説明

印刷システム、印刷方法および印刷プログラム

【課題】認証要件を満足しないユーザーも印刷対象の概要を知ることができるようにする。
【解決手段】印刷要求を行ったユーザーが所定の認証要件を満足するか否かを判定する認証手段と、前記印刷要求にて指定された印刷対象データに基づいて、記録媒体上の記録画素ごとにインクの吐出量を規定した印刷制御データを生成する印刷制御データ生成手段と、前記印刷制御データに基づいて前記記録媒体にインクを吐出させる印刷手段と、を備えるとともに、前記印刷制御データ生成手段は、前記印刷要求を行ったユーザーが前記認証要件を満足しない場合、前記印刷要求を行ったユーザーが前記認証要件を満足する場合よりも、前記記録媒体に吐出させる前記インクの量を少なくさせる前記印刷制御データを生成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、認証されたユーザーに印刷を許可する印刷システム、印刷方法および印刷プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
所定の認証要件を満足しないユーザーに対して、印刷やFAX送信を禁止するシステムが知られている(特許文献1,2、参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005−190164号公報
【特許文献2】特開2010−277507号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、印刷そのものが禁止されてしまうと、認証要件を満足しないユーザーが文書や画像等の概要を知ることができないという問題があった。例えば、設計業やデザイン業を行うオフィス等において、設計図面やデザイン画等の色彩を忠実に再現する印刷を、設計業務を行わないユーザーには許可すべきではない。設計図面やデザイン画の色彩が外部に知られる可能性を高めるからである。その一方で、設計業務を行わないユーザーであっても、設計図面やデザイン画等の概要を知る要請は少なからず存在する。例えば、設計者以外のユーザーによる設計の進捗管理業務や資材調達業務や見積業務等のために、設計図面やデザイン画等の正確な色彩は知る必要はなくても、設計図面やデザイン画等の概要を知る必要性がある。
本発明は、前記課題にかんがみてなされたもので、認証要件を満足しないユーザーも印刷対象の概要を知ることができる印刷システムの提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
前記目的を達成するため、本発明の印刷システムにおいて、認証手段は、印刷要求を行ったユーザーが所定の認証要件を満足するか否かを判定する。印刷制御データ生成手段は、印刷要求にて指定された印刷対象データに基づいて、記録媒体上の記録画素ごとにインクの吐出可否を示す印刷制御データを生成する。印刷手段は、印刷制御データに基づいて記録媒体にインクを吐出させる。そして、印刷制御データ生成手段は、印刷要求を行ったユーザーが認証要件を満足しない場合、印刷要求を行ったユーザーが認証要件を満足する場合よりも、記録媒体に吐出させるインクの吐出量を少なくさせる印刷制御データを生成する。
【0006】
前記の構成においては、印刷要求を行ったユーザーが認証要件を満足しない場合でも印刷対象データに基づく印刷を実行させることができる。この場合、印刷要求を行ったユーザーが認証要件を満足する場合よりも、記録媒体に吐出させるインクの吐出量を少なくなるため、印刷対象データの色彩が外部に知られることを防止しつつ、印刷対象データの概要を知ることができる。また、認証要件を満足しないユーザーによる印刷におけるインクの消費量を抑制できる。
【0007】
また、具体的に印刷制御データ生成手段は、色データ生成手段と色変換手段とハーフトーン手段と並べ替え手段とにより印刷制御データを生成してもよい。色データ生成手段は、複数の記録画素ごとに目標色を示す色データを印刷対象データに基づいて生成する。色変換手段は、目標色に対応するインクのインク量を複数の記録画素ごと示すインク量データを生成する。ハーフトーン手段は、インク量が閾値よりも大きい複数の記録画素についてはインクを吐出すると決定することにより、記録画素ごとにインクの吐出可否を示すハーフトーンデータを生成する。そして、並べ替え手段は、ハーフトーンデータの複数の記録画素を、印刷手段が備える複数のノズルによるインクの吐出順序にしたがって並べ替えることにより印刷制御データを生成する。
【0008】
以上の印刷制御データ生成手段の構成において、色変換手段は、印刷要求を行ったユーザーが認証要件を満足しない場合、印刷要求を行ったユーザーが認証要件を満足する場合よりも、インク量データが示すインク量を少なくするようにしてもよい。印刷要求を行ったユーザーが認証要件を満足しない場合に、インク量データが示すインク量を少なくすれば、ハーフトーン処理においてインクを吐出可と決定される確率を低下させることができる。すなわち、インクが吐出される記録画素を減少させることができ、結果として記録媒体に吐出させるインクの吐出量を少なくさせることができる。
【0009】
また、前記の印刷制御データ生成手段の構成において、ハーフトーン手段は、印刷要求を行ったユーザーが認証要件を満足しない場合、印刷要求を行ったユーザーが認証要件を満足する場合よりも、インクを吐出可と決定するためのインク量の閾値を大きくしてもよい。印刷要求を行ったユーザーが認証要件を満足しない場合に、ハーフトーン手段がインク量と比較する閾値を大きくすることにより、インクを吐出可と決定される確率を低下させることができる。すなわち、インクが吐出される記録画素を減少させることができ、結果として記録媒体に吐出させるインクの吐出量を少なくさせることができる。
