説明

半自動ドア

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は半自動ドアに関し、特に人の出入りするドアだけでなく、窓,天窓,排煙窓などを含むドアのうち、引き戸方式のドアに関する。
【0002】
【従来の技術と発明が解決しようとする課題】従来より、ドアには大別して引き戸方式のドアと開き戸方式のドアがあり、いずれの方式のドアも健常者はもちろん、身体障害者あるいは老人などであっても介護者の介添えのもとで開閉する場合には何ら問題が生じないが、身体障害者や老人などが単独で開閉するのは困難である。たとえば車椅子に載った人が引き戸を開けようとするとき、引き戸を開けるために水平方向に引く力はその反作用によって車椅子を回転させてしまい、引き戸を容易に開けることはできない。同様に、松葉杖に頼って立っている人が引き戸を開けようとするときも身体が捻じれてしまい、引き戸を容易に開けることはできない。また、手前に扉を引いて開ける開き戸の場合、扉の回転半径内に車椅子があると開けることができず、開き戸と壁との関係で扉を引きながら車椅子を後退させる必要があるなど、この開き戸も使用上、困難であった。しかも、引き戸も開き戸もドアを閉めるとき、同様の困難を伴うものであった。
【0003】このためモーターなどで開閉させられる自動ドアが提供されている。自動ドアは種々のセンサを用いて、そのセンサの検知信号に基づきモーターなどを作動させ、ドアを開閉させるように構成されている。ところが、モーターやセンサは電気によって作動させられるため、停電時、特に火災や地震などに起因して停電した時、ドアが開かずに室内に閉じ込められてしまう。そこで、停電時には手動で開閉できるように構成された自動ドアも提供されているが、健常者でも非常に開閉し辛いものであった。また、自動ドアは設備費が高いばかりか定期的に保守点検を必要とし、ランニングコストも高く付くため、自動ドアを数多く設置することはできない。
【0004】このように従来の手動式のドアも自動ドアも問題点を有することから、半自動ドアが種々提案されている。この種の半自動ドアは錘やドアの自重、あるいはバネの付勢力などを利用して、常にドアを閉める方向に付勢しておくものである。したがって、ドアを開けて通過した後、ドアから手を離すと自動的にドアが閉まり、ドアの閉め忘れがなくなるとともに、ドアを閉めるときの困難も解消されることになる。ところが、この半自動ドアは常にドアが閉まる方向に付勢されているため、ドアを開けるのに力を要し、力のない老人や病人、あるいは車椅子に載っている身体障害者などには却って使用し辛いものであった。
【0005】また、天窓や排煙窓などは高所に設置されていて、これら天窓などを開閉させるために種々の方法が提供されている。しかし、従来の天窓は充分な換気ができない半開き式の回転窓であったり、あるいは充分な開口を得るためには何回となくウインチなどを回転させなければならないなど、時間の要するものであった。特に、排煙窓にあっては、充分に広い開口を短時間に開ける必要があり、問題になっていた。
【0006】そこで、本発明者は上記問題点を鑑みて、電気を使用せずに何らかの動作によって自動的にドアを開閉させることができるドアを得るために鋭意研究を重ねた結果、本発明に至ったのである。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明に係る半自動ドアの要旨とするところは、ドア本体と、直線状の部材がほぼ中心部で水平方向上方に概略くの字に折り曲げられ、且つ前記ドア本体を係合状態で走行させるガイドレール部と、該ガイドレール部の中心部に該ガイドレール部を揺動させる該走行方向と直角をなす水平方向に軸心を有する回動軸を備えたガイドレールと、前記概略くの字に折り曲げられたガイドレール部をそれぞれほぼ水平となる位置で停止させる部材と、前記ガイドレールのガイドレール部を回動軸を中心に少なくとも一方向に回動させる回動手段とを備えたことにある。
【0008】
【0009】また、かかる半自動ドアにおいて、前記回動手段によるガイドレールの回動を元の状態に戻す復元手段を備えたことにある。
【0010】更に、かかる半自動ドアにおいて、前記回動手段の操作に連動して前記ドア本体を押動させる押動手段を備えたことにある。
【0011】
