112】
本発明による縫合糸固定デバイスは、固定デバイスを構成する縫合糸の直径の数倍のみの直径を有する中空送達針を経由して組織に有利に送達され、それにより送達方法に関連した外科的外傷を最小にする。送達は組織壁の後部、又は上に重なる皮質骨を通して、小径貫通部の後部のバルク組織内、例えば軟骨内又は海綿骨内への空間に対するものであり得る。加えて、組織内に留置された固定用結び目の断面寸法は、送達針内に配置された縫合糸頭部の長さにより主に決定されるため、幅広い固定用結び目の寸法と、したがって留置保持強度とを、所定の送達針の直径を使用して送達することができる。この特徴により、修復の定着強度を、アンカー材料のチーズワイヤリング、又はアンカー本体の鋭利な角における縫合糸の切断等の問題を有することなく、縫合糸材料の破損強度迄、特定の外科手術用に誂えることができる。また有利なことに、本発明による固定デバイスを使用して行われた修復が失敗した場合、潜在的に有害な、破損したアンカー本体からの鋭利な縁又は尖った断片が生成されない。
【0113】
本発明による縫合糸固定デバイスは、軟組織断裂又は下にある骨からの分離の修復等、損傷組織の低侵襲製修復を行う際に特に有利である。非限定的な一例として、最小の外科的外傷を有して骨に対して旋筋腱板組織を再接近(reapproximate)させ、縫合糸を骨内に固定するため、1つ以上の縫合糸頭部を含む小径送達針を損傷した回旋筋腱板の組織に通し、下にある上腕骨の骨内に通過させ、回旋筋腱板断裂の一部の厚さの低侵襲性修復ができる。
【0114】
縫合糸頭部は可撓性であるため、送達針はその長さに沿って1つ以上の湾曲又は屈曲を含むよう成形されて、外科部位へのアクセスを最適化し、また外科的外傷を更に少なくすることができる。送達針の例示的な形状は、針に沿った実質的に180度のUターン、及び任意の他の角度のターン、並びに螺旋形(コルク抜き形)の送達針を含むことができる。更に、縫合糸頭部は、針から排出されるにつれて固定用結び目に圧潰されるこができるため、留置に必要な組織内又は組織を通した貫通部の深さを最小にすることができる。この特徴は、例えば、縫合糸の固定が小骨、又は組織壁の後部の浅い空間内に必要な場合、特に有利である。例えば、図1bは、針116を越えて完全な長さに突出する縫合糸頭部102を示す。しかしながら、縫合糸頭部102を完全な長さに突出させず、ピストン128で縫合糸頭部102を押し出す一方で、縫合糸尾部112を同時に引っ張ることにより、縫合糸頭部は針遠位端120において、少しだけ固定用結び目136に拡大される。
【0115】
本明細書に開示した縫合糸固定デバイスの様々な実施形態は、固定用結び目と縫合糸との間の固定及び摺動結合のいずれか又は両方を含むため、本発明により非常に幅広い適用性が提供される。加えて、複数の縫合糸結合固定デバイスが単一の送達針により送達することができる。更に、単一の送達針内の複数の固定デバイスは、2種類以上の固定デバイスを含むことができる。また更に、固定デバイスと共に接着剤又はセメントを注入することができ、修復に安定性を加えることができる。
【0116】
当業者は、上述した実施形態に基づき本発明の更なる特徴及び利点を理解し、また本発明が開放手術、低侵襲性手術、及びロボット支援下手術に適用できることを理解するであろう。更に、本明細書に引用した外科工程は、その詳細、実施の順序、及び処置における包含物の必要性を、本発明の意図及び範囲から逸脱することなく変更することができる。したがって、本発明は、付属の特許請求の範囲において示される場合は例外として、具体的に図示、記載されたものに限定されるものではない。本明細書中に引用される刊行物及び参考文献はすべて、それらの全容を参照により本明細書に明白に組み込むものである。
【0117】
〔実施の態様〕
(1) 半月板修復装置において、
第1の定着部材及び第2の定着部材と、
前記第1の定着部材及び第2の定着部材に結合した縫合糸の長さと、
前記縫合糸の長さに関連した、前記第1の定着部材と前記第2の定着部材との間で前記縫合糸の長さを短縮する手段と、を含み、
前記第1の定着部材は、前記縫合糸の長さの一部分に沿った予め形成した第1の結び目構成を含み、前記第2の定着部材は、前記縫合糸の長さの他の部分に沿った予め形成した第2の結び目構成を含み、
前記予め形成した第1の結び目構成は、前記縫合糸の長さに沿って第1の最大直径を有し、かつ前記第1の最大直径の少なくとも3倍大きい第1の最小直径を有する第1の固定用結び目に再構成可能であり、前記予め形成した第2の結び目構成は、前記縫合糸の長さに沿って第2の最大直径を有し、かつ前記第2の最大直径の少なくとも3倍大きい第2の最小直径を有する第2の固定用結び目に再構成可能である、半月板修復装置。
(2) 前記半月板修復装置が、無菌であり、細菌不透過性の閉鎖容器内に包装される、実施態様1に記載の半月板修復装置。
(3) 前記半月板修復装置が、生物学的に適合性の材料から形成される、実施態様1に記載の半月板修復装置。
(4) 前記第1の定着部材及び前記第2の定着部材のうち少なくとも一方が、前記縫合糸の長さから形成される、実施態様1に記載の半月板修復装置。
(5) 前記第1の定着部材及び前記第2の定着部材のうち少なくとも一方が、前記縫合糸の長さと編み合わせられた別個の縫合糸の部分を含む、実施態様1に記載の半月板修復装置。
(6) 前記縫合糸の長さに関連した、前記縫合糸の長さを短縮する手段が、滑り結び目を含む、実施態様1に記載の半月板修復装置。
(7) 前記第1の定着部材及び前記第2の定着部材のうち一方が、前記縫合糸の長さのループ上に配置され、前記滑り結び目が前記ループを短縮するよう構成されている、実施態様5に記載の半月板修復装置。
(8) 前記滑り結び目が前記第1の定着部材及び前記第2の定着部材のうち一方に位置する、実施態様7に記載の半月板修復装置。
(9) 前記滑り結び目が、前記縫合糸の長さの一部分を、前記予め形成した第1の結び目構成及び前記予め形成した第2の結び目構成のうち一方を通過させることにより形成される、実施態様8に記載の半月板修復装置。
(10) 前記第1の最小直径が、前記第1の最大直径の少なくとも5倍大きい、実施態様1に記載の半月板修復装置。
【0118】
(11) 前記第1の最小直径が、前記第1の最大直径の少なくとも10倍大きい、実施態様1に記載の半月板修復装置。
(12) 前記第1の定着部材を、半月板内の断裂に隣接した前記半月板上の第1の位置に配置する工程と、前記第2の定着部材を、前記断裂に隣接した前記半月板上の第2の位置に配置する工程と、前記縫合糸の長さを、前記断裂を横切って通過させ、前記縫合糸の長さを短縮して前記断裂を閉鎖する工程と、を含む、使用のための指示書を更に含む、実施態様1に記載の半月板修復装置。
(13) 半月板内の断裂の修復方法において、
予め形成した第1の結び目構成を含み、かつ縫合糸の長さに結合した第1の定着部材を、前記半月板内の前記断裂に隣接した第1の位置に配置する工程と、
前記第1の定着部材から離間した前記縫合糸の長さに結合した、予め形成した第2の結び目構成を含む第2の定着部材を、前記縫合糸の長さが前記半月板を通過し、かつ前記断裂を横切るように、前記半月板内の前記断裂に隣接した第2の位置に配置する工程と、
前記予め形成した第1の結び目構成を第1の固定用結び目に拡大する工程と、
前記予め形成した第2の結び目構成を第2の固定用結び目に拡大する工程と、
前記第1の定着部材と前記第2の定着部材との間の縫合糸の長さを短縮することによって前記断裂を閉鎖する工程と、を含む、方法。
(14) 前記第1の定着部材と前記第2の定着部材との間の前記縫合糸の長さの一部分が、滑り結び目を有するループを含み、前記第1の定着部材と前記第2の定着部材との間の前記縫合糸の長さを短縮する前記工程が、少なくとも部分的に前記ループを閉鎖するように前記滑り結び目を摺動させることを含む、実施態様13に記載の方法。
(15) 前記滑り結び目が、前記第1の定着部材又は前記第2の定着部材のうち一方に配置され、前記滑り結び目を摺動させる前記工程の間その位置から移動しない、実施態様14に記載の方法。
(16) 前記半月板が、大腿骨に向いた第1の表面と、前記大腿骨から離れて外側又は内側に向いた第2の表面とを有し、前記第1の位置及び前記第2の位置が、前記第2の表面上に選択される、実施態様13に記載の方法。
(17) 前記縫合糸の長さが、前記第1の表面の一部分を通過する、実施態様16に記載の方法。
(18) 前記第1の定着部材を第1の位置の部材に配置する前記工程が、中空針を、前記半月板を通して前記第1の表面から前記第2の表面に通過させ、前記第1の定着部材を前記第1の位置に放出することを含む、実施態様17に記載の方法。
(19) 前記予め形成した第1の結び目構成を拡大する前記工程が、前記予め形成した第1の結び目から延びる縫合糸尾部を、前記予め形成した第1の結び目に対して引っ張ることを含む、実施態様18に記載の方法。
(20) 前記縫合糸尾部を引っ張りつつ、前記中空針に関連した当接部を、前記予め形成した第1の結び目に対抗して配置することを更に含む、実施態様19に記載の方法。
【0119】
(21) 前記縫合糸尾部が前記縫合糸の長さを含む、実施態様19に記載の方法。
【開示の内容】
【0001】
本発明は一般に、半月板組織を修復するためのデバイス、システム及び方法、特に、縫合糸及び固定用結び目を使用するデバイス、システム及び方法に関する。
【0002】
〔発明の背景〕
半月板は、主に膝内の大腿骨と脛骨との間に位置する緩衝物質からなる一対のC形状の円盤を含む。半月板内に断裂が生じる場合があり、これらの外傷の修復は、特に、修復のために皮膚内の小さい開口を介して半月板にアクセスする関節鏡又は半開放処置(semi-open procedure)においては未だに課題である。現在の修復方法は、断裂を横切る、ある長さの縫合糸により接続される第1の固体インプラントと第2の固体インプラントを送達して断裂を閉鎖し、組織を一緒に増殖させることを含む。一般に、これらの方法は、大腿骨に向いた半月板の表面上にインプラント又は結び目を使用し、このことは使用中に表面が支持する荷重により完全に望ましいものではない。
【0003】
本発明は、これら及び他の限界を克服するよう努め、半月板組織の損傷を修復するための改良されたデバイス及び方法を提供する。
【0004】
〔発明の概要〕
本発明による半月板修復装置は、縫合糸の長さに結合した第1及び第2の定着部材を含み、その縫合糸の長さは、第1の定着部材と第2の定着部材との間で縫合糸の長さを短縮するいくつかの手段と共に、第1の定着部材及び第2の定着部材に結合している。各定着部材は、縫合糸の長さの一部分に沿った予め形成した結び目構成を含み、その結び目構成は、縫合糸の長さに沿って最大直径を有し、かつ前記最大直径の少なくとも3倍大きい最小直径を有する固定用結び目に再構成されることができる。
【0005】
好ましくは、半月板修復装置は無菌であり、細菌不透過性の閉鎖容器(enclosure)内に包装され、また好ましくは生物学的に適合性の材料から形成される。
【0006】
本発明の一態様において、定着部材の一方又は両方は、縫合糸の長さから形成される。あるいは、定着部材の一方又は両方は、縫合糸の長さと編み合わせられた(interwined)別個の縫合糸の部分を含んでもよい。
【0007】
好ましくは、縫合糸の長さに関連した、縫合糸の長さを短縮する手段は、縫合糸の長さのループ内に形成された固定滑り結び目を含み、その結び目によりループを短縮する。本発明はループに制限される必要はなく、滑り結び目を通過する縫合糸の単一の長さ、又は摺動及び固定構成を使用してもよい。好ましくは、そのような滑り結び目は定着部材の1つに位置し、縫合糸の長さの一部分を、予め形成した第1の結び目構成及び予め形成した結び目第2の構成のうち一方に通過させること(passing a portion of the suture length through of the first preformed knot configuration and second preformed knot configuration)により形成され得る。大腿骨に接触する部分等の大きい荷重を支持する表面から離れた半月板の表面上に定着部材を配置する際、これは滑り結び目も荷重支持表面から除去する。
【0008】
好ましくは、固定用結び目の最小直径は、予め形成した結び目構成の最大直径の少なくとも5倍大きく、より好ましくは少なくとも10倍大きい。
【0009】
使用のための指示書が含まれることが好ましく、使用は、定着部材の一方を半月板内の断裂に隣接した半月板上の位置に配置する工程と、他方の定着部材を断裂に隣接した半月板上の異なる位置に配置する工程と、断裂を横切って縫合糸の長さを通過させる工程と、縫合糸の長さを短縮して断裂を閉鎖する工程と、を含む。
【0010】
本発明による半月板内の断裂の修復方法は、予め形成した第1の結び目構成を含み、かつ縫合糸の長さに結合した第1の定着部材を、半月板内の断裂に隣接した第1の位置に配置する工程と、第1の定着部材から離間した縫合糸の長さに結合した、予め形成した第2の結び目構成を含む第2の定着部材を、半月板内の断裂に隣接した第2の位置に配置する工程であって、ここで縫合糸の長さは半月板を通過し、かつ断裂を横切っている、工程と、予め形成した第1の結び目構成を第1の固定用結び目に拡大する工程と、予め形成した第2の結び目構成を第2の固定用結び目に拡大する工程と、第1の定着部材と第2の定着部材との間で縫合糸の長さを短縮して、断裂を閉鎖する工程と、を含む。
【0011】
好ましくは、第1の定着部材と第2の定着部材との間の縫合糸の長さの一部分は、滑り結び目を有するループを含み、第1の定着部材と第2の定着部材との間で縫合糸の長さを短縮する工程は、少なくとも部分的にループを閉鎖するように滑り結び目を摺動させる工程を含む。好ましくは、滑り結び目は、第1の定着部材又は第2の定着部材のうち一方に配置され、滑り結び目を摺動させる工程の間、その位置から移動しない。
【0012】
半月板は、大腿骨に向いた第1の表面と、大腿骨から離れて外側又は内側に向いた第2の表面とを有し、好ましくは第1の位置及び第2の位置は、第2の表面上に選択される。したがって、これは一般に、第1の表面の一部分を通過する縫合糸の長さの一部分を使用する。
【0013】
好ましくは、定着部材のうち1つ以上を半月板上のその位置に配置する工程は、中空針を、半月板を通して第1の表面から第2の表面に通過させる工程と、それらの(sucht)定着部材をその位置に放出する工程とを含む。
【0014】
好ましくは、予め形成した結び目構成を拡大する工程は、結び目構成から延びる縫合糸尾部を、予め形成した結び目に対して引っ張る工程を含む。好ましくは、中空針に関連した当接部が、縫合糸尾部を引っ張る間、予め形成した第1の結び目に対抗して配置される。また好ましくは、縫合糸尾部は縫合糸の長さを含む。
