説明

印刷機

【課題】印刷機において、ガイドローラによりガイドされながら搬送する印刷媒体の振動を抑制して印刷品質の向上を図る。
【解決手段】給紙装置11と印刷装置12とガイド装置20とターンバー装置13と折機14とにより新聞用オフセット輪転印刷機100を配置し、このガイド装置20として、ウェブWの搬送方向に沿って所定間隔で配設されてウェブWの搬送を案内する上流側ガイドローラ28及び下流側ガイドローラ29を設け、各ガイドローラ28,29間で案内されるウェブWに対してデジタル印刷を行うインクジェットプリンタ200を配置して構成し、上流側ガイドローラ28と下流側ガイドローラ29の直径を異なる値に設定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ガイド装置によりガイドされながら搬送される印刷媒体に対して各種の処理装置により適宜の処理を行う処理装置を有する印刷機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
例えば、新聞はオフセット輪転印刷機により印刷される。この新聞用オフセット輪転印刷機は、複数の給紙装置と、複数の印刷ユニットと、ターンバー装置と、折機とから構成されている。従って、各給紙装置から印刷ユニットにウェブが供給されると、各ウェブに対して印刷が施される。そして、ターンバー装置で複数のウェブの走行ルートが変更されてから所定の順番に重ね合わされる。その後、折機にて、ウェブが縦折りされてから所定の長さで横裁断され、横折されることで折帖が形成され、新聞として排紙される。
【0003】
このような新聞用オフセット輪転印刷機における印刷ユニットでは、記事や広告を印刷するための刷版が必要であり、この刷版を版胴に巻き付けて印刷を行う。そのため、記事や広告などを差し替えるためには、印刷ユニットを停止して刷版を交換する必要がある。そのため、新聞印刷の生産性が低下したり、損紙が発生してしまうなどの問題がある。
【0004】
そこで、例えば、下記特許文献1に記載された付加印刷装置付き輪転機では、給紙ユニットと印刷ユニットと折畳ユニットを設けると共に、印刷ユニットにインクジェット印刷機構を設けている。また、下記特許文献2に記載されたインクジェット印刷装置では、インクジェットヘッド群を前後のロールにより搬送される印刷用紙に対向して設けている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第2946201号公報
【特許文献2】特開2007−253337号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、走行する印刷用紙に対してインクジェットヘッドを用いて印刷を行う場合、高い印刷品質を確保するために、印刷用紙を安定して走行させる必要がある。しかし、従来の印刷機のように、前後のロールによりガイドされながら走行する印刷用紙は、この前後にある2つのロールの回転変位が伝達されることで、紙面直交方向に振動してしまう。即ち、製造誤差や経年変化などによるロールの回転アンバランス及びガタ、印刷用紙のテンション変動によるロールの撓みなどによりロールの回転変位が発生する。この場合、各ロールは、汎用性を考慮して同じ形状となっており、2つのロールの変位による印刷用紙が所定の共進点で共振してしまい、振幅が増幅されて安定した走行が困難となる。
【0007】
本発明は上述した課題を解決するものであり、ガイドローラによりガイドされながら搬送する印刷媒体の振動を抑制して印刷品質の向上を図る印刷機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の目的を達成するための本発明の印刷機は、帯状をなす印刷媒体に対して印刷を行う印刷部と、該印刷部で印刷された印刷媒体をガイドしながら搬送するガイド部と、該ガイド部により搬送される印刷媒体を裁断して折り畳む折機と、を備える印刷機において、前記ガイド部は、印刷媒体の搬送方向に沿って所定間隔で配設されて印刷媒体の搬送を案内する上流側ガイドローラ及び下流側ガイドローラを有し、前記各ガイドローラ間で案内される印刷媒体に対して所定の処理を行う処理装置が印刷媒体の印刷面に対向して配設され、前記上流側ガイドローラと前記下流側ガイドローラは、直径が異なる値に設定される、ことを特徴とするものである。
