説明

印刷ジョブ表示プログラムおよび印刷ジョブ表示装置

【課題】バリアブル印刷が指定された印刷ジョブの情報とバリアブル印刷が指定されていない印刷ジョブの情報とを表示画面に一覧表示する際、バリアブル印刷が指定された印刷ジョブの情報をユーザが簡単に認識できるようにして、バリアブル印刷が指定された印刷ジョブかバリアブル印刷が指定されていない印刷ジョブかを容易に判断可能とする印刷ジョブ表示プログラムを提供する。
【解決手段】本発明の印刷ジョブ表示プログラムは、バリアブル印刷が指定されている印刷ジョブを認識する手順と、認識された印刷ジョブの情報を所定の分類情報により分類して得られる複数のサブジョブに関する情報511が下位階層の情報として付加された印刷ジョブに関する情報510を、バリアブル印刷が指定されていない印刷ジョブに関する情報520,530,540とともに表示画面500に一覧表示する手順と、をコンピュータに実行させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、印刷ジョブの一覧を表示画面に表示するための印刷ジョブ表示プログラムおよび印刷ジョブ表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
大量印刷を目的とする印刷技術として、バリアブル印刷が知られている。バリアブル印刷とは、1枚1枚の出力内容を必要に応じて部分的に差し替えることが可能な印刷をいう。MFP(Multi−Function Peripheral)等の画像形成装置は、バリアブル印刷が指定されている印刷ジョブを受信してバリアブル印刷を実行する。
【0003】
ところで、一般的な画像形成装置は、受信した印刷ジョブの一覧を操作パネルに表示する機能を有している。この機能によれば、操作パネルに一覧表示される印刷ジョブの情報を参照することにより、ユーザは、画像形成装置が受信している印刷ジョブを把握することができる。
【0004】
しかしながら、バリアブル印刷が指定されている印刷ジョブと、バリアブル印刷が指定されていない通常の印刷ジョブとを画像形成装置が受信している場合、操作パネルには、バリアブル印刷が指定されている印刷ジョブの情報と通常の印刷ジョブの情報とが同様に表示され、ユーザは、印刷ジョブの一覧の中から、バリアブル印刷が指定されている印刷ジョブを識別することができない。バリアブル印刷が指定されている印刷ジョブの情報と通常の印刷ジョブの情報とが一覧表示される場合、バリアブル印刷が指定されている印刷ジョブの情報は、通常の印刷ジョブの情報と識別可能に表示されることが好ましい。
【0005】
なお、下記の特許文献1には、バリアブル印刷が指定されている印刷ジョブの一覧をレコード単位で表示する技術が開示されている。しかしながら、この技術は、バリアブル印刷が指定されている印刷ジョブの情報を表示するための技術に過ぎず、バリアブル印刷が指定されている印刷ジョブの情報と通常の印刷ジョブの情報とを一覧表示することについては考慮されていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2010−218306号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、上述した課題に鑑みてなされたものである。したがって、本発明の目的は、バリアブル印刷が指定されている印刷ジョブの情報とバリアブル印刷が指定されていない印刷ジョブの情報とを表示画面に一覧表示する際に、バリアブル印刷が指定されている印刷ジョブの情報をユーザが簡単に認識できるようにして、印刷ジョブがバリアブル印刷が指定されている印刷ジョブであるかバリアブル印刷が指定されていない印刷ジョブであるかを容易に判断可能にし、ユーザの利便性を向上させることができる印刷ジョブ表示プログラムおよび印刷ジョブ表示装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の上記目的は、下記の手段によって達成される。
【0009】
(1)印刷内容の一部を差し替えながら印刷するバリアブル印刷が指定されている印刷ジョブを認識する手順(a)と、前記手順(a)において認識された前記印刷ジョブの情報を所定の分類情報により分類して得られる複数のサブジョブに関する情報が下位階層の情報として付加された前記印刷ジョブに関する情報を、バリアブル印刷が指定されていない印刷ジョブに関する情報とともに表示画面に一覧表示する手順(b)と、をコンピュータに実行させる印刷ジョブ表示プログラム。
【0010】
(2)前記表示画面は、前記バリアブル印刷が指定されている印刷ジョブに関する情報とともに前記サブジョブに関する情報が表示される展開状態と、前記サブジョブに関する情報が表示されることなく前記バリアブル印刷が指定されている印刷ジョブに関する情報が表示される折畳み状態とが切り替え可能に構成されていることを特徴とする上記(1)に記載の印刷ジョブ表示プログラム。
【0011】
(3)前記サブジョブに関する情報には、前記サブジョブの状態を示す状態情報が含まれており、前記表示画面には、前記複数のサブジョブの各状態情報が一覧表示されることを特徴とする上記(1)または(2)に記載の印刷ジョブ表示プログラム。
【0012】
(4)前記サブジョブに関する情報には、前記サブジョブに対して設定されている印刷設定を示す印刷設定情報が含まれており、前記表示画面には、前記複数のサブジョブの各印刷設定情報が一覧表示されることを特徴とする上記(1)〜(3)のいずれか1つに記載の印刷ジョブ表示プログラム。
【0013】
(5)前記バリアブル印刷が指定されている印刷ジョブに関する情報には、前記サブジョブに関する情報に対応する情報が含まれており、前記表示画面には、前記バリアブル印刷が指定されている印刷ジョブの識別情報と対応付けて、前記サブジョブに関する情報に対応する前記情報が表示されることを特徴とする上記(1)〜(4)のいずれか1つに記載の印刷ジョブ表示プログラム。
【0014】
(6)前記サブジョブに関する情報の値が複数のサブジョブ間で異なる場合、前記バリアブル印刷が指定された印刷ジョブに関する情報には、前記サブジョブ間で異なる値のうちの少なくとも1つの値が含まれ、前記表示画面には、前記少なくとも1つの値が表示されることを特徴とする上記(5)に記載の印刷ジョブ表示プログラム。
【0015】
(7)前記バリアブル印刷が指定されている印刷ジョブに関する情報には、前記サブジョブに関する情報の値が前記複数のサブジョブ間で異なることをユーザに知らせるための情報が付加され、前記表示画面には、前記値が複数のサブジョブ間で異なることをユーザに知らせるための前記情報が表示されることを特徴とする上記(6)に記載の印刷ジョブ表示プログラム。
【0016】
