卓上型ペーパータオル用ディスペンサー
【課題】設置場所を選ばない卓上型ペーパータオル用ディスペンサーを提供する。
【解決手段】
ペーパータオルの束を内部に収納するケース本体と、前記ケース本体を卓上型とする台座部と、前記ケース本体を台座部に対して回動自在に支持し、前記取出口が臨む方向を回転軸周りに変更可能とする軸支手段と、前記ケース本体を任意の回転位置で台座部に対して固定する固定手段とを有する卓上型ペーパータオル用ディスペンサーにより解決される。
【解決手段】
ペーパータオルの束を内部に収納するケース本体と、前記ケース本体を卓上型とする台座部と、前記ケース本体を台座部に対して回動自在に支持し、前記取出口が臨む方向を回転軸周りに変更可能とする軸支手段と、前記ケース本体を任意の回転位置で台座部に対して固定する固定手段とを有する卓上型ペーパータオル用ディスペンサーにより解決される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【０００１】
本発明は、ペーパータオルを折り畳み積層した束を収納し、取出口から１枚ずつ取り出すペーパータオルディスペンサーに関し、特に卓上型のペーパータオル用ディスペンサーに関する。
【背景技術】
【０００２】
キッチンペーパー、清拭用ワイプ等の所謂ペーパータオルと称されるもののディスペンサーの多くは、束を収納する本体の背面を適宜の手段により壁に対面させて設置し、底部に設けた取出口からペーパータオルを引き出して使用する形態であるが（特許文献１〜３等）、中には据え置き型、卓上型のものも知られる（特許文献４〜６等）。
【０００３】
特許文献１〜３に示されるような本体の背面を介して壁に設置するタイプのディスペンサーは、比較的大型であり設置態様も限定されることから、設置スペースや設置場所を確保することが困難な飲食店、惣菜店、スーパーマーケットの厨房や一般家庭で使用するには不向きであり、そのような処では、引用文献４〜６に示す据え置き型・卓上型のディスペンサーが適する。
【０００４】
しかし、引用文献４〜６に示されるような従来の卓上型ディスペンサーもペーパータオルの引出し方向が固定されていことから設置の自由度や使用態様の自由度が制限されている。すなわち、引用文献４に示されるような設置面が底面にあり、取出口が上面にある卓上型ディスペンサーは、例えば、上面が使用者の目線より高くなる高所に設置して、恒常的に使用することは困難である。この形態の卓上型ディスペンサーは、必然的に取出口のある上面が使用者目線よりも低い位置に設置場所が限られる。他方、引用文献５や引用文献６に示される取出口が下方に向っている卓上型ディスペンサーは、一般的な腰より高い作業台や高所に設置した際にはペーパータオルを取出口から引き出して使用することに困難性はないが、比較的低い作業台など特に設置面が使用者の腰より低い低所とすると、ペーパータオルを引き出す操作が困難となり、かかる場所を設置場所とすることができない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【０００５】
【特許文献１】特開平０６−１４４４４８号公報
【特許文献２】特開２００６−２０４４０４号公報
【特許文献３】特開２００１−８７１６１号公報
【特許文献４】特開２００７−１５３４３９号公報
【特許文献５】実用新案登録第３１３７５８２号公報
【特許文献６】特開２０１０−７６８１１号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【０００６】
そこで、本発明の主たる課題は、上記飲食店、惣菜店、スーパーマーケットにおける厨房や、家庭内等のスペースの限られる場所でも好適に使用できる卓上型のペーパータオル用ディスペンサーにおける、設置場所の自由度、使用態様の自由度を高めることにある。
【課題を解決するための手段】
【０００７】
上記課題を解決した本発明は次記のとおりである。
＜請求項１記載の発明＞
複数の二つ折りされた方形のペーパータオルを、折り返し片の縁が隣接するペーパータオルの折り返し内面に位置するようにして互い違いに重なり合うように積層した、略直六面体形状のペーパータオル束を取出口から１枚ずつ取りだすペーパータオル用ディスペンサーであって、
前記ペーパータオル束を内部に収納するケース本体と、前記ケース本体を卓上型とする台座部と、前記ケース本体を台座部に対して回動自在に支持し、前記取出口が臨む方向を回転軸周りに変更可能とする軸支手段と、前記ケース本体を任意の回転位置で台座部に対して固定する固定手段とを備える、
ことを特徴とする卓上型ペーパータオル用ディスペンサー。
【０００８】
＜請求項２記載の発明＞
前記台座部が接地面から立設する一対の支持板部を有し、その支持板部に間にケース本体が支持されている請求項１記載の卓上型ペーパータオル用ディスペンサー。
【０００９】
