印刷システム、及びプログラム
【課題】特定の印刷装置に対して印刷サービスを付加する技術を提供すること。
【解決手段】本印刷システムは、PC10とサーバ装置30とプリンタ50とを含む。プリンタ50は、着色剤カートリッジ72を装着可能な装着部60と、着色剤カートリッジ72に取り付けられたICチップ74からサービスポイントSPを読み取る読み書き部62を備える。PC10は、読み書き部62からサービスポイントSPを取得するネットワークインターフェイス16を備え、CPU12が要求部20、判断部22として機能する。サーバ装置30では、CPU32が変換部40として機能する。この印刷システムでは、CPU12がサーバ装置30に対してサービス付加(変換)を要求するに先だって、CPU12がサービスポイントSPに基づいて要求可能か否かを判断し、サービス付加を制限するか否かを決定する。
【解決手段】本印刷システムは、PC10とサーバ装置30とプリンタ50とを含む。プリンタ50は、着色剤カートリッジ72を装着可能な装着部60と、着色剤カートリッジ72に取り付けられたICチップ74からサービスポイントSPを読み取る読み書き部62を備える。PC10は、読み書き部62からサービスポイントSPを取得するネットワークインターフェイス16を備え、CPU12が要求部20、判断部22として機能する。サーバ装置30では、CPU32が変換部40として機能する。この印刷システムでは、CPU12がサーバ装置30に対してサービス付加(変換)を要求するに先だって、CPU12がサービスポイントSPに基づいて要求可能か否かを判断し、サービス付加を制限するか否かを決定する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、サーバを用いて印刷サービスを付加する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、ネットワーク技術の向上に伴い、サーバを含むネットワークに、複数のクライアント装置と印刷装置を接続した印刷システムが普及している。このような印刷システムでは、クライアント端末を使用するユーザが印刷対象データを印刷する際に、サーバで当該印刷対象データに印刷サービスを付加した後、印刷装置で印刷が実行される。つまり、サーバで印刷サービスを付加する印刷システムが存在する。サーバで付加される印刷サービスとしては、例えば、印刷対象データを印刷装置で用いられる印刷データに変換するサービスが知られている(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−193091号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のような印刷システムにおいては、例えば、サーバの保守などのためにサーバで付加される印刷サービスに対して相応の使用料を使用者に負担してもらう場合がある。その場合、印刷サービスの使用権のある印刷装置のユーザ(例えば、サーバの使用料を支払ったユーザ)に対しては印刷サービスの付加を許可し、使用権のないユーザ(例えば、サーバの使用料を支払っていないユーザ)に対しては印刷サービスの付加を制限することが考えられる。しかしながら、従来の印刷システムでは、このような場合が想定されていなかった。
【0005】
本明細書では、サーバで印刷サービスを付加する印刷システムにおいて、特定の印刷装置のユーザに対して、印刷サービスを付加することができる技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本明細書によって開示される印刷システムは、印刷装置と、クライアント端末と、印刷サービス付加サーバと、を含む。
前記印刷装置は、消耗品を着脱可能な装着部と、前記装着部に装着された前記消耗品から使用権情報を読み取る読取部と、前記印刷サービス付加サーバで付加される印刷サービスの付加された印刷対象データを印刷する印刷部と、を備える。前記クライアント装置は、前記読取部から前記使用権情報を取得する第1取得部と、前記印刷対象データに対する前記印刷サービスの付加を前記印刷サービス付加サーバに要求する印刷サービス要求部と、を備える。前記印刷サービス付加サーバは、前記印刷サービス要求部からの要求に応じて、前記印刷対象データに対して前記印刷サービスを付加する付加部と、を備える。
【0007】
前記印刷システムでは、前記クライアント装置と、前記印刷サービス付加サーバのいずれか一方に、前記第1取得部が取得した前記使用権情報に基づいて、前記印刷サービスの付加を要求可能か否かを判断する判断部を備え、前記付加部は、前記判断部により要求可能と判断された場合に、前記印刷対象データに対して前記印刷サービスを付加し、前記判断部により要求不可と判断された場合に、前記印刷対象データに対して付加する前記印刷サービスを制限する。
【0008】
また、上記の印刷システムでは、前記使用権情報は、前記付加部において前記印刷サービスが付加可能な回数を限定する回数限定情報に関連付けられており、前記判断部は、前記回数が予め定められた第1制限値に達した場合に、前記印刷サービスの付加を要求不能と判断しても良い。
【0009】
また、上記の印刷システムでは、前記消耗品は、着色剤カートリッジであり、前記回数限定情報は当該着色剤カートリッジの着色剤残量に基づいて設定されていても良い。
【0010】
また、上記の印刷システムでは、前記着色剤残量を監視する第1監視部と、前記第1監視部により前記着色剤残量の変化が異常であると判断された場合に、前記印刷サービスが付加可能な回数を制限するように前記回数限定情報を補正する第1補正部と、を備えていても良い。
【0011】
また、上記の印刷システムでは、前記付加部は、前記印刷サービスの付加により、前記印刷対象データから当該印刷対象データを前記印刷部で印刷するための印刷データに変換しており、前記印刷対象データを監視する第2監視部と、前記第2監視部により前記印刷対象データが空白データであると判断された場合に、前記印刷サービスが付加可能な回数を限定するように前記回数限定情報を補正する第2補正部と、を備えていても良い。
【0012】
また、上記の印刷システムでは、前記消耗品の残量を検出する検出部と、前記検出部により前記残量が予め定められた第2制限値に達した場合に、当該消耗品の前記回数限定情報を持ち越し回数限定情報として取得する第2取得部と、前記消耗品が交換された際に、交換された後の前記消耗品に対する前記回数限定情報に前記持ち越し回数限定情報を加えて、当該回数限定情報を更新する第1更新部と、を備えていても良い。
【0013】
また、上記の印刷システムでは、前記回数限定情報を購入可能な購入サーバをさらに備え、前記購入サーバから前記回数限定情報が購入された場合に、前記消耗品に対する前記回数限定情報に前記購入された回数限定情報を加えて、当該回数限定情報を更新する第2更新部と、を備えていても良い。
【0014】
また、上記の印刷システムでは、前記判断部において要求不可と判断されている場合に、前記購入サーバにアクセスする通信部を備えていても良い。
【0015】
なお、本発明は、印刷システムを実現するための印刷制御装置、印刷管理システムの他、上記判断部を備える印刷サービス付加サーバに用いられるプログラムや、上記判断部を備えるクライアント装置に用いられるプログラム等の種々の態様で実現することができる。
【発明の効果】
【0016】
本明細書によって開示される印刷システムでは、印刷サービス付加サーバが付加部を備えるとともに、印刷サービス付加サーバとクライアント装置のいずれか一方が判断部を備えおり、印刷装置に装着される消耗品から読み取った使用権情報が、印刷サービスの付加が要求可能なものである場合に、当該印刷装置で印刷される印刷対象データに対して印刷サービスを付加し、印刷サービスの付加が要求不能なものである場合に、当該印刷装置で印刷される印刷対象データに対して印刷サービスの付加を制限する。これにより、特定の使用権情報を有する消耗品が装着されている印刷装置に対して、印刷サービスを付加することができる。すなわち、使用権情報を有する消耗品を購入し、その消耗品が装着された印刷装置で印刷を実行するユーザに対して、印刷サービスを付加することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】実施形態1に係る印刷システムのブロック図
【図2】プリンタ50の装着部60における模式図
【図3】実施形態1の印刷処理におけるPC10の処理を示すフローチャート
【図4】実施形態1の印刷処理におけるサーバ装置30の処理を示すフローチャート
【図5】実施形態1の印刷処理におけるプリンタ50の処理を示すフローチャート
【図6】実施形態1の取替処理を示すフローチャート
【図7】実施形態2に係る印刷システムのブロック図
【図8】実施形態2の印刷処理におけるPC10の処理を示すフローチャート
【図9】実施形態2の印刷処理におけるサーバ装置30の処理を示すフローチャート
【図10】実施形態2の印刷処理におけるCGIサーバの処理を示すフローチャート
【図11】実施形態2の取替処理を示すフローチャート
【図12】実施形態3の印刷処理におけるPC10の処理を示すフローチャート
【図13】実施形態3の印刷処理におけるPC10の処理を示すフローチャート
【発明を実施するための形態】
【0018】
<実施形態1>
実施形態1を、図1ないし図6を用いて説明する。
【0019】
1.システムの構成
図1は、本実施形態のシステムの構成例を示すブロック図である。本システムは、複数のパーソナルコンピュータ(クライアント端末の一例、以下「PC」という)10と、サーバ装置30と、プリンタ(印刷装置)50とを含む。なお、サーバ装置30は、印刷サービスの提供会社、あるいはプリンタメーカーが提供するものである。
【0020】
PC10は、中央処理装置(以下「CPU」という)12、メモリ(ROM、RAM、ハードディスクを含む)14、ネットワークインターフェイス(第1取得部の一例)16等を備えている。
メモリ14には、複数のプログラムP1が記憶されており、CPU12はメモリ14から読み出したプログラムP1に従って、要求部20、判断部22、監視部(第1監視部の一例)24、補正部(第1補正部の一例)26等として機能し、PC10を制御するとともに、サーバ装置30等との通信を制御する。
【0021】
プログラムP1には、プリンタ50用のドライバプログラムD(以下「ドライバD」という)が含まれる。CPU12は、ドライバDに従って監視部24として機能し、プリンタ50の装着部60に装着されている着色剤カートリッジ72の着色剤残量CZを監視する他、補正部26として機能し、着色剤カートリッジ72が有するサービスポイントSPを補正する。
【0022】
ネットワークインターフェイス16は、例えばLAN(Local Area Network)によるイントラネット内の通信回線80に接続されている。この通信回線80には、プリンタ50が接続されており、PC10は、ネットワークインターフェイス16を介してプリンタ50とデータ通信及び処理要求を行うことができる。さらにネットワークインターフェイス16は、インターネット等のWAN(Wide Area Network)内の通信回線82にも接続されている。PC10は、この通信回線82を介してサーバ装置30にも接続される。尚、上記LAN及びWANは専用配線を用いて直接接続されていても良ければ、無線通信を用いて接続されていてもよい。
【0023】
次に、サーバ装置30について説明する。サーバ装置30は、CPU32、メモリ34、ネットワークインターフェイス36等を備えている。
メモリ34には、複数のプログラムP2が記憶されており、CPU32はメモリ34から読み出したプログラムP2に従って、変換部(付加部の一例)40等として機能し、サーバ装置30を制御するとともに、PC10との通信を制御する。
【0024】
プログラムP2には、プリンタ50用のラスタライズプログラムRが含まれる。ラスタライズプログラムRは、PC10から送信される印刷ジョブに含まれる印刷対象データをプリンタ50で使用可能な印刷データに変換(印刷サービスの一例)するためのもので、プリンタ50毎に対応するラスタライズプログラムRが存在する。本実施形態のシステムでは、ユーザが印刷を行う際に、PC10からサーバ装置30に印刷ジョブが送信され、サーバ装置30で生成された印刷データがプリンタ50へと送信される。このサーバ装置30によって行われる印刷データの変換は、PC10にインストールされるドライバプログラムDには搭載されない高品位の印刷を提供するものである。
【0025】
ネットワークインターフェイス36は、PC10が接続されているWANと同一の通信回線82に接続されており、不特定多数のPC10とデータ通信及び処理要求の入出力を行うことができる。
【0026】
次に、プリンタ50について説明する。プリンタ50は、CPU52、メモリ54、ネットワークインターフェイス56、印刷部58、装着部60、読み書き部62(読取部の一例)等を備えている。
メモリ54には、複数のプログラムP3が記憶されており、CPU32はメモリ54から読み出したプログラムP3に従って、検出部64、取得部(第2取得部の一例)66、更新部(第1更新部の一例)68等として機能し、印刷部58を含むプリンタ50を制御するとともに、PC10との通信を制御する。
【0027】
ネットワークインターフェイス56は、PC10が接続されているLANと同一の通信回線80に接続されており、PC10とデータ通信及び処理要求の入出力を行うことができる。
【0028】
印刷部58は、PC10から受け取った印刷データに基づいて画像を印刷する。印刷部58は、印刷対象物を搬送する搬送ユニットや、印刷対象物に画像を形成する画像形成ユニット等を含み、画像形成ユニットは、装着部60に装着された着色剤カートリッジ72を用いて画像を形成する。尚、本実施形態のシステムの印刷部58の構造は、一般に使用されているプリンタの印刷部の構造と同等であり、詳しい説明を省略する。
【0029】
図2に示すように、着色剤カートリッジ72は、装着部60に着脱可能に構成されており、内部に着色剤Cを含むとともに、その表面にICチップ74が着脱可能に取り付けられている。ICチップ74には、当該ICチップ74を識別するためのチップIDが記憶されている。このチップIDは、ICチップ74が着色剤カートリッジ72に取り付けられることで、着色剤カートリッジ72を識別するためにも用いられる。また、ICチップ74には、後述するサービスポイントSPも記憶されている。よって、ICチップ74に記憶されたチップIDは、印刷サービスが付加可能か否かを識別するためのチップIDともいうことができる。
