説明

印刷位置誤差補正方法及び装置

【課題】 版や印刷対象の微小な位置ずれを防止する。
【解決手段】 X軸方向のガイドレール10上を走行する版テーブル13と印刷対象テーブル14に、アライメントステージ23,28を設け、X軸とY軸の各バーミラー26,31と27,32を具備したトッププレート24,29上に版11や印刷対象12を保持させる。各テーブル13,14をブランケットロール17の直下を走行させて転写工程と再転写工程を行う間、レーザ測長器34,35と、2つの静電容量式変位計36a,36bで対応するX軸とY軸の各バーミラー26と27,31と32までの距離を計測し、その結果を基に、制御器33で版11や印刷対象12の位置と角度姿勢を求め、それを所定の目標位置及び角度姿勢と一致させるための位置及び角度の補正指令を各テーブル13,14の各アライメントステージ23,28へ与えることで、版11や印刷対象12の位置を補正させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、印刷装置にて印刷するときの印刷位置の誤差を補正するために用いる印刷位置誤差補正方法及び装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
印刷技術の1つとしてオフセット印刷があり、このうち、凹版を用いたオフセット印刷は、インキングされた凹版より転動するブランケットロールへインクを一旦転写(受理)した後、該ブランケットロールより印刷対象へインクの再転写(印刷)を行うことで、該印刷対象の表面に、上記凹版の印刷パターンを再現性よく印刷することができる手法として知られている。
【0003】
ところで、近年、液晶ディスプレイ等の電極パターン(導電パターン)を所要の基板上に形成する手法として、金属蒸着膜のエッチング等による微細加工に代えて、導電性ペーストを印刷インクとして用いた印刷技術、たとえば、凹版オフセット印刷技術を用いて基板上に電極パターンを印刷して形成する手法が提案されてきている。
【0004】
上記液晶ディスプレイ等の電極パターンを基板に形成する場合は、電極幅として、たとえば、10μm程度と微細なものが要求されることがある。更に、基板上に複数の電極パターンを重ね合わせて形成することがあり、この場合は版を代えて電極パターンの重ね刷りを行うことになるが、印刷位置がずれると電極パターンが崩れてしまうことから、対象によって要求精度は多少異なるが、上記電極幅を10μm程度とするような微細な電極パターンでは、重ね合わせる印刷位置の位置ずれを数μmあるいはそれ以下に抑えることが必要とされることもある。
【0005】
そのため、上記基板上に電極パターンを印刷により形成する場合は、紙等に文字や画像を印刷する従来の一般的なオフセット印刷に比して非常に高い印刷精度が要求される。このように、印刷対象に高い印刷精度のオフセット印刷を行う場合のオフセット印刷装置としては、版として印刷対象と同様の平板状の版を用いる形式の平板印刷装置とすることが有利とされている。
【0006】
そこで、オフセット印刷の印刷精度の向上を図ることができるようにするための印刷装置としては、たとえば、図8にその一例の概要を示す如き印刷装置が従来提案されている。すなわち、平らな版1が載置される版定盤(図示せず)を支持する版台車(版テーブル)2と、印刷対象(被印刷物)となるガラス基板3が載置される印刷定盤(図示せず)を支持する印刷台車(印刷対象テーブル)4の下側に、ガイドブロック(スライダ)5と6を、それぞれ同一寸法、同一配置で固着させて設け、同一のガイドレール(レール)7に、上記版台車2と印刷台車4を、それぞれのガイドブロック5と6を介して走行(往復動)できるように取り付け、更に、上記ガイドレール7を跨ぐようにブランケットロール(ブランケット胴)8を設置した構成としてある。
【0007】
かかる構成としてある印刷装置によれば、上記ブランケットロール8の直下で上記ガイドレール7の真直度が低下していて、当該位置で上記版台車2及び印刷台車4の姿勢が傾いたとしても、双方の台車2と4が同一の傾きとなることで、該各台車2と4上にそれぞれ支持された版1とガラス基板3との姿勢誤差が抑制され、上記版1からブランケットロール8へのインクの転写(樹脂転移、受理)と、上記ブランケットロール8からガラス基板3へのインクの再転写(絵柄転写、印刷)の各工程が同一位置で行われることで、印刷精度を高めることができるとされている(たとえば、特許文献1参照)。
【0008】
なお、オフセット印刷を行う際における印刷位置の位置ずれの発生を防止するための手法としては、たとえば、ブランケットロール(転写ドラム)の下方を走行する台車上に、XYθの3方向の位置合わせが可能なXYθテーブルを設けて、該XYθテーブル上に印刷対象となる基板を保持させるようにし、且つ上記台車上における上記XYθテーブルと台車走行方向に並ぶ個所に印刷版を載置してなる構成を備えた印刷装置において、上記印刷版よりブランケットロールへインクを転写(受理)する工程と、該ブランケットロールより上記XYθテーブル上に保持した基板へインクを再転写(印刷)する工程を順次実施することで基板に対するオフセット印刷処理を行なった時点で、上記XYθテーブル上に保持されている印刷処理済みの基板に印刷された印刷パターンの所定個所をCCDカメラにより撮像して、該CCDカメラの出力を基に印刷パターンの位置ずれ量を検出する。次いで、上記XYθテーブル上の上記印刷処理済みの基板を取外してから、該XYθテーブル上に次に印刷処理するための新たな基板を取り付けた時点で、印刷処理を開始する前に、上記XYθテーブルにより、該新たな基板の位置を、前回印刷処理した基板の印刷パターンについて検出された位置ずれ量を参考に決定された補正量で位置補正するようにし、これにより、上記新たな基板に対して印刷される印刷パターンの位置ずれの発生を防止させるようにする手法が従来提案されている(たとえば、特許文献2参照)。
【0009】
又、別の手法としては、上記と同様の構成としてある印刷装置において、印刷版よりブランケットロールへインクを転写(受理)する工程と、該ブランケットロールよりXYθテーブル上に保持した基板へインクを再転写(印刷)する工程を順次実施することで上記基板に対するオフセット印刷処理を行う際に、上記転写(受理)工程が終了した時点で、上記ブランケットロールの表面における上記印刷版より転写されたインクの位置をCCDカメラにより撮像する一方、上記XYθテーブル上の基板の表面に予め設けられている位置合わせマークを別のCCDカメラにより撮像して、両CCDカメラの出力を基に上記XYθテーブルを駆動して基板の位置補正を行い、しかる後、該位置補正された基板に対して上記ブランケットロールからのインクの再転写(印刷)を行う再転写工程を実施させるようにすることで、基板に対し印刷される印刷パターンの位置ずれの発生を防止させるようにする手法も従来提案されている(たとえば、特許文献3参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開2008−129362号公報
【特許文献2】特開平5−55799号公報
【特許文献3】特開平5−55798号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
ところが、一般に、オフセット印刷処理を実施する場合、転写(受理)工程では、転動するブランケットロールを、その下方を移動する版に対して所要の印圧(接触圧力)で押し付けるようにして接触させるようにしてあり、同様に、再転写(印刷)工程では、転動するブランケットロールを、その下方を移動する基板等の印刷対象に対して所要の印圧(接触圧力)で押し付けるようにして接触させるようにしてあるため、上記版や印刷対象が上記ブランケットロールからの印圧による荷重を受けることで該版や印刷対象を保持している構造体に歪みが生じてしまい、そのために上記版や印刷対象には微小な位置ずれが生じているというのが実状である。
【0012】
しかし、前述した基板上に液晶ディスプレイ等の電極パターンを印刷により形成する場合のように、印刷位置の位置ずれを数μmあるいはそれ以下に抑えることが必要とされるような精密な印刷を実施する場合には、上記オフセット印刷処理時にブランケットロールより印圧の荷重を受ける版や印刷対象に生じる微小な位置ずれであっても、この版や印刷対象の微細な位置ずれに起因して印刷位置の誤差、すなわち、印刷パターンの再現性の低下が生じると、必要とされる印刷精度を満足させることができなくなる可能性がある。
【0013】
なお、上記特許文献1に示されたものは、オフセット印刷に用いる版1及びガラス基板3について、それぞれ対応する版台車2及び印刷台車4に保持させた後に位置補正する機構は備えていない。よって、オフセット印刷処理時にブランケットロール8より印圧の荷重を受ける上記版1や印刷対象となるガラス基板3に生じる微小な位置ずれを補正することができるものではない。
【0014】
上記特許文献2及び特許文献3には、オフセット印刷処理を行うための印刷装置において、台車上のXYθテーブル上に保持した状態の基板を、該XYθテーブルを用いて位置補正を行う考えは示されているが、このXYθテーブルを用いた基板の位置補正は、特許文献2に示されたものでは、或る基板に対するオフセット印刷処理を行った後、次の基板に対するオフセット印刷処理を開始する前に行うようにしてあり、又、特許文献3に示されたものでは、或る基板に対する転写(受理)工程を行った後、該基板に対する再転写(印刷)工程を開始する前に行うようにしてあるため、上記オフセット印刷処理時にブランケットロールより印圧の荷重を受ける上記基板に生じる微小な位置ずれを位置補正することができるものではない。
【0015】
しかも、上記特許文献2及び特許文献3に示されたものでは、台車上に一旦載置した印刷版について位置補正する機構は備えていないため、オフセット印刷処理時にブランケットロールより印圧の荷重を受ける上記印刷版に生じる微小な位置ずれを補正することはできない。
【0016】
そこで、本発明は、オフセット印刷処理を行う際に、ブランケットロールより印圧の荷重を受ける版や印刷対象に微小な位置ずれが生じても、その位置ずれを補正できて、印刷位置の誤差が生じる虞を未然に防止でき、よって、精密印刷を高精度に行うことが可能な印刷位置誤差補正方法及び装置を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0017】
本発明は、上記課題を解決するために、請求項1に対応して、平面上の直交する二方向と回転方向へ精密駆動可能にトッププレートを備えてなる版用アライメントステージを版テーブル上に設けて、ガイドレールに沿いブランケットロールの直下を走行させ、該版用アライメントステージのトッププレート上に保持した版にブランケットロールを上方から所要の印圧で接触させて転写工程を行うときに、上記版用アライメントステージのトッププレート上に保持した版の位置と角度姿勢を検出し、該検出された版の位置と角度姿勢が所定の目標位置及び角度姿勢と一致するように、上記版用アライメントステージによりトッププレートと共に版の位置及び角度姿勢を補正するようにし、更に、平面上の直交する二方向と回転方向へ精密駆動可能にトッププレートを備えてなる印刷対象用アライメントステージを印刷対象テーブル上に設けて、ガイドレールに沿いブランケットロールの直下を走行させ、該印刷対象用アライメントステージのトッププレート上に保持した印刷対象にブランケットロールを上方から所要の印圧で接触させて再転写工程を行うときに、上記印刷対象用アライメントステージのトッププレート上に保持した印刷対象の位置と角度姿勢を検出し、該検出された印刷対象の位置と角度姿勢が所定の目標位置及び角度姿勢と一致するように、上記印刷対象用アライメントステージによりトッププレートと共に印刷対象の位置及び角度姿勢を補正するようにする印刷位置誤差補正方法とする。
