説明

印刷情報処理プログラム、印刷情報処理装置、印刷システム、及びユーザ端末で実行されるプリンタドライバプログラム

【目的】仮に認証カードを紛失して他人に拾われた場合でも、印刷装置が不正な印刷を実行する割合を低減する。
【構成】印刷ジョブデータに印刷すべきプリンタ3又はそのグループと、その利用可能な時間帯(あるいは、有効期間)を表す印刷装置認証条件を入力し、この印刷装置認証条件とユーザ認証用情報との双方が一致しない限り印刷情報処理装置やユーザ端末のプリンタドライバはグループ以外の他人に対する印刷を許可しないようにする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、印刷情報処理プログラム、印刷情報処理装置、印刷システム、及びユーザ端末で実行されるプリンタドライバプログラムに関し、特に、認証用情報を含む印刷ジョブを認証用情報による制限を判定して印刷するために印刷情報処理装置で実行される印刷情報処理プログラム、印刷情報処理装置、印刷システム、及びユーザ端末で実行されるプリンタドライバプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
各ユーザが利用する複数のユーザ端末と、通信回線を介してこれらユーザ端末に接続している複数の印刷装置とを含む印刷システムにおいて、印刷すべき印刷データを印刷するために、ユーザはユーザ端末から複数の印刷装置のいずれかを指定し、ユーザ端末はその指定された印刷装置に印刷データを送信し、この指定された印刷装置は印刷データに基づいた画像を印刷媒体に印刷する。
【0003】
ところで、このような印刷システムでは、印刷装置がユーザから離れた遠隔地に設置されていることがあるため、ユーザが単に印刷装置を指定しただけでは、印刷済みの記録が他人に読まれたり抜き取られたりして守秘性を守れない虞がある。これを防止するため、指定した印刷装置に印刷データが送信された後に、ユーザが認証用のカードを持って印刷装置の読出部に挿入することで、初めて印刷が始まるように構成する場合がある。
また、ユーザは、自己のユーザ端末から離間した印刷装置を独立に指定するため、特定の印刷装置に印刷データが集まって、前のユーザの印刷が終わるまで長時間待たされるという虞もある。
このような問題を解決するため、ユーザ端末は、一旦認識情報を付帯した印刷ジョブを印刷情報処理装置に送信して、印刷情報処理装置は印刷ジョブを蓄積させ、空いている印刷装置にユーザが認証用のカードを挿入した後に、印刷装置がカードから読み出した認証情報を印刷情報処理装置に送信して照合させ、照合が一致すればその印刷装置に該当する印刷データを送信して印刷を行うようにした例が、特許文献1に開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−262550号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1の技術では、どの印刷装置からでも認証ができれば印刷ができてしまう。このため、ユーザが認証に用いている認証カードを紛失して他人に拾われた場合、その認証カードを拾得した者が、例えば別フロアのあまり人目につかない印刷装置で認証して印刷物を不正に入手することができるという問題があった。
【0006】
本発明は、このような問題点を解決するためになされたものであり、仮に認証カードを紛失して他人に拾われた場合でも、指定外の印刷装置が印刷を実行する割合を低減することができる印刷情報処理プログラム、印刷情報処理装置及び印刷システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記目的を達成するため本発明は、1乃至複数のユーザ端末と複数の印刷装置とが通信可能に接続されている印刷情報処理装置であって、利用可能な印刷装置及び印刷装置グループの何れか一方の装置情報と、これらの印刷装置及び印刷装置グループ毎の何れか一方が利用可能な時間帯を表す時間帯情報とが認証情報として含まれる印刷ジョブデータを前記ユーザ端末から受信すると共に、何れかの前記印刷装置から印刷ジョブ送信要求を受信する管理側受信部と、前記管理側受信部により受信された前記認証情報を含む前記印刷ジョブデータを格納する記憶部と、前記管理側受信部によって前記印刷装置からの前記印刷ジョブ送信要求を受信すると、前記印刷ジョブ送信要求を送信した送信先印刷装置を特定すると共に、前記装置情報が示す装置と前記送信先印刷装置とが一致し、現時刻が前記時間帯情報に含まれているときに、前記特定された前記送信先印刷装置で印刷すべき前記印刷ジョブデータが前記記憶部に格納されているか否か判断する管理側判断部と、前記管理側判断部により印刷すべき前記印刷ジョブデータが前記記憶部に格納されていると判断された場合に、前記印刷すべき前記印刷ジョブデータを前記特定された前記送信先印刷装置に送信する管理側送信部とを備えることを特徴とする。
【0008】
これによれば、ユーザ端末で予め印刷を行う印刷装置又はそのグループと、印刷する時間帯との双方を指定しておくことで、仮に認証カードを紛失して他人に拾われた場合でも、その他人により印刷装置で不正な印刷が実行される割合を低減することができる。
【発明の効果】
【0009】
本発明は、仮に認証カードを紛失して他人に拾われた場合でも、印刷装置が不正な印刷を実行する割合を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の第1の実施形態である印刷システムの構成図である。
【図2】本発明の第1の実施形態である印刷システムに用いられるユーザ端末の構成図である。
【図3】本発明の第1の実施形態である印刷情報処理装置の構成図である。
【図4】本発明の第1の実施形態である印刷システムでの印刷ジョブデータの構成図である。
【図5】本発明の印刷システムの第1の実施形態での印刷ジョブ情報送信要求のデータの構成の例である。
【図6】本発明の第1の実施形態である印刷システムに用いられるプリンタの構成図である。
【図7A】本発明の第1の実施形態である印刷システムで用いられるプリンタグループの登録表である。
【図7B】本発明の第1の実施形態である印刷システムで用いられるプリンタグループのグループ構成図である。
【図8A】本発明の第1の実施形態である印刷システムの動作を示す一のシーケンス図である。
【図8B】本発明の第1の実施形態である印刷システムの動作を示す他のシーケンス図である。
【図9】本発明の第1の実施形態である印刷システムに用いられるユーザ端末の処理を示すフローチャートである。
【図10A】本発明の第1の実施形態における印刷情報処理装置が印刷ジョブデータの受信要求を受け付けるときの処理を示すフローチャートである。
【図10B】本発明の第1の実施形態における印刷情報処理装置が印刷ジョブデータの送信要求を受け付けるときの処理を示すフローチャートである。
【図10C】本発明の第1の実施形態における印刷情報処理装置が印刷ジョブデータを削除するときの処理を示すフローチャートである。
【図11】本発明の第1の実施形態における印刷システムにおけるプリンタの処理を示すフローチャートである。
【図12】本発明の第2の実施形態における印刷システムでの印刷ジョブデータの構成図である。
【図13A】本発明の第2の実施形態における印刷システムの動作を示す一のシーケンス図である。
【図13B】本発明の第2の実施形態における印刷システムの動作を示す他のシーケンス図である。
【図14】本発明の第2の実施形態における印刷システムのユーザ端末の処理を示すフローチャートである。
【図15A】本発明の第2の実施形態における印刷情報処理装置が印刷ジョブデータの受信要求を受け付けるときの処理を示すフローチャートである。
【図15B】本発明の第2の実施形態における印刷情報処理装置が印刷ジョブデータの送信要求を受け付けるときの処理を示すフローチャートである。
【図15C】本発明の第2の実施形態における印刷情報処理装置が印刷ジョブデータを削除するときの処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
(第1の実施形態)
図1は、本発明に係る第1の実施形態における印刷システムの構成図である。
印刷システム100は、図1に示されているように、複数のユーザ端末1(1A,1B,1C,・・・)と、この複数のユーザ端末1A,1B,1C,・・・に通信回線2を介して接続している複数のプリンタ(印刷装置)3(3A,3B,3C,・・・)と、通信回線2を介して複数のユーザ端末1A,1B,1C,・・・及びプリンタ3A,3B,3C,・・・から送信される情報を管理する印刷情報処理装置(サーバ)6とを含んで構成されている。
