説明

印刷制御装置、方法及びプログラム

【課題】 複数の収納部に収納されている記録材を用いて印刷を行う場合、複数の印刷ジョブにおける複数の収納部の記録材の使用予定を確認可能とすること。
【解決手段】 画像形成装置により印刷中、及び印刷待ちの複数の印刷ジョブのそれぞれで使用可能なシートを判定する。そして判定結果に基づき画像形成装置が有する複数のシートカセットのそれぞれの使用予定の有無などを特定する。その結果を表示によりユーザに提示する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の収納部に収納されている記録材を用いて印刷を行うための印刷制御装置、方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、記録紙等の記録材を収納可能な複数の収納部を有した印刷装置において、収納部を切り替えながら各収納部に収納されている記録材を用いて印刷を実行するものが知られている。このような印刷装置では、ユーザがこれから実行させる印刷ジョブで使用する記録材の種類を確認し、事前に記録材をセットしておくようにしている。これに対し特許文献1では、印刷開始後に、使用中の用紙と同一の用紙を収納している複数の収納部の使用順序とともに現在用紙の補給が可能な収納部を示し、印刷処理を行っている最中でも用紙の補給を可能としている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005−193486号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1は、ある1つの印刷ジョブを実行するにあたり現在使用している用紙と同サイズの用紙が他の収納部に存在する場合に各収納部の使用順序を示すものである。従って、他の印刷ジョブで使用する用紙を収納した収納部を今後使用するか否かをユーザは判別することができない。
【0005】
本発明は、上述の問題点に鑑みなされたもので、複数の収納部に収納されている記録材を用いて印刷を行う場合、複数の印刷ジョブにおける複数の収納部の記録材の使用予定を確認可能な印刷制御装置、方法及びプログラムを提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため、本発明の印刷制御装置は、複数の収納部に収納されている記録材を用いて印刷を行うための印刷制御装置であって、印刷待ちの複数の印刷ジョブのそれぞれにおいて使用可能な記録材を判定する判定手段と、前記判定手段による判定結果に基づき前記複数の収納部のそれぞれに収納されている記録材の使用予定の有無を特定する特定手段と、前記特定手段により決定した前記複数の収納部のそれぞれに収納されている記録材の使用予定の有無をユーザに提示する提示手段とを有する。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、印刷待ちの複数の印刷ジョブにおける、複数の収納部に収納されている記録材の使用予定を確認できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明の実施形態の一例である画像形成装置の構成を示す図である。
【図2】図1の画像形成装置の制御に関わる構成を示すブロック図である。
【図3】各シートカセットのシートの状態を示す表示画面の例を示す図である。
【図4】実施形態における処理の流れを示すフローチャートである。
【図5】実施形態における処理の流れを示すフローチャートである。
【図6】実施形態における処理の流れを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明を実施するための形態について図面を用いて説明する。なお、この実施の形態で用いる装置の各構成要素の相対配置、装置形状等は、あくまで例示であり、それらのみに限定するものではない。
【0010】
図1は、本実施形態における印刷制御装置の一例となる画像形成装置の概略構成を示す図である。図1の画像形成装置は、外部装置から受信したデータを印刷する印刷機能のみを有したものを示すが、これに限らず、原稿上の画像を読取る読取装置をさらに備えて複写機として機能するものや他の機能を加えた複合装置としてもよい。
【0011】
また、印刷処理を行う記録材(被記録媒体または記録シート)としてロールシートを用いたものを例に説明する。このロールシートは連続シートの例であるが、ロール状となったもの以外でもよい。また、連続シートの切断は、画像形成装置が自動的に切断するものであってもよいし、ユーザがマニュアル指示を行って切断するものであってもよい。記録材の材質も紙には限らず、印刷処理可能なものであれば種々のものを用いることができる。また、画像形成装置は、連続シートへの印刷のみではなく、所定のサイズに予めカットされたカットシートへの印刷が可能な画像形成装置としてもよい。
【0012】
また、印刷方式は後述する画像印刷用液体インクを用いたインクジェット方式による画像の印刷には限らない。記録材に付与する記録剤として固形インクを用いてもよいし、トナーを用いた電子写真方式、昇華方式、熱転写方式、ドットインパクト方式など種々のものを採用可能である。また、複数色の記録剤を用いたカラー記録を行うものには限らず、黒色(グレーを含む)のみによるモノクロ記録を行うものとしてもよい。また、印刷は、可視画像の印刷には限らず、不可視もしくは視認が困難な画像の印刷としてもよいし、一般的な画像以外の、例えば配線パターン、部品の製造における物理的パターン、DNAの塩基配列等のプリントなど種々のものの印刷としてもよい。つまり、記録剤を記録材に付与可能なものであれば種々のタイプの記録装置に適用可能である。また、図1の画像形成装置と接続された外部装置からの指示で当該画像形成装置における印刷処理の動作を制御させる場合、この外部装置が印刷制御装置となる。
【0013】
図1は、記録材としてロールシート(搬送方向において印刷単位(1ページ)の長さよりも長い連続した連続シート)を用いた画像形成装置の全体構成の概略を示す断面図である。画像形成装置は、以下の構成要素101〜115を含み、これらが1つの筐体内に配置される。ただし、これらの構成要素を複数の筐体に分けて構成してもよい。
【0014】
制御ユニット108は、コントローラ(CPUまたはMPUを含む)やユーザインターフェース情報の出力器(表示情報や音響情報などの発生器)、各種I/Oインターフェースを備えた制御部を内蔵し、画像形成装置全体の各種制御を司る。
【0015】
ロールシートを収納し、そして供給するユニットとして上段シートカセット101aと下段シートカセット101bの2基を備える。使用者はロールシート(以下、シート)をマガジンに装着してから画像形成装置本体に装填する。上段シートカセット101aから引き出されたシートは図中a方向に、下段シートカセット101bから引き出されたシートは図中b方向にそれぞれ搬送される。いずれのカセットからのシートも図中c方向に進行して搬送ユニット102に到達する。搬送ユニット102は、複数の回転ローラ104を通して印刷処理中にシートを図中d方向(水平方向)に搬送する。供給元のシートカセットを一方から他方に切り替える際は、既に引き出されているシートをカセット内に巻き戻し、新たに供給させるシートがセットされているカセットから新たに供給する。また、シートカセットは2基単位で増設も可能であり、増設されるシートカセットは図1で見てシートカセット101a、101bの右側に配置され、やはりa方向、b方向にシートが搬送される。各シートカセットのロールシートを交換する際には、ユーザがシートマガジンのドアをオープンさせ、ロールシートまたはロールシートを使い切っている場合にはロールの芯を抜き取り、新たなロールシートを装着させる。シートマガジンのドアがオープンされている間は、当該シートカセットからのシートの供給処理は禁止される。
