説明

単位用量薬物パッケージの粉体調整

本発明は、粉体をパッケージングした後に粉体を処理するかまたは調整して、パッケージングから粉体の取り出しを容易にする技術を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願
本出願は、米国特許法第119条(e)に基づき、2007年10月25日に出願された米国仮出願番号第61/000,627号の利益を主張し、これは参照により全体が本願明細書に組み込まれる。
【0002】
本発明は、(とりわけ)ブリスターまたは他の構造物内の粉末組成物を調整して、粉体の分散性を向上させる手段を提供するものである。本発明はまた、これを達成するためのさまざまな装置を提供する。
【背景技術】
【0003】
患者に対する効果的な治療処置の必要性によって、結果として、医薬製剤を患者に送達するための種々の技術が発展している。1つの従来技術には、ピルやカプセルなどの形態で医薬製剤を経口的に送達することが含まれる。エアロゾル化した医薬製剤が患者によって経口的にまたは鼻で吸入されて、患者の呼吸器管にこの製剤を送達する、吸入可能な薬物送達はまた、効果的な送達方法であることが立証されている。ある吸入技術では、医薬製剤が患者の肺の深部に送達されて、そこで製剤が血流に吸収されることができる。別の吸入技術では、医薬製剤が呼吸器管の標的領域に送達されて、この領域に局所療法をもたらす。乾燥粉末の医薬製剤をエアロゾル化する装置を含め、多くの種類の吸入装置が存在する。
【0004】
医薬製剤は、多くの場合、ユーザにとって容易に利用可能となるようにパッケージングされる。たとえば、薬用量または薬用量の一部を、従来ブリスターまたはブリスターパックと呼ばれる多層パッケージの層間に収容してもよい。一般的に、キャビティを下層に形成し、医薬製剤をキャビティ内に堆積させ、たとえばこれらの層を加熱かつ/または圧縮することによって上層を下層に密封させて、医薬製剤をキャビティ内に固定する。あるいはまた、飲み込むことになっているか、または医薬製剤がここからエアロゾル化されることの可能なカプセルに、薬用量を収容してもよい。たとえばボトルやバイアルなどの他のパッケージもまた、医薬製剤を収容するのに使用してもよい。PCT出願第WO01/43802号は、パッケージングされた粉体を吸入時に処理するシステムおよび方法を開示している。
【0005】
パッケージを医薬製剤で効果的に充填することは、多くの場合困難である。たとえば、ある粉体の充填過程で、粉体を十分に流動化し、かつ/または、一貫した粉体の流動性を保つことは困難である。一方では、形成されたブリスターに充填するために、粉体が時には「パック」に圧縮されてもよい。バルクな粉体の特性に応じて、充填剤の真空および超音波プローブの振幅を調整して、充填剤の質量を望ましく制御するためのパックを形成する。充填剤/パッケージの後作業中または搬送中に、このパックを粉体に破砕してもよい。しかし、パックが比較的「硬質」である場合、その目的とする送達のためにパックを均一な粉体に完全に分散することはできない。最終製品の次の出荷中での機械的振動が、ブリスターパックの粉体に影響を及ぼす可能性がある。放出試験作成の終わりから投薬時まで放出薬用量の結果が変化するので、このことは、患者にとって結果として薬用量が変化する可能性がある。それゆえに、ブリスターを充填し密封した後に粉体パックを「調整する」かまたは破砕して、製造時から投薬時まで一貫した製品性能を保証することは有用である。したがって、この分野では、粉体を調整する新規な機構を開発する必要がある。
【発明の概要】
【0006】
本発明は、粉体をパッケージングした後に粉体を処理するかまたは調整して、粉体をパッケージングから容易に取り出しやすくする技術を提供する。本発明のこれらおよび他の目的、態様、実施形態、および特徴は、以下の詳細な記載と共に読むとより完全に明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】ウェブワッカーを示す図である。
【0008】
【図2】充填剤/パッケージ上の音響スピーカを示す図である。
【0009】
【図3A】ブリスターの超音波調整を示す図である。
【図3B】ブリスターの超音波調整を示す図である。
【0010】
【図4】ブリスターを有する超音波浴を示す図である。
【0011】
【図5】放出薬用量およびブリスターの保持に関する種々の調整方法の効果を示す図である。
【0012】
【図6】調整に関する超音波エネルギの効果を示す図である。
【0013】
【図7】出荷済みのブリスターおよび未出荷のブリスターに関する種々のエネルギ準位での超音波調整の効果を示す図である。
【0014】
【図8】大量の出荷済みのブリスターおよび未出荷のブリスターに関する超音波調整の効果を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
留意されたいのは、本願明細書において用いられているように、文脈に明確に別の記載がある場合を除いて、単数形「a」、「an」、および「the」が複数の指示物を含むことである。
【0016】
本発明を記載しかつ主張する際に、後述する定義に従って以下の専門用語を使用することとする。
【0017】
定義
特に明記しない限り、本開示で使用する用語を以下の通りに定義する。標準的な用語は、本願明細書において明白に定義されない限り、当業者によって理解されるようなこれらの通常で通例の意味を示すこととする。
【0018】
「調整」という用語は、調整されていない粉体と比較して、あまり凝集されていない粉体をより均一に分散することを容易にするためのプロセスを記載するために使用される。「解凝集」は、調整を意味するのに区別なく使用される。
【0019】
「肺の送達に適している」組成物は、エアロゾル化され、かつ被験者によって吸入されることが可能であるので、エアロゾル化された粒子の一部分が肺に達し、たとえば肺胞および血液に侵入可能である組成物を称する。このような組成物は、「呼吸可能」であるか、または「吸引可能」であると考えることができる。
【0020】
「エアロゾル化」組成物は、一般的に吸入装置の作動(または点火)の結果としてガス(一般的に空気)に浮遊する固体粒子を含む。受動の乾燥粉末吸入器は、ユーザの吸息によって作動する。
【0021】
「乾燥粉末吸入器」は、粉末形態の薬物の単位用量レザバ(たとえばブリスター)が装填される装置である。治療計画に応じて、複数の単位用量がそれを必要とする被験者に送達される必要があり得る。一般に、吸入器は、呼吸することによって作動する。たとえば、カプセルまたはブリスターに穴をあけ、たとえば「Spinhaler」または「Rotahaler」などで吸入することができるように粉体を分散させる。「Turbohalers」は、測定された薬用量の粉末形態の薬物を送達するキャニスタに取付けられている。
【0022】
本願明細書で使用しているように、「放出薬用量」または「ED」という用語は、作動後に吸入器装置から乾燥粉末を送達するか、または粉体ユニットもしくはレザバから分散する事象の表示を意味する。EDは、吸入装置によって送達される薬用量対公称薬用量の比として定義される(すなわち、適した吸入装置に点火前に配置される単位用量あたりの粉体質量)。このEDは、実験的に測定された量であり、患者の投薬を模倣して設定されるインビトロ装置を使用して決定してもよい。本願明細書で用いられるED値を測定するために、乾燥粉末を試験される装置に配置する。この装置が、(たとえば、ブリスターを挿入し、装置の口金を回転させ、口金の出口に30L/分の真空供給源を加えることによって)作動し、粉体を分散させる。ついで、結果として生じるエアロゾル雲を作動後2.5秒間この装置から真空で(30L/分)吸込み、ここで、装置の口金に取付けられている重量を計った(tared)ガラス繊維フィルタ(Gelman、直径47mm)にエアロゾル雲を取り込む。フィルタに達した粉体量が送達された薬用量を構成する。たとえば、吸入装置に配置されている乾燥粉末5mgを含むカプセルに対して、粉体の分散によって、上に述べた通りに結果として重量を計ったフィルタに4mgの粉体が回収される場合、乾燥粉末組成物のEDは80%となる(=4mg(送達された薬用量)/5mg(公称薬用量))。
【0023】
「乾燥粉末形態」の組成物は、一般的に、約20%未満の水分、または約10%未満の水分、または約5%未満の水分、または約3%未満の水分、または約1%未満の水分を含有する粉末組成物である。
【0024】
本願明細書において使用されるように、「質量中央径」または「MMD」は、一般的に、多分散粒子母集団における、すなわちある範囲の粒径からなる複数の粒子の中央径を称する。本願明細書において報告されているように、文脈で別の記載がない限り、MMD値をレーザー回折(Sympatec Helos, Clausthal−Zellerfeld, Germany)によって測定する。一般的に、粉末試料は、Sympatec RODOSの乾燥粉末分散ユニットのフィーダの漏斗に直接添加される。このことは、VIBRI振動フィーダ要素の端部から手動的または機械的に撹拌することによって達成されることができる。試料は、1次粒子に加圧空気(2〜3バール)を印加して分散し、真空降下(吸込み)が所与の分散圧力のために最大になる。分散粒子は、分散粒子の軌道と直角に交差する632.8nmレーザービームによって精査される。粒子集団から散乱されるレーザー光は、逆フーリエレンズアセンブリを使用して光電子増倍管の検知素子の同軸アレイに撮像される。散乱光は、5msのタイムスライスで得られる。粒径分布は、アルゴリズムを使用して、散乱光の空間/強度分布から逆算される。
