説明

単一のベースバンド無線周波数リソースチェーンを利用する、複数の加入を持つ移動体通信デバイス

複数の加入を持つ移動体通信デバイスは、第1の識別モジュール(第1のSIM)と、第2の識別モジュール(第2のSIM)と、制御装置とに通信可能に結合されている単一のBB−RFリソースチェーンを備える。第1の識別モジュールと第2の識別モジュールは、第1の加入と第2の加入にそれぞれ関係付けられている。制御装置は、第1の加入に対応する第1のアクティビティを、または、第2の加入に対応する第2のアクティビティを実行するために、単一のBB−RFリソースチェーンへのアクセスを調停するように構成されていてもよい。例えば、制御装置は、単一のBB−RFリソースチェーンによって音声通話が処理されるべきであることを示す情報を受信したことに応答して、単一のBB−RFリソースチェーンによって処理されているデータセッションを中断してもよい。

【発明の詳細な説明】
【優先権の主張】
【0001】
本出願は、2010年3月5日に出願され、その内容がすべて、参照によりここに明示的に組み込まれている、米国特許出願第61/311,090号に対する優先権を主張する。
【分野】
【0002】
本開示は、一般的に、単一のベースバンド無線周波数(BB−RF)リソースチェーンを利用する、複数の加入を持つデバイスに関する。
【関連技術の説明】
【0003】
技術の進歩は、より小型で、より強力なコンピューティングデバイスを結果として生じさせている。例えば、現在、小型で、軽量、かつ、ユーザによって持ち運びが容易なページングデバイスと、ポータブルワイヤレス電話機と、パーソナルデジタルアシスタント(PDA)とのような、ワイヤレスコンピューティングデバイスを含む、さまざまなポータブルパーソナルコンピューティングデバイスが存在する。さらに詳細には、セルラ電話機およびインターネットプロトコル(IP)電話機のような、ポータブルワイヤレス電話機が、ワイヤレスネットワークを通して、音声およびデータパケットを通信できる。さらに、多くのこのようなワイヤレス電話機は、その中に組み込まれる他のタイプのデバイスを備える。例えば、ワイヤレス電話機は、デジタルスチルカメラと、デジタルビデオカメラと、デジタルレコーダと、オーディオファイルプレーヤーも備えることができる。また、このようなワイヤレス電話機は、インターネットにアクセスするのに使用できるウェブブラウザアプリケーションのような、ソフトウェアアプリケーションを含む、実行可能な命令を処理できる。そうであるので、これらのワイヤレス電話機は、著しい計算能力を含むことができる。
【0004】
移動体通信デバイスにより、(同じまたは異なるネットワークに関係付けられていてもよい)複数の加入を、ユーザが利用することが可能になる。例示のために、デュアルSIMデュアルスタンバイ(DSDS)デバイスの第1の加入者識別モジュール(SIM)は、第1の加入に関係付けられていてもよく、第2のSIMは、第2の加入に関係付けられていてもよい。単一のベースバンド無線周波数(BB−RF)リソースチェーンを使用するDSDSデバイスは、異なる加入上での同時サービスをサポートできないことがある。例えば、1つの加入上での通話の間に、他の加入は、使用できないかもしれず、結果として、潜在的に欠落した通話を生じさせる。別の例として、1つの加入上での他のモデム手順(例えば、再選択、登録等のような、移動性手順)は、結果として、他の加入上での一時的なサービス損失を生じさせるかもしれない。2つの別々の専用BB−RFリソースチェーンを、2つの加入に対して使用することにより、DSDSデバイスは、デュアル加入並行処理をサポートできるが、これは、より多くの部品表(BOM)と、より大きなプリント基板(PCB)領域とにつながることがある。
【概要】
【0005】
優先度の高い加入またはアクティビティに対する性能の影響を管理するために、制御装置を使用して、複数の加入を含む移動体通信デバイスの単一のBB−RFリソースチェーンへのアクセスを調停してもよい。さらに、モデムの受信ダイバーシティ能力は、複数の加入に関連する通信データ(例えば、音声通話データまたはパケット交換されたIPデータ)を並行して受信する能力を提供してもよい。
【0006】
特定の実施形態では、移動体通信デバイスは、単一のベースバンド無線周波数(BB−RF)リソースチェーンを備える。第1の識別モジュール(例えば、第1のSIM)と、第2の識別モジュール(例えば、第2のSIM)と、制御装置とは、単一のBB−RFリソースチェーンに通信可能に結合されている。第1の識別モジュールは、第1の加入に関係付けられており、第2の識別モジュールは、第2の加入に関係付けられている。制御装置は、第1の加入に対応する第1のアクティビティを、または、第2の加入に対応する第2のアクティビティを実行するために、単一のBB−RFリソースチェーンへのアクセスを調停するように構成されていてもよい。制御装置は、単一のBB−RFリソースチェーンによって音声通話が処理されるべきであることを示す情報を受信したことに応答して、単一のBB−RFリソースチェーンによって処理されているデータセッションを中断してもよい。
【0007】
複数の加入を持つ移動体通信デバイスは、受信ダイバーシティをサポートするモデムを備える。特定の実施形態では、方法は、モデムの1次信号入力において、第1の通信データを受信することを含む。第1の通信データは、第1の加入に関連しており、1次無線周波数(RF)処理パスを介して、モデムの1次信号入力にルーティングされる。方法はまた、モデムの2次信号入力において、第2の加入に関連する第2の通信データを受信することを含む。第2の通信データは、2次RF処理パスを介して、2次信号入力にルーティングされる。方法は、モデムにおいて、第1の加入に関連する第1の通信データを処理し、第2の加入に関連する第2の通信データを処理することを含む。
【0008】
別の特定の実施形態では、装置は、第1の加入に関係付けられている第1の識別モジュール(例えば、第1のSIM)を受け取る手段と、第2の加入に関係付けられている第2の識別モジュール(例えば、第2のSIM)を受け取る手段とを具備する。装置はまた、第1の加入に対応する第1のアクティビティを、または、第2の加入に対応する第2のアクティビティを実行するために、単一のBB−RFリソースチェーンへのアクセスを調停する手段を具備する。単一のBB−RFリソースチェーンによって音声通話が処理されるべきであることを示す情報を受信したことに応答して、単一のBB−RFリソースチェーンによって処理されているデータセッションが中断されてもよい。
【0009】
開示する実施形態のうちの少なくとも1つによって提供される1つの特定の利点は、単一のBB−RFリソースチェーンを利用するマルチ加入デバイスの性能を改善できることである。例えば、優先度の高い加入またはアクティビティに対する性能の影響は、単一のBB−RFリソースチェーンへのアクセスを調停することにより、管理されてもよい。別の例として、受信ダイバーシティは、複数の加入に関連する通信データを並行して受信する能力を提供してもよい。
【0010】
以下の、図面の簡単な説明、詳細な説明、および、特許請求の範囲のセクションを含む明細書全体をレビューした後に、本開示の他の態様、利点、および、特徴が、明らかとなろう。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】図1は、複数の加入を持つ移動体通信デバイスの単一のBB−RFリソースチェーンへのアクセスを調停するシステムの特定の例示的な実施形態のダイヤグラムである。
