説明

印刷システム、印刷装置

【課題】一の言語により表現されたメッセージを編集不能に含む既定印刷データを用いた印刷結果を提供可能な印刷システム及び印刷装置に関し、ユーザの使用環境に応じて既定印刷データを追加可能な印刷システム及び印刷装置を提供する。
【解決手段】印刷システムPは、ネットワーク網Nを介して、テープ印刷装置1と、サーバ100を接続して構成される。サーバ100は、転送ラベルデータベース120を有し、ラベル言語により表現されたメッセージを画像として含む転送用既定ラベルデータを、ラベル言語及びカテゴリ毎に管理している。既にサーバ100から転送用既定ラベルデータを取得している場合(S12:YES)、テープ印刷装置1は、取得済みの既定ラベルデータに係るラベル言語及びカテゴリと同一であり、且つ、所定の条件を満たす該当人気データ、該当最新データを、自動的にサーバ100から取得する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、多様な言語圏で利用可能な印刷システム及び印刷装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、印刷装置は、多様な言語圏で利用されてきており、これらの言語圏でもユーザに不都合なく使用できるように、種々の発明がなされている。例えば、特許文献1には、テープ印刷装置に関する発明が記載されている。当該特許文献1記載のテープ印刷装置は、多様な言語圏での使用に対応すべく、画面表示や操作内容を指示するメッセージを、ユーザ任意の言語(例えば、当該ユーザの母国語等)で表示するように構成されている。又、特許文献1記載のテープ印刷装置は、任意の言語を設定すれば、当該言語に応じた文字列を入力することができ、これを印刷することで、ユーザ所望の言語で表現された文字列をテープに印刷し得る。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平8−108602号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ここで、印刷装置による印刷結果が、他言語圏のユーザとのコミュニケーションに用いられることがある。この場合、或る言語圏のユーザは、自らの意図を他の言語圏の言語で表現した印刷結果物を作成する必要がある。一般に、或る言語圏のユーザは、当該言語圏に係る言語(例えば、母国語)を自在に操ることはできるが、他の言語圏に係る言語を十分に操ることができない場合が多い。
【0005】
ここで、前記特許文献1記載のテープ印刷装置の場合、機能表示やメッセージに用いられる言語を、複数の言語からユーザ所望の言語(例えば、母国語)に設定することができる。従って、当該テープ印刷装置は、様々な母国語を使用するユーザでも違和感なく操作することは可能である。又、当該特許文献1記載のテープ印刷装置では、ユーザ所望の言語(例えば、他の言語圏に係る言語)に設定することで、当該言語に基づく文字列を入力することができる。しかしながら、当該テープ印刷装置では、ユーザが他の言語圏に係る言語を理解していなければ、ユーザ所望の意図を表現した印刷結果を得ることはできない。
【0006】
この点、上記他の言語圏に係る言語で表現されたメッセージを編集不能に含む印刷データ(以下、既定印刷データ)に基づいて印刷を行う態様であれば、ユーザは、所望の既定印刷データを選択・印刷することにより、当該他の言語圏に係る言語によって、ユーザ所望の意図を表現した印刷結果を得ることができる。
【0007】
一方、上記既定印刷データは、所定の言語で表現されたメッセージを編集不能に含んでいるので、表現可能な意図は、当該既定印刷データの数や種類に依存する。即ち、ユーザの多様な意図を表現するためには、印刷装置に対して、当該既定印刷データを追加する必要がある。そして、既定印刷データを追加する際には、ユーザの使用態様に応じた既定印刷データを追加することで、より適切に、既定印刷データを追加することが望ましい。
【0008】
本発明は、一の言語により表現されたメッセージを編集不能に含む既定印刷データを用いた印刷結果を提供可能な印刷システム及び印刷装置に関し、ユーザの使用環境に応じて既定印刷データを追加可能な印刷システム及び印刷装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の請求項1に係る印刷システムは、一の言語により表現されたメッセージを編集不能に含む既定印刷データを、言語毎に複数記憶する記憶手段と、前記記憶手段に格納されている既定印刷データに関する管理を行う管理手段と、を有するサーバと、前記サーバと接続され、前記既定印刷データを受信可能な通信手段と、前記既定印刷データに基づいて、被記録媒体に印刷を行う印刷手段と、を有する印刷装置と、を備える印刷システムであって、前記サーバの管理手段は、前記記憶手段に記憶された既定印刷データに関し、各既定印刷データに含まれるメッセージに対応する用途に応じたカテゴリに分類して管理を行うカテゴリ管理手段と、前記通信手段を介して、前記印刷装置が既定印刷データを受信した通信回数を、前記既定印刷データ毎に計数して管理する通信回数管理手段を有し、前記印刷装置は、前記通信回線を通じて、前記サーバから取得した既定印刷データを、取得済データとして格納するデータ記憶手段と、前記データ記憶手段に格納された取得済データと同一言語のメッセージを含み、同一カテゴリに分類される既定印刷データの内、通信回数が多い既定印刷データを、前記通信手段を介して、前記サーバの記憶手段から取得する通信制御手段と、有することを特徴とする。
【0010】
当該印刷システムは、記憶手段と、管理手段と、を有するサーバと、通信手段と、印刷手段と、を有する印刷装置とを備えている。前記サーバにおいて、管理手段は、カテゴリ管理手段により、前記記憶手段に記憶された既定印刷データに関し、各既定印刷データに含まれるメッセージに対応する用途に応じたカテゴリに分類して管理を行う。更に、当該管理手段は、通信回数管理手段により、前記通信手段を介して、前記印刷装置が既定印刷データを受信した通信回数を、前記既定印刷データ毎に計数して管理する。そして、前記印刷装置は、前記データ記憶手段に格納された取得済データと同一言語のメッセージを含み、同一カテゴリに分類される既定印刷データの内、通信回数が多い既定印刷データを、前記通信手段を介して、前記サーバの記憶手段から取得する。ここで、当該印刷システムにおいて、通信制御手段により、サーバから取得される既定印刷データは、既に印刷装置に取得されている取得済データ(既定印刷データ)と同一言語のメッセージを含み、且つ、同一カテゴリに分類されるデータである。即ち、当該印刷システムにおいて、印刷装置は、取得済データに基づく使用環境に応じて、サーバから既定印刷データを取得し得る。更に、当該サーバから取得される既定印刷データは、通信回数が多い既定印刷データであるため、印刷システムでは、当該印刷システム内でユーザの人気の高いものとなる。つまり、当該印刷システムは、印刷装置の使用環境に応じ、且つ、当該印刷システム内での有用性の高い既定印刷データを、印刷装置に対して追加取得させ得る。
【0011】
そして、請求項2記載の印刷システムは、請求項1記載の印刷システムであって、前記サーバの管理手段は、前記既定印刷データが前記記憶手段に登録された時点を示す登録時点を、各既定印刷データに関連付けて管理する登録時点管理手段を有し、前記印刷装置の通信制御手段は、前記データ記憶手段に格納された取得済データと同一言語のメッセージを含み、同一カテゴリに分類される既定印刷データの内、前記取得済データの取得時点よりも新しい登録時点が関連付けられた既定印刷データを、前記通信手段を介して、前記サーバの記憶手段から取得することを特徴とする。
【0012】
当該印刷システムにおいて、前記サーバの管理手段は、登録時点管理手段により、前記既定印刷データが前記記憶手段に登録された時点を示す登録時点を、各既定印刷データに関連付けて管理する。そして、印刷装置は、通信制御手段により、前記データ記憶手段に格納された取得済データと同一言語のメッセージを含み、同一カテゴリに分類される既定印刷データの内、前記取得済データの取得時点よりも新しい登録時点が関連付けられた既定印刷データを、前記通信手段を介して、前記サーバの記憶手段から取得する。当該印刷システムによれば、サーバから取得される既定印刷データは、取得済データの取得時点よりも新しい登録時点が関連付けられた既定印刷データであるため、印刷装置は、自己の所有する取得済データよりも新たにサーバに登録されたものを取得する。つまり、当該印刷システムは、印刷装置の使用環境に応じ、且つ、当該印刷システム内でより新しい既定印刷データを、印刷装置に対して追加取得させ得る。
【0013】
又、請求項3記載の印刷装置は、請求項1又は請求項2記載の印刷システムを構成する印刷装置であって、前記データ記憶手段に取得済データとして格納された既定印刷データに関し、当該既定印刷データに係るメッセージに基づいて、各取得済データをカテゴリに分類して管理するデータ管理手段と、を有し、前記データ管理手段は、前記通信制御手段によって、前記サーバの記憶手段から既定印刷データを取得し、取得した既定印刷データを取得済データとして前記データ記憶手段に格納する際に、前記通信制御手段によって取得された取得済データを示すカテゴリに分類して管理することを特徴とする。
