説明

半田付け可能な導電性構造物

【課題】信頼性ある半田付けが可能な導電性構造物、殊に印刷回路基板(PCB)に実装
可能なEMCガスケットを提供することを目的とする。
【解決手段】導電性を有しかつ弾性を有する本体部(1) の外周面のうちの少なくとも底部
側の下面に、導電粉(M) が高配合された感圧接着性樹脂(R) からなる半田付け可能層(2)
が設けられた構造を有する半田付け可能な導電性構造物であって、前記の本体部(1) はそ
の底部側の下面とその頂部側の上面との間が電気的に導通する導電部(1A)で構成されてお
り、前記の半田付け可能層(2) は導電粉(M) が高配合された感圧接着性樹脂(R) の層から
なる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、信頼性ある半田付けが可能な導電性構造物(殊にEMCガスケット)に関するものである。
【背景技術】
【0002】
[PCBに対するEMCガスケットの実装]
−1−
印刷回路基板(PCB、printed circuit board )には種々の構成部品が実装される。
EMIガスケット(電磁波シールド性ガスケット/electromagnetic interference gaske
t )である導電性ガスケットや、グランド強化やアース接地を行うための電気短絡端子な
ども、PCB上に搭載されるべき重要な部品であって、PCB上の所定位置に固定配置さ
れる。これらの導電性ガスケットや電気短絡端子はいずれもEMC対策部品として使用さ
れるのであって、一般に「EMCガスケット」と総称されることも多く、本発明において
も「EMCガスケット」という技術用語を、「導電性ガスケット、電気短絡端子、あるい
はそれらに類する部品」の意味で用いている。なお、EMCは「electro magnetic compa
tibility」の略号であり、他の機器から電磁気的な影響を受けず、また他の機器に電磁気
的な影響を与えないで、機器としての機能を果たしうる能力を言う。
−2−
EMCガスケットが導電性ガスケットである場合のPCB上への固定は、弾性を有する
芯材の外周部を半田付け可能な金属層で構成したものを用いたり、後述の特許文献1のよ
うに導電性ガスケットの底部側に金属層のような半田付け可能な支持層を設けたガスケッ
トアセンブリを用いたりすること、そして、それらのガスケットやガスケットアセンブリ
をPCB上に予め設けてあるクリーム半田上に配置し、ついでそのクリーム半田をリフロ
ーさせることにより達成される。
【0003】
[特許文献1]
−1−
特表2002−510873(特許文献1)は、「表面実装対応EMIガスケット及び
設置部にEMIガスケットを装着する方法」を発明の名称とするものであって、国際公開
であるWO99/51074に対応する。なお、この特許文献1の出願は、日本において
は特許第4249391号(発明の名称は「表面実装対応EMIガスケット装着方法」)
として特許されている。この特許文献1は、表面実装対応EMIガスケットにかかる基本
的な文献であると思われる。
【0004】
−2−
特許文献1の請求項1は次の如くである。符号20, 22, 24, 26は、特許文献1の図1お
よび図1Aと対応させてある。なお、特許文献1の図1または図1Aにおける他の符号の
うち、28は半田層(solder layer)、30は接地部(ground trace)、32は印刷回路基板(PC
B)である。
(特許文献1の請求項1)
・導電性ガスケット材(an electrically conductive gasket material) 22 と、
・半田付け可能な導電性支持層(a solderable, electrically conductive support lay
er) 24と、
・前記の導電性ガスケット材22を前記の半田付け可能な導電性支持層24に固着する手段
(means for affixing the electrically conductive gasket material to the solderabl
e, electrically conductive support layer) 26と
からなる表面実装技術(SMT/a surface mount technology)対応電磁妨害(EMI)
ガスケットアセンブリ20。
【0005】
−3−
この特許文献1に示された「導電性ガスケット材22を含むEMIガスケットアセンブリ
20」の代表的な層構成は、その段落0019および図1Aのように「導電性ガスケット材
22/接着剤26/導電性支持層24」であり、その「導電性支持層24」側が半田層28のリフロ
ーにより半田付けされる。ここで「導電性支持層24」は、典型的には、その段落0022
のように、半田付け可能な金属で構成されるかあるいは半田付け可能な金属をメッキした
プラスチックで構成される。なおその段落0021には、「導電性ガスケット材22/接着
剤26/導電性支持層24」における「導電性ガスケット材22」と「導電性支持層24」との間
の電気的経路を確保するために、「接着剤26」として導電性感圧アクリル接着剤(あるい
は熱硬化性または熱可塑性の接着剤)を用いることができるとの記載もある。
【0006】
−4−
特許文献1には、スクリーン印刷可能な導電性接着剤を使用して、「EMIガスケット
22の導電性支持層24(あるいはEMIガスケット22自体)」をPCBの設置部に直接に接
着することについても示されている(段落0014)。このときには、半田の必要性は完
全に排除されるわけである。
【0007】
−5−
特許文献1には、半田付け可能な「導電性支持層24」を用いずに、EMIガスケット22
を半田層28に直接に半田付けする方法についても示されている(段落0015)。
【0008】
−6−
また、特許文献1には、導電性支持層24を用いるか用いないかを問わず、半田層28を使
用しないで、「EMIガスケットあるいはガスケットアセンブリ」を「接着剤を介して」
導電性表面へ配置する方法についても示されている(段落0016)。
【0009】
[特許文献2]
特開2001−144399(特許文献2)には、剛性を有する導体からなる芯体2を
弾性体3で覆い、該弾性体3の周囲を導電性材料4で被覆してなる基板間接続部材1が示
されている。その段落0017および図1〜2によれば、「基板間接続部材1は、銅等の
剛性のある導電体から成る柱状をした芯体2の外周を耐熱性を有する弾性材料、例えば、
ポリイミド等からなる弾性体3で覆い、これら芯体2と弾性体3とからなる部分の全体を
銅等の導電性を有する導電性材料4で被覆したものである」とあり、その段落0020〜
0021には、「電子回路基板6Aの上面に形成された接続用ランド(電極)8A上に半田ペ
ースト9Aを印刷により付与し、ついで基板間接続部材1を接続用ランド8A上に搭載し、か
つリフロー加熱してこれらを実装する」旨の記載がある。
【0010】
[特許文献3]
特開2001−267715(特許文献3)には、電子部品をマウントした複数枚の回
路基板を積み重ねるように組み立てて成る電子回路装置において、少なくとも外表面が導
電性を有する弾性体を介して複数枚の回路基板が互いに積み重ねられると共に、前記の弾
性体を介して前記複数枚の回路基板の電気的な接続がなされるようにした構成が示されて
いる(請求項1)。この特許文献3には、前記の導電性を有する弾性体10を、一方の回路
