説明

印刷版用支持体の材料再生方法

【課題】連続精製工程を必要とせず、アルミニウム純度や不純物組成が異なる各種アルミニウム回収材料を、その材料性状や回収量に応じて効率良く印刷版用支持体の再生に使用すること。
【解決手段】アルミニウム回収材料をアルミニウム純度及び微量金属含有率の異なる組成別の複数のグループに分別し、各グループ専用の回収材溶解炉15,17,19へアルミニウム回収材料をそれぞれ投入して加熱溶解する。得られたアルミニウム溶湯A,B,Cを所定の形状及び重さに成形してアルミニウム合金再生地金31A,31B,31Cを得る。そして、所望アルミニウム純度及び所望微量金属含有率になる配合比で各アルミニウム合金再生地金を再生地金溶解炉により加熱溶解し、鋳造及び圧延工程により帯状のアルミニウム基体を作製する。このアルミニウム基体を印刷版用支持体の製造工程に供給するようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、印刷版用支持体の材料再生方法に関する。
【背景技術】
【0002】
安価な原材料を使い、かつ、回収コストを増すことなく、ユーザが使用した後の平版印刷版のリサイクルを容易にするものとして、平版印刷版用支持体の製造方法が特許文献1に開示されている。この平版印刷版用支持体の製造方法では、使用済みの平版印刷版やアルミニウム缶等のアルミニウム原材料を鋳造してアルミニウム鋳塊を製造し、圧延工程、熱処理工程を経てアルミニウム合金板とし、平版印刷版用支持体を製造する。
【0003】
この製造方法に使用できるアルミニウム合金としては、純度99.7%以上のアルミニウム新地金だけではなく、アルミサッシ、タイヤアルミホイール、エンジンブロック、アルミ缶など印刷版に使用されるアルミ純度よりも低い使用済みスクラップアルミニウム材、二次地金、再生地金等のような純度の低いアルミニウム再生地金が含まれる。低純度アルミニウムで製造される平版印刷版用支持体は、純度の高い新地金と、純度の低いアルミニウム再生地金とを区別することなく原材料にできるため、集荷されたリサイクル材料を分別処理することなく、従来の方法より低コストで製造することができる。
【0004】
また、アルミニウム合金を溶融精錬しながら、組成の異なる精製品を得る連続精製方法が特許文献2に開示されている。このアルミニウムの連続精製方法では、アルミニウムスクラップを精製炉で溶解し、炉低に集合する凝固体や金属間化合物を吸引管により汲み出す。そして、凝固体や金属間化合物を分離した精製炉内の残りの残湯を次段の精製炉に移送することで、各精製炉で段階的に組成の異なる精製品が得られるようになる。
【0005】
さらに、不純物成分の割合が従来品より少ない再生地金を得る技術として、特許文献3に地金再生方法が開示されている。この地金再生方法では、アルミニウム含有量が99.5重量%以上の純アルミニウムを溶解炉で溶解させ、この純アルミニウムにより溶解炉の内部を洗浄する溶解炉洗浄工程を有し、炉壁からの微量元素の混入を抑えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2002−331767号公報
【特許文献2】特許3329013号公報
【特許文献3】国際公開第09/084568号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は上記状況に鑑みてなされたもので、連続精製工程を必要とせず、アルミニウム純度や不純物組成が異なる各種アルミニウム回収材料を、その材料性状や回収量に応じて効率良く印刷版用支持体の再生に使用することができる印刷版用支持体の材料再生方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は下記構成からなる。