(8)前記サブジョブに関する情報には、前記サブジョブの印刷ページ数を示す印刷ページ数情報が含まれ、かつ、前記バリアブル印刷が指定されている印刷ジョブに関する情報には、前記複数のサブジョブの印刷ページ数の合計を示す合計ページ数情報が含まれており、前記表示画面には、前記複数のサブジョブの各印刷ページ数情報が一覧表示され、かつ、前記バリアブル印刷が指定されている印刷ジョブの識別情報と対応付けて、前記合計ページ数情報が表示されることを特徴とする上記(1)〜(7)のいずれか1つに記載の印刷ジョブ表示プログラム。
【0017】
(9)前記サブジョブに関する情報が表示されることなく前記バリアブル印刷が指定されている印刷ジョブに関する情報が前記表示画面に表示されている場合、ユーザの操作に応じて、前記サブジョブに関する情報を別画面に表示する手順(c)をさらに前記コンピュータに実行させることを特徴とする上記(1)〜(8)のいずれか1つに記載の印刷ジョブ表示プログラム。
【0018】
(10)前記バリアブル印刷が指定されていない印刷ジョブに関する情報には、前記サブジョブに関する情報と同一の情報が含まれており、前記表示画面には、前記バリアブル印刷が指定されていない印刷ジョブの識別情報と対応付けて、前記同一の情報が表示されることを特徴とする上記(1)〜(9)のいずれか1つに記載の印刷ジョブ表示プログラム。
【0019】
(11)上記(1)〜(10)のいずれか1つに記載の印刷ジョブ表示プログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体。
【0020】
(12)印刷内容の一部を差し替えながら印刷するバリアブル印刷が指定されている印刷ジョブを認識する認識部と、前記認識部により認識された前記印刷ジョブの情報を所定の分類情報により分類して得られる複数のサブジョブに関する情報が下位階層の情報として付加された前記印刷ジョブに関する情報を、バリアブル印刷が指定されていない印刷ジョブに関する情報とともに表示画面に一覧表示する表示制御部と、を有することを特徴とする印刷ジョブ表示装置。
【0021】
(13)前記表示画面は、前記バリアブル印刷が指定されている印刷ジョブに関する情報とともに前記サブジョブに関する情報が表示される展開状態と、前記サブジョブに関する情報が表示されることなく前記バリアブル印刷が指定されている印刷ジョブに関する情報が表示される折畳み状態とが切り替え可能に構成されていることを特徴とする上記(12)に記載の印刷ジョブ表示装置。
【0022】
(14)前記サブジョブに関する情報には、前記サブジョブの状態を示す状態情報が含まれており、前記表示画面には、前記複数のサブジョブの各状態情報が一覧表示されることを特徴とする上記(12)または(13)に記載の印刷ジョブ表示装置。
【0023】
(15)前記サブジョブに関する情報には、前記サブジョブに対して設定されている印刷設定を示す印刷設定情報が含まれており、前記表示画面には、前記複数のサブジョブの各印刷設定情報が一覧表示されることを特徴とする上記(12)〜(14)のいずれか1つに記載の印刷ジョブ表示装置。
【0024】
(16)前記バリアブル印刷が指定されている印刷ジョブに関する情報には、前記サブジョブに関する情報に対応する情報が含まれており、前記表示画面には、前記バリアブル印刷が指定されている印刷ジョブの識別情報と対応付けて、前記サブジョブに関する情報に対応する前記情報が表示されることを特徴とする上記(12)〜(15)のいずれか1つに記載の印刷ジョブ表示装置。
【0025】
(17)前記サブジョブに関する情報の値が複数のサブジョブ間で異なる場合、前記バリアブル印刷が指定された印刷ジョブに関する情報には、前記サブジョブ間で異なる値のうちの少なくとも1つの値が含まれ、前記表示画面には、前記少なくとも1つの値が表示されることを特徴とする上記(16)に記載の印刷ジョブ表示装置。
【0026】
(18)前記バリアブル印刷が指定されている印刷ジョブに関する情報には、前記サブジョブに関する情報の値が前記複数のサブジョブ間で異なることをユーザに知らせるための情報が付加され、前記表示画面には、前記値が複数のサブジョブ間で異なることをユーザに知らせるための前記情報が表示されることを特徴とする上記(17)に記載の印刷ジョブ表示装置。
【0027】
(19)前記サブジョブに関する情報には、前記サブジョブの印刷ページ数を示す印刷ページ数情報が含まれ、かつ、前記バリアブル印刷が指定されている印刷ジョブに関する情報には、前記複数のサブジョブの印刷ページ数の合計を示す合計ページ数情報が含まれており、前記表示画面には、前記複数のサブジョブの各印刷ページ数情報が一覧表示され、かつ、前記バリアブル印刷が指定されている印刷ジョブの識別情報と対応付けて、前記合計ページ数情報が表示されることを特徴とする上記(12)〜(18)のいずれか1つに記載の印刷ジョブ表示装置。
【0028】
(20)前記サブジョブに関する情報が表示されることなく前記バリアブル印刷が指定されている印刷ジョブに関する情報が前記表示画面に表示されている場合、ユーザの操作に応じて、前記サブジョブに関する情報を別画面に表示する画面表示部をさらに有することを特徴とする上記(12)〜(19)のいずれか1つに記載の印刷ジョブ表示装置。
【0029】
(21)前記バリアブル印刷が指定されていない印刷ジョブに関する情報には、前記サブジョブに関する情報と同一の情報が含まれており、前記表示画面には、前記バリアブル印刷が指定されていない印刷ジョブの識別情報と対応付けて、前記同一の情報が表示されることを特徴とする上記(12)〜(20)のいずれか1つに記載の印刷ジョブ表示装置。
【発明の効果】
【0030】
本発明によれば、バリアブル印刷が指定されている印刷ジョブの情報が階層表示されるため、バリアブル印刷が指定されている印刷ジョブの情報とバリアブル印刷が指定されていない印刷ジョブの情報とを表示画面に一覧表示する際に、バリアブル印刷が指定されている印刷ジョブの情報をユーザが簡単に認識できるようになり、印刷ジョブがバリアブル印刷が指定されている印刷ジョブであるかバリアブル印刷が指定されていない印刷ジョブであるかを容易に判断することが可能になる。その結果、ユーザの利便性が向上する。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】本発明の一実施形態に係る印刷システムの全体構成を示すブロック図である。
【図2】図1に示されるPCの構成を示すブロック図である。
【図3】図1に示されるMFPの構成を示す概略正面図である。
【図4】図1に示されるMFPの構成を示すブロック図である。
【図5】バリアブル印刷用の印刷データの一例を示す図である。
【図6】印刷ジョブ一覧表示画面の一例を示す図である。
【図7】印刷ジョブ一覧表示画面の一例を示す図である。
【図8】印刷ジョブ一覧表示画面に表示されるバリアブル印刷ジョブの情報がすべて展開された状態を説明するための図である。
【図9】図8の部分拡大図である。
【図10】バリアブル印刷ジョブの下位階層情報に含まれる状態情報をポップアップ画面表示する場合の表示画面の一例を示す図である。