【0018】
更に、上記構成において、版用アライメントステージのトッププレート上に保持した版の位置と角度姿勢を、該版用アライメントステージのトッププレートに設けたX軸バーミラーとY軸バーミラーのうちのいずれか一方のバーミラーの長手方向所要間隔の2個所及びいずれか他方のバーミラーの1個所について検出した位置と、上記版用アライメントステージのトッププレートにおける上記X軸バーミラー及びY軸バーミラーの設置個所と版の保持個所との相対的な配置の情報を基に検出するようにし、且つ印刷対象用アライメントステージのトッププレート上に保持した印刷対象の位置と角度姿勢を、該印刷対象用アライメントステージのトッププレートに設けたX軸バーミラーとY軸バーミラーのうちのいずれか一方のバーミラーの長手方向所要間隔の2個所及びいずれか他方のバーミラーの1個所について検出した位置と、上記印刷対象用アライメントステージのトッププレートにおける上記X軸バーミラー及びY軸バーミラーの設置個所と印刷対象の保持個所との相対的な配置の情報を基に検出するようにする。
【0019】
又、請求項3に対応して、ブランケットロールの下方に配設してあるガイドレールに沿って走行する版テーブルに、トッププレートを平面上の直交する二方向と回転方向へ精密駆動可能に備えてなる版用アライメントステージを設けて、該版用アライメントステージのトッププレート上に版を保持できるようにすると共に、上記ガイドレールに沿って走行する印刷対象テーブルに、トッププレートを平面上の直交する二方向と回転方向へ精密駆動可能に備えてなる印刷対象用アライメントステージを設けて、該印刷対象用アライメントステージのトッププレート上に印刷対象を保持できるようにし、且つ上記ブランケットロールの直下を走行する版テーブルに版用アライメントステージを介して保持された版の位置及び角度姿勢を検出するための手段と、上記ブランケットロールの直下位置を走行する印刷対象テーブルに印刷対象用アライメントステージを介して保持された印刷対象の位置及び角度姿勢を検出するための手段を備え、更に、上記版テーブルが上記ブランケットロールの直下を走行するときに検出される上記版の位置及び角度姿勢を所定の目標位置及び角度姿勢と一致させるための位置及び角度の補正指令を、上記版テーブルの版用アライメントステージへ与える機能と、上記印刷対象テーブルが上記ブランケットロールの直下を走行するときに検出される上記印刷対象の位置及び角度姿勢を所定の目標位置及び角度姿勢と一致させるための位置及び角度の補正指令を、上記印刷対象テーブルの印刷対象用アライメントステージへ与える機能を有する制御器を備えてなる構成を有する印刷位置誤差補正装置とする。
【0020】
更に、上記構成において、ブランケットロールの直下を走行する版テーブルに版用アライメントステージを介して保持された版の位置及び角度姿勢を検出する手段として、上記版用アライメントステージのトッププレートにX軸バーミラーとY軸バーミラーを設けると共に、該版用アライメントステージのトッププレートに設けた各バーミラーのうちのいずれか一方のバーミラーの長手方向所要間隔の2個所といずれか他方のバーミラーの1個所までの距離をそれぞれのバーミラーの長手方向に直交する方向から計測するための距離センサを備え、且つブランケットロールの直下を走行する印刷対象テーブルに印刷対象用アライメントステージを介して保持された印刷対象の位置及び角度姿勢を検出する手段として、上記印刷対象用アライメントステージのトッププレートにX軸バーミラーとY軸バーミラーを設けると共に、該印刷対象用アライメントステージのトッププレートに設けた各バーミラーのうちのいずれか一方のバーミラーの長手方向所要間隔の2個所及びいずれか他方のバーミラーの1個所までの距離をそれぞれのバーミラーの長手方向に直交する方向から計測するための距離センサを備えてなる構成とする。
【0021】
更に又、上記構成において、版用アライメントステージと印刷対象用アライメントステージの各トッププレートに設ける各X軸バーミラーと各Y軸バーミラーを、それぞれガイドレール長手方向とそれに直交する方向に沿うように配置し、且つブランケットロールの直下位置近傍でガイドレールの片側の外方となる個所に、距離センサを、上記ガイドレールの長手方向と直交する方向に沿って内向きに設けて、該距離センサにより、上記ブランケットロールの直下を走行する版テーブル上の版用アライメントステージのトッププレートに設けたX軸バーミラーまでの距離と、上記ブランケットロールの直下を走行する印刷対象テーブル上の印刷対象用アライメントステージのトッププレートに設けたX軸バーミラーまでの距離を共に計測できるようにした構成とする。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、以下のような優れた効果を発揮する。
(1)平面上の直交する二方向と回転方向へ精密駆動可能にトッププレートを備えてなる版用アライメントステージを版テーブル上に設けて、ガイドレールに沿いブランケットロールの直下を走行させ、該版用アライメントステージのトッププレート上に保持した版にブランケットロールを上方から所要の印圧で接触させて転写工程を行うときに、上記版用アライメントステージのトッププレート上に保持した版の位置と角度姿勢を検出し、該検出された版の位置と角度姿勢が所定の目標位置及び角度姿勢と一致するように、上記版用アライメントステージによりトッププレートと共に版の位置及び角度姿勢を補正するようにし、更に、平面上の直交する二方向と回転方向へ精密駆動可能にトッププレートを備えてなる印刷対象用アライメントステージを印刷対象テーブル上に設けて、ガイドレールに沿いブランケットロールの直下を走行させ、該印刷対象用アライメントステージのトッププレート上に保持した印刷対象にブランケットロールを上方から所要の印圧で接触させて再転写工程を行うときに、上記印刷対象用アライメントステージのトッププレート上に保持した印刷対象の位置と角度姿勢を検出し、該検出された印刷対象の位置と角度姿勢が所定の目標位置及び角度姿勢と一致するように、上記印刷対象用アライメントステージによりトッププレートと共に印刷対象の位置及び角度姿勢を補正するようにする印刷位置誤差補正方法及び装置としてあるので、版テーブルに版用アライメントステージを介して保持した版よりブランケットロールへインクの転写(受理)を行う転写工程の間に、ブランケットロールより印圧の荷重を受ける版に所定の目標位置及び角度姿勢からの微小な位置ずれが生じても、上記版用アライメントステージの精密駆動により該版に生じた位置ずれを直ちに補正することができるため、版よりブランケットロールへ転写(受理)される印刷パターンに位置ずれが生じる虞を然に防止できる。又、印刷対象テーブル上に印刷対象用アライメントステージを介して保持された印刷対象へ上記ブランケットロールよりインクの再転写(印刷)を行う再転写工程の間に、ブランケットロールより印圧の荷重を受ける印刷対象に所定の目標位置及び角度姿勢からの微小な位置ずれが生じても、上記印刷対象用アライメントステージの精密駆動により該印刷対象に生じた位置ずれを直ちに補正することができるため、上記ブランケットロールより印刷対象へ再転写(印刷)される印刷パターンに位置ずれが生じる虞を未然に防止できる。
(2)よって、印刷位置に誤差が生じる虞を防止して印刷パターンの再現性を高めることができて、印刷精度の向上化を図ることができることから、印刷対象となる基板上に液晶ディスプレイ等の電極パターンを印刷により形成する場合のように、印刷位置の位置ずれを数μmあるいはそれ以下に抑えることが必要とされるような精密印刷を高精度に行うことが可能になる。
(3)版用アライメントステージのトッププレート上に保持した版の位置と角度姿勢を、該版用アライメントステージのトッププレートに設けたX軸バーミラーとY軸バーミラーのうちのいずれか一方のバーミラーの長手方向所要間隔の2個所及びいずれか他方のバーミラーの1個所について検出した位置と、上記版用アライメントステージのトッププレートにおける上記X軸バーミラー及びY軸バーミラーの設置個所と版の保持個所との相対的な配置の情報を基に検出するようにし、且つ印刷対象用アライメントステージのトッププレート上に保持した印刷対象の位置と角度姿勢を、該印刷対象用アライメントステージのトッププレートに設けたX軸バーミラーとY軸バーミラーのうちのいずれか一方のバーミラーの長手方向所要間隔の2個所及びいずれか他方のバーミラーの1個所について検出した位置と、上記印刷対象用アライメントステージのトッププレートにおける上記X軸バーミラー及びY軸バーミラーの設置個所と印刷対象の保持個所との相対的な配置の情報を基に検出するようにすることにより、版テーブルの版用アライメントステージのトッププレートに設けたX軸バーミラー及びY軸バーミラーの位置と、いずれか一方のバーミラーの角度姿勢の検出を基にして該トッププレート上に保持された版の位置及び角度姿勢を容易に且つ確実に検出できると共に、印刷対象テーブルの印刷対象用アライメントステージのトッププレートに設けたX軸バーミラー及びY軸バーミラーの位置と、いずれか一方のバーミラーの角度姿勢の検出を基にして該トッププレート上に保持された印刷対象の位置及び角度姿勢を容易に且つ確実に検出することができる。よって、ブランケットロールより印圧の荷重を受ける版や印刷対象に生じる所定の目標位置及び角度姿勢からの微小な位置ずれを精度よく検出することができるため、上記版テーブル上に版用アライメントステージを介して保持された版と、印刷対象テーブル上に印刷対象用アライメントステージを介して保持された印刷対象の微小な位置ずれを補正できて、印刷精度の更なる向上化を計ることができる。
(4)ブランケットロールの直下を走行する版テーブルに版用アライメントステージを介して保持された版の位置及び角度姿勢を検出する手段として、上記版用アライメントステージのトッププレートにX軸バーミラーとY軸バーミラーを設けると共に、該版用アライメントステージのトッププレートに設けた各バーミラーのうちのいずれか一方のバーミラーの長手方向所要間隔の2個所といずれか他方のバーミラーの1個所までの距離をそれぞれのバーミラーの長手方向に直交する方向から計測するための距離センサを備え、且つブランケットロールの直下を走行する印刷対象テーブルに印刷対象用アライメントステージを介して保持された印刷対象の位置及び角度姿勢を検出する手段として、上記印刷対象用アライメントステージのトッププレートにX軸バーミラーとY軸バーミラーを設けると共に、該印刷対象用アライメントステージのトッププレートに設けた各バーミラーのうちのいずれか一方のバーミラーの長手方向所要間隔の2個所及びいずれか他方のバーミラーの1個所までの距離をそれぞれのバーミラーの長手方向に直交する方向から計測するための距離センサを備えてなる構成とすることにより、上記各距離センサによる対応するバーミラーまでの距離の計測結果と、装置構成上明らかな該各距離センサの設置位置情報を基に該各バーミラーの位置及び角度姿勢を検出でき、該検出された各バーミラーの位置及び角度姿勢と、装置構成上明らかな版用及び印刷対象用の各アライメントステージのトッププレートにおける各バーミラーの設置個所と版及び印刷対象の保持個所との相対的な配置の情報とを基に、該版及び印刷対象の位置及び角度姿勢を検出できるため、上記(3)の効果を得るための装置構成を容易に実現できる。