【0014】
当該印刷装置は、データ管理手段により、前記データ記憶手段に取得済データとして格納された既定印刷データに関し、当該既定印刷データに係るメッセージに基づいて、各取得済データをカテゴリに分類して管理する。そして、当該印刷装置は、前記サーバの記憶手段から既定印刷データを取得し、取得した既定印刷データを取得済データとして前記データ記憶手段に格納する際に、前記通信制御手段によって取得された取得済データを示すカテゴリに分類して管理する。つまり、当該印刷装置によれば、通信制御手段によりサーバから取得した取得済データを、ユーザが利用しやすい状態で管理することができ、利便性の高い印刷装置を提供し得る。
【0015】
又、請求項4記載の印刷装置は、請求項3記載の印刷装置であって、複数種類の言語を表示可能な表示手段と、前記複数種類の言語毎に、前記既定印刷データに含まれるメッセージの内容を前記言語で表現した内容データを、前記メッセージの意味に対応付けて記憶する内容データ記憶手段と、前記複数種類の言語から、前記表示手段の表示に用いられる一の言語を、第1言語として選択設定する第1言語選択手段と、前記印刷手段による印刷対象として前記既定印刷データを選択する際に、前記既定印刷データに含まれるメッセージの表現に用いられる一の言語を、第2言語として選択設定する第2言語選択手段と、前記第2言語選択手段により第2言語が選択された場合に、当該第2言語により表現されたメッセージを編集不能に含む既定印刷データに基づくイメージと、当該既定印刷データに含まれるメッセージの意味に対応し、前記第1言語選択手段により選択された第1言語により表現された内容データに基づく内容表示と、を含むプレビュー画面を、前記表示手段に表示する表示制御手段と、前記表示手段に前記プレビュー画面が表示されている場合に、当該プレビュー画面に係る既定印刷データを、前記印刷手段による印刷対象として選択する選択手段と、を有することを特徴とする。
【0016】
当該印刷装置は、既定印刷データに基づく印刷結果を提供する際に、第1言語を選択し、更に第2言語が選択された場合に、プレビュー画面を表示し、選択手段により、当該プレビュー画面に係る既定印刷データを印刷対象として設定する。ここで、当該プレビュー画面においては、第2言語により表現されたメッセージを編集不能に含む既定印刷データに基づくイメージと、第1言語により、当該既定印刷データに基づくイメージの内容を表現した内容表示が表示手段に表示される。ここで、第1言語は、表示手段で表示可能な前記複数種類の言語から、前記表示手段の表示に用いられる一の言語である。従って、当該第1言語は、複数種類の言語の内、ユーザが意味を把握しうる言語(例えば、母国語)に設定され得る。そして、第2言語は、前記第1言語に選択可能であるか否かにかかわらず、既定印刷データにおけるメッセージを表現に用いられる言語である。従って、当該第2言語としては、ユーザが意味を把握できるか否かにかかわらず、所望の言語を設定することができ、例えば、ユーザの母国語以外の他の言語圏に属する言語を設定しうる。ここで、当該印刷装置では、プレビュー画面の内容表示により、プレビュー画面における既定印刷データに基づくイメージの内容を第1言語で表示する。従って、当該印刷装置によれば、ユーザは、プレビュー画面における既定印刷データに基づくイメージの内容を確実に把握することができ、プレビュー画面に係るイメージにより、既定印刷データに基づく印刷結果の概要を把握することができる。従って、当該印刷装置によれば、ユーザは、意味内容を把握し難い第2言語に係るメッセージを含む既定印刷データを印刷対象に設定する際に、意味を把握可能な第1言語で表現された内容表示を視認することができる。つまり、当該印刷装置は、確実にユーザの意図が反映されたメッセージを含む既定印刷データを選択することができ、他言語圏を対象とした印刷結果物を作成する際の利便性を高めることができる。
【0017】
又、請求項5記載の印刷装置は、請求項3又は請求項4記載の印刷装置であって、前記既定印刷データは、一の言語により表現されたメッセージを編集不能に含む画像データであることを特徴とする。
【0018】
当該印刷装置においては、既定印刷データは、一の言語により表現されたメッセージを編集不能に含む画像データである。つまり、既定印刷データに係るメッセージは、表示手段で表示可能な言語(即ち、専用のフォントが印刷装置中に存在している言語)でなくともよく、種々の言語で表現され得る。そして、当該印刷装置では、プレビュー画面において、第1言語で既定印刷データの内容を示すため、当該内容表示に従って、ユーザ所望の既定印刷データを選択することができ、この場合であっても、他言語圏を対象とした印刷結果物を作成する際の利便性を高めることができる。
【0019】
又、請求項6記載の印刷装置は、請求項1又は請求項2記載の印刷システムを構成する印刷装置であって、複数種類の言語を表示可能な表示手段と、前記複数種類の言語毎に、前記既定印刷データに含まれるメッセージの内容を前記言語で表現した内容データを、前記メッセージの意味に対応付けて記憶する内容データ記憶手段と、前記複数種類の言語から、前記表示手段の表示に用いられる一の言語を、第1言語として選択設定する第1言語選択手段と、前記印刷手段による印刷対象として前記既定印刷データを選択する際に、前記既定印刷データに含まれるメッセージの表現に用いられる一の言語を、第2言語として選択設定する第2言語選択手段と、前記第2言語選択手段により第2言語が選択された場合に、当該第2言語により表現されたメッセージを編集不能に含む既定印刷データに基づくイメージと、当該既定印刷データに含まれるメッセージの意味に対応し、前記第1言語選択手段により選択された第1言語により表現された内容データに基づく内容表示と、を含むプレビュー画面を、前記表示手段に表示する表示制御手段と、前記表示手段に前記プレビュー画面が表示されている場合に、当該プレビュー画面に係る既定印刷データを、前記印刷手段による印刷対象として選択する選択手段と、を有することを特徴とする。
【0020】
当該印刷装置は、既定印刷データに基づく印刷結果を提供する際に、第1言語を選択し、更に第2言語が選択された場合に、プレビュー画面を表示し、選択手段により、当該プレビュー画面に係る既定印刷データを印刷対象として設定する。ここで、当該プレビュー画面においては、第2言語により表現されたメッセージを編集不能に含む既定印刷データに基づくイメージと、第1言語により、当該既定印刷データに基づくイメージの内容を表現した内容表示が表示手段に表示される。ここで、第1言語は、表示手段で表示可能な前記複数種類の言語から、前記表示手段の表示に用いられる一の言語である。従って、当該第1言語は、複数種類の言語の内、ユーザが意味を把握しうる言語(例えば、母国語)に設定され得る。そして、第2言語は、前記第1言語に選択可能であるか否かにかかわらず、既定印刷データにおけるメッセージを表現に用いられる言語である。従って、当該第2言語としては、ユーザが意味を把握できるか否かにかかわらず、所望の言語を設定することができ、例えば、ユーザの母国語以外の他の言語圏に属する言語を設定しうる。ここで、当該印刷装置では、プレビュー画面の内容表示により、プレビュー画面における既定印刷データに基づくイメージの内容を第1言語で表示する。従って、当該印刷装置によれば、ユーザは、プレビュー画面における既定印刷データに基づくイメージの内容を確実に把握することができ、プレビュー画面に係るイメージにより、既定印刷データに基づく印刷結果の概要を把握することができる。従って、当該印刷装置によれば、ユーザは、意味内容を把握し難い第2言語に係るメッセージを含む既定印刷データを印刷対象に設定する際に、意味を把握可能な第1言語で表現された内容表示を視認することができる。つまり、当該印刷装置は、確実にユーザの意図が反映されたメッセージを含む既定印刷データを選択することができ、他言語圏を対象とした印刷結果物を作成する際の利便性を高めることができる。
【0021】
又、請求項7記載の印刷装置は、請求項1又は請求項2記載の印刷システムを構成する印刷装置であって、前記既定印刷データは、一の言語により表現されたメッセージを編集不能に含む画像データであることを特徴とする。
【0022】
当該印刷装置においては、既定印刷データは、一の言語により表現されたメッセージを編集不能に含む画像データである。つまり、既定印刷データに係るメッセージは、当該印刷装置で対応可能な言語(即ち、専用のフォントが印刷装置中に存在している言語)でなくともよく、種々の言語で表現され得る。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本実施形態に係る印刷システムの説明図である。
【図2】テープ印刷装置の上面図である。
【図3】テープ印刷装置の側面図である。
【図4】テープ印刷装置の制御系を示すブロック図である。
【図5】既定ラベルデータ記憶領域の一例を示す説明図である。
【図6】ラベル内容データ記憶領域の一例を示す説明図である。
【図7】転送ラベルデータ記憶領域の一例を示す説明図である。
【図8】転送ラベル内容データ記憶領域の一例を示す説明図である。
【図9】メイン制御プログラムのフローチャートである。