【0016】
また、各シートカセットにセットされているロールシートはセンサによってロールの直径が計測され、おおよその残量(長さ)が判定される。そして印刷処理によってロールシートが使用されるとその長さを計測し、残量を更新する。またロールシートの直径も定期的に計測され、残量は適宜補正される。なお、直径の計測に代え、半径の計測や、ロールの芯から最も外側の位置までの距離を計測するなど、種々の方法を用いてもよい。
【0017】
搬送ユニット102の上方にはヘッドユニット105が搬送ユニット102と対向して配置される。ヘッドユニット105では複数色(本実施形態では7色)分の独立した印刷ヘッド106がシートの搬送方向に沿って保持されている。本例ではC(シアン)、M(マゼンタ)、Y(イエロー)、LC(ライトシアン)、LM(ライトマゼンタ)、G(グレー)、K(ブラック)の7色に対応した7つの印刷ヘッドを有す。もちろん、これら以外の色を用いたものでもよいし、これらの全てを用いる必要もない。
【0018】
本画像形成装置は、搬送ユニット102によるシートの搬送に同期させて、印刷ヘッド106からインクを吐出させてシート上に画像を形成する。なお、印刷ヘッド106はインクの吐出先が回転ローラ104と重ならない位置に配置される。インクはシートに直接吐出させるのに代え、中間転写体にインクを付与した後、そのインクをシートに付与することによって画像を形成させるものとしてもよい。
【0019】
これら搬送ユニット102、ヘッドユニット105、印刷ヘッド106を含んで本実施形態の印刷用ユニットが構成されている。
【0020】
インクタンク109は各色のインクを独立して貯蔵する。インクタンク109からはチューブによって各色に対応して設けられたサブタンクまでインクが供給され、サブタンクから各印刷ヘッド106までチューブを介してインクが供給される。印刷ヘッド106は、印刷時の搬送方向d方向に沿って各色(本実施形態では7色)のラインヘッドが並んでいる。各色のラインヘッドは、継ぎ目無く単一のノズルチップで形成されたものであってもよいし、分割されたノズルチップが一列又は千鳥配列のように規則的に並べられたものであってもよい。本実施形態では、本装置が使用可能な最大サイズのシートの印刷領域の幅分をカバーする範囲にノズルが並んでいる所謂フルマルチヘッドとする。ノズルからインクを吐出するインクジェット方式は、発熱素子を用いた方式、ピエゾ素子を用いた方式、静電素子を用いた方式、MEMS素子を用いた方式等を採用することができる。印刷データに基づいて各ヘッドのノズルからインクが吐出されるが、吐出のタイミングは搬送用エンコーダ103の出力信号によって決定される。
【0021】
シートに画像が形成された後、当該シートは搬送ユニット102から、スキャナユニット107まで搬送される。スキャナユニット107では、シート上の印刷画像や特殊パターンを光学的に読取って印刷画像に問題がないかどうかの確認や、インクの吐出状態を含む本装置の状態確認等を行う。印刷画像の確認方法としては、ヘッドの状態の確認するためのパターンを読み込むことによるインクの吐出状態を確認するものでもよいし、元画像との比較を行うことによる印刷の成否を確認するものでもよい。確認の方法は種々のものの中から適宜選択することが可能である。
【0022】
シートはスキャナユニット107近傍からe方向に搬送され、カッタユニット110に導入される。カッタユニット110ではシートを所定の印刷単位の長さ毎に切断する。印刷する画像サイズに応じてこの所定の印刷単位の長さは異なる。例えばL版サイズの写真では搬送方向の長さは135mm、A4サイズでは搬送方向の長さは297mmとなる。カッタユニット110は、片面印刷の場合はページ単位でシートを切断するが、印刷ジョブの内容によってはページ単位で切断しない場合もある。また、カッタユニット110は両面印刷の場合、シートの第1面(先に印刷が行われる面。たとえばおもて面)はページ単位で切断せずに所定の長さ分まで画像を連続して印刷し、第2面(後に印刷が行われる面。たとえば裏面)を印刷した場合にページ単位で切断する。なお、カッタユニット110は、片面印刷や両面印刷の裏面印刷に際し、1枚の画像毎に切断するものに限らない。所定の長さ分搬送されるまで切断せず、所定の長さまで搬送された後で切断し、1枚(1頁)の画像毎に切り離すのは別のカッタ装置で手動操作等によって切断するものとしてもよい。またシートの幅方向に関しては、切断が必要な場合、別のカッタ装置を用いて切断することになる。
【0023】
カッタユニット110から搬送されたシートは、ユニット内を図中f方向に搬送され、裏面印字ユニット111に搬送される。裏面印字ユニット111は、シートの片面のみに画像を印刷する場合に、シートの裏面に所定の情報を印刷させるためのユニットである。シートの裏面に印刷する情報としては、印刷画像毎に対応した文字、記号、コード等の情報(例えば、オーダー管理用番号等)が含まれる。裏面印字ユニット111は、印刷ヘッド106が両面印刷の印刷ジョブのための画像を印刷する場合、印刷ヘッド106が画像を印刷する領域以外に上記のような情報を印刷する。裏面印字ユニット111は、記録剤の押印、熱転写、インクジェットなどの方式を採用可能である。
【0024】
裏面印字ユニット111を通ったシートは、次に乾燥ユニット112に搬送される。乾燥ユニット112は、インクが付与されたシートを短時間で乾燥させるために、ユニット内を図中g方向に通過するシートを温風(加温された気体(空気))で加熱するユニットである。なお、乾燥の方法は温風を用いるのに代え、冷風、ヒーターによる加温、待機させることのみによる自然乾燥、紫外光等の電磁波の照射など種々のものも採用可能である。印刷単位長さに切断されたシートは1枚ずつ乾燥ユニット112内を通過して、図中h方向に搬送されて仕分けユニット114に搬送される。
【0025】
仕分けユニット114は、複数のトレー(本実施形態では18個)を保持しており、印刷単位の長さ等に応じでシートの排出先のトレーを区別する。各トレーにはトレー番号が割り当てられている。仕分けユニット114では、ユニット内を図中i方向に通過するシートを、各トレー上に設けられたセンサでトレーの空きやシートが満載か否かなどを確認しながら印刷画像毎に設定されたトレー番号に対応するトレーに排出していく。切断されたシートの排出先となるトレーは、印刷ジョブの発行元(ホスト装置)で特定のものが指定される場合や、画像形成装置側で空いているトレーが任意に指定される場合がある。1つのトレーには予め決められた枚数まで排出可能である。この予め決められた枚数を超える印刷ジョブの場合、複数のトレーに跨って排出される。トレーに対して排出可能なシートの枚数やサイズ、種類などは、そのトレーの大きさ(タイプ)等によって異なっている。図1において縦(上下)に並んでいるトレー(以下、大トレー)群は大サイズ(A4サイズ等、L版サイズより大きいもの)のシート、小サイズ(L版サイズ)の両方のシートの排出が可能である。また、横(左右)に並んでいるトレー(以下、小トレー)群は小サイズ(L版サイズ)のシートの排出が可能であるが大サイズのシートの排出はできない。そして、大トレーの方が小トレーより排出可能なシートの出力枚数が多い。