回収された使用済みの印刷版用支持体を含むアルミニウム回収材料より作成したアルミニウム合金再生地金を、アルミニウム合金組成の定まった印刷版用支持体の製造工程に供給する印刷版用支持体の材料再生方法であって、
前記アルミニウム回収材料をアルミニウム純度及び微量金属含有率の異なる組成別の複数のグループに分別するステップと、
前記分別されたグループ毎に専用の回収材溶解炉を割り当て、該回収材溶解炉に対応するグループの前記アルミニウム回収材料をそれぞれ投入して加熱溶解するステップと、
前記加熱溶解して得たアルミニウム溶湯を所定の形状及び重さに成形して前記回収材溶解炉毎にアルミニウム合金再生地金を得るステップと、
前記アルミニウム合金組成の定まった印刷版支持体の所望アルミニウム純度及び所望微量金属含有率になるように前記アルミニウム合金再生地金それぞれの配合比を決定するステップと、
前記決定した配合比で各アルミニウム合金再生地金を再生地金溶解炉に投入して加熱溶解し、前記再生地金溶解炉に続く鋳造及び圧延工程により帯状のアルミニウム基体を作製するステップと、
前記アルミニウム基体を印刷版用支持体の製造工程に供給するステップと、
を含む印刷版用支持体の材料再生方法。
【発明の効果】
【0009】
本発明に係る印刷版用支持体の材料再生方法によれば、アルミニウム純度や不純物組成が異なる各種アルミニウム回収材料を、その材料性状や回収量に応じて効率良く印刷版用支持体の再生に使用できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の実施形態を説明するための図で、材料再生装置により溶湯A,B,Cを得る工程と、溶湯A,B,Cを用いて印刷版用支持体製造用のアルミニウム合金再生地金を作製する工程とを模式的に表した説明図である。
【図2】アルミニウム回収材料の種類とそのアルミニウム純度および不純物組成のデータベースを示すテーブルである。
【図3】アルミニウム合金再生地金からアルミニウム基体を作製する製造ラインの構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。
図1は本発明の実施形態を説明するための図で、材料再生装置により溶湯を得るまでの工程を示す工程説明図である。
印刷版用支持体の材料再生装置100は、回収された使用済みのアルミニウム製の印刷版用支持体や、アルミ缶等の他のアルミ回収品を含むアルミニウム回収材料11を溶解してアルミニウム合金再生地金とし、このアルミニウム合金再生地金を後段の図3で示した印刷版用支持体の製造工程に供給する。
【0012】
材料再生装置100は、組成成分別の複数のグループに分別されたアルミニウム回収材料11を、それぞれのグループに対して専用の回収材溶解炉に割り当てて加熱溶解する複数の加熱溶解処理部14A,14B,14Cを備え、各加熱溶解処理部14A,14B,14Cは、それぞれ個別に回収材溶解炉15,17,19を有する。ここでは一例として、アルミニウム回収材料11を3つのグループNo.1,No.2,No.3に分別し、グループ毎に各加熱溶解処理部14A,14B,14Cでアルミニウム回収材料11を処理している。また、一つの回収材溶解炉に対して複数のグループが割り当てられる構成としてもよい。
【0013】
組成成分別のグループは、アルミニウム純度に応じて分別されたグループ、或いは、不純物組成に応じて分別されたグループとすることができる。以下の説明では、アルミニウム純度に応じて分別されたグループとして説明する。
【0014】
まず、アルミニウム回収材料の材料再生方法について説明する。