【図面の簡単な説明】
【0015】
本発明は、以下の詳細な説明を付属の図面と併せ読むことでより完全に理解されよう。
【図1a】本発明による縫合糸固定デバイス及びその留置の実施形態を示す図。
【図1b】本発明による縫合糸固定デバイス及びその留置の実施形態を示す図。
【図1c】本発明による縫合糸固定デバイス及びその留置の実施形態を示す図。
【図1d】本発明による縫合糸固定デバイス及びその留置の実施形態を示す図。
【図2a】捻られた編組縫合糸頭部を含む、本発明による縫合糸定着デバイスの非摺動実施形態を示す図。
【図2b】捻られた編組縫合糸頭部を含む、本発明による縫合糸定着デバイスの非摺動実施形態を示す図。
【図2c】捻られた編組縫合糸頭部を含む、本発明による縫合糸定着デバイスの非摺動実施形態を示す図。
【図2d】捻られた編組縫合糸頭部を含む、本発明による縫合糸定着デバイスの非摺動実施形態を示す図。
【図3a】かぎ針編み縫合糸頭部を含む、本発明による縫合糸定着デバイスの非摺動実施形態を示す図。
【図3b】かぎ針編み縫合糸頭部を含む、本発明による縫合糸定着デバイスの非摺動実施形態を示す図。
【図3c】かぎ針編み縫合糸頭部を含む、本発明による縫合糸定着デバイスの非摺動実施形態を示す図。
【図4a】本発明による縫合糸固定デバイスの摺動実施形態を示す図。
【図4b】本発明による縫合糸固定デバイスの摺動実施形態を示す図。
【図4c】本発明による縫合糸固定デバイスの摺動実施形態を示す図。
【図4d】本発明による縫合糸固定デバイスの摺動実施形態を示す図。
【図5a】互いに貫通し合う縫合糸を含む、本発明による縫合糸固定デバイスの実施形態を示す図。
【図5b】互いに貫通し合う縫合糸を含む、本発明による縫合糸固定デバイスの実施形態を示す図。
【図5c】互いに貫通し合う縫合糸を含む、本発明による縫合糸固定デバイスの実施形態を示す図。
【図5d】互いに貫通し合う縫合糸を含む、本発明による縫合糸固定デバイスの実施形態を示す図。
【図6a】膝内の半月板の修復に適用可能な、本発明による縫合糸固定デバイスの実施形態を示す図。
【図6b】膝内の半月板の修復に適用可能な、本発明による縫合糸固定デバイスの実施形態を示す図。
【図7a】図6a及び図6bに示した固定デバイスを組織に送達するのに使用し得る、本発明の送達ツールの実施形態を示す図。
【図7b】図6a及び図6bに示した固定デバイスを組織に送達するのに使用し得る、本発明の送達ツールの実施形態を示す図。
【図8a】屈曲した送達針を含む、本発明の送達ツールの実施形態を示す図。
【図8b】屈曲した送達針を含む、本発明の送達ツールの実施形態を示す図。
【図9a】膝内の断裂した半月板の修復のための、本発明の外科修復処置の実施形態を示す図。
【図9b】膝内の断裂した半月板の修復のための、本発明の外科修復処置の実施形態を示す図。
【図9c】膝内の断裂した半月板の修復のための、本発明の外科修復処置の実施形態を示す図。
【図9d】膝内の断裂した半月板の修復のための、本発明の外科修復処置の実施形態を示す図。
【図9e】膝内の断裂した半月板の修復のための、本発明の外科修復処置の実施形態を示す図。
【図9f】膝内の断裂した半月板の修復のための、本発明の外科修復処置の実施形態を示す図。
【図9g】膝内の断裂した半月板の修復のための、本発明の外科修復処置の実施形態を示す図。
【図9h】膝内の断裂した半月板の修復のための、本発明の外科修復処置の実施形態を示す図。
【図9i】膝内の断裂した半月板の修復のための、本発明の外科修復処置の実施形態を示す図。
【図9j】膝内の断裂した半月板の修復のための、本発明の外科修復処置の実施形態を示す図。
【図9k】膝内の断裂した半月板の修復のための、本発明の外科修復処置の実施形態を示す図。
【図10a】単一位置固定及びデイジーチェーン(daisy-chaining)固定位置のための、本発明の送達ツールの実施形態を示す図。
【図10b】単一位置固定及びデイジーチェーン(daisy-chaining)固定位置のための、本発明の送達ツールの実施形態を示す図。
【図11a】本発明のデイジーチェーン固定手順の実施形態を示す図。
【図11b】本発明のデイジーチェーン固定手順の実施形態を示す図。
【図11c】本発明のデイジーチェーン固定手順の実施形態を示す図。
【図11d】本発明のデイジーチェーン固定手順の実施形態を示す図。
【図11e】本発明のデイジーチェーン固定手順の実施形態を示す図。
【図11f】本発明のデイジーチェーン固定手順の実施形態を示す図。
【図11g】本発明のデイジーチェーン固定手順の実施形態を示す図。
【図11h】本発明のデイジーチェーン固定手順の実施形態を示す図。
【図11i】本発明のデイジーチェーン固定手順の実施形態を示す図。
【図12a】硬組織内への本発明の縫合糸固定デバイスの送達の実施形態を示す図。
【図12b】硬組織内への本発明の縫合糸固定デバイスの送達の実施形態を示す図。
【図12c】硬組織内への本発明の縫合糸固定デバイスの送達の実施形態を示す図。
【図12d】硬組織内への本発明の縫合糸固定デバイスの送達の実施形態を示す図。
【図12e】硬組織内への本発明の縫合糸固定デバイスの送達の実施形態を示す図。
【図13】本発明の縫合糸固定デバイスを受容するための骨内の皮質下に拡張した孔の実施形態を示す図。
【図14a】本発明の送達デバイスの代替的な実施形態を示す図。
【図14b】本発明の送達デバイスの代替的な実施形態を示す図。
【図14c】本発明の送達デバイスの代替的な実施形態を示す図。
【図14d】本発明の送達デバイスの代替的な実施形態を示す図。
【図15a】縫合糸頭部が中間固定インプラントと共に使用される、本発明の縫合糸固定システムの実施形態を示す図。
【図15b】縫合糸頭部が中間固定インプラントと共に使用される、本発明の縫合糸固定システムの実施形態を示す図。
【図15c】縫合糸頭部が中間固定インプラントと共に使用される、本発明の縫合糸固定システムの実施形態を示す図。
【図15d】縫合糸頭部が中間固定インプラントと共に使用される、本発明の縫合糸固定システムの実施形態を示す図。
【図16a】縫合糸頭部が中間固定インプラントの内部に留置される、本発明の固定システムの別の実施形態を示す図。
【図16b】縫合糸頭部が中間固定インプラントの内部に留置される、本発明の固定システムの別の実施形態を示す図。
【図16c】縫合糸頭部が中間固定インプラントの内部に留置される、本発明の固定システムの別の実施形態を示す図。
【図16d】縫合糸頭部が中間固定インプラントの内部に留置される、本発明の固定システムの別の実施形態を示す図。
【0016】
〔詳細な説明〕
本明細書で開示するデバイス、システム及び方法の構造、機能、製造、及び使用の原理が総括的に理解されるように、特定の例示的実施形態について、これから説明することにする。当業者は、本明細書で明確に記載され、付属の図面に示されるデバイス及び方法が、非限定の例示的な実施形態であり、本発明の範囲が、特許請求の範囲のみにより定義されることを認識するであろう。ある実施形態に関連して例示又は説明した特徴は、他の実施形態の特徴と組み合わされてもよい。こうした改変及び変形は、本発明の範囲内に含まれるものとする。図面は一般に概略的であり、当尺で図示されず、本発明の特定の実施形態の記載を容易にすることのみを意図することに留意するべきである。
【0017】
本発明は一般に、縫合糸を組織に固定するためのデバイス、システム及び方法を提供する。用語「組織」は、軟骨、皮膚、筋肉、骨、腱、靱帯及び器官を含むが、これらに限定されない任意の天然の身体組織、並びに縫合糸及び固定デバイスを用いて天然の身体組織を修復し又は組織に取り付けられ得るグラフト又は他の補綴具等の補綴材料を指すように本明細書において使用される。本明細書には、医療デバイスとして使用され得る外科縫合糸又は任意の細長い、糸様の材料(以後、「縫合糸」)から実質的に製作された縫合糸固定デバイスの実施形態が開示されている。縫合糸は、単一の繊維又は複数の編み合わせられた繊維を含んでもよく、また非限定的に、実質的に円形の断面、及び扁平なリボン又はテープ様の断面を含む任意の断面形状を有してもよい。更に、縫合糸は、非吸収性、生体吸収性、又は部分的に生体吸収性であってもよい。本発明の意図又は範囲から逸脱することなく、縫合糸材料は、潤滑性又は結び目保持能力を向上させるため、薬物を溶出するため、又は前述した若しくは他の治療目的の任意の組み合わせのために、機械的又は化学的に変更、処理又は被覆されてもよい。更に、本発明による固定デバイスの様々な実施形態は、完全に縫合糸から構成され得るが、本発明の意図及び範囲から逸脱することなく、例えばクリップ又は接着剤等の更なる構成要素を含んでもよい。
【0018】
本発明による固定デバイスは、一般に、長手方向に細長い、小さい断面の当初構成を有する固定部材(以後、縫合糸頭部)から延びる、縫合糸の1つ以上のセグメント(以後、縫合糸尾部)を含む。留置後、縫合糸頭部は再構成(圧潰)されて、それに応じて縫合糸頭部よりも大きい断面を有する、長手方向に圧縮された構成(固定用結び目)となる。即ち、固定用結び目は、より大きい断面積と、縫合糸頭部の対応する寸法よりも大きい平均断面寸法(以後、断面寸法)を有する。いくつかの実施形態において、組織へ送達されるために、縫合糸固定デバイスは、固定用結び目の断面寸法よりも実質的に小さい外径を有する中空の(cannulated)送達針内に配置される。一般に、縫合糸頭部の固定用結び目への圧潰は、1つ以上の縫合糸尾部の特定の1つ以上(圧潰尾部)を、縫合糸頭部に対して引っ張ることにより達成される。
【0019】
図1aは、本発明による縫合糸固定デバイス100の実施形態を概略的に示す。図1aに未留置状態で示される縫合糸固定デバイス100は、第1の頭部末端104、第2の頭部末端106、第1の頭部末端と第2の頭部末端との間の頭部長さ108、及び頭部長さ108よりも短い未留置断面寸法110を有する縫合糸頭部102を含む。第1の縫合糸尾部112は、実質的に第1の頭部末端104から延びるのが見える。一実施形態において、第2の縫合糸尾部114は、実質的に第2の頭部末端106から延びる。更なる実施形態において、第2の縫合糸尾部114は、第2の頭部末端106から延びる縫合糸の閉鎖ループを含む。別の実施形態では、2つ以上の縫合糸尾部が、第1の頭部末端104及び第2の頭部末端106の一方又は両方から延びる。
【0020】
縫合糸頭部102は、長手方向に延びた、予め形成した結び目構成を含み、この構成により本発明者らは、任意の、編組され、かぎ針編みされ、織り合わされ、結ばれ又は別様に構成された縫合糸のセクションを意味し、そのセクションは、組織に対して留置及び定着されるために、容易に圧潰されて、本明細書で固定用結び目と称する、長手方向に圧縮された拡張断面形態となり得る。
【0021】
縫合糸頭部102は、組織118内に又はその組織を通して送達されるために、中空送達針116内に配置されているのが見える。送達針116は、遠位送達末端120、外径122及び内径124を有する。更に、送達針116は、その長さに沿って真直又は屈曲していてもよい。一実施形態において、送達末端120は、組織貫通地点126を含む。別の実施形態では(図示せず)、送達末端120は尖っていない。内部に長手方向のピストン空洞130を有するピストン128が、送達針116内にて縫合糸頭部102の近位に摺動可能に配置されているのが見える。第1の縫合糸尾部112は、縫合糸頭部102からピストン空洞130を介して近位方向に通過するのが見える。
【0022】
以後図1bを参照すると、一実施形態において、縫合糸頭部102は、ピストン128を縫合糸頭部102に対して遠位方向に押して縫合糸頭部102を送達針116から排出することにより、送達針116から組織118へ送達される。ピストン128は、排出された縫合糸頭部102に当接しているのが見える。一実施形態において、ピストン128は、ピストン128の送達針116内での長手方向の位置を制御する近位取っ手(図示せず)に結合されている。代替的な実施形態では、縫合糸頭部102は、第2の縫合糸尾部114を遠位方向に引くことにより送達針116から送達される。一実施形態において、針116は真直である。別の実施形態では、針116は屈曲し、ピストン128は、ピストン128が曲線に沿って摺動して縫合糸頭部102を針116から送達するよう可撓性を有する。縫合糸頭部102は実質的に縫合糸を含むため、縫合糸頭部もまた、屈曲した針を通って摺動するよう可撓性を有する。
【0023】
以後図1cを参照すると、縫合糸頭部102の針116からの送達後、又は送達と同時に、縫合糸頭部102は圧潰されて、固定用結び目136を形成する。一実施形態において、縫合糸頭部102は、縫合糸頭部102がピストン128によって針116の遠位端120から完全に押し出された後、第1の縫合糸尾部112(圧潰尾部)を縫合糸頭部102に対して引っ張る138ことにより、圧潰されて固定用結び目136となる。縫合糸頭部102に当接するピストン128は、第1の縫合糸尾部112の縫合糸頭部102に対する引っ張り138の逆向きの力を提供し、縫合糸頭部102を圧潰して固定用結び目136とする。
【0024】
用語「圧潰尾部」は、本明細書にて、縫合糸頭部に対して引っ張られた際に、縫合糸頭部を圧潰して固定用結び目とするのに使用され得る任意の縫合糸尾部を記載するよう使用される。固定用結び目136は、頭部長さ108よりも短い結び目長さ140を有し、それに応じて、元々縫合糸頭部102を含む縫合糸の容積により実質的に決定される増大された断面142を有する。
【0025】
別の実施形態では、縫合糸頭部102が針116の遠位端120から排出されるのと同時に、第1の縫合糸尾部112が引っ張られて、縫合糸頭部が針116から出現するにつれて縫合糸頭部102を圧潰して固定用結び目136とする。この実施形態では、留置中、縫合糸頭部102の完全な頭部長さ108が送達針116から遠位方向に延びず、代わりに結び目長さ140のみ延びる。この、より浅い延長は、その遠位方向に位置するが送達針の遠位端の近位に位置する、組織に対する外科手術による外傷を最小にする固定デバイス100の留置を提供することができる。
【0026】
図1dは、完全に留置された固定デバイス144を示し、針116が除去されているのが見え、固定用結び目136が組織118に対して固定され、第1の縫合糸尾部112を組織若しくは他の一固定デバイスに対して接続可能なように、又は組織に固定された縫合糸が必要な任意の他の外科工程のために残している。特定の外科修復の要求に従って、固定用結び目136は、図1dに示すように組織壁の後部、又はバルク組織内、例えば縫合糸を骨に固定するために骨内に留置されてもよい。別の実施形態では、縫合糸により相互接続された2つ以上の縫合糸頭部が、2つ以上の組織固定地点を必要とする外科手術のために針内に配置される。