なお、通信回線2としては、LAN(Local Area Network)やインターネットなどのネットワークを含む広範囲な通信回線を採用することができる。ここで、ユーザ端末1A,1B,1C,・・・は、複数のユーザに利用されても、一人のユーザに専用されてもよい。
【0012】
図2は、第1の実施形態で用いられるユーザ端末1の構成を示すブロック図である。ユーザ端末1A,1B,1C,・・・は同一の構成であるため、ここではユーザ端末1での説明で代表する。ユーザ端末1は、パーソナルコンピュータとして構成され、図2に示すように、CPU11、メモリ12、クロック13、回線インタフェース部14、不揮発性記憶部(HDD)15、入出力表示部16、入出力インタフェース17を含み、これらは内部バス19によって相互に接続されている。また、操作手段18が、入出力インタフェース17を介してユーザ端末1に接続されている。
【0013】
CPU11は、不揮発性記憶部15に格納されている、基本ソフトとしてのOS(Operating System)111、アプリケーションプログラム117やプリンタドライバ112等をメモリ12に展開して実行することによって、複数の機能を実現する。すなわち、CPU11は、ユーザ端末1の制御を行うOS111と、データ送受信手段113、印刷ジョブデータ生成手段114、印刷装置条件設定手段115、及び認証用情報設定手段116を構成するプリンタドライバ112と、アプリケーションプログラム117との機能を実現する。
【0014】
データ送受信手段113は、プリンタ3において画像形成すべき印刷ジョブデータ501(図4)を、回線インタフェース部14及び通信回線2を介してプリンタ3に送信する。
印刷装置条件設定手段115は、利用可能なプリンタ3又はプリンタグループと、このプリンタ3又はプリンタグループが利用可能な時間帯とを示す印刷装置条件を設定する機能を有する。すなわち、印刷装置条件設定手段115は、印刷装置条件の入力操作を誘導する画面を入出力表示部16に表示させて、操作手段18を介して入力された印刷装置条件を設定する。
【0015】
認証用情報設定手段116は、プリンタ3でユーザを認証するためにユーザを特定する数値型の認証番号などのユーザ認証情報を設定する。すなわち、認証用情報設定手段116は、暗証番号の入力を誘導する画面を入出力表示部16に表示させて、操作手段18を介して入力された暗証番号をメモリ12や不揮発性記憶部15に格納する。また、認証用情報設定手段116は、メモリ12や不揮発性記憶部15に格納された暗証番号(ユーザ認証情報)を印刷ジョブデータ生成手段114に引き渡す。
【0016】
印刷ジョブデータ生成手段114は、アプリケーションプログラム117が作成した文字データ(テキストデータ)、画像データなどを含む印刷データを受け取るとともに、印刷装置条件設定手段115で設定された印刷装置条件と、認証用情報設定手段116で設定されたユーザ認証情報を印刷データに付加して印刷ジョブデータを生成する。
【0017】
印刷ジョブデータ501(図4)は、印刷内容のテキストデータ1(504)、画像データ1(505)に、ユーザ認証情報502と、印刷装置条件503を加えた構成になっている。さらに、ユーザ端末1のアドレス、印刷データのファイル名、及び送信時の日時を付して構成してもよい。
【0018】
メモリ12は、ユーザ端末1の動作プログラムやデータを一時記憶する記憶手段であり、ワーキングメモリとして使用される。クロック13は、現在時刻を計時し、ユーザ端末1を動作する際のタイミングを取るための周期的な信号を出力する。
回線インタフェース部14は、通信回線2を介して印刷情報処理装置6に印刷ジョブデータ501を送信する。
不揮発性記憶部15は、HDD等からなる不揮発性記憶媒体であり、OS111やアプリケーションプログラム117を格納したり、印刷ジョブデータ生成手段114が作成した印刷ジョブデータを格納したりする。
【0019】
操作手段18は、キーボード、ポインティングデバイスや操作パネルなどのユーザに入力操作させる手段である。入出力表示部16は、タッチパネル式の液晶表示パネル(LCD:Liquid Crystal Display)により構成されており、画面を表示してユーザに操作手段18による入力動作を行わせる機能を有している。入出力インタフェース17は、操作手段18の入力をCPU11に伝えるインタフェースである。
【0020】
図3は、第1の実施形態で用いられる印刷情報処理装置6の構成図である。
印刷情報処理装置6は、サーバとして構成され、図3に示すように、CPU61、メモリ62、クロック63、回線インタフェース部64、不揮発性記憶部(HDD)65、入出力表示部66、及び入出力インタフェース67を含み、これらは内部バス69によって相互に接続されている。また、操作手段68が、入出力インタフェース67を介して印刷情報処理装置6に接続されている。
【0021】
CPU61は、OS611の機能と、アプリケーションプログラム612の機能とを実現する。アプリケーションプログラム612の機能は、管理側受信手段613、管理側送信手段616、送信先特定手段617、判断手段618、及び削除手段619としての機能を実現し、管理側受信手段613は、印刷ジョブ取得手段614、及び送信要求受信手段615としての機能を備える。
【0022】
印刷ジョブ取得手段614は、ユーザ端末1から通信回線2を介して送られてきた、印刷ジョブデータ501(図4)を回線インタフェース部64を介して受信する。この受信した印刷ジョブデータ501は、ジョブ格納部である不揮発性記憶部65に格納される。
【0023】
図4は、本実施形態での印刷ジョブデータ501の一例を示す構成図である。
印刷ジョブデータ501は、認証番号で示されるユーザ認証情報502、各時間帯ごとの利用可能なプリンタ、又はプリンタグループとして表される印刷装置条件503、文字、数字などからなるテキストデータ(文書データ)504、及び画像データ505を含む。
【0024】
図4は、認証番号「152363」のA氏が設定した印刷ジョブデータ501の構成図の例である。
印刷装置条件503は、2009年5月15日、9時から12時までプリンタグループ1(Group-1)を使用でき、同日14時から16時までプリンタグループ3(Group-3)を使用でき、同日18時から20時までプリンタグループ4(Group-4)が使用できるように設定されている。テキストデータ504は「テキストデータ1」というデータが配置され、画像データ505の項目は「画像データ1」というデータが配置されている。
【0025】
図3の説明に戻って、送信要求受信手段615は、プリンタ3から通信回線2及び回線インタフェース部64を介して送られてきた印刷ジョブデータ送信要求を受信し、これを送信先特定手段617に送る。送信先特定手段617は、印刷ジョブデータ送信要求に付加されているプリンタIDの情報により、この印刷ジョブデータ送信要求の送信先プリンタを特定する。
【0026】
図5は、本実施形態での印刷ジョブデータ送信要求の複数の例を示している。
これらの例は、何れも152363というユーザ認証情報を持つユーザの発したもので、図5(a)は、プリンタIDがP−003というプリンタから、図5(b)は、プリンタIDがP−101というプリンタから、図5(c)は、プリンタIDがP−105というプリンタから、図5(d)は、プリンタIDがP−001というプリンタから印刷情報処理装置6に送信されたものである。
【0027】
判断手段618は、不揮発性記憶部65のジョブ格納領域に格納されている各印刷ジョブデータ501(図4)のユーザ認証情報502と、印刷装置条件503(すなわち、ユーザ認証用データに対応する印刷可能なプリンタグループ情報及びそれに対応付けられた印刷許可時間帯を規定する条件)と、印刷ジョブデータ送信要求に含まれている印刷ジョブデータ501とがジョブ格納領域に格納されているか否かを判断し、格納されていた場合、送信先特定手段617で特定された送信先プリンタで現在時刻に印刷可能であるか否かを判断する。
【0028】
判断手段618が印刷ジョブデータ送信要求に含まれている印刷ジョブデータ501が格納されていると判断した場合であって、なおかつ、その印刷ジョブデータ501が送信先特定手段617で特定された送信先プリンタで現在の時刻に印刷可能と判断したときは、管理側送信手段616は、その印刷ジョブデータ501を不揮発性記憶部65から読み出して、回線インタフェース部64及び通信回線2を経由して送信先プリンタ3に送信する。
【0029】
削除手段619は、ユーザが設定した印刷許可時間帯の最終時刻が終了した時点で、不揮発性記憶部65に格納されている印刷ジョブデータを削除する機能を有する。
【0030】