【0010】
さらに、印刷要求を行ったユーザーが認証要件を満足しない場合には、印刷品質よりも印刷が完了するまでの所要期間の短縮化を重視するようにしてもよい。印刷要求を行ったユーザーが認証要件を満足しない場合には、印刷対象データの概要を知ることができればよく、印刷品質は要求されない場合が多いからである。
【0011】
印刷が完了するまでの所要期間の短縮化を実現する具体的手法の一例として、インクを記録媒体に吐出させる印刷ヘッドのノズルの個数を多くする手法が挙げられる。すなわち、印刷要求を行ったユーザーが認証要件を満足する場合には、印刷ヘッドが備える複数のノズルのうち吐出ばらつきが少ないノズルのみからインクを吐出することにより、高い印刷品質を確保する。一方、印刷要求を行ったユーザーが認証要件を満足しない場合には、印刷品質を確保する必要性が低いため、吐出ばらつきが大きいノズルからインクを吐出することが許容できる。すなわち、印刷要求を行ったユーザーが認証要件を満足しない場合には、認証要件を満足する場合よりも多くの数のノズルからインクを吐出することが許容できる。多くの数のノズルからインクを吐出すれば、印刷が完了するまでの所要期間の短縮化できる。
【0012】
印刷が完了するまでの所要期間の短縮化を実現する具体的手法の別の一例として、ハーフトーン処理において小さいディザマスクを使用する手法が挙げられる。ハーフトーン処理において小さいディザマスクを使用すれば、当該ディザマスクをメモリーに読み書きするための所要期間を短縮化できる。
【0013】
なお、本発明は、印刷システム以外の種々の形態で実現することが可能であり、例えば、印刷方法、および、印刷システムの機能を実現するためのコンピュータープログラム、そのコンピュータープログラムを記録した記録媒体、そのコンピュータープログラムを含み搬送波内に具現化されたデータ信号、等の形態で実現することができる。さらに、印刷システムの各手段を複数の実体的な装置に分散させ、これらの装置を通信手段により通信可能に接続した印刷システムにおいても、本発明を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】印刷システムのブロック図である。
【図2】プリンターの印刷方式を示す図である。
【図3】印刷制御データ生成部の設定を示す表である。
【図4】(4A),(4B)は、色変換テーブルを示す図である。
【図5】(5A),(5B)は、ディザマスクを示す図である。
【図6】印刷処理のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施形態を添付図面を参照しながら以下の順に説明する。
(1)印刷システムの構成:
(2)印刷処理:
(3)他の実施形態:
【0016】
(1)印刷システムの構成
本発明の一実施形態にかかる印刷システム1は、PC(personal computer)10とプリンター20と認証サーバー30とを含む。
まず、PC10のハードウェア構成について説明する。PC10は、印刷要求に応じて、プリンター20に印刷を実行させるための印刷制御データを生成するために構成される。PC10は、CPU11とRAM12とROM13とハードディスク装置(HDD)14と外部インターフェース(I/F)15と内部I/F16とユーザーI/F17とを備える。HDD14には各種プログラムを実行するためのデータが格納されている。これらのプログラムは、RAM12にロードされCPU11によって実行される。外部I/F15には、LANを介してプリンター20と認証サーバー30とが接続されている。内部I/F16は、CPU11とRAM12とROM13とHDD14と外部I/F15を相互に通信可能とするためのインターフェースを構成する。ユーザーI/F17は、例えば外部のディスプレーにユーザーインターフェース画像を表示させるための回路と、外部のキーボードとマウス等を介してユーザーの操作を受けるけるための回路等を含む。なお、図示は省略するがPC10は複数備えられてもよい。
【0017】
次に、認証サーバー30のハードウェア構成について説明する。認証サーバー30は、印刷要求を行ったユーザーを認証するために構成される。認証サーバー30は、CPU31とRAM32とROM33とHDD34と外部I/F35と内部I/F36とを備える。HDD34には各種プログラムを実行するためのデータが格納されている。これらのプログラムは、RAM32にロードされCPU31によって実行される。外部I/F35には、LANを介してPC10とプリンター20とが接続されている。内部I/F36は、CPU31とRAM32とROM33とHDD34と外部I/F35を相互に通信可能とするためのインターフェースを構成する。
【0018】
次に、印刷手段としてのプリンター20のハードウェア構成について説明する。プリンター20は、コントローラー21と外部I/F22と内部I/F23とキャリッジユニット24と紙送り機構26とを備える。コントローラー21は、CPUやROMやRAMやASIC等からなり、キャリッジユニット24や紙送り機構26の動作を制御するための処理を実行する。キャリッジユニット24は、印刷ヘッド25を搭載したキャリッジ(不図示)とキャリッジモーター(不図示)等を備える。キャリッジモーターが駆動することにより、印刷ヘッド25を搭載したキャリッジが主走査方向に往復移動する。
