説明

印刷フィルム上の画像の改善された視覚認知性

単位用量の洗剤製品類における水溶性の印刷フィルム上の画像の視覚認知性を、この印刷フィルムと隣接して配置された着色液体を使用することによって改善する方法、及び、印刷フィルムと着色液体とを有する単位用量の洗剤製品類。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は印刷フィルムの技術分野にあり、特にそれは、単位用量の洗剤製品で使用される場合に、印刷フィルム上の画像の視覚認知性を改善するために着色液体を使用することに関する。
【背景技術】
【0002】
家庭用の洗濯及び食器洗浄の分野では、単位用量の洗剤が、従来のルースパウダー洗剤製品の特に人気のある代替物となってきている。それらは、均一な投与を確実にし、こぼれを軽減し、洗剤粉末を吸入及び/又は摂取する危険を最小限にすることを保証するので、特に人気がある。総体的にそれらは、洗剤を投与するための簡単で効率的な手段を提供し、この利用し易さによって消費者に大いに人気を博している。一般に用いられている最初の単位用量製品は、粉末洗剤タブレットの形をしていた。それらは、洗剤粉末を、結合剤及び崩壊剤と合わせて圧縮加工又は圧縮成形して、固体ブロックを形成することによって形成される。タブレットは、多くの場合、箔/ポリマーフィルム積層体から製造される、水を通さない密封された包装紙に個別包装されている。これは、タブレットが水や湿気に曝露されず、そして結果として崩壊しないことを確実にする。包装紙はまた、タブレットが運搬中又は保管中に欠けるか又は損傷を受けた場合に、ルースパウダーが流出することも防止する。使用する際、消費者は包装紙を除去して処分する。次に、消費者は、タブレットを装置のディスペンサー区画に入れる。しかしながら、最近では、粉末状洗剤の単位用量を含有するために、水溶性又は水分散性のポリマーフィルムを使用する傾向がある。水溶性又は水分散性のポリマーフィルム(以下「水溶性ポリマーフィルム」)は、パウチが洗浄サイクル中に溶解するので、使用前に洗剤の包装を取り去る必要性を取り除く。それはまた、ぱらぱらした粉末が存在するのを防ぎ、消費者にとっては全般的に更に簡便な手法をも提供する。
【0003】
パウチを形成するのに使用される水溶性フィルムは、主に無色透明な水溶性ポリマーフィルムから製造される。以前使用されたポリマーフィルム積層体から水溶性ポリマーフィルムへ移行することにより、フィルム上の印刷が更に視覚認知し難くなることが分かった。特に理論に束縛されるものではないが、この視覚認知し難さは、洗剤の粒状特性と粉末顆粒の色とが原因であると考えられる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、改善された単位用量の洗剤製品を提供しようとするものであって、この問題点及び他の問題点を解決しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、単一区画又は多区画の単位用量である単位用量の洗剤製品において、その上に印刷された1つ以上の画像を含む水溶性の印刷フィルム上の画像の視覚認知性を、この単位用量の洗剤製品の前記の単一区画又は前記多区画に入れた着色液体を使用することによって改善する方法であって、着色液体が印刷フィルムと隣接して配置されている、方法に関する。本発明は更に、水溶性の印刷フィルムを含む1つ以上の区画を備えた単位用量の洗剤製品であって、印刷フィルムの上に印刷された1つ以上の画像を含み1つ以上の区画が、1つ以上の画像が改善された認知性を有するように着色液体を含有する、単位用量の洗剤製品にも関する。
【発明を実施するための形態】
【0006】
本発明は、印刷フィルム上の画像の視覚認知性を改善するために、着色液体を含む区画を使用することを包含する。好ましくは、前記印刷フィルムは、単一区画又は多区画の単位用量の洗剤製品の外壁部のうち少なくとも1つを形成する。好ましくは、前記着色液体を含む前記区画は更に、前記印刷フィルムも含んでいる。この目的のために着色液体を使用する利点は、印刷フィルムの背後にある非着色液体又は固体(例えば、粉末状洗剤)に比べて、印刷フィルム上の画像の鮮明性を改善する、典型的に一様な、好ましくは光透過性の媒質を提供することである。好ましくは、前記着色液体は、洗剤であるか、又は少なくとも1つの洗剤活性物質を含有する。
【0007】
本発明はまた、自動食器洗浄機のディスペンサー内での単一区画又は多区画の単位用量製品の好ましい向きを示すために、着色液体と印刷フィルムとの組み合わせを含む区画を使用することも包含する。好ましくは、前記着色液体を含む前記区画は更に、前記印刷フィルムも含んでいる。好ましくは、前記印刷フィルムは、多区画の単位用量の洗剤製品の外壁部のうち少なくとも1つを形成している。この目的のために着色液体を使用する利点は、単位用量製品の特定の面上での印刷画像と着色液体との組み合わせが、使用者に、単位用量製品を特定の向きで配置するように導くことが分かったことである。これは、ディスペンサーの漏れにより敏感であるか又はリンス前サイクルに存在しても害の無い洗浄補助剤を、着色液体を含む区画に入れてもよいことを意味している。その後、更に敏感な洗浄構成成分を、ディスペンサー漏れが万が一生じた場合に水に曝露され難い、任意の粉末を含む任意の区画に入れることができる。それはまた、パウチを自動食器洗浄機器に放出した途端、パウチがその自動食器洗浄機器の底面に落ちる向きに関しても効果をもたらす。
【0008】
本発明は更に、個別の多区画の単位用量製品類を複数含む容器であって、この個別の多区画の単位用量製品類が、着色液体とフィルムとを含む少なくとも1つの区画を含み、このフィルムの上には画像が印刷されている前記容器をも包含する。好ましくは、前記複数の多区画パウチは、互いに異なる着色液体又は互いに異なる印刷画像、あるいはこれらの組み合わせを含む。好ましくは、前記容器は、そこからその内容物が見える少なくとも1つの部分を含む。好ましくは、この容器の少なくとも1つの部分は、透明である。
【0009】