【0025】
「空気動力学的質量中央径」すなわち「MMAD」は、分散した粒子の空気動力学的寸法の大きさである。空気動力学的直径は、沈降挙動の観点からエアロゾル化された粉体を記載するために使用されており、空気中において粒子と同じ沈降速度を有する単位密度球体の直径である。空気動力学的直径は、粒子形状、粒子の密度及び物理的寸法を包含している。本願明細書で使用されているように、MMADは、試験される装置を使用して、標準状態(20℃;相対湿度40%)でカスケードインパクションによって測定されたエアロゾル化された粉体の空気動力学的粒子寸法分布の中央点又は中央値を指す。
【0026】
「微小粒子分級物」は、5ミクロン(μm)未満の空気動力学的直径を有する粒子の分級物である。特定すると、微小粒子分級物はまた、3.3ミクロン(μm)未満の空気動力学的直径を有する粒子の分級物を称してもよい。「レセプタクル」は、容器である。たとえば、レセプタクルは、単位用量のレセプタクルであってもよく、または複数の薬用量を有するレザバであってもよい。単位用量のレセプタクルの例としては、ブリスターパックおよびカプセルが挙げられる。特定の実施形態において、レセプタクルが吸入装置から着脱可能であってもよく、またはレセプタクルが吸入器の一部分であってもよい。レセプタクルは、一般的に、たとえば制御して分断するなど分断することの可能な、ホイルプラスチック積層板またはその他の材料などの任意の材料を備える。容器/レセプタクルの例には、カプセル、ブリスター、バイアル、または、金属、ポリマー(たとえばプラスチックやエラストマー)、ガラス、などでできている容器閉止システムが挙げられるが、これらに限定されない。
【0027】
「レセプタクル」は、容器である。たとえば、レセプタクルは、単位用量のレセプタクルであってもよく、または複数の薬用量を有するレザバであってもよい。単位用量のレセプタクルの例としては、ブリスターパックおよびカプセルが挙げられる。特定の実施形態において、レセプタクルが吸入装置から着脱可能であってもよく、またはレセプタクルが吸入器の一部分であってもよい。レセプタクルは、一般的に、たとえば制御して分断するなど分断することの可能な、ホイルプラスチック積層板などの任意の材料を備える。
【0028】
1つの実施形態において、本発明は、いくぶん円形のシャフトに折りたたみ式の回転アームを備える、ウェブワッカーまたは機械的なストライカを備えている。回転アームは、モータに連結されている。回転アームは、複数の突出部を備えていてもよい。アームは、ウェブ(レセプタクルに1つ以上の個々の単位薬物投与を備えたブリスター)を打ち当てる。この打撃は、アームの構造に応じて、ウェブの側部に対して、またはウェブの頂部もしくは底部からであってもよい。シャフトの回転速度およびパッケージングラインの各「吸込み」間の時間が、パックの破砕の程度を決定する。回転アームは、1分あたり約500回転(rpm)から約4000rpmまでの頻度で回転してもよい。ウェブを強打にさらす時間は、生産能力(吸込み時間)とパックを分散可能な粉体に能率的に破砕することとのバランスである。
【0029】
音響調整と呼ばれている第2の実施態様では、密封されたブリスターを含むウェブが、吸込まれて個々のブリスターに打ち込まれる前に音響スピーカによって機械振動を受ける。スピーカは、ウェブの上下部または側部に位置していてもよい。調整プロセスを最適化するために、複数のスピーカ(たとえば両側でウェブと対向している2つのスピーカ)が異なる構造で配置されてもよい。スピーカコイルに印加される電圧によって順番に制御されるスピーカの周波数および振幅をチューニングすることによって、ウェブの振動を調整することができる。ウェブを強打にさらす時間は、生産能力(吸込み時間)とパックを分散可能な粉体に能率的に破砕することとのバランスである。
【0030】
超音波調整と呼ばれている第3の実施態様では、密封されたブリスターを含むウェブが、吸込まれて個々のブリスターに打ち込まれる前に超音波プローブ(または超音波ホーン)によって機械振動を受ける。プローブは、ウェブの下方、頂部または側部に位置してもよい。ウェブの振動は、超音波プローブの振幅を固定周波数でチューニングすることによって調整可能である。振動数は、約5kHz〜約100kHzの範囲であってもよく、好ましくは約10kHz〜約40kHzまでである。パックを破砕する効率は、プローブをウェブと連結することに依存する。振動振幅は、約0.001インチ〜約0.01インチの範囲にあってもよい。超音波プローブは、不定期間使用されてもよい。この期間は、約0.1秒〜約3秒まで使用されてもよく、好ましくは約0.25秒〜約2秒までである。超音波プローブはウェブを超音波プローブにさらす時間は、生産能力(吸込み時間)とパックを分散可能な粉体に能率的に破砕することとのバランスである。この手法の自在性は、プローブがウェブの下方、頂部、または側部のいずれかに位置することができることである。
【0031】
さらなる実施形態では、ウェブまたはブリスターは、ウェブの流れ方向に交差して水平方向に配置され、垂直に位置決め可能なクロスビームと、クロスビーム上に構成されて配置されている複数のプラグを使用して配置されてもよい。ここでは、クロスビームは、複数のプラグがウェブおよびプローブの先端部の少なくとも1つと接触することができるように構成されて配置される係合位置と、複数のプラグがウェブまたはプローブの先端部と接触することのないように構成されて配置される非係合位置とを有する。
【0032】
別の実施形態では、ウェブまたはブリスターが、ウェブの流れ方向に対して直角に走る回転可能なシャフトのばね指を使用することによって配置されてもよい。ばね指は、ノイズを低減させて平滑な操作を促進するために、プラスチック製またはゴム製の先端部をさらに備えていてもよい。ばね指は、操作を容易にするために軸受を有するローラーに追加されていてもよい。いくつかの粉体の超音波処理は、過渡的な摩擦帯電につながる可能性がある。ブリスターを使用する前の短期間の収容が、遊離のために必要とされ得る。
【0033】
第4の実施態様はまた、超音波調整と呼ばれており、密封されたブリスターを含むウェブが、吸込まれて個々のブリスターに打ち込まれる前に超音波浴によって機械振動を受ける。
【0034】
粉体は、密封されたレセプタクルに最初に収容されてもよい。このレセプタクルは、米国特許第5,785,049号、米国特許第5,415,162号、および米国特許出願第09/583,312号に記載されているように、粉体をエアロゾル化する前に開口している。あるいは、米国特許第4,995,385号、米国特許第3,991,761号、米国特許第6,230,707号、およびPCT公開公報WO97/27892号に記載されているように、粉体をカプセルに含有してもよく、このカプセルは、カプセルをエアロゾル化装置に挿入する前、挿入する間、または挿入した後で開口可能である。バルク、ブリスター、カプセルなどの形態で、米国特許第5,458,135号、米国特許第5,785,049号、および米国特許第6,257,233号に記載されているように、圧縮空気などの能動要素によって、または2000年4月24日出願の「エアロゾル化装置および方法(Aerosolization Apparatus and Methods)」と題する米国特許出願第09/556,262号およびPCT公開公報WO00/72904に記載されているように推進薬によって、粉体をエアロゾル化してもよい。あるいは、たとえば前述の米国特許出願第09/583,312号および米国特許第4,995,385号に記載されているように、ユーザの吸入に応じて粉体をエアロゾル化してもよい。上の参考文献はすべて、全体が本願明細書に組み込まれるものとする。
【0035】
レセプタクルをエアロゾル化装置に挿入してもよい。レセプタクルは、医薬組成物を含有し、かつ使用可能な状態で医薬組成物を供給するのに適した形状、寸法、および物質であってもよい。たとえば、カプセルまたはブリスターは、医薬組成物と逆反応しない物質を含む壁を備えていてもよい。さらに、壁は、医薬組成物がエアロゾル化するようにカプセルを開口することのできる物質を含んでもよい。1つのバージョンでは、壁が、ゼラチン、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、ポリエチレングリコール配合のHPMC、ヒドロキシプロピルセルロース、寒天、アルミホイルなどの1つ以上を含む。1つのバージョンでは、カプセルは、たとえば参照によって本願明細書に組み込まれている米国特許第4,247,066号に記載されているように、入子式に接合する部分を含んでよい。カプセルの寸法は、医薬組成物の薬用量を適切に含有するように選択されることができる。この寸法は、概して、サイズ5〜サイズ000の範囲にあり、それぞれ、約4.91mm〜9.97のmmの範囲にある外径と、約11.10mm〜約26.14のmmの範囲にある高さと、約0.13ml〜約1.37mlの範囲にある容積とを備えている。適したカプセルは、たとえば、日本国奈良県のShionogi Qualicaps Co.およびサウスカロライナ州グリーンウッドのCapsugelから商業的に入手可能である。参照により本願明細書に組み込まれている米国特許第4,846,876号および第6,357,490号、ならびにWO00/07572に記載されているように、充填後、頂部を底部の上に配置してカプセル形状を形成し、粉体をカプセルに含有させることができる。頂部を底部の上に配置した後、カプセルを任意選択的に結合することができる。