【0019】
図2はプリンター20の印刷方式を模式的に示す図である。印刷ヘッド25は、記録媒体に平行に対向する吐出面251を有し、この吐出面251において多数のノズル252の開口が配列されている。紙送り機構26は、紙送りローラー(不図示)と紙送りモーター(不図示)等を備える。紙送りモーターが紙送りローラーを駆動させることにより、記録媒体としての印刷用紙Pは副走査方向に搬送される。印刷ヘッド25の吐出面251において、シアン(C),マゼンタ(M),イエロー(Y),ブラック(K),ライトシアン(LC),ライトマゼンタ(LM)インクのノズル252がそれぞれ副走査方向に配列している。インクが充填され、各ノズル252に連通する圧力室に隣接して設けられた振動板をピエゾ素子によって振動させることにより、ノズル252の開口から印刷用紙Pに対してインク滴を吐出させる。ピエゾ素子には印刷制御データに基づいて吐出タイミングごとに電圧パターンが印加され、各吐出タイミングにおいてノズル252からインク滴が吐出される。なお、本明細書において、「インク」とは、印刷媒体上に付着されて印刷物を再現するための着色材を意味しており、トナーを含む広い意味で使用されている。
【0020】
図2に示すように印刷ヘッド25は主走査方向に移動し、印刷用紙Pは主走査方向に直交する副走査方向に搬送される。ノズル252からインク滴を吐出することにより、インク滴が印刷用紙P上に吐出してドットが形成される。ノズル252からインク滴を吐出しながら印刷ヘッド25が主走査方向の端から端まで移動する動作単位を主走査パスと表す。主走査パスにおける複数の吐出タイミングにおいてノズル252からインク滴を吐出することにより、ドットが主走査方向に配列した線状パターンを形成することができる。主走査パスにおいては紙送り機構26による印刷用紙Pの搬送は停止し、印刷ヘッド25の主走査方向の移動が停止する期間に紙送り機構26により印刷用紙Pが搬送される。これにより、印刷用紙Pの副走査方向の異なる位置に線状パターンを形成することができ、印刷用紙P上に2次元の印刷画像を形成することができる。
【0021】
次に、以上の動作をプリンター20に実行させるためのPC10のソフトウェア構成について説明する。印刷制御プログラム100は、印刷要求にて指定された印刷対象データに基づいて上述した印刷制御データを生成するための機能をPC10に実行させるためのプログラムである。図1に示すように、印刷制御プログラム100は、印刷要求受付部110と処理設定部120とサイズ変換部130と色変換部140とハーフトーン部150と並べ替え部160とを含む。なお、処理設定部120とサイズ変換部130と色変換部140とハーフトーン部150と並べ替え部160とを、印刷制御データ生成部と総称する。
【0022】
印刷要求受付部110は、ユーザーI/F17を介して印刷要求を受け付ける機能をPC10に実行させるプログラムモジュールである。すなわち、PC10は、外部のディスプレーに表示されたユーザーインターフェース画像にしたがってユーザーがマウスとキーボード等を操作した操作状態に基づいて印刷要求を受け付ける。この印刷要求では、少なくとも印刷対象データとユーザーIDとユーザーパスワードとが指定される。印刷対象データは、例えばHDD14に記憶された画像データや他のプログラムの機能により出力された画像データである。本実施形態の印刷対象データは、行列状に配列する複数の位置に対応づけられた複数の画素によって構成され、各画素にはsRGB色空間における座標により目標色が対応づけられている。本実施形態においてPC10(複数のPC10)は、オフィスのように複数のユーザーによって使用され得る環境に設置されており、複数のユーザーのそれぞれに固有のユーザーIDとユーザーパスワードとが割り当てられている。
【0023】
処理設定部120は、認証サーバー30におけるユーザーの認証結果に基づいて印刷制御データ生成処理の処理内容の設定を行う機能をPC10に実行させるプログラムモジュールである。なお、印刷制御データ生成処理とは、サイズ変換部130と色変換部140とハーフトーン部150と並べ替え部160とが順次実行する処理である。処理設定部120の機能によりPC10は、印刷要求にて指定された印刷対象データとユーザーIDとユーザーパスワードとを示すデータを認証サーバー30へと送信し、当該認証サーバー30から認証結果を示す認証データを受信する。印刷要求を行ったユーザーが認証された旨を示す認証データが受信された場合、処理設定部120の機能によりPC10は、通常印刷を実行させるための印刷制御データを生成するように印刷制御データ生成部を設定する。一方、印刷要求を行ったユーザーが認証されなかった旨を示す認証データが受信された場合、処理設定部120の機能によりPC10は、制限印刷を実行させるための印刷制御データを生成するように印刷制御データ生成部を設定する。いずれの設定を行う場合でも認証データがPC10にて受信されることが必要であり、認証データがPC10にて受信されない限り、印刷(通常印刷,制限印刷)は実行されない。
【0024】
図3は、ユーザーが認証された場合(通常印刷)と認証されなかった場合(制限印刷)とおける印刷制御データ生成部の設定を示す表である。本実施形態において、色変換部140とハーフトーン部150と並べ替え部160についての設定が、通常印刷と制限印刷とで互いに相違する。これらの設定の相違については、各モジュール140〜160の説明において詳述する。
