説明

印刷機分割ロールと作動管理方法

【課題】印刷機分割ロールのファンテンロールから練りロールへとインキを転送する筒体の停止や異常作動によってもたらされる印刷不良を最小限に抑える。
【解決手段】印刷機分割ロールの周面を構成する複数個の筒体17をそれぞれ回転可能に支持する複数個の可動部材16を支持部材15に外嵌させ、その支持部材15の軸芯10に直交する方向20に可動部材16と共に筒体17を往復駆動する。支持部材15には、その複数個の可動部材16を個別に駆動する複数個のシリンダー21・22を設ける。複数個のシリンダー21・22に対応させて支持部材15に複数個の歪ゲージ30を貼付し、歪ゲージ30から発信される電子信号の波形の周期(t)や振幅hの変化によって、ファンテンロール25と練りロール24の間を往復振動してインキを転送する複数個の筒体17の作動を個別に監視する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、印刷機のインキ壺側のロール(以下、ファンテンロールと言う。)と版面側のロール(以下、練りロールと言う。)の間で往復振動し、ファンテンロールから練りロールへとインキを転送するインキ呼び出しロール(23)に関するものである。
【背景技術】
【0002】
インキ呼び出しロールとして、非円形断面の軸桿によって構成される支持部材15に外嵌しその軸芯10に直交する方向20に摺動可能に支持されて珠子繋ぎ状に多数支持部材15に配列された複数個の可動部材16がそれぞれ外嵌し、その可動部材15に支持部材の軸芯10の周りに回転可能に支持された複数個の筒体17の周面によってロール全体(23)の周面が構成されており、その支持部材の軸芯10に直交する方向20に各可動部材16を個々に駆動する複数個の駆動装置11が支持部材15に組み込まれており、その駆動装置11が、可動部材16の個数と同数のシリンダー21および同数の戻しバネと、その各シリンダー21に圧力を伝達する流通管18と、各シリンダー21への圧力の伝達を切り換える可動部材の数に応じた複数個の切換装置によって構成され、シリンダー21が、支持部材に設けた円筒形凹部19にピストン29を嵌め込んで構成されており、戻しバネが、シリンダー21の円筒形凹部19とは逆向きに支持部材15に設けられた円筒形凹部にタペットを介して、可動部材16をピストン29の作動方向とは逆向きに付勢するように構成された印刷機分割ロール23は公知である(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
この印刷機分割ロールにおいて、支持部材15を角形軸桿によって構成し、その支持部材15に流通管18を軸芯方向(10)に設け、支持部材15を流通管18に兼用すること、および、中実短円柱形部材の中心部に、支持部材15が接触して嵌合する角形断面の貫通孔と、切換装置の遊嵌する角形断面の貫通孔を、それらの間を仕切ることなく穿設して可動部材16を構成することは公知である(例えば、特許文献2参照)。
【0004】
本願発明者は、その印刷機分割ロールにおいて、3個の空気出入孔(ポート)を有し、ソレノイドによるオン・オフ操作によって一部の空気出入孔と他の一部の空気出入孔を択一的に開閉される3ポート電磁弁(3ポートソレノイドバルブとも言う。)を切換装置11に適用し、その一部の空気出入孔が開かれるときはピストン29が戻りバネに抗して可動部材16を駆動し、その他の一部の空気出入孔が開かれるときはピストン29が解放されて可動部材16が戻りバネによって押し戻されるようにすることを開示している(例えば、特許文献3参照)。
【0005】
本願発明者は、更に、戻りバネに代えてシリンダー22を使用し、1個の可動部材16に対して2個1組となる各組2個のシリンダー21・22を互いに逆向きとなる2面に分けて支持部材15に設け、5個の空気出入孔(ポート)を有し、ソレノイドによるオン・オフ操作によって一部の空気出入孔と他の一部の空気出入孔の開閉が択一的に切り換えられる5ポート電磁弁(5ポートソレノイドバルブとも言う。)を切換装置11に適用し、その2個1組となる各組2個のシリンダー21・22のピストン29・29を択一的に操して各可動部材16を支持部材上15で往復振動する印刷機分割ロールを公開している(例えば、特許文献3参照)。
【0006】
