説明

半田付け装置

【課題】 半田ごて毎に窒素ガスを供給することができ、安価であり、しかも作業性を向上させることができる半田付け装置を提供すること。
【解決手段】 半田付け装置100は、ヒータユニットによって加熱されるこて先とこて先近傍から窒素ガスを吹き出す吹き出しノズルとを有する半田ごてユニット300と、半田ごてユニット300に接続されるコントロールユニット本体200とを備える。コントロールユニット本体200内に、複数本の中空糸を束ねて形成された窒素分離用半透膜としての中空糸バンドルを用いて圧縮エアーから窒素ガスを分離する窒素ガス供給機構を内蔵する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半田ごての先端から窒素ガス等を噴出しながら半田付けを行う半田付け装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年の環境問題の一つとして、電気部品の半田付けに鉛を含まない半田の使用が義務付けられようとしている。糸半田を使った手作業半田付けで、鉛を使用しない半田で半田付けを行う場合には半田の溶融温度が高くなるとともに接合部への半田の流れが悪くなるため、半田付けの不良率が高くなるのが現状である。これを解決するためにこて先の周囲に窒素ガス吹き出しノズルを設け(例えば、特許文献1参照。)、外部に窒素ガス発生装置を設置し(例えば特許文献2参照。)、それを吹き出しノズルまで導入するようにした構成が知られている。この構成を用いて接合部近傍に窒素ガスを吹き付けながら半田付け作業を行うことにより、溶融半田の酸化を抑えることができ、半田の流れが悪くなることを改善することが可能になる。
【特許文献1】特開2004−351420号公報(第7−14頁、図1−7)
【特許文献2】特開平10−87305号公報(第3−4頁、図1−3)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところで、特許文献1に開示された半田ごては、把持ハンドルと一体化されたハンドルベースに不活性ガス供給用のチューブ部材と電気配線用のケーブルとが別々に接続されているため、作業時にこれらのチューブ部材とケーブルを同時に引き回すことになって作業性が悪いという問題があった。また、ヒータカートリッジの先端部分の周辺との間に隙間を確保した状態でガス導出管がヒータカートリッジの周辺に設けられているため、半田ごての先端部分の外径が大きくなって作業性が悪化する。
【0004】
また、特許文献2に開示された窒素ガス発生装置は、半田ごてやこの半田ごてに電気配線用のケーブルを介して接続される電源装置等とは独立した個別の装置として提供され、しかも装置全体が大きいため、経済性を考慮すると複数の半田ごてに対して1台の窒素ガス発生装置から窒素ガスを供給することが考えられるが、窒素ガスの供給対象となる半田ごての本数が変わるたびに、流量調整等の調整が必要になり、大変不便である。このような不都合を解決するために、半田ごて毎に窒素ガスを個別に供給することができ、しかも安価な構成が望まれていた。
【0005】
さらに、鉛を使用しない半田の半田ごてのヒータカートリッジの先端部(こて先)の温度は、鉛を使用した半田の場合に比べて30°Cから50°Cぐらい高温にしなければならない。そのため、こて先の半田濡れ面がすぐに酸化し、頻繁にクリーニングをしなければならない。一般に、クリーニングには水で濡らした耐熱性のスポンジを使用し、それにこて先をこすりつけて行うのであるが、スポンジを常に濡らした状態にしておかなければならず、しかも、ぬぐった半田のかすを清掃する必要もあるため、作業途中のメインテナンスにおいても手間がかかって作業性が悪いという問題があった。
【0006】
本発明は、このような点に鑑みて創作されたものであり、その目的は、半田ごて毎に窒素ガスを供給することができ、安価であり、しかも作業性を向上させることができる半田付け装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した課題を解決するために、本発明の半田付け装置は、ヒータユニットによって加熱されるこて先とこて先近傍から窒素ガスを吹き出す吹き出しノズルとを有する半田ごてユニットと、半田ごてユニットに接続されるコントロールユニット本体とを備えており、コントロールユニット本体内に、複数本の中空糸を束ねて形成された窒素分離用半透膜としての中空糸バンドルを用いて圧縮エアーから窒素ガスを分離する窒素ガス供給機構を内蔵している。半田付け装置のコントロールユニット本体内に窒素ガス供給機構を内蔵させることにより、半田ごてユニット毎に窒素ガスを供給することができるため、半田ごてユニット毎に流量調整等が可能になり、操作性および作業性を向上させることができる。