【0026】
また、シート排出中や排出完了等の状態は、表示器を用いてユーザが識別可能にする(例えば、LED等を用いる)。例えば、トレーのそれぞれに互いに異なる色で発光する複数のLEDを設け、点灯しているLEDの色や点灯状態か点滅状態かなどによって各トレーの種々の状態をユーザに通知可能である。また、複数のトレーのそれぞれには優先順位を付すことができ、画像形成装置は、印刷ジョブを実行するにあたり、空いている(シートが存在しない)トレーを、優先順位に従って順にシートの排出先として割り当てていく。デフォルトでは、大トレーは上のトレーほど優先順位が高く、小トレーは左側ほど優先順位が高い。また大トレーより、小トレーの優先順位が高い。この優先順位はユーザがシートを取り出しやすい位置の優先順位を予め高くしておいてもよい。またユーザによる操作等で適宜変更可能なものとしてもよい。
【0027】
シート巻取りユニット113は、ページ毎に切断されずにおもて面が印刷されたシートの巻取りを行う。両面印刷の際にはまずおもて面に画像形成が行われたシートを、カッタユニット110でページ単位では切断せず、連続したおもて面の印刷が終了した後に切断する。おもて面が印刷されたシートは、ユニット内を図中のj方向に通過し、シート巻取りユニット113が巻取る。そして、一連のページ分のおもて面の画像形成が終了して、巻き取られたシートは、先のおもて面とは反対面を印刷可能な面にして、つまり印刷ヘッド106に対向させる面を反転させて、再度ユニットの図中のk方向に搬送される。このように搬送させることで、先のおもて面とは反対の裏面の画像の印刷を行わせる。通常の片面印刷の場合は、画像が印刷されたシートは、シート巻取りユニット113による巻取りを行わせずに仕分けユニット114に搬送される。
【0028】
このように、両面印刷の際は、シート巻取りユニット113を用いてシートの巻取りを行い、シートを反転させて裏面の印刷を行うため、片面印刷のときと両面印刷のときとでは仕分けユニット114への排出の際のシートの面が異なる。即ち、片面印刷の場合はシート巻取りユニット113を用いたシートの反転が行われないので、先頭ページの画像が印刷されたシートは先頭ページの画像が下を向いた状態で排出される。そして1つの印刷ジョブが複数ページあるジョブの場合、先頭ページのシートからトレーに排出され、以後後続のページへと順次排出されシートが重なっていく。このような排出をフェイスダウン排出と呼ぶ。一方、両面印刷の場合はシート巻取りユニット113を用いたシートの反転が行われるので、先頭ページの画像が印刷されたシートは先頭ページの画像が上を向いた状態で排出される。そして1つの印刷ジョブが複数枚のシートの出力を行うジョブの場合、最後のページを含むシートからトレーに排出され、以後若いページのシートへと順次排出されシートが重なっていき、最終的に先頭ページの画像が印刷されたシートが排出される。このような排出をフェイスアップ排出と呼ぶ。なお、片面印刷の場合と両面印刷の場合とで排出の際のシートの面を同じ(フェイスアップまたはフェイスダウンに統一)とすべく、片面印刷時と両面印刷時とで第1面の印刷順序(降順とするか昇順とするか)を変えるようにしてもよい。
【0029】
操作ユニット115は、ユーザが種々の操作を行ったり、ユーザに種々の情報を通知したりするためのユニットである。例えば、ユーザに指定された画像が印刷されたシートはどこのトレーに積載されているか、あるいは当該画像が印刷中か印刷終了かなど、オーダー毎の印刷状況の確認が可能である。また、インク残量や、シートの残量等、装置の各種状態の確認、ヘッドクリーニング等の装置メンテナンスの実施の指示を行うためにユーザが操作/確認可能である。
【0030】
図2は、図1で示した画像形成装置における制御に関わる構成を説明するためのブロック図である。画像形成装置200は図1に示した画像形成装置である。ただし、以下の構成は一例であり、種々の変更が可能である。
【0031】
CPU201、ROM202、RAM203、画像処理部207、エンジン制御部208、スキャナ制御部209が主に制御ユニット108に含まれる。そして、制御ユニット108にHDD204、操作部206、外部I/F205などがシステムバス210を介して接続される。
【0032】
CPU201は、マイクロプロセッサ(マイクロコンピュータ)形態の中央演算処理部であり、図1の制御ユニット108に含まれる。CPU201は、プログラムの実行やハードウェアの起動により画像形成装置200全体の動作を制御する。ROM202は、CPU201が実行するためのプログラムや画像形成装置200の各種動作に必要な固定データを格納する。RAM203は、CPU201のワークエリアとして用いられたり、種々の受信データの一時格納領域として用いられたり、各種設定データを記憶させたりする。HDD204は、CPU201が実行するためのプログラム、印刷データ、画像形成装置200の各種動作に必要な設定情報を、内蔵するハードディスクに記憶させたり、読み出したりすることが可能である。なお、HDD204に代えて、他の大容量記憶装置としてもよい。
【0033】
操作部206は、ユーザが種々の操作を行うためのハードキーやタッチパネル、またユーザに種々の情報を提示(通知)するための表示部を含み、図1の操作ユニット115に対応するものである。またユーザへの情報の提示は音声発生器からの音響情報に基づく音響(ブザー、音声等)を出力することによっても行うこともできる。
【0034】
画像処理部207は、画像形成装置200で扱う印刷データ(例えば、ページ記述言語で表されたデータ)の画像データ(ビットマップ画像)への展開(変換)や画像処理を行う。入力された印刷データに含まれる画像データの色空間(たとえばYCbCr)を、標準的なRGB色空間(たとえばsRGB)に変換する。また、画像データに対し、有効な(画像形成装置200が印刷処理可能な)画素数への解像度変換、画像解析、画像補正等、様々な画像処理が必要に応じて施される。これらの画像処理によって得られた画像データは、RAM203または、HDD204に格納される。
【0035】
エンジン制御部208は、CPU201等から受信した制御コマンドに応じて、印刷データに基づく画像をシート上に印刷する処理の制御を行う。各色の印刷ヘッド106へのインク吐出指示や、記録媒体上でのドット位置(インクの着弾位置)を調整するための吐出タイミング設定、ヘッド駆動状態取得に基づく調整等を行う。印刷データに応じて印刷ヘッドの駆動制御を行い、印刷ヘッドからインクを吐出させシート上に画像を形成させる。また、シートをカセットから引き出す引き出しローラの駆動指示、引き出されたシートを搬送させる搬送ローラの駆動指示、搬送ローラの回転状況取得等を行う等、搬送ローラの制御を行い、シートを適切な速度及び経路で搬送および停止させる。
【0036】