更に、本願発明者は、非円形断面の軸桿によって構成される支持部材15に外嵌し、その軸芯10に直交する方向20に摺動可能に支持されて珠子繋ぎ状に多数支持部材に配列された複数個の可動部材16にそれぞれ外嵌し、その支持部材の軸芯10の周りに回転可能に可動部材16に支持された複数個の筒体17の周面によってロール全体(23)の周面が構成されており、その支持部材の軸芯に直交する方向20に各可動部材16を個々に駆動する複数個の駆動装置が支持部材15に組み込まれており、その駆動装置が、可動部材の個数に応じた複数個のシリンダー21(22)と、その各シリンダー21(22)に圧力を伝達する流通管18と、各シリンダー21(22)への圧力の伝達を切り換える可動部材16の数に応じた複数個の切換装置11・12によって構成され、その複数個の切換装置11・12が、支持部材の断面の四方を縁取る支持部材15の正面と平面と背面と底面との4面の中の少なくとも2面に分かれて支持部材15に取り付けられており、それらのシリンダー21(22)が、支持部材15に設けた円筒形凹部19にピストン29を嵌め込んだ印刷機分割ロールを公開している(例えば、特許文献4参照)。
【0007】
ブリッジ回路における電気抵抗やインダクタンス、キャパシタンス等の電気的振幅や位相変化によって歪を検出する歪ゲージは、それを物体に貼付し、その物体に生じる歪を検出するために使用される(例えば、特許文献5、6、7、8参照)。
ブリッジ回路における電気的変化によらず、物体に貼付した光ファイバーを通る光の振幅、位相、偏光状態等の変化によって物体に生じる歪を検出する光ファイバー歪ゲージも知られている(例えば、特許文献9参照)。
【0008】
【特許文献1】特開昭60−38160号公報(第1図、第3図)
【特許文献2】特許第2866997号公報(特許請求の範囲、図3)
【特許文献3】特開平11−320840号公報(0004、0010、0013、0014、図3、および、図4)
【特許文献4】特開2005−178139号公報(特許請求の範囲)
【特許文献5】特開平07−218214号公報
【特許文献6】特開平11−014302号公報
【特許文献7】特開平11−118414号公報
【特許文献8】特開2004−340670号公報
【特許文献9】特開2007−212460号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
分割ロールにおいては、筒体17がファンテンロール25と練りロール24の間で切換装置11の指令通り作動しなかったり停止すると、インキの転送斑による印刷不良が生じる。その印刷不良は、印刷物が刷り上がった後の検査段階において分ることだが、その時点では印刷不良品が大量に発生してしまっており、印刷不良を最小限に抑えることは出来ない。
【0010】
筒体17の作動については、超音波センサーやフォトセンサー、近接センサーによって外部から監視する管理方法もあるが、印刷過程で発生するインキミストやインキスプラッシュ等に妨げられて正確に監視することは難しく、それらのセンサーによる管理は信頼性を欠く。例えば、2ピース缶の曲面印刷機においては、インキミストやインキスプラッシュの影響を受けてインカーのユニットが1日で汚れてしまう程で、仮令センサーをエアーパージ等で保護しても完全な汚れ対策にはならない。
【0011】
そこで鋭意研究するとき、筒体17が可動部材16やピストン29と共に往復振動する過程では、その可動部材16やピストン29に触れ合う支持部材(マニホールド21・22)15の接触部位に歪が発生する筈であり、その発生する歪の発生情況を監視することによって筒体17の作動を監視することが出来るとの知見を得た。
【0012】
そして、支持部材15の可動部材16やピストン29との接触部位では、その可動部材16や筒体17によって外部から隔離されており、インキミストやインキスプラッシュ等による汚れが発生することがなく、センサーの取付部位としては最適であるとの知見を得た。
【0013】
又、歪ゲージを使用して支持部材15の可動部材16やピストン29との接触部位の歪の発生情況を電子信号の波形として捉えるときは、その波形の変化によって、単に筒体17が停止したり大きく誤作動した場合だけではなく、筒体17の往復移動速度や筒体17から練りロール24やフアンテンロール25に作用する押圧力の僅かな変化も監視することが出来るとの知見を得た。
【0014】
