説明

印刷システム

【課題】機能拡張用の拡張ポートを持つ印刷装置と、上記拡張ポートに接続可能な記憶装置とを具備する印刷システムにおいて、特殊モード起動時の操作を簡素化することができる印刷システムを提供することを目的とする。
【解決手段】機能拡張用の拡張ポートを持つ印刷装置と、上記拡張ポートに接続可能な記憶装置とを具備する印刷システムにおいて、拡張メモリ等に、起動モードを示す符号を格納し、印刷装置の起動時に、拡張メモリの接続の有無と、拡張メモリ内の起動モード符号の有無とに応じて、起動するモードを決定する印刷システムである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、機能拡張用の拡張ポートを持つ印刷装置と、上記拡張ポートに接続可能な記憶装置とによって構成されている印刷システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、印刷装置では、ユーザが画像記録を行うために用いられる一般モードの他に、ユーザには通常使用されない特殊な起動モードが用意されている。上記特殊な起動モードとは、たとえば、工場で各種調整・機能確認等に用いられる工場モード、サービスマンがメンテナンスを行う際に用いられるサービスモード、印刷装置の全体制御を行っているメインボード交換用の基板交換モード等である。
【0003】
画像形成装置の通常機能を制御するための常駐プログラムを、本体主制御部の記憶手段に格納し、製造時における機能確認用プログラム等の特殊プログラムを、交換可能なプロセスユニットに設けられた記憶手段に格納させている(たとえば、特許文献1参照)。そして、外部からの指定入力に対応するプログラムを起動し、実行する画像形成装置が開示されている。
【0004】
外部記憶媒体を着脱可能な外部コネクタを有し、外部記憶媒体が外部コネクタに装着された場合、ホストからの起動要求によって、外部記憶媒体に格納されているプログラムの起動を実行する画像記録装置が開示されている(たとえば、特許文献2参照)。
【特許文献1】特開2002−067434号公報
【特許文献2】特開2005−088373号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記のように、一般モードの制御プログラムに加えて、ユーザ使用を想定していない特殊なモード(工場モード、サービスモード、基板交換モード等)の制御プログラムを、起動できるようにしておく必要がある。このために、制御プログラムの保存に要するメモリ容量が増大する。
【0006】
特許文献1記載の発明では、画像形成装置の通常の機能を制御するための常駐プログラムを、本体主制御部の記憶手段に格納し、製造時における機能確認用プログラム等の特殊プログラムを、交換可能なプロセスユニットの記憶手段に格納している。そして、外部からの指定入力に対応するプログラムを起動し、実行することによって、記憶領域の使用効率を改善している。
【0007】
特許文献2記載の発明では、外部記憶媒体を着脱可能な外部コネクタを有し、外部記憶媒体が外部コネクタに装着されている場合、ホストからの起動要求によって、外部記憶媒体に格納されているプログラムの起動を実行させる。このために、本体制御に不要な外部プログラムを外部記憶媒体に格納することができ、本体に格納するプログラム容量を削減している。
【0008】
しかし、特許文献1、2記載の発明では、一般モード(常駐プログラム、本体制御プログラム)と、特殊モード(特殊プログラム、外部プログラム)とは、完全に独立し、共通で使用されるプログラムコード、データも、それぞれの領域に格納する必要がある。したがって、冗長であるという問題がある。
【0009】
また、どちらのモードで起動させるかは、外部からの指定入力またはホストからの起動要求が必要であり、システムや操作が複雑であるという問題がある。
【0010】
さらに、特殊モードで使用するユーザが、一般モードで使用する言語と異なる言語を使用する場合、表示パネルに表示する言語を変更する必要がある。
【0011】
しかも、特殊モードで表示させる表示言語を変更する場合、特殊モードで起動した後に、言語設定を操作パネル上で切り替え、調整作業・メンテナンス作業を行った後に、再度言語設定を元に戻す必要があり、操作が煩雑であるという問題がある。