【作用】かかる本発明の半自動ドアはドア本体とガイドレールと回動手段とから構成されていて、ドア本体はガイドレールのガイドレール部と係合させられていて、そのガイドレール部に導かれて走行させられる。一方、ガイドレールのガイドレール部は水平方向に軸心を有する回動軸を中心にして回動手段によって揺動させられ、且つドア本体と係合させられるガイドレール部は回動軸部で水平方向上方に概略くの字に折り曲げられて構成されていて、回動手段によりガイドレール部を回動軸部で回動させると、ガイドレール部は鉛直平面内で揺動させられる。
【0012】したがって、ガイドレールのガイドレール部に係合させられたドア本体はそのガイドレール部が水平方向にあるとき、定位置に停止している。かかる定位置にドア本体があるとき、そのドア本体によってドアが閉じられていると仮定する。かかる状態で回動手段を作動させ、概略くの字状のガイドレールのガイドレール部を回動させて、ドア本体が係合させられたガイドレール部を傾斜させる。ガイドレール部が傾斜させられるのに伴って、ドア本体はその自重によって傾斜の下方へ移動し、回動軸を挟んでほぼ水平方向に回動されたガイドレール部で停止する。このとき、ドアは開けられた状態となる。次に、回動させたガイドレールを逆に元の方向に回動させることによって、同様にドア本体は移動して、ほぼ水平方向に戻されたガイドレール部で停止する。このとき、ドアは閉められた状態となる。
【0013】また、かかる半自動ドアにおいて、回動手段によって回動させたガイドレールを逆方向に回動させるように構成することも可能であるが、回動手段とは別に復元手段を設け、その復元手段によってガイドレールの回動を元の状態に戻すようにしても良い。
【0014】更に、回動手段の操作に連動してドア本体を押動させる押動手段を設けることにより、自重によって移動しようとするドア本体の動作開始を早めることができる。
【0015】
【実施例】次に、本発明に係る半自動ドアの実施例を図面に基づき詳しく説明する。図1において、半自動ドア10はドア本体12と、このドア本体12を吊り下げた状態で一定方向に走行させることができるガイドレール14と、このガイドレール14を回動させる回動手段16と、回動させられたガイドレール14を元の状態に戻すための復元手段18とから構成されている。
【0016】ドア本体12は木材やアルミニウム合金などから形成されていて、このドア本体12の上部には図2R>2(a) に示すような吊車20が少なくとも2箇所に配設されていて、ドア本体12を安定して吊り下げ得るようにされている。吊車20は車軸の両端部に車輪21が回動可能に取り付けられたものであり、車輪21はゴムや軟質の樹脂などによって被覆され、騒音が発生しないように構成されているのが望ましい。一方、同図(b) に示すように、ドア本体12の下部は床面22に形成された溝24に摺動可能に且つ宙に浮いた状態で収納されていて、ドア本体12の上下方向の動きを許容し得るように設定されている。なお、ドア本体12の下部側壁部にローラーなどを配設し、溝24の側壁との抵抗を軽減するようにしても良い。
【0017】ガイドレール14は図1及び図2(a) に示すように、ガイドレール部26と回動軸28とから構成され、ガイドレール部26はドア本体12の上部に取り付けられた吊車20の車輪21が走行し得るように構成されていて、このガイドレール部26はほぼその中心部に設けられた回動軸28部で水平方向上方に概略くの字に折り曲げられている。一方、回動軸28はガイドレール部26の走行方向と直角をなす水平方向に軸心を有するように設けられていて、図示しない壁に回動可能に支持された回動軸28により、ガイドレール部26は鉛直方向に揺動させられる。回動軸28を中心に揺動させられるガイドレール部26の両端は支柱などに形成された段部30,31と当接して、ほぼ水平となる位置で停止するように設定されている。なお、ガイドレール部26を走行させられるドア本体12が支柱などと密着し得るように、水平より若干下方に回動した位置でガイドレール部26が停止させられるのが好ましい。