【0036】
使用前に、一般に乾燥粉末が周囲条件下で収容され、好ましくは約25℃以下の温度で、かつ約30%〜60%の範囲にある相対湿度(RH)で収容される。より好ましい相対湿度条件は、たとえば約30%未満であるが、剤形の2次パッケージング時に乾燥剤を取込むことによって達成することができる。
【0037】
装置:
本発明の1つ以上の実施形態の組成物は、当業者に知られていて利用可能である種々の方法および技術によって投与することができる。
【0038】
たとえば、1つ以上の実施形態では、本願明細書に記載されている組成物は、あらゆる適した乾燥粉末吸入器(DPI)、すなわち乾燥粉末薬物を肺へ運ぶ媒体として患者の吸息を利用する吸入装置を使用して、送達されることができる。好ましいのは、米国特許第5,458,135号、第5,740,794号、および第5,785,049号に記載されているような、Nektar Therapeuticsの乾燥粉末吸入装置であり、これは参照により本願明細書に組み込まれる。
【0039】
このタイプの装置を使用して投与されると、穿刺可能な蓋または他の接近面を有するレセプタクル、好ましくはブリスターパッケージまたはカートリッジに粉体が含まれ、ここでは、レセプタクルは単一の投薬単位または複数の投薬単位を含んでいてもよい。多数のキャビティ(すなわち、単位用量のパッケージ)に定量の乾燥粉末薬物を充填する便利な方法は、たとえば、WO97/41031(1997)に記載されており、これは参照により本願明細書に組み込まれる。
【0040】
また、本願明細書に記載されている粉体を送達するのに適しているのは、たとえば米国特許第3,906,950号および第4,013,075号に記載されているタイプの乾燥粉末吸入器であり、これらは参照により本明細書に組込まれる。ここでは、被験者に送達するための予め測定された薬用量の乾燥粉末が硬質ゼラチンカプセル内に含まれている。
【0041】
乾燥粉末を肺に投与するための他の乾燥粉末分散装置は、たとえば、欧州特許第129985号、欧州特許第472598号、欧州特許第467172号、および米国特許第5,522,385号に記載されている装置を含み、これらは参照により本願明細書に組込まれる。また、本発明の乾燥粉末を送達するのに適するのは、たとえばAstra−Dracoの「TURBOHALER」などの吸入装置である。このタイプの装置は、米国特許第4,668,281号、第4,667,668号、および第4,805,811号に詳述されており、これらはすべて参照により本願明細書に組込まれる。他の適した装置は、たとえば、ROTAHALER(商標)(Glaxo)、Discus(商標)(Glaxo)、Spiros(商標)吸入器(Dura Pharmaceuticals)、およびSpinhaler(商標)(Fisons)などの乾燥粉末吸入器を含む。粉末状の薬物を混入させるか、空気をスクリーンに通すことによって薬物を担体スクリーンから吸い上げるか、たとえば参照により本明細書に組込まれる米国特許第5,388,572号に記載されているような装置の口金を通って患者に次の粉体を投入しながら混合チャンバで空気を粉体薬物と混合するかのいずれかに対し、ピストンを利用して空気を供給する装置もまた、適している。別の型式の乾燥粉末吸入器が使用されてもよく、米国仮出願番号第60/854,601号および第60/906,977号に開示されているが、これらは参照により本願明細書に組込まれ、Nektar Therapeutics.所有のものである。
【0042】
たとえば、参照により本願明細書に組み込まれる米国特許第5,320,094号および第5,672,581号に記載されているように、クロロフルオロカーボンやフルオロカーボンなどの薬学的に不活性の液体推進薬に薬物の溶液または懸濁液を含むVentolin(商標)の定量噴霧式吸入器など加圧式の定量噴霧式吸入器(MDI)を使用して、乾燥粉末を送達してもよい。
【0043】
医薬製剤は、活性薬剤を含んでいてもよい。本願明細書において記載されている活性薬剤は、薬剤、薬物、化合物、組成物、またはその混合物を含み、ある薬理学的な、多くの場合有益な効果を与えるものである。これは、食品、食品補助剤、栄養剤、薬物、ワクチン、ビタミン類、および他の有益な物質を含む。本願明細書において使用されているように、これらの用語は、患者に局所的または全身的な効果をもたらす任意の生理的または薬理学的に活性の物質をさらに含む。本願明細書に記載されている医薬製剤に取り込まれる活性薬剤は、末梢神経、アドレナリン作用性レセプター、コリン作用性レセプター、骨格筋、心血管系、平滑筋、血管系、シノプティックサイト(synoptic site)、神経効果器の接合部位(junctional site)、内分泌およびホルモン系、免疫系、生殖系、骨格系、肺系、オータコイド系、消化および排出系、ヒスタミン系、ならびに中枢神経系に作用する薬物を含む無機または有機の化合物であってもよいが、これに限定されるものではない。適した活性薬剤は、たとえば以下から選択されてもよい。催眠薬および鎮静薬、精神賦活薬、トランキライザー、呼吸薬物、抗痙攣薬、筋弛緩薬、パーキンソン病治療薬(ドーパミン拮抗薬)、鎮痛剤、消炎剤、抗不安薬(精神安定剤)、食欲抑制剤、抗片頭痛薬剤、筋収縮剤、抗微生物剤(抗生剤、抗ウイルス薬、抗真菌剤、ワクチン)抗関節炎薬、抗マラリア薬、制吐薬、抗てんかん薬、気管支拡張薬、サイトカイン、成長因子、抗癌剤、抗血栓薬剤、降圧薬、心臓血管薬、抗不整脈薬、抗酸化物質、抗喘息薬剤、避妊薬を含むホルモン薬剤、交感神経模倣薬、利尿薬、脂質調整薬剤、抗アンドロゲン薬剤、駆虫薬、抗凝固物質、腫瘍形成剤、抗腫瘍剤、血糖降下剤、栄養剤および栄養補助剤、成長補助剤、抗腸炎剤、ワクチン、抗体、診断剤および造影剤。吸入によって投与されると、活性薬剤は局所的にまたは全身的に作用することができる。
【0044】
活性薬剤は、小分子、ペプチド、ポリペプチド、タンパク質、多糖類、ステロイド、生理作用を誘発することが可能なタンパク質、ヌクレオチド、オリゴヌクレオチド、ポリヌクレオチド、脂肪、電解質、などを含む多くの構造上の種類のうちの1つに分類してもよいが、それに限定されない。本発明での使用に適した活性薬剤の例は以下を含むが、これらに限定されない。カルシトニン、アムホテリシンB、エリスロポエチン(EPO)、第VIII因子、第IX因子、セレダーゼ(ceredase)、セレザイム(cerezyme)、シクロスポリン、顆粒球コロニー刺激因子(GCSF)、トロンボポエチン(TPO)、α−1プロテイナーゼインヒビター、エルカトニン、顆粒球マクロファージコロニー刺激因子(GMCSF)、成長ホルモン、ヒト成長ホルモン(HGH)、成長ホルモン放出ホルモン(GHRH)、ヘパリン、低分子量ヘパリン(LMWH)、インターフェロンα、インターフェロンβ、インターフェロンγ、インターロイキン−1レセプター、インターロイキン−2、インターロイキン−2融合タンパク質、インターロイキン−1レセプターアンタゴニスト、インターロイキン−3、インターロイキン−4、インターロイキン−6、インターロイキン−11、黄体化ホルモン放出ホルモン(luteinizing hormone releasing hormone)(LHRH)、インシュリン、プロインスリン、インスリンアナログ(たとえば、全体が本願明細書に組込まれている米国特許第5,922,675号に記載されているようなモノアシル化インスリン)、アミリン、C−ペプチド、ソマトスタチン、オクトレオチドを含むソマトスタチンアナログ、バソプレッシン、卵胞刺激ホルモン(FSH)、インスリン様成長因子、インスリン様成長因子結合タンパク質(たとえばIGFBP3)、インスリントロピン(insulintropin)、マクロファージコロニー刺激因子(M−CSF)、神経成長因子(NGF)、組織成長因子、表皮細胞成長因子(KGF)、膠細胞成長因子(GGF)、腫瘍壊死因子(TNF)、内皮成長因子、副甲状腺ホルモン(PTH)、グルカゴン様ペプチドサイモシンα1、IIb/IIIaインヒビター、α−1アンチトリプシン、ホスホジエステラーゼ(PDE)化合物、VLA−4インヒビター、ビスホスホネート、呼吸器合胞体ウイルス抗体、嚢胞性線維症膜貫通調節因子(CFTR)遺伝子、デオキシリボヌクレアーゼ(DNase)、殺菌性/透過性増強タンパク質(BPI)、抗−CMV抗体、13−シスレチノイン酸、9−シスレチノイン酸、エリスロマイシン、オレアンドマイシン、トロレアンドマイシン、ロキシスロマイシン、クラリスロマイシン、ダベルシン(davercin)、アジスロマイシン、フルリスロマイシン(flurithromycin)、ジリスロマイシン(dirithromycin)、ジョサマイシン、スピロマイシン、ミデカマイシン、ロイコマイシン、ミオカマイシン(miocamycin)、ロキタマイシン、アンダジスロマイシン(andazithromycin)、およびスィノリドA(swinolide