説明

印刷データ保存サーバ、プログラム及び記憶媒体

【課題】 承認情報にしたがって、印刷データのオーナーと、操作を行うユーザとの関係により、アクセスを制御する帳票印刷システムにおいて、帳票印刷システムが提供するAPIをコールするアプリケーションを作成することなく、印刷を実行したユーザをオーナーに設定して、印刷データを保存することを可能にする。
【解決手段】 印刷データ保存サーバは、代理認証を行う代理認証ユーザ名とパスワードを保持する代理認証ユーザ情報保持する。印刷データ保存サーバは、印刷を実行したユーザの情報を取得し、代理認証ユーザ情報を用いてユーザ情報が示すユーザの代理認証を行う。印刷データ保存サーバは、代理認証によって取得した認証情報を印刷データに関連付けて保存する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アプリケーションが印刷を実行したことにより生成される印刷データを保存し、認証されたユーザからのリクエストに対して、承認された処理を印刷データに対して実行する印刷データ保存サーバ、プログラム及び記憶媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、帳票等のように予め作成された出力フォームに対して、可変データ部分を記述する後付けデータをマージし、これを印刷する帳票印刷システムが知られている。また、出力フォームと可変データ部分をマージして作成した帳票データを保存・管理するような帳票保存サーバが提案されている。帳票保存サーバに保存された帳票データの一覧をクライアント端末上のUI(ユーザインタフェース)に表示し、ユーザが選択して印刷を実行する。それによって、帳票システムで管理するプリンタに対して、両面指定や給紙カセット指定など任意の印刷属性を付加して印刷を行うことができる。
【0003】
帳票保存サーバで管理するリソース(帳票データやプリンタなど)に対しては、アクセス権を設定することができる。クライアント端末からの帳票一覧の取得要求や印刷要求に対しては、リクエストを行ったユーザに許可された権限にしたがって、リクエストが許可、あるいは、拒否される。
【0004】
保存された帳票データに対する操作がユーザに許可されるかどうかは、帳票保存サーバが保持する承認情報にしたがって、帳票データを登録したユーザ(帳票データのオーナー)と操作を行うユーザとの関係によって決まる。例えば、帳票データを登録したユーザと印刷を実行するユーザが同じグループに所属する場合、他のユーザが登録した帳票データであっても、印刷の実行を許可するといった設定が可能である。
【0005】
また最近では、新たに帳票印刷システムを導入したユーザにおいても、帳票フォームなどの過去の蓄積された資産があるため、すべての帳票システムを置き換えられずに、もともとあったレガシーな帳票システムと共存しなければならないケースがある。そのため、既存の帳票システムで作成する帳票データを、新しく導入する帳票システムで一括して保存・管理することができるような帳票印刷システムも提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0006】
このような帳票印刷システムでは、OS(オペレーティングシステム)が提供する印刷用のAPI(アプリケーションプログラミングインタフェース)を使用して、アプリケーションから印刷を行う。帳票印刷システムは、OSのスプーラを介して、印刷データを受取り、帳票保存サーバに帳票データとして保存する。保存された帳票データに対して、前述したようなアクセス制御を行うためには、帳票データのオーナーを設定する必要がある。
【0007】
OSのスプーラを介して、印刷データを受取った帳票データに対するアクセス制御を行う方法として、次のような方法が提案されている。印刷を実行したユーザ名を印刷データに関連付けて保存し、印刷を実行したユーザにのみ、保存された印刷データへのアクセスを許可する(例えば、特許文献2参照)。
【0008】
あるいは、印刷処理を行うアプリケーション及び/又はドキュメントに関連する情報に基づいてユーザ認証を行い、認証されたユーザを帳票データのオーナーを設定する方法が提案されている(例えば、特許文献3参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2007−323207号公報
【特許文献2】特開2006−099714号公報