【0018】このガイドレール部26の一端はワイヤーロープ32などを介して回動手段16に接続されている。回動手段16は壁に設けられた軸を中心に回動させられるハンドル34と、そのハンドル34と連動して回動させられるリンク36とから構成され、ハンドル34を回動させるとリンク36の先端部に接続されたワイヤーロープ32が往復動させられる。したがって、回動手段16のハンドル34を回動させることによって、ガイドレール14をその回動軸28を中心に揺動させることができるのである。また、ガイドレール部26の他端はワイヤーロープ38などを介して錘40が懸吊されていて、錘40はドア本体12の自重などに抗してガイドレール部26を回動させる重量を有して常時付勢している。ここで、錘40に代えて圧縮コイルバネや板バネなど各種のバネを用いても良く、この場合バネの付勢力を調整する調整手段を設けておくのが好ましい。なお、符号42は把手あるいは舟底引手である。
【0019】かかる構成の半自動ドア10は錘40によりガイドレール14が図面上、半時計方向に付勢されていて、ドア本体12によって閉じられている。次に、図3R>3に示すように、回動手段16のハンドル34を回動させ、そのハンドル34と連動するリンク36を回動させる。リンク36の回動によりワイヤーロープ32を引っ張り、ガイドレール部26を錘40の付勢力に抗して時計方向に回動させる。ガイドレール部26を回動軸28を中心に回動させて、ドア本体12を懸吊している水平方向のガイドレール部26を斜めに傾ける。これに伴い円運動させられるドア本体12の最下部は支柱に当接させられ、ドア本体12をガイドレール部26の反対側に押し出す方向に力が作用することになる。
【0020】更に、回動手段16のハンドル34を完全に回動させると、当初傾斜させられていたガイドレール部26の先端部が段部30に当接させられてほぼ水平にされる一方、当初ほぼ水平であったガイドレール部26が傾斜させられことにより、ドア本体12は自重により吊車20が走行してスムーズに水平側のガイドレール部26に移動させられる。これによりドアが開けられ、人が通過した後、ドアの反対側に設けられたハンドル34を元の位置に戻す。ハンドル34を元に戻すことによってガイドレール部26を引っ張る引張力を解除し、それとは反対側に設けられた錘40の付勢力によってドア本体12とともにガイドレール部26を持ち上げて回動させ、傾斜させることになる。したがって、上述と同様の作動によりドア本体12は吊車20によって走行させられて、ドアが閉められる。
【0021】このように本発明に係る半自動ドア10は電気などを用いずに回動手段16のハンドル34の操作だけでドアの開閉をすることができ、このハンドル34の操作に特に大きな力を必要としないため、老人を始め傷病人や、車椅子や松葉杖に頼っている人でも容易にドアの開閉をすることができる。
【0022】なお、ここで健常者などは回動手段16を用いずに、ドア本体12に設けられている把手42を利用して、通常と同様にしてドアを開けることができる。すなわち、ドア本体12は吊車20によって自由に吊られているだけであり、把手42を持って強く横方向に引くことによってドア本体12を動かすことができ、ドアを開けることができる。
【0023】以上、本発明に係る半自動ドアの実施例を詳述したが、本発明はかかる実施例に限定されるものではない。たとえば、図4に示すように、ドア本体12の前後の通路の床面にそれぞれ油圧ポンプ44,45と圧縮コイルバネ46,47を内蔵した足踏み台48,49を設けるとともに、それぞれの足踏み台48,49の油圧ポンプ44,45からパイプ50,51を介して送られる油圧によって作動させられる油圧シリンダ52,53によって回動手段54,55を構成しても良い。ここで、油圧シリンダ52,53は一端が壁などに支持されており、他端はガイドレール14のガイドレール部26に支持されている。
【0024】かかる構成の半自動ドアにおいて、人がドアを通過するために足踏み台48の上に載ったとき、圧縮コイルバネ46の付勢力に抗してその人の体重により足踏み台48がわずかに下がる。その際、油圧ポンプ44からパイプ50を介して油圧が送られ、油圧シリンダ52が作動させられて、延び出されたピストンロッドによってガイドレール14のガイドレール部26が押し上げられる。なお、ガイドレール部26が押し上げられると同時に油圧シリンダ53のピストンロッドが同時に延び出させられ、油圧シリンダ53内には油圧ポンプ45から負圧によって油が流入させられている。したがって、前述と同様の作動によってドア本体12が反対側のガイドレール部26に走行してドアが開く。そこで、人がそのドアを通って次の足踏み台49を踏む一方、足踏み台48から足が離れて体重の負荷が除かれることになる。