A)などのマクロライド;シプロフロキサシン、オフロキサシン、レボフロキサシン、トロバフロキサシン、アラトロフロキサシン、モキシフロキサシン、ノルフロキサシン、エノキサシン、グレパフロキサシン、ガチフロキサシン、ロメフロキサシン、スパルフロキサシン、テマフロキサシン、ペフロキサシン、アミフロキサシン、フレロキサシン、トスフロキサシン、プルリフロキサシン、イルロキサシン、パズフロキサシン、クリナフロキサシン、およびシタフロキサシンなどのフルオロキノロン、ゲンタマイシン、ネチルマイシン、パラメシン、トブラマイシン、アミカシン、カナマイシン、ネオマイシン、およびストレプトマイシン、バンコマイシン、テイコプラニン、ランポラニン(rampolanin)、ミデプラニン(mideplanin)、コリスチン、ダプトマイシン、グラミシジン、コリスチメタートなどのアミノグリコシド、ポリミキシンB、カプレオマイシン、バシトラシン、ペネムなどのポリミキシン;ペニシリンG、ペニシリンVのようなペニシリナーゼ感受性の薬剤を含むペニシリン;メチシリン、オキサシリン、クロキサシリン、ジクロキサシリン、フロキサシリン(floxacillin)、ナフシリンのようなペニシリナーゼ耐性薬剤;アンピシリン、アモキシシリン、およびヘタシリン、シリン、およびガラムピシリン(galampicillin)のようなグラム陰性菌活性剤;カルベニシリン、チカルシリン、アズロシリン、メズロシリン、およびピペラシリンのような抗緑膿菌性ペニシリン;セフポドキシム、セフプロジル、セフトブテン(ceftbuten)、セフチゾキシム、セフトリアキソン、セファロチン、セファピリン、セファレキシン、セフラドリン(cephradrine)、セフォキシチン、セファマンドール、セファゾリン、セファロリジン、セファクロール、セファドロキシル、セファログリシン、セフロキシム、セフォラニド、セフォタキシム、セファトリジン、セファセトリル、セフェピム、セフィキシム、セフォニシド、セフォペラゾン、セフォテタン、セフメタゾール、セフタジディム、ロラカルベフ、およびマクソラクタム、アズトレオナムのようなモノバクタムなどのようなセファロスポリン;イミペネム、メロペネム、イセチオン酸ペンタミジン、硫酸アルブテロール、リドカイン、硫酸メタプロテレノール、ベクロメタゾンジプレピオネート、トリアムシノロンアセトアミド、ブデソニドアセトニド、フルチカゾン、臭化イプラトロピウム、フルニソリド、クロモリンナトリウム、および酒石酸エルゴタミンのようなカルバペネム;リラプラジブ(rilapladib)、ダラプラジブ(darapladib)、レモグリフロジンエタボネート、オテリキシズマブ、カルベジロール、フォンダパリヌクス、メトホルミン、ロシグリタゾン、ファルグリタザル、シタマキン、タフェノキン、ベリムマブ、パゾパニブ、ロナカレレット、ソラベグロン、デュタステライド、メポリズマブ、オファツムマブ、オルブピタント(orvepitant)、カソピタント、フィラテグラスト、ラモトリジン、ロピニロール、イボクタデキン(iboctadekin)、リツキシマブ、トトロンボパグ(totrombopag)、ラパチニブ、エレスクロモール、トポテカン、ダロトロピウム、ザフィルルカスト、アナストロゾール、カンデサルタンシレキセチル、バンブテロール、テルブタリン、メピバカイン、ビカルタミド、プリロカイン、ロスバスタチン、プロポフォル、フルベストラント、イソソルビド−5−モノニトレート、イソソルビドジニトレート、プロパノロール(propanolol)、ゲフィチニブ、エナラプリル、フェロジピン、メトプロロール、オメプラゾール、ブピバカイン、プリミドン、ロピバカイン、エソメプラゾール、アテノロール、ニフェジピン、タモキシフェン、フォルモテロール、ラミプリル、クエチアピン、クロルタリドン、ラルチトレキセド、ビロキサジン、リシノプリル、ヒドロクロロチアジド、ゴセレリン、ゾルミトリプタン、サキサグリプチン、ダパグリフロジン、モタビズマブ、イブプロフェン、エチニルエストラジオール、レボノルゲストレル、ロラタジン、アミオダロン、ブロムフェニラミン、デキストロメトルファン、フェニレフリン、フェニルプロパノールアミン、ベンラファキシン、エタネルセプト、ノルゲストレル、ミノサイクリン、ゲムツズマブオゾガマイシン、オプレルベキン、パントプラゾール、プロメタジン、メドロキシプロゲステロン、エピネフリン、デスベンラファキシン、シロリムス、テムシロリムス、エチオナミド、チゲサイクリン、タゾバクタム、バゼドキシフェン、プリニベレル(priniberel)、ビフェプルノクス(bifeprunox)、バピネオズマブ、レコゾタン、バビカセリン、ロチガプチド、スタムルマブ、メチルナルトレキソン、ボスチニブ、アルテプラーゼ、テネクテプラーゼ、メロキシカム、タムスロシン、チオトロピウム、サルブタモール、フェノテロール、ネビラピン、チプラナビル、デュロキセチン、プラミペキソール、ジピリダモール、ナプロキセン、ベバシズマブ、スルファメトキサゾールトリメトプリム、ベンザフィブレート、イバンドロネート、ミコフェノール酸モフェチル、エンフュービルタイド、トラスツズマブ、サキナビル、グラニセトロン、メフロキン、レボドパベンセラジド、エポエチンβ、フィルグラスチム、ドルナーゼα、イソトレチノイン、オセルタミビル、エルロチニブ、ケトロラク、トラセミド、バルガンシクロビル、ジアゼパム、トレチノイン、ネルフィナビル、カペシタビン、オルリスタット、ダクリズマブ、トシリズマブ、オクレリズマブ、アレグリタザル(aleglitazar)、ペルツズマブ、ニカラベン、オマリズマブ、リセドロネート、フェキソフェナジン、ゾルピデム、ドラセトロン、レフルノミド、イルベサルタン、クリンダマイシン、フルオロウラシル、ロイプロリド、ラスブリカーゼ、オキサリプラチン、ヒアルロネート、テリスロマイシン、グラルギン、エノキサパリン、シクロピロックス、クロピドグレル、リルゾール、ポリL−乳酸、ドセタキセル、アルフゾシン、グリメピリド、クロロキン、メペンゾレート、クロミフェン、デスモプレッシン、メペリジン、プレドニカルベート、グリブリド、エルゴカルシフェロール、メタンアミン、ヒドロコルチゾン、ベタキソロール、フロセミド、インダパミド、アンベノニウム、ニルタミド、メトロニダゾール、デシプラミン、ハイドロキシクロロキン、リファペンチン、ミルリノン、ジフロラゾン、リファンピン、チルドロネート、ペンタゾシン、ペントキシフィリン、ヒアルロン酸、ベンザルコニウム、組織プラスミノゲンアクチベーター、CMV免疫グロブリン、グルコセレブロシダーゼ、トリメトレキセート、ポルフィマー、滅菌チオテパ(sterile thiotepa)、アミホスチン、ドキソルビシン、3TC、ダウノルビシン、シドホビル、カルムスチン、ミトキサントロン、HIVプロテアーゼインヒビター、ドーパミンDA1アゴニスト、カルバマゼピン、セルモレリン、ペプチドGPIIb/IIIaアンタゴニスト、パリビズマブ、サリドマイド、インフリキシマブ、ホミビルセン、ドキシサイクリン、セベラマー、モダフィニル、抗胸腺細胞グロブリン、B型肝炎免疫グロブリン、アンプレナビル、シタラビン、ザナミビル、ベキサロテン、ソマトロピン、ゾニサミド、ベルテポルフィン、コレセベラム、直接トロンビンインヒビター、トロンビン、抗血友病因子、メチルフェニデート、亜砒酸、絨毛性ゴナドトロピンα、ヒアルロナン、エピビル、レトロビル、ザイアジェン、ビバリルジン、イントロン、アレムツズマブ、トリプトレリン、ネシリチド、骨形成タンパク質、テノホビルジソプロキシル、ボセンタン、エンドセリン受容体アンタゴニスト、デクスメチルフェニデート、5HT 1B/1Dアゴニスト、Y2B8、セクレチン、トレプロスチニル、ナトリウムオキシベート、プラステロン、アデフォビルジピボキシル、マイトマイシン、アダリムマブ、アレファセプト、アガルシダーゼβ、ラロニダーゼ、ゲミフロキサシン、トシツモマブ、ヨウ素、ヌクレオシド系逆転写酵素インヒビター、パロノセトロン、硝酸ガリウム、エファリズマブ、リスペリドン、ホスアンプレナビル、アバレリックス、タダラフィル、セツキシマブ、シナカルセト、トロスピウム、リファキシミン、アザシチジン、エムトリシタビン、エルロチニブ、ナタリズマブ、エスゾピクロン、パリフェルミン、アプタニンブ(aptaninb)、クロファラビン、イロプロスト、プラムリンチド、エクセナチド、ガラプラーゼ(galaplase)、ヒドララジン、ソラフェニブ、レナリドマイド、ラノラジン、ナルトレキソン、アルグルコシダーゼα、デシタビン、ラニビズマブ、エファビレンツ、エムトリシタビン、イズルスルファーゼ、オラベセント(oravescent)フェンタニル、パニツムマブ、テルビブジン、アリスキ
レン、エクリズマブ、アンブリセンタン、アルモダフィニル、ランレオチド、サプロプテリン、リマンチジン(rimantidine)、および、適用する場合には、上記のアナログ、アゴニスト、アンタゴニスト、インヒビター、および薬学的に許容され得る塩形態。ペプチドおよびタンパク質に関して、本発明は、合成、天然、グリコシル化、非グリコシル化、ペグ化形態、ならびに生物活性フラグメントおよびそのアナログを包含することを意図するものである。
【0045】