【図2】図2は、受信ダイバーシティをサポートするモデムを利用して、複数の加入に関連する通信データを処理するシステムの特定の例示的な実施形態のダイヤグラムである。
【図3】図3は、受信ダイバーシティをサポートするモデムを利用して、複数の加入に関連する通信データを処理することを図示したチャートである。
【図4】図4は、受信ダイバーシティをサポートするモデムを利用して、複数の加入に関連する通信データを処理する方法の第1の例示的な実施形態のフローチャートである。
【図5】図5は、受信ダイバーシティをサポートするモデムを利用して、複数の加入に関連する通信データを処理する方法の第2の例示的な実施形態のフローチャートである。
【図6】図6は、受信ダイバーシティをサポートするモデムを利用して、複数の加入に関連する通信データを処理する方法の第3の例示的な実施形態のフローチャートである。
【図7】図7は、単一のBB−RFリソースチェーンへのアクセスを共有する複数の加入を持つ移動体通信デバイスのブロックダイヤグラムである。
【詳細な説明】
【0012】
本開示は、優先度の高い加入またはアクティビティに関する性能の影響を管理するために、マルチ加入移動体通信デバイスの単一のBB−RFリソースチェーンへのアクセスの調停を説明する。本開示はまた、別々の専用BB−RFリソースチェーンがなくとも、複数の加入に関連する通信データ(例えば、音声通話データまたはパケット交換されたIPデータ)を並行して受信する能力を提供する、モデムの受信ダイバーシティ能力の使用を説明する。
【0013】
図1を参照すると、複数の加入を含む移動体通信デバイスの単一のBB−RFリソースチェーン104へのアクセスを調停するシステムの特定の実施形態が図示されており、概して100と示されている。システム100は、複数の加入を持つ移動体通信デバイス102(例えば、移動体電話機)を含む。例えば、各加入は、加入識別モジュール(SIM)、コード分割多元接続(CDMA)リムーバブルユーザ識別モジュール(CDMA R−UIM)、または、他のタイプのR−UIMのような、それ自体の識別モジュールに関係付けられていてもよい。代替的に、各加入は、共通の識別モジュール(例えば、共通のSIM)に関係付けられていてもよい。図1において図示されている実施形態では、デバイス102は、単一のBB−RFリソースチェーン104の1つ以上のリソースへのアクセスを共有する複数のSIMを受け取ることができる。図1において図示されている実施形態では、移動体通信デバイス102は、デュアルSIMデュアルスタンバイ(DSDS)デバイスであり、DSDSデバイスは、第1の加入に関係付けられている第1のSIM108を受け取るための第1のSIMインターフェース106と、第2の加入に関係付けられている第2のSIM112を受け取るための第2のSIMインターフェース110とを含む。例えば、SIM108、112は、それぞれのSIMインターフェース106、110に差し込まれてもよく、または、そうでなければ、接続されてもよい。第1のSIM108および第2のSIM112は、(例えば、SIMインターフェース106、110と、単一のBB−RFリソースチェーン104との間の電気的な接続を介して、)単一のBB−RFリソースチェーン104に通信可能に結合されてもよい。例示のために、第1のSIMインターフェース106と、単一のBB−RFリソースチェーン104との間の第1の電気的な接続は、第1のSIM106が第1のSIMインターフェース106に接続されているときに、第1のSIM108と、単一のBB−RFリソースチェーン104との間に通信パスを提供してもよい。別の例として、第2のSIMインターフェース110と、単一のBB−RFリソースチェーン104との間の第2の電気的な接続は、第2のSIM112が第2のSIMインターフェース110に接続されているときに、第2のSIM112と、単一のBB−RFリソースチェーン104との間に通信パスを提供してもよい。
【0014】
移動体通信デバイス102はまた、単一のBB−RFリソースチェーン104に通信可能に結合されている制御装置114を備えている。制御装置114は、第1の加入に対応する第1のアクティビティを、または、第2の加入に対応する第2のアクティビティを実行するために、単一のBB−RFリソースチェーン104へのアクセスを調停するように構成されている。図1において図示されている実施形態では、移動体通信デバイス102の単一のBB−RFリソースチェーン104は、1つ以上のRFリソース115と、モデム116と、BBプロセッサ117とを備えている。単一のBB−RFリソースチェーン104は、モデム116の1つ以上の信号入力120に関係付けられている1つ以上のアンテナ118に通信可能に結合されている。図1では、BBプロセッサ117とは別のものとしてモデム116が図示されているが、代替的な実施形態では、モデム116およびBBプロセッサ104は、合わせてパッケージ化されていてもよい。第1のネットワーク122は、第1の加入に関係付けられていてもよく、第2のネットワーク124は、第2の加入に関係付けられていてもよい。例えば、第1の加入は、第1のネットワーク122により提供されるデータサービスに関係付けられていてもよく、第2の加入は、第2のネットワーク124により提供される音声サービスに関係付けられていてもよい。
【0015】
1つの加入またはアクティビティは、別の加入またはアクティビティより優先度が高いと考えられてもよい。例えば、移動体発(MO)の音声通話または移動体着(MT)の音声通話は、別の加入上の進行中のデータセッション(例えば、低データレートアプリケーションに関係付けられているデータセッション)よりも優先度の高いアクティビティだと考えられてもよい。低データレートの“バーストする”アプリケーション(例えば、プッシュeメール、インスタントメッセージング等)は、(いくつかのシナリオでは、時間の30〜50%と同じだけ)拡張された時間の期間の間、移動体通信デバイス102が、データ加入に対して接続状態にあることをもたらすかもしれない。より優先度の高い加入またはアクティビティに対する性能の低下の可能性を減少させるために、制御装置114は、単一のBB−RFリソースチェーン104へのアクセスを調停してもよい。
【0016】
動作において、制御装置114は、第2のアクティビティ128(例えば、第2のネットワーク124による音声通話)が、単一のBB−RFリソースチェーン104により処理されるべきであることを示す情報を受信したことに応答して、単一のBB−RFリソースチェーン104により処理されている第1のアクティビティ126(例えば、第1のネットワーク122によるデータセッション)を中断してもよい。例えば、MO音声通話のケースでは、制御装置114は、音声通話(例えば、第2のアクティビティ128)を発信する前に、進行中のデータセッションを中断してもよい(例えば、第1のアクティビティ126を一時停止してもよい)。したがって、ユーザは、別の加入上で、インタラクティブな/バックグラウンドのデータセッション(例えば、ウェブダウンロード、バックグラウンドeメール)に携わりながら、1つの加入上で、音声通話を開始できることがある。別の例として、MT音声通話のケースでは、制御装置114は、到来通話の受信が可能になるように、他の加入上でのページの監視から“離調”するようモデム116に命令してもよい。したがって、ユーザは、別の加入上で、インタラクティブな/バックグラウンドのデータセッション(例えば、ウェブダウンロード、バックグラウンドeメール)に携わりながら、1つの加入上で、音声通話を受信できることがある。データセッションの中断の間に、制御装置114は、追加のデータの転送を妨げてもよい。音声通話の終了後に、可能な場合には(例えば、プロトコルスタックタイマーが満了していない場合には)データセッションが再開されてもよく、または、アプリケーションレイヤアクションにより、データセッションが再度開始されてもよい。