【0008】
また、上述した中空糸バンドルは、コントロールユニット本体内に設けられた収納室に、周回させた状態で収納されることが望ましい。このように周回させた状態の中空糸バンドルを用いることにより、コントロールユニット本体内に収めることが可能になり、コントロールユニット本体を含む半田付け装置の小型化、低コスト化が可能になる。
【0009】
また、上述した中空糸バンドルは、コントロールユニット本体に設けられた継手に対して着脱自在であることが望ましい。これにより、定期的な中空糸バンドルの交換が容易になり、作業性を向上させることができる。
【0010】
また、上述した収納室は、中空糸バンドルが収納された状態でコントロールユニット本体に対して着脱自在であることが望ましい。これにより、中空糸バンドルを収納したカセット毎に交換すればよいため、交換作業がさらに容易になるとともに、露出した状態で中空糸バンドルだけを交換する場合に比べて作業時に生じる損傷等を防止することができる。
【0011】
また、上述した半田ごてユニットとコントロールユニット本体は、柔軟性を有するとともに内部空間の気密性確保が可能な筒状部材を介して接続されており、ヒータユニットに電流を供給するヒータ用電線を、筒状部材の内部空間を残した状態で筒状部材に内包し、内部空間を窒素ガスの供給路として用いることが望ましい。これにより、半田ごてユニットとコントロールユニット本体との接続を1本の筒状部材を介して行うことができるため、電気的な配線と窒素ガスの供給管とを別々に備える場合に比べて取り回しが容易となり、さらに作業性を向上させることができる。
【0012】
また、上述したこて先は、吹き出しノズルの内周面と密着する外周面を有し、外周面の一部に窒素ガス吹き出し用の吹き出し溝を有することが望ましい。これにより、こて先を包囲する吹き出しノズルの径を小さくして作業性を向上させることができる。
【0013】
また、上述したコントロールユニット本体は、回転するスポンジ片と、回転しながら水タンク内の水をスポンジ片に供給するとともにスポンジ片の表面に付着した半田かすを除去する旋回ピンとをさらに備えることが望ましい。これにより、こて先クリーナとしてのスポンジ片が常に水で濡れた状態を維持することができ、しかもスポンジ片に付着した半田かすを自動的に除去することができるため、半田付け作業を中断しなければならないメインテナンスの手間を大幅に削減することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明を適用した一実施形態の半田付け装置について、図面を参照しながら具体的に説明する。図1は、一実施形態の半田付け装置の全体を示す斜視図である。図1に示すように、本実施形態の半田付け装置100は、コントロールユニット本体200、半田ごてユニット300を含んで構成されている。
【0015】
図2は、コントロールユニット本体200の正面図である。図3は、コントロールユニット本体200の側面図である。図2および図3に示すように、コントロールユニット本体200の正面に、電源スイッチ210、温度表示パネル212、こて用コネクタ214が配置されている。また、右側面側に、スポンジクリーナ220、旋回ピン222、水タンク224、電源ユニット230、こて置台250が配置されている。
【0016】
電源スイッチ210は、本実施形態の半田付け装置100の動作開始あるいは動作終了を指示するものであり、オン操作されたときに半田ごてユニット300に対する加熱動作、温度制御動作や窒素ガス供給動作が開始され、オフ操作されたときにこれらの各種動作が停止する。温度表示パネル212は、半田ごてユニット300のこて先温度を表示するものであり、LCD(液晶表示装置)あるいはLED(発光ダイオード)等によって構成されている。なお、温度が正常範囲を超えた場合や通電経路に異常が発生した場合等にはこの温度表示パネル212に、異常の内容に応じた警告表示が行われる。半田付け装置100全体の制御は、コントロールユニット本体200内の制御基板216に備わった電子回路によって行われる。また、電源ユニット230は、AC電源ソケット232に接続された電源コード(図示せず)を介してAC電源に接続されている。
【0017】