基板15の接続用ランド16に設けた半田ペースト17のリフローにより半田付けすると共に、
他方の回路基板23に設けた接続用ランド24に圧着する旨の記載がある(段落0008、0
013〜0019、図2)。
【0011】
[特許文献4]
特開2002−245850(特許文献4)の請求項1の発明は、「導電粉及びバイン
ダを特定の配合割合で含む導電ペーストであって、かつその導電ペースト硬化物のガラス
転移点(Tg)が40〜180℃である導電ペースト。」である。バインダとして具体的
に示されているものはエポキシ樹脂組成物(特に、可撓性付与剤を含むエポキシ樹脂組成
物)であり(請求項2、3)、導電粉として具体的に示されているものは銅粉または銅合
金粉である(請求項4、5)。その実施例によれば、銅張り積層板の銅箔をエッチングに
より除去した面に上記の導電ペーストを塗布して加熱処理することにより導電体を得、そ
の導電体の表面を平滑および鏡面にしてから、その平滑および鏡面とした面に半田フラッ
クスを塗布した後、半田槽に浸漬してから引き上げて室温にまで冷却することにより、導
電体の表面に半田付けするという操作を行うことによって、導電体の表面に半田付けがな
されていることを確認するという試験を行っている(段落0037〜0038)。引用文
献4の導電ペーストは半田付け性に優れていることがわかる(段落0061)。引用文献
4の導電ペーストは、電子部品、回路配線材料、電極材料、導電接合材料として使用され
、直接半田付けをすることが可能であるとしている(段落0001)。
【0012】
[特許文献5]
特開昭60−11574(特許文献5)には、低接着支持体ウェブ12上に導電粉入りの
接着剤層16が軽く接着している接着転写テープ10が示されており、接着剤層16の接着剤と
しては熱活性化性接着剤(熱硬化、ホットメルトまたは熱粘着性化接着剤のこと)が好適
であるとしてある。ガラス転移点Tgについても説明があり、アクリル系重合体の場合に
は適当な平均Tgを有するときには、室温において非ないし貧粘着性であるが、加熱され
た場合には粘着性になるとある。感圧接着剤についても言及があり、室温において非粘着
性である接着剤はテープを電気的接続を作るために適用したときには導電性粒子を良くそ
の場所に維持し、半田付け温度における短時間曝露に対しより安全にそしてより抵抗性に
なるとある。電気的結合が行われた後に、低Tgポリマーの交差結合によってほぼ同じ結
果を達成することができるとの記載もある。
【0013】
[特許文献6]
特開平5−196812(特許文献6)には、偏光フィルムの両面が保護層で被覆され
てなる偏光板の保護層の少なくとも一方に、アクリル系樹脂とアクリルゴムとからなる粘
着剤層を有する偏光板が示されている。実施例においては、アクリル系樹脂としては「n
−ブチルアクリレート(/エチルアクリレート)/アクリル酸(/2−ヒドロキエチルメ
タクリル酸)の共重合体」からなるガラス転移温度Tgが−50℃〜−52℃のものを用
い、アクリルゴムとしては「n−ブチルアクリレート/アクリロニトリル/2−ヒドロキ
シエチルアクリレートの共重合体」からなるガラス転移温度Tgが約−42℃のものを用
いている。そして、これらのアクリル系樹脂およびアクリルゴムのほかに、架橋剤として
、トリレンジイソシアネート3モルとトリメチロールプロパン1モルとの付加物、シクロ
ヘキサンジイソシアネートまたはイソホロンジイソシアネートを配合した粘着剤溶液を用
いて、上記の粘着剤層を形成している。
【0014】
【特許文献1】特表2002−510873
【特許文献2】特開2001−144399
【特許文献3】特開2001−267715
【特許文献4】特開2002−245850
【特許文献5】特開昭60−11574
【特許文献6】特開平5−196812
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
(特許文献1について)
特許文献1に示された「導電性ガスケットを含むアセンブリ20」の代表的な層構成は、
「導電性ガスケット材22/接着剤26/導電性支持層24」であり(「導電性支持層24」は半
田付け可能な金属で構成されるかあるいは半田付け可能な金属をメッキしたプラスチック
で構成される)、この層構成であれば、その「導電性支持層24」側が半田層28のリフロー
によりしっかりと半田付けされ、信頼性あるものとなるものと思われる。しかしながら、
「導電性支持層24」を有するアセンブリ20は構造的に複雑になるため、導電性ガスケット
材22の形状や大きさによっては所期の目的の使い方をすることができないことがあり、ま
た製造コストの点でも不利になることを免れない。
【0016】
なお、特許文献1に示されている上記以外の態様は、搭載された導電性ガスケット材22
のPCBの設置部に対する固定の点で疑問が残り、信頼性の点で不安がある。
【0017】
特許文献1は、表面実装対応EMIガスケットにかかる基本的な文献であると思われる
が、本発明のような独特の構造については発想が及んでいない。
【0018】
(特許文献2について)
特許文献2の基板間接続部材1は、柱状の芯体2が上下の基板間の正確な離隔を図るも
のであるため、柱体の上下方向には全く弾力性がないこと(むしろ柱体の上下方向の弾力
性があってはならないこと)、また該接続部材1のポリイミド等の弾性体3の弾性とは、
その図8のように、円柱状の接続部材1の外周の上縁部を設置用ランド12B の嵌合凹部13
B に押し込むことができる程度の極めてわずかの変形のみが許される程度の弾性にすぎな
いことから、上下の基板間の「離隔(スペースの確保)および導通」以外の使い方は不可
能である。
【0019】
(特許文献3について)
特許文献3においては、上下の基板15, 23間の離隔状態の維持を、それらの間に介装し
た「外表面が導電層11により導電性を有する弾性体10(中心部に剛性を有するコア38を配
してもよい)」からなる「基板接続用弾性体」に担わせている。ここで、導電層11の代表
例はCu、弾性体10の代表例はポリイミド、コア38の代表例はCuであるところ、導電層
11のCuとコア38のCuとは弾性体ではない上、引用文献3において弾性体10と称されて
いるポリイミドは、破断伸度は小さくかつガラス転移点は極めて高いエンジニアプラスチ
ックであって、エラストマーやゴム(破断伸度が極めて大きく、ガラス転移点は極めて低
い)とは正反対の樹脂である。特許文献3においては、「基板接続用弾性体」は押し潰された状態で基板15, 23間に介装されているが(請求項2)、そのような押し潰された状態が続けば塑性変形した状態になってしまい、弾性変形による復元力はほとんど期待できないため、上下の基板15, 23間の間隙を定めるクリップ28(図3)、ボルト29とナット30(図4)、押え34(図5)が弛んだ状態になることを免れない。引用文献3においては、「基板接続用弾性体」の塑性変形を免れないため、目的物である電子回路装置の機械的な接続の点でも電気的な接続の点でも、長期的には信頼性を欠くように見える。
【0020】
[特許文献4]
特許文献4に示された導電粉とバインダとを含む導電ペーストは、これを電子部品に適
用して電気回路や電極用の塗膜を形成したときに、その塗膜に直接半田付けをすることが
できるため、導電材料の1つとして有用であると思われる。ここでバインダの代表的なも