【0012】
そして、印刷装置本体のメインボードが故障した場合、メインボードを交換する必要がある。この際、印刷装置に記憶されている印刷装置個別情報(各種メカ調整値、使用履歴データ、本体シリアル番号、ホストIFに用いられる各種ID等)を、新しいメインボードに引き継ぐ必要がある。このために、メインボード交換時に、印刷装置本体上に上記情報を退避させるための記憶装置が必要になり、コストアップを招いている。
【0013】
本発明は、特殊モード起動時の操作を簡素化することができる印刷システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明は、拡張メモリ等に、起動モードを示す符号を格納し、印刷装置の起動時に、拡張メモリの接続の有無と、拡張メモリ内の起動モード符号の有無とに応じて、起動するモードを決定する印刷システムである。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、拡張メモリ等に、起動モードを示す符号を格納し、印刷装置の起動時に、拡張メモリの接続の有無と、拡張メモリ内の起動モード符号の有無とに応じて、起動するモードを決定するので、特殊モード起動時の操作が簡素であるという効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
本発明を実施するための最良の形態は、次の実施例である。
【実施例1】
【0017】
図1は、本発明の実施例1である印刷システムPS1におけるプリンタPR1の構成を示すブロック図である。
【0018】
印刷システムPS1は、ホストPC10と、外部バスB1と、プリンタPR1とを有する。
【0019】
プリンタPR1は、印刷装置の例であり、プリンタコントローラ20と、プリンタエンジン40とを有する。
【0020】
ホストPC10で生成された画像データを、外部バスB1を経由して、プリンタPR1に転送し、プリント出力処理が行われる。プリンタ内では、プリンタコントローラ20と、プリンタエンジン40とに、処理が分けられる。
【0021】
プリンタコントローラ20は、ホストPC10との通信に用いられる外部バスB1とのIF制御、ホストPC10から転送されるプリンタ制御コマンド(画像データを変換したもの)の解釈・イメージデータ生成、画像データの圧縮・伸張処理を主に行う。また、プリンタコントローラ20は、イメージデータ生成時における各種画像処理、ユーザからの操作を受け付け、プリンタエンジンへのコマンド送信を主に行なう。
【0022】
プリンタエンジン40は、プリンタコントローラ20で生成されたビットマップデータを受け取り、インクジェットヘッドの吐出タイミングデータ生成、印字処理、インクジェットヘッドへのインク供給・回復処理、紙搬送、ヘッド動作でのモータ制御を主に行う。
【0023】
以上の処理によって、ホストPC10から受け取った画像データをプリント出力する。
【0024】
次に、実施例1において、プリンタコントローラ20の構成と概略動作とについて説明する。
【0025】
図2は、プリンタPR1におけるプリンタコントローラ20を示すブロック図である。
【0026】
プリンタコントローラ20は、ホストPC11、12、13と、USBデバイス14と、CPU21と、バスブリッジ22と、メモリコントローラ23と、USBデバイスコントローラ24と、IEEE1394インタフェース25とを有する。また、プリンタコントローラ20は、RAM28、ROM29と、EEPROM30と、操作パネルインタフェース31と、操作パネル32と、画像データ処理ブロック33と、SDRAM34と、拡張インタフェース35とを有する。さらに、プリンタコントローラ20は、ネットワークインタフェース36と、USBホストコントローラ37と、HDDインタフェース38と、HDD39とを有する。
【0027】
CPU21は、USBデバイスコントローラ24またはIEEE1394インタフェース25、ネットワークインタフェース36を介して、ホストPC11、12、13に接続されている。さらに、CPU21は、制御プログラムを格納しているROM29や、更新可能な制御プログラムや、処理プログラムや、各種定数データ等を格納したEEPROM30とホストPC11とから受信したコマンド信号を受信する。また、CPU21は、画像情報を格納するためのRAM28と接続され、アクセスすることができる。