【0030】
またICチップ74には、着色剤残量情報CI、サービスポイント(使用権情報及び回数限定情報の一例)SP、着色剤補充フラグIF、総描画ドット数DN等の情報が更新可能に記憶されている。
【0031】
着色剤残量情報CIは、着色剤カートリッジ72内の着色剤Cの残量を示す情報を意味する。サービスポイントSPは、サーバ装置30における印刷サービスの付加可能な量(回数やサーバ装置30のCPU占有時間など)回数を示す情報を意味し、着色剤カートリッジ72内の着色剤残量CZが尽きた場合に、サービスポイントSPもおよそ尽きるように設定されている。つまり、着色剤カートリッジ72では、破棄される時期にサービスポイントもおおよそゼロとなるように構成されているが、後述する処理により着色剤残量CZを用いてサービスポイントSPを補正することもできる。
【0032】
着色剤補充フラグIFは、着色剤カートリッジ72内の着色剤Cが補充されたか否かを示す情報を意味しており、着色剤補充フラグIFが0の場合には着色剤Cが補充されていないことを示す。この場合は着色料Cの残量と、サービスポイントSPの残量は対応する。一方、着色剤補充フラグIFが1の場には、着色剤Cが補充されたことを示し、この場合は当初のサービスポイントSPと着色料Cの残量は対応しない。総描画ドット数DNは、着色剤カートリッジ72を用いて描画されたドット数を意味しており、着色剤カートリッジ72内の着色剤Cの残量が尽きた場合に、総描画ドット数DNが予め定められた上限値に達するように設定されている。つまり、着色剤カートリッジ72では、総描画ドット数DNを用いて着色剤残量CZを補正することができ、また着色剤補充フラグIFが0の場合には、総描画ドット数DNを用いてサービスポイントSPを補正することができる。
【0033】
CPU52は、装着部60を介して着色剤カートリッジ72の着色剤残量CZを検出する。また、装着部60の着色剤カートリッジ72が装着される部分に、読み書き部62が配置されている。プリンタ50では、着色剤カートリッジ72が装着部60に装着されると、着色剤カートリッジ72の表面に取り付けられたICチップ74が読み書き部62に対向して配置される。CPU52は、読み書き部62を介してICチップ74に記憶されている上記の各情報を取得するとともに、上記の各情報を更新する。CPU52は、検出した着色剤残量CZ及び取得した上記各情報をPC10に送信する。そのため、これらを受け取ったPC10のCPU12は、例えば着色剤残量CZを監視することができるとともに、上記各情報を補正する命令をプリンタ50に出力することができる。
【0034】
なお、サービスポイントSPが記憶された消耗品カートリッジ72には、着色剤カートリッジ自体の料金に加えて、サービスポイントSPに応じた料金が上乗せされて販売されている。従って、ユーザは着色剤カートリッジ72を購入することでサーバ装置30の使用料を支払っていることになり、印刷サービスを使用できる使用権をもつユーザであるということができる。
【0035】
このような構成において、PC10は、サービスポイントSPが記憶された着色剤カートリッジ72が装着されている場合にのみ、サーバ装置30に印刷サービスの要求を行う。よって、銀行振り込みやクレジットカード決済などによるサーバ装置30の使用料の支払う従来の方法に比べて、印刷サービスを受けるユーザは、より簡易にその使用料を支払うことができる。
【0036】
2.印刷処理
図3ないし図5を用いて、印刷処理における各種装置の処理を説明する。図3ないし図5は、PC10、プリンタ50、サーバ装置30で実行される処理のフローチャートを示す。
【0037】
(PCにおける処理)
まず、PC10におけるCPU12の処理について説明する。この処理はメモリ14に記憶されているプログラムP1に従って実行される。
図3に示すように、CPU12は、PC10にユーザから印刷ジョブが入力されると処理を開始し、CPU12はまず、入力された印刷ジョブがサーバ装置30の印刷サービスが必要か否かを確認する(S2)。例えば、印刷ジョブに印刷データが含まれており、サーバ装置30における印刷データへの変換等の印刷サービスが必要でない場合(S2:NO)、後述する印刷サービスを用いない描画処理へ処理を進める(S30)。一方、例えば、印刷ジョブに印刷データへの変換が必要な印刷対象データを含んでいる等の印刷サービスが必要な場合には、CPU12はサーバ装置30の印刷サービスが必要と判断し(S2:YES)、プリンタ50に対してICチップ74の読取命令を出力する(S4)。
【0038】
CPU12は、読取命令に応じてプリンタ50から出力されるICチップ74に記憶されている各種情報を一括して取得する(S6)。CPU12は、取得した各種情報に含まれる着色剤補充フラグIFを確認し(S8)、着色剤補充フラグIFが1である場合(S8:YES)、後述するサービスポイントSPの有無を判断する判断処理へ処理を進める(S18)。
【0039】
一方、着色剤補充フラグIFが0である場合(S8:NO)、監視部24として機能し、着色剤残量CZが正しいか否かを確認する(S10)。CPU12は以下の2つの条件を確認し、着色剤残量CZが正しいか否かを確認する。
【0040】
(1)CPU12は、ICチップ74に記憶された着色剤残量情報CIとプリンタ50のCPU52が検出した着色剤残量CZを比較する。後述するように、CPU52は、描画処理(S22)後、着色剤残量CZを更新する命令を出力しており(S28)、着色剤残量情報CIには前回の印刷処理終了時の着色剤残量CZの情報が記憶されている。CPU12は、着色剤残量情報CIと着色剤残量CZを比較し、これらの差が予め決められた誤差範囲内である場合、当該条件において着色剤残量CZが正しいと判断する。一方、これらの差が予め決められた誤差範囲を超えて異なる場合、当該条件において着色剤残量CZが正しくないと判断する。
【0041】
(2)CPU12は、ICチップ74に記憶された総描画ドット数DNから算出着色剤残量SCを算出し、算出着色剤残量SCとプリンタ50のCPU52が検出した着色剤残量CZを比較する。着色剤カートリッジ72では、総描画ドット数DNに応じた着色剤Cが減量するため、総描画ドット数DNから前回の印刷処理終了時の着色剤残量CZ(これが算出着色剤残量SCに相当)を算出することができる。CPU12は、算出着色剤残量SCと着色剤残量CZを比較し、これらの差が予め決められた誤差範囲内である場合、当該条件において着色剤残量CZが正しいと判断する。一方、これらの差が予め決められた誤差範囲を超えて異なる場合、当該条件において着色剤残量CZが正しくないと判断する。
【0042】
CPU12は、上記いずれかの条件において着色剤残量CZが正しくないと判断された場合に、着色剤残量CZが正しくないと判断し(S10:NO)、着色剤補充フラグIFを1に変更し(S12)、プリンタ50に対してその変更内容をICチップ74に書き込む書込命令を出力する(S14)。
【0043】
一方、上記両条件において着色剤残量CZが正しいと判断された場合に、着色剤残量CZが正しいと判断し(S10:YES)、CPU12は、補正部26として機能し、サービスポイントSPの補正処理を実行する(S16)。この処理は、着色剤補充フラグIFが0である着色剤カートリッジ72に対して実行される。つまり、この処理は過去において一度も着色剤Cが補充されていない場合に行われることになる。この処理により、着色剤残量CZが異常増加していない場合には、サービスポイントSPが逐次補正され、着色剤Cを残した状態で、サービスポイントのみがなくなりサービスの付与がされないといった事態を防止できる。なおサービスポイントSPの補正は、追加のみ行われ、サービスポイントSPの減算は行われない。
【0044】
一方、着色剤補充フラグIFが1であると判断された場合は、この補正処理は行われない。これにより着色剤Cの補充によって、サービス提供者が意図した以上の印刷サービスが提供されることを防ぐことができる。
【0045】
S8、S14あるいはS16の処理の後に、CPU12は、判断部22として機能し、判断処理を実行する(S18)。CPU12は、プリンタ50から取得したサービスポイントSPに、印刷ジョブに必要なサービスポイントSP(第1制限値の一例)が残っているか否かを確認し、必要なサービスポイントSPが残っていない場合(S18:NO)、印刷サービスを用いない描画処理を実行する(S30)。CPU12は、サーバ装置30を介さずに、あるいはサーバ装置30がサービスポイントSPを減数することなく提供している簡易的な印刷サービスを利用し、プリンタ50に描画命令を出力し、印刷処理を終了する。S30にて出力される描画命令は、例えば、ドラフト印刷などの着色剤をあまり使用しない描画を想定しており、緊急避難的に使用される。
【0046】
一方、CPU12は、ICチップ74に記憶されているサービスポイントSPに必要なサービスポイントSPが残っている場合(S18:YES)、要求部20として機能し、サーバ装置30に対してサービスポイントSPの減数を伴う印刷サービスを要求する(S20)。
【0047】
CPU12は、印刷サービスの要求に基づいて、サーバ装置30から印刷サービスを受信すると、この印刷サービスを用いた描画処理を実行する(S22)。CPU12は、例えばサーバ装置30に印刷対象データから印刷データへの変換を要求し、サーバ装置30から印刷データを受信した場合は、その受信した印刷データを用いた描画をプリンタ50に命令する。
【0048】
CPU12は、印刷サービスを用いた描画処理(S22)後、サービスポイントSPから印刷ジョブに必要なサービスポイントSPを減数し(S24)、プリンタ50に対してその変更内容をICチップ74に書き込む書込命令を出力する(S26)。
【0049】
またCPU12は、着色剤残量CZを更新する命令を出力する(S28)。CPU12は、プリンタ50に対して印刷サービスを用いた描画処理後の着色剤残量CZを検出させ、検出した着色剤残量CZを用いてICチップ74の着色剤残量情報CIを更新する更新命令を出力し、印刷処理を終了する。
【0050】
(サーバ装置における処理)
次に、サーバ装置30のCPU32の処理について説明する。この処理はメモリ34に記憶されているプログラムP2に従って実行される。
図4に示すように、CPU32は、PC10から印刷サービスの要求を受信するのを待機しており(S34:NO)、印刷サービスの要求を受信した場合(S34:YES、S20)、例えば変換部40として機能し、印刷ジョブに含まれる印刷対象データを印刷データに変更する等、PC10からの要求に応じた印刷サービスを付加する(S36)。CPU32は、印刷サービスの付加後、当該印刷サービス(つまり、印刷サービスが付加された印刷ジョブ)をPC10に送信し(S38)、処理を終了する。
【0051】
(プリンタにおける処理)
次に、プリンタ50のCPU52の処理について説明する。この処理はメモリ54に記憶されているプログラムP3に従って、プリンタ50の電源が投入されている間繰り返し実行される。
図5に示すように、CPU52は、PC10から命令を受信するのを待機しており(S42)、命令が入力された場合に、以下の4つの命令であるかを確認する。
(1)ICチップ74の読取命令(S44、S4)
(2)ICチップ74の書込命令(S46、S14、S26)
(3)着色剤残量CZの更新命令(S48、S28)
(4)描画命令(S50、S22、S30)
【0052】
CPU52は、受信した命令がICチップ74の読取命令の場合(S44:YES)、ICチップ74の読取処理を実行する(S54)。CPU52は、装着部60を介して着色剤カートリッジ72の着色剤残量CZを検出するとともに、読み書き部62を介してICチップ74に記憶されている各情報を取得し、これらの情報をPC10に送信する(S56)。
【0053】
CPU52は、受信した命令がICチップ74の書込命令の場合(S46:YES)、ICチップ74への書込処理を実行する(S58)。CPU52は、読み書き部62を介して書込命令に付随してPC10から送られた変更内容をICチップ74に書き込み、ICチップ74に記憶されている各情報を変更する。
【0054】
CPU52は、受信した命令が着色剤残量CZの更新命令の場合(S48:YES)、着色剤残量CZの更新処理を実行する(S60)。CPU52は、着色剤カートリッジ72の着色剤残量CZを検出し、その検出した着色剤残量CZを着色剤残量情報CIとしてICチップ74に書き込み、ICチップ74に記憶されている着色剤残量情報CIを更新する。
【0055】
CPU52は、受信した命令が描画命令の場合(S50:YES)、描画命令に付随して受信した印刷データ等を、印刷部58を用いて印刷対象物に描画する(S62)。この際、CPU52は、受信した印刷データから着色剤カートリッジ72を用いて描画されたドット数を計数し、計数されたドット数とICチップ74から取得した総描画ドット数DNを加えて描画後の総描画ドット数DNを算出する(S64)。またCPU52は、描画後の総描画ドット数DNから算出着色剤残量SCを算出する(S66)。
【0056】
描画後の総描画ドット数DNを算出後、CPU52は、描画後の総描画ドット数DNを総描画ドット数DNとしてICチップ74に書き込み、ICチップ74に記憶されている総描画ドット数DNを変更する(S68)。また、算出着色剤残量SCを算出後、CPU52は、算出着色剤残量SCを着色剤残量情報CIとしてICチップ74に書き込み、ICチップ74に記憶されている着色剤残量情報CIを変更する(S70)。
【0057】
一方、受信した命令が以上の4つの命令でない場合(S44、S46、S48、S50:NO)、その他の処理を実行する(S52)。
【0058】
3.着色剤カートリッジの取替処理
図6を用いて、プリンタ50で実行される着色剤カートリッジ72の取替処理を説明する。この処理はメモリ54に記憶されているプログラムP3に従って実行される。
【0059】
CPU52は、検出部64として機能しており、装着部60を介して着色剤カートリッジ72の着色剤残量CZを検出している。CPU52は、着色剤カートリッジ72の着色剤残量CZが予め定められた警告残量(第2制限値の一例)を下回った場合に、取替処理を開始する。取替処理において、まずCPU52は、取得部66として機能し、読み書き部62を介して現在装着部60に装着されている着色剤カートリッジ72のICチップ74(以後、取替前ICチップ74と呼ぶ)からサービスポイントSP(持ち越し回数限定情報の一例)を取得する(S72)。またCPU52は、取替前ICチップ74のサービスポイントSPをクリア(つまり、サービスポイントSPを「0」に更新)し(S74)、表示部(図示されていない)等を通してユーザに着色剤カートリッジ72の取り替えを促す(S76)。
