説明

南瓜スープの素の製造方法

【課題】南瓜を丸ごと使用し、そしてこれによって通常は捨て去る部分に多量に含まれている栄養分をも含めて最大限に有効活用し、また完熟した南瓜であれば100%材料として利用することができるようにして、南瓜生産農家の収益の向上に資することができるようになした南瓜スープの素を製造する方法を提供する。
【解決手段】先ず、皮、身、わた、種子を含む南瓜全体を生のまま微酸性水で洗浄して殺菌する。次に、5mm角程度の所要の大きさに裁断する。次に、裁断した材料を70〜80℃前後の所要の温度において短時間で乾燥させると共に、乾燥中において水分40〜15%となったときに加熱水蒸気で加熱殺菌する。最後に、乾燥させた材料を微粉砕する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、皮、身、わた、種子を含む南瓜を丸ごと加工して南瓜の栄養分を最大限に有効活用する南瓜スープの素を製造するための方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
南瓜は、ウリ科に属する植物で、栄養価が高いことに加えて消化吸収が良いことから、胃腸が弱い人や衰弱した人の滋養食品としてもその効能の優秀性が知られている。
【0003】
また、昔から糖尿病には南瓜を食べると良いと言われているが、南瓜にはタンパク質やミネラル、カルシウム、植物繊維などが豊富に含まれており、これらが血糖値を下げ、膵臓からのインシュリンの分泌を高める効果があることが医学的にも証明されており、糖尿病のための食事に相当有効であることが分かっている。またその他にも、澱粉質や糖質の他、ビタミン類を豊富に含み、また南瓜のカロチンは、体内に入るとビタミンAになり、このビタミンAは粘膜や皮膚の抵抗力を高め、風邪などを予防し、またビタミンB1、B2、C等も多量に含まれており、健康にとって大変良い食品であると言われている。
【0004】
そしてまた、近年糖尿病患者の増加にあわせて糖尿病患者の若年化が目立ってきており、これを防ぐためにも幼少時から南瓜をなるべく多く食べさせることが望ましく、そしてこのためには、食べ易い形態にして而も少ない量で多量の栄養分を摂取することができるように工夫する必要がある。
【0005】
ところで、南瓜の生産についてみると、生産者は、形、色、大きさ等で生産量の約70%程度しか収益が上がらず、残り30%は家畜の餌などに回され、大変な苦労の割りには経営的に採算が合わず、南瓜の生産農家は年々減少傾向にある。これらのことから、完熟した南瓜であれば形等にこだわらず100%材料として利用可能とすることができることになれば、収益が向上し、農家の生産意欲を高めることができることになる。よってこの点の要望が高まってきている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は上記の点に鑑みなされたものであって、南瓜を丸ごと、即ち、その身だけでなく、通常は取って捨ててしまう皮や身、わた、種子までも全て材料として使用し、そしてこれによって通常は捨て去る部分に多量に含まれている栄養分をも含めて最大限に有効活用し、また完熟した南瓜であれば100%材料として利用することができるようにして、南瓜生産農家の収益の向上に資することができるようになした南瓜スープの素を製造する方法を提供せんとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
而して、本発明の要旨とするところは、皮、身、わた、種子を含む南瓜全体を生のまま微酸性水で洗浄して殺菌する第1工程と、洗浄して殺菌した後5mm角程度の所要の大きさに裁断する第2工程と、裁断した材料を70〜80℃前後の所要の温度において短時間で乾燥させると共に、乾燥中において水分40〜15%となったときに加熱水蒸気で加熱殺菌する第3工程と、乾燥させた材料を微粉砕する第4工程とからなることを特徴とする南瓜スープの素の製造方法にある。
【0008】
また、上記製造方法における微酸性水としては、2〜6%の希塩酸を電気分解して生成される微酸性次亜鉛素酸水を用いることが望ましい。尚、本製造方法において微酸性水を用いて洗浄を行うのは、加熱を高くすると栄養分の変化、滅失等になることから、加熱をできるだけ控えて殺菌処理を行うためである。
【0009】
また、更に乾燥工程において、空気触媒や光触媒による菌の解体を行うようにすれば、食品衛生上より一層好ましいものである。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、南瓜を丸ごと、即ち、その身だけでなく、通常は取って捨ててしまう皮や身、わた、種子までも全て材料として使用し、そしてこれによって通常は捨て去る部分に多量に含まれている栄養分をも含めて最大限に有効活用し、また完熟した南瓜であれば100%材料として利用することができるようにして、南瓜生産農家の収益の向上に資することができるようになした南瓜スープの素を製造することができるものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
本発明を実施するための最良の形態は、皮、身、わた、種子を含む南瓜全体を生のまま微酸性水で洗浄して殺菌する工程と、洗浄して殺菌した後5mm角程度の所要の大きさに裁断する工程と、裁断した材料を70〜80℃前後の所要の温度において短時間で乾燥させると共に、乾燥中において水分40〜15%となったときに加熱水蒸気で加熱殺菌する工程と、乾燥させた材料を微粉砕する工程とからなるものである。
【実施例】
【0012】
以下、本発明の実施例について説明する。
本発明は、先ず第1工程として、皮、身、わた、種子を含む南瓜全体を生のまま微酸性水で洗浄して殺菌する。尚、該微酸性水としては、2〜6%の希塩酸を電気分解して生成される微酸性次亜鉛素酸水を用いる。
【0013】
次に、第2工程として、洗浄して殺菌した後5mm角程度の所要の大きさに裁断する。尚、この裁断にはサイレントカッターを使用して行う。
【0014】
次に、第3工程として、裁断した材料を70〜80℃前後の所要の温度において短時間で乾燥させると共に、乾燥中において水分40〜15%となったときに加熱水蒸気で加熱殺菌する。また、該乾燥工程において、空気触媒又は光触媒による菌の解体を行うようにしてもよい。
【0015】
最後に、第4工程として、乾燥させた材料を粉砕機にて250ミクロン程度になるように微粉砕する。これにより南瓜スープの素が出来上がる。そして、その後これを計量して包装するものである。
【0016】
そして、以上の工程によって製造された南瓜スープの素は、特に小学校・中学校等の学校給食においてスープとして飲食すれば、体力の増進に効果的であるばかりでなく、糖尿病の予防にも役立つものである。また、本発明によって製造した南瓜スープの素は、即溶性に優れており、短時間でスープになる。そしてスープとして飲食することで飲み易くなり、多少の偏食のある子供でもあまり嫌がらずに飲むようになるものである。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
皮、身、わた、種子を含む南瓜全体を生のまま微酸性水で洗浄して殺菌する第1工程と、洗浄して殺菌した後5mm角程度の所要の大きさに裁断する第2工程と、裁断した材料を70〜80℃前後の所要の温度において短時間で乾燥させると共に、乾燥中において水分40〜15%となったときに加熱水蒸気で加熱殺菌する第3工程と、乾燥させた材料を微粉砕する第4工程とからなることを特徴とする南瓜スープの素の製造方法。
【請求項2】
微酸性水が、2〜6%の希塩酸を電気分解して生成される微酸性次亜鉛素酸水である請求項1記載の南瓜スープの素の製造方法。
【請求項3】
乾燥工程において、空気触媒又は光触媒による菌の解体を行うようになした請求項1又は2記載の南瓜スープの素の製造方法。


【公開番号】特開2007−228902(P2007−228902A)
【公開日】平成19年9月13日(2007.9.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−55776(P2006−55776)
【出願日】平成18年3月2日(2006.3.2)
【出願人】(506073731)
【Fターム(参考)】