アルミニウム回収材料11は回収業者によって回収センターへ搬入されてくる。搬入された回収印刷版等の回収材料は、予め組成成分が判明している印刷版と、複数種類の印刷版が混合比不明で混在したものや素性不明の印刷版、組成成分が一定でないアルミ缶等のアルミ回収品があり、図2に示すように、アルミニウム回収材料毎に、印刷版のランク(グレード)、アルミニウム純度、SiやFe等の不純物組成の成分情報がデータベースに予め登録されている。ここで、集荷されるアルミニウム回収材料11のデータベースには、回収印刷版(アルミニウム純度99.5%)P1と、回収印刷版(アルミニウム純度99.0%)P2と、回収印刷版(アルミニウム純度99.3%)P3、高純度アルミニウム新地金13、アルミ缶等のアルミ回収品等が登録されているものとする。なお、高純度アルミニウム新地金13は、例えば電気精錬により得られた純度99.7%以上の地金である。
【0015】
いま、回収印刷版P1が回収センターに搬入された場合を想定すると、回収センターでは、この回収印刷版P2の組成成分を図2に示すデータベースを参照して確認し、組成成分別のグループに分別する。つまり、回収印刷版P1は、アルミニウム純度99.5%のグレードAの品であり、図1に示すNo.1のグループの加熱溶解処理部14Aの処理工程に投入される。同様に、回収印刷版P2が搬入された場合は、回収印刷版P2がアルミニウム純度99.0%のグレードBの品であるため、No.2のグループの加熱溶解処理部14Bの処理工程に投入される。また、回収印刷版P3が搬入された場合は、回収印刷版P3がアルミニウム純度99.3%のグレードCの品であるため、これもNo.2のグループの加熱溶解処理部14Bの処理工程に投入される。なお、各組成成分別のグループに分別する際に、各グループ毎に投入総重量の情報を材料再生装置100に接続された図示しない記憶部に記憶しておく。
【0016】
ここで、グレードAの溶解に割り当てた加熱溶解処理部14Aは、グレードAの回収品の為に使い続けるのが好ましい。そのためには、加熱溶解処理部14Aが連続稼動するように、一定かつコンスタントな回収量があるようにグレードAを定義するのが好ましい。一方、グレードBやグレードCについても、同様に同じグレードに対しては同じ加熱溶解処理部を割り当てるのが望ましいが、より高純度かつ不純物組成成分の少ないグレードを優先的に同一加熱溶解処理部で処理するのが、炉の純アルミ洗浄の回数も減らせ、溶湯品質のばらつきも防止できるので最も好ましい。
【0017】
各アルミニウム回収材料11が加熱溶解処理部14A,14B,14Cのいずれかのホッパ21に分別されて投入されると、アルミニウム回収材料11は、コンベヤ23により水分除去手段25に搬送されて水分が除去された後、エレベータ27により各回収材溶解炉15,17,19に投入される。そして、投入されたアルミニウム回収材料11は、加熱溶解によりアルミニウム純度の異なる溶湯A、溶湯B、溶湯Cにされる。なお、加熱溶解の際の酸化ロスを抑制するため、アルミニウム回収材料11は予め溶解された溶湯(前回溶解時の残湯や純アルミニウム等)中に投入することが望ましい。予め用意する溶湯量としては、溶解炉容量の1/3から1/2程度が好ましい。
【0018】
また、この溶解工程では、アルミニウム回収材料11を温度680〜900℃の範囲で溶解することにより、溶解速度が速く、溶湯を得るまでのタクト時間を短縮できる。
【0019】
以上の工程により、回収印刷版P1は回収材溶解炉15、回収印刷版P2および回収印刷版P3は回収材溶解炉17、アルミ回収品は回収材溶解炉19へそれぞれ投入され、溶湯A,B,Cとなる。ここで、回収材溶解炉15,17,19に高純度アルミニウム新地金13を投入して、溶湯A,B,Cのアルミニウム純度や不純物組成を調製してもよい。
【0020】
上記の処理工程によれば、回収材溶解炉15は、例えばアルミニウム純度99.5%のアルミ回収品用の溶解炉として使用され、回収材溶解炉17は例えばアルミニウム純度99.0〜99.3%のアルミ回収品用の溶解炉として使用され、回収材溶解炉19は例えばアルミ缶等の低純度品の溶解炉として使用されることになる。これにより、高いアルミニウム純度となる回収材溶解炉17の溶湯A内に、低い純度の回収材料が投入されることなく、溶湯Aを高い純度のまま維持することができる。
