説明

印刷回路基板のストリップ及びパネル

【課題】不要な領域にメッキ層が形成されることを防止できるので、印刷回路基板の製造費用を著しく低減できる印刷回路基板のストリップ及びパネルを提供する。
【解決手段】本発明に係る印刷回路基板のストリップは、ユニット領域と、ユニット領域にメッキを施すためのメッキリード線と、ユニット領域の外郭に配置されるモールドゲートと、を含む印刷回路基板のストリップであって、メッキリード線とモールドゲートとは、複数個所折曲した形状のリードラインにより電気的に接続されることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、印刷回路基板のストリップ及びパネルに関する。
【背景技術】
【0002】
半導体パッケージ基板は、その表面に電子素子を装着したり、BGA(ball grid array)基板の場合は他のパッケージ基板との電気的接続を提供したりする。このとき、電子素子や他のパッケージ基板との電気的接続のためにワイヤーボンディングパッド(wire bonding pad)またはハンダボールパッド(solder ball pad)などが用いられる。
【0003】
図1は従来技術に係る印刷回路基板のストリップを示す平面図であり、図2は従来技術に係る単位基板を示す平面図である。図1に示すように、基板ストリップ100は、単位基板130が形成されるユニット領域120と、ユニット領域120以外のモールドゲート(mold gate)112が形成されるダミー領域110とを含む。基板ストリップ100は、図2に示す単位基板130の製品領域140に切断されて完成品となる。
【0004】
図2に示すように、半導体パッケージ基板には、外部との電気的接続を提供するためにハンダボールパッド、ワイヤーボンディングパッド134などが形成される。ハンダボールパッドは、銅(Cu)の酸化防止や、ハンダボールの結合力を向上させるために銅層の表面にOSP(organic solderability preservative)処理を行ったり、Ni/Auメッキ及び他のメッキを施したりし、ワイヤーボンディングパッドの表面には金(Au)とニッケル(Ni)を含む金メッキ処理が行われる。金メッキのためにメッキリード線136が金メッキパッド132と接続されている。
【0005】
一方、図2に示すように、モールドゲート112もリードライン114によりメッキリード線138と電気的に接続されるため、金メッキパッド132などに金メッキを施す場合、モールドゲート112の表面にも金メッキが施される。しかし、モールドゲート112は、金メッキパッド132等と比較して相対的に大面積を有するため、モールドゲート112に必要以上の金メッキが施される場合、製造費用が上昇するという問題点がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
こうした従来技術の問題点に鑑み、本発明は、不要な領域にメッキ層が形成されることを防止できて製造費用を著しく低減できる印刷回路基板のストリップ及びパネルを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一実施形態によれば、ユニット領域と、上記ユニット領域にメッキを施すためのメッキリード線と、上記ユニット領域の外郭に配置されるモールドゲートと、を含む印刷回路基板のストリップであって、上記メッキリード線と上記モールドゲートとが、複数個所折曲した形状のリードラインにより電気的に接続されることを特徴とする印刷回路基板のストリップが提供される。
【0008】
本発明の他の実施形態によれば、内側に設けられるストリップ領域と、上記ストリップ領域にメッキを施すためのメッキリード線と、上記複数のストリップの外郭に設けられるダミー領域と、を含む薄型印刷回路基板のパネルであって、上記ダミー領域には剛性を確保するための金属層が設けられ、上記金属層の少なくとも一部が移動時にクランピングのために露出され、上記メッキリード線と上記金属層の露出している一部が、複数個所折曲した形状のリードラインにより電気的に接続されることを特徴とする印刷回路基板のパネルが提供される。
上記リードラインは複数であってもよい。
【発明の効果】
【0009】
本発明の実施形態によれば、不要な領域にメッキ層が形成されることを防止できるため、印刷回路基板の製造費用を著しく低減することができる。また、メッキ厚を薄くしてスラッジの生成を防止できるため、ユニットの信頼性を向上させることができる。
なお、上記の発明の概要は、本発明の必要な特徴の全てを列挙したものではない。また、これらの特徴群のサブコンビネーションもまた、発明となりうる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】従来技術に係る印刷回路基板のストリップを示す図面である。
【図2】図1の単位基板を拡大した図面である。
【図3】本発明の一実施例に係る印刷回路基板のストリップを示す図面である。
【図4】図3の単位基板を拡大した図面である。