【0017】
ユーザ構成可能な優先度の加入を使用して、モデム/RFリソース(例えば、単一のBB−RFリソースチェーン104の1つ以上のリソース)の共有を調停してもよい。このような調停は、リソースを共有している複数の加入に関係するページング衝突に起因する、ユーザ指定の加入に対する性能の影響を制限することができる。さらに、加入にわたっての異なるタイプのアクティビティの調停(例えば、1つの加入上でのページング受信対別の加入上での測定)は、アクティビティの相対的な重要度に基づいて、実行できる。例えば、制御装置114は、ユーザ選択された加入の優先度に基づいて、および、第2のアクティビティ128と比較した、第1のアクティビティ126の相対的な重要度にさらに基づいて、単一のBB−RFリソースチェーン104へのアクセスを調停するように構成されていてもよい。例示のために、第1の加入は、音声通話に対して使用されてもよく、データセッションに対して使用される第2の加入よりも優先度の高い加入だと考えられてもよい。別の例として、特定のタイプのデータセッション(例えば、テレビ電話セッション)は、音声通話よりも優先度の高いアクティビティだと考えられてもよい。より優先度の高い加入またはアクティビティが、ページング衝突に起因してページを欠落する可能性を減少させるために、時間共有のページングスケジュールが調節されてもよい。
【0018】
ユーザは、異なる加入上の異なるサービスへのアクセスを有していてもよい。識別サービスでさえ、異なる性能またはコストに関係付けられていてもよい。そうであるので、制御装置114は、データ加入管理の目的のために、単一のBB−RFリソースチェーン104へのアクセスを調停してもよい。特定の実施形態では、第1の加入または第2の加入のいずれかを、データセッションを行うためのデフォルト加入として指定するデフォルト設定に基づいて、データセッション(例えば、第1のアクティビティ126)が行われてもよい。1つの実施形態では、デフォルト加入は、ユーザ選択可能である。例示のために、ユーザは、第1の加入が、指定されたデータ加入であるように構成してもよい。図1において図示されている実施形態では、コスト、ダウンロードスピード、または、他の理由のために、第1のネットワーク122を使用して、ウェブブラウジング、eメールダウンロード等を実行してもよい。別の例として、セキュアユーザプレーン(SUPL)のような、グローバルポジショニングシステム(GPS)ネットワーク支援型プロトコルに対して、ネットワーク固有である何らかの情報があることがある。搬送波固有のGPSアプリケーションが開始されたときに、ネットワーク固有の情報を提供する、ネットワークに関係付けられている加入が使用されてもよい。さらなる例として、搬送波固有の専門サービスへのアクセスが、加入者用に制限されていることがある。これらのサービスにアクセスするアプリケーションに対して、ユーザは、加入を特定することを選んでもよい。特定の実施形態では、データ加入管理は、加入の指定を可能にする、アプリケーション−モデムアプリケーションプログラミングインターフェース(API)への拡張を含んでもよい。搬送波対応、相手先商標製品製造(OEM)コンフィギュレーション、ユーザコンフィギュレーション、または、これらの組み合わせが、データ加入管理のために使用されてもよい。したがって、図1のシステム100は、単一のBB−RFリソースチェーン104へのアクセスを調停することによって、優先度の高い加入またはアクティビティに対する性能の影響(例えば、セッション中断、欠落した通話)を減少させることができる。
【0019】
図2を参照すると、受信ダイバーシティをサポートするモデムを利用して、複数の加入に関連する通信データを処理するシステムの特定の実施形態が図示されており、概して200と示されている。モデムが受信ダイバーシティをサポートしているときに、送信機の使用を必要としない並行処理(例えば、タイミングクリティカルでない捕捉、または、チャネルメンテナンス手順、あるいは、タイミングクリティカルなページ復調手順)がサポートされてもよい。モデムの受信ダイバーシティ能力を利用して、異なる加入に関連する通信データを、異なるRF処理パスを介して、異なる信号入力にルーティングしてもよい。
【0020】
システム200は、複数の加入を持つ移動体通信デバイス202(例えば、移動体電話機)を含む。例えば、各加入は、それ自体の識別モジュール(例えば、SIM、CDMA R−UIM、または、他のタイプのR−UIM)に関係付けられていてもよい。代替的に、各加入は、共通の識別モジュール(例えば、共通SIM)に関係付けられていてもよい。図2において図示されている実施形態では、デバイス202は、単一のBB−RFリソースチェーン(例えば、図1の単一のBB−RFリソースチェーン104)へのアクセスを共有する複数のSIMを受け取ることができる。図2において図示されている実施形態では、移動体通信デバイス202は、第1の加入に関係付けられている第1のSIM208を受け取るための第1のSIMインターフェース206と、第2の加入に関係付けられている第2のSIM212を受け取るための第2のSIMインターフェース210とを備える。第1のSIM208および第2のSIM212は、単一のBB−RFリソースチェーンに通信可能に結合されていてもよい。
【0021】
移動体通信デバイス202はまた、単一のBB−RFリソースチェーンに通信可能に結合されている制御装置214を備える。制御装置214は、第1の加入に対応する第1のアクティビティを、または、第2の加入に対応する第2のアクティビティを実行するために、単一のBB−RFリソースチェーンへのアクセスを調停するように構成されている。移動体通信デバイス202は、受信ダイバーシティをサポートするモデム216を備えている。図2では、BBプロセッサ204とは別のものとしてモデム216が図示されているが、代替的な実施形態では、モデム216およびBBプロセッサ204は、合わせてパッケージ化されていてもよい。第1のネットワーク222は、第1の加入に関係付けられていてもよく、第2のネットワーク224は、第2の加入に関係付けられていてもよい。
【0022】
図2において図示されている実施形態では、モデム216は、1次信号入力230と、2次信号入力232とを含む。モデム216は、制御装置214に応答して、第1の加入に関連する第1の通信データ234を、1次信号入力230において受信する。第1の通信データ234(例えば、IQシンボル)は、1次RF処理パス236(例えば、1次受信チェーン)を介して、1次信号入力230にルーティングされてもよい。モデム216は、制御装置214にさらに応答して、第2の加入に関連する第2の通信データ238を、2次信号入力232において受信する。第2の通信データ238(例えば、IQシンボル)は、2次RF処理パス240(例えば、ダイバーシティ受信チェーン)を介して、2次信号入力232にルーティングされてもよい。モデム216は、制御装置214に応答して、第1の加入に関連する第1の通信データ234を処理し、第2の加入に関連する第2の通信データ238を処理する。
【0023】