【0060】
CPU52は、着色剤カートリッジ72の取り替えを促したにも関わらず、ユーザが一定期間以上に亘って着色剤カートリッジ72を取り替えない場合、あるいはユーザからキャンセル指示が入力された場合(S78:キャンセル)、取替前ICチップ74にサービスポイントSPを戻し(S80)、処理を終了する。
【0061】
一方、着色剤カートリッジ72の取り替えの促しに応じて着色剤カートリッジ72が取り替えられた場合(S78:取り替え)、装着部60に新たに装着された着色剤カートリッジ72のICチップ74(以後、取替後ICチップ74と呼ぶ)からサービスポイントSPを取得する(S82)。次にCPU52は、更新部として機能し、ポイント加算処理を実行する(S84)。CPU52は、取替後ICチップ74から取得したサービスポイントSPと取替後ICチップ74から取得したサービスポイントSPを加えた加算サービスポイントSPを算出する。加算サービスポイントSP算出後、CPU52は加算サービスポイントSPをサービスポイントSPとして取替後ICチップ74に書き込み、取替後ICチップ74に記憶されているサービスポイントSPを更新し(S86)、処理を終了する。
【0062】
4.本実施形態の効果
(1)本実施形態の印刷システムでは、PC10のCPU12が、プリンタ50に装着された着色剤カートリッジ72のICチップ74から取得したサービスポイントSPを用いて判断を行い、サービスポイントSPを有している着色剤カートリッジ72が装着されたプリンタ50を対象とした印刷ジョブに対しては、サービスポイントSPの減数を伴う印刷サービスを要求する。そのため、サービスポイントSPを有している着色剤カートリッジ72が装着された特定のプリンタ50に対してのみ、印刷サービスを付加することができる。
【0063】
(2)ICチップ74に与えられているサービスポイントSPは、有限のポイントであり、サーバ装置30における印刷サービスの付加に伴って減数する。そのため、サービスポイントの減数に伴って、ICチップ74に残っているサービスポイントSPが印刷サービスの付加に必要なサービスポイントSPを下回った場合には、印刷サービスが制限される。つまり、サービスポイントSPを有していない着色剤カートリッジ72が装着されたプリンタ50に対して、印刷サービスが付加されることを制限することができる。
【0064】
(3)本実施形態の印刷システムでは、着色剤Cが尽きた場合に、サービスポイントSPもおよそ尽きるように設定されている。そのため、着色剤カートリッジ72の使用中に、サービスポイントSPの減少によりサーバ装置30を用いた印刷処理ができなくなることが抑制されるとともに、着色剤Cが尽きた時にサービスポイントSPが余り、サービスポイントSPが無駄となることが抑制される。
【0065】
(4)本実施形態の印刷システムでは、ICチップ74に着色剤補充フラグIFが記憶されており、着色剤カートリッジ72に非純正着色剤が継ぎ足された場合等に着色剤補充フラグIFが1に変更され、総描画ドット数DNを用いてサービスポイントSPを補正する。これによって、着色剤カートリッジ72に非純正着色剤が継ぎ足された場合に、サービスポイントSPが異常に回復してしまうことが抑制され、サービスポイントSPを適切に補正することができる。
【0066】
(5)着色剤Cが尽きた場合に、サービスポイントSPもおよそ尽きるように設定されていても、プリンタ50の使用条件等によっては、着色剤Cが速く消耗してしまい、サービスポイントSPだけが残ってしまうことが起こり得る。本実施形態の印刷システムでは、着色剤Cが尽き、着色剤カートリッジ72を取り替える際に、取り替え前の着色剤カートリッジ72のICチップ74に残ったサービスポイントSPを取り替え後の着色剤カートリッジ72のICチップ74に引き継ぐことができ、取り替え前の着色剤カートリッジ72に残ったサービスポイントSPを有効に使用することができる。
【0067】
<実施形態2>
実施形態2を、図7ないし図11を用いて説明する。図7に示すように、本実施形態のシステムは、データベース(以後、DB)90を備える点で実施形態1のシステムと異なる。本実施形態では、着色剤カートリッジ72に取り付けられたICチップ74にチップIDのみが記憶されており、着色剤残量情報CI、サービスポイントSP、着色剤補充フラグIF、総描画ドット数DN、及び装着されているプリンタ50のプリンタID等の各種情報がチップIDに関連付けられてDB90に更新可能に記憶されている。なお、チップIDに関連付けられた各種情報は、流通している着色剤カートリッジ72ごとにサービス提供会社等によって予め登録されたものであってもよく、着色剤カートリッジ72にて最初に印刷サービスの付加が行われる際に登録されるものであってもよい。
【0068】
また、本実施形態のシステムでは、実施形態1のシステムではPC10及びプリンタ50が担っていた判断部22、更新部68の機能を、サーバ装置30のCPU32が実行する。つまり、プリンタ50は、装着部60を介して着色剤カートリッジ72の着色剤残量CZを検出するとともに、読み書き部62を介してICチップ74に記憶されているチップIDを取得し、サーバ装置30に送信する。サーバ装置30は、受信したチップIDを用いてDB90から着色剤残量情報CI、サービスポイントSP、着色剤補充フラグIF、総描画ドット数DN等の各種情報を受け取り、判断、更新等の処理を実行する。
【0069】
また、本実施形態のシステムでは、プリンタ50のメモリ54にプリンタIDが記憶されているとともに、サーバ装置30のメモリ34にCGIプログラム(以後、CGI)が記憶されている点で実施形態1のシステムと異なる。サーバ装置30はメモリ34から読み出したCGIに従って、他のプログラムから独立したサーバCGI(購入サーバの一例)として動作する。つまり、本実施形態のシステムでは、サーバ装置30がサーバCGIの機能を兼ねる。
【0070】
1.印刷処理
図8ないし図10を用いて、印刷処理における各種装置の処理を説明する。図8ないし図10は、PC10、サーバ装置30、サーバCGIで実行される処理のフローチャートを示す。以下の説明では、実施形態1と同一の内容については重複した記載を省略する。
【0071】
(PCにおける処理)
図8に示すように、CPU12は、PC10にユーザから印刷ジョブが入力されると処理を開始し、入力された印刷ジョブがサーバ装置30の印刷サービスが必要か否かを確認する(S2)。サーバ装置30の印刷サービスが必要でない場合(S2:NO)、後述する描画処理へ処理を進める(S108)。一方、サーバ装置30の印刷サービスが必要な場合(S2:YES)、プリンタ50に対してICチップ74の読取命令を出力し(S4)、プリンタ50からチップIDを取得する(S6)。
【0072】
次にCPU12は、取得したチップIDをサーバ装置30に送信する(S102)。CPU12は、チップIDの送信に基づいて受信した返答を確認する(S104)。CPU12は、受信した返答がNG信号である場合(S106:NG)、ネットワークインターフェイス16が通信部28として機能し、後述して説明するように、サーバCGIが通信回線82上に開設するポイント購買ページにアクセスするとともに、ブラウザプログラム(以下「ブラウザ」という)Bを用いて表示部に表示し(S110)、処理を終了する。
【0073】
一方、CPU12は、受信した返答がOK信号である場合に(S106:OK)、サーバ装置30に対してサービスポイントSPの減数を伴う印刷サービスを要求する(S20)。次にCPU12は、描画処理を実行する(S108)。CPU12は、入力された印刷ジョブがサーバ装置30の印刷サービスが必要でない場合に、印刷サービスを用いない描画をプリンタ50に命令し、処理を終了する。またCPU12は、印刷サービスの要求(S20)に基づいて、サーバ装置30から印刷サービスを受信し、その受信した印刷サービスを用いた描画をプリンタ50に命令し、処理を終了する。
【0074】
(サーバ装置における処理)
次に、サーバ装置30のCPU32の処理について説明する。図9に示すように、CPU32は、PC10からの要求を受信するのを待機しており(S112:NO)、PC10から要求に伴って印刷ジョブの種類及び使用されるプリンタ50に装着されている着色剤カートリッジ72のチップID等を受信した場合(S112:YES、S102)、当該チップIDに関連付けられて記憶されている各種情報をDB90から一括して取得する(S114)。
【0075】
次にCPU32は、判断部42として機能し、判断処理を実行する(S116)。CPU32は、DB90から取得したサービスポイントSPに、印刷ジョブに必要なサービスポイントSPが残っているか否かを確認し、必要なサービスポイントSPが残っていない場合(S116:NO)、PC10にNG信号を送信し(S124)、処理を終了する。
【0076】
一方、CPU32は、印刷ジョブに必要なサービスポイントSPが残っている場合(S116:YES)、PC10にOK信号を送信し(S118)、PC10から印刷サービスの要求を受信するのを待機する(S34:NO)。CPU32は、印刷サービスの要求を受信した場合(S34:YES、S20)、変換部40として機能し、PC10からの要求に応じた印刷サービスを付加する(S36)。印刷サービスの付加後、CPU32は、当該印刷サービス(つまり、印刷サービスが付加された印刷ジョブ)をPC10に送信する(S38)。
【0077】
CPU32は、印刷サービス付加後、DB90から取得したサービスポイントSPから印刷ジョブに必要なサービスポイントSPを減数し(S120)、DB90に減数後のサービスポイントSPを書き込み(S122)、処理を終了する。
【0078】
(サーバCGIにおける処理)
次に、サーバCGIの処理について説明する。
図10に示すように、サーバCGIは、通信回線82上にサービスポイントSPの購入可能なポイント購買ページを開設しており、PC10からのサービスポイントSPの購入要求を待機する(S132:NO)。サーバCGIは、PC10から購入要求があったが(S132:YES)、その購入要求がキャンセルされた場合(S134:キャンセル)、処理を終了する。
【0079】
一方、PC10から購入要求があり(S132:YES)、サービスポイントSPが購入された場合(S134:購入)、購入時に指定されたICチップ74のサービスポイントSPをDB90から取得する(S136)。CPU52は、DB90から取得したサービスポイントSPと購入したサービスポイントSPを加えた加算サービスポイントSPを算出する(S138)。加算サービスポイントSP算出後、CPU32は加算サービスポイントSPをサービスポイントSPとしてDB90に書き込み(S140)、処理を終了する。
サービスポイントSPの購入の際には、電子決済など既存の方法にて課金処理がなされる。なお、本処理におけるサービスポイントSPの購入は、着色剤カートリッジ72の使用中に着色剤の補充がなされた等の特殊状況において行われるものであり、一般のカートリッジを購入する使用者にあっては、通常使用されない。
【0080】
2.着色剤カートリッジの取替処理
図11を用いて、サーバ装置30で実行される着色剤カートリッジ72の取替処理を説明する。この処理はメモリ34に記憶されているプログラムP2に従って実行される。なお、説明の簡略化のため、プリンタに行わせる処理、PCに行わせる処理を示すフローは省略する。
【0081】
CPU32は、プリンタ50から受信した着色剤残量CZを監視しており、着色剤残量CZが警告残量を下回った場合に、PC10に通知し、着色剤カートリッジ72の取替えを使用者に促す。PC10は、使用者によって着色剤カートリッジ72の取替操作(例えば着色剤カートリッジ72の取り替えを行うボタンが押下される等)を検出すると、サーバ装置30に通知し、それを契機にサーバ装置30は取替処理を開始する。取替処理において、まずCPU32は、プリンタ50からプリンタID及びチップIDを取得して(S150、S152)メモリ34に一時的に記憶するとともに、DB90からプリンタID及びチップIDを取得し、プリンタIDとチップIDの対応を確認する。
【0082】
CPU32は、プリンタIDに対応するチップIDが、DB90から取得した前回のチップIDと異なっている場合(S154:YES)、前回のチップIDを有する取換前ICチップ74が取り付けられた着色剤カートリッジ72から、今回のチップIDを有する取換後ICチップ74が取り付けられた着色剤カートリッジ72に取り替えられたと判断する。
【0083】
CPU32は、DB90から取替前チップIDのサービスポイントSPと取替後チップIDのサービスポイントSPを取得するとともに、これらを加えた加算サービスポイントSPを算出する。CPU32は、加算サービスポイントSPを取替後チップIDサービスポイントSPとしてDB90に書き込み(S156)、DB90に記憶されている取替後チップIDのサービスポイントSPを更新する。またCPU32は、取換前ICチップ74のサービスポイントSPをクリアし(S158)、処理を終了する。
【0084】
一方、CPU32は、プリンタIDに対応するチップIDが、前回のチップIDと等しい場合(S154:NO)、当該チップIDと等しいチップIDが他のプリンタ50にも対応つけられているか否かを確認する(S160)。CPU32は、当該チップIDと等しいチップIDが他のプリンタ50にも対応付けられてない場合(S160:NO)、処理を終了する。一方、CPU32は、当該チップIDと等しいチップIDが他のプリンタ50にも対応付けられている場合(S160:YES)、その結果をログに記述し(S162)、処理を終了する。CPU32は、このログを参照して、ICチップの偽造などの不正使用を調査する。
【0085】
あるプリンタ50に対応付けられているチップIDと等しいチップIDを有するICチップが他のプリンタ50にも対応付けられている場合、同一のチップIDを有するICチップが複数存在することとなり、その原因としてICチップ74の不正コピーが考えられる。ICチップ74が不正コピーされると、不正コピーされたICチップ74が取り付けられた着色剤カートリッジ72が使用された際にもサービスポイントSPが減数することになり、正規のICチップ74が取り付けられた着色剤カートリッジ72を使用するユーザが印刷サービスを受けられないこととなってしまう。
【0086】