【0025】足踏み台49を踏むと同時に正の油圧が油圧シリンダ53に作用して、延び出されているピストンロッドによってガイドレール部26が押し上げられることになり、ドアが開けられた状態で保たれる。一方、足踏み台48から体重の作用が除かれると同時に圧縮コイルバネ46の付勢力により足踏み台48が押し上げられて、油圧シリンダ52には負圧が作用させられることになる。
【0026】次に、人が足踏み台49を通過して体重が除去されると、圧縮コイルバネ47の付勢力により足踏み台49が押し上げられ、油圧シリンダ53に負圧が作用させられることになる。油圧シリンダ52と53の双方に負圧が作用させられることによって、押し上げられているガイドレール部26は逆に引き下げられ、前述の実施例で説明したのと同様の作動によりドア本体12が走行させられて、ドアが閉まることになる。
【0027】かかる構成の半自動ドアにおいても、電気などを使用せずに、通行する人の体重のみでドアの開閉をなすことができる。なお、ここでは圧縮コイルバネ46,47が復元手段を構成することになる。また、本例において、復元手段として圧縮コイルバネ46,47を用いずに、たとえば前述の実施例と同様に錘40を用いることも可能である。更に、本例の構成上、油圧シリンダ52及び53を1つにすることも可能である。
【0028】また、かかる足踏み台48,49を用いた構成の半自動ドアにおいて、前述の図1に示す実施例と組み合わせて構成することも可能である。すなわち、油圧ポンプ44,45及び油圧シリンダ52,53に代えてワイヤーロープ32を用い、足踏み台48,49に人などが乗ったとき、その足踏み台48,49が沈下する挙動をワイヤーロープ32に伝達するように構成することにより、図1又は図4に示す実施例と同様の作動と効果を得ることができる。
【0029】次に、本発明に係るガイドレールなどの形状や構造は上述の実施例に限定されるものではなく、たとえば図5に示すように、ガイドレール56はテーパー面を備えた凸条のレール58を有して構成されていて、一方、ドア本体12の吊車60はテーパー面を備えた凸条のレール58を跨がって走行し得るように円錐面を備えた車輪61によって構成されていても良い。このような構成のガイドレール56は製造し易く、安価に製造できる利点がある。
【0030】また、前述の図1に示す実施例では回動手段16のハンドル34の作動をワイヤーロープ32によってガイドレール14に伝達していたが、その他たとえば図6に示すように、ハンドル34の回動をリンク36を剛体から成る連接棒62によってガイドレール14に伝達するようにし、これによって回動手段64と復元手段65を構成しても良い。すなわち、ハンドル34を回動することによってガイドレール部26を強制的に回動させて押し上げ、ドアを開けることができ、また、逆にハンドル34を先と逆の方向に回動することによってガイドレール部26を強制的に回動させて押し下げ、ドアを閉めることができる。本例においては、ガイドレール14を復元させるために錘やバネを必要とせず、簡単な構造で構成することができる。
【0031】更に、図7に示すように、ガイドレール14の回動軸28を中心として対称をなす位置にループ状のワイヤーロープ66を結び付けるとともに、そのワイヤーロープ66の両端を回動手段67の回動円板68に接続し、ハンドル34に連動して回動させられる回動円板68の動きに応じてガイドレール14が回動させられるように構成しても良い。ここで、回動手段67は同図(b) に拡大して示すように、回動円板68の外周部に切欠き69が設けられていて、その切欠き69にバネによって付勢されたボール70を押圧させ、ハンドル34及び回動円板68が所定の位置で停止するように構成されている。
【0032】したがって、ハンドル34を回動途中のたとえば二点鎖線で示す停止させた場合、ガイドレール14は回動軸28を中心にほぼ左右対称な位置で停止させられるため、ドア本体12は吊車20が力学的に釣り合う位置で停止して、ドアは半分開いた状態となる。同様に、ハンドル34の回動位置に応じて、ドアの開き具合が変化させられることになる。
【0033】また、図8に示すように、回動手段71はハンドル34に連動して回動させられるレバー72と、ハンドル34の回動中心部に形成された多角形状を成す回動部材73と、その回動部材73の角部あるいは平坦部に当接してハンドル34の回動を規制する規制手段74とから構成され、レバー72の先端部にはループ状のワイヤーロープ66の端部がそれぞれ連結されている。かかる構成を採用することによって、前述と同様の作動と効果を得ることができる。