【0025】
サイズ変換部130は印刷対象データを取得し、取得した印刷対象データを印刷解像度に対応した記録画素数の画像データへとサイズ変換する機能をPC10に実行させるプログラムモジュールである。すなわち、サイズ変換部130の機能によりPC10は、複数の画素のそれぞれに目標色が対応づけられた印刷対象データを、印刷解像度に対応した複数の記録画素のそれぞれに目標色が対応づけられた画像データへと変換するサイズ変換処理を行う。具体的には、画素の間引きや内挿等を行うことにより、サイズ変換を行う。サイズ変換部130によるサイズ変換された印刷対象データは、複数の記録画素のそれぞれに目標色が対応づけられた色データに相当する。また、サイズ変換部130の機能を実行するPC10は、色データ生成手段に相当する。
【0026】
色変換部140は、サイズ変換された印刷対象データを、複数の記録画素のそれぞれにC、M、Y、K、LC、LMの6色のインク色ごとのインク量が対応づけられたインク量データに変換する機能をPC10に実行させるプログラムモジュールである。色変換部140の機能によりPC10は、HDD14に記録された色変換テーブル14a,14bのいずれか一方を参照することにより、複数の記録画素のそれぞれについて、目標色をインク量へと変換する。
【0027】
図4Aは、色変換テーブル14aを示すグラフである。色変換テーブル14aは、目標色が表されるsRGB色空間内の複数の格子点座標(r,g,b)ごとに、インク量空間内のインク量の座標(c,m,y,k,lc,lm)を対応付けたルックアップテーブルである。色変換テーブル14aは、色変換テーブル14aに規定されたインク量が対応付けられた記録画素が一様に配列するインク量データに基づいてプリンター20にカラーパッチを印刷させた場合に、当該インク量に対応する代表点の目標色が再現されるように作成される。色変換部140の機能によりPC10は、sRGB色空間における格子点との相対位置関係に基づくインク量の補間演算を行うことにより、印刷対象データの複数の記録画素が示す目標色をインク量へと変換する。図3に示すように色変換部140の機能によりPC10は、通常印刷を実行させると設定された場合に、色変換テーブル14aを参照して色変換を行う。これにより、印刷要求を行ったユーザーが認証された場合に、カラーマッチングが実現した印刷結果が得られる。
【0028】
図4Bは、色変換テーブル14bを示すグラフである。色変換テーブル14bも、sRGB色空間内の複数の格子点座標ごとに、インク量の座標を対応付けたルックアップテーブルであるが、各格子点について規定されたインク量が色変換テーブル14aの半分(c/2,m/2,y/2,k/2,lc/2,lm/2)となっている。図3に示すように色変換部140の機能によりPC10は、制限印刷を実行させると設定された場合に、色変換テーブル14bを参照して色変換を行う。これにより、印刷要求を行ったユーザーが認証されなかった場合に、印刷要求を行ったユーザーが認証された場合よりも、プリンター20にて印刷用紙Pに吐出されるインクの量が抑制される。なお、インク量データの各記録画素が示すインク量が小さいほど、プリンター20にて印刷用紙Pに吐出されるインクの量が小さくなる。また、印刷要求を行ったユーザーが認証されなかった場合、印刷要求を行ったユーザーが認証された場合よりも、カラーマッチングの精度が悪くなる(目標色よりも印刷結果の色が高明度側へとシフトする)。
【0029】
ハーフトーン部150は、インク量に応じた確率で複数の記録画素ごとにインクの吐出可否を決定し、複数の記録画素ごとにインクの吐出可否を示すハーフトーンデータを生成する機能をPC10に実行させるプログラムモジュールである。本実施形態において、ハーフトーン部150の機能によりPC10は、ディザ法によりハーフトーンデータを生成する。このディザ法においては、ディザマスク14c,14dが参照される。図3に示すように通常印刷を実行させると設定された場合にディザマスク14cを参照してハーフトーン処理を行い、制限印刷を実行させると設定された場合にディザマスク14dを参照してハーフトーン処理を行う。
【0030】
図5Aは通常印刷を実行させる場合のディザマスク14cを示す図である。ディザマスク14cの大きさは128×128画素であり、複数の画素のそれぞれにインク滴を吐出させるためのインク量の閾値が規定されている。図5Aに示すようにインク量データの記録画素数はディザマスク14cの画素数よりも大きいため、ディザマスク14cを行列状に配列してインク量データの複数の記録画素ごとにインク量と閾値との比較を行う。そして、インク量が閾値よりも大きい記録画素についてはインク滴を吐出可とし、インク量が閾値以下の記録画素についてはインク滴を吐出不可とする。インク量が大きければ大きいほど、当該インク量が閾値よりも大きくなる確率が高くなるため、インク量に応じた確率で各記録画素についてインク滴が吐出可と決定されることとなる。
【0031】