図2において図示されている実施形態では、移動体通信デバイス202は、1次RF処理パス236に関係付けられている1次アンテナ242を備えている。第1のアナログデジタル(A−D)コンバータ244は、1次アンテナ240と、1次RF処理パス236を介して1次信号入力230とに、通信可能に結合されていてもよい。第1のA−Dコンバータ244および(示されていない)他の受信機回路は、1次アンテナ242において受信したアナログ信号を、デジタルデータ(例えば、第1の通信データ234)に変換してもよい。移動体通信デバイス202はまた、2次RF処理パス240(例えば、ダイバーシティ受信チェーン)に関係付けられている2次アンテナ246(例えば、ダイバーシティアンテナ)を備えている。第2のA−Dコンバータ248は、2次アンテナ246と、2次RF処理パス240を介して2次信号入力232とに、通信可能に結合されていてもよい。第2のA−Dコンバータ248および(示されていない)他の受信機回路は、2次アンテナ246において受信したアナログ信号を、デジタルデータ(例えば、第2の通信データ238)に変換してもよい。
【0024】
動作において、第1の通信データ234は、1次RF処理パス236を介して、モデム216の1次信号入力230にルーティングされてもよい。第2の通信データ238は、2次RF処理パス240を介して、モデム216の2次信号入力232にルーティングされてもよい。第1の通信データ234および第2の通信データ238は、モデム216において処理されてもよい。受信ダイバーシティをサポートするモデム216は、複数の専用BB−RFリソースチェーンがなくとも、“同時”デュアル受信能力を提供できる。例えば、第1の通信データ234は、第1の加入上のタイミングクリティカルでない捕捉またはチャネルメンテナンス手順に関係付けられていてもよく、第2の通信データ238は、第2の加入上の別のタイミングクリティカルでない捕捉またはチャネルメンテナンス手順に関係付けられていてもよい。別の例として、第1の通信データ234は、第1の加入上の到来通話に対するタイミングクリティカルなページ復調に関係付けられていてもよく、第2の通信データ238は、第2の加入上の別の到来通話に対する別のタイミングクリティカルなページ復調に関係付けられていてもよい。
【0025】
第2の通信データ238が、(D−Aコンバータ252を介してモデム216に結合されている)送信機250の使用を必要とする手順に関係付けられているときに、並行処理は、サポートされないことがある(図3参照)。すなわち、モデム216は、1度に1つの通話のみをサポートできる。例えば、第1の通信データ234が、音声通話情報またはデータ通話情報(例えば、汎用パケット無線サービス(GPRS)データ通話情報)を含んでいるときに、第2の通信データ238が、送信機250の使用を必要とする手順に関係付けられている(例えば、他の加入上の、音声またはデータ通話)とき、第2の通信データ238は、モデム216において処理されないことがある。別の例として、第1の通信データ234が、優先度の低いデータ通話に関係付けられているときに、第2の通信データ238が、送信機250の使用を必要とする手順に関係付けられている(例えば、別の加入上の音声通話)とき、第2のデータ238は、モデム216において処理されないことがある。
【0026】
図2は、別々の専用BB−RFリソースチェーンを使用することなく、複数の加入に関連する通信データを同時に受信する能力を、モデム216の受信ダイバーシティ能力が提供してもよいことを図示している。したがって、このケースでは、制御装置214は、音声通話(例えば、図1の第2のアクティビティ128)を受信または発信する前に、進行中のデータセッション(例えば、図1の第1のアクティビティ126)を中断する必要がないことがある。さらに、1次アンテナ246および2次アンテナ248は、2つの加入上でのページの同時監視を可能にしてもよい。
【0027】
図3を参照すると、受信ダイバーシティをサポートするモデムを利用して、複数の加入に関連する通信データを処理することを図示したチャートが、概して300と示されている。図3は、受信ダイバーシティ能力を持つモデム(例えば、図2のモデム216)が、単一のBB−RFリソースチェーンに“同時デュアル受信”能力を提供してもよいことを図示している。
【0028】
図3は、受信ダイバーシティをサポートするモデム(例えば、図2のモデム216)が、“同時デュアル受信”コンフィギュレーションにおいて、あるアクティビティを並行してサポートできることを図示している。例示のために、“同時デュアル受信”コンフィギュレーションは、第1の加入上の音声通話またはデータ通話(例えば、GPRSデータ通話)と、第2の加入上のタイミングクリティカルでない捕捉またはチャネルメンテナンス手順とを同時にサポートしてもよい。さらに、“同時デュアル受信”コンフィギュレーションは、第1の加入上の音声通話またはデータ通話(例えば、GPRSデータ通話)と、第2の加入上の、別の到来通話に対するタイミングクリティカルなページ復調手順とを並行してサポートしてもよい。
【0029】
図3は、受信ダイバーシティをサポートするモデム(例えば、図2のモデム216)が、“同時デュアル受信”コンフィギュレーションにおいて、あるアクティビティを並行してサポートできることを図示している。例えば、“同時デュアル受信”コンフィギュレーションは、タイミングクリティカルでない捕捉またはチャネルメンテナンス手順を並行してサポートしてもよい。別の例として、“同時デュアル受信”コンフィギュレーションは、到来通話に対するタイミングクリティカルなページ復調手順を並行してサポートしてもよい。
【0030】
図4を参照すると、受信ダイバーシティをサポートするモデムを利用して、複数の加入に関連する通信データを処理する方法の特定の実施形態が説明されている。図4は、受信ダイバーシティ能力を持つモデム(例えば、図2のモデム216)が、単一のBB−RFリソースチェーンに“同時”デュアル受信能力を提供してもよいことを説明している。
【0031】
方法は、402において、受信ダイバーシティをサポートするモデムの1次信号入力において、第1の通信データを受信することを含んでいる。複数の加入を持つ移動体通信デバイスは、受信ダイバーシティをサポートするモデムを備えている。例えば、移動体通信デバイスは、図2の移動体通信デバイス202であってもよい。第1の通信データは、第1の加入に関連しており、1次RF処理パスを介して、モデムの1次信号入力にルーティングされる。例示のために、図2のモデム216は、1次信号入力230において、第1の通信データ234を受信してもよく、第1の通信データ234は、1次RF処理パス236を介して、1次信号入力230にルーティングされてもよい。
【0032】
方法は、404において、モデムの2次信号入力において、第2の加入に関連する第2の通信データを受信することも含んでいる。第2の通信データは、2次RF処理パスを介して、2次信号入力にルーティングされる。例示のために、図2のモデム216は、2次信号入力232において、第2の通信データ238を受信してもよく、第2の通信データ238は、2次RF処理パス240を介して、2次信号入力232にルーティングされてもよい。
【0033】
方法は、406において、モデムにおいて、第1の加入に関連する第1の通信データを処理し、第2の加入に関連する第2の通信データを処理することを含む。例示のために、図2のモデム216は、第1の通信データ234と第2の通信データ238とを処理してもよい。したがって、図4は、モデムの受信ダイバーシティ能力が、(それぞれが異なるSIMに関係付けられている)複数の加入に関連する通信データを同時に受信するための能力を提供してもよいことを説明している。
【0034】
