説明

印刷方法および印刷物

【課題】平滑な表面を形成し、光沢感、平滑感、および透明感のある印刷画像が得られる印刷方法および印刷物を提供する。
【解決手段】被記録媒体表面に放射線硬化型インクをインクジェット装置により吐出する液滴吐出工程と、前記被記録媒体表面に吐出された前記放射線硬化型インクに放射線を照射し、重合を開始させる第1硬化工程と、前記第1硬化工程の後、前記被記録媒体表面に吐出された前記放射線硬化型インクを加熱する加熱工程と、を含む印刷方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、印刷方法および印刷物に関する。
【背景技術】
【0002】
被記録媒体への印刷装置として、近年、インクジェットプリンターが多く使われている。インクジェット方式の印刷方法は、静粛性、経済性に優れ、更に高画質印刷にも対応することができ、印刷物への応用範囲は拡大している。このインクジェット方式の印刷方法に耐水性、耐溶剤性、耐光性、および耐擦過性に優れるインク組成物として、紫外線硬化型インクジェット用インク組成物が使用されるようになってきた。しかし、紫外線硬化型インクジェット用インク組成物は被記録媒体表面上に吐出されると半球状もしくは半球状に近い形で硬化し、その集合体としての印刷画像が形成される。従って、微細な凹凸を有する印刷表面になり光沢感、透明感の現象となって、高い印刷画質が得にくいものであった。
【0003】
これに対して特許文献1では、インクジェットプリンターによって形成された印刷画像層の上にオーバープリント層を形成し、オーバープリント層の表面を平坦化することで、光沢のある画像や装飾的着色を可能とすることが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2010−195002号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、上述の特許文献1では、印刷画像を形成するインクと、透明もしくは半透明のオーバープリントを形成するインクは、異なるインクを用い、尚且つ、両インクの屈折率の差が小さければ光沢感が得られるとしている。しかし、印刷画像の表面には凹凸は残っており、オーバープリントを通して視認できる印刷画像は光沢感が低下した状態で視認されるものであった。従って、特許文献1であっても平滑な面を有し、光沢感のある印刷画像を得ることが困難であるという課題があった。
【0006】
そこで、紫外線を含む放射線硬化型インクを用いてインクジェット法によって印刷される印刷画像であっても、平滑な表面を形成し、光沢感、平滑感、および透明感のある印刷画像が得られる印刷方法および印刷物を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、少なくとも上述の課題の一つを解決するように、下記の形態または適用例として実現され得る。
【0008】
〔適用例1〕本適用例の印刷方法は、被記録媒体表面に放射線硬化型インクをインクジェット装置により吐出する液滴吐出工程と、前記被記録媒体表面に吐出された前記放射線硬化型インクに放射線を照射し、重合を開始させる第1硬化工程と、前記第1硬化工程の後、前記被記録媒体表面に吐出された前記放射線硬化型インクを加熱する加熱工程と、を含み、前記加熱工程における加熱温度が、前記放射線硬化型インクのガラス転移温度以上、前記被記録媒体のガラス転移温度以下であることを特徴とする。
【0009】
本適用例の印刷方法によれば、液滴吐出工程を複数回繰り返して、印刷膜厚の厚い印刷部を形成する場合に、液滴吐出工程を1回実施する毎に第1硬化工程によって印刷部を仮硬化させる。これによって、印刷部外縁、すなわち印刷の輪郭部では、繰り返しの第1硬化工程における放射線を受けて硬度が増される。硬度が増された印刷部外縁は、加熱工程による印刷部の軟化に対して、軟化しづらい部位となるので、印刷部外縁を鮮明に印刷することができる。また、加熱工程によって被記録媒体の変形が抑制されながら印刷部にインク組成物は軟化し、液滴吐出工程において吐出された粒状の液滴による凹凸のある印刷部用面が平坦化され、つや、透明感の高い印刷部を得ることができる。このように、鮮明な印刷部外縁を有しながら、つや、透明感の高い、鮮明に印刷された画像を得ることができる。
【0010】
〔適用例2〕上述の適用例において、前記加熱工程の後、前記被記録媒体表面に吐出された前記放射線硬化型インクの重合をさらに進行させる第2硬化工程を含むことを特徴とする。
【0011】
上述の適用例によれば、第2硬化工程によって適用例1で得られる印刷部のインクの重合を、重合が進行しなくなるまでの処理が実行され、印刷されたインクの硬度を高め、安定した印刷部を得ることができる。
【0012】
〔適用例3〕上述の適用例において、前記第2硬化工程は、前記被記録媒体表面に吐出された前記放射線硬化型インクを加熱することを特徴とする。
【0013】
上述の適用例によれば、第2硬化工程を加熱処理によって行うことで、前工程の加熱工程に連続して同じ装置を用いて行うことができる。従って、印刷装置の簡略化、工程の合理化、コストダウンが可能となる。
【0014】
〔適用例4〕上述の適用例において、前記放射線が紫外線である、ことを特徴とする。
【0015】
上述の適用例によれば、放射線の発生手段を紫外線照射手段とすることで、装置が簡略になり、人体(作業者)に対する安全も高く、取扱性も良い印刷方法を実現できる。
【0016】
〔適用例5〕上述の適用例において、前記放射線硬化型インクは、下記一般式(I):
CH2=CR1−COOR2−O−CH=CH−R3 ・・・(I)
(式中、R1は水素原子又はメチル基であり、R2は炭素数2〜20の2価の有機残基であり、R3は水素原子又は炭素数1〜11の1価の有機残基である。)
で表されるモノマーAと、アシルフォスフィン系光重合開始剤及びチオキサントン系光重合開始剤を含有する光重合開始剤と、を含むインク組成物であって、前記モノマーAの含有量は、前記インク組成物の総質量に対し、10〜50質量%であり、前記アシルフォスフィン系光重合開始剤及び前記チオキサントン系光重合開始剤の合計の含有量は、前記インク組成物の総質量に対し、9〜14質量%である、放射線硬化型インク組成物であることを特徴とする。
【0017】
上述の適用例によれば、印刷部は放射線、特に紫外線、によって良好な硬化品質を得ることができる。また、簡単な装置によって、液滴吐出から僅かな経過時間で印刷部を硬化させることができる。このことにより、外形の鮮明な印刷物を得ることができる。
【0018】
〔適用例6〕本適用例の印刷物は、上述の印刷方法によって得られる。
【0019】
上述の適用例によれば、外形部は形状が鮮明に形成され、印刷外平面はつやのある透明感の優れた印刷部を有する印刷物を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本実施形態に係る印刷方法を示すフローチャート。
【図2】本実施形態に係る印刷方法に用いるインクジェット記録ヘッドの構成図。
【図3】本実施形態に係る印刷方法を示す部分断面図。
【図4】その他の実施形態に係る印刷方法を示すフローチャート。
【図5】本実施形態に係る印刷方法によって得られる印刷物の部分断面の拡大模式図。