本発明は、それらの知見を得て完成されたものであり、筒体17の停止や異常作動によってもたらされる印刷不良を最小限に抑えることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明の第1の特徴は、(イ) 複数個の可動部材16が非円形断面の軸桿によって構成される支持部材15の軸芯方向に沿って配列されており、(ロ) その配列された複数個の可動部材16がそれぞれ支持部材15に外嵌しており、(ハ) その外嵌した複数個の可動部材16が、支持部材15を介して珠子繋ぎ状に隣り合っており、(ニ) その隣り合う複数個の各可動部材16が支持部材15の軸芯10に直交する方向20に摺動可能に支持部材15に支持されており、(ホ) その隣り合う複数個の各可動部材16に筒体17が回転可能に支持されており、(ヘ) その複数個の各可動部材16に回転可能に支持された複数個の筒体17の各周面が隣り合ってロール全体(23)の周面が構成されており、(ト) その複数個の各可動部材16を個々に駆動する複数個の駆動装置が支持部材15に搭載されており、(チ) それら複数個の各駆動装置が、可動部材の個数に応じた複数個のシリンダー21(22)と、その各シリンダー21(22)に圧力を伝達する流通管18と、各シリンダー21(22)への圧力の伝達を切り換える可動部材16の数に応じた複数個の切換装置11・12によって構成されており、(リ) それらのシリンダー21(22)が、支持部材15に設けた円筒形凹部19にピストン29を嵌め込んで構成されている印刷機分割ロール23において、(ヌ) 複数個の各シリンダー21(22)に対応する支持部材15の各部位に歪ゲージ30が貼付されている点にある。
【0016】
本発明の第2の特徴は、上記第1の特徴に加えて、(ル) 歪ゲージ30が、支持部材15の断面の四方を縁取る平面41と底面42と正面43と背面44の中のピストン29が往復移動するシリンダー21(22)の中心線40に平行する支持部材15の平面41と底面42と正面43と背面44の何れかの面に貼付されている点にある。
【0017】
本発明の第3の特徴は、(イ) 複数個の可動部材16が非円形断面の軸桿によって構成される支持部材15の軸芯方向に沿って配列されており、(ロ) その配列された複数個の可動部材16がそれぞれ支持部材15に外嵌しており、(ハ) その外嵌した複数個の可動部材16が、支持部材15を介して珠子繋ぎ状に隣り合っており、(ニ) その隣り合う複数個の各可動部材16が支持部材15の軸芯10に直交する方向20に摺動可能に支持部材15に支持されており、(ホ) その隣り合う複数個の各可動部材16に筒体17が回転可能に支持されており、(ヘ) その複数個の各可動部材16に回転可能に支持された複数個の筒体17の各周面が隣り合ってロール全体(23)の周面が構成されており、(ト) その複数個の各可動部材16を個々に駆動する複数個の駆動装置が支持部材15に搭載されており、(チ) それら複数個の各駆動装置が、可動部材の個数に応じた複数個のシリンダー21(22)と、その各シリンダー21(22)に圧力を伝達する流通管18と、各シリンダー21(22)への圧力の伝達を切り換える可動部材16の数に応じた複数個の切換装置11・12によって構成されており、(リ) それらのシリンダー21(22)が、支持部材15に設けた円筒形凹部19にピストン29を嵌め込んで構成されている印刷機分割ロール23において、(ヌ) 複数個の各シリンダー21(22)に対応する支持部材15の各部位に歪ゲージ30が貼付し、(オ) その歪ゲージ30から発信される電子信号の波形の変化によって、複数個の各筒体17の作動を監視して分割ロールの作動を管理する方法にある。
【0018】
本発明の第4の特徴は、上記第3の特徴に加えて、(ワ) 歪ゲージ30から発信される電子信号の波形の周期(t)の変化によって、練りロール24とフアンテンロール25の間で往復振動する筒体17の往復移動速度を監視する点にある。
【0019】
本発明の第5の特徴は、上記第3の特徴に加えて、(カ) 歪ゲージ30から発信される電子信号の波形の振幅hの変化によって、練りロール24およびフアンテンロール25に筒体17から作用する押圧力を監視する点にある。
【発明の効果】
【0020】
本発明(第1と第3の特徴)によると、複数個の筒体17が可動部材16やピストン29と共に往復振動する過程では、その可動部材16やピストン29に触れ合う支持部材(マニホールド21・22)15の接触部位に発生する歪を、複数個の筒体17に対応した複数個の歪ゲージ30から発信される電子信号の波形の変化として複数個の筒体毎に個別に捉えることが出来、その電子信号の波形の変化によって複数個の筒体17の誤作動を個別に監視し、筒体17の誤作動による印刷不良を未然に防ぐことが出来る。