のは、分子中にエポキシ基を2個以上有するエポキシ樹脂、その硬化剤、および分子中に
エポキシ基を1個有する可撓性付与剤からなるものであるので、特許文献4の導電ペース
トは、従来より知られている熱硬化型の導電性塗料あるいは熱硬化型の導電性接着剤の範
疇に属するものと思われる。なお、特許文献4においては、その段落0037〜0038
のように、銅張積層板の銅箔をエッチングにより除去した面に導電ペーストを塗布して導
電体を得、得られた導電体の表面を耐水研磨紙で研磨して平滑および鏡面にした面に半田
フラックスを塗布した後、半田槽に浸漬してリフローし、ついで室温放置して冷却してか
ら、密着性を試験するという試験法を採用している。この導電体はエポキシ樹脂をバンダ
とするものであるため硬く、従って研磨が可能であり、研磨した面には導電粉が露われる
ため、半田付けが可能になるものと理解される。
【0021】
[特許文献5]
特許文献5においては、導電粉入りの接着剤層16の接着剤についての室温および加熱時
における挙動を追求しているが、この文献の発明は低接着支持体ウェブ12上に導電粉入り
の接着剤層16が軽く接着している接着転写テープ10にかかるものであり、本発明とは構造
も使い方も全く異なる。
【0022】
(特許文献6について)
特許文献6には、アクリル系樹脂とアクリルゴムとからなる粘着剤層につき記載がある
が、この文献の発明は粘着剤層を有する偏光板にかかるものであって、その目的も用途も
本発明とは全く相違している上、導電性や半田付け性とも何の関係もない。
【0023】
[発明の目的]
本発明は、このような背景下において、外周面が金属層ではないにもかかわらず、信頼
性ある半田付けが可能な導電性構造物(殊に、印刷回路基板(PCB)に実装可能なEM
Cガスケット)を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0024】
本発明の半田付け可能な導電性構造物は、
・導電性を有しかつ弾性を有する本体部(1) の外周面のうちの少なくとも底部側の下面
に、半田付け可能層(2) が設けられた構造を有すること、
・前記の本体部(1) は、その底部側の下面とその頂部側の上面との間が電気的に導通す
る導電部(1A)で構成されていること、および、
・前記の半田付け可能層(2) は、導電粉(M) が高配合された感圧接着性樹脂(R) の層か
らなること、
を特徴とするものである。
【発明の効果】
【0025】
(本発明の技術思想と作用効果)
−0−
典型的な例をあげて本発明を説明すると、本発明の導電性構造物を得るために、導電性
を有しかつ弾性を有する本体部(1) の外周面の少なくとも底部側の下面に、導電粉(M) が
高配合された感圧接着性樹脂(R) からなる半田付け可能層(2) 形成用の組成物の塗工液を
塗工して塗工膜としたときには、その塗工膜は模式的には次のような状態を経由して最終
的に半田付け可能層(2) になる。図1は、本発明の導電性構造物を得るときの本体部(1)
と半田付け可能層(2) の関係を模式的に示した断面図である。
【0026】
−1−
図1の(A)は、本体部(1) の全体が導電部(1A)で構成された例を示したものである。
この導電部(1A)は、樹脂またはゴム成分(R')に導電粉(M')を配合した組成物より構成され
ている。
【0027】
−2−
1.図1の(A)の本体部(1) の底部側の下面に、導電粉(M) が高配合された感圧接着
性樹脂(R) からなる半田付け可能層(2) 形成用の組成物の塗工液を塗工するわけであるが
、塗工直後の塗工膜(C1)は溶剤を含む液相にあり、本体部(1) の導電部(1A)を濡らしてい
る状態にある(図1の(B)を参照)。
2.乾燥過程においては、この塗工膜(C1)からは溶剤が揮散し、最終的には乾燥塗膜(C
2)になっていく(図1の(C)を参照)。この乾燥塗膜(C2)が本発明における半田付け可
能層(2) である。この乾燥塗膜(C2)(すなわち半田付け可能層(2) )は、感圧接着性樹脂
(R) の接着力により、強固に本体部(1) の表面に接着する。乾燥塗膜(C2)が本体部(1) の
表面に強度に接着していることは、容易に確認できる。
【0028】
−3−
1.乾燥塗膜(C2)においては、導電粉(M) の粒子は最密充填状またはそれに近い状態で
存在するため粒子同士が互いに接触しており、その導電粉(M) の「粒子間の隙間」に感圧
接着性樹脂(R) が存在している状態になる。この状態においては、感圧接着性樹脂(R) に
よる導電粉(M) の粒子間の接着力は強固である。また、乾燥塗膜(C2)の全領域(内部も両
表面側も)において導電粉(M) の粒子同士が接触し、乾燥塗膜(C2)はその層厚方向を含め
て全方向に電気的に導通している状態にあるが、このような状態も容易に確認できる。
2.そして、乾燥塗膜(C2)中の導電粉(M) は、本体部(1) との界面において、その本体
部(1) の導電部(1A)の導電粉(M')とも接触し、乾燥塗膜(C2)−本体部(1) の間でも電気的に導通するようになる。この事実も容易に確認できる。
【0029】
−4−
一方、乾燥塗膜(C2)の「自由面側の表面」においては、「その表面」が実質的にタック
フリーの状態になるという事実から、感圧接着性樹脂(R) は、高配合された導電粉(M) の
粒子同士の接触部や粒子間の空隙部に主として存在し、それらの粒子同士をくっつける結
合剤(バインダー)の役割を果たしているものと理解される。なお、乾燥塗膜(C2)の「自
由面側の表面」の導電粉(M) の粒子間の接着力が、その内部側と同様に強固であることも
、容易に確認できる。ちなみに、導電粉を配合した感圧接着剤の層をテープやフィルムの
ようなシートに形成した一般の導電性粘着シートにあっては、その導電粉を配合した粘着
剤の層の自由面側の表面は当然にタックを有するのであり(さもないと対象物に貼着する
ことができない)、本発明における上述の乾燥塗膜(C2)とは膜構造や性質が本質的に相違
している。
【0030】
−5−
1.次に、図1の(D)のように、印刷回路基板(PCB)上のクリーム半田(S) (若
干の粘着性を有する)に対して、図1の(C)の構造物を、その乾燥塗膜(C2)(つまり半
田付け可能層(2) )の自由面側がクリーム半田(S) に向くような姿勢で搭載する。
2.ついで、図1の(E)のように、クリーム半田(S) をリフローさせた後、冷却して
、構造物の半田付けを行う。
【0031】
−6−
1.このときには、構造物の乾燥塗膜(C2)(半田付け可能層(2) )の自由面側には導電
粉(M) の粒子が密に存在している上、クリーム半田(S) のリフロー時の温度プロファイル
におけるピーク温度はたとえば260℃程度にもなるので、その半田付け可能層(2) 中の
感圧接着性樹脂(R) の「粘弾性」に関しては流動しやすい「粘性」の性質が強く現れるよ
うになって、自由面近くの感圧接着性樹脂(R) がその半田付け可能層(2) の内部側に向け
て移動しやすくなる力が働き、導電粉(M) の粒子表面や粒子間に存在する感圧接着性樹脂
(R) の膜が薄くなったり破れたりする。そのような現象が起きる機構として想定されるも
のは、次の如くである。
・感圧接着性樹脂は、ガラス転移点以上でかつ5〜80℃程度の通常の使用温度におい
ては適度の粘弾性を示す粘弾性体であるが、さらに高温条件下においては流動する流体と