CPU32は、上記の場合に、その結果をログに記述し(S162)、表示部等を通して不正コピーされたICチップ74が取り付けられている虞があることをユーザに通知する等の対処をすることができる。
【0087】
3.本実施形態の効果
(1)本実施形態の印刷システムでは、サーバ装置30のCPU32が、プリンタ50に装着された着色剤カートリッジ72のチップIDに基づいてDB90から読み取ったサービスポイントSPを用いて判断を行い、当該サービスポイントSPを有している着色剤カートリッジ72が装着されたプリンタ50を対象とした印刷ジョブに対しては、サービスポイントSPの減数を伴う印刷サービス付加しない。そのため、サービスポイントSPを有している着色剤カートリッジ72が装着された特定のプリンタ50に対してのみ、印刷サービスを付加することができる。
【0088】
(2)着色剤カートリッジ72では、着色剤Cが尽きた場合に、サービスポイントSPもおよそ尽きることが好ましく、そのように設定されている。しかし、使用条件等によっては、サービスポイントSPが速く消耗してしまい、着色剤Cだけが残ってしまうことが起こり得る。本実施形態の印刷システムでは、サービスポイントSPが尽き、着色剤Cが残った場合に、サーバCGIとして機能するサーバ装置30からサービスポイントSPを購入することで、再びサーバ装置30での印刷サービスの付加が要求可能となり、残った着色剤Cを有効に使用することができる。
【0089】
(3)本実施形態の印刷システムでは、サーバ装置30からサービスポイントSPの不足を意味するNG信号を受信した際に、PC10がネットワークインターフェイス16を介してサーバCGIが開設するポイント購入ページにアクセスするので、PC10及びプリンタ50を使用するユーザは、スムースにサービスポイントSPを購入することができ、スムースに印刷サービスの付加を要求することができる。
【0090】
<実施形態3>
実施形態3を、図12、図13を用いて説明する。本実施形態のシステムは、着色剤残量CZに基づいてサービスポイントSPを算出する点で実施形態1のシステムと異なる。そのため本実施形態では、非純正着色剤の継ぎ足しによってサービスポイントSPが回復してしまうため、サービスポイントSPの計算処理が実施形態1のシステムと比べて異なる。
【0091】
1.印刷処理
図12、13を用いて、印刷処理におけるPC10の処理を説明する。以下の説明では、実施形態1と同一の内容については重複した記載を省略し、また実施形態1と同一の内容となるサーバ装置30及びプリンタ50における処理の説明を省略する。
【0092】
(PCにおける処理)
CPU12は、PC10にユーザから印刷ジョブが入力されると処理を開始し、S2ないしS8の処理を実行する。CPU12は、プリンタ50から受信した着色剤残量CZを監視するとともに、メモリ14に一時的に記憶しており、着色剤補充フラグIFが0である場合(S8:NO)、着色剤残量CZが前回よりも増量しているか否かを確認する(S170)。CPU12は、着色剤残量CZが前回よりも増量していない場合(S170:NO)、サービスポイントSPの補正処理を実行する(S16)。一方、着色剤残量CZが前回よりも増量している場合(S170:YES)、着色剤補充フラグIFを1に変更し(S172)、プリンタ50に対してその変更内容をICチップ74に書き込む書込命令を出力する(S14)。
【0093】
S8、S14あるいはS16の処理の後に、判断処理を実行し(S18)、ICチップ74に記憶されているサービスポイントSPに必要なサービスポイントSPが残っている場合(S18:YES)、S20、S22の処理を実行する。
【0094】
次にCPU12は、監視部(第2監視部の一例でもある)24として機能し、印刷データの監視処理を実行する(S174)。CPU12は、印刷サービスが付加された印刷データに含まれる空白データの量を監視する。ここで、「空白データ」とは印刷対象物と同一の色情報しか含まない印刷データを意味する。CPU12は、印刷データに含まれる空白データが予め定められた基準データ量以内である場合(S174:NO)、着色剤補充フラグIFを用いた分類処理に処理を進める(S178)。一方、印刷データに空白データが基準データ量以上含まれている場合(S174:YES)、CPU12は補正部(第2補正部の一例でもある)26として機能し、補正ポイントHPをカウントアップする(S176)。
【0095】
印刷データに空白データが基準データ量以上含まれている場合、その印刷ジョブがサーバ装置30を狙ったサーバ攻撃である虞がある。印刷データに空白データが基準データ量以上含まれていると、サーバ装置30では、印刷データに変換する際にサービスポイントSPが減数するものの、プリンタ50では、着色剤Cがあまり減量しない。そのため、サービスポイントSPが減数するのは良いものの、着色剤残量CZの減少は防ぎたいと考えるユーザが、悪意を持って、サーバ装置30に空白データが基準データ量以上含まれる印刷データを集中して送信し、サーバ装置30をダウンさせようとすることが考えられる。
【0096】
CPU32は、印刷データに空白データが基準データ量以上含まれている場合に、補正ポイントHPをカウントアップする(S176)。これによって、着色剤残量CZに基づいてサービスポイントSPを算出する際に、補正ポイントHPを用いてサービスポイントSPを減数させることができ、サーバ装置がダウンしてしまうことを抑制することができる。
【0097】
次にCPU12は、着色剤補充フラグIFを用いた分類処理を実行し(S178)、着色剤補充フラグIFが1の場合(S178:YES)、第1減算処理を実行する(S182)。CPU12は、メモリ14に記憶された複数の着色剤残量CZから着色剤残量CZが増量する前のサービスポイントSPを検出し、そのサービスポイントSPからその後の着色剤Cの使用料と補正ポイントHPを減算してサービスポイントSPを算出する。
【0098】
一方、着色剤補充フラグIFが0の場合(S178:NO)、第2減算処理を実行する(S180)。CPU12は、メモリ14に記憶された最新の着色剤残量CZから補正ポイントHPを減算してサービスポイントSPを算出する。S180あるいはS182の処理の後に、CPU12は、S26、28の処理を実行し、処理を終了する。
【0099】
2.本実施形態の効果
(1)本実施形態の印刷システムでは、着色剤残量CZに基づいてサービスポイントSPを算出するので、着色剤残量CZとサービスポイントSPを同時に消費させることができる。
【0100】
(2)本実施形態の印刷システムでは、CPU12が印刷データに含まれる空白データの量を監視することでサーバ攻撃を抑制することができ、サーバ装置30がダウンしてしまうことが防止される。
【0101】
<他の実施形態>
本発明は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような実施形態も本発明の技術的範囲に含まれる。
(1)上記実施形態では、印刷サービスとして印刷ジョブに含まれる印刷対象データから印刷データへの変換を用いて説明を行ったが、これに限られない。例えば、PC10では実施困難な大量ページ数の文書のブックレット印刷やログ記録処理、再印字のためのデータ記憶などでもよい。また印刷サービスがうけられない場合は、エラーとする構成としてもよい。
【0102】
(2)上記実施形態では、サービスポイントSP等の情報を備えたICチップ74が着色剤カートリッジ72に取り付けられている例を用いて説明を行ったが、これに限られない。印刷対象物を搬送させるための搬送ベルト等、他の消耗品にICチップ74が取り付けられていてもよい。
【0103】
(3)上記実施形態では、着色剤カートリッジ72とICチップ74とが一体に構成される例を用いて説明を行ったが、これに限られない。例えば着色剤を補充した着色剤カートリッジ、あるいはICチップを持たない着色剤カートリッジに対して貼り付け可能なICチップを単体で販売してもよい。
【0104】
(4)上記実施形態では、サーバ装置30が購入サーバとして機能するサーバCGIを兼ねる例を用いて説明を行ったが、これに限られない。本実施形態のシステムが、サーバ装置30と別体のサーバ装置を有しており、この別体のサーバ装置が購入サーバとして機能しても良い。
【0105】
(5)上記実施形態では、要求部20や通知部22等を同じCPU12によって実現する例を示したが、これに限られない。例えば、お互いに異なるCPU、その他の回路によって構成されても良い。サービス付加部40等を実現するCPU32、検出部64、取得部66、更新部68等を実現するCPU52についても同様である。
【0106】
(6)上記実施形態では、サーバ装置30は生成した印刷データを、PC10を介してプリンタ50に送信していたが、プリンタ50に直接送信してもよい。このような場合、プリンタ50のネットワークインターフェイス56はサーバ装置30が接続されているWANと同一の通信回線に接続されており、サーバ装置30とデータ通信及び処理要求の入出力を行うことができるように構成されている。
【0107】
(7)上記実施形態では、プリンタドライバプログラムDを実行するPC10によって、PC10が処理を実行していたが、同等の処理をアプリケーションプログラムで実行してもよい。これにより、印刷システムならびにプリンタドライバを有さないPCに適用することも可能である。
【符号の説明】
【0108】
PC:10、CPU:12、14:メモリ、16:ネットワークIF、20:要求部、22:判断部、24:監視部、26:補正部、28:通信部、30:サーバ装置、32:CPU、34:メモリ、40:変換部、42:判断部、48:更新部、50:プリンタ、52:CPU、54:メモリ、58:印刷部、60:装着部、62:読み書き部、64:検出部、66:取得部、68:更新部、72:着色剤カートリッジ、74:ICチップ、80、82:通信回路、90:DB、C:着色剤、CZ:着色剤残量、CI:着色剤残量情報、DN:総描画ドット数、IF:着色剤補充フラグ、SP:サービスポイント、SC:算出着色剤残量
【技術分野】
【0001】
本発明は、サーバを用いて印刷サービスを付加する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、ネットワーク技術の向上に伴い、サーバを含むネットワークに、複数のクライアント装置と印刷装置を接続した印刷システムが普及している。このような印刷システムでは、クライアント端末を使用するユーザが印刷対象データを印刷する際に、サーバで当該印刷対象データに印刷サービスを付加した後、印刷装置で印刷が実行される。つまり、サーバで印刷サービスを付加する印刷システムが存在する。サーバで付加される印刷サービスとしては、例えば、印刷対象データを印刷装置で用いられる印刷データに変換するサービスが知られている(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−193091号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のような印刷システムにおいては、例えば、サーバの保守などのためにサーバで付加される印刷サービスに対して相応の使用料を使用者に負担してもらう場合がある。その場合、印刷サービスの使用権のある印刷装置のユーザ(例えば、サーバの使用料を支払ったユーザ)に対しては印刷サービスの付加を許可し、使用権のないユーザ(例えば、サーバの使用料を支払っていないユーザ)に対しては印刷サービスの付加を制限することが考えられる。しかしながら、従来の印刷システムでは、このような場合が想定されていなかった。
【0005】
本明細書では、サーバで印刷サービスを付加する印刷システムにおいて、特定の印刷装置のユーザに対して、印刷サービスを付加することができる技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本明細書によって開示される印刷システムは、印刷装置と、クライアント端末と、印刷サービス付加サーバと、を含む。
前記印刷装置は、消耗品を着脱可能な装着部と、前記装着部に装着された前記消耗品から使用権情報を読み取る読取部と、前記印刷サービス付加サーバで付加される印刷サービスの付加された印刷対象データを印刷する印刷部と、を備える。前記クライアント装置は、前記読取部から前記使用権情報を取得する第1取得部と、前記印刷対象データに対する前記印刷サービスの付加を前記印刷サービス付加サーバに要求する印刷サービス要求部と、を備える。前記印刷サービス付加サーバは、前記印刷サービス要求部からの要求に応じて、前記印刷対象データに対して前記印刷サービスを付加する付加部と、を備える。
【0007】
前記印刷システムでは、前記クライアント装置と、前記印刷サービス付加サーバのいずれか一方に、前記第1取得部が取得した前記使用権情報に基づいて、前記印刷サービスの付加を要求可能か否かを判断する判断部を備え、前記付加部は、前記判断部により要求可能と判断された場合に、前記印刷対象データに対して前記印刷サービスを付加し、前記判断部により要求不可と判断された場合に、前記印刷対象データに対して付加する前記印刷サービスを制限する。
【0008】
また、上記の印刷システムでは、前記使用権情報は、前記付加部において前記印刷サービスが付加可能な回数を限定する回数限定情報に関連付けられており、前記判断部は、前記回数が予め定められた第1制限値に達した場合に、前記印刷サービスの付加を要求不能と判断しても良い。
【0009】
また、上記の印刷システムでは、前記消耗品は、着色剤カートリッジであり、前記回数限定情報は当該着色剤カートリッジの着色剤残量に基づいて設定されていても良い。
【0010】
また、上記の印刷システムでは、前記着色剤残量を監視する第1監視部と、前記第1監視部により前記着色剤残量の変化が異常であると判断された場合に、前記印刷サービスが付加可能な回数を制限するように前記回数限定情報を補正する第1補正部と、を備えていても良い。
【0011】
また、上記の印刷システムでは、前記付加部は、前記印刷サービスの付加により、前記印刷対象データから当該印刷対象データを前記印刷部で印刷するための印刷データに変換しており、前記印刷対象データを監視する第2監視部と、前記第2監視部により前記印刷対象データが空白データであると判断された場合に、前記印刷サービスが付加可能な回数を限定するように前記回数限定情報を補正する第2補正部と、を備えていても良い。
【0012】