【0028】
CPU21は、これらのメモリに格納されている情報に基づいて、記録動作を制御する。操作パネル32のキーを介して入力された指示情報は、操作パネルインタフェース31を介し、CPU21に伝達され、またCPU21からの命令によって、同様に操作パネルインタフェース31を介して、操作パネル32のLED点灯やLCD表示が制御される。
【0029】
拡張インタフェース35は、他種のホストインタフェース等の拡張カードを接続することによって、機能拡張するためのインタフェースである。HDDインタフェース38は、HDD39に接続され、印刷ジョブデータ、外字、フォーム画像等の保存、言語系(PDL)の異なるプリンタ制御言語を解釈するエミュレーションプログラムの格納等に用いられる。
【0030】
USBホストコントローラ37は、USBデバイス14と接続され、USBデバイス14との間で、データ通信する。USBホストコントローラ37に接続されているUSBデバイスは、デジタルカメラ等であり、USBデバイスコントローラ24から直接画像情報を受信し、印刷動作するように、機能拡張する。
【0031】
また、実施例1では、USBメモリ等のストレージデバイスと接続し、起動モードの選定や、コントローラ基板交換時の設定データ退避に使用する。具体的な起動モードの選定方法や、コントローラ基板交換時の設定データ退避方法については、後述する。
【0032】
画像情報は、画像データ処理ブロック33によって、各インク色のドットデータに変換され、図示しないエンジンへ出力される。また、コントローラとエンジンとの間の各種コマンドやステータス情報の送受信は、上記と同様に、画像データ処理ブロック33を介して行われる。
【0033】
さらに、図示しない各パワーマネージメント制御部によって、点線で示される主制御部、各インタフェース制御部のパワーマネージメント制御が行われる。
【0034】
次に、エンジン部の機能及び動作概要について、説明する。
【0035】
図3は、プリンタエンジンの構成を示すブロック図である。
【0036】
エンジン部は、バンドメモリ制御ブロック52を介して、図示しないコントローラと接続されている。CPU41は、制御プログラムを格納しているROM43と、更新可能な制御プログラムや処理プログラムや各種定数データ等を格納しているEEPROM44とにアクセスすることができる。また、CPU41は、図示しないコントローラから受信したコマンド信号や画像情報を格納するためのRAM42にアクセスすることができる。
【0037】
CPU41は、これらのメモリに格納されている情報に基づいて、記録動作を制御し、出力ポート45とキャリッジモータ制御回路47とを介して、キャリッジモータ49を動作させることによって、キャリッジ51を移動させる。
【0038】
また、CPU41は、出力ポート45と紙搬送モータ制御回路46とを介して、紙搬送モータ48を動作させることによって、搬送ローラ等の紙搬送機構50を動作させる。さらに、CPU41は、RAM42に格納されている各種情報に基づいて、バンドメモリ制御ブロック52や、プリントヘッド制御ブロック54を制御し、プリントヘッド55を駆動することによって、記録媒体上に所望の画像を記録することができる。
【0039】
プリンタPR1は、一般モードと特殊モードとの2つの起動モードと、一般モード用の制御プログラムと一般モードで使用するデータとを格納する不揮発性メモリと、上記拡張ポートに接続されている上記記憶装置を認識する記憶装置認識部とを有する。また、プリンタPR1は、上記拡張ポートに接続されている記憶装置に格納されている起動モード符号に基づいて、起動するモードを識別するための起動モード識別部を有する。
【0040】
上記記憶装置は、上記印刷装置の起動モードが特殊モードであることを示す起動モード符号と、起動モード符号が示す特殊モードの制御プログラムと、特殊モードで使用するデータとを格納している。
【0041】
電源起動時に、上記記憶装置認識部が、上記拡張ポートに上記記憶装置が接続されていないと認識するか、または拡張ポートに接続されている記憶装置に上記起動モード符号が格納されていないことを認識する。この認識によって、上記不揮発性メモリに格納されている一般モード用プログラムによって、起動する。