なお、印刷情報処理装置6に対して操作が必要な場合は、入出力表示部66は、画面を表示してユーザに操作手段68による入力動作を行わせる機能を有している。ユーザは、この操作手段68、及び入出力表示部66を用いる操作によって、必要な操作を選択し入力することができる。入出力インタフェース67は、操作手段68の入力をCPU61に伝えるインタフェースである。
【0031】
図6は、第1の実施形態で用いられるプリンタ3の構成を表すブロック図である。プリンタ3A,3B,3C,・・・は同一の構成であるため、ここではプリンタ3の説明で代表する。
【0032】
プリンタ3は、通信部としての回線インタフェース部31、制御部としてのCPU32、記憶部としてのメモリ33、クロック34、印刷機構としての印刷画像生成部35、認証情報読取手段36、入出力インタフェース38、指定手段としての操作部39、及び表示部37を含んでいる。
なお、表示部37は、ユーザの操作を誘導する画面を表示して操作部39による入力操作を行わせたり、印刷ジョブデータ501の内容を表示したりする。
【0033】
CPU32は、メモリ33に記憶されているプログラム332を実行することによりプリンタ3を全体制御するとともに、印刷データ生成手段321、認証情報制御手段322、プリンタID読出手段323の機能を実現する。
【0034】
印刷データ生成手段321は、印刷情報処理装置6から印刷ジョブデータ501が送信されてきた場合、これを印刷画像生成部35で印刷可能な形式(例えば、画像データ部分はラスタデータ)に変換するなどを行う。
【0035】
認証情報制御手段322は、認証情報読取手段36でユーザの認証カードからユーザ認証データが読み取られた場合に割込により起動する。認証情報制御手段322は、このユーザ認証データと、プリンタID読出手段323によりメモリ33のプリンタID記憶部331から読み出されたプリンタIDとを含めた印刷ジョブデータ送信要求を作成し、回線インタフェース部31及び通信回線2を介して印刷情報処理装置6(図3)に送信する。
【0036】
プリンタID読出手段323は、認証情報制御手段322からの指示に従って、メモリ33のプリンタID記憶部331からプリンタIDを読み出して認証情報制御手段322に送る。
【0037】
回線インタフェース部31は、通信回線2を介して印刷情報処理装置6との間で通信を行い、CPU32の認証情報制御手段322の制御の下にユーザ認証情報とプリンタIDを含む印刷ジョブデータ送信要求を送信するとともに、印刷情報処理装置6から送信される印刷ジョブデータ501を受信する。
【0038】
メモリ33は、プリンタ3を制御するプログラムの領域や、読み出し専用のプリンタIDを格納するプリンタID記憶部331の領域を有する記憶手段であり、ROMやRAM等から構成される。また、メモリ33は、印刷データ生成手段321が印刷ジョブデータ501をラスタデータに変換する際のバッファメモリとしても用いられる。プリンタID記憶部331は、各プリンタ3を識別するために自己に与えられた装置識別番号を装置識別情報(プリンタID)として格納する。
クロック34は、プリンタ3を動作させる際のタイミングを取るための周期的な信号を出力する。
【0039】
印刷画像生成部35は、プリンタ3の印刷機構であり、印刷データ生成手段321が生成したラスタデータを印刷媒体に印刷する機能を有している。
認証情報読取手段36は、ユーザの認証カード4からユーザ認証データとしての認証番号を読み取る機能を有している。認証情報読出手段36には認証カード4を挿入するための挿入口が設けられていて、ここに認証カード4が挿入されると認証情報が読み取られる。本実施形態では、認証情報は数値型の認証番号を採用する。
なお、認証カード4としてICカードを、認証情報読出手段36としてUSB(Universal Serial Bus)インタフェースを備えたICカードリーダを採用することができる。
【0040】
操作部39は、キーボードや、マウス、操作パネルなどにより構成され、ユーザの操作を入力する入力手段である。
表示部37は、画面を表示してユーザに操作部39による入力動作を行わせる機能を有している。ユーザは、この操作部39、及び表示部37を用いることによって、CPU32に対しての指示コマンドを選択することができる。
入出力インタフェース38は、操作部39の入力をCPU32に伝えるインタフェースである。
【0041】
(動作説明)
次に、本発明に係る印刷システム100の動作について説明する。
ここでは、ユーザA氏が、認証カード4を認証情報読取手段36(図6)に挿入して認証印刷する場合について説明する。
A氏は、通常港オフィスに勤務しており、時々中野オフィスに出張して業務を行うことがあるものとする。
【0042】
ここで、本実施形態でのプリンタ3のグループ構成について説明する。
図7Aは、本実施形態でのプリンタ3のグループ登録表である。
プリンタグループは、複数のGroup-1からGroup-5までに分かれており、Group-1,2に属するプリンタIDは、それぞれP−001〜P−006、P−101〜P−105となっている。また、1台のみのプリンタのグループ(Group-3,4,5)のプリンタIDはP−105,P−001,P−006となっている。
【0043】
図7Bは、本実施形態でのプリンタ3のグループ構成図である。
登録されているプリンタ3は、港オフィス及び中野オフィスの何れか一方に配置されており、Group-1には、港オフィスに配置されているすべてのプリンタ(プリンタID:P−001〜P−006)が属しており、Group-2には、中野オフィスに配置されているすべてのプリンタ(プリンタID:P−101〜P−105)が属している。
また、Group-3は、中野オフィスの会議室Kに配置されているプリンタ(プリンタID:P−105)を表すグループであり、Group-4は、港オフィスのA氏の部門に配置されているプリンタ(プリンタID:P−001)を表すグループであり、Group-5は、港オフィスの会議室Jに配置されているプリンタ(プリンタID:P−006)を表すグループである。
【0044】
図7Bに示したように、港オフィスに配置されているすべてのプリンタがGroupe-1に含まれている。
2009年5月15日のA氏の予定は、午前9:00から12:00までの間は港オフィスで業務を行い、その後、中野オフィスに移動して、会議室Kで14:00から16:00までの間、打ち合わせをした後、再び、港オフィスへ戻って、18:00から20:00までの間、残業をするというものであった。
A氏は、朝、出社すると、本日中に記入を完了しておかなければならない作業があり、業務の空いた時間に近くのプリンタで用紙を印刷して記入するため、この用紙の認証印刷操作を行うことにした。
【0045】
そこで、A氏は、9:00から12:00までの午前中は、港オフィスにいるため、港オフィスにある任意の空いているプリンタで印刷できるように、港オフィスのすべてのプリンタを対象とするGroup-1を印刷可能なプリンタグループとして指定した。また、A氏は、14:00から16:00までの時間帯は中野オフィスの会議室Kにいるため、会議室Kに設置されているプリンタを対象とするGroup-3を印刷可能なプリンタグループとして指定した。また、A氏は、18:00から20:00までの時間帯は、再び港オフィスに戻って残業をするが、この時間帯は清掃員やその他のビル管理人がオフィスに入ることがあるため、自分の目が行き届くA氏所属部内のプリンタ(プリンタID:P−001)を対象としてGroup-4を印刷可能なプリンタグループとして指定した。
【0046】
このように印刷可能なプリンタグループが設定された状況で印刷を実行する場合の動きを図8A、図8Bのシーケンス図に添って説明する。
まず、A氏は、ユーザ端末1から印刷ジョブデータ501(図4)を印刷情報処理装置6に送信する(S521)。
この印刷ジョブデータ501は、ユーザ認証用情報として番号152363が指定され、印刷可能なプリンタグループとして、時間帯「2009/5/15 9:00−12:00」に対してGroup-1が指定され、時間帯「2009/5/15 14:00-16:00」に対してGroup-3が指定され、時間帯「2009/5/15 18:00-20:00」に対してGroup-4が指定されている。また印刷内容は、テキストデータ1及び画像データ1から構成されている。
印刷情報処理装置6(図3)は、この印刷ジョブデータ501を受信すると、このデータ501をジョブ格納部としての不揮発性記憶部65に記憶蓄積する。
【0047】
次に、2009年5月15日の各時間帯でのこの印刷ジョブデータ501の印刷の流れについて説明する。
仮に、「2009/5/15 9:00−12:00」の時間帯で、A氏が自己の認証カード4(図6)を用いてP−103というプリンタIDを持つプリンタ3B(図1)から印刷情報処理装置6へ印刷ジョブデータ501の印刷ジョブデータ送信要求を行う場合を考える(S531)。