【図5】本発明の他の実施例に係る印刷回路基板のパネルを示す図面である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明は、多様に変更することができ、多くの実施例を有することができることは明らかであり、以下では、特定実施例を図面に基づいて詳しく説明する。しかし、本発明が特定の実施形態に限定されるものではなく、本発明の思想及び技術範囲に含まれる全ての変更、均等物ないし代替物を含むものとして理解されるべきである。本発明の説明において、かかる公知技術に対する具体的な説明が本発明の要旨をかえって不明瞭にすると判断される場合、その詳細な説明を省略する。
【0012】
本願で使用した用語は、単に特定の実施例を説明するために使用したものであって、本発明を限定するものではない。単数の表現は文脈上明白に異なる意味を表示しない限り複数の表現も含んでいる。本願において「含む」または「有する」などの用語は明細書上に記載された特徴、数字、段階、動作、構成要素、部品、またはこれらを組み合わせたものが存在することを指定するものにすぎなく、一つまたはそれ以上の他の特徴や数字、段階、動作、構成要素、部品、またはこれらを組み合わせたものなどの存在または付加可能性を予め排除するものではないと理解されるべきである。
【0013】
以下、本発明に係る印刷回路基板のストリップ及びパネルの実施例を添付図面を参照して詳しく説明するが、添付図面を参照して説明することにおいて、同一かつ対応する構成要素は同一の図面番号を付し、これに対する重複される説明は省略する。
【0014】
図3は本発明の一実施例に係る印刷回路基板のストリップを示す図面であり、図4は図3の単位基板を拡大して示す図面である。
【0015】
本実施例に係る印刷回路基板のストリップ200は、複数の単位基板230が設けられるユニット領域220と、上記ユニット領域220にメッキを施すためのメッキリード線236,238と、上記ユニット領域220の外郭に配置されるモールドゲート212と、を含む。モールドゲート212はユニット領域220の外郭、すなわちダミー領域210に設けられ、その表面には金属層(図示せず)が形成される。
【0016】
モールドゲート212、より具体的に、モールドゲート212の表面に形成された金属層とメッキリード線236,238とはリードライン214により接続されている。このような構造により、ユニット領域220のパッド232に対する表面処理、例えば金メッキを施すと、モールドゲート212の表面に形成された金属層にも電流が印加されて、樹脂注入によるモールディング工程のための金メッキ層が形成される。
【0017】
しかし、モールドゲート212は、金メッキ層が形成されるユニット領域220の一部分と比較して相対的に大面積を有するため、その表面に比較的多量の金メッキ層が形成される。しかしモールドゲート212は最終製品には残存しない部分であって、モールドゲート212に金のように高価のメッキ層が必要以上に形成されることは製品の高コスト化を招く。
【0018】
このような問題点を考慮して、本実施例によれば、モールドゲート212とメッキリード線238とが、複数個所折曲した形状のリードライン214により電気的に接続される構造を提示する。具体的に、モールドゲート212とメッキリード線238とを接続させるリードライン214をより細長く形成することにより、モールドゲート212とメッキリード線238との間の抵抗値を大きくしてモールドゲート212に印加される電流を小さくすることである。
【0019】
このように、モールドゲート212に印加される電流を小さくすると、後の電解金メッキ時、モールドゲート212に相対的に薄型の金メッキ層が形成されて金の無駄使いを防止することができる。
【0020】
しかし、モールドゲート212に印加される電流を小さくするためにリードライン214を細長く形成すると、断線が発生することがあり、モールドゲート212に全く電流が流れなくなって金メッキ層を形成することができなくなる場合もある。このような問題を解決するために、図3及び図4に示すように、モールドゲート212とメッキリード線238とを接続させるリードライン214を並列に複数設けることができる。このようにすると、複数のリードライン214のうちの何れか1つが断線しても並列に接続されている他のリードライン214によりメッキリード線238とモールドゲート212とが電気的に接続されるので、モールドゲート212に金メッキ層が全く形成されないことはない。
【0021】
図5は、本発明の他の実施例に係る印刷回路基板のパネルを示す図面である。本実施例に係る印刷回路基板のパネルは、内側に設けられるストリップ領域300と、上記ストリップ領域300にメッキを施すためのメッキリード線と、上記ストリップ領域300の外郭に設けられるダミー領域400と、を含む。このとき、上記ダミー領域には剛性を確保するための金属層410が設けられ、上記金属層410の少なくとも一部は移動時にクランピングのために露出される。
【0022】
薄型の印刷回路基板を製造する場合、基材として用いられる絶縁体が薄すぎると、各工程を行うための基材の取扱いに問題が生じ得る。この点を考慮して、ダミー領域400に銅箔のような金属層410を設けることができる。このような金属層410は、ダミー領域400の剛性補強のために別に設けてもよく、内層回路の形成のために絶縁体の表面全体に積層された金属板の一部であってもよい。