＜請求項３記載の発明＞
固定手段が、各支持板部をケース本体に押接させて、ケース本体を台座部に対して固定するものである請求項２記載の卓上型ペーパータオル用ディスペンサー。
【００１０】
（作用効果）
本発明では、ケース本体を台座部によって支持する卓上型としたので任意の場所に持ち運び設置することができる。そのうえ、ペーパータオル束を内部に収納するケース本体が台座部に対して回動自在に支持され、ペーパータオルの取出口が臨む方向を回転軸の軸心周りに変更可能とされているとともに、前記ケース本体を任意の回転位置で台座部に対して不動に固定できるようになっているため、前記取出口を上方にも下方にも向けることができる。すなわち、取出口を水平より下方に向けた状態でケース本体を台座部に対して固定して使用すれば、使用者が下方に向ってペーパータオルを引き出す態様になるため、比較的高い位置、例えば使用者の目線よりも高い位置に設置しても使用しやすい。また、ディスペンサーを洗面台、厨房の水回りやフライヤーの近傍など水や汚れが降りかかるような場所で使用したい場合にも、取出口を下方に向けておけば、取出口から当該水や汚れがケース本体内に入り込み束を汚染することがなく、このような場所における使用にも適することになる。さらに、本発明では、ディスペンサーは、複数の二つ折りされた方形のペーパータオルを、折り返し片の縁が隣接するペーパータオルの折り返し内面に位置するようにして互い違いに重なり合うように積層した束を対象としたものであり、使用時に取出口から引き出すべきペーパータオルの一部が露出されるものである。よって、取出口を水平より下方に向けた場合、取出口から露出するペーパータオルを下方から掴むことになるため、例えば、濡れた手や汚れた手でペーパータオルを引き出すことが要求される洗面台等における使用にも適することができる。
【００１１】
他方、取出口を水平より上方に向けた状態でケース本体を台座部に対して固定して使用すれば、使用者は上方に向ってペーパータオルを引き出すことになるため、比較的設置場所を低い場所としても使用しやすいものとなる。
【００１２】
他方、特に、台座部を設置面から立設する一対の支持板部を有するものとし、その支持板部に間にケース本体を回動自在に支持すれば、特にケース本体の下方の空間を確保することができ、取出口を水平より下方に向けた場合でもペーパータオルの引出し操作がし易いものとなる。
【００１３】
さらに、ケース本体を台座部に対して不動にするための固定手段を、各支持板部をケース本体に押接させるものとすれば、簡易にケース本体を台座部に対して固定することができる。
【発明の効果】
【００１４】
以上の本発明によれば、設置箇所の自由度、使用態様の自由度が向上し、上記飲食店、惣菜店、スーパーマーケットにおける厨房や、家庭内等のスペースの限られる場所でも好適に使用できる卓上型のペーパータオル用ディスペンサーが提供される。
【図面の簡単な説明】
【００１５】
【図１】本発明に係る卓上型ペーパータオル用ディスペンサーの斜視図である。
【図２】本発明に係る卓上型ペーパータオル用ディスペンサーの正面図である。
【図３】本発明に係る卓上型ペーパータオル用ディスペンサーのケース本体内及びペーパータオル束の収納態様を示す一部断面図である。
【図４】本発明に係る卓上型ペーパータオル用ディスペンサーの側面図である。
【図５】本発明に係る卓上型ペーパータオル用ディスペンサーのケース本体の台座部への支持態様を説明する一部断面図である。
【発明を実施するための形態】
【００１６】
次いで、本発明の実施の形態を図１〜５を参照しながら以下に詳述する。
本発明にかかるディスペンサーは、ペーパータオル束１を収納するケース本体１０を台座部２０により所定高さに支持し、キッチン台、洗面台、手洗い場台、作業台、床などの任意の場所に載置して使用する据え置き型、卓上型のペーパータオル用ディスペンサーＸ１であり、特徴的に、前記ケース本体１０を台座部２０に対して回動自在に支持して、取出口１６が臨む方向を軸心周りに変更可能とし、さらにケース本体１０を任意の回転位置で台座部２０に対して不動に固定できるようにして、取出口１６の方向を変更し固定することができるようにしたものである。
【００１７】
本発明の卓上型ペーパータオル用ディスペンサーＸ１（以下、単にディスペンサーＸ１ともいう）が対象とするペーパータオル束１は、坪量２０〜６０ｇ／ｍ2程度の複数の方形のペーパータオルを実質的に二つ折りにし、各折り返し片の縁を上下に隣接するペーパータオルの折り返し内面に位置するようにして互い違いに重なり合うように積層し、積層最上部又は積層最下部の一枚を折り返し片を引っ張ると、ペーパータオルが有する紙特有の摩擦等によって、隣接するペーパータオルの折り返し片がつられて引き上げられるようにしたものである。このペーパータオル束１はインターフォルダと称される折り機によって一般的に製造され、積層に伴う若干のずれはあるものの概ね直方体形状をなす。なお、本発明においては、上記ペーパータオルが引き出されていくことになるペーパータオル束１（以下、単に束ともいう）の積層最上面或いは積層最下面の何れかの面を引出し側面１Ａと称する。
