説明

半結晶ポリマーの熱処理方法

本発明は、1または複数の加熱ゾーンを備えた単一の流通式設備中で、固体の状態において熱可塑性半結晶ポリマーを含む粒状熱可塑性材料を熱処理するための連続法に関する。この方法では、各加熱ゾーンが一連の加熱プレートからなる接触型ヒーターを含み、粒状材料が移動充填層として流通式設備中に搬送される。この方法は1または複数の加熱ステップを含み、各加熱ステップにおいて粒状材料が接触型ヒーターまたは接触型ヒーターの1つによる接触加熱により加熱され、また任意選択で不活性ガスの流れが、多くとも2の質量比G/M(Gは単位kg/時の前記不活性ガス流量であり、Mは単位kg/時の前記粒状材料の流量である)で1または複数の加熱ゾーン中に注入される。

【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
本発明は、1または複数の加熱ステップを含む、固体の状態において熱可塑性半結晶ポリマーを含む粒状熱可塑性材料を熱処理するための連続法に関する。
【0002】
前記方法はまた、連続固相熱処理法として記述することもできる。連続固相熱処理法は、例えば熱可塑性半結晶ポリマーの乾燥、予備結晶化、アニーリング、および後縮合、またはこれらの組合せに利用される。このようなポリマーは、例えば低分子量および/または低結晶ポリマーを含む高分子材料をもたらす、例えば溶融重合法または溶融混練法から得ることができる。
【0003】
連続固相熱処理法は、一般に流通式設備の中で行うことができ、一般には
a)粒状材料を流通式設備に供給し、
b)その粒状材料を加熱ゾーン中で加熱しながら、粒状材料をその加熱ゾーンの中を通過させ、
c)任意選択で、さらに流通式設備中の粒状材料を搬送しながら、その粒状材料を高温に保ちかつ/またはその粒状材料を冷却し、
d)その流通式設備から粒状材料を吐出する
ステップを含む。
【0004】
本明細書中では半結晶ポリマーという用語は、ポリマー産業界で一般に使用されている意味を有する、すなわち固体の状態において多相構造(少なくとも二相構造であり、1相が非晶質相であり、1相が結晶相である)を形成する能力を有するポリマーと解釈される。このような熱可塑性半結晶ポリマーは、最初は固体の状態において単一非晶質相を有することができる。その非晶質相は、ガラス転移温度(Tg)によって特徴づけられる。非晶質半結晶ポリマーは、固体の状態で熱処理することによって一部が結晶化して、非晶質相の隣に結晶相を有する熱可塑性ポリマーになることができる。二相または多相構造を有するこのような半結晶ポリマー中の結晶相は、溶融温度(Tm)および結晶化温度(Tc)によって特徴づけられる。融解温度(Tm)は、半結晶ポリマーが結晶相を有する場合に観察することができる。一般には融解温度は、粒状熱可塑性材料の固相熱処理後に観察されるはずであり、またその粒状熱可塑性材料の最初の状態によっては熱処理前にすでに観察することができる。
【0005】
用語に関して「固体の状態において」とは、本明細書中では、その全工程を通じて熱可塑性半結晶ポリマーが固体の状態に保たれることと解釈され、その熱処理の間にその粒状熱可塑性材料が到達する温度がその熱可塑性半結晶ポリマーの融解温度(Tm)未満に留まることを意味する。用語に関して融解温度(Tm)は、本明細書中では、流通式設備に供給される粒状材料についてASTM D3417−97/D3418−97に準拠してDSCによって10℃/分の加熱速度による第一加熱サイクルの間に測定され、その融解範囲にあり、かつ最高融解速度を示す温度と解釈される。
【0006】
一般用語では、現状技術で述べる熱処理法は、流通式設備中でその粒状材料がどのように搬送されるかに応じて移動充填層または流動層のいずれかとして、あるいはこれらの連続した組合せとして区別することができる。一般に加熱は、熱不活性ガスか、あるいは熱不活性ガスと接触加熱の組合せを使用することによって行われる。一般には大量の不活性ガスが使われ、それらは少なくとも一部が再生利用されることが多い。
【0007】
現状技術において述べるようにポリエステルやポリアミドなどの熱可塑性半結晶ポリマーのための連続固相熱処理法の開発および設計の間に、加熱の均一性および効率、過熱を防ぎながらの粒状材料の迅速な加熱、粘着、特に低結晶材料の粘着、ダストの形成、縮合生成物の取出しおよび加熱粒状材料から放出される他の揮発性成分の除去、精製および加熱のために使用した不活性ガスのリサイクリング、実験室規模の実験のアップスケーリング、器具の摩耗などを含めた様々な問題に遭遇する。
【0008】
例えば、欧州特許出願公開第A−717 061号明細書では、重縮合反応ステップにおける不活性ガス流の問題が考察されている。この参考文献の教示によれば不活性ガスは、固相後縮合中のポリマー粒子の流れの方向に対して並流または向流として流れ、その固相後縮合ステップの間に形成される揮発性生成物を除去する。ガスは、副産物の除去後に再生利用される。ガスリサイクリングの精製コストおよびガスの流れを維持するためのエネルギーを制限するには、ガス流量とポリマー流量の間の重量比は低くすべきである。欧州特許出願公開第A−717 061号明細書によれば0.6未満の比でさえ、必要とする特性を有するポリエチレンテレフタラートをもたらすことになる。しかし欧州特許出願公開第A−717 061号明細書自体には、結晶化ステップに関する記載がなく、このステップに関しては欧州特許出願公開第A−712 703号明細書の教示を参照している。その中には結晶化ステップが記載されており、非晶質材料をまず流動層中で十分な速度のガス流により加熱して流動化を維持する。その後、さらなる結晶化のために材料を機械的混合にかける。さらに欧州特許出願公開第A−712 703号明細書には、流動化のために使用されたガスを、重縮合ステップから来るガスと一緒に精製のユニットに送ることが開示されている。その結果、大量の不活性ガスを使用し、欧州特許出願公開第A−717 061号明細書に記載の方法に従って精製しなければならない。さらに2つの機械的混合ステップが必要であり、投資コスト、ならびに追加のエネルギーおよび維持コストの点で費用がかかる。
【0009】
国際公開第2006/021118号パンフレットは、加熱ステップ、結晶化ステップ、固相後縮合ステップ、および冷却ステップを含み、そのために冷却ユニットにおいてガスを使用し、熱を粒状材料からガスに伝達し、そのような熱ガスを用いてヒーター中の材料を加熱する高分子量重縮合物の生成方法に関するものである。したがってこの参考文献はまた、具体的には全工程の熱統合に関するものである。国際公開第2006/021118号パンフレットはまた、結晶化ステップではポリマーグラニュレートを加熱しなければならないことを述べ、そのために接触加熱、輻射加熱、および熱ガス流によるなどの幾つかの選択肢を開示している。しかし結晶化ステップの間、ポリマー粒子を互いに運動している状態に保つことが不可欠であり、これは撹拌によって、結晶化ステップのための回転容器によって、または不活性ガスで加熱することにより流動層を生み出すことによって達成することができると述べている。粒子の相対運動を生じさせるためにスターラーまたは可動容器などの機械的手段を使用することは、追加の機械的エネルギーを系に導入するための投資コストおよびエネルギーコストの増加につながるだけでなく、器具の摩耗の増加、生成物の摩耗の増加、およびダスト形成を引き起こすことになる。加熱のために、また流動層を作り出すために熱不活性ガス流を使用することは、もう一方の従来技術の参考文献に関して上記で考察したように加工、特に大量のガス流による精製をさらに必要とし、これもまたその方法のコストを増大加させる。