図5Bは制限印刷を実行させる場合のディザマスク14dを示す図である。ディザマスク14dの大きさは、通常印刷を実行させる場合のディザマスク14cよりも小さく64×64画素とされる。ディザマスク14dもディザマスク14cと同様に行列状に配列して使用される。ここで、ディザマスク14dのデータ量はディザマスク14cのデータ量よりも小さいため、ディザマスク14cを使用する場合よりもRAM12等に対するディザマスク14dの読み込み時間や閾値の読み出し時間等を短縮できる。すなわち、ディザマスク14dを使用して制限印刷を実行させる場合の方が、ディザマスク14cを使用して通常印刷を実行させる場合よりもハーフトーン処理の所要期間を短くすることができる。
【0032】
しかしながら、小さいディザマスク14dを使用して制限印刷を実行させる場合の方が、大きいディザマスク14cを使用して通常印刷を実行させる場合よりも、印刷結果の粒状感が感じられやすくなる。ここでディザマスク14c,14dにおいて近似する閾値が対応付けられる画素同士の間隔は、印刷結果における粒状感が感じられにくい間隔とされることが望ましい(特開2010−130073号公報、参照。)。小さいディザマスク14dの方が大きいディザマスク14dよりも、近似する閾値を対応付ける画素の選択肢が少なくなるため、小さいディザマスク14dを使用する制限印刷の方が印刷結果における粒状感が感じられやすくなる。すなわち、通常印刷の方が、制限印刷よりも印刷のための所要期間が長くなるが、画質が良好となる。なお、色変換テーブル14aは、ディザマスク14cを使用してハーフトーン処理を行った場合にカラーマッチングが実現するように作成されている。
【0033】
また、通常印刷の場合のディザマスク14cと、制限印刷の場合のディザマスク14dとは、大きさが異なるものの各画素に対応付けられた閾値の平均値が同じになるように作成されている。従って、仮に同じインク量データが入力された場合に、インク滴が吐出可とされる記録画素の数は、通常印刷と制限印刷とで同等となる。しかしながら、本実施形態では、同一の印刷対象データを印刷させる場合に、通常印刷の場合のインク量データよりも制限印刷の場合のインク量データの方が記録画素に対応付けられたインク量が小さくなるように色変換処理がなされるため、インク滴が吐出可とされる記録画素の数は制限印刷の場合の方が通常印刷の場合よりも少なくなる。従って、制限印刷の場合の方が通常印刷の場合よりも印刷用紙Pに吐出されるインクの吐出量を少なくすることができる。
【0034】
並べ替え部160は、ハーフトーンデータの複数の記録画素を、印刷ヘッド25が備える複数のノズル252によるインクの吐出順序にしたがって並べ替えることにより印刷制御データを生成する機能をPC10に実行させるプログラムモジュールである。ここでは、ハーフトーンデータを構成する複数の記録画素を、ドット形成を担当させる印刷ヘッド25のノズル252ごとに振り分ける。また、ハーフトーンデータを構成する複数の記録画素を印刷ヘッド25がインク滴を吐出させながら主走査する複数の主走査パスごとに振り分け、さらに複数の記録画素を主走査パスにおける複数の吐出タイミングごとに振り分ける。そして、ハーフトーンデータの記録画素に対応付けられた吐出可否を示すデータを、振り分けられた主走査パスと吐出タイミングの早い順に並べ替え、さらに振り分けられたノズル252の配列にしたがった順序に並べ替えることにより、ハーフトーンデータをシリアル変換した印刷制御データを生成する。
【0035】
図3に示すように通常印刷が設定された場合、並べ替え部160の機能によりPC10は、ハーフトーンデータを構成する複数の記録画素を、図2に示す印刷ヘッド25において副走査方向の両端の所定幅Dよりも中央側に位置するノズル252のみに振り分ける。副走査方向の両端の所定幅Dよりも中央側のノズル252は、当該所定幅Dのノズル252によりもインク滴の吐出量や吐出方向のばらつきが小さい。印刷ヘッド25の端のノズル252ほど寸法誤差等が生じやすいとともに、印刷ヘッド25の端のノズル252から吐出されたインク滴ほど外乱要因により飛翔曲がり等が生じやすいからである。通常印刷が設定された場合に、所定幅Dよりも中央側に位置するノズル252のみからインク滴を吐出させることにより、印刷結果を高画質とすることができる。
【0036】
一方、制限印刷が設定された場合、ハーフトーンデータを構成する複数の記録画素を印刷ヘッド25のすべてのノズル252に振り分ける。一回の主走査でドットを形成することができる副走査方向の範囲は、通常印刷が設定された場合よりも制限印刷が設定された場合の方が広くなる。従って、通常印刷が設定された場合よりも制限印刷が設定された場合の方が、主走査パスの数を少なくすることができ、印刷が完了するまでの所要期間を短縮できる。
【0037】
次に認証手段としての認証サーバー30のソフトウェア構成について説明する。ユーザー認証プログラム300は、印刷要求を行ったユーザーが所定の認証要件を満足するか否かを判定する機能を認証サーバー30に実行させるためのプログラムである。ここで、"認証"とは、印刷要求にて指定された印刷対象データについての通常印刷を許可することを意味する。認証サーバー30のHDD34にはユーザーデータベース(DB)34aが記録されており、ユーザー認証プログラム300の機能により認証サーバー30はユーザーDB34aを参照する。ユーザーDB34aは、複数のユーザーのそれぞれについて、ユーザーIDと、ユーザーパスワードと、通常印刷を許可する印刷対象データとを対応付けたデータである。例えば、ユーザーDB34aにおいて、設計部門に属するユーザーについては設計パース図を示す印刷対象データの通常印刷が許可されることが記録され、営業部門に属するユーザーについては設計パース図を示す印刷対象データの通常印刷が許可されないことが記録されている。
