説明

印刷可能なフレネル構造を含む形成磁界内で印刷された動的外観変化光学デバイス(DACOD)

【課題】画像が、形状およびサイズにおいて均一であることができる、磁気的に整列されたプレートレットまたはフレークのアレイの形態であることができ、フレークが、安全デバイスとして有用な、またはビーム・ステアリング適用で有用な光学錯覚画像を形成するような特定の方法で整列された印刷された画像を開示すること。
【解決手段】本発明の一実施形態では、印刷されたアレイが開示されており、磁気的に整列されたプレートレットの複数の同心リングが、フレネル構造、好ましくはフレネル反射器の形態で支持体上に配置される。有利には、磁界は、強度および方向に関して制御されることができるので、一般的なフレネル反射器に別に存在することがある球面収差を補償する磁界の設計を容易にすることができる。本発明の他の実施形態では、じょうご、ドーム、および円錐の光学的錯覚画像が印刷される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、全般的に光学可変顔料、フィルム、デバイス、および画像に関し、より詳細には、錯覚光学効果を得るために、ペインティングまたは印刷プロセスの間など磁気フレークを整列しまたは方向付けることに関する。
【背景技術】
【0002】
光学可変デバイスは、装飾および実用の両方で広範な適用で使用され、例えばそのようなデバイスは、市販製品の安全性デバイスとして使用される。光学可変デバイスは、様々な効果を達成するために多数の方法で作られることができる。光学可変デバイスの例は、クレジットカードおよび真正のソフトウエア・ドキュメンテーション上に刷られたホログラム、貨幣に印刷された色変化画像、およびオートバイ・ヘルメットおよびホイール・カバーなどのアイテムの表面外観の強化を含む。
【0003】
光学可変デバイスは、対象物にプレスされ、スタンプされ、粘着され、または他の方法で取り付けられるフィルムまたはホイルとして作られることができ、かつ光学可変顔料を使用して作られることもできる。光学可変顔料の1つのタイプは、一般に色変化顔料と呼ばれる。なぜなら、そのような顔料で適切に印刷された画像の外観色は、見るおよび/または照明の角度が傾斜するときに変化するからである。一般的な例は、対偽造デバイスとして作用する米国20ドル紙幣の下方右側角に色変化顔料で印刷された「20」である。
【0004】
いくつかの対偽造デバイスは隠れているが、一方、他の対偽造デバイスは、認められることが意図される。残念なことに、認められることが意図されるいくつかの光学可変デバイスは、デバイスの光学可変の態様が十分には劇的でないので、広く知られていない。例えば、色変化顔料で印刷された画像の色変化は、均一な天井蛍光灯下で認められないことがあるが、直接太陽光または単一のポイント照明下でより認められる。これは、偽造者が、光学可変の特徴なしに偽造紙幣を渡すことをより容易にすることができる。なぜなら、受取者が、光学可変の特徴に気が付かないことがあるからであり、または偽造紙幣が、所定の状況の下で真正の紙幣に実質的に類似して見えることがあるからである。
【0005】
光学可変デバイスは、表面に顔料(一般に、インク展色剤またはペイント展色剤などの担体で)を加えた後で、磁界で整列される磁気顔料で作られることもできる。しかしながら、磁気顔料でのペインティングは、装飾目的のために主として使用される。例えば、磁気顔料の使用は、三次元形状として見える装飾特徴を有するペイントされたカバーホイールを製造するために記載された。パターンは、ペイント媒体がまだ液体状態である間に、製品に磁界を印加することによってペイントされた製品上に形成される。ペイント媒体は、磁力線に沿って整列された磁気非球状粒子を分散する。磁界は2つの領域を有する。第1の領域は、表面に平行に方向付けられかつ所望のパターンの形状に配置される磁力の線を含む。第2の領域は、ペイントされた製品の表面に対して非平行でありかつパターンの周りに配置される線を含む。パターンを形成するために、所望のパターンの形状に対応する形状を有する永久磁石または電磁石は、ペイントがまだ濡れている間に、ペイント内に分散された非球状磁性粒子を磁界に向けるために、ペイントされた製品の下に配置される。ペイントが乾燥されたときに、ペイント層上への光線入射が、方向付けられた磁性粒子によって異なって影響されるときに、ペイントされた製品の表面で見える。
【0006】
同様に、フルオロポリマー・マトリクス内にフレークされた磁性粒子のパターンを作るためのプロセスが記載された。液状形態の組成を有する製品を被覆した後、所望の形状を有する磁界を有する磁石が、支持体の下側に配置される。液体有機媒体内に分散された磁気フレークは、それ自体が磁力線に平行に方向付けられ、元の平坦な向きから傾斜する。この傾斜は、支持体の表面に対して垂直方向から、製品の表面に本質的に平行なフレークを含む元の向きへ変化する。平坦に方向付けられたフレークは、観察者へ入射光を戻るように反射し、一方、再方向付けられたフレークは反射せず、被覆内の三次元パターンの外観を与える。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】米国特許第6692830号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の目的は、光学可変画像を提供することであり、半球状、円錐などの三次元対象物は、現在まで記載されていない、特定の磁界の存在の下で磁気的に整列可能なフレークを使用して、安全デバイス、ラベルなどの画像を形成する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、錯覚光学効果を有する画像に関する物品、方法、および装置を提供する。
【0010】
本発明によれば、リングまたは曲線を画定するように、第1のパターンで支持体上に載る第1の複数の磁気的に整列可能なフレークを有する画像を備える安全デバイスが提供される。好ましくは、少なくともn個(n>1000)のフレークが提供され、フレークの表面から延在する面は互いに交差する。
【0011】
本発明の一態様によれば、第1の複数の磁気的に整列可能なフレークは、複数のフレークの同心リングを画定し、フレークのリングは、円形状領域の場所を占め、リングを画定するフレークは、最も外側のリングから最も内側のリングへ支持体に対して増大するまたは低減する角度を形成する。
【0012】
本発明の一態様において、デバイスは、第1のパターンに対応するパターンで支持体上に載る第2の複数の磁気的に整列可能なフレークを含むことができ、フレークは、支持体に対して同一の第2の角度で傾斜され、第2の角度は、第1の角度とは異なり、第2の複数のフレークの表面に沿って延在する面は、互いに交差する。
【0013】
複数の磁気的に整列可能なフレークは、全体が閉鎖された領域に実質的に全てに分散され、かつその中の所定のパターンで方向付けられることができ、フレークの少なくとも50%より多くが、それらの反射表面に垂直な線が、線に沿ってまたは点に収束するように方向付けられる。
【0014】
好ましい実施形態において、画像は、少なくとも10000個のフレークまたはそれ以上を備える。
【0015】
本発明の一態様によれば、光学的に錯覚画像は、その表面を被覆するフレークの領域を有する支持体を備えて提供され、フレークは、全体領域の実質的に全てに分散されかつその中で所定のパターンで方向付けられ、フレークは、それらの反射表面に垂直な線が、線に沿ってまたは点に収束するように方向付けられる。
【0016】
本発明の他の態様によれば、ラベルまたは安全デバイスは、全体領域の実質的に全てに分散され覆いかつ所定のパターンで方向付けられるフレークを有する光学的に錯覚画像を備えて提供され、フレークは反射表面を有し、所定のパターンを形成するフレークの向きは、フレークの反射表面に対する垂直な線が、線に沿ってまたは点で収束するようなものであり、所定のパターンは、回転軸を有する。
【0017】
本発明のさらなる態様によれば、印刷されたアレイは、フレネル構造、好ましくはフレネル反射器の形態で、支持体上に配置された磁気的に整列されたプレートレットの複数の同心リングを備えて提供される。有利には、磁界は、強度および方向に関して制御されることができるので、そうでなければ一般的なフレネル反射器に存在する球面収差を訂正するフィールドを容易に設計することができる。
【0018】
本発明の一態様によれば、画像は、受信または反射アンテナの一部を形成し、フレークは、それぞれ選択的に吸収または反射する。
【0019】
本発明の他の態様によれば、これまで記載された任意の実施形態で記載されたような光学画像は、その上に格子を有し、および/またはフレークは、100μmから1mmの表面積を有し、フレークは、100nmから100μmの厚みの範囲内である。
【0020】
本発明のさらに他の態様によれば、少なくとも一部のフレークは、その中にまたはその上に格子を有し、格子の周波数(frequency)および深さが、人間の裸眼で見ることができる回折効果を有さないように十分に低く、格子を有するフレークは、それぞれ格子の線に沿って整列される。ある実施形態において、少なくとも一部のフレークは、その中にまたはその上に格子を有し、格子の周波数は200ln/mmより小さく、格子の深さは100ミクロンより小さい。
【0021】
フレークは、形状が均一であることができ、好ましくはより大きなパッキング密度を可能にする六角形形状である。