(5)版用アライメントステージと印刷対象用アライメントステージの各トッププレートに設ける各X軸バーミラーと各Y軸バーミラーを、それぞれガイドレール長手方向とそれに直交する方向に沿うように配置し、且つブランケットロールの直下位置近傍でガイドレールの片側の外方となる個所に、距離センサを、上記ガイドレールの長手方向と直交する方向に沿って内向きに設けて、該距離センサにより、上記ブランケットロールの直下を走行する版テーブル上の版用アライメントステージのトッププレートに設けたX軸バーミラーまでの距離と、上記ブランケットロールの直下を走行する印刷対象テーブル上の印刷対象用アライメントステージのトッププレートに設けたX軸バーミラーまでの距離を共に計測できるようにした構成とすることにより、上記(4)の構成を実現するために必要となる距離センサの数を削減することが可能になるため、装置構成をシンプルなものとすることができると共に、コストの削減効果が期待できる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明の印刷位置誤差補正方法及び装置の実施の一形態を示す概略平面図である。
【図2】図1の印刷位置誤差補正装置の概略側面図である。
【図3】本発明を適用するオフセット印刷装置の全体構成の概要を示す側面図である。
【図4】図1の印刷位置誤差補正装置の再転写工程での使用状態を示す概略平面図である。
【図5】図1の印刷位置誤差補正装置の再転写工程での使用状態を示す概略側面図である。
【図6】本発明の実施の他の形態を示す概略平面図である。
【図7】本発明の実施の更に他の形態を示す概略平面図である。
【図8】オフセット印刷の印刷精度を高めるために従来提案されている手法の一例を示す概要図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明を実施するための形態を図面を参照して説明する。
【0025】
図1乃至図5は本発明の印刷位置誤差補正方法及び装置の実施の一形態として、図3に示す如きオフセット印刷装置に適用する場合の例を示すもので、以下のようにしてある。
【0026】
ここで、先ず、図3に示したオフセット印刷装置の基本構成について概説すると、該オフセット印刷装置は、水平な架台9の上側に、一方向(X軸方向)に延びるガイドレール10を、たとえば、2本一組で設ける。上記ガイドレール10には、平板状の版11と基板等の平板状の印刷対象12を上面部に保持させるための移動テーブルとして、たとえば、版11と印刷対象12をそれぞれ個別に保持できるようにした版テーブル13と印刷対象テーブル14とを、ガイドレール10の長手方向一端側(図3における左側)より順に並べて配置した状態で、それぞれ個別のガイドブロック15を介して移動可能に取り付ける。且つ上記各テーブル13,14には、図示しないリニアモータ等の個別の駆動装置を備えて、上記ガイドレール10に沿って独立して往復動(走行)できるようにすると共に、上記架台9上の所要個所に上記ガイドレール10に沿って設けた図示しないリニアスケールにより、上記版テーブル13と印刷対象テーブル14のガイドレール10の長手方向に沿う位置、すなわち、X軸方向の所要の点を基準とする絶対位置(座標)の検出を行うことができるようにする。
【0027】
更に、上記ガイドレール10の長手方向における上記版テーブル13及び印刷対象テーブル14が共に走行可能な途中位置、たとえば、上記ガイドレール10の長手方向中間位置と対応する上記架台9上の所要個所に、上記ガイドレール10の所要寸法上方位置に該ガイドレール10の長手方向と直交する方向(Y軸方向)に配置したブランケットロール17と、該ブランケットロール17を回転駆動するためのモータ等の回転用駆動機構18と、上記ブランケットロール17を昇降させるためのボールねじ機構等の昇降用駆動機構19を備えた転写機構部16を設けてなる構成とする。これにより、上記転写機構部16のブランケットロール17を、上記回転用駆動機構18により転動させた状態で、上記昇降用駆動機構19により昇降させて、上記ガイドレール10上を走行する版テーブル13上に保持させたインキング済みの版11に上方より接触させ、次いで、上記ブランケットロール17を、上記ガイドレール10上を走行する印刷対象テーブル14上に保持させた印刷対象12に上方より接触させることで、上記版11からブランケットロール17へのインクの転写(受理)工程と、該ブランケットロール17から印刷対象12へのインクの再転写(印刷)工程による印刷処理を行わせることができるようにしてある。
【0028】
更に、上記ガイドレール10の長手方向における上記版テーブル13が走行可能な別の途中位置、たとえば、上記転写機構部16よりもガイドレール10の長手方向一端側へ所要寸法離れた位置となる上記架台9上の所要個所に、上記版テーブル13に保持される版11に対してインキングを行うためのインキング装置20を設けた構成としてある。
【0029】
更に又、上記架台9上におけるガイドレール10の長手方向一端部と対応する個所には、ガイドレール10の長手方向一端部まで版テーブル13を移動させて待機させるための版テーブル待機エリア21を備え、上記架台9上におけるガイドレール10の長手方向他端部と対応する個所に、ガイドレール10の長手方向他端部まで印刷対象テーブル14を移動させて待機させた状態で、該印刷対象テーブル14に対して新たな印刷対象12の取り付けと印刷後の印刷対象12の取外しを行うための印刷対象設置エリア22を備えた構成としてある。
【0030】
上記構成としてあるオフセット印刷装置に適用する本発明の印刷位置誤差補正装置は、図1及び図2に示す如き構成としてある。
【0031】
すなわち、3軸又は4軸の図示しない駆動ユニットを具備したアライメント駆動機構25の上側にトッププレート24を取り付けてなる構成として、該トッププレート24を上記アライメント駆動機構25により、平面上の直交する二方向と回転方向、具体的には、上記ガイドレール10の長手方向(X軸方向)及びそれに直交する方向(Y軸方向)への水平移動と、ガイドレール10の長手方向に対するヨー角度(θ)の回転について精密駆動できるようにしてなる版用のアライメントステージ23を、上記版テーブル13の上部に設けて、該版テーブル13上にて、上記版用アライメントステージ23の上記トッププレート24の上側に、版11を保持できるようにする。
【0032】
更に、上記版用アライメントステージ23のトッププレート24におけるガイドレール10の長手方向一端側(図1、図2における左側)に臨む端縁部の上側に、Y軸方向に沿って延びるY軸バーミラー26を設けると共に、上記トッププレート24のY軸方向一端側の端縁部の上側に、X軸方向に沿って延びるX軸バーミラー27を設ける。
【0033】
なお、上記Y軸バーミラー26及びX軸バーミラー27は、その高さ寸法が、上記トッププレート24上に保持した状態の版11の上面の高さ位置よりも所要量低くなるように設定してあり、これにより、上記転写機構部16でブランケットロール17を上記版テーブル13の版用アライメントステージ23のトッププレート24上に保持した版11の上面に対して所要の印圧を印加した状態で接触させるときにも、該ブランケットロール17が、上記Y軸バーミラー26及びX軸バーミラー27に接触しないようにしてある。
【0034】
又、上記版用アライメントステージ23と同様に、3軸又は4軸の図示しない駆動ユニットを具備したアライメント駆動機構30の上側にトッププレート29を取り付けてなる構成として、該トッププレート29を上記アライメント駆動機構30により上記ガイドレール10の長手方向(X軸方向)及びそれに直交する方向(Y軸方向)への水平移動と、ガイドレール10の長手方向に対するヨー角度(θ)の回転について精密駆動できるようにしてなる印刷対象用のアライメントステージ28を、上記印刷対象テーブル14の上部に設けて、該印刷対象テーブル14上にて、上記印刷対象用アライメントステージ28の上記トッププレート29の上側に、印刷対象12を保持できるようにする。
【0035】
更に、上記印刷対象用アライメントステージ28のトッププレート29におけるガイドレール10の長手方向他端側(図1、図2における右側)に臨む端縁部の上側に、Y軸方向に沿って延びるY軸バーミラー31を設けると共に、上記トッププレート29のY軸方向の一端側端縁部の上側に、X軸方向に沿って延びるX軸バーミラー32を設ける。
【0036】
なお、上記Y軸バーミラー31及びX軸バーミラー32は、その高さ寸法が、上記トッププレート29上に保持した状態の印刷対象12の上面の高さ位置よりも所要量低くなるように設定してあり、これにより、上記転写機構部16でブランケットロール17を上記印刷対象テーブル14の印刷対象用アライメントステージ28のトッププレート29上に保持した印刷対象12の上面に対して所要の印圧を印加した状態で接触させるときにも、該ブランケットロール17が、上記Y軸バーミラー31及びX軸バーミラー32に接触しないようにしてある。
【0037】
更に、上記版テーブル13及び印刷対象テーブル14が、転写機構部16のブランケットロール17の直下位置をそれぞれ走行するときに、該各テーブル13,14の各アライメントステージ23,28の各トッププレート24,29上に設けてあるY軸バーミラー26,31とX軸バーミラー27,32について、該Y軸バーミラー26,31の1個所とX軸バーミラー27,32の長手方向(X軸方向)所要間隔の2個所、又は、該Y軸バーミラー26,31の長手方向(Y軸方向)所要間隔の2個所とX軸バーミラー27,32の1個所までの距離を、それぞれ個別に計測するための距離センサを備えると共に、該各距離センサより入力される信号を基に、上記版テーブル13及び印刷対象テーブル14の各アライメント駆動機構25,30へ補正指令を与える制御器33を備えた構成とする。
【0038】
具体的には、上記架台9の長手方向一端側の外部における上記版テーブル13上の版用アライメントステージ23のトッププレート24上に設けたY軸バーミラー26の長手方向中間部と対応するY軸方向所要個所で、且つ該Y軸バーミラー26と対応する高さとなる位置に、距離センサとしてのレーザ測長器34を、上記Y軸バーミラー26と対面するようX軸方向に沿って内向きに配置して、図示しない取付手段により所要の固定部に取り付ける。これにより、転写機構部16のブランケットロール17の直下位置を版テーブル13が走行するときに、上記レーザ測長器34により、該版テーブル13の版用アライメントステージ23のトッププレート24上に設けてあるY軸バーミラー26の長手方向中間部の1個所までのX軸方向に沿う距離を計測することができるようにしてある。
