説明

印刷システム、データ転送方法

【課題】印刷速度をより向上させる。
【解決手段】プリンターと該プリンターに画像データを転送するホストコンピューターとを備える印刷システムであって、プリンターとホストコンピューターとの接続が、第1の接続手段の場合には画像データを第1のデータ形式の画像データとして転送し、プリンターとホストコンピューターとの接続が、第2の接続手段の場合には画像データを第2のデータ形式の画像データとして転送するデータ転送部を備え、第2の接続手段は第1の接続手段より単位時間当たりのデータ通信量が少なく、所定の画像データを転送する場合において、第2のデータ形式の画像データは、第1のデータ形式の画像データよりデータ量が少ない。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像データを転送するデータ転送装置と、転送された画像データを受信して印刷を行う印刷装置とからなる印刷システムに関する。
【背景技術】
【0002】
印刷に関して、高速に印刷処理を行う技術が知られている(例えば、下記特許文献1)。特に近年、印刷装置が印刷媒体上に画像を形成する速度(画像形成速度)の高速化が進んでいる。
【0003】
画像データを転送するデータ転送装置と、画像データを受信して印刷媒体に画像形成をする印刷装置とからなる印刷システムにおいては、ユーザーによる印刷処理開始の指示から印刷媒体に画像が形成され印刷処理が終了するまでの速さ(印刷速度)を考えた場合、画像形成速度の高速化に伴い、データ転送装置から印刷装置に画像データを転送する速度(データ転送速度)が律速になる場合がある。そこで、データ転送に要する時間を短縮し、印刷速度をさらに向上させたいという要望があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第4621766号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、上述した従来の課題を解決するためになされたものであり、印刷速度を向上させることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上述の課題の少なくとも一部を解決するために、以下の形態または適用例を取ることが可能である。
【0007】
[適用例1]
プリンターと該プリンターに画像データを転送するホストコンピューターとを備える印刷システムであって、
前記プリンターと前記ホストコンピューターとの接続が、第1の接続手段の場合には前記画像データを第1のデータ形式の画像データとして転送し、前記プリンターと前記ホストコンピューターとの接続が、第2の接続手段の場合には前記画像データを第2のデータ形式の画像データとして転送するデータ転送部を備え、
前記第2の接続手段は前記第1の接続手段より単位時間当たりのデータ通信量が少なく、
所定の画像データを転送する場合において、前記第2のデータ形式の画像データは、前記第1のデータ形式の画像データよりデータ量が少ない
印刷システム。
【0008】
この印刷システムによると、ホストコンピューターとプリンターとの接続手段によって転送する画像データのデータ量を変更する。その際、ホストコンピューターとプリンターとが単位時間当たりのデータ通信量(データ転送速度)の少ない接続手段で接続されている場合には、データ量の少ない画像データにして転送するので、データ転送時間を短縮することができる。よって印刷速度を向上させることができる。
【0009】
[適用例2]
適用例1記載の印刷システムであって、前記画像データにおける前記第1のデータ形式は、前記画像データを第1の圧縮手段で圧縮したデータ形式であり、前記第2のデータ形式は、前記画像データを第2の圧縮手段で圧縮したデータ形式である印刷システム。
【0010】
この印刷システムによると、ホストコンピューターとプリンターとが単位時間当たりのデータ通信量(データ転送速度)の少ない接続手段で接続されている場合には、圧縮手段を用いてデータ量の少ない画像データに圧縮して転送するので、データ転送時間を短縮することができる。
【0011】
[適用例3]
前記データ転送部は、前記各接続手段における接続の状態によって、前記各圧縮手段における前記画像データを圧縮する程度を補正する適用例2記載の印刷システム。
【0012】
この印刷システムによると、各接続手段における接続の状態(実効速度)によって、圧縮手段における圧縮の程度を補正することができるので、ホストコンピューターとプリンターとの実際の接続環境に対応して、画像データを圧縮して転送することができる。
【0013】
[適用例4]
前記第1の圧縮手段は可逆圧縮であり、前記第2の圧縮手段は非可逆圧縮である適用例2または適用例3に記載の印刷システム。
この印刷システムによると、第2の圧縮手段は非可逆圧縮であるので、可逆圧縮と比較してデータの高圧縮が可能となり、よりデータ容量を少なくして転送することができる。
【0014】
[適用例5]