【0022】
本発明の代わりの実施形態において、光検出器を形成する画像が提供され、画像は、それが画像を照明する多数の別個の光源に対応する多数のリングを表示するように動的である。
【0023】
本発明の例示的な実施形態は、以下に本発明にしたがって記載される。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】図1Aは、出願人の米国特許出願第2005/0106367号に記載されかつ示される、「フリップフロップ」として言及される印刷された画像の単純化された断面である。 図1Bは、出願人の米国特許出願第2005/0106367号に記載されかつ示される、第1の選択された視角での文書上の印刷された画像の単純化された平面図である。 図1Cは、出願人の米国特許出願第2005/0106367号に記載されかつ示される、視点に対して画像を傾斜することによって得られる、第2の選択された視角で印刷された画像の単純化された平面図である。
【図2A】出願人の米国特許出願第2005/0106367号に記載されかつ示される、議論の目的のために「ローリング・バー」として言及される印刷された画像の単純化された断面である。
【図2B】出願人の米国特許出願第2005/0106367号に記載されかつ示される、第1の選択された視角でのローリング・バー画像の単純化された平面図である。
【図2C】出願人の米国特許出願第2005/0106367号に記載されかつ示される、議論の目的のために「ダブル・ローリング・バー」として言及される印刷された画像の単純化された断面である。
【図2D】図2Cに示される画像の上面図である。
【図3】図4に示されるスター・バースト画像に対応する印刷された乾燥インクの層内で磁気的に整列されたプレートレットの断面である。
【図4】本発明によるスター・バースト・パターンの画像の平面図である。
【図5】図5Aは、磁気的に整列されたプレートレットからなる円錐の画像の写真である。 図5Bは、磁気的に整列されたプレートレットからなる円錐の画像の写真である。
【図6】磁界内で整列されたプレートレットを示す、円錐形状の磁界の断面である。
【図7】図7は、画像の表面に対して垂直な角度で上方から直接見られた円錐の画像の写真である。 図7Aは、異なる角度から見られた円錐の画像の写真である。 図7Bは、異なる角度から見られた円錐の画像の写真である。
【図8】印刷された画像における非常に驚くべき効果を有する新規な磁界を作る、異なる直径の2つのリング形状の積み重ねられた磁石が使用される、本発明の代わりの実施形態の断面図である。
【図9】図8の磁気配置で作られた画像の写真である。
【図10】図10Aは、円環状磁界を使用することによってその中に整列される磁気プレートレットをその後に有する、様々な異なるパターンに加えられる磁性粒子を含むインクの画像である。 図10Bは、円環状磁界を使用することによってその中に整列される磁気プレートレットをその後に有する、様々な異なるパターンに加えられる磁性粒子を含むインクの画像である。 図10Cは、円環状磁界を使用することによってその中に整列される磁気プレートレットをその後に有する、様々な異なるパターンに加えられる磁性粒子を含むインクの画像である。
【図11】円環状磁界を使用することによってその中に整列される磁気プレートレットをその後に有する、様々な異なるパターンに加えられる磁性粒子を含むインクの画像である。
【図12】円環状磁界を使用することによってその中に整列される磁気プレートレットをその後に有する、様々な異なるパターンに加えられる磁性粒子を含むインクの画像である。
【図13A】円環状磁界を使用することによってその中に整列される磁気プレートレットをその後に有する、様々な異なるパターンに加えられる磁性粒子を含むインクの画像である。
【図13B】本発明による光学錯覚画像の写真である。
【図14】図7Aに示される円錐の画像におけるフレーク配置を示す図示であり、より大きなわずか対称的フレークが、例示の目的に使用され、いくつかのフレークは、特定のフレークの側面図を示すために意図的に省略された。
【図15】斜視図で示される図14に類似する図示である。
【図16】印加された円錐状の磁界の線に沿った、インクの層に分散され構造化されていない磁気プレートレットの軸を中心する整列の図15に類似する図である。
【図17】インクの薄層の展色剤または担体に分散された磁性粒子の円錐状整列の図示であり、粒子表面に対して垂直な角度は、仮想リングを画定する曲線に沿った画像上の収束することが示される。
【図18】図18Aは、反射リングを示す円錐状整列を有する印刷の写真である。 図18Bは、反射リングを示す円錐状整列を有する印刷の写真である。
【図19】円錐状磁石が、支持体を覆って配置されるとき、円錐状磁界内の磁性粒子の円錐状整列を図示する図である。
【図20】図20は、フレネル状磁石が、支持体の下に配置されるとき、円錐状磁界内の磁性粒子の円錐状整列を図示する。 図20Aは、本発明によるフレネル状の対象物の画像の写真である。 図20Bは、示される粒子に対して垂直な表面を有するインクの薄層を備える、展色剤に分散された磁気プレートレットのフレネル状整列の部分断面図である。 図20Cは、ボール状磁石が、支持体の下に配置されるとき、フレネル状の磁界内の磁性粒子のフレネル状整列の断面図である。
【図21】図21Aは、画像が、図20に示される粒子配列からの結果である場合の写真である。 図21Bは、画像が、図20に示される粒子配列からの結果である場合の写真である。
【図22】軸対称の円錐状磁界内の回折磁性粒子の整列の一部切り取り斜視図である。
【図23】磁気回折粒子を含みかつ観察者に向かって傾斜された軸対称の印刷の写真である。
【図24】磁気回折粒子を含みかつ観察者に向かって傾斜された軸対称の印刷の写真である。
【図25】磁界内に配置されたときの回折フレークの向きを図示し、フレークの溝が、磁力線に整列されて示される。
【図26】印刷された凸状フレネル・ミラーを形成する、インクの薄層に分散された磁性粒子の軸対称の半球形状整列を示す。
【図27】図26に示されるフレネル・ミラーの断面図であり、フレークに対して垂直な線が、点に向かう線に沿った収束することが示される。
【図28】図28Aは、半球状の凸状ミラーの写真である。 図28Bは、半球状の凸状ミラーの写真である。
【図29】印刷された補償されない凸状のフレネル反射器を形成する、印加された半球形状の磁界の線に沿ったインクの層に分散された磁性粒子の軸対称の整列の図である。
【図30】インクの層内に分散された回折粒子の整列の図である。
【図31】黒背景上に希釈されたインクで作られた、印刷された凸状のフレネル・ミラーの写真である。
【図32】支持体上に印刷されたインクの薄層に分散された磁性粒子の軸対称の半球形状の整列の図示する図である。
【図33】磁気回折粒子333の凹状の整列が、粒子表面334に対して垂直な線を有するインク展色剤332の薄層に分散されるその中の溝の形態での格子を有することを示す図である。
【図34】図34Aは、半球形状の整列を有する印刷の写真である。 図34Bは、半球形状の整列を有する印刷の写真である。 図34Cは、半球形状の整列を有する印刷の写真である。
【図35】図29に関して多くが類似する、インクの層に分散された回折磁性粒子の軸対称の凹状の整列の平面図である。
【図36】インクの層に分散された粒子の単一の径方向線の回折粒子の位置および整列を示す図である。
【図37A】図37Cに示されるようなドーム状の磁界を提供するための、図37Cに示される磁気構成を作る磁石の斜視図である。
【図37B】その垂直軸の周りで回転するときに、図37Aに示されるいくつかの磁石を有する斜視図である。磁石は、どのように半球状の磁界が形成されるかを理解するための例示目的でその回転の2つの異なる時間の瞬間で示される。
【図37C】磁石が、垂直軸の周りの単一の回転を完了した後、その回転の3つの角度での同一の磁石の斜視図である。
【図37D】図37Cの磁石配置の斜視図であり、そこに加えられたフレークにされたインクを有するシートが、ドーム状の磁界で配置され、シートおよび磁界が、以降の2つの図面において矢印で示されるように相対的に回転される。
【図37E】図37Dの斜視図と類似する斜視図であり、シートは、ドーム状の磁界の上部により近く配置され、インクに形成された半球状画像は、図37Dにおけるより小さいサイズである。
【図37F】画像が、一方の位置から他方の位置へ傾斜されたとき、異なる位置で示される図37Eの磁石を使用して作られた回転する3D半球の画像である。
【図37G】画像が、一方の位置から他方の位置へ傾斜されたとき、異なる位置で示される図37Eの磁石を使用して作られた回転する3D半球の画像である。
【図37H】シールドの画像に配置されたドーム形状のフレークを有する半球の印刷された画像である。
【図37I】その軸に沿って形成されたローリング・バーを有するシールドの印刷された画像である。
【図37J】図37Hおよび37Iに形成される画像の合成画像であり、図37Iが図37H上に加えられるように、インクおよび磁界が複数のステージで加えられ、中心領域が、回転する半球を形成するときに一回だけ被覆される。
【図38】図38Aは、図38Cの画像を形成するために使用されるボウル状の磁界の断面である。 図38Bは、図38Aで示される磁界で整列された担体における顔料フレークの断面である。 図38Cは、ページ内に沈められたローリング・ボウルであるように見える、逆転された半球の図38Aに示される磁界内の磁気フレークで形成された画像である。