こて用コネクタ214は、一方端が半田ごてユニット300に接続された電線入りチューブ330の他方端をコントロールユニット本体200に接続するための接続口である。このこて用コネクタ214を介して、コントロールユニット本体200から半田ごてユニット300に対して加熱用通電と窒素ガス供給が行われる。こて置台250は、作業者が半田付け作業を休止したり、半田付け装置100の非稼働時に半田ごてユニット300を載せるためのものである。
【0018】
スポンジクリーナ220は、耐熱性材料からなる円盤状の2枚のスポンジ片220A、220Bが組み合わされて用いられる。これら2枚のスポンジ片220A、220Bは、スポンジローラ軸220Cを通して重ねた状態で取り付けられており、スポンジローラ軸220Cの回転に伴って2枚のスポンジ片220A、220Bが一方向に回転するようになっている。
【0019】
旋回ピン222は、ピン軸222Aの一部に径方向に取り付けられている。ピン軸222Aの回転に伴って旋回ピン222が一方向に回転するようになっている。また、旋回ピン222は、回転時に所定の回転位置においてその先端部がスポンジ片220A、220Bの合わせ面を通過するとともに、別の回転位置においてその先端部が水タンク224内に満たされた水の中を通過するようになっている。水タンク224内の水の中を通過して濡れた旋回ピン222の先端部が2枚のスポンジ片220A、220Bの間を通過する際に、先端部に付着した水をスポンジ片220A、220Bに供給することができるため、2枚のスポンジ片220A、220Bの合わせ面は常に濡れた状態が維持される。また、この濡れた状態にある2枚のスポンジ片220A、220Bの合わせ面で半田ごてユニット300のこて先を拭うことにより、こて先の酸化した半田かすがこの合わせ面に付着するが、旋回ピン222は、この付着した半田かすを掻き落とす作業も同時に行う。
【0020】
図4は、スポンジクリーナ220と旋回ピン222の回転機構の詳細を示すコントロールユニット本体200の部分断面図である。図4に示すように、ベルト262によって連結された複数のプーリ264とギア266を組み合わせることによって構成される減速機構を介して、モータ260の回転力がスポンジローラ軸220Cおよびピン軸222Aに伝達されており、モータ260を回転させることによりスポンジクリーナ220と旋回ピン222が同時に回転するようになっている。なお、回転毎に旋回ピン222がスポンジ片220A、220Bの異なる位置を通過するように、スポンジローラ軸220Cが嵌合したプーリ264とピン軸222Aが嵌合したプーリ264との間のプーリ比が1(あるいは2以上の整数)以外となるように設定されている。
【0021】
図5および図6は、半田ごてユニット300の詳細断面を示す図である。なお、図5には半田ごてユニット300の一部が、図6には半田ごてユニット300の残りの一部がそれぞれ示されており、これら図5、図6によって半田ごてユニット300の全体が示されている。これらの図に示すように、半田ごてユニット300は、こて先カートリッジ310、こて先312、ヒータエレメント314、カートリッジホルダパイプ320、こてグリップ322、こてキャップ324、電線入りチューブ330、オスコネクタ332を備えている。
【0022】
こて先カートリッジ310は、筒状部材であって、一方の端部が窒素ガス吹き出し用の吹き出しノズル310Aを形成するとともに、他方の端部がカートリッジホルダパイプ320に収容されている。吹き出しノズル310Aの内周側にはこて先312が配置されている。
【0023】
図7は、吹き出しノズル310Aの拡大断面図である。図7に示すように、こて先312をこて先カートリッジ310の吹き出しノズル310Aが包囲している。こて先312は、吹き出しノズル310Aから露出する先端側が先細形状を有している。また、こて先312は、吹き出しノズル310Aに当接する外周部であって180°隔たった2箇所に窒素ガスの吹き出し用の吹き出し溝312A、312Bを有している。本実施形態では、このような2箇所の吹き出し溝312A、312Bが形成されているため、こて先312と吹き出しノズル310Aとの間に全周にわたって隙間を形成する必要はなく、その分だけ径方向の寸法を小さくすることができる。なお、吹き出し溝の数は2以外であってもよい。
【0024】