【特許文献3】特開2002−236577号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、特許文献1に記載の帳票印刷システムにおいては、帳票データを登録したユーザ(帳票データのオーナー)を設定するためには、帳票印刷システムが提供するAPIをコールするアプリケーションを作成する必要があった。
【0011】
特許文献2に記載の方法を用いてアクセス制御を行った場合、保存された帳票データへのアクセスは、帳票データを登録したユーザにのみ許可される。そのため、例えば、帳票データを登録したユーザと印刷を実行するユーザが同じグループに所属する場合、他のユーザが登録した帳票データであっても、印刷の実行を許可するといった設定ができなかった。
【0012】
特許文献3に記載の方法を用いてアクセス制御を行った場合、印刷処理を行うアプリケーション及び/又はドキュメントに関連する情報に基づいて帳票データのオーナーを設定する。そのため、帳票データの登録を行ったユーザが、帳票データのオーナーに設定されるとは限らない。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記課題を解決するために、本発明に係る印刷データ保存サーバは、
アプリケーションが印刷を実行したことにより生成される印刷データを保存し、認証されたユーザからのリクエストに対して、承認された処理を印刷データに対して実行する印刷データ保存サーバであって、前記印刷データ保存サーバは、代理認証を行う代理認証ユーザ名とパスワードを保持する代理認証ユーザ情報保持手段と、印刷を実行したユーザの情報を取得するユーザ情報取得手段と、前記代理認証ユーザ情報を用いて前記ユーザ情報が示すユーザの代理認証を行う代理認証手段と、前記代理認証手段で取得した認証情報を印刷データに関連付けて保存する印刷データ保存手段を備える。
【発明の効果】
【0014】
帳票印刷システムが提供するAPIをコールするアプリケーションを作成することなく、印刷を実行したユーザをオーナーに設定して、印刷データを保存することができる。オーナーが設定された印刷データは、承認情報にしたがって、印刷データのオーナーと操作を行うユーザとの関係により、アクセスを制御することができる。印刷を行ったユーザの情報に基づいて、帳票印刷システムに対して認証を行うので、帳票データを登録したユーザと印刷を実行するユーザが同じグループに所属する場合、印刷の実行を許可するといったアクセス制御が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の実施の形態に係る帳票印刷システムの全体構成を示す図である。
【図2】本発明の実施の形態に係る帳票印刷システムの帳票保存サーバ、クライアント端末、及び印刷装置の基本的なハードウェア構成を示すブロック図である。
【図3】本発明の実施の形態に係る帳票印刷システムの帳票保存サーバの詳細な構成を示した図である。
【図4】本発明の前提となる先行技術において、既存の帳票システムから印刷を実行し、帳票データとして保存されるまでの処理の流れを示した図である。
【図5】本発明の前提となる先行技術において、既存の帳票システムから印刷を実行し、帳票データとして保存されるまでの処理の流れを示したフローチャートである。
【図6】本発明の前提となる先行技術において、認証サーバが返す認証情報の例を示した図である。
【図7】本発明の前提となる先行技術において、既存の帳票システムから印刷を実行し、帳票データとして保存されるまでの処理の流れを示したフローチャートである。
【図8】本発明の前提となる先行技術において、印刷ジョブ情報と認証情報から、保存管理情報に含まれる帳票情報が作成される過程を示した図である。
【図9】本発明の前提となる先行技術における保存管理情報のデータ構造を示す図である。
【図10】本発明の実施の形態に係る帳票印刷システムにおいて、の保存管理情報のデータ構造を示した図である。
【図11】本発明の実施の形態に係る帳票印刷システムにおいて、既存の帳票システムから印刷を実行し、帳票データとして保存されるまでの処理の流れを示した図である。
【図12】本発明の実施の形態に係る帳票印刷システムにおける代理認証ユーザ情報のデータ構造を示した図である。
【図13】本発明の実施の形態に係る帳票印刷システムにおけるユーザマッピングテーブルのデータ構造を示した図である。
【図14】本発明の実施の形態に係る帳票印刷システムにおいて、クライアント端末が帳票保存サーバに保存された帳票データの一覧を表示する処理の流れを示した図である。
【図15】本発明の実施の形態に係る帳票印刷システムにおいて、帳票保存サーバが帳票情報の一覧をクライアント端末に返すまでの処理の流れを示すフローチャートである。