【0042】
上記特殊モードは、少なくとも1つのモードを持ち、上記拡張ポートに接続されている記憶装置に、複数の特殊モードを示す起動モード符号が記憶されていれば、操作パネルを介して起動する起動モードを選択させる。
【0043】
上記起動モード符号は、対応する制御プログラムの格納場所とプログラムサイズとを含む。上記起動モード識別部は、制御プログラムの起動モード符号に含まれている上記格納場所とプログラムサイズとを認識し、特殊モード用プログラムを起動する。
【0044】
また、プリンタPR1は、上記拡張ポートに接続可能な記憶装置であって、上記起動モード符号と、起動モード符号に応じた特殊モードの制御プログラムと、特殊モードで使用する言語設定を示す特殊モード言語設定符号とを格納している記憶装置とを有する。プリンタPR1は、上記記憶装置に格納されている特殊モード言語設定符号から起動モードで使用する言語設定を識別するための特殊モード言語設定識別部を具備する。
【0045】
そして、電源起動時に、記憶装置認識部によって拡張ポートに、記憶装置が接続され、特殊モードで起動させることを示す符号があることを認識すると、記憶装置に格納されている起動モード符号に対応した制御プログラムによって、特殊モードで起動する。また、操作パネルには、上記特殊モード言語設定識別部が識別した言語によって表示する。
【0046】
さらに、プリンタPR1は、上記機能拡張用の拡張ポートを持つ印刷装置に印刷装置個別の情報を格納する個別情報格納領域を持つ。そして、上記特殊モードとして、上記拡張ポートに接続可能な上記記憶装置に、基板取り外しモードか基板取り付けモードを示す基板交換符号を格納する。基板取り外しモードを示す符号の場合には、上記印刷装置に格納された個別情報を上記記憶装置に格納し、上記個別情報を上記記憶装置に格納した後に、基板取り付けモードを示す符号に基板交換符号を変更する。基板取り付けモードを示す符号の場合には、上記記憶装置に格納されている上記個別情報を上記印刷装置本体の個別情報格納部に格納する。上記個別情報を上記印刷装置の個別情報格納部に格納した後に、基板取り外しモードを示す符号に基板交換符号を変更する起動モードを有する。
【0047】
また、プリンタPR1は、上記機能拡張用の拡張ポートを持ち、印刷装置個別の情報を格納する個別情報格納領域を持つ。上記個別情報格納領域に格納されている上記個別情報を、上記拡張ポートに接続可能な上記記憶装置にコピーし、上記拡張ポートに接続可能な上記記憶装置に格納されている上記個別情報を、上記個別情報格納領域にコピーする特殊モードを持つ。
【0048】
上記拡張ポートに接続可能な上記記憶装置に格納されている上記個別情報を、上記個別情報格納領域にコピーした後に、コピーした上記個別情報のみを、上記記憶装置から消去する。
【0049】
さらに、起動するモード毎に、操作パネルの表示、操作パネルから指示できる処理内容が異なる。起動するモード毎に、操作パネルの操作キーの意味付けを変更する。
【0050】
上記一般モードは、ユーザが印刷を行うために使用されるモードであり、上記特殊モードは、印刷機能に加えサービスマンが印刷装置の保守・点検、工場での各種の調整・検査を行うための機能を実施するためのモードである。
【0051】
次に、基板取り外しモードを示す符号に、基板交換符号を変更する動作について説明する。
【0052】
図4は、基板取り外しモードを示す符号に、基板交換符号を変更する動作を示すフローチャートである。
【0053】
S1で、電源をONした後に、S2で、USBホストコントローラ37にUSBメモリ等の拡張メモリが接続されているかどうかを確認する。拡張メモリが接続されていなければ、S12で、一般モードを起動する。ここで、上記「一般モード」は、ユーザが印刷を行うための起動モードである。S2で拡張メモリが接続されていれば、S3で、拡張メモリ内に起動モードを示す符号が存在するかどうかを調べる。
【0054】
起動モードを示す符号が存在しなければ、S12で、一般モードを起動する。この際、表示パネルに表示される言語設定は、本体に格納されている言語設定に従って、表示される。
【0055】
起動モードを示す符号が存在する場合、S4で、特殊モードで表示パネルに表示させる言語を示す特殊モード用言語設定を読み込む。上記「特殊モード」は、ユーザが印刷するためのモードとは別のモードであり、工場での各種調整・機能確認やサービスマンによる各種メンテナンスに使用されるモードである。