また、上記の印刷システムでは、前記消耗品の残量を検出する検出部と、前記検出部により前記残量が予め定められた第2制限値に達した場合に、当該消耗品の前記回数限定情報を持ち越し回数限定情報として取得する第2取得部と、前記消耗品が交換された際に、交換された後の前記消耗品に対する前記回数限定情報に前記持ち越し回数限定情報を加えて、当該回数限定情報を更新する第1更新部と、を備えていても良い。
【0013】
また、上記の印刷システムでは、前記回数限定情報を購入可能な購入サーバをさらに備え、前記購入サーバから前記回数限定情報が購入された場合に、前記消耗品に対する前記回数限定情報に前記購入された回数限定情報を加えて、当該回数限定情報を更新する第2更新部と、を備えていても良い。
【0014】
また、上記の印刷システムでは、前記判断部において要求不可と判断されている場合に、前記購入サーバにアクセスする通信部を備えていても良い。
【0015】
なお、本発明は、印刷システムを実現するための印刷制御装置、印刷管理システムの他、上記判断部を備える印刷サービス付加サーバに用いられるプログラムや、上記判断部を備えるクライアント装置に用いられるプログラム等の種々の態様で実現することができる。
【発明の効果】
【0016】
本明細書によって開示される印刷システムでは、印刷サービス付加サーバが付加部を備えるとともに、印刷サービス付加サーバとクライアント装置のいずれか一方が判断部を備えおり、印刷装置に装着される消耗品から読み取った使用権情報が、印刷サービスの付加が要求可能なものである場合に、当該印刷装置で印刷される印刷対象データに対して印刷サービスを付加し、印刷サービスの付加が要求不能なものである場合に、当該印刷装置で印刷される印刷対象データに対して印刷サービスの付加を制限する。これにより、特定の使用権情報を有する消耗品が装着されている印刷装置に対して、印刷サービスを付加することができる。すなわち、使用権情報を有する消耗品を購入し、その消耗品が装着された印刷装置で印刷を実行するユーザに対して、印刷サービスを付加することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】実施形態1に係る印刷システムのブロック図
【図2】プリンタ50の装着部60における模式図
【図3】実施形態1の印刷処理におけるPC10の処理を示すフローチャート
【図4】実施形態1の印刷処理におけるサーバ装置30の処理を示すフローチャート
【図5】実施形態1の印刷処理におけるプリンタ50の処理を示すフローチャート
【図6】実施形態1の取替処理を示すフローチャート
【図7】実施形態2に係る印刷システムのブロック図
【図8】実施形態2の印刷処理におけるPC10の処理を示すフローチャート
【図9】実施形態2の印刷処理におけるサーバ装置30の処理を示すフローチャート
【図10】実施形態2の印刷処理におけるCGIサーバの処理を示すフローチャート
【図11】実施形態2の取替処理を示すフローチャート
【図12】実施形態3の印刷処理におけるPC10の処理を示すフローチャート
【図13】実施形態3の印刷処理におけるPC10の処理を示すフローチャート
【発明を実施するための形態】
【0018】
<実施形態1>
実施形態1を、図1ないし図6を用いて説明する。
【0019】
1.システムの構成
図1は、本実施形態のシステムの構成例を示すブロック図である。本システムは、複数のパーソナルコンピュータ(クライアント端末の一例、以下「PC」という)10と、サーバ装置30と、プリンタ(印刷装置)50とを含む。なお、サーバ装置30は、印刷サービスの提供会社、あるいはプリンタメーカーが提供するものである。
【0020】
PC10は、中央処理装置(以下「CPU」という)12、メモリ(ROM、RAM、ハードディスクを含む)14、ネットワークインターフェイス(第1取得部の一例)16等を備えている。
メモリ14には、複数のプログラムP1が記憶されており、CPU12はメモリ14から読み出したプログラムP1に従って、要求部20、判断部22、監視部(第1監視部の一例)24、補正部(第1補正部の一例)26等として機能し、PC10を制御するとともに、サーバ装置30等との通信を制御する。
【0021】
プログラムP1には、プリンタ50用のドライバプログラムD(以下「ドライバD」という)が含まれる。CPU12は、ドライバDに従って監視部24として機能し、プリンタ50の装着部60に装着されている着色剤カートリッジ72の着色剤残量CZを監視する他、補正部26として機能し、着色剤カートリッジ72が有するサービスポイントSPを補正する。
【0022】
ネットワークインターフェイス16は、例えばLAN(Local Area Network)によるイントラネット内の通信回線80に接続されている。この通信回線80には、プリンタ50が接続されており、PC10は、ネットワークインターフェイス16を介してプリンタ50とデータ通信及び処理要求を行うことができる。さらにネットワークインターフェイス16は、インターネット等のWAN(Wide Area Network)内の通信回線82にも接続されている。PC10は、この通信回線82を介してサーバ装置30にも接続される。尚、上記LAN及びWANは専用配線を用いて直接接続されていても良ければ、無線通信を用いて接続されていてもよい。
【0023】
次に、サーバ装置30について説明する。サーバ装置30は、CPU32、メモリ34、ネットワークインターフェイス36等を備えている。
メモリ34には、複数のプログラムP2が記憶されており、CPU32はメモリ34から読み出したプログラムP2に従って、変換部(付加部の一例)40等として機能し、サーバ装置30を制御するとともに、PC10との通信を制御する。
【0024】
プログラムP2には、プリンタ50用のラスタライズプログラムRが含まれる。ラスタライズプログラムRは、PC10から送信される印刷ジョブに含まれる印刷対象データをプリンタ50で使用可能な印刷データに変換(印刷サービスの一例)するためのもので、プリンタ50毎に対応するラスタライズプログラムRが存在する。本実施形態のシステムでは、ユーザが印刷を行う際に、PC10からサーバ装置30に印刷ジョブが送信され、サーバ装置30で生成された印刷データがプリンタ50へと送信される。このサーバ装置30によって行われる印刷データの変換は、PC10にインストールされるドライバプログラムDには搭載されない高品位の印刷を提供するものである。
【0025】
ネットワークインターフェイス36は、PC10が接続されているWANと同一の通信回線82に接続されており、不特定多数のPC10とデータ通信及び処理要求の入出力を行うことができる。
【0026】
次に、プリンタ50について説明する。プリンタ50は、CPU52、メモリ54、ネットワークインターフェイス56、印刷部58、装着部60、読み書き部62(読取部の一例)等を備えている。
メモリ54には、複数のプログラムP3が記憶されており、CPU32はメモリ54から読み出したプログラムP3に従って、検出部64、取得部(第2取得部の一例)66、更新部(第1更新部の一例)68等として機能し、印刷部58を含むプリンタ50を制御するとともに、PC10との通信を制御する。
【0027】
ネットワークインターフェイス56は、PC10が接続されているLANと同一の通信回線80に接続されており、PC10とデータ通信及び処理要求の入出力を行うことができる。
【0028】
印刷部58は、PC10から受け取った印刷データに基づいて画像を印刷する。印刷部58は、印刷対象物を搬送する搬送ユニットや、印刷対象物に画像を形成する画像形成ユニット等を含み、画像形成ユニットは、装着部60に装着された着色剤カートリッジ72を用いて画像を形成する。尚、本実施形態のシステムの印刷部58の構造は、一般に使用されているプリンタの印刷部の構造と同等であり、詳しい説明を省略する。
【0029】
図2に示すように、着色剤カートリッジ72は、装着部60に着脱可能に構成されており、内部に着色剤Cを含むとともに、その表面にICチップ74が着脱可能に取り付けられている。ICチップ74には、当該ICチップ74を識別するためのチップIDが記憶されている。このチップIDは、ICチップ74が着色剤カートリッジ72に取り付けられることで、着色剤カートリッジ72を識別するためにも用いられる。また、ICチップ74には、後述するサービスポイントSPも記憶されている。よって、ICチップ74に記憶されたチップIDは、印刷サービスが付加可能か否かを識別するためのチップIDともいうことができる。
【0030】
またICチップ74には、着色剤残量情報CI、サービスポイント(使用権情報及び回数限定情報の一例)SP、着色剤補充フラグIF、総描画ドット数DN等の情報が更新可能に記憶されている。
【0031】
着色剤残量情報CIは、着色剤カートリッジ72内の着色剤Cの残量を示す情報を意味する。サービスポイントSPは、サーバ装置30における印刷サービスの付加可能な量(回数やサーバ装置30のCPU占有時間など)回数を示す情報を意味し、着色剤カートリッジ72内の着色剤残量CZが尽きた場合に、サービスポイントSPもおよそ尽きるように設定されている。つまり、着色剤カートリッジ72では、破棄される時期にサービスポイントもおおよそゼロとなるように構成されているが、後述する処理により着色剤残量CZを用いてサービスポイントSPを補正することもできる。
【0032】
着色剤補充フラグIFは、着色剤カートリッジ72内の着色剤Cが補充されたか否かを示す情報を意味しており、着色剤補充フラグIFが0の場合には着色剤Cが補充されていないことを示す。この場合は着色料Cの残量と、サービスポイントSPの残量は対応する。一方、着色剤補充フラグIFが1の場には、着色剤Cが補充されたことを示し、この場合は当初のサービスポイントSPと着色料Cの残量は対応しない。総描画ドット数DNは、着色剤カートリッジ72を用いて描画されたドット数を意味しており、着色剤カートリッジ72内の着色剤Cの残量が尽きた場合に、総描画ドット数DNが予め定められた上限値に達するように設定されている。つまり、着色剤カートリッジ72では、総描画ドット数DNを用いて着色剤残量CZを補正することができ、また着色剤補充フラグIFが0の場合には、総描画ドット数DNを用いてサービスポイントSPを補正することができる。
【0033】
CPU52は、装着部60を介して着色剤カートリッジ72の着色剤残量CZを検出する。また、装着部60の着色剤カートリッジ72が装着される部分に、読み書き部62が配置されている。プリンタ50では、着色剤カートリッジ72が装着部60に装着されると、着色剤カートリッジ72の表面に取り付けられたICチップ74が読み書き部62に対向して配置される。CPU52は、読み書き部62を介してICチップ74に記憶されている上記の各情報を取得するとともに、上記の各情報を更新する。CPU52は、検出した着色剤残量CZ及び取得した上記各情報をPC10に送信する。そのため、これらを受け取ったPC10のCPU12は、例えば着色剤残量CZを監視することができるとともに、上記各情報を補正する命令をプリンタ50に出力することができる。
【0034】
なお、サービスポイントSPが記憶された消耗品カートリッジ72には、着色剤カートリッジ自体の料金に加えて、サービスポイントSPに応じた料金が上乗せされて販売されている。従って、ユーザは着色剤カートリッジ72を購入することでサーバ装置30の使用料を支払っていることになり、印刷サービスを使用できる使用権をもつユーザであるということができる。
【0035】
このような構成において、PC10は、サービスポイントSPが記憶された着色剤カートリッジ72が装着されている場合にのみ、サーバ装置30に印刷サービスの要求を行う。よって、銀行振り込みやクレジットカード決済などによるサーバ装置30の使用料の支払う従来の方法に比べて、印刷サービスを受けるユーザは、より簡易にその使用料を支払うことができる。
【0036】
2.印刷処理
図3ないし図5を用いて、印刷処理における各種装置の処理を説明する。図3ないし図5は、PC10、プリンタ50、サーバ装置30で実行される処理のフローチャートを示す。
【0037】
(PCにおける処理)
まず、PC10におけるCPU12の処理について説明する。この処理はメモリ14に記憶されているプログラムP1に従って実行される。
図3に示すように、CPU12は、PC10にユーザから印刷ジョブが入力されると処理を開始し、CPU12はまず、入力された印刷ジョブがサーバ装置30の印刷サービスが必要か否かを確認する(S2)。例えば、印刷ジョブに印刷データが含まれており、サーバ装置30における印刷データへの変換等の印刷サービスが必要でない場合(S2:NO)、後述する印刷サービスを用いない描画処理へ処理を進める(S30)。一方、例えば、印刷ジョブに印刷データへの変換が必要な印刷対象データを含んでいる等の印刷サービスが必要な場合には、CPU12はサーバ装置30の印刷サービスが必要と判断し(S2:YES)、プリンタ50に対してICチップ74の読取命令を出力する(S4)。
【0038】
CPU12は、読取命令に応じてプリンタ50から出力されるICチップ74に記憶されている各種情報を一括して取得する(S6)。CPU12は、取得した各種情報に含まれる着色剤補充フラグIFを確認し(S8)、着色剤補充フラグIFが1である場合(S8:YES)、後述するサービスポイントSPの有無を判断する判断処理へ処理を進める(S18)。
【0039】
一方、着色剤補充フラグIFが0である場合(S8:NO)、監視部24として機能し、着色剤残量CZが正しいか否かを確認する(S10)。CPU12は以下の2つの条件を確認し、着色剤残量CZが正しいか否かを確認する。
【0040】
(1)CPU12は、ICチップ74に記憶された着色剤残量情報CIとプリンタ50のCPU52が検出した着色剤残量CZを比較する。後述するように、CPU52は、描画処理(S22)後、着色剤残量CZを更新する命令を出力しており(S28)、着色剤残量情報CIには前回の印刷処理終了時の着色剤残量CZの情報が記憶されている。CPU12は、着色剤残量情報CIと着色剤残量CZを比較し、これらの差が予め決められた誤差範囲内である場合、当該条件において着色剤残量CZが正しいと判断する。一方、これらの差が予め決められた誤差範囲を超えて異なる場合、当該条件において着色剤残量CZが正しくないと判断する。
【0041】
(2)CPU12は、ICチップ74に記憶された総描画ドット数DNから算出着色剤残量SCを算出し、算出着色剤残量SCとプリンタ50のCPU52が検出した着色剤残量CZを比較する。着色剤カートリッジ72では、総描画ドット数DNに応じた着色剤Cが減量するため、総描画ドット数DNから前回の印刷処理終了時の着色剤残量CZ(これが算出着色剤残量SCに相当)を算出することができる。CPU12は、算出着色剤残量SCと着色剤残量CZを比較し、これらの差が予め決められた誤差範囲内である場合、当該条件において着色剤残量CZが正しいと判断する。一方、これらの差が予め決められた誤差範囲を超えて異なる場合、当該条件において着色剤残量CZが正しくないと判断する。