【0010】
米国特許第3,756,990号明細書は、凝集または凝固した粒状層としてポリエステルを搬送すること、および2つの加熱ゾーン、すなわち加熱および結晶化を含む第一ゾーンと、さらなる加熱および後置縮合(後縮合としても知られる)を含む第二ゾーンとでそのポリエステルを処理することを伴うポリエステル用の連続SSPC法について述べている。加熱媒体は、不活性ガスのみからなることもでき、また間接的なジャケット加熱と不活性ガスの使用との組合せであることもできる。第一ゾーンでは、迅速な加熱を達成するために大量の熱不活性ガスを使用しなければならず、一方で加熱ゾーン中での粒状ポリエステルの過熱および乱流を防がなければならない。初期のグラニュレートまたは予備縮合物は、後置縮合が行われる温度での粘着を防ぐために平均の結晶化の度合いすなわち結晶化度は5%、好ましくは30と50%の間である。第二ゾーンではガス流を限定することができ、例えば2.5時間の粒状材料の流れに対して2.9kg/時である。
【0011】
米国特許出願公開第A−2005/0065315号明細書は、ポリエチレンテレフタラート(PET)の予備結晶化および固相後縮合のための方法を開示し、熱エネルギーの回収を論じている。米国特許出願公開第A−2005/0065315号明細書の方法では固相後縮合ステップを離れた後の高温ポリエステル材料の熱を使用して、結晶化ステップに入る前に貯蔵サイロからの低温非晶質粒状ポリエステル材料を予熱する。その熱交換は、様々な実施形態によって達成されると主張している。第一の実施形態によれば固相後縮合ステップを離れた高温ペレットを冷却器中で冷却用ガスと接触させ、次いでその加熱されたガスをペレットヒーターに向け、貯蔵サイロから来た非晶質材料を晶析装置に入る前に前記ガスで加熱する。ペレットヒーターを離れたガスはまだ温かく、任意選択でさらに冷却することもできる。したがってそのエネルギーの回収は最適にはほど遠く、晶析装置に入る前またはその中でのグラニュレートのさらなる加熱がまだ必要であることになる。熱交換器から晶析装置への搬送には配管が使用され、粒状ペレットはそれら配管を通ってガス流によって、任意選択で流動層として搬送される。代替の実施形態によれば固相後縮合ステップ後の高温ペレットおよび貯蔵サイロからの低温ペレットは、両方とも様々な区画を有する接触熱交換器に送られる。これら材料は、並流または向流として流すことができる。上向きの流れはガス流によって助けることができる。このガス流の欠点は、それが材料の流れを希釈し、エネルギーを吸収し、もう一方の材料流への効率的なエネルギー移動を妨げることになることである。これに反して、米国特許出願公開第A−2005/0065315号明細書に記載されているように下向きに流れるペレットの充填密度が高い場合、ペレットを晶析装置へ導入される前に加熱するには、ペレットにガスを上向き方向に流すことよってペレットを流動または撹拌状態に保つことが好ましい。効率的な熱移動のためにはその様々な区画を有する接触熱交換器は多数の区画を必要とし、それはその構造を複雑にし、清掃しにくくし、また個々の材料の流れの送りを複雑にする。さらに、並流は熱エネルギーの完全な交換につながらず、ペレットのさらなる加熱または冷却が必要となるはずである。この参考文献は熱統合の改善に関するものであるが、それは結晶化ステップにおいて、また固相後縮合ステップにおいて、窒素ガスの量を限定しながら加熱をどのように効率的なやり方で行うことができるかについてはいかなる教示も与えない。
【0012】
上記を視野に入れて、粒状材料の効率的な加熱を可能にし、一方で粒状材料の過熱を防ぎかつ不活性ガスの量を制限する、固体の状態において熱可塑性半結晶ポリマーを含む粒状熱可塑性材料を熱処理するための改良された連続法に対する必要性がまだ存在する。
【0013】
本発明によれば1または複数の加熱ゾーンを備えた流通式設備中で行う方法が提供され、その方法は、
−各加熱ゾーンが、一連の加熱プレートからなる接触型ヒーターを備え、
−粒状材料がこの流通式設備に供給され、
−この粒状材料が、本質的に移動充填層として加熱ゾーン中、または複数加熱ゾーン中に搬送され、
−この粒状材料が流通式設備から吐出され、
−粒状材料は、少なくとも70%がその接触型ヒーターから来る、または2つ以上の接触型ヒーターの場合はそれら接触型ヒーターから来るエネルギー入力によって加熱され、
−任意選択で不活性ガスの流れが加熱ゾーンの1つまたは複数に加えられ、もしあれば各加熱ゾーン中の不活性ガス流量が、多くとも2の質量比G/M(Gは単位kg/時の不活性ガスの流量であり、Mは単位kg/時のその特定の材料の流量である)であるという条件を満たす。
【0014】
熱処理を流通式設備中で行い、粒状材料を主として接触型ヒーターによる接触加熱によって加熱する本発明による方法の効果には、効率的熱移動が達成されること、過剰な不活性ガス量の使用および必要性が避けられること、その工程がエネルギー使用において効率的であること、および粒状材料の過熱および粘着を容易に避けることができることが挙げられる。1または複数の加熱ゾーンにおける過熱は、接触型ヒーターの加熱プレートの温度を限定することによって容易に避けられる。さらなる加熱を必要とする最初のステップにおいて過熱を避けることが必要な場合、加熱ゾーンを、次第に高くなる温度の順に順次配列した多連接触型ヒーターの使用によって分割することができる。さらに加熱する前に材料をある一定の温度により長く留めることを可能にするために、その順次配列される接触型ヒーターが、流通式設備内でより長い距離にわたる間隔をとるだけでよい。したがって接触型ヒーターの加熱プレートの温度は限定されなければならないものの、熱移動は、その加熱ゾーンの長さおよび接触型ヒーターの加熱プレートの長さと、加熱プレート間の間隔と、粒状材料の質量流量とを調整することによって効果的に達成される。粒状材料の大きな質量流量は、より大きな直径を有する加熱ゾーンを使用し、加熱プレート数を増すことによって相殺することができる。小さな材料質量流量もまた、熱移動の効率を失うことなく低い不活性ガス流量でバランスを保つことができる。本発明による設備は、流動化、ガス回収、または加熱のための最小ガス流量に制約されないので、従来の設備よりもずっと大きな有効ターンダウン比(最小および最大適用固体流量の比)を有する。このきわめて低い固体速度と機械的撹拌の不在とは、従来の方法と比べてダストの形成を著しく減少させる。低い不活性ガス流量は、不活性ガスおよび不活性ガスリサイクリングのためのコストが低い一方で、ガスのリサイクリングまたは不活性ガスのパージの間のエネルギー損失もまた低いという利点を有する。この不活性ガス流量は、低いけれども熱処理の間に放出される揮発性生成物の除去を可能にするには十分である。移動充填層は、粒状材料の均一な加熱には有利であり、またその低い不活性ガス流量が粒子の流動化を引き起こすにはほど遠く、かつ加熱器のプレート間での機械的撹拌が抑制されるのでうまく保持される。それにもかかわらず、ポリエステルの予備結晶化相の場合などの決定的に重要な工程における加熱プレートの温度を限定し、それによって過熱を防ぐことによって、その特定材料は粘着もまた防止される。加熱プレートからなる接触型ヒーターの構造は、加熱ゾーンを通る粒状材料の良好な流れを可能にし、かつ加熱ゾーンを簡単に清掃することを可能にする。本発明による全熱処理工程のさらなる利点は、多連加熱ステップを含む場合でさえ、粒状材料を配管により、あるいはその他の方法で或る工程単位から別の工程単位へ搬送するために大きなガス流を必要とせずに、摩耗およびエネルギーの損失を低減しながらそれを達成することができることである。さらにこの工程設備は比較的単純であり、また上記従来技術による方法と比較してより容易にその工程を拡大することができる。