【図6】実施例による印刷部表面粗さを示すグラフ図。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、図面を参照して、本発明に係る実施形態を説明する。
【0022】
(実施形態)
図1は、本実施形態に係る印刷方法を示すフローチャートである。図1に基づき本実施形態に係る印刷方法を説明する前に、本実施形態に係る印刷方法はインクを硬化させる放射線として紫外線を用い、紫外線によって硬化するインク組成物として、以下に紫外線硬化型インクジェット用インク組成物について説明する。
【0023】
[紫外線硬化型インクジェット用インク組成物]
本発明の一実施形態は、紫外線硬化型インクジェット用インク組成物に係る。当該紫外線硬化型インクジェット用インク組成物は、下記一般式(I)で表されるモノマーAと、アシルフォスフィン系光重合開始剤及びチオキサントン系光重合開始剤を含有する光重合開始剤と、を含む紫外線硬化型インクジェット用インク組成物であって、前記モノマーAの含有量は、該インク組成物の総質量に対し、10〜50質量%であり、前記アシルフォスフィン系光重合開始剤及び前記チオキサントン系光重合開始剤の合計の含有量は、該インク組成物の総質量に対し、9〜14質量%である、紫外線硬化型インクジェット用インク組成物である。
【0024】
CH2=CR1−COOR2−O−CH=CH−R3 ・・・(I)
(式中、R1は水素原子又はメチル基であり、R2は炭素数2〜20の2価の有機残基であり、R3は水素原子又は炭素数1〜11の1価の有機残基である。)
【0025】
以下、本実施形態の紫外線硬化型インクジェット用インク組成物(以下、単に「インク組成物」ともいう。)に含まれるか、又は含まれ得る添加剤(成分)を説明する。
【0026】
〔重合性化合物〕
本実施形態のインク組成物に含まれる重合性化合物は、後述する光重合開始剤の作用により紫外線照射時に重合し、印刷されたインクを硬化させることができる。
【0027】
(モノマーA)
本実施形態において必須の重合性化合物であるモノマーAは、ビニルエーテル基含有(メタ)アクリル酸エステル類であり、上記一般式(I)で示され、インク組成物がモノマーAを含有することにより、インクの硬化性を良好なものとすることができる。
【0028】
上記の一般式(I)において、R2で表される炭素数2〜20の2価の有機残基としては、炭素数2〜20の直鎖状、分枝状又は環状のアルキレン基、構造中にエーテル結合及び/又はエステル結合による酸素原子を有する炭素数2〜20のアルキレン基、炭素数6〜11の置換されていてもよい2価の芳香族基が好適である。これらの中でも、エチレン基、n−プロピレン基、イソプロピレン基、及びブチレン基などの炭素数2〜6のアルキレン基、オキシエチレン基、オキシn−プロピレン基、オキシイソプロピレン基、及びオキシブチレン基などの構造中にエーテル結合による酸素原子を有する炭素数2〜9のアルキレン基が好適に用いられる。
【0029】
上記の一般式(I)において、R3で表される炭素数1〜11の1価の有機残基としては、炭素数1〜10の直鎖状、分枝状又は環状のアルキル基、炭素数6〜11の置換されていてもよい芳香族基が好適である。これらの中でも、メチル基又はエチル基である炭素数1〜2のアルキル基、フェニル基及びベンジル基などの炭素数6〜8の芳香族基が好適に用いられる。
【0030】
上記の有機残基が置換されていてもよい基である場合、その置換基は、炭素原子を含む基及び炭素原子を含まない基に分けられる。まず、上記置換基が炭素原子を含む基である場合、当該炭素原子は有機残基の炭素数にカウントされる。炭素原子を含む基として、以下に限定されないが、例えばカルボキシル基、アルコキシ基等が挙げられる。次に、炭素原子を含まない基として、以下に限定されないが、例えば水酸基、ハロ基が挙げられる。
【0031】
上記のモノマーAとしては、以下に限定されないが、例えば、(メタ)アクリル酸2−ビニロキシエチル、(メタ)アクリル酸3−ビニロキシプロピル、(メタ)アクリル酸1−メチル−2−ビニロキシエチル、(メタ)アクリル酸2−ビニロキシプロピル、(メタ)アクリル酸4−ビニロキシブチル、(メタ)アクリル酸1−メチル−3−ビニロキシプロピル、(メタ)アクリル酸1−ビニロキシメチルプロピル、(メタ)アクリル酸2−メチル−3−ビニロキシプロピル、(メタ)アクリル酸1,1−ジメチル−2−ビニロキシエチル、(メタ)アクリル酸3−ビニロキシブチル、(メタ)アクリル酸1−メチル−2−ビニロキシプロピル、(メタ)アクリル酸2−ビニロキシブチル、(メタ)アクリル酸4−ビニロキシシクロヘキシル、(メタ)アクリル酸6−ビニロキシヘキシル、(メタ)アクリル酸4−ビニロキシメチルシクロヘキシルメチル、(メタ)アクリル酸3−ビニロキシメチルシクロヘキシルメチル、(メタ)アクリル酸2−ビニロキシメチルシクロヘキシルメチル、(メタ)アクリル酸p−ビニロキシメチルフェニルメチル、(メタ)アクリル酸m−ビニロキシメチルフェニルメチル、(メタ)アクリル酸o−ビニロキシメチルフェニルメチル、(メタ)アクリル酸2−(ビニロキシエトキシ)エチル、(メタ)アクリル酸2−(ビニロキシイソプロポキシ)エチル、(メタ)アクリル酸2−(ビニロキシエトキシ)プロピル、(メタ)アクリル酸2−(ビニロキシエトキシ)イソプロピル、(メタ)アクリル酸2−(ビニロキシイソプロポキシ)プロピル、(メタ)アクリル酸2−(ビニロキシイソプロポキシ)イソプロピル、(メタ)アクリル酸2−(ビニロキシエトキシエトキシ)エチル、(メタ)アクリル酸2−(ビニロキシエトキシイソプロポキシ)エチル、(メタ)アクリル酸2−(ビニロキシイソプロポキシエトキシ)エチル、(メタ)アクリル酸2−(ビニロキシイソプロポキシイソプロポキシ)エチル、(メタ)アクリル酸2−(ビニロキシエトキシエトキシ)プロピル、(メタ)アクリル酸2−(ビニロキシエトキシイソプロポキシ)プロピル、(メタ)アクリル酸2−(ビニロキシイソプロポキシエトキシ)プロピル、(メタ)アクリル酸2−(ビニロキシイソプロポキシイソプロポキシ)プロピル、(メタ)アクリル酸2−(ビニロキシエトキシエトキシ)イソプロピル、(メタ)アクリル酸2−(ビニロキシエトキシイソプロポキシ)イソプロピル、(メタ)アクリル酸2−(ビニロキシイソプロポキシエトキシ)イソプロピル、(メタ)アクリル酸2−(ビニロキシイソプロポキシイソプロポキシ)イソプロピル、(メタ)アクリル酸2−(ビニロキシエトキシエトキシエトキシ)エチル、(メタ)アクリル酸2−(ビニロキシエトキシエトキシエトキシエトキシ)エチル、(メタ)アクリル酸2−(イソプロペノキシエトキシ)エチル、(メタ)アクリル酸2−(イソプロペノキシエトキシエトキシ)エチル、(メタ)アクリル酸2−(イソプロペノキシエトキシエトキシエトキシ)エチル、(メタ)アクリル酸2−(イソプロペノキシエトキシエトキシエトキシエトキシ)エチル、(メタ)アクリル酸ポリエチレングリコールモノビニルエーテル、及び(メタ)アクリル酸ポリプロピレングリコールモノビニルエーテルが挙げられる。
【0032】