本発明の好ましい実施形態では、単位用量製品は、二重区画パウチである。好ましくは、二重区画パウチにおける前記区画は、共通の壁部又は境界線、最も好ましくは共通の壁部を含む。好ましくは、前記多区画パウチは、液体洗剤を含む少なくとも1つの区画と、洗剤粉末を含む少なくとも1つの区画とを備えている。
【0010】
本発明の更に好ましい実施形態では、単位用量製品は更に、粉末洗剤を含む区画を備えている。本発明の更なる実施形態では、前記粉末洗剤は、ビルダー、キレート剤、酵素、漂白剤、金属腐食防止剤、界面活性剤、ガラス腐食防止剤、汚れ放出ポリマー、及びスケール防止剤、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される1つ以上の洗剤補助剤を含む。
【0011】
本発明の更に好ましい実施形態では、印刷フィルム上の画像は、着色液体と接触しているフィルムの面、及び/又は周囲の大気と接触しているフィルムの面の上にある。
【0012】
本発明の更に好ましい実施形態では、着色液体は、着色剤、好ましくは、染料又は顔料と、ビルダー、キレート剤、酵素、漂白剤、金属保護剤、界面活性剤、ガラス保護剤、有機溶媒、及びスケール防止剤、並びにこれらの組み合わせからなる群から選択される少なくとも1つの洗剤補助剤とを含む。
【0013】
本発明の更に好ましい実施形態では、粉末洗剤と印刷画像の色は、実質的に同じである。好ましくは、それらの色はいずれも、実質的に白である。それらは、改善された差異化をもたらし及び更には印刷画像の認知性をも高めるので、実質的に同じ色であることが好ましい。本発明の別の好ましい実施形態では、印刷画像は、発光又は蛍光である。別の好ましい実施形態では、フィルム上に印刷された画像は、多色であってよい。
【0014】
本発明の更に好ましい実施形態では、着色液体と印刷画像の色は、実質的に異なる。最も好ましい実施形態では、液体は、例えば黄色、緑、橙、青、ピンクに着色されており、及び印刷画像は白色である。これは、液体と印刷画像との間に改善されたコントラストを与え;それによって、画像の認知性を更に改善することが分かった。他の好ましい実施形態では、画像は多色であってよく、又はその色の一部のみが液体の色と異なっていてもよい。これは、画像がもたらす機能及び/又はメッセージに左右される。別の好ましい実施形態では、単位用量製品類は容器内に保管されており、この容器の少なくとも一部からは、その内部にある個別の単位用量を確認することができる。好ましくは、容器内の個別の単位用量製品類は互いに、同じ又は異なる着色液体を含む。
【0015】
本発明の更に好ましい実施形態では、水溶性の印刷フィルムは、透明なポリマーフィルム、好ましくは無色透明なポリマーフィルム、又はこれらの組み合わせである。典型的に、ポリマーフィルムは、ポリ(ビニルアルコール)を含む。
【0016】
本発明の更に好ましい実施形態では、印刷フィルム上の画像は、前記単位用量製品の出所;前記単位用量製品の製造者;広告、広告主、又は系列会社の画像;商標又はブランド名;安全性の表示;製品用途又は機能の表示;スポーツの画像;地理的表示;工業規格;好ましい向きの表示;香料又は芳香剤に結びつく画像;慈善事業、又は慈善的な表示;季節毎の祝い事、国民の祝典、地域的な祝典、又は宗教的式典の表示、特に春夏秋冬、クリスマス、又はイースター;あるいはこれらのいずれかの組み合わせを示す。更なる例としては、他の考えられる図案のうち、線、円、正方形、星、月、花、動物、雪片、葉、及びイースターエッグを包含する、いずれかの種類の無作為なパターンが挙げられる。
【0017】
好ましくは、液体の色は、印刷フィルム上の画像と概念的に結びついている。例えば、黄色の液体を含む単位用量は、フィルム上に印刷されたレモンの画像を有する場合がある。なお更に好ましい実施形態では、フィルム上の画像、液体の色、及び香料などの第3の感覚指標はいずれも、共通のテーマ又は概念で結びついていてよい。例としては、黄色の液体と、フィルム上に印刷されたレモンの画像とを、レモンの香りの香料と組み合わせることが挙げられる。このことは、単位用量製品類が、その少なくとも一部から単位用量製品類を確認することができる容器内に保管されている実施形態、及び、互いに異なる着色液体を含む複数の単位用量製品類が同じ容器内に保管されている実施形態において、特に好ましい。このことは、書いた文章を必要とせずに、消費者にテーマを強調又は伝達するのに特に有益である。
【0018】
本発明の更なる実施形態では、複数の単位用量製品類を、その少なくとも一部からその中に入っている単位用量製品を確認することができる容器又は容器類で保管する場合、好ましくは液体の色と、好ましくは印刷フィルム上の任意の画像と、好ましくは任意の第3の感覚指標とが全て、そこからは単位用量製品類を確認することができない容器の部分に付いた表示と概念的に結びついている。例えば、前記液体の色は黄色であってよく、印刷された画像はレモンの画像であってよく、レモン香料を使用してよく、及び容器の外側に付いた表示は、レモンの画像及び/又はレモン若しくは柑橘系の主題に関する書面言及を包含してもよい。このことは、製品を使用する利点についての、力強いとともに強調されているメッセージを消費者に与える。
【0019】
本発明の更なる実施形態では、複数の単位用量製品類を、その少なくとも一部から当該容器内部の単位用量製品類を確認することができる容器又は容器類内で保管する場合、好ましくは、異なる着色液体を含む複数の異なる多区画パウチが、存在していてもよく、又は異なる印刷画像を有していてもよく、あるいはこれらの組み合わせであってもよい。
【0020】
単位用量の洗剤製品類