【0015】
本明細書中で「粒状材料は本質的に移動充填層として〜輸送される」という文における用語「本質的に」とは、粒状材料は流通式設備中で流動化によって搬送されるのではなく、粒状材料は、それが可能な場合には領域またはゾーン中で移動充填層として搬送され、例えば狭窄または拡張が起こらず、そのゾーンを通って搬送される間、粒状材料の粒子の互いに規則正しく整然とした配列および相対的位置を維持することができる領域またはゾーン中で移動充填層として搬送され、だが一方、隘路、直径の変わり目、プレート間の間隔の不規則、開放ゾーンから加熱ゾーンへの変わり目、および加熱ゾーンから開放ゾーンへの変わり目などの狭窄または拡張が起こり、粒子がそのような狭窄部または拡張部を通って流通式設備内でさらに搬送されることを可能にするためにそれらの相対的位置を変え、新しい順序を捜し求めることを強いられる流通式設備内の領域またはゾーン中で移動充填層として搬送されることを意味するものと解釈される。
【0016】
「粒状材料は、少なくとも70%が接触型ヒーターから来る、または2つ以上の接触型ヒーターの場合はそれら接触型ヒーターから来るエネルギー入力によって加熱される」という表現の場合、ガス流を介して粒状材料に運ばれる、すなわちガス流を介して高温の粒状材料からより低温の粒状材料に運ばれる接触型ヒーター由来のエネルギー入力によって加熱が行われることを意図している。例えばガスの入口で供給される冷ガスは、高温の接触型ヒーターまたはガスの入口に比較的近い高温の粒子から熱を吸収し、そのガスの入口からさらに遠く離れた、またその流通式設備中のガス流の方向に対して下流のより低温の粒子に熱を伝達することができる。接触型ヒーターに対するエネルギー入力は、任意の外部エネルギー源、例えば電気加熱または油による加熱に由来することができる。
【0017】
本発明による方法は、好適には乾燥ステップ、予備結晶化ステップ、アニーリングステップ、または後縮合ステップ、またはこれらの任意の組合せを含む。すなわちこの方法は、熱可塑性半結晶ポリマーを含む粒状熱可塑性材料の固体の状態を保ったままでの乾燥、予備結晶化、アニーリング、または後縮合、またはこれらの任意の組合せに使用される。
【0018】
好ましくは本発明による方法におけるG/M(不活性ガス流量(kg/時)/粒状材料質量流量(kg/時)の比)は、多くとも1.5、より好ましくは多くとも1.0、0.8、または0.6ですらある。ガラス充填熱可塑性材料の場合などの特定の事例では、その比はより一層低く、例えば約0.3、または0.3未満ですらある。低いG/M比は、窒素ガスの低コストおよびより小さいエネルギー損失のせいで、この方法をさらに一層経済的にする。
【0019】
好適には本発明による方法は、その上端に粒状材料の供給手段とその下端に吐出し手段とを有し、かつ一方向に狭くなる吐出しゾーンを含む細長い垂直に位置決めされた容器を備えた流通式設備中で行われる。
【0020】
この装置は、垂直以外に、粒状材料が移動充填層として、任意選択でブリッジングを防止するためにビン流出促進の助けを借りて流動することができる限り、傾斜角を有して位置決めすることもできる。好ましくは傾斜角は、30°未満、より好ましくは15°未満、または5°未満でさえある。本明細書中では傾斜角は、垂直姿勢を基準にして測定される。好ましくは装置は垂直に位置決めされる。傾斜角が小さいほど、材料はより排他的に重力のせいで、または重力のせいだけでさえ移動することが可能になる。したがって器具の摩耗が最低限まで減り、投資コストおよびエネルギーコストが低い。
【0021】
好適には加熱プレートは平面であるか、または本質的に平面である。装置は、複数個の平面熱交換エレメントを含む接触型ヒーターによって占有された少なくとも1つの加熱ゾーンを含む。それら加熱プレートは、好ましくは垂直に位置決めされるか、または本質的に垂直に位置決めされ、あるいは全体の装置と同様に傾斜し、かつ互いに規則正しく一定の間隔で配置され、その加熱ゾーン全体にわたって均一に分布する。この構造および配置は、熱処理ゾーン中の粒状材料の安定した流動および粒状材料の均一な加熱を可能にする。
【0022】
これら加熱プレートは、互いに規則正しく一定の間隔で配置される。だが一方、プレート間隔が大き過ぎると、粒状材料の不均質かつ/または不十分な加熱を生じさせる恐れがあり、またプレート間隔が小さ過ぎると、材料の種類およびグラニュレート粒子のサイズによってはブリッジングを引き起こすことがある。プレート間隔は、好適には1〜12cmの範囲にあることができることが分かった。好ましくはプレート間隔は、多くとも10cm、より好ましくは多くとも8cm、または多くとも6cmですらある。プレート間隔がより小さくなるにつれて、粒状材料の加熱はより一層均一になる。プレート間隔は、好ましくは少なくとも1.5cm、より好ましくは少なくとも1.8cmである。プレート間隔が大きいほど、粒状材料のより良好な流動およびプレート間のより容易な清掃が可能になる。2.0〜3.0のプレート間隔が、本発明による方法にとってきわめて適切であることが分かった。
【0023】
好ましくはプレート間隔と粒状材料の平均粒径の比は、4〜50の範囲、好ましくは10〜25の範囲にある。
【0024】
本明細書中では粒状材料の平均粒径は、粒子の平均体積を測定し、同じ体積の球とみなすことによって推定する。この球の直径をそれら粒子の平均粒径(サイズ)とする。平均体積は、好適には100個の粒子を計量し、その重量をポリマーの密度の100倍で割ることによって、あるいは任意の他の適切な手法によって推定することができる。非常に細長い粒子の場合、すなわち5を超えるアスペクト比の場合、長さ対粒径の比は、好ましくは20〜200の範囲にある。
【0025】
この装置は、有利には少なくとも2つの加熱ゾーンを備え、それぞれが上記のような接触型ヒーターを含み、それら接触型ヒーターは長手方向に連続して位置決めされる。その利点は、粒状材料が或る加熱ゾーンから後続の加熱ゾーンへ容易に搬送され、制御されたやり方で段階的に加熱することができることである。
【0026】
有利にはこの装置はまた、接触型ヒーターについて上記で述べたと同様の複数個の平面熱交換エレメントを含む冷却エレメントを備えた少なくとも1つの冷却ゾーンを含む。その冷却エレメントは、好適には接触型ヒーターに対して長手方向に連続して位置決めされる。
【0027】
有利にはこの装置はさらに、接触型ヒーターと交互に、かつ/または接触型ヒーター間に、また任意選択で冷却エレメント中に位置決めされたガス吸気口およびガス排気口を備える。
【0028】
容器の壁の近傍の粒状材料の冷却を防ぐために、装置は加熱ジャケットまたは加熱ジャケットを含む壁セグメントを備えることができる。別法では装置を断熱することもでき、また任意選択で、壁近くのグラニュレートの冷却をさらに防止するために電気的または他のトレーシングによって支援することもできる。
【0029】
装置はまた、熱処理後の粒状材料のさらなる冷却および/または一時的な保留のために、また系中へ酸素が漏れるのを防ぐためのゲートとして働くように吐出しゾーンの下方に配置された気密貯蔵チャンバーを含むこともできる。
【0030】
好ましくはこの細長い垂直に位置決めされた容器は、本質的に長方形断面を有する加熱ゾーンを有する。これは、同一寸法を有する加熱プレートで加熱ゾーンを規則正しく満たすことを可能にし、また異なる寸法の加熱プレートの交換を必要とせずに加熱プレート間の距離または間隔を簡単に調整することを可能にする。さらに吐出し部分は、一方向に狭くなる本質的に長方形の吐出しゾーンを含む。