【0021】
本発明(第2の特徴)によると、歪ゲージ30が、支持部材15の断面の四方を縁取る平面41と底面42と正面43と背面44の中のピストン29が往復移動するシリンダー21(22)の中心線40に平行する支持部材15の平面41と底面42と正面43と背面44の何れかの面に貼付されているので、可動部材16やピストン29に触れ合って支持部材15に発生する歪を、隣り合う可動部材16やピストン29の作動に妨げられることなく、複数個の筒体毎に個別に規則的な電子信号の波形として検出することが出来、分割ロールの作動管理がしやすくなる。
【0022】
本発明(第4と第5の特徴)によると、歪ゲージ30から発信される電子信号の波形の周期(t)の変化によって練りロール24とフアンテンロール25との間で往復振動する筒体17の往復移動速度を監視し、又、歪ゲージ30から発信される電子信号の波形の振幅hの変化によって練りロール24およびフアンテンロール25に複数個の筒体17から作用する押圧力を個別に監視し、以て、筒体17が停止したり大きく誤作動したりした場合だけではなく、筒体17の往復移動速度や筒体17から練りロール24やフアンテンロール25に作用する押圧力の僅かな変化も複数個の筒体毎に個別に監視し、筒体17の誤作動による僅かな印刷不良もない高品質の印刷物を得ることが出来る。
【0023】
そして、本発明(第1〜第3の特徴)によると、支持部材15の可動部材16やピストン29との接触部位では、それらの可動部材16や筒体17によって外部から隔離されているので、その接触部位に貼付された歪ゲージ30がインキミストやインキスプラッシュ等によって汚れることはなく、インキミストやインキスプラッシュ等によって歪ゲージ30による監視精度が損なわれることはない。
【0024】
加えて、本発明(第1〜第3の特徴)によると、歪ゲージ30が支持部材15に貼付されて分割ロール23と一体になっているので、印刷ロールの交換やインキ切替時の印刷ロールの洗浄等の印刷機の維持管理が、歪ゲージ30によって妨げられることはない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
本発明は、前記特許文献1〜4に記載の公知の分割ロールに適用することが出来る。
歪ゲージ30には、前記特許文献5〜9に記載の歪ゲージ、例えば、株式会社共和電業製、KFG−1〜6を使用することが出来る。歪ゲージ30の支持部材15への貼付にはエポシキ樹脂系接着剤やシアノアクリレート樹脂系接着剤を用いるとよい。
シリンダー21・22にはエアーシリンダーと油圧シリンダーを適用することが出来る。切換装置11・12には、前記特許文献3に記載の3ポートソレノイドバルブ、例えば、SMC社製の小型直動3ポートソレノイドバルブV060シリーズと5ポートソレノイドバルブ、例えば、コガネイ社製の010−4E1シリーズを使用することが出来る。
【0026】
歪ゲージ30はコンピュータに接続される。コンピュータには分割ロール23の正常作動時に歪ゲージ30から送信される電子信号の標準波形を予め設定しておき、その標準波形と印刷過程で歪ゲージ30から送信される電子信号の検出波形を比較し、その両者の波形の周期(t)のズレ(Δt)や振幅(h)のズレ(Δh)によって複数個の筒体毎に個別に筒体17の作動が監視され、その周期(t)のズレ(Δt)や振幅(h)のズレ(Δh)が許容範囲を超える場合には、アラーム信号を発してオペレーターに異常を知らせ、印刷機を自動的に停止させ、コンピュータからの指示信号によってシリンダー21(22)に伝わる気圧等を加減調節する等の所要の措置がとられる。
【0027】
以下、エアーシリンダーを適用した分割ロール23によって本発明を具体的に説明する。図1と図2は、ピストン29の作動方向20を逆向きにして支持部材15の正面と背面に設けた2個1組となる各シリンダー21・22が、ソレノイドバルブ(11・12)に操作されるダブルシリンダータイプの分割ロールを図示する。
支持部材15にはソレノイドバルブを嵌め込むための嵌込溝31が設けられている。支持部材15の正面と背面にはピストン29を装着する円筒形凹部19が設けられている。支持部材15には、その軸芯10に沿って貫通した流通管18と、その流通管18から各ソレノイドバルブ11・12に続く分岐管35と、ソレノイドバルブ11・12からシリンダー21・22に続く支管36が穿設されている。