なる。粘着剤(感圧接着剤)の温度依存性については、「接着ハンドブック(第3版)」
、「K BOOKS SERIES 164 初歩から学ぶ粘着剤」、「高分子新素材 One Point-18 高機能
性接着剤・粘着剤」、「新産業科学シリーズ 接着・粘着の科学と応用」などにも図解や
説明がある。
・乾燥塗膜(C2)中には、溶剤揮発分のごくわずかな隙間が生じているところ、高温時に
塗膜の粘性が強く現れることにより、流動化した感圧接着性樹脂(R) が毛細管現象によっ
てその隙間を埋めるべく移動する。
2.そのため、その半田付け可能層(2) の特にその自由面側においては、該半田付け可
能層(2) 中の導電粉(M) の粒子(金属1)とリフローしたクリーム半田(金属2)との間
において金属同士の直接接触と融着とが達成されやすくなる状況が生まれ、確実な半田付
けが達成されるものと理解される。
【0032】
−7−
上述のように、本発明にあっては、上記の半田付け可能層(2) を構成する「導電粉(M)
が高配合された感圧接着性樹脂(R) 」の潜在能力が、クリーム半田(S) のリフロー時の温
度プロファイルという特別の環境条件下において発揮される。
【0033】
−8−
加えて、本発明においては、半田付け可能層(2) の結合剤に相当する樹脂(バインダー
樹脂)として感圧接着性樹脂(R) を用いているので、常温を中心とする種々の温度条件下
においても半田付け可能層(2) に必要な程度の柔軟性は保つことができる。そのため、導
電性を有し弾性を有する本体部(1) の弾力変形にも追従することができ、耐久性の点でも
有利である。
【0034】
−9−
そして、本発明の好ましい態様である請求項5においては、導電粉(M) が高配合された
感圧接着性樹脂(R) からなる半田付け可能層(2) として、アクリル系の重合体またはアク
リルゴム系の重合体からなる感圧接着性樹脂(r) を用いているので、該感圧接着性樹脂(r
) の持つ粘弾性挙動が十分に活用される。特に、請求項6においては、その感圧接着性樹
脂(r) が官能基を有しかつガラス転移点が−20℃以下であるアクリル系の重合体または
アクリルゴム系の重合体にさらに架橋剤を配合したものを用いるという工夫を講じている
ので、上述の本発明の作用効果が最大限に発揮される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0035】
以下、本発明を詳細に説明する。
【0036】
[本体部(1) ]
導電性を有しかつ弾性を有する本体部(1) は、弾力性を有するものとされる。導電性を
有しかつ弾性を有することは、特にEMCガスケットの用途に適したものであるというこ
とができる。
【0037】
この本体部(1) は、その底部側の下面とその頂部側の上面との間が電気的に導通する導
電部(1A)に構成されることが必要である。ここで、導電部(1A)は、樹脂またはゴムからな
る成分(R')に導電粉(M')を配合した組成物により構成される。
【0038】
樹脂またはゴムからなる成分(R')としては、各種のシリコーン系ゴム(ミラブル型シリ
コーンゴム、液状シリコーンゴム、EPDM変性シリコーンゴム等)や各種のフッ素系ゴ
ム(フッ化ビニリデン系フッ素ゴム、PTFE−プロピレン系フッ素ゴム、PFA系フッ
素ゴム、フルオロホスファゼン系フッ素ゴム等)、EPDM(エチレン−プロピレン−ジ
エン共重合ゴム)などは、本体部(1) として好適な材質の代表例である。エチレン−プロ
ピレン共重合ゴム、エチレン−アクリルゴム、ブチルゴムなども使用可能である。
【0039】
導電粉(M')としては、たとえば、金粉、銀粉、銅粉、銀コート銅粉、銀コートアルミニ
ウム粉、銀コートニッケル粉、ニッケル粉、アルミニウム粉、銀コートガラスビーズ、酸
化スズ、酸化スズコート酸化チタン、グラファイト、ニッケルグラファイト、導電性カー
ボンブラック、カーボン繊維などがあげられる。銀粉、銀コート銅粉、あるいはこれら両
者を混合したものは、導電粉(M')の好ましいものの代表例である。
【0040】
上述のように、本体部(1) は、その底部側の下面とその頂部側の上面との間が電気的に
導通する導電部(1A)に構成されることが必要である。従って、このような構成を有する限
りにおいて、本体部(1) の全体が導電部(1A)で構成されていてもよく、本体部(1) の一部
が導電部(1A)で本体部(1) の他の部分が非導電部(1B)で構成されていてもよい。なお、本
体部(1) は、空洞(h) を有していてもよく、空洞(h) を有していなくてもよい。図3の(
A)〜(J)は、本体部(1) の形状または構造の例を示した断面図である。図3(I)の
ように、外周側が導電部(1A)で、内周側も導電部(1A)であっても差し支えない。
【0041】
本体部(1) は、通常は長尺物またはシート状物の形で製造され、これを所定の寸法に裁
断(打ち抜きも含む)してチップ状にすることが多い。チップ状にしたときの大きさに限
定はないが、本発明の半田付け可能な導電性構造物の主たる使い方が印刷回路基板(PC
B)に実装する部品であることから、たとえば上記の図3の(A)〜(J)のような形状
および構造の場合で、高さが 0.5mm程度から30mm程度、巾も 0.5mm程度から30mm程度
とすることが多い(長さは短尺から長尺までいろいろである)。ただし、高さや巾をもっ
と小にしたり大にしたりすることもある。
【0042】
本体部(1) を小径のロッド状または小径のパイプ状の長尺物の形で製造するときは、生
産性の観点から、押出成形法を採用することが多い。本体部(1) を広巾のシート状物の形
で製造するときは、押出成形法のほか、適当な支持面またはシート状にキャスティングす
る方法によって製膜することもできる。
【0043】
押出成形法を採用するときには、いわゆる「1色押出成形法」や「2色押出成形法」が
採用される(3色以上の押出成形法も排除されない)。なお、2色を同時に押し出す「2
色押出成形法」に代えて、予め作製した長尺の成形体を芯にして、その芯の周囲に鞘とな
る成形体を押出被覆する方法も採用される。
【0044】
本体部(1) の全体が導電部(1A)で構成されるときには、成形装置が簡単になりかつ成形
時の制御も容易になるが、本体部(1) の形成に用いる高価な導電粉(M')の使用量が多くな
るので、材料コストの点では不利になる。一方、本体部(1) が導電部(1A)と非導電部(1B)
とで構成されるときには、導電部(1A)の体積割合を大幅に小にすることができるので導電
粉(M')の使用量が少なくて済み、材料コストの点では有利になるものの、成形装置が複雑
になりかつ成形時の制御も複雑になるという不利がある。両者を比較考量すると、総合的
に見て後者(本体部(1) を導電部(1A)と非導電部(1B)とで構成)の方が有利なことが多い
が、本体部(1) の高さや巾が極端に小さいときは、前者(本体部(1) を導電部(1A)のみで
構成)を採用せざるをえないこともある。
【0045】
本体部(1) が導電部(1A)と非導電部(1B)とで構成される場合、導電粉(M')の使用量をさ
らに減ずるためには、たとえば図3の(J)のように導電部(1A)を断面視でI字形にすれ
ばよいが、2色押出成形法による成形に際しての押出機の芯形成用の吐出口の構造が複雑
になる上、成形時の制御も複雑となる。
【0046】
[半田付け可能層(2) ]