これらの中でも、低粘度で、引火点が高く、かつ、硬化性に優れるため、(メタ)アクリル酸2−(ビニロキシエトキシ)エチル、すなわち、アクリル酸2−(ビニロキシエトキシ)エチル及びメタクリル酸2−(ビニロキシエトキシ)エチルのうち少なくともいずれかが好ましく、アクリル酸2−(ビニロキシエトキシ)エチルがより好ましい。(メタ)アクリル酸2−(ビニロキシエトキシ)エチルとしては、(メタ)アクリル酸2−(2−ビニロキシエトキシ)エチル及び(メタ)アクリル酸2−(1−ビニロキシエトキシ)エチルが挙げられ、アクリル酸2−(ビニロキシエトキシ)エチルとしては、アクリル酸2−(2−ビニロキシエトキシ)エチル(以下「VEEA」ともいう。)及びアクリル酸2−(1−ビニロキシエトキシ)エチルが挙げられる。
【0033】
モノマーAの含有量は、インク組成物の総質量(100質量%)に対し、10〜50質量%の範囲であることが好ましい。含有量が上記範囲内であると、インクの硬化性及び吐出安定性に優れる。
モノマーAの製造方法としては、以下に限定されないが、(メタ)アクリル酸と水酸基含有ビニルエーテルとをエステル化する方法(製法B)、(メタ)アクリル酸ハロゲン化物と水酸基含有ビニルエーテルとをエステル化する方法(製法C)、(メタ)アクリル酸無水物と水酸基含有ビニルエーテルとをエステル化する方法(製法D)、(メタ)アクリル酸エステルと水酸基含有ビニルエーテルとをエステル交換する方法(製法E)、(メタ)アクリル酸とハロゲン含有ビニルエーテルとをエステル化する方法(製法F)、(メタ)アクリル酸アルカリ(土類)金属塩とハロゲン含有ビニルエーテルとをエステル化する方法(製法G)、水酸基含有(メタ)アクリル酸エステルとカルボン酸ビニルとをビニル交換する方法(製法H)、水酸基含有(メタ)アクリル酸エステルとアルキルビニルエーテルとをエーテル交換する方法(製法I)が挙げられる。
【0034】
これらの中でも、本実施形態に所望の効果を一層発揮することができるため、製法Eが好ましい。
【0035】
(モノマーA以外の重合性化合物)
また、上記のビニルエーテル基含有(メタ)アクリル酸エステル(モノマーA)以外に、従来公知の、単官能、2官能、及び3官能以上の多官能といった種々のモノマー及びオリゴマーも使用可能である(以下、「その他の重合性化合物」という。)。上記モノマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、イソクロトン酸及びマレイン酸等の不飽和カルボン酸やそれらの塩又はエステル、ウレタン、アミド及びその無水物、アクリロニトリル、スチレン、種々の不飽和ポリエステル、不飽和ポリエーテル、不飽和ポリアミド、並びに不飽和ウレタンが挙げられる。また、上記オリゴマーとしては、例えば、直鎖アクリルオリゴマー等の上記のモノマーから形成されるオリゴマー、エポキシ(メタ)アクリレート、オキセタン(メタ)アクリレート、脂肪族ウレタン(メタ)アクリレート、芳香族ウレタン(メタ)アクリレート及びポリエステル(メタ)アクリレートが挙げられる。
【0036】
また、他の単官能モノマーや多官能モノマーとして、N−ビニル化合物を含んでいてもよい。N−ビニル化合物としては、N−ビニルフォルムアミド、N−ビニルカルバゾール、N−ビニルアセトアミド、N−ビニルピロリドン、N−ビニルカプロラクタム、及びアクリロイルモルホリン、並びにそれらの誘導体などが挙げられる。
【0037】
その他の重合性化合物のうち、(メタ)アクリル酸のエステル、即ち(メタ)アクリレートが好ましい。
【0038】
上記(メタ)アクリレートのうち、単官能(メタ)アクリレートとしては、例えば、イソアミル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、イソミリスチル(メタ)アクリレート、イソステアリル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル−ジグリコール(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、ブトキシエチル(メタ)アクリレート、エトキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシプロピレングリコール(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピル(メタ)アクリレート、ラクトン変性可とう性(メタ)アクリレート、t−ブチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、及びジシクロペンテニルオキシエチル(メタ)アクリレートが挙げられる。
【0039】
上記(メタ)アクリレートのうち、2官能(メタ)アクリレートとしては、例えば、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニルジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,9−ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ジメチロール−トリシクロデカンジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAのEO(エチレンオキサイド)付加物ジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAのPO(プロピレンオキサイド)付加物ジ(メタ)アクリレート、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ポリテトラメチレングリコールジ(メタ)アクリレート、及び1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレートとアミン化合物とを反応させて得られるアクリル化アミン化合物が挙げられる。なお、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレートとアミン化合物とを反応させて得られるアクリル化アミン化合物の市販品としては、EBECRYL 7100(アミノ基2個及びアクリロイル基2個の含有化合物、サイテック社(Cytech, Inc.)製商品名)等が挙げられる。
【0040】
上記(メタ)アクリレートのうち、3官能以上の多官能(メタ)アクリレートとしては、例えば、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、EO変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、イソシアヌル酸EO変性トリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、グリセリンプロポキシトリ(メタ)アクリレート、カウプロラクトン変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールエトキシテトラ(メタ)アクリレート、及びカプロラクタム変性ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレートが挙げられる。
【0041】