スキャナ制御部209は、CPU201等から受信した制御コマンドに応じて、イメージセンサーの制御を行い、シート上の画像を読取り、赤(R)、緑(G)および青(B)色のアナログ輝度データを取得し、デジタルデータに変換する。イメージセンサーとしては、CCDイメージセンサーやCMOSイメージセンサー等を採用可能である。また、イメージセンサーはリニアイメージセンサーとしてもエリアイメージセンサーとしてもよい。また、スキャナ制御部209は、イメージセンサーの駆動指示、該駆動に基づくイメージセンサーの状況取得を行い、イメージセンサーから取得した輝度データを解析し、印刷ヘッド106からのインクの不吐やシートの切断位置の検出等を行う。スキャナ制御部209で画像が正しく印刷されていると判定されたシートは、シート上のインクの乾燥処理が施された後に、指定された仕分けユニットのトレーに排出される。
【0037】
ホスト装置211は、上述した外部装置に対応し、本画像形成装置200の外部に接続され、画像形成装置200に印刷を行わせるための画像データの供給源となる装置であり、種々の印刷ジョブのオーダーを発行する。
【0038】
ホスト装置211は、汎用のパーソナルコンピュータ(PC)によって実現してもよいし、他のタイプのデータ供給装置としてもよい。他のタイプのデータ供給装置としては、画像をキャプチャーして画像データを生成する画像キャプチャー装置がある。画像キャプチャー装置は、原稿上の画像を読取って画像データを生成するリーダ(スキャナ)、ネガフィルムやポジフィルムを読取って画像データを生成するフィルムスキャナなどである。また、画像キャプチャー装置の他の例として静止画を撮影してデジタル画像データを生成するデジタルカメラ、動画を撮影して動画像データを生成するデジタルビデオもある。その他、ネットワーク上にフォトストレージを設置し、ネットワーク経由でフォトストレージに記憶されている画像ファイルを取得して当該画像ファイルから生成した画像データの画像を印刷するものとしてもよい。また、画像形成装置200に着脱可能な可搬性メモリを挿入するソケットを設け、可搬性メモリに格納された画像ファイルを読み出して画像データを生成して印刷するものとしてもよい。また、汎用的なPCに代え、本画像形成装置専用の端末とするなど、種々のデータ供給装置としてもよい。これらのデータ供給装置は画像形成装置の構成要素としてもよいし、画像形成装置の外部に接続した別の装置としてもよい。また、ホスト装置211をPCとした場合、PCの記憶装置に、OS、画像データを生成するアプリケーションソフトウェア、画像形成装置200用のプリンタドライバがインストールされる。プリンタドライバは、本画像形成装置200を制御したり、アプリケーションソフトウェアから供給された画像データを画像形成装置200が扱える形式に変換して印刷データを生成したりする。また、印刷データから画像データへの変換をホスト装置211側で行ってから画像形成装置200に供給するようにしてもよい。なお、以上の処理の全てをソフトウェアで実現することは必須ではなく、一部または全部をASIC(Application Specific Integrated Circuit)等のハードウェアによって実現するようにしてもよい。ホスト装置211から供給される画像データやその他のコマンド、更にステータス信号等は、外部I/F205を介して画像形成装置200と送受信可能である。外部I/F205はローカルI/FであってもネットワークI/Fであってもよい。また、外部I/F205は、有線による接続であっても無線による接続であっても構わない。
【0039】
画像形成装置200内の上記した各構成はシステムバス210を介して接続され、互いに通信可能である。
【0040】
なお、以上の例では、1つのCPU201が図2に示した画像形成装置200内の全ての構成要素を制御するものとしたが、この構成以外としてもよい。即ち、各機能ブロックのいくつかが別途CPUを備え、それぞれのCPUによって個別に制御するものとしてもよい。また、各機能ブロックは図2に示した構成以外の分担のさせ方により個別の処理部または制御部として適宜分割したり、いくつかを統合したりするなど、種々の形態を採用可能である。また、メモリからのデータの読み出しにはDMAC(Direct Memory Access Controller)も用いることもできる。
【0041】
以上のような構成において、画像形成装置200によりロールシートを用いた印刷を行わせる場合、以下の手順となる。
【0042】
まず、画像形成装置200が新たな印刷ジョブを受け付けると、一旦HDD204に格納する。そしてHDD204に格納された印刷ジョブに設定されている印刷設定(使用可能なシートのサイズ及び材質、印刷モード(片面印刷、両面印刷、製本印刷等)等を確認する。そしてこの印刷設定の確認の結果、当該印刷ジョブにおける印刷順序(ページ順序)が決定される。即ち、フェイスダウン排出を行う場合、片面印刷であれば、ページの若い順に印刷が実行されるように決定する。シートの両面に印刷を行う場合(両面印刷、製本印刷)は、先頭ページとは反対面に配置されるページを、最もページ数の大きいページから順に降順でシートの第一面に、その後第2面にその反対面に配置するページを昇順で印刷するよう決定する。通常の両面印刷の場合、第1面に偶数ページを降順で連続して印刷させ、その後第2面に奇数ページを昇順で連続して印刷させるように印刷順序を決定する。また、画像形成装置200はシートの両面への印刷を行う場合であって前後の印刷ジョブで同じシートを使用可能な場合、複数の印刷ジョブの第1面を連続して印刷させ、その後第2面への印刷を連続して印刷させる。これによりシートの反転回数を減らす。従って、印刷順序を決定する際、前後の印刷ジョブの印刷設定を確認し、その結果に従って印刷順序が決定される。このとき対象の印刷ジョブの印刷設定及び前後の印刷ジョブの印刷設定に基づきなるべく同一のシートを用いた印刷を連続して行えるよう使用すべきシートも決定する。
【0043】
なお、複数のページ(画像)を連続して印刷する、とは単にシートの同一面に配置されるページを連続して印刷させるものであり、ページ間の隙間の有無を問うものではない。即ち、ページ間に余白を設けたものも含む。また、印刷ジョブのページ構成によっては印刷される画像が存在しないページもあり得る。
【0044】
また、新たな印刷ジョブを受け付ける毎にHDD204に設けられるキューに順次印刷ジョブが登録される。そして、上記での印刷設定の確認結果に従い、キューに含まれる印刷ジョブで使用するシートのシート情報(サイズ及び材質)、シート情報に基づく使用予定のカセット、印刷ジョブのステータス(進捗やエラーの可否)がHDD204内で管理される。また、各ジョブの印刷の内容に基づき各印刷ジョブが開始される時刻(日時)、所要時間も算出され、これらの情報も管理される。
【0045】
そして以上のように印刷順序が決定されると、キューの先頭の印刷ジョブから順に印刷が完了するように、印刷ジョブの印刷データが画像処理部207に供給される。このときシートの両面に印刷させる場合、上記のように複数の印刷ジョブの第1面に配置されるページが連続して印刷される。従って、連続して印刷させる複数の印刷ジョブのうち最後尾の印刷ジョブの印刷データから先に画像処理部207に供給される(フェイスダウン排出の場合)。即ち、シートの第1面に、連続して印刷される印刷ジョブの最後尾の印刷ジョブの先頭ページとは反対面に配置されるページ群のうち最後尾のページから降順で印刷が開始され、最後に先頭の印刷ジョブの、当該面に配置される先頭のページが印刷されるようにする。すると、シートの第2面では先頭の印刷ジョブの先頭ページから印刷が行われ、順次次の印刷ジョブの第2面への印刷へと移っていく。これにより結果として先頭の印刷ジョブからフェイスダウン排出が行われ、印刷が完了する。