【図11】バリアブル印刷ジョブの下位階層情報を別画面表示する場合の表示画面の一例を示す図である。
【図12】MFPにより実行される印刷処理の手順を示すフローチャートである。
【図13】図12のステップS104,S107,S109に示されるジョブ一覧表示処理の手順を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0032】
以下、図面を参照して、本発明の実施形態を詳細に説明する。
【0033】
図1は、本発明の一実施形態に係る印刷システムの全体構成を示すブロック図である。
【0034】
本実施形態の印刷システムは、印刷ジョブ送信装置としてのPC(Personal Computer)100と、印刷ジョブ表示装置としてのMFP200とを備え、これらはネットワーク300を介して相互に通信可能に接続されている。
【0035】
ネットワーク300は、イーサネット(登録商標)、トークンリング、FDDI(Fiber Distributed Data Interface)等の規格によりコンピュータやネットワーク機器同士を接続したLAN(Local Area Network)や、LAN同士を専用線で接続したWAN(Wide Area Network)等からなる。なお、ネットワーク300に接続される機器の種類および台数は、図1に示す例に限定されない。また、PC100とMFP200とは、ネットワーク300を介することなく直接機器間で接続(ローカル接続)されていてもよい。
【0036】
図2は、図1に示されるPCの構成を示すブロック図である。PC100は、CPU(Central Processing Unit)101、メモリ102、HDD(Hard Disk Drive)103、ディスプレイ104、入力装置105、および通信I/F(Interface)部106を備えており、これらは信号をやり取りするためのバス107を介して相互に接続されている。
【0037】
CPU101は、プログラムにしたがって上記各部の制御や各種の演算処理を行う。メモリ102は、予め各種プログラムや各種データを格納しておくROM(Read Only Memory)、作業領域として一時的にプログラムやデータを記憶するRAM(Randam Access Memory)等からなる。
【0038】
HDD103は、オペレーティングシステムを含む各種プログラムや各種データを格納する。HDD103には、文書ファイルを作成するための文書ファイル作成アプリケーションと、文書ファイルをMFP200が解釈可能なページ記述言語(PDL)で記述された印刷データに変換するためのプリンタドライバとがインストールされている。文書ファイル作成アプリケーションには、バリアブル印刷用のアプリケーションが含まれる。
【0039】
ディスプレイ104は、たとえば、液晶ディスプレイであり、各種の情報を表示する。入力装置105は、マウス等のポインティングデバイスやキーボードを含み、各種の入力を行うために使用される。
【0040】
通信I/F部106は、ネットワーク300を介し他の機器と通信するためのインタフェースであり、イーサネット(登録商標)、トークンリング、FDDI等の規格が用いられる。
【0041】
図3は、図1に示されるMFPの構成を示す概略正面図であり、図4は、図1に示されるMFPの構成を示すブロック図である。
【0042】
MFP200は、制御部210、操作パネル部220、画像読取部230、給紙部240、画像形成部250、および後処理部260を備えており、これらは信号をやり取りするためのバスを介して相互に接続されている。なお、MFP200の上記各部のうち、PC100の上記各部と同様の機能を有する部分については、説明の重複を避けるためその説明を省略する。
【0043】
制御部210は、CPU201、メモリ202、HDD203、RIP部204、および通信I/F部205を有する。HDD203には、メモリ202に記憶されている印刷ジョブを一覧表示するためのプログラムが格納されている。
【0044】
RIP部204は、PC100からの印刷データを変換してビットマップ形式の画像データを生成する。
【0045】
操作パネル部220は、タッチパネル、テンキー、スタートボタン、ストップボタン等を備えており、各種情報の表示および各種指示の入力に使用される。
【0046】
画像読取部230は、所定の読み取り位置にセットされた原稿またはADF(Auto Document Feeder:自動原稿搬送装置)により所定の読み取り位置に搬送された原稿に蛍光ランプ等の光源で光を当て、その反射光をCCD(Charge Coupled Device)イメージセンサ等の撮像装置で光電変換して、その電気信号から画像データを生成する。
【0047】
給紙部240は、印刷に使用される記録媒体としての用紙を収容する。給紙部240は、複数の給紙トレイを有しており、給紙トレイに収容された用紙を1枚ずつ画像形成部250に送り出す。
【0048】
画像形成部250は、帯電、露光、現像、転写および定着の各工程を含む電子写真式プロセス等の周知の作像プロセスを用いて、各種データに基づく画像を用紙上に形成する。
【0049】
後処理部260は、画像形成部250により画像が形成された用紙を排出する。後処理部260は、複数の排紙トレイを有しており、画像が形成された用紙は所定の排紙トレイに排出される。また、後処理部260には、ステープル処理、パンチ処理、および無線綴じ処理等の後処理を施すための後処理装置(不図示)が設けられており、印刷設定に応じて、印刷済みの用紙に対して後処理を施すことができる。
【0050】
なお、PC100およびMFP200は、それぞれ、上記の構成要素以外の構成要素を含んでいてもよく、あるいは、上記の構成要素のうちの一部が含まれていなくてもよい。
【0051】
次に、図5を参照して、本実施形態の印刷システムにより実行されるバリアブル印刷について説明する。本実施形態のバリアブル印刷は、PDF/VT(Portable Document Format/Variable Transactional)を使用して実行される。バリアブル印刷は、たとえば、ダイレクトメールや顧客ごとにカスタマイズされたカタログの作成に使用される。
【0052】
図5は、バリアブル印刷用の印刷データの一例を示す図である。バリアブル印刷用の印刷データ400は、PDF/VTで規定されたデータ構造を有する。
【0053】
図5に示されるとおり、印刷データ400は、階層構造をなしている。階層構造のルートとしてドキュメント階層401が存在し、その中にメタデータが階層構造になって分類定義されて含まれている。
【0054】
具体的には、ルートであるドキュメント階層401の下に、カテゴリー411が存在し、その下に可変データ412と固定データ413とが存在する階層構造となっている。可変データ412には、それぞれどのような印刷形態で印刷するかを指定したジョブチケット414が付加されている。また、カテゴリーに含まれない固定データ415も、ドキュメント階層401の直下に存在している。