また、これらの中でも、その他の重合性化合物は単官能(メタ)アクリレートを含むことが好ましい。この場合、インク組成物が低粘度となり、光重合開始剤その他の添加剤の溶解性に優れ、かつ、インクジェット記録時の吐出安定性が得られやすい。さらにインク塗膜の強靭性、耐熱性、及び耐薬品性が増すため、単官能(メタ)アクリレートと2官能(メタ)アクリレートとを併用することがより好ましい。
【0042】
さらに、上記単官能(メタ)アクリレートは、芳香環骨格、飽和脂環骨格、及び不飽和脂環骨格からなる群より選択される1種以上の骨格を有することが好ましい。上記その他の重合性化合物が上記骨格を有する単官能(メタ)アクリレートであることにより、インク組成物の粘度を低下させることができる。
【0043】
芳香環骨格を有する単官能(メタ)アクリレートとして、例えば、フェノキシエチル(メタ)アクリレート及び2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピル(メタ)アクリレートが挙げられる。また、飽和脂環骨格を有する単官能(メタ)アクリレートとして、例えば、イソボルニル(メタ)アクリレート、t−ブチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート及びジシクロペンタニル(メタ)アクリレートが挙げられる。また、不飽和脂環骨格を有する単官能(メタ)アクリレートとして、例えば、ジシクロペンテニルオキシエチル(メタ)アクリレートが挙げられる。
【0044】
これらの中でも、粘度及び臭気を低下させることができるため、フェノキシエチル(メタ)アクリレートが好ましい。
【0045】
モノマーA以外の重合性化合物の含有量は、インク組成物の総質量(100質量%)に対し、好ましくは10〜35質量%である。含有量が上記範囲内であると、添加剤の溶解性に優れ、かつ、インク塗膜の強靭性、耐熱性、及び耐薬品性に優れる。
【0046】
上記の重合性化合物は、1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0047】
〔光重合開始剤〕
本実施形態のインク組成物に含まれる光重合開始剤は、紫外線の照射による光重合によって、被記録媒体の表面に存在するインクを硬化させて印字を形成するために用いられる。放射線の中でも紫外線(UV)を用いることにより、安全性に優れ、且つ光源ランプのコストを抑えることができる。
【0048】
上記の光重合開始剤は、上記のとおり、アシルフォスフィン系光重合開始剤及びチオキサントン系光重合開始剤を含有する。これにより、インクの硬化性を優れたものとできることに加え、インクジェット記録後初期の硬化膜の着色を防止することもできる。
これに加えて、アシルフォスフィン系光重合開始剤及びチオキサントン系光重合開始剤の合計の含有量は、上記のとおり、インク組成物の総質量(100質量%)に対し、9〜14質量%であり、好ましくは10〜13質量%であり、より好ましくは11〜13質量%である。これらのインク中における総含有量が上記範囲内である場合、インクの硬化性及び吐出安定性に極めて優れる。特に、含有量が9質量%以上であると、粘度が比較的高くなり、画像の汚れの原因であるミストの増加を防止できるため、インクの吐出安定性に優れる。
【0049】
(アシルフォスフィン系光重合開始剤)
本実施形態における光重合開始剤は、アシルフォスフィン系光重合開始剤、すなわちアシルフォスフィンオキサイド系光重合開始剤(以下、単に「アシルフォスフィンオキサイド」ともいう。)を含む。これにより、特にインクの硬化性に優れ、かつ、インクジェット記録後初期の硬化膜の着色、及びインクジェット記録後から時間が経過しての硬化膜の着色を防止できる(硬化膜の初期着色度が小さくなる。)。
【0050】
このアシルフォスフィンオキサイドとして、特に限定されないが、例えば、2、4,6−トリメチルベンゾイル−ジフェニルフォスフィンオキサイド、2,4,6−トリエチルベンゾイル−ジフェニルフォスフィンオキサイド、2,4,6−トリフェニルベンゾイル−ジフェニルフォスフィンオキサイド、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルフォスフィンオキサイド、及びビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチルペンチルフォスフィンオキサイドが挙げられる。
【0051】
アシルフォスフィンオキサイド系光重合開始剤の市販品としては、例えば、DAROCUR TPO(2,4,6−トリメチルベンゾイル−ジフェニルフォスフィンオキサイド)、IRGACURE 819(ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルフォスフィンオキサイド)、及びCGI 403(ビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチルペンチルフォスフィンオキサイド)が挙げられる。
【0052】
また、上記のアシルフォスフィンオキサイドは、モノアシルフォスフィンオキサイドを含むことが好ましい。これにより、光重合開始剤が十分に溶解して硬化が十分に進行するとともに、インクの硬化性に優れる。
【0053】
このモノアシルフォスフィンオキサイドとして、特に限定されないが、例えば、2,4,6−トリメチルベンゾイル−ジフェニルフォスフィンオキサイド、2,4,6−トリエチルベンゾイル−ジフェニルフォスフィンオキサイド、2,4,6−トリフェニルベンゾイル−ジフェニルフォスフィンオキサイドが挙げられる。これらの中でも、2,4,6−トリメチルベンゾイル−ジフェニルフォスフィンオキサイドであることが好ましい。
【0054】
モノアシルフォスフィンオキサイドの市販品としては、例えば、DAROCUR TPO(2,4,6−トリメチルベンゾイル−ジフェニルフォスフィンオキサイド)が挙げられる。
【0055】
本実施形態における光重合開始剤は、重合性化合物への溶解性及びインク塗膜の内部硬化性に優れ、且つ初期着色度が小さくなるため、モノアシルフォスフィンオキサイドであるか、又は、モノアシルフォスフィンオキサイドとビスアシルフォスフィンオキサイドとの混合物であることが好ましい。
なお、上記のビスアシルフォスフィンオキサイドとして、特に限定されないが、例えば、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルフォスフィンオキサイド、ビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチルペンチルフォスフィンオキサイドが挙げられる。これらの中でも、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルフォスフィンオキサイドであることが好ましい。
【0056】
アシルフォスフィンオキサイドの含有量は、インク組成物の総質量(100質量%)に対し、8〜11質量%の範囲が好ましく、10〜11質量%の範囲がより好ましい。含有量が上記範囲内であると、インクの硬化性に優れ、かつ、硬化膜の初期着色度が小さい。
【0057】
(チオキサントン系光重合開始剤)
本実施形態における光重合開始剤は、チオキサントン系光重合開始剤(以下、単に「チオキサントン」ともいう。)を含む。これにより、インクの硬化性に優れ、かつ、特に硬化膜の初期着色度が小さくなる。