【0039】
又、上記架台9の長手方向他端側の外部における上記印刷対象テーブル14上の印刷対象用アライメントステージ28のトッププレート29上に設けたY軸バーミラー31の長手方向中間部と対応するY軸方向所要個所で、且つ該Y軸バーミラー31と対応する高さとなる位置に、距離センサとしてのレーザ測長器35を、上記Y軸バーミラー31と対面するようX軸方向に沿って内向きに配置し、図示しない取付手段により所要の固定部に取り付ける。これにより、転写機構部16のブランケットロール17の直下位置を印刷対象テーブル14が走行するときに、上記レーザ測長器35により、該印刷対象テーブル14の印刷対象用アライメントステージ28のトッププレート29上に設けてあるY軸バーミラー31の長手方向中間部の1個所までのX軸方向に沿う距離を計測できるようにしてある。
【0040】
更に、上記架台9のY軸方向一端側の外部における上記転写機構部16のブランケットロール17の軸心に沿う直線の直下位置よりX軸方向の両側へそれぞれ所要寸法離れた2個所で、且つ上記版テーブル13及び印刷対象テーブル14の各アライメントステージ23,28の各トッププレート24,29上に設けてある各X軸バーミラー27,32と対応する高さとなる位置に、距離センサとしての静電容量式変位計36aと36bを、それぞれY軸方向に沿う内向きに配置して、図示しない取付手段により所要の固定部に取り付ける。これにより、上記版テーブル13及び印刷対象テーブル14が上記転写機構部16のブランケットロール17の直下位置を走行するときに、該各テーブル13,14の各アライメントステージ23,28のトッププレート24,29上にそれぞれ設けてあるX軸バーミラー27,32が、上記各静電容量式変位計36a,36bの前方近傍位置を該各静電容量式変位計36a,36bに対面した状態で通過するようにしてあり、その際、上記各静電容量式変位計36a,36bにより、上記各テーブル13,14の各アライメントステージ23,28の各トッププレート24,29上に設けてある各X軸バーミラー27,32における該各静電容量式変位計36a,36bの前方に位置する2個所までのY軸方向に沿う距離を、個別に計測できるようにしてある。
【0041】
上記制御器33は、上記各レーザ測長器34,35、及び、各静電容量式変位計36a,36bについて各々の設置位置(X軸方向及びY軸方向に関する位置)の情報、並びに、版テーブル13の版用アライメントステージ23のトッププレート24上におけるY軸バーミラー26及びX軸バーミラー27と版11の保持個所との相対的な配置の情報と、印刷対象テーブル14の印刷対象用アライメントステージ28のトッププレート29上におけるY軸バーミラー31及びX軸バーミラー32と印刷対象12の保持個所との相対的な配置の情報を予め格納(蓄積)して備えるようにしてある。
【0042】
又、上記制御器33は、上記版テーブル13が転写機構部16のブランケットロール17の直下位置を走行するときに、上記レーザ測長器34より版テーブル13の版用アライメントステージ23のトッププレート24上に設けてあるY軸バーミラー26の長手方向中間部の1個所までのX軸方向に沿う距離の計測信号が入力されると、該計測されたX軸方向の距離と、予め格納してある上記レーザ測長器34の設置位置情報とを基に、上記版テーブル13の版用アライメントステージ23のトッププレート24上に設けてあるY軸バーミラー26のX軸方向の位置を検出し、更に、予め格納してある上記トッププレート24上における該Y軸バーミラー26の設置個所と版11の保持個所との相対的な配置の情報を基に、版テーブル13の版用アライメントステージ23のトッププレート24上に保持された版11のX軸方向位置をリアルタイムに検出する機能を備えるようにしてある。
【0043】
更に、上記制御器33は、上記版テーブル13が転写機構部16のブランケットロール17の直下位置を走行するときに、上記各静電容量式変位計36a,36bより版テーブル13の版用アライメントステージ23のトッププレート24上に設けてあるX軸バーミラー27における該各静電容量式変位計36a,36bの前方に位置する2個所までのY軸方向に沿う距離の計測信号がそれぞれ入力されると、該各計測されたY軸方向の距離と、予め格納してある上記各静電容量式変位計36a,36bの設置位置情報とを基に、上記版テーブル13の版用アライメントステージ23のトッププレート24上に設けてあるX軸バーミラー27の長手方向(X軸方向)の2個所についてY軸方向の位置を検出すると共に、該検出された各個所についてのY軸方向位置の差と、上記X軸バーミラー27における上記各静電容量式変位計36a,36bによる計測対象とした2個所のX軸方向間隔とから、上記X軸バーミラー27のX軸方向に対する角度姿勢を検出し、更に、予め格納してある上記トッププレート24上における該X軸バーミラー27の設置個所と版11の保持個所との相対的な配置の情報を基に、版テーブル13の版用アライメントステージ23のトッププレート24上に保持された版11のY軸方向位置と、該版11のX軸方向に対する角度姿勢をリアルタイムに検出する機能を備えるようにしてある。
【0044】
更に又、上記制御器33は、上記版テーブル13が転写機構部16のブランケットロール17の直下位置を走行する際、上記のようにして版テーブル13の版用アライメントステージ23のトッププレート24上に保持された版11のX軸方向位置及びY軸方向位置と、該版11のX軸方向に対する角度姿勢がリアルタイムに検出されると、該検出された版11のX軸方向及びY軸方向の位置と角度姿勢を、上記版用アライメントステージ23のトッププレート24上に保持された版11が版テーブル13のガイドレール10に沿う走行に伴ってその時点で位置させられているべき本来のX軸方向及びY軸方向の位置とX軸方向に沿う角度姿勢である目標位置及び角度姿勢に一致させるために必要となるX軸方向及びY軸方向に関する位置補正量と角度補正量とを逐次求める機能を備え、且つ該求められた位置補正量及び角度補正量に応じた補正指令を、上記版テーブル13の版用アライメントステージ23のアライメント駆動機構25へ順次与える機能を備えるようにしてある。
【0045】
なお、上記において、制御器33にて版11のX軸方向に関する位置補正量を求めるための目標位置となる上記版用アライメントステージ23のトッププレート24上に保持された版11が版テーブル13のガイドレール10に沿う走行に伴って位置させられているべき本来のX軸方向の位置は、上記制御器33に、架台9上に設けてある図示しないリニアスケールより上記版テーブル13のX軸方向の位置の検出信号が入力されるようにしておくことで、該制御器33により版テーブル13のX軸方向位置をリアルタイムに検出し、該検出された版テーブル13のX軸方向位置と、版テーブル13における版用アライメントステージ23のトッププレート24上の版11の保持個所の相対的な配置とを基に求めるようにしてあるものとする。
【0046】
一方、上記印刷対象テーブル14が転写機構部16のブランケットロール17の直下位置を走行するときには、上記制御器33は、上記レーザ測長器35より入力される印刷対象テーブル14の印刷対象用アライメントステージ28のトッププレート24上に設けてあるY軸バーミラー31の長手方向中間部の1個所までのX軸方向に沿う距離の計測信号と、予め格納してある上記レーザ測長器35の設置位置情報とを基に、上記印刷対象テーブル14の印刷対象用アライメントステージ28のトッププレート29上に設けてあるY軸バーミラー31のX軸方向の位置を検出した後、予め格納してある上記トッププレート29上における該Y軸バーミラー31の設置個所と印刷対象12の保持個所との相対的な配置の情報を基に、印刷対象テーブル14の印刷対象用アライメントステージ28のトッププレート29上に保持された印刷対象12のX軸方向位置をリアルタイムに検出する機能を備えるようにしてある。
【0047】
更に、上記制御器33は、上記印刷対象テーブル14が転写機構部16のブランケットロール17の直下位置を走行するときに、上記各静電容量式変位計36a,36bより印刷対象テーブル14の印刷対象用アライメントステージ28のトッププレート29上に設けてあるX軸バーミラー32における該各静電容量式変位計36a,36bの前方に位置する2個所までのY軸方向に沿う距離の計測信号がそれぞれ入力されると、該各計測されたY軸方向の距離と、予め格納してある上記各静電容量式変位計36a,36bの設置位置情報とを基に、上記印刷対象テーブル14の印刷対象用アライメントステージ28のトッププレート29上に設けてあるX軸バーミラー32の長手方向(X軸方向)の2個所についてY軸方向の位置を検出すると共に、該検出された各個所についてのY軸方向位置の差と、上記X軸バーミラー32における上記各静電容量式変位計36a,36bによる計測対象とした2個所のX軸方向間隔とから、上記X軸バーミラー32のX軸方向に対する角度姿勢を検出し、更に、予め格納してある上記トッププレート29上における該X軸バーミラー32の設置個所と印刷対象12の保持個所との相対的な配置の情報を基に、印刷対象テーブル14の印刷対象用アライメントステージ28のトッププレート29上に保持された印刷対象12のY軸方向位置と、該印刷対象12のX軸方向に対する角度姿勢をリアルタイムに検出する機能を備えるようにしてある。
【0048】
更に又、上記制御器33は、上記印刷対象テーブル14が転写機構部16のブランケットロール17の直下位置を走行する際、上記のようにして印刷対象テーブル14の印刷対象用アライメントステージ28のトッププレート29上に保持された印刷対象12のX軸方向位置及びY軸方向位置と、該印刷対象12のX軸方向に対する角度姿勢がリアルタイムに検出されると、該検出された印刷対象12のX軸方向及びY軸方向の位置と角度姿勢を、上記印刷対象用アライメントステージ28のトッププレート29上に保持された印刷対象12が印刷対象テーブル14の走行に伴ってその時点で位置させられているべき本来のX軸方向及びY軸方向の位置とX軸方向に沿う角度姿勢である目標位置及び角度姿勢に一致させるために必要となるX軸方向及びY軸方向に関する位置補正量と角度補正量とを逐次求める機能を備え、且つ該求められた位置補正量及び角度補正量に応じた補正指令を、上記印刷対象テーブル14の印刷対象用アライメントステージ28のアライメント駆動機構30へ順次与える機能を備えるようにしてある。
【0049】
なお、上記において、制御器33にて印刷対象12のX軸方向に関する位置補正量を求めるための目標位置となる上記印刷対象用アライメントステージ28のトッププレート29上に保持された印刷対象12が印刷対象テーブル14のガイドレール10に沿う走行に伴って位置させられているべき本来のX軸方向の位置は、上記制御器33に、架台9上に設けてある図示しないリニアスケールより上記印刷対象テーブル14のX軸方向の位置の検出信号が入力されるようにしておくことで、該制御器33により印刷対象テーブル14のX軸方向位置をリアルタイムに検出し、該検出された印刷対象テーブル14のX軸方向位置と、印刷対象テーブル14における印刷対象用アライメントステージ28のトッププレート29上の印刷対象12の保持個所の相対的な配置とを基に求めるようにしてあるものとする。