【図16】本発明の実施の形態に係る帳票印刷システムにおけるのデータ構造を示した図である。
【図17】発明の実施の形態に係る帳票印刷システムにおいて、クライアント端末のUIに表示される帳票一覧の例を示す図である。
【図18】本発明の実施の形態に係る帳票印刷システムにおいて、クライアント端末からの指示によって、帳票保存サーバに保存された帳票データを印刷する処理の流れを示した図である。
【図19】本発明の実施の形態に係る帳票印刷システムにおいて、クライアント端末からの指示を受けて、帳票保存サーバに保存された帳票データを印刷する処理の流れを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。
【0017】
まず、本発明の前提となる帳票印刷システムについて説明する。
【0018】
図1は、本発明の実施の形態に係る帳票印刷システムの全体構成を示す図である。
【0019】
図1において、クライアント端末102,103と、帳票保存サーバ101と、認証サーバ104と、プリンタ105,106とは、互いに通信回線107を介して接続されている。図において、クライアント端末102,103、および、プリンタ105,106は複数台接続されていることを仮定している(本例では便宜上クライアント端末2台、プリンタ2台のみ図示する)。
【0020】
通信回線107は、例えば、インターネットやイントラネット等のLAN、WAN、電話回線、専用デジタル回線、ATMやフレームリレー回線、通信衛星回線、ケーブルテレビ回線、データ放送用無線回線等のいずれか又はこれらの組み合わせにより実現される、いわゆる通信ネットワークである。通信回線107は、データの送受信が可能であればよく、クライアント端末102,103から帳票保存サーバ101、認証サーバ104への通信手段、及び帳票保存サーバ101から認証サーバ104、プリンタ105,106への通信手段が異なっていてもよい。
【0021】
クライアント端末102,103は、例えば、デスクトップパソコン、ノートパソコン、モバイルパソコン、PDA(パーソナルデータアシスタント)等から成るが、プログラム機能が内蔵された携帯電話であってもよい。
【0022】
認証サーバ104は、LDAPなどのプロトコルをサポートし、ディレクトリサービスを提供するサーバであり、本システムにおけるユーザの情報を管理する。
【0023】
プリンタ105,106は、ネットワークに接続が可能なプリンタ(例えば、レーザプリンタ等)である。
【0024】
図2は、図1の帳票保存サーバ101、クライアント端末102,103、認証サーバ104及び、プリンタ105,106の基本的なハードウェア構成を示すブロック図である。
【0025】
図2においてCPU21、RAM22、ROM23、LANアダプタ24、ビデオアダプタ25、入力部(キーボード)26、入力部(マウス)27、ハードディスク28、及びCD-ROMドライブ29は、それぞれシステムバス20を介して互いに接続されている。システムバス20は、例えば、PCIバス、AGPバス、及びメモリバス等から成る。なお、図2では、各バス間の接続用チップやキーボードインタフェース、いわゆるSCSIやATAPIのような入出力用インタフェースは省略されている。
【0026】
CPU21は、オペレーションシステムのプログラムやアプリケーションプログラムに基づく四則演算、比較演算等の各種の演算やハードウェアの制御を行う。RAM22には、ハードディスク28や、CD-ROMドライブ29に装着されたCD-ROMやCD-R等の記憶媒体から読み出されたオペレーションシステムのプログラムやアプリケーションプログラム等が記憶されている。これらのプログラムはCPU21により実行される。
【0027】
ROM23には、オペレーションシステムと協働してハードディスク28等へのデータの入出力を制御する、いわゆるBIOS等が記憶される。LANアダプタ24は、CPU21によって制御されるオペレーションシステムの通信プログラムと協働してネットワークを介して接続された外部装置との通信を行う。ビデオアダプタ25は、ディスプレイ装置に出力する画像信号を生成する。キーボード26やマウス27は、クライアント端末102,103への指示を入力するために用いられる。
【0028】
ハードディスク28は、OS(オペレーティングシステム)やアプリケーションプログラム(例えば、本発明における帳票印刷システムプログラム等)を記憶している。
【0029】