前記第1の接続手段は、データ転送速度が20MB/S以上の有線通信であり、前記第2の接続手段は、データ転送速度が20MB/S未満の無線通信である適用例1ないし適用例4のいずれか記載の印刷システム。
【0015】
この印刷システムによると、ホストコンピューターとプリンターとの接続が、データ転送速度が20MB/S未満の無線通信の場合には、データ転送速度が20MB/S以上の有線通信の場合と比較して、転送する画像データのデータ量を少なくして転送することができる。
【0016】
[適用例6]
ホストコンピューターからプリンターへ印刷用の画像データを転送するデータ転送方法であって、前記ホストコンピューターと前記プリンターとの接続が、第1の接続手段の場合には、前記画像データを第1のデータ形式で前記転送し、前記接続が、前記第1の接続手段よりも単位時間当たりのデータ通信量が少ない第2の接続手段の場合には、前記第1のデータ形式の前記画像データよりデータ量の少ない第2のデータ形式で前記転送するデータ転送方法。
【0017】
このデータ転送方法によると、ホストコンピューターとプリンターとの接続手段によって転送する画像データのデータ量を変更する。その際、ホストコンピューターとプリンターとが単位時間当たりのデータ通信量(データ転送速度)の少ない接続手段で接続されている場合には、データ量の少ない画像データにして転送するので、データ転送時間を短縮することができる。
【0018】
[適用例7]
画像データを転送するホストコンピューターと、前記転送された画像データを受信して画像の印刷を行うプリンターとからなる印刷システムであって、前記ホストコンピューターと前記プリンターとは二以上の接続手段のうちの一の接続手段により接続されており、該接続手段によって接続された前記ホストコンピューターと前記プリンターにより印刷される画像の印刷画質は、前記接続手段とは異なる接続手段によって接続された前記ホストコンピューターと前記プリンターにより印刷される画像の印刷画質とは異なる印刷システム。
【0019】
この印刷システムによると、ホストコンピューターとプリンターとの接続手段によって、印刷される画像の印刷画質を異なるものとすることができる。
【0020】
なお、本発明は、種々の態様で実現することが可能である。例えば、画像形成方法および装置、画像形成システム、データ転送システム、データ転送装置、データ転送方法、それらのシステム、方法または装置の機能を実現するための集積回路、コンピュータープログラム、そのコンピュータープログラムを記録した記録媒体等の形態で実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】印刷システム10の構成を説明する説明図である。
【図2】ホストコンピューター200の構成を概略的に示す説明図である。
【図3】プリンター300の構成を概略的に示す説明図である。
【図4】データ転送処理の流れについて示したフローチャートである。
【図5】印刷処理の流れについて示したフローチャートである。
【図6】圧縮処理の流れを示したフローチャートである。
【図7】圧縮手段を示した説明図である。
【図8】印刷システム10aの構成を説明する説明図である。
【図9】印刷システム10bの構成を説明する説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
実施の形態を実施例に基づいて説明する。
A.第1実施例:
(A1)印刷システム:
図1は、本発明の実施例としての印刷システム10の構成を説明する説明図である。印刷システム10は、ホストコンピューター200とプリンター300とを備える。ホストコンピューター200とプリンター300とはUSBケーブル120接続されている。ホストコンピューター200は、プリンター300に印刷用の画像データを転送する。プリンター300は、ホストコンピューター200から受信した画像データに基づいて印刷媒体に画像を印刷する。ホストコンピューター200がプリンター300に転送する画像データは、ホストコンピューター200が備える所定のアプリケーションを用いてユーザーが生成した画像をプリンタードライバーによって印刷用のデータ(以下、印刷用画像データとも呼ぶ)としたデータである。その他、画像データとしては、ホストコンピューター200が、外部メモリーやネットワークを介して、ホストコンピューター200の外部から取得した画像データであってもよい。
【0023】
図2は、ホストコンピューター200の構成を概略的に示す説明図である。ホストコンピューター200は、CPU201、RAM203、ROM205、ディスプレイ装置コントローラー207、キーボードコントローラー209、メモリーコントローラー211、ハードディスク(HDD)213、通信インターフェース(I/F)220を備える。これらの各構成要素はバス230を介して互いに接続されている。ディスプレイ装置コントローラー207にはディスプレイ装置215が接続され、キーボードコントローラー209にはキーボード217が接続され、メモリーコントローラー211には外部メモリー219が接続されている。通信I/F220にはUSBケーブル120が接続されている。本実施例においては、通信I/F220と後述する通信I/F320の規格はUSB2.0である。USBケーブル120はUSB2.0に対応したケーブルである。