【0027】
固定用結び目136は、頭部長さ108よりも短い結び目長さ140を有し、それに応じて未留置断面寸法110よりも大きい、また針116の外径122よりも大きい留置断面寸法142を有する。一実施形態において、固定用結び目136は無定形であり、即ち縫合糸頭部102から固定用結び目136へ圧潰した後、不完全に予め決められた外形を有する。一般に、本発明の様々な実施形態による縫合糸頭部から形成される固定用結び目は、無定形である。縫合糸頭部102も固定用結び目136も完全な所定の形状を有さないが、いずれか一方は長さと、その長さを横断する直径とを有するものとして合理的に記載することができ、直径は、長さを横断する平均断面寸法によりほぼ定義される。
【0028】
非限定的な例として、一実施形態では、頭部長さ108は未留置断面寸法110の約10〜15倍であり、留置断面寸法142は未留置断面寸法110の3〜10倍である。縫合糸−固定デバイス100は、実質的に、縫合糸の単一の連続した長さ、又は縫合糸の複数の結合した長さから製作されてもよい。複数の結合した長さは、単一の種類の縫合糸、又は縫合糸の種類及び寸法の組み合わせを含んでもよい。更に、1つ以上の縫合糸尾部を固定用結び目に固定的に結合し、又は固定用結び目を通して摺動可能に結合してもよい。一実施形態において、針116の内径124は、縫合糸頭部を構成する縫合糸材料の直径の約6倍未満である。別の実施形態では、針116の内径124は、縫合糸頭部を構成する縫合糸材料の直径の約4倍未満である。
【0029】
本発明による固定デバイスにおいて、縫合糸頭部の設計は、全体の設計並びに送達及び留置の手順の詳細を実質的に決定する。縫合糸頭部の設計は、留置された固定用結び目の引き抜き強度、アンカー密度、即ち所定の断面寸法を有する固定用結び目内の縫合糸材料の質量も決定する。本発明の範囲内で、多数の固定デバイスの設計が可能である。本明細書の非限定的な説明を目的として、これらの設計は一般的な2つのカテゴリーに分類され、これらはそれぞれ非摺動実施形態及び摺動実施形態と称され、非摺動実施形態では、完全に留置された固定用結び目から延びる全部の縫合糸尾部が、実質的に結び目を通して摺動しないように固定され、摺動実施形態では、縫合糸の少なくとも1つの長さが、完全に留置された固定用結び目を摺動的に通過する。摺動実施形態は、いくつかの外科的用途、例えば縫合糸を、留置された固定部材と、取り付けられた組織との間で引っ張ること、2つ以上の固定デバイスを一緒に引いて組織断裂を閉鎖すること、又は固定デバイス間に介在する組織を一緒にすることが所望される場合に有利である。
【0030】
例示的な摺動実施形態では、固定デバイスは、少なくとも第1の長さの縫合糸と第2の長さの縫合糸とを含む。縫合糸の第1の長さは、一般に縫合糸頭部のバルク(及び、留置後、対応する固定用結び目)を含む。縫合糸の第2の長さは、2つの縫合糸尾部を含み、2つの尾部の一方又は他方を固定用結び目に対して個別に引っ張ることにより、固定用結び目を通って摺動可能である。摺動実施形態は、対応する縫合糸尾部の対を有する追加の摺動縫合糸を更に含んでもよい。摺動実施形態は、縫合糸の第1の長さの一部を含んでもよい1つ以上の固定縫合糸尾部、又は縫合糸の第1の長さに固定的に接続された、例えば繋がれた縫合糸の追加の長さも含むことができる。更に、縫合糸頭部の特定のデザインに応じて、1つ以上の縫合糸尾部は、圧潰尾部及び摺動尾部の一方又は両方を含むことができる。
【0031】
非摺動実施形態は、縫合糸の単一の長さ、又は例えば1つ以上の結び目により固定的に一緒に結合された縫合糸の複数の長さを含んでもよい。非摺動実施形態は縫合糸頭部を含み、その頭部から1つ以上の縫合糸尾部が延び、その1つ以上の縫合糸尾部の少なくとも1つは、圧潰尾部を含む。
【0032】
本発明による縫合糸頭部は、長手方向に延びた形態から、長手方向に圧縮された、増大した断面を有する固定用結び目へ圧潰され得る任意の予め形成した結び目構成を含むことができる。様々な実施形態において、縫合糸頭部は、縫合糸の第1の長手方向のセクションに沿って形成された、ループ、貫通部又は他の開口を含む複数の開口を含む。圧潰尾部を含む縫合糸の第2の長手方向のセクションは、複数の開口のうち2つ以上を介して織り合わされる。縫合糸頭部から1つ以上の縫合糸尾部が延び、1つ以上の縫合糸尾部の少なくとも1つは、圧潰尾部を含む。一実施形態において、縫合糸の第1のセクション、縫合糸の第2のセクション及び1つ以上の縫合糸尾部は、縫合糸の単一の連続した長さを含む。別の実施形態では、縫合糸の第1のセクション、縫合糸の第2のセクション及び1つ以上の縫合糸尾部は、縫合糸の2つ以上の連結した長さを含む。
【0033】
本発明の固定デバイスは、多様な種類の縫合糸頭部のうち1つ以上を含むことができ、多様な方法を用いて製作されることができる。縫合糸頭部の1つの種類は、固定用結び目に圧潰可能な縫合糸の編組されたセクションを含む。任意の種類の縫合糸の編組を用いて、縫合糸頭部を構成することができる。非摺動の、捻られた編組縫合糸固定デバイスの実施形態を、図2a及び図2bに概略的に示す。図2aに第1の構成工程200を示し、縫合糸202の長さは、第1の頭部末端206、第2の頭部末端208、及びそれらの間の頭部長さ210を有する開始ループ204に形成されているのが見える。縫合糸尾部212は、第2の頭部末端208から延びる。図2bに、構成された縫合糸頭部214を示す。図2bから明かであり得るように、ループ204は繰り返し捻られて、頭部長さ210に沿って複数の開口216を提供している。更に、縫合糸尾部212は、複数の開口216を介して第2の頭部末端208から第1の頭部末端206へ織り合わされているのが見え、第1の頭部末端206から延び、そこで圧潰尾部を構成する。
【0034】
縫合糸頭部構成を詳細に述べている図2b及び本明細書の他の図では、縫合糸頭部は一般に、拡大された概略形態にて示されて、縫合糸頭部を通る縫合糸の経路の説明を支持することに留意するべきである。本明細書に開示される任意の縫合糸頭部は、例えば図1aに示したように、中空送達針内に配置されるために断面が容易に圧縮され得る。例として、図2cに、送達針内での配置のために圧縮された断面形態218を有する縫合糸頭部214を示す。縫合糸頭部214は、縫合糸尾部212(圧潰尾部)を縫合糸頭部214に対して引っ張ることにより圧潰されて、図2dに示すように固定用結び目220となり得る。
【0035】
第1の縫合糸尾部212を縫合糸頭部214に対して引っ張ることにより、本発明者らは、第1の縫合糸尾部212を縫合糸頭部214から離れるよう引っ張り(引き寄せ)、それにより複数の開口216を介して織り合わされた第1の縫合糸尾部212の一部が、複数の開口216及び第1の頭部末端206を介して更に引かれて、捻られた縫合糸を頭部長さ210に沿って寄せ集め又は束ねて固定用結び目220とすることを意味する。第1の縫合糸尾部212を縫合糸頭部214に対して引っ張る222ために、第1の頭部末端に対する当接部、例えば図1のピストン128は、固定用結び目220へと圧潰するために、縫合糸頭部を定位置に保持する必要がある。圧潰尾部を引っ張る前に縫合糸頭部が組織内に埋め込まれ、又は組織壁の後部に捕捉されているいくつかの実施形態では、固定用結び目に圧潰する間、組織との摩擦も縫合糸頭部を保持することができる。
【0036】
任意の種類及び直径の縫合糸、並びに編組するための、又は内部を縫合糸が通過するための任意の数の開口216を使用して、本発明による縫合糸頭部を構成することができる。より多数の開口は一般に、より長い縫合糸頭部を提供し、留置後、より大きい断面寸法を有する固定用結び目を提供し、それにより組織に対する固定用結び目のより大きい固定強度を提供する。一実施形態において、20mm長の縫合糸頭部は、内部を通って縫合糸が織り合わされることができる15〜35個の開口を含む。別の実施形態では、複数の開口は、20〜30個の開口である。尚別の実施形態では、縫合糸頭部は約25ミリメートル(mm)の長さを有し、組織内での留置後、縫合糸頭部は、直径約5mmの実質的に無定形の固定用結び目に圧潰する。
【0037】
1つの試験実施形態において、直径約0.5ミリメートル(mm)の部分的に吸収性のポリエチレン含有編組縫合糸(Raynham,MassachusettsのDePuy Mitek製のORTHOCORD(商標)Orthopaedic Suture)から、約20mm長の縫合糸頭部を構成した。直径2mmの孔から厚さ3mm、55デュロメータの皮質を有する人工骨の海綿層内へ留置し、得られた固定用結び目の引き抜き強度は、約20.4kg(約45ポンド)であった。同様に構成した固定デバイスの、厚さ3mm、35デュロメータの皮質を有する人工骨内の直径2mmの孔を通した留置により、約10.0kg(約22ポンド)の引き抜き強度が提供された。
【0038】
当業者は、本発明の範囲内で、多数の異なる方法を用いて、固定用結び目に圧潰可能な、長手方向に延びる構成を有する縫合糸頭部を構成し得ることを理解するであろう。例えば、編組体は多様な方法により、任意の数の縫合糸セクションを一緒に編組して形成することができ、任意の編組パターンを含むように構成された縫合糸頭部は、本発明の範囲内に含まれる。更に、編組は、多様な方法のうちの1つのみを含んで、本発明による縫合糸頭部を構成する。縫合糸頭部を構成するために、例えばかぎ針編み及び織り合わせ等、他の織物分野からの他の方法を適用してもよい。
【0039】
本発明の別の固定デバイスは、縫合糸ループの鎖を使用して構成された縫合糸頭部を含む。ループの鎖は、複数の独立した縫合糸ループ、物理的に接続された区別されるループの鎖、又はかぎ針編みなどの公知の織物分野を用いて縫合糸の連続した長さに沿って形成された複数のループを含んでもよく、鎖内の複数のループのそれぞれは、縫合糸に以前に形成されたループを介して、縫合糸のセクションを引くことにより形成される。複数のループは対応する複数の開口を提供し、その開口を通して縫合糸が織り合わされ得る。かぎ針編み縫合糸を使用して形成された縫合糸頭部を含む縫合糸固定デバイスの非摺動実施形態を、図3a〜図3cに概略的に示す。図3aにかぎ針編み構成工程230を示し、縫合糸232の長さが、第1のかぎ針編み末端238及び第2のかぎ針編み末端240を有するかぎ針編みセクション236に沿って複数の開口234を画定するようにかぎ針編みされている。第1の縫合糸尾部242は第1のかぎ針編み末端238から延び、第2の縫合糸尾部244は第2のかぎ針編み末端240から延びている。
【0040】
図3bは、かぎ針編み縫合糸固定デバイスの第1の実施形態250を示す。この実施形態は縫合糸頭部252を含み、第1の縫合糸尾部242が、複数の開口234の1つ以上を通してかぎ針編みセクション236に沿って第1のかぎ針編み末端238から第2のかぎ針編み末端240へ織り合わされているのが見え、またこの第1の縫合糸尾部242は、第2のかぎ針編み末端240から延びている。縫合糸頭部250は、第1の縫合糸尾部242(圧潰尾部)を縫合糸頭部252に対して引っ張ることにより、固定用結び目に圧潰され得る。
【0041】
図3cは、かぎ針編み縫合糸固定デバイスの第2の実施形態260を示す。第2の実施形態260は第1の実施形態250に類似するが、それに加えて第2の実施形態260では、第1のかぎ針編み末端238から第2のかぎ針編み末端240へ織り合わされた後、第1の縫合糸尾部242は複数の開口234の1つ以上を通して第2のかぎ針編み末端240から第1のかぎ針編み末端238へ戻って、第1のかぎ針編み末端238から延びている。縫合糸頭部262は、第1の縫合糸尾部242(圧潰尾部)を縫合糸頭部262に対して引っ張ることにより、固定用結び目に圧潰され得る。
【0042】
全ての縫合糸尾部が圧潰尾部ではないことを理解するべきである。図3b及び図3cを参照すると、第1の実施形態250又は第2の実施形態260のいずれにおいても、第2の縫合糸尾部244は第2のかぎ針編み末端に直接接続し、かつその末端から延び、第2の縫合糸尾部244をそれぞれの縫合糸頭部252、262に対して引っ張っている(第2のかぎ針編み末端240に対する当接部は、それぞれの縫合糸頭部を固定用結び目に圧潰しないことを条件とする。それ故、第2の縫合糸尾部244は、例えば、それぞれの縫合糸頭部を固定用結び目に圧潰することなく、組織に又は組織を介して送達するために、それぞれの縫合糸頭部252、262を中空針内に引くように使用することができる。
【0043】
図4a〜図4dは、本発明による縫合糸固定デバイスの摺動実施形態を示す。図4aに、捻られた環の縫合糸固定デバイス300の摺動実施形態を示す。捻られた環の縫合糸固定デバイス300は、縫合糸の閉鎖環である縫合糸環302を含み、縫合糸環302は、繰り返し捻られて第1の捻り末端306と第2の捻り末端308との間に複数の開口304を形成する。第1の縫合糸尾部312及び第2の縫合糸尾部314を有する縫合糸の長さ310は、第1の捻り末端306と第2の捻り末端308との間で複数の開口304を通して織り合わされ、第1の捻り末端306の近傍の複数の開口304の少なくとも1つを通して戻って、第1の捻り末端306から延びる第1の312と第2の縫合糸尾部314との両方を有する縫合糸頭部316を構成する。縫合糸頭部316は、第1の縫合糸尾部312と第2の縫合糸尾部314とを、縫合糸頭部316に対して同時に引っ張ることにより、固定用結び目に圧潰され得る。それ故、第1の縫合糸尾部312及び第2の縫合糸尾部314は、縫合糸頭部316に対して同時に引っ張られた場合、圧潰尾部を含む。図4aに見られるように、縫合糸の長さ310は、縫合糸環302に対して固定的に接続されず、縫合糸310の長さの固定用結び目を通した摺動性を保存するために、縫合糸環302を通して織り合わされている。縫合糸の長さ310は、第1の縫合糸尾部312又は第2の縫合糸尾部314のいずれかを、それぞれ固定用結び目に対して個別に引っ張ることにより、固定用結び目を通して摺動し得る。
【0044】
本発明による縫合糸頭部を構成するのに使用される縫合糸環は、縫合糸材料の連続した環として形成される縫合糸を含んでもよく、又は閉鎖されて環を形成する縫合糸の長さを含んでもよい。縫合糸の長さを閉鎖して環を形成する任意の方法を使用することができ、その方法は、結ぶ、溶接する、糊付けする、又は結合クランプ若しくは他の連結部材を用いて若しくは用いずに結び合わせることを含むが、これらに限定されない。更に、縫合糸環は、その周辺の周りに、編組、かぎ針編み、又は別様に連結された縫合糸からなる、複数の実質的に平行な縫合糸のストランドを含んでもよい。一実施形態において、縫合糸環は、第1の周辺を有する縫合糸の連続環を含み、その連続環は、2つ重ねられて、第1の周辺の実質的に半分である第2の周辺を有する二重縫合糸環を形成する。