【0009】
本発明の印刷機では、前記上流側ガイドローラの直径と前記下流側ガイドローラの直径とは、非整数倍に設定されることを特徴としている。
【0010】
本発明の印刷機では、前記上流側ガイドローラと前記下流側ガイドローラとの少なくとも一方は、前記印刷媒体の走行に対して連れ回り可能であることを特徴としている。
【0011】
本発明の印刷機では、前記上流側ガイドローラ及び前記下流側ガイドローラは、前記印刷部より下流側で、且つ、印刷媒体の搬送経路を変更するターンバーより上流側に配設されることを特徴としている。
【0012】
本発明の印刷機では、前記処理装置は、印刷媒体に対して印刷を行うインクジェットプリンタであることを特徴としている。
【0013】
本発明の印刷機では、前記処理装置は、印刷媒体における印刷面の印刷品質を検査する印刷品質検査装置であることを特徴としている。
【発明の効果】
【0014】
本発明の印刷機によれば、印刷部とガイド部と折機とを備え、ガイド部として、印刷媒体の搬送を案内する上流側ガイドローラ及び下流側ガイドローラを設け、各ガイドローラ間で案内される印刷媒体に対して所定の処理を行う処理装置を配設し、上流側ガイドローラと下流側ガイドローラの直径を異なる値に設定している。従って、上流側ガイドローラと下流側ガイドローラの回転変位が印刷媒体に伝達されても、直径が異なるために互いの固有振動数が相違して共振が防止され、印刷媒体の振動を抑制して印刷品質の向上を図ることができる。
【0015】
本発明の印刷機によれば、上流側ガイドローラの直径と下流側ガイドローラの直径とを非整数倍に設定するので、上流側ガイドローラの変位による共振周波数と下流側ガイドローラの変位による共振周波数が相違し、共振を適正に防止することができる。
【0016】
本発明の印刷機によれば、上流側ガイドローラと下流側ガイドローラとの少なくとも一方が印刷媒体の走行に対して連れ回り可能であるので、上流側ガイドローラと下流側ガイドローラの直径が相違するため、少なくとも一方のガイドローラが印刷媒体に連れ回りしても、上流側ガイドローラと下流側ガイドローラの共振を適正に抑制することができる。
【0017】
本発明の印刷機によれば、上流側ガイドローラ及び下流側ガイドローラを、印刷部より下流側で、且つ、印刷媒体の搬送経路を変更するターンバーより上流側に配設するので、単独で走行する印刷媒体を上流側ガイドローラ及び下流側ガイドローラにより安定して案内し、処理装置による処理を高精度に行うことができる。
【0018】
本発明の印刷機によれば、処理装置として、印刷媒体に対して印刷を行うインクジェットプリンタを設けるので、安定して搬送される印刷媒体に対してインクジェットプリンタにより高精度な印刷を可能とすることができる。
【0019】
本発明の印刷機によれば、処理装置として、印刷媒体における印刷面の印刷品質を検査する印刷品質検査装置を設けるので、安定して搬送される印刷媒体に対して印刷品質検査装置により高精度な品質検査を可能とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】図1は、本発明の実施例1に係る印刷機に適用されるガイド装置を表す概略構成図である。
【図2】図2は、ガイド装置における上流側及び下流側のガイドローラの径が同径であるときの共振状態を表す概略図である。
【図3】図3は、ガイド装置における上流側及び下流側のガイドローラの径が異径であるときの共振状態を表す概略図である。
【図4】図4は、実施例1の印刷機の全体構成を表す概略図である。
【図5】図5は、実施例1の印刷機における印刷部からターンバー装置までの構成を表す概略図である。
【図6】図6は、本発明の実施例2に係る印刷機に適用されるガイド装置を表す概略構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下に添付図面を参照して、本発明に係る印刷機の好適な実施例を詳細に説明する。なお、この実施例により本発明が限定されるものではない。
【実施例1】
【0022】