【0024】
CPU201は、ホストコンピューター200全体の動作を制御する。また、CPU201は、HDD213に記憶されているデータ転送プログラムをRAM203に読み出して実行することにより、後述するデータ転送処理を実現する。なお、図2に示したホストコンピューター200の構成要素は一例を示すものであり、ホストコンピューター200の構成要素の一部を省略や、ホストコンピューター200にさらなる構成要素を付加することが可能である。
【0025】
図3は、プリンター300の構成を概略的に示す説明図である。プリンター300は、シアン(C)、マゼンダ(M)、イエロー(Y)、ブラック(K)の4種類のインクを用いて印刷を行うシリアル形式のプリンターである。プリンター300はCPU301、RAM303、ROM305、印刷部インターフェース(I/F)307、メモリーコントローラー309、操作パネル313、通信インターフェース(I/F)320を備える。これらの各構成要素はバス330によって互いに接続されている。また、印刷部I/F307には印刷部311が接続され、メモリーコントローラー309には外部メモリー315が接続されている。
【0026】
CPU301は、プリンター300全体の動作を制御する。また、CPU301は、ROM305に記憶されている印刷処理プログラムをRAM303に読み出して実行することにより後述する印刷処理を行う。印刷部311は、インクを蓄えるインクカートリッジ、印刷ヘッド、プラテンなど、印刷媒体にインクを吐出して実際に画像形成するために必要な機能部を備える。操作パネル313は、ユーザーが印刷処理に関わる各種設定をするための操作部である。印刷媒体の種類や大きさの設定、印刷処理の中止操作などを操作パネル313を介してユーザーが行う。
【0027】
上記説明した印刷システム10は、ユーザーがホストコンピューター200を介して印刷を指示すると、ホストコンピューター200がプリンター300に対して画像データを転送するための処理としてデータ転送処理を行う。続いて、プリンター300が、ホストコンピューター200から受信した画像データに基づいて印刷を行う印刷処理を行う。以下、データ転送処理、印刷処理について説明する。
【0028】
(A2)データ転送処理および印刷処理:
図4は、ホストコンピューター200において行われるデータ転送処理の流れについて示したフローチャートである。上述したように、データ転送処理は、ホストコンピューター200が印刷用の画像データを、プリンター300に転送する処理である。本実施例においては、ホストコンピューター200が備えるアプリケーションを用いてユーザーが生成した画像データを、プリンター300で印刷する場合について説明する。
【0029】
データ転送処理は、ユーザーが、ホストコンピューター200に対して印刷開始の指示をすることにより開始される。CPU201は、データ転送処理を開始すると、アプリケーションによって生成したベクターイメージの画像データに対してレンダリングを行い、ラスターイメージであるビットマップの画像データを生成する(ステップS210)。本実施例では、ビットマップデータを構成する各画素は、レッド(R)、グリーン(G)、ブルー(B)の各階調データ(以下、RGBデータとも呼ぶ)で記録されている。CPU201は、レンダリングを行った後、レンダリング後の画像データに対して所定の圧縮手段により画像データの圧縮を行うデータ圧縮処理を行う(ステップS220)。データ圧縮処理の際、CPU201は、データを圧縮する際に用いた圧縮手段の情報を、圧縮した画像データのヘッダに記録する。データ圧縮処理の詳細については後で詳しく説明する。
【0030】
データ圧縮処理を行った後、CPU201は、通信I/F220およびUSBケーブル120を介して、プリンター300に圧縮後の画像データおよび印刷指示を転送する(ステップS230)。プリンター300への画像データの転送が終了すると、CPU201はデータ転送処理を終了する。
【0031】
次に、ホストコンピューター200から画像データを受信したプリンター300が行う印刷処理について説明する。図5はプリンター300において行われる印刷処理の流れについて示したフローチャートである。印刷処理は、ホストコンピューター200から印刷指示を受信することによって開始される。CPU301は印刷処理を開始すると、USBケーブル120および通信I/F320を介して、ホストコンピューター200から圧縮された画像データを受信し、RAM303に記憶する(ステップS310)。そして、CPU301は、RAM303に記憶した圧縮された画像データのヘッダを読み込み、圧縮手段を判別する。そして圧縮手段に対応したデータ解凍方法により、圧縮された画像データの解凍処理を行う(ステップS320)。
【0032】