【0058】
チオキサントンの中でも、アシルフォスフィンオキサイドへの増感効果、重合性化合物に対する溶解性、及び安全性に優れるため、2,4−ジエチルチオキサントンが好ましい。
【0059】
チオキサントンの市販品としては、例えば、KAYACURE DETX−S(2,4−ジエチルチオキサントン)(日本化薬社(Nippon Kayaku Co., Ltd.)製商品名)ITX(BASF社製)、Quantacure CTX(Aceto Chemical社製)が挙げられる。
【0060】
チオキサントンの含有量は、インク組成物の総質量(100質量%)に対し、1〜3質量%の範囲が好ましく、2〜3質量%の範囲がより好ましい。含有量が上記範囲内であると、インクの硬化性に優れ、かつ、硬化膜の初期着色度が小さくなる。
【0061】
〔色材〕
本実施形態のインク組成物は、色材をさらに含んでもよい。色材は、顔料及び染料のうち少なくとも一方を用いることができる。
【0062】
(顔料)
本実施形態において、色材として顔料を用いることにより、インク組成物の耐光性を向上させることができる。顔料は、無機顔料及び有機顔料のいずれも使用することができる。
【0063】
無機顔料としては、ファーネスブラック、ランプブラック、アセチレンブラック、チャネルブラック等のカーボンブラック(C.I.ピグメントブラック 7)類、酸化鉄、酸化チタンを使用することができる。
【0064】
有機顔料としては、不溶性アゾ顔料、縮合アゾ顔料、アゾレーキ、キレートアゾ顔料等のアゾ顔料、フタロシアニン顔料、ペリレン及びペリノン顔料、アントラキノン顔料、キナクリドン顔料、ジオキサン顔料、チオインジゴ顔料、イソインドリノン顔料、キノフタロン顔料等の多環式顔料、染料キレート(例えば、塩基性染料型キレート、酸性染料型キレート等)、染色レーキ(塩基性染料型レーキ、酸性染料型レーキ)、ニトロ顔料、ニトロソ顔料、アニリンブラック、昼光蛍光顔料が挙げられる。
【0065】
更に詳しくは、ブラックインクとして使用されるカーボンブラックとしては、No.2300、No.900、MCF88、No.33、No.40、No.45、No.52、MA7、MA8、MA100、No.2200B等(以上、三菱化学社(Mitsubishi Chemical Corporation)製商品名)、Raven 5750、Raven 5250、Raven 5000、Raven 3500、Raven 1255、Raven 700等(以上、コロンビアカーボン(Carbon Columbia)社製商品名)、Rega1 400R、Rega1 330R、Rega1 660R、Mogul L、Monarch 700、Monarch 800、Monarch 880、Monarch 900、Monarch 1000、Monarch 1100、Monarch 1300、Monarch 1400等(キャボット社(CABOT JAPAN K.K.)製商品名)、Color Black FW1、Color Black FW2、Color Black FW2V、Color Black FW18、Color Black FW200、Color B1ack S150、Color Black S160、Color Black S170、Printex 35、Printex U、Printex V、Printex 140U、Special Black 6、Special Black 5、Special Black 4A、Special Black 4等(以上、デグッサ(Degussa)社製商品名)が挙げられる。
【0066】
ホワイトインクに使用される顔料としては、C.I.ピグメント ホワイト 6、18、21が挙げられる。また、ホワイト顔料として使用可能な金属原子含有化合物も用いることができ、例えば、従来から白色顔料として用いられている金属酸化物、硫酸バリウムや炭酸カルシウムが挙げられる。上記の金属酸化物としては、特に制限されないが、例えば、二酸化チタン、酸化亜鉛、シリカ、アルミナ、酸化マグネシウム等が挙げられる。
【0067】
イエローインクに使用される顔料としては、C.I.ピグメント イエロー 1,2,3,4,5,6,7,10,11,12,13,14,16,17,24,34,35,37,53,55,65,73,74,75,81,83,93,94,95,97,98,99,108,109,110,113,114,117,120,124,128,129,133,138,139,147,151,153,154,167,172,180が挙げられる。
【0068】
マゼンタインクに使用される顔料としては、C.I.ピグメント レッド 1,2,3,4,5,6,7,8,9,10,11,12,14,15,16,17,18,19,21,22,23,30,31,32,37,38,40,41,42,48(Ca),48(Mn),57(Ca),57:1,88,112,114,122,123,144,146,149,150,166,168,170,171,175,176,177,178,179,184,185,187,202,209,219,224,245,又はC.I.ピグメント ヴァイオレット 19,23,32,33,36,38,43,50が挙げられる。
【0069】
シアンインクに使用される顔料としては、C.I.ピグメント ブルー 1,2,3,15,15:1,15:2,15:3,15:34,15:4,16,18,22,25,60,65,66,又はC.I.バット ブルー 4,60が挙げられる。
【0070】
また、マゼンタ、シアン及びイエロー以外の顔料としては、例えば、C.I.ピグメント グリーン 7,10,又はC.I.ピグメント ブラウン 3,5,25,26,又はC.I.ピグメント オレンジ 1,2,5,7,13,14,15,16,24,34,36,38,40,43,63が挙げられる。
【0071】
上記顔料は1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0072】
上記の顔料を使用する場合、その平均粒子径は2μm以下が好ましく、30〜300nmがより好ましい。平均粒子径が上記の範囲内にあると、インク組成物における吐出安定性や分散安定性などの信頼性に一層優れるとともに、優れた画質の画像を形成することができる。ここで、本明細書における平均粒子径は、動的光散乱法により測定される。
【0073】
(染料)
本実施形態において、色材として染料を用いることができる。染料としては、特に限定されることなく、酸性染料、直接染料、反応性染料、及び塩基性染料が使用可能である。前記染料として、例えば、C.I.アシッドイエロー 17,23,42,44,79,142、C.I.アシッドレッド 52,80,82,249,254,289、C.I.アシッドブルー 9,45,249、C.I.アシッドブラック 1,2,24,94、C.I.フードブラック 1,2、C.I.ダイレクトイエロー 1,12,24,33,50,55,58,86,132,142,144,173、C.I.ダイレクトレッド 1,4,9,80,81,225,227、C.I.ダイレクトブルー 1,2,15,71,86,87,98,165,199,202、C.I.ダイレクドブラック 19,38,51,71,154,168,171,195、C.I.リアクティブレッド 14,32,55,79,249、C.I.リアクティブブラック 3,4,35が挙げられる。