CD-ROMドライブ29は、CD-ROM、CD-R、及びCD-R/W等の記憶媒体を装着してアプリケーションプログラムをハードディスク28にインストールするのに用いられる。なお、CD-ROMドライブに代えてCD-Rドライブ、CD-R/Wドライブ、又はMOドライブ等を用いてもよい。
【0030】
図3は、図1の帳票印刷システムにおける帳票保存サーバ101の詳細な構成を示した図である。
【0031】
帳票保存サーバ101は、クライアント端末102からのリクエストを許可するかどうかを承認情報312に基づいて判断するための承認部301を備える。また、出力管理部308で取得した印刷データを、帳票データ311として保存、管理する保存管理部303、アプリケーションから認証情報を受け取り、出力管理部308に送信する認証情報送信部304を備える。また、OSが提供する印刷スプーラ306で変換された印刷ジョブを受け取って印刷ジョブ情報を取得する印刷ジョブ情報取得部307を備える。また、印刷ジョブ情報から抽出した情報でユーザマッピングテーブル314を検索し、代理認証ユーザ情報313を用いて代理認証を行う代理認証部302を備える。さらに、印刷データをプリンタ105へ送信する、あるいは、保存管理部303に保存する出力管理部308を備える。GDI(グラフィックデバイスインタフェース)305は、アプリケーションプログラムが印刷ジョブを生成するためにOSから提供されるプログラミングインタフェースである。スプーラ306は、印刷ジョブをスプールして、プリンタドライバ使用して印刷データに変換する。
【0032】
図4は、本発明の前提となる先行技術において、既存の帳票システム401から印刷を実行し、印刷データが保存管理部303に、帳票データ311として保存されるまでの処理の流れを、図3の帳票保存サーバ101の構成の上に示した図である。既存の帳票システム401は、認証サーバ104に対して、ユーザを識別するユーザ名などの情報とパスワードを送信して認証を行う。認証サーバ104は、ユーザの認証が成功したら、認証情報を返す。既存の帳票システム401は、帳票保存システムが提供するAPIをコールすることによって、認証サーバ104が返した認証情報を帳票保存システムに渡す。また、既存の帳票システム401は、OSが提供する印刷用のAPI(GDI)305をコールして、印刷ジョブの生成要求を行う。
【0033】
図5は、図4のフローにおいて、印刷ジョブ生成部304が行う処理の流れを示すフローチャートである。ステップS501で、既存の帳票システム401から受け取った認証情報を出力管理部308に送信する。ステップS502で、印刷ジョブを生成し、終了する。
【0034】
図6は、認証サーバ104が返す認証情報の例を示した図である。認証情報は、ユーザを識別するユーザIDとユーザが所属するグループを識別する複数のグループIDを含むグループIDリストからなる。認証情報は、図5のステップS501で、認証情報送信部304から出力管理部308に送信される。
【0035】
図7は、図4のフローにおいて、印刷ジョブ情報取得部307、出力管理部308、保存管理部303が行う処理の流れを示すフローチャートである。OSのスプーラ306から印刷ジョブを受け取った印刷ジョブ情報取得部307は、ステップS701で、OSが提供するAPIを使用して、印刷ジョブ情報を取得する。ステップS702で、出力管理部308は、ステップS701で取得した印刷ジョブ情報と、OSのスプーラ306から受け取った印刷データと、図5のステップS501で認証情報送信部304から受け取った認証情報を、保存管理部303に渡す。保存管理部303は、印刷ジョブ情報と認証情報から保存管理情報310を作成する。ステップS703で、保存管理部303は、ステップS702で作成した保存管理情報310に紐付けて、印刷データを帳票データ311として保存する。
【0036】
図8は、図7のステップS702において、印刷ジョブ情報と認証情報から、保存管理情報310に含まれる帳票情報が作成される過程を示した図である。印刷ジョブ情報に含まれる印刷ジョブ名、サイズ、ページ数、印刷開始日時、プリンタ名、プリンタドライバ名は、それぞれ、帳票情報のドキュメント名、サイズ、ページ数、受付日時、受付時のプリンタ名、受付時のプリンタドライバ名に保存される。また、印刷ジョブ情報とともに渡された認証情報は、帳票情報のオーナー情報として保存される。
【0037】
図9は、保存管理情報310を示す図である。保存管理情報310は、帳票情報のリストからなり、帳票情報は、ドキュメント名、オーナー情報、サイズ、ページ数、受付日時、受付時のプリンタ名、受付時のプリンタドライバ名、データファイル名、データ種別を含む。