【0056】
さらに、S5で、拡張メモリ内に格納されている起動モード符号が1つ格納されているのか、複数格納されているのかを調べる。1つ格納されていれば、S6で、拡張メモリ内に格納されている特殊モードの制御プログラムを、RAMに展開する。
【0057】
S7で、特殊モードと一般モードとに共通で使用されている一般モード用制御プログラムとデータ部分とを、本体に格納されている不揮発性メモリからRAMに展開し、S8で、制御プログラムを起動する。このときに、表示パネルに表示される言語は、S4で読み込んだ特殊モード用言語設定に基づいて表示される。
【0058】
S5で、拡張メモリ内に格納されている起動モード符号が複数あれば、S9で、特殊モード用言語設定で指定された言語設定によって表示パネルに表示し、起動モード選択画面を表示し、起動モードの選択を促す。S10で、起動モードが選択されたら、起動モードに応じた拡張メモリ内に格納されている制御プログラムをRAMに展開し、制御プログラムを起動する。
【0059】
上記「起動モードを示す符号」は、テキストファイルとして作成しておけばよく、起動モードの名称、起動モードの制御プログラムが格納されている格納場所、制御プログラムサイズを示す文字列が格納されていれば、実現可能である。
【0060】
上記「特殊モードと一般モードとに共通で使用される制御プログラム」は、たとえば印字動作用の制御プログラムや、ホストPCとの通信制御プログラムである。また、上記「特殊モードと一般モードとに共通で使用されるデータ」は、たとえば不吐チェック用の印字パターンや、表示パネルに表示させるためのフォントデータである。
【0061】
上記「特殊モードと一般モードとに共通で使用される制御プログラムやデータ」を格納する場合、上記共通に使用される制御プログラムやデータの格納場所を示すテーブルを、プリンタPR1の本体の不揮発性メモリの特定アドレスに格納しておけばよい。
【0062】
また、特殊モード起動時に、特殊モードのみで実施される機能を、表示パネルに表示し、この表示メニューの項目を増やし、操作パネルから実施できるようにすればよい。
【0063】
さらに、特殊モード起動時に、一般モードと操作パネルのキーとの意味付けを変え、特殊モードのみで使用される機能を割り当てるようにすれば、操作性がさらに向上される。たとえば、一般モードでは、プリンタPR1の各種設定(紙種、ネットワーク設定、ファームのバージョン)を表示でき、特殊モードでは、各種設定の表示に加え、プリンタPR1に格納されている履歴データの拡張メモリへのコピーも実施させる。
【0064】
図5は、上記実施例において、基板交換モード時の動作を示すフローチャートである。
【0065】
ここでは、プリンタコントローラ20とプリンタエンジン40とが、1枚の基板でメインボードを構成している。
【0066】
プリンタごとに、ヘッドの取り付け位置・姿勢に応じたインク着弾位置微調整用のタイミング補正値等の各種メカ設定値や、使用履歴データ、本体シリアル番号、ホストIFに用いられる各種ID等の個別情報を、個別情報格納領域に格納する。個別情報格納領域は、本体に設けられている。メインボードが故障した場合、サービスマンが、メインボードを交換し、修理するが、上記プリンタ個別情報を新しいメインボードに移行する際の動作を、図5に示してある。
【0067】
次に、故障した基板を取り外す際の動作について説明する。
【0068】
最初に、S21で、図4に示す方法に従って基板交換モードを起動する。S22で、基板交換モードで立ち上がった後は、拡張メモリ内に格納されている取り外しモードか、取り付けモードかを示す符号は、取り外しモードになっている。したがって、S25で、プリンタPR1の本体に格納されている上記個別情報を、拡張メモリにコピーする。さらに、S26で、拡張メモリ内の符号を、取り付けモードに変更する。その後に、プリンタPR1の電源をOFFし、メインボードを取り外せばよい。
【0069】