【0055】
カテゴリー411は、可変データを分類するためのデータである。カテゴリー411は、たとえば、郵便番号による分類、商品ごとの分類、顧客年齢ごとの分類であり、フレキシブルに定義される。より具体的には、たとえば、特定の月は特定の地域を中心にダイレクトメールを発行するために、郵便番号ごとのカテゴリー分けが実施され、他の月は、特定の商品の販売促進に注力するために、商品ごとのカテゴリー分けが実施される。そして、印刷の際は、カテゴリー411ごとに1つの印刷ジョブとしてMFP200に送信したり、複数のカテゴリー411をまとめて送信したりすることが可能である。
【0056】
可変データ412は、印刷ジョブにおいて差し替えられるデータである。可変データ412は、たとえば、顧客氏名、住所、郵便番号、年齢、年収等の個人情報が定義され、どの固定データを利用するか関連付けがなされている。また、可変データ412は、各ページのどの場所に各可変データを配置するか等の構成情報を含む。また、可変データ412には、そのデータをどのような印刷形態で印刷するかを指定したジョブチケット414が付加されている。具体的には、特定の顧客氏名に対するデータを印刷する際の、解像度、カラー印刷、後処理、および印刷ページ数等の情報が付加されている。
【0057】
固定データ413は、印刷ジョブにおいて再利用されるデータであり、フォームデータとも称される。固定データ413には、たとえば、商品写真データやバーコードデータが含まれる。また、固定データ413には、固定データが再利用されるか否か、再利用が複数のページに渡るか否か、または複数の印刷ジョブで利用されるか否か等を示すヒント情報が含まれる。固定データ413は、1つのカテゴリー411の中に複数定義され得る。
【0058】
カテゴリー411に分類されない固定データ415は、たとえば、複数のカテゴリー411をまたいで共通に利用されるデータ(イメージや語句等)である。
【0059】
次に、図6〜図11を参照して、MFP200の操作パネル部220に表示される印刷ジョブ一覧表示画面について説明する。
【0060】
図6および図7は、印刷ジョブ一覧表示画面の一例を示す図である。印刷ジョブ一覧表示画面500は、バリアブル印刷が指定されている印刷ジョブ(以下、バリアブル印刷ジョブと称する)の情報を階層構造化して、バリアブル印刷が指定されていない通常の印刷ジョブ(以下、通常ジョブと称する)の情報とともに一覧表示する。ユーザは、印刷ジョブ一覧表示画面500を通じて、印刷ジョブの実行を取り消したり、印刷ジョブの実行順序を変更したりすることができる。
【0061】
図6に示されるとおり、印刷ジョブ一覧表示画面500には、MFP200が受信している印刷ジョブの情報が一覧表示されている。一覧表示されている印刷ジョブは、MFP200のメモリ202に記憶されている。印刷ジョブの情報うち、バリアブル印刷ジョブの情報は、バリアブル印刷ジョブに関する情報である上位階層情報510と、バリアブル印刷ジョブの情報を可変データにより分類して得られる複数のサブジョブの情報からなる下位階層情報511とに階層構造化されている。バリアブル印刷ジョブの上位階層情報510は、通常ジョブの情報520,530,540と同一の階層に配置されている。
【0062】
本実施形態の印刷ジョブ一覧表示画面500では、後述する折畳み状態において、バリアブル印刷ジョブの上位階層情報510と通常ジョブの情報520,530,540とをユーザが識別可能なように、バリアブル印刷ジョブの上位階層情報510には、印刷ジョブがバリアブル印刷ジョブであることを示すアイコン571が付加されている。なお、本実施形態とは異なり、バリアブル印刷ジョブと通常ジョブとを区別するために、バリアブル印刷ジョブの上位階層情報が、通常ジョブの情報と異なる背景色で表示されてもよい。
【0063】
印刷ジョブ一覧表示画面500に表示される各印刷ジョブの情報510,520,530,540には、ジョブID情報、ジョブ名情報、プリント設定情報、および状態情報が含まれる。ジョブID情報は、印刷ジョブを識別するための情報であり、ジョブ名情報は、印刷ジョブの名称を示す情報である。プリント設定情報は、印刷ジョブの印刷設定を示す情報であり、状態情報は、印刷ジョブの状態を示す情報である。プリント設定情報および状態情報についての詳細な説明は後述する。
【0064】
図6では、ジョブID「100001」で示されるバリアブル印刷ジョブの情報は、「顧客氏名」により4つのサブジョブに分類されており、バリアブル印刷ジョブに関する情報である上位階層情報510と、4つのサブジョブの情報からなる下位階層情報511とに階層構造化されている。また、ジョブID「100001」で示されるバリアブル印刷ジョブの上位階層情報510は、ジョブID「100002」〜「100004」で示される通常ジョブの情報520〜540と、同一の階層に配置されている。
【0065】
また、図7に示されるとおり、本実施形態の印刷ジョブ一覧表示画面500では、バリアブル印刷ジョブの下位階層情報511を表示することなく上位階層情報510のみを表示することができる。印刷ジョブ一覧表示画面500は、バリアブル印刷ジョブの下位階層情報511が上位階層情報510とともに表示される展開状態と、下位階層情報511が表示されることなく上位階層情報510が表示される折畳み状態とが切り替え可能に構成されている。なお、図6では、「−」アイコン572を表示することにより、バリアブル印刷ジョブの情報が折畳み可能であることが示されており、図7では、「+」アイコン573を表示することにより、バリアブル印刷ジョブの情報が展開可能であることが示されている。
【0066】
図8は、印刷ジョブ一覧表示画面に表示されるバリアブル印刷ジョブの情報がすべて展開された状態を説明するための図であり、図9は、図8の部分拡大図である。
【0067】
上述したとおり、印刷ジョブ一覧表示画面500に表示されるバリアブル印刷ジョブの情報は、バリアブル印刷ジョブに関する情報である上位階層情報510,550,560と、複数のサブジョブの情報からなる下位階層情報511,551,561とに階層構造化されている。
【0068】
図8に示されるとおり、バリアブル印刷ジョブの下位階層情報511,551,561には、各サブジョブのID情報、可変データ情報、プリント設定情報、および状態情報が含まれる。ID情報は、サブジョブを識別するための情報であり、可変データ情報は、サブジョブの可変データを示す情報である。プリント設定情報は、サブジョブの印刷設定を示す情報であり、印刷データ400のジョブチケット414の情報に対応している。プリント設定情報には、後処理の内容を示す後処理情報、印刷ページ数を示すページ数情報、カラー印刷を示すカラー情報等の情報が含まれる。状態情報は、サブジョブの状態を示す情報であり、プリント設定情報とMFP200の消耗品の状況により定まる。状態情報には、「Ready」、「Warning」、および「No Staple」等の値が含まれる。そして、バリアブル印刷ジョブの上位階層情報510,550,560には、下位階層情報511,551,561に対応する情報が含まれる。