単位用量の洗剤製品類は、本明細書では、あらゆる洗剤製品を包含するものと考えられ、この洗剤は投与前の形態で消費者に提供される。特に、それには、少なくとも1つの区画、好ましくは1つ以上の区画を有するパウチの形態のものが包含され;前記パウチは典型的に、水溶性材料から形成されており、少なくとも1つの区画が典型的に、洗剤を含んでいる。典型的に、区画は、洗剤を含みまた(好ましくは水溶性の)材料の外辺部で画定される単位用量製品の一部を包含すると考えられることから、この外辺部材料を最初に取り除くか、穴を開けるか、ないしは別の方法で破壊するか、あるいは最も好ましくはそれを水に溶解するのでなければ、前記洗剤を前記画定部分から放出することができない。多区画の単位用量の洗剤製品は、2つ以上の区画を有する、好ましくはパウチの形態の、単位用量の洗剤製品を意味すると考えられ;二重区画の単位用量の洗剤製品は、2つの区画を有する、好ましくはパウチの形態の、単位用量の洗剤製品を意味すると考えられ;及び単一区画の単位用量の洗剤製品は、唯一の区画を有する、好ましくはパウチの形態の、単位用量の洗剤製品を意味すると考えられる。特定の実施形態では、単位用量の洗剤製品類は、2つ、3つ、4つ、5つ、又はそれ以上の区画を有する場合があるとも想定される。
【0021】
単位用量の洗剤製品が2つ以上の区画を含む場合、これらの区画は、重ね合わせた関係で配列されることが好ましい。これは、特に、例えば二重区画の単位用量の洗剤パウチの場合である。重ね合わせとは、使用中に区画が重なり合うことができれば、区画を、上下に並べて、横に並べて、又はいずれかの他の便宜的な配置で、対称的に配列できることを包含することを意味し得る。
【0022】
単位用量製品が多区画の単位用量製品の形態である場合、製品は、典型的には1つ以上の壁部を含む。典型的に、これらの壁部は、水溶性のフィルムを含む。水溶性のフィルムは、2つの面を備えており、その第1面と第2面との間に一定の距離、好ましくは1,250マイクロメートル未満、好ましくは約0.75マイクロメートル〜約1,250マイクロメートル、好ましくは約10マイクロメートル〜約250マイクロメートル、より好ましくは約25マイクロメートル〜約125マイクロメートルを含んでいる。
【0023】
水溶性のフィルムは、製品の区画を画定する。この区画の水溶性のフィルム壁部のうちの一部は、内壁部であってよく、その他は、外側壁部又は外壁部であってよい。外壁部又は外側壁部は、一方のフィルム面と隣接して区画の内容物を有し、また他方のフィルム面と隣接して周囲の大気を有している。例えば、組成物は、水溶性のフィルムの第1面と隣接して配置され、また大気は、水溶性のフィルムの第2面と隣接して配置される。
【0024】
内壁部は、少なくとも一方のフィルム面と隣接して少なくとも1つの区画の内容物を有し、また第2フィルム面と隣接して少なくとも1つの他の区画の内容物を有している。区画の内容物としては、液体、ゲル、固体、粉末、又は気体を挙げることができる。液体、ゲル、ペースト、固体、及び粉末は、洗剤を構成してよい。前記気体は、製造プロセスの必然的な結果として、故意に又は偶然にのいずれかで包含されてもよく、あるいは1つ以上の区画の1つ以上の内容物から放出されてもよい。
【0025】
多区画の単位用量製品は、当該技術分野で既知のいかなる手段によって作製されてもよい。特に、好ましい方法としては、熱成形、真空成形、射出成形、押出成形、及びこれらの組み合わせが挙げられる。
【0026】
単位用量製品及び/又はこれらの区画の壁部は、典型的に、水溶性のフィルムを含んでいる。好ましくは、水溶性のフィルムは、ポリ(ビニルアルコール)フィルムからなる群から選択される。更に好適なポリマーフィルムを、以下に更に詳細に論じる。
【0027】
着色液体
本発明の着色液体は、どのような色であってもよい。特に好ましい色としては、青、緑、黄色、橙、ピンク、及び赤が挙げられる。好ましくは、着色液体はただ1つの色だけを有しており、好ましくは色は均一であるが、一部の実施形態では、着色液体は2色以上を含む場合がある。液体という用語は、液体、ゲル、及びペースト、並びにその中に分散された別個の相を有する前記のもののうちいずれかを包含し、好ましくはエマルション及びゾルを包含すると考えることができる。好ましくは、着色液体は、実質的に透明又は実質的に半透明であるが、それはまた、一部の実施形態では実質的に不透明であってもよい。
【0028】
典型的に、着色液体の水分含有量は、多区画の単位用量の洗剤製品の壁部を製造するフィルムの溶解度によって決まる。好ましくは、水溶性のフィルムを使用する場合、着色液体は、好ましくは無水であるか、又はフィルムが着色液体単独の作用では溶解しない、十分に低濃度の遊離水を有している。典型的に、着色液体は、その約30重量%未満、好ましくは約20重量%未満、更により好ましくは10重量%未満の水を含んでいる。
【0029】
着色液体は、典型的に、着色液体洗剤であってよい。典型的に、着色液体洗剤は、染料及び/又は顔料と、少なくとも1つの洗剤補助剤とを含む。典型的に、染料及び/又は顔料は、必要とされる色に応じて選択される。
【0030】
場合によっては、染料の組み合わせが、所望の色を達成するために必要とされる場合があることが理解されるであろう。好ましい染料としては、FD&C黄色5号(クラリアント(Clariant))、FD&C赤色33号(クラリアント)、及びアシッドブルー182(クラリアント)が挙げられる。好ましい洗剤補助剤としては、ビルダー、キレート剤、酵素、漂白剤、漂白活性化剤、漂白触媒、金属保護剤、界面活性剤、ガラス保護剤、汚れ放出ポリマー、香料、及びスケール防止剤、並びにこれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。
【0031】
本明細書で使用するための単位用量の洗剤製品は、約5〜約200mL、好ましくは約10〜約100mL、より好ましくは約15〜75mLの容量を有している。一実施形態では、長手方向/横断方向の縦横比は、約2:1〜約1:8まで、好ましくは約1:1〜約1:4までの範囲である。長手方向の寸法は、単位用量の洗剤製品が、単位用量の洗剤製品の区画が長手方向で重なり合って(すなわち、上下に並んで)また約2kgの静止荷重を受けた状態で、最大フットプリントを有する底面の1つに置かれているときの、単位用量の洗剤製品の最大高さと定義される。横断方向の寸法は、同じ条件下における長手方向と垂直な面での、単位用量の洗剤製品の最大幅と定義される。これらの寸法は、大部分の食器洗浄機又は洗濯機のディスペンサーに供給するのに適している。単位用量の洗剤製品の形は多種多様であり得るが、利用可能な容量を最大にするために、好ましいパウチは、大部分のディスペンサーのフットプリントとできる限り類似した、すなわち一般には長方形の、底面を有する。