【0046】
画像処理部207が受け付けた印刷データに従って生成した印刷対象の画像データは順次HDD204に格納される。そしてHDD204に格納された画像データは、決定した印刷順序に従って順次エンジン制御部208に供給される。このとき、印刷ジョブに設定されている印刷設定等の属性に基づく、シートのどちらの面に印刷するための画像データであるか(両面に印刷する場合)、ページ番号、そして印刷ジョブを特定可能な情報も画像データとともにエンジン制御部208に通知される。またHDD204に格納される画像は印刷の方法等に応じて90度単位で回転処理が施されることもある。
【0047】
この画像データを受け取ったエンジン制御部208は印刷する画像のサイズに応じたシートカセットからシートを供給させるとともにヘッドユニット105による印刷位置まで搬送させる。そして印刷ヘッド106から画像データに応じてインクを吐出させシート上に画像を形成させる。印刷済みの画像はスキャナユニット107により印刷の成否が判定され、正しく印刷されていると判定されれば乾燥ユニット112による乾燥処理が行われる。正しく印刷されていないと判定されればカッタユニット110によるシートの切断が行われ、仕分けユニット114の各トレーのうち、不良物を排出するトレー(例えば最下部にあるトレー)に排出させる。そして正しく印刷されたかった分は再印刷を行わせるべくエンジン制御部208への画像データの再供給を行い、上記処理を繰り返す。シートの両面に印刷させる場合は表裏の画像の両方が正しく印刷されている場合以外は再印刷を行わせる。
【0048】
また、エンジン制御部208による印刷を実行している印刷ジョブが片面印刷であった場合、画像が印刷されたシートはページ単位でカッタユニット110による切断を行わせる。そして切断されたシートは仕分けユニット114の指定されたトレーに排出される。一方、シートの両面に印刷させる印刷ジョブであり、第1面への印刷を複数ページ連続させる場合、第1面への印刷を行ってもページ単位ではカッタユニット110による切断を行わせず、最後尾のページを印刷させた後に切断させる。第1面に画像が印刷されたシートはシート巻取りユニット113に供給され、第2面への印刷を行う際、シート巻取りユニット113を逆回転させ、切断面からヘッドユニット105の方にシートを供給させる。そして第2面への印刷が行われるとページ単位でカッタユニット110による切断を行わせる(印刷設定によってはページ単位で切断されないこともある)。そして印刷及び切断済みのシートは仕分けユニット114の指定されたトレーに排出される。また、裏面印字ユニット111による情報の印字を行うよう設定されている場合、シートが切断された後、裏面印字ユニット111による印字も行われる。
【0049】
以上のようにして一連の印刷処理が順次行われ、印刷処理の進行とともにキューで管理している印刷ジョブの情報も更新される。
【0050】
次に各シートカセットのシートの状態をユーザに提示すべく表示する方法について説明する。図3は各シートカセットのシートの状態及び印刷ジョブの処理予定を示す操作ユニット115(操作部206)の表示画面の一例である。ここではシートカセットが2基増設され、画像形成装置200に4つのシートカセットが存在する例を示す。
【0051】
図3において、301はシートカセットのシートの状態を表示する表示領域を示す。301に表示されるシートカセットの数は画像形成装置200に存在するシートカセットの数に応じて変更するものであってもよいし、シートカセットの数は固定とし、存在するシートカセットの存在を示す表示を行うものとしてもよい。
【0052】
302はシートカセット101aのシート、303はシートカセット101bのシート、304は増設された上段のシートカセットのシート、305は増設された下段のシートカセットのシートの状態をそれぞれ示す。各シートカセットの図の配置は図1で示した向きで見たシートカセットの配置、即ち操作ユニット115の表示画面側からシートカセットの配置と一致している。従って、ユーザは直感的にどのシートの状態を示しているかが容易に把握可能となっている。
【0053】
図3に示すように、各シートカセットと対応付けてそれぞれにセットされているシートの使用順序が表示される。現在使用中、または1番目に使用される予定のシートがセットされているシートカセットに「1番目」の文字列が表示され、以下、2番目以降に使用される予定のものに「X番目(Xは使用順を示す自然数)」の文字列が表示される。使用予定のないものにはX番目の表示はなされない。この使用順はキューで管理している印刷ジョブの情報に基づき決定する。この使用順は各印刷ジョブで使用するシートの長さと、各シートカセットのシートの残量とに応じて精度良く決定するようにしてもよいし、使用予定のシートの長さはシートの残量は考慮せず、使用する可能性のあるシートに従って決定するようにしてもよい。従って、特に後者の場合、実際の印刷を行った結果、使用しなかったシートカセットのシートも存在し得て、その場合、動的に印刷順序は更新する。
【0054】
また図中、“■”で示すのはシートのおおよその残量の目安とする情報であり、“■”の数が多いほど残量が多いことを示す。ここでは3段階表示としたが、何段階で示すかは適宜変更可能としてもよい。印刷処理等によるシートの使用やシートの交換等に応じて適宜残量表示が変更される。シートがない場合には“■”は1つも表示されない。なお、以上は残量表示の一例であり、「多い」、「少ない」などの文字列や具体的な長さ(○○メートル)など種々の表示方法を採用可能である。
【0055】
そして、各シートカセットのシートの使用状況として、「使用中」、「待機中」、「不使用」、「交換中」、「不明」、「準備中」などが表示される。「使用中」は現在印刷処理で使用していることを指す。シートの両面に印刷するために既にシートが切断され、シート巻取りユニット113によって巻き取られている状態及びそれ以降の処理を行っているものも「使用中」とする。「待機中」は使用予定があり、まだ使用開始はされていないことを指す。「不使用」は使用予定がないことを指す。「交換中」はシートマガジンのドアがオープンされ、シートの交換のための作業がなされていることを指す。「不明」はシートに関する情報が不明であることを指す。シートが装填されていない場合もここでは「不明」と表示するものとするが、「シートなし」等としてもよい。「準備中」はシートはセットされているが、まだ初期化処理などを行っており印刷処理を開始できない状態を指す。
【0056】
306は各シート(シートカセット)を使用する時間の予定を示す。即ち、ここではシートの使用順序として3番目まで存在するため、1番目から3番目までが表示され、それぞれの使用期間と所要時間とが表示される。1番目のシートは既に印刷処理が開始され、使用中であるため開始時間が表示されない。これらはキューで管理されている印刷ジョブの情報、現在時刻などに基づき算出される。そして、印刷処理の進行に伴ってこの表示は順次更新される。