こてグリップ322とこてキャップ324には、一方端に着脱可能な状態でこて先カートリッジ310が取り付けられるカートリッジホルダパイプ320が備わっている。このカートリッジホルダパイプ320には、一方端側に突出するようにヒータエレメント314が取り付けられており、他方端側にはこのヒータエレメント314が電気的に、かつカートリッジホルダパイプ320の内部空間と気密性を維持した状態で電線入りチューブ330が接続されている。こて先カートリッジ310には、カートリッジホルダパイプ320に取り付けた際にこれらが重複する位置に複数箇所のガス入口穴310Bを有している。こてグリップ322に内包されたカートリッジホルダパイプ320にこて先カートリッジ310を取り付けた状態では、電線入りチューブ330の内部空間とカートリッジホルダパイプ320の内部空間とが連通し、さらにカートリッジホルダパイプ320の内部空間とこて先カートリッジ310の内部空間とがガス入口穴310Bを介して連通する。したがって、電線入りチューブ330内を通して窒素ガスが供給されたときに、この窒素ガスは、カートリッジホルダパイプ320内を通ってこて先カートリッジ310の内部空間に導かれ、その先端に取り付けられたこて先312と吹き出しノズル310Aとの間に形成された吹き出し溝312A、312Bから吹き出される。
【0025】
電線入りチューブ330は、柔軟性を有するとともに内部空間の気密性確保が可能な筒状部材であって、ヒータ用電線331を内包している。ヒータ用電線331の直径に対して電線入りチューブ330の内径は十分に大きく設定されており、これらの間に形成される空間が窒素ガスの供給路として用いられる。
【0026】
オスコネクタ332は、電線入りチューブ330の一方端(こて先312と反対側)を終端し、コントロールユニット本体200に備わったメスコネクタとしてのこて用コネクタ214に取り付けられる。オスコネクタ332は、ヒータ用電線331を終端する接続端子332A、332Bと、窒素ガス導入穴332Cを有する。オスコネクタ332がこて用コネクタ214に取り付けられると、接続端子332A、332Bは、こて用コネクタ214の接続端子214A、214Bと電気的に接続される。また、窒素ガス導入穴332Cは、こて用コネクタ214の窒素ガス供給管214Cに嵌合する。これにより、1組のオスコネクタ332とこて用コネクタ214を介して電流供給と窒素ガス供給を同時に行うことが可能となる。
【0027】
次に、コントロールユニット本体200に内蔵された窒素ガス供給機構について説明する。図8は、窒素ガス供給機構の全体構成を示す図である。図9は、窒素ガス供給機構に含まれる中空糸バンドルの側面図である。図8および図9に示すように、窒素ガス供給機構400は、中空糸バンドル410、エアーワンタッチ継手420、422、圧縮エアー取入口424、流量調整部430、流量計440、こて用コネクタ214を含んで構成されている。
【0028】
図10は、中空糸バンドル410を直線状に伸ばした状態を示す図である。また、図11は図10に示した中空糸バンドル410の端部を示す拡大側面図である。中空糸バンドル410は、長さが1mで外径が0.3mm、内径が0.2mmの窒素分離用半透膜としてのポリイミド中空糸を300本束ねるとともに、その両端をエポキシ樹脂で固めてエポキシ固着部410A、410Bを形成したものである。この中空糸バンドル410は、2周回させた状態で収納室450に収納される。このような収納状態において、一方の端部であるエポキシ固着部410Aが一方のエアーワンタッチ継手420に連結され、他方の端部であるエポキシ固着部410Bが他方のエアーワンタッチ継手422に連結される。一方のエアーワンタッチ継手420は、圧縮エアー取入口424と連通している。この圧縮エアー取入口424に圧縮エアー供給管(図示せず)を連結して中空糸バンドル410の一方端から圧縮エアーを供給すると、中空糸バンドル410に含まれる各ポリイミド中空糸の内部空間に圧縮エアーが通る間に、分子の小さな空気中の酸素が選択的にポリイミド中空糸膜を通過して排除され、中空糸バンドル410の他方端からは窒素ガスを取り出すことができる。例えば、上述した中空糸バンドル410を用いることにより、毎分0.5〜1リットルの窒素ガスを連続的に取り出すことが可能となる。なお、中空糸バンドル410のこれらの具体的な寸法等は一例であって、窒素ガスの取り出し量等に応じて適宜変更することができる。例えば、ポリイミド中空糸の本数、長さ、材質等を変更するようにしてもよい。また、中空糸バンドル410は、図9に示す例では、周回数を約2回としたが、2以外の周回数、例えば、3以上であったり、1あるいは1未満であってもよい。