【0032】
粉末洗剤
粉末洗剤は、本明細書では、典型的に、固体形態のいずれかの洗剤、特に、粒状の、噴霧乾燥された、粒塊形成された、及び圧縮成形された洗剤組成物、並びにこれらの組み合わせを包含すると考えられる。好ましくは、粉末洗剤は、ビルダー、キレート剤、酵素、漂白剤、漂白活性化剤、漂白触媒、金属保護剤、界面活性剤、ガラス保護剤、汚れ放出ポリマー、香料、及びスケール防止剤、並びにこれらの組み合わせからなる群から選択される少なくとも1つの洗剤補助剤を含む。前記粉末は好ましくは、白色であるが、粉末洗剤の50体積%未満を構成する着色粒子、好ましくは粉末洗剤を含有する単位用量区画の容量に対して、好ましくは0.01体積%〜50体積%の着色粒子を含有してもよい。
【0033】
洗剤補助剤
別段の指定がない限り、以下に記載する構成成分を、粉末洗剤又は着色液体のいずれかに組み込むことができる。
【0034】
有機溶媒
特定の実施形態では、着色液体は、有機溶媒を含んでよい。有機溶媒は、食卓用食器類/調理器具と、並びに自動食器洗浄機の様々な部品と適合性を有するように、選択すべきである。更に、溶媒系は、133Pa(1mm Hg)超での(好ましくは13pa(0.1mm Hg)超での)揮発性有機化合物含有量が当該溶媒系の重量に対して約50%未満、好ましくは約30%未満、より好ましくは約10%未満であるものを、有効にかつ安全に使用すべきである。また、これらは、非常に優しく心地よい香りを有することが望ましい。本明細書内で使用される個別の有機溶媒は、一般に、約150℃を超える沸点、約100℃を超える引火点、及び25℃及び大気圧において約133Pa(1mm Hg)未満、好ましくは13Pa(0.1mm Hg)未満の蒸気圧を有している。
【0035】
本明細書に使用することができる溶媒としては:i)アルコール類、例えばベンジルアルコール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、2−エチル−1−ヘキサノール、フルフリルアルコール、1,2−ヘキサンジオール及びその他の類似物質;ii)アミン、例えば、アルカノールアミン(例えば、一級アルカノールアミン(モノエタノールアミン、モノイソプロパノールアミン、ジエチルエタノールアミン、エチルジエタノールアミン);二級アルカノールアミン(ジエタノールアミン、ジイソプロパノールアミン、2−(メチルアミノ)エタノール);三級アルカノールアミン(トリエタノールアミン、トリイソプロパノールアミン));アルキルアミン(例えば一級アルキルアミン(モノメチルアミン、モノエチルアミン、モノプロピルアミン、モノブチルアミン、モノペンチルアミン、シクロヘキシルアミン)、二級アルキルアミン(ジメチルアミン))、アルキレンアミン(一級アルキレンアミン(エチレンジアミン、プロピレンジアミン))及びその他の類似物質;iii)エステル、例えば、乳酸エチル、メチルエステル、アセト酢酸エチル、エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート及びその他の類似物質;iv)グリコールエーテル、例えば、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールブチルエーテル及びその他の類似物質;v)グリコール、例えば、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、ヘキシレングリコール(2−メチル−2,4−ペンタンジオール)、トリエチレングリコール、組成物及びジプロピレングリコール及びその他の類似物質;並びにこれらの混合物が挙げられる。
【0036】
界面活性剤
自動食器洗浄に使用するための本発明の方法では、洗剤界面活性剤は、それ自体が又は他の構成成分(すなわち、泡抑制剤)と組み合わせて、好ましくは低発泡性である。本明細書で好適な界面活性剤としては、アルキル部分、アルケニル部分、又はアシル部分がC5〜C20、好ましくはC10〜C18の直鎖又は分枝鎖である、アルキルサルフェート、アルキルエーテルサルフェート、アルキルベンゼンスルホネート、アルキルグリセリルスルホネート、アルキル及びアルケニルスルホネート、アルキルエトキシカルボキシレート、N−アシルサルコシネート、N−アシルタウレート、並びにアルキルサクシネート及びスルホサクシネートなどの、アニオン性界面活性剤;塩素系エステル(米国特許第4228042A号、同第4239660A号、及び同第4260529A号)、並びに残りのN位がメチル基、ヒドロキシエチル基、又はヒドロキシプロピル基で置換されている、モノC6〜C16N−アルキル又はアルケニルアンモニウム界面活性剤などの、カチオン性界面活性剤;非イオン性アルコキシル化界面活性剤(特に、C6〜C18の第一級アルコールに由来するエトキシレート)、エトキシル化−プロポキシル化アルコール(例えば、BASF(BASF)のポリ−タージェント(POLY-TERGENT)(登録商標)SLF18)、エポキシ末端保護されたポリ(オキシアルキル化)アルコール(例えば、BASFのポリ−タージェント(登録商標)SLF18Bであって、これはPCT国際公開特許第94/22800A号を参照のこと)、エーテル末端保護されたポリ(オキシアルキル化)アルコール界面活性剤、並びにミシガン州ワイアンドット(Wyandotte)のBASF−ワイアンドット社(BASF-Wyandotte Corp.)によるプルロニック(PLURONIC)(登録商標)、リバースド・プルロニック(REVERSED PLURONIC)(登録商標)及びテトロニック(TETRONIC)(登録商標)などのブロックポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレン高分子化合物を包含する、低曇点及び高曇点の非イオン性界面活性剤並びにこれらの混合物;C12〜C20アルキルアミンオキシド類(本明細書で使用するのに好ましいアミンオキシドとしては、C12ラウリルジメチルアミンオキシド、C14及びC16ヘキサデシルジメチルアミンオキシドが挙げられる)、及びミラノール(MIRANOL)(商標)C2Mなどのアルキル両性カルボン酸界面活性剤などの、両性界面活性剤;並びにベタイン及びスルタインなどの、双極性界面活性剤;並びにこれらの混合物が挙げられる。本明細書で好適な界面活性剤は、例えば、米国特許第3,929,678A号、同第4,259,217A号、欧州特許第0414549A号、PCT国際公開特許第93/08876A号、及びPCT国際公開特許第93/08874A号に開示されている。界面活性剤は、典型的には、組成物の約0.2重量%〜約30重量%、より好ましくは約0.5重量%〜約10重量%、最も好ましくは約1重量%〜約5重量%の濃度で存在する。本明細書に使用するのに好ましい界面活性剤は、低発泡性であり、これには、低曇点の非イオン性界面活性剤、及び高発泡性の界面活性剤と、その泡抑制剤としての役割を果す低曇点の非イオン性界面活性剤との混合物が挙げられる。