本発明に用いられる活性薬剤は、むきだしの核酸分子としての核酸、RNAi、アプタマー、siRNA、ベクター、関連するウイルス粒子、プラスミドDNAもしくはRNA、または、細胞のトランスフェクションもしくは軽質転換に適した、すなわちアンチセンスを含む遺伝子治療に適したタイプの他の核酸構築物をさらに含む。さらに、活性薬剤は、サイトメガロウイルス、狂犬病、HIV、肺炎球菌、デング熱、エプスタインバー、西ナイル熱、肝炎、マラリア、結核、水痘帯状疱疹、インフルエンザ、ヘルペス、ジフテリア、破傷風、百日咳、無菌体百日咳、ヒトパピローマ、BCG、Hib−MenCY−TT、およびMenACWY−TTなどのワクチンとしての用途に適した、弱毒性ウイルスまたは死菌ウイルスを含んでもよい。活性薬剤はまた、モノクローナル抗体などの抗体や、たとえば抗CD3mAb、ジゴキシン結合ヒツジ抗体フラグメント、抗RSV Ab、抗TAC mAbまたは抗血小板mAbなどのモノクローナル抗体フラグメントを含んでもよい。他の有用な薬物には、医師用卓上参考書(Physician’s Desk Reference)(最新版)の中に掲載されているものが含まれる。
【0046】
上記の様に、乾燥粉末は、1つ以上の薬学的に許容され得る賦形剤を含んでいてもよい。薬学的に許容され得る賦形剤の例には、脂質、金属イオン、界面活性剤、アミノ酸、含水炭素、緩衝剤、塩、ポリマーなど、およびそれらの組み合わせが含まれるが、これらに限定されない。
【0047】
脂質の例には、リン脂質、糖脂質、ガングリオシドGM1、スフィンゴミエリン、ホスファチジン酸、カルジオリピン;ポリエチレングリコール、キチン、ヒアルロン酸またはポリビニルピロリドンなどの、脂質を含むポリマー鎖;脂質を含むスルホン化単糖、二糖類および多糖;パルミチン酸、ステアリン酸およびオレイン酸などの脂肪酸;コレステロール、コレステロールエステルおよびコレステロールヘミスクシネートが挙げられるが、これらに限定されない。
【0048】
1つ以上の実施形態において、リン脂質が、1つ以上のホスファチジルコリンなどの飽和リン脂質を含む。例示的なアシル鎖の長さは、16:0および18:0(すなわち、パルミトイルおよびステアロイル)である。リン脂質含有率は、活性薬剤の活性、送達の様式および他の要因によって決定され得る。
【0049】
天然および合成の原料からリン脂質は、様々な量で使用され得る。リン脂質が存在する場合、この量は通常、リン脂質の少なくとも単一の分子層で活性薬剤をコーティングするのに十分な量である。一般に、リン脂質含有率は、たとえば約20重量%〜約80重量%など、約5重量%〜約99.9重量%の範囲にある。
【0050】
一般に、適合性リン脂質は、約60℃を超えるか、または約80℃を超えるなど、約40℃を超えてゲルから液晶相に遷移するものを含む。取り込まれたリン脂質は比較的長鎖の飽和脂質であってもよい(たとえば、C16−C22)。開示された安定化調製物において有用な例示的なリン脂質は、ジパルミトイルホスファチジルコリン、ジステアロイルホスファチジルコリン、ジアラキドイルホスファチジコリン、ジベヘノイルホスファチジルコリン、ジホスファチジルグリセロール、短鎖ホスファチジルコリン、水素化ホスファチジルコリン、E100−3(Lipoid KG, Ludwigshafen, Germanyから入手可能)、長鎖飽和ホスファチジルエタノールアミン、長鎖飽和ホスファチジルセリン、長鎖飽和ホスファチジルグリセロール、長鎖飽和ホスファチジルイノシトール、ホスファチジン酸、ホスファチジルイノシトール、およびスフィンゴミエリンなどのホスホグリセリドを含むが、これらに限定されない。
【0051】
金属イオンの例には、カルシウム、マグネシウム、亜鉛、鉄などを含む二価陽イオンが挙げられるが、これらに限定されない。たとえば、リン脂質が使用される場合、医薬組成物はWO01/85136号およびWO01/85137号に開示されているような多価陽イオンを含んでいてもよく、これらは参照により全体が本願明細書に組み込まれる。多価陽イオンは、リン脂質の溶融温度(Tm)を上昇させるのに効果的な量で存在してもよいので、医薬組成物が少なくとも約20℃、たとえば少なくとも約40℃だけその収容温度(Ts)よりも高いTmを呈する。多価陽イオン対リン脂質のモル比は、少なくとも約0.05:1、たとえば約0.05:1〜約2.0:1、または約0.25:1〜約1.0:1であってもよい。多価陽イオン:リン脂質のモル比の一例は、約0.50:1である。多価陽イオンがカルシウムである場合、塩化カルシウムの形態であってもよい。たとえばカルシウムなどの金属イオンがリン脂質に多くの場合含まれているとしても、いずれも不要である。
【0052】
上記のように、乾燥粉末は、1つ以上の界面活性剤を含んでいてもよい。たとえば、1つ以上の界面活性剤が液相にあり、1つ以上が組成物の固体粒子または粒子と結合していてもよい。「結合している」ということによって、医薬組成物が、界面活性剤を取り込む、吸着する、吸収する、界面活性剤でコーティングされる、または界面活性剤によって形成されていることを意味している。界面活性剤としては、飽和および不飽和脂質、非イオン系界面活性剤、非イオン性ブロック共重合体、イオン性界面活性剤などのフッ化および非フッ化化合物、ならびにそれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。前述の界面活性剤に加えて、適したフッ化界面活性剤は、本願明細書における教示と両立できるものであり、望ましい調製物を供給するのに使用可能であることを強調されたい。
【0053】
非イオン性界面活性剤の例には、ソルビタントリオレエート(Span(商標)85)、ソルビタンセスキオレエート、ソルビタンモノオレエート、ソルビタンモノラウレート、ポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノラウレート、およびポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノオレエートを含むソルビタンエステル、オレイルポリオキシエチレン(2)エーテル、ステアリルポリオキシエチレン(2)エーテル、ラウリルポリオキシエチレン(4)エーテル、グリセロールエステル、ならびにショ糖エステルが含まれるが、これらに限定されない。他の適した非イオン性界面活性剤は、McCutcheon’s Emulsifiers and Detergents(McPublishing Co., Glen Rock, New Jersey)を使用して容易に特定することができ、これは参照により全体が本願明細書に組み込まれる。
【0054】
ブロック共重合体の例には、ポロキサマー188(Pluronic(商標)F−68)、ポロキサマー407(Pluronic(商標)F−127)、およびポロキサマー338を含む、ポリオキシエチレンおよびポリオキシプロピレンのジブロックおよびトリブロック共重合体が挙げられるが、これらに限定されない。
【0055】
イオン性界面活性剤の例には、ナトリウムスルホスクシネートおよび脂肪酸石鹸含まれるが、これらに限定されない。
【0056】
アミノ酸の例には、疎水性アミノ酸が含まれるが、これらに限定されない。薬学的に許容し得る賦形剤としてアミノ酸を使用することは、WO95/31479号、WO96/32096号、およびWO96/32149号に開示されているように、当該分野において知られており、これらは参照によって本願明細書に組み込まれる。
【0057】
炭水化物の例には、単糖類、二糖類、および多糖類が含まれるが、これに限定されない。たとえば、デキストロース(無水および一水化物)、ガラクトース、マンニトール、D−マンノース、ソルビトール、ソルボースなどの単糖類;ラクトース、マルトース、スクロース、トレハロースなどの二糖類;ラフィノースなどの三糖類;およびデンプン(ヒドロキシエチルスターチ)、シクロデキストリンおよびマルトデキストリンなどの他の炭水化物。
【0058】
緩衝剤の例は、トリスまたはシトレートを含むが、これに限定されない。
【0059】
酸の例は、カルボン酸を含むが、これに限定されない。
【0060】
塩の例は、塩化ナトリウム、カルボン酸の塩(たとえば、クエン酸ナトリウム、アスコルビン酸ナトリウム、グルコン酸マグネシウム、グルコン酸ナトリウム、トロメタミン塩酸塩など)、炭酸アンモニウム、酢酸アンモニウム、塩化アンモニウムなどを含むが、これに限定されない。
【0061】
有機固体の例は、ショウノウなどを含むが、これに限定されない。
【0062】
本発明の1つ以上の実施形態の乾燥粉末は、たとえば生分解性ポリマーや共重合体などの生体適合性ポリマー、またはそのブレンドや他のその組み合わせを含んでいてもよい。この点において、有用なポリマーは、ポリ乳酸、ポリ乳酸−グリコリド、シクロデキストリン、ポリアクリレート、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ポリビニルアルコール、ポリ無水物、ポリラクタム、ポリビニルピロリドン、多糖類(デキストラン、デンプン、キチン、キトサンなど)、ヒアルロン酸、タンパク質、(アルブミン、コラーゲン、ゼラチンなど)を含む。当業者に明らかなように、適切なポリマーを選択することによって、組成物の送達効率および/または分散の安定性を調整して、活性薬剤の有効性を最適化することができる。
【0063】