【0069】
図8において、ジョブID「100006」で示されるバリアブル印刷ジョブの下位階層情報561に含まれるプリント設定情報を参照すれば、各サブジョブには、ステープル処理(Staple)およびカラー印刷が指定されていることが分かる。また、4つのサブジョブのうち、ジョブID「001」、「002」、および「004」のジョブについては、印刷ページ数が200ページであり、ジョブID「003」のジョブについては、印刷ページ数が100ページであることが分かる。なお、バリアブル印刷におけるこのようなページ数の違いは、利用される固定データの違いや、指定されるページ割付方法の違いに起因する。また、各サブジョブの状態情報を参照すれば、MFP200においてステープル針が切れておりサブジョブを実行できないことを示す情報「No Staple」が表示されていることが分かる。
【0070】
そして、ジョブID「100006」で示されるバリアブル印刷ジョブの上位階層情報560には、ステープル処理およびカラー印刷が指定されていることを示す情報、ならびに各サブジョブの印刷ページ数の合計数を示す情報が含まれる。また、上位階層情報560には、ステープル針が切れておりサブジョブを実行できないこと示す情報「No Staple」が含まれる。
【0071】
また、図8において、ジョブID「100005」で示されるバリアブル印刷ジョブの下位階層情報551に含まれるプリント設定情報を参照すれば、ジョブID「001」、「002」、および「004」のサブジョブについては、無線綴じ処理(PB:Perfect Binding)が指定されており、ジョブID「003」のサブジョブについては、パンチ処理(Punch)が指定されていることが分かる。また、状態情報を参照すれば、ジョブID「001」、「002」、および「004」のサブジョブについては、問題なく無線綴じ処理を行うことができることを示す情報「Ready」が表示され、ジョブID「003」のサブジョブについては、MFP200中のパンチ屑が満杯に近くパンチ処理を実施できない可能性があることを示す情報「Warning」が表示されていることが分かる。
【0072】
そして、ジョブID「100005」で示されるバリアブル印刷ジョブの上位階層情報550には、「Punch]と「PB」の両方が含まれる。図9(A)に示されるとおり、印刷ジョブ一覧表示画面500には、「Punch]と「PB」とが交互に表示される。また、上位階層情報550には、「Warning」と「Ready」のうち優先順位の高い「Warning」が含まれ、印刷ジョブ一覧表示画面500には、「Warning」が表示される。そして、下位階層情報551が表示されていない状態でも、サブジョブの状態情報に「Warning」以外の値(すなわち、「Ready」)が含まれていることをユーザが認識できるように、「Warning」の背景色が変更される。
【0073】
なお、本実施形態とは異なり、図9(B)に示されるとおり、「Punch」と「PB」とがオートスクロール表示されてもよく、「Warning」が点滅表示されてもよい。あるいは、「Warning」の背景色や表示方法を変更することなく、専用のアイコンが表示されてもよい。
【0074】
また、印刷ジョブ一覧表示画面500に表示される情報も上述した実施形態に限定されるものではなく、RIP処理済みのページ数を示すRIP済みページ数情報や、入力トレイ、出力トレイ等の情報が表示されてもよい。バリアブル印刷ジョブの下位階層情報にRIP済みページ数情報が含まれる場合、上位階層情報には、RIP済みページ数の合計を示す情報が含まれ得る。
【0075】
同様に、表示方法も上述した実施形態に限定されるものではなく、たとえば、サブジョブの情報の値がサブジョブ間で異なる場合には、たとえば、後処理が複数存在することを示す「…」が表示されてもよく、優先度の高い「Warning」の代わりに、複数の値がオートスクロール表示されてもよい。
【0076】
図10は、バリアブル印刷ジョブの下位階層情報に含まれる状態情報をポップアップ画面表示する場合の表示画面の一例を示す図である。
【0077】
図10に示されるとおり、本実施形態の印刷ジョブ一覧表示画面500では、下位階層情報が表示されていない状態で、バリアブル印刷ジョブの上位階層情報550の状態情報上にカーソル580が移動された場合、状態情報表示画面600がポップアップ表示される。状態情報表示画面600には、サブジョブに指定されている後処理の内容と対応する状態情報とが表示される。このような構成によれば、ユーザは、下位階層情報を表示させることなく、サブジョブの状態情報を把握することができる。
【0078】
図11は、バリアブル印刷ジョブの下位階層情報を別画面表示する場合の表示画面の一例を示す図である。本実施形態の印刷ジョブ一覧表示画面500では、カーソルによりバリアブル印刷ジョブが指定された状態で、ダブルクリック等の入力があれば、サブジョブ情報表示画面700が表示される。サブジョブ情報表示画面700には、バリアブル印刷ジョブの下位階層情報551が表示される。
【0079】
次に、図12および図13を参照して、印刷ジョブ一覧表示画面500を操作パネル部220に表示するMFP200の動作について説明する。
【0080】
図12は、MFPにより実行される印刷処理の手順を示すフローチャートである。なお、図12のフローチャートにより示されるアルゴリズムは、MFP200のHDD203にプログラムとして記憶されており、CPU201によって実行される。
【0081】
まず、印刷ジョブが受信されたか否かが判断される(ステップS101)。本実施形態では、ネットワーク300上のPCから印刷ジョブが受信されたか否かが判断される。印刷ジョブが受信されていないと判断される場合(ステップS101:NO)、印刷ジョブが受信されるまで待機する。
【0082】
一方、印刷ジョブが受信されたと判断される場合(ステップS101:YES)、印刷ジョブがバリアブル印刷ジョブであるか否かが判断される(ステップS102)。本実施形態では、ステップS101に示す処理で受信されたことが認識された印刷ジョブの印刷データが、バリアブル印刷データであるか否かが判断される。
【0083】
印刷ジョブがバリアブル印刷ジョブでないと判断される場合(ステップS102:NO)、印刷ジョブが通常ジョブであるとして、ジョブ情報が解析される(ステップS103)。本実施形態では、通常ジョブに基づく通常の印刷処理を行なうために、ステップS101に示す処理で受信されたことが認識された印刷ジョブの情報が解析される。
【0084】