【0074】
上記染料は1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0075】
色材の含有量は、良好な発色性を有し、色材自身の光吸収によるインク塗膜の硬化阻害を低減できるため、インク組成物の総質量(100質量%)に対して、CMYKの場合1.5〜6質量%の範囲が好ましく、Wの場合15〜30質量%の範囲が好ましい。
【0076】
〔分散剤〕
本実施形態のインク組成物が顔料を含む場合、顔料分散性をより良好なものとするため、分散剤をさらに含んでもよい。分散剤として、特に限定されないが、例えば、高分子分散剤などの顔料分散液を調製するのに慣用されている分散剤が挙げられる。その具体例として、ポリオキシアルキレンポリアルキレンポリアミン、ビニル系ポリマー及びコポリマー、アクリル系ポリマー及びコポリマー、ポリエステル、ポリアミド、ポリイミド、ポリウレタン、アミン系ポリマー、含珪素ポリマー、含硫黄ポリマー、含フッ素ポリマー、及びエポキシ樹脂のうち一種以上を主成分とするものが挙げられる。
高分子分散剤の市販品として、味の素ファインテクノ社製のアジスパーシリーズ(商品名)、ルーブリゾール社(Lubrizol Corporation)から入手可能なソルスパーズシリーズ(Solsperse 36000等、商品名)、BYKChemie社製のディスパービックシリーズ(商品名)、楠本化成社製のディスパロンシリーズ(商品名)が挙げられる。
【0077】
〔レベリング剤〕
本実施形態のインク組成物は、印刷基材への濡れ性が良好となるため、レベリング剤(界面活性剤)をさらに含んでもよい。レベリング剤としては、特に限定されないが、例えば、シリコーン系界面活性剤として、ポリエステル変性シリコーンやポリエーテル変性シリコーンを用いることができ、ポリエーテル変性ポリジメチルシロキサン又はポリエステル変性ポリジメチルシロキサンを用いることが特に好ましい。具体例としては、BYK−347、BYK−348、BYK−UV3500、3510、3530、3570(ビックケミー・ジャパン社(BYK Japan KK)製商品名)を挙げることができる。
【0078】
〔重合禁止剤〕
本実施形態のインク組成物は、インク組成物の保存安定性を良好なものとするため、重合禁止剤をさらに含んでもよい。重合禁止剤としては、特に限定されないが、例えば、IRGASTAB UV10及びUV22(BASF社製商品名)、ハイドロキノンモノメチルエーテル(MEHQ、関東化学社(KANTO CHEMICAL CO., INC)製商品名)を用いることができる。
【0079】
〔その他の添加剤〕
本実施形態のインク組成物は、上記に挙げた添加剤以外の添加剤(成分)を含んでもよい。このような成分としては、特に制限されないが、例えば従来公知の、重合促進剤、浸透促進剤、及び湿潤剤(保湿剤)、並びにその他の添加剤があり得る。上記のその他の添加剤として、例えば従来公知の、定着剤、防黴剤、防腐剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、キレート剤、pH調整剤、及び増粘剤が挙げられる。
【0080】
[印刷方法]
上述のインク組成物を用いて、以下の方法により印刷される。
(液滴吐出工程)
まず、液滴吐出工程(S1)が実行される。液滴吐出工程(S1)は、図2(a)に示すように、図示しないインクジェット記録装置に備える記録ヘッド100のキャリッジ10に装着された液滴吐出ヘッド11(以下、吐出ヘッド11という)から、上述のインク組成物である紫外線硬化型インクジェット用インクL(以下、UVインクLという)が液滴となって被記録媒体200の被印刷面200a表面に吐出される。吐出されたUVインクLによって、図3(a)に示すように、第1回目の所定の印刷記録p1が形成される。この際、キャリッジ10は図示する矢印RL,RR方向に移動しながら、所定の位置に吐出ヘッド11が到達したときにUVインクLが吐出される。また、被記録媒体200は送り手段300によってキャリッジ10の移動方向RL,RRにほぼ直交する方向に移動させることができる。
【0081】
図3(a)に示す、第1回目の印刷記録p1は、液滴としてUVインクLが被記録媒体200の被印刷面200a上に吐出され、液滴形状、いわゆる球形状の液滴LSに被印刷面200aに着弾し、形成される。着弾の後、後述する硬化方法としての紫外線照射を受ける間に、被印刷面200aに濡れてドーム状LS´変形し、図3(a)に示すような凸凹を残して第1回目の印刷記録p1が形成される。
【0082】
(第1硬化工程)
液滴吐出工程(S1)によって、被記録媒体200の被印刷面200aに第1回目の印刷記録p1が形成された後、第1硬化工程(S2)に移行する。第1硬化工程(S2)は、図2(b)に示すように、記録ヘッド100に備えるエネルギー線を照射する放射線照射手段21もしくは22から放射線Eを印刷記録p1に照射する。本実施形態においては、放射線Eは紫外線を例に説明する(放射線Eは、以後、紫外線Eという)。従って放射線照射手段21,22からは紫外線が照射される(放射線照射手段21,22は、以後、紫外線照射手段21,22という)。
【0083】
図2(a)に示す液滴吐出工程(S1)の例示では、キャリッジ10はRR方向に移動しながら吐出ヘッド11よりUVインクLが吐出され、第1回目の印刷記録p1が形成されている。このRR方向に移動させながら、相対的に紫外線照射手段21に対向する位置に印刷記録Pが移動されて紫外線Eが照射される。例えば、RL方向にキャリッジ10が移動しながら印刷記録Pが形成される場合には、相対的に紫外線照射手段22に対向する位置に印刷記録Pが移動されて紫外線Eが照射される。
【0084】
照射される紫外線Eの強さは、第1回目の印刷記録p1が完全に硬化しない、いわゆる仮硬化状態となるように調整される。具体的には、紫外線Eによって進行させられる重合が80〜90%程度となるように調整され、上述のインク組成物の構成であれば、UVLEDによるUV照射によって、1回当たりの照射量を400mJ/cm2として、3回に分けて照射し、1200mJ/cm2の紫外線照射を行う。なお、紫外線照射量は、これに限定されず、インク組成物の組成構成、吐出厚さ(吐出インク量)、などにより適宜、決定される。
【0085】
上述のように、液滴吐出工程(S1)に引き続いて第1硬化工程(S2)が実行されることが好ましい。例えば、液滴吐出工程(S1)から第1硬化工程(S2)までの移行時間としては0.1〜5.0秒とすることが好ましく、0.5〜1.0秒とすることがより好ましい。5秒を超えると、インク組成物の一部が沈降し被記録媒体200との密着性の低下、外観の低下を招き、0.1秒より短くなると吐出された液滴が被記録媒体200に拡がる前に固着されて粒状インクが形成され、密着性、外観を低下させてしまう。
【0086】
なお、本実施形態に係る印刷方法における第1硬化工程(S2)では、紫外線照射による硬化を説明したが、これに限定されない。インク組成物に含まれる重合開始剤に応じて、可視光、あるいはX線、γ線などの放射線、電磁波などのエネルギー線であっても良い。紫外線は、装置が簡単になり、人体に対する安全性も高く、取扱性が良い、などから好適に用いられる。