【0023】
薄型の印刷回路基板は、印刷回路基板をメッキ槽などに入れた後、引き上げる過程で反るおそれがあるため、クランプを用いることになる。このとき、印刷回路基板のクランピングされる部分は、その表面の絶縁材またはSR(Solder resist)などを除去して露出させる必要がある。これは、絶縁材またはSRなどが除去されないと、様々な印刷回路基板に対して反復して使用するクランプに異物質、すなわち、絶縁材またはSRが付着されて後にクランピングされる印刷回路基板に該異物質が付着されるおそれがあるからである。
【0024】
このように、クランピングのために露出された金属層410の一部は、メッキリード線(図4の238参照)と接続しており、このような構造により、ストリップ領域300、より具体的にはその内部のユニット領域(図3の220参照)に対する表面処理、例えば金メッキを施すと、露出された金属層410の表面にも金メッキ層が形成される。
【0025】
しかし、このようなダミー領域400において露出された金属層410の一部は最終製品には残存しない部分であって、露出された金属層410に金のように高価のメッキ層が必要以上に厚く形成されることは製品の高コスト化を招くことになる。
【0026】
このような問題点を考慮して、本実施例によれば、ダミー領域400において露出された金属層410の一部とメッキリード線とが、複数個所折曲した形状のリードライン420により電気的に接続される構造を有する。具体的に、ダミー領域400において露出された金属層410とメッキリード線(図4の238参照)とを接続させるリードライン420をより細長く形成することにより、露出された金属層410の一部とメッキリード線との間の抵抗値を大きくすることである。
【0027】
このようにして、ダミー領域において露出された金属層410の一部に印加される電流を小さくすると、後の電解金メッキ時に、露出された金属層410に相対的に薄厚の金メッキ層が形成されて金の無駄使いを防止することができる。
【0028】
このとき、上述した実施例と同様に、リードラインを並列に複数設けてもよい。
【0029】
一方、工程中にパネルが破れるなどの損傷を防止するために、図5に示すように、ダミー領域400に矩形状の金属パターン430を繰り返して形成してもよい。
【0030】
この場合、リードライン420は矩形状の金属パターン430を介してメッキリード線と電気的に接続されることができる。
【0031】
上記のような構造を有する印刷回路基板のパネルによれば、露出された金属層410に形成されるメッキ厚を薄くしてスラッジの生成を未然に防止することができ、その結果、ユニットにメッキを施す際に、スラッジによる製品信頼度の低下を予防することができる。
【0032】
以上、本発明を実施の形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施の形態に記載の範囲には限定されない。上記実施の形態に、多様な変更または改良を加えることが可能であることが当業者に明らかである。その様な変更または改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれ得ることが、特許請求の範囲の記載から明らかである。
【符号の説明】
【0033】
212 モールドゲート
214 リードライン
236,238 メッキリード線
232 パッド

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユニット領域と、前記ユニット領域にメッキを施すためのメッキリード線と、前記ユニット領域の外郭に配置されるモールドゲートとを含む印刷回路基板のストリップであって、
前記メッキリード線と前記モールドゲートが、複数個所折曲した形状のリードラインにより電気的に接続されることを特徴とする印刷回路基板のストリップ。
【請求項2】
前記リードラインが複数であることを特徴とする請求項1に記載の印刷回路基板のストリップ。
【請求項3】
複数のストリップが設けられるストリップ領域と、前記ストリップ領域にメッキを施すためのメッキリード線と、前記ストリップ領域の外郭に設けられるダミー領域とを含む薄型印刷回路基板のパネルであって、
前記ダミー領域に剛性を確保するための金属層が設けられ、
前記金属層の少なくとも一部が、移動時にクランピングのために露出され、
前記メッキリード線と前記金属層の露出された一部とが、複数個所折曲した形状のリードラインにより電気的に接続されることを特徴とする印刷回路基板のパネル。
【請求項4】
前記リードラインが複数であることを特徴とする請求項3に記載の印刷回路基板のパネル。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2011−54930(P2011−54930A)
【公開日】平成23年3月17日(2011.3.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−108483(P2010−108483)
【出願日】平成22年5月10日(2010.5.10)
【出願人】(594023722)サムソン エレクトロ−メカニックス カンパニーリミテッド. (1,585)
【Fターム(参考)】