【0031】
この長方形または本質的に長方形であることを意図する断面は、その細長い容器の伸長方向に対して直角をなす断面であることを意味する。
【0032】
「本質的に長方形の断面」の中の用語「本質的に」とは、加熱ゾーンが4つの周囲の壁を有し、その2つがその加熱ゾーン中の加熱プレートにほぼ平行であり、またその2つがそれら加熱壁に対してほぼ直角をなすことを意味する。加熱ゾーンが同一寸法を有する加熱プレートで規則正しく満たされることを可能にするには、その4つの壁は互いに正確に直角をなす必要はない。例として加熱ゾーンの断面は、平行四辺形などの歪んだ形状に変形されてもよく、この加熱ゾーン中では同一寸法を有する加熱プレートは、加熱ゾーンを加熱プレートで規則正しく満たすように互いにわずかに変位する。
【0033】
さらに、「本質的に長方形の吐出しゾーン」の中の用語「本質的に長方形の」とは、吐出しゾーンが、「一方向に狭くなる」によって表されるように、吐出し口の方向へ互いに収束する4つの周囲の壁を有することを意味する。その4つの壁の断面は、加熱ゾーンのそれら4つの壁に関して正確に長方形である必要はない。本質的に長方形である吐出しゾーンの断面は、その細長い容器の伸長方向に対して直角をなす断面であることを意味する。
【0034】
流通式設備が2つ以上の加熱ゾーンを有する場合、それら異なる加熱ゾーン間に適切に溝を備えることができる。この溝を用いて、例えば或る加熱ゾーン中のガス流を、別の加熱ゾーン由来のガス流から隔てることができる。溝は、隘路の一部、すなわちその加熱ゾーンの断面よりも小さい断面を有する流通式設備の一部であることができる。
【0035】
さらに、加熱ゾーンと隘路の両方は円形断面を有し、かつその隘路および加熱ゾーンは円錐形の部分で連結されている。
【0036】
別法では加熱ゾーンが長方形断面を有し、一方、隘路がより円形に似た断面を有するという可能性もあるが、そうではなく隘路もまた長方形断面を有することもできる。
【0037】
有利にはこの長方形断面を有する加熱ゾーンを含む装置は、接触型ヒーターのプレートに対して直角をなす壁中にその接触型ヒーターの方を向いて1個または複数個の扉または取外し可能な壁セグメントを備える。このような扉または取外し可能な壁セグメントの存在は、その接触型ヒーターのより容易な清掃、検査、および保守の利点を有する。
【0038】
本発明による連続固相熱処理工程にかけることができる熱可塑性半結晶ポリマーには、熱可塑性半結晶ポリエステルおよび熱可塑性半結晶ポリアミドが挙げられる。一般には、当業界で知られているように半結晶ポリエステル樹脂は、ジオールとジカルボン酸、および/またはそれらのエステル誘導体を含む出発原料の重縮合によって調製されるのに対し、半結晶ポリアミド樹脂は、ジアミンとジカルボン酸、および/またはアミノ−カルボン酸および/またはそれらの環状誘導体を含む出発原料の重縮合によって調製される。一般にはこのようなポリマーは、2ステップ、すなわち最初にプレポリマーを得るための溶融重合、次にそのプレポリマーと比べてより高分子量を有するポリマーを得るための固相後縮合(SSPC)で調製される。
【0039】
説明を簡単かつ簡潔にするために、熱可塑性半結晶ポリエステル樹脂を含む粒状熱可塑性材料はまた、粒状ポリエステル材料として表示することにする。同様に、熱可塑性半結晶ポリアミド樹脂を含む粒状熱可塑性材料はまた、粒状ポリアミド材料として表示することにする。
【0040】
本発明による方法は、予備結晶化ステップを最初に必要とする溶融重合法から得られるプレポリマーには限定されない。この方法は、固体の状態で熱処理を必要とする任意のポリマーまたはプレポリマーに応用することができる。有利にはこの方法は、例えば最初に乾燥ステップ、続いて後縮合ステップを必要とするプレポリマーに適用することができる。接触型ヒーターを備えた2つの加熱ゾーンを含む装置において本発明による方法を実施することによって、粒状材料の粘着をなくして、一つの連続工程において乾燥を第一ステップで、また第二ステップで後縮合を遂行することができる。
【0041】
好ましい実施形態において粒状材料は、予備重合ステップおよび造粒ステップを含む方法により得られる造粒されたポリアミドプレポリマーを含み、これらのステップの一方または両方が水中または湿潤状態下で行われる。
【0042】
本発明の好ましい実施形態では熱可塑性半結晶ポリマーは、発生期ポリマー、より好ましくは発生期熱可塑性半結晶ポリエステルおよび/または発生期熱可塑性半結晶ポリアミドである。用語に関して発生期ポリマーとは、溶融重合法により得られるポリマー、または溶融混練法により得られるポリマー組成物中に含まれるポリマーと解釈され、その溶融工程にかけた後のポリマーまたは組成物は、さらに加熱ステップにかけることなく冷却、凝固、造粒される。一般に発生期ポリマーは、主に非晶質構造を有し、結晶化度が低い。より好ましくはその発生期ポリマーは発生期熱可塑性半結晶ポリエステルである。このようなポリマーは、一般にきわめて低い結晶化度を有する。発生期ポリマーを含むこのような造粒された材料は、有利には予備結晶化ステップを含む本発明による方法に使用され、大量のガスを伴う従来の方法と比較して粘着の問題を少なくする。
【0043】
この熱可塑性半結晶ポリエステル樹脂は、好適には脂肪族半結晶ポリエステル、半芳香族半結晶ポリエステル樹脂、または芳香族半結晶ポリエステル樹脂である。これらのポリエステルは、脂肪族ジオールと脂肪族ジカルボン酸から、脂肪族ジオールと芳香族ジカルボン酸および/または芳香族ジオールと脂肪族ジカルボン酸から、また芳香族ジオールと芳香族ジカルボン酸からそれぞれ誘導される。
【0044】
本発明による方法に含めることができる好適な半芳香族熱可塑性ポリエステル樹脂は、例えばポリ(アルキレンテレフタラート)、ポリ(アルキレンナフタラート)、およびポリ(アルキレンビベンゾアート)、およびこれらの任意のコポリマーおよび/または混合物である。
【0045】
脂肪族および脂環式ジオールと、テレフタル酸などの芳香族二酸とを使用することができる。炭素原子2〜12個を有する脂肪族ジオールと、芳香族二酸としてテレフタル酸とから構成されるポリ(アルキレンテレフタラート)の例は、ポリ(エチレンテレフタラート)(PET)、ポリ(トリメチレンテレフタラート)(PTT)、およびポリ(1,4−ブチレンテレフタラート)(PBT)である。ポリ(脂環式テレフタラート)の例は、ポリ(1,4−シクロヘキシレンジメチレンテレフタラート)である。
【0046】
ポリ(アルキレンナフタラート)は、2,6−ナフタレンジカルボン酸と短鎖ジオールから誘導されるポリエステルである。好適なポリ(アルキレンナフタラート)は、ポリ(エチレンナフタラート)(PEN)およびポリ(ブチレンナフタラート)(PBN)である。
【0047】
ポリ(アルキレンビベンゾアート)は、例えば4,4’−ジフェニルジカルボン酸と短鎖ジオール、例えばエチレングリコールおよび/またはブタンジオールから誘導することができる。好適な例は、ポリ(エチレンビベンゾアート)(PEBB)およびポリ(ブチレンビベンゾアート)(PBBB)である。
【0048】