【0050】
以上の構成としてある本発明の印刷位置誤差補正装置を備えたオフセット印刷装置により印刷作業を実施する場合は、予め版用アライメントステージ23のトッププレート24上側に版11を保持した版テーブル13をインキング装置20へ送って上記版11に適正量のインクをインキングさせる。
【0051】
次に、上記インキングされた版11を保持した版テーブル13を、図1、図2に示すように、転写機構部16へ移動させて、回転用駆動機構18(図3参照)により転動させるブランケットロール17の周速と同期した移動速度で、該ブランケットロール17の直下位置をブランケットロール17の回転方向に沿う方向(図1、図2における左方向)へ走行させると共に、該版テーブル13上に保持した版11に対して上記ブランケットロール17を上側から所要の印圧で接触させて、転写(受理)工程を行う。
【0052】
この際、上記版テーブル13の版用アライメントステージ23のトッププレート24上に設けてあるX軸バーミラー27が、版テーブル13の走行に伴って上記各静電容量式変位計36a,36bの前方まで進行すると、該各静電容量式変位計36a,36bにより上記X軸バーミラー27のそれぞれの前方に位置する個所までのY軸方向の距離が計測されるようになる。又、レーザ測長器34により上記版用アライメントステージ23のトッププレート24上に設けてあるY軸バーミラー26までの距離が計測されるようになる。
【0053】
したがって、上記レーザ測長器34と各静電容量式変位計36a,36bよりそれぞれの計測信号が入力される上記制御器33では、版テーブル13の版用アライメントステージ23のトッププレート24上に設けてあるY軸バーミラー26のX軸方向の位置と、X軸バーミラー27の上記各静電容量式変位計36a,36bの前方に位置する2個所についてのY軸方向位置及び該X軸バーミラー27のX軸方向に対する角度姿勢がリアルタイムに検出され、この検出結果を基に、上記版テーブル13の版用アライメントステージ23のトッププレート24上に保持された版11のX軸方向及びY軸方向の位置と、該版11のX軸方向に対する角度姿勢がリアルタイムに検出されるようになる。
【0054】
上記転写(受理)工程の間に、上記転動するブランケットロール17より印圧の荷重を受ける版11の支持構造である版用アライメントステージ23や、版テーブル13や、該版テーブル13をガイドレール10上で支持するガイドブロック15の少なくとも1つに歪みが生じ、該歪みに起因して、上記版テーブル13の版用アライメントステージ23のトッププレート24と一緒に該トッププレート24上に保持してある版11に、X軸方向とY軸方向と回転方向のいずれか1つ又は複数が複合した微小な位置ずれが生じると、上記制御器33では、上記トッププレート24上に保持された版11について上記微小な位置ずれを内包した状態でリアルタイムに検出されるX軸方向及びY軸方向の位置と、該版11のX軸方向に対する角度姿勢を、その時点でトッププレート24上に保持された版11が位置させられているべき本来のX軸方向及びY軸方向の位置とX軸方向に沿う角度姿勢である目標位置及び角度姿勢に一致させるために必要なX軸方向及びY軸方向に関する位置補正量と角度補正量が直ちに求められ、該求められた位置補正量及び角度補正量に応じた補正指令が、上記制御器33より上記版テーブル13の版用アライメントステージ23のアライメント駆動機構25へ与えられるようになる。
【0055】
よって、上記版テーブル13上では、上記版用アライメントステージ23のアライメント駆動機構25によるトッププレート24のX軸方向及びY軸方向と、回転方向への精密駆動により、該トッププレート24上に保持された版11が、上記目標位置及び角度姿勢、すなわち、本来のX軸方向及びY軸方向の位置とX軸方向に沿う角度姿勢に一致するように位置ずれが補正されるようになる。
【0056】
したがって、上記転写(受理)工程においては、上記ブランケットロール17より印圧の荷重を受ける版11に微小な位置ずれが生じても、その位置ずれが直ちに補正されることで、版11より上記ブランケットロール17へ転写(受理)される印刷パターンに位置ずれが生じる虞が未然に防止されるようになる。
【0057】
上記のようにして転写(受理)工程が終了した後は、印刷対象12を保持した印刷対象テーブル14を、図4、図5に示すように、転写機構部16へ移動させて、上記版テーブル13の場合と同様に、該印刷対象テーブル14を、回転用駆動機構18(図3参照)により転動させるブランケットロール17の周速と同期した移動速度で、該ブランケットロール17の直下位置を、ブランケットロール17の回転方向に沿う方向(図4、図5における左方向)へ走行させると共に、該印刷対象テーブル14上に保持した印刷対象12に対し、上記ブランケットロール17を、上記版11に接触させたときと同様の位相で上側から所要の印圧で接触させて、再転写(印刷)工程を行う。
【0058】
この際、上記印刷対象テーブル14の印刷対象用アライメントステージ28のトッププレート29上に設けてあるX軸バーミラー32が、印刷対象テーブル14の走行に伴って上記各静電容量式変位計36a,36bの前方まで進行すると、該各静電容量式変位計36a,36bにより上記X軸バーミラー32のそれぞれの前方に位置する個所までのY軸方向の距離が計測されるようになる。又、レーザ測長器35により上記印刷対象用アライメントステージ28のトッププレート29上に設けてあるY軸バーミラー31までの距離が計測されるようになる。
【0059】
したがって、上記レーザ測長器35と各静電容量式変位計36a,36bよりそれぞれの計測信号が入力される上記制御器33では、印刷対象テーブル14の印刷対象用アライメントステージ28のトッププレート29上に設けてあるY軸バーミラー31のX軸方向の位置と、X軸バーミラー32の上記各静電容量式変位計36a,36bの前方に位置する2個所についてのY軸方向位置及び該X軸バーミラー32のX軸方向に対する角度姿勢がリアルタイムに検出され、この検出結果を基に、上記印刷対象テーブル14の印刷対象用アライメントステージ28のトッププレート29上に保持された印刷対象12のX軸方向及びY軸方向の位置と、該印刷対象12のX軸方向に対する角度姿勢がリアルタイムに検出されるようになる。
【0060】
上記再転写(印刷)工程の間に、上記転動するブランケットロール17より印圧の荷重を受ける印刷対象12の支持構造である印刷対象用アライメントステージ28や、印刷対象テーブル14や、該印刷対象テーブル14をガイドレール10上で支持するガイドブロック15の少なくとも1つに歪みが生じ、該歪みに起因して、上記印刷対象テーブル14の印刷対象用アライメントステージ28のトッププレート29と一緒に該トッププレート29上に保持してある印刷対象12に、X軸方向とY軸方向と回転方向のいずれか1つ又は複数が複合した微小な位置ずれが生じると、上記制御器33では、上記トッププレート29上に保持された印刷対象12について上記微小な位置ずれを内包した状態でリアルタイムに検出されるX軸方向及びY軸方向の位置と、該印刷対象12のX軸方向に対する角度姿勢を、その時点でトッププレート29上に保持された印刷対象12が位置させられているべき本来のX軸方向及びY軸方向の位置とX軸方向に沿う角度姿勢である目標位置及び角度姿勢に一致させるために必要なX軸方向及びY軸方向に関する位置補正量と角度補正量が直ちに求められ、該求められた位置補正量及び角度補正量に応じた補正指令が、上記制御器33より上記印刷対象テーブル14の印刷対象用アライメントステージ28のアライメント駆動機構30へ与えられるようになる。
【0061】
よって、上記印刷対象テーブル14上では、上記印刷対象用アライメントステージ28のアライメント駆動機構30によるトッププレート29のX軸方向及びY軸方向と、回転方向への精密駆動により、該トッププレート29上に保持された印刷対象12が、上記目標位置及び角度姿勢、すなわち、本来のX軸方向及びY軸方向の位置とX軸方向に沿う角度姿勢に一致するように位置ずれが補正されるようになる。
【0062】
したがって、上記再転写(印刷)工程においては、上記ブランケットロール17より印圧の荷重を受ける印刷対象12に微小な位置ずれが生じても、その位置ずれが直ちに補正されることで、上記ブランケットロール17より上記印刷対象12へ再転写(印刷)される印刷パターンに位置ずれが生じる虞が未然に防止されるようになる。
【0063】
このように、本発明の印刷位置誤差補正方法及び装置によれば、オフセット印刷処理を行う際に、ブランケットロール17より印圧の荷重を受ける版11や印刷対象12に微小な位置ずれが生じても、その位置ずれを直ちに補正できるため、転写(受理)工程にて版11からブランケットロール17へ転写(受理)した後、再転写(印刷)工程にて上記ブランケットロール17より印刷対象12へ再転写(印刷)する印刷パターンに位置ずれが生じる虞を未然に防止できることから、印刷位置に誤差が生じる虞を防止して印刷パターンの再現性を高めることができる。
【0064】
したがって、印刷対象12となる基板上に液晶ディスプレイ等の電極パターンを印刷により形成する場合のように、印刷位置の位置ずれを数μmあるいはそれ以下に抑えることが必要とされるような精密印刷を高精度に行うことが可能になる。
【0065】
次に、図6は本発明の実施の他の形態として、図1乃至図5の実施の形態の応用例を示すもので、図1及び図5に示したと同様の構成において、版テーブル13及び印刷対象テーブル14が転写機構部16のブランケットロール17の直下位置をそれぞれ走行するときに、該各テーブル13,14の各アライメントステージ23,28の各トッププレート24,29上に設けてあるX軸バーミラー27,32の長手方向(X軸方向)所要間隔の2個所までの距離を個別に計測するための距離センサとして、2つの静電容量式変位計36a,36bを用いる構成に代えて、2つのレーザ測長器37,38を用いる構成としたものである。
【0066】
詳述すると、上記2つの距離センサとしてのレーザ測長器37,38は、架台9のY軸方向一端側の外部で且つ該架台9のX軸方向両端よりも外方となる位置に、上記版テーブル13及び印刷対象テーブル14の各アライメントステージ23,28の各トッププレート24,29上に設けてある各X軸バーミラー27,32と対応する高さでそれぞれX軸方向に沿ってブランケットロール17の軸心に沿う直線の直下位置に向くように対向配置して、図示しない取付手段により所要の固定部に取り付けてある。
【0067】