上記の導電性を有しかつ弾性を有する本体部(1) の少なくとも底部側の下面には、以下
に述べる半田付け可能層(2) が設けられる。この半田付け可能層(2) は、導電粉(M) が高
配合された感圧接着性樹脂(R) からなる。
【0047】
(感圧接着性樹脂(R) )
−1−
ここで感圧接着性樹脂(R) としては、感圧接着性を有する種々の樹脂が用いられるもの
の、本発明の目的に特に好ましいものは、「アクリル系の重合体」または「アクリルゴム
系の重合体」からなる感圧接着性樹脂(r) である。そして、そのような感圧接着性樹脂(r
) のうち特に好ましいものは、官能基を有しかつガラス転移点(Tg)が−20℃以下(
特に−25℃以下、さらには−30℃以下)のものである。
【0048】
−2−
上記のうち「アクリル系の重合体」としては、感圧性接着剤として使用可能な共重合組
成のもの、すなわち、「密着性を与える主モノマー/凝集性を与えるコモノマー/粘着性
を与えると共に架橋点となる官能基含有モノマー」からなる共重合体が用いられる。この
ような共重合体からなる感圧性接着剤は、数多くのメーカーから上市されている。
【0049】
−3−
ここで、密着性を与える主モノマーとしては、そのホモポリマーのガラス転移点が−3
0℃程度以下(殊に−40℃以下、なかんずく−50℃以下)のアクリル系モノマーがあ
げられる。n−(メタ)アルキル基の場合で言えば、アルキル基の炭素数が4〜10程度
のアクリルモノマー(n−ブチルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、n−
オクチルアクリレート、イソノニルアクリレート等)や炭素数が10〜12程度のメタク
リルモノマーなどである。そのいくつかを例示すると、n−ブチルアクリレート、2−エ
チルヘキシルアクリレート、n−デシルアクリレート、n−ドデシルアクリレートのホモ
ポリマーのガラス転移点は、この順に−54℃、−62℃、−45℃、−65℃であり、
n−デシルメタクリレート、n−ドデシルメタクリレートのホモポリマーのガラス転移点
は、この順に−45℃、−65℃である。
【0050】
−4−
凝集性を与えるコモノマーとしては、上記以外のアクリル系モノマー(メチルメタクリ
レート等)、ビニルエステル(酢酸ビニル等)、スチレン系モノマー(スチレン、α−メ
チルスチレン等)、ニトリル系モノマー(アクリロニトリル、メタクリロニトリル等)を
はじめとする上記の主モノマーと共重合可能なモノマーがあげられる。参考までに述べる
と、エチルアクリレート、メチルメタクリレート、酢酸ビニル、スチレン、アクリロニト
リルのホモポリマーのガラス転移点は、この順に−24℃、+105℃、+30℃、+1
00℃、+104〜130℃である。
【0051】
−5−
粘着性を与えると共に架橋点となる官能基含有モノマー(つまり、水酸基、エポキシ基
、アミド基、アミノ基などの極性基または官能基含有モノマー)としては、たとえば、2
−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、2−ヒドロキ
シプロピルメタクリレートなどの水酸基含有アクリルモノマー;アクリル酸、メタクリル
酸、イタコン酸、無水マレイン酸などのカルボキシル基含有アクリルモノマー;グリシジ
ルアクリレート、グリシジルメタクリレートなどのエポキ基含有アクリルモノマー;アク
リルアミド、メタクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド、N−メチロールメタク
リルアミド、ジメチルアミノエチルメタクリレート、ジエチルアミノエチルメタクリレー
ト、t−ブチルアミノエチルメタクリリレート;などがあげられる。参考までに述べると
、アクリル酸、メタクリル酸、アクリルアミドのホモポリマーのガラス転移点は、この順
に+106℃、+228℃、+109℃である。
【0052】
−6−
なお、共重合体のガラス転移点Tgは、「高分子新素材 One-Point-18 『高機能接着剤
・粘着剤』、共立出版株式会社発行、1989年7月25日初版第2刷発行の105〜1
06頁参照)」や「『接着・粘着の化学と応用』、大日本図書株式会社発行、1998年
2月5日初版第1刷発行の115〜116頁」によれば、次式により推定される(Wは各
モノマーの重量分率)。
1/Tg =W1 /Tg1+W2 /Tg2+・・・+Wn /Tgn
【0053】
−7−
次に、上記のうち「アクリルゴム系の重合体」としては、上述の「アクリル系の重合体
」と同様の「密着性を与える主モノマー/凝集性を与えるコモノマー/粘着性を与えると
共に架橋点となる官能基含有モノマー」からなる共重合体のうち、ゴム弾性を与える重合
体があげられ、特に凝集性を与えるコモノマーとしてアクリロニトリルやメタアクリロニ
トリルを用いたものが重要である。アクリルゴム系の重合体は、そのガラス転移点が−3
0℃以下(殊に−35℃以下)のものが好適である。市販品としては、たとえば、東亜ペ
イント株式会社の「トアアクロン」、帝国産業株式会社の「テイサンゴム」、東亜合成化
学工業株式会社製の「アロンゴム」などがある。
【0054】
−8−
上述の「アクリル系の重合体」または「アクリルゴム系の重合体」からなる感圧接着性
樹脂(r) は、架橋剤を配合したものであることが特に好ましい。架橋剤(c) の配合により
、本発明の目的の達成に好適な粘弾性を得ることができるからである。
【0055】
−9−
ここで架橋剤としては、上記の重合体中に組み込んである官能基含有モノマー成分に対
応するものが選択使用される。いくつかの例をあげると、官能基含有モノマー成分の官能
基が「水酸基」であるときはメラミン樹脂、尿素樹脂、ポリイソシアネート、エポキシ樹
脂、金属キレートなどが用いられ、官能基が「カルボキシル基」であるときはメラミン樹
脂、尿素樹脂、ポリイソシアネート、エポキシ樹脂、金属酸化物、金属金属過酸化物、金
属水酸化物、金属キレートなどが用いられ、官能基が「エポキシ基(グリシジル基)」で
あるときはカルボキシル基含有ポリマー、酸無水物、ポリアミンなどが用いられ、官能基
が「N−メチロールアミド基」であるときはメラミン樹脂、尿素樹脂、ポリイソシアネー
ト、カルボキシル基含有ポリマー、エポキシ樹脂などが用いられ、官能基が「アミノ基」
であるときはポリイソシアネートやエポキシ樹脂などが用いられる。
【0056】
(導電粉(M) )
導電粉(M) としては、半田付け性が得られるものであればその種類や形状については特
に制限はなく、たとえば、金粉、銀粉、銅粉、銀コート銅粉、銀コートアルミニウム粉、
銀コートニッケル粉、ニッケル粉、アルミニウム粉、銀コートガラスビーズ、酸化スズ、
酸化スズコート酸化チタンをはじめとする種々のものを用いることができ、2種以上を併
用することもできる。銀粉、銀コート銅粉、銀粉と銀コート銅粉との混合物は、好ましい
ものの代表例である。
【0057】
(半田付け可能層(2) における導電粉(M) の割合)
導電粉(M) が高配合された感圧接着性樹脂(R) からなる半田付け可能層(2) における導
電粉(M) の割合は、導電粉(M) が銀粉、銅粉、銀コート銅粉などの金属粉の場合で、重量
基準で83重量%程度以上(好ましくは85重量%以上、特に好ましくは87重量%以上
)とし、膜強度が保たれる限りにおいて導電粉(M) の割合は多ければ多いほど良いが、上