上述した薬学的に許容され得る賦形剤の他に、望ましいであろうことは、乾燥粉末に他の薬学的に許容され得る賦形剤を添加して、粒子の硬性、製品歩留、放出薬用量および堆積、貯蔵寿命および患者の受容を向上させることである。このような任意選択的な薬学的に許容され得る賦形剤は、着色剤、味覚マスキング剤、緩衝剤、吸湿性薬剤、酸化防止剤、および化学安定剤を含むが、これに限定されない。さらに、種々の薬学的に許容され得る賦形剤は、粒子組成物に構造および形態を与える(たとえばラテックス粒子)のに使用されてもよい。この点に関しては、たとえば選択的溶媒抽出法などの生成後の技術を使用して硬化性成分を除去することができることを理解されたい。
【0064】
乾燥粉末は、薬学的に許容され得る賦形剤の混合物を含んでいてもよい。たとえば、炭水化物とアミノ酸との混合物は、本発明の範囲内にある。
【0065】
調製物は、微生物の成長を防止するかまたは抑制するための抗菌物質を含んでいてもよい。本発明に適した抗菌物質の限定されない例としては、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム、ベンジルアルコール、塩化セチルピリジニウム、クロロブタノール、フェノール、フェニルエチルアルコール、硝酸フェニル水銀、チメロサール(thimersol)、およびそれらの組み合わせを含む。
【0066】
酸化防止剤もまた同様に、調製物に存在してよい。酸化を防止するために酸化防止剤が使用され、それによって、コンジュゲートまたは調製物の他の成分の変質を防止する。本発明に使用されるのに適した酸化防止剤は、たとえば、アスコルビルパルミテート、ブチル化ヒドロキシアニソール、ブチル化ヒドロキシトルエン、次亜リン酸、モノチオグリセロール、プロピルガレート、亜硫酸水素ナトリウム、ナトリウムホルムアルデヒドスルホキシレート、メタ重亜硫酸ナトリウム、およびこれらの組み合わせを含む。
【0067】
界面活性剤は、賦形剤として存在してもよい。例示的な界面活性剤は、以下を含む:「Tween20」および「Tween80」などのポリソルベートや、F68およびF88などのプルロニック(両方とも、BASF, Mount Olive, New Jerseyから入手可能);ソルビタンエステル;レシチンおよび他のホスファチジルコリンなどのリン脂質、ホスファチジルエタノールアミン(好ましくはリポソームの形態ではないが)、脂肪酸、および脂肪酸エステルなどの脂質;コレステロールなどのステロイド;EDTA、亜鉛、および他のこの種の適した陽イオンなどのキレート剤。
【0068】
酸または塩基が、調製物の賦形剤として存在してもよい。使用可能な酸の非限定的な例は、塩酸、酢酸、リン酸、クエン酸、リンゴ酸、乳酸、ギ酸、トリクロロ酢酸、硝酸、過塩素酸、リン酸、硫酸、フマル酸、およびそれらの組み合わせから成る群から選択される酸を含む。適した塩基の例としては、水酸化ナトリウム、酢酸ナトリウム、水酸化アンモニウム、水酸化カリウム、酢酸アンモニウム、酢酸カリウム、リン酸ナトリウム、リン酸カリウム、クエン酸ナトリウム、ギ酸ナトリウム、硫酸ナトリウム、硫酸カリウム、フマル酸カリウム、およびそれらの組み合わせから成る群から選択される塩基が挙げられるが、これらに限定されない。
【0069】
組成物中の活性薬剤量は、多くの因子によって変化し得るが、組成物が単位用量の容器に収容される場合には、好ましくは治療的に効果的な薬用量であってもよい。治療的に効果的な薬用量は、どの量が臨床的に望ましい指標をなすかを決定するために増加する量の活性薬剤を繰り返し投与することによって、実験的に決定されてもよい。
【0070】
活性薬剤は、約1重量%〜約99重量%、好ましくは約5重量%〜98重量%、より好ましくは、活性薬剤の約15重量%〜95重量%の量が組成物に存在してもよく、より好ましくは濃度が30重量%未満である。
【0071】
組成物のあらゆる個々の賦形剤の量が、賦形剤の活性および組成物の特定の必要性に応じて変化してもよい。ルーチン試験を通して、すなわち、様々な量(少量から多量まで)の賦形剤を含む組成物を調製し、安定性および他のパラメーターを検査し、次に、最適な性能が有意な副作用なしで達成される範囲を決定することによって、あらゆる個々の賦形剤の最適量を決定することができる。
【0072】
賦形剤は、約1重量%〜約99重量%、好ましくは約5重量%〜98重量%、より好ましくは、活性薬剤の約15重量%〜95重量%の量が組成物に存在してもよく、より好ましくは濃度が30重量%未満である。
【0073】
1つの実施形態において、組成物は、重量パーセントで約60%〜約95%のインシュリン;および約5%〜約30%の緩衝剤を含む乾燥粉末の医薬組成物を含んでいてもよく、この組成物が蒸留水中1mg/mlの濃度で溶解して溶液を形成する場合、該溶液のpHは7.5以上となる。
【0074】
別の実施形態において、組成物は、重量パーセントで約60%〜約95%のインシュリン;および約5%〜約30%の緩衝剤を含む乾燥粉末の医薬組成物を含んでいてもよく、組成物が同量の水で溶解する場合、溶液のpHは7.5以上となり、85℃で72時間50%の相対湿度の環境に曝露される場合、高分子量タンパク質(HMWP)分解生成物の存在によって測定されるように、同一の環境条件下で試験された、60重量%のヒト組換え体インシュリン、27.06重量%のクエン酸ナトリウム脱水物、10.01重量%のマンニトール、2.60重量%のグリシン、および0.33重量%の水酸化ナトリウムからなる、乾燥粉末のインシュリン製剤よりも劣化が少ない。
【0075】
別の実施形態において、組成物は、乾量基準で85重量%〜95重量%のインシュリン;乾量基準で5重量%〜15重量%の安定賦形剤;乾量基準で0.001重量%〜0.2重量%のアルコール;および5重量%未満の水を含む粉体を含んでもよい。
【0076】
粉末組成物、粉末組成物を調製する方法および粉末組成物を使用する方法に関する他の米国特許および米国特許出願は、たとえば、米国特許第6,685,967号、第5,997,848号、第5,826,633号、第6,267,155号、第6,581,650号、第6,182,712号、米国特許出願番号第60/392,076号、第10/609,132号、第08/207,472号、第08/383,475号、第09/210,313号、第09/665,2910/160,229号、第10/418,966号、第11/146,950号、第60/100,437号、第10/360,603号、第60/854,601号、第60/906,677号、および、2007年10月25日に出願され、Nektar Therapeuticsに譲渡されている、「粉体分散装置およびこの装置を製作し使用する方法(Powder Dispersion Apparatus and Method of Making and Using the Apparatus)」と題するPCT出願などがあるが、これらはすべて全体が組み込まれる。
【0077】
他の賦形剤に加えてこれら上述の医薬賦形剤は、「Remington: The Science & Practice of Pharmacy」 19th ed., Williams & Williams, (1995)、the「Physician’s Desk Reference」 52nd ed., Medical Economics, Montvale, NJ (1998)、および、Kibbe, A.H., Handbook of Pharmaceutical Excipients, 3rd Edition, American Pharmaceutical Association, Washington, D.C. (2000)に記載されている。
【実施例】
【0078】
本発明を、ある好ましく特定の実施形態とともに記載してきたが、上述の記載は、以下の例と同様に、本発明の範囲を説明することを目的とし限定することを目的としないことを理解されたい。本発明が関連する本発明の範囲内の他の態様、利点および改変は、当業者に明らかである。添付の実施例において引用されている化学試薬はすべて、特に明記しない限り商業的に入手可能である。
【0079】
一実施形態において、ウェブワッカー、密封されたブリスターを含むウェブは、ウェブが吸込まれて個々のブリスターに打ち込まれる前に、徐々に軽く打たれるか、または強打される。モータに連結されている円形シャフトにある折りたたみ式のアームが、ウェブの下部に衝突する(図1)。シャフトの回転速度とパッケージングライン上の各「吸込み」間の時間とが、パックの破砕の程度を決定する。ウェブを強打させる時間は、生産能力(吸込み時間)とパックを分散可能な粉体に能率的に破砕することとのバランスである。
【0080】
音響調整と呼ばれている第2の実施形態では、密封されたブリスターを含むウェブは、吸込まれて個々のブリスターに打ち込まれる前に、音響スピーカによって機械振動を受ける。スピーカは、ウェブの上に位置している(図2参照)。電圧によって順番に制御されるスピーカの周波数および振幅をチューニングすることによって、ウェブの振動を調整することができる。ウェブが音響振動を受ける時間は、生産能力(吸込み時間)とパックを分散可能な粉体に能率的に破砕することとのバランスである。
【0081】