【図39】微細構造にされた磁気顔料の単一粒子の平面図である。
【図40】微細構造にされた磁気顔料の単一粒子の断面図である。
【図41】MgF/Al/Ni/Al/MgFの多層の微細構造にされた磁気顔料の構造の図である。
【図42】図42aは、溝を横切る測定方向での低変調された低周波数矩形格子(1)の複数角度の色移行を示すグラフである。 図42bは、溝を横切る測定方向での低変調された高周波数正弦波格子(2)の複数角度の色移行を示すグラフである。
【図43】低変調された(80nm)低周波数(140ライン/mm)の矩形格子の上部に堆積された光学スタックMgF/Al/Ni/Al/MgFのスペクトル反射率を示す。
【図44】高周波数(140ライン/mm)の上部に堆積された光学スタックMgF/Al/Ni/Al/MgFのスペクトル反射率を示す。
【発明を実施するための形態】
【0025】
その様々な実施形態において本発明は、安全性およびパッキングならびにラベリング適用に有用な新規でありかつ独創的な磁気構造を提供する。通常、液体ペイントまたはインク展色材に分散された光学可変顔料の粒子は、一般に、表面に印刷またはペイントされたとき、表面に対してそれら自体が平行に向く。表面に平行な向きは、被覆された表面から入射光の高い反射率を提供する。磁気フレークは、液体媒体に磁界を印加することによって、支持体(substrate)に対して傾斜されることができる。フレークは、一般に、反射フレークの最も長い対角線および回折フレークの溝の向きが、磁力線に従うように整列する。磁石の位置および強度に応じて、磁力線は、異なる角度で支持体を貫通することができ、これらの角度に磁気フレークを傾斜させる。傾斜されたフレークは、印刷された支持体の表面に平行なフレークとは異なって入射光を反射する。反射率および色相は、両方とも異なることができる。傾斜されたフレークは、一般により暗く見え、垂直な視角で表面に平行なフレークとは異なる色を有する。
【0026】
印刷された錯覚画像の例
図1Aは、本発明の実施形態による議論の目的の「スイッチング」光学効果、または「フリップフロップ」と呼ばれる印刷された画像20の単純化された断面である。フリップフロップは、移行部25によって分離された、第1の印刷された部分22および第2の印刷された部分24を含む。インク展色材またはペイント展色材などの担体28によって囲まれた顔料フレーク26は、第1の部分内の第1の平面に平行に整列され、第2の部分内の顔料フレーク26’は、第2の平面に平行に整列される。フレークは、断面図において短い線で示される。フレークは、磁気フレーク、すなわち磁界を使用して整列されることができる顔料フレークである。それらは、残留磁化を保持しまたは保持しないことがある。各部分における全てのフレークが、互いにまたは整列のそれぞれの面に正確に平行ではないが、全体の作用が、本質的に示されるようなものである。図面は、同一のスケールではない。典型的なフレークは、幅が20ミクロンでありかつ厚みが1ミクロンであり得るので、図面は単に例示である。画像は、紙、プラスチック・フィルム、ラミネート、カード・ストック、または他の表面などの支持体29上に印刷されまたはペイントされる。議論に好都合のために、用語「印刷された」は、担体中の顔料を表面に塗布することを一般的に記載するために使用され、それは他の技術を含むことができ、「ペインティング」として呼ばれることがある他の技術を含む。
【0027】
一般に、フレークの面に対して垂直に見たフレークは明るく見え、一方、面の縁部に沿って見たフレークは暗く見える。例えば、照明源30からの光は、観察者32への第1の領域内のフレークから反射される。画像が、矢印34によって示される方向に傾斜するなら、第1の領域22におけるフレークは、端部で見られ、一方、光は、第2の領域24内のフレークから反射される。したがって、第1の観察位置で、第1の領域は明るく見え、かつ第2の領域は暗く見え、一方、第2の観察位置で、フィールドはフリップフロップであり、第1の領域は暗くなり、かつ第2の領域は明るくなる。これは、非常に目立つ可視効果を提供する。同様に、顔料フレークが、色変化する場合、一方の部分は第1の色であるように見え、かつ他方の部分は別の色であるように見えることができる。
【0028】
担体は、一般的に無色または薄い色のいずれかで透明であり、フレークは、一般的にかなり反射性がある。例えば、担体は、薄い緑であることができ、フレークは、アルミニウム、金、ニッケル、白金、または合金の薄層などのメタリック層を含むことができ、またはニッケルまたは合金フレークなどの金属フレークであることができる。薄い緑の担体を通って金属層から反射された光は、明るい緑に見え、一方、端部で見えるフレークを有する他の部分は、暗い緑または他の色に見えることができる。フレークが、無色の担体における単にメタリック・フレークであるなら、画像の一部分は、明るいメタリックに見え、一方、他の部分は暗く見えることができる。代わりにメタリック・フレークは、薄い色の層で被覆されることができ、またはフレークは、吸収体・スペーサ・反射体のファブリ・ペロー構造などの光学干渉構造を含むことができる。さらに、回折構造は、強化および追加の安全機構を提供するために反射表面上に形成されることができる。回折構造は、反射表面内に形成された簡単な線形格子を有することができ、または拡大されたときに認められることだけができるが、観察したときに全体の効果を有する、より複雑な所定のパターンを有することができる。回折反射層を提供することによって、色変化または輝度変化は、シート、貨幣、または回折フレークを有する構造を単に向きを変えることによって、観察者によって見られる。
【0029】
回折フレークを製造するプロセスは、米国特許第6692830号に詳細に記載される。米国特許出願第20030190473号は、色彩の回折フレークを製造することを記載する。磁気回折フレークを製造することは、回折フレークを製造することに類似するが、1つの層は、磁性であることを必要とする。実際、磁気層は、Al層間に挟まれることによって隠されることができる。このように、磁気層は、さらにまたフレークの光学設計に実質的に影響を与えないか、または薄膜の干渉光学設計における吸収体、誘電体、または反射体として光学的に活性な役割を同時に果たすことができる。
【0030】
図1Bは、第1の選択された視角での支持体29上に印刷された画像20の単純化された平面図であり、支持体29は、貨幣または株券などの文書であることができる。印刷された画像は、安全性および/または認証の特徴として機能することができる。なぜなら、錯覚画像は、複写されず、従来の印刷技術を使用して製造されることができないからである。第1の部分22は、明るく見え、第2の部分24は、暗く見える。切断線40は、図1Aで示される断面を示す。第1の部分と第2の部分との間の移行部25は、比較的鋭い。文書は、例えば貨幣、株券、または他の高価値の印刷された材料であることができる。
【0031】
図1Cは、視点に対して画像を傾斜することによって得られる、第2の選択された視角での支持体29上に印刷された画像20の単純化された平面図である。第1の部分22は、今や暗く見え、一方、第2の部分24は、明るく見える。画像がフリップフロップする傾斜角度は、画像の異なる部分におけるフレークの整列面間の角度に応じる。一実施例において、約15度にわたって傾斜されたとき、画像は、明から暗へフリップする。
【0032】
図2Aは、本発明の他の実施形態による、マイクロ・アレイにされた円筒状フレネル反射器として、または議論の目的のために「ローリング・バー」と呼ばれるとして規定される、運動学的光学デバイスの印刷された画像42の単純化された断面である。画像は、支持体29上に印刷された透明担体28によって囲まれた顔料フレーク26を含む。顔料フレークは、湾曲する方式で整列される。フリップフロップを有するとき、観察者に顔料フレークの面から光を反射するローリング・バーの領域は、観察者に光を直接反射しないエリアより明るく見える。この画像は、画像が視角に対して傾斜されるとき(固定照明源を仮定する)、画像を横切って移動する(「ロール」)ように見える光バンドまたはバーに非常に類似して見えるフレネル焦点線を提供する。
【0033】
図2Bは、第1の選択された視角での、ローリング・バー画像42の単純化された平面図である。明るいバー44が、2つの対比フィールド46、48間の画像における第1の位置に見える。図2Cは、第2の選択された視角での、ローリング・バー画像の単純化された平面図である。明るいバー44’は、画像における第2の位置に「移動した」ように見え、対比フィールド46’、48’のサイズは変化する。顔料フレークの整列は、画像が傾斜されるように(固定された視野および固定照明で)、画像を「ローリング」ダウンするバーの錯覚を作る。他の方向への画像の傾斜は、バーが、反対方向にロールする(アップ)ように見えさせる。
【0034】