限は97重量%程度となる。
【0058】
[本体部(1) に対する半田付け可能層(2) の形成]
−1−
上記の半田付け可能層(2) は、典型的には、先に述べた導電性を有しかつ弾性を有する
本体部(1) の外周面のうちの少なくとも底部側の下面(導電部(1A)で構成されている)に
、導電粉(M) が高配合された感圧接着性樹脂(R) からなる組成物の塗工液を塗工すること
により形成される。
【0059】
−2−
1.このときには、導電粉(M) が高配合された感圧接着性樹脂(R) からなる組成物の塗
工液の側にプライマーを配合しておいて、本体部(1) の外周面の底部側の下面(導電部(1
A)で構成されている)との間の密着性を向上させることが好ましい。
2.本体部(1) の導電部(1A)の形成時にその導電部(1A)の側に予めプライマーを配合し
ておくか、本体部(1) の導電部(1A)の形成後にその導電部(1A)の表面にプライマーを塗布
しておくことも、本体部(1) の導電部(1A)と上記の半田付け可能層(2) との間の密着性向
上の点で好ましい。後者の場合、導電部(1A)の表面に対するプライマーを塗布に代えて、
プラズマ照射などの表面活性化を行うことにより、その照射部に官能基を出現させること
も好ましい。
3.殊に、上記1と2の手段を併用すると、本体部(1) の導電部(1A)と上記の半田付け
可能層(2) との間の密着性が一段と向上するので、特に好ましい結果が得られる。
【0060】
−3−
上記におけるプライマーとしては、シラン系、チタネート系、アルミニウム系、ジルコ
ニウム系、脂肪酸系などのカップリング剤、あるいはそのカップリング剤を溶媒に溶解な
いし分散させたものが好適である。
【0061】
−4−
なお、上記における本体部(1) の底部側の下面の「底部」とは、印刷回路基板上に形成
してあるクリーム半田(若干の粘着性を有する)に本発明のチップ状の導電性構造物を搭
載して軽く粘着させた後、そのクリーム半田をリフローさせて導電性構造物を半田付けす
るときに、そのクリーム半田に対向する本体部(1) の部位を言う。
【0062】
−5−
上記の感圧接着性樹脂(R) は、酢酸エチル(沸点77℃)、トルエン(沸点111℃)
などの低沸点の溶剤溶液の形で準備または入手することが多い。そこで、導電粉(M) が高
配合された感圧接着性樹脂(R) からなる組成物の塗工液を調製するときは、沸点が140
〜250℃程度の中沸点の溶剤を追加して、円滑な塗工と適度の乾燥速度が得られるよう
にすることが好ましい。中沸点の溶剤の例は、エチレングリコールモノn−ブチルエーテ
ル(つまりブチルセロソルブ、沸点171℃)、エチレングリコールモノt−ブチルエー
テル(沸点152℃)、3−メトキシ−3−メチル−1−ブタノール(沸点174℃)、
ジエチレングリコールモノエチルエーテル(つまりカルビトール、沸点195℃)、ジエ
チレングリコールモノブチルエーテル(つまりブチルカルビトール、沸点230℃)、エ
チレングリコールモノエチルエーテルアセテート(つまりセロソルブアセテート、沸点1
56℃)、エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート(つまりブチルセロソルブ
アセテート、沸点192℃)、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート(つ
まりカルビトールアセテート、沸点217℃)、ジエチレングリコールモノブチルエーテ
ルアセテート(つまりブチルカルビトールアセテート、沸点247℃)、ジプロピレング
リコールモノメチルエーテル(沸点230℃)、ダイアセトンアルコール(沸点169℃
)、1−メチル−2−ピロリドン(つまりN−メチルピロリドン、沸点202℃)、γ−
ブチロラクトン(沸点204℃)、シクロヘキサノン(つまりアノン、沸点156℃)、
メチルシクロヘキサノン(沸点170℃)、イソホロン(沸点215℃)、キシレン(沸
点140℃程度)などである。上述の低沸点溶剤および中沸点溶剤の他に、これらの中間
の沸点を有する溶剤を併用することもできる。
【0063】
[半田付け可能な導電性構造物]
上記のようにして、導電性を有しかつ弾性を有する本体部(1) に対して半田付け可能層
(2) を形成することにより、目的物である半田付け可能な導電性構造物が作製される。
【0064】
この導電性構造物における半田付け可能層(2) の自由面は、実質的にタックフリーであ
る。タックの測定法には、指触によりタックの有無または程度を知る定性的な方法のほか
、ボールタック(転球法)、ピールタック、プローブタックに着目した装置を用いてタッ
クの程度を定量的に求める測定法があるが、最も簡単な指触によっても全くまたは事実上
タックを感じないものであることが望ましい。もし指触により感じられるほどのタックが
残っているときは、半田付け可能層(2) の自由面の表面に許容量を越える感圧接着性樹脂
(R) が存在していることを意味するので、目的物である導電性構造物の半田付け可能層(2
) の導電粉とリフローされた半田との間の金属同士のなじみが不足し、導電性構造物の信
頼性ある半田付けが達成できなくなる。
【0065】
本発明の半田付け可能な導電性構造物は、印刷回路基板(PCB)に自動実装するEM
Cガスケット(導電性および弾力性が求められる)、そのほか接続用の部品や電極用の部
品などとしても用いることができる。また、自動実装以外の方法により半田付けを行う部
品としても有用である。
【実施例】
【0066】
次に実施例をあげて本発明をさらに説明する。
【0067】
[予備的検討]
−1−
本発明の導電性構造物の半田付け性を実証するためには、導電性を有しかつ弾性を有す
る本体部(1) の外周面のうちの少なくとも底部側の下面に半田付け可能層(2) を形成した
導電性構造物を作製し、印刷回路基板(PCB)上に形成してあるクリーム半田(S) (チ
ップの搭載が可能な粘着性を有する)にその導電性構造物を搭載してから、そのクリーム
半田(S) をリフローさせたときに、その導電性構造物が半田付けされるかどうかを試験す
ることが必要になる。しかしながら、そのような本試験の前に、次のような予備的検討を
行った。
【0068】
−2−
この予備的検討においては、基板に形成したクリーム半田(S) に導電性構造物を載せて
からクリーム半田(S) をリフローさせて半田付けが可能かどうかを見るのではなく、逆に
、半田付け可能層(2) 形成用の導電性ペーストを基板用の積層板に塗工して被膜を形成し
てから、その被膜上にクリーム半田(S) の層を塗工・形成し、ついでクリーム半田(S) を
リフロー温度に加熱して、溶融したクリーム半田(S) が被膜になじむかどうかを調べた。
この検討法は、半田付け可能層(2) 形成用の塗工液(導電性ペースト)の組成、半田の種類、半田のリフロー温度などの要因がどのような影響を与えるかについての情報を、比較的簡易にかつ目視によって得ることができるので、探索またはスクリーニングの方法として適しているということができる。
【0069】
−3−
この予備的検討法による実験は、次の手順で行った。
・印刷回路基板に用いるための基板(紙基材にエポキシ樹脂を含浸させたプリプレグを
重ねて加圧加熱処理した積層板)を準備する。
・半田付け可能層(2) 形成用の導電性ペーストの組成を決めるため、アクリル系または