図5を参照すると、受信ダイバーシティをサポートするモデムを利用して、複数の加入に関連する通信データを処理する方法の特定の実施形態が説明されている。図5は、複数の加入を持つ移動体通信デバイスが、受信ダイバーシティ能力を持つモデム(例えば、図2のモデム216)を利用して、単一の共有されているBB−RFリソースチェーンに“同時”デュアル受信能力を提供してもよいことを説明している。例えば、移動体通信デバイスは、図2の移動体通信デバイス202であってもよい。
【0035】
方法は、502において、受信ダイバーシティをサポートするモデムの1次信号入力において、第1の通信データを受信することを含んでいる。第1の通信データは、第1の加入に関連しており、1次RF処理パスを介して、モデムの1次信号入力にルーティングされる。例示のために、図2のモデム216は、1次信号入力230において、第1の通信データ234を受信してもよく、第1の通信データ234は、1次RF処理パス236を介して、1次信号入力230にルーティングされてもよい。
【0036】
方法は、504において、モデムの2次信号入力において、第2の加入に関連する第2の通信データを受信することも含んでいる。第2の通信データは、2次RF処理パスを介して、2次信号入力にルーティングされる。例示のために、図2のモデム216は、2次信号入力232において、第2の通信データ238を受信してもよく、第2の通信データ238は、2次RF処理パス240を介して、2次信号入力232にルーティングされてもよい。
【0037】
方法は、506において、第1の通信データが、音声通話情報またはデータ通話(例えば、GPRSデータ通話)情報を含むか否かを決定することを含んでいる。第1の通信データが、音声通話情報またはデータ通話情報を含まないときに、方法は、508において、モデムにおいて、第1の加入に関連する第1の通信データを処理し、第2の加入に関連する第2の通信データを処理することを含む。例えば、図3を参照すると、第1の通信データが、第1の加入上のタイミングクリティカルでない捕捉またはチャネルメンテナンス手順に関係付けられているときに、モデム216の受信ダイバーシティ能力は、第2の加入上の別のタイミングクリティカルでない捕捉またはチャネルメンテナンス手順に関係付けられている第2の通信データの同時処理を可能にしてもよい。別の例として、第1の通信データが、第1の加入上の到来通話に対するタイミングクリティカルなページ復調手順に関係付けられているときに、モデム216の受信ダイバーシティ能力は、第2の加入上の別の到来通話に対する別のタイミングクリティカルなページ復調手順に関係付けられている第2の通信データの同時処理を可能にしてもよい。
【0038】
第1の通信データが、音声通話情報またはデータ通話情報を含むときに、方法は、510において、第2の通信データが、送信機の使用を必要とする手順に関係付けられているか否かを決定することを含んでいる。第2の通信データが、送信機の使用を必要とする手順に関係付けられているときに、512において図示されているように、第2の通信データは、モデムにおいて処理されない。例えば、図3を参照すると、第1の通信データが、第1の加入上の音声通話またはデータ通話に関係付けられており、第2の通信データが、第2の加入上の音声通話またはデータ通話に関係付けられているときに(すなわち、送信機250を利用する2つのアクティビティ)、並行処理は、サポートされないことがある。
【0039】
第1の通信データが、音声通話情報またはデータ通話情報を含んでおり、第2の通信データが、送信機の使用を必要とする手順に関係付けられていないときに、第1の通信データおよび第2の通信データは、並行して処理されてもよく、または、実質的に並行して処理されてもよい。例えば、図3を参照すると、第1の通信データが、第1の加入上の音声通話またはデータ通話(例えば、GPRSデータ通話)に関係付けられており、第2の通信データが、第2の加入上のタイミングクリティカルでない捕捉またはチャネルメンテナンス手順に関係付けられているときに、並行処理はサポートされてもよい。別の例として、第1の通信データが、第1の加入上の音声通話またはデータ通話に関係付けられており、第2の通信データが、第2の加入上の到来通話に対するタイミングクリティカルなページ復調手順に関係付けられているときに、並行処理はサポートされてもよい。
【0040】
図6を参照すると、受信ダイバーシティをサポートするモデムを利用して、複数の加入に関連する通信データを処理する方法の特定の実施形態が、説明されている。図6は、複数の加入を持つ移動体通信デバイスが、受信ダイバーシティ能力を持つモデム(例えば、図2のモデム216)を利用して、単一の共有されているBB−RFリソースチェーンに“同時”デュアル受信能力を提供してもよいことを説明している。例えば、移動体通信デバイスは、図2の移動体通信デバイス202であってもよい。
【0041】
方法は、602において、受信ダイバーシティをサポートするモデムの1次信号入力において、第1の通信データを受信することを含んでいる。第1の通信データは、第1の加入に関連しており、1次RF処理パスを介して、モデムの1次信号入力にルーティングされる。例示のために、図2のモデム216は、1次信号入力230において、第1の通信データ234を受信してもよく、第1の通信データ234は、1次RF処理パス236を介して、1次信号入力230にルーティングされてもよい。
【0042】
方法は、604において、モデムの2次信号入力において、第2の加入に関連する第2の通信データを受信することも含んでいる。第2の通信データは、2次RF処理パスを介して、2次信号入力にルーティングされる。例示のために、図2のモデム216は、2次信号入力232において、第2の通信データ238を受信してもよく、第2の通信データ238は、2次RF処理パス240を介して、2次信号入力232にルーティングされてもよい。
【0043】
方法は、606において、第1の通信データが、優先度の低いデータ通話に関係付けられているか否かを決定することを含んでいる。第1の通信データが、優先度の低いデータ通話に関係付けられていないときに、方法は、608において、モデムにおいて、第1の加入に関連する第1の通信データを処理し、第2の加入に関連する第2の通信データを処理することを含む。例示のために、図2のモデム216は、第1の通信データ234と第2の通信データ238とを処理してもよい。例えば、図3を参照すると、第1の通信データが、第1の加入上のタイミングクリティカルでない捕捉またはチャネルメンテナンス手順に関係付けられているときに、モデム216の受信ダイバーシティ能力は、第2の加入上の別のタイミングクリティカルでない捕捉またはチャネルメンテナンス手順に関係付けられている第2の通信データの同時処理を可能にしてもよい。別の例として、第1の通信データが、第1の加入上の到来通話に対するタイミングクリティカルなページ復調手順に関係付けられているときに、モデム216の受信ダイバーシティ能力は、第2の加入上の別の到来通話に対する別のタイミングクリティカルなページ復調手順に関係付けられている第2の通信データの同時処理を可能にしてもよい。
【0044】
第1の通信データが、優先度の低いデータ通話に関係付けられているときに、方法は、610において、第2の通信データが、送信機の使用を必要とする手順に関係付けられているか否かを決定することを含んでいる。第2の通信データが、送信機の使用を必要とする手順に関係付けられているときに、612において図示されているように、第2の通信データは、モデムにおいて処理されない。例えば、図3を参照すると、第1の通信データが、第1の加入上の優先度の低いデータ通話に関係付けられており、第2の通信データが、第2の加入上の音声通話またはデータ通話に関係付けられているときに(すなわち、送信機250を利用する2つのアクティビティ)、並行処理はサポートされないことがある。