図1は、本発明の実施例1に係る印刷機に適用されるガイド装置を表す概略構成図、図2は、ガイド装置における上流側及び下流側のガイドローラの径が同径であるときの共振状態を表す概略図、図3は、ガイド装置における上流側及び下流側のガイドローラの径が異径であるときの共振状態を表す概略図、図4は、実施例1の印刷機の全体構成を表す概略図、図5は、実施例1の印刷機における印刷部からターンバー装置までの構成を表す概略図である。
【0023】
実施例1の印刷機は、図4に示すように、印刷媒体としての新聞を印刷する印刷機に適用したものである。即ち、この印刷機は、刷版を用いて所定の情報をウェブ(帯状をなす印刷媒体)Wに印刷する新聞用オフセット輪転印刷機100に、読者が所望する特定の情報などをウェブWの特定箇所にデジタル印刷するデジタル印刷機(オンデマンド印刷機)としてのインクジェットプリンタ(処理装置)200を付加して構成されている。
【0024】
この新聞用オフセット輪転印刷機100は、給紙装置(給紙部)11と、印刷装置(印刷部)12と、ターンバー装置13と、折機14とから構成されている。そして、給紙装置11には、それぞれウェブWがロール状に巻かれた3つの巻取紙Rを保持する複数の保持アーム15が設けられ、この各保持アーム15を回動することで、巻取紙Rを給紙位置に回動することができる。また、この給紙装置11には、図示しない紙継装置が設けられており、給紙位置で繰り出されている巻取紙Rが残り少なくなると、この紙継装置により給紙位置にある巻取紙Rに対して、待機位置にある巻取紙Rを紙継ぎすることができる。
【0025】
また、印刷装置12には、両面4色印刷を行う多色刷印刷ユニット16と、両面2色印刷を行う2色刷印刷ユニット17が設けられている。この多色刷印刷ユニット16及び2色刷印刷ユニット17は、給紙装置11から供給されたウェブWに対して所定の印刷を行うことができる。なお、本実施例では、印刷装置12を、多色刷印刷ユニット16と2色刷印刷ユニット17により構成したが、この構成に限定されるものではない。例えば、両面単色印刷を行う両面単色刷ユニット、一面4色または2色印刷を行う多色刷印刷ユニットなど印刷物に応じて適宜各種ユニットを組み合わせて使用すればよい。
【0026】
また、ターンバー装置13には、図示しない複数のターンバーが設けられており、各印刷ユニット16,17から送り出された各ウェブWの走行ルートを変更し、所定の順番に重ね合わせることができる。折機14は、ターンバー装置13から搬送されたウェブWを縦折りし、所定の長さで横裁断し、更に横折りして所望の折帖を形成した後に排紙するものである。
【0027】
従って、まず、給紙装置11から印刷装置12を構成する多色刷印刷ユニット16や2色刷印刷ユニット17にウェブWが供給されると、各印刷ユニット16,17では、各ウェブWに対して4色刷や2色刷が行われる。次に、各印刷ユニット16,17で印刷が施された複数のウェブWは、ターンバー装置13にて、走行ルートが変更されると共に、所定の順番に重ね合わせられる。そして、複数重ね合わされたウェブWは、折機14に搬送され、ここで縦折りされた後、横裁断され、更に横折りされて所望の折帖が形成され、羽根車により排紙コンベア上に排紙される。
【0028】
一方、インクジェットプリンタ200は、印刷装置12にて、特定の印刷ユニット16におけるウェブWの搬送方向の下流側で、且つ、ターンバー装置13や折機14におけるウェブWの搬送方向の上流側に配置されている。本実施例では、後述するガイド装置20によりガイドされながら搬送されるウェブWの所定の箇所に、インクジェットプリンタ200がデジタル印刷を行う構成となっている。
【0029】
即ち、ガイド装置20において、図5に示すように、印刷装置12における印刷ユニット16の上方には、ガイドローラ21,22,23が配設されると共に、ドラグローラ(駆動ローラ)24及び押えローラ25が配設されている。そして、このドラグローラ24及び押えローラ25の上方にはガイドローラ26,27が配設され、更に、このガイドローラ26,27の側方には、本発明の上流側ガイドローラ28及び下流側ガイドローラ29が配設されている。この上流側ガイドローラ28及び下流側ガイドローラ29は、ウェブWの搬送方向に沿って所定間隔で配設され、ウェブWの搬送を案内するものである。そして、この上流側ガイドローラ28と下流側ガイドローラ29との間で案内されるウェブWに対して印刷を行うインクジェットプリンタ200が、ウェブWの印刷面に対向して配設されている。