バーは、それが面に印刷されていても、奥行きを有するように見える。可視的な奥行きは、印刷された画像の物理的な厚みより非常に大きいように見えることができる。バーが、反射器の面の下で焦点長さに配置された円筒状の凸状フレネル反射器の仮想焦点線であるので、これは起こる。選択されたパターンにおけるフレークの傾斜は、それが一般に参照されるように、奥行きまたは「3D」の錯覚を提供するように光を反射する。三次元効果は、流体担体の状態で支持体上に印刷された磁気顔料フレークで、紙または他の支持体の背後に形状形成された磁石を配置することによって得られることができる。フレークは、磁力線に沿って整列し、担体を硬化した(例えば、乾燥または硬化)後に3D画像を作る。画像は、それが傾斜されるときに、しばしば移動するように見え、したがって、運動学3D画像が形成されることができる。
【0035】
フリップフロップおよびローリング・バーは、磁気顔料フレーク、すなわち磁界を使用して整列されることができる顔料フレークで印刷されることができる。印刷されたフリップフロップ・タイプの画像は、単一の印刷ステップで単一のインク調合を使用して得られることができる、2つの個別フィールドを有する光学可変デバイスを提供する。ローリング・バー・タイプの画像は、虎眼石として知られる準宝石に類似する、画像が傾斜されたとき移動するように見える対比バンドを有する光学可変デバイスを提供する。これらの印刷された画像は、全く認識可能であり、錯覚態様は複写されない。そのような画像は、貨幣、株券、ソフトウエア・ドキュメンテーション、安全シール、および認証および/または対偽造デバイスと類似する対象物に加えられることができる。それらは、貨幣、パッケージング、およびラベルなどの大量に印刷される文書に特に望ましい。なぜなら、それらは、以下に記載されるように高速印刷動作で印刷されることができるからである。
【0036】
図2Cおよび図2Dに示される他の実施形態において、「ダブル・ローリング・バー」が画像であり、一方の部分44’は、円筒状の凸状方式で方向付けられた磁気フレークを有し、一方、画像の他方の部分44”は、円筒状の凹状向きに方向付けられた磁気フレークを有する。この凸状向きを達成するために、「ローリング・バー」磁石が、紙支持体の下に配置される。凹状向きのために、磁石は、紙支持体の上に配置される。画像の2つの領域における磁気フレークが、異なりかつ反対の向き、例えば+30度と−30度を有するときに、「ダブル傾斜」画像が形成される。印刷された画像の1つの傾斜された位置で、画像の一部分は暗く、他の部分は明るい。印刷された画像が、反対方向に傾斜されたとき、領域は、それらの明るい領域および暗い領域を切り替え、第1の画像は明るくなり、第2の画像は暗くなる。意図された設計に応じて、明るさおよび暗さのこの切り替えは、フレークの向きに応じて、頂部から底部へおよび逆に生じることができ、ならびに左から右へおよび逆に生じることができる。図2Cおよび図2Dにおいて、明るいバー44’は、画像における第2の位置へ「移動した」ように見え、対比フィールド46’、48’のサイズは変更される。さらに、明るいバー44”は、画像における異なる位置へ「移動した」ように見え、対比フィールド46”、48”のサイズは変更される。
【0037】
本発明は、動的光学デバイス(DACOD)の線形または離散印刷に関して、所定の形状を有する三次元磁界を印加する。動的光学デバイスは、画像であり、いくつかの画像は、高速印刷プレスで印刷されることができ、それは、所定形状を有する磁界内で磁気プレートレット状の顔料を含むインクを使用する。画像は、観察者によって支持体に加えられる物理作用に応答して、それらの外観を変化することができる。観察者は、出現または消滅、あるいは画像の一部または全体画像の移動を見るために、支持体を傾斜、回転、または曲げることを必要とする。動的外観変化光学デバイス(DACOD)のこの挙動は、乾燥インクの層内に異なって方向付けられる磁気プレートレットからの入射光の反射または分散に純粋に応じる。色の存在または不在は、DACODの相補的な特徴である。磁気色変化顔料が、それらの外観変化に加えて、動的光学デバイスの色変化における複数の変形を提供する。
【0038】
本発明は、磁界内で支持体上に印刷された濡れた画像を転写する間、インクの層内の顔料のプレートレットが、磁力線に沿って整列し、画像をインクの乾燥後に異なる角度での観察においてその外観を変更させるように、異なる構成の磁界内で紙または他の平らな支持体材料上に、シルクスクリーン、オフセット、フレキソ、凹刻印刷、グラビア、または他の知られている印刷方法を用いて印刷された画像の一部に、動的光学デバイスの特定の種類を記載する。外観変化要素を有する印刷された画像は、見られるべき任意の特定の機器を必要とせず、したがってそれは、裸眼で見ることができる。光源に対して異なる角度で印刷された動的光学デバイスの傾斜は、磁気インクで印刷された画像の一部において外観または移動の注意を引く変化をさせる。動的光学デバイスのためのインクは、インク展色剤、および任意の光を反射するまたは光を発散するプレートレットに基づく磁気顔料からなる。顔料は、色変化顔料、非色変化顔料であることができ、および/または磁気的に整列されたフレークの方向付けを容易にする回折格子などの微細構造を有することができる。インク展色剤は、透明または着色されたUV硬化可能なまたは溶剤ベースであることができる。
【0039】
印刷された外観変化光学デバイスは、貨幣または価値のある文書上、または貨幣または価値のある文書内の安全確保の特徴として使用されることができる。
【0040】
画像内の明らかな移動または変化の効果は、印刷業で良く知られている。通常、それは、移動効果のための特定のピクチャまたは一組のパターン、あるいはフリップ効果で画像変化のためのレンチキュラー支持体に基づく。それらの適用性を非常に制限する多数の知られている効果は、制限される。
【0041】
磁界内で印刷された外観変化画像は、出願人のより以前に公開された米国特許出願第2004/0051297A1号により前に記載された。光源または視角が変化したとき、画像の異なる部分内の反射された光の色または強度を変化するローリング・バー効果およびフリップフロップ効果を有する印刷された画像が、その特許出願に記載される。これらの効果における画像外観の変化は、ホログラムまたはレンチキュラー支持体のようには即座には生じないが、むしろ徐々に生じる。
【0042】
それにもかかわらず、前述の米国特許出願第2004/0051297A1号に記載される画像は、簡単なローリング・バーおよびフリップフロップ・タイプの適用に関し、単一の直線に沿うフレークは対称的であり、支持体と同一の角度を作り、その後に隣接する直線に沿うフレークは、支持体と異なる同一の角度を作り、任意の所定のフレークの列における各フレークは、支持体と同一の角度を有し、隣接する列におけるフレークは、一般に支持体と異なる角度を作る。
【0043】
フレークが曲線に沿って整列することが最近見出され、任意の所定の曲線に沿うフレークは、支持体と同一の角度を形成し、隣接する曲線、より詳細には円、特に同心円に従うフレークは、隣接する曲線または円とは異なる角度を形成するように方向付けられ、じょうご(funnel)、円錐、ボウル、および楕円など対象物の実行可能な光学錯覚画像を引き起こし、かつ半球が形成されることができる。特定の実施形態において、円は、円形より楕円であることができ、以降の円の定義は、円形状のリングおよび形状を含むことに留意されたい。
【0044】
以降の記載は、反射円錐、球、半球、じょうご、および他の三次元対象物、特にフレネル状構造による、入射光の反射に類似する印刷された光学効果の著しく異なる種類を言及する。
【0045】
実施例を示すと、図4は、「スター・バースト」パターンの形態の動的効果を有する画像であり、円錐の画像が図5Aで示され、じょうごの画像が図20Aで示される。「スター・バースト」画像を有する印刷は、じょうご形状の磁界を使用して作られた。印刷された乾燥インクの層におけるプレートレットの方向の断面は、図3に示される。分散された磁性粒子193を有するインク192は、前述された印刷技術の1つによって支持体191の頂部上に印刷された。磁力線194は、画像の中心で支持体に対して垂直に向けられる。磁力線は、中心から径方向距離における増大とともに低下する。したがって、磁界は、中心において最も強く、中心から径方向外側に離れる距離とともに弱くなる。
【0046】
図4に示されるフャンネル形状磁界で印刷された印刷済み光学デバイスの中心は、垂直角度の観察で暗い。印刷された画像の輝度は、中心から縁部へ向かって徐々に増大する。印刷された画像が、観察者から離れるその上方縁部で水平方向に傾斜されると、暗いエリアは、底部へ向かって移動するように見える。右に画像を垂直方向に傾斜することは、傾斜に対して反対方向に画像の影の部分を移動するように見える。
【0047】
図6に示される円錐形状の磁力線は、じょうご形状の磁界の磁力線に反対の順に磁気プレートレットを整列する。そのような方向付けの結果として、画像における移動は、じょうご形状の画像に作られる画像の方向に反対方向である。インク212内に分散されかつ支持体211上に印刷されるフレーク214は、磁力線213に従い、それらの頂部を磁界の中心の方向に傾斜される。
【0048】
円錐形状の磁界で作られる印刷は、図7に示される観察の垂直角度で明るい中心を有する画像を作る。印刷が、その上方縁部が観察者から離れて傾斜されるとき、明るい領域は、図5Aにおける画像とは対照的に、図7Aに示されるように底部へ移る。右への垂直方向の傾斜は、明るいエリアが左へ移らせる図7Bに示される。
【0049】
円環状の磁界または形状で印刷された画像は、図9に示される外観を有する画像を生成するものに近似する。円環状の磁界に整列された粒子位置の断面は、図8に示される。分散された磁性粒子232を有するインク232は、支持体231上に印刷される。