続いて、ジョブ一覧表示処理が実行される(ステップS104)。本実施形態では、MFP200が受信している印刷ジョブを一覧表示するジョブ一覧表示処理が実行される。ジョブ一覧表示処理が実行されることにより、図6に示される印刷ジョブ一覧表示画面500が操作パネル部220に表示される。ステップS104に示されるジョブ一覧表示処理についての詳細な説明は後述する。
【0085】
続いて、画像データが生成される(ステップS105)。本実施形態では、印刷処理を行うために、ステップS103に示す処理において解析されたジョブ情報に基づいて、ビットマップ形式の画像データが生成される。ビットマップ形式の画像データは、画像形成部250に送信される。
【0086】
一方、ステップS102に示す処理において印刷ジョブがバリアブル印刷ジョブであると判断される場合(ステップS102:YES)、可変データごとにジョブ情報が解析される(ステップS106)。本実施形態では、バリアブル印刷ジョブに基づくバリアブル印刷処理を行うために、ステップS101に示す処理で受信されたことが認識された印刷ジョブの情報が可変データ単位で解析される。
【0087】
続いて、ジョブ一覧表示処理が実行される(ステップS107)。ジョブ一覧表示処理が実行されることにより、図6に示される印刷ジョブ一覧表示画面500が操作パネル部220に表示される。
【0088】
続いて、可変データごとに画像データが生成される(ステップS108)。本実施形態では、バリアブル印刷処理を行うために、ステップS106に示す処理において解析されたジョブ情報に基づいて、ビットマップ形式の画像データが可変データ単位で生成される。ビットマップ形式の画像データは、画像形成部250に送信される。画像形成部250では、可変データ単位でバリアブル印刷が実行される。
【0089】
そして、ジョブ一覧表示処理が実行される(ステップS109)。ジョブ一覧表示処理が再び実行されることにより、印刷ジョブ一覧表示画面500が更新され、印刷ジョブの進行状況が反映される。具体的には、たとえば、実行が完了した印刷ジョブの情報が印刷ジョブ一覧表示画面500から削除される。あるいは、バリアブル印刷ジョブのサブジョブが完了した場合には、該当するサブジョブの状態情報が「Complete」に変更される。
【0090】
以上のとおり、図12に示されるフローチャートの処理によれば、印刷ジョブが受信された場合、印刷ジョブが実行されるとともに、MFP200が受信している印刷ジョブの一覧を示す印刷ジョブ一覧表示画面500が操作パネル部220に表示される。そして、印刷ジョブの実行に伴って、印刷ジョブ一覧表示画面500が更新される。
【0091】
なお、本実施形態では、印刷ジョブ一覧表示画面500は、ジョブ情報解析処理後および画像データ生成処理後に更新される。しかしながら、本実施形態とは異なり、印刷ジョブのインポート/編集/削除/選択時や、印刷状況や画像形成部250の状態の変化により印刷ジョブ一覧表示画面500の表示内容を変更する必要が生じた場合に、印刷ジョブ一覧表示画面500が更新されてもよい。
【0092】
図13は、図12のステップS104,S107,S109に示されるジョブ一覧表示処理の手順を示すフローチャートである。
【0093】
まず、1つの印刷ジョブが抽出される(ステップS201)。本実施形態では、メモリ202に格納されている複数の印刷ジョブの中から、解析対象の印刷ジョブとして1つの印刷ジョブが抽出される。
【0094】
続いて、印刷ジョブがバリアブル印刷ジョブであるか否かが判断される(ステップS202)。印刷ジョブがバリアブル印刷ジョブであると判断される場合(ステップS202:YES)、ステップS206の処理に移行する。
【0095】
一方、印刷ジョブがバリアブル印刷ジョブでないと判断される場合(ステップS202:NO)、印刷ジョブは通常ジョブであるとして、ジョブの表示方法が通常表示に設定される(ステップS203)。ジョブの表示方法が通常表示に設定されることにより、印刷ジョブ一覧表示画面500上で、通常ジョブがバリアブル印刷ジョブと区別して表示されるようになる。
【0096】
続いて、ジョブ情報が解析される(ステップS204)。本実施形態では、表示情報を生成するために、ステップS201に示す処理で抽出された印刷ジョブの情報が解析される。なお、ステップS204に示されるジョブ情報解析処理は省略され得る。この場合、図12のステップS103に示されるジョブ情報解析処理の解析結果が利用される。
【0097】
そして、表示データが設定され(ステップS205)、ステップS214の処理に移行する。本実施形態では、ステップS204に示す処理において解析されたジョブ情報に基づいて、表示情報用のデータが設定される。表示情報には、たとえば、ジョブID情報、ジョブ名情報、プリント設定情報、および状態情報が含まれる。
【0098】
一方、ステップS202に示す処理において印刷ジョブがバリアブル印刷ジョブであると判断される場合(ステップS202:YES)、ジョブの表示方法が階層表示に設定される(ステップS206)。ジョブの表示方法が階層表示に設定されることにより、印刷ジョブ一覧表示画面500上で、バリアブル印刷ジョブが通常ジョブと区別して表示されるようになる。
【0099】
続いて、可変データごとにジョブ情報が解析される(ステップS207)。本実施形態では、バリアブル印刷ジョブを階層表示するために、印刷ジョブの情報が可変データ単位で解析される。なお、ステップS207に示されるジョブ情報解析処理は省略され得る。この場合、図12のステップS106に示されるジョブ情報解析処理の解析結果が利用される。
【0100】
続いて、最上位階層の表示データが設定される(ステップS208)。本実施形態では、ステップS207に示す処理において解析されたジョブ情報に基づいて、通常ジョブの情報と同一の階層に配置されるバリアブル印刷ジョブの上位階層の表示情報用のデータが設定される。表示情報には、たとえば、ジョブID情報およびジョブ名情報が含まれる。また、表示情報には、下位階層情報に含まれるプリント設定情報、印刷ページ数情報、および状態情報に対応する情報が含まれる。
【0101】
続いて、下位階層があるか否かが判断される(ステップS209)。下位階層がないと判断される場合(ステップS209:NO)、ステップS214の処理に移行する。
【0102】
一方、下位階層があると判断される場合(ステップS209:YES)、下位階層を表示するか否かが判断される(ステップS210)。本実施形態では、予め設定された情報に基づいて、下位階層情報を上位階層情報とともに表示するか、または、下位階層情報を表示することなく上位階層情報を表示するかが判断される。
【0103】
下位階層を表示しないと判断される場合(ステップS210:NO)、上位階層に「下位階層展開なし」が設定され(ステップS211)、ステップS209の処理に戻る。本実施形態では、「+」アイコンを上位階層に表示するとともに下位階層を折畳んで表示するように、「下位階層展開なし」が設定される。
【0104】