上記架台9のY軸方向一端側の外部における上記転写機構部16のブランケットロール17の軸心に沿う直線の直下位置よりX軸方向の両側へそれぞれ所要寸法離れた2個所で、且つ上記版テーブル13及び印刷対象テーブル14の各アライメントステージ23,28の各トッププレート24,29上の各X軸バーミラー27,32と対応する高さとなる位置には、上記各レーザ測長器37及び38に個別に対応する反射ミラー39及び40をそれぞれ設けて、各レーザ測長器37及び38よりX軸方向に沿って出射させるレーザ光を、それぞれ対応する反射ミラー39及び40によりY軸方向に沿う方向へ反射させて、上記転写機構部16のブランケットロール17の直下位置を走行する版テーブル13及び印刷対象テーブル14の各アライメントステージ23,28の各トッププレート24,29上の各X軸バーミラー27,32における長手方向(X軸方向)所要間隔の2個所に照射させることで、該各個所までの距離を個別に計測できるようにしてある。
【0068】
更に、上記したように、図1乃至図5の実施の形態で用いた2つの静電容量式変位計36a,36bに代えて、上記各レーザ測長器37,38を用いる構成とすることに鑑みて、本実施の形態の制御器33は、上記版テーブル13及び印刷対象テーブル14が転写機構部16のブランケットロール17の直下位置を走行するときに、上記各レーザ測長器37,38より、各テーブル13,14の各アライメントステージ23,28の各トッププレート24,29上に設けてある各X軸バーミラー27,32における長手方向(X軸方向)所要間隔の2個所までの距離の計測信号がそれぞれ入力されると、該各計測された距離と、該制御器33に予め格納するものとした上記各レーザ測長器37,38及び上記各反射ミラー39,40の設置位置情報とを基に、上記各テーブル13,14の各アライメントステージ23,28の各トッププレート24,29上に設けてある各X軸バーミラー27,32の長手方向(X軸方向)の2個所についてY軸方向の位置を検出し、該Y軸方向位置が検出された各個所同士におけるY軸方向位置の差と、該各Y軸方向位置が検出された2個所のX軸方向の間隔とから、上記各X軸バーミラー27,32のX軸方向に対する角度姿勢を検出し、更に、上記各トッププレート24と29上における各X軸バーミラー27と32の設置個所と、該各トッププレート24と29上における版11と印刷対象12の保持個所との相対的な配置の情報とを基に、版テーブル13の版用アライメントステージ23のトッププレート24上に保持された版11、及び、印刷対象テーブル14の印刷対象用アライメントステージ28のトッププレート29上に保持された印刷対象12について、そのY軸方向位置と、X軸方向に対する角度姿勢をリアルタイムに検出する機能を備えてなるものとしてある。
【0069】
その他の構成は図1乃至図5に示したものと同様であり、同一のものには同一の符号が付してある。
【0070】
本実施の形態によっても、図1乃至図5の実施の形態と同様の効果を得ることができる。
【0071】
更に、転写機構部16のブランケットロール17の直下位置を走行する版テーブル13及び印刷対象テーブル14の各アライメントステージ23,28の各トッププレート24,29上に設けてあるX軸バーミラー27,32の長手方向(X軸方向)所要間隔の2個所までの距離を個別に計測するために用いる2つのレーザ測長器37,38の配設個所の自由度が高まるため、設計をより容易なものとする効果が期待できる。
【0072】
次いで、図7は本発明の実施の更に他の形態として、図1乃至図5の実施の形態の変形例を示すもので、図1及び図5に示したと同様の構成において、版テーブル13及び印刷対象テーブル14が転写機構部16のブランケットロール17の直下位置をそれぞれ走行するときに、該各テーブル13,14の各アライメントステージ23,28の各トッププレート24,29上に設けてある各Y軸バーミラー26,31及び各X軸バーミラー27,32のうち、上記各Y軸バーミラー26,31については、その長手方向中間部の1個所を計測対象として該個所までのX軸方向に沿う距離を個別の距離センサとしての各レーザ測長器34,35でそれぞれ計測すると共に、上記各X軸バーミラー27,32については、その長手方向(X軸方向)所要間隔の2個所を計測対象として該各個所までのY軸方向に沿う距離を距離センサとして2つの静電容量式変位計36a,36bで計測するようにした構成に代えて、上記各テーブル13,14の各アライメントステージ23,28の各トッププレート24,29上に設けてある各Y軸バーミラー26,31及び各X軸バーミラー27,32のうち、上記各Y軸バーミラー26と31について、その長手方向(Y軸方向)所要間隔の2個所を計測対象として該各個所までのX軸方向に沿う距離を、それぞれ2個の距離センサとしてのレーザ測長器41a,41bと42a,42bで計測すると共に、上記各X軸バーミラー27,32について、その長手方向の1個所を計測対象として該個所までのY軸方向に沿う距離を、距離センサとして1つの静電容量式変位計43で計測する構成としたものである。
【0073】
詳述すると、架台9の長手方向一端側の外部における版テーブル13の版用アライメントステージ23のトッププレート24上に設けたY軸バーミラー26の長手方向(Y軸方向)所要間隔の2個所と対応するY軸方向の2個所で、且つ該Y軸バーミラー26と対応する高さとなる位置に、距離センサとしてのレーザ測長器41aと41bを、上記Y軸バーミラー26と対面するようX軸方向に沿って内向きに配置して、図示しない取付手段により所要の固定部に取り付ける。これにより、転写機構部16のブランケットロール17の直下位置を上記版テーブル13が走行するときに、上記各レーザ測長器41aと41bにより、該版テーブル13の版用アライメントステージ23のトッププレート24上に設けてあるY軸バーミラー26の長手方向における該各レーザ測長器41aと41bのそれぞれ前方に位置する2個所までのX軸方向に沿う距離を個別に計測することができるようにしてある。
【0074】
又、上記架台9の長手方向他端側の外部における印刷対象テーブル14の印刷対象用アライメントステージ28のトッププレート29上に設けたY軸バーミラー31の長手方向(Y軸方向)所要間隔の2個所と対応するY軸方向の2個所で、且つ該Y軸バーミラー31と対応する高さとなる位置に、距離センサとしてのレーザ測長器42aと42bを、上記Y軸バーミラー31と対面するようX軸方向に沿って内向きに配置して、図示しない取付手段により所要の固定部に取り付ける。これにより、転写機構部16のブランケットロール17の直下位置を上記印刷対象テーブル14が走行するときに、上記各レーザ測長器42aと42bにより、該印刷対象テーブル14の印刷対象用アライメントステージ28のトッププレート29上に設けてあるY軸バーミラー31の長手方向における該各レーザ測長器42aと42bのそれぞれ前方に位置する2個所までのX軸方向に沿う距離を個別に計測できるようにしてある。
【0075】
更に、上記架台9のY軸方向一端側の外部における上記転写機構部16のブランケットロール17の軸心に沿う直線の直下位置又はその付近、たとえば、上記ブランケットロール17の軸心に沿う直線の直下位置よりガイドレール10の長手方向一端側へ少しずれた個所で、且つ上記版テーブル13及び印刷対象テーブル14の各アライメントステージ23,28の各トッププレート24,29上に設けてある各X軸バーミラー27,32と対応する高さとなる位置に、距離センサとしての1つの静電容量式変位計43を、Y軸方向に沿い内向き(架台9上のガイドレール10設置個所に向けた方向)に配置して、図示しない取付手段により所要の固定部に取り付ける。これにより、上記版テーブル13及び印刷対象テーブル14が上記転写機構部16のブランケットロール17の直下位置を走行するときに、該各テーブル13,14の各アライメントステージ23,28のトッププレート24,29上にそれぞれ設けてあるX軸バーミラー27,32が、上記静電容量式変位計43の前方近傍位置を該静電容量式変位計43に対面した状態で通過するようにしてあり、その際、上記静電容量式変位計43により、上記各テーブル13,14の各アライメントステージ23,28の各トッププレート24,29上に設けてある各X軸バーミラー27,32における該静電容量式変位計43の前方に位置する個所までのY軸方向に沿う距離を計測できるようにしてある。
【0076】
更に又、上記したように、上記各テーブル13,14の各アライメントステージ23,28の各トッププレート24,29上に設けてある各Y軸バーミラー26,31に対応して2個ずつのレーザ測長器41a,41bと42a,42bを備え、且つ各X軸バーミラー27,32に対応して1つの静電容量式変位計43を備えた構成とすることに鑑みて、本実施の形態では、制御器33aに、図1乃至図5の実施の形態における制御器33と同様の、版テーブル13の版用アライメントステージ23のトッププレート24上におけるY軸バーミラー26及びX軸バーミラー27と版11の保持個所との相対的な配置の情報と、印刷対象テーブル14の印刷対象用アライメントステージ28のトッププレート29上におけるY軸バーミラー31及びX軸バーミラー32と印刷対象12の保持個所との相対的な配置の情報の他に、上記各レーザ測長器41a,41bと42a,42b、及び、上記静電容量式変位計43について各々の設置位置(X軸方向及びY軸方向に関する位置)の情報を予め格納(蓄積)して備えるようにしてあると共に、該制御器33aを以下の機能を備えた構成としてある。
【0077】
すなわち、上記制御器33aは、上記版テーブル13が転写機構部16のブランケットロール17の直下位置を走行するときに、上記各レーザ測長器41a,41bより版テーブル13の版用アライメントステージ23のトッププレート24上に設けてあるY軸バーミラー26の長手方向における該各レーザ測長器41a,41bのそれぞれ前方に位置するY軸方向所要間隔の2個所までのX軸方向に沿う距離の計測信号がそれぞれ入力されると、該各計測されたX軸方向の距離と、予め格納してある上記各レーザ測長器41a,41bの設置位置情報とを基に、上記版テーブル13の版用アライメントステージ23のトッププレート24上に設けてあるY軸バーミラー26の長手方向(Y軸方向)の2個所についてX軸方向の位置を検出すると共に、該検出された各個所についてのX軸方向位置の差と、上記Y軸バーミラー26における上記各レーザ測長器41a,41bによる計測対象とした2個所のY軸方向間隔とから、上記Y軸バーミラー26のY軸方向に対する角度姿勢を検出し、更に、予め格納してある上記トッププレート24上における該Y軸バーミラー26の設置個所と版11の保持個所との相対的な配置の情報を基に、版テーブル13の版用アライメントステージ23のトッププレート24上に保持された版11のX軸方向位置と、該版11のY軸方向に対する角度姿勢より導かれるX軸方向に対する角度姿勢をリアルタイムに検出する機能を備えるようにしてある。
【0078】
更に、上記制御器33aは、上記版テーブル13が転写機構部16のブランケットロール17の直下位置を走行するときに、上記静電容量式変位計43より版テーブル13の版用アライメントステージ23のトッププレート24上に設けてあるX軸バーミラー27における該静電容量式変位計43の前方に位置する個所までのY軸方向に沿う距離の計測信号が入力されると、該計測されたY軸方向の距離と、予め格納してある上記静電容量式変位計43の設置位置情報とを基に、上記版テーブル13の版用アライメントステージ23のトッププレート24上に設けてあるX軸バーミラー27のY軸方向の位置を検出し、更に、予め格納してある上記トッププレート24上における該X軸バーミラー27の設置個所と版11の保持個所との相対的な配置の情報を基に、版テーブル13の版用アライメントステージ23のトッププレート24上に保持された版11のY軸方向位置をリアルタイムに検出する機能を備えるようにしてある。