可動部材16は、短円柱形部材の中心部に貫通した矩形の開口を穿設して構成され、その開口の上面と下面が支持部材15の平面と底面に摺接している。その開口の左右の側面に互いに逆向きになっているシリンダー21・22のピストン29・29が作動するとき、可動部材16は、支持部材の軸芯に直交する方向20において往復振動する。
筒体(分割ユニットロール)17は、ベアリング26を介して可動部材16に回転可能に支持されている。
【0028】
図1に図示する分割ロールでは、支持部材15の嵌込溝31に切換装置11・12としてのソレノイドバルブが装着されている。ソレノイドバルブを2方向に分けて装着したダブルシリンダータイプの筒体(分割ユニットロール)17の幅は、前記特許文献1と2に記載の各可動部材が1個のシリンダーと1個の戻しバネによって往復振動するシングルシリンダータイプの筒体(分割ユニットロール)の幅と同様に、切換装置(ソレノイドバルブ)11・12の寸法と略同じになる。
【0029】
切換装置11・12は、支持部材15の断面の四方を縁取る支持部材15の正面と平面と背面と底面との4面に、或いは、その4面の中の何れかの2面に分けて、支持部材15に取り付けると、隣り合う筒体(分割ユニットロール)17の幅を切換装置11・12の幅(寸法)よりも狭くすることが出来、支持部材15に搭載される筒体(分割ユニットロール)17の配列密度が細かくなり、ファンテンロール25から練りロール24へと転送するインキの供給量を細かくコントロールすることが出来る。
【0030】
嵌込溝31に嵌め込まれた切換装置(ソレノイドバルブ)11・12は、押さえ板27によって固定される。押さえ板27には、支持部材15の軸芯10に平行に並ぶ切換装置(ソレノイドバルブ)11・12に接続される貫通した流通管18が穿設されている。
押さえ板27の支持部材15に向き合う面(底面・裏面)には、歪ゲージ30の厚みに応じた深さの凹部を形成し、或いは、押さえ板27に向き合う支持部材15の平面41や底面42に歪ゲージ30を嵌め込む凹部を形成し、支持部材15に貼付した歪ゲージ30に押さえ板27が触れ合わないようにする。
歪ゲージ30を支持部材15の正面43や背面44に貼付する場合には、その添付面に歪ゲージ30を嵌め込む凹部を形成し、支持部材15に貼付した歪ゲージ30に可動部材16が触れ合わないようにする。
【0031】
可動部材16の材質は、アルミニウム合金、ジュラルミン、マグネシウム合金等の高強度材質にする。
支持部材15と押さえ板27の材質は、炭素鋼、焼き入れ性を保証したクロムモリブデン鋼、ニッケルクロム鋼、マンガンクロム鋼、クロム鋼とし、焼き入れ処理を行ってマイクロビッカーズ硬さを500以上とする。
可動部材16と支持部材15にはNI・Pをマトリックスとした無電解複合メッキや四フッ化樹脂による硬質皮膜処理を施すとよく、そうすることによって、可動部材16と支持部材15の間のスベリがよく、摩耗し難く、可動部材16に作用するピストン29の負荷を軽減することが出来、シリンダー21・22を小型化して支持部材15の強度を保ち、ピストン29(シリンダー21・22)を駆動するコンプレッサーの消費電力も少なくすることが出来、分割ロール23を軽量化し取り扱い易くすることが出来る。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】本発明に係る分割ロールの断面図である。
【図2】本発明に係る分割ロールの分解斜視図である。
【図3】本発明に係る分割ロールの歪ゲージの発信信号の波形曲線図である。
【符号の説明】
【0033】
10:軸芯
11・12:切換装置(ソレノイドバルブ)
15:支持部材(マニホールド)
16:可動部材
17:筒体(分割ユニットロール)
18:流通管
19:円筒形凹部
20:直交方向(ピストン作動方向)
21・22:シリンダー
23:分割ロール
24:練りロール
25:ファンテンロール
26:ベアリング
27:押さえ板
29:ピストン
30:歪ゲージ
31:嵌込溝
35:分岐管
36:支管
40:シリンダーの中心線
41:支持部材の平面
42:支持部材の底面
43:支持部材の正面