【0045】
図4bは、縫合糸鎖の縫合糸固定デバイス322の摺動実施形態を示す。縫合糸鎖の縫合糸固定デバイス322は、第1の鎖末端328と第2の鎖末端330との間に複数の開口326を画定する、縫合糸環324の接続された鎖を含む。第1の縫合糸尾部334及び第2の縫合糸尾部336を有する縫合糸332の長さは、第1の鎖末端328と第2の鎖末端330との間で複数の開口326を通して織り合わされた後、第1の鎖末端328の近傍の複数の開口326の少なくとも1つを通して戻って、第1の鎖末端328から延びる第1の縫合糸尾部334及び第2の縫合糸尾部336の両方を有する縫合糸頭部338を形成する。縫合糸頭部338は、第1の縫合糸尾部334及び第2の縫合糸尾部336を縫合糸頭部338に対して同時に引っ張ることにより、固定用結び目に圧潰され得る。それ故、第1の縫合糸尾部334及び第2の縫合糸尾部336は、同時に引っ張られた場合、圧潰尾部を含む。図4bに見ることができるように、縫合糸の長さ332は、縫合糸環324に対して固定的に接続されず、縫合糸環324を通して織り合わされて、縫合糸の長さ332の固定用結び目を通した摺動性を保存している。縫合糸の長さ332は、第1の縫合糸尾部334又は第2の縫合糸尾部336のいずれかを、それぞれ固定用結び目に対して個別に引っ張ることにより、固定用結び目を通して摺動し得る。
【0046】
図4cは、縫合糸と、留置された固定用結び目との間に摺動接続を提供する巻かれた環の縫合糸固定デバイス344の摺動実施形態を示す。巻かれた環の縫合糸固定デバイス344は、上述した任意の種類の縫合糸環であってもよい縫合糸環346を含む。巻かれた環の縫合糸固定デバイス344は、第1の縫合糸尾部350及び第2の縫合糸尾部352を有する縫合糸の第1の長さ348も含む。縫合糸の第1の長さ348は、第1の縫合糸尾部350及び第2の縫合糸尾部352が互いに実質的に隣接して、縫合糸環346の周辺の周りにおいて縫合糸環346から延びるように、縫合糸環346の周囲に実質的に螺旋状に巻かれて縫合糸頭部354を形成する。代替的な実施形態では、縫合糸の第1の長さ348は、縫合糸の第2の長さの周囲に実質的に螺旋状に巻かれている。次に縫合糸の第2の長さは、その周囲の巻線(winding)と共にその長さに沿って閉鎖地点356にて連結されて縫合糸環346を形成する。縫合糸頭部354は、第1の縫合糸尾部350と第2の縫合糸尾部352とを、縫合糸頭部354に対して同時に引っ張ることにより、固定用結び目に圧潰され得る。それ故、第1の縫合糸尾部350及び第2の縫合糸尾部352は、同時に引っ張られた場合、圧潰尾部を含む。縫合糸の第1の長さ348は、第1の縫合糸尾部350又は第2の縫合糸尾部352のいずれかを、それぞれ固定用結び目に対して個別に引っ張ることにより、固定用結び目を通して摺動し得る。
【0047】
かぎ針編み型の縫合糸固定デバイス362の摺動実施形態を、図4dに示す。かぎ針編み型の縫合糸固定デバイス362は、第1のかぎ針編み末端368と第2のかぎ針編み末端370との間に複数の開口366を画定する、縫合糸364のかぎ針編みセクションを含む。かぎ針編みセクション364は、図3aに関連して記載したかぎ針編みセクション236と類似している。かぎ針編み型の縫合糸固定デバイス362は、第1の縫合糸尾部374及び第2の縫合糸尾部376を有する縫合糸の第1の長さ372も含む。
【0048】
図4dに見られるように、縫合糸頭部378を構成するために、縫合糸の第1の長さ372は、第1のかぎ針編み末端368と第2のかぎ針編み末端370との間で複数の開口366の1つ以上を通して織り合わされ、第1のかぎ針編み末端368の近傍の複数の開口366の少なくとも1つを通して第1のかぎ針編み末端368に戻っている。第1の縫合糸尾部374及び第2の縫合糸尾部376は、第1のかぎ針編み末端368から延びている。一実施形態において、複数の開口の割合は、複数の開口366のほぼ毎3番目の開口を含む。別の実施形態では、縫合糸の第1の長さ372は、実質的に複数の開口366のそれぞれを通して織り合わされている。別の実施形態では、間隔は、第1のかぎ針編み末端368と第2のかぎ針編み末端370との間で複数の開口366に沿って変動する。尚別の実施形態では、縫合糸の第1の長さ372は複数の開口366の1つを通過し、この複数の開口366の1つは、内部を縫合糸372の第1の長さが通過する小穴として機能する。
【0049】
当業者は、縫合糸の任意の数の追加の長さが、独立して複数の開口の1つ以上を通して織り合わされることにより、複数の縫合糸の脚部が延びる固定デバイス(マルチ縫合糸固定デバイス)を提供し得ることを理解するであろう。様々な実施形態では、縫合糸の2つ、3つ又は4つの長さが、それぞれ、複数の開口の1つ以上を介して織り合わされ、縫合糸の4つ、6つ、又は8つの脚部がそれぞれ延びる固定デバイスを提供する。いくつかの外科的状況において、留置された固定デバイスに接続される縫合糸の数を増大させることが望ましい場合がある。そのような状況では、縫合糸が取り付けられた1つ以上の縫合糸針を、留置された固定用結び目に通過させて、マルチ縫合糸固定デバイスを提供してもよい。
【0050】
縫合糸頭部378は、第1の縫合糸尾部374及び第2の縫合糸尾部376を縫合糸頭部378に対して同時に引っ張ることにより、固定用結び目に圧潰され得る。それ故、第1の縫合糸尾部374及び第2の縫合糸尾部376は、縫合糸頭部378に対して同時に引っ張られた場合、圧潰尾部を含む。縫合糸の第1の長さ372は、第1の縫合糸尾部374又は第2の縫合糸尾部376のいずれかを、それぞれ固定用結び目に対して個別に引っ張ることにより、固定用結び目を通して摺動し得る。
【0051】
図5a〜図5dは、互いに貫通し合う縫合糸を含む縫合糸固定デバイスの実施形態を示す。これらの実施形態による縫合糸頭部は、長手方向に分配された、縫合糸の第1のセクションの材料を通した実質的に横方向の複数の貫通部と、複数の貫通部を通して織り合わされた縫合糸の第2のセクションとを含む。複数の貫通部は、任意の種類の貫通部を含んでもよい。一実施形態において、複数の貫通部は、縫合糸尾部に接続された裁縫針又は縫合針等の鋭い器具を使用して画定される。別の実施形態では、複数の貫通部は、それらを通した縫合糸尾部の織り合わせを可能にするように、縫合糸材料を通して形成された複数の細長孔又は穴を含む。尚別の実施形態では、縫合糸のセクションの製作中、複数の予め形成した貫通部が提供される。更に別の実施形態では、縫合糸自体が、例えば編組縫合糸などの編組された材料を含み、複数の貫通部が、対応する複数の位置において編組体を通過する。
【0052】
図5a及び図5bは、互いに貫通し合う摺動実施形態を示す。図5aは、縫合糸頭部402が縫合糸環404を含み、その環はその周辺の周りに分配された複数の貫通部406を有する、縫合糸固定デバイスの第1の互いに貫通し合う、摺動実施形態400を示す。縫合糸環404は、本明細書に開示した任意の種類の縫合糸環であってもよい。縫合糸頭部402は、複数の貫通部406を通して織り合わされ、第1の縫合糸尾部410及び第2の縫合糸尾部412にて終結する縫合糸の第1の長さ408を更に含み、第1の縫合糸尾部410及び第2の縫合糸尾部412はそれぞれ互いに実質的に隣接して、縫合糸環404の周辺の周りにおいて縫合糸頭部402から延びる。縫合糸頭部402は固定用結び目に圧潰することができ、その結び目を通して縫合糸の第1の長さ408は、固定用結び目が形成された後、第1の縫合糸尾部410及び第2の縫合糸尾部412を縫合糸頭部402に対して同時に引っ張ることにより摺動することができる。それ故、第1の縫合糸尾部410及び第2の縫合糸尾部412は、同時に引っ張られた場合、圧潰尾部を含む。縫合糸の第1の長さ408は、第1の縫合糸尾部410又は第2の縫合糸尾部412のいずれかを、それぞれ固定用結び目に対して個別に引っ張ることにより、固定用結び目を通して摺動し得る。
【0053】
代替的な実施形態において、縫合糸環404は、周辺上の地点418にて開放する縫合糸の第2の長さを含み、環形状は、縫合糸の第2の長さの、縫合糸408の第1の長さにより隣接される貫通部420、422により維持される。更なる代替的な実施形態では、縫合糸の第1の長さ408が、縫合糸の第2の長さを貫通する代わりに、縫合糸の第2の長さが、縫合糸の第1の長さを貫通する。
【0054】
図5bは、縫合糸固定デバイスの第2の互いに貫通し合う摺動実施形態424を示し、縫合糸頭部426は長さの第1の部分432に沿って複数の貫通部430を有する縫合糸の第1の長さ428を含み、それに対応する複数の開口436を画定するように、長さの第2の部分434が第1の長さ428の貫通部を通過する。縫合糸頭部426は、複数の開口436を通して織り合わされ、第1の縫合糸尾部440及び第2の縫合糸尾部442にて終結する縫合糸438の第2の長さを更に含み、第1の縫合糸尾部440及び第2の縫合糸尾部442はそれぞれ縫合糸頭部426から延びる。縫合糸頭部426は、第1の縫合糸尾部440及び第2の縫合糸尾部442を縫合糸頭部426に対して同時に引っ張ることにより、結び目を通して縫合糸438の第2の長さが摺動することができる固定用結び目に圧潰することができる。それ故、第1の縫合糸尾部440及び第2の縫合糸尾部442は、同時に引っ張られた場合、圧潰尾部を含む。縫合糸438の第2の長さは、第1の縫合糸尾部440又は第2の縫合糸尾部442のいずれかを、それぞれ固定用結び目に対して個別に引っ張ることにより、固定用結び目を通して摺動し得る。
【0055】
図5c及び図5dは、縫合糸固定デバイスの互いに貫通し合う縫合糸非摺動実施形態を示す。図5cは、第1の互いに貫通し合う非摺動実施形態448を示し、第1の頭部末端452及び第2の頭部末端454を有する縫合糸頭部450は、縫合糸の第1の長さ456を含み、第1の長さは、第1の頭部末端452と第2の頭部末端454との間で、第1の長さの第1の部分460に沿って複数の貫通部458を有する。前記長さの第2の部分462は、複数の貫通部458を通過し、縫合糸尾部464として第1の頭部末端452から延びる。縫合糸頭部450は、縫合糸尾部464を縫合糸頭部450に対して引っ張ることにより、固定用結び目に圧潰することができる。一実施形態において、第1の部分454を通した第2の部分462の貫通部468の1つは、結び又は他の手段により強化されて縫合糸頭部が留置中に解けることを防止する。複数の貫通部458は、縫合糸頭部450に沿って第1の頭部末端454と第2の頭部末端456との間で、複数の開口470を画定しているのが見える。
【0056】
図5dは、第2の互いに貫通し合う非摺動実施形態472を示す。第2の非摺動実施形態472は、図5cの縫合糸頭部450と類似する縫合糸頭部474を含むが、それに加えて第2の実施形態472では、縫合糸尾部464の方向が逆であるのが見え、加えて複数の開口470の1つ以上を介して織り合わされて、第2の頭部末端454から延びている。この縫合糸尾部464の更なる通過は、第2の実施形態472の縫合糸頭部474内の縫合糸材料の容積を、第1の実施形態448の縫合糸頭部450内の縫合糸材料の容積と比較して、より大きくする。縫合糸頭部内の縫合糸のより大きい容積は、それに応じて組織内に留置された際の固定用結び目をより大きくする。縫合糸頭部474は、縫合糸尾部464を縫合糸頭部474に対して引っ張ることにより、固定用結び目に圧潰され得る。
【0057】
摺動及び非摺動実施形態は概して上記にて別々に論じられたが、様々な非摺動実施形態は、留置前に非摺動縫合糸頭部内の開口を介して縫合糸の更なる長さを通過させることにより、摺動実施形態に変換することができる。例えば、図1を参照すると、第2の縫合糸尾部114が縫合糸の閉鎖ループを含む一実施形態において、固定デバイス100を組織に送達する前に、ループを通して縫合糸の長さを通過させることにより、縫合糸固定デバイスの摺動実施形態が提供され、これは通過された縫合糸の長さが、固定用結び目136に対して摺動可能となるためである。加えて、様々な摺動実施形態は、例えば1つ以上の摺動縫合糸尾部内に結び目を結ぶことにより、非摺動実施形態に変換することができる。
【0058】
当業者は、固定デバイスの構成に使用される縫合糸の材料、寸法、数、及び縫合糸の長さの組み合わせ、圧潰尾部を含む縫合糸が縫合糸頭部に沿って内部を通過する開口の数、並びに縫合糸頭部から延びる摺動及び非摺動縫合糸尾部の数の変形を含むが、これらに限定されない、本明細書に開示した縫合糸固定デバイスの多数の変形が、本発明の範囲内に含まれることを理解するであろう。更に、任意の数の縫合糸固定デバイスを縫合糸により一緒に結合させて、多地点固定システムを提供してもよい。
【0059】
本明細書に開示した縫合糸固定デバイスの用途の1つは、膝内の半月板の修復である。図6aは、一実施形態では断裂半月板組織の修復に使用される、本発明による二重固定デバイス500の実施形態を示す。二重固定デバイス500は、第1の遠位端504及び第1の近位端506を有する第1の縫合糸頭部502と、第2の遠位端510及び第2の近位端512を有する第2の縫合糸頭部508とを含む。第2の縫合糸頭部508は、第1の縫合糸頭部502の近位方向に配置されているのが見える。第1の縫合糸頭部502は、本明細書に開示した任意の種類の摺動縫合糸頭部であってもよい摺動縫合糸頭部、又は他の摺動縫合糸頭部である。一実施形態において、第1の縫合糸頭部502は、図4dに関連して記載した縫合糸頭部378と類似したかぎ針編み型の摺動縫合糸頭部である。第1の縫合糸頭部502は、第1の近位端506から第2の縫合糸頭部508に延びているのが見える、2つの遠位圧潰尾部514、516を含む。2つの遠位圧潰尾部514、516は、第1の縫合糸頭部502を通過する、縫合糸の連続した長さを含む。2つの遠位圧潰尾部514、516は共に、第1の502と第2の縫合糸頭部508との間の縫合糸の橋を含む。
【0060】
第2の縫合糸頭部508は、本明細書に開示した任意の種類の非摺動縫合糸頭部を含んでもよい非摺動縫合糸頭部であり、又は他の非摺動縫合糸頭部である。一実施形態において、第2の縫合糸頭部508は、図2cに関連して記載したかぎ針編み型の非摺動縫合糸頭部252に類似するが、それに加えて一体化した摺動結び目518が、第2の遠位端510から延びている。第2の縫合糸頭部508は、第2の近位端512から近位方向に延びる近位圧潰尾部520も含む。一実施形態において、第2の縫合糸頭部508と、摺動結び目518と、2つの遠位圧潰尾部514、516とは、縫合糸の単一の連続した長さを含む。別の実施形態では、摺動結び目518は、第2の遠位端510から延びるのではなく、第2の縫合糸頭部508に沿って第2の遠位端510と第2の近位端512との間の位置521に配置される。