アクリルゴム系の重合体からなる感圧接着性樹脂、その重合体の架橋剤、金属粉(銀粉と
銀銅粉)、カップリング剤、中沸点の希釈溶剤としてそれぞれいくつかのものを選ぶと共
に、各成分の配合量についても1〜3つの水準を選んで、導電性ペーストを調製する。
・ついで、それらの導電性ペーストを上記の積層板上に塗工および乾燥して、約30μm厚みの被膜を形成させる。
・ついでその被膜上にクリーム半田(フラックス入りの半田ペースト)を塗工して、縦
7mm、横3mmの長方形でかつ厚みが約140μmのクリーム半田(S) の層を形成する
。この段階の半田層は金属光沢を有していない。
・この状態で1日放置してから、赤外線方式の加熱によりクリーム半田(S) の層を最高
で260℃にまで高めてリフローさせ、ついで放冷する。リフローしたクリーム半田と上
記の被膜とのなじみ(濡れ)が良い場合には、クリーム半田(S) の層がフラットになると
共に銀色の光沢を帯びるようになる。一方、リフローしたクリーム半田と上記の被膜との
なじみ(濡れ)が劣る場合には、クリーム半田(S) の層がフラットにならず、またクリー
ム半田(S) の層の一部が球状化することも多い。なお、クリーム半田(S) の層の一部が球
状化した場合でも、小さい球の場合と大きい球の場合とがあり、またその球の接触角が大
きい場合と小さい場合とがある。経験的には、球状化したときのその球の接触角が90°
を越える場合には、リフローしたクリーム半田に対する被膜のなじみは決定的に劣る。一
方、クリーム半田(S) の層がたとえ球状化しても、その球の接触角が90°未満であれば
、リフローしたクリーム半田に対する被膜のなじみは致命的に劣るというわけではなく、
球の大きさが小さいときは半田付けが可能なことがある。
・上記の予備的な実験をまず20〜30程度の処方につき試みることにより種々の知見
を得てから、そのうちの比較的好ましいと思われる処方の条件を変更してさらに20程度
の処方につき試みるという実験を繰り返し、最終的に合計400程度の実験から実用化に
耐えうると思われるいくつかの処方に到達したので、その処方を参考にして以下に述べる
本試験(実施例)を行った。
【0070】
[実施例1〜3]
上記の予備的検討に知見から、半田付け可能層(2) 形成用に適した塗工液(導電性ペー
スト)の処方、クリーム半田の種類などにつき知見が得られたので、その中から数種の導
電性ペーストを選んで本体部(1) の底部側となる下面に塗工して、目的とする導電性構造
物(半田付け可能なEMCガスケット)を作製し、評価に供した。
【0071】
(導電性を有しかつ弾性を有する本体部(1) の作製)
押出成形可能な熱硬化性グレードのシリコーンゴム(R')10〜30重量部に対して、金
属粉(M')の一例としての銀粉および銀コート銅粉の合計で70〜90重量部と、成形助剤
の少量とを配合した導電部(1A)形成用の成形材料1を準備した。また、上記と同じシリコ
ーンゴム(R')に少量の成形助剤のみを含有させた非導電部(1B)形成用の成形材料2を準備
した。
【0072】
上記の成形材料1と成形材料2とを2色押出成形機のそれぞれの押出機に供給して溶融
押出成形することにより、外周側が導電部(1A)で内周側が非導電部(1B)である図2(A)
のような中空断面形状を有する長尺の2色押出成形物を製造した。寸法は図2(A)に付
記のように、Wが6mm、Hが6mm、Dが4mm、t1 が1mm、t2 が1.4mm、
導電部(1A)の厚みt3 が100μmである。hは中空部である。
【0073】
(本体部(1) の底部側の下面に対するプライマー処理)
上記で得た2色押出成形物からなる本体部(1) につき、まずその底部側の下面にシラン
カップリング剤を溶剤で希釈した溶液からなるプライマー液を塗布、乾燥することにより
、その底面をプライマー処理面となした。
【0074】
(半田付け可能層(2) 形成用の塗工液(導電性ペースト)の調製)
感圧接着性樹脂(R) の溶液として、n−ブチルアクリレート/アクリロニトリル/2−
ヒドロキシエチルアクリレートの共重合割合が重量比で85/10/5の共重合体からな
るアクリルゴム系の重合体(ガラス転移点は−39℃、重量平均分子量は130万)のト
ルエン/酢酸エチル溶液(固形分は20重量%)を準備した。
【0075】
この溶液に、上記のアクリルゴム系の重合体の架橋剤(該重合体中の官能基含有モノマ
ー単位である2−ヒドロキシエチルアクリレート単位に対する架橋剤)としてのポリイソ
シアネート架橋剤(トリレンジイソシアネート3モルとトリメチロールプロパン1モルと
の付加物)を配合すると共に、エチルセロソルブアセテート(沸点156℃)を加えて希
釈し、さらに少量のシランカップリング剤を添加した。
【0076】
次に、この溶液に導電粉(M) としての銀粉と銀コート銅粉とを配合して、半田付け可能
層(2) 形成用の塗工液である導電性ペーストを調製した。
【0077】
(本体部(1) に対する半田付け可能層(2) の形成)
この塗工液(導電性ペースト)を上記で準備した本体部(1) の底面のプライマー処理面
に塗工し、温度150℃×30分間の条件で硬化させることにより、厚みt4 が30μm
の半田付け可能層(2) を形成させた。これにより、図2(B)に示した導電性構造物が得
られた。形成された半田付け可能層(2) は柔軟であって、弾力性のある本体部(1) に追従
する上、その半田付け可能層(2) にクラックやハガレを生じたりすることもなかった。こ
のようにして、目的とする半田付け可能な導電性構造物(EMCガスケット)が得られた

【0078】
(評価)
得られた導電性構造物につき、半田付け可能層(2) の自由面のタックの有無を指触法に
より調べた。また、この導電性構造物を8mm長さに裁断したものを基板上の形成してあ
るクリーム半田(S) の層(粘着性を有する)に載せて軽く粘着させ、ついでそのクリーム
半田(S) の層をピーク温度260℃にてリフローさせたときに、その導電性構造物が搭載
位置から動くか動かないかを観察すると共に、放冷後に接着強度を測定した。半田付け可
能層(2) 形成用の塗工液(導電性ペースト)の配合処方と共に、評価結果を表1に示す。
表1中、◎と○は合格、□は可、△は可に準ずることを意味する。なお、リフロー操作後
の構造物の接着強度のユーザー希望のスペック(合格ライン)は0.8kgf以上である。
















【0079】
[表1]

【0080】
(表1の備考)
1.配合処方と各成分の配合量(重量部)は表1に記載の通りである。アクリルゴムの
溶液、架橋剤の溶液の固形分の割合は表1の通りであるので、それらの溶液中の固形分で
あるアクリルゴム、架橋剤の重量は直ちに算出できる。
2.アクリルゴム(固形分)の密度は1.04、架橋剤(固形分)の密度は1.04、銀粉の密
度は 10.49、銀コート銅粉の密度は9.06、シランカップリング剤の密度は1.00であるので
、各成分(溶液の場合は固形分)の重量部が求められる。各成分の重量部の合計は、実施
例1、2、3の順に 10.59重量部、9.53重量部、 10.04重量部となる(希釈溶剤であるエ
チルセロソルブアセテートは含めない)。
3.各成分の重量部をそれぞれの成分の密度で除すれば各成分の体積が求められ、各成
分の体積の合計も直ちに求められる。各成分の体積の合計は、実施例1、2、3の順に2.