特殊な部類の半結晶ポリエステルは、短鎖エステル単位を含む半芳香族ポリエステルプレポリマーから誘導することができるハードセグメントと、高分子ジオールから誘導することができるソフトセグメントとを含有するポリエステルによって形成される。この部類のポリエステルは、本明細書中では半芳香族ブロックコポリエステルエラストマーとして表示され、ポリエーテルエステルエラストマーおよびポリエステルエステルエラストマーが挙げられる。そのようなポリエステル中の長鎖ジオールの量に応じてその材料は、堅いが強靭なプラスチックか、または可撓性の熱可塑性エラストマーであることができる。前記ポリエステルおよびそれらの調製については、例えば「Encyclopedia of polymer science and technology」Vol.12,John Wiley & Sons,New York,1988(ISBN 0−471−80944−6)に記載されている。
【0049】
好適にはそのハードセグメントは、ポリエチレンテレフタラートおよび/またはポリブチレンテレフタラートを含む。また好適にはその長鎖ジオールは、ポリ(アルキレンオキシド)ジオール、脂肪族ポリエステルジオール、および/または脂肪族ポリカーボナートジオールから誘導される。好適にはこのブロックコポリエステルは、約25〜75のショアD、好ましくは約35〜70のショアDの範囲の硬度を有する。この硬度は、ブロックコポリエステル中の長鎖ジオールの量によって調節することができる。
【0050】
好ましくはこの粒状熱可塑性半結晶ポリエステル樹脂含有材料は、半芳香族ポリエステルおよび/または半芳香族コポリエステルエラストマーを含む。
【0051】
より好ましくはこの粒状熱可塑性半結晶ポリエステル樹脂含有材料は、PET、PTT、およびPBT、ならびにこれらの混合物およびコポリマーからなる群から選択される半芳香族ポリエステルを含む。
【0052】
本発明の方法に使用される粒状材料は、完全に熱可塑性半結晶ポリマーからなることもでき、また1種類または複数種類の他の成分に隣接して熱可塑性半結晶ポリマーを含む組成物からなることもできる。このような組成物は、多くの場合、溶融混練法によって調製される。
【0053】
本発明の好ましい実施形態では粒状材料は、熱可塑性半結晶ポリマーに隣接して少なくとも1種類の添加剤、すなわちその熱可塑性半結晶ポリマーとは異なる成分を含む。粒状材料が含むことのできる好適な他の成分は、充填剤、強化剤、および他の補助添加物である。粒状材料は、広範囲にわたって変わる総量の1種類または複数種類の添加剤を含むことができる。その総量は、わずか0.1重量%、あるいはさらに少量でもよく、また70重量%もの多量、あるいはさらに多量でもよい(ただしこの重量%は粒状材料の総重量を基準とする)。きわめて好適には粒状材料は、1種類または複数種類の添加剤を総量で1〜60重量%、さらに一層好適には5〜50重量%、またはむしろ10〜40重量%含む。
【0054】
好ましくは粒状材料は、繊維強化剤および/または無機充填剤を含み、より好ましくはその強化剤はガラス繊維を含む。好ましくは粒状材料は、その粒状材料の総重量を基準にして少なくとも5重量%、より好ましくは少なくとも20重量%の量の、さらに一層好ましくは30〜50重量%の量のガラス繊維を含む。驚くべきことに、これら強化剤および充填剤は、従来の熱処理法では普通なら互いに強く粘着することになる半結晶ポリエステル、例えば発生期半結晶ポリエステルの粘着可能性を減らすのに著しく効果的であることが分かった。
【0055】
存在することができる補助添加物には、安定剤、加工助剤、着色剤および顔料、難燃剤、および後で結晶化向上剤としても知られる核形成剤が挙げられる。好ましくは粒状材料は、核形成剤を含む。
【0056】
好ましい実施形態では粒状材料は、無機充填剤および/または強化剤を充填したPET、PETコポリマー、PBT、およびPBTコポリマー、ならびにそれらの混合物およびコポリマーから選択される半芳香族ポリエステルを含む。
【0057】
より好ましくは粒状材料は、粒状材料の総重量を基準にしてポリエチレンテレフタラートおよび10から60重量%の強化剤を含む。好ましくは強化剤の量は、20〜50重量%またはむしろ30〜40重量%である。また好ましくは強化剤はガラス繊維を含む。
【0058】
さらに、この好ましい粒状材料中に含まれるPETは、装置に入る時点で好ましくは0〜20重量%(この重量%はPETの重量を基準とする)が結晶相からなる。
【0059】
本発明による方法は、多連加熱ステップを含み、粒状材料はそれら加熱ステップのそれぞれで本発明に従って加熱される。すなわち粒状材料は、接触型ヒーターによる接触加熱により少なくとも90%加熱される。任意選択でそれら加熱ステップは、搬送ステップと組み合わされるか、またはそれと交互に行われ、粒状材料は、加熱ゾーンへ搬送されるか、あるいは或る加熱ゾーンから別の加熱ゾーンへ、あるいは加熱ゾーンから冷却ゾーンへ、あるいは加熱ゾーンまたは冷却ゾーンから吐出しユニットへ搬送される。本明細書中では全加熱処理工程を完了させるためのすべての加熱、冷却、および/または搬送ステップは流通式設備中で行われ、粒状材料は、その粒状材料が流通式設備から吐出されるまで、あるいは隘路に遭遇した後、移動充填層が再建されるまで移動充填層として維持される。
【0060】
本発明の好ましい実施形態ではこの方法は、一連の加熱プレートからなる接触型ヒーターを備えた少なくとも2つの加熱ゾーンを含む流通式設備中で行われ、またこの方法は、少なくとも2つの加熱ステップを含む。好適にはこれら2つの加熱ステップは、後縮合および/またはアニーリングステップと組み合わせた予備結晶化および/または乾燥ステップを含む。
【0061】
より好ましくはこの方法は、粒状材料を最初に予備結晶化および/または予備乾燥し、続いて後縮合する、少なくとも2つの加熱ステップを含む固相後縮合(SSPC)法である。予備結晶化ステップは、ポリエステル材料、特にPET材料には最も適しているはずであるのに対し、予備乾燥ステップは、ポリアミド材料には最も適しているはずである。予備結晶化ステップ(A)では熱可塑性半結晶ポリマーは、少なくとも一部が結晶化されるか、またはさらに結晶化されるのに対し、後縮合ステップ(B)では重合度が増す、すなわちポリマーの分子量が増大する。この実施形態は、或る単一プロセスサイクル中での粒状材料の粘着性を避けながら熱可塑性半結晶ポリマーを後縮合するという利点を有する。
【0062】
好ましくは前記方法における粒状材料は、発生期熱可塑性半結晶ポリマーと、無機充填剤および/または強化用繊維とを含むポリマー組成物からなる。これは、造粒した材料を最初の加熱ステップで粘着の危険性なしにより高い温度まで加熱することができるという利点を有する。
【0063】
本発明の好ましい実施形態によれば、第一加熱ゾーンではゾーン内で温度が材料の流れ方向に高くなるように温度勾配を接触型ヒーターに与える。その利点は、さらに一層決定的に重要な発生期ポリマーによる粘着およびブロッキングの問題が、避けられるか、またはさらにそれに加えて結晶化がより低温で始まり、かつ/または水分レベルが低温で低下するせいで最小限になり、一方で温度をさらに上げる間に結晶化がより漸進的に進行することである。さらに、流れの方向で移動充填層中の材料の結晶化度がさらに増大し、かつ水分レベルが低下し、また材料は粘着またはブロッキング現象の影響をあまり受けなくなるので、結晶化工程を完結させるために流れ方向の温度を上げることができる。
【0064】
したがって当業技術者は、後続の重縮合ステップ(B)にとって望ましい非粘着性挙動を達成することによって粘着およびブロッキングの影響を最小限にするか、あるいはむしろ完全になくすために、その選択された材料に応じて温度、温度プロフィール、および滞留時間に関して結晶化ステップ(A)を最適化する十分な可能性を有する。
【0065】
固相後縮合ステップにとって十分な粘着性低下に必要な、結晶化ステップ(A)における温度および滞留時間、ならびにその必要とする結晶化度は、上記で説明したようにその選択される材料に高度に左右されるために、結晶化ステップ(A)で使用される温度および滞留時間については大雑把な指針しか与えることができない。