【0061】
二重固定デバイス500の一部拡大図522が、摺動結び目518の実施形態の構成を示す図6bに概略的に示されている。2つの遠位圧潰尾部514、516の第1の圧潰尾部514は、摺動結び目518の一部分を実質的に含み、第2の遠位端510にて第2の縫合糸頭部508に接続(又は連続)しているのが見える。第2の遠位圧潰尾部516は、摺動結び目を通過して、摺動結び目518から近位方向に延び、引っ張り尾部524と連続しているのが見える。第2の圧潰尾部516は、第2の縫合糸頭部508と一体化した縫合糸ループ526も通過し、そこから遠位方向に延びているのが見える。
【0062】
二重固定デバイス500を組織に送達するための二重縫合糸頭部送達ツール530の実施形態を、図7aの断面図532、及び図7bの外観図534に概略的に示す。二重頭部送達ツール530は、遠位針末端538、近位針末端540及びそれらの間の長手方向の針空洞542を有する中空送達針536を含んでいるのが見える。送達針536は近位で中空取っ手544に結合し、その取っ手は、取っ手壁546と、実質的に円筒形の取っ手空洞548とを有し、針空洞542は取っ手空洞548と連続している。一実施形態において、針536は、補強部材550により近位にて補強される。
【0063】
遠位ピストン末端554、近位ピストン末端556、及びそれらの間の長手方向のピストン空洞557を有する中空ピストン552は、針空洞542内に摺動可能に配置され、取っ手空洞548内へ近位方向に延びているのが見える。一実施形態において、針536及びピストン552のそれぞれは、真直である。別の実施形態では、針536は、遠位針末端538と近位針末端540との間に1つ以上の屈曲を含み、ピストンは、針空洞542を通して摺動的に押され及び引かれるに十分な可撓性を有する。一実施形態において、ピストン552は、可撓性チューブを含む。別の実施形態では、ピストン552は、可撓性の、実質的に螺旋状のコイルを含む。
【0064】
ピストン位置決め部材558は、ピストン552に固定的に接続され、取っ手空洞548内に摺動可能に配置されている。一実施形態において、位置決め部材558は、ピストン552の周囲に配置された環状部材である。一実施形態において、ピストン位置決め部材558は、取っ手空洞548内で遠位方向に最大に前進された際、長手方向の定位置に実質的に不可逆的に固定される。ピストン位置決め部材558を固定する任意の手段を使用することができる。一実施形態において、ピストン位置決め部材558及び取っ手544は、連結ラッチ部材560、562を含んで、ピストン位置決め部材558を取っ手544内で遠位方向に固定する。
【0065】
制御部材564が位置決め部材558に接続されて、送達デバイスの外部から、ピストン552を二重頭部送達ツール530内で長手方向に位置決めする。説明を目的として、図7aにおいて、制御部材はツール530の長手方向軸線を中心として図7bに対して90度回転させて示されている。制御部材564は、取っ手壁546内の細長い開口566を介して、位置決め部材558から横方向外側へ延びる。細長い開口566は、送達デバイス内に配置された固定デバイスの要求、及び対応する外科送達要求に適合する任意の構成を有することができる。一実施形態において、図7a及び図7bに示すように、二重固定デバイス500を組織に送達するために、細長い開口566は実質的にH形である。一実施形態において、H形の開口は、それぞれ取っ手壁546に沿って互いに異なる長手方向の位置を有する第1の長手方向の細長孔812及び第2の長手方向の細長孔814を含み、2つの細長孔のそれぞれは、それぞれの位置により、送達針536からの第1の縫合糸頭部502と第2の縫合糸頭部508との一方の送達に適合されている。別の実施形態では、細長い開口は、実質的にT形、L形、長手方向に直線状であり、又は他の構成を有し、それぞれの構成は様々な縫合糸頭部送達要求に応えるよう適合されている。別の実施形態では、細長い開口は、ピストン位置決め部材558を取っ手空洞548内で遠位方向に固定する手段を含む。
【0066】
制御部材564は、長手方向及び周方向の位置決め力のうち一方又は両方を位置決め部材558に連絡し、それによりピストン552に連絡する任意の手段を含んでもよい。一実施形態において、制御部材564は、細長い開口566を介して位置決め部材558に固定的に接続されたシャフトである。別の実施形態では、制御部材564は二重頭部送達ツール530内でのピストンの移動を解放可能に防止する手段を含む。一実施形態において、制御部材564は、細長い開口566を介して位置決め部材558内に差し込まれた蝶ねじであり、それにより、二重頭部送達ツール530内でピストンの位置を選択的に固定及び解除するのに蝶ねじの回転が使用され得る。別の実施形態では、制御部材564は、取っ手壁546に対して弾性的に負荷されて、制御部材564の細長い開口566に沿った動きに対して所定の抵抗を付与する。
【0067】
二重固定デバイス500は、二重頭部送達ツール530内にて実質的に針空洞542内でピストン遠位端554の遠位に配置されているのが見える。第2の圧潰尾部520及び引っ張り尾部524は、二重固定デバイス500からピストン空洞557を介して近位方向へ通過する。ピストン近位端556の近位にて、引っ張り尾部524が引っ張り尾部末端568にて終結し、第2の圧潰尾部520が第2の圧潰尾部末端570にて終結する。第2の圧潰尾部520は、ピストン空洞557の外部において、近位ピストン末端556の近位に配置された解放可能な保持部材572も含む。解放可能な保持部材572は、第2の圧潰尾部520がピストン552の空洞を通って遠位方向に摺動することを防止する。一実施形態において、解放可能な保持部材572は、第2の圧潰尾部520に取り付けられた解放可能なクランプである。別の実施形態では、解放可能な保持部材572は、第2の圧潰尾部520における解放可能な結び目である。更なる実施形態では、第2の圧潰尾部520の近位方向への引っ張りは、解放可能な結び目を解放する。解放可能な保持部材572の解放後、第2の圧潰尾部520が、ピストン552の空洞を通って遠位方向へ摺動し得る。
【0068】
制御部材564は、送達針536内でのピストン552の遠位端の長手方向の位置を制御し、それにより二重固定デバイス500の送達針536からの排出を制御する。細長い開口566の構成及び長手方向の位置に応じて、制御部材564を使用して、所定の外科工程において送達針536から第1の縫合糸頭部502のみ選択的に排出し、後の外科工程において第2の縫合糸頭部508を選択的に排出することができ、かくして本発明のデバイス及び方法を使用した多地点固定手順を可能にする。
【0069】
特に屈曲した送達針を含む送達デバイスに関しては、取っ手を長手方向の軸線を中心として屈曲した針に対して回転可能として、特定の手順において取っ手上の制御部材へのアクセスを容易にし、又は左利き及び右利きの外科医の異なる好みに適合させることが有利であり得る。屈曲針送達ツール574の一実施形態を、図8aに示す。屈曲針送達ツール574は、一般に、真直な送達針を含む図7a及び図7bに関連した二重頭部送達ツール530と類似している。屈曲針の実施形態574は、共通の長手方向の軸線586を中心として取っ手584に回転可能に結合された、遠位送達末端578及び近位端580を有する中空の屈曲した送達針576を含む。制御部材588は、取っ手584の外表面590上でアクセス可能である。屈曲した送達針576は、1つ以上の屈曲した部分592を更に含み、その屈曲した部分の遠位において屈曲針576は、軸線586から逸れている。
【0070】
一実施形態において、屈曲針送達ツール574は、取っ手584と屈曲針576との間の軸線586を中心とした複数の好ましい相対的な回転配向を含む。更なる実施形態では、複数の好ましい配向は、取っ手590及び屈曲針576の一方又は両方の周辺の周りに周方向に分配された複数の戻り止め594を含む。別の実施形態では、角度マーキングが取っ手584及び屈曲針576の一方又は両方上に提供され、屈曲針576と取っ手584との間の相対的な回転配向を指示する。図8aは、取っ手584と屈曲針576との間の第1の角度方向596にある屈曲針送達ツール574を示す。図8bは、取っ手584と屈曲した針576との間の第2の角度方向598にある屈曲した針送達ツール574を示す。
【0071】
図9a〜図9kは、図6に示した二重固定デバイス500と、図7に示した二重頭部送達ツール530とを使用する、膝内の断裂半月板の外科修復処置を概略的に示す。手順は、関節鏡視下で又は開放外科手術として行われてもよい。手順の開始前に、断裂半月板へのアクセスの提供を含む公知の準備及び外科的手法に従って患者を準備する。以下の手順の記載は、図6及び図7、並びに図9a〜図9nを参照する。図9a〜図9nのそれぞれは外科工程の説明を含み、いくつかの図において、図7に示したように実質的にH形の細長い開口566内の制御部材564の位置を表す。
【0072】
図9aは、二重頭部送達ツール530の送達針536が、半月板断裂804を患った半月板802を通過したのが見える第1の工程を示す。半月板802は、大腿骨(図示せず)の方に向いた第1の半月板表面806と、大腿骨から離れて外側又は内側に向いた第2の半月板表面808を有するのが見える。大腿骨に向いた第1の表面806上の突出を最小にして、大腿骨からの荷重を支持するそれらの表面の刺激等を最小にすることが好ましい。送達針536は、第1の位置810にて半月板802を貫通し、第1の半月板表面806を介して進入し、第2の半月板表面808を介して退出したのが見える。第1の位置810は、手順を行う外科医により決定されて、半月板断裂804の閉鎖を最適にする。一実施形態において、送達針536は、半月板断裂804を横切って、半月板802を貫通する。
【0073】
H形の細長い開口566は第1の長手方向のチャネル812及び第2の長手方向のチャネル814を含んでいるのが見え、これらのチャネルは、それぞれ対応する近位端816、818及び遠位端820、822を有する。H形の細長い開口566は、第1のチャネル812と第2のチャネル814とを相互接続する架橋チャネル824を更に含む。制御部材564は、第1のチャネル812の近位端816に配置されているのが見える。この制御部材564の位置において、二重固定デバイス500は、送達針536内に最大に引き込められている。
【0074】
図9bを参照すると、第2の工程において、制御部材564が第1のチャネル812の遠位端820に再配置されることにより、第1の縫合糸頭部502を送達針536から遠位方向に排出しているのが見える。第1のチャネル812は、第2の縫合糸頭部508を送達針536から排出するのに十分な程、遠位方向に延びない。図9cを参照すると、第3の工程において、制御部材564は、第1のチャネル812の近位端816に引き込められているのが見える。制御部材564の引き込みにより、近位ピストン末端556が解放可能な保持部材572を圧迫し、近位圧潰尾部520、第2の縫合糸頭部508、及び2つの遠位圧潰尾部514、516を介して引っ張りを第1の縫合糸頭部502に伝達するにつれ、第1の縫合糸頭部502が第1の固定用結び目830に圧潰する。
【0075】
図9dを参照すると、第4の工程において、送達針536が半月板802から引き込められ、第1の固定用結び目830と第2の縫合糸頭部508との間をつなぐ2つの遠位圧潰尾部514、516を送達針536内に残留させているのが見える。一実施形態において、送達針536の引き込みは、第1の固定用結び目830を第2の半月板表面808に対抗して近位に配置する。制御部材は、送達針536が半月板802から引き込められるにつれ、第1の長手方向のチャネル812内で幾分遠位方向に移動し得る。
【0076】
図9eを参照すると、第5の工程において、制御部材564は第1の長手方向のチャネル812内で遠位方向に移動し、架橋チャネル824を経由して第2の長手方向のチャネル814内に再配置されたのが見える。図9fを参照すると、第6の工程において、送達針536は、第2の位置838にて半月板802を通過し、第1の半月板表面808を介して進入し、第2の半月板表面808を介して退出したのが見える。第2の位置838は、外科医により決定されて、半月板断裂804の閉鎖を最適にする。一実施形態において、送達針536は、半月板断裂804を横切って、半月板802を貫通する。
【0077】
図9gを参照すると、第7の工程840において、制御部材564が第2の長手方向のチャネル814の遠位端822に移動することにより、第2の縫合糸頭部508を送達針536から排出し、位置決め部材558及びピストン552の長手方向の位置を固定したのが見える。図9hを参照すると、第8の工程842において、第2の圧潰尾部520が近位方向に引っ張られて844、第2の縫合糸頭部508を第2の固定用結び目846に圧潰している。加えて、解放可能な保持部材572は、この工程にて解放されている。一実施形態において、解放可能な保持部材572は、第2の圧潰尾部における結び目であり、第2の圧潰尾部520の引っ張りは結び目を解放し、第2の圧潰尾部末端570を、ピストン空洞557内を自由に通過するよう残留させる。
【0078】
図9iを参照すると、第9の工程848において、送達針536が半月板802から引き込められ、第2の固定用結び目846と送達針536との間で半月板802を通して延びている第2の圧潰尾部520及び引っ張り尾部524を残留させているのが見える。図9jを参照すると、第10の工程850において、二重頭部送達ツール530が外科部位から完全に除去され、第2の固定用結び目846から、第1の半月板表面806を介して延びている第2の圧潰尾部520及び引っ張り尾部524を残留させているのが見える。更に、引っ張り尾部524の近位方向への引っ張り852が、引っ張りを次に摺動結び目518(目下、第2の固定用結び目846の一部)を介して第2の遠位圧潰尾部516に、第1の固定用結び目830を介して第1の遠位圧潰尾部514に伝達し、それにより第1の固定用結び目830と第2の固定用結び目846との間で縫合糸を短縮して、半月板断裂804を閉鎖する。図9kを参照すると、第11の工程854において、第2の圧潰尾部520及び引っ張り尾部524は、第1の半月板表面806に対して、又は表面806の下方で切り取られ、修復された半月板断裂804を生じているのが見える。
【0079】