【0038】
図10は、本発明の帳票保存システムにおいて、既存の帳票システム401から印刷を実行し、印刷データが帳票データ311として保存管理部303に保存されるまでの処理の流れを、図3の帳票保存サーバ101の構成の上に示した図である。既存の帳票システム401は、OSが提供する印刷用のAPI(GDI)305をコールして、印刷ジョブの生成要求を行う。
【0039】
図11は、図10のフローにおいて、印刷ジョブ情報取得部307、出力管理部308、代理認証部302、保存管理部303が行う処理の流れを示すフローチャートである。OSのスプーラ306から印刷ジョブを受け取った印刷ジョブ情報取得部307は、ステップS1101で、OSが提供するAPIを使用して、印刷ジョブ情報を取得する。ステップS1102で、出力管理部308は、ステップS701で取得した印刷ジョブ情報と、OSのスプーラ306から受け取った印刷データとを、代理認証部302に渡す。代理認証部302は、印刷ジョブ情報のユーザ名を、ユーザマッピングテーブル314から検索する。ステップS1103で、ユーザ名が見つからなかったと判断された場合、終了する。ステップS1103で、ユーザ名が見つかったと判断された場合、代理認証部302は、ステップS1104で、ユーザ名に紐付けられた帳票保存システムのドメイン名とユーザ名を、ユーザマッピングテーブル314から取得する。認証サーバ104に対して、帳票保存サーバ101で保持している代理認証ユーザ情報313を使用して、代理認証を行う。ステップS1105で、代理認証部302は、代理認証が成功したかどうかを判断し、代理認証が成功しなかったと判断された場合は終了する。ステップS1105で、代理認証が成功したと判断された場合、ステップS1106で、保存管理部303は、印刷ジョブ情報と、ステップS1104の代理認証により取得した認証情報から保存管理情報310を作成する。ステップS1107で、保存管理部303は、ステップS1106で作成した保存管理情報310に紐付けて、印刷データを帳票データ311として保存する。
【0040】
図12は、帳票保存サーバ101で保持する代理認証ユーザ情報313を示す図である。代理認証ユーザ情報には、認証サーバ104で代理認証が許可されているユーザのドメイン名、ユーザ名、パスワードが含まれる。代理認証ユーザ情報313は、図11のステップS1104で、代理認証を実行する際に使用される。
【0041】
図13は、帳票保存サーバ101で保持するユーザマッピングテーブル314を示した図である。ユーザマッピングテーブル314には、印刷ジョブのオーナー名として設定されるユーザ名と、それに対応する帳票保存システムの認証サーバ104で管理されるユーザ情報(ドメイン名とユーザ名)が含まれる。ユーザマッピングテーブル314は、図11のステップS1102で、印刷ジョブのオーナー名に対応する帳票保存システムのユーザ情報を検索する際に、使用される。
【0042】
図14は、図1の帳票印刷システムにおいて、クライアント端末103が、認証サーバ104に対して認証を行う処理の流れを、図3の帳票保存サーバ101の構成の上に示した図である。また、帳票保存サーバ101の保存管理部303に保存された帳票データの一覧を表示する処理の流れを、図3の帳票保存サーバ101の構成の上に示した図である。
【0043】
図15は、図14において、帳票保存サーバ101がクライアント端末102からのリクエストを受けて、帳票情報の一覧をクライアント端末102に返すまでの処理の流れを示すフローチャートである。クライアント端末102のからリクエスト(認証情報を含む)を受けた帳票保存サーバ101の保存管理部303は、ステップS1501で、保存管理情報310に含まれる帳票情報リストから、リクエストを受けた帳票データ311の帳票情報を検索する。承認部301が、ステップS1502で、帳票保存サーバ101が保持している承認情報312と、リクエストに含まれている認証情報とから、リクエストを行ったユーザに参照する権限があるかどうかを判断する。ステップS1503で、参照する権限があると判断された場合は、保存管理部303が、ステップS1504で、クライアント端末102に返す情報として、帳票情報を保存する。ステップS1503で、参照する権限がないと判断された場合は、ステップS1505へ進む。ステップS1505で、帳票情報リストの最後まで検索したかどうかを判断し、最後まで検索していないと判断された場合は、ステップS1502に戻る。ステップS1505で、最後まで検索したと判断された場合は、保存管理部303が、ステップS1506で、ステップS1504で保存された帳票情報の一覧を、クライアント端末102に返す。