このとき、プリンタ3Bは、この時間帯に印刷が許可されているプリンタグループGroup-1に属していない。このため、印刷情報処理装置6はこの要求を拒絶する。
【0048】
また仮に、時間帯「2009/5/15 9:00−12:00」で、A氏以外のユーザが認証カード4(認証番号123456)を用いてP003というプリンタIDを持つプリンタ3Aから印刷情報処理装置6に対して、印刷ジョブデータ501の印刷ジョブデータ送信要求を行う場合を考える(S532)。このとき、認証カード4のユーザ認証用情報が番号152363というA氏のそれと異なるため、印刷情報処理装置6はこの要求を拒絶する。
【0049】
次に仮に、時間帯「2009/5/15 9:00−12:00」で、A氏が自己の認証カード4を用いてP−003というプリンタIDを持つプリンタ3A(図1)から印刷情報処理装置6へ印刷ジョブデータ501の印刷ジョブデータ送信要求を行う場合を考える(S533)。このとき、プリンタ3Aは、この時間帯に印刷が許可されているプリンタグループGroup-1に属していて、認証カード4のユーザ認証用情報が番号152363というA氏のそれと一致するため、印刷情報処理装置6はこの要求を受け付ける。
そして、印刷ジョブデータ501をプリンタ3Aに送信する(S534)。
プリンタ3Aで印刷が完了したとき、印刷情報処理装置6は印刷ジョブデータ501をジョブ格納部(不揮発性記憶部)65から削除して(S535)、このジョブに関する処理を終了する。
【0050】
次に仮に、それ以前に印刷ジョブデータ501の印刷が完了することなく、時間帯「2009/5/15 12:00−14:00」になったとする。
この時間帯に印刷ジョブデータ501の印刷が許可されているプリンタグループはない。したがって、印刷情報処理装置6は、どのプリンタグループからの印刷ジョブデータ送信要求も受け付けず拒絶する(S541)。
【0051】
また仮に、それ以前に印刷ジョブデータ501の印刷が完了することなく、時間帯「2009/5/15 14:00−16:00」になったとする。
そして、A氏が自己の認証カード4を用いてP−103というプリンタIDを持つプリンタ3Bから印刷情報処理装置6へ印刷ジョブデータ501の印刷ジョブデータ送信要求を行う場合を考える(S551)。このとき、プリンタ3Bは、この時間帯に印刷が許可されているプリンタグループGroup-3に属していない。そのため、印刷情報処理装置6はユーザ認証用情報が一致していてもこの要求を拒絶する。
【0052】
なお、この時間帯でA氏が自己の認証カード4を用いてP−105というプリンタIDを持つプリンタ3Cから印刷情報処理装置6へ印刷ジョブデータ501の印刷ジョブデータ送信要求を行う場合を考える(S552)。このとき、プリンタ3Bは、この時間帯に印刷が許可されているプリンタグループGroup-3に属していて、ユーザ認証用情報も一致している。そのため、印刷情報処理装置6はこの要求を受け付ける。
そして、印刷情報処理装置6は、印刷ジョブデータ501をプリンタ3Cに送信する(S553)。
プリンタ3Cで印刷が完了したとき、印刷情報処理装置6は印刷ジョブデータ501をジョブ格納部(不揮発性記憶部)65から削除して(S554)、このジョブに関する処理を終了する。
【0053】
次に仮に、それ以前に印刷ジョブデータ501の印刷が完了することなく、時間帯「2009/5/15 16:00−18:00」になったとする。
この時間帯に印刷ジョブデータ501の印刷が許可されているプリンタグループはない。したがって、印刷情報処理装置6は、どのプリンタグループからの印刷ジョブデータ送信要求も受け付けずに拒絶する(S561)。
【0054】
次に、それ以前に印刷ジョブデータ501の印刷が完了することなく、時間帯「2009/5/15 18:00−20:00」になったとする。
そして、A氏が自己の認証カード4を用いてP−003というプリンタIDを持つプリンタ3Aから印刷情報処理装置6へ印刷ジョブデータ501の印刷ジョブデータ送信要求を行う場合を考える(S571)。このとき、プリンタ3Aは、この時間帯に印刷が許可されているプリンタグループGroup-4に属していない。そのため、印刷情報処理装置6は、たとえユーザ認証用情報が一致していてもこの要求を拒絶する。
【0055】
次に、この時間帯で、A氏が自己の認証カード4を用いてP001というプリンタIDを持つプリンタ3Dから印刷情報処理装置6へ印刷ジョブデータ501の印刷ジョブデータ送信要求を行う場合を考える(S572)。このとき、プリンタ3Dは、この時間帯に印刷が許可されているプリンタグループGroup-4に属し、ユーザ認証用情報も一致している。そのため、印刷情報処理装置6は、この要求を受け付ける。
そして、印刷情報処理装置6は、印刷ジョブデータ501をプリンタ3Dに送信する(S573)。プリンタ3Dで印刷が完了したとき、印刷情報処理装置6は印刷ジョブデータ501をジョブ格納部(不揮発性記憶部)65の記憶から削除して(S574)、このジョブに関する処理を終了する。
【0056】
次に、それ以前に印刷ジョブデータ501の印刷が完了することなく、時刻「2009/5/15 20:00」を過ぎたとする。
印刷ジョブデータ501で指定されている印刷可能プリンタの指定時間帯は、「2009/5/15 20:00」までである。印刷情報処理装置6は、その時刻をすでに過ぎたことを検知すると、印刷ジョブデータ501をジョブ格納部(不揮発性記憶部)65から削除して(S581)、このジョブに関する処理を終了する。
【0057】
以上で、印刷ジョブデータ501の指定された時間帯内での印刷業務の遂行の例についてシーケンス図に沿って述べたが、次にこの印刷業務にかかわる印刷システムを構成する要素の個々の動きについて説明する。
【0058】
(ユーザ端末の動作)
図9は、ユーザ端末1(図2)の処理を示すフローチャートである。
文書作成ソフト等のアプリケーションプログラム117(図2)の印刷操作により、プリンタドライバ112(図2)としての本ルーチンが起動する。
認証用情報設定手段116は、認証印刷を選択する選択画面を入出力表示部16に表示させ、ユーザにより「認証印刷」が選択操作されたら、選択結果を設定する(S101)。
次に、認証用情報設定手段116は、印刷ジョブデータ501に付与するユーザ認証情報502(図4)としての認証番号を入力する入力画面を入出力表示部16に表示させ、ユーザによりユーザ認証情報である「認証番号」が入力されたら(S102)、入力された認証番号を不揮発性記憶部15に格納する。
さらに、印刷装置条件設定手段115は、印刷ジョブデータ501に付与する印刷装置条件503(図4)として、時間帯とその時間帯ごとに印刷可能なプリンタグループとの入力操作を誘導する入力画面を入出力表示部16に表示させ、ユーザにより「印刷装置条件」が入力されたら(S103)、入力された印刷装置条件を不揮発性記憶部15に格納する。
【0059】
さらに、印刷ジョブデータ生成手段114は、予め不揮発性記憶部15に記憶してあった印刷すべきテキストデータ1(504)及び印刷すべき画像データ1(505)からなる印刷データを読み出して、読み出された印刷データにユーザ認証情報502及び印刷装置条件503を添付して印刷ジョブデータ501を生成する(S104)。
そして、データ送受信手段113は、この印刷ジョブデータ501を回線インタフェース部14を介して印刷情報処理装置6に送信して(S105)、処理を終了する。
なお、この印刷ジョブデータ501の構成は、先に図4で示した通りである。
【0060】
(印刷情報処理装置の動作)
図10A、図10B、及び図10Cは、本実施形態において、印刷情報処理装置6(図3)の処理を示すフローチャートである。
図10Aのルーチンは回線インタフェース部64がユーザ端末1(図2)からの要求を受信すると割込により起動し、図10Bのルーチンは回線インタフェース部64が印刷情報処理装置6(図3)からの要求を受信すると割込により起動し、図10Cは一定時間毎のタイマ割込により起動する。
図10Aのルーチンが起動すると、管理側受信手段613は、ユーザ端末1からの要求が印刷ジョブデータ501の受信要求であるか否かを判定する(S201)。印刷ジョブデータ501の受信要求であれば(Yes)、ジョブ取得手段614は、回線インタフェース部64を介して印刷ジョブデータ501の受信を行い、受信した印刷ジョブデータ501をジョブ格納部(不揮発性記憶部)65に記憶格納し(S202)、処理を終了する。一方、印刷ジョブデータの受信要求でなければ(S201でNo)、処理を終了し、CPU61は他の処理を実行する。
【0061】
図10Bは、印刷情報処理装置6が印刷ジョブデータをプリンタ3に送信する処理のフローチャートである。