【図10】データ転送処理プログラムのフローチャートである。
【図11】既定ラベル作成処理プログラムのフローチャートである。
【図12】既定ラベル作成の流れの一例を示す説明図である。
【図13】ラベルプレビュー画面を例示した説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明に係る印刷システム及び印刷装置を、テープカセットから排出されるテープに対して印刷を行うテープ印刷装置1と、サーバ100とを有する印刷システムPに具体化した実施形態について、図面を参照しつつ詳細に説明する。先ず、本実施形態に係る印刷システムPの概略構成について、図1に基づき説明する。図1に示すように、本実施形態に係る印刷システムPは、複数のテープ印刷装置1と、サーバ100を有している。当該テープ印刷装置1は、後述するようにラベルテープLにユーザ所望の印刷を行い得るように構成されており、その詳細な構成については後述する。そして、当該テープ印刷装置1は、ネットワーク網Nを介して、サーバ100との間でデータの双方向通信可能に接続されている。
【0025】
そして、当該印刷システムPを構成するサーバ100は、ネットワーク網Nを介して、後述する既定ラベルデータ(即ち、転送ラベルデータ)をアップロード及びダウンロード可能に格納・管理するサーバであり、サーバ制御部110と、転送ラベルデータベース120を有している。サーバ制御部110は、CPU、ROM、RAM等を有しており、当該印刷システムPを構成するテープ印刷装置1との間でのデータ通信制御を行うと共に、転送ラベルデータベース120の記憶内容を管理する。
【0026】
転送ラベルデータベース120は、転送ラベルデータ記憶領域120Aと、転送ラベル内容データ記憶領域120Bを有している。転送ラベルデータ記憶領域120Aは、転送用の既定ラベルデータ(即ち、転送ラベルデータ)を複数格納している(図7参照)。そして、転送ラベル内容データ記憶領域120Bは、転送ラベルデータ記憶領域120Aに格納されている転送ラベルデータの内容を示す転送ラベル内容データを複数格納している(図8参照)。転送ラベルデータ記憶領域120A及び転送ラベル内容データ記憶領域120Bについては、後に図面を参照しつつ詳細に説明する。
【0027】
続いて、本実施形態に係る印刷システムPを構成するテープ印刷装置1の概略構成について、図面を参照しつつ説明する。図2及び図3に示すように、本実施形態に係るテープ印刷装置1は、筐体5を有しており、筐体5内部にテープ印刷装置1を構成する各種構成部品を格納している。筐体5上面の後方には、収納カバー6が開閉自在に軸支されている。当該収納カバー6は、筐体5内部に形成されたカセット収納部20の上方を覆う。
【0028】
カセット収納部20には、テープカセットCが着脱可能に装着される。テープカセットCは、感熱発色性を有する被記録媒体であるラベルテープLを巻回状態で収納している。又、カセット収納部20には、サーマルヘッド25と、テープ搬送機構27と、テープ切断機構29が配設されている(図4参照)。サーマルヘッド25は、複数の発熱素子を列設して備えており、各発熱素子の通電制御を行うことにより、ラベルテープLに印刷データ(例えば、既定印刷データ)に基づく印刷を施す。テープ搬送機構27は、プラテンローラ等の各種ローラと、搬送モータを有しており、テープカセットCからラベルテープLを引き出し、筐体5外部へ搬送する。そして、テープ切断機構29は、テープカセットCから引き出されたラベルテープLを、所定位置(後述するラベル排出口7の内側近傍)で切断する。
【0029】
そして、本実施形態に係るテープ印刷装置1において、筐体5には、ラベル排出口7、アダプタ挿入口8、コネクタ9が形成されている。ラベル排出口7は、カセット収納部20の左側面部に形成されている。印刷されたラベルテープLは、当該ラベル排出口7から筐体5外部へ排出される。アダプタ挿入口8及びコネクタ9は、カセット収納部20の右側面部に形成されている。アダプタ挿入口8には、テープ印刷装置1へ電源を供給する電源アダプタが取り付けられる。コネクタ9には、通信ケーブルが取り付けられ、ネットワーク網Nを介して、テープ印刷装置1とサーバ100とを通信可能に接続する(図1、図3参照)。
【0030】
テープ印刷装置1は、筐体5上面の前側部分に、キーボード10を有している。当該キーボード10は、文字入力キー11、印刷キー12、リターンキー13、カーソルキー14、機能キー15、既定ラベルキー16等の複数の入力キーを備える。文字入力キー11は、複数のキャラクタを含み得るテキストデータを作成する際に入力される。印刷キー12は、テキストデータや後述する既定印刷データ等の印刷データをラベルテープLに対して印刷する際に入力される。リターンキー13は、改行指令や各種処理の実行、選択確定を指令する際に入力される。カーソルキー14は、液晶ディスプレイ30に表示されたカーソルE(図12参照)を上下、左右に移動させる際に入力される。機能キー15は、テープ印刷装置1における各種機能を選択する際に入力され、後述する本体言語を設定する際にも入力される。既定ラベルキー16は、後述する既定ラベルデータに基づいて、既定ラベルを作成する際に操作される。キーボード10の下側には、制御基板35が配設されている。制御基板35には、後述する制御回路部40が構成される。
【0031】
テープ印刷装置1は、筐体5上面のキーボード10後方部分に、液晶ディスプレイ30を有している。当該液晶ディスプレイ30は、表示用フォントデータ記憶領域42Aに格納されている表示用フォントを用いて、複数種類の言語に係るキャラクタを表示しうる。又、当該液晶ディスプレイ30は、後述する本体言語選択画面60等を表示しうる。
【0032】
次に、テープ印刷装置1の制御系について図4に基づき説明する。図4に示すように、制御回路部40は、CPU41、CGROM42、ROM43、EEPROM44、RAM45、入出力I/F46、及び通信用I/F47等を備えている。
【0033】
CPU41は、テープ印刷装置1の制御の中枢を担う中央演算装置であり、ROM43内の各種制御プログラムに基づいて各種の演算を行なう。CGROM42は、各キャラクタに対応するドットパターンデータを記憶しており、表示用フォントデータ記憶領域42Aを有している。各キャラクタは、当該CGROM42から読み出されたドットパターンデータに基づいて、液晶ディスプレイ30上に表示される。
【0034】
表示用フォントデータ記憶領域42Aは、液晶ディスプレイ30上にキャラクタ(文字、記号)を表示する際に用いられる表示用フォントデータを格納する記憶領域である。当該表示用フォントデータ記憶領域42Aには、液晶ディスプレイ30上に表示可能な言語種類(例えば、英語、フランス語、ドイツ語、スペイン語等)毎に、表示用フォントデータが記憶されている。従って、ドイツ語に係る表示用フォントデータであれば、ウムラウト、エスツェット等の特殊なキャラクタの表示用フォントデータを含み、スペイン語であれば、エニェ等の特殊なキャラクタの表示用フォントデータを含む。又、当該表示用フォントデータを構成する言語種類は、後述する本体言語として選択可能な言語種類と一致しており、本体言語として設定された場合に、キーボード10の操作により入力されたキャラクタや、各種機能に関する説明表示(例えば、本体言語選択画面60や印刷メニュー画面80での項目表示)に用いられる。
【0035】
ROM43は、各種制御プログラムを記憶するメモリであり、後述するメイン制御プログラム(図9参照)や、データ転送処理プログラム(図10参照)、既定ラベル作成処理プログラム(図11参照)を記憶している。
【0036】
又、EEPROM44は、テープ印刷装置1の電源をオフしてもこれらの記憶内容を保持可能なメモリであり、既定ラベルデータ記憶領域44A、ラベル内容データ記憶領域44Bを有している。
【0037】
既定ラベルデータ記憶領域44Aは、印刷データである既定ラベルデータを複数記憶する記憶領域である。当該既定ラベルデータは、ユーザが文字入力キー11等を用いて入力した印刷データと異なり、図5等に示すように、データ提供者により生成された所定のデザインを示す画像データにより構成され、ユーザによる編集が禁じられている。そして、当該既定ラベルデータには、一の言語で表現されたメッセージを画像として含んでいる。従って、当該既定ラベルデータを印刷対象とすれば、テープ印刷装置1は、既定ラベルデータが示す画像を、ラベルテープLへ印刷し得る。
【0038】
既定ラベルデータ記憶領域44Aにおいて、各既定ラベルデータは、夫々、一のカテゴリと、一の言語種類に対応付けられて記憶されている。カテゴリは、当該既定ラベルデータに基づく画像から推定される使用環境等を示し、複数種類のカテゴリ(例えば、Files、Office Signage等)に分類されて対応付けられる。例えば、図5に示すように、「既定ラベル(1)」は、「迅速な応答を要求する旨」のイメージを有する為、「カテゴリ:Files」に対応付けられ、「既定ラベル(A)」は、「静かにすべき旨」のイメージを有する為、「カテゴリ:Office Signage」に対応付けられる。
【0039】