【００１８】
図示例のディスペンサーＸ１におけるケース本体１０は、正面板部１１、載置板部１２、１２、背板部１３、側板部１４、１４とで構成されており、束１の大きさよりもやや大きい直方体の内部空間１０Ａを有し、前記正面板部１１に幅方向に延在するスリット状のペーパータオルの取出口１６を形成している。前記載置板部１２，２の何れかの内面に束１の折り返し縁が並ぶ面を載置するとともに正面板部１１の内面に引出し側面１Ａを当接させるようにして束１を収納し、前記取出口１６を介してペーパータオルの一部をケース本体１０の外へと引き出す。
【００１９】
正面板部１１は、市販の一般的な束の大きさを考慮すると、幅Ｌ１が２１０〜２５０ｍｍ程度、高さ方向の長さＬ２が７０〜９０ｍｍ程度であり、スリット状の取出口１６の長さＬ３は、束１の幅よりも若干長く概ね２００〜２４０ｍｍ程度である。また、図示例では、取出口１６の各長手縁に、正面板部１１の内面から連続的に滑らかな円弧面１７Ｒ或いは曲面を介して前方（外方）に延出する延出部１７が設けられおり、円弧面１７Ｒに沿ってペーパータオルがよりスムーズに引き出されるようになっている。この延出部１７は、正面板外面から１０ｍｍ程度、延出させるのが望ましい。
【００２０】
他方、本発明のディスペンサーＸ１では、ケース本体内における束１の崩れを防止すべく、引出し側面１と反対面のペーパータオル束背面側面１Ｄを押しつつ正面板部側に移動する押え板３０を設けるのが望ましい。図示例のディスペンサーＸ１にかかる押え板３０は、束１の背面側面１Ｄとほぼおなじ大きさの直方体形状の板部３１を前記背板部１３に対してスプリング等のバネ材が内包されかつテレスコピック機構により伸縮自在とした棒状の押圧手段３２により正面板部側へ付勢されるように構成したものであり、前記板部３１と正面板部１１との間に束１を介在させることで、板部３１と正面板部１１との間で束１を挟持するようにして、ケース本体１０の回転による束１の崩れを防止している。
【００２１】
なお、図示例のケース本体１０は、概ね直六面体形状の外観をなしているが、本発明のディスペンサーＸ１は、このような外観に限定されず適宜の意匠とすることができる。但し、省スペース化の点で、上記の直六面体形状のケース本体１０とするのが望ましい。
【００２２】
他方、本発明のディスペンサーでは、適宜、ケース本体内へ束１を収納するための収納口を設ける。図示例のディスペンサーＸ１では、ケース本体１０の一方の載置板部１２を正面板部１１に対してヒンジ部１９を介してヒンジ接続して開閉自在な蓋体としており、この蓋を開放して内部に束を納めるように構成している。但し、ケース本体内へ束を収納させる具体的構造はこの例に限定されない。
【００２３】
ケース本体１０の素材については、アクリル樹脂、ユリア樹脂、ＡＢＳ樹脂、ポリプロピレン樹脂等の合成樹脂素材、ステンレス材やアルミ材等の金属素材、段ボール紙やコートボール紙等の紙素材、木材等適宜の素材を選択することができる。特に好ましくは、耐水性、成型性、剛性に優れる合成樹脂素材である。なお、ケース本体の一部又は全部に透明素材を用いてケース本体１０の一部又は全部を透明とすると、内部に収納した束の状況を外部から視認しやすくなるので、このようにするのが望ましい。
【００２４】
他方、本発明に係る台座部２０は、前記ケース本体１０を所定高さで、特に前記取出口１６を軸心周りに回動自在となるように軸支するとともに、作業台等の任意の面に載置して設置可能にするためのものである。その具体的形状は特に限定はされないが、本発明では、取出口１６が軸心周りに回動自在にケース本体１０が軸支される関係で、取出口１６が真下を向く態様となることがあることから、その場合においても取出口１６から露出するペーパータオルの一部を掴みやすくすべく、設置した状態で取出口１６を真下に向けた際にその高さが１３０〜１６０ｍｍの高さとなるようにケース本体１０を支持可能とする形状とするのが望ましい。
【００２５】
図示例の台座部２０は、下面を接地面としてそこから立設する二枚の平行に配置された支持板部２１，２１と、各支持板部２１，２１の下縁部で連結する連結部材２２とを有し、前記支持板部２１，２１の接地部から遠い端部間にケース本体１０の支持部が形成され、ケース本体１０をその下方に空間を設けつつ所定高さで支持するように構成されている。また、前記連結部材２２を二枚の支持板部２１，２１の下縁部中央部に配することで、安定的な接地を可能にし、さらに支持板部間下方に開放空間を形成して、ケース本体下部にペーパータオルを引き出すための空間を確保している。
【００２６】