【0034】次に、前述の実施例ではガイドレール14を回動させて、ガイドレール部26を傾斜させることによって、ドア本体12の自重と傾けられたドア本体12の下端部と支柱との当接によりドア本体12を走行させるように構成していたが、積極的にドア本体12を走行させるように構成しても良い。たとえば図9に示すように、回動手段75のハンドル34を回動させると、そのハンドル34と連動して回動し、押動部材76がドア本体12側に突き出て、そのドア本体12を押動する押動手段77を設けても良い。このような押動手段77を設けることにより、ドアの開閉をスームズに行うことができる。なお、この押動手段77は一例であり、種々構成することが可能である。
【0035】また、前述の実施例ではドア本体12は吊車20によりガイドレール14に吊り下げられていたが、図10に示すように、ドア本体78の下にガイドレール79を配設して構成しても良い。すなわち、ドア本体78の下部やガイドレール79の溝80内には、ドア本体78が円滑に走行するように図示しないローラーなどが設けられていて、そのローラーなどによってガイドレール76の溝部78に沿って円滑にドア本体78が走行するように構成されているのである。このように構成することにより、吊車20やそれに伴う複雑な構造のガイドレール14が不要となり、安価な半自動ドアを提供することができる。
【0036】更に、図11に示すように、ドア本体82はその下部に設けられた複数のローラー84により床面86に敷設されたガイドレール88にガイドされて円滑に走行するように構成しても良い。ここで、ドア本体82は床面86に対して上下方向に動くため、床面86のガイドレール88に密着して動かされる複数のローラー84はそれぞれガイドロッド90によってドア本体82に対して摺動させられることになる。このように構成すれば、上下方向に動かされるドア本体82の挙動を許容することができるとともに、深い溝を必要としないため、安全であり、また掃除などが楽になる。なお、符号92はスカートであり、このスカート92はドア本体82の上下方向の動きやローラー84を隠して美観を保持すると同時に安全性を確保するためのものである。
【0037】以上、本発明の実施例を図面に基づいて種々説明したが、本発明はこれらの実施例を適宜組み合わせて実施し得るものである。また、ガイドレールは回動軸部を中心に円弧を成して折り曲げられていても良く、折り曲げ角度は0度を越える数10度の範囲で可能であり、用途や使用条件などによって種々設定して設計し得るものである。なお、ガイドレールを折り曲げないで実施したり、あるいは水平方向下方向に折り曲げて実施することも不可能ではないが、ドア本体が開の状態、あるいは閉の状態のいずれかで傾いて停止することになる。
【0038】また、上述の実施例は人が出入りするドアを例にして説明したが、天窓や排煙窓、あるいはカーテンの開閉などにも応用することができるのは勿論であり、何ら限定されるものではなく、更に本発明に係る半自動ドアを構成する部材の材質なども何ら限定されるものではないなど、本発明はその趣旨を逸脱しない範囲内で、当業者の知識に基づき種々なる改良、修正、変形を加えた態様で実施し得るものである。
【0039】
【発明の効果】本発明に係る半自動ドアはドア本体を係合状態で走行させるガイドレール部がほぼ中心部で水平方向上方に概略くの字に折り曲げられていて、その折り曲げ部に設けられた回動軸を中心にガイドレールが揺動させられるように構成されているため、ドア本体はガイドレールの揺動に応じてそのガイドレール部に沿って走行させられる。一方、ガイドレールは回動手段によって一定の方向に回動させられるため、回動手段の操作に応じてドア本体はガイドレールに沿って走行させられることになる。したがって、本発明に係る半自動ドアは電気などを使用せずに回動手段を操作するだけでドアの開閉が可能となり、傷病人や老人を始め、車椅子や松葉杖などに頼って歩行する人でも、単独でドアの開け閉めが簡単にできることとなる。
【0040】また、復元手段を設けることにより、回動させられたガイドレールを元の状態に戻すことができるため、開けたドアを復元手段により閉めることができる。