【0037】
ビルダー
本明細書で使用するのに好適なビルダーとしては、クエン酸塩、炭酸塩、及びポリリン酸塩、例えば、トリポリリン酸ナトリウム及びトリポリリン酸ナトリウム六水和物、トリポリリン酸カリウム、並びにトリポリリン酸ナトリウムとトリポリリン酸カリウムとの混合塩などの、水溶性ビルダー;並びに結晶性層状ケイ酸塩(欧州特許第0164514A号及び同第0293640A号)及びゼオライトA、B、P、X、HS及びMAPを包含するアルミノケイ酸塩などの、部分的水溶性又は不溶性ビルダーが挙げられる。ビルダーは、典型的には、組成物の約1重量%〜約80重量%、好ましくは約10重量%〜約70重量%、最も好ましくは約20重量%〜約60重量%の濃度で存在する。
【0038】
SiO2:Na2Oの比が1.8〜3.0、好ましくは1.8〜2.4、最も好ましくは2.0である非晶性ケイ酸ナトリウムもまた、本明細書において使用することができるが、長期保存安定性の観点から、非常に好ましいのは、約22%未満、好ましくは約15%未満の合計(非晶性及び結晶性)ケイ酸塩を含有する組成物である。
【0039】
酵素
本明細書において好適な酵素としては、ケアザイム(Carezyme)及びセルザイム(Celluzyme)(ノボ・ノルディスク社(Novo Nordisk A/S))などの細菌性及び真菌性のセルラーゼ;ペルオキシダーゼ;アマノ−P(Amano-P)(天野製薬社(Amano Pharmaceutical Co.))、M1リパーゼ(M1 LIPASE)(登録商標)及びリポマックス(LIPOMAX)(登録商標)(ギスト−ブロガデス(Gist-Brocades))及びリポラーゼ(LIPOLASE)(登録商標)及びリポラーゼ・ウルトラ(LIPOLASE ULTRA)(登録商標)(ノボ(Novo))などのリパーゼ;クチナーゼ;エスペラーゼ(ESPERASE)(登録商標)、アルカラーゼ(ALCALASE)(登録商標)、デュラザイム(DURAZYM)(登録商標)及びサビナーゼ(SAVINASE)(登録商標)(ノボ)及びマキサターゼ(MAXATASE)(登録商標)、マキサカール(MAXACAL)(登録商標)、プロペラーゼ(PROPERASE)(登録商標)及びマキサペム(MAXAPEM)(登録商標)(ギスト−ブロガデス)などのプロテアーゼ;ピュラフェクトOX AM(PURAFECT OX AM)(登録商標)(ジェネンコア(Genencor))及びターマミル(TERMAMYL)(登録商標)、バン(BAN)(登録商標)、フンガミル(FUNGAMYL)(登録商標)、デュラミル(DURAMYL)(登録商標)、及びナタラーゼ(NATALASE)(登録商標)(ノボ)などのα−及びβ−アミラーゼ;ペクチナーゼ;並びにこれらの混合物が挙げられる。酵素は、本明細書では、好ましくは、プリル、粒状物、又は共粒状物として、典型的には、組成物の約0.0001重量%〜約2重量%の範囲の純酵素濃度で添加される。
【0040】
漂白剤
本明細書に用いるのに好適な漂白剤としては、塩素漂白剤及び酸素漂白剤が挙げられ、特に無機過水和物塩、例えば、過ホウ酸ナトリウム一水和物及び四水和物、並びに制御された放出速度を提供するために所望によりコーティングされた過炭酸ナトリウム(例えば、硫酸塩/炭酸塩コーティングについては英国特許第1466799A号を参照のこと)、予備成形された有機ペルオキシ酸及びそれと有機ペルオキシ酸漂白剤前駆体との混合物、並びに/又は遷移金属含有漂白触媒(特にマンガン又はコバルト)が挙げられる。無機過水和物塩は、典型的には、組成物の約1重量%〜約40重量%、好ましくは約2重量%〜約30重量%、より好ましくは約5重量%〜約25重量%の範囲の濃度で組み込まれる。本明細書で使用するのに好ましいペルオキシ酸漂白剤前駆体としては、過安息香酸及び置換型過安息香酸の前駆体;カチオン性ペルオキシ酸前駆体;過酢酸前駆体、例えばTAED、アセトキシベンゼンスルホン酸ナトリウム、及びペンタアセチルグルコース;過ノナン酸前駆体、例えば、3,5,5−トリメチルヘキサノイルオキシベンゼンスルホン酸ナトリウム(イソ−NOBS)及びノナノイルオキシベンゼンスルホン酸ナトリウム(NOBS);アミド置換型アルキルペルオキシ酸前駆体(欧州特許第0170386A号);並びにベンゾオキサジンペルオキシ酸前駆体(欧州特許第0332294A号及び同第0482807A号)が挙げられる。漂白剤前駆体は、典型的には、組成物の約0.5重量%〜約25重量%、好ましくは約1重量%〜約10重量%の範囲の濃度で組み込まれ、一方、予備成形された有機ペルオキシ酸自体は、典型的には、組成物の0.5重量%〜25重量%、より好ましくは1重量%〜10重量%の範囲の濃度で組み込まれる。本明細書で使用するのに好ましい漂白触媒としては、トリアザシクロノナンのマンガン錯体及び関連する錯体(米国特許第4246612A号、同第5227084A号);ビスピリジルアミンのCo、Cu、Mn、及びFe錯体、並びに関連する錯体(米国特許第5114611A号);並びにペンタミンアセテートのコバルト(III)錯体及び関連する錯体(米国特許第4810410A号)が挙げられる。
【0041】
低曇点の非イオン性界面活性剤、及び泡抑制剤