【0045】
第1の通信データが、第1の加入上の優先度の低いデータ通話に関係付けられており、第2の通信データが、送信機の使用を必要とする手順に関係付けられていないときに、第1の通信データおよび第2の通信データは、並行して処理されてもよく、または、実質的に並行して処理されてもよい。例えば、図3を参照すると、第1の通信データが、第1の加入上の優先度の低いデータ通話に関係付けられており、第2の通信データが、第2の加入上のタイミングクリティカルでない捕捉またはチャネルメンテナンス手順に関係付けられているときに、並行処理はサポートされてもよい。別の例として、第1の通信データが、第1の加入上の優先度の低いデータ通話に関係付けられており、第2の通信データが、第2の加入上の到来通話に対するタイミングクリティカルなページ復調手順に関係付けられているときに、並行処理はサポートされてもよい。
【0046】
図4〜図6は、モデム(例えば、図2のモデム216)の受信ダイバーシティ能力を使用して、異なる加入に対する別々の専用BB−RFリソースチェーンがなくとも、異なる加入上での同時サービスをサポートできることを説明している。
【0047】
図7を参照すると、移動体通信デバイスの特定の例示的な実施形態のブロックダイヤグラムが描写されており、概して700と示されている。1つの実施形態では、図7の移動体通信デバイス700は、図1の移動体通信デバイス102または図2の移動体通信デバイス202を含み、あるいは、図1の移動体通信デバイス102内または図2の移動体通信デバイス202内に含まれる。さらに、図4〜図6において説明した方法のすべてまたはその一部は、図7の移動体通信デバイス700において、あるいは、図7の移動体通信デバイス700によって、実行されてもよい。移動体通信デバイス700は、デジタル信号プロセッサ(DSP)710のような、メモリ732に結合されているプロセッサを備えている。
【0048】
図7において図示されている実施形態では、移動体通信デバイス700は、第1のSIMインターフェース770と、第2のSIMインターフェース774とを備えている。第1のSIMインターフェース770は、第1の加入に関係付けられている第1の識別モジュール(例えば、第1のSIM772)を受け取る機能を実行してもよく、第2のSIMインターフェース774は、第2の加入に関係付けられている第2の識別モジュール(例えば、第2のSIM776)を受け取る機能を実行してもよい。例えば、SIMインターフェース770、774のうちの少なくとも1つは、SIMカードのための収容スペースと、受け取ったSIMカードの導体端子を受け取るための複数の接続されるレセプタクルとを有するボディを備えるSIMカードコネクタであってもよい。SIMカードとの電気的なシグナリングコンタクトは、導体端子およびレセプタクルにより行うことができる。例示的なインターフェースは、シリアルなあるいはパラレルな(例えば、6ピンまたは8ピン)接続を含んでもよい。さらに、複数のSIMカードサイズが適応されていてもよい(例えば、フルサイズ、ミニSIM、または、マイクロSIM)。代替的な実施形態では、移動体通信デバイス700は、複数の加入が、共通の識別モジュール(例えば、共通SIM)に関係付けられているときに、複数のSIMインターフェースを含まなくてもよい。
【0049】
図7はまた、デジタル信号プロセッサ710とディスプレイ728とに結合されているディスプレイ制御装置726を示している。コーダ/デコーダ(コーデック)734は、デジタル信号プロセッサ710にも結合できる。スピーカー736およびマイクロフォン738は、コーデック734に結合できる。図7はまた、制御装置740(例えば、図1の制御装置114および図2の制御装置214)が、デジタル信号プロセッサ710に、ならびに、1つ以上のワイヤレスアンテナ(例えば、第1のワイヤレスアンテナ742および第2のワイヤレスアンテナ743)および少なくとも1つの送信機780と通信しているモデム741に、結合できることを示している。特定の実施形態では、モデム741は、受信ダイバーシティをサポートし(例えば、モデム741は、図2のモデム216を含んでもよい)、ここで、第1のワイヤレスアンテナ742は1次アンテナ(例えば、図2の1次アンテナ242)であり、第2のワイヤレスアンテナ743は、2次アンテナ(例えば、図2の2次アンテナ246)である。
【0050】
メモリ732は、命令760を記憶する、一時的でない有体的コンピュータ読取可能記憶媒体である。命令760は、DSP710により実行可能であってもよい。例えば、命令760は、受信ダイバーシティをサポートするモデム741の1次信号入力において、第1の加入に関連する第1の通信データを受信するための、DSP710によって実行可能な命令を含んでもよい。第1の通信データは、1次RF処理パスを介して、モデム741の1次信号入力にルーティングされてもよい(図7には示されていないが、図2を参照)。命令760は、モデム741の2次信号入力において、第2の加入に関連する第2の通信データを受信するための、DSP710によって実行可能な命令を含んでもよい。第2の通信データは、2次RF処理パスを介して、モデム741の2次信号入力にルーティングされてもよい(図7には示されていないが、図2を参照)。命令760は、第1の加入に関連する第1の通信データを処理し、第2の加入に関連する第2の通信データを処理するための、DSP710によって実行可能な命令を含んでもよい。
【0051】
特定の実施形態では、命令760は、第1の通信データが、音声通話情報またはデータ通話(例えば、GPRSデータ通話)情報を含むか否かを決定するための、DSP710によって実行可能な命令を含んでもよい。第1の通信データが、音声通話情報またはデータ通話情報を含むという決定に応答して、第2の通信データが、送信機780の使用を必要とする手順に関係付けられているときに、第2の通信データは、処理されないことがある。別の特定の実施形態では、命令760は、第1の通信データが、優先度の低いデータ通話に関係付けられているか否かを決定するための、DSP710によって実行可能な命令を含んでもよい。第1の通信データが、優先度の低いデータ通話に関係付けられているという決定に応答して、第2の通信データが、送信機780の使用を必要とする手順に関係付けられているときに、第2の通信データは、処理されないことがある。複数の加入がサポートされていないシナリオ(例えば、それぞれが送信機780を必要とする複数の通話)では、命令760は、1つ以上の代替的なアクション(例えば、一時停止、拒絶メッセージ、タイムアウト等)を取るための、DSP710によって実行可能な命令を含んでもよい。
【0052】
メモリ732はまた、加入の優先度情報762と、アクティビティ重要度情報764と、デフォルト加入情報766とを含んでいてもよい。加入の優先度情報762は、ユーザ選択された加入の優先度を含んでもよい。例えば、第1の加入は、音声通話に対して使用されてもよく、データセッションに対して使用される第2の加入よりも優先度の高い加入だと考えられてもよい。アクティビティ重要度情報764は、第2のアクティビティと比較した、第1のアクティビティの相対的な重要度を含んでもよい。例えば、特定のタイプのデータセッション(例えば、テレビ電話セッション)は、音声通話よりも優先度の高いアクティビティだと考えられてもよい。特定の実施形態では、デフォルト加入情報766は、データセッションを行うためのデフォルト加入として、第1の加入を、または、第2の加入を指定してもよい。デフォルト加入は、ユーザ選択可能であってもよい。例示のために、ユーザは、第1の加入が、指定されたデータ加入であるように構成してもよく、デフォルト加入情報766として、この情報が記憶されてもよい。