【0038】
認証サーバー30は、ユーザーDB34aを参照することにより、印刷要求にて指定されたユーザーIDとユーザーパスワードとの組み合わせに合致するユーザーを検索する。そして、印刷要求にて指定されたユーザーIDとユーザーパスワードとの組み合わせに合致するユーザーが検索された場合、当該ユーザーが、印刷要求にて指定された印刷対象データの通常印刷が許可されたユーザーであるか否か(認証要件を満足するか否か)を判定する。そして、ユーザー認証プログラム300の機能により認証サーバー30は、印刷要求を行ったユーザーによる印刷対象データの通常印刷が許可されると判定した場合、当該ユーザーを認証した旨の認証データをPC10に返答する。なお、ユーザーDB34aにおいて、通常印刷を許可する印刷対象データの属性(印刷対象データのセキュリティーレベルやデータ種類)を対応付けておき、印刷要求にて指定された印刷対象データが、当該印刷要求を行ったユーザーによる通常印刷が許可された属性に属するか否かを判定してもよい。さらに、ユーザーDB34aにおいて、ユーザーの属性(役職や所属部署等)を対応付けておき、印刷要求を行ったユーザーが、印刷対象データの通常印刷が許可された属性に属するか否かを判定してもよい。
【0039】
(2)印刷処理:
図6は、印刷システム1が実行する印刷処理のフローチャートである。ステップS100においてPC10は、ユーザーから印刷要求を受け付ける。ステップS110においてPC10は、印刷要求にて指定された印刷対象データとユーザーIDとユーザーパスワードとを示すデータを認証サーバー30へ送信する。ステップS120において認証サーバー30は、ユーザーDB34aを参照し、印刷要求を行ったユーザーが、当該印刷要求にて指定された印刷対象データの通常印刷が許可された(認証要件を満足する)ユーザーであるか否かを判定する。通常印刷が許可されたユーザーであると判定された場合、ステップS130において認証サーバー30は印刷要求を行ったユーザーを認証した旨の認証データをPC10に送信する。一方、通常印刷が許可されないユーザーであると判定された場合、ステップS140において、認証サーバー30は印刷要求を行ったユーザーを認証しなかった旨の認証データをPC10に送信する。ステップS150においてPC10は、印刷要求を行ったユーザーが認証されたか否かを判定する。なお、印刷要求にて指定されたユーザーIDとユーザーパスワードとに合致するユーザーがユーザーDB34aに記録されていなかった場合、いずれの認証データもPC10に送信されないこととなり、印刷処理は中止となる。すなわち、ユーザーDB34aに登録されていないユーザーによる印刷要求や誤ったユーザーパスワードが指定された印刷要求に対しては、印刷が実行されない。
【0040】
印刷要求を行ったユーザーが認証された場合、ステップS160においてPC10は通常印刷を実行するように印刷制御データ生成部を設定する。すなわち、制限印刷を実行する場合に参照する色変換テーブル14bよりも大きいインク量が規定された色変換テーブル14aを参照して色変換処理を行うように色変換部140を設定する。また、制限印刷を実行する場合に参照するディザマスク14dよりも大きさが大きいディザマスク14cを参照してハーフトーン処理を行うようにハーフトーン部150を設定する。さらに、ハーフトーンデータの複数の記録画素を、図2に示す印刷ヘッド25において副走査方向の両端の所定幅Dよりも中央側に位置するノズル252のみに振り分けるように並べ替え部160を設定する。
【0041】
一方、印刷要求を行ったユーザーが認証されなかった場合、ステップS170においてPC10は制限印刷を実行するように印刷制御データ生成部を設定する。すなわち、通常印刷を実行する場合に参照する色変換テーブル14aよりも小さいインク量が規定された色変換テーブル14bを参照して色変換処理を行うように色変換部140を設定する。また、通常印刷を実行する場合に参照するディザマスク14cよりも大きさが小さいディザマスク14dを参照してハーフトーン処理を行うようにハーフトーン部150を設定する。さらに、ハーフトーンデータの複数の記録画素を、図2に示す印刷ヘッド25のすべてのノズル252に振り分けるように並べ替え部160を設定する。
【0042】
以上のようにして印刷制御データ生成部の設定を行うと、ステップS180において印刷対象データに基づいて印刷制御データを生成する。具体的には、PC10は、ステップS182におけるサイズ変換処理と、ステップS184における色変換処理と、ステップS186におけるハーフトーン処理と、ステップS188における並べ替え処理とをステップS160,S170の設定に基づいて実行する。ステップS190において、PC10は、プリンター20に印刷制御データを送信する。そして、ステップS200において、プリンター20は印刷制御データに基づいて印刷を実行する。
【0043】
(3)他の実施形態:
前記実施形態においては、認証サーバー30にてユーザーの認証を行って、PC10にて印刷制御データを生成することとしたが、PC10がユーザーの認証を行ってもよい。この場合、ユーザーDB34aがPC10に記録されてもよいし、PC10が外部のサーバー等に記録されたユーザーDB34aを参照してもよい。さらに、前記実施形態においては、PC10にて印刷制御データを生成し、プリンター20にて印刷制御データに基づいて印刷を行うこととしたが、プリンター20が印刷制御データを生成してもよいし、さらにプリンター20がユーザーの認証を行ってもよい。