そして、一の言語種類は、既定ラベルデータの画像中に含まれるメッセージの表現に用いられている言語種類を示し、後述する「ラベル言語」として選択可能な一の言語を示す。ここで、既定ラベルデータに係るメッセージは、表示用フォントデータ記憶領域42Aに格納されている言語種類に限定されるものではなく、表示用フォントデータが存在しない言語種類で表現され得る。上述したように、既定ラベルデータは、画像データであるため、表示用フォント等を用いることなく、画像として液晶ディスプレイ30への表示、ラベルテープLへの印刷を行うことができるからである。
【0040】
尚、当該既定ラベルデータ記憶領域44Aにおいては、各既定ラベルデータは、夫々一の既定ラベル種類に対応付けられている。当該「既定ラベル種類」は、各既定ラベルデータ全体(既定ラベルデータに含まれるメッセージを含む)から把握される意味に応じた種類を示し、当該メッセージを表現する言語種別に関わらず、同等の意味を示す既定ラベルデータであれば、同一の既定ラベル種類が対応付けられる。例えば、「既定ラベル(2)」の既定ラベル種類は、既定ラベルデータが示す意味合いが「署名の上、返送を要求する旨」であれば、メッセージを表現する言語(即ち、ラベル言語)を問わず対応付けられている。
【0041】
ラベル内容データ記憶領域44Bは、ラベル内容データを、上述した既定ラベル種類毎に分類して記憶した記憶領域である。図6に示すように、各ラベル内容データは、各既定ラベルデータの内容を意味するメッセージを表現したデータである。当該ラベル内容データの内、テープ印刷装置1の既定ラベルデータ記憶領域44Aに当初から格納されている既定ラベルデータに対応するものについては、表示用フォントデータ記憶領域42Aに記憶されている言語(即ち、本体言語として設定可能な一の言語)で表現されたテキストデータとして構成される。例えば、既定ラベル種類「既定ラベル(1)」に分類される各ラベル内容データは、本体言語として設定可能な一の言語(英語、スペイン語、フランス語等)で、「既定ラベル(1)」に対応する意味合いである「迅速な応答を要求する旨」を表現したテキストデータとなる。そして、ラベル内容データは、後述するラベルプレビュー画面75の内容テキスト表示エリア76を表示する際に用いられる(図13参照)。
【0042】
RAM45は、CPU41により演算された各種の演算結果を一時的に記憶するメモリであり、印刷バッファ45A、表示画像バッファ45B、ワーク領域45C等の各種のメモリ領域を有している。印刷バッファ45Aには、複数の文字や記号等の印刷用ドットパターンや各ドットの形成エネルギ量である印加パルス数等がデータとして格納される。又、表示画像バッファ45Bには、液晶ディスプレイ30に表示されるグラフィックデータや印刷イメージデータ等が格納される。
【0043】
入出力I/F46には、キーボード10、液晶ディスプレイコントローラ50と、ヘッド駆動回路51と、搬送駆動回路53と、切断駆動回路55とがそれぞれ接続されている。液晶ディスプレイコントローラ50は、液晶ディスプレイ30に表示データを出力する為のビデオRAMを有し、液晶ディスプレイ30の表示態様を制御する。ヘッド駆動回路51は、ラベルテープLへの印刷を行う際に、サーマルヘッド25を駆動制御する。搬送駆動回路53は、ラベルテープLを搬送する際に、テープ搬送機構27を駆動制御する。切断駆動回路55は、ラベルテープLを切断する際に、テープ切断機構29を駆動制御する。
【0044】
通信用I/F47は、例えば、イーサネット(登録商標)等から構成され、コネクタ9を含む。当該テープ印刷装置1は、コネクタ9、通信用I/F47を介して、ネットワーク網Nと接続され、サーバ100との間で、双方向データ通信を行い得る。
【0045】
続いて、サーバ100の転送ラベルデータベース120について、図7、図8を参照しつつ詳細に説明する。上述したように、転送ラベルデータベース120には、転送ラベルデータ記憶領域120Aと、転送ラベル内容データ記憶領域120Bが形成されている。
【0046】
先ず、転送ラベルデータ記憶領域120Aについて、図7に基づき説明する。図7に示すように、転送ラベルデータ記憶領域120Aは、転送用既定ラベルデータを複数記憶する記憶領域である。転送用既定ラベルデータは、上述した既定ラベルデータであり、データ提供者により生成された所定のデザインを示す画像データにより構成され、ユーザによる編集が禁じられている。そして、当該転送用既定ラベルデータには、一の言語で表現されたメッセージを画像として含んでいる。つまり、当該転送用既定ラベルデータは、ネットワーク網Nを介してテープ印刷装置1へダウンロードされると、テープ印刷装置1の既定ラベルデータ記憶領域44Aに格納され、上述した既定ラベルデータと同様に取り扱われる。
【0047】
又、転送ラベルデータ記憶領域120Aにおいても、転送用既定ラベルデータは、夫々、一のカテゴリと、一の言語種類(ラベル言語)に対応付けられて記憶されている。カテゴリは、当該既定ラベルデータに基づく画像から推定される使用環境等を示し、複数種類のカテゴリ(例えば、Files、Office Signage等)に分類されて対応付けられる。そして、ラベル言語は、上述した既定ラベルデータと同様に、転送用既定ラベルデータの画像中に含まれるメッセージの表現に用いられている言語種類を示す。
【0048】
そして、当該転送ラベルデータ記憶領域120Aにおいても、各転送用既定ラベルデータは、夫々一の既定ラベル種類に対応付けられている。当該「既定ラベル種類」は、各転送用既定ラベルデータ全体(転送用既定ラベルデータに含まれるメッセージを含む)から把握される意味に応じた種類を示し、当該メッセージを表現する言語種別に関わらず、同等の意味を示す転送用既定ラベルデータであれば、同一の既定ラベル種類が対応付けられている。
【0049】
更に、当該転送ラベルデータ記憶領域120Aにおいては、各転送用既定ラベルデータには、登録日時情報と、転送回数情報が対応付けられる。登録日時情報、転送回数情報は、後述するデータ転送処理(S1)により、テープ印刷装置1に対して転送用既定ラベルデータを転送する際に参照される。登録日時情報は、当該転送用既定ラベルデータが転送ラベルデータ記憶領域120Aに登録された時点(即ち、アップロードされた時点)を示す情報である。従って、サーバ制御部110は、当該転送用既定ラベルデータが転送ラベルデータ記憶領域120Aに登録された時点で、その登録時点を特定し、当該転送用既定ラベルデータに関連付ける。そして、転送回数情報は、当該転送用既定ラベルデータがネットワーク網Nを介して、印刷システムPを構成するテープ印刷装置1へ転送された回数を示す。従って、印刷システムPを構成する各テープ印刷装置1でのデータ転送処理(S1)により、転送用既定ラベルデータがテープ印刷装置1へ転送される毎に、サーバ制御部110は、当該転送用既定ラベルデータに係る転送回数情報を更新する。
【0050】
次に、転送ラベル内容データ記憶領域120Bについて、図8に基づき説明する。図8に示すように、転送ラベル内容データ記憶領域120Bは、転送用ラベル内容データを、転送ラベルデータ記憶領域120A内の転送用既定ラベルデータに係る既定ラベル種類毎に分類して記憶した記憶領域である。ここで、各転送用ラベル内容データは、対応する転送用既定ラベルデータの内容を所定の言語(例えば、英語)で表現したメッセージを含む画像データである。即ち、画像データである転送用ラベル内容データは、テキストデータとして構成されたラベル内容データと異なる。しかしながら、転送用ラベル内容データは、テープ印刷装置1に転送された後、後述するラベルプレビュー画面75の内容テキスト表示エリア76に、データ転送処理(S1)で取得した転送用既定ラベルデータの内容を表示する際に用いられる(図13参照)。この場合、内容テキスト表示エリア76には、転送用既定ラベルデータの内容を示すメッセージが画像として表示される。
【0051】
続いて、本実施形態に係るテープ印刷装置1のメイン制御プログラムについて、図9を参照しつつ詳細に説明する。当該メイン制御プログラムは、テープ印刷装置1に対する電源投入が行われると、CPU41により実行される。
【0052】
図9に示すように、メイン制御プログラムの実行を開始すると、CPU41は、先ず、データ転送処理を実行する(S1)。データ転送処理(S1)では、CPU41は、データ転送処理プログラム(図10参照)を実行することにより、ネットワーク網Nを介して、サーバ100から転送用既定ラベルデータ及び転送用ラベル内容データを取得し、既定ラベルデータ記憶領域44A、ラベル内容データ記憶領域44Bに格納する。データ転送処理(S1)の詳細については、後に図面を参照しつつ説明する。データ転送処理を終了すると、CPU41は、S2に処理を移行する。
【0053】
S2に移行すると、CPU41は、機能キー15の入力があったか否かを判断する(S2)。機能キー15の入力があった場合(S2:YES)、CPU41は、S3に処理を移行する。機能キー15の入力がなかった場合(S2:NO)、CPU41は、S8に処理を移行する。
【0054】
S3では、CPU41は、設定項目選択処理を実行する。設定項目選択処理(S3)では、CPU41は、テープ印刷装置1で設定可能な各設定項目(後述する「設定項目:本体言語」を含む)を選択可能な設定項目選択画面(図示せず)を液晶ディスプレイ30に表示し、ユーザの操作による一の設定項目の選択を受け付ける。一の設定項目が選択された場合に、CPU41は、S4に処理を移行する。