【0021】
これら各回収材溶解炉15,17,19で溶解された溶湯A,B,Cに対し、発光分光分析等により成分検出を行い、AL純度及びSi,Fe等の各不純物組成の検出結果を材料再生装置100の記憶部に記憶させてもよい。
【0022】
続いて、溶湯A,B,Cから印刷版用支持体の製造工程に供給するアルミニウム合金再生地金を作製する工程を説明する。
図1に示すように、印刷版製造用のアルミニウム合金再生地金は、例えば次の工程を経て印刷版用支持体の製造工程に供給される。
即ち、まず溶湯A,B,Cをそれぞれ個別に凝固させて再生地金31A,31B,31Cを作製する。これらの再生地金31A,31B,31Cには各グループに固有の組成成分の情報を付与しておく。組成成分の情報は、再生地金31A,31B,31Cに刻印したり、情報を記載したシールを貼着したり、色や模様等の識別手段を設けることで付与してもよく、また、再生地金31A,31B,31Cの個体情報と共にデータベースに登録することであってもよい。これら再生地金31A,31B,31Cは、一旦回収センターで保管し、印刷版用支持体の製造要請があったときに、所望の組成成分となる混合比で各再生地金31A,31B,31Cを印刷版用支持体の製造工程に供給する。このとき、高純度アルミニウム新地金13を必要に応じて混合してもよい。
【0023】
このように上記の溶湯A,B,C毎に再生地金31A、31B、31Cを作製するので、溶解炉毎の異なるアルミニウム純度の再生地金、或いは異なる不純物組成の再生地金の状態で保管できる。このため、後段の印刷版用支持体の製造工程に随時供給ができ、安定した印刷版用支持体の原料供給が行える。
【0024】
また、アルミニウム純度の比較的低い、或いは不純物が比較的多く含まれる低品位グレードのアルミ回収品による再生地金も、作製する印刷版用支持体のアルミニウム合金組成によっては、純アルミニウム地金と共に使用する母合金として合金組成再生に利用できる。
【0025】
そして、回収センターに搬入されて来るアルミニウム回収材料は、種類や数量が一定となりにくく、日単位、月単位、又は年単位で変化する。このため、必要な再生地金を安定して印刷版用支持体の製造工程に供給するためには、アルミニウム純度の高い回収材料も低い回収材料も使用できなければならない。そこで、この材料再生方法においては、分別されたグループのどのアルミニウム回収材料をどれだけ使用してアルミニウム基体を作製するかを、再生地金31A,31B,31Cの配合比を決定することで、可能な限り低コストでかつ回収品の在庫量を最少にできる。
【0026】
次に、上記の材料再生方法により供給される再生地金を用いて、印刷版用支持体となる再生印刷版用支持体の製造工程について説明する。
上記の再生地金31A、31B、31C、或いはこれらに高純度アルミニウム新地金13を加えたアルミニウム合金再生地金は、印刷版用支持体の前駆体であるアルミニウム板を製造する再生製造ラインに供給される。
図3はアルミニウム合金再生地金を加熱溶解して再生溶湯とし、再生溶湯からアルミニウム板を製造する再生製造装置の一例を示す構成図である。
この一例として示す再生製造装置38は、アルミニウム合金再生地金40を溶解して再生溶湯44とする再生地金溶解炉42と、再生溶湯44を板状に鋳造する双ロール連続鋳造機77と、冷間圧延機81を備える。
【0027】
再生地金溶解炉42は上方が天井璧46で遮蔽されているとともに天井璧46から底壁面に向かって隔壁が垂下しており、側璧の一部には投入口48が設けられている。また、投入口48に対向する他方の側壁にはバーナー50が設けられ、投入されたアルミニウム合金再生地金40を加熱溶解する。
【0028】
アルミニウム合金再生地金40を溶解した再生溶湯44は、管路52を通じて溶湯供給ノズル59に送られ、双ロール連続鋳造機77によって、例えば2〜12mmの帯状のアルミニウム板79に直接鋳造される。このようして作製したアルミニウム板79を、引き続き冷間圧延機81により圧延処理し、さらに必要に応じて焼鈍処理や矯正処理を行い再生印刷版用支持体83を得る。