ここで、台座部２０に対するケース本体１０の支持手段は、特に限定されないが、図示例では、ケース本体１０の各側板外面に外方に向って同軸に突出する一対の円筒状或いは円柱状の突起部１８，１８を設けるとともに、台座部２０の各支持板部２１，２１に前記突起部１８，１８が挿入する孔を支持部２３，２３として設け、前記各突起部１８，１８を前記各孔２３，２３に挿入する態様としている。このようにすれば、前記取出口形成面である正面板部１１が前記突起部１８，１８を回転軸としてその軸心周りに回動自在となるようにして、ケース本体１０が簡易に台座部２０に対して支持される。なお、支持部は孔に代えて上方開放のＵ字溝も例示できる。
【００２７】
他方、本発明のディスペンサーＸ１では、ケース本体１０を回動自在に構成するとともに、任意の回転位置で台座部２０に対して不動に固定し、取出口１６の位置を固定する固定手段を備える。図示例では、上述のケース本体１０の台座部２０への支持態様とするとともに、前記ケース本体１０の側板部１４，１４から突出する突起部１８，１８を筒状にし、その内周面に雌ネジ部１８ａ，１８ａを設け、前記支持板部２１，２１の前記側板部１４，１４が対面する面と反対面から雄ねじ部４０ａを有する固定部材４０を螺合させることで、各支持板部２１，２１をケース本体１０の側板部１４，１４に押当ててケース本体１０を支持板部間に挟持するようにして固定する手段を採用している。また、図示例では、好適にかかる固定手段による固定をより一層強固にすべく各支持板部２１，２１のケース本体１０の側板部１４，１４に対面する部分に滑り止め部５０を設けている。この滑り止め部５０は、スリップ効果のある薄いゴム材の貼付、粗面化処理、或いは粗面化処理材の塗布等により形成することができる、
【００２８】
また、図示例の軸支手段及び固定手段を採用するのであれば、支持板部２１，２１と側板部１４，１４との間の距離は数ｍｍ以下、好ましくは１ｍｍ以下とするのが望ましい。間隔が空きすぎると支持板部２１，２１が過度に撓み、台座部２０を破損させるおそれがある。
【００２９】
なお、本発明のディスペンサーでは、支持手段及び固定手段は図示例の構造に限定されない。その他、既知の係止機構を採用した固定手段や既知の軸支機構を採用した軸支手段が採用できる。その他の軸支手段、固定手段としては、上記突起部１８，１８の周囲に歯車を設けるとともに、支持板部２１，２１の支持部たる孔２３，２３の周囲に歯車止めを形成し、前記歯車と歯車止めによるラチェット機構を採用したものが例示できる。
【００３０】
なお、台座部２０は、ディスペンサー全体の重心を低い位置にし、設置箇所に置いた際の安定性を高めるべく、ケース本体よりも質量を重くし、特に重心がケース本体の直下、下縁部近傍にあるようにするのが望ましい。
【００３１】
また、台座部２０の素材は特に限定されないが、上記のとおり台座部２０はある程度の重量があるのが望ましいことから、金属素材等とするのが望ましい。また、図示例の固定手段を採用するのであれば、支持板部はある程度の可撓性を有するものとする。なお、台座部２０の下面には、例えば、ゴム素材、磁石などからなる適宜の滑り止め機構や固定機構を設けてもよい。
【符号の説明】
【００３２】
Ｘ１…卓上型ロールペーパータオル用ディスペンサー、１…ペーパータオル束、１Ａ…ペーパータオル束の引出し側面、１Ｂ…折り返し縁が並ぶ面、１Ｄ…ペーパータオル束の引出し側面と反対面である背面側面、１０…ケース本体、１１…正面板部、１２…載置板部、１３…背板部、１４…側板部、１６…取出口、１７…延出部、１７Ｒ…延出部の円弧面、１８…突起部、１８ａ…雌ネジ部、１９・・・ヒンジ部、２０…台座部、２１…支持板部、２２…連結部材、２３…支持部、３０…押え板、３１…連結材、３２…押圧手段、４０…固定部材、４０ａ…雄ネジ部、５０…滑り止め部、Ｌ１…正面板部の幅、Ｌ２…正面板の高さ、Ｌ３…取出口の長さ。
【技術分野】
【０００１】
本発明は、ペーパータオルを折り畳み積層した束を収納し、取出口から１枚ずつ取り出すペーパータオルディスペンサーに関し、特に卓上型のペーパータオル用ディスペンサーに関する。
【背景技術】
【０００２】
キッチンペーパー、清拭用ワイプ等の所謂ペーパータオルと称されるもののディスペンサーの多くは、束を収納する本体の背面を適宜の手段により壁に対面させて設置し、底部に設けた取出口からペーパータオルを引き出して使用する形態であるが（特許文献１〜３等）、中には据え置き型、卓上型のものも知られる（特許文献４〜６等）。
【０００３】
特許文献１〜３に示されるような本体の背面を介して壁に設置するタイプのディスペンサーは、比較的大型であり設置態様も限定されることから、設置スペースや設置場所を確保することが困難な飲食店、惣菜店、スーパーマーケットの厨房や一般家庭で使用するには不向きであり、そのような処では、引用文献４〜６に示す据え置き型・卓上型のディスペンサーが適する。