このルーチンが割込により起動すると、送信要求受信手段615は、プリンタ3からの要求が印刷ジョブデータの送信要求であるか否かを判定する(S301)。印刷ジョブデータの送信要求であれば(Yes)、送信先特定手段617は、送信要求に付与されたプリンタIDから要求元プリンタを特定する(S302)。
そして、判断手段618は、ジョブ格納部(不揮発性記憶部)65を検索することにより、受信した印刷ジョブデータの送信要求に含まれるユーザ認証情報と一致する印刷ジョブデータを検索し(S303)、該当する印刷ジョブデータが有るか否かを判定する(S304)。
【0062】
ジョブ格納部(不揮発性記憶部)65に該当する印刷ジョブデータ501があった場合は(Yes)、判断手段618は、クロック63から現在時刻を取得する(S305)。そして、判断手段618は、該当する印刷ジョブデータ501の印刷装置条件503に、現時刻で印刷可能なプリンタグループがあるか否かを判定し(S306)、印刷可能なプリンタグループがある場合は(Yes)、判断手段618は、許可されたプリンタグループに要求元プリンタIDが含まれているか否かを判断する(S307)。
要求元プリンタIDが許可されたプリンタグループに含まれているときは(Yes)、管理側送信手段616は、判断結果に従って、特定された要求元プリンタに該当印刷ジョブデータ501を送信する(S308)。
【0063】
該当印刷ジョブデータ501が送信され、印刷が終了したとき、管理側送信手段616は、ジョブ格納部(不揮発性記憶部)65に記憶されている該当印刷ジョブデータ501を削除して(S309)、処理を終了する。
また、S301でプリンタ3からの要求が印刷ジョブデータの送信要求でなかった場合、S304で該当する印刷ジョブデータがなかった場合、S306で現時刻に印刷可能なプリンタグループがなかった場合、さらに、S307で要求元プリンタが許可されたプリンタグループに含まれていない場合は、CPU61はいずれも処理を終了する。
【0064】
図10Cは、印刷情報処理装置6がタイムアウトした印刷ジョブデータを記憶手段から削除する処理のフローチャートである。
クロック63(図3)による定期的なタイマ割込により、図10Cのルーチンが起動する。
削除手段619は、タイムアウトを判定する所定の検討時刻になったか否かを判定する(S351)。
所定の検討時刻になったときに(Yes)、削除手段619は、ジョブ格納部(不揮発性記憶部)65にタイムアウトを判定していない印刷ジョブデータ501(すなわち、他に蓄積された印刷ジョブデータ501)がまだあるか否かを判断する(S352)。
そして、タイムアウトを判定していない印刷ジョブデータ501がある場合は(Yes)、削除手段619は、そのうちの1件を取得し(S353)、現時刻がこの取得した印刷ジョブデータ501に付された全時間帯を、経過済みか否かを判定する(S354)。すでに経過済みの場合は(Yes)、削除手段619は、当該ジョブデータを削除する(S355)。S352に再び戻ってタイムアウトを判定していない印刷ジョブデータがなくなるまで繰り返す。
この一連の操作により、ジョブ格納部(不揮発性記憶部)65に記憶蓄積されたすべての印刷ジョブデータについてタイムアウトの判定が確認し終えたら、次の検討時刻まで待って同様の処理を繰り返す。
【0065】
上記した一連の作業を、図4の印刷ジョブデータの構成図、及び図8のシーケンス図を参照してさらに詳しく説明する。
A氏が勤務する港オフィスの就業時間中は、相互監視も行き届いており、第三者がオフィスに入り込むことも難しく、仮に認証カードを紛失した場合でもカードを拾得し外来者が不正に認証印刷を行うようなリスクは少ないものとする。また、港オフィスでは他部門のプリンタを借りて印刷することは、自席に戻る移動時間の無駄を省くために奨励されている。
【0066】
このため、A氏がこの印刷ジョブデータ501を認証印刷するとし、まず、9:00−12:00の時間帯は利便性を重視して、印刷可能なプリンタグループとしてGroup-1を指定することで、港オフィスのプリンタIDがP−001〜P−006の何れのプリンタからでも印刷が可能になり、高い利便性のプリンタ利用が可能になる。この時間帯では、Group-1に属さないプリンタ3で、A氏の認証カードを用いて認証印刷を試みても印刷を行うことはできない。例えば、認証カード4を紛失し、拾得した人が、港オフィス以外のプリンタ3、例えば、中野オフィスのプリンタ3を用いて印刷するようなことはできない。
【0067】
一方、A氏が港オフィスを出て中野オフィスまで移動する時間帯に設定した12:00−14:00の時間帯ではA氏はプリンタ3で認証印刷を起動することはありえない。このため、図4に示したように「12:00−14:00」を印刷可能な時間帯として設定しないことによって、A氏が認証カード4を紛失し、拾得した人がこの時間帯にどのプリンタから印刷を試みたとしても印刷することはできない。
【0068】
中野オフィスは、人事など管理系の部門が多く、他の部門のプリンタ3を借用することは奨励されておらず、出張者には会議室にあるプリンタ3のみの使用が許されている。
このため、中野オフィスの会議室で打ち合わせをする14:00-16:00の間は、プリンタグループGroup-3を指定することで会議室Kに設置したプリンタ3(P−105)のみで印刷できるようにしている。これにより、仮にA氏が認証カード4を紛失し、他人に拾得されても、この時間帯はA氏がいる中野オフィスの会議室Kでしか印刷ができないため、中野オフィスの会議室K以外にあるプリンタ3(P−101,・・・,P−104)や港オフィスのプリンタ3(P−001,・・・,P−006)では印刷できず、認証カードを拾得した人によって不正にジョブを認証印刷されるリスクを減らすことができる。
【0069】
A氏が港オフィスに戻り、残業を行う18:00―20:00の間は、清掃業者、ビル管理委託業者などの社外メンバがオフィスに入ることがある。また、残業している人は部署によって異なり、残業者がいない部署もありうるため、外部の者が不正にプリンタ3を使用した場合でも目が届かない可能性がある。
このため、18:00―20:00の時間帯は、Group-4を選択して、A氏の目が届くA氏所属部門のプリンタ3(P−001)でのみ印刷可能とすることで、認証カード4を紛失して他の人に拾われたとしても、A氏の目が届かないプリンタ3で印刷されるリスクを回避することができる。
20:00を過ぎると、印刷ジョブデータ501で指定された時間帯をすべて経過しているため、この印刷ジョブデータ501は削除され、それ以後、印刷される危険はなくなる。
【0070】
(プリンタの動作)
図11は、本実施形態において、プリンタ3(図6)での処理を示すフローチャートである。
省電力運転している待機状態のプリンタ3は、表示部37でヒートアップ待機の表示を行っている(S401)。そして、認証情報制御手段322は、認証用カードが入力されたか否か判定する(S402)。ユーザが認証情報読取手段36に認証カードを挿入すれるまで待って(No)、認証カード4が挿入されると(Yes)、処理はS403に進む。そして、認証情報制御手段322は、認証情報読取手段36から認証カード4のユーザ認証情報を読み取る(S403)。さらに、プリンタID読出手段323は、メモリ33のプリンタID記憶部331から自己のプリンタIDを読み出すと共に、認証情報制御手段322は、ユーザ認証情報にプリンタIDを付与して「印刷ジョブデータ送信要求」を作成する(S404)。その後、認証情報制御手段322は、「印刷ジョブデータ送信要求」を回線インタフェース部31を介して印刷情報処理装置6に送信する(S405)。
そして、印刷情報処理装置6は、印刷ジョブデータ501を通信回線2を介して要求元プリンタに送信する(図10BのS308)。
【0071】
図11(b)のルーチンは回線インタフェース部31(図6)が印刷情報処理装置6(図3)からデータを受信すると起動する。
印刷データ生成手段321は、通信回線2から回線インタフェース部31を介して受信した受信データが印刷ジョブデータか否か判定する(S406)。印刷ジョブデータであれば(Yes)、印刷データ生成手段321は、受信した印刷ジョブデータ501を印刷機構である印刷画像生成部35で印刷可能な形式に変換して印刷媒体に印刷する(S407)。そして処理が終了する。なお、S406で印刷ジョブデータでないと判定されたら(No)、このルーチンの処理は終了して、他の処理が実行される。
【0072】
(第1の実施形態の効果)
以上のように、第1の実施形態によれば、各認証印刷ジョブに対して、印刷時間帯ごとに印刷可能なプリンタグループを指定できるので、その日のスケジュールに合わせて印刷可能なプリンタグループを切り替えることができる。これにより、仮に認証カードを紛失したとしても、その時間帯に指定したプリンタグループに属するプリンタ3以外では認証印刷が行えなくなる。したがって、認証カード4を拾得した第三者によって不正に印刷されてしまうリスクを少なくできる。