解凍処理後、CPU301は、解凍した画像データに対して色変換処理を行う(ステップS330)。色変換処理は、画像データの各画素を構成する画素データに記録されている(R,G,B)の値を、プリンター300が備えるインク色(C、M、Y、K)のインク量データに変換する処理である。本実施例においては、色変換処理はルックアップテーブル(以下、色変換LUTとも呼ぶ)を用いて行う。色変換LUTは、レッド(R)、グリーン(G)、ブルー(B)の3つの各階調値の軸からなる3次元のルックアップテーブルであり、各格子点には、シアン(C)、マゼンダ(M)、イエロー(Y)、ブラック(K)の各インク量データが格納されている。色変換LUTは、ROM305に記憶されており、CPU301がROM305から読み込んで、画像データに適用することで色変換処理を行う。
【0033】
CPU301は色変換処理後、各画素がインク量データによって記録されている画像データに対してハーフトーン処理を行う(ステップS340)。ハーフトーン処理は、各画素がインク量データによって記録された画像データを、各画素がドットのオン/オフで記録されたドットデータに変換する多値化処理である。本実施例においては、ハーフトーン処理は、ディザ法により行う。ディザ法は公知の技術であるので、詳しい説明は省略する。ディザ法に用いるディザマトリックスは、ROM305に格納されている。CPU301は、ROM305からディザマトリックスを読み込んで、インク量データで記録された画像データに適用することによってハーフトーン処理を行う。
【0034】
ハーフトーン処理後、CPU301は、ドットデータとして記録された画像データに基づいて、印刷を実行する(ステップS350)。具体的には、CPU301が、印刷部311としての印刷ヘッドやプラテン等の動作を制御し、印刷媒体上にシアン(C)、マゼンダ(M)、イエロー(Y)、ブラック(K)の各インクを吐出して画像を形成する。このようにして、プリンター300は印刷処理を行う。
【0035】
(A3)データ圧縮処理:
次に、上述したデータ転送処理の一処理として行うデータ圧縮処理(図4:ステップS220)について説明する。上述したように、本実施例においては、データ圧縮処理は、ビットマップで記録された画像データをデータ圧縮する処理である。図6は、CPU201が行うデータ圧縮処理の流れを示したフローチャートである。
【0036】
CPU201はデータ圧縮処理を開始すると、ホストコンピューター200とプリンター300との接続手段を確認する(ステップS221)。具体的には、プリンタードライバーに設定されている接続手段を確認する。プリンタードライバーへの接続手段の設定は、ホストコンピューター200の起動の際のデバイスチェック時や、ホストコンピューター200の動作中にプリンター300が接続されCPU201がデバイスを認識した際に行われる。その他、データ転送処理の開始時に接続手段の認識および確認を行うとしてもよい。
【0037】
次にCPU201は、確認した接続手段に基づいて、画像データを圧縮するために用いる圧縮手段を決定する(ステップS222)。図7は、各接続手段に対応して、CPU201が決定する圧縮手段を示した説明図である。図7に示すように、CPU201は、ホストコンピューター200とプリンター300との接続手段のうち、転送速度が所定未満(本実施例では20MB/S未満)である接続手段の場合には、圧縮手段としてJPG(Joint Photographic Experts Group)形式により画像データを圧縮する。また、ホストコンピューター200とプリンター300との接続手段のうち、転送速度が所定以上(本実施例では20MB/S以上)である接続手段の場合には、圧縮手段としてPNG(Portable Network Graphics)により画像データを圧縮する。圧縮手段であるJPGは非可逆の圧縮手段であり、PNGは可逆の圧縮手段である。
【0038】
本実施例の場合、ホストコンピューター200とプリンター300とはUSB2.0によって接続されているので、CPU201は圧縮手段をPNGに決定する。また、CPU201は、同じ圧縮手段のなかでも転送速度が遅いほど圧縮の程度を高くし、転送速度が速いほど圧縮の程度を低くする。
【0039】
CPU201は接続手段を決定すると、次に、ホストコンピューター200とプリンター300との間のデータ転送の実効速度に基づいて、圧縮の程度の補正を行う(図6:ステップS223)。本実施例においては、CPU201が、PINGを利用して実効速度を測定する。その他、FTP(File Transfer Protocol)を利用して実効速度を測定するなど、他の実効速度の測定技術を用いるとしてもよい。
【0040】
実効速度は、ホストコンピューター200とプリンター300との間を接続する接続ケーブル(本実施例ではUSBケーブル)の経路長や、外部からのノイズに起因して変化する。その他、接続手段がIEEE802.11gやIEEE802.11nなどの無線LANによる接続の場合には、ホストコンピューター200とプリンター300との距離や、ホストコンピューター200とプリンター300の間に介在する障害物に起因して変化する。CPU201は実効速度を測定し、実効速度が遅いほど圧縮の程度を高くするように補正し、実効速度が速いほど圧縮の程度を低くするように補正する。