【0044】
さらに、印刷要求を行ったユーザーが認証要件を満足しない場合、印刷要求を行ったユーザーが認証要件を満足する場合よりも、印刷用紙Pに吐出させるインクの吐出量を少なくさせるように印刷制御データを生成する手法は前記実施形態に挙げた手法に限られない。制限印刷と通常印刷との双方においてカラーマッチングを実現する色変換テーブル14aを参照して色変換処理を行った上で、制限印刷の場合に限り、色変換処理により得られたインク量データのインク量を減少させてもよい。さらに、制限印刷の場合に限り色変換処理を行う前の印刷対象データの目標色の明度を高くする補正を行うとともに、制限印刷と通常印刷との双方においてカラーマッチングを実現する色変換テーブル14aを参照して色変換処理を行ってもよい。このようにしても、制限印刷の場合に、複数の記録画素についてのインク量を抑えることができ、最終的に印刷用紙Pに吐出させるインクの吐出量を少なくすることができる。
【0045】
さらに、制限印刷の場合に印刷用紙Pに吐出させるインクの吐出量を少なくするようにハーフトーン処理を行ってもよい。上述のようにハーフトーン処理においては、複数の記録画素のそれぞれについてインク量と、ディザマスク14c,14dの閾値との比較を行い、インク量が閾値よりも大きい記録画素についてのみインク滴を吐出可とする。従って、ディザマスク14cの閾値よりもディザマスク14dの閾値を大きくしておくことにより、色変換処理にて制限印刷の場合のインク量を抑制しなくても、制限印刷の場合に印刷用紙Pに吐出されるインクの吐出量を少なくすることができる。また、制限印刷の場合のハーフトーン処理で使用する閾値を、通常印刷の場合よりも大きくする手法は、誤差拡散法にも適用できる。
【0046】
さらに、通常印刷の場合と制限印刷の場合とで同様に色変換処理とハーフトーン処理とを行っておき、ハーフトーン処理後において、制限印刷の場合に印刷用紙Pに吐出されるインクの吐出量を少なくする処理を行ってもよい。例えば、制限印刷の場合のハーフトーンデータの一部の記録画素について、吐出可を示すデータを吐出不可を示すデータに書き換える処理を行ってもよい。この場合も、吐出可とされる記録画素を減少させることができるため、制限印刷の場合に印刷用紙Pに吐出されるインクの吐出量を少なくすることができる。なお、印刷された画像が局所的に淡色化しないように、吐出可を示すデータを吐出不可を示すデータに書き換える記録画素は、ハーフトーンデータにおいて均等に分布させることが望ましい。
【0047】
さらに、前記実施形態においては、複数の記録画素に対して単一体積のインク滴を吐出させることとしたが、複数の記録画素に対して複数の体積のインク滴を吐出させるようにしてもよい。具体的には、ピエゾ素子に印加する電圧パターンを切り替えることにより、ノズル252から複数の体積のインク滴を吐出させることができる。この場合、各記録画素について複数の体積のインク滴のそれぞれについての吐出可否が対応付けられたハーフトーンデータを生成しておけばよい。そして、通常印刷の場合のハーフトーンデータにおいて、ある体積のインク滴の吐出可を示すデータを、それよりも小さい体積のインク滴の吐出可を示すデータに書き換えることにより、制限印刷の場合のハーフトーンデータを生成してもよい。
【0048】
さらに、制限印刷の場合には、並べ替え処理を行う際のハーフトーンデータにおいて、所定の主走査パスに割り当てられた記録画素について吐出可を示すデータを吐出不可を示すデータに書き換えてもよい。すなわち、制限印刷の場合には、所定の主走査パスにてインク滴を吐出させないようにすることにより、印刷用紙Pに吐出されるインクの吐出量を少なくしてもよい。この場合、吐出可を示すデータが吐出不可を示すデータに書き換えられた主走査パスに対応する印刷ヘッド25の移動を省略することにより、制限印刷の場合の印刷所要期間を短縮するのが望ましい。
【0049】
さらに、前記実施形態においては、通常印刷の場合よりも制限印刷の場合のインクの吐出量を少なくするとともに、通常印刷の場合よりも制限印刷の場合の印刷の所要期間を短くするようにした。しかしながら、通常印刷の場合よりも制限印刷の場合のインクの吐出量を少なくすればよく、必ずしも通常印刷の場合よりも制限印刷の場合の印刷の所要期間を短くしなくてもよい。また、印刷用紙Pに吐出させるインク滴の吐出量を少なくする段階を複数設けておき(例えば、インク量が異なる色変換テーブル14bを複数設けておき)、吐出量を少なくする段階ごとに印刷を許可するユーザーをユーザーDB34aに規定してもよい。
【符号の説明】
【0050】
1…印刷システム、14a,14b…色変換テーブル、14c,14d…ディザマスク、100…印刷制御プログラム、110…印刷要求受付部、120…処理設定部、130…サイズ変換部、140…色変換部、150…ハーフトーン部、160…並べ替え部、20…プリンター、21…コントローラー、24…キャリッジユニット、25…印刷ヘッド、251…吐出面、252…ノズル、30…認証サーバー、300…ユーザー認証プログラム、34a…ユーザーDB。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
印刷要求を行ったユーザーが所定の認証要件を満足するか否かを判定する認証手段と、
前記印刷要求にて指定された印刷対象データに基づいて、記録媒体上の記録画素ごとにインクの吐出可否を示す印刷制御データを生成する印刷制御データ生成手段と、