【0055】
S4においては、CPU41は、設定項目選択処理(S3)で「設定項目:本体言語」が選択されたか否かを判断する。ここで、「本体言語」とは、テープ印刷装置1の液晶ディスプレイ30におけるテキスト表示に用いられる一の言語をいい、各種機能項目の名称や入力内容に用いられる言語である。「設定項目:本体言語」が選択された場合(S4:YES)、CPU41は、S6に処理を移行する。他の設定項目(例えば、「設定項目:印刷品質」等)が選択された場合(S4:NO)、CPU41は、S5に処理を移行する。
【0056】
S5においては、CPU41は、その他の設定処理を実行する。その他の設定処理(S5)では、CPU41は、設定項目選択処理(S3)で選択された設定項目に関する設定処理を実行する。例えば、設定項目選択処理(S3)で「印刷品質」が選択された場合、CPU41は、その他の設定処理(S5)で当該印刷品質に関する設定処理を実行する。又、設定項目選択処理(S3)で「自動転送設定」が選択された場合、CPU41は、サーバ100から、所定条件に合致する転送用既定ラベルデータ等を自動的に取得する機能(即ち、自動転送設定)の設定処理を、その他の設定処理(S5)で実行する。その他の設定処理を終了すると、CPU41は、テープ印刷装置1に電源が投入されている限り、S1に処理を戻す。
【0057】
S6に移行すると、CPU41は、本体言語選択処理を実行する。本体言語選択処理(S6)においては、CPU41は、「設定項目:本体言語」が選択されたことに基づいて、表示用フォントデータ記憶領域42Aに記憶されている表示用フォントデータで対応可能な複数の言語(即ち、液晶ディスプレイ30上でテキスト表示可能な言語)から、一の言語を本体言語として選択する処理を実行する。具体的には、CPU41は、先ず、本体言語選択画面60を液晶ディスプレイ30に表示する(図12(A)参照)。本体言語選択画面60は、本体言語として選択可能な言語種類(例えば、英語、フランス語、スペイン語等)を一覧表示している。又、本体言語選択画面60には、カーソルEが表示される。従って、ユーザは、カーソルキー14を操作することで、本体言語選択画面60の一覧表示されている言語種類から、一の言語をカーソルEにより選択し、リターンキー13の押下により確定することで、本体言語(即ち「第1言語」)として、所望の言語を選択する。本体言語選択処理を終了すると、CPU41は、S7に処理を移行する。
【0058】
S7では、CPU41は、本体言語設定処理を実行する。本体言語設定処理(S7)においては、CPU41は、本体言語選択処理(S6)で選択された言語を、本体言語に設定する。選択された一の言語を、本体言語に設定することにより、CPU41は、液晶ディスプレイ30におけるテキスト表示を当該選択された言語に基づく表現に変更する。本体言語設定処理(S7)を終了すると、CPU41は、S1に処理を戻す。
【0059】
S8では、CPU41は、既定ラベルキー16が入力されたか否かを判断する。既定ラベルキー16が入力された場合(S8:YES)、CPU41は、S9に処理を移行する。一方、既定ラベルキー16が入力されていない場合(S8:NO)、CPU41は、S10に処理を移行する。
【0060】
S9においては、CPU41は、既定ラベル作成処理を実行する。既定ラベル作成処理(S9)では、CPU41は、既定ラベル作成処理プログラムを実行し、既定ラベルデータ記憶領域44Aに記憶されている既定ラベルデータに基づいて、ラベルテープLに印刷を行う。既定ラベル作成処理(S9)を終了すると、CPU41は、S1に処理を戻す。既定ラベル作成処理(S9)の詳細については、後に図面を参照しつつ詳細に説明する。
【0061】
S10に移行すると、CPU41は、その他処理を実行する。その他処理(S10)では、CPU41は、文字入力キー11の入力に基づくテキスト入力処理や、テキストの編集処理等を実行する。その他処理(S10)を終了すると、CPU41は、S1に処理を戻す。
【0062】
次に、データ転送処理(S1)でCPU41により実行されるデータ転送処理プログラムについて、図10を参照しつつ詳細に説明する。データ転送処理(S1)に移行すると、CPU41は、先ず、ネットワーク網Nを介して、サーバ100と接続されているか否かを判断する(S11)。ネットワーク網Nを介して、当該テープ印刷装置1とサーバ100が通信可能に接続されている場合(S11:YES)、CPU41は、S12に処理を移行する。当該テープ印刷装置1とサーバ100が通信可能に接続されていない場合(S11:NO)、CPU41は、そのままデータ転送処理プログラムを終了する。
【0063】
S12においては、CPU41は、当該テープ印刷装置1の転送回数が「0」であるか否かを判断する。当該転送回数は、当該テープ印刷装置1において、サーバ100からネットワーク網Nを介して、転送用既定ラベルデータ及び転送用ラベル内容データを取得した回数を示し、当該テープ印刷装置1におけるEEPROM44の転送回数カウンタの数値により表わされる。転送回数が「0」であり、初めてサーバから転送用既定ラベルデータ及び転送用ラベル内容データを取得する場合(S12:YES)、CPU41は、S13に処理を移行する。一方、転送回数が「0」でなく、既にサーバ100から転送用既定ラベルデータ及び転送用ラベル内容データを取得したことがある場合(S12:NO)、CPU41は、S14に処理を移行する。
【0064】
S13では、CPU41は、通常転送処理を実行する。通常転送処理(S13)では、CPU41は、サーバ100と通信することにより、転送ラベルデータ記憶領域120Aに格納されている転送用既定ラベルデータの種類等を取得する。そして、CPU41は、キーボード10によるユーザ所望のラベル言語、カテゴリ等の入力を受け付けることで、ユーザ所望の転送用既定ラベルデータを特定し、特定された転送用既定ラベルデータ及び対応する転送用ラベル内容データを、ネットワーク網Nを介して、サーバ100から取得する。その後、CPU41は、取得した転送用既定ラベルデータを既定ラベルデータ記憶領域44Aに格納すると共に、取得した転送用ラベル内容データをラベル内容データ記憶領域44Bに格納する。この時、CPU41は、取得した転送用既定ラベルデータに対して、当該転送用既定ラベルデータの取得日時を示す取得日時情報を関連付けて、既定ラベルデータ記憶領域44Aに格納すると共に、転送回数カウンタの数値に「1」を加算する。通常転送処理(S13)を終了すると、CPU41は、データ転送処理プログラムを終了する。
【0065】
S14では、CPU41は、EEPROM44を参照して、「自動転送設定:オン」であるか否かを判断する。上述したように、自動転送設定は、設定項目選択処理(S3)で「自動転送設定」が選択された場合の「その他設定処理(S5)」において、設定処理として実行される。「自動転送設定」がオンである場合(S14:YES)、CPU41は、S15に処理を移行する。「自動転送設定」がオフである場合(S14:NO)、CPU41は、そのままデータ転送処理プログラムを終了する。
【0066】
S15においては、CPU41は、ネットワーク網Nを介して、取得済データ情報をサーバ100へ通信する。取得済データ情報は、当該テープ印刷装置1が既にサーバ100から取得した転送用既定ラベルデータ(以下、取得済データ)のラベル言語、カテゴリを示す情報である。又、当該取得済データ情報は、当該テープ印刷装置1において、各取得済データをサーバ100から取得した日時を示す取得日時情報を含んでいる。従って、S15においては、CPU41は、先ず、既定ラベルデータ記憶領域44Aを参照し、取得済データ情報を生成する。その後、CPU41は、ネットワーク網Nを介して、生成した取得済データ情報をサーバ100へ送信する。取得済データ情報をサーバ100に送信した後、CPU41は、S16に処理を移行する。
【0067】
S16では、CPU41は、EEPROM44を参照して、「人気ラベル自動転送:オン」であるか否かを判断する。「人気ラベル自動転送」は、自動転送設定における詳細な設定項目の一であり、印刷システムPにおいて、所定条件を満たす転送用既定ラベルデータの内、人気の高いものを自動的に転送(取得)することを示す設定項目である。「人気ラベル自動転送:オン」である場合(S16:YES)、CPU41は、S17に処理を移行する。「人気ラベル自動転送:オフ」である場合(S16:NO)、CPU41は、S20に処理を移行する。
【0068】
S17に移行すると、CPU41は、サーバ100から出力された抽出結果情報に基づいて、サーバ100に該当人気データが格納されているか否かを判断する。ここで、該当人気データとは、転送ラベルデータ記憶領域120Aに格納されている転送用既定ラベルデータの内で、取得済データ情報に係るラベル言語及びカテゴリが同一であり、且つ、同一のラベル言語及び同一カテゴリの中で、転送回数情報が示す転送回数が上位3位に含まれる転送用既定ラベルデータを意味する。該当人気データがサーバ100に格納されている場合(S17:YES)、CPU41は、S18に処理を移行する。該当人気データがサーバ100に格納されていない場合(S17:NO)、CPU41は、S20に処理を移行する。
【0069】