【0066】
したがって本発明の一実施形態では第一加熱ゾーン(A)、より具体的には予備結晶化ゾーン中の接触型ヒーターは最高温度Tを有し、また第二加熱ゾーン(B)、より具体的にはSSPCゾーンの接触型ヒーターは最高温度Tを有し、TはTよりも少なくとも20℃、好ましくは少なくとも40℃、最も好ましくは少なくとも60℃低い。
【0067】
さらに第一加熱ゾーン中の温度Tは、100℃から180℃、好ましくは110℃から160℃、最も好ましくは120〜140℃の範囲内にあることができる。温度Tは、160℃程度、またはさらに一層低く、かつ300℃程度、またはさらに一層高く、好ましくは180℃〜280℃、200℃〜260℃、220℃〜240℃の範囲にある。Tはその熱可塑性半結晶ポリマーの融解温度T未満に留めなければならないことに留意する。好適にはTは、Tよりも少なくとも10℃低く、より好ましくはTよりも少なくとも20℃、あるいはさらに少なくとも30℃低い。
【0068】
第一加熱ゾーン中の滞留時間は、好ましくは15分間と20時間の間、より好ましくは30分間と10時間の間、最も好ましくは1時間と5時間の間である。
【0069】
前述のように、本発明によればポリエステル材料を加熱するために結晶化ステップ(A)中の不活性ガス流は必要でない。しかしながら、特により高温では結晶化ステップ(A)の間にすでに揮発性成分がポリマーから発散しているので、移動充填層を通して小規模の不活性ガス流を与えることが好ましい。また、残留水分および酸素を除去し、かつポリマーの変色を防ぐためにはこのような小規模の不活性ガス流を加えるのが有利である。一般にこのガス流の速度は、流動化に関連する最小速度よりもずっと小さい。好適にはこのガス流の速度は、流動化に関連する最小速度の5分の1と1000分の1の間、より好ましくは流動化に関連する最小速度の10分の1と1000分の1の間である。この流動化に関連する最小速度は、標準的手順および日常的実験によって粒子の流れを処理する当業技術者により決めることができる。さらに粒状材料およびガスは、第一加熱ゾーンを通して並流または向流として流すことができる。第一加熱ゾーンを通って並流として流れる粒状材料およびガスにより、低温の粒状材料フィード上への揮発物の凝縮の危険性が低減される。
【0070】
それにもかかわらず、そのガス流が流動化に関連する最小速度未満に保たれ、かつ移動充填層がそのガス流によって本質的に乱されないままであるという条件で、不活性ガスの向流もまた可能である。きわめて低い不活性ガス量で完全に足りる。したがって第一加熱ゾーン中の不活性ガス(kg/時)対材料(kg/時)の質量流量比(G/M)は、0から2、好ましくは0.01から1、最も好ましくは0.1から0.5に調整することができる。
【0071】
次いで、第一加熱ゾーンにおける結晶化ステップ(A)から得られる本質的に非粘着性の易流動性粒状材料は、分子量を増すためにポリマー樹脂の縮合が行われる第二加熱ゾーンに搬送される。第一加熱ゾーンにおける場合と同様にSSPCにとって必要な熱を、少なくとも1つの接触型ヒーターに接触させて、そのポリマーの融解温度Tに近くかつそれよりも幾分低い温度までの140℃の範囲内にある第二加熱ゾーンの最高温度Tを達成することによってその粒状材料に与える。好ましくはこの第二加熱ゾーンの最高温度Tは、その半結晶ポリマーの結晶相の融解温度よりも95℃から5℃低い、好ましくは75℃から15℃低い、最も好ましくは55℃から25℃低い範囲内にある。好ましい範囲は、160℃からTよりも10℃低い温度までであり、より好ましい範囲は、180℃からTよりも20℃低い温度までである。PETを含む粒状材料の場合、第二加熱ゾーンの最高温度Tは、好適には160℃から250℃、好ましくは180℃から240℃、最も好ましくは200℃から230℃の範囲である。
【0072】
PETよりも低いまたは高い融解温度を有する別の熱可塑性半結晶ポリマーを含む粒状材料に対する好ましい温度範囲、したがって第二加熱ゾーンの温度Tに対する好ましい範囲は、より低いまたはより高い温度範囲へ移る場合もある。
【0073】
用語に関して融解温度とは、本明細書中では、10℃/分の加熱速度でDSCによって測定される、融解範囲にありかつ最高融解速度を示す温度と解釈される。用語に関して結晶化温度とは、本明細書中では、10℃/分の冷却速度でDSCによって測定される、結晶化範囲にありかつ最高結晶化速度を示す温度と解釈される。用語に関してガラス転移温度とは、本明細書中では、10℃/分の加熱速度でDSCによって測定される、ガラス転移範囲にありかつ最高ガラス転移速度を示す温度と解釈される。
【0074】
上記で考察したように粒状材料はまた、第二加熱ゾーン中では移動充填層としても保持される。原理上はSSPCステップ(B)を不活性ガスなしに行うこともまた可能であるが、SSPCの間に揮発性化合物が形成されるせいで、そのSSPCの間に形成される揮発性物質を除去して生成物の望ましい特性を達成するために第二加熱ゾーンを通る不活性ガスの流れを有することが高度に好ましい。ガス流は材料の加熱にとって必要でないため、加熱は主として接触加熱によって行われるので不活性ガスの質量流量を低く保つことができ、それはSSPCの間に形成される揮発性生成物を効率的に除去するのに十分であることが必要なだけである。第二加熱ゾーンの不活性ガス流は、材料の流れと同方向の流れでも、また対向流でもよく、したがって向流が好ましい。
【0075】
好ましくは第二加熱ゾーン中の不活性ガス流量(kg/時)対材料流量(kg/時)の質量流量比(G/M)は、0から1.5、より好ましくは0.2から1.0、特に好ましくは0.3から0.8である。
【0076】
できれば本発明の方法で使用される不活性ガス流の特に低い量を考慮に入れるとその不活性ガスは、系中への再循環なしに、また再循環工程設備に投資することを必要とせずに、必要とされる環境基準を達成するための適切な精製の後、環境中に放出することができる。これは、低コストの不活性ガス源が利用可能な場合には特に好ましく、したがって本発明による方法の投資コストおよび操業コストをさらに低減する。
【0077】
不活性ガスとは、本明細書中では、好適には0.2重量%未満、好ましくは0.1重量%未満の低酸素含量を有する窒素含有ガスと解釈される。より好ましくは不活性ガスは、その不活性ガスの総重量を基準にして酸素を50ppm未満、より一層好ましくは20ppm未満含む窒素である。窒素は、結晶化ステップ(A)およびSSPCステップ(B)にとって特に好ましい不活性ガスである。
【0078】
結晶化ステップ(A)および/またはSSPCステップ(B)に対して、かつ/またはもし存在すれば第三ゾーンに対して複数の熱交換表面を使用することが好ましい。好適には複数の熱交換表面を備えた熱交換器は、複数の加熱プレートまたは冷却プレートを備えた平板熱交換器である。
【0079】
本発明の好ましい実施形態によれば、SSPCステップ(B)後に第二加熱ゾーンを離れた粒状材料は冷却ゾーンに送られ、そこで材料は冷却される。冷却は、好ましい実施形態を含めて結晶化ステップ(A)およびSSPCステップ(B)について上記で考察したように熱交換表面によって、かつ/または低温ガス流を冷却ステップ中の高温粒状材料上に向けることによって達成することができる。不活性ガス流を冷却用に使用する場合、その流れは、SSPCステップ(B)が行われる第二加熱ゾーンに入る前にその不活性ガスを冷却ステップにおいて予熱することができるように、材料の流れに対する向流であることが好ましい。もちろんこのような実施形態では、次に不活性ガス流は、SSPCステップ(B)中の不活性ガス流に対する上記制限を満たすように調整される。