【０００４】
しかし、引用文献４〜６に示されるような従来の卓上型ディスペンサーもペーパータオルの引出し方向が固定されていことから設置の自由度や使用態様の自由度が制限されている。すなわち、引用文献４に示されるような設置面が底面にあり、取出口が上面にある卓上型ディスペンサーは、例えば、上面が使用者の目線より高くなる高所に設置して、恒常的に使用することは困難である。この形態の卓上型ディスペンサーは、必然的に取出口のある上面が使用者目線よりも低い位置に設置場所が限られる。他方、引用文献５や引用文献６に示される取出口が下方に向っている卓上型ディスペンサーは、一般的な腰より高い作業台や高所に設置した際にはペーパータオルを取出口から引き出して使用することに困難性はないが、比較的低い作業台など特に設置面が使用者の腰より低い低所とすると、ペーパータオルを引き出す操作が困難となり、かかる場所を設置場所とすることができない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【０００５】
【特許文献１】特開平０６−１４４４４８号公報
【特許文献２】特開２００６−２０４４０４号公報
【特許文献３】特開２００１−８７１６１号公報
【特許文献４】特開２００７−１５３４３９号公報
【特許文献５】実用新案登録第３１３７５８２号公報
【特許文献６】特開２０１０−７６８１１号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【０００６】
そこで、本発明の主たる課題は、上記飲食店、惣菜店、スーパーマーケットにおける厨房や、家庭内等のスペースの限られる場所でも好適に使用できる卓上型のペーパータオル用ディスペンサーにおける、設置場所の自由度、使用態様の自由度を高めることにある。
【課題を解決するための手段】
【０００７】
上記課題を解決した本発明は次記のとおりである。
＜請求項１記載の発明＞
複数の二つ折りされた方形のペーパータオルを、折り返し片の縁が隣接するペーパータオルの折り返し内面に位置するようにして互い違いに重なり合うように積層した、略直六面体形状のペーパータオル束を取出口から１枚ずつ取りだすペーパータオル用ディスペンサーであって、
前記ペーパータオル束を内部に収納するケース本体と、前記ケース本体を卓上型とする台座部と、前記ケース本体を台座部に対して回動自在に支持し、前記取出口が臨む方向を回転軸周りに変更可能とする軸支手段と、前記ケース本体を任意の回転位置で台座部に対して固定する固定手段とを備える、
ことを特徴とする卓上型ペーパータオル用ディスペンサー。
【０００８】
＜請求項２記載の発明＞
前記台座部が接地面から立設する一対の支持板部を有し、その支持板部に間にケース本体が支持されている請求項１記載の卓上型ペーパータオル用ディスペンサー。
【０００９】
＜請求項３記載の発明＞
固定手段が、各支持板部をケース本体に押接させて、ケース本体を台座部に対して固定するものである請求項２記載の卓上型ペーパータオル用ディスペンサー。
【００１０】
（作用効果）
本発明では、ケース本体を台座部によって支持する卓上型としたので任意の場所に持ち運び設置することができる。そのうえ、ペーパータオル束を内部に収納するケース本体が台座部に対して回動自在に支持され、ペーパータオルの取出口が臨む方向を回転軸の軸心周りに変更可能とされているとともに、前記ケース本体を任意の回転位置で台座部に対して不動に固定できるようになっているため、前記取出口を上方にも下方にも向けることができる。すなわち、取出口を水平より下方に向けた状態でケース本体を台座部に対して固定して使用すれば、使用者が下方に向ってペーパータオルを引き出す態様になるため、比較的高い位置、例えば使用者の目線よりも高い位置に設置しても使用しやすい。また、ディスペンサーを洗面台、厨房の水回りやフライヤーの近傍など水や汚れが降りかかるような場所で使用したい場合にも、取出口を下方に向けておけば、取出口から当該水や汚れがケース本体内に入り込み束を汚染することがなく、このような場所における使用にも適することになる。さらに、本発明では、ディスペンサーは、複数の二つ折りされた方形のペーパータオルを、折り返し片の縁が隣接するペーパータオルの折り返し内面に位置するようにして互い違いに重なり合うように積層した束を対象としたものであり、使用時に取出口から引き出すべきペーパータオルの一部が露出されるものである。よって、取出口を水平より下方に向けた場合、取出口から露出するペーパータオルを下方から掴むことになるため、例えば、濡れた手や汚れた手でペーパータオルを引き出すことが要求される洗面台等における使用にも適することができる。
【００１１】