【0087】
(液滴吐出工程回数判定工程)
第1硬化工程(S2)が実行されると、液滴吐出工程回数判定工程(S3)に移行する。本実施形態において、印刷記録Pを所定の厚さで形成するために、液滴吐出工程(S1)および第1硬化工程(S2)が繰り返される。繰り返しの回数は、印刷記録Pの厚さによって決定することができ、言い換えると、液滴吐出工程(S1)の1回の実行によって得られる印刷記録厚さを積算させることで印刷記録Pの所定厚さを得ることができる。よって、液滴吐出工程(S1)の繰り返し回数が所定回数に達したかどうかを、液滴吐出工程回数判定工程(S3)で判定する。なお、印刷記録Pの厚さを直接測定する手段を用いる場合には、印刷記録厚さ測定し、所定厚みに達したかを判定する工程とすることもできる。
【0088】
液滴吐出工程回数判定工程(S3)において、所定回数に達していない(NO)、と判定された場合には、液滴吐出工程(S1)および第1硬化工程(S2)が繰り返される。なお、本実施形態における印刷方法では、液滴吐出工程(S1)および第1硬化工程(S2)が3回繰り返される例により説明する。1回目の繰り返しによって、図3(b)に示す第2回目の印刷記録p2が第1回目の印刷記録p1表面上に積層され、2回目の繰り返しによって、図3(c)に示す第3回目の印刷記録p3が第2回目の印刷記録p2表面上に積層される。
【0089】
(加熱工程)
例示する第3回目の印刷記録p3が形成され、液滴吐出工程回数判定工程(S3)は所定回数に達した(YES)、との判定がされた場合、次の加熱工程(S4)に移行する。加熱工程(S4)は、図3(c)に示す、少なくとも印刷記録p1,p2,p3が形成された印刷記録P´に熱を加える工程である。図3(c)に示すように、各回の印刷記録p1,p2,p3は、上述したように、液滴吐出工程(S1)および第1硬化工程(S2)によって得られる印刷記録状態は、表面は凸凹な状態の印刷記録P´を構成している。この状態では、表面の凸凹によって印刷記録P´表面で光が拡散され、艶、透明性などの外観が損なわれた状態になってしまう。
【0090】
そこで、加熱工程(S4)では、印刷記録P´を加熱し、印刷されたインク組成物を軟化させて、図3(c)に示す加熱工程(S4)前の印刷記録P´の表面粗さとなる凹凸の高低差であるαをなだらかにし、加熱工程(S4)後の印刷記録Pを示す図3(d)のように、印刷記録Pの凹凸の高低差βがαより小さくなる、いわゆる平坦化された印刷記録Pを得ることができる。
【0091】
加熱工程(S4)における加熱手段は、特に限定されず、例えば温風加熱炉内での加熱、ハロゲンランプによる赤外線加熱、温熱板上に載置し加熱する、などの手段から最適な手段を選択することができる。加熱温度は、印刷記録P´、すなわちインク組成物のTg(ガラス転移温度)以上とすることが好ましい。加熱温度をインク組成物のTg以上とすることにより、第1硬化工程(S2)によって仮硬化された印刷記録p1,p2,p3は軟化し、平坦化される。尚且つ、被記録媒体200のTgを超えないことが好ましい。被記録媒体200のTgを超えてしまうことによって、被記録媒体200にそり、うねりなどの変形が生じてしまい、印刷された製品が不良となってしまう。
【0092】
上述のインク組成物においては、Tgが60℃〜107℃のインク組成物が得られる。また被記録媒体200として用いられる、PET(ポリエチレンテレフタラート:Polyethylene terephthalate)の場合にはTgは68〜81℃、PC(ポリカーボネート:Polycarbonate)の場合にはTgは150℃が良く知られており、被記録媒体200にPCを用いた場合、加熱工程(S4)では、加熱温度を100℃以上150度未満と設定することができる。
加熱工程(S4)における所定温度の加熱時間は、印刷記録P´の平坦化の程度を確認し、決定すればよいが、0.5時間程度が好ましい。より長時間の加熱を行うと、重合が進行し、硬化が進んでしまうことによって、十分な印刷記録Pの平坦部を得られない場合もある。
【0093】
上述の通り加熱工程(S4)では、印刷記録P´(図3(c)参照)はインク組成物のTgを超える温度で加熱され、印刷記録P´は軟化される。しかし、2回目の液滴吐出工程(S1)および第1硬化工程(S2)によって得られた図3(b)に示す印刷記録p1,p2において、第1回目の印刷記録p1の外周、すなわち印刷画像の外縁部T1では、第1硬化工程(S2)における紫外線Eの照射を2回受けていることになる。すなわち、T1部分においては、1回だけ紫外線を照射された部位に比べて、より硬化が進んでいる状態にある。同様に、3回目の液滴吐出工程(S1)および第1硬化工程(S2)によって得られた図3(c)に示す印刷記録p1,p2,p3において、第1回目の印刷記録p1および2回目の印刷記録p2の外周、すなわち印刷画像の外縁部T1,T2においては、第1硬化工程(S2)における紫外線Eの照射をT1部においては3回、T2部においては2回受けていることになる。すなわち、T1,T2部分においては、1回だけ紫外線を照射された部位に比べて、より硬化が進んでいる状態にある。
【0094】
従って、加熱工程(S4)において、印刷記録P´、言い換えると印刷記録p1,p2,p3、が軟化しても、印刷画像外縁部となるT1,T2部では、重合が十分に進んだ、すなわち十分な硬さが得られた部位になっており、軟化されにくく、鮮明な印刷画像外縁(外形)を維持することが可能となる。加熱工程(S4)において印刷記録P´に十分な平坦面が得られたら、第2硬化工程(S5)に移行する。
【0095】
(第2硬化工程)
第2硬化工程(S5)は、第1硬化工程(S2)おいて80〜90%の重合進行とした仮硬化状態から、重合が進行しなくなるまで硬化処理を施す工程である。重合の進行の程度を判断する方法は、重合の進行に伴いインク組成物中のモノマーが減少することを利用する。重合が進行しなくなるまでの条件は、FT−IR(フーリエ変換型赤外分光法)を用いてモノマーのシグナルの強度又は面積が無くなる又は減少が止まるところを事前に見出しておく。第2硬化工程(S5)は、本実施形態では熱重合により、重合を進行させる方法を例示する。第2硬化工程(S5)における熱重合は、インク組成物のTg未満で加熱し、重合を進行させる。例えば、上述のPCを被記録媒体200とした場合の加熱工程(S4)の加熱温度から、第2硬化工程(S5)では加熱温度は100℃未満とし、加熱時間として2時間以上保持する。これにより、硬化した印刷記録Pを得ることができる。
【0096】
第2硬化工程(S5)を熱重合とする場合、加熱手段に限定は無く、例えば温風加熱炉内での加熱、ハロゲンランプによる赤外線加熱、温熱板上に載置し加熱する、などの手段から最適な手段を選択することができるが、長時間に及ぶ加熱であるので、安定した温度管理が可能な温風加熱炉を用いることが好ましく、上述した加熱工程(S4)における加熱装置を用いて加熱することにより、装置の簡略化、工程の合理化などが可能となるため、なお好ましい。また、紫外線照射により第2硬化工程(S5)を行ってもよく、熱重合と紫外線照射とを組み合わせて行っても良い。
【0097】