47、1.44、1.94となる(希釈溶剤であるエチルセロソルブアセテートは含めない)。
4.各成分の合計重量を各成分の合計体積で除したものが塗膜密度であり、実施例1、
2、3の順に4.28、6.60、5.16になる。
5.各成分の合計重量に占める金属粉の合計重量の割合が重量基準の導電粉充填率であ
り、実施例1、2、3の順に85.0重量%、94.5重量%、89.6重量%となる。
6.各成分の合計体積に占める金属粉の合計体積の割合が体積基準の導電粉充填率であ
り、実施例1、2、3の順に37.8体積%、64.6体積%、48.0体積%となる。
【0081】
[実施例4]
(半田付け可能層(2) 形成用の塗工液(導電性ペースト)の調製)
感圧接着性樹脂(R) の溶液として、「n−ブチルアクリレート/エチルアクリレート/
アクリル酸」の共重合割合が重量比で90/17/3の共重合体からなる感圧接着剤用の
アクリル共重合体(ガラス転移点は−50℃、重量平均分子量は90万)の酢酸エチル溶
液を準備した。
【0082】
この溶液に、上記のアクリル共重合体の架橋剤(該重合体中の官能基含有モノマー単位
であるアクリル酸単位に対する架橋剤)としてのポリイソシアネート架橋剤(トリレンジ
イソシアネート3モルとトリメチロールプロパン1モルとの付加物)を配合すると共に、
エチルセロソルブアセテート(沸点156℃)を加えて希釈し、さらに少量のシランカッ
プリング剤を添加した。
【0083】
次に、この溶液に導電粉(M) としての銀粉と銀コート銅粉とを配合して、半田付け可能
層(2) 形成用の塗工液である導電性ペーストを調製した。配合処方、フィラー充填率は表
1の実施例3と同じに設定した。
【0084】
(本体部(1) に対する半田付け可能層(2) の形成)
この塗工液(導電性ペースト)を実施例1〜3のものと同じ本体部(1) の底面のプライ
マー処理面に塗工し、温度150℃×30分間の条件で硬化させることにより、厚みt3
が30μmの半田付け可能層(2) を形成させた。これにより、図2(B)に示した導電性
構造物が得られた。形成された半田付け可能層(2) は柔軟であって、弾力性のある本体部
(1) に追従する上、その半田付け可能層(2) にクラックやハガレを生じたりすることもな
かった。このようにして、目的とする半田付け可能な導電性構造物(EMCガスケット)
が得られた。
【0085】
(評価)
得られた導電性構造物につき、実施例1〜3の場合と同様の評価を行ったところ、次の
ような好ましい結果が得られた。
・半田付け可能層(2) の指触タック:なし(評価○)
・半田リフロー時の構造物の動き:なし(評価○)
・リフロー後の構造物の接着強度:1.21 kgf(評価○)
【0086】
[実施例5]
(導電性を有しかつ弾性を有する本体部(1) の作製)
液状シリコーンゴム(R')10〜30重量部と金属粉(M')の一例としての銀粉および銀コ
ート銅粉の合計70〜90重量部との混合物からなる導電部(1A)形成用の組成物を準備し
、この組成物を2枚のキャリアシート(旭硝子株式会社製のフッ素樹脂フィルム「アフレ
ックス」、厚み0.1mm)に挟んでロールにより圧延してから硬化させることにより、
厚み1mmの導電部(1A)のみでできた本体部(1) を作製した。
【0087】
(半田付け可能層(2) の形成)
次に、上記のキャリアシートの一方を剥がした後、本体部(1) の上面(この面が最終的
には本体部(1) の底部側の下面になる)をシランカップリング剤によるプライマー処理面
となしてから、さらにその上面に実施例2で用いたものと同じ処方の半田付け可能層(2)
形成用の塗工液(導電性ペースト)を塗工・乾燥して、半田付け可能層(2) を形成させた

【0088】
これにより、「導電部(1A)でできた本体部(1) /半田付け可能層(2) /キャリアシート
」の層構成を有する積層シートが得られた。この積層シートを長さ方向に所定巾に裁断し
て長尺物にすると共にキャリアシートを除去し、必要時に巾方向に裁断すれば、チップ部
品状の導電性構造物(たとえばEMCガスケット)となすことができる。このチップ部品
は、それを印刷回路基板(PCB)の半田層の上に搭載して状態で半田をリフローさせる
ことにより、円滑に半田付けを行うことができる。
【産業上の利用可能性】
【0089】
本発明の半田付け可能な導電性構造物は、良好な半田付け性を有するので、印刷回路基
板(PCB)のクリーム半田のリフローにより半田付けを行う部品の目的に特に有用であ
る。
【図面の簡単な説明】
【0090】
【図1】本発明の導電性構造物を得るときの本体部(1) と半田付け可能層(2) との関係を模式的に示した断面図である。
【図2】(A)は実施例1〜3における本体部(1) の断面図であり、(B)はその本体部(1) に半田付け可能層(2) を設けた導電性構造物の断面図である。
【図3】本体部(1) の形状または構造の例を示した断面図である。
【符号の説明】
【0091】
(1) …導電性を有しかつ弾性を有する本体部、
(1A)…導電部、(1B)…非導電部、
(M')…導電粉、(R')…樹脂またはゴムからなる成分、
(2) …半田付け可能層、
(C1)…塗工膜、(C2)…乾燥塗膜、
(M) …導電粉、(R) …感圧接着性樹脂、
(S) …クリーム半田


【特許請求の範囲】
【請求項1】
導電性を有しかつ弾性を有する本体部(1) の外周面のうちの少なくとも底部側の下面に
、半田付け可能層(2) が設けられた構造を有すること、
前記の本体部(1) は、その底部側の下面とその頂部側の上面との間が電気的に導通する
導電部(1A)で構成されていること、および、
前記の半田付け可能層(2) は、導電粉(M) が高配合された感圧接着性樹脂(R) の層から
なること、
を特徴とする半田付け可能な導電性構造物。
【請求項2】
前記の半田付け可能層(2) の自由面が実質的にタックフリーである請求項1記載の半田
付け可能な導電性構造物。
【請求項3】
チップ状または裁断によりチップ状とすることのできる構造物である請求項1記載の半
田付け可能な導電性構造物。
【請求項4】
EMCガスケットである請求項1記載の半田付け可能な導電性構造物。
【請求項5】
前記の半田付け可能層(2) における感圧接着性樹脂(R) が、アクリル系の重合体または
アクリルゴム系の重合体からなる感圧接着性樹脂(r) である請求項1記載の半田付け可能
な導電性構造物。
【請求項6】
前記のアクリル系の重合体またはアクリルゴム系の重合体からなる感圧接着性樹脂(r)
が、官能基を有しかつガラス転移点が−20℃以下であるアクリル系の重合体またはアク
リルゴム系の重合体にさらに架橋剤を配合したものである請求項5記載の半田付け可能な
導電性構造物。
【請求項7】
前記の導電性を有しかつ弾性を有する本体部(1) において、その底部側の面とその頂部
の上面との間が電気的に導通する導電部(1A)で構成されていると共に、その導電部(1A)が
樹脂またはゴムからなる成分(R')に導電粉(M')を配合した組成物により構成されているこ
と、を特徴とする請求項1記載の半田付け可能な導電性構造物。



【図1】
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【図2】
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【図3】
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