次に、故障した基板を取り外した後に、新しいメインボードをプリンタPR1に組み込む。S21で、電源起動時に、図4に示す方法に従って、基板交換モードで起動する。S22で、上記取り外し時のフローチャートで説明したように、符号が取り付けモードになっているので、S23で、拡張メモリ内に格納されている上記個別情報を、プリンタ本体の個別情報格納領域にコピーする。さらに、S24で、拡張メモリ内の符号を取り外しモードに変更すれば、メインボード交換が完了になる。
【0070】
図5に示す例は、1台のプリンタPR1において、メインボード交換を行う際の基板交換モードである。
【0071】
次に、プリンタPR1が複数設けられている場合に、メインボードを交換する際の基板交換モードの動作について説明する。
【0072】
図6は、プリンタPR1が複数設けられている場合に、メインボードを交換する際の基板交換モードの動作を示すフローチャートである。
【0073】
まず、S31で、図4に示す方法に従って、基板交換モードを起動する。基板交換モードが立ち上がった後は、S32で、取り付けモードか、取り外しモードかを、操作者に選択させる画面を表示パネルに表示する。
【0074】
S33で、操作者が選択し、S34で、取り外しモードが選択されると、S41で、プリンタPR1の本体に格納されている上記個別情報を、拡張メモリにコピーする。S34で、取り付けモードが選択されると、S35で、拡張メモリ内に格納されている個別情報が1つであるかどうかを調べる。拡張メモリ内に格納されている個別情報が、1つであれば、S36で、拡張メモリに保存されている個別情報を、プリンタPR1の本体の個別情報格納領域にコピーする。コピーが終了したら、S37で、拡張メモリ内に保存されている個別情報を削除する。
【0075】
拡張メモリ内に格納されている個別情報が、複数であれば、S38で、表示パネルにどの個別情報をコピーするかを選択させる画面を表示する。S39で、どの個別情報をコピーするかを選択したら、S40で、選択された個別情報を、プリンタPR1の本体の個別情報格納領域にコピーする。コピーが終了したら、拡張メモリ内に保存され、S40で、コピーを行った個別情報を、S37で、削除する。
【0076】
上記実施例によれば、拡張メモリ等に、起動モードを示す符号を格納し、プリンタPR1の起動時に、拡張メモリの接続の有無と、拡張メモリ内の起動モード符号の有無とに応じて、起動するモードを決定するので、特殊モード起動時の操作が簡素化される。
【0077】
上記実施例では、特殊モード起動時に、一般モードと共通に使用される制御プログラム、データのうちの少なくとも一部を、プリンタPR1の本体の不揮発性メモリから読み込む。したがって、上記実施例によれば、拡張メモリに格納する制御プログラムサイズ、データサイズの容量を低減できる。
【0078】
また、上記実施例によれば、拡張メモリ内に複数の起動モード符号が存在する場合、操作パネルによって起動するモードを選択させるので、ユーザによる起動時の操作性が向上する。
【0079】
さらに、拡張メモリ内に、特殊モードで使用する際の表示言語を指定する特殊モード表示言語設定符号を格納し、特殊モード起動時に、特殊モード表示言語設定符号に応じた言語を、特殊モードで使用するので、特殊モード起動時の操作が低減する。
【0080】
しかも、上記実施例では、特殊モードとして、プリンタPR1のメインボード交換時に上記プリンタPR1の個別情報の退避場所として、上記拡張メモリを利用した基板交換モードを使用する。したがって、上記実施例によれば、プリンタPR1に備えられている不揮発性メモリの容量を低減することができる。
【0081】
そして、上記拡張メモリに、基板取り外しモードか基板取り付けモードかを示す基板交換符号を格納し、基板交換符号に応じて、個別情報のコピー先とコピー元とを決定するので、メインボード交換時の操作を低減することができる。
【0082】
加えて、上記拡張メモリから、プリンタPR1の個別情報格納領域に個別情報をコピーした後に、コピーを行った個別情報のみを削除するので、メインボード交換時の個別情報をコピーする際の誤操作を低減することができる。
【0083】
また、上記拡張メモリに、基板取り外しモードか基板取り付けモードかを示す基板交換符号を格納し、基板交換符号に応じて、印刷情報のコピー先とコピー元とを決定するので、メインボード交換時の操作を低減することができる。
【産業上の利用可能性】
【0084】
上記実施例は、インクジェットプリンタであるが、LBP等にも、上記実施例を応用することができる。