代替的な実施形態において、引っ張り尾部524及び第2の圧潰尾部520の一方又は両方が切り取られずに残り、更なる縫合糸頭部から遠位方向に延びる縫合糸の閉鎖ループを通過して、更なる縫合糸頭部が組織に送達された際に、更なる「デイジーチェーン」縫合糸固定地点を提供する。一実施形態において、更なる縫合糸頭部は図1の縫合糸頭部102であり、第2の縫合糸尾部114は第2の頭部末端106から遠位方向に延びる縫合糸の閉鎖ループを含む。このデイジーチェーンプロセスにより、留置された固定用結び目のそれぞれが、尚別の縫合糸頭部の縫合糸ループを通過し得る少なくとも1つの縫合糸尾部を含むため、任意の数の更なる固定地点を提供して組織に固定することができる。
【0080】
当業者は、二重縫合糸固定デバイス、関連する送達ツール及び外科的方法の上述した実施形態が、単一地点、及び他の多地点固定の実施形態に容易に適合されることを理解するであろう。一実施形態において、単一の縫合糸頭部が送達針内に配置されて、単一の固定用結び目を組織に留置する。別の実施形態では、3つの縫合糸頭部が送達針内に配置されて、固定用結び目として組織に連続的に留置される。更に別の実施形態では、1つ以上の縫合糸頭部が2つ以上の送達針のそれぞれ内に配置され、少なくとも1つの縫合糸の橋が2つ以上の送達針内に配置された縫合糸頭部を相互接続する。
【0081】
図9a〜図9kは、第2の表面808に少なくとも幾分か平行した断裂804を示している。しかしながら、断裂は他の位置及び配向で形成される場合があり、固定用結び目830及び846の位置、並びにその間の縫合糸の経路は適宜変更され得る。例えば、断裂(図示せず)は断裂804と本質的に直交する配向で形成される場合があり、その場合、第1の固定用結び目830は、第2の表面808上のそのような断裂の片側上に配置されてもよく、縫合糸は半月板を通過して第1の表面806の断裂の同一側上に至った後、断裂を横切って第1の表面806に沿って通過し、次に半月板を介して断裂の他の側の第2の固定用結び目846及び第2の表面808に戻る。好ましくは、全部の結び目及び縫合糸上の他の有意な突出は、第2の表面808上に保たれ、大腿骨に向いた第1の表面806、又は脛骨の方に向いたもの等の荷重下の他の表面(図示せず)上には保たれない。
【0082】
縫合糸を単一の位置にて組織に固定するのに使用され得る、又は本発明によるデイジーチェーン縫合糸固定デバイスに使用され得る単一の縫合糸頭部送達ツール860の実施形態を、図10aの断面図862、及び図10bの外観図864に概略的に示す。単一頭部送達ツール860は、本明細書にて上述した二重頭部送達ツール530に類似する。
【0083】
単一頭部送達ツール860は、遠位針末端868、近位針末端870及びそれらの間の長手方向の針空洞872を有する中空送達針866含んでいるのが見える。送達針866は近位で中空取っ手874に結合し、取っ手は、取っ手壁876と、実質的に円筒形の取っ手空洞878とを有し、針空洞872は取っ手空洞878と連続している。一実施形態において、針866は、補強部材880により近位にて補強されている。
【0084】
遠位ピストン末端884、近位ピストン末端886及びそれらの間の長手方向のピストン空洞888を有する中空ピストン882は、針空洞872内にて摺動可能に配置され、取っ手空洞878内へ近位方向に延びているのが見える。針866は、二重頭部送達ツール530に関して本明細書にて上述したように、真直又は屈曲していてもよい。ピストン位置決め部材890は、ピストン882に対して固定的に接続され、取っ手空洞878内に摺動可能に配置されている。一実施形態において、ピストン位置決め部材890は、ピストン882の周囲に配置された環状部材である。一実施形態において、ピストン位置決め部材890は、二重頭部送達ツール530に関して本明細書にて上述したように、取っ手空洞878内で遠位方向に最大に前進された際、長手方向の定位置に実質的に不可逆的に固定される。
【0085】
制御部材892が位置決め部材890に接続されて、送達ツール860の外部から、ピストン882を送達ツール860内で長手方向に位置決めする。制御部材892は、本明細書にて上述した制御部材564と同一の構造、又は他の構造であってもよい。制御部材892は、取っ手壁876内の細長い開口894を介して、位置決め部材890から横方向外側へ延びる。細長い開口894は、取っ手壁を貫通する長手方向のチャネル896を含む。長手方向のチャネル896は、遠位チャネル末端898及び近位チャネル末端900を有するのが見える。一実施形態において、図10に示すように、細長い開口894は、近位チャネル末端898と遠位チャネル末端900との間の中間位置にて長手方向のチャネル896と交わる横方向チャネル902も含み、「T」形の開口を提供している。
【0086】
単一頭部縫合糸固定デバイス904は、単一頭部送達ツール860内にて実質的に針空洞872内で遠位ピストン末端884の遠位に配置されているのが見える。単一頭部固定デバイス904は、縫合糸頭部906と、縫合糸頭部906からピストン空洞888を介して近位方向に延びる少なくとも1つの圧潰尾部908とを含む。単一頭部固定デバイス904は、非摺動又は摺動縫合糸頭部を含んでもよい。1つのデイジーチェーン実施形態において、縫合糸頭部904は、縫合糸頭部906の遠位端に配置された遠位縫合糸ループ910も含む非摺動縫合糸頭部であり、解放可能な保持部材912が近位ピストン末端886の近位に配置され、解放可能な保持部材912は、二重頭部送達ツール530に関連して本明細書にて上述した任意の種類の解放可能な保持部材であってもよい。
【0087】
解放可能な保持部材912は、圧潰尾部908がピストンの空洞888を通って遠位方向に摺動することを防止する。更に、解放可能な保持部材912が定位置にあってピストン882を近位方向に引き込むと、縫合糸頭部906を固定用結び目に圧潰することなく、縫合糸固定デバイス904も縫合糸ループ910と共に針空洞872内に引き込まれる。解放可能な保持部材の解放後、圧潰尾部908が、ピストンの空洞888を通って遠位方向へ摺動し得る。
【0088】
図11a〜図11iは、単一頭部送達ツール860を使用したデイジーチェーン手順における外科工程の実施形態と、単一頭部縫合糸固定デバイス904のデイジーチェーン実施形態とを概略的に示す。デイジーチェーン手順は、関節鏡処置又は開放外科手術の一部として実施されてもよく、組織に固定された縫合糸尾部は以前の外科工程で提供されている。以下の手順の記載は、図10及び図11a〜図11iを参照する。図11a〜図11iのそれぞれは外科工程の説明を含み、いくつかの図において、図10に示したように実質的にT形の細長い開口894内の制御部材892の位置を表す。
【0089】
図11aは、デイジーチェーン手順の第1の工程を示す。固定された縫合糸尾部922は、第1の位置924において、第1の表面928及び第2の表面930を有する組織926に固定されているのが見える。一実施形態において、固定された縫合糸尾部922は、本発明による第1の固定用結び目932により組織926に固定されている。別の実施形態では、固定された縫合糸尾部922は、他の種類の縫合糸固定デバイスにより組織926に固定されている。固定された縫合糸尾部922は、単一頭部固定デバイス904の縫合糸ループ910を通過しているのが見え、そのループは単一頭部送達ツール860内に配置されている。制御部材892は、細長い開口894の横方向チャネル902内に配置されているのが見える。
【0090】
図11bを参照すると、第2の工程において、制御部材892は横方向チャネル902から長手方向のチャネル896へ、及び近位チャネル末端900へ移動されているのが見え、遠位縫合糸ループ910を含む単一頭部縫合糸固定デバイス904を、針空洞872の遠位端内に引き込んでいる。この引き込み工程は、固定された縫合糸尾部922の単一頭部送達ツール860への保留を提供する。図11cを参照すると、第3の工程において、単一頭部送達ツール860の針866は、保留された、固定された縫合糸尾部922と共に、第2の位置938において組織926を遠位方向に通過しているのが見える。固定された縫合糸尾部922は、第1の位置924と第2の位置938との間の組織926の範囲を架橋して、針866と並んで組織926を近位方向へ通過し、遠位縫合糸ループ910(針空洞872内)を通って、組織926を介して近位方向に戻り、引っ張り尾部940として近位方向に延びるのが見える。
【0091】
図11dを参照すると、第4の工程において、制御部材892は、長手方向のチャネル896に沿って遠位チャネル末端898に移動し、それにより縫合糸頭部906を送達針866から遠位方向に排出しているのが見える。図11eを参照すると、第5の工程において、圧潰尾部908は近位方向に引っ張られ946、それにより縫合糸頭部906を第2の固定用結び目948に圧潰したのが見える。加えて、解放可能な保持部材912は、この工程にて解放されている。図11fを参照すると、第6の工程において、送達針866は組織926から引き込められ、第2の固定用結び目948から延び、ピストン空洞888を介して延びる圧潰尾部908を残留させているのが見える。固定された縫合糸尾部922は、第1のアンカー結び目932と第2のアンカー結び目948との間の組織926の範囲を架橋し、第1の位置924と第2の位置938とにおいて組織926を通過しているのが見える。更に、引っ張り尾部940は、第2の固定用結び目948から組織926を介して近位方向に延びる。
【0092】
図11gを参照すると、第7の工程において、単一頭部送達ツール860は外科部位から完全に除去され、第2の固定用結び目948から組織926を介して近位方向に延びる圧潰尾部908及び引っ張り尾部940を残留させているのが見える。近位方向へ引っ張り尾部940を引っ張ることにより、遠位縫合糸ループ910(目下、第2の固定用結び目948の一部)を介して、固定された縫合糸尾部922に引っ張りを伝達し、それにより第1の固定用結び目932と第2の固定用結び目948との間で縫合糸を短縮する。一実施形態において、組織926は、第1の位置924と第2の位置938との間に断裂を含み、引っ張り尾部940の引っ張り954は、断裂に閉鎖力を適用する。
【0093】
図11hを参照すると、第8の工程において、引っ張り尾部940と圧潰尾部908との間で結び目958が結ばれて、第7の工程952で引っ張り尾部940に適用された引っ張りの緩みを防止しているのが見える。結び目958は、結び目プッシャー又は他の公知の外科的手法を用いて、第2の固定用結び目948に隣接して配置することができる。最終的に、図11iを参照すると、第9の工程において、圧潰尾部908及び引っ張り尾部940は、第1の組織表面928に対して、又は表面928の下方で切り取られているのが見える。代替的な実施形態では、引っ張り尾部940及び圧潰尾部908の一方又は両方が切り取られずに残り、更なる縫合糸頭部から遠位方向に延びる縫合糸の閉鎖ループを通過して、更なるデイジーチェーンのための他の縫合糸固定位置への出発地点を提供する。
【0094】
図12a〜図12eは、縫合糸を組織に固定するための、本発明による代替的な送達システム及び方法の実施形態を概略的に示す。代替的な送達システムは、皮質骨のような比較的硬い組織への縫合糸頭部の送達が必要な外科手術、及び縫合糸頭部を固定用結び目に圧潰する前に、送達針からの縫合糸頭部の完全な遠位延長が許容される手順に特に有用である。
【0095】
図12aを参照すると、第1の工程において、縫合糸固定デバイス963は、長手方向の針空洞966を有する中空送達針964内に配置されているのが見える。長手方向のピストン空洞970を有する、長手方向に摺動可能な中空ピストン968は、針空洞966内に配置されているのが見える。一実施形態において、縫合糸固定デバイス963は、縫合糸頭部972を含む摺動型のデバイスであり、頭部は、遠位頭部末端974、近位頭部末端976、及び近位頭部末端976から延びる2つの圧潰尾部978、980を有する。圧潰尾部978、980は、ピストン968の外側表面と、送達針964の内側表面との間に配置されているのが見える。遠位フォーク984を有するプッシャーロッド982がピストン空洞970を通して、縫合糸頭部972を通して遠位に、又は頭部と並んで配置されて、遠位頭部末端974の近辺にて、縫合糸頭部972が構成される縫合糸986の一部分と係合しているのが見える。送達針964は、組織990内に準備された固定孔988の入口内に配置されているのが見える。図12a〜図12eに示す実施形態において、組織990は骨であり、固定孔988は、皮質層992を通して海綿骨994内に貫通している。固定孔988は、外科ドリル又は他の骨貫通方法により準備されてもよい。
【0096】
図12bを参照すると、第2の工程において、プッシャーロッド982を使用して縫合糸頭部972を針964から固定孔988内に遠位方向に押し、ピストン968は、縫合糸頭部972の遠位方向の動きに追従しているのが見える。一実施形態において、ピストン968は、プッシャーロッド982と協働して使用されて、針964から縫合糸頭部972を押す。図12cを参照すると、第3の工程において、プッシャーロッド982は除去され、縫合糸頭部972をピストン968の遠位端に接して配置されたまま残留させているのが見える。図12dを参照すると、第4の工程において、縫合糸頭部972は、2つの圧潰尾部978、980の近位方向への引っ張りにより、固定用結び目1002に圧潰されたのが見える。図12eを参照すると、第5の工程において、針964及び針内のピストン968は固定孔988から近位方向に除去され、2つの圧潰尾部978、980を組織994に固定された状態で、外科手術で更なる使用に利用できるよう残留させているのが見える。
【0097】
特に、上に重なる皮質骨の後部の硬い海綿骨等の硬組織において、1つ以上の圧潰尾部の引っ張りは、縫合糸頭部を硬組織内の受容孔の壁に対して完全に拡張して固定用結び目を完全に形成するには不十分であり得る。これが当て嵌まり得る外科的状況では、海綿骨内の孔の直径は、送達針が挿入されて固定デバイスが送達される前に、皮質骨を通した入口を大きくすることなく拡大されることが好ましい。図13に骨1012内の変更された固定孔1010を示し、固定孔1010の海綿部分1014が固定孔1010の皮質部分1016と比較して拡張されて、固定用結び目1018の留置に適合されている。固定孔1010の海綿部分1014の拡張は、固定孔1010の皮質部分1016を通して挿入可能な屈曲切削ツール、穿孔した孔内に挿入され、かつ挿入の軸線から径方向外側に配置され得るツール、遠位末端の近傍に径方向に配置可能な切削部材を有するドリルビット、及び超音波又は他の動力を供給される切削ツールを含むが、これらに限定されない任意の手段により達成することができる。
【0098】