【0044】
図16は、図15のステップS1502で参照される承認情報312のデータ構造を示した図である。承認情報には、アクセス制御リストが含まれており、アクセス制御情報は、リソース種別、リソース名、アクセス種別、承認種別、ユーザIDリストを含む。リソース種別は、帳票保存サーバが管理するリソースの種別、帳票データ、または、プリンタを示す。リソース名は、リソース種別が帳票データの場合は、帳票情報に含まれるオーナー名、プリンタの場合はプリンタ名を示す。アクセス種別は、参照(read)、変更(write)、実行(exec)といったリクエストを実行するのに必要なアクセス権の種別を示す。承認種別は、アクセス権種別が示すアクセス権の許可、あるいは、拒否をしめす。アクセス制御の対象となるユーザを示すユーザIDのリストである。図15のステップS1502では、リクエストを行ったユーザIDを、リクエストの対象となるリソースのアクセス制御情報から検索して、リクエスト対する処理を実行かどうかを判断する。
【0045】
図17は、クライアント端末102のUIに表示される帳票一覧の例を示す図である。クライアント端末102のUIからは、帳票保存サーバ101に保存された帳票データ311の帳票情報を一覧表示する機能に加えて、帳票データ311と印刷先のプリンタを指定して、印刷リクエストを帳票保存サーバ101に送ることができる。
【0046】
図18は、図1の帳票印刷システムにおいて、クライアント端末102のUIからの指示によって、帳票保存サーバ101の保存管理部303に保存された帳票データ311を印刷する処理の流れを、図3の帳票保存サーバ101の構成の上に示した図である。
【0047】
図19は、図18のクライアント端末102からの指示を受けて、帳票保存サーバ101に保存された帳票データ311を印刷する処理の流れを示すフローチャートである。クライアント端末102からリクエスト(認証情報を含む)を受けた帳票保存サーバ101の保存管理部303は、ステップS1901で、保存管理情報310が保持する帳票情報リストから、リクエストを受けた帳票データ311の帳票情報を検索する。承認部301が、ステップS1902で、帳票保存サーバ101が保持している承認情報312と、リクエストに含まれている認証情報とから、ステップS1901で検索した帳票情報の帳票データ311の印刷を実行する権限があるかどうかを判断する。ステップS1903で、印刷を実行する権限がないと判断された場合は、終了する。この場合、クライアント端末102には、印刷を実行する権限がない旨のエラーメッセージが表示される。ステップS1903で、印刷を実行する権限があると判断された場合は、ステップS1904で、出力管理部308が、印刷データをプリンタ105に送信し、終了する。
【0048】
本実施例では、印刷ジョブ情報取得部307は、印刷ジョブ情報に含まれている印刷ジョブのオーナー名を取得している。しかしながら、OSのスプーラ306から受け取った印刷データに、印刷を実行したユーザ情報が含まれている(プリンタドライバが印刷データに埋め込んでいる)ような場合には、印刷データを解析して、印刷を実行したユーザの情報を取得してもよい。その場合、印刷を実行したユーザの情報として、ドメイン名が含まれていてもよい。
【0049】
また、本実施例では、ユーザマッピングテーブル314を使用して、印刷ジョブのオーナー名から、帳票保存システムのユーザ情報に変換している。しかしながら、印刷ジョブのオーナー名と帳票保存システムのユーザ名を一致させているような場合には、本発明の構成要件として、ユーザマッピングテーブル314は、必須ではない。OSのユーザ認証の機構と、帳票保存システムのユーザ認証の機構が同じ認証システム(認証サーバ)を共有している場合も、同様に、ユーザマッピングテーブル314は、必須ではない。
【0050】
なお、本発明は、上記の実施の形態の機能を実現するソフトウェアのプログラムコードを記憶した記憶媒体(又は記録媒体)を、システム又は装置に供給し、そのシステム又は装置のコンピュータ(又はCPUやMPU)が記憶媒体に格納されたプログラムコードを読み出して実行することによっても達成される。
【0051】