【0085】
上記実施例は、拡張ポートにUSBホストコントローラ37を使用しているが、たとえば、PCIバスを使用した拡張ポートに、上記実施例を応用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0086】
【図1】本発明の実施例1である印刷システムPS1におけるプリンタPR1の構成を示すブロック図である。
【図2】プリンタPR1におけるプリンタコントローラ20を示すブロック図である。
【図3】プリンタエンジンの構成を示すブロック図である。
【図4】本発明を適用できるプリンタPR1の起動時の動作を示すフローチャートである。
【図5】本発明を適用できる基板交換モード時の動作を示すフローチャートである。
【図6】プリンタPR1が複数設けられている場合に、メインボードを交換する際の基板交換モードの動作を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0087】
10…ホストPC、
PR1…プリンタ、
B1…外部バス、
20…プリンタコントローラ、
40…プリンタエンジン、
21…CPU、
22…バスブリッジ、
23…メモリコントローラ、
24…USBデバイスコントローラ、
25…IEEE1394インタフェース、
11…ホストPC、
12…ホストPC、
13…ホストPC、
14…USBデバイス、
28…RAM、
29…ROM、
30…EEPROM、
31…操作パネルインタフェース、
32…操作パネル、
33…画像処理ブロック、
34…SDRAM、
35…拡張インタフェース、
36…ネットワークインタフェース、
37…USBホストコントローラ、
38…HDDインタフェース、
39…HDD、
41…CPU、
42…RAM、
43…ROM、
44…EEPROM、
45…出力ポート、
46…紙搬送モータ制御回路、
47…キャリッジモータ制御回路、
48…モータ、
49…モータ、
50…紙搬送機構、
51…キャリッジ、
52…バンドメモリ制御ブロック、
53…メモリ、
54…プリントヘッド制御ブロック、
55…プリントヘッド。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
機能拡張用の拡張ポートを持つ印刷装置と、上記拡張ポートに接続可能な記憶装置とを具備する印刷システムにおいて、
上記拡張ポートに上記記憶装置が接続され、起動モード符号が格納されていると、記憶装置に格納されている特殊モードの制御プログラム、特殊モードで使用するデータ、不揮発性メモリに格納されている一般モードの制御プログラム、一般モードで使用するデータのうちの少なくとも一部を用いて、特殊モードで起動することを特徴とする印刷システム。
【請求項2】
請求項1において、
上記印刷装置は、
一般モードと特殊モードとの2つの起動モードと、一般モード用の制御プログラムと一般モードで使用するデータとを格納する不揮発性メモリと、上記拡張ポートに接続されている上記記憶装置を認識する記憶装置認識部と、上記拡張ポートに接続されている記憶装置に格納されている起動モード符号に基づいて、起動するモードを識別するための起動モード識別部とを具備し、
上記記憶装置は、上記印刷装置の起動モードが特殊モードであることを示す起動モード符号と、起動モード符号が示す特殊モードの制御プログラムと、特殊モードで使用するデータとを格納している記憶装置であり、
電源起動時に、上記記憶装置認識部が、上記拡張ポートに上記記憶装置が接続されていないと認識するか、または拡張ポートに接続されている記憶装置に上記起動モード符号が格納されていないことを認識すると、上記不揮発性メモリに格納されている一般モード用プログラムによって、起動することを特徴とする印刷システム。
【請求項3】
請求項1において、
上記特殊モードは、少なくとも1つのモードを持ち、上記拡張ポートに接続されている記憶装置に、複数の特殊モードを示す起動モード符号が記憶されていれば、操作パネルを介して起動する起動モードを選択させることを特徴とする印刷システム。
【請求項4】
請求項2において、
上記起動モード符号は、対応する制御プログラムの格納場所とプログラムサイズとを含み、
上記起動モード識別部は、制御プログラムの起動モード符号に含まれている上記格納場所とプログラムサイズとを認識し、特殊モード用プログラムを起動する手段であることを特徴とする印刷システム。