図14a〜図14dは、縫合糸頭部を組織に送達するのに中空送達針を必要としない、本発明による縫合糸固定デバイス、及びデバイスの組織への送達の代替的な実施形態を概略的に示す。図14aを参照すると、縫合糸固定デバイス1020は、本明細書に開示した任意の種類の非摺動縫合糸頭部を含んでもよい非摺動縫合糸頭部1022を含んでいるのが見える。縫合糸頭部1022は、第1の頭部末端1024及び第2の末端1026を有するのが見える。第1の末端1024から圧潰尾部1028が延び、第2の末端1026から送達縫合糸尾部1030が延びて組織貫通ツール1032にて終結し、組織貫通ツールは、様々な実施形態にて縫合針又は外科用ガイドワイヤである。送達尾部1030は圧潰尾部として構成されていないため、縫合糸頭部1022に対する送達尾部1030の引っ張りは、縫合糸頭部1022を固定用結び目に圧潰しない。
【0099】
一実施形態において、縫合糸固定デバイス1020は、関節鏡処置のような患者の身体内1034で行われる外科手術に使用されて、患者の皮膚1038の下にある第1の内部身体組織1036に縫合糸を固定する。一実施形態において、第1の内部組織1036は、皮膚1038の下方の第2の内部身体組織1040の下にもある。一実施形態において、第1の内部組織1036は、膝の半月板であり、第2の内部組織1040は、膝の関節包である。
【0100】
第1の外科工程を図示する図14bを参照すると、組織貫通ツール1032は、患者の内部1034から第1の身体組織1036、第2の身体組織1040及び皮膚1038を通過しているのが見える。加えて、縫合糸頭部1022が第1の身体組織1036を介して引かれ、第1の身体組織1036と皮膚1038との間に縫合糸頭部1022を配置させている。図14cを参照すると、留置工程において、圧潰尾部1028及び送達尾部1030が両方とも縫合糸頭部1022に対して引っ張られて、縫合糸頭部1022を固定用結び目1050に圧潰しているのが見える。最終的に、図14dを参照すると、最後の工程において、固定用結び目が圧潰尾部1028の引っ張りにより第1の身体組織に対して固定されているのが見え、送達尾部1030が切り取られているのが見え、皮膚1038の上方に突出した縫合糸は残留していない。固定用結び目1050により固定された送達尾部1030は、次に、他の組織又は植え込み可能なデバイス(図14a〜図14dに示さず)に接続する外科手術での更なる使用に利用することができる。
【0101】
縫合糸を組織に直接固定することに加えて、本明細書にて上述した本発明の縫合糸固定デバイスは、そのものが組織に定着できる中間インプラントに対して縫合糸を固定するのに使用することができる。中間インプラントは、縫合糸アンカー、中空ねじ又はリベット、及び骨プレート等の植え込まれた他の物体を含むが、これらに限定されない任意の多様なインプラントタイプであってもよい。中間インプラントの組織に対する定着は、干渉、トグリング、ねじ山、拡大又は延長部材、接着剤及びセメントを含むが、これらに限定されない任意の公知の手段によるものであってもよい。図15a〜図15dは、縫合糸固定システム、及び本明細書にて上述した任意の種類の縫合糸頭部であってもよい縫合糸頭部を組み込む関連した方法、並びに組織に定着させるための中間インプラントの実施形態の断面図を示す。
【0102】
最初に図15aを参照すると、組織固定本体1060は、組織1064内の孔1062内に定着させるために提供されているのが見え、組織は一実施形態では皮質層1066及び海綿層1068を有する骨である。組織固定本体1060は、近位端1070、遠位端1072、及び近位端1070と遠位端1072との間に延びる空洞1074を有するのが見える。一実施形態において、空洞1074は、その長さに沿って実質的に固定した断面寸法(空洞が円形の断面を有する場合、直径)を有する。組織固定本体1060は、組織固定本体1060を孔1062内に定着するための1つ以上の外側定着部材1076を更に含むのが見える。任意の公知の方法を使用して、組織1064内に孔1062を準備し、孔内に固定本体1060を定着することができる。
【0103】
本実施形態では、1つ以上の定着部材1076は、孔1062の内壁と係合するために、固定本体1060上の外側ねじ山を含む。固定本体1060は、相補的な挿入ツール1080の固定本体1060との解放可能な接続のためのツール係合構造1078も含んで、固定本体1060を孔1062内に回転的に差し込む。ツール係合構造1078は、近位端1070と遠位端1072との間にて、その長さの少なくとも一部分に沿って、空洞1074の非円形の内部断面を含んでもよい。非円形の断面は、挿入ツール1080を受容する六角形の内側断面、又は正方形、星形及び他のねじ回し型の装着部(fitting)等を含むが、これらに限定されない他の構成等、回転係合に有効な任意の種類の断面であってもよい。別の実施形態では、固定本体1060は、予め穿孔された孔を提供することなく、組織1064内に定着し得る自己穿孔ねじを含む。図15bは、組織1064に定着された組織固定本体1060を示す。
【0104】
図15cを参照すると、1つ以上の近位方向に延びる縫合糸尾部1086を含む、縫合糸頭部1084を送達する送達ツール1082は、少なくとも部分的に空洞1074を通して固定本体1060の近位端1070から遠位端1072に向かって配置されているのが見える。送達ツール1082は、送達ツール1082の空洞1074内への最大挿入深度を決定する停止要素1088を含むことが好ましい。送達ツール1082がかように空洞1074内に配置された状態で、本明細書にて上述した方法及び装置を使用して、縫合糸頭部1084が送達ツール1082から遠位方向へ送達される。図15dを参照すると、縫合糸頭部1084は空洞1074の遠位端1072を越えて遠位方向に送達され、空洞1074の断面寸法よりも大きい断面寸法を有する固定用結び目1090に圧潰されて、1つ以上の縫合糸尾部1086が引っ張られた際に、固定用結び目1090が空洞1074を通して近位方向に引き抜かれることに抵抗するのが見える。送達ツール1082は、図15dにも、空洞1074から除去されて示されている。
【0105】
様々な実施形態において、挿入ツール1080は、図15bに示すように、固定本体1060を組織1064に定着した後に固定本体1060から除去され、又は定着後、固定本体1060に接続されたまま残留される。挿入ツール1080が固定本体1060を組織1064に定着した後に固定本体1060に接続されたまま残留される実施形態では、挿入ツール1080は、内部に送達ツール1082を受容し、そして空洞1074へ送るよう中空である。この実施形態において、挿入ツール1080は、縫合糸頭部1084を留置するために空洞1074を配置する外科医を補助する案内としても機能する。
【0106】
縫合糸固定システムと、縫合糸頭部及び組織に対する定着のために中間インプラントを組み込む関連した方法との別の実施形態を、図16a〜図16dに示す。図16a〜図16dの実施形態は図15a〜図15dの実施形態と類似しているが、図16a〜図16dの実施形態では、固定用結び目が、留置後、中間インプラントの遠位ではなく、実質的に中間インプラント内に含まれている。
【0107】
最初に図16aを参照すると、組織1064内の孔1062内に定着するための結び目保持固定本体1094が提供されている。結び目保持固定本体1094は、近位端1096、遠位端1098、及び近位端1096と遠位端1098との間に延びる可変断面空洞1100を有するのが見える。結び目保持固定本体1094は、図15a〜図15dの組織固定本体1060と類似しているのが見えるが、可変断面空洞1100は近位端1096から遠位方向に離間した拡大された直径部分1102を含むのが見える。一実施形態において、可変断面空洞は、その長さに沿って断面に段1104が付けられ、近位端1096よりも遠位端1098の断面が大きくなっている。別の実施形態では、可変断面空洞1094は、結び目保持固定本体1094の遠位端1098にて実質的に閉鎖されている。図16bに、組織1064に定着された結び目保持固定本体1094を示す。
【0108】
図16cを参照すると、縫合糸頭部1084は、図15cに関連して記載したように、送達ツール1084内に配置されているのが見えるが、図16dに示すように、可変空洞1100の拡大部分1102内に送達されて、実質的に可変空洞内に配置された固定用結び目1106に圧潰される。一実施形態において、固定用結び目1106は、可変空洞1100の拡大部分1102の内部断面と一致する。縫合糸頭部と中間インプラントの両方を含む、図15a〜図16dにあるようなハイブリッド実施形態は、例えば中間インプラント内の孔又は細長孔が、インプラント上の1つ以上の位置内に縫合糸を固定するために提供される又はされ得る外科手術に有用である。
【0109】
本発明による第1の固定デバイスの予め形成した孔又は空洞を介した留置の後、1つ以上の縫合糸の脚部が、第1の固定用結び目から孔又は空洞を介して近位方向へ延びる。マルチ固定の実施形態では、予め形成した孔又は空洞の断面寸法は、1つ以上の縫合糸の脚部と並んだ孔又は空洞を、第2の固定デバイス用の送達ツールが通過することを可能にするような大きさにされる。それ故、孔又は空洞を一定の大きさに作ることにより、外科手術の要求に従って外科医により決定される2つ以上の固定デバイスを孔又は空洞に留置することが可能となる。
【0110】
本発明による縫合糸固定デバイスは、それらの構成及び構造の材料、用途及び送達の多様性、低減された外科的外傷、定着強度、並びに破損モードに関連した利点を含むが、これらに限定されない多数の利点を有する。構造の材料に関して、本発明による縫合糸固定デバイスは、実質的に、アンカー本体と、本体に接続される縫合糸とに使用される材料間の材料適合性の問題が存在しない縫合糸から有利に作製される。更に、本発明は、縫合糸固定デバイスと、縫合糸の単一の連続した長さから構成される関連した縫合糸とを提供することができ、アンカー構成要素間の全てのインターフェースを有利に排除する。
【0111】
加えて、実質的に縫合糸から形成される縫合糸固定デバイスは、デバイスが植え込まれる組織に外傷を与え得る鋭利な縁又は角を有さない。更に、構造の材料は、高い機械的強度、卓越した組織適合性、制御される生体吸収性、及び組織内殖、並びに外科修復処置に好適な他の所望の特性の1つ以上を提供できる材料を含む、非常に様々な入手可能な縫合糸材料の中から選択することができる。また更に、潤滑性、結び又は化学的溶出を調節するための縫合糸の機械的及び化学的処理は、当技術分野にて公知であり、本発明の全体に容易に適用され、又は縫合糸固定デバイス構築に使用される縫合糸の一部のみを処理することにより、そのセクションに容易に適用される。また更に、本発明で提供される結ばれた固定構成自体が、治癒を向上させるための組織内殖を助長できる比較的開放された構造である。
【0112】
本発明による縫合糸固定デバイスは、固定デバイスを構成する縫合糸の直径の数倍のみの直径を有する中空送達針を経由して組織に有利に送達され、それにより送達方法に関連した外科的外傷を最小にする。送達は組織壁の後部、又は上に重なる皮質骨を通して、小径貫通部の後部のバルク組織内、例えば軟骨内又は海綿骨内への空間に対するものであり得る。加えて、組織内に留置された固定用結び目の断面寸法は、送達針内に配置された縫合糸頭部の長さにより主に決定されるため、幅広い固定用結び目の寸法と、したがって留置保持強度とを、所定の送達針の直径を使用して送達することができる。この特徴により、修復の定着強度を、アンカー材料のチーズワイヤリング、又はアンカー本体の鋭利な角における縫合糸の切断等の問題を有することなく、縫合糸材料の破損強度迄、特定の外科手術用に誂えることができる。また有利なことに、本発明による固定デバイスを使用して行われた修復が失敗した場合、潜在的に有害な、破損したアンカー本体からの鋭利な縁又は尖った断片が生成されない。
【0113】
本発明による縫合糸固定デバイスは、軟組織断裂又は下にある骨からの分離の修復等、損傷組織の低侵襲製修復を行う際に特に有利である。非限定的な一例として、最小の外科的外傷を有して骨に対して旋筋腱板組織を再接近(reapproximate)させ、縫合糸を骨内に固定するため、1つ以上の縫合糸頭部を含む小径送達針を損傷した回旋筋腱板の組織に通し、下にある上腕骨の骨内に通過させ、回旋筋腱板断裂の一部の厚さの低侵襲性修復ができる。
【0114】
縫合糸頭部は可撓性であるため、送達針はその長さに沿って1つ以上の湾曲又は屈曲を含むよう成形されて、外科部位へのアクセスを最適化し、また外科的外傷を更に少なくすることができる。送達針の例示的な形状は、針に沿った実質的に180度のUターン、及び任意の他の角度のターン、並びに螺旋形(コルク抜き形)の送達針を含むことができる。更に、縫合糸頭部は、針から排出されるにつれて固定用結び目に圧潰されるこができるため、留置に必要な組織内又は組織を通した貫通部の深さを最小にすることができる。この特徴は、例えば、縫合糸の固定が小骨、又は組織壁の後部の浅い空間内に必要な場合、特に有利である。例えば、図1bは、針116を越えて完全な長さに突出する縫合糸頭部102を示す。しかしながら、縫合糸頭部102を完全な長さに突出させず、ピストン128で縫合糸頭部102を押し出す一方で、縫合糸尾部112を同時に引っ張ることにより、縫合糸頭部は針遠位端120において、少しだけ固定用結び目136に拡大される。
【0115】
本明細書に開示した縫合糸固定デバイスの様々な実施形態は、固定用結び目と縫合糸との間の固定及び摺動結合のいずれか又は両方を含むため、本発明により非常に幅広い適用性が提供される。加えて、複数の縫合糸結合固定デバイスが単一の送達針により送達することができる。更に、単一の送達針内の複数の固定デバイスは、2種類以上の固定デバイスを含むことができる。また更に、固定デバイスと共に接着剤又はセメントを注入することができ、修復に安定性を加えることができる。
【0116】
当業者は、上述した実施形態に基づき本発明の更なる特徴及び利点を理解し、また本発明が開放手術、低侵襲性手術、及びロボット支援下手術に適用できることを理解するであろう。更に、本明細書に引用した外科工程は、その詳細、実施の順序、及び処置における包含物の必要性を、本発明の意図及び範囲から逸脱することなく変更することができる。したがって、本発明は、付属の特許請求の範囲において示される場合は例外として、具体的に図示、記載されたものに限定されるものではない。本明細書中に引用される刊行物及び参考文献はすべて、それらの全容を参照により本明細書に明白に組み込むものである。
【0117】
〔実施の態様〕
(1) 半月板修復装置において、
第1の定着部材及び第2の定着部材と、
前記第1の定着部材及び第2の定着部材に結合した縫合糸の長さと、