この場合、記憶媒体から読み出されたプログラムコード自体が上記実施の形態の機能を実現することになり、そのプログラムコードを記憶した記憶媒体は本発明を構成することになる。また、コンピュータが読み出したプログラムコードを実行することにより、上記実施の形態の機能が実現されるだけでなく、そのプログラムコードの指示に基づき、コンピュータ上で稼働しているオペレーティングシステム(OS)などが実際の処理の一部又は全部を行い、その処理によって上記実施の形態の機能が実現される場合も含まれる。
【0052】
さらに、記憶媒体から読み出されたプログラムコードが、コンピュータに挿入された機能拡張カードやコンピュータに接続された機能拡張ユニットに備わる記憶媒体に書込まれた後、そのプログラムコードの指示に基づき、その機能拡張カードや機能拡張ユニットに備わるCPU等が実際の処理の一部又は全部を行い、その処理によって前述した実施形態の機能が実現される場合も含まれる。
【0053】
また、本発明は、上記実施の形態の機能を実現するソフトウェアのプログラムコードがネットワークを介して配信されることにより、システム又は装置のハードディスクやメモリ等の記憶手段又はCD-RW、CD-R等の記憶媒体に格納され、そのシステム又は装置のコンピュータ(又はCPUやMPU)が当該記憶手段や当該記憶媒体に格納されたプログラムコードを読み出して実行することによっても、達成される。
【符号の説明】
【0054】
101 帳票保存サーバ
102,103 クライアント端末
104 認証サーバ
105,106 プリンタ
107 通信回線
21 CPU
22 RAM
23 ROM
24 LANアダプタ
25 ビデオアダプタ
26 入力部(キーボード)
27 入力部(マウス)
28 ハードディスク
29 CD-ROMドライブ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
アプリケーションが印刷を実行したことにより生成される印刷データを保存し、認証されたユーザからのリクエストに対して、承認された処理を印刷データに対して実行する印刷データ保存サーバ(101)であって、
前記印刷データ保存サーバ(101)は、代理認証を行う代理認証ユーザ名とパスワードを保持する代理認証ユーザ情報保持手段(313)と、印刷を実行したユーザの情報を取得するユーザ情報取得手段(307)と、前記代理認証ユーザ情報を用いて前記ユーザ情報が示すユーザの代理認証を行う代理認証手段(302)と、前記代理認証手段で取得した認証情報を印刷データに関連付けて保存する印刷データ保存手段(303)を備えることを特徴とする印刷データ保存サーバ(101)。
【請求項2】
前記ユーザ情報取得手段(307)は、印刷ジョブ情報から印刷を実行したユーザの情報を取得することを特徴とする請求項1に記載の印刷データ保存サーバ。
【請求項3】
前記ユーザ情報取得手段(307)は、印刷データから印刷を実行したユーザの情報を取得することを特徴とする請求項1に記載の印刷データ保存サーバ。
【請求項4】
アプリケーションが印刷を実行したことにより生成される印刷データを保存し、認証されたユーザからのリクエストに対して、承認された処理を印刷データに対して実行する印刷データ保存方法であって、
印刷を実行したユーザの情報を取得するステップ(S1101)と、前記ユーザ情報が示すユーザの代理認証を行うステップ(S1104)と、代理認証で取得した認証情報を印刷データに関連付けて保存するステップ(S1106,S1107)を有することを特徴とする印刷データ保存方法。
【請求項5】
印刷ジョブ情報から印刷を実行したユーザの情報を取得するステップ(S1101)を有することを特徴とする請求項4に記載の印刷データ保存方法。
【請求項6】
印刷データから印刷を実行したユーザの情報を取得するステップ(S1101)を有することを特徴とする請求項4に記載の印刷データ保存方法。
【請求項7】
請求項4〜請求項6のいずれかに記載の印刷データ保存方法をコンピュータにより実行可能なプログラム。
【請求項8】
請求項7に記載のプログラムをコンピュータ可読な形で記憶可能な記憶媒体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【公開番号】特開2010−198444(P2010−198444A)
【公開日】平成22年9月9日(2010.9.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−43926(P2009−43926)
【出願日】平成21年2月26日(2009.2.26)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】