前記印刷制御データに基づいて前記記録媒体にインクを吐出させる印刷手段と、を備えるとともに、
前記印刷制御データ生成手段は、
前記印刷要求を行ったユーザーが前記認証要件を満足しない場合、前記印刷要求を行ったユーザーが前記認証要件を満足する場合よりも、前記記録媒体に吐出させる前記インクの量を少なくさせる前記印刷制御データを生成する、
印刷システム。
【請求項2】
前記印刷制御データ生成手段は、
複数の記録画素ごとに目標色を示す色データを前記印刷対象データに基づいて生成する色データ生成手段と、
前記目標色に対応する前記インクのインク量を前記複数の記録画素ごと示すインク量データを生成する色変換手段と、
前記インク量が閾値よりも大きい前記複数の記録画素については前記インクを吐出すると決定することにより、前記記録画素ごとに前記インクの吐出可否を示すハーフトーンデータを生成するハーフトーン手段と、
前記ハーフトーンデータの前記複数の記録画素を、前記印刷手段が備える複数のノズルによるインクの吐出順序にしたがって並べ替えることにより前記印刷制御データを生成する並べ替え手段と、
を備えるとともに、
前記色変換手段は、前記印刷要求を行ったユーザーが前記認証要件を満足しない場合、前記印刷要求を行ったユーザーが前記認証要件を満足する場合よりも、前記インク量データが示す前記インク量を少なくする、
請求項1に記載の印刷システム。
【請求項3】
前記印刷制御データ生成手段は、
複数の記録画素ごとに目標色を示す色データを前記印刷対象データに基づいて生成する色データ生成手段と、
前記目標色に対応する前記インクのインク量を前記複数の記録画素ごと示すインク量データを生成する色変換手段と、
前記インク量が閾値よりも大きい前記複数の記録画素については前記インクを吐出すると決定することにより、前記記録画素ごとに前記インクの吐出可否を示すハーフトーンデータを生成するハーフトーン手段と、
前記ハーフトーンデータの前記複数の記録画素を、前記印刷手段が備える複数のノズルによるインクの吐出順序にしたがって並べ替えることにより前記印刷制御データを生成する並べ替え手段と、
を備えるとともに、
前記ハーフトーン手段は、前記印刷要求を行ったユーザーが前記認証要件を満足しない場合、前記印刷要求を行ったユーザーが前記認証要件を満足する場合よりも、前記インクを吐出可と決定するための前記インク量の閾値を大きくする、
請求項1に記載の印刷システム。
【請求項4】
前記印刷制御データ生成手段は、前記印刷要求を行ったユーザーが前記認証要件を満足しない場合、前記印刷要求を行ったユーザーが前記認証要件を満足する場合よりも、前記印刷対象データに基づく印刷が完了するまでの所要期間が短くなるように前記印刷制御データを生成する、
請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の印刷システム。
【請求項5】
前記並べ替え手段は、前記印刷要求を行ったユーザーが前記認証要件を満足しない場合、前記印刷要求を行ったユーザーが前記認証要件を満足する場合よりも、前記インクを前記記録媒体に吐出させる前記印刷ヘッドのノズルの個数を多くする、
請求項4に記載の印刷システム。
【請求項6】
前記ハーフトーン手段は、前記印刷要求を行ったユーザーが前記認証要件を満足しない場合、前記印刷要求を行ったユーザーが前記認証要件を満足する場合よりも小さいディザマスクに規定された閾値を使用して前記複数の記録画素ごとに前記インクを吐出させるか否かを決定する、
請求項4または請求項5のいずれかに記載の印刷システム。
【請求項7】
印刷要求を行ったユーザーが所定の認証要件を満足するか否かを判定し、
前記印刷要求にて指定された印刷対象データに基づいて、記録媒体上の記録画素ごとにインクの吐出可否を示す印刷制御データを生成し、
前記印刷制御データに基づいて前記記録媒体にインクを吐出させるとともに、
前記印刷要求を行ったユーザーが前記認証要件を満足しない場合、前記印刷要求を行ったユーザーが前記認証要件を満足する場合よりも、前記記録媒体に吐出させる前記インクの量を少なくさせる前記印刷制御データを生成する、
印刷方法。
【請求項8】
印刷要求を行ったユーザーが所定の認証要件を満足するか否かを判定する認証機能と、
前記印刷要求にて指定された印刷対象データに基づいて、記録媒体上の記録画素ごとにインクの吐出可否を示す印刷制御データを生成する印刷制御データ生成機能と、
前記印刷制御データに基づいて前記記録媒体にインクを吐出させる印刷機能と、をコンピューターに実行させる印刷プログラムであって、
前記印刷制御データ生成機能により前記コンピューターは、
前記印刷要求を行ったユーザーが前記認証要件を満足しない場合、前記印刷要求を行ったユーザーが前記認証要件を満足する場合よりも、前記記録媒体に吐出させる前記インクの量を少なくさせる前記印刷制御データを生成する、
印刷プログラム。



【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−252450(P2012−252450A)
【公開日】平成24年12月20日(2012.12.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−123402(P2011−123402)
【出願日】平成23年6月1日(2011.6.1)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】