超音波調整と呼ばれている第3の実施形態では、密封されたブリスターを含むウェブが、吸込まれて個々のブリスターに打ち込まれる前に超音波プローブ(または超音波ホーン)によって機械振動を受ける。プローブは、ウェブの下方に位置している(図3A参照)。ウェブの振動は、超音波プローブの振幅を固定周波数でチューニングすることによって調整可能である。パックを破砕する効率は、プローブをウェブに連結することに依存する。ウェブを超音波プローブにさらす時間は、生産能力(吸込み時間)とパックを分散可能な粉体に能率的に破砕することとのバランスである。本手法の自在性は、プローブがウェブの下方、頂部、または側部のいずれかに位置することができることである。図3Bは、複数の超音波プローブを含む実施形態を示している。図4〜図8は、種々のパラメーター下でのブリスターの放出薬用量に関する超音波調整の結果を示している。理解できるように、40%の振幅がより良好な調整をもたらすように思われるが、他の出力設定もまた効果的である。一度このように調整されると、輸送しても放出薬用量に影響を及ぼさないこともまた理解できる。
【0082】
また超音波調整と呼ばれる第4の実施形態では、Branson Sonicatorの水浴を使用する(型2150)。この水浴には、適正レベルになるまで水が充填される。乾燥粉末のブリスターは水の上に配置されるので、ブリスターは上部に浮かんでいる(図4)。超音波処理器のスイッチが入り、ブリスターに設定可能な時間(たとえば1〜5分間)、超音波処理を施す(40kHz)。超音波処理に続いて、ブリスターを拭き取って乾燥させ、放出薬用量を超音波処理されていないブリスターと比較する。浴の液面の周波数および振幅によって、ウェブの振動を決定する。ウェブを超音波プローブにさらす時間は、生産能力(吸込み時間)とパックを分散可能な粉体に能率的に破砕することとのバランスである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つの単位用量の薬物パッケージの内容物を、単位用量の薬物パッケージの仕上げステップの前に調整する方法であって、
少なくとも1つの超音波プローブおよび前記少なくとも1つの単位用量の薬物パッケージを接触させて、前記少なくとも1つの単位用量の薬物パッケージの内容物を少なくとも部分的に解凝集する工程を含む、方法。
【請求項2】
前記少なくとも1つの単位用量の薬物パッケージが、超音波プローブと直接的または間接的に接触して、前記少なくとも1つの単位用量の薬物パッケージの振動が生じる、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記超音波プローブの振幅を固定周波数でチューニングすることによって、前記振動が調整可能である、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記超音波プローブが、約5kHz〜約100kHzの範囲にある振動数を発生させる、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記超音波プローブが、約10kHz〜約40kHzの範囲にある振動数を発生させる、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記超音波プローブが、約0.0005インチ〜約0.005インチの振動振幅を発生させる、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記超音波プローブからの振動が不定期間印加される、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記少なくとも1つの単位用量の薬物パッケージと直接的または間接的に接触することによる前記超音波プローブの周期的な離脱によって、前記振動が不定期間印加される、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記超音波プローブを間欠的に活性化または非活性化することによって、前記振動が不定期間印加される、請求項7に記載の方法。
【請求項10】
前記振動が約3秒間印加される、請求項2に記載の方法。
【請求項11】
前記振動が、約0.25秒〜約2.0秒の範囲で印加される、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記超音波プローブの周波数および振幅のうちの少なくとも1つをチューニングすることによって、前記振動が調整される、請求項2に記載の方法。
【請求項13】
前記少なくとも1つの単位用量の薬物パッケージが、部材によって前記超音波プローブと強制的に接触する、請求項1に記載の方法。
【請求項14】
前記部材が、ばね、空気式装置、電気機械的装置、およびマグネットから選択される、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記部材が、エラストマー材料、高分子材料、または金属材料を備える、プラグが先端に付いたばねである、請求項13に記載の方法。
【請求項16】
前記超音波プローブが、前記少なくとも1つの単位用量の薬物パッケージの下方、上部、または側部に配置されている、請求項1に記載の方法。
【請求項17】
抑制装置が、前記超音波プローブに対して前記少なくとも1つの単位用量の薬物パッケージの反対側に配置されている、請求項1に記載の方法。
【請求項18】
前記接触工程が、
抑制装置を、前記抑制装置が直接的または間接的に前記少なくとも1つの単位用量の薬物パッケージと接触する係合位置と、前記抑制装置が少なくとも1つの単位用量の薬物パッケージと接触しない非係合位置との間で作動させる工程を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項19】
前記接触工程が、
抑制装置を、前記抑制装置が直接的または間接的に前記少なくとも1つの単位用量の薬物パッケージと接触する係合位置と、前記抑制装置が少なくとも1つの単位用量の薬物パッケージと接触しない非係合位置との間で垂直方向に作動させる工程を含む、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記少なくとも1つの単位用量の薬物パッケージがタブを備え、前記超音波プローブが前記タブ以外の前記少なくとも1つの単位用量の薬物パッケージの一部分と接触する、請求項1に記載の方法。
【請求項21】
前記内容物が、乾燥粉末薬物を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項22】
前記内容物が、インシュリンを含む乾燥粉末薬物を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項23】
前記少なくとも1つの単位用量の薬物パッケージが、少なくとも1つのブリスターパックを備える、請求項1に記載の方法。
【請求項24】
前記少なくとも1つの単位用量の薬物パッケージが、複数のブリスターパックのウェブを備える、請求項1に記載の方法。
【請求項25】
前記単位用量の薬物パッケージの仕上げステップが、
前記少なくとも1つの単位用量の薬物パッケージを穿孔する工程;および
前記少なくとも1つの単位用量の薬物パッケージを打抜いて個々の単位用量の薬物パッケージを形成する工程、
のうちの少なくとも1つを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項26】
前記単位用量の薬物パッケージの仕上げステップが、前記単位用量の薬物パッケージを2次容器でパッケージングする工程を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項27】
前記2次容器が耐水性のパウチを備える、請求項26に記載の方法。
【請求項28】
前記調整工程がアセンブリライン上にある、請求項1に記載の方法。
【請求項29】
前記調整工程がアセンブリラインの外にある、請求項1に記載の方法。
【請求項30】
前記少なくとも1つの単位用量の薬物パッケージのキャビティを前記内容物で充填する工程;および
前記少なくとも1つの充填された単位用量の薬物パッケージのキャビティを密封して、前記少なくとも1つの単位用量の薬物パッケージを形成する工程、
をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項31】
前記少なくとも1つの充填された単位用量の薬物パッケージのキャビティを密封する工程が、前記少なくとも1つの単位用量の薬物パッケージのキャビティに蓋を密封して、前記少なくとも1つの単位用量の薬物パッケージを形成する工程を含む、請求項30に記載の方法。
【請求項32】
少なくとも1つの単位用量の薬物パッケージの内容物を、単位用量の薬物パッケージの仕上げステップの前に調整する方法であって、
前記少なくとも1つの単位用量の薬物パッケージを機械的ストライカで打ち、前記少なくとも1つの単位用量の薬物パッケージの内容物を少なくとも部分的に解凝集する工程を含む、方法
【請求項33】
前記機械的ストライカが回転部材を備えている、請求項32に記載の方法。
【請求項34】
前記回転部材が、前記少なくとも1つの単位用量の薬物パッケージを打ち当てる複数の突出部を備える、請求項33に記載の方法。
【請求項35】
前記回転部材が、約500rpm〜約4000rpmの範囲にある頻度で回転する、請求項33に記載の方法。