【0079】
更に又、上記制御器33aは、上記版テーブル13が転写機構部16のブランケットロール17の直下位置を走行する際、上記のようにして版テーブル13の版用アライメントステージ23のトッププレート24上に保持された版11のX軸方向位置及びY軸方向位置と、該版11のX軸方向に対する角度姿勢がリアルタイムに検出されると、図1乃至図5の実施の形態の制御器33と同様の処理で上記トッププレート24上に保持された版11のX軸方向及びY軸方向に関する位置補正量と角度補正量とを逐次求める機能と、該求められた位置補正量及び角度補正量に応じた補正指令を、上記版テーブル13の版用アライメントステージ23のアライメント駆動機構25へ順次与える機能を備えるようにしてある。
【0080】
一方、上記印刷対象テーブル14が転写機構部16のブランケットロール17の直下位置を走行するときには、上記制御器33aは、上記各レーザ測長器42a,42bより入力される印刷対象テーブル14の印刷対象用アライメントステージ28のトッププレート24上に設けてあるY軸バーミラー31の長手方向における該各レーザ測長器42a,42bのそれぞれ前方に位置するY軸方向所要間隔の2個所までのX軸方向に沿う距離の計測信号と、予め格納してある上記各レーザ測長器41a,41bの設置位置情報とを基に、上記印刷対象テーブル14の印刷対象用アライメントステージ28のトッププレート29上に設けてあるY軸バーミラー31の長手方向(Y軸方向)の2個所についてX軸方向の位置を検出すると共に、該検出された各個所についてのX軸方向位置の差と、上記Y軸バーミラー31における上記各レーザ測長器42a,42bによる計測対象とした2個所のY軸方向間隔とから、上記Y軸バーミラー31のY軸方向に対する角度姿勢を検出し、更に、予め格納してある上記トッププレート29上における該Y軸バーミラー31の設置個所と印刷対象12の保持個所との相対的な配置の情報を基に、印刷対象テーブル14の印刷対象用アライメントステージ28のトッププレート29上に保持された印刷対象12のX軸方向位置と、該印刷対象12のY軸方向に対する角度姿勢より導かれるX軸方向に対する角度姿勢をリアルタイムに検出する機能を備えるようにしてある。
【0081】
更に、上記制御器33aは、上記印刷対象テーブル14が転写機構部16のブランケットロール17の直下位置を走行するときに、上記静電容量式変位計43より印刷対象テーブル14の印刷対象用アライメントステージ28のトッププレート29上に設けてあるX軸バーミラー32における該静電容量式変位計43の前方に位置する個所までのY軸方向に沿う距離の計測信号が入力されると、該計測されたY軸方向の距離と、予め格納してある上記静電容量式変位計43の設置位置情報とを基に、上記印刷対象テーブル14の印刷対象用アライメントステージ28のトッププレート29上に設けてあるX軸バーミラー32のY軸方向の位置を検出し、更に、予め格納してある上記トッププレート29上における該X軸バーミラー32の設置個所と印刷対象12の保持個所との相対的な配置の情報を基に、印刷対象テーブル14の印刷対象用アライメントステージ28のトッププレート29上に保持された印刷対象12のY軸方向位置をリアルタイムに検出する機能を備えるようにしてある。
【0082】
更に又、上記制御器33aは、上記印刷対象テーブル14が転写機構部16のブランケットロール17の直下位置を走行する際、上記のようにして印刷対象テーブル14の印刷対象用アライメントステージ28のトッププレート29上に保持された印刷対象12のX軸方向位置及びY軸方向位置と、該印刷対象12のX軸方向に対する角度姿勢がリアルタイムに検出されると、図1乃至図5の実施の形態の制御器33と同様の処理で上記トッププレート29上に保持された印刷対象12のX軸方向及びY軸方向に関する位置補正量と角度補正量とを逐次求める機能と、該求められた位置補正量及び角度補正量に応じた補正指令を、上記印刷対象テーブル14の印刷対象用アライメントステージ28のアライメント駆動機構30へ順次与える機能を備えるようにしてある。
【0083】
その他の構成は図1乃至図5に示したものと同様であり、同一のものには同一の符号が付してある。
【0084】
以上の構成としてある本実施の形態の印刷位置誤差補正装置によっても、該印刷位置誤差補正装置を備えたオフセット印刷装置により印刷作業を実施すると、予めインキングされた版11を保持した版テーブル13を、転写機構部16へ移動させて、転動させるブランケットロール17の周速と同期した移動速度で、該ブランケットロール17の直下位置をブランケットロール17の回転方向に沿う方向(図7における左方向)へ走行させると共に、該版テーブル13上に保持した版11に対して上記ブランケットロール17を上側から所要の印圧で接触させて転写(受理)工程を行うと、各レーザ測長器41a,41b及び静電容量式変位計43より入力される信号を基に、制御器33aにより上記版テーブル13の版用アライメントステージ23のトッププレート24上に保持された版11のX軸方向及びY軸方向の位置と、該版11のX軸方向に対する角度姿勢がリアルタイムに検出されるようになり、この転写(受理)工程の間に、上記転動するブランケットロール17より印圧の荷重を受ける版11に上記トッププレート24と一緒にX軸方向とY軸方向と回転方向のいずれか1つ又は複数が複合した微小な位置ずれが生じると、図1乃至図5の実施の形態と同様に、上記版用アライメントステージ23のアライメント駆動機構25によるトッププレート24の精密駆動により上記位置ずれが直ちに補正されるようになる。よって、上記版11より上記ブランケットロール17へ転写(受理)される印刷パターンに位置ずれが生じる虞が未然に防止されるようになる。
【0085】
その後、印刷対象12を保持した印刷対象テーブル14を、転写機構部16へ移動させて、上記版テーブル13の場合と同様に、該印刷対象テーブル14を、転動させるブランケットロール17の周速と同期した移動速度で、該ブランケットロール17の直下位置を、ブランケットロール17の回転方向に沿う方向(図7における左方向)へ走行させると共に、該印刷対象テーブル14上に保持した印刷対象12に対し、上記ブランケットロール17を、上記版11に接触させたときと同様の位相で上側から所要の印圧で接触させて、再転写(印刷)工程を行うと、各レーザ測長器42a,42b及び静電容量式変位計43より入力される信号を基に、制御器33aにより上記印刷対象テーブル14の印刷対象用アライメントステージ28のトッププレート29上に保持された印刷対象12のX軸方向及びY軸方向の位置と、該印刷対象12のX軸方向に対する角度姿勢がリアルタイムに検出されるようになり、この再転写(印刷)工程の間に、上記転動するブランケットロール17より印圧の荷重を受ける印刷対象12に上記トッププレート29と一緒にX軸方向とY軸方向と回転方向のいずれか1つ又は複数が複合した微小な位置ずれが生じると、図1乃至図5の実施の形態と同様に、上記印刷対象テーブル14の印刷対象用アライメントステージ28のアライメント駆動機構30によるトッププレート29の精密駆動により上記位置ずれが補正されるようになる。よって、上記ブランケットロール17より上記印刷対象12へ再転写(印刷)される印刷パターンに位置ずれが生じる虞が未然に防止されるようになる。
【0086】
したがって、本実施の形態によっても、図1乃至図5の実施の形態と同様の効果を得ることができる。
【0087】
なお、本発明は上記実施の形態のみに限定されるものではなく、版11を保持するトッププレート24にY軸バーミラー26とX軸バーミラー27を設け、且つ該トッププレート24をアライメント駆動機構25によりX軸方向及びY軸方向と回転方向へ精密駆動可能としてなる版用アライメントステージ23と、印刷対象12を保持するトッププレート29にY軸バーミラー31とX軸バーミラー32を設け、且つ該トッププレート29をアライメント駆動機構30によりX軸方向及びY軸方向と、回転方向へ精密駆動可能としてなる印刷対象用アライメントステージ28とを備えて、該版用及び印刷対象用の各アライメントステージ23及び28を、転写機構部16のブランケットロール17の直下位置を順次移動させることができるようにしてあれば、上記版用と印刷対象用の各アライメントステージ23と28を、上記ブランケットロール17の下方を走行する共通の移動テーブルの上にX軸方向に並べて設けた構成としてもよい。
【0088】
版用及び印刷対象用の各アライメントステージ23,28における各アライメント駆動機構25,30は、版11や印刷対象12を保持させる各トッププレート24,29をX軸方向及びY軸方向と、回転方向へ精密駆動できるようにしてあれば、該各トッププレート24,29を駆動する3軸又は4軸の図示しない駆動ユニットとして、いかなる形式の駆動ユニットを備えたものであってもよい。
【0089】
オフセット印刷装置として、架台9の所要個所にアライメントエリアを設けて、印刷処理を開始する前に、該アライメントエリアで、版テーブル13の版用アライメントステージ23のトッププレート24上に保持した版11と、印刷対象テーブル14の印刷対象用アライメントステージ28のトッププレート29上に保持した印刷対象12について、該版11や印刷対象12に予め設けたアライメントマークの位置を、取り替える版11同士及び印刷対象12同士でそれぞれ揃えるか、又は、版11と各印刷対象12で揃えるように、上記各アライメントステージ23,28のアライメント駆動機構25,30によりトッププレート24と一緒に版11や印刷対象12の位置を修正する初期アライメントを取るようにする形式のオフセット印刷装置に適用してもよい。この場合、上記版11や印刷対象12の初期アライメントを取ることに伴って、版テーブル13に対する版用アライメントステージ23のトッププレート24の相対的なX軸方向及びY軸方向の位置と角度姿勢、並びに、印刷対象テーブル14に対する印刷対象用アライメントステージ28のトッププレート29の相対的なX軸方向及びY軸方向の位置と角度姿勢にはばらつきが生じるようになる。そのため、制御器33,33aでは、上記版11の初期アライメントを取った直後の時点で、版用アライメントステージ23のトッププレート24上に設けてあるY軸バーミラー26とX軸バーミラー27の版テーブル13に対する相対的なX軸方向及びY軸方向の位置と角度姿勢を記憶すると共に、上記印刷対象12初期アライメントをとった直後の時点で、印刷対象用アライメントステージ28のトッププレート29上に設けてあるY軸バーミラー31とX軸バーミラー32の印刷対象テーブル14に対する相対的なX軸方向及びY軸方向の位置と角度姿勢を記憶するようにしておき、その後、転写(受理)工程において版11の位置ずれの検出を行う場合は、制御器33,33aで、リアルタイムに検出される上記版用アライメントステージ23のトッププレート24上のY軸バーミラー26とX軸バーミラー27のX軸方向及びY軸方向の位置と角度姿勢を、ガイドレール10上における版テーブル13の位置を考慮した上で、上記記憶してある版11の初期アライメントを取った直後の時点での版テーブル13に対する相対的な配置と比較することで検出するようにすればよい。