前記縫合糸の長さに関連した、前記第1の定着部材と前記第2の定着部材との間で前記縫合糸の長さを短縮する手段と、を含み、
前記第1の定着部材は、前記縫合糸の長さの一部分に沿った予め形成した第1の結び目構成を含み、前記第2の定着部材は、前記縫合糸の長さの他の部分に沿った予め形成した第2の結び目構成を含み、
前記予め形成した第1の結び目構成は、前記縫合糸の長さに沿って第1の最大直径を有し、かつ前記第1の最大直径の少なくとも3倍大きい第1の最小直径を有する第1の固定用結び目に再構成可能であり、前記予め形成した第2の結び目構成は、前記縫合糸の長さに沿って第2の最大直径を有し、かつ前記第2の最大直径の少なくとも3倍大きい第2の最小直径を有する第2の固定用結び目に再構成可能である、半月板修復装置。
(2) 前記半月板修復装置が、無菌であり、細菌不透過性の閉鎖容器内に包装される、実施態様1に記載の半月板修復装置。
(3) 前記半月板修復装置が、生物学的に適合性の材料から形成される、実施態様1に記載の半月板修復装置。
(4) 前記第1の定着部材及び前記第2の定着部材のうち少なくとも一方が、前記縫合糸の長さから形成される、実施態様1に記載の半月板修復装置。
(5) 前記第1の定着部材及び前記第2の定着部材のうち少なくとも一方が、前記縫合糸の長さと編み合わせられた別個の縫合糸の部分を含む、実施態様1に記載の半月板修復装置。
(6) 前記縫合糸の長さに関連した、前記縫合糸の長さを短縮する手段が、滑り結び目を含む、実施態様1に記載の半月板修復装置。
(7) 前記第1の定着部材及び前記第2の定着部材のうち一方が、前記縫合糸の長さのループ上に配置され、前記滑り結び目が前記ループを短縮するよう構成されている、実施態様5に記載の半月板修復装置。
(8) 前記滑り結び目が前記第1の定着部材及び前記第2の定着部材のうち一方に位置する、実施態様7に記載の半月板修復装置。
(9) 前記滑り結び目が、前記縫合糸の長さの一部分を、前記予め形成した第1の結び目構成及び前記予め形成した第2の結び目構成のうち一方を通過させることにより形成される、実施態様8に記載の半月板修復装置。
(10) 前記第1の最小直径が、前記第1の最大直径の少なくとも5倍大きい、実施態様1に記載の半月板修復装置。
【0118】
(11) 前記第1の最小直径が、前記第1の最大直径の少なくとも10倍大きい、実施態様1に記載の半月板修復装置。
(12) 前記第1の定着部材を、半月板内の断裂に隣接した前記半月板上の第1の位置に配置する工程と、前記第2の定着部材を、前記断裂に隣接した前記半月板上の第2の位置に配置する工程と、前記縫合糸の長さを、前記断裂を横切って通過させ、前記縫合糸の長さを短縮して前記断裂を閉鎖する工程と、を含む、使用のための指示書を更に含む、実施態様1に記載の半月板修復装置。
(13) 半月板内の断裂の修復方法において、
予め形成した第1の結び目構成を含み、かつ縫合糸の長さに結合した第1の定着部材を、前記半月板内の前記断裂に隣接した第1の位置に配置する工程と、
前記第1の定着部材から離間した前記縫合糸の長さに結合した、予め形成した第2の結び目構成を含む第2の定着部材を、前記縫合糸の長さが前記半月板を通過し、かつ前記断裂を横切るように、前記半月板内の前記断裂に隣接した第2の位置に配置する工程と、
前記予め形成した第1の結び目構成を第1の固定用結び目に拡大する工程と、
前記予め形成した第2の結び目構成を第2の固定用結び目に拡大する工程と、
前記第1の定着部材と前記第2の定着部材との間の縫合糸の長さを短縮することによって前記断裂を閉鎖する工程と、を含む、方法。
(14) 前記第1の定着部材と前記第2の定着部材との間の前記縫合糸の長さの一部分が、滑り結び目を有するループを含み、前記第1の定着部材と前記第2の定着部材との間の前記縫合糸の長さを短縮する前記工程が、少なくとも部分的に前記ループを閉鎖するように前記滑り結び目を摺動させることを含む、実施態様13に記載の方法。
(15) 前記滑り結び目が、前記第1の定着部材又は前記第2の定着部材のうち一方に配置され、前記滑り結び目を摺動させる前記工程の間その位置から移動しない、実施態様14に記載の方法。
(16) 前記半月板が、大腿骨に向いた第1の表面と、前記大腿骨から離れて外側又は内側に向いた第2の表面とを有し、前記第1の位置及び前記第2の位置が、前記第2の表面上に選択される、実施態様13に記載の方法。
(17) 前記縫合糸の長さが、前記第1の表面の一部分を通過する、実施態様16に記載の方法。
(18) 前記第1の定着部材を第1の位置の部材に配置する前記工程が、中空針を、前記半月板を通して前記第1の表面から前記第2の表面に通過させ、前記第1の定着部材を前記第1の位置に放出することを含む、実施態様17に記載の方法。
(19) 前記予め形成した第1の結び目構成を拡大する前記工程が、前記予め形成した第1の結び目から延びる縫合糸尾部を、前記予め形成した第1の結び目に対して引っ張ることを含む、実施態様18に記載の方法。
(20) 前記縫合糸尾部を引っ張りつつ、前記中空針に関連した当接部を、前記予め形成した第1の結び目に対抗して配置することを更に含む、実施態様19に記載の方法。
【0119】
(21) 前記縫合糸尾部が前記縫合糸の長さを含む、実施態様19に記載の方法。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
半月板修復装置において、
第1の定着部材及び第2の定着部材と、
前記第1の定着部材及び第2の定着部材に結合した縫合糸の長さと、
前記縫合糸の長さに関連した、前記第1の定着部材と前記第2の定着部材との間で前記縫合糸の長さを短縮する手段と、を含み、
前記第1の定着部材は、前記縫合糸の長さの一部分に沿った予め形成した第1の結び目構成を含み、前記第2の定着部材は、前記縫合糸の長さの他の部分に沿った予め形成した第2の結び目構成を含み、
前記予め形成した第1の結び目構成は、前記縫合糸の長さに沿って第1の最大直径を有し、かつ前記第1の最大直径の少なくとも3倍大きい第1の最小直径を有する第1の固定用結び目に再構成可能であり、前記予め形成した第2の結び目構成は、前記縫合糸の長さに沿って第2の最大直径を有し、かつ前記第2の最大直径の少なくとも3倍大きい第2の最小直径を有する第2の固定用結び目に再構成可能である、半月板修復装置。
【請求項2】
前記半月板修復装置が、無菌であり、細菌不透過性の閉鎖容器内に包装される、請求項1に記載の半月板修復装置。
【請求項3】
前記半月板修復装置が、生物学的に適合性の材料から形成される、請求項1に記載の半月板修復装置。
【請求項4】
前記第1の定着部材及び前記第2の定着部材のうち少なくとも一方が、前記縫合糸の長さから形成される、請求項1に記載の半月板修復装置。
【請求項5】
前記第1の定着部材及び前記第2の定着部材のうち少なくとも一方が、前記縫合糸の長さと編み合わせられた別個の縫合糸の部分を含む、請求項1に記載の半月板修復装置。
【請求項6】
前記縫合糸の長さに関連した、前記縫合糸の長さを短縮する手段が、滑り結び目を含む、請求項1に記載の半月板修復装置。
【請求項7】
前記第1の定着部材及び前記第2の定着部材のうち一方が、前記縫合糸の長さのループ上に配置され、前記滑り結び目が前記ループを短縮するよう構成されている、請求項5に記載の半月板修復装置。
【請求項8】
前記滑り結び目が前記第1の定着部材及び前記第2の定着部材のうち一方に位置する、請求項7に記載の半月板修復装置。
【請求項9】
前記滑り結び目が、前記縫合糸の長さの一部分を、前記予め形成した第1の結び目構成及び前記予め形成した第2の結び目構成のうち一方を通過させることにより形成される、請求項8に記載の半月板修復装置。
【請求項10】
前記第1の最小直径が、前記第1の最大直径の少なくとも5倍大きい、請求項1に記載の半月板修復装置。
【請求項11】
前記第1の最小直径が、前記第1の最大直径の少なくとも10倍大きい、請求項1に記載の半月板修復装置。
【請求項12】
前記第1の定着部材を、半月板内の断裂に隣接した前記半月板上の第1の位置に配置する工程と、前記第2の定着部材を、前記断裂に隣接した前記半月板上の第2の位置に配置する工程と、前記縫合糸の長さを、前記断裂を横切って通過させ、前記縫合糸の長さを短縮して前記断裂を閉鎖する工程と、を含む、使用のための指示書を更に含む、請求項1に記載の半月板修復装置。
【請求項1】
半月板修復装置において、
第1の定着部材及び第2の定着部材と、
前記第1の定着部材及び第2の定着部材に結合した縫合糸の長さと、
前記縫合糸の長さに関連した、前記第1の定着部材と前記第2の定着部材との間で前記縫合糸の長さを短縮する手段と、を含み、
前記第1の定着部材は、前記縫合糸の長さの一部分に沿った予め形成した第1の結び目構成を含み、前記第2の定着部材は、前記縫合糸の長さの他の部分に沿った予め形成した第2の結び目構成を含み、
前記予め形成した第1の結び目構成は、前記縫合糸の長さに沿って第1の最大直径を有し、かつ前記第1の最大直径の少なくとも3倍大きい第1の最小直径を有する第1の固定用結び目に再構成可能であり、前記予め形成した第2の結び目構成は、前記縫合糸の長さに沿って第2の最大直径を有し、かつ前記第2の最大直径の少なくとも3倍大きい第2の最小直径を有する第2の固定用結び目に再構成可能である、半月板修復装置。
【請求項2】
前記半月板修復装置が、無菌であり、細菌不透過性の閉鎖容器内に包装される、請求項1に記載の半月板修復装置。
【請求項3】
前記半月板修復装置が、生物学的に適合性の材料から形成される、請求項1に記載の半月板修復装置。
【請求項4】
前記第1の定着部材及び前記第2の定着部材のうち少なくとも一方が、前記縫合糸の長さから形成される、請求項1に記載の半月板修復装置。
【請求項5】
前記第1の定着部材及び前記第2の定着部材のうち少なくとも一方が、前記縫合糸の長さと編み合わせられた別個の縫合糸の部分を含む、請求項1に記載の半月板修復装置。
【請求項6】
前記縫合糸の長さに関連した、前記縫合糸の長さを短縮する手段が、滑り結び目を含む、請求項1に記載の半月板修復装置。
【請求項7】
前記第1の定着部材及び前記第2の定着部材のうち一方が、前記縫合糸の長さのループ上に配置され、前記滑り結び目が前記ループを短縮するよう構成されている、請求項5に記載の半月板修復装置。
【請求項8】
前記滑り結び目が前記第1の定着部材及び前記第2の定着部材のうち一方に位置する、請求項7に記載の半月板修復装置。
【請求項9】
前記滑り結び目が、前記縫合糸の長さの一部分を、前記予め形成した第1の結び目構成及び前記予め形成した第2の結び目構成のうち一方を通過させることにより形成される、請求項8に記載の半月板修復装置。
【請求項10】
前記第1の最小直径が、前記第1の最大直径の少なくとも5倍大きい、請求項1に記載の半月板修復装置。
【請求項11】
前記第1の最小直径が、前記第1の最大直径の少なくとも10倍大きい、請求項1に記載の半月板修復装置。
【請求項12】
前記第1の定着部材を、半月板内の断裂に隣接した前記半月板上の第1の位置に配置する工程と、前記第2の定着部材を、前記断裂に隣接した前記半月板上の第2の位置に配置する工程と、前記縫合糸の長さを、前記断裂を横切って通過させ、前記縫合糸の長さを短縮して前記断裂を閉鎖する工程と、を含む、使用のための指示書を更に含む、請求項1に記載の半月板修復装置。
【図1a】
【図1b】
【図1c】
【図1d】
【図2a】
【図2b】
【図2c】
【図2d】
【図3a】
【図3b】
【図3c】
【図4a】
【図4b】
【図4c】
【図4d】
【図5a】
【図5b】
【図5c】
【図5d】
【図6a】
【図6b】
【図7a】
【図7b】
【図8a】
【図8b】
【図9a】
【図9b】
【図9c】
【図9d】
【図9e】
【図9f】
【図9g】
【図9h】
【図9i】
【図9j】
【図9k】
【図10a】
【図10b】
【図11a】
【図11b】
【図11c】
【図11d】
【図11e】
【図11f】
【図11g】
【図11h】
【図11i】
【図12a】
【図12b】
【図12c】
【図12d】
【図12e】
【図13】
【図14a】
【図14b】
【図14c】
【図14d】
【図15a】
【図15b】
【図15c】
【図15d】
【図16a】
【図16b】
【図16c】
【図16d】
【図1b】
【図1c】
【図1d】
【図2a】
【図2b】
【図2c】
【図2d】
【図3a】
【図3b】
【図3c】
【図4a】
【図4b】
【図4c】
【図4d】
【図5a】
【図5b】
【図5c】
【図5d】
【図6a】
【図6b】
【図7a】
【図7b】
【図8a】
【図8b】
【図9a】
【図9b】
【図9c】
【図9d】
【図9e】
【図9f】
【図9g】
【図9h】
【図9i】
【図9j】
【図9k】
【図10a】
【図10b】
【図11a】
【図11b】
【図11c】
【図11d】
【図11e】
【図11f】
【図11g】
【図11h】
【図11i】
【図12a】
【図12b】
【図12c】
【図12d】
【図12e】
【図13】
【図14a】
【図14b】
【図14c】
【図14d】
【図15a】
【図15b】
【図15c】
【図15d】
【図16a】
【図16b】
【図16c】
【図16d】
【公開番号】特開2011−25035(P2011−25035A)
【公開日】平成23年2月10日(2011.2.10)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2010−165577(P2010−165577)
【出願日】平成22年7月23日(2010.7.23)
【出願人】(507083478)デピュイ・ミテック・インコーポレイテッド (47)
【氏名又は名称原語表記】DePuy Mitek,Inc.
【住所又は居所原語表記】325 Paramount Drive,Raynham,Massachusetts 02767 United States of America
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年2月10日(2011.2.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−165577(P2010−165577)
【出願日】平成22年7月23日(2010.7.23)
【出願人】(507083478)デピュイ・ミテック・インコーポレイテッド (47)
【氏名又は名称原語表記】DePuy Mitek,Inc.
【住所又は居所原語表記】325 Paramount Drive,Raynham,Massachusetts 02767 United States of America
【Fターム(参考)】
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