【0042】
CPU12は、上記いずれかの条件において着色剤残量CZが正しくないと判断された場合に、着色剤残量CZが正しくないと判断し(S10:NO)、着色剤補充フラグIFを1に変更し(S12)、プリンタ50に対してその変更内容をICチップ74に書き込む書込命令を出力する(S14)。
【0043】
一方、上記両条件において着色剤残量CZが正しいと判断された場合に、着色剤残量CZが正しいと判断し(S10:YES)、CPU12は、補正部26として機能し、サービスポイントSPの補正処理を実行する(S16)。この処理は、着色剤補充フラグIFが0である着色剤カートリッジ72に対して実行される。つまり、この処理は過去において一度も着色剤Cが補充されていない場合に行われることになる。この処理により、着色剤残量CZが異常増加していない場合には、サービスポイントSPが逐次補正され、着色剤Cを残した状態で、サービスポイントのみがなくなりサービスの付与がされないといった事態を防止できる。なおサービスポイントSPの補正は、追加のみ行われ、サービスポイントSPの減算は行われない。
【0044】
一方、着色剤補充フラグIFが1であると判断された場合は、この補正処理は行われない。これにより着色剤Cの補充によって、サービス提供者が意図した以上の印刷サービスが提供されることを防ぐことができる。
【0045】
S8、S14あるいはS16の処理の後に、CPU12は、判断部22として機能し、判断処理を実行する(S18)。CPU12は、プリンタ50から取得したサービスポイントSPに、印刷ジョブに必要なサービスポイントSP(第1制限値の一例)が残っているか否かを確認し、必要なサービスポイントSPが残っていない場合(S18:NO)、印刷サービスを用いない描画処理を実行する(S30)。CPU12は、サーバ装置30を介さずに、あるいはサーバ装置30がサービスポイントSPを減数することなく提供している簡易的な印刷サービスを利用し、プリンタ50に描画命令を出力し、印刷処理を終了する。S30にて出力される描画命令は、例えば、ドラフト印刷などの着色剤をあまり使用しない描画を想定しており、緊急避難的に使用される。
【0046】
一方、CPU12は、ICチップ74に記憶されているサービスポイントSPに必要なサービスポイントSPが残っている場合(S18:YES)、要求部20として機能し、サーバ装置30に対してサービスポイントSPの減数を伴う印刷サービスを要求する(S20)。
【0047】
CPU12は、印刷サービスの要求に基づいて、サーバ装置30から印刷サービスを受信すると、この印刷サービスを用いた描画処理を実行する(S22)。CPU12は、例えばサーバ装置30に印刷対象データから印刷データへの変換を要求し、サーバ装置30から印刷データを受信した場合は、その受信した印刷データを用いた描画をプリンタ50に命令する。
【0048】
CPU12は、印刷サービスを用いた描画処理(S22)後、サービスポイントSPから印刷ジョブに必要なサービスポイントSPを減数し(S24)、プリンタ50に対してその変更内容をICチップ74に書き込む書込命令を出力する(S26)。
【0049】
またCPU12は、着色剤残量CZを更新する命令を出力する(S28)。CPU12は、プリンタ50に対して印刷サービスを用いた描画処理後の着色剤残量CZを検出させ、検出した着色剤残量CZを用いてICチップ74の着色剤残量情報CIを更新する更新命令を出力し、印刷処理を終了する。
【0050】
(サーバ装置における処理)
次に、サーバ装置30のCPU32の処理について説明する。この処理はメモリ34に記憶されているプログラムP2に従って実行される。
図4に示すように、CPU32は、PC10から印刷サービスの要求を受信するのを待機しており(S34:NO)、印刷サービスの要求を受信した場合(S34:YES、S20)、例えば変換部40として機能し、印刷ジョブに含まれる印刷対象データを印刷データに変更する等、PC10からの要求に応じた印刷サービスを付加する(S36)。CPU32は、印刷サービスの付加後、当該印刷サービス(つまり、印刷サービスが付加された印刷ジョブ)をPC10に送信し(S38)、処理を終了する。
【0051】
(プリンタにおける処理)
次に、プリンタ50のCPU52の処理について説明する。この処理はメモリ54に記憶されているプログラムP3に従って、プリンタ50の電源が投入されている間繰り返し実行される。
図5に示すように、CPU52は、PC10から命令を受信するのを待機しており(S42)、命令が入力された場合に、以下の4つの命令であるかを確認する。
(1)ICチップ74の読取命令(S44、S4)
(2)ICチップ74の書込命令(S46、S14、S26)
(3)着色剤残量CZの更新命令(S48、S28)
(4)描画命令(S50、S22、S30)
【0052】
CPU52は、受信した命令がICチップ74の読取命令の場合(S44:YES)、ICチップ74の読取処理を実行する(S54)。CPU52は、装着部60を介して着色剤カートリッジ72の着色剤残量CZを検出するとともに、読み書き部62を介してICチップ74に記憶されている各情報を取得し、これらの情報をPC10に送信する(S56)。
【0053】
CPU52は、受信した命令がICチップ74の書込命令の場合(S46:YES)、ICチップ74への書込処理を実行する(S58)。CPU52は、読み書き部62を介して書込命令に付随してPC10から送られた変更内容をICチップ74に書き込み、ICチップ74に記憶されている各情報を変更する。
【0054】
CPU52は、受信した命令が着色剤残量CZの更新命令の場合(S48:YES)、着色剤残量CZの更新処理を実行する(S60)。CPU52は、着色剤カートリッジ72の着色剤残量CZを検出し、その検出した着色剤残量CZを着色剤残量情報CIとしてICチップ74に書き込み、ICチップ74に記憶されている着色剤残量情報CIを更新する。
【0055】
CPU52は、受信した命令が描画命令の場合(S50:YES)、描画命令に付随して受信した印刷データ等を、印刷部58を用いて印刷対象物に描画する(S62)。この際、CPU52は、受信した印刷データから着色剤カートリッジ72を用いて描画されたドット数を計数し、計数されたドット数とICチップ74から取得した総描画ドット数DNを加えて描画後の総描画ドット数DNを算出する(S64)。またCPU52は、描画後の総描画ドット数DNから算出着色剤残量SCを算出する(S66)。
【0056】
描画後の総描画ドット数DNを算出後、CPU52は、描画後の総描画ドット数DNを総描画ドット数DNとしてICチップ74に書き込み、ICチップ74に記憶されている総描画ドット数DNを変更する(S68)。また、算出着色剤残量SCを算出後、CPU52は、算出着色剤残量SCを着色剤残量情報CIとしてICチップ74に書き込み、ICチップ74に記憶されている着色剤残量情報CIを変更する(S70)。
【0057】
一方、受信した命令が以上の4つの命令でない場合(S44、S46、S48、S50:NO)、その他の処理を実行する(S52)。
【0058】
3.着色剤カートリッジの取替処理
図6を用いて、プリンタ50で実行される着色剤カートリッジ72の取替処理を説明する。この処理はメモリ54に記憶されているプログラムP3に従って実行される。
【0059】
CPU52は、検出部64として機能しており、装着部60を介して着色剤カートリッジ72の着色剤残量CZを検出している。CPU52は、着色剤カートリッジ72の着色剤残量CZが予め定められた警告残量(第2制限値の一例)を下回った場合に、取替処理を開始する。取替処理において、まずCPU52は、取得部66として機能し、読み書き部62を介して現在装着部60に装着されている着色剤カートリッジ72のICチップ74(以後、取替前ICチップ74と呼ぶ)からサービスポイントSP(持ち越し回数限定情報の一例)を取得する(S72)。またCPU52は、取替前ICチップ74のサービスポイントSPをクリア(つまり、サービスポイントSPを「0」に更新)し(S74)、表示部(図示されていない)等を通してユーザに着色剤カートリッジ72の取り替えを促す(S76)。
【0060】
CPU52は、着色剤カートリッジ72の取り替えを促したにも関わらず、ユーザが一定期間以上に亘って着色剤カートリッジ72を取り替えない場合、あるいはユーザからキャンセル指示が入力された場合(S78:キャンセル)、取替前ICチップ74にサービスポイントSPを戻し(S80)、処理を終了する。
【0061】
一方、着色剤カートリッジ72の取り替えの促しに応じて着色剤カートリッジ72が取り替えられた場合(S78:取り替え)、装着部60に新たに装着された着色剤カートリッジ72のICチップ74(以後、取替後ICチップ74と呼ぶ)からサービスポイントSPを取得する(S82)。次にCPU52は、更新部として機能し、ポイント加算処理を実行する(S84)。CPU52は、取替後ICチップ74から取得したサービスポイントSPと取替後ICチップ74から取得したサービスポイントSPを加えた加算サービスポイントSPを算出する。加算サービスポイントSP算出後、CPU52は加算サービスポイントSPをサービスポイントSPとして取替後ICチップ74に書き込み、取替後ICチップ74に記憶されているサービスポイントSPを更新し(S86)、処理を終了する。
【0062】
4.本実施形態の効果
(1)本実施形態の印刷システムでは、PC10のCPU12が、プリンタ50に装着された着色剤カートリッジ72のICチップ74から取得したサービスポイントSPを用いて判断を行い、サービスポイントSPを有している着色剤カートリッジ72が装着されたプリンタ50を対象とした印刷ジョブに対しては、サービスポイントSPの減数を伴う印刷サービスを要求する。そのため、サービスポイントSPを有している着色剤カートリッジ72が装着された特定のプリンタ50に対してのみ、印刷サービスを付加することができる。
【0063】
(2)ICチップ74に与えられているサービスポイントSPは、有限のポイントであり、サーバ装置30における印刷サービスの付加に伴って減数する。そのため、サービスポイントの減数に伴って、ICチップ74に残っているサービスポイントSPが印刷サービスの付加に必要なサービスポイントSPを下回った場合には、印刷サービスが制限される。つまり、サービスポイントSPを有していない着色剤カートリッジ72が装着されたプリンタ50に対して、印刷サービスが付加されることを制限することができる。
【0064】
(3)本実施形態の印刷システムでは、着色剤Cが尽きた場合に、サービスポイントSPもおよそ尽きるように設定されている。そのため、着色剤カートリッジ72の使用中に、サービスポイントSPの減少によりサーバ装置30を用いた印刷処理ができなくなることが抑制されるとともに、着色剤Cが尽きた時にサービスポイントSPが余り、サービスポイントSPが無駄となることが抑制される。
【0065】
(4)本実施形態の印刷システムでは、ICチップ74に着色剤補充フラグIFが記憶されており、着色剤カートリッジ72に非純正着色剤が継ぎ足された場合等に着色剤補充フラグIFが1に変更され、総描画ドット数DNを用いてサービスポイントSPを補正する。これによって、着色剤カートリッジ72に非純正着色剤が継ぎ足された場合に、サービスポイントSPが異常に回復してしまうことが抑制され、サービスポイントSPを適切に補正することができる。
【0066】
(5)着色剤Cが尽きた場合に、サービスポイントSPもおよそ尽きるように設定されていても、プリンタ50の使用条件等によっては、着色剤Cが速く消耗してしまい、サービスポイントSPだけが残ってしまうことが起こり得る。本実施形態の印刷システムでは、着色剤Cが尽き、着色剤カートリッジ72を取り替える際に、取り替え前の着色剤カートリッジ72のICチップ74に残ったサービスポイントSPを取り替え後の着色剤カートリッジ72のICチップ74に引き継ぐことができ、取り替え前の着色剤カートリッジ72に残ったサービスポイントSPを有効に使用することができる。
【0067】
<実施形態2>
実施形態2を、図7ないし図11を用いて説明する。図7に示すように、本実施形態のシステムは、データベース(以後、DB)90を備える点で実施形態1のシステムと異なる。本実施形態では、着色剤カートリッジ72に取り付けられたICチップ74にチップIDのみが記憶されており、着色剤残量情報CI、サービスポイントSP、着色剤補充フラグIF、総描画ドット数DN、及び装着されているプリンタ50のプリンタID等の各種情報がチップIDに関連付けられてDB90に更新可能に記憶されている。なお、チップIDに関連付けられた各種情報は、流通している着色剤カートリッジ72ごとにサービス提供会社等によって予め登録されたものであってもよく、着色剤カートリッジ72にて最初に印刷サービスの付加が行われる際に登録されるものであってもよい。
【0068】
また、本実施形態のシステムでは、実施形態1のシステムではPC10及びプリンタ50が担っていた判断部22、更新部68の機能を、サーバ装置30のCPU32が実行する。つまり、プリンタ50は、装着部60を介して着色剤カートリッジ72の着色剤残量CZを検出するとともに、読み書き部62を介してICチップ74に記憶されているチップIDを取得し、サーバ装置30に送信する。サーバ装置30は、受信したチップIDを用いてDB90から着色剤残量情報CI、サービスポイントSP、着色剤補充フラグIF、総描画ドット数DN等の各種情報を受け取り、判断、更新等の処理を実行する。
【0069】
また、本実施形態のシステムでは、プリンタ50のメモリ54にプリンタIDが記憶されているとともに、サーバ装置30のメモリ34にCGIプログラム(以後、CGI)が記憶されている点で実施形態1のシステムと異なる。サーバ装置30はメモリ34から読み出したCGIに従って、他のプログラムから独立したサーバCGI(購入サーバの一例)として動作する。つまり、本実施形態のシステムでは、サーバ装置30がサーバCGIの機能を兼ねる。
【0070】
1.印刷処理
図8ないし図10を用いて、印刷処理における各種装置の処理を説明する。図8ないし図10は、PC10、サーバ装置30、サーバCGIで実行される処理のフローチャートを示す。以下の説明では、実施形態1と同一の内容については重複した記載を省略する。