一方、下位階層を表示すると判断される場合(ステップS210:YES)、上位階層に「下位階層展開あり」が設定される(ステップS212)。本実施形態では、「−」アイコンを上位階層に表示するとともに下位階層を表示するように、「下位階層展開あり」が設定される。
【0105】
そして、下位階層の表示データが設定され(ステップS213)、ステップS209の処理に戻る。表示情報には、たとえば、各サブジョブのID情報、可変データ情報、プリント設定情報、印刷ページ数情報、および状態情報が含まれる。
【0106】
一方、ステップS209に示す処理において、下位階層がないと判断される場合(ステップS209:NO)、すべての印刷ジョブの抽出が終了したか否かが判断される(ステップS214)。本実施形態では、MFP200のメモリ202に格納されている印刷ジョブがすべて抽出されたか否かが判断される。
【0107】
すべての印刷ジョブが抽出されていないと判断される場合(ステップS214:NO)、ステップS201の処理に戻る。その結果、すべての印刷ジョブが抽出されるまで、ステップS201以下の処理が繰り返される。
【0108】
一方、すべての印刷ジョブが抽出されたと判断される場合(ステップS214:YES)、表示内容が更新され(ステップS215)、処理が終了される。その結果、図6に示される印刷ジョブ一覧表示画面500が表示される。
【0109】
以上のとおり、図13に示されるフローチャートの処理によれば、バリアブル印刷ジョブの情報が階層構造化され、通常ジョブの情報とともに一覧表示される。
【0110】
このような構成によれば、バリアブル印刷ジョブの情報と通常ジョブの情報とを印刷ジョブ一覧表示画面500に一覧表示する際に、バリアブル印刷ジョブの情報をユーザが簡単に認識できるようなる。
【0111】
また、本実施形態の印刷ジョブ一覧表示画面500によれば、複数のジョブチケット設定を有するバリアブル印刷ジョブが分かりやすく表示されるため、印刷ジョブ全体の状況把握および管理をユーザが容易に行うことが可能になる。その結果、ユーザの利便性が向上する。
【0112】
本発明は、上述した実施形態のみに限定されるものではなく、特許請求の範囲内において、種々改変することができる。
【0113】
たとえば、上述した実施形態では、バリアブル印刷ジョブの情報は、可変データにより分類された。しかしながら、バリアブル印刷ジョブの情報は、可変データのジョブチケット設定により分類されてもよい。また、バリアブル印刷ジョブの情報は、3つ以上の階層構造とされてもよい。たとえば、ジョブチケット設定により分類されたバリアブル印刷ジョブの情報が、可変データによりさらに分類され、3段階の階層表示が行われ得る。
【0114】
また、上述した実施形態では、本発明の印刷ジョブ表示装置がMFPに適用される場合を例に挙げて説明した。しかしながら、本発明の印刷ジョブ表示装置は、プリンタと分離されたプリンタコントローラに適用されてもよく、プリンタコントローラ内蔵型のプリンタに適用されてもよい。あるいは、本発明の印刷ジョブ表示装置は、MFPとネットワークを介して接続されたPCに適用されてもよい。
【0115】
本実施形態にかかる印刷ジョブ表示装置における各種処理を行う手段および方法は、専用のハードウエア回路、またはプログラムされたコンピュータのいずれによっても実現することが可能である。上記プログラムは、たとえば、フレキシブルディスクおよびCD−ROM等のコンピュータ読み取り可能な記録媒体によって提供されてもよいし、インターネット等のネットワークを介してオンラインで提供されてもよい。この場合、コンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録されたプログラムは、通常、ハードディスク等の記憶部に転送され記憶される。また、上記プログラムは、単独のアプリケーションソフトとして提供されてもよいし、印刷ジョブ表示装置の一機能としてその装置のソフトウエアに組み込まれてもよい。
【符号の説明】
【0116】
100 PC、
101,201 CPU、
102,202 メモリ、
103,203 HDD、
104 ディスプレイ、
105 入力装置、
106,205 通信I/F部、
107 バス、
200 MFP、
204 RIP部、
210 制御部、
220 操作パネル部、
230 画像読取部、
240 給紙部、
250 画像形成部、
260 後処理部、
300 ネットワーク、
400 印刷データ、
500 印刷ジョブ一覧表示画面、
600 状態情報表示画面、
700 サブジョブ情報表示画面。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
印刷内容の一部を差し替えながら印刷するバリアブル印刷が指定されている印刷ジョブを認識する手順(a)と、
前記手順(a)において認識された前記印刷ジョブの情報を所定の分類情報により分類して得られる複数のサブジョブに関する情報が下位階層の情報として付加された前記印刷ジョブに関する情報を、バリアブル印刷が指定されていない印刷ジョブに関する情報とともに表示画面に一覧表示する手順(b)と、
をコンピュータに実行させる印刷ジョブ表示プログラム。
【請求項2】
前記表示画面は、前記バリアブル印刷が指定されている印刷ジョブに関する情報とともに前記サブジョブに関する情報が表示される展開状態と、前記サブジョブに関する情報が表示されることなく前記バリアブル印刷が指定されている印刷ジョブに関する情報が表示される折畳み状態とが切り替え可能に構成されていることを特徴とする請求項1に記載の印刷ジョブ表示プログラム。
【請求項3】
前記サブジョブに関する情報には、前記サブジョブの状態を示す状態情報が含まれており、
前記表示画面には、前記複数のサブジョブの各状態情報が一覧表示されることを特徴とする請求項1または2に記載の印刷ジョブ表示プログラム。
【請求項4】
前記サブジョブに関する情報には、前記サブジョブに対して設定されている印刷設定を示す印刷設定情報が含まれており、
前記表示画面には、前記複数のサブジョブの各印刷設定情報が一覧表示されることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の印刷ジョブ表示プログラム。
【請求項5】
前記バリアブル印刷が指定されている印刷ジョブに関する情報には、前記サブジョブに関する情報に対応する情報が含まれており、
前記表示画面には、前記バリアブル印刷が指定されている印刷ジョブの識別情報と対応付けて、前記サブジョブに関する情報に対応する前記情報が表示されることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の印刷ジョブ表示プログラム。
【請求項6】
前記サブジョブに関する情報の値が複数のサブジョブ間で異なる場合、前記バリアブル印刷が指定された印刷ジョブに関する情報には、前記サブジョブ間で異なる値のうちの少なくとも1つの値が含まれ、