【0029】
中空糸バンドル410の他方端から供給される窒素ガスは、他方のエアーワンタッチ継手422を経由して流量調整部430に導かれる。流量調整部430は、流量調整ダイヤル432の回転位置に対応する窒素ガスの流量を設定する。この流量調整ダイアル432を回転させることにより、窒素ガスの流路断面積を狭くあるいは広くすることができ、流量調整ダイアル432の回転位置によって決まる流路断面積に対応する窒素ガスの流量が設定される。流量計440は、窒素ガスの流量を目視可能な状態で示すものである。本実施形態では、フロート(浮き子)442の高さ位置に対応する目盛りを読むことにより、窒素ガスの流量がわかるようになっている。このように、中空糸バンドル410から供給された窒素ガスは、流量調整部430および流量計440を経由した後にこて用コネクタ214に導かれる。なお、図8では、便宜上こて用コネクタ214が流量計440の上部に図示されているが、実際には図2に示すように流量計440や流量調整ダイアル432よりも下部の所定位置にこて用コネクタ214が設置されている。
【0030】
このように、本実施形態の半田付け装置100では、コントロールユニット本体200内に窒素ガス供給機構400を内蔵させることにより、半田ごてユニット300毎に窒素ガスを供給することができるため、半田ごてユニット300毎に流量調整等が可能になり、操作性および作業性を向上させることができる。
【0031】
また、窒素ガス供給機構400では、周回させた状態の中空糸バンドル410を用いることにより、コントロールユニット本体200内に収めることが可能になり、コントロールユニット本体200を含む半田付け装置100の小型化、低コスト化が可能になる。特に、中空糸バンドル410は、コントロールユニット本体200に設けられたエアーワンタッチ継手420、422に対して着脱自在であるため、定期的な中空糸バンドル410の交換が容易になり、作業性を向上させることができる。
【0032】
また、半田ごてユニット300とコントロールユニット本体200との接続を1本の筒状部材としての電線入りチューブ330を介して行うことができるため、電気的な配線と窒素ガスの供給管とを別々に備える場合に比べて取り回しが容易となり、さらに作業性を向上させることができる。
【0033】
また、半田ごてユニット300のこて先312は、吹き出しノズル310Aの内周面と密着する外周面を有し、外周面の一部に窒素ガス吹き出し用の吹き出し溝312A、312Bが形成されているため、こて先312を包囲する吹き出しノズル310Aの径を小さくして作業性を向上させることができる。
【0034】
また、コントロールユニット本体200には、回転するスポンジ片220A、220Bと、回転しながら水タンク224内の水をスポンジ片220A、220Bに供給するとともにスポンジ片220A、220Bの表面に付着した半田かすを除去する旋回ピン222とが備わっている。これにより、こて先クリーナとしてのスポンジ片220A、220Bが常に水で濡れた状態を維持することができ、しかもスポンジ片220A、220Bに付着した半田かすを自動的に除去することができるため、半田付け作業を中断しなければならないメインテナンスの手間を大幅に削減することができる。
【0035】
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨の範囲内において種々の変形実施が可能である。上述した実施形態では、中空糸バンドル410をコントロールユニット本体200内のエアーワンタッチ継手420、422に対して直接装着したり取り外したりして交換作業を行うようにしたが、中空糸バンドル410が収納された収納室450の全体をカセット化(カートリッジ化)し、中空糸バンドル410が備わったカセット毎着脱して中空糸バンドル410の交換作業を行うようにしてもよい。
【0036】
図12は、中空糸バンドルカセットの断面図である。図13は、中空糸バンドルカセットの側面図である。図14は、中空糸バンドルカセットの上面図である。これらの図に示すように、中空糸バンドルカセット500は、中空糸バンドル410が収容された収容室510を筐体で覆ってカートリッジ化したものであり、中空糸バンドルカセット500側のエア通路(凹部)をコントロールユニット本体200Aにおいて突出するエア通路200Bに対して着脱するようになっている。これにより、中空糸バンドル410を収納したカセット毎に交換すればよいため、交換作業がさらに容易になるとともに、露出した状態で中空糸バンドル410だけを交換する場合に比べて作業時に生じる損傷等を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】一実施形態の半田付け装置の全体を示す斜視図である。