他方、取出口を水平より上方に向けた状態でケース本体を台座部に対して固定して使用すれば、使用者は上方に向ってペーパータオルを引き出すことになるため、比較的設置場所を低い場所としても使用しやすいものとなる。
【００１２】
他方、特に、台座部を設置面から立設する一対の支持板部を有するものとし、その支持板部に間にケース本体を回動自在に支持すれば、特にケース本体の下方の空間を確保することができ、取出口を水平より下方に向けた場合でもペーパータオルの引出し操作がし易いものとなる。
【００１３】
さらに、ケース本体を台座部に対して不動にするための固定手段を、各支持板部をケース本体に押接させるものとすれば、簡易にケース本体を台座部に対して固定することができる。
【発明の効果】
【００１４】
以上の本発明によれば、設置箇所の自由度、使用態様の自由度が向上し、上記飲食店、惣菜店、スーパーマーケットにおける厨房や、家庭内等のスペースの限られる場所でも好適に使用できる卓上型のペーパータオル用ディスペンサーが提供される。
【図面の簡単な説明】
【００１５】
【図１】本発明に係る卓上型ペーパータオル用ディスペンサーの斜視図である。
【図２】本発明に係る卓上型ペーパータオル用ディスペンサーの正面図である。
【図３】本発明に係る卓上型ペーパータオル用ディスペンサーのケース本体内及びペーパータオル束の収納態様を示す一部断面図である。
【図４】本発明に係る卓上型ペーパータオル用ディスペンサーの側面図である。
【図５】本発明に係る卓上型ペーパータオル用ディスペンサーのケース本体の台座部への支持態様を説明する一部断面図である。
【発明を実施するための形態】
【００１６】
次いで、本発明の実施の形態を図１〜５を参照しながら以下に詳述する。
本発明にかかるディスペンサーは、ペーパータオル束１を収納するケース本体１０を台座部２０により所定高さに支持し、キッチン台、洗面台、手洗い場台、作業台、床などの任意の場所に載置して使用する据え置き型、卓上型のペーパータオル用ディスペンサーＸ１であり、特徴的に、前記ケース本体１０を台座部２０に対して回動自在に支持して、取出口１６が臨む方向を軸心周りに変更可能とし、さらにケース本体１０を任意の回転位置で台座部２０に対して不動に固定できるようにして、取出口１６の方向を変更し固定することができるようにしたものである。
【００１７】
本発明の卓上型ペーパータオル用ディスペンサーＸ１（以下、単にディスペンサーＸ１ともいう）が対象とするペーパータオル束１は、坪量２０〜６０ｇ／ｍ2程度の複数の方形のペーパータオルを実質的に二つ折りにし、各折り返し片の縁を上下に隣接するペーパータオルの折り返し内面に位置するようにして互い違いに重なり合うように積層し、積層最上部又は積層最下部の一枚を折り返し片を引っ張ると、ペーパータオルが有する紙特有の摩擦等によって、隣接するペーパータオルの折り返し片がつられて引き上げられるようにしたものである。このペーパータオル束１はインターフォルダと称される折り機によって一般的に製造され、積層に伴う若干のずれはあるものの概ね直方体形状をなす。なお、本発明においては、上記ペーパータオルが引き出されていくことになるペーパータオル束１（以下、単に束ともいう）の積層最上面或いは積層最下面の何れかの面を引出し側面１Ａと称する。
【００１８】
図示例のディスペンサーＸ１におけるケース本体１０は、正面板部１１、載置板部１２、１２、背板部１３、側板部１４、１４とで構成されており、束１の大きさよりもやや大きい直方体の内部空間１０Ａを有し、前記正面板部１１に幅方向に延在するスリット状のペーパータオルの取出口１６を形成している。前記載置板部１２，２の何れかの内面に束１の折り返し縁が並ぶ面を載置するとともに正面板部１１の内面に引出し側面１Ａを当接させるようにして束１を収納し、前記取出口１６を介してペーパータオルの一部をケース本体１０の外へと引き出す。
【００１９】
正面板部１１は、市販の一般的な束の大きさを考慮すると、幅Ｌ１が２１０〜２５０ｍｍ程度、高さ方向の長さＬ２が７０〜９０ｍｍ程度であり、スリット状の取出口１６の長さＬ３は、束１の幅よりも若干長く概ね２００〜２４０ｍｍ程度である。また、図示例では、取出口１６の各長手縁に、正面板部１１の内面から連続的に滑らかな円弧面１７Ｒ或いは曲面を介して前方（外方）に延出する延出部１７が設けられおり、円弧面１７Ｒに沿ってペーパータオルがよりスムーズに引き出されるようになっている。この延出部１７は、正面板外面から１０ｍｍ程度、延出させるのが望ましい。
【００２０】
他方、本発明のディスペンサーＸ１では、ケース本体内における束１の崩れを防止すべく、引出し側面１と反対面のペーパータオル束背面側面１Ｄを押しつつ正面板部側に移動する押え板３０を設けるのが望ましい。図示例のディスペンサーＸ１にかかる押え板３０は、束１の背面側面１Ｄとほぼおなじ大きさの直方体形状の板部３１を前記背板部１３に対してスプリング等のバネ材が内包されかつテレスコピック機構により伸縮自在とした棒状の押圧手段３２により正面板部側へ付勢されるように構成したものであり、前記板部３１と正面板部１１との間に束１を介在させることで、板部３１と正面板部１１との間で束１を挟持するようにして、ケース本体１０の回転による束１の崩れを防止している。