【0041】
その後、CPU201は、決定した圧縮手段と圧縮の程度によって、画像データの圧縮を行う(ステップS224)。そして、上述したように、圧縮した画像データをプリンター300に転送する。CPU201はこのようにしてデータ圧縮処理を行う。なお、図7においてThunderboltは登録商標である。
【0042】
以上説明したように、本実施例における印刷システム10は、ホストコンピューター200とプリンター300との接続手段に基づいて転送する画像データの圧縮手段を決定する。その際、図7において説明したように、転送速度の遅い接続手段の場合には圧縮の程度を高くして画像データを圧縮するので、転送する画像データのデータ容量を小さくしてプリンター300に転送することができる。よって、データ転送にかかる時間を短縮することができる。結果として、データ転送処理の開始から印刷処理が終わるまでの時間を短縮することができる。また、CPU201は、ホストコンピューター200とプリンター300との間のデータ転送の実効速度に基づいて、圧縮の程度の補正を行うので、実際の転送速度に見合ったデータ圧縮を行うことができる。
【0043】
B.変形例:
なお、この発明は上記の実施例や実施形態に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の態様において実施することが可能であり、例えば次のような変形も可能である。
(B1)変形例1:
上記実施例では、圧縮処理に用いる圧縮手段としてJPGとPNGを採用したが、それに限ることなく他の圧縮手段を採用するとしてもよい。例えば、TIFF(Tagged Image File Format)、GIF(Graphics Interchange Format)、PDF(Portable Document Format)、ランレングス圧縮等の種々の画像データの圧縮手段を採用することができる。また上記実施例は圧縮手段の選択は2種類(JPGおよびPNG)としたが、さらに多くの圧縮手段を選択可能としてもよい。このようにしても上記実施例と同様の効果を得ることができる。
【0044】
(B2)変形例2:
上記実施例では、圧縮手段は2種類以上の中から選択可能としたが、圧縮手段は1種類のみ(例えばJPG)とし、接続手段によって圧縮の程度のみを変化させるとしてもよい。具体的には、データ転送速度の遅い接続手段の場合には、圧縮の程度を高くして画像データを圧縮し、データ転送速度の速い接続手段の場合には、圧縮の程度を低くして画像データを圧縮する。このようにしても、上記実施例と同様の効果を得ることができる。さらに、圧縮手段を一つにすることで、上記実施例と比較して圧縮処理を簡易にすることができる。
【0045】
その他、データ転送速度が所定以上である接続手段の場合には、圧縮を行わないとしてもよい。例えば、データ転送速が200MB/Sの接続手段でホストコンピューター200とプリンター300とが接続されている場合には、画像データを圧縮せずにビットマップのまま転送するとしてもよい。このようにすることで、接続手段が所定の転送速度以上の場合にはデータ圧縮処理を省略することができる。
【0046】
(B3)変形例3:
上記実施例では、レンダリング後の画像データをデータ圧縮してプリンター300にデータ転送したが、それに限ることなく、インク量データとして記録された画像データや、ドットデータとして記録された画像データに対してデータ圧縮処理を行い、プリンター300に転送するとしてもよい。例えば、各画素がCMYKで記録された画像データにも対応しているJPGやPDFの圧縮手段を採用して、圧縮処理を行うことにより実現することができる。
【0047】
その他、上記実施例ではカラーの画像データ(RGBデータ)に対して適用したが、それに限ることなく、モノクロの画像データに採用することができる。モノクロの画像データに対しては、圧縮手段として、ランレングス圧縮やファクシミリデータ圧縮を用いることができる。より具体的には、MH(modified huffman)、MR(modified READ)、MMR(Modified Modified READ)、JBIG(Joint Bi-lebel Image experts Group)等のファクシミリデータ圧縮の手段を用いることができる。このようにすることで、モノクロの画像データを効率良く圧縮してデータ転送することができる。
【0048】
(B4)変形例4:
上記実施例では、印刷システム10として、ホストコンピューター200とプリンター300とがUSBケーブルによって接続されている態様を採用したが(図1参照)、それに限ることなく、種々の接続態様を採用するとしてもよい。図8、図9は、接続態様の具体例を説明する説明図である。図8には、ホストコンピューター200a〜200dとプリンター300とが有線のLANによって接続されている印刷システム10aを示した。有線のLANとして例えば10BASE−Tによって接続されている場合には、CPU201は、圧縮手段をJPGに決定する(図7参照)。一方、図9は、ホストコンピューター200e,200fとプリンター300bとが無線LANによって接続されている印刷システム10bを示した。無線LANとして例えばIEEE802.11nによって接続されている場合には、CPU201は、圧縮手段をPNGに決定する。このようにしても上記実施例と同様の効果を得ることができる。さらに、種々の接続態様に対応して圧縮処理を行うことができる。
【0049】
(B5)変形例5:
上記実施例においては、プリンター300はインクジェット方式のシリアルプリンターとしたが、それに限ることなく、ラインプリンターやレーザープリンターなど、他の印刷形式によって印刷を行う印刷装置としてもよい。
【0050】
(B6)変形例6:
上記実施例においてソフトウェアで実現されている機能の一部をハードウェアで実現してもよく、あるいは、ハードウェアで実現されている機能の一部をソフトウェアで実現してもよい。
【符号の説明】
【0051】
10,10a,10b…印刷システム
200,200a〜200f…ホストコンピューター
201…CPU
203…RAM
205…ROM
207…ディスプレイ装置コントローラー
209…キーボードコントローラー
211…メモリーコントローラー
213…HDD
215…ディスプレイ装置
217…キーボード
219…外部メモリー
220…通信I/F
230…バス
300,300a,b…プリンター
301…CPU
303…RAM
305…ROM
307…印刷部I/F
309…メモリーコントローラー
311…印刷部
313…操作パネル
315…外部メモリー
320…通信I/F
330…バス

【特許請求の範囲】
【請求項1】
プリンターと該プリンターに画像データを転送するホストコンピューターとを備える印刷システムであって、
前記プリンターと前記ホストコンピューターとの接続が、第1の接続手段の場合には前記画像データを第1のデータ形式の画像データとして転送し、前記プリンターと前記ホストコンピューターとの接続が、第2の接続手段の場合には前記画像データを第2のデータ形式の画像データとして転送するデータ転送部を備え、
前記第2の接続手段は前記第1の接続手段より単位時間当たりのデータ通信量が少なく、
所定の画像データを転送する場合において、前記第2のデータ形式の画像データは、前記第1のデータ形式の画像データよりデータ量が少ない
印刷システム。
【請求項2】
請求項1記載の印刷システムであって、
前記画像データにおける前記第1のデータ形式は、前記画像データを第1の圧縮手段で圧縮したデータ形式であり、前記第2のデータ形式は、前記画像データを第2の圧縮手段で圧縮したデータ形式である
印刷システム。
【請求項3】
前記データ転送部は、前記各接続手段における接続の状態によって、前記各圧縮手段における前記画像データを圧縮する程度を補正する請求項2記載の印刷システム。
【請求項4】
前記第1の圧縮手段は可逆圧縮であり、前記第2の圧縮手段は非可逆圧縮である請求項2または請求項3に記載の印刷システム。
【請求項5】
前記第1の接続手段は、データ転送速度が20MB/S以上の有線通信であり、前記第2の接続手段は、データ転送速度が20MB/S未満の無線通信である請求項1ないし請求項4のいずれか記載の印刷システム。
【請求項6】
ホストコンピューターからプリンターへ印刷用の画像データを転送するデータ転送方法であって、
前記ホストコンピューターと前記プリンターとの接続が、第1の接続手段の場合には、前記画像データを第1のデータ形式で前記転送し、前記接続が、前記第1の接続手段よりも単位時間当たりのデータ通信量が少ない第2の接続手段の場合には、前記第1のデータ形式の前記画像データよりデータ量の少ない第2のデータ形式で前記転送する
データ転送方法。
【請求項7】
画像データを転送するホストコンピューターと、前記転送された画像データを受信して画像の印刷を行うプリンターとからなる印刷システムであって、
前記ホストコンピューターと前記プリンターとは二以上の接続手段のうちの一の接続手段により接続されており、
該接続手段によって接続された前記ホストコンピューターと前記プリンターにより印刷される画像の印刷画質は、前記接続手段とは異なる接続手段によって接続された前記ホストコンピューターと前記プリンターにより印刷される画像の印刷画質とは異なる
印刷システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2013−92814(P2013−92814A)
【公開日】平成25年5月16日(2013.5.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−232552(P2011−232552)
【出願日】平成23年10月24日(2011.10.24)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】