【0053】
特定の実施形態では、入力デバイス730は、ユーザ選択された加入の優先度(例えば、加入の優先度情報762)や、データセッションを行うためのデフォルト加入として、第1の加入を、または、第2の加入を指定するデフォルト設定のユーザ選択(例えば、デフォルト加入情報766)や、アクティビティ重要度情報764や、または、これらの組み合わせを受信する機能を実行してもよい。
【0054】
制御装置740は、第1の加入に対応する第1のアクティビティを、または、第2の加入に対応する第2のアクティビティを実行するために、単一のBB−RFリソースチェーンへのアクセス(例えば、1つ以上のRFリソース、モデム741、DSP710、または、これらの組み合わせへのアクセス)を調停する機能を実行してもよい。調停は、加入の優先度情報762、アクティビティ重要度情報764、デフォルト加入情報766、または、これらの組み合わせに基づいてもよい。例えば、DSP710へのアクセスは、第2のアクティビティの優先度および相対的な重要度と比較した、第1のアクティビティのユーザ選択された加入の優先度および相対的な重要度に基づいてもよい。例えば、特定の実施形態では、制御装置740は、音声通話がDSP710によって処理されるべきであることを示す情報を受信したことに応答して、DSP710によって処理されているデータセッションを中断する機能を実行してもよい。
【0055】
特定の実施形態では、DSP710と、ディスプレイ制御装置726と、メモリ732と、コーデック734と、制御装置740と、モデム741は、システムインパッケージデバイスまたはシステムオンチップデバイス722中に含まれている。特定の実施形態では、入力デバイス730および電源744は、システムオンチップデバイス722に結合されている。さらに、特定の実施形態では、図7において図示されているように、ディスプレイデバイス728と、入力デバイス730と、スピーカー736と、マイクロフォン738と、ワイヤレスアンテナ742、743と、送信機780と、電源744と、第1のSIM772と、第1のSIMインターフェース770と、第2のSIM776と、第2のSIMインターフェース774とは、システムオンチップデバイス722の外部にある。しかしながら、ディスプレイデバイス728と、入力デバイス730と、スピーカー736と、マイクロフォン738と、ワイヤレスアンテナ742、743と、送信機780と、電源744と、第1のSIM772と、第1のSIMインターフェース770と、第2のSIM776と、第2のSIMインターフェース774のそれぞれは、インターフェースまたは制御装置のような、システムオンチップデバイス722のコンポーネントに結合できる。
【0056】
ここで開示した実施形態に関連して説明した、さまざまな例示的な論理ブロック、コンフィギュレーション、モジュール、回路およびアルゴリズムステップが、電子ハードウェア、コンピュータソフトウェア、あるいは双方の組み合わせたものとして実現されてもよいことを当業者はさらに正しく認識するであろう。さまざまな例示的なコンポーネント、ブロック、コンフィギュレーション、モジュール、回路、および、ステップを、一般的にこれらの機能性に関して上述した。このような機能性がハードウェアあるいはソフトウェアとして実現されるか否かは、特定の応用および全体的なシステムに課せられた設計の制約に依存する。当業者は、それぞれの特定の応用に対して方法を変化させて、説明した機能性を実現してもよいが、このようなインプリメンテーション決定は、本開示の範囲からの逸脱を生じさせるものとして解釈すべきではない。
【0057】
ここで開示した実施形態に関連して説明した方法またはアルゴリズムのステップは、直接、ハードウェアで、プロセッサにより実行されるソフトウェアモジュールで、あるいは、2つの組み合わせで具現化されてもよい。ソフトウェアモジュールは、ランダムアクセスメモリ(RAM)、フラッシュメモリ、リードオンリーメモリ(ROM)、プログラム可能リードオンリーメモリ(PROM)、消去可能プログラム可能リードオンリーメモリ(EPROM)、電気的消去可能プログラム可能リードオンリーメモリ(EEPROM)、レジスタ、ハードディスク、リムーブバルディスク、コンパクトディスクリードオンリーメモリ(CD−ROM)、または、技術的に知られている他の何らかの形態の一時的でない記憶媒体に存在していてもよい。例示的な記憶媒体は、プロセッサが記憶媒体から情報を読み取り、記憶媒体に情報を書き込むことができるようにプロセッサに結合される。代替実施形態では、記憶媒体はプロセッサと一体化されてもよい。プロセッサおよび記憶媒体は、特定用途向け集積回路(ASIC)に存在してもよい。ASICは、コンピューティングデバイスあるいはユーザ端末(例えば、移動体電話機またはPDA)に存在してもよい。代替実施形態では、プロセッサおよび記憶媒体は、コンピューティングデバイス中あるいはユーザ端末中のディスクリートコンポーネントとして存在してもよい。
【0058】
開示した実施形態のこれまでの説明は、開示した実施形態を当業者が製作または使用できるように提供した。これらの実施形態に対するさまざま改良は当業者に容易に明らかとなり、ここに定義された原理は、本開示の範囲を逸脱することなく、他の実施形態に適用されてもよい。したがって、本開示は、ここで開示した実施形態に限定されることを意図しているものではなく、以下の特許請求の範囲により定義されているような原理および新規の特徴と可能な限り一致した最も広い範囲に一致させるべきである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
移動体通信デバイスにおいて、
単一のベースバンド無線周波数(BB−RF)リソースチェーンと、
前記単一のBB−RFリソースチェーンに通信可能に結合されており、第1の加入に関係付けられている、第1の識別モジュールと、
前記単一のBB−RFリソースチェーンに通信可能に結合されており、第2の加入に関係付けられている、第2の識別モジュールと、
前記単一のBB−RFリソースチェーンに通信可能に結合されている制御装置とを具備し、
前記制御装置は、前記第1の加入に対応する第1のアクティビティと、前記第2の加入に対応する第2のアクティビティとのうちの1つを実行するために、前記単一のBB−RFリソースチェーンへのアクセスを調停するように構成され、
前記制御装置は、音声通話が、前記単一のBB−RFリソースチェーンにより処理されるべきであることを示す情報を受信したことに応答して、前記単一のBB−RFリソースチェーンによって処理されているデータセッションを中断するように構成されている移動体通信デバイス。
【請求項2】
前記音声通話は、発信音声通話を含む、請求項1記載の移動体通信デバイス。
【請求項3】
前記音声通話は、到来音声通話を含み、前記データセッションは、前記到来音声通話に関係付けられている到来ページを受信するために離調するように中断される、請求項1記載の移動体通信デバイス。
【請求項4】
前記制御装置は、ユーザ選択された加入の優先度に基づいて、および、前記第2のアクティビティと比較した、前記第1のアクティビティの相対的な重要度にさらに基づいて、前記単一のBB−RFリソースチェーンへのアクセスを調停するように構成されている、請求項1記載の移動体通信デバイス。
【請求項5】