尚、S17の場合における抽出結果情報は、サーバ制御部110により、上述したS15によりテープ印刷装置1から送信された取得済データ情報に基づいて生成される。具体的には、サーバ制御部110は、取得済データ情報が示すラベル言語及びカテゴリに従って、転送ラベルデータ記憶領域120Aに格納されている転送用既定ラベルデータを絞り込み、取得済データ情報に係るラベル言語及びカテゴリと同一の転送用既定ラベルデータを抽出する。そして、サーバ制御部110は、転送ラベルデータ記憶領域120Aを参照することにより、抽出した転送用既定ラベルデータに係る転送回数情報に基づいて、該当人気データを特定する。その後、サーバ制御部110は、特定した該当人気データを示す抽出結果情報を生成し、ネットワーク網Nを介して、当該テープ印刷装置1へ送信する。
【0070】
S18では、CPU41は、該当人気データを格納すべく、既定ラベルデータ記憶領域44Aに、人気フォルダを生成する。人気フォルダを既定ラベルデータ記憶領域44Aに生成した後、CPU41は、S19に処理を移行する。
【0071】
S19においては、CPU41は、ネットワーク網Nを介して、該当人気データにあたる転送用既定ラベルデータを、サーバ100の転送ラベルデータ記憶領域120Aから取得する。そして、CPU41は、取得した該当人気データに係る転送用既定ラベルデータを、既定ラベルデータとして、S18で生成した人気フォルダ内に格納する。尚、CPU41は、該当人気データに係る転送用既定ラベルデータに対応する転送用ラベル内容データを、転送ラベル内容データ記憶領域120Bから取得し、ラベル内容データ記憶領域44Bに格納する。その後、CPU41は、S20に処理を移行する。
【0072】
S20に移行すると、CPU41は、EEPROM44を参照して、「最新ラベル自動転送:オン」であるか否かを判断する。「最新ラベル自動転送」は、自動転送設定における詳細な設定項目の一であり、印刷システムPにおいて、所定条件を満たす転送用既定ラベルデータの内、当該テープ印刷装置1における取得の日時よりも新しい登録日時情報が関連付けられたものを自動的に転送(取得)することを示す設定項目である。「人気ラベル自動転送:オン」である場合(S20:YES)、CPU41は、S21に処理を移行する。「人気ラベル自動転送:オフ」である場合(S20:NO)、CPU41は、そのままデータ転送処理プログラムを終了する。
【0073】
S21では、CPU41は、サーバ100から出力された抽出結果情報に基づいて、サーバ100に該当最新データが格納されているか否かを判断する。ここで、該当最新データとは、転送ラベルデータ記憶領域120Aに格納されている転送用既定ラベルデータの内で、取得済データ情報に係るラベル言語及びカテゴリが同一であり、且つ、同一のラベル言語及び同一カテゴリの中で、取得済データ情報に係る取得日時よりも新しい登録日時を示す登録日時情報が対応付けられた転送用既定ラベルデータを意味する。該当最新データがサーバ100に格納されている場合(S21:YES)、CPU41は、S22に処理を移行する。該当最新データがサーバ100に格納されていない場合(S21:NO)、CPU41は、そのままデータ転送処理プログラムを終了する。
【0074】
尚、S21の場合における抽出結果情報は、サーバ制御部110により、上述したS15によりテープ印刷装置1から送信された取得済データ情報に基づいて生成される。具体的には、サーバ制御部110は、取得済データ情報が示すラベル言語及びカテゴリに従って、転送ラベルデータ記憶領域120Aに格納されている転送用既定ラベルデータを絞り込み、取得済データ情報に係るラベル言語及びカテゴリと同一の転送用既定ラベルデータを抽出する。そして、サーバ制御部110は、取得済データ情報に係る取得日時情報と、転送ラベルデータ記憶領域120Aを参照することにより、抽出した転送用既定ラベルデータに係る登録日時情報に基づいて、該当最新データを特定する。その後、サーバ制御部110は、特定した該当最新データを示す抽出結果情報を生成し、ネットワーク網Nを介して、当該テープ印刷装置1へ送信する。
【0075】
S22においては、CPU41は、該当最新データを格納すべく、既定ラベルデータ記憶領域44Aに、最新フォルダを生成する。最新フォルダを既定ラベルデータ記憶領域44Aに生成した後、CPU41は、S23に処理を移行する。
【0076】
S23に移行すると、CPU41は、ネットワーク網Nを介して、該当最新データにあたる転送用既定ラベルデータを、サーバ100の転送ラベルデータ記憶領域120Aから取得する。そして、CPU41は、取得した該当最新データに係る転送用既定ラベルデータを、既定ラベルデータとして、S22で生成した最新フォルダ内に格納する。尚、CPU41は、該当最新データに係る転送用既定ラベルデータに対応する転送用ラベル内容データを、転送ラベル内容データ記憶領域120Bから取得し、ラベル内容データ記憶領域44Bに格納する。その後、CPU41は、そのままデータ転送処理プログラムを終了する。
【0077】
続いて、既定ラベル作成処理(S9)で実行される既定ラベル作成処理プログラムについて、図11を参照しつつ詳細に説明する。既定ラベル作成処理(S9)に移行すると、CPU41は、ラベル言語選択画面表示処理を実行する(S31)。ラベル言語選択画面表示処理(S31)においては、CPU41は、既定ラベルデータ記憶領域44Aに格納されている既定ラベルデータのラベル言語種別に基づいて、ラベル言語選択画面65を液晶ディスプレイ30に表示する(図12(B)参照)。ここで、「ラベル言語」は、既定ラベルデータの画像中に含まれるメッセージの表現に用いられている一の言語を示し、既定ラベルデータに基づくラベル作成に関し、メッセージの相手先等を考慮したユーザ所望の言語を意味する。ラベル言語選択画面65を液晶ディスプレイ30に表示した後、CPU41は、S32に処理を移行する。
【0078】
ここで、図12(B)に示すように、ラベル言語選択画面65は、既定ラベルデータのラベル言語種別に基づいて、ラベル言語として選択可能な言語種類(例えば、英語、フランス語、スペイン語等)を一覧表示している。又、ラベル言語選択画面65には、カーソルEが表示される。
【0079】
S32では、CPU41は、ラベル言語選択処理を実行する。ラベル言語選択処理(S32)においては、ユーザは、カーソルキー14の操作を行うことで、ラベル言語選択画面65中の一覧表示中から、一の言語をカーソルEで選択し、リターンキー13の押下により確定することで、ユーザ所望の言語を、ラベル言語として選択する。ラベル言語選択処理(S32)により一の言語をラベル言語として選択すると、CPU41は、S33に処理を移行する。
【0080】
S33においては、CPU41は、ラベルカテゴリ選択処理を実行する。ラベルカテゴリ選択処理(S33)では、CPU41は、ラベルカテゴリ選択画面70を液晶ディスプレイ30に表示し、ユーザ所望のラベルカテゴリの選択を受け付ける。図12(C)に示すように、ラベルカテゴリ選択画面70は、既定ラベルデータ記憶領域44A中の既定ラベルデータのカテゴリに基づくカテゴリ一覧表示を有している。尚、各カテゴリの表記は、本体言語に設定された言語に基づいて表現される。又、ラベルカテゴリ選択画面70では、カーソルEが表示される。従って、ユーザは、カーソルキー14を操作することで、ラベルカテゴリ選択画面70の一覧表示されているカテゴリから、一のカテゴリをカーソルEにより選択し、リターンキー13の押下により確定することで、カテゴリを選択する。ラベルカテゴリ選択処理を終了すると、CPU41は、S34に処理を移行する。
【0081】
S34に移行すると、CPU41は、対象ラベルプレビュー表示処理を実行する。対象ラベルプレビュー表示処理(S34)では、CPU41は、ラベルプレビュー画面75を液晶ディスプレイ30に表示して、選択対象として選択されている既定ラベルデータのイメージ画像及び当該イメージの内容の説明を、ユーザに報知する(図12(D)、図13参照)。対象ラベルプレビュー表示処理(S34)により、ラベルプレビュー画面75を表示した後、CPU41は、S35に処理を移行する。
【0082】
図12(D)、図13に示すように、ラベルプレビュー画面75は、内容テキスト表示エリア76と、ラベルイメージ表示エリア77を有している。ラベルイメージ表示エリア77は、ラベル言語選択処理(S32)で選択されたラベル言語と、ラベルカテゴリ選択処理(S33)で選択されたラベルカテゴリで特定される既定ラベルデータ群に含まれる一の既定ラベルデータに基づく印刷結果のプレビュー画像を表示する。尚、当該ラベルイメージ表示エリア77では、プレビュー画像のスクロール表示が行われ、当該既定ラベルデータに基づくイメージの全体像が表示される。そして、内容テキスト表示エリア76は、ラベルイメージ表示エリア77でプレビュー表示されている既定ラベルデータと同一の既定ラベル種類であり、且つ、本体言語として設定されている言語に対応するラベル内容データに基づいて、プレビュー表示されている既定ラベルデータの内容を当該本体言語で表現したテキストを表示する。
【0083】