本明細書で使用するのに好適な泡抑制剤は、低曇点を有する非イオン性界面活性剤を包含する。本明細書で使用するとき、「曇点」とは、温度が上昇するにつれて当該界面活性剤の溶解性が低下する結果となる非イオン性界面活性剤類の周知の特性であり、第2相の出現が観察できる温度を、「曇点」と呼ぶ(カーク・オスマー(Kirk Othmer)、360〜362頁を参照のこと)。本明細書で使用するとき、「低曇点」の非イオン性界面活性剤は、30℃未満、好ましくは約20℃未満、更により好ましくは約10℃未満、最も好ましくは約7.5℃未満の曇点を有する非イオン性界面活性剤系成分と定義される。典型的な低曇点の非イオン性界面活性剤としては、非イオン性アルコキシル化界面活性剤、特に一級アルコールに由来するエトキシレート、及びポリオキシプロピレン/ポリオキシエチレン/ポリオキシプロピレン(PO/EO/PO)リバースブロックポリマーが挙げられる。また、このような低曇点の非イオン性界面活性剤としては、例えば、エトキシル化−プロポキシル化アルコール(例えば、BASFのポリ・タージェント(POLY-TERGENT)(登録商標)SLF18)及びエポキシ末端保護されたポリ(オキシアルキル化)アルコール(例えば、米国特許第5,576,281A号に記載されているような、非イオン性物質のBASFのポリ・タージェント(登録商標)SLF18Bシリーズ)が挙げられる。
【0042】
好ましい低曇点界面活性剤は、次式を有するエーテル末端保護されたポリ(オキシアルキル化)泡抑制剤である:
【0043】
【化1】

式中、R1は平均約7〜約12個の炭素原子を有する直鎖アルキル炭化水素であり、R2は約1個〜約4個の炭素原子を有する直鎖アルキル炭化水素であり、R3は約1個〜約4個の炭素原子を有する直鎖アルキル炭化水素であり、xは約1〜約6の整数であり、yは約4〜約15の整数であり、zは約4〜約25の整数である。
【0044】
その他の低曇点の非イオン性界面活性剤は、次式を有するエーテル末端保護されたポリ(オキシアルキル化物)である:
IO(RIIO)nCH(CH3)ORIII
式中、RIは、約7個〜約12個の炭素原子を有する直鎖又は分枝鎖、飽和又は不飽和、置換又は非置換の、脂肪族又は芳香族炭化水素ラジカルからなる群より選択され;RIIは同一又は異なっていてよく、どの所与の分子においても分枝鎖又は直鎖C2〜C7アルキレンからなる群から独立して選択され;nは1〜約30の数であり;並びにRIIIは、
(i)1〜3個のヘテロ原子を含有する4〜8員の置換型又は非置換型複素環;及び
(ii)約1個〜約30個の炭素原子を有する直鎖又は分枝鎖、飽和又は不飽和、置換又は非置換の、環状又は非環式の、脂肪族又は芳香族炭化水素ラジカルからなる群より選択され;
(b)ただし、R2が(ii)であると仮定すれば、(A)R1のうち少なくとも1つがC2〜C3アルキレン以外のものであるか;又は(B)R2が6〜30個の炭素原子を有するかのいずれかであり、またR2が8〜18個の炭素原子を有すると仮定すれば、RがC1〜C5アルキル以外のものである。
【0045】
その他の構成要素
本明細書に好適なその他の構成成分としては、組成物の約0.1重量%〜約30重量%、好ましくは約0.5重量%〜約15重量%、最も好ましくは約1重量%〜約10重量%の濃度の、分散性、再付着防止性、汚れ放出性、又はその他の洗浄特性発明を有する有機ポリマーが挙げられる。本明細書において好ましい再付着防止ポリマーとしては、アクリル酸含有ポリマー、例えば、ソカラン(SOKALAN)PA30、PA20、PA15、PA10、及びソカランCP10(BASF社(BASF GmbH))、アクゾル(Acusol)45N、480N、460N(ローム・アンド・ハース(Rohm and Haas))、アクリル酸/マレイン酸コポリマー、例えばソカランCP5、並びにアクリル/メタクリルコポリマーが挙げられる。本明細書において好ましい汚れ放出ポリマーとしては、アルキルセルロース及びヒドロキシアルキルセルロース(米国特許第4,000,093A号)、ポリオキシエチレン、ポリオキシプロピレン、及びこれらのコポリマー、並びにエチレングリコール、プロピレングリコール、及びこれらの混合物のテレフタレートエステルをベースとする非イオン性及びアニオン性ポリマーが挙げられる。
【0046】
重金属イオン封鎖剤及び結晶成長阻害剤、例えば、ジエチレントリアミンペンタ(メチレンホスホネート)、エチレンジアミンテトラ(メチレンホスホネート)ヘキサメチレンジアミンテトラ(メチレンホスホネート)、エチレンジホスホネート、ヒドロキシ−エチレン−1,1−ジホスホネート、ニトリロトリアセテート、エチレンジアミノテトラアセテート、エチレンジアミン−N,N’−ジサクシネートは、それらの塩及び遊離酸の形態で、一般に、組成物の約0.005重量%〜約20重量%、好ましくは約0.1重量%〜約10重量%、より好ましくは約0.25重量%〜約7.5重量%、及び最も好ましくは約0.5重量%〜約5重量%の濃度で本明細書で使用するのに適している。
【0047】
組成物は、本明細書において、腐食防止剤、例えば、組成物の約0.05重量%〜約10重量%、好ましくは約0.1重量%〜約5重量%の濃度の有機銀コーティング剤(特に、ドイツ、ザルツベルゲン(Salzbergen)のヴィンターシャル(Wintershall)から販売されているヴィノヒ(Winog)70などのパラフィン)、窒素含有腐食防止化合物(例えば、ベンゾトリアゾール及びベンズイマダゾールであって、これらは英国特許第1137741A号を参照のこと)、及び組成物の約0.005重量%〜約5重量%、好ましくは約0.01重量%〜約1重量%、より好ましくは約0.02重量%〜約0.4重量%の濃度のMn(II)化合物、特に有機配位子のMn(II)塩を含有することができる。
【0048】
本明細書において好適な他の構成成分としては、約0.01%〜約5%の濃度の水溶性ビスマス化合物、例えば、酢酸ビスマス及びクエン酸ビスマス、約0.01%〜約6%の濃度の酵素安定剤、例えば、カルシウムイオン、ホウ酸、プロピレングリコール及び塩素漂白剤スカベンジャー、石灰石鹸分散剤(PCT国際公開特許第93/08877A号を参照のこと)、泡抑制剤(PCT国際公開特許第93/08876号及び欧州特許第0705324A号を参照のこと)、ポリマー移染防止剤、蛍光増白剤、香料、充填剤、及び粘土が挙げられる。