【0029】
この場合も、再生地金溶解炉42がアルミニウム合金再生地金40を専用に溶解する溶解炉であると、得られる再生溶湯44の成分純度(アルミニウム純度や、微量金属含有量)の変動を極力抑えることができる。また再生地金溶解炉42には、アルミニウム合金再生地金40を溶解する前にアルミニウム含有量が99.5%以上の純アルミニウムを溶解させる処理を行って、内部を洗浄することが再生品のアルミニウム純度向上の観点から好ましい。また、再生地金溶解炉42にはアルミニウム合金再生地金40を投入する前に、予め、溶解炉容量の1/3から1/2程度、前もって溶湯が満たされていることが好ましい。したがって、リサイクルの第一段階では、予め純アルミニウム等の溶湯を上記程度の量存在させておくとよい。
【0030】
以上の通り、上述した材料再生方法により供給されるアルミニウム合金再生地金40を用い、印刷版用支持体を製造することにより、アルミニウム純度や不純物組成の異なるアルミニウム回収材料から、所望の組成成分の印刷版用支持体を高効率でしかも低コストで得ることができる。
【0031】
したがって、特に、低グレード(低アルミニウム純度)の印刷版用支持体を高グレード(高アルミニウム純度)の印刷版用支持体再生のクローズドループに載せて、アップグレードリサイクルすることができる。その結果、アルミニウム純度や不純物組成が異なる各種のアルミニウム回収材料11を、効率良く印刷版用支持体のリサイクルに使用することができる。
【0032】
また、製品仕様の変更等で印刷版用支持体のアルミニウム純度や組成成分が異なる製品が主流となっても、アルミニウム再生地金の混合比を適宜調整することで、仕様通りの製品を低コストでしかも安定して再生できる。また、供給量の多い高グレードの印刷版用支持体のリサイクルループに、数量がごく僅かな低グレードの印刷版用支持体の回収品や、アルミ缶等の低品位材料を載せることができ、今まで、品質低下するカスケードリサイクルにされていた資源の再利用が可能となる。
【0033】
さらに、高グレードで同じアルミニウム純度、同等レベルの不純物組成の回収印刷版を多数回収し、これを再生材料にするときは、新地金の比率を下げたクローズドリサイクルが行え、低グレードの回収印刷版や組成不明のアルミニウム回収材料を取り込みたいときは、新地金の比率を上げたセミクローズドリサイクルの設定として、回収品の在庫を最小にするとともに、コストの最小化を図ることが可能となる。
【0034】
このように、本発明は上記の実施形態に限定されるものではなく、明細書の記載、並びに周知の技術に基づいて、当業者が変更、応用することも本発明の予定するところであり、保護を求める範囲に含まれる。
【0035】
以上の通り、本明細書には次の事項が開示されている。
(1)回収された使用済みの印刷版用支持体を含むアルミニウム回収材料より作成したアルミニウム合金再生地金を、アルミニウム合金組成の定まった印刷版用支持体の製造工程に供給する印刷版用支持体の材料再生方法であって、
前記アルミニウム回収材料をアルミニウム純度及び微量金属含有率の異なる組成別の複数のグループに分別するステップと、
前記分別されたグループ毎に専用の回収材溶解炉を割り当て、該回収材溶解炉に対応するグループの前記アルミニウム回収材料をそれぞれ投入して加熱溶解するステップと、
前記加熱溶解して得たアルミニウム溶湯を所定の形状及び重さに成形して前記回収材溶解炉毎にアルミニウム合金再生地金を得るステップと、
前記アルミニウム合金組成の定まった印刷版支持体の所望アルミニウム純度及び所望微量金属含有率になるように前記アルミニウム合金再生地金それぞれの配合比を決定するステップと、