【0080】
結晶化ステップ(A)の完了後、固相後縮合ステップ(B)に入る前に必要とされる結晶化度は、もちろん選択される材料に左右されることになる。しかしそれは当業技術者による日常的な実験によって容易に確かめることができる。
【0081】
それにもかかわらず大雑把な一般指針としては半結晶ポリエステルの場合、第二加熱ゾーンに入る前にステップ(A)において得られる非粘着性半結晶材料の結晶化度は、その半結晶ポリエステルの重量を基準にして、好ましくは少なくとも20重量%、より好ましくは少なくとも30重量%である。
【0082】
本発明による方法で使用される粒状材料は、低い初期結晶化度を暗黙のうちに有する発生期ポリマーを含めた広範囲の半結晶ポリマーを含むことができるが、粘着可能性の低い材料から出発することが好ましい。本発明の発明者等による研究の結果、粘着可能性を予め評価することができる方法が開発された。
【0083】
粒状材料の粘着は、前記材料の圧縮ペレット層を貫通するのに必要なエネルギーと関係がある可能性がある。本明細書中では粒状材料の粘着可能性は、規定の圧力下での規定の熱処理後の積分貫通エネルギーを、熱を加えない同一圧力処理下での積分貫通エネルギー処理と比較したときの増分と定義される。
【0084】
好ましくは本発明による方法に使用される粒状材料は、本明細書中でずっと後で述べる試験方法によって求められる1ジュール未満の積分貫通エネルギーの増分を特徴とする低い粘着可能性を有する。
【0085】
この積分貫通エネルギーの増分は、その粒状材料中で起こったケーキング(粘着)の量のすぐれた尺度である。それはまた、粒状材料を搬送する間の目詰りを防ぐための何らかの機械的、空気圧、または液圧(空気)撹拌を用いずに処理することができる材料と、撹拌を用いた処理を必要とする材料とを区別する。
【0086】
貫通するための追加の積分エネルギーは、好ましくは0.8ジュール未満、最も好ましくは0.5ジュール未満である。平均の追加積分貫通エネルギーが低い粒状材料の利点は、それが低いほどその粒状材料が本発明の方法に適していることである。
【0087】
本発明はまた、熱可塑性半結晶ポリマーを含む粒状熱可塑性材料の固相後縮合用の装置に関する。本発明による装置は、送り部分、吐出し部分、およびこの送り部分と吐出し部分の間に位置決めされた少なくとも2つの加熱ゾーンを備え、かつ各加熱ゾーンが、互いに規則正しく一定の間隔で配置され、前記加熱ゾーン全体にわたって均一に分布した複数個の面状熱交換エレメントを含む接触型ヒーターを備えた流通式設備である。
【0088】
流通式設備の様々なまた好ましい実施形態の例を、その流通式設備を使用することができる方法との関連で上記本明細書中でさらに述べる。特定の実施形態は、各加熱ゾーンが、本質的に長方形断面を構成する4つの壁によって密閉され、かつその流通式設備が、本質的に接触型ヒーターのプレートに対して直角をなす壁中に、その接触型ヒーターの方を向いて1個または複数個の扉または取外し可能な壁セグメントを備えるものである。
【0089】
本発明による装置は、上記本明細書中でさらに述べる1または複数の好ましい実施形態に従って改変することができる。
【0090】
本発明の好ましい実施形態では装置は、本質的に長方形または円形断面を有し、弁および/または他の補助装備、例えば側管または篩を包含する狭まる部分および拡がる部分によって断続的に分断される少なくとも2つの加熱ゾーンを備える。
【0091】
本発明による方法では出発材料は装置の上端部分に供給され、また生成物は装置の下端部分から取り出され、またその材料は、場合によって1または複数の隘路によって中断される装置内で主に重力によって充填移動層として搬送される一方、その装置は、材料の送りおよび吐出しの必要に応じてフィーダ、配管、ポンプなどの補助装備により完全なものにすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0092】
【図1】本発明による装置の実施形態の概略図である。
【図2】本発明による装置の別の実施形態の概略図である。
【0093】
図1は、粒状熱可塑性材料の固相後縮合(SSPC)のための本発明による装置の実施形態の概略図を示す。この装置は、送り部分(2)、吐出し部分(5)、および送り部分と吐出し部分の間に位置決めされた加熱ゾーン(6、7)を有する2つの中間部分(3、4)を含む流通式設備(1)である。第二部分(4)は、冷却ゾーン(8)をさらに含む。各加熱ゾーン(6、7)は、互いに規則正しく一定の間隔で配置され、前記加熱ゾーン全体にわたって均一に分布した複数個の面状熱交換エレメントを含む接触型ヒーターを備える。好適には接触型ヒーターは、熱交換エレメントを油で加熱するための油供給ユニット(図示せず)に連結された入口および出口を備える。冷却ゾーン(8)は、接触型ヒーターについて上記で述べたと同様の複数個の面状熱交換エレメントを含む冷却ユニットを含む。好適には冷却ユニットは、熱交換エレメントを冷却液で冷却するための冷却液供給ユニットに連結された入口および出口を備える。様々な部分が、入口、出口、および配管などの補助装備(9、10、11)と、これら部分を通って流れる不活性ガスのための凝縮器、捕集タンク、およびガス洗浄機などのさらなる補助装備とを備える。据え付けとは、供給部分が上にある状態に垂直に位置決めし、それによって粒状熱可塑性材料の重力のみによる流下を可能にすることを意味する。好適には不活性ガスは上方に向かって、すなわち粒状熱可塑性材料の流れに対する向流として流れる。
【0094】
図2は、粒状熱可塑性材料の固相後縮合(SSPC)のための本発明による装置の別の実施形態の概略図を示す。この装置は、送り部分(2)、吐出し部分(5)、および2つの加熱ゾーン(6、7)と1つの冷却ゾーン(8)を有する1つの中間部分(12)を含む流通式設備(1a)である。各加熱ゾーン(6、7)は、互いに規則正しく一定の間隔で配置され、前記加熱ゾーン全体にわたって均一に分布した複数個の面状熱交換エレメントを含む接触型ヒーターを備える。好適には接触型ヒーターは、熱交換エレメントを油で加熱するための油供給ユニット(図示せず)に連結された入口および出口を備える。冷却ゾーン(8)は、接触型ヒーターについて上記で述べたと同様の複数個の面状熱交換エレメントを含む冷却ユニットを含む。好適には冷却ユニットは、熱交換エレメントを冷却液で冷却するための冷却液供給ユニットに連結された入口および出口を備える。中間部分は、入口、出口、および配管などの補助装備(13、14、15)と、これら部分を通って流れる不活性ガスのための凝縮器、捕集タンク、およびガス洗浄機などのさらなる補助装備とを備える。据え付けとは、供給部分が上にある状態に垂直に位置決めし、それによって粒状熱可塑性材料の重力のみによる流下を可能にすることを意味する。好適には不活性ガスは上方に向かって、すなわち粒状熱可塑性材料の流れに対する向流として流れる。
【0095】
本発明を、下記の実施例および実験によりさらに例示する。
【0096】
[流通ユニット]
試験は、その上端に粒状材料の供給手段とその下端に吐出し手段とを有し、かつ一方向に狭くなる長方形の吐出しゾーンを含む長方形断面の細長い垂直に位置決めされた容器として本質的に特徴づけられる装置中で行った。加熱ゾーンは、調整可能な間隔を有する加熱プレートを含む。プレートは高さ600mm、幅300mmである。プレートは、油で加熱され、Lauda熱媒油ユニットにより制御された二重壁プレートである。