【0050】
磁気的に整列可能なフレークまたは粒子を整列するための上述された方法は、エリア全体が磁気特徴で印刷されるか、または画像のちょうど所定の部分が磁気特徴で満たされるかいずれかである画像に適用されることができる。これは、所望の画像に応じる。
【0051】
上述された磁気特徴の多くは、紙幣または他の価値のある文書の安全確保の特徴の強化のための組みひも飾り(guilloche)パターンで印刷された画像に適用されることができる。
【0052】
以下に図8および図9を参照して、新規の創造的な非常に驚くべき効果が、異なる直径の2つのリング状磁石が、互いの上部に積み重ねられた円環状の放物線状の反射器を形成するために、積み重ねられた磁石801および802を使用して作られる。線803によって部分的に示された結果として生じた磁界は、単一の磁石を使用することとは非常に異なる。上部の磁石の角に近い磁力線は、下側の磁石の影響の下で下方に曲げられる。結果として、上部の磁石の角に近い磁性粒子804は、磁界強度が、印加された磁界の磁力線に沿って正確な凹状の粒子整列を提供するのに十分に大きい磁界のエリア内にあるように見える。フレーク805は、外側縁部および中心の中間に向けられた凹状であるように示される。フレークは、支持体807上のインク806に分散される。磁石が、この図に示されるようにリング状であるなら、結果としての印刷された画像は、単一の光源の下で明るいリングのように見える。太陽光の下で、それは、広い青色リングである。いくつかの光源の照明の下で、印刷は、図9に示される写真に示されるように、多数包囲光源に量的に等しい一組のリングのように見える。この実施形態は、光検出器として機能し、画像は、画像から反射された物理的に分離した光源の数に対応する多数のリングを観察者に示す。すなわち、例えば3個の光源が画像を照明するなら、3つの分離したリングを見ることができ、n個の光源が画像を照明するなら、n個のリングを見ることができ、ここでnは正の整数である。磁石の厚み、寸法、および強度は、特定の所望の画像に応じて異なることができることに留意されたい。例えば、積層された磁石は、異なる径を有する同一の厚みおよび強度であることができ、または代わりに1つ以上のパラメータが変わることができる。
【0053】
前述された磁気特徴の多くは、幾何学的画像およびそれらの錯覚特性の強化のための錯覚光学画像で印刷された画像に適用されることができる。そのような画像の例は、図10A、図10B、図11、図12、および図13Aに示される。円環状の磁界の存在内で印刷された図10Aのスパイラル線形画像は、図10Bに示される外観を有する。
【0054】
じょうご状の磁界で印刷されたとき、図10Aにおける同一のスパイラル状画像は、図10Bに示される画像とは非常に異なる外観(図10C)を有する。図11に示される錯覚画像は、印加された円環状の磁界内で印刷された後、図12に示される異なる外観を有する。円環状の磁界は、画像におけるリップルの錯覚を生成する。
【0055】
他の線形の錯覚画像は、図13Bに示され、印刷は、図13Bにおける光学的な錯覚特徴を強化する円錐状磁界で実行される。
【0056】
図3から図13Bに示される画像は、径方向対称性を共有する。各画像において、フレークがリングに整列され、所定のリングに沿うフレークは、支持体と同一の角度を形成し、支持体上にそれらの縁部が載り、隣接するリングは、支持体と異なる角度を形成するフレークを有する。さらに所定のリングのフレークは、隣接するフレークの面と交差する平らな表面を有する。これは、図14に明らかに見られる。
【0057】
図14を見ると(同一の縮尺ではなく、大きなフレークは例示的な目的のために使用される)、コンピュータ図は、例えば図7Aに示される円錐状の画像におけるフレーク構成を示す。全てのフレークが、共通の平らな支持体上に載って示されるが、R1、R2からRnのフレークの各リングは、平らな支持体と独特な同一の角度を作るそのリングに沿ったフレークを有する。図14から見られることができるように、外側リングR1内のフレークは全て、支持体に対して同じ角度だけ傾き、リングR2内のフレークは、支持体とわずかに急な同一の角度を作る。したがって角度は、リングR1からR2へ、Rnへ移動するにつれ増大する。任意の所定のリングすなわちR1に従うフレークのために、全ては特定の直径の円に位置し、規定によって平らな面を有するフレークのために、それらの面を規定する平面は、同一の円に位置するそれらの最も近い隣接するフレークと交差する。例えば、フレーク280aおよび280bは、平坦で平らな面を有し、平面は交差する。全てのフレークが支持体と接触するが、円錐の画像は、その円錐が、それが付着される紙または支持体の外側に突出する錯覚を観察者に残す。
【0058】
以下に図15を参照して、図14の同一の円錐の図示が示され、構造の中央を通る断面は、フレーク整列を示すために他の斜視図で示される。ここで、フレークの向きまたは支持体に対する傾斜は、支持体の下の磁石(図示せず)によって作られる磁力線にしたがって示される。明瞭性およびより良好な理解のために、フレークは、実質的に方形であるように示されるが、実際には、フレークの形状は、方形または六角形または他の特定の形状が使用されないなら、非常に変わる可能性がある。
【0059】
以下に図16を参照すると、インクの薄層内に分散された磁性粒子の軸対称の円錐状整列が示される。磁界160の断面が、磁力線162で示されるが、実際にはこれらの線は、フレークがそれに沿って方向付けられる線のシートを形成する。磁気的に方向付け可能なフレーク163は、インク媒体164内の同心リング内に配置されて示され、磁力線に従う各リングに配置されたフレークは、支持体165と異なる角度を形成し、角度は中心に向かって増大する。図におけるギャップ166は、図示の目的だけのためであり、支持体に対するフレークの角度は、より容易に見られることができる。
【0060】
図17に戻り、シート171上に支持されるインク展色剤172の薄層内に分散された磁性粒子173の円錐状整列が示される。粒子表面に対して垂直な線174は、フレーク表面に対して垂直な角度の関係を示すために(以降、「垂線」と呼ばれる)例示だけの目的で描かれ、表面に対して垂直な線は、垂線が収束する想像上の長円エリア175を画定する点で収束する。
【0061】
以下に図19を参照すると、支持体の上部上の円錐状磁石193を配置する結果として生じる円錐状磁界内の、磁性粒子196の円錐状整列を表す図を示す。インク192内の粒子またはフレーク196は、磁力線195で方向付けられる。参照符号194は、円錐磁石193からの磁界の断面を示す。再び、フレークは、同心円内に方向付けられ、各円またはリングに従うフレークは、支持体との同一角度を形成し、異なるリング内のフレークは、支持体と異なる角度を形成する。
【0062】
代わりの実施形態が図20に示され、円錐状磁界内の磁性粒子の円錐状整列は、支持体201下にじょうご状磁石202を配置することによって提供される。インク展色剤(図示せず)内の磁性粒子205は、紙支持体201上に印刷される。磁界の断面は、参照符号203によって示され、磁性粒子205は、磁力線204に従う。磁力線204は、支持体の全領域を通して伝播するので、それら内にフレークを担持する円形領域に加えられるインクは整列されるようになる。したがって、磁界で一旦整列されると、磁界内に配置されたフレーク205の円は、円錐状対象物を見せる可視効果を有する。これは、観察者1に向かって傾斜しかつ観察者2から離れる傾斜する円錐状印刷を示す、図21Aおよび図21Bの写真によって撮られる。
【0063】
図20Bは、示される粒子に対する垂直表面208で、インク207の薄層を備える展色剤に分散された磁性プレートレット209のじょうご状の整列を示す。
【0064】
図20Cは、磁性プレートレット236のじょうご状整列が、紙支持体231の下に配置された球状またはボール状磁石233によって提供される代わりの実施形態を示す。磁力線235に従うプレートレット236は、インク展色剤230内に配置される。インクが硬化されたとき、フレークは、示される位置に固定されるようになる。
【0065】
図22は、軸対称の円錐状磁界内の回折磁性粒子220の整列を示す一部切断図である。粒子の溝の好ましい向きは、円錐の中心の方向である。磁界内に配置された回折プレートレットが、任意の他の磁性粒子としてふるまうとき、それらは、印加された磁界の線に沿って方向付けられるようになる。しかしながら、濡れたインク展色剤内に分散された平坦な磁気プレートレットは、磁力線の方向に最も長い対角線によって自体を整列し、回折プレートレット220は、磁力線の方向に沿った回折構造または格子を画定するそれらの溝と自体を整列する。回折粒子の軸対称整列は、虹色に色付けられた境界によって囲まれた銀状の領域を作り、または印刷内に異なって色付けられたリングを生成する。
【0066】
図23および図24は、磁性回折粒子を含みかつ観察者に向かって傾斜された軸対称印刷の写真である。
【0067】
上述のように、支持体の表面上の濡れたインク展色剤に分散された平坦な磁性プレートレットは、それらの最も長い対角線によって印加された磁界の磁力線に沿って自体を方向付ける。平坦なプレートレットとは対照的に、回折磁性プレートレットは、図25に示されるようなそれらの溝の方向によって、磁力線に沿って同一の条件で自体を方向付ける。各粒子は、1つの特定の狭い方向にだけ入射光を反射かつ分散する。磁界内のそのような選択的な向き、ならびに回折プレートレットの表面からの光の狭い反射率および分散は、知られているホログラフィック運動学に類似する独特の印刷された画像の製造を可能にする。