前記決定した配合比で各アルミニウム合金再生地金を再生地金溶解炉に投入して加熱溶解し、前記再生地金溶解炉に続く鋳造及び圧延工程により帯状のアルミニウム基体を作製するステップと、
前記アルミニウム基体を印刷版用支持体の製造工程に供給するステップと、
を含む印刷版用支持体の材料再生方法。
(2)前記分別グループの数が3以上である(1)記載の印刷版用支持体の材料再生方法。
(3)前記配合比の決定に際して、アルミニウム合金再生地金以外にさらに純アルミニウム材料を用いる(1)又は(2)記載の印刷版用支持体の材料再生方法。
(4)前記回収材溶解炉で前記アルミニウム合金再生地金を加熱溶解する温度が、680℃〜900℃の温度範囲である(1)〜(3)のいずれかに記載の印刷版用支持体の材料再生方法。
この印刷版用支持体の材料再生方法によれば、アルミニウム純度や不純物組成別に複数のグループに分別された回収印刷版、および低品位の回収アルミ材料を元に、所望の印刷版用支持体の原料を得ることができる。また、各グループ毎に異なる溶解炉を使用するため、各溶解炉内の溶湯の組成成分を一定に保つことが容易となる。
【符号の説明】
【0036】
11…アルミニウム回収材料
13…高純度アルミニウム新地金
15,17,19…回収材溶解炉
31A,31B,31C…再生地金
38…再生塊製造装置
40…アルミニウム合金再生地金
42…再生地金溶解炉
44…再生溶湯
52…管路
77…双ロール連続鋳造機
79…アルミニウム板
81…冷間圧延機
83…再生印刷版用支持体
100 印刷版用支持体の材料再生装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
回収された使用済みの印刷版用支持体を含むアルミニウム回収材料より作成したアルミニウム合金再生地金を、アルミニウム合金組成の定まった印刷版用支持体の製造工程に供給する印刷版用支持体の材料再生方法であって、
前記アルミニウム回収材料をアルミニウム純度及び微量金属含有率の異なる組成別の複数のグループに分別するステップと、
前記分別されたグループ毎に専用の回収材溶解炉を割り当て、該回収材溶解炉に対応するグループの前記アルミニウム回収材料をそれぞれ投入して加熱溶解するステップと、
前記加熱溶解して得たアルミニウム溶湯を所定の形状及び重さに成形して前記回収材溶解炉毎にアルミニウム合金再生地金を得るステップと、
前記アルミニウム合金組成の定まった印刷版支持体の所望アルミニウム純度及び所望微量金属含有率になるように前記アルミニウム合金再生地金それぞれの配合比を決定するステップと、
前記決定した配合比で各アルミニウム合金再生地金を再生地金溶解炉に投入して加熱溶解し、前記再生地金溶解炉に続く鋳造及び圧延工程により帯状のアルミニウム基体を作製するステップと、
前記アルミニウム基体を印刷版用支持体の製造工程に供給するステップと、
を含む印刷版用支持体の材料再生方法。
【請求項2】
前記分別グループの数が3以上である請求項1記載の印刷版用支持体の材料再生方法。
【請求項3】
前記配合比の決定に際して、アルミニウム合金再生地金以外にさらに純アルミニウム材料を用いる請求項1又は請求項2記載の印刷版用支持体の材料再生方法。
【請求項4】
前記回収材溶解炉で前記アルミニウム合金再生地金を加熱溶解する温度が、680℃〜900℃の温度範囲である請求項1〜請求項3のいずれか1項記載の印刷版用支持体の材料再生方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2011−102422(P2011−102422A)
【公開日】平成23年5月26日(2011.5.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−257986(P2009−257986)
【出願日】平成21年11月11日(2009.11.11)
【出願人】(306037311)富士フイルム株式会社 (25,513)
【Fターム(参考)】