【0030】
下流側ガイドローラ29の側方には、ガイドローラ30が配設され、このガイドローラ30の上方には、ドラグローラ(駆動ローラ)31及びスリッタ32が配設され、更に、このドラグローラ31及びスリッタ32の上方にはガイドローラ33が配設されている。なお、ガイドローラ33の側方には、上述したターンバー装置13が配設されている。なお、上述した各ガイドローラ21,22,23,26,27,28,29,30,33は、非駆動であり、走行するウェブWに対して連れ回り可能となっている。
【0031】
従って、印刷ユニット16により印刷が行われたウェブWは、ガイドローラ21,22,23に案内された後に、ドラグローラ24及び押えローラ25から駆動力を得て走行し、ガイドローラ26,27、上流側ガイドローラ28、下流側ガイドローラ29に案内されて走行する。このとき、上流側ガイドローラ28と下流側ガイドローラ29との間で走行するウェブWの所定の位置に、インクジェットプリンタ200が印刷を行う。そして、ウェブWは、ガイドローラ30を介してドラグローラ31から駆動力を受け、また、スリッタ32により走行方向に沿って裁断された後、ガイドローラ33を介してターンバー装置13に送られる。
【0032】
このように構成されたガイド装置20にて、図1に示すように、ウェブWは、上流側ガイドローラ28の上側にガイドされ、下流側ガイドローラ29の上側にガイドされている。そして、この上流側ガイドローラ28と下流側ガイドローラ29は、その直径が異なる値に設定されている。この場合、上流側ガイドローラ28の直径と下流側ガイドローラ29の直径とは、共振を避けるために非整数倍に設定されている。即ち、上流側ガイドローラ28の直径をφ1とし、下流側ガイドローラ29の直径をφ2とすると、φ1<φ2(または、φ1>φ2)の関係に設定されている。この場合、一般的なガイドローラ28,29の直径がφ=90〜130mmであり、各ガイドローラ28,29の直径の関係をφ1<φ2とするとき、上流側ガイドローラ28の直径φ1を、下流側ガイドローラ29の直径φ2の70〜90%にすることが望ましい。各ガイドローラ28,29の直径の比率をこれより大きく(70%未満)すると、ガイドローラ自体の強度が不十分となり、逆に、各ガイドローラ28,29の直径の比率をこれより小さく(90%より大きく)すると、直径を相違させる効果が出にくい。また、直径が大きい側のガイドローラの直径を130mmを超えて大きくすると、重量増によるウェブWとのスリップが発生してしまう。具体的には、例えば、φ1=100mm、φ2=120mmに設定している。
【0033】
図2に示すように、従来の直径が同径である上流側ガイドローラ28aと下流側ガイドローラ29aを適用した場合、その固有振動数が同じであることから、共振周波数が一致し、その振幅が大きなものとなる。従って、この同径の上流側ガイドローラ28aと下流側ガイドローラ29aによりガイドされるウェブWは、その振動が大きなものとなる。一方、図3に示すように、本実施例の直径が異径である上流側ガイドローラ28と下流側ガイドローラ29を適用した場合、その固有振動数が異なることから、共振周波数が一致せず、その振幅が小さなものとなる。従って、この異径の上流側ガイドローラ28と下流側ガイドローラ29によりガイドされるウェブWは、その振動が小さなものとなる。
【0034】
このように実施例1の印刷機にあっては、給紙装置11と印刷装置12とガイド装置20とターンバー装置13と折機14とにより新聞用オフセット輪転印刷機100を配置し、このガイド装置20として、ウェブWの搬送方向に沿って所定間隔で配設されてウェブWの搬送を案内する上流側ガイドローラ28及び下流側ガイドローラ29を設け、各ガイドローラ28,29間で案内されるウェブWに対してデジタル印刷を行うインクジェットプリンタ200を配置して構成し、上流側ガイドローラ28と下流側ガイドローラ29の直径を異なる値に設定している。
【0035】