上述の印刷方法によって得られる印刷画像は、加熱工程(S4)において印刷記録P´が軟化され、その表面が平坦化されても、印刷画像外縁(外形)部では、第1硬化工程(S2)における紫外線照射を複数回受けることによって高い硬さが与えられ、加熱工程(S4)の加熱による軟化が起こりにくくなっている。従って、立体的な印刷画像を得るために印刷厚みを厚くしても、外形の鮮明な印刷画像を得ることができる。
【0098】
上述の実施形態に係る印刷方法は、液滴吐出工程(S1)および第1硬化工程(S2)を、所定の印刷厚みとなるまで繰り返し、所定厚みに形成された後に加熱工程(S4)を行うフローとしたが、図4に示すフローチャートによる印刷方法であっても良い。図4(a)は、1回毎の液滴吐出工程(S10)および第1硬化工程(S20)に対して、加熱工程(S30)を実行し、1回毎の印刷に対して平坦化する方法である。これによれば、なお平滑な平坦面を得ることができる。
【0099】
図4(b)は、より液滴吐出工程(S100)の回数が多い場合に好適に用いる印刷方法を示すフローチャートである。図4(b)に示すように、所定の回数の液滴吐出工程(S100)、第1硬化工程(S200)を実行し、加熱工程(S400)を実行して、第1サイクル目の印刷、平坦化を行う。次に加熱工程回数判定工程(S500)で何サイクル目の液滴吐出工程(S100)、第1硬化工程(S200)、加熱工程(S400)であるかを判定し、所定のサイクル数で無ければ(NO)、直前のサイクルで形成された印刷記録上に次のサイクルとして、所定の回数の液滴吐出工程(S100)、第1硬化工程(S200)を実行し、加熱工程(S400)を実行する。このサイクルを所定回数実行し、加熱工程回数判定工程(S500)で所定の実行サイクル、すなわち所定回数目の加熱工程(S400)と判定(YES)した場合、第2硬化工程(S600)に移行し、印刷を完了する方法である。これによれば、液滴吐出工程(S100)が多数回、すなわち印刷膜厚をより厚くする印刷であっても、平滑な外観面を有する印刷画像を得ることができる。
【0100】
図4(a),(b)に示すフローチャートの何れにおいても、第2硬化工程(S50およびS600)は、複数回に亘る所定の回数が実行される加熱工程(S30およびS400)の最後の回が実行された後に実行される。上述の図1に係るフローチャートであっても、加熱工程(S4)は1回の加熱工程(S4)を実行し、第2硬化工程(S5)に移行する。すなわち、加熱工程(S4)が1回の実行工程であっても最後の加熱工程(S4)であると言える。
【0101】
図5は、上述の実施形態に係る印刷方法によって得られた印刷物の拡大した断面の模式図である。図5に示すように、加熱工程(S4)によってインク組成物は軟化し、第1〜第3回目までの印刷記録p1,p2,p3の境界b1,b2は軟化によって不明瞭になり、ほぼ一体となった印刷記録Pとなっている。しかし、図3(c)に示す印刷画像外形T1,T2部分は第1硬化工程(S2)の繰り返しによって、硬化が進行し加熱工程(S4)においても軟化されにくく、その結果、T1,T2部の硬化の進行の程度によっては、第1〜第3回目までの液滴吐出工程(S1)による吐出液滴(インク)の境界B1,B2が形成される程度に硬化している。従って、印刷画像外形部Tには、にじみやボケのない明瞭な形状を形成させることができる。
【実施例】
【0102】
上述のインク組成物を用いて、以下の条件にて印刷物を得た。
1)液滴吐出回数:3回(被記録媒体:PC)
(吐出1回当たりの印刷膜厚=7μm、合計印刷膜厚=21μm)
2)第1硬化工程条件:UVLEDによる紫外線照射
照射強度=400mJ/cm2/1回×3回
=1200mJ/cm2
3)加熱工程条件:100℃×0.5時間
4)第2硬化工程条件:90℃×2.0時間
【0103】
上述の加熱工程を実施した印刷物と、実施しない印刷物と、を作成し、印刷物の印刷部の表面を表面粗さ測定器にて計測し、図6の結果を得た。図6(a)は加熱工程を実施せずに形成された印刷部の表面粗さを示し、図6(b)は加熱工程を実施した印刷部の表面粗さを示す。図6(a)に示す加熱工程を実施しない印刷部の表面粗さ、δaは9.9μm、図6(b)に示す加熱工程を実施した印刷部の表面粗さ、δbは0.93μm、であった。このように、加熱工程を実施することによって、印刷部の表面粗さは10分の1程度まで平坦化することができ、光沢、透明感の優れた印刷物を得ることができた。
【符号の説明】
【0104】
10…キャリッジ、21,22…紫外線照射手段、100…記録ヘッド、200…被記録媒体、300…送り手段。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被記録媒体表面に放射線硬化型インクをインクジェット装置により吐出する液滴吐出工程と、
前記被記録媒体表面に吐出された前記放射線硬化型インクに放射線を照射し、重合を開始させる第1硬化工程と、
前記第1硬化工程の後、前記被記録媒体表面に吐出された前記放射線硬化型インクを加熱する加熱工程と、を含み、
前記加熱工程における加熱温度が、前記放射線硬化型インクのガラス転移温度以上、前記被記録媒体のガラス転移温度以下であることを特徴とする印刷方法。
【請求項2】
前記加熱工程の後、前記被記録媒体表面に吐出された前記放射線硬化型インクの重合をさらに進行させる第2硬化工程を含む、
ことを特徴とする請求項1に記載の印刷方法。
【請求項3】
前記第2硬化工程は、前記被記録媒体表面に吐出された前記放射線硬化型インクを加熱する、
ことを特徴とする請求項2に記載の印刷方法。
【請求項4】
前記放射線が紫外線である、ことを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載の印刷方法。
【請求項5】
前記放射線硬化型インクは、下記一般式(I):
CH2=CR1−COOR2−O−CH=CH−R3 ・・・(I)
(式中、R1は水素原子又はメチル基であり、R2は炭素数2〜20の2価の有機残基であり、R3は水素原子又は炭素数1〜11の1価の有機残基である。)
で表されるモノマーAと、アシルフォスフィン系光重合開始剤及びチオキサントン系光重合開始剤を含有する光重合開始剤と、を含むインク組成物であって、
前記モノマーAの含有量は、前記インク組成物の総質量に対し、10〜50質量%であり、
前記アシルフォスフィン系光重合開始剤及び前記チオキサントン系光重合開始剤の合計の含有量は、前記インク組成物の総質量に対し、9〜14質量%である、放射線硬化型インク組成物である、
ことを特徴とする請求項1から4のいずれか一項に記載の印刷方法。
【請求項6】
請求項1から5のいずれか一項に記載の印刷方法によって得られる印刷物。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2013−10292(P2013−10292A)
【公開日】平成25年1月17日(2013.1.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−145366(P2011−145366)
【出願日】平成23年6月30日(2011.6.30)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】