【0057】
また、図3では示さなかったが、各シートカセットのシートの状態表示では、シートサイズ(シート幅)、シート種(材質)なども併せて表示する。また、さらにキューで管理されている印刷ジョブ群のリストも表示する。このとき、印刷ジョブ毎にジョブID、使用するシートの情報(サイズ、材質)、使用するシートカセット、印刷データのファイル名、印刷開始予定時刻、印刷終了予定時刻、所要時間、ステータス(待機中、画像処理中、印刷処理中など)を併せて表示する。
【0058】
次にユーザがシートカセットのシートの交換を行う際の処理の流れについて説明する。図4はこの処理の流れを示すフローチャートである。このフローチャートはCPU201が、ROM202またはHDD204に格納されている制御プログラムをRAM203にロードし、それを実行することにより行われる処理の流れを示す。
【0059】
S401において、画像形成装置200のシートカセットのいずれかのシートマガジンのドアがオープンされたことをCPU201が検出すると、S402に進む。画像形成装置200では印刷で使用中のシートを収納しているシートカセット以外のシートカセットは交換作業が可能である。印刷で使用中のシートを収納しているシートカセットのシートマガジンのドアはロックされており、ユーザにより印刷を停止させるまでそのロックは解除されない。
【0060】
S402では、操作部206の図3の表示画面における、ドアがオープンされたシートマガジンに対応するシートの使用状況の表示が「交換中」に変更される。S403では、ユーザによるシートの交換作業が行いやすいように交換処理が行われる。交換処理としてはシートマガジンを取り出しやすいように自動移動する処理などがある。ユーザはシートマガジンを取り出し、このシートマガジンに新たにシートを装填し、それをシートカセットにセットする。
【0061】
そしてS404において当該シートマガジンがシートカセットにセットされドアが閉められたと判断されるとS405に進む。本実施形態ではドアが閉められたことを検知することによりユーザによるシート交換作業が終了したと判断する。シート交換作業が終了したと判断すると、シートの空回転によるシートの使用可否、シート残量、シート幅のチェック等が行われる。S405ではCPU201が交換されたシートのシート情報(シートサイズ、シート種など)を確認する。ここではシートにプリントされているシート情報を不図示のイメージセンサーにより読み取って得た結果をCPU201が取得したり、ユーザにより操作部206から入力された情報をCPU201が取得したりすることによりシート情報を確認する。シート情報の確認方法としてはこれら以外、種々のものを採用可能である。
【0062】
S406では、S405においてシート情報が取得できたか判断する。ここでシート情報が取得できなかった場合とは、例えばシートにプリントされているシート情報を正しく読み取れなかった場合や、ユーザにより操作部206で適切にシート情報が入力されなかった場合などがある。ここでシート情報が取得できたと判断された場合はS407に進み、取得できなかったと判断された場合はS411に進む。
【0063】
S407では、取得されたシート情報に基づき、今回セットされたシートが現在画像形成装置200により印刷中、または既に画像形成装置200が受け付けている印刷待ちの印刷ジョブで使用可能なシートであるか判断する。ここでは上述のようにキューで管理されている印刷ジョブの情報に従って判断される。ここで印刷中または印刷待ちの印刷ジョブで使用可能なシートであると判断された場合はS408に進み、いずれでも使用可能ではないと判断がされた場合はS410に進む。なお、印刷ジョブで使用可能なシートは、印刷ジョブによって指定されているシートの情報が各シートカセットにセットされているシート情報と一致するもの以外も含むようにしてもよい。即ち、印刷ジョブで指定されているシートの幅よりも幅の大きいシートは印刷が行われた後にシートを切断させればよいので、このようなシートも使用可能なシートに含ませるようにしてもよい。このように印刷ジョブで指定されているシートの幅より大きい幅のシートを使用可能なシートに含ませるかどうかは操作部206等からの指示によりRAM203等に登録しておくものとする。CPU201は印刷ジョブで指定されているシートの幅より大きい幅のシートを使用可能なシートに含ませるよう登録されていた場合、使用可能なシートにこれを加えてシートの使用順を判断する。
【0064】
S408では、RAM203またはHDD204に記憶されている画像形成装置200の動作に関わる設定情報を参照し、シート交換時にシートの使用順の見直しを行う設定がONになっているか判断する。この設定は、シートが新たにセットされた場合に、既に決定されている各シートの使用順を初期化し、新たにセットされたシートを含めて使用順の見直しを行うかどうかを示すものである。ONになっている場合はS409において使用順の見直しを行い、OFFになっている場合は見直しを行わずに本フローを抜ける。この設定は操作部206またはホスト装置211からの操作によりON/OFFを切り替え可能であり、切り替え結果はRAM203またはHDD204に記憶される。使用順の見直しを行わない場合は、シート交換前の使用順のままとする(シートの使用状況は「交換中」から「待機中」に変更する)。ただし、今回セットされたシートのシート情報と交換前にセットされていたシートのシート情報とが異なっていた場合、交換前の当該シートの使用順は無効とする(シートの使用状況は「不使用」にする)。そしてこのシートの使用順より後の使用順になっていたシートがあればその使用順を繰り上げる。また交換前の当該シートの使用状況が「不使用」や「不明」であった場合、シート交換後は「不使用」とする。
【0065】
S409では、シートが新たにセットされた場合に、既に決定されている各シートの使用順を初期化し、新たにセットされたシートを含めて使用順の見直しを行い、各シートの使用する順番を決定する。ここでの処理の詳細は後述する。
【0066】
S410では、今回セットされたシートの使用予定がないので、CPU201は当該シートの使用状況を「交換中」から「不使用」に変更する。このとき、交換前のシートに使用順が設定されており、その使用順より後の使用順になっていたシートがあった場合、使用順を繰り上げる。
【0067】
S411では、今回セットされたシートのシート情報が不明なので、CPU201は当該シートの使用状況を「交換中」から「不明」に変更する。このとき、交換前のシートに使用順が設定されていた場合、その使用順より後の使用順になっていたシートがあれば使用順を繰り上げる。
【0068】
次にS409における処理の詳細について説明する。図5はこの処理の流れを示すフローチャートである。
【0069】
S501では、CPU201は上述のキューで管理されている現在画像形成装置200によって印刷中の印刷ジョブで使用中のシートのシート情報を取得する。そしてS502において印刷中の印刷ジョブで使用中のシートの状態を表示する。ここでは図3の302で示されるように、使用順は「1番目」、シート残量は現段階で識別したもの、状態は「使用中」となる。なお、現在画像形成装置200が印刷停止状態であればS501、502の処理はスキップされる。