従って、上流側ガイドローラ28と下流側ガイドローラ29の回転変位がウェブWに伝達されても、各ガイドローラ28,29の直径が異なるため、互いの固有振動数が相違して共振が防止され、ウェブWの振動を抑制してインクジェットプリンタ200による印刷を高精度に行うことが可能となり、印刷品質の向上を図ることができる。
【0036】
また、実施例1の印刷機では、上流側ガイドローラ28の直径と下流側ガイドローラ29の直径とを非整数倍に設定している。従って、上流側ガイドローラ28の変位による共振周波数と下流側ガイドローラ29の変位による共振周波数が一致することがないため、共振を適正に防止することができる。
【0037】
また、実施例1の印刷機では、上流側ガイドローラ28と下流側ガイドローラ29がウェブWの走行に対して連れ回り可能としている。従って、上流側ガイドローラ28と下流側ガイドローラ29の直径が相違するため、各ガイドローラ28,29がウェブWに連れ回りしても、上流側ガイドローラ28と下流側ガイドローラ29の共振を適正に抑制することができる。
【0038】
また、実施例1の印刷機では、上流側ガイドローラ28及び下流側ガイドローラ29を、印刷装置12より下流側で、且つ、ターンバー装置13より上流側に配設している。従って、単独で走行するウェブWを上流側ガイドローラ28及び下流側ガイドローラ29により安定して案内し、インクジェットプリンタ200によるデジタル印刷を高精度に行うことができる。
【0039】
また、実施例1の印刷機では、上流側ガイドローラ28と下流側ガイドローラ29の間にインクジェットプリンタ200を設けており、安定して搬送されるウェブWに対してインクジェットプリンタ200により高精度な印刷を可能とすることができる。
【実施例2】
【0040】
図6は、本発明の実施例2に係る印刷機に適用されるガイド装置を表す概略構成図である。なお、前述した実施例で説明したものと同様の機能を有する部材には同一の符号を付して重複する説明は省略する。
【0041】
実施例2の印刷機にて、図6に示すように、ガイド装置40は、上流側ガイドローラ41と下流側ガイドローラ42を有し、ウェブWは、上流側ガイドローラ41の下側にガイドされ、下流側ガイドローラ42の上側にガイドされている。そして、上流側ガイドローラ41と下流側ガイドローラ42は、その直径が異なる値に設定されている。この場合、上流側ガイドローラ41の直径と下流側ガイドローラ42の直径とは、非整数倍に設定されている。
【0042】
そして、この上流側ガイドローラ41と下流側ガイドローラ42との間で案内されるウェブWに対して印刷面の印刷品質を検査する印刷品質検査装置300が、ウェブWの印刷面に対向して配設されている。この印刷品質検査装置300は、例えば、CCDカメラであり、ウェブWの幅方向における全域にわたって配置され、このCCDカメラが撮影したウェブWの画像を制御装置に出力し、この制御装置は、取り込んだ画像に基づいて、この画像における欠陥、つまり、汚れ、傷、油飛び、水飛びなどを検出すると共に、印刷濃度を計測し、正紙と不正紙とを判別し、不正紙を搬送ラインから除去する。
【0043】
このように実施例2の印刷機にあっては、給紙装置11と印刷装置12とガイド装置20とターンバー装置13と折機14とにより新聞用オフセット輪転印刷機100を配置し、このガイド装置20として、ウェブWの搬送方向に沿って所定間隔で配設されてウェブWの搬送を案内する上流側ガイドローラ41及び下流側ガイドローラ42を設け、各ガイドローラ41,42間で案内されるウェブWの印刷面の印刷品質を検査する印刷品質検査装置300を配置して構成し、上流側ガイドローラ41と下流側ガイドローラ42の直径を異なる値に設定している。
【0044】
従って、上流側ガイドローラ41と下流側ガイドローラ42の回転変位がウェブWに伝達されても、各ガイドローラ41,42の直径が異なるため、互いの固有振動数が相違して共振が防止され、ウェブWの振動を抑制して印刷品質検査装置300による印刷品質検査を高精度に行うことが可能となり、印刷品質の向上を図ることができる。
【0045】
また、実施例2の印刷機では、上流側ガイドローラ41と下流側ガイドローラ42の間に印刷品質検査装置300を設けており、安定して搬送されるウェブWに対して印刷品質検査装置300により高精度な検査を可能とすることができる。