【００２１】
なお、図示例のケース本体１０は、概ね直六面体形状の外観をなしているが、本発明のディスペンサーＸ１は、このような外観に限定されず適宜の意匠とすることができる。但し、省スペース化の点で、上記の直六面体形状のケース本体１０とするのが望ましい。
【００２２】
他方、本発明のディスペンサーでは、適宜、ケース本体内へ束１を収納するための収納口を設ける。図示例のディスペンサーＸ１では、ケース本体１０の一方の載置板部１２を正面板部１１に対してヒンジ部１９を介してヒンジ接続して開閉自在な蓋体としており、この蓋を開放して内部に束を納めるように構成している。但し、ケース本体内へ束を収納させる具体的構造はこの例に限定されない。
【００２３】
ケース本体１０の素材については、アクリル樹脂、ユリア樹脂、ＡＢＳ樹脂、ポリプロピレン樹脂等の合成樹脂素材、ステンレス材やアルミ材等の金属素材、段ボール紙やコートボール紙等の紙素材、木材等適宜の素材を選択することができる。特に好ましくは、耐水性、成型性、剛性に優れる合成樹脂素材である。なお、ケース本体の一部又は全部に透明素材を用いてケース本体１０の一部又は全部を透明とすると、内部に収納した束の状況を外部から視認しやすくなるので、このようにするのが望ましい。
【００２４】
他方、本発明に係る台座部２０は、前記ケース本体１０を所定高さで、特に前記取出口１６を軸心周りに回動自在となるように軸支するとともに、作業台等の任意の面に載置して設置可能にするためのものである。その具体的形状は特に限定はされないが、本発明では、取出口１６が軸心周りに回動自在にケース本体１０が軸支される関係で、取出口１６が真下を向く態様となることがあることから、その場合においても取出口１６から露出するペーパータオルの一部を掴みやすくすべく、設置した状態で取出口１６を真下に向けた際にその高さが１３０〜１６０ｍｍの高さとなるようにケース本体１０を支持可能とする形状とするのが望ましい。
【００２５】
図示例の台座部２０は、下面を接地面としてそこから立設する二枚の平行に配置された支持板部２１，２１と、各支持板部２１，２１の下縁部で連結する連結部材２２とを有し、前記支持板部２１，２１の接地部から遠い端部間にケース本体１０の支持部が形成され、ケース本体１０をその下方に空間を設けつつ所定高さで支持するように構成されている。また、前記連結部材２２を二枚の支持板部２１，２１の下縁部中央部に配することで、安定的な接地を可能にし、さらに支持板部間下方に開放空間を形成して、ケース本体下部にペーパータオルを引き出すための空間を確保している。
【００２６】
ここで、台座部２０に対するケース本体１０の支持手段は、特に限定されないが、図示例では、ケース本体１０の各側板外面に外方に向って同軸に突出する一対の円筒状或いは円柱状の突起部１８，１８を設けるとともに、台座部２０の各支持板部２１，２１に前記突起部１８，１８が挿入する孔を支持部２３，２３として設け、前記各突起部１８，１８を前記各孔２３，２３に挿入する態様としている。このようにすれば、前記取出口形成面である正面板部１１が前記突起部１８，１８を回転軸としてその軸心周りに回動自在となるようにして、ケース本体１０が簡易に台座部２０に対して支持される。なお、支持部は孔に代えて上方開放のＵ字溝も例示できる。
【００２７】
他方、本発明のディスペンサーＸ１では、ケース本体１０を回動自在に構成するとともに、任意の回転位置で台座部２０に対して不動に固定し、取出口１６の位置を固定する固定手段を備える。図示例では、上述のケース本体１０の台座部２０への支持態様とするとともに、前記ケース本体１０の側板部１４，１４から突出する突起部１８，１８を筒状にし、その内周面に雌ネジ部１８ａ，１８ａを設け、前記支持板部２１，２１の前記側板部１４，１４が対面する面と反対面から雄ねじ部４０ａを有する固定部材４０を螺合させることで、各支持板部２１，２１をケース本体１０の側板部１４，１４に押当ててケース本体１０を支持板部間に挟持するようにして固定する手段を採用している。また、図示例では、好適にかかる固定手段による固定をより一層強固にすべく各支持板部２１，２１のケース本体１０の側板部１４，１４に対面する部分に滑り止め部５０を設けている。この滑り止め部５０は、スリップ効果のある薄いゴム材の貼付、粗面化処理、或いは粗面化処理材の塗布等により形成することができる、
【００２８】
また、図示例の軸支手段及び固定手段を採用するのであれば、支持板部２１，２１と側板部１４，１４との間の距離は数ｍｍ以下、好ましくは１ｍｍ以下とするのが望ましい。間隔が空きすぎると支持板部２１，２１が過度に撓み、台座部２０を破損させるおそれがある。