【0049】
液体洗剤組成物は、本発明の液体洗剤に使用することができる、メタノール、エタノール、プロパノール、及びイソプロパノールなどの、大量の低分子量一級又は二級アルコールを含有することができる。使用される他の好適なキャリア溶媒としては、グリセロール、プロピレングリコール、エチレングリコール、1,2−プロパンジオール、ソルビトール、ジプロピレングリコール、及びこれらの混合物が挙げられる。
【0050】
ポリマーフィルム
区画の壁部及び/又は印刷フィルムに好ましい材料は、高分子材料、好ましくはフィルム若しくはシートに形成されるポリマーである。高分子材料は、例えば、当該技術分野において既知であるような、高分子材料の注入成形、吹込成形、押出成形、又は押出ブロー成形によって得ることができる。好ましくは、高分子材料は、透明及び/又は半透明である。
【0051】
区画の壁部及び/又は印刷フィルム用の材料として使用するのに好適な、好ましいポリマー、コポリマー、又はこれらの誘導体は、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリアルキレンオキシド、アクリルアミド、アクリル酸、セルロース、セルロースエーテル、セルロースエステル、セルロースアミド、ポリビニルアセテート、ポリカルボン酸及びそれらの塩、ポリアミノ酸又はペプチド、ポリアミド、ポリアクリルアミド、マレイン酸/アクリル酸のコポリマー、デンプン及びゼラチンを包含する多糖、キサンタン及びカラゴムなどの天然ゴムから選択される。更に好ましいポリマーは、ポリアクリレート及び水溶性アクリレートコポリマー、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、デキストリン、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、マルトデキストリン、ポリメタクリレートから選択され、最も好ましくは、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリビニルアルコールコポリマー、及びヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、並びにこれらの組み合わせから選択される。好ましくは、区画の壁部又は印刷フィルム材料中のポリマー、例えばPVAポリマーの濃度は、少なくとも60%である。
【0052】
ポリマーは、任意の重量平均分子量、好ましくは約1000〜1,000,000、より好ましくは約10,000〜300,000、なお更に好ましくは約20,000〜150,000を有することができる。
【0053】
ポリマーの混合物も、区画の壁部及び/又は印刷フィルム材料として使用可能である。これは、その用途及び必要とされるニーズに応じて、区画又はパウチの機械的性質及び/又は溶解特性を制御するのに有益であり得る。好適な混合物としては、例えば、一方のポリマーが他方のポリマーよりも高い水溶性を有する混合物、及び/又は一方のポリマーが他方のポリマーよりも高い機械強度を有する混合物が挙げられる。また好適なのは、異なる重量平均分子量を有するポリマーの混合物、例えば、重量平均分子量が約10,000〜40,000、好ましくは20,000前後のPVA又はそのコポリマーと、重量平均分子量が約100,000〜300,000、好ましくは150,000前後のPVA又はそのコポリマーとの混合物である。
【0054】
また本明細書で好適なのは、ポリマーブレンド組成物、例えば、ポリラクチドとポリビニルアルコールとを混合することによって得られ、典型的には約1〜35重量%のポリラクチドと約65重量%〜99重量%のポリビニルアルコールとを含む、ポリラクチドとポリビニルアルコールとのような、加水分解可能でかつ水溶性のポリマーブレンドを含むものである。
【0055】
材料の溶解特性を改善するために約60%〜約98%加水分解された、好ましくは約80%〜約90%加水分解されたポリマーが、本明細書で使用するのに好ましい。
【0056】
最も好ましい材料は、米国インディアナ州のモノソルLLC(MonoSol LLC)から販売されているような、商品照会名モノソル(MonoSol)M8630として既知のPVAフィルム、及び対応する溶解度及び変形性特性のPVAフィルムである。本明細書で用いるのに好適な他のフィルムとしては、アイセロ(Aicello)から供給される商品照会名PTフィルム(PT film)若しくはK−シリーズのフィルムとして、又はクラレ(Kuraray)から供給されるVF−HPフィルム(VF-HP film)として既知のフィルムが挙げられる。
【0057】
区画の壁部又は印刷フィルム材料は、本明細書では、1つ以上の添加物成分を含むこともできる。例えば、可塑剤、例えばグリセロール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ソルビトール、及びこれらの混合物を添加することが有益なことがある。他の添加物としては、洗浄水に送達される機能性洗剤添加物、例えば有機ポリマー分散剤などが挙げられる。
【0058】
パウチは、水溶性のフィルムから作製され、前記水溶性のフィルムは典型的に、最大孔径50ミクロンのガラスフィルターを用いて以降に記載する方法で測定すると、少なくとも50%、好ましくは少なくとも75%、あるいは更には少なくとも95%の溶解性を有しており、この方法は、言い換えれば:
区画及び/又はパウチのフィルムの水溶性を決定する重力測定法であって:
10グラム±0.1グラムの材料を、重量を測定した400mLビーカーに加えて、245mL±1mLの蒸留水を添加する。これを、600rpmに設定された磁性攪拌器上で、30分間激しく攪拌する。次に混合物を、先に定義したような孔径(最大50ミクロン)の折り畳み構造の定性焼結ガラスフィルターを通して濾過する。回収した濾液から任意の従来法によって水を蒸発させて、残留ポリマーの重量を測定する(これは、溶解画分又は分散画分である)。その後、溶解度又は分散度%を計算することができる。