【0073】
(第2の実施形態)
本発明の第2の実施形態の印刷システムの全体構成(図1)ユーザ端末1の構成(図2)、印刷情報処理装置6の構成(図3)、及びプリンタ3の構成(図6)は、第1の実施形態のものと同様である。
しかしながら、印刷ジョブデータ601の構成が第1の実施形態と異なる。
例えば、図12(a)は、第2の実施形態でユーザ端末1から印刷情報処理装置6に送られる印刷ジョブデータ601の構成図であり、図12(b)は、第2の実施形態で印刷情報処理装置6に格納される印刷ジョブデータ700の構成図である。
また、プリンタグループの登録表は、図7Aに示す表と同じであり、プリンタグループの構成は図7Bに示す構成例と同じであり、プリンタ3から印刷情報処理装置6に送られる印刷ジョブデータ送信要求のデータ構成例は図5と同じである。
【0074】
(動作の説明)
まず、図13Aに示す第2の実施形態のシーケンス図に添って全体の動きを説明する。
ユーザ端末1は、印刷ジョブデータ601を印刷情報処理装置6に送信する(S610)。
この印刷ジョブデータ601は、認証番号「152363」というユーザ認証情報として、印刷可能プリンタグループとして、Group-4に対する120分の有効期間の印刷許可、及びGroup-5に対する10分の有効期間の印刷許可、さらにテキストデータ2と画像データ2とを含む構成となっている。この印刷ジョブデータ601を受信すると、印刷情報処理装置6はこれを不揮発性記憶部(ジョブ格納部)65に印刷ジョブデータ700として蓄積する(S621)。このときの受信時刻を2009/5/18 15:50とする。
【0075】
次に、2009/5/18 15:50-16:00の時間帯での動きをケースごとに分けて説明する。
プリンタIDがP−103のプリンタ3BがA氏の認証カードを用いて認証し、印刷ジョブデータ送信要求を印刷情報処理装置6に送る場合を考える(S631)。この場合、プリンタIDがP−103のプリンタ3Bは有効期限つきで印刷が許可されているプリンタグループGroup-4にもGroup-5にも含まれていない。したがって、印刷情報処理装置6は、この要求を拒絶する。
また、プリンタIDがP−001のプリンタ3Dが、A氏の認証カードでない認証番号123456の認証カードを用いて認証し、印刷ジョブデータ送信要求を印刷情報処理装置6に送る場合を考える(S632)。この場合、ユーザ認証情報が異なっているので、印刷情報処理装置6は、この要求を拒絶する。
【0076】
次に、プリンタIDがP−006のプリンタ3EがA氏の認証カードを用いて認証し、印刷ジョブデータ送信要求を印刷情報処理装置6に送る場合を考える(S633)。
この場合は、ユーザ認証情報が152363であり、印刷ジョブデータ601の認証情報と一致し、さらに、プリンタIDがP−006のプリンタ3Eは2009/5/18 16:00まで有効期限10分間内で印刷可能なプリンタグループであるGroup-5に含まれている。このため、印刷情報処理装置6は印刷可能と判断し、印刷ジョブデータ601を要求元プリンタであるプリンタ3Eに送信し(S634)、印刷が完了すると不揮発性記憶部(ジョブ格納部)65(図3)に格納されている印刷ジョブデータ700を削除する(S635)。
【0077】
次に、プリンタIDがP−001のプリンタ3DがA氏の認証カードを用いて認証し、印刷ジョブデータ送信要求を印刷情報処理装置6に送信する場合を考える(S636)。
この場合は、ユーザ認証情報が152363で印刷ジョブデータ700の認証情報と一致し、さらに、プリンタIDがP−001のプリンタ3Dは2009/5/18 17:50まで有効期限120分間内で印刷可能なプリンタグループであるGroup-4に含まれている。そのため、印刷情報処理装置6は印刷可能と判断し、印刷ジョブデータ700を要求元プリンタであるプリンタ3Dに送信し(S637)、印刷が完了すると不揮発性記憶部(ジョブ格納部)65に格納されている印刷ジョブデータ700を削除する(S638)。
【0078】
次に、図13Bを参照して、2009/5/18 16:00−17:50の時間帯での動きをケースごとに分けて説明する。
プリンタIDがP−103のプリンタ3BがA氏の認証カード4を用いて認証し、印刷ジョブデータ送信要求を印刷情報処理装置6に送信する場合を考える(S641)。この場合は、プリンタIDがP−103のプリンタ3Bは2009/5/18 17:50までの有効期限120分付きで印刷が許可されているプリンタグループGroup-4に含まれていない。したがって、印刷情報処理装置6は、この要求を拒絶する。
【0079】
プリンタIDがP−006のプリンタ3Eから、A氏の認証カードを用いて認証し、印刷ジョブデータ送信要求を印刷情報処理装置6に送信する場合を考える(S642)。この場合は、プリンタIDがP−006のプリンタ3Eは2009/5/18 17:50までの有効期限120分付きで印刷が許可されているプリンタグループGroup-4に含まれていない。したがって、印刷情報処理装置6は、この要求を拒絶する。
【0080】
次に、プリンタIDがP−001のプリンタ3DがA氏の認証カードを用いて認証し、印刷ジョブデータ送信要求を印刷情報処理装置6に送信する場合を考える(S643)。この場合は、ユーザ認証情報が152363で印刷ジョブデータ700の認証情報と一致し、さらに、プリンタIDがP−001のプリンタ3Dは2009/5/18 17:50まで有効期限120分間内で印刷可能なプリンタグループであるGroup-4に含まれているため、印刷情報処理装置6は印刷可能と判断し、印刷ジョブデータ700を要求元プリンタであるプリンタ3Dに送信し(S644)、印刷が完了すると不揮発性記憶部(ジョブ格納部)65に格納されている印刷ジョブデータ601を削除する(S645)。
【0081】
次に、2009/5/18 17:50以降の時間帯での動きを説明する。
この時間帯では、印刷ジョブデータ700で印刷可能なプリンタグループの有効期限はすべて完了している。そのため、印刷情報処理装置6がこれを検知すると、不揮発性記憶部(ジョブ格納部)65に印刷ジョブデータ700が格納されている場合には、印刷ジョブデータ601を削除する(S651)。
【0082】
(ユーザ端末の動作)
次に、印刷システム100の各要素の動作について説明する。
図14は、本実施形態において、ユーザ端末1の処理を示すフローチャートである。
文書作成ソフト等のアプリケーションプログラム117の印刷操作により、プリンタドライバ112としての本ルーチンが起動する。
印刷ジョブデータ生成手段114は、選択された認証印刷を設定する(S1101)。
次に、認証用情報設定手段116は、ユーザ認証データ602としての認証番号が入力されたら(S1102)、入力された認証番号を不揮発性記憶部15に格納する。さらに、印刷装置条件設定手段115は、印刷ジョブデータ601に付与する印刷装置条件603としてプリンタグループとそのプリンタグループごとの有効時間とが入力されたら(S1103)、入力された印刷装置条件603を不揮発性記憶部15に格納する。
【0083】
さらに、印刷ジョブデータ生成手段114は、予め作成し不揮発性記憶部15に記憶してあった印刷すべきテキストデータとしてテキストデータ2(604)及び印刷すべき画像データとしての画像データ2(605)を含む印刷データを読み出して、上記のユーザ認証情報602及び印刷装置条件603を添付して印刷ジョブデータ601を生成する(S1104)。
そして、データ送受信手段113は、この印刷ジョブデータ601を回線インタフェース部14を介して印刷情報処理装置6に送信して(S1105)、処理を終了する。なお、この印刷ジョブデータ601の構成は、先に図12(a)で示したとおりである。
【0084】
(印刷情報処理装置の動作)
図15A、図15B、及び図15Cは、本実施形態において、印刷情報処理装置6の処理を示すフローチャートである。
図15Aのルーチンは回線インタフェース部64がユーザ端末1(図2)からの要求を受信すると割込により起動し、図15Bのルーチンは回線インタフェース部64が印刷情報処理装置6(図3)からの要求を受信すると割込により起動し、図15Cは一定時間毎の割込により起動する。
図15Aのルーチンが起動すると、管理側受信手段613は、ユーザ端末1からの要求が印刷ジョブデータ601の受信要求であるか否かを判定する(S1201)。受信要求であれば(Yes)、受信開始時刻を取得する(S1202)。そして、印刷ジョブ取得手段614は、印刷ジョブデータ601の受信を行い、受信した印刷ジョブデータ601に受信開始時刻701を付帯して、印刷ジョブデータ700としてジョブ格納部(不揮発性記憶部)65に格納し(S1203)、処理を終了する。この格納された印刷ジョブデータ700の構成は、先に図12(b)で示したとおりである。なお、S1201で印刷ジョブデータ601の受信要求ではないと判定されても(No)、処理を終了し、CPU61は他の処理を実行する。