【0041】更に、押動手段を設けることにより、回動手段の操作とほぼ同時にドア本体を走行させることができ、迅速にドアを開けることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る半自動ドアの実施例を示す要部説明図である。
【図2】図1に示す半自動ドアの要部を示す図であり、同図(a) はガイドレール部と吊車を示す要部破断斜視図であり、同図(b) はドア本体の下部と床面に形成された溝を示す要部断面図である。
【図3】図1に示す半自動ドアの作動を説明するための要部説明図である。
【図4】本発明に係る半自動ドアの他の実施例を示す要部説明図である。
【図5】本発明に係る半自動ドアの他の実施例であるガイドレールと吊車を示す要部斜視図である。
【図6】本発明に係る半自動ドアの他の実施例である回動手段と復元手段を示す要部説明図である。
【図7】本発明に係る半自動ドアの他の実施例である回動手段を示す説明図であり、同図(a) は要部正面説明図、同図(b) は要部拡大説明図である。
【図8】本発明に係る半自動ドアの他の実施例である回動手段を示す説明図である。
【図9】本発明に係る半自動ドアの他の実施例である押動手段を示す要部説明図である。
【図10】本発明に係る半自動ドアの他の実施例であるガイドレールとドア本体を示す要部斜視説明図である。
【図11】本発明に係る半自動ドアの他の実施例であるドア本体の下部と床面に敷設されるガイドレールを示す説明図であり、同図(a) は要部側面断面図、同図(b) は要部正面図である。
【符号の説明】
10;半自動ドア
12,78,82;ドア本体
14,56,79;ガイドレール
16,54,55,64,67,71,75;回動手段
18,65;復元手段
20,60;吊車
26;ガイドレール部
28;回動軸
34;ハンドル
40;錘
42;把手
48,49;足踏み台
77;押動手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】 ドア本体と、直線状の部材がほぼ中心部で水平方向上方に概略くの字に折り曲げられ、且つ前記ドア本体を係合状態で走行させるガイドレール部と、該ガイドレール部の中心部に該ガイドレール部を揺動させる該走行方向と直角をなす水平方向に軸心を有する回動軸を備えたガイドレールと、前記概略くの字に折り曲げられたガイドレール部をそれぞれほぼ水平となる位置で停止させる部材と、前記ガイドレールのガイドレール部を回動軸を中心に少なくとも一方向に回動させる回動手段とを備えたことを特徴とする半自動ドア。
【請求項2】 前記回動手段によるガイドレールの回動を元の状態に戻す復元手段を備えたことを特徴とする請求項1に記載する半自動ドア。
【請求項3】 前記回動手段の操作に連動して前記ドア本体を押動させる押動手段を備えたことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載する半自動ドア。

【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図1】
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【図5】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図6】
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【図7】
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【図11】
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【特許番号】特許第3299557号(P3299557)
【登録日】平成14年4月19日(2002.4.19)
【発行日】平成14年7月8日(2002.7.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願平3−307010
【出願日】平成3年10月25日(1991.10.25)
【公開番号】特開平5−118180
【公開日】平成5年5月14日(1993.5.14)
【審査請求日】平成10年10月22日(1998.10.22)
【出願人】(391058222)
【参考文献】
【文献】特開 平1−198982(JP,A)
【文献】実開 昭51−11631(JP,U)
【文献】実開 昭62−154196(JP,U)