【請求項5】
請求項1〜請求項3のいずれか1項において、
上記拡張ポートに接続可能な記憶装置であって、上記起動モード符号と、起動モード符号に応じた特殊モードの制御プログラムと、特殊モードで使用する言語設定を示す特殊モード言語設定符号とを格納している記憶装置と、上記記憶装置に格納されている特殊モード言語設定符号から起動モードで使用する言語設定を識別するための特殊モード言語設定識別部とを具備する印刷装置で構成され、
電源起動時に、記憶装置認識部によって拡張ポートに、記憶装置が接続され、特殊モードで起動させることを示す符号があることを認識すると、記憶装置に格納されている起動モード符号に対応した制御プログラムによって、特殊モードで起動し、操作パネルには、上記特殊モード言語設定識別部が識別した言語によって表示することを特徴とする印刷システム。
【請求項6】
請求項1〜請求項4のいずれか1項において、
上記機能拡張用の拡張ポートを持つ印刷装置に印刷装置個別の情報を格納する個別情報格納領域を持ち、上記特殊モードとして、上記拡張ポートに接続可能な上記記憶装置に、基板取り外しモードか基板取り付けモードを示す基板交換符号を格納し、基板取り外しモードを示す符号の場合には、上記印刷装置に格納された個別情報を上記記憶装置に格納し、上記個別情報を上記記憶装置に格納した後に、基板取り付けモードを示す符号に基板交換符号を変更し、基板取り付けモードを示す符号の場合には、上記記憶装置に格納されている上記個別情報を上記印刷装置の個別情報格納部に格納し、上記個別情報を上記印刷装置の個別情報格納部に格納した後に、基板取り外しモードを示す符号に基板交換符号を変更する起動モードを有することを特徴とする印刷システム。
【請求項7】
請求項1〜請求項5のいずれか1項において、
上記機能拡張用の拡張ポートを持つ印刷装置に印刷装置個別の情報を格納する個別情報格納領域を持ち、上記特殊モードとして、上記個別情報格納領域に格納されている上記個別情報を、上記拡張ポートに接続可能な上記記憶装置にコピー、及び上記拡張ポートに接続可能な上記記憶装置に格納されている上記個別情報を、上記個別情報格納領域にコピーする上記特殊モードを持つ印刷システムにおいて、上記拡張ポートに接続可能な上記記憶装置に格納されている上記個別情報を、上記個別情報格納領域にコピーした後に、コピーした上記個別情報のみを、上記記憶装置から消去することを特徴とする印刷システム。
【請求項8】
請求項1〜請求項7のいずれか1項において、
起動するモード毎に、操作パネルの表示、操作パネルから指示できる処理内容が異なることを特徴とする印刷システム。
【請求項9】
請求項1〜請求項8のいずれか1項において、
起動するモード毎に、操作パネルの操作キーの意味付けを変更することを特徴とする印刷システム。
【請求項10】
請求項1〜請求項9のいずれか1項において、
上記一般モードは、ユーザが印刷を行うために使用されるモードであり、上記特殊モードは、印刷機能に加えサービスマンが印刷装置の保守・点検、工場での各種の調整・検査を行うための機能を実施するためのモードであることを特徴とする印刷システム。
【請求項11】
機能拡張用の拡張ポートを持つ印刷装置と、上記拡張ポートに接続可能な記憶装置とを具備する印刷システムの制御方法において、
上記拡張ポートに上記記憶装置が接続され、起動モード符号が格納されていると、記憶装置に格納されている特殊モードの制御プログラム、特殊モードで使用するデータ、不揮発性メモリに格納されている一般モードの制御プログラム、一般モードで使用するデータのうちの少なくとも一部を用いて、特殊モードで起動することを特徴とする印刷システムの制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2009−298058(P2009−298058A)
【公開日】平成21年12月24日(2009.12.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−156230(P2008−156230)
【出願日】平成20年6月16日(2008.6.16)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】