例えば、ラベル言語として「フランス語」が設定され、カテゴリとして「Files」が選択された場合、カテゴリ「Files」に対応付けられ、且つ、「フランス語」で表現されたメッセージを含む一の既定ラベルデータ(既定ラベル種類:既定ラベル(1))に基づくプレビュー画像が、ラベルイメージ表示エリア77に表示される(図13(A)参照)。この時、内容テキスト表示エリア76には、「本体言語:英語」が設定されていれば、当該「既定ラベル種類:既定ラベル(1)」と「本体言語:英語」に対応付けられたラベル内容データに基づいて、「既定ラベル種類:既定ラベル(1)」で表現される内容(即ち、迅速な応答を要求する旨)を英語で表現したテキストが、内容テキスト表示エリア76に表示される(図13(A)参照)。
【0084】
又、ラベル言語として「英語」が設定され、カテゴリとして「Files」が選択された場合、カテゴリ「Files」に対応付けられ、且つ、「英語」で表現されたメッセージを含む一の既定ラベルデータ(既定ラベル種類:既定ラベル(1))に基づくプレビュー画像が、ラベルイメージ表示エリア77に表示される(図13(B)参照)。この時、内容テキスト表示エリア76には、「本体言語:ドイツ語」が設定されていれば、当該「既定ラベル種類:既定ラベル(1)」と「本体言語:ドイツ語」に対応付けられたラベル内容データに基づいて、「既定ラベル種類:既定ラベル(1)」で表現される内容(即ち、迅速な応答を要求する旨)をドイツ語で表現したテキストが、内容テキスト表示エリア76に表示される(図13(B)参照)。
【0085】
上述したように、既定ラベルデータは画像データであるため、ラベルイメージ表示エリア77では、表示用フォントデータ記憶領域42Aに記憶されていない言語圏の言語であっても、既定ラベルデータに含まれるメッセージを表示し得る。従って、当該テープ印刷装置1は、他の言語圏を対象としたメッセージを含むプレビュー画像をラベルイメージ表示エリア77に表示し得る。この時、内容テキスト表示エリア76には、当該既定ラベルデータの内容を表現したメッセージが表示される。一般にユーザは、本体言語であればその内容を把握することができるので、内容テキスト表示エリア76の表示に基づいて、ラベルイメージ表示エリア77に表示されている既定ラベルデータの意味合いを把握することができる。この結果、当該テープ印刷装置1は、他言語圏を対象とするラベルテープLを作成する場合においても、確実にユーザの意図が反映されているか否かを確認する機会を提供し得る。
【0086】
S35では、CPU41は、ユーザにより確定操作がなされたか否かを判断する。ここで、確定操作とは、ラベルプレビュー画面75に表示されている既定ラベルデータを、ラベルテープLへの印刷対象として確定する操作であり、リターンキー13の入力により行われる。確定操作がなされた場合(S35:YES)、CPU41は、現在、ラベルプレビュー画面75の表示に用いられている既定ラベルデータを印刷対象に設定し、S38に処理を移行する。一方、確定操作が行われなかった場合(S35:NO)、CPU41は、S36に処理を移行する。
【0087】
S36においては、CPU41は、選択変更操作が行われたか否かを判断する。選択変更操作とは、現在印刷対象として選択されている既定ラベルデータを、ラベルプレビュー画面75の表示に用いられている既定ラベルデータから、当該既定ラベルデータと「ラベル言語」及び「ラベルカテゴリ」が同一である他の既定ラベルデータに変更する操作であり、カーソルキー14の入力により行われる。選択変更操作が行われた場合(S36:YES)、CPU41は、S37に処理を移行する。一方、選択変更操作が行われなかった場合(S36:NO)、CPU41は、S34に処理を戻す。
【0088】
S37に移行すると、CPU41は、選択対象変更処理を実行する。選択対象変更処理(S37)では、CPU41は、選択変更操作に基づいて、印刷対象として選択されている既定ラベルデータを、他の既定ラベルデータに変更する。この時、上記他の既定ラベルデータは、変更前の既定ラベルデータと同一のラベル言語及び同一のラベルカテゴリに対応付けられたものから選択される。新たな既定ラベルデータを印刷対象として選択した後、CPU41は、S34に処理を戻す。
【0089】
S38では、CPU41は、印刷メニュー選択処理を実行する。印刷メニュー選択処理(S38)において、CPU41は、先ず、印刷メニュー画面80を液晶ディスプレイ30に表示する(図12(E)参照)。印刷メニュー画面80は、「印刷」「キャンセル」等の印刷項目の一覧表示と共に、カーソルEを含んでいる。ユーザは、カーソルキー14を操作することで、印刷メニュー画面80に一覧表示されている印刷項目から、一の印刷項目をカーソルEにより選択し、リターンキー13の押下により確定する。印刷メニュー選択処理を終了すると、CPU41は、S39に処理を移行する。
【0090】
S39においては、CPU41は、印刷操作が行われたか否かを判断する。印刷操作は、カーソルEにより「印刷項目:印刷」を選択し、その選択を確定することで行われる。印刷操作が行われた場合(S39:YES)、CPU41は、S40に処理を移行する。印刷操作が行われなかった場合(S39:NO)、CPU41は、既定ラベル作成処理プログラムを終了する。
【0091】
S40に移行すると、CPU41は、既定ラベル印刷処理を実行する。既定ラベル印刷処理(S40)では、CPU41は、確定操作により、印刷対象として確定された既定ラベルデータに基づいて、ラベルテープLに対する印刷を行う(図12(F)参照)。既定ラベル印刷処理(S40)を終了すると、CPU41は、既定ラベル作成処理プログラムを終了する。
【0092】
以上、説明したように、本実施形態に係る印刷システムP及びテープ印刷装置1によれば、テープ印刷装置1が、既にネットワーク網Nを介して、サーバ100から転送用既定ラベルデータを取得したことがある場合(S12:NO)、既に取得した既定ラベルデータとラベル言語及びカテゴリが同一である転送用既定ラベルデータが、転送ラベルデータベース120から特定される。そして、特定された転送用既定ラベルデータの内、当該印刷システムPにおける転送回数が多い上位3位に該当する転送用既定ラベルデータは、ネットワーク網Nを介して、サーバ100からテープ印刷装置1へ転送される(S16〜S19)。即ち、当該印刷システムPにおいて、テープ印刷装置1は、取得済データに基づく使用環境に応じて、サーバ100から既定印刷データを取得し得る。更に、当該サーバ100から取得される既定印刷データは、通信回数が多い既定印刷データであるため、印刷システムPでは、当該印刷システムP内でユーザの人気の高いものとなる。つまり、当該印刷システムPは、テープ印刷装置1の使用環境に応じ、且つ、当該印刷システムP内での有用性の高い既定印刷データを、テープ印刷装置1に対して追加取得させ得る。
【0093】
更に、当該印刷システムP及びテープ印刷装置1によれば、テープ印刷装置1が、既にネットワーク網Nを介して、サーバ100から転送用既定ラベルデータを取得したことがある場合(S12:NO)、既に取得した既定ラベルデータとラベル言語及びカテゴリが同一である転送用既定ラベルデータが、転送ラベルデータベース120から特定される。そして、特定された転送用既定ラベルデータの内、当該テープ印刷装置1における取得済データの取得日時以後に転送ラベルデータベース120に登録された転送用既定ラベルデータが、ネットワーク網Nを介して、サーバ100からテープ印刷装置1へ転送される(S20〜S23)。当該印刷システムP及びテープ印刷装置1によれば、サーバ100から取得される既定印刷データは、取得済データの取得時点よりも新しい登録時点が関連付けられた既定印刷データであるため、テープ印刷装置1は、自己の所有する取得済データよりも新たにサーバ100に登録されたものを取得する。つまり、当該印刷システムPは、テープ印刷装置1の使用環境に応じ、且つ、当該印刷システムP内でより新しい既定印刷データを、テープ印刷装置1に対して追加取得させ得る。
【0094】
当該テープ印刷装置1は、既定ラベルデータ記憶領域44Aに格納する際に、各既定ラベルデータをカテゴリ及びラベル言語に基づいて、分類して管理する。そして、当該テープ印刷装置1は、サーバ100から転送用既定ラベルデータを取得した場合において、取得した既定ラベルデータの内容に応じたフォルダを作成し、当該フォルダ内に格納することで、取得した既定ラベルデータを管理する。例えば、該当人気データを取得した場合、テープ印刷装置1は、既定ラベルデータ記憶領域44Aに人気フォルダを生成し(S18)、当該人気フォルダ内に格納する(S19)。又、該当最新データを取得した場合、テープ印刷装置1は、既定ラベルデータ記憶領域44Aに最新フォルダを生成し(S22)、当該最新フォルダ内に格納する(S23)。つまり、当該テープ印刷装置1によれば、サーバ100から取得した転送用既定ラベルデータを、ユーザが利用しやすい状態で管理することができ、利便性の高い印刷装置を提供し得る。
【0095】