【0068】
これまで、光学デバイスの新規な種類を形成する、フレークの湾曲したまたは円形配置に関する実施形態が開示された。これらのデバイスは、それらが支持される支持体との平坦なまたは回折フレークの角度関係によって特徴付けられた。多くのこれらのデバイスは、フレネル反射器などのフレネル構造を形成する。例えば、これまで記載された円錐構造およびじょうご状構造は、凸状および凹状フレネル反射器を形成する。吸収材料から製造されたフレークを使用することによって、フレネル吸収構造が作られることができる。反射フレークを使用することによって、フレネル反射器が、支持体上に印刷されることができる。そのようなフレネル構造は、例えばアンテナのための印刷可能な集束反射器として、光学および他の領域で電磁放射の様々な波長のためのビーム・ステアリング・デバイスとしての適用を有する。
【0069】
以下に図26を参照すると、インク264の薄層内に分散された磁性粒子263の軸対称の半球状整列が、印刷された凸状フレネル・ミラーを形成する例示が示される。磁界の断面261および磁石266から発する磁界262の線は、支持体265を通して伝播して示される。必要な磁界は、矢印267の方向に磁石266を回転することによって達成されることができる。
【0070】
磁気的に整列された反射フレーク273によって形成されるフレネル状反射構造は、図27に明瞭に示され、インク展色剤272内の支持体271によって支持されるフレークの表面に垂直な、図において示される想像線274は、最も中心のフレークに垂直な中心線と交差して示される。参照符号275は、フレークまたはミラー273を通して投影する想像上の光線を示す。
【0071】
半球状凸状ミラーの写真は、図28Aおよび図28Bに示され、図28Aにおいて、写真は、観察者に向かってその上方縁部が傾斜され、図28Bにおいて、写真は、観察者から離れてその上方縁部が傾斜される。印刷された凸状フレネル・ミラーにおける画像形成は、それらの球面収差を補償することなく、従来の凸状ミラーと本質的に同一である。
【0072】
図29を見ると、インクの層内に分散された回折磁性粒子292の軸対称の凸状整列の等角図が示される。平坦な粒子は、回折粒子を置き換えることができる。粒子292は、例えば紙支持体291である支持体に加えられる。領域293は、図示の目的のための粒子が無い。領域294は、粒子の溝の径方向を示す。参照符号295は、それらの垂線の周りの粒子の回転および支持体に対するそれらの傾斜を有するエリアを示し、296は、溝の円形向きおよび支持体に対する粒子面の最大傾斜を有するエリアを示す。
【0073】
回折プレートレット292が、磁界に配置されたとき、プレートレット292は、印加された磁界の線に沿ったそれらの溝で方向付けられるようになる。印刷297の中心軸の周りの領域内の粒子は、支持体表面に対するそれらの面と平行である。この領域内の全てではないが多くの粒子は、印刷の中心軸に向かうそれらの溝で方向付けられる。
【0074】
この径方向整列領域のサイズは、比較的小さく、印刷に印加される磁界の寸法に応じる。それは、磁石の幅のほぼ2/3であることができる(平坦な永久磁石が使用される場合には)。溝の方向および粒子292のレイアウトは、著しい変化を介して中心軸からの距離の変化を受ける。溝の径方向整列のエリアに隣接しかつそれを囲む印刷の第2のエリアは、それらの垂線、すなわち図30に示されるような粒子の表面に垂直な線の周りで回転し、かつ支持体に対してそれらの面を傾斜する粒子を含む。第2のエリア内に粒子は、溝が、円形向きのエリアを形成する円に沿って整列されるようになるまで、それらの垂線の周りで回転する。中心からの距離における増大とともに、このエリア内の全ての粒子は、円形に方向付けられる。支持体に対するそれらの傾斜は、最も大きな角度である。
【0075】
以下に図30を参照すると、支持体301上に付着されたインクの層内に分散された粒子の単一の径方向線における回折粒子302の位置および整列が示されている。第1のエリア内の粒子表面303に垂直な線は、支持体にほぼ垂直である。回折306の次数間の方向は、粒子の線の方向に対して90°である。粒子から中心軸302への距離が増大する第2のエリアにおいて、粒子は、印刷の外側に向かって方向付けられたそれらの垂線を有する支持体で同時に傾斜するそれらの垂線の周りでますます回転する。回折次数間の方向は、粒子の回転とともに同様に回転する。それらの垂線の周りの粒子の回転が90°を達成するとき、溝は、円の沿って方向付けられるようになる。粒子は、それらの垂線が印刷の外側に向かって方向付けられて支持体上で傾斜される。回折次数は、また傾斜されかつ径方向に方向付けられる。印刷の中心に隣接する粒子の回折のk番目の次数の方向は、参照符号307で示され、円形整列のエリア内で回折粒子のk番目の方向は、参照符号308で示され、印刷の中心に隣接する粒子の回折のm番目の次数の方向は、参照符号309で示され、かつ印刷の中心に隣接する粒子の回折のm番目の次数の方向は、参照符号310で示される。
【0076】
図31は、黒背景上に希釈されたインクで作られた印刷された凸状フレネル・ミラーの写真である。中心の銀状のエリア311は、径方向向きで示された粒子の溝で示される。強く鮮やかな色を生じる溝の回転を有する虹状の領域312がそれに隣接し、外側領域313は、虹状の弱い色を示す。観察者が中心エリア311を見て、かつ観察方向が溝の方向と一致するとき、光の回折を見ることはできない。観察者が画像を見るとき、虹状のリングは、溝の径方向向きを有する銀エリアを囲む。この虹の色付けされたエリアにおける粒子は、支持体上に比較的平坦にあるそれらの垂線の周りで回転する。粒子の溝は、回転でそれらの方向を変更し、光の回折は、色の虹を生成し始める。外側領域313における支持体の表面に対する粒子の傾斜は、ミラー表面から反射された光の方向の変化を引き起こす。光線は、ページの底部に方向付けられるので、観察者は、このエリア内で反射された光線を見ることができない。わずかな回折次数だけを、不十分な虹色を生成して見ることができる。印刷は、20ミクロンの平均サイズおよび1500ライン/mmの回折格子周波数を有する5%の平坦な磁気粒子を含む、インクのフラッド層を有する黒背景で支持体を被覆することによって製造された。印刷された層の厚みは、9ミクロンメートルに近い。濡れたインクを有する支持体が、スピニング(3”×1.25”×<0.375”>)永久磁石の上部に配置される。粒子の整列が完了された後、インクはUV光で硬化される。
【0077】
以下に図32を参照すると、印刷された補償されていない凹状フレネル・ミラー内で、支持体325上に印刷されたインク324の薄層内に分散された磁性粒子323の軸対称の半球状整列が示される。参照符号321は、矢印327の方向で回転される磁石326から発する磁力線322を有する磁界の断面を示す。
【0078】
図33は、粒子表面334に垂直な線を有するインク展色剤332の薄層に分散されたその中に溝の形態の格子を有する回折磁性粒子333の凹状整列を示す図である。球面収差335のエリアは、フレークが、焦点336で集束する場所のすぐ下で示される。
【0079】
図34A、図34B、および図34Cは、半球状整列を有する印刷の写真である。より詳細には、図34Aは、観察者に向かう上方縁部で傾斜された写真であり、写真34Bは、観察者から離れて上方縁部で傾斜され、図34Cは、印刷されたミラーから反射された写真の影を示す。
【0080】
印刷された凹状フレネル・ミラーへの画像形成は、それらの球面収差を補償することのない従来の凹状ミラーと本質的に同一である。ミラーは、印加される磁界の形状およびその強度、磁石と濡れたインクとの間の距離、インク粘度、および分散された粒子の磁気特性を適切に選択することによって、それらの収差を低減するように補償されることができる。
【0081】
図35は、図29に対して多くの点で類似する、インク層に分散された回折磁性粒子の軸対称の凹状整列の平面図である。支持体351は、インク溶剤(図示せず)内の回折粒子352で被覆される。印刷のエリア353は、図示だけの目的の粒子が無い。領域354は、粒子の溝の径方向を示す。355は、それらの垂線(すなわち粒子面に対する垂直線)の周りの粒子の回転および支持体に対するそれらの傾斜を有する領域であり、356は、溝の円形向きおよび支持体への粒子面の最大傾斜を有する領域を示す。
【0082】
粒子の溝の好ましい向きは、円錐の中心の方向である。磁界に晒されたとき、回折プレートレット352は、印加された磁界の線に沿ったそれらの溝で方向付けられるようになる。印刷の中心軸の周りの領域内の粒子は、支持体表面に平行である。この領域内の全てではないが多くの粒子は、印刷の中心軸に向かうそれらの溝で方向付けられた。この領域のサイズは小さいが、印刷に印加された磁界の寸法に応じる。溝の方向および粒子のレイアウトは、著しい変化を介して中心軸からの距離の変化を受ける。溝の径方向整列のエリアに隣接しかつそれを囲む印刷の第2のエリアは、図36に示されるようなそれらの垂線の周りで回転し、かつ支持体に対してそれらの面を傾斜する粒子を含む。第2のエリア内の粒子は、溝が円に沿って整列されるようになるまで、それらの垂線の周りで回転する。中心からの距離の増大とともに、このエリア内の全ての粒子は、円形に方向付けられる。支持体に対するそれらの傾斜は、最も大きな角度である。