【0046】
なお、上述した各実施例では、互いに駆動しない上流側ガイドローラ28,41と下流側ガイドローラ29,42との間に、処理装置としてのインクジェットプリンタ200や印刷品質検査装置300を配置したが、本発明では、上流側ガイドローラと下流側ガイドローラの少なくとも一方が駆動せずにウェブWと連れ回り可能なガイドローラであればよいものである。
【0047】
また、上述した各実施例では、上流側ガイドローラ28,41及び下流側ガイドローラ29,42を、印刷装置12より下流側で、且つ、ターンバー装置13より上流側に配設したが、印刷装置12より下流側で、且つ、ドラグローラ31及びスリッタ32より上流側に配設することが望ましい。つまり、印刷済で、且つ、重なることなく単独で走行するウェブWを案内することが望ましい。
【0048】
また、上述した各実施例では、印刷媒体をウェブWとしたが、これに限定されるものではなく、印刷用樹脂シートなどであってもよい。また、印刷機を、新聞用オフセット輪転印刷機100にインクジェットプリンタ200や印刷品質検査装置300を付加したものとしたが、この構成に限らず、商業用オフセット輪転印刷機や他の処理装置であってもよい。
【産業上の利用可能性】
【0049】
本発明に係る印刷機は、印刷媒体を案内する上流側ガイドローラと下流側ガイドローラの直径を異なる値に設定することで、ガイドローラによりガイドされながら搬送する印刷媒体の振動を抑制して印刷品質の向上を図るものであり、いずれの印刷機にも適用することができる。
【符号の説明】
【0050】
11 給紙装置(給紙部)
12 印刷装置(印刷部)
13 ターンバー装置
14 折機
20 ガイド装置
28,41 上流側ガイドローラ
29,42 下流側ガイドローラ
100 新聞用オフセット輪転印刷機
200 インクジェットプリンタ(処理装置)
300 印刷品質検査装置(処理装置)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
帯状をなす印刷媒体に対して印刷を行う印刷部と、
該印刷部で印刷された印刷媒体をガイドしながら搬送するガイド部と、
該ガイド部により搬送される印刷媒体を裁断して折り畳む折機と、
を備える印刷機において、
前記ガイド部は、印刷媒体の搬送方向に沿って所定間隔で配設されて印刷媒体の搬送を案内する上流側ガイドローラ及び下流側ガイドローラを有し、
前記各ガイドローラ間で案内される印刷媒体に対して所定の処理を行う処理装置が印刷媒体の印刷面に対向して配設され、
前記上流側ガイドローラと前記下流側ガイドローラは、直径が異なる値に設定される、
ことを特徴とする印刷機。
【請求項2】
前記上流側ガイドローラの直径と前記下流側ガイドローラの直径とは、非整数倍に設定されることを特徴とする請求項1に記載の印刷機。
【請求項3】
前記上流側ガイドローラと前記下流側ガイドローラとの少なくとも一方は、前記印刷媒体の走行に対して連れ回り可能であることを特徴とする請求項1または2に記載の印刷機。
【請求項4】
前記上流側ガイドローラ及び前記下流側ガイドローラは、前記印刷部より下流側で、且つ、印刷媒体の搬送経路を変更するターンバーより上流側に配設されることを特徴とする請求項1から3のいずれか一つに記載の印刷機。
【請求項5】
前記処理装置は、印刷媒体に対して印刷を行うインクジェットプリンタであることを特徴とする請求項1から4のいずれか一つに記載の印刷機。
【請求項6】
前記処理装置は、印刷媒体における印刷面の印刷品質を検査する印刷品質検査装置であることを特徴とする請求項1から4のいずれか一つに記載の印刷機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2010−274447(P2010−274447A)
【公開日】平成22年12月9日(2010.12.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−126642(P2009−126642)
【出願日】平成21年5月26日(2009.5.26)
【出願人】(310016522)三菱重工印刷紙工機械株式会社 (75)
【Fターム(参考)】