44:支持部材の背面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(イ) 複数個の可動部材(16)が非円形断面の軸桿によって構成される支持部材(15)の軸芯方向に沿って配列されており、(ロ) その配列された複数個の可動部材(16)がそれぞれ支持部材(15)に外嵌しており、(ハ) その外嵌した複数個の可動部材(16)が、支持部材(15)を介して珠子繋ぎ状に隣り合っており、(ニ) その隣り合う複数個の各可動部材(16)が支持部材(15)の軸芯(10)に直交する方向(20)に摺動可能に支持部材(15)に支持されており、(ホ) その隣り合う複数個の各可動部材(16)に筒体(17)が回転可能に支持されており、(ヘ) その複数個の各可動部材(16)に回転可能に支持された複数個の筒体(17)の各周面が隣り合ってロール全体(23)の周面が構成されており、(ト) その複数個の各可動部材(16)を個々に駆動する複数個の駆動装置が支持部材(15)に搭載されており、(チ) それら複数個の各駆動装置が、可動部材の個数に応じた複数個のシリンダー(21・22)と、その各シリンダー(21・22)に圧力を伝達する流通管(18)と、各シリンダー(21・22)への圧力の伝達を切り換える可動部材(16)の数に応じた複数個の切換装置(11・12)によって構成されており、(リ) それらのシリンダー(21・22)が、支持部材(15)に設けた円筒形凹部(19)にピストン(29)を嵌め込んで構成されている印刷機分割ロール(23)において、(ヌ) 複数個の各シリンダー(21・22)に対応する支持部材(15)の各部位に歪ゲージ(30)が貼付されていることを特徴とする印刷機分割ロール。
【請求項2】
(ル) 歪ゲージ(30)が、支持部材(15)の断面の四方を縁取る平面(41)と底面(42)と正面(43)と背面(44)の中のピストン(29)が往復移動するシリンダー(21・22)の中心線(40)に平行する支持部材(15)の平面(41)と底面(42)と正面(43)と背面(44)の何れかの面に貼付されている前掲請求項1に記載の印刷機分割ロール。
【請求項3】
(イ) 複数個の可動部材(16)が非円形断面の軸桿によって構成される支持部材(15)の軸芯方向に沿って配列されており、(ロ) その配列された複数個の可動部材(16)がそれぞれ支持部材(15)に外嵌しており、(ハ) その外嵌した複数個の可動部材(16)が、支持部材(15)を介して珠子繋ぎ状に隣り合っており、(ニ) その隣り合う複数個の各可動部材(16)が支持部材(15)の軸芯(10)に直交する方向(20)に摺動可能に支持部材(15)に支持されており、(ホ) その隣り合う複数個の各可動部材(16)に筒体(17)が回転可能に支持されており、(ヘ) その複数個の各可動部材(16)に回転可能に支持された複数個の筒体(17)の各周面が隣り合ってロール全体(23)の周面が構成されており、(ト) その複数個の各可動部材(16)を個々に駆動する複数個の駆動装置が支持部材(15)に搭載されており、(チ) それら複数個の各駆動装置が、可動部材の個数に応じた複数個のシリンダー(21・22)と、その各シリンダー(21・22)に圧力を伝達する流通管(18)と、各シリンダー(21・22)への圧力の伝達を切り換える可動部材(16)の数に応じた複数個の切換装置(11・12)によって構成されており、(リ) それらのシリンダー(21・22)が、支持部材(15)に設けた円筒形凹部(19)にピストン(29)を嵌め込んで構成されている印刷機分割ロール(23)において、(ヌ) 複数個の各シリンダー(21・22)に対応する支持部材(15)の各部位に歪ゲージ(30)が貼付し、(オ) その歪ゲージ(30)から発信される電子信号の波形の変化によって、複数個の各筒体(17)の作動を監視することを特徴とする印刷機分割ロールの作動管理方法。
【請求項4】
(ワ) 歪ゲージ(30)から発信される電子信号の波形の周期(t)の変化によって、練りロール(24)とフアンテンロール(25)との間で往復振動する筒体(17)の往復移動速度を監視する前掲請求項3に記載の印刷機分割ロールの作動管理方法。
【請求項5】
(カ) 歪ゲージ(30)から発信される電子信号の波形の振幅(h)の変化によって、練りロール(24)およびフアンテンロール(25)に筒体(17)から作用する押圧力を監視する前掲請求項3に記載の印刷機分割ロールの作動管理方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2009−202391(P2009−202391A)
【公開日】平成21年9月10日(2009.9.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−45736(P2008−45736)
【出願日】平成20年2月27日(2008.2.27)
【出願人】(000109495)テクノロール株式会社 (9)
【Fターム(参考)】