【0083】
図36は、インクの層内に分散された粒子の単一の径方向線の回折粒子362の位置および整列を示す。第1のエリア内の粒子表面に対する垂直な線364は、支持体361にほぼ垂直である。回折の次数間の方向は、粒子の線の方向に対して90°である。粒子から中心軸363への距離が増大する第2のエリアにおいて、粒子は、印刷の外側に向かって方向付けられたそれらの垂線に、支持体で同時に傾斜するそれらの垂線の周りでますます回転する。回折次数365間の方向は、粒子の回転とともに同様に回転する。それらの垂線の周りの粒子の回転が90°を達成するとき、溝は、円の沿って方向付けられるようになる。粒子は、それらの垂線が印刷の外側に向かって方向付けられて支持体上で傾斜される。回折次数は、また傾斜されかつ径方向に方向付けられる。印刷の中心に隣接する粒子の回折のk番目の次数の方向は、参照符号366で示され、円形整列のエリア内で回折粒子のk番目の方向、印刷の中心に隣接する粒子の回折のm番目の次数の方向は、参照符号368で示され、かつ印刷の中心に隣接する粒子の回折のm番目の次数の方向は、参照符号369で示される。
【0084】
本発明による半球状画像の製造に関する本発明の実施形態は、以下に記載される。
【0085】
図37F、図37G、図37H、および図37Jで本発明の代案の実施形態における興味深くかつ著しい効果が示される。図37Fは、半球の印刷された画像であり、全体画像は、整列可能な顔料フレークで被覆される。説明されるようにフレークの整列後、半球が形成される。図37Fに示される半球の印刷された画像は、支持体が傾斜されまたは光源が変更されたとき、図37Gに示される画像として現れる。画像が、中心を通る垂直軸の周りで垂直から左へ傾斜されるとき、ボールに非常に似た明るい半球は、傾斜角度の変化とともに回転する。線に沿った面で回転可能なローリング・バーとは対照的に、図37Fにおける半球は、傾斜の角度に応じて、任意のx−y方向に移動することが可能でありまたは移動するように見える。したがって、xまたはy軸の周りで画像を傾斜することは、結果として移動の外観を生じる。
【0086】
図37Jにおけるシールドは、非常に興味深い効果の組み合わせを提供するために、ローリング・バー効果と半球効果との組み合わせを使用し、シールドおよび半球は、ページから外に突出するように見える。これは、2段階のプロセスで製造され、支持体は、第1に磁気被覆で被覆され、半球は、図37Hに示されるように形成されかつ硬化される。第2の被覆は、追加の被覆材料が半球を覆わないことを確実にする、図37Iの被覆を形成するためにマスクまたはステンシルを介して加えられる。この第2の被覆は、ローリング・バーを製造するように磁界内で配置される。上述された動的または運動学的に半球状画像を形成する方法は、ローリング・バーを形成する方法より複雑である。例として、図37Aから図37Eを参照して、以下に方法が記載される。図37Aに示される磁石370aは、2つのループを形成する、磁石の上および下の磁力線を示す。この図は、故意にこれら2つの線だけを示すが、本質的に、磁石の全体にわたるこれらの線に平行に生成される線の前部が存在する。異なる時間の期間で垂直軸の周りのその回転の間での図37a、図37b、および図37Cにおける磁石が示される。図37Bにおける磁石の一部は、磁力線のいくつかを示すために切断される。図37Cにおいて、370a、370b、370cでの磁石上に延びる磁界は、磁界が下に延びるようにドーム形状であることが明らかである。半球状の運動学的画像の印刷は、図37Dに示されるような磁石の直上のドーム形状の磁界内の流体インク、または磁石からより大きな分離を、被覆された支持体377に配置することによって37Eのように形成され、かつ磁石が回転する間に磁界の中心に向かって支持される。この例示的な実施形態において、磁石または画像が相対的に回転される速度は、ほぼ120rpmである。この画像は、次に磁界の領域から取り出されかつ硬化される。磁石の回転速度は、磁性粒子特性およびインク展色剤の粘性に応じて、120rpmより遅いまたは速いことができる。しかしながら、速度があまりにも遅いなら、画像の品質は劣化する。
【0087】
図38Aは、図37Fに示される画像に類似するが反転された代わりの実施形態の例示である。半球状画像からシミュレートされた磁界は、図38Aに示される。これは、図38Cに示される画像を作る磁界の形状である。磁石のN極は上部にあり、粒子は、じょうご状様式で同心に整列される。図38Bに磁界194が示され、支持体191上に配置された担体192内のフレーク193は、磁力線に従うじょうご状向きで整列される。半球効果とは対照的に、この磁界は、画像191の中心における明るい運動学的スポット192を生成し、フレークのじょうご状整列は、画像の中心における暗い運動学的スポットを生成する。示されかつ記載される磁界は、永久磁石から形成されるが、電界または電磁界が、多くの実施形態で使用されることができる。もちろん、磁界および粒子は、粒子が特定の磁界によって方向付けられることができるように適合されなければならない。粒子は、回折されることができ、および/または色変化できる。
【0088】
さらに、例えば、光学効果を有する画像の印刷のための磁性インクの製造に関して、矩形の低変調された低周波数格子を有するプレートレット状磁性マイクロ・フレークが利用されることができる。
【0089】
これまで記載されたように、硬化されていないペイントまたはインク展色剤に分散された反射磁気顔料の平坦な粒子は、それらの最も長い対角線を有する印加された磁界の線に沿って自体を整列し、単一の粒子の消磁がそれらを横切るより溝に沿ってより小さいので、印加される磁界の磁力線の方向にそれらの溝に沿って自体を整列する。
【0090】
この現象は、異なる方向における磁性粒子の断面厚みに関する。この厚みは、溝に沿う方向により小さくかつ溝を横切る方向でより大きい。回折顔料による入射光の鏡のような反射率は、それら表面形態学の特異性のために高くない。印刷されたとき、顔料は、単一または複数の光源の下と太陽光の下で異なる色を示す。しかしながら、薄暗い光の下または太陽光の下では、印刷上で非常に少ない色がある。
【0091】
本発明の他の態様は、反射および回折顔料の2つの特定の特徴、すなわち認識可能な回折色の無い反射率と、印加された磁界の磁力線に沿った溝で整列される可能性とを組み合わせた顔料である。顔料は、低い周波数で低変調の方形回折格子を有する微細構造を有する。一般に、周波数は、2ライン/mmから500ライン/mmの範囲内、より好ましくは50ライン/mmから150ライン/mmの範囲内にあることができる。格子の変調は、20nmから1000nmの範囲(より好ましくは30nmから200nmの範囲)内で変化する。
【0092】
単一の顔料粒子の平面図が図39に示され、その断面が図40に示される。本発明によるこの微細構造にされた顔料は、有機または無機保護被覆で覆われた微細構造にされた磁気材料から、または磁性材料で被覆された微細構造にされたポリマー支持体から製造されることができる。より好ましくは、微細構造にされた顔料は、反射材料の2つの層間に囲まれた微細構造にされた磁性材料から製造されることができる。構造の例示的な実施形態は、図41に示される。
【0093】
実施例1
MgF/Al/Ni/Al/MgFの多層構造は、図39に示されるものと類似するポリエステル矩形格子の上部に真空蒸着される。格子の山および谷の幅は、7ミクロンである。山の高さは80nmである。材料は、エンボス加工された支持体から取り除かれ、24ミクロンの平均サイズを有するマイクロ・フレークに変換される。
【0094】
上記MgF/Al/Ni/Al/MgFの被覆が支持体から取り除かれる前に、結果は、1500ライン/mmの周波数を有する異なるポリエステル回折格子上に付着された同一の光学多層スタックの結果と比較される。低周波数および高周波数の支持体の両方上の被覆の色性能は、gonioスペクトルフォトメータ(Marakami Color Research Labs)で特徴付けられた。実験結果は図42に示される。
【0095】
図42aおよび図42bにおける結果は、低変調された低周波数矩形格子のサンプルは、測定方向が溝を横切るときに、かろうじて見える回折色を生成し、溝に沿って見られたときに全く回折色は生成しない(プロットに示されていない)。溝を横切る方向は、回折効果の生成のために最も好ましい。示される標準の1500ライン/mmサイン波回折格子(図42aおよび図42b、図2)は、この方向に見られるとき、非常に大きな色軌跡を有する。
【0096】
これら両方のサンプルの垂直に近い角度の拡散スペクトル反射率は、スペクトルフォトメータDatacolorSF600で測定された。%Rの実験結果が、図43および図44に示され、(1)溝に沿った%Rを示し、かつ(2)溝を横切って%Rを示す。
【0097】
結果は、低周波数格子を有するホイル・サンプルが、銀状の外観を有することを示す。溝に沿っても溝を横切っても反射率の曲線に色ピークは存在しない。対照的に、高周波数ホイルのサンプルは、入射光の回折によって生成された反射率ピークの存在を示す。
【0098】