【請求項36】
前記内容物が、乾燥粉末薬物を含む、請求項32に記載の方法。
【請求項37】
前記内容物が、インシュリンを含む乾燥粉末を含む、請求項32に記載の方法。
【請求項38】
前記少なくとも1つの単位用量の薬物パッケージが、少なくとも1つのブリスターパックを備える、請求項32に記載の方法。
【請求項39】
前記少なくとも1つの単位用量の薬物パッケージが、複数のブリスターパックを含むウェブを備える、請求項32に記載の方法。
【請求項40】
前記単位用量の薬物パッケージの仕上げステップが、
前記少なくとも1つの単位用量の薬物パッケージを穿孔する工程;および
前記少なくとも1つの単位用量の薬物パッケージを打抜いて、個々の単位用量の薬物パッケージを形成する工程、
のうちの少なくとも1つを含む、請求項32に記載の方法。
【請求項41】
前記単位用量の薬物パッケージの仕上げステップが、前記単位用量の薬物パッケージを2次容器でパッケージングすることを含む、請求項32に記載の方法。
【請求項42】
前記2次容器が耐水性のパウチを備える、請求項41に記載の方法。
【請求項43】
前記少なくとも1つの単位用量の薬物パッケージのキャビティを前記内容物で充填する工程;および
充填後および接触工程前に、前記少なくとも1つの充填された単位用量の薬物パッケージのキャビティを密封する工程、
をさらに含む、請求項43に記載の方法。
【請求項44】
前記少なくとも1つの充填された単位用量の薬物パッケージのキャビティを密封する工程が、前記少なくとも1つの単位用量の薬物パッケージのキャビティに蓋を密封して、前記少なくとも1つの単位用量の薬物パッケージを形成する工程を含む、請求項43に記載の方法。
【請求項45】
少なくとも1つの単位用量の薬物パッケージの内容物を、単位用量の薬物パッケージの仕上げステップの前に調整する方法であって、
前記少なくとも1つの単位用量の薬物パッケージを超音波浴と接触させて、前記少なくとも1つの単位用量の薬物パッケージの内容物を少なくとも部分的に解凝集する工程、
を含む、方法
【請求項46】
前記超音波浴が、前記少なくとも1つの単位用量の薬物パッケージの振動を発生させ、前記振動が、少なくとも1つの超音波浴の周波数、振幅、または時間のうちの少なくとも1つを変化させることによって調整可能である、請求項45に記載の方法。
【請求項47】
前記超音波浴が、約5kHz〜約100kHzの範囲にある振動数を発生させる、請求項46に記載の方法。
【請求項48】
前記超音波浴が、約0.0002インチ〜約0.010インチの振幅を発生させる、請求項46に記載の方法
【請求項49】
前記超音波浴が、約1秒〜約10秒間振動を発生させる、請求項46に記載の方法。
【請求項50】
前記内容物が、乾燥粉末薬物を含む、請求項45に記載の方法。
【請求項51】
前記内容物が、インシュリンを含む乾燥粉末薬物を含む、請求項50に記載の方法。
【請求項52】
前記少なくとも1つの単位用量の薬物パッケージが、少なくとも1つのブリスターパックを備える、請求項45に記載の方法。
【請求項53】
前記少なくとも1つの単位用量の薬物パッケージが、複数のブリスターパックを含むウェブを備える、請求項52に記載の方法。
【請求項54】
前記単位用量の薬物パッケージの仕上げステップが、
前記少なくとも1つの単位用量の薬物パッケージを穿孔する工程;および
前記少なくとも1つの単位用量の薬物パッケージを打抜いて、個々の単位用量の薬物パッケージを形成する工程、
のうちの少なくとも1つを備える、請求項45に記載の方法。
【請求項55】
前記単位用量の薬物パッケージの仕上げステップが、前記単位用量の薬物パッケージを2次容器でパッケージングする工程を含む、請求項45に記載の方法。
【請求項56】
前記2次容器が耐水性のパウチを備える、請求項55に記載の方法。
【請求項57】
前記少なくとも1つの単位用量の薬物パッケージのキャビティを前記内容物で充填する工程;および
前記少なくとも1つの充填された単位用量の薬物パッケージのキャビティを密封して、前記少なくとも1つの単位用量の薬物パッケージを形成する工程、
をさらに含む、請求項45に記載の方法。
【請求項58】
前記少なくとも1つの充填された単位用量の薬物パッケージのキャビティを密封する工程が、前記少なくとも1つの単位用量の薬物パッケージのキャビティに蓋を密封して、前記少なくとも1つの単位用量の薬物パッケージを形成する工程を含む、請求項57に記載の方法。
【請求項59】
少なくとも1つの単位用量の薬物パッケージの内容物を、単位用量の薬物パッケージの仕上げステップの前に調整する装置であって、
前記少なくとも1つの単位用量の薬物パッケージを振動させて、前記少なくとも1つの単位用量の薬物パッケージの内容物を少なくとも部分的に解凝集する少なくとも1つの超音波プローブを備える、装置。
【請求項60】
前記超音波プローブが、前記少なくとも1つの単位用量の薬物パッケージを振動させるプローブの先端部を備える、請求項59に記載の装置。
【請求項61】
前記プローブの先端部が、約1.5mm〜約1.7mmの範囲にある先端部の半径を有する、請求項60に記載の装置。
【請求項62】
前記超音波プローブが、前記少なくとも1つの単位用量の薬物パッケージの下方、上部、または側部に配置されている、請求項59に記載の方法。
【請求項63】
前記少なくとも1つの単位用量の薬物パッケージが、複数の単位用量の薬物パッケージを含むウェブであり、前記超音波プローブが、複数の単位用量の薬物パッケージを備えるウェブに超音波エネルギを印加するように構成されて配置されている複数の超音波プローブを備える、請求項59に記載の装置。
【請求項64】
前記複数の超音波プローブが、ウェブの流れ方向に対して垂直およびほぼ直角に構成されて配置されている、請求項63に記載の装置。
【請求項65】
前記複数の超音波プローブが、ウェブの流れ方向に対して交差するライン上でほぼ水平方向に構成されて配置されているプローブの先端部を備える、請求項63に記載の装置。
【請求項66】
前記プローブの先端部が、前記複数の単位用量の薬物パッケージと直接的または間接的に接触するように構成されて配置されている、請求項63に記載の装置。
【請求項67】
前記プローブの先端部が、別々の単位用量の薬物パッケージに同時に直接的または間接的に接触するように構成されて配置されている、請求項63に記載の装置。
【請求項68】
前記ウェブを案内して前記プローブの先端部と位置合わせするように構成されて配置されているガイドをさらに備える、請求項63に記載の装置。
【請求項69】
前記プローブの先端部が前記ウェブと直接的または間接的に接触することを維持するように構成されて配置されている抑制装置をさらに備える、請求項63に記載の装置。
【請求項70】
前記抑制装置が、
前記ウェブの流れ方向に水平方向に交差して配置され、垂直に位置決め可能であるクロスビーム;および
前記クロスビーム上に構成されて配置されている複数のプラグ、
を備え、
前記クロスビームが、前記複数のプラグが前記ウェブおよび前記プローブの先端部の少なくとも1つと接触することができるように構成されて配置される係合位置と、前記複数のプラグが前記ウェブまたは前記プローブの先端部と接触することができないように構成されて配置される非係合位置とを有する、請求項69に記載の装置。
【請求項71】
少なくとも1つの単位用量の薬物パッケージの内容物をエアロゾル化する方法であって、
単位用量の薬剤のパッケージングステップ前に、請求項1に記載の前記少なくとも1つの単位用量の薬物パッケージを調整する工程;
前記少なくとも1つの単位用量の薬物パッケージをパッケージングする工程;および
前記単位用量の薬物パッケージの内容物をエアロゾル化する工程、
を含む、方法。
【請求項72】
治療を必要とする患者に対する疾患状態の治療方法であって、
単位用量の薬剤のパッケージングステップ前に、請求項1に記載の前記少なくとも1つの単位用量の薬物パッケージを調整する工程;および
前記少なくとも1つの単位用量の薬物パッケージをパッケージングする工程;および
有効量の前記少なくとも1つの単位用量の薬物パッケージの内容物で患者を治療する工程、
を含む、方法。

【図1】
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【図2】
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【図3A】
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【図3B】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公表番号】特表2011−500268(P2011−500268A)
【公表日】平成23年1月6日(2011.1.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−531047(P2010−531047)
【出願日】平成20年10月23日(2008.10.23)
【国際出願番号】PCT/US2008/012117
【国際公開番号】WO2009/055030
【国際公開日】平成21年4月30日(2009.4.30)
【出願人】(504389991)ノバルティス アーゲー (806)
【Fターム(参考)】