前記データセッションは、デフォルト設定に基づいて行われ、前記デフォルト設定は、前記データセッションを行うためのデフォルト加入として、前記第1の加入と、前記第2の加入とのうちの1つを指定する、請求項1記載の移動体通信デバイス。
【請求項6】
前記デフォルト加入は、ユーザ選択可能である、請求項5記載の移動体通信デバイス。
【請求項7】
前記単一のBB−RFリソースチェーンは、
受信ダイバーシティをサポートするモデムを具備し、
前記モデムは、1次信号入力と、2次信号入力とを含み、
前記モデムは、前記制御装置に応答して、
前記1次信号入力において、前記第1の加入に関連する第1の通信データを受信し、
前記2次信号入力において、前記第2の加入に関連する第2の通信データを受信し、
前記第1の加入に関連する第1の通信データを処理し、前記第2の加入に関連する第2の通信データを処理し、
前記第1の通信データは、1次無線周波数(RF)処理パスを介して、前記1次信号入力にルーティングされ、
前記第2の通信データは、2次RF処理パスを介して、前記2次信号入力にルーティングされる、請求項1記載の移動体通信デバイス。
【請求項8】
前記第1の通信データは、音声通話情報と、データ通話情報とのうちの1つを含み、前記第2の通信データが、送信機の使用を必要とする手順に関係付けられているときに、前記第2の通信データは、前記モデムにおいて処理されない、請求項7記載の移動体通信デバイス。
【請求項9】
前記第1の通信データは、タイミングクリティカルでない捕捉またはチャネルメンテナンス手順に関係付けられており、前記第2の通信データは、別のタイミングクリティカルでない捕捉またはチャネルメンテナンス手順に関係付けられている、請求項7記載の移動体通信デバイス。
【請求項10】
前記第1の通信データは、到来通話に対するタイミングクリティカルなページ復調手順に関係付けられており、前記第2の通信データは、別の到来通話に対する別のタイミングクリティカルなページ復調手順に関係付けられている、請求項7記載の移動体通信デバイス。
【請求項11】
前記第1の通信データは、優先度の低いデータ通話に関係付けられており、前記第2の通信データが、送信機の使用を必要とする手順に関係付けられているときに、前記第2の通信データは、前記モデムにおいて処理されない、請求項7記載の移動体通信デバイス。
【請求項12】
方法において、
受信ダイバーシティをサポートするモデムの1次信号入力において、移動体通信デバイスの第1の加入に関連する第1の通信データを受信することと、
前記モデムの2次信号入力において、第2の加入に関連する第2の通信データを受信することと、
前記モデムにおいて、前記第1の加入に関連する第1の通信データを処理し、前記第2の加入に関連する第2の通信データを処理することとを含み、
前記第1の通信データは、1次無線周波数(RF)処理パスを介して、前記1次信号入力にルーティングされ、
前記第2の通信データは、2次RF処理パスを介して、前記2次信号入力にルーティングされる方法。
【請求項13】
前記移動体通信デバイスは、前記1次RF処理パスに関係付けられている1次アンテナを備え、前記移動体通信デバイスは、前記2次RF処理パスに関係付けられている2次アンテナを備える、請求項12記載の方法。
【請求項14】
前記移動体通信デバイスは、前記1次アンテナと通信可能であり、前記1次RF処理パスを介して前記1次信号入力に通信可能に結合されている、第1のアナログデジタルコンバータを備え、前記移動体通信デバイスは、前記2次アンテナに通信可能に結合されており、前記2次RF処理パスを介して、前記2次信号入力に通信可能に結合されている、第2のアナログデジタルコンバータを備える、請求項13記載の方法。
【請求項15】
装置において、
第1の加入に関係付けられている第1の識別モジュールを受け取る手段と、
第2の加入に関係付けられている第2の識別モジュールを受け取る手段と、
前記第1の加入に対応する第1のアクティビティと、前記第2の加入に対応する第2のアクティビティとのうちの1つを実行するために、単一のベースバンド無線周波数(BB−RF)リソースチェーンへのアクセスを調停する手段とを具備し、
前記単一のBB−RFリソースチェーンによって処理されているデータセッションは、音声通話が、前記単一のBB−RFリソースチェーンによって処理されるべきであることを示す情報を受信したことに応答して、中断される装置。
【請求項16】
ユーザ選択された加入の優先度を受信する手段をさらに具備し、前記単一のBB−RFリソースチェーンへのアクセスは、前記ユーザ選択された加入の優先度と、前記第2のアクティビティと比較した、前記第1のアクティビティの相対的な重要度とに基づいている、請求項15記載の装置。
【請求項17】
前記データセッションを行うためのデフォルト加入として、前記第1の加入と、前記第2の加入とのうちの1つを指定するデフォルト設定のユーザ選択を受信する手段をさらに具備する、請求項16記載の装置。
【請求項18】
コンピュータ読取可能有体的媒体において、プロセッサによって実行されるときに、前記プロセッサに、
受信ダイバーシティをサポートするモデムの1次信号入力において、移動体通信デバイスの第1の加入に関連する第1の通信データを受信させる命令と、
前記モデムの2次信号入力において、第2の加入に関連する第2の通信データを受信させる命令と、
前記モデムにおいて、前記第1の加入に関連する第1の通信データを処理させ、前記第2の加入に関連する第2の通信データを処理させる命令とを含み、
前記第1の通信データは、1次無線周波数(RF)処理パスを介して、前記1次信号入力にルーティングされ、
前記第2の通信データは、2次RF処理パスを介して、前記2次信号入力にルーティングされるコンピュータ読取可能有体的媒体。
【請求項19】
前記プロセッサによって実行されるときに、前記プロセッサに、
前記第1の通信データが、音声通話情報とデータ通話情報とのうちの1つを含むか否かを決定させる命令と、
前記第1の通信データが、音声通話情報とデータ通話情報とのうちの1つを含むという決定に応答して、前記第2の通信データが、送信機の使用を必要とする手順に関係付けられているときに、前記第2の通信データを前記モデムにおいて処理させない命令とをさらに含む、請求項18記載のコンピュータ読取可能有体的媒体。
【請求項20】
前記プロセッサによって実行されるときに、前記プロセッサに、
前記第1の通信データが、優先度の低いデータ通話に関係付けられているか否かを決定させる命令と、
前記第1の通信データが、優先度の低いデータ通話に関係付けられているという決定に応答して、前記第2の通信データが、送信機の使用を必要とする手順に関係付けられているときに、前記第2の通信データを前記モデムにおいて処理させない命令とをさらに含む、請求項18記載のコンピュータ読取可能有体的媒体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公表番号】特表2013−521744(P2013−521744A)
【公表日】平成25年6月10日(2013.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−557131(P2012−557131)
【出願日】平成23年3月4日(2011.3.4)
【国際出願番号】PCT/US2011/027262
【国際公開番号】WO2011/109750
【国際公開日】平成23年9月9日(2011.9.9)
【出願人】(595020643)クゥアルコム・インコーポレイテッド (7,166)
【氏名又は名称原語表記】QUALCOMM INCORPORATED
【Fターム(参考)】