まとめると、格子周波数は十分に低く、例えば200ライン/mmより低く、好ましくは100ライン/mmより低く、回折効果は人間の目には見られないが、この格子は、有利には格子ラインに沿った整列を可能にする。好ましくは、格子深さは、100nmより小さい。
【0099】
本発明の他の実施形態において、これまでの実施形態において記載された画像で使用されるフレークは、六角形の形状で形成され、画像内のフレークのより大きな充填密度を可能にし、また均一なフレークを提供することが有利である。形状形成されたフレークを製造することの記載が、米国特許出願第2006035080号に見出される。
【符号の説明】
【0100】
20、42 印刷された画像
22 第1の印刷された部分
24 第2の印刷された部分
25 移行部
26 顔料フレーク
28、192 担体
29、165、191、201、211、231、265、271、291、301、325、351、361、377、807 支持体
30 照明源
32 観察者
40 切断線
44、44’、44” 明るいバー
46、46’、46”、48、48’、48” 対比フィールド
160 磁界
162、194、195、204、213、235、262、803 磁力線
163、193、196、205、214、273 フレーク
164 インク媒体
166 ギャップ
171 シート
172、230、272、332 インク展色剤
173、193、196、205、220、232、292、323、804 磁性粒子
192、212、232、324、806 インク
193、202、233、266、326、801、802 磁石
206、236 磁気プレートレット
273 ミラー
274 想像線
292 回折プレートレット
293、294、311、312、313、354、355、356 領域
297 印刷
302、333、352、362 回折粒子
303、334 粒子表面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
支持体(807)と、前記支持体上に載る複数のフレーク(804)とを備えたデバイスであって、
前記フレークは、光で照明されたときに一つまたは複数の見えるリングを見ることができる画像を提供する円環状の凹状の整列(805)を形成するものであり、前記見えるリングの数は、前記デバイスを照明する分離した光源の数に対応することを特徴とするデバイス。
【請求項2】
前記デバイスは、印刷された光検出器である請求項1に記載のデバイス。
【請求項3】
前記複数のフレーク(804)は、少なくとも1000個のフレークを備える請求項1に記載のデバイス。
【請求項4】
前記のフレーク(804)の前記円環状の凹状の整列(805)は、円環状の放物線状の反射器である請求項1に記載のデバイス。
【請求項5】
凹状または凸状のフレネル構造の形態で支持体上に配置された、磁気的に整列されたプレートレットの複数の同心リングを備える光学素子。
【請求項6】
前記フレネル構造は、フレネル反射器である請求項5に記載の光学素子。
【請求項7】
光学錯覚画像を備える支持体であって、前記画像がその表面を被覆するフレークの領域を備え、前記フレークは、全体領域の全てに分散されかつその中で所定のパターンで方向付けられ、前記フレークは、それらの反射表面に垂直な線が、線に沿ってまたは点に収束するように方向付けられる、支持体。
【請求項8】
支持体と前記支持体上の光学錯覚画像とを備えるラベルまたは安全デバイスであって、前記画像は、全体領域の全てを覆いかつ分散され、かつ所定のパターンで方向付けられるフレークを有し、前記フレークは、反射表面を有し、前記所定のパターンを形成する前記フレークの方向は、前記フレークの反射表面に対する垂直な線が、線に沿ってまたは点で収束するようにされ、前記所定のパターンは、回転軸を有する、ラベルまたは安全デバイス。
【請求項9】
支持体と、複数の同心リングを形成する支持体上に載る第1の複数の少なくともn>1000個の磁気的に整列可能なフレークを有する画像とを備えるデバイスであって、各リングにおいて複数のフレークが前記支持体に対して同一の第1の角度で傾斜され、前記フレークの表面から延在する面が互いに交差し、前記角度が最も外側のリングから最も内側のリングへ増大しまたは低減し、それにより前記画像が三次元対象物として見えるようにされ、前記デバイスが傾斜されると明るいまたは暗い運動学的スポットが前記画像内で移動する、デバイス。
【請求項10】
格子付きフレークで形成された印刷された同心画像であって、
フレークが支持体の表面に平行であり、その溝が径方向に伸びる画像中心部と、
前記溝が円形向きであり前記支持体に対する前記フレーク面が最大傾斜を有する外側領域と、
前記画像の中心からの距離が増すとともに、前記フレークの傾きが徐々に増大し、前記溝の方向付けが径方向から接線方向へ徐々に変化する外側領域と
を備えた、同心画像。

【図1】
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【図2A】
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【図2B】
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【図2C】
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【図2D】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13A】
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【図13B】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【図33】
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【図34】
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【図35】
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【図36】
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【図37A】
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【図37B】
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【図37C】
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【図37D】
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【図37E】
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【図37F】
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【図37G】
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【図37H】
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【図37I】
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【図37J】
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【図38】
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【図39】
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【図40】
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【図41】
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【図42】
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【図43】
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【図44】
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【公開番号】特開2012−8572(P2012−8572A)
【公開日】平成24年1月12日(2012.1.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−148596(P2011−148596)
【出願日】平成23年7月4日(2011.7.4)
【分割の表示】特願2006−104747(P2006−104747)の分割
【原出願日】平成18年4月5日(2006.4.5)
【出願人】(502151820)ジェイディーエス ユニフェイズ コーポレーション (90)
【氏名又は名称原語表記】JDS Uniphase Corporation
【住所又は居所原語表記】430 N. McCarthy Boulevard, Milpitas, California, 95035, USA
【Fターム(参考)】