又、当該テープ印刷装置1は、所定の言語で表現されたメッセージを含む既定ラベルデータに基づく印刷を行う際に、ラベル言語(即ち、第2言語)を選択した後、カテゴリを指定して、ラベルプレビュー画面75の表示を行う。ここで、ラベルプレビュー画面75では、ラベルイメージ表示エリア77により、ユーザにより指定されたラベル言語及びラベルカテゴリに属する一の既定ラベルデータに基づくプレビュー画像が表示される。又、当該ラベルプレビュー画面75では、内容テキスト表示エリア76において、ラベルイメージ表示エリア77に表示されたプレビュー画像の内容を示すテキストが、ユーザによって設定された本体言語(第1言語)に準じて表示される。当該本体言語は、テープ印刷装置1における機能表示等の種々のテキスト表示に用いられる言語であるため、ユーザが把握可能な言語である。従って、当該テープ印刷装置1によれば、ラベルイメージ表示エリア77の表示によって、ラベル言語で表現されるメッセージ及び当該プレビュー画像が示す意味を把握できない場合でも、内容テキスト表示エリア76におけるテキスト表示を視認すれば、既定ラベルデータに係るイメージが示す内容を把握し得る。従って、当該テープ印刷装置1は、既定ラベルデータに基づく印刷結果物(例えば、図12(F)参照)を作成する際のユーザの負担を軽減することができ、確実に所望の印刷結果を提供し得る。
【0096】
又、本実施形態に係る既定印刷データは画像データにより構成される。従って、既定印刷データに含まれるメッセージは、表示用フォントデータに基づくテキスト表示不能な言語であってもよい。即ち、当該テープ印刷装置1は、フォントデータに基づくテキスト表示不能な言語を含む多様な言語で表現されたメッセージを、既定ラベルデータに含めることができ、より多様な言語圏を対象としたラベルを作成可能とする。
【0097】
以上、実施形態に基づき本発明を説明したが、本発明は上述した実施形態に何ら限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で種々の改良変更が可能である。例えば、本実施形態に係る印刷システムPにおいては、テープ印刷装置1を直接、ネットワーク網Nに接続し、サーバ100と通信する構成であったが、この態様に限定されるものではない。例えば、テープ印刷装置1を外部装置(例えば、パーソナルコンピュータ等)に接続し、当該外部装置がネットワーク網Nと接続するように構成することも可能である。つまり、外部装置及びネットワーク網Nを介して、テープ印刷装置1とサーバ100が通信可能に接続された態様であってもよい。
【0098】
又、本実施形態においては、該当人気データとして、取得済データ情報に係るラベル言語及びカテゴリと同一の転送用既定ラベルデータの内、転送回数の多い上位3位に該当するものを、転送ラベルデータ記憶領域120Aから特定していたが、この態様に限定するものではなく、該当人気データとして抽出する転送用既定ラベルデータの数を適宜設定することができる。
【0099】
更に、本実施形態においては、印刷システムPを構成する印刷装置は、被記録媒体としてラベルテープを用いるテープ印刷装置1であったが、この態様に限定するものではなく、被記録媒体の種類を問わない。
【符号の説明】
【0100】
1 テープ印刷装置
10 キーボード
25 サーマルヘッド
30 液晶ディスプレイ
44 EEPROM
44A 既定ラベルデータ記憶領域
44B ラベル内容データ記憶領域
47 通信用I/F
100 サーバ
110 サーバ制御部
120 転送ラベルデータベース
120A 転送ラベルデータ記憶領域
120B 転送ラベル内容データ記憶領域
N ネットワーク網
C テープカセット

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一の言語により表現されたメッセージを編集不能に含む既定印刷データを、言語毎に複数記憶する記憶手段と、前記記憶手段に格納されている既定印刷データに関する管理を行う管理手段と、を有するサーバと、
前記サーバと接続され、前記既定印刷データを受信可能な通信手段と、前記既定印刷データに基づいて、被記録媒体に印刷を行う印刷手段と、を有する印刷装置と、
を備える印刷システムであって、
前記サーバの管理手段は、
前記記憶手段に記憶された既定印刷データに関し、各既定印刷データに含まれるメッセージに対応する用途に応じたカテゴリに分類して管理を行うカテゴリ管理手段と、
前記通信手段を介して、前記印刷装置が既定印刷データを受信した通信回数を、前記既定印刷データ毎に計数して管理する通信回数管理手段を有し、
前記印刷装置は、
前記通信回線を通じて、前記サーバから取得した既定印刷データを、取得済データとして格納するデータ記憶手段と、
前記データ記憶手段に格納された取得済データと同一言語のメッセージを含み、同一カテゴリに分類される既定印刷データの内、通信回数が多い既定印刷データを、前記通信手段を介して、前記サーバの記憶手段から取得する通信制御手段と、有する
ことを特徴とする印刷システム。
【請求項2】
請求項1記載の印刷システムであって、
前記サーバの管理手段は、
前記既定印刷データが前記記憶手段に登録された時点を示す登録時点を、各既定印刷データに関連付けて管理する登録時点管理手段を有し、
前記印刷装置の通信制御手段は、
前記データ記憶手段に格納された取得済データと同一言語のメッセージを含み、同一カテゴリに分類される既定印刷データの内、前記取得済データの取得時点よりも新しい登録時点が関連付けられた既定印刷データを、前記通信手段を介して、前記サーバの記憶手段から取得する
ことを特徴とする印刷システム。
【請求項3】
請求項1又は請求項2記載の印刷システムを構成する印刷装置であって、
前記データ記憶手段に取得済データとして格納された既定印刷データに関し、当該既定印刷データに係るメッセージに基づいて、各取得済データをカテゴリに分類して管理するデータ管理手段と、を有し、
前記データ管理手段は、
前記通信制御手段によって、前記サーバの記憶手段から既定印刷データを取得し、取得した既定印刷データを取得済データとして前記データ記憶手段に格納する際に、前記通信制御手段によって取得された取得済データを示すカテゴリに分類して管理する
ことを特徴とする印刷装置。
【請求項4】
請求項3記載の印刷装置であって、
複数種類の言語を表示可能な表示手段と、
前記複数種類の言語毎に、前記既定印刷データに含まれるメッセージの内容を前記言語で表現した内容データを、前記メッセージの意味に対応付けて記憶する内容データ記憶手段と、
前記複数種類の言語から、前記表示手段の表示に用いられる一の言語を、第1言語として選択設定する第1言語選択手段と、
前記印刷手段による印刷対象として前記既定印刷データを選択する際に、前記既定印刷データに含まれるメッセージの表現に用いられる一の言語を、第2言語として選択設定する第2言語選択手段と、
前記第2言語選択手段により第2言語が選択された場合に、当該第2言語により表現されたメッセージを編集不能に含む既定印刷データに基づくイメージと、当該既定印刷データに含まれるメッセージの意味に対応し、前記第1言語選択手段により選択された第1言語により表現された内容データに基づく内容表示と、を含むプレビュー画面を、前記表示手段に表示する表示制御手段と、
前記表示手段に前記プレビュー画面が表示されている場合に、当該プレビュー画面に係る既定印刷データを、前記印刷手段による印刷対象として選択する選択手段と、を有する
ことを特徴とする印刷装置。
【請求項5】
請求項3又は請求項4記載の印刷装置であって、
前記既定印刷データは、
一の言語により表現されたメッセージを編集不能に含む画像データである
ことを特徴とする印刷装置。
【請求項6】
請求項1又は請求項2記載の印刷システムを構成する印刷装置であって、
複数種類の言語を表示可能な表示手段と、
前記複数種類の言語毎に、前記既定印刷データに含まれるメッセージの内容を前記言語で表現した内容データを、前記メッセージの意味に対応付けて記憶する内容データ記憶手段と、
前記複数種類の言語から、前記表示手段の表示に用いられる一の言語を、第1言語として選択設定する第1言語選択手段と、
前記印刷手段による印刷対象として前記既定印刷データを選択する際に、前記既定印刷データに含まれるメッセージの表現に用いられる一の言語を、第2言語として選択設定する第2言語選択手段と、
前記第2言語選択手段により第2言語が選択された場合に、当該第2言語により表現されたメッセージを編集不能に含む既定印刷データに基づくイメージと、当該既定印刷データに含まれるメッセージの意味に対応し、前記第1言語選択手段により選択された第1言語により表現された内容データに基づく内容表示と、を含むプレビュー画面を、前記表示手段に表示する表示制御手段と、
前記表示手段に前記プレビュー画面が表示されている場合に、当該プレビュー画面に係る既定印刷データを、前記印刷手段による印刷対象として選択する選択手段と、を有する
ことを特徴とする印刷装置。
【請求項7】
請求項1又は請求項2記載の印刷システムを構成する印刷装置であって、
前記既定印刷データは、
一の言語により表現されたメッセージを編集不能に含む画像データである
ことを特徴とする印刷装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2012−33018(P2012−33018A)
【公開日】平成24年2月16日(2012.2.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−172349(P2010−172349)
【出願日】平成22年7月30日(2010.7.30)
【出願人】(000005267)ブラザー工業株式会社 (13,856)
【Fターム(参考)】