【0085】
図15Bは、本実施形態において印刷情報処理装置6が印刷ジョブデータをプリンタ3に送信する処理のフローチャートである。
このルーチンが割込により起動すると、送信要求受信手段615は、プリンタ3からの要求が印刷ジョブデータ700の送信要求であるか否かを判定する(S1301)。印刷ジョブデータ700の送信要求であれば(Yes)、送信先特定手段617は、送信要求に付与されたプリンタIDから要求元プリンタを特定する(S1302)。そして、判断手段618は、印刷ジョブデータ送信要求に含まれるユーザ認証情報と一致する印刷ジョブデータ700を検索し(S1303)、該当する印刷ジョブデータがあるか否かを判定する(S1304)。
【0086】
ジョブ格納部(不揮発性記憶部)65に該当する印刷ジョブデータ700があった場合は(Yes)、判断手段618は、現在時刻を取得して受信時刻からの経過時間を計算する(S1305)。そして、判断手段618は、該当する印刷ジョブデータ700の印刷装置条件603に、現時刻で有効期限が残っていて印刷可能なプリンタグループがあるか否かを判定する(S1306)。有効期限が残っているプリンタグループがある場合は、判断手段618は、要求元プリンタがそのプリンタグループに含まれているかどうかをプリンタIDから判定する(S1307)。要求元プリンタが印刷可能なプリンタグループに含まれている場合は(Yes)、管理側送信手段616は、判断結果にしたがって特定された要求元プリンタに該当印刷ジョブデータ700を送信する(S1308)。
【0087】
印刷ジョブデータ700が送信され、印刷が終了したとき、管理側送信手段616は、ジョブ格納部(不揮発性記憶部)65に記憶されている該当印刷ジョブデータ700を削除して処理を終了する(S1309)。
また、S1301でプリンタ3からの要求が印刷ジョブデータ700の送信要求でなかった場合、S1304で該当する印刷ジョブデータ700がなかった場合、S1306で現時刻に有効期限が残っているプリンタグループがなかった場合、さらに、S1307で要求元プリンタが許可されたプリンタグループに含まれていない場合はいずれも処理を終了する。
【0088】
図15Cは、印刷情報処理装置6がタイムアウトした印刷ジョブデータを記憶手段から削除する処理のフローチャートである。クロック63(図3)による定期的なタイマ割込により、図15Cのルーチンが起動する。
削除手段619は、タイムアウトを判定する所定の検討時刻になったか否かを判定する(S1351)。所定の検討時刻になったときに(Yes)、削除手段619は、他に蓄積された印刷ジョブデータ700がまだあるか否かを判断する(S1352)。そして、タイムアウトを判定していない印刷ジョブデータ700があるときは(Yes)、削除手段619は、そのうちの1件を取得し(S1353)、現時刻がこの取得した印刷ジョブデータ700に記載されたすべての有効期限を、すでに経過済みか否かを判定する(S1354)。すでに経過済みの場合は(Yes)、削除手段619は、ジョブデータ700を削除する(S1355)。そして、S1352に再び戻ってタイムアウトを判定していない印刷ジョブデータ700がなくなるまで繰り返す。
この一連の操作により、ジョブ格納部(不揮発性記憶部)65に記憶蓄積されたすべての印刷ジョブデータについてタイムアウトの判定が確認し終えたら、次の検討時刻まで待って同様の処理を繰り返す。
【0089】
(プリンタの動作)
プリンタの動作は、第1の実施形態とほぼ同様であるので、説明を省略する。
【0090】
以上に述べた本印刷システムの一連の動作を、図12に示す印刷ジョブデータ601,700の図表と、図13A及び図13Bのシーケンス図に対応させてさらに詳しく述べる。
A氏は、明日の新規事業計画のアジェンダを簡単に確認するため、他部門のB氏と会議室Jで打ち合わせを行った。A氏は、会議が終わり、議事録を印刷してB氏に渡すため、会議室JのプリンタであるGroup-5を指定して印刷を行うことにした。会議室Jは、16:00まで予約されているものの、10分後の16:00からは他の部門によって使用される予定になっている。そのため、A氏は、Group-5に対して印刷有効期限10分間に限定した認証印刷指定を行った。その結果、印刷情報処理装置6がユーザ端末1から印刷ジョブデータ601を15:50に受信した。
ここで、A氏が認証カード4を紛失した場合、他の人がそれを拾得して、その認証カード4を使って認証印刷を行っても、会議室Jを他の人が利用し始めた時点では、すでに10分の印刷有効期限が過ぎてしまっているため、会議室Jで印刷されるリスクはない。
【0091】
また、会議室Jでの印刷が時間内にできなかったり、不調であった場合、A氏はA氏の部門の自分の席に戻ってから空き時間を見つけて印刷し、後ほどB氏のところに持参することができるように、印刷可能なプリンタグループとして自部門のプリンタを意味するGroupe-4を指定するとともに120分の有効期限を指定した。
これにより、A氏は、自分の目が届かないプリンタで認証印刷が行われるリスクを回避しつつ、有効期限である120分の間に、いつでも自分の席付近で印刷できるので、他の業務との作業の優先順を考えながら自由にスケジューリングすることができ、利便性良く運用することができる。
【0092】
(効果)
以上のように第2の実施形態によれば、各認証印刷のジョブに対して指定した印刷可能なプリンタグループに関して有効時間を設定したため、有効時間後は、認証カード4を拾得した第三者によって不正に印刷が行われるリスクをなくすことができる。また、有効時間長を増減させることによって、長くして利便性を向上したり、短くしてリスクを減らしたりすることができる。
【0093】
(変形例)
以上本発明を、実施形態に添って説明したが、本発明は、この実施形態に限られるものではなく、種々の変形が可能である。
例えば、本発明の第1の実施形態では、時間帯を重複させない例を示したが、各プリンタグループに許容する時間帯を重複させてもよい。これにより、2地点移動の場合に移動時間が前後しても印刷できなくなるというリスクを避けることができ、利便性が向上する。
また、第2の実施形態では、印刷ジョブデータの受信開始時刻を印刷情報処理装置側で取得して記憶し、プリンタ3から印刷ジョブデータ送信要求を受けた時刻と比較して有効期間か否かを判定する方法を採用したが、時刻として取り扱わず、受信時点からの経過時間として取り扱ってもよい。
さらに、第1の実施形態での時間帯の設定の際に、曜日による指定を行うようにしてもよい。これにより、例えば、月曜から金曜までの午前中は、プリンタグループ1(Group-1)を指定して、午後はプリンタグループ4(Group-4)を指定し、土曜日は終日プリンタグループ4(Group-4)を指定して、現在遂行中の業務のファイルをいつでも印刷して取り出せるようにするなど利便性の向上を図ることができる。
【0094】
以上の説明では、第1の実施形態、第2の実施形態とも、認証印刷の場合で説明したが、通常印刷に適用することも可能である。例えば、寒い朝一番に印刷すると希望する画質が得られない場合など、ジョブの印刷時刻を、早朝は禁止し、空調が効きだして温湿度が一定の条件を充たす環境になると予想される時間帯になったとき印刷可能になるように設定するなどの利用方法も考えられる。
また販売店などで、客が来店している時間帯での印刷を、客のための関連印刷を優先させるために控えて、客が帰られた後の時間帯で印刷を許可するといった利用方法も考えられる。
【符号の説明】
【0095】
1,1A,1B ユーザ端末
2 通信回線
3,3A,3B プリンタ
4 認証カード
6 印刷情報処理装置(サーバ)
11,32,61 CPU(制御部)
12,33,62 メモリ(記憶部)
13,34,63 クロック
14,31,64 回線インタフェース部
15,65 不揮発性記憶部(HDD)
16,66 入出力表示部
17,38,67 入出力インタフェース
18,68 操作手段
35 印刷画像生成部(印刷機構)
36 認証情報読取手段
37 表示部
39 操作部
100 印刷システム
112 プリンタドライバ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
1乃至複数のユーザ端末と複数の印刷装置とが通信可能に接続されている印刷情報処理装置のコンピュータに実行させる印刷情報処理プログラムであって、