【0070】
そして、S503では、現在画像形成装置200が印刷中であれば当該印刷により使用中のシートと同じシートが現在使用中のシートを収納しているシートカセット以外にセットされているか確認する。また、印刷待ちの印刷ジョブで使用予定のシートが各シートカセットのいずれかにセットされているか確認する。
【0071】
S504において、S503の確認の結果、該当するシートが見つかったと判断された場合、S505に進み、見つかったシートのそれぞれの残量を確認する。そしてS506において各シートの使用順を、各シートを使用する印刷ジョブの印刷順に従って並び変えるとともに、同じ種類のシートはシートの残量が少ない順に使用されるように順位付けする。ここでシートの残量が少ないものから先に使用するようにするのは、残量が少ない方を先に使い切ることで、同じ種類のシートの交換時期が近くなってしまうのを防ぐためである。即ち、残量の少ないシートを使い切った後、残量が多かった方のシートを使用している間に使い切った方のシートを収納していたシートカセットに新たなシートをセットできる。なお、S505の確認の結果、該当するシートの残量が同じ程度であった場合は、予め決められた優先順位に従って各シートの使用順を決定する(例えば、よりシートの搬送距離が短くなるものを優先する)。また同一のシートが連続して使用することを優先させればシートカセットの切り替えの回数を減らし印刷処理の効率を向上させることができる。ここで使用候補として同じ種類のものが複数ある場合、より残量が少ない方を優先的に使用するという考え方はシート以外の消耗品にも適用可能である。例えば、複数のインクタンク109のうちのいくつかに同一の種類のインクを収納しておくことが可能であり、いずれのインクタンクからもインクを印刷ヘッド106に供給可能である場合、より残量の少ない方のインクタンクから供給させることが可能である。これにより、特定のインクタンクのインクを使い切るようにし、上述したシートの場合と同様に交換時期をずらすことが可能である。
【0072】
S507では、確認した各シートの残量、そして印刷中、印刷待ちの印刷ジョブの内容に基づき各シートの印刷所要時間を計算する。このとき各シートはどのシートカセットにセットされているかによりシート搬送距離も異なるので、印刷所要時間はこの搬送距離も考慮して計算する。そして、S508において以上の処理で特定した各シートの状態と印刷所要時間とを図3のように操作部206に表示させる。また、以上の処理により使用予定がないと判断されたシートについてはS509において使用状況の表示を「不使用」とし、さらに現段階で識別したシート残量の表示を行う。
【0073】
なお、以上の各シートの使用順の決定のための処理及びその結果の表示の処理は、図4のS409のタイミングでの実行だけではなく、画像形成装置200が新たに印刷ジョブを受け付け、印刷処理を開始した後を含め種々のタイミングでも実行される。そして、印刷処理の進行に伴い、シートの状態等の情報は順次更新され、それに伴い表示内容も更新される。
【0074】
即ち、CPU201は画像形成装置200にセットされている複数のカセットについて順次シートの状態を示す情報を取得し、各シートの状態の変化に応じて表示内容を変更させる。この各シートの状態の確認は画像形成装置200のエンジン制御部208が稼働している間、常に行われる。
【0075】
図6は画像形成装置200にセットされている複数のシートカセットのシートの状態を判断する処理の流れを示すフローチャートである。このフローチャートはCPU201が、ROM202またはHDD204に格納されている制御プログラムをRAM203にロードし、それを実行することにより行われる処理の流れを示す。
【0076】
まずS601において、画像形成装置200に装備されているシートカセットの数を特定する。ここでは、シートカセット101a、101bに加えて増設された2つのシートカセットの合計4つであることをCPU201がエンジン制御部208に問合せて、その結果を取得することにより特定する。ここで特定されたシートカセットの数はRAM203またはHDD204に記憶される。
【0077】
次にCPU201はチェック対象のシートカセットを特定するNの値を1とする。ここでN=1をシートカセット101a、N=2を101b、N=3を増設されたシートカセットの上段、N=4を増設されたシートカセットの下段とする。これらのNの値は各シートカセットの使用順の優先順位に対応している。
【0078】
S603ではN番目のシートカセットの状態を取得する。ここで取得するのは該当するシートカセットにシートがセットされているか否か、セットされていればそのシートのサイズ、種類、残量などの情報である。
【0079】
604では、S603で取得したシートカセットの状態に従って図3に示すようにシートの状態を、操作部206に表示させる。
【0080】
S605ではNの値が、S601で記憶した画像形成装置200が装備しているシートカセットの合計の数と一致するか判断し、一致しない場合はNに1を加算してS603から処理を繰り返す。そしてCPU201はS605で肯定判定が行われ、画像形成装置200に装備されている全てのシートカセットのシートの状態を取得するとこのフローを終了させ、再びS601からの処理を繰り返す。
【0081】
以上のような処理において、例えば、シート交換前の各シートの状態が図3のとおりであった場合、シートの交換により以下のように表示画面は遷移する。ここでは302〜303で示されるシートのシート情報は同一であるとする。
【0082】
ここで、303で示されるシートの交換作業が開始されるとS402において、303の「2番目」が「?」に、シート残量は非表示に、「待機中」が「交換中」にそれぞれ変更される。そしてS408で否定判断がなされた場合はシート交換前の表示となる(「?」が「2番目」に、「交換中」が「待機中」に変更される)。ただし、シート残量はセットされたシートの残量に応じたものとする。また、S410に進んだ場合は、303で示されるシートの状態を「?」から非表示に、シート残量はセットされたシートに応じたものとし、「交換中」から「不使用」に変更する。そして、302で示されるシートの状態の「3番目」を「2番目」に変更する。また、S411に進んだ場合は、303で示されるシートの状態は「不明」のみの表示に変更する。そして、302で示されるシートの状態の「3番目」を「2番目」に変更する。
【0083】
また、以上の処理において、CPU201は印刷ジョブで使用可能なシートがいずれのシートカセットにもセットされていないと判断した場合、エラー情報とともに必要なシートの情報を操作部206に表示させる。また、CPU201は印刷ジョブで使用可能なシートがいずれかのシートカセットにセットされていても印刷ジョブの実行によりシートが不足することが推定される場合その旨をユーザに通知する。即ち、CPU201は各印刷ジョブの内容と各シートの残量とからシートが足りるか判断し、シートが不足する場合、その旨をそのシート情報とともに操作部206に表示させるようにする。
【0084】