【0090】
又、再転写(印刷)工程において印刷対象12の位置ずれの検出を行う場合は、制御器33,33aで、リアルタイムに検出される上記印刷対象用アライメントステージ28のトッププレート29上のY軸バーミラー31とX軸バーミラー32のX軸方向及びY軸方向の位置と角度姿勢を、ガイドレール10上における印刷対象テーブル14の位置を考慮した上で、上記記憶してある版11の初期アライメントを取った直後の時点での印刷対象テーブル14に対する相対的な配置と比較することで検出するようにすればよい。
【0091】
本発明を適用するオフセット印刷装置は、ブランケットロール17を、その直下を移動する版11や印刷対象12に所要の印圧で接触させて印刷処理を行うことができるようにしてあれば、転写機構部16におけるブランケットロール17の回転用駆動機構18や昇降用駆動機構19、インキング装置20を図示した以外のいかなる形式としたオフセット印刷装置に本発明を適用してもよい。又、上記架台9上のガイドレール10に沿って走行する版テーブル13や印刷対象テーブル14のX軸方向の所要の点を基準とする絶対位置(座標)を検出できるようにしてあれば、該各テーブル13,14の位置検出手段として、レーザ測長器等、リニアスケール以外のいかなる形式の位置検出手段を備えたオフセット印刷装置に適用してもよい。
【0092】
オフセット印刷装置の印刷対象12は基板以外のものであってもよい。
【0093】
図7の実施の形態において、版テーブル13と印刷対象テーブル14の各アライメントステージ23,28の各トッププレート24,29上に設けてある各X軸バーミラー27,32を検出するための距離センサとして、静電容量式変位計43に代えてレーザ測長器を用いるようにしてもよい。
【0094】
更に、各実施の形態において、版テーブル13と印刷対象テーブル14の各アライメントステージ23,28の各トッププレート24,29上に設けてある各Y軸バーミラー26,31及び各X軸バーミラー27,32について、それぞれの所定個所までのX軸方向又はY軸方向の距離を計測するために用いる各距離センサは、それぞれの設置個所より、各々対応する計測対象個所までの距離を、版11や印刷対象12について補正することが所望される微小な位置ずれの量よりも細かい分解能で計測することができるようにしてあれば、静電容量式変位計やレーザ測長器以外のいかなる形式の距離センサを用いるようにしてもよい。
【0095】
版テーブル13と印刷対象テーブル14の各アライメントステージ23,28の各トッププレート24,29上に設ける各Y軸バーミラー26,31及び各X軸バーミラー27,32は、版テーブル13と印刷対象テーブル14がブランケットロール17の直下位置を走行するときに、それぞれ所定の個所を対応する距離センサで検出することができるようにしてあれば、上記各トッププレート24,29上における配置や、大きさを適宜変更してもよい。更には、上記各トッププレート24,29の側面や下面に取り付けるようにしてもよい。
【0096】
更に本発明は、印刷ロールとしての版胴を、その下方を走行する移動テーブルに設けたアライメントステージ上に保持させた印刷対象に所要の印圧で接触させて印刷処理を行う形式の印刷装置にて、上記印圧の荷重を受ける印刷対象に生じる微小な位置ずれを補正する場合に応用することも可能である。
【0097】
その他本発明の要旨を逸脱しない範囲内で種々変更を加え得ることは勿論である。
【符号の説明】
【0098】
10 ガイドレール
11 版
12 印刷対象
13 版テーブル
14 印刷対象テーブル
17 ブランケットロール
23 版用アライメントステージ
24 トッププレート
26 Y軸バーミラー
27 X軸バーミラー
28 印刷対象用アライメントステージ
29 トッププレート
31 Y軸バーミラー
32 X軸バーミラー
33,33a 制御器
34 レーザ測長器(距離センサ)
35 レーザ測長器(距離センサ)
36a,36b 静電容量式変位計(距離センサ)
37 レーザ測長器(距離センサ)
38 レーザ測長器(距離センサ)
41a,41b レーザ測長器(距離センサ)
42a,42b レーザ測長器(距離センサ)
43 静電容量式変位計(距離センサ)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
平面上の直交する二方向と回転方向へ精密駆動可能にトッププレートを備えてなる版用アライメントステージを版テーブル上に設けて、ガイドレールに沿いブランケットロールの直下を走行させ、該版用アライメントステージのトッププレート上に保持した版にブランケットロールを上方から所要の印圧で接触させて転写工程を行うときに、上記版用アライメントステージのトッププレート上に保持した版の位置と角度姿勢を検出し、該検出された版の位置と角度姿勢が所定の目標位置及び角度姿勢と一致するように、上記版用アライメントステージによりトッププレートと共に版の位置及び角度姿勢を補正するようにし、更に、平面上の直交する二方向と回転方向へ精密駆動可能にトッププレートを備えてなる印刷対象用アライメントステージを印刷対象テーブル上に設けて、ガイドレールに沿いブランケットロールの直下を走行させ、該印刷対象用アライメントステージのトッププレート上に保持した印刷対象にブランケットロールを上方から所要の印圧で接触させて再転写工程を行うときに、上記印刷対象用アライメントステージのトッププレート上に保持した印刷対象の位置と角度姿勢を検出し、該検出された印刷対象の位置と角度姿勢が所定の目標位置及び角度姿勢と一致するように、上記印刷対象用アライメントステージによりトッププレートと共に印刷対象の位置及び角度姿勢を補正するようにすることを特徴とする印刷位置誤差補正方法。
【請求項2】
版用アライメントステージのトッププレート上に保持した版の位置と角度姿勢を、該版用アライメントステージのトッププレートに設けたX軸バーミラーとY軸バーミラーのうちのいずれか一方のバーミラーの長手方向所要間隔の2個所及びいずれか他方のバーミラーの1個所について検出した位置と、上記版用アライメントステージのトッププレートにおける上記X軸バーミラー及びY軸バーミラーの設置個所と版の保持個所との相対的な配置の情報を基に検出するようにし、且つ印刷対象用アライメントステージのトッププレート上に保持した印刷対象の位置と角度姿勢を、該印刷対象用アライメントステージのトッププレートに設けたX軸バーミラーとY軸バーミラーのうちのいずれか一方のバーミラーの長手方向所要間隔の2個所及びいずれか他方のバーミラーの1個所について検出した位置と、上記印刷対象用アライメントステージのトッププレートにおける上記X軸バーミラー及びY軸バーミラーの設置個所と印刷対象の保持個所との相対的な配置の情報を基に検出するようにする請求項1記載の印刷位置誤差補正方法。
【請求項3】
ブランケットロールの下方に配設してあるガイドレールに沿って走行する版テーブルに、トッププレートを平面上の直交する二方向と回転方向へ精密駆動可能に備えてなる版用アライメントステージを設けて、該版用アライメントステージのトッププレート上に版を保持できるようにすると共に、上記ガイドレールに沿って走行する印刷対象テーブルに、トッププレートを平面上の直交する二方向と回転方向へ精密駆動可能に備えてなる印刷対象用アライメントステージを設けて、該印刷対象用アライメントステージのトッププレート上に印刷対象を保持できるようにし、且つ上記ブランケットロールの直下を走行する版テーブルに版用アライメントステージを介して保持された版の位置及び角度姿勢を検出するための手段と、上記ブランケットロールの直下位置を走行する印刷対象テーブルに印刷対象用アライメントステージを介して保持された印刷対象の位置及び角度姿勢を検出するための手段を備え、更に、上記版テーブルが上記ブランケットロールの直下を走行するときに検出される上記版の位置及び角度姿勢を所定の目標位置及び角度姿勢と一致させるための位置及び角度の補正指令を、上記版テーブルの版用アライメントステージへ与える機能と、上記印刷対象テーブルが上記ブランケットロールの直下を走行するときに検出される上記印刷対象の位置及び角度姿勢を所定の目標位置及び角度姿勢と一致させるための位置及び角度の補正指令を、上記印刷対象テーブルの印刷対象用アライメントステージへ与える機能を有する制御器を備えてなる構成を有することを特徴とする印刷位置誤差補正装置。
【請求項4】
ブランケットロールの直下を走行する版テーブルに版用アライメントステージを介して保持された版の位置及び角度姿勢を検出する手段として、上記版用アライメントステージのトッププレートにX軸バーミラーとY軸バーミラーを設けると共に、該版用アライメントステージのトッププレートに設けた各バーミラーのうちのいずれか一方のバーミラーの長手方向所要間隔の2個所といずれか他方のバーミラーの1個所までの距離をそれぞれのバーミラーの長手方向に直交する方向から計測するための距離センサを備え、且つブランケットロールの直下を走行する印刷対象テーブルに印刷対象用アライメントステージを介して保持された印刷対象の位置及び角度姿勢を検出する手段として、上記印刷対象用アライメントステージのトッププレートにX軸バーミラーとY軸バーミラーを設けると共に、該印刷対象用アライメントステージのトッププレートに設けた各バーミラーのうちのいずれか一方のバーミラーの長手方向所要間隔の2個所及びいずれか他方のバーミラーの1個所までの距離をそれぞれのバーミラーの長手方向に直交する方向から計測するための距離センサを備えてなる構成とした請求項3記載の印刷位置誤差補正装置。
【請求項5】
版用アライメントステージと印刷対象用アライメントステージの各トッププレートに設ける各X軸バーミラーと各Y軸バーミラーを、それぞれガイドレール長手方向とそれに直交する方向に沿うように配置し、且つブランケットロールの直下位置近傍でガイドレールの片側の外方となる個所に、距離センサを、上記ガイドレールの長手方向と直交する方向に沿って内向きに設けて、該距離センサにより、上記ブランケットロールの直下を走行する版テーブル上の版用アライメントステージのトッププレートに設けたX軸バーミラーまでの距離と、上記ブランケットロールの直下を走行する印刷対象テーブル上の印刷対象用アライメントステージのトッププレートに設けたX軸バーミラーまでの距離を共に計測できるようにした請求項4記載の印刷位置誤差補正装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2011−37239(P2011−37239A)
【公開日】平成23年2月24日(2011.2.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−189344(P2009−189344)
【出願日】平成21年8月18日(2009.8.18)
【出願人】(000000099)株式会社IHI (5,014)
【Fターム(参考)】