【図2】コントロールユニット本体の正面図である。
【図3】コントロールユニット本体の側面図である。
【図4】スポンジクリーナと旋回ピンの回転機構の詳細を示すコントロールユニット本体の部分断面図である。
【図5】半田ごてユニットの詳細断面を示す図である。
【図6】半田ごてユニットの詳細断面を示す図である。
【図7】吹き出しノズルの拡大断面図である。
【図8】窒素ガス供給機構の全体構成を示す図である。
【図9】窒素ガス供給機構に含まれる中空糸バンドルの側面図である。
【図10】中空糸バンドルを直線状に伸ばした状態を示す図である。
【図11】図10に示した中空糸バンドルの端部を示す拡大側面図である。
【図12】中空糸バンドルカセットの断面図である。
【図13】中空糸バンドルカセットの側面図である。
【図14】中空糸バンドルカセットの上面図である。
【符号の説明】
【0038】
100 半田付け装置
200 コントロールユニット本体
220 スポンジクリーナ
222 旋回ピン
300 半田ごてユニット
310 こて先カートリッジ
310A 吹き出しノズル
312 こて先
314 ヒータエレメント
330 電線入りチューブ
400 窒素ガス供給機構
410 中空糸バンドル
420、422 エアーワンタッチ継手
430 流量調整部
440 流量計

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ヒータユニットによって加熱されるこて先と前記こて先近傍から窒素ガスを吹き出す吹き出しノズルとを有する半田ごてユニットと、前記半田ごてユニットに接続されるコントロールユニット本体とを備える半田付け装置において、
前記コントロールユニット本体内に、複数本の中空糸を束ねて形成された窒素分離用半透膜としての中空糸バンドルを用いて圧縮エアーから窒素ガスを分離する窒素ガス供給機構を内蔵することを特徴とする半田付け装置。
【請求項2】
請求項1において、
前記中空糸バンドルは、前記コントロールユニット本体内に設けられた収納室に、周回させた状態で収納されることを特徴とする半田付け装置。
【請求項3】
請求項2において、
前記中空糸バンドルは、前記コントロールユニット本体に設けられた継手に対して着脱自在であることを特徴とする半田付け装置。
【請求項4】
請求項2において、
前記収納室は、前記中空糸バンドルが収納された状態で前記コントロールユニット本体に対して着脱自在であることを特徴とする半田付け装置。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれかにおいて、
前記半田ごてユニットと前記コントロールユニット本体は、柔軟性を有するとともに内部空間の気密性確保が可能な筒状部材を介して接続されており、
前記ヒータユニットに電流を供給するヒータ用電線を、前記筒状部材の内部空間を残した状態で前記筒状部材に内包し、前記内部空間を窒素ガスの供給路として用いることを特徴する半田付け装置。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれかにおいて、
前記こて先は、前記吹き出しノズルの内周面と密着する外周面を有し、前記外周面の一部に窒素ガス吹き出し用の吹き出し溝を有することを特徴とする半田付け装置。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれかにおいて、
前記コントロールユニット本体は、回転するスポンジ片と、回転しながら水タンク内の水を前記スポンジ片に供給するとともに前記スポンジ片の表面に付着した半田かすを除去する旋回ピンとをさらに備えることを特徴とする半田付け装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2007−75852(P2007−75852A)
【公開日】平成19年3月29日(2007.3.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−266982(P2005−266982)
【出願日】平成17年9月14日(2005.9.14)
【出願人】(000101606)アポロ精工株式会社 (2)