前記表示画面には、前記少なくとも1つの値が表示されることを特徴とする請求項5に記載の印刷ジョブ表示プログラム。
【請求項7】
前記バリアブル印刷が指定されている印刷ジョブに関する情報には、前記サブジョブに関する情報の値が前記複数のサブジョブ間で異なることをユーザに知らせるための情報が付加され、
前記表示画面には、前記値が複数のサブジョブ間で異なることをユーザに知らせるための前記情報が表示されることを特徴とする請求項6に記載の印刷ジョブ表示プログラム。
【請求項8】
前記サブジョブに関する情報には、前記サブジョブの印刷ページ数を示す印刷ページ数情報が含まれ、かつ、前記バリアブル印刷が指定されている印刷ジョブに関する情報には、前記複数のサブジョブの印刷ページ数の合計を示す合計ページ数情報が含まれており、
前記表示画面には、前記複数のサブジョブの各印刷ページ数情報が一覧表示され、かつ、前記バリアブル印刷が指定されている印刷ジョブの識別情報と対応付けて、前記合計ページ数情報が表示されることを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載の印刷ジョブ表示プログラム。
【請求項9】
前記サブジョブに関する情報が表示されることなく前記バリアブル印刷が指定されている印刷ジョブに関する情報が前記表示画面に表示されている場合、ユーザの操作に応じて、前記サブジョブに関する情報を別画面に表示する手順(c)をさらに前記コンピュータに実行させることを特徴とする請求項1〜8のいずれか1項に記載の印刷ジョブ表示プログラム。
【請求項10】
前記バリアブル印刷が指定されていない印刷ジョブに関する情報には、前記サブジョブに関する情報と同一の情報が含まれており、
前記表示画面には、前記バリアブル印刷が指定されていない印刷ジョブの識別情報と対応付けて、前記同一の情報が表示されることを特徴とする請求項1〜9のいずれか1項に記載の印刷ジョブ表示プログラム。
【請求項11】
請求項1〜10のいずれか1項に記載の印刷ジョブ表示プログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体。
【請求項12】
印刷内容の一部を差し替えながら印刷するバリアブル印刷が指定されている印刷ジョブを認識する認識部と、
前記認識部により認識された前記印刷ジョブの情報を所定の分類情報により分類して得られる複数のサブジョブに関する情報が下位階層の情報として付加された前記印刷ジョブに関する情報を、バリアブル印刷が指定されていない印刷ジョブに関する情報とともに表示画面に一覧表示する表示制御部と、
を有することを特徴とする印刷ジョブ表示装置。
【請求項13】
前記表示画面は、前記バリアブル印刷が指定されている印刷ジョブに関する情報とともに前記サブジョブに関する情報が表示される展開状態と、前記サブジョブに関する情報が表示されることなく前記バリアブル印刷が指定されている印刷ジョブに関する情報が表示される折畳み状態とが切り替え可能に構成されていることを特徴とする請求項12に記載の印刷ジョブ表示装置。
【請求項14】
前記サブジョブに関する情報には、前記サブジョブの状態を示す状態情報が含まれており、
前記表示画面には、前記複数のサブジョブの各状態情報が一覧表示されることを特徴とする請求項12または13に記載の印刷ジョブ表示装置。
【請求項15】
前記サブジョブに関する情報には、前記サブジョブに対して設定されている印刷設定を示す印刷設定情報が含まれており、
前記表示画面には、前記複数のサブジョブの各印刷設定情報が一覧表示されることを特徴とする請求項12〜14のいずれか1項に記載の印刷ジョブ表示装置。
【請求項16】
前記バリアブル印刷が指定されている印刷ジョブに関する情報には、前記サブジョブに関する情報に対応する情報が含まれており、
前記表示画面には、前記バリアブル印刷が指定されている印刷ジョブの識別情報と対応付けて、前記サブジョブに関する情報に対応する前記情報が表示されることを特徴とする請求項12〜15のいずれか1項に記載の印刷ジョブ表示装置。
【請求項17】
前記サブジョブに関する情報の値が複数のサブジョブ間で異なる場合、前記バリアブル印刷が指定された印刷ジョブに関する情報には、前記サブジョブ間で異なる値のうちの少なくとも1つの値が含まれ、
前記表示画面には、前記少なくとも1つの値が表示されることを特徴とする請求項16に記載の印刷ジョブ表示装置。
【請求項18】
前記バリアブル印刷が指定されている印刷ジョブに関する情報には、前記サブジョブに関する情報の値が前記複数のサブジョブ間で異なることをユーザに知らせるための情報が付加され、
前記表示画面には、前記値が複数のサブジョブ間で異なることをユーザに知らせるための前記情報が表示されることを特徴とする請求項17に記載の印刷ジョブ表示装置。
【請求項19】
前記サブジョブに関する情報には、前記サブジョブの印刷ページ数を示す印刷ページ数情報が含まれ、かつ、前記バリアブル印刷が指定されている印刷ジョブに関する情報には、前記複数のサブジョブの印刷ページ数の合計を示す合計ページ数情報が含まれており、
前記表示画面には、前記複数のサブジョブの各印刷ページ数情報が一覧表示され、かつ、前記バリアブル印刷が指定されている印刷ジョブの識別情報と対応付けて、前記合計ページ数情報が表示されることを特徴とする請求項12〜18のいずれか1項に記載の印刷ジョブ表示装置。
【請求項20】
前記サブジョブに関する情報が表示されることなく前記バリアブル印刷が指定されている印刷ジョブに関する情報が前記表示画面に表示されている場合、ユーザの操作に応じて、前記サブジョブに関する情報を別画面に表示する画面表示部をさらに有することを特徴とする請求項12〜19のいずれか1項に記載の印刷ジョブ表示装置。
【請求項21】
前記バリアブル印刷が指定されていない印刷ジョブに関する情報には、前記サブジョブに関する情報と同一の情報が含まれており、
前記表示画面には、前記バリアブル印刷が指定されていない印刷ジョブの識別情報と対応付けて、前記同一の情報が表示されることを特徴とする請求項12〜20のいずれか1項に記載の印刷ジョブ表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図12】
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【図13】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2012−252510(P2012−252510A)
【公開日】平成24年12月20日(2012.12.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−124485(P2011−124485)
【出願日】平成23年6月2日(2011.6.2)
【出願人】(303000372)コニカミノルタビジネステクノロジーズ株式会社 (12,802)
【Fターム(参考)】