【００２９】
なお、本発明のディスペンサーでは、支持手段及び固定手段は図示例の構造に限定されない。その他、既知の係止機構を採用した固定手段や既知の軸支機構を採用した軸支手段が採用できる。その他の軸支手段、固定手段としては、上記突起部１８，１８の周囲に歯車を設けるとともに、支持板部２１，２１の支持部たる孔２３，２３の周囲に歯車止めを形成し、前記歯車と歯車止めによるラチェット機構を採用したものが例示できる。
【００３０】
なお、台座部２０は、ディスペンサー全体の重心を低い位置にし、設置箇所に置いた際の安定性を高めるべく、ケース本体よりも質量を重くし、特に重心がケース本体の直下、下縁部近傍にあるようにするのが望ましい。
【００３１】
また、台座部２０の素材は特に限定されないが、上記のとおり台座部２０はある程度の重量があるのが望ましいことから、金属素材等とするのが望ましい。また、図示例の固定手段を採用するのであれば、支持板部はある程度の可撓性を有するものとする。なお、台座部２０の下面には、例えば、ゴム素材、磁石などからなる適宜の滑り止め機構や固定機構を設けてもよい。
【符号の説明】
【００３２】
Ｘ１…卓上型ロールペーパータオル用ディスペンサー、１…ペーパータオル束、１Ａ…ペーパータオル束の引出し側面、１Ｂ…折り返し縁が並ぶ面、１Ｄ…ペーパータオル束の引出し側面と反対面である背面側面、１０…ケース本体、１１…正面板部、１２…載置板部、１３…背板部、１４…側板部、１６…取出口、１７…延出部、１７Ｒ…延出部の円弧面、１８…突起部、１８ａ…雌ネジ部、１９・・・ヒンジ部、２０…台座部、２１…支持板部、２２…連結部材、２３…支持部、３０…押え板、３１…連結材、３２…押圧手段、４０…固定部材、４０ａ…雄ネジ部、５０…滑り止め部、Ｌ１…正面板部の幅、Ｌ２…正面板の高さ、Ｌ３…取出口の長さ。
【特許請求の範囲】
【請求項１】
複数の二つ折りされた方形のペーパータオルを、折り返し片の縁が隣接するペーパータオルの折り返し内面に位置するようにして互い違いに重なり合うように積層した、略直六面体形状のペーパータオル束を取出口から１枚ずつ取りだすペーパータオル用ディスペンサーであって、
前記ペーパータオル束を内部に収納するケース本体と、前記ケース本体を卓上型とする台座部と、前記ケース本体を台座部に対して回動自在に支持し、前記取出口が臨む方向を回転軸周りに変更可能とする軸支手段と、前記ケース本体を任意の回転位置で台座部に対して固定する固定手段とを備える、
ことを特徴とする卓上型ペーパータオル用ディスペンサー。
【請求項２】
前記台座部が接地面から立設する一対の支持板部を有し、その支持板部に間にケース本体が支持されている請求項１記載の卓上型ペーパータオル用ディスペンサー。
【請求項３】
固定手段が、各支持板部をケース本体に押接させて、ケース本体を台座部に対して固定するものである請求項２記載の卓上型ペーパータオル用ディスペンサー。
【請求項１】
複数の二つ折りされた方形のペーパータオルを、折り返し片の縁が隣接するペーパータオルの折り返し内面に位置するようにして互い違いに重なり合うように積層した、略直六面体形状のペーパータオル束を取出口から１枚ずつ取りだすペーパータオル用ディスペンサーであって、
前記ペーパータオル束を内部に収納するケース本体と、前記ケース本体を卓上型とする台座部と、前記ケース本体を台座部に対して回動自在に支持し、前記取出口が臨む方向を回転軸周りに変更可能とする軸支手段と、前記ケース本体を任意の回転位置で台座部に対して固定する固定手段とを備える、
ことを特徴とする卓上型ペーパータオル用ディスペンサー。
【請求項２】
前記台座部が接地面から立設する一対の支持板部を有し、その支持板部に間にケース本体が支持されている請求項１記載の卓上型ペーパータオル用ディスペンサー。
【請求項３】
固定手段が、各支持板部をケース本体に押接させて、ケース本体を台座部に対して固定するものである請求項２記載の卓上型ペーパータオル用ディスペンサー。
【図１】
【図２】
【図３】
【図４】
【図５】
【図２】
【図３】
【図４】
【図５】
【公開番号】特開２０１３−２７６０２（Ｐ２０１３−２７６０２Ａ）
【公開日】平成２５年２月７日（２０１３．２．７）
【国際特許分類】
【出願番号】特願２０１１−１６６６５５（Ｐ２０１１−１６６６５５）
【出願日】平成２３年７月２９日（２０１１．７．２９）
【出願人】（３９００２９１４８）大王製紙株式会社 (2,041)
【Ｆターム（参考）】
【公開日】平成２５年２月７日（２０１３．２．７）
【国際特許分類】
【出願日】平成２３年７月２９日（２０１１．７．２９）
【出願人】（３９００２９１４８）大王製紙株式会社 (2,041)
【Ｆターム（参考）】
[ Back to top ]