利用可能な印刷装置及び印刷装置グループの何れか一方の装置情報と、これらの印刷装置及び印刷装置グループの何れか一方が利用可能な時間帯を表す時間帯情報とが認証情報として含まれる印刷ジョブデータを何れかの前記ユーザ端末から取得して記憶部に格納するジョブ取得ステップと、
何れかの前記印刷装置から送信される印刷ジョブ送信要求を通信部を介して受信する送信要求受信ステップと、
前記印刷ジョブ送信要求を送信した送信先印刷装置を特定する送信先特定ステップと、
前記装置情報が示す装置と前記送信先印刷装置とが一致すると共に、現時刻が前記時間帯情報に含まれているときに、前記送信先特定ステップで特定された前記送信先印刷装置で印刷すべき前記印刷ジョブデータが前記記憶部に格納されているか否か判断する判断ステップと、
前記判断ステップによって印刷すべき前記印刷ジョブデータが前記記憶部に格納されていると判断されたとき、この印刷すべき前記印刷ジョブデータを前記通信部を介して前記特定された送信先印刷装置に送信する送信制御ステップと
を前記コンピュータに実行させることを特徴とする印刷情報処理プログラム。
【請求項2】
前記認証情報は、ユーザ認証情報を含み、
前記判断ステップは、前記印刷ジョブ送信要求に含まれる前記ユーザ認証情報と、前記記憶部に格納されている前記印刷ジョブデータのユーザ認証情報とが一致しているきに、印刷すべき前記印刷ジョブデータが前記記憶部に格納されていると判断する
ことを特徴とする請求項1に記載の印刷情報処理プログラム。
【請求項3】
前記送信制御ステップは、前記判断ステップによって印刷すべき前記印刷ジョブデータが格納されていないと判断されたとき、前記印刷すべき前記印刷ジョブデータがない旨の情報を前記通信部を介して前記送信することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の印刷情報処理プログラム。
【請求項4】
前記時間帯は、有効期間で規定することを特徴とする請求項1乃至請求項3の何れか一項に記載の印刷情報処理プログラム。
【請求項5】
1乃至複数のユーザ端末と複数の印刷装置とが通信可能に接続されている印刷情報処理装置であって、
利用可能な印刷装置及び印刷装置グループの何れか一方の装置情報と、これらの印刷装置及び印刷装置グループ毎の何れか一方が利用可能な時間帯を表す時間帯情報とが認証情報として含まれる印刷ジョブデータを前記ユーザ端末から受信すると共に、何れかの前記印刷装置から印刷ジョブ送信要求を受信する管理側受信部と、
前記管理側受信部により受信された前記認証情報を含む前記印刷ジョブデータを格納する記憶部と、
前記管理側受信部によって前記印刷装置からの前記印刷ジョブ送信要求を受信すると、前記印刷ジョブ送信要求を送信した送信先印刷装置を特定すると共に、前記装置情報が示す装置と前記送信先印刷装置とが一致し、現時刻が前記時間帯情報に含まれているときに、前記特定された前記送信先印刷装置で印刷すべき前記印刷ジョブデータが前記記憶部に格納されているか否か判断する管理側判断部と、
前記管理側判断部により印刷すべき前記印刷ジョブデータが前記記憶部に格納されていると判断された場合に、前記印刷すべき印刷ジョブデータを前記特定された送信先印刷装置に送信する管理側送信部とを備えることを特徴とする印刷情報処理装置。
【請求項6】
ユーザ端末と、装置識別情報を有する複数の印刷装置と、前記ユーザ端末及び前記複数の印刷装置に通信可能に接続されている印刷情報処理装置とを含む印刷システムであって、
前記ユーザ端末は、
印刷すべき印刷ジョブデータを生成する印刷ジョブデータ生成手段と、
前記印刷ジョブデータを印刷すべき前記印刷装置及び印刷装置グループの何れか一方と、その利用可能な時間帯を表す印刷装置認証条件を操作入力部を介して入力する印刷装置認証条件入力手段と、
前記印刷装置認証条件入力手段により入力された前記印刷装置認証条件と前記印刷ジョブデータを利用可能なユーザのユーザ認証用情報との双方を認証情報として前記印刷ジョブデータに付加する認証情報設定手段と、
前記認証情報を含む前記印刷データを前記印刷情報管理装置に送信する端末側送信部と、を備え、
前記印刷情報処理装置は、
前記ユーザ端末から前記認証情報を含む前記印刷ジョブデータを受信すると共に前記印刷装置から印刷ジョブ送信要求を受信する管理側受信部と、
受信された前記認証情報を含む前記印刷ジョブデータを記憶する記憶部と、
前記印刷ジョブ送信要求を送信した送信先印刷装置を特定する送信先特定部と、
受信した前記印刷ジョブ送信要求に基づいて、前記記憶部に格納されている前記印刷ジョブデータと前記印刷装置の印刷装置認証条件とを判定する管理側判断部と、
前記印刷ジョブ送信要求に基づいて、判定された印刷ジョブデータを前記送信先特定部で特定された前記送信先印刷装置に送信する管理側送信部とを備え、
前記印刷装置は、
前記装置識別情報及び装置を利用するユーザのユーザ認証情報を含む前記印刷ジョブ送信要求を前記印刷情報処理装置へ送信する印刷側送信部と、
前記印刷情報処理装置から前記印刷ジョブデータを受信する印刷側受信部と、
受信された印刷ジョブデータを記録媒体に印刷する印刷部とを備える
ことを特徴とする印刷システム。
【請求項7】
アプリケーションプログラムが生成した印刷ジョブデータを情報管理装置を介して複数の印刷装置の何れかに印刷させるユーザ端末のコンピュータに実行させるプリンタドライバプログラムであって、
前記印刷ジョブデータを印刷すべき前記印刷装置及び印刷装置グループの何れか一方と、その利用可能な時間帯を表す印刷装置認証条件の入力操作を誘導させる画面を表示部に表示させると共に、その条件を操作入力部を介して入力する印刷装置認証条件入力ステップと、
前記印刷装置認証条件入力ステップにより入力された前記印刷装置認証条件と前記印刷ジョブデータを利用可能なユーザのユーザ認証情報との双方を前記印刷ジョブデータに付加する認証情報設定ステップと、
前記印刷装置認証条件及び前記ユーザ認証情報が付加された前記印刷ジョブデータを前記情報管理装置に送信する端末側送信ステップと
を前記コンピュータに実行させることを特徴とするプリンタドライバプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7A】
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【図7B】
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【図8A】
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【図8B】
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【図9】
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【図10A】
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【図10B】
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【図10C】
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【図11】
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【図12】
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【図13A】
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【図13B】
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【図14】
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【図15A】
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【図15B】
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【図15C】
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【公開番号】特開2013−12104(P2013−12104A)
【公開日】平成25年1月17日(2013.1.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−145148(P2011−145148)
【出願日】平成23年6月30日(2011.6.30)
【出願人】(591044164)株式会社沖データ (2,444)
【Fターム(参考)】