以上のように複数のシートの使用順を決定し、その結果を操作部206に表示させることにより、ユーザは使用予定のシートについての種々の情報を確認でき、それに応じた作業が可能となる。従って、すぐに使用する予定であったシートがセットされているシートカセットのシートマガジンのドアを開けて交換作業に入ってしまうなどの不都合を防止することができる。また、シートの不足により印刷処理が停止してしまう前にシートの交換を行わせることが可能である。なお、以上のように操作部206に表示させた情報は、外部I/F205を介してホスト装置211に送信し、ホスト情報211の表示装置によって表示させてもよい。
【0085】
また、以上の説明において各印刷ジョブで指定されているシートの情報とは一致しないシート(大きいサイズ(シート幅)のシート)を用いることを許可する場合、シートの使用順位は以下の条件に従う。印刷ジョブで指定されているシートの情報と一致するものが最も優先順位が高く、以下、より余白が小さくなるもの(印刷ジョブで指定されている幅との差分が小さいもの)から余白が大きくなるものの順となる。このときも同じサイズのシート同士ではより残量の少ないものが優先される。ただし、既に使用中のシートを継続して用いた方が効率的であることを理由に、後続の印刷ジョブで指定されているシートの情報と同一のシートが他のシートカセットにセットされていても使用中のシートを優先させるようにしてもよい。これにより、使用中のシートの切断及びカセットへのシートの引き戻しなどの処理を省略でき、より効率的となる。使用中のシートを優先させるか否かは操作部206からの指示でRAM203等に登録しておき、CPU201は当該シートを優先させると登録されている場合に、これに従って使用順を判断する。
【0086】
また、以上の説明ではシートとしてロールシート等の連続シートを用いる例について説明したが、予め所定のサイズにカットされたカットシートを用いて印刷を行うものについても適用可能である。即ち、シートカセットとしてカットシートを収納するものを複数設け、各シートカセットのシートのサイズや残量を判断し、上述のロールシートの場合と同様に各シートカセットの使用順序を決定し、その結果を操作部206等に表示させる。これにより、シートの補給時期をユーザが容易に判断することができる。また、連続シート用のシートカセットとカットシート用のシートカセットとを装備し、いずれかを選択して画像の印刷を行うものにも適用可能である。また、シートの使用順序を決定する際、シートの交換時期が重ならない、またより印刷が効率的に行える(高速に行える)シートや余白の少なくなるシートを優先的に使用するなどの条件を考慮することが好ましい。しかし、例えばユーザの好みなどにより、以上述べたような条件に他の条件をさらに加えたり、一部を差し替えたりするようにしてもよい。
【0087】
以上説明したように本実施形態によれば、後続の複数の印刷ジョブで使用可能なシートを判断し、シートの使用順序を決定し、その結果を使用予定があるかどうかとともにユーザに提示する。これによりユーザはシートの交換や装填を適切なタイミングで行うことができる。また、複数のシートカセットのシート交換時期をずらすことによりシートの交換等に伴う印刷停止時間を削減することができる。また複数の印刷ジョブの印刷時間をできるだけ短くしたり、シートの無駄な使用を減らしたりするようにシートの使用順を決定することができる。
【0088】
なお、以上の説明において、印刷を行う部分を除いた、印刷順序のスケジューリング、シートの使用順等の処理をホスト装置や外付けコントローラなどの外部装置で実現し、それに従って画像形成装置に印刷を実行させるようにしてもよい。その際、外部装置は画像形成装置からステータス(現在の印刷状況、シートカセット等の情報)を取得してシートの使用順序や各ページの印刷順序を決定することになる。この場合、外部装置が印刷制御装置として機能することになる。
【0089】
また、本発明は、以下の処理を実行することによっても実現される。即ち、上述した実施例の機能を実現するソフトウェア(プログラム)を、ネットワーク又は各種記憶媒体を介してシステム或いは装置に供給し、そのシステム或いは装置のコンピュータ(またはCPUやMPU等)がプログラムを読み出して実行する処理である。また、プログラムは、1つのコンピュータで実行させても、複数のコンピュータが連動して実行するようにしてもよい。また、上記した処理の全てをソフトウェアで実現する必要はなく、一部または全部をハードウェアによって実現するようにしてもよい。
【0090】
また、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨に基づき種々の変形(他の実施形態への応用、他の実施形態との組合せ等を含む)も可能である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の収納部に収納されている記録材を用いて印刷を行うための印刷制御装置であって、
印刷待ちの複数の印刷ジョブのそれぞれにおいて使用可能な記録材を判定する判定手段と、
前記判定手段による判定結果に基づき前記複数の収納部のそれぞれに収納されている記録材の使用予定の有無を特定する特定手段と、
前記特定手段により決定した前記複数の収納部のそれぞれに収納されている記録材の使用予定の有無をユーザに提示する提示手段とを有することを特徴とする印刷制御装置。
【請求項2】
前記特定手段は、前記複数の収納部に収納されている記録材の使用順序をさらに特定することを特徴とする請求項1に記載の印刷制御装置。
【請求項3】
前記特定手段は、残量の少ない記録材を優先的に使用するよう使用順序を特定することを特徴とする請求項2に記載の印刷制御装置。
【請求項4】
前記特定手段は、同じ収納部に収納されている記録材を優先的に使用するように使用順序を特定することを特徴とする請求項2または3に記載の印刷制御装置。
【請求項5】
前記提示手段は、記録材の残量を識別可能な情報をさらに提示することを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の印刷制御装置。
【請求項6】
前記提示手段は、前記複数の収納部に収納されている記録材の使用時間を特定する情報をさらに提示することを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の印刷制御装置。
【請求項7】
複数の収納部に収納されている記録材のいずれかを用いて印刷を行わせる際、印刷待ちの複数の印刷ジョブのそれぞれにおいて使用可能な記録材を判定し、
前記判定の結果に基づき前記複数の収納部のそれぞれに収納されている記録材の使用予定の有無を特定し、
前記特定した前記複数の収納部のそれぞれに収納されている記録材の使用有無をユーザに提示することを特徴とする印刷制御方法。
【請求項8】
請求項1〜6のいずれか1項に記載の印刷制御装置の各手段または請求項7に記載の印刷制御方法をコンピュータにより実現することを特徴とするプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−153124(P2012−153124A)
【公開日】平成24年8月16日(2012.8.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−16891(P2011−16891)
【出願日】平成23年1月28日(2011.1.28)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】