【0071】
(PCにおける処理)
図8に示すように、CPU12は、PC10にユーザから印刷ジョブが入力されると処理を開始し、入力された印刷ジョブがサーバ装置30の印刷サービスが必要か否かを確認する(S2)。サーバ装置30の印刷サービスが必要でない場合(S2:NO)、後述する描画処理へ処理を進める(S108)。一方、サーバ装置30の印刷サービスが必要な場合(S2:YES)、プリンタ50に対してICチップ74の読取命令を出力し(S4)、プリンタ50からチップIDを取得する(S6)。
【0072】
次にCPU12は、取得したチップIDをサーバ装置30に送信する(S102)。CPU12は、チップIDの送信に基づいて受信した返答を確認する(S104)。CPU12は、受信した返答がNG信号である場合(S106:NG)、ネットワークインターフェイス16が通信部28として機能し、後述して説明するように、サーバCGIが通信回線82上に開設するポイント購買ページにアクセスするとともに、ブラウザプログラム(以下「ブラウザ」という)Bを用いて表示部に表示し(S110)、処理を終了する。
【0073】
一方、CPU12は、受信した返答がOK信号である場合に(S106:OK)、サーバ装置30に対してサービスポイントSPの減数を伴う印刷サービスを要求する(S20)。次にCPU12は、描画処理を実行する(S108)。CPU12は、入力された印刷ジョブがサーバ装置30の印刷サービスが必要でない場合に、印刷サービスを用いない描画をプリンタ50に命令し、処理を終了する。またCPU12は、印刷サービスの要求(S20)に基づいて、サーバ装置30から印刷サービスを受信し、その受信した印刷サービスを用いた描画をプリンタ50に命令し、処理を終了する。
【0074】
(サーバ装置における処理)
次に、サーバ装置30のCPU32の処理について説明する。図9に示すように、CPU32は、PC10からの要求を受信するのを待機しており(S112:NO)、PC10から要求に伴って印刷ジョブの種類及び使用されるプリンタ50に装着されている着色剤カートリッジ72のチップID等を受信した場合(S112:YES、S102)、当該チップIDに関連付けられて記憶されている各種情報をDB90から一括して取得する(S114)。
【0075】
次にCPU32は、判断部42として機能し、判断処理を実行する(S116)。CPU32は、DB90から取得したサービスポイントSPに、印刷ジョブに必要なサービスポイントSPが残っているか否かを確認し、必要なサービスポイントSPが残っていない場合(S116:NO)、PC10にNG信号を送信し(S124)、処理を終了する。
【0076】
一方、CPU32は、印刷ジョブに必要なサービスポイントSPが残っている場合(S116:YES)、PC10にOK信号を送信し(S118)、PC10から印刷サービスの要求を受信するのを待機する(S34:NO)。CPU32は、印刷サービスの要求を受信した場合(S34:YES、S20)、変換部40として機能し、PC10からの要求に応じた印刷サービスを付加する(S36)。印刷サービスの付加後、CPU32は、当該印刷サービス(つまり、印刷サービスが付加された印刷ジョブ)をPC10に送信する(S38)。
【0077】
CPU32は、印刷サービス付加後、DB90から取得したサービスポイントSPから印刷ジョブに必要なサービスポイントSPを減数し(S120)、DB90に減数後のサービスポイントSPを書き込み(S122)、処理を終了する。
【0078】
(サーバCGIにおける処理)
次に、サーバCGIの処理について説明する。
図10に示すように、サーバCGIは、通信回線82上にサービスポイントSPの購入可能なポイント購買ページを開設しており、PC10からのサービスポイントSPの購入要求を待機する(S132:NO)。サーバCGIは、PC10から購入要求があったが(S132:YES)、その購入要求がキャンセルされた場合(S134:キャンセル)、処理を終了する。
【0079】
一方、PC10から購入要求があり(S132:YES)、サービスポイントSPが購入された場合(S134:購入)、購入時に指定されたICチップ74のサービスポイントSPをDB90から取得する(S136)。CPU52は、DB90から取得したサービスポイントSPと購入したサービスポイントSPを加えた加算サービスポイントSPを算出する(S138)。加算サービスポイントSP算出後、CPU32は加算サービスポイントSPをサービスポイントSPとしてDB90に書き込み(S140)、処理を終了する。
サービスポイントSPの購入の際には、電子決済など既存の方法にて課金処理がなされる。なお、本処理におけるサービスポイントSPの購入は、着色剤カートリッジ72の使用中に着色剤の補充がなされた等の特殊状況において行われるものであり、一般のカートリッジを購入する使用者にあっては、通常使用されない。
【0080】
2.着色剤カートリッジの取替処理
図11を用いて、サーバ装置30で実行される着色剤カートリッジ72の取替処理を説明する。この処理はメモリ34に記憶されているプログラムP2に従って実行される。なお、説明の簡略化のため、プリンタに行わせる処理、PCに行わせる処理を示すフローは省略する。
【0081】
CPU32は、プリンタ50から受信した着色剤残量CZを監視しており、着色剤残量CZが警告残量を下回った場合に、PC10に通知し、着色剤カートリッジ72の取替えを使用者に促す。PC10は、使用者によって着色剤カートリッジ72の取替操作(例えば着色剤カートリッジ72の取り替えを行うボタンが押下される等)を検出すると、サーバ装置30に通知し、それを契機にサーバ装置30は取替処理を開始する。取替処理において、まずCPU32は、プリンタ50からプリンタID及びチップIDを取得して(S150、S152)メモリ34に一時的に記憶するとともに、DB90からプリンタID及びチップIDを取得し、プリンタIDとチップIDの対応を確認する。
【0082】
CPU32は、プリンタIDに対応するチップIDが、DB90から取得した前回のチップIDと異なっている場合(S154:YES)、前回のチップIDを有する取換前ICチップ74が取り付けられた着色剤カートリッジ72から、今回のチップIDを有する取換後ICチップ74が取り付けられた着色剤カートリッジ72に取り替えられたと判断する。
【0083】
CPU32は、DB90から取替前チップIDのサービスポイントSPと取替後チップIDのサービスポイントSPを取得するとともに、これらを加えた加算サービスポイントSPを算出する。CPU32は、加算サービスポイントSPを取替後チップIDサービスポイントSPとしてDB90に書き込み(S156)、DB90に記憶されている取替後チップIDのサービスポイントSPを更新する。またCPU32は、取換前ICチップ74のサービスポイントSPをクリアし(S158)、処理を終了する。
【0084】
一方、CPU32は、プリンタIDに対応するチップIDが、前回のチップIDと等しい場合(S154:NO)、当該チップIDと等しいチップIDが他のプリンタ50にも対応つけられているか否かを確認する(S160)。CPU32は、当該チップIDと等しいチップIDが他のプリンタ50にも対応付けられてない場合(S160:NO)、処理を終了する。一方、CPU32は、当該チップIDと等しいチップIDが他のプリンタ50にも対応付けられている場合(S160:YES)、その結果をログに記述し(S162)、処理を終了する。CPU32は、このログを参照して、ICチップの偽造などの不正使用を調査する。
【0085】
あるプリンタ50に対応付けられているチップIDと等しいチップIDを有するICチップが他のプリンタ50にも対応付けられている場合、同一のチップIDを有するICチップが複数存在することとなり、その原因としてICチップ74の不正コピーが考えられる。ICチップ74が不正コピーされると、不正コピーされたICチップ74が取り付けられた着色剤カートリッジ72が使用された際にもサービスポイントSPが減数することになり、正規のICチップ74が取り付けられた着色剤カートリッジ72を使用するユーザが印刷サービスを受けられないこととなってしまう。
【0086】
CPU32は、上記の場合に、その結果をログに記述し(S162)、表示部等を通して不正コピーされたICチップ74が取り付けられている虞があることをユーザに通知する等の対処をすることができる。
【0087】
3.本実施形態の効果
(1)本実施形態の印刷システムでは、サーバ装置30のCPU32が、プリンタ50に装着された着色剤カートリッジ72のチップIDに基づいてDB90から読み取ったサービスポイントSPを用いて判断を行い、当該サービスポイントSPを有している着色剤カートリッジ72が装着されたプリンタ50を対象とした印刷ジョブに対しては、サービスポイントSPの減数を伴う印刷サービス付加しない。そのため、サービスポイントSPを有している着色剤カートリッジ72が装着された特定のプリンタ50に対してのみ、印刷サービスを付加することができる。
【0088】
(2)着色剤カートリッジ72では、着色剤Cが尽きた場合に、サービスポイントSPもおよそ尽きることが好ましく、そのように設定されている。しかし、使用条件等によっては、サービスポイントSPが速く消耗してしまい、着色剤Cだけが残ってしまうことが起こり得る。本実施形態の印刷システムでは、サービスポイントSPが尽き、着色剤Cが残った場合に、サーバCGIとして機能するサーバ装置30からサービスポイントSPを購入することで、再びサーバ装置30での印刷サービスの付加が要求可能となり、残った着色剤Cを有効に使用することができる。
【0089】
(3)本実施形態の印刷システムでは、サーバ装置30からサービスポイントSPの不足を意味するNG信号を受信した際に、PC10がネットワークインターフェイス16を介してサーバCGIが開設するポイント購入ページにアクセスするので、PC10及びプリンタ50を使用するユーザは、スムースにサービスポイントSPを購入することができ、スムースに印刷サービスの付加を要求することができる。
【0090】
<実施形態3>
実施形態3を、図12、図13を用いて説明する。本実施形態のシステムは、着色剤残量CZに基づいてサービスポイントSPを算出する点で実施形態1のシステムと異なる。そのため本実施形態では、非純正着色剤の継ぎ足しによってサービスポイントSPが回復してしまうため、サービスポイントSPの計算処理が実施形態1のシステムと比べて異なる。
【0091】
1.印刷処理
図12、13を用いて、印刷処理におけるPC10の処理を説明する。以下の説明では、実施形態1と同一の内容については重複した記載を省略し、また実施形態1と同一の内容となるサーバ装置30及びプリンタ50における処理の説明を省略する。
【0092】
(PCにおける処理)
CPU12は、PC10にユーザから印刷ジョブが入力されると処理を開始し、S2ないしS8の処理を実行する。CPU12は、プリンタ50から受信した着色剤残量CZを監視するとともに、メモリ14に一時的に記憶しており、着色剤補充フラグIFが0である場合(S8:NO)、着色剤残量CZが前回よりも増量しているか否かを確認する(S170)。CPU12は、着色剤残量CZが前回よりも増量していない場合(S170:NO)、サービスポイントSPの補正処理を実行する(S16)。一方、着色剤残量CZが前回よりも増量している場合(S170:YES)、着色剤補充フラグIFを1に変更し(S172)、プリンタ50に対してその変更内容をICチップ74に書き込む書込命令を出力する(S14)。
【0093】
S8、S14あるいはS16の処理の後に、判断処理を実行し(S18)、ICチップ74に記憶されているサービスポイントSPに必要なサービスポイントSPが残っている場合(S18:YES)、S20、S22の処理を実行する。
【0094】
次にCPU12は、監視部(第2監視部の一例でもある)24として機能し、印刷データの監視処理を実行する(S174)。CPU12は、印刷サービスが付加された印刷データに含まれる空白データの量を監視する。ここで、「空白データ」とは印刷対象物と同一の色情報しか含まない印刷データを意味する。CPU12は、印刷データに含まれる空白データが予め定められた基準データ量以内である場合(S174:NO)、着色剤補充フラグIFを用いた分類処理に処理を進める(S178)。一方、印刷データに空白データが基準データ量以上含まれている場合(S174:YES)、CPU12は補正部(第2補正部の一例でもある)26として機能し、補正ポイントHPをカウントアップする(S176)。
【0095】
印刷データに空白データが基準データ量以上含まれている場合、その印刷ジョブがサーバ装置30を狙ったサーバ攻撃である虞がある。印刷データに空白データが基準データ量以上含まれていると、サーバ装置30では、印刷データに変換する際にサービスポイントSPが減数するものの、プリンタ50では、着色剤Cがあまり減量しない。そのため、サービスポイントSPが減数するのは良いものの、着色剤残量CZの減少は防ぎたいと考えるユーザが、悪意を持って、サーバ装置30に空白データが基準データ量以上含まれる印刷データを集中して送信し、サーバ装置30をダウンさせようとすることが考えられる。
【0096】
CPU32は、印刷データに空白データが基準データ量以上含まれている場合に、補正ポイントHPをカウントアップする(S176)。これによって、着色剤残量CZに基づいてサービスポイントSPを算出する際に、補正ポイントHPを用いてサービスポイントSPを減数させることができ、サーバ装置がダウンしてしまうことを抑制することができる。
【0097】
次にCPU12は、着色剤補充フラグIFを用いた分類処理を実行し(S178)、着色剤補充フラグIFが1の場合(S178:YES)、第1減算処理を実行する(S182)。CPU12は、メモリ14に記憶された複数の着色剤残量CZから着色剤残量CZが増量する前のサービスポイントSPを検出し、そのサービスポイントSPからその後の着色剤Cの使用料と補正ポイントHPを減算してサービスポイントSPを算出する。
【0098】
一方、着色剤補充フラグIFが0の場合(S178:NO)、第2減算処理を実行する(S180)。CPU12は、メモリ14に記憶された最新の着色剤残量CZから補正ポイントHPを減算してサービスポイントSPを算出する。S180あるいはS182の処理の後に、CPU12は、S26、28の処理を実行し、処理を終了する。
【0099】
2.本実施形態の効果