【0097】
[流通ユニットでの試験]
ガラス充填ポリエステルの目詰りおよびブリッジング挙動を測定するために幾つかの実験を行った。この実験は、流通ユニットを造粒された材料で満たし、続いてこの流通ユニットに追加の造粒された材料を供給し、同時に造粒された材料を移動固定層として流通ユニットを通過させることによって加熱されたプレートに渡すことにより行った。一般にこの生成物中のポリマーは、メタクレゾールに25℃で溶かした1%濃度において測定される1.45の相対粘度を有した。グラニュールは、設備に室温でその上部から入れた。その際にこの工程、すなわち結晶化ステップの最も決定的に重要な意味をもつ相を調べた。このために材料を目視検査した。グラニュールの結晶化は、色のわずかな変化によって目で見ることができた。さらに実験を、その生成物の流動性を適時に調べるためにプレキシグラスフロントプレートを通して視覚的に続けた。
【0098】
プレートの間隔を18と30mmの間で調整し、またプレートの温度を室温から145℃まで変えた。後の方の温度のすぐ近くで、またこの温度で、より具体的には140〜145℃の温度範囲でこのポリエステル樹脂は容易に結晶化することが観察された。続いて、この造粒された材料の加熱されたプレート間での滞留時間が30分間から2時間まで変わるように送りおよび吐出し速度を調整した。典型的な実験ではプレートの外面間の間隔を22mmに設定した。グラニュールの流量は、プレート間の滞留時間が1時間になるように調整した。142℃の温度を有する熱油をプレート内部の空洞空間に底部から注いだ。プレートの上部から流出する油の測定温度は141℃(向流)であった。熱交換器のプレートの下端部におけるペレットの測定温度は142℃であった。より長期の滞留時間を、材料を高温に8時間以上放置して停止状態で一晩シミュレートした。驚くべきことにこれらの実験は、造粒された材料のいずれについても目詰りまたは塊りの形成を示さなかった。また加熱処理後および結晶化後の生成物の流動性は、未加工生成物との目に見える違いを示さなかった。これらの特定の実験については温度勾配によって起こる若干の自然循環(対流)は生じているが、ガス流は適用されなかった。
【0099】
[後縮合]
結晶化ステップの後、生成物は平板熱交換器を備えた後縮合部分へ重力によってさらに流れ下り、そこで生成物は平板熱交換器のプレート全体にわたってむらのない分布を達成した。加熱プレートに沿って下へ移動しながら、生成物は220℃の設定温度を有するプレートに接触することによって加熱され、ゆっくり後縮合温度に到達する。これらプレートの長さは、熱交換器を離れる生成物が、プレートのうちの1枚と接触している材料と、それらプレートのちょうど中間にある材料との間で1℃以下の温度差を有するような長さであった。窒素ガスは、生成物に対する向流として加熱ゾーンを通って流れた。加熱ゾーンの後、生成物は、窒素が向流として流れる状態で反応ゾーンを通って下方へゆっくり移動し、それによって揮発性反応生成物が除去された。反応ゾーンを離れた後、生成物はひと揃いの冷却プレートを含む冷却ゾーンに入った。そこで生成物は、冷却プレートによる熱交換によって50℃まで冷却された。この冷却ゾーンの後、生成物は一方向に細くなる円錐体および吐出し回転弁を介して吐出されて緩衝容器に入る。
【0100】
こうして得られた生成物は、塊りを含まない易流動性グラニュールからなり、その中に含有されるポリマーは、メタクレゾールに25℃で溶かした1%濃度において測定される1.82の相対粘度を有した。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
1または複数の加熱ステップを含む、固体の状態において熱可塑性半結晶ポリマーを含む粒状熱可塑性材料を熱処理するための連続法であって、
−前記方法が1または複数の加熱ゾーンを含む流通式設備中で行われ、
−各加熱ゾーンが一連の加熱プレートからなる接触型ヒーターを備え、
−前記粒状材料が前記流通式設備に供給され、
−前記粒状材料が、本質的に移動充填層として前記加熱ゾーン中または前記複数の加熱ゾーン中に搬送され、
−前記粒状材料が前記流通式設備から吐出され、
−前記粒状材料は、少なくとも70%が前記接触型ヒーターから来る、または2つ以上の接触型ヒーターの場合は前記複数の接触型ヒーターから来るエネルギー入力によって加熱され、
−任意選択で、不活性ガスの流れが前記加熱ゾーンの1つまたは複数に加えられ、もしあれば各加熱ゾーン中の前記不活性ガスの流れが、多くとも2の質量比G/M(Gは単位kg/時の前記不活性ガス流量であり、Mは単位kg/時の前記粒状材料の流量である)であるという条件を満たす、方法。
【請求項2】
前記熱処理法が、乾燥ステップ、予備結晶化ステップ、アニーリングステップ、または後縮合ステップ、またはこれらの任意の組合せを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
1または複数の加熱ゾーン中の前記質量比G/Mが、多くとも1.5、より好ましくは多くとも1.0、0.8、または多くとも0.6ですらある、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記粒状熱可塑性材料が、熱可塑性半結晶ポリエステルおよび/または熱可塑性半結晶ポリアミドを含む、請求項1〜3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記粒状材料が、繊維強化剤および/または無機充填剤を含む、請求項1〜4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記粒状材料を予備結晶化する第一加熱ステップと、前記粒状材料を固体の状態で後縮合する第二加熱ステップとを含めて、少なくとも2つの加熱ステップを含む、請求項1〜5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
粒状熱可塑性材料の固相後縮合(SSPC)のための装置であって、送り部分、吐出し部分、および前記送り部分と前記吐出し部分の間に位置決めされた少なくとも2つの加熱ゾーンを備え、かつ各加熱ゾーンが、互いに規則正しく一定の間隔で配置され、前記加熱ゾーン全体にわたって均一に分布した複数個の面状熱交換エレメントを含む接触型ヒーターを備えた、流通式設備である装置。
【請求項8】
各加熱ゾーンが、本質的に長方形断面を構成する4つの壁によって密閉されている、請求項7に記載の装置。
【請求項9】
前記加熱プレートが、1〜12cmの範囲のプレート間隔を有する、請求項7または8に記載の装置。
【請求項10】
弁および/または他の補助装備を包含する狭まる部分および拡がる部分によって断続的に分断された、本質的に長方形または円形断面を有する少なくとも2つの加熱ゾーンを備えた、請求項7〜9のいずれか一項に記載の装置。

【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2011−527363(P2011−527363A)
【公表日】平成23年10月27日(2011.10.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−517145(P2011−517145)
【出願日】平成21年7月7日(2009.7.7)
【国際出願番号】PCT/EP2009/058607
【国際公開番号】WO2010/003956
【国際公開日】平成22年1月14日(2010.1.14)
【出願人】(503220392)ディーエスエム アイピー アセッツ ビー.ブイ. (873)
【Fターム(参考)】