【0059】
印刷フィルム
本発明で使用される印刷フィルムは、典型的に、上記ポリマーフィルムの1つを含み、そのポリマーフィルムの上には画像が印刷されている。画像は、好ましくは、フィルムがシート状であるときか、単位用量の洗剤製品の壁部又は複数の壁部を形成するために使用される前か、又は単位用量の洗剤製品を形成した直後のいずれかにおいて、フィルム上に印刷されてよい。
【0060】
上記フィルムへの好ましい印刷方法としては、米国特許第5,666,785号及びPCT国際公開特許第06/124484号に記載されているものが挙げられるが、これらに限定されない。印刷は通常、インク及び染料を用いて履行され、それらを用いて水溶性のフィルム上にパターン及び色を付与する。輪転グラビア印刷、石版印刷、フレキソ印刷、多孔印刷及びスクリーン印刷、インクジェット印刷、凸版印刷、タンポグラフィー(tampography)、並びにこれらの組み合わせを包含する、あらゆる種類の印刷を使用することができる。本明細書に用いるのに好ましいのは、フレキソ印刷である。フレキソ印刷装置は、他の印刷技術と比較して、比較的安価であり、高速で運転される。フレキソ印刷の利点は、一般的な多印刷ステーションセットアップであるので、複数の印刷が通常の装置を用いて1パスで達成できることである。フレキソ印刷の別の利点は、インクジェット印刷よりも高粘度でしかも更に広い粒径範囲の印刷溶液を取り扱う、その柔軟性である。フレキソ印刷は、印刷溶液を所定の基材へ運ぶために、可撓性を高めたゴム又はフォトポリマープレートを使用する印刷技術である。本発明の方法では、前記可撓性プレートによって、前記水溶液がフィルムへ運ばれる。溶液が水系であるという事実は、プレートを膨潤させることによって印刷精度の低下を引き起こす可能性がある、プレートとの不親和性を生じさせない。
【0061】
好ましくは、印刷フィルムは、多区画の単位用量の洗剤製品類の外壁部のうち少なくとも1つを形成し;より好ましくは着色液体を含む区画の壁部のうち1つを形成し、最も好ましくは着色液体を含む区画の外壁部のうち少なくとも1つを形成する。好ましくは画像は、着色液体と接触しているポリマーフィルムの面(第1面)に印刷され、更になお好ましくは、周囲の大気と接触しているポリマーフィルムの面(第2面)に印刷される。特に好ましい一実施形態では、単位用量の液体洗剤製品の壁部がいずれもポリマーフィルムを含み、このポリマーフィルムの上には印刷が行われている。別の好ましい実施形態では、単位用量の洗剤製品の外壁部の全てが、印刷フィルムを含む。別の好ましい実施形態では、内壁部が印刷フィルムを含む。
【0062】
「発明を実施するための形態」で引用した全ての文献は、関連部分において本明細書に参考として組み込まれるが、いずれの文献の引用も、それが本発明に対する先行技術であることを容認するものと解釈されるべきではない。本明細書における用語の任意の意味又は定義が、参照により組み込まれた文献における同一の用語のいずれの意味又は定義とも相反する限りにおいては、本明細書においてその用語に与えられた意味又は定義が適用されるものとする。
【0063】
本発明の特定の実施形態を例示及び説明してきたが、本発明の趣旨及び範囲から逸脱することなく他の様々な変更及び修正を実施できることが、当業者には自明であろう。したがって、本発明の範疇にある全てのかかる変更及び修正を、添付の特許請求の範囲で網羅するものとする。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
単位用量の洗剤製品類における水溶性の印刷フィルム上の画像の視覚認知性を改善する方法であって、前記方法が、1つ以上の画像を水溶性のフィルム上に印刷する工程と、前記水溶性の印刷フィルムから単一区画又は多区画を作製する工程を含み、前記単一区画又は多区画は、前記単位用量の洗剤製品の単一区画又は多区画に入れた着色液体を含み、前記着色液体は、前記水溶性の印刷フィルムと隣接して配置されていることを特徴とする、方法。
【請求項2】
水溶性の印刷フィルムを含む1つ以上の区画を備えた単位用量の洗剤製品であって、前記印刷フィルムの上に印刷された1つ以上の画像を含み、前記1つ以上の区画が、前記1つ以上の画像が改善された認知性を有するように着色液体を含有することを特徴とする、単位用量の洗剤製品。
【請求項3】
前記単位用量の洗剤製品が多区画パウチであることを特徴とする、請求項2に記載の単位用量の洗剤製品。
【請求項4】
前記単位用量の洗剤製品が、前記着色液体を含有する区画とは別の区画に粉末洗剤を更に含むことを特徴とする、請求項3に記載の単位用量の洗剤製品。
【請求項5】
前記着色液体洗剤の色と前記印刷された画像の色とが異なることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記水溶性の印刷フィルムが透明なポリマーフィルムであることを特徴とする、請求項2に記載の単位用量の洗剤製品。
【請求項7】
個別の多区画の単位用量製品類を複数含む容器であって、前記個別の多区画の単位用量製品類が、着色液体と水溶性の印刷フィルムとを含む少なくとも1つの区画を含み、前記印刷フィルムの上には1つ以上の画像が印刷され、前記個別の多区画の単位用量製品類の少なくとも一部が、前記容器又はその壁部の少なくとも一部から確認することができ、前記容器又はその壁部の少なくとも一部が、前記水溶性の印刷フィルム上に印刷された1つ以上の画像に対応する表示を更に含むことを特徴とする、容器。

【公表番号】特表2010−512447(P2010−512447A)
【公表日】平成22年4月22日(2010.4.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−541313(P2009−541313)
【出願日】平成19年12月7日(2007.12.7)
【国際出願番号】PCT/US2007/025078
【国際公開番号】WO2008/073299
【国際公開日】平成20年6月19日(2008.6.19)
【出願人】(590005058)ザ プロクター アンド ギャンブル カンパニー (2,280)
【Fターム(参考)】