(1)本実施形態の印刷システムでは、着色剤残量CZに基づいてサービスポイントSPを算出するので、着色剤残量CZとサービスポイントSPを同時に消費させることができる。
【0100】
(2)本実施形態の印刷システムでは、CPU12が印刷データに含まれる空白データの量を監視することでサーバ攻撃を抑制することができ、サーバ装置30がダウンしてしまうことが防止される。
【0101】
<他の実施形態>
本発明は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような実施形態も本発明の技術的範囲に含まれる。
(1)上記実施形態では、印刷サービスとして印刷ジョブに含まれる印刷対象データから印刷データへの変換を用いて説明を行ったが、これに限られない。例えば、PC10では実施困難な大量ページ数の文書のブックレット印刷やログ記録処理、再印字のためのデータ記憶などでもよい。また印刷サービスがうけられない場合は、エラーとする構成としてもよい。
【0102】
(2)上記実施形態では、サービスポイントSP等の情報を備えたICチップ74が着色剤カートリッジ72に取り付けられている例を用いて説明を行ったが、これに限られない。印刷対象物を搬送させるための搬送ベルト等、他の消耗品にICチップ74が取り付けられていてもよい。
【0103】
(3)上記実施形態では、着色剤カートリッジ72とICチップ74とが一体に構成される例を用いて説明を行ったが、これに限られない。例えば着色剤を補充した着色剤カートリッジ、あるいはICチップを持たない着色剤カートリッジに対して貼り付け可能なICチップを単体で販売してもよい。
【0104】
(4)上記実施形態では、サーバ装置30が購入サーバとして機能するサーバCGIを兼ねる例を用いて説明を行ったが、これに限られない。本実施形態のシステムが、サーバ装置30と別体のサーバ装置を有しており、この別体のサーバ装置が購入サーバとして機能しても良い。
【0105】
(5)上記実施形態では、要求部20や通知部22等を同じCPU12によって実現する例を示したが、これに限られない。例えば、お互いに異なるCPU、その他の回路によって構成されても良い。サービス付加部40等を実現するCPU32、検出部64、取得部66、更新部68等を実現するCPU52についても同様である。
【0106】
(6)上記実施形態では、サーバ装置30は生成した印刷データを、PC10を介してプリンタ50に送信していたが、プリンタ50に直接送信してもよい。このような場合、プリンタ50のネットワークインターフェイス56はサーバ装置30が接続されているWANと同一の通信回線に接続されており、サーバ装置30とデータ通信及び処理要求の入出力を行うことができるように構成されている。
【0107】
(7)上記実施形態では、プリンタドライバプログラムDを実行するPC10によって、PC10が処理を実行していたが、同等の処理をアプリケーションプログラムで実行してもよい。これにより、印刷システムならびにプリンタドライバを有さないPCに適用することも可能である。
【符号の説明】
【0108】
PC:10、CPU:12、14:メモリ、16:ネットワークIF、20:要求部、22:判断部、24:監視部、26:補正部、28:通信部、30:サーバ装置、32:CPU、34:メモリ、40:変換部、42:判断部、48:更新部、50:プリンタ、52:CPU、54:メモリ、58:印刷部、60:装着部、62:読み書き部、64:検出部、66:取得部、68:更新部、72:着色剤カートリッジ、74:ICチップ、80、82:通信回路、90:DB、C:着色剤、CZ:着色剤残量、CI:着色剤残量情報、DN:総描画ドット数、IF:着色剤補充フラグ、SP:サービスポイント、SC:算出着色剤残量
【特許請求の範囲】
【請求項1】
印刷装置と、クライアント装置と、印刷サービス付加サーバと、を含む印刷システムにおいて、
前記印刷装置は、
消耗品を着脱可能な装着部と、
前記装着部に装着された前記消耗品から使用権情報を読み取る読取部と、
前記印刷サービス付加サーバで付加される印刷サービスの付加された印刷対象データを印刷する印刷部と、を備え、
前記クライアント装置は、
前記読取部から前記使用権情報を取得する第1取得部と、
前記印刷対象データに対する前記印刷サービスの付加を前記印刷サービス付加サーバに要求する印刷サービス要求部と、を備え、
前記印刷サービス付加サーバは、
前記印刷サービス要求部からの要求に応じて、前記印刷対象データに対して前記印刷サービスを付加する付加部と、を備え、
前記クライアント装置と、前記印刷サービス付加サーバのいずれか一方には、
前記第1取得部が取得した前記使用権情報に基づいて、前記印刷サービスの付加を要求可能か否かを判断する判断部を備え、
前記付加部は、前記判断部により要求可能と判断された場合に、前記印刷対象データに対して前記印刷サービスを付加し、前記判断部により要求不可と判断された場合に、前記印刷対象データに対して付加する前記印刷サービスを制限する印刷システム。
【請求項2】
請求項1に記載の印刷システムであり、
前記使用権情報は、前記付加部において前記印刷サービスが付加可能な回数を限定する回数限定情報に関連付けられており、
前記判断部は、前記回数が予め定められた第1制限値に達した場合に、前記印刷サービスの付加を要求不能と判断する印刷システム。
【請求項3】
請求項2に記載の印刷システムであり、
前記消耗品は、着色剤カートリッジであり、前記回数限定情報は当該着色剤カートリッジの着色剤残量に基づいて設定されている印刷システム。
【請求項4】
請求項3に記載の印刷システムであり、
前記着色剤残量を監視する第1監視部と、
前記第1監視部により前記着色剤残量の変化が異常であると判断された場合に、前記印刷サービスが付加可能な回数を制限するように前記回数限定情報を補正する第1補正部と、を備える印刷システム。
【請求項5】
請求項3または請求項4に記載の印刷システムであり、
前記付加部は、前記印刷サービスの付加により、前記印刷対象データから当該印刷対象データを前記印刷部で印刷するための印刷データに変換しており、
前記印刷対象データを監視する第2監視部と、
前記第2監視部により前記印刷対象データが空白データであると判断された場合に、前記印刷サービスが付加可能な回数を限定するように前記回数限定情報を補正する第2補正部と、を備える印刷システム。
【請求項6】
請求項3ないし請求項5のいずれか一項に記載の印刷システムであり、
前記消耗品の残量を検出する検出部と、
前記検出部により前記残量が予め定められた第2制限値に達した場合に、当該消耗品の前記回数限定情報を持ち越し回数限定情報として取得する第2取得部と、
前記消耗品が交換された際に、交換された後の前記消耗品に対する前記回数限定情報に前記持ち越し回数限定情報を加えて、当該回数限定情報を更新する第1更新部と、を備える印刷システム。
【請求項7】
請求項3ないし請求項6のいずれか一項に記載の印刷システムであり、
前記回数限定情報を購入可能な購入サーバをさらに備え、
前記購入サーバから前記回数限定情報が購入された場合に、前記消耗品に対する前記回数限定情報に前記購入された回数限定情報を加えて、当該回数限定情報を更新する第2更新部と、を備える印刷システム。
【請求項8】
請求項7に記載の印刷システムであり、
前記判断部において要求不可と判断されている場合に、前記購入サーバにアクセスする通信部を備える印刷システム。
【請求項9】
印刷装置と、クライアント装置と、に接続可能な印刷サービス付加サーバに、
前記印刷装置に装着されている消耗品が有する使用権情報に基づいて、印刷サービスの付加を要求可能か否かを判断する第1判断処理と、
前記クライアント装置から印刷対象データに対する前記印刷サービスの付加の要求を受け取る受取処理と、
前記第1判断処理において要求可能と判断した場合に、前記クライアント装置からの要求に対して、前記印刷対象データへの前記印刷サービスを付加し、前記第1判断処理において要求不可と判断した場合に、前記クライアント装置からの要求に対して、前記印刷対象データへの前記印刷サービスの付加を制限する第1制限処理と、を実行させるプログラム。
【請求項10】
印刷装置と、印刷サービス付加サーバと、に接続可能なクライアント装置に、
前記印刷装置に装着されている消耗品が有する使用権情報に基づいて、印刷サービスの付加を要求可能か否かを判断する第2判断処理と、
前記第2判断処理において要求可能と判断した場合に、前記印刷サービス付加サーバに対する前記印刷サービスの付加を要求し、前記第2判断処理において要求不能と判断した場合に、前記印刷サービス付加サーバに対する前記印刷サービスの付加の要求を制限する第2制限処理と、を実行させるプログラム。
【請求項1】
印刷装置と、クライアント装置と、印刷サービス付加サーバと、を含む印刷システムにおいて、
前記印刷装置は、
消耗品を着脱可能な装着部と、
前記装着部に装着された前記消耗品から使用権情報を読み取る読取部と、
前記印刷サービス付加サーバで付加される印刷サービスの付加された印刷対象データを印刷する印刷部と、を備え、
前記クライアント装置は、
前記読取部から前記使用権情報を取得する第1取得部と、
前記印刷対象データに対する前記印刷サービスの付加を前記印刷サービス付加サーバに要求する印刷サービス要求部と、を備え、
前記印刷サービス付加サーバは、
前記印刷サービス要求部からの要求に応じて、前記印刷対象データに対して前記印刷サービスを付加する付加部と、を備え、
前記クライアント装置と、前記印刷サービス付加サーバのいずれか一方には、
前記第1取得部が取得した前記使用権情報に基づいて、前記印刷サービスの付加を要求可能か否かを判断する判断部を備え、
前記付加部は、前記判断部により要求可能と判断された場合に、前記印刷対象データに対して前記印刷サービスを付加し、前記判断部により要求不可と判断された場合に、前記印刷対象データに対して付加する前記印刷サービスを制限する印刷システム。
【請求項2】
請求項1に記載の印刷システムであり、
前記使用権情報は、前記付加部において前記印刷サービスが付加可能な回数を限定する回数限定情報に関連付けられており、
前記判断部は、前記回数が予め定められた第1制限値に達した場合に、前記印刷サービスの付加を要求不能と判断する印刷システム。
【請求項3】
請求項2に記載の印刷システムであり、
前記消耗品は、着色剤カートリッジであり、前記回数限定情報は当該着色剤カートリッジの着色剤残量に基づいて設定されている印刷システム。
【請求項4】
請求項3に記載の印刷システムであり、
前記着色剤残量を監視する第1監視部と、
前記第1監視部により前記着色剤残量の変化が異常であると判断された場合に、前記印刷サービスが付加可能な回数を制限するように前記回数限定情報を補正する第1補正部と、を備える印刷システム。
【請求項5】
請求項3または請求項4に記載の印刷システムであり、
前記付加部は、前記印刷サービスの付加により、前記印刷対象データから当該印刷対象データを前記印刷部で印刷するための印刷データに変換しており、
前記印刷対象データを監視する第2監視部と、
前記第2監視部により前記印刷対象データが空白データであると判断された場合に、前記印刷サービスが付加可能な回数を限定するように前記回数限定情報を補正する第2補正部と、を備える印刷システム。
【請求項6】
請求項3ないし請求項5のいずれか一項に記載の印刷システムであり、
前記消耗品の残量を検出する検出部と、
前記検出部により前記残量が予め定められた第2制限値に達した場合に、当該消耗品の前記回数限定情報を持ち越し回数限定情報として取得する第2取得部と、
前記消耗品が交換された際に、交換された後の前記消耗品に対する前記回数限定情報に前記持ち越し回数限定情報を加えて、当該回数限定情報を更新する第1更新部と、を備える印刷システム。
【請求項7】
請求項3ないし請求項6のいずれか一項に記載の印刷システムであり、
前記回数限定情報を購入可能な購入サーバをさらに備え、
前記購入サーバから前記回数限定情報が購入された場合に、前記消耗品に対する前記回数限定情報に前記購入された回数限定情報を加えて、当該回数限定情報を更新する第2更新部と、を備える印刷システム。
【請求項8】
請求項7に記載の印刷システムであり、
前記判断部において要求不可と判断されている場合に、前記購入サーバにアクセスする通信部を備える印刷システム。
【請求項9】
印刷装置と、クライアント装置と、に接続可能な印刷サービス付加サーバに、
前記印刷装置に装着されている消耗品が有する使用権情報に基づいて、印刷サービスの付加を要求可能か否かを判断する第1判断処理と、
前記クライアント装置から印刷対象データに対する前記印刷サービスの付加の要求を受け取る受取処理と、
前記第1判断処理において要求可能と判断した場合に、前記クライアント装置からの要求に対して、前記印刷対象データへの前記印刷サービスを付加し、前記第1判断処理において要求不可と判断した場合に、前記クライアント装置からの要求に対して、前記印刷対象データへの前記印刷サービスの付加を制限する第1制限処理と、を実行させるプログラム。
【請求項10】
印刷装置と、印刷サービス付加サーバと、に接続可能なクライアント装置に、
前記印刷装置に装着されている消耗品が有する使用権情報に基づいて、印刷サービスの付加を要求可能か否かを判断する第2判断処理と、
前記第2判断処理において要求可能と判断した場合に、前記印刷サービス付加サーバに対する前記印刷サービスの付加を要求し、前記第2判断処理において要求不能と判断した場合に、前記印刷サービス付加サーバに対する前記印刷サービスの付加の要求を制限する第2制限処理と、を実行させるプログラム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2012−103794(P2012−103794A)
【公開日】平成24年5月31日(2012.5.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−249905(P2010−249905)
【出願日】平成22年11月8日(2010.11.8)
【出願人】(000005267)ブラザー工業株式会社 (13,856)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年5月31日(2012.5.31)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年11月8日(2010.11.8)
【出願人】(000005267)ブラザー工業株式会社 (13,856)
【Fターム(参考)】
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