印刷装置、印刷システム、印刷方法およびプログラム
【課題】装置構成を簡易にしつつ、高品質な印刷結果を得ること。
【解決手段】印刷装置は、画像生成装置と第１転送路と第２転送路とで接続された印刷装置であって、画像データを第１解像度で印刷する印刷手段と、第１解像度の画像データを、前記画像生成装置から前記第１転送路を介して受信する第１データ制御手段と、前記第１解像度より低い第２解像度の画像データを、前記画像生成装置から前記第２転送路を介して受信する第２データ制御手段と、前記第１データ制御手段から前記第１解像度の画像データを受信し、受信した前記第１解像度の画像データをそのまま前記印刷手段で印刷させる制御を行い、前記第２データ制御手段から前記第２解像度の画像データを受信し、受信した前記第２解像度の画像データを前記第１解像度の画像データに変換しながら前記印刷手段で印刷させる制御を行う画像出力制御手段と、を備えた。
【解決手段】印刷装置は、画像生成装置と第１転送路と第２転送路とで接続された印刷装置であって、画像データを第１解像度で印刷する印刷手段と、第１解像度の画像データを、前記画像生成装置から前記第１転送路を介して受信する第１データ制御手段と、前記第１解像度より低い第２解像度の画像データを、前記画像生成装置から前記第２転送路を介して受信する第２データ制御手段と、前記第１データ制御手段から前記第１解像度の画像データを受信し、受信した前記第１解像度の画像データをそのまま前記印刷手段で印刷させる制御を行い、前記第２データ制御手段から前記第２解像度の画像データを受信し、受信した前記第２解像度の画像データを前記第１解像度の画像データに変換しながら前記印刷手段で印刷させる制御を行う画像出力制御手段と、を備えた。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【０００１】
本発明は、印刷装置、印刷システム、印刷方法およびプログラムに関する。
【背景技術】
【０００２】
画像形成システムとして、画像形成装置と、この画像形成装置に印刷データを渡し印刷指示をする上位装置であるＤＦＥ（Ｄｉｇｉｔａｌ Ｆｒｏｎｔ Ｅｎｄ Ｐｒｏｃｅｓｓｏｒ）装置とから構成されているものがある。描画機能を備えたＤＦＥ装置は、たとえば、ホスト装置から送信されたページ記述言語ＰＤＬで記述された印刷データからラスタイメージを生成するＲＩＰ処理（Ｒａｓｔｅｒ Ｉｍａｇｅ Ｐｒｏｃｅｓｓ）を行い、生成したラスタイメージを画像形成装置に転送するシステムが既に知られている（例えば、特許文献１参照）。
【０００３】
また、上記画像形成装置とは異なり、プリンタコントローラ、プリンタエンジン、及び、プリンタコントローラとプリンタエンジンとの間を接続するデータ線を備えるプリンタ装置が既に知られている（例えば、特許文献２参照）。このプリンタ装置では、データ転送を高速化する目的で、各種制御情報をやり取りする制御線と印刷データのやり取りを行うデータ線を分離し、データ転送の高速化が図られている。
【０００４】
一方、特許文献３には、低解像度の印刷データのうち、バーコードやＯＣＲ等光学的に読み取られる印刷箇所については高解像度で印刷可能にする印刷装置に関する内容が開示されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【０００５】
しかしながら、このような従来技術の方式では、低解像度部分に関しては、一旦低解像度でラスター処理されてビットマップメモリに格納されているビットマップデータを高解像度に変換して別のビットマップメモリに格納し、高解像度でラスター処理されている高解像度部分のビットマップデータと合成して印刷を行う方式となっている。
【０００６】
このため、最終的には高解像度のビットマップデータ同士を合成して印刷しており、そのため上記した低解像度データを解像度変換して高解像度のビットマップデータを格納するビットマップメモリ、およびそのビットマップデータと高解像度部分のビットマップデータを合成して出力するためのデータ合成部が必要となり、装置構成が過大になるという問題があった。
【０００７】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、装置構成を簡易にしつつ、高品質な印刷結果を得ることができる印刷装置、印刷システム、印刷方法およびプログラムを提供することを主な目的とする。
【課題を解決するための手段】
【０００８】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明にかかる印刷装置は、画像生成装置と第１転送路と第２転送路とで接続された印刷装置であって、画像データを第１解像度で印刷する印刷手段と、第１解像度の画像データを、前記画像生成装置から前記第１転送路を介して受信する第１データ制御手段と、前記第１解像度より低い第２解像度の画像データを、前記画像生成装置から前記第２転送路を介して受信する第２データ制御手段と、前記第１データ制御手段から前記第１解像度の画像データを受信し、受信した前記第１解像度の画像データをそのまま前記印刷手段で印刷させる制御を行い、前記第２データ制御手段から前記第２解像度の画像データを受信し、受信した前記第２解像度の画像データを前記第１解像度の画像データに変換しながら前記印刷手段で印刷させる制御を行う画像出力制御手段と、を備えたことを特徴とする。
【０００９】
また、本発明にかかる印刷システムは、印刷対象の画像データを生成する画像生成装置と、前記画像生成装置と第１転送路と第２転送路とで接続された印刷装置とを備えた印刷システムであって、前記画像生成装置は、第１解像度の画像データを前記第１転送路を介して前記印刷装置に送信し、前記第１解像度より低い第２解像度の画像データを前記第２転送路を介して前記印刷装置に送信し、前記印刷装置は、前記画像データを前記第１解像度で印刷する印刷手段と、前記第１解像度の画像データを、前記画像生成装置から前記第１転送路を介して受信する第１データ制御手段と、前記第２解像度の画像データを、前記画像生成装置から前記第２転送路を介して受信する第２データ制御手段と、前記第１データ制御手段から前記第１解像度の画像データを受信し、受信した前記第１解像度の画像データをそのまま前記印刷手段で印刷させる制御を行い、前記第２データ制御手段から前記第２解像度の画像データを受信し、受信した前記第２解像度の画像データを前記第１解像度の画像データに変換しながら前記印刷手段で印刷させる制御を行う画像出力制御手段と、を備えたことを特徴とする。
【００１０】
また、本発明にかかる印刷方法は、画像生成装置と第１転送路と第２転送路とで接続された印刷装置で実行される印刷方法であって、印刷手段が、画像データを第１解像度で印刷する印刷ステップと、第１データ制御手段が、第１解像度の画像データを前記第１転送路を介して受信する第１データ制御ステップと、第２データ制御手段が、前記第１解像度より低い第２解像度の画像データを前記第２転送路を介して受信する第２データ制御ステップと、画像出力制御手段が、前記第１データ制御手段から前記第１解像度の画像データを受信し、受信した前記第１解像度の画像データをそのまま前記印刷手段で印刷させる制御を行い、前記第２データ制御手段から前記第２解像度の画像データを受信し、受信した前記第２解像度の画像データを前記第１解像度の画像データに変換しながら前記印刷手段で印刷させる制御を行う画像出力制御ステップと、を含むことを特徴とする。
【００１１】
また、本発明にかかるプログラムは、画像生成装置と第１転送路と第２転送路とで接続されたコンピュータに実行させるためのプログラムであって、画像データを第１解像度で印刷する印刷ステップと、第１解像度の画像データを前記第１転送路を介して受信する第１データ制御ステップと、前記第１解像度より低い第２解像度の画像データを前記第２転送路を介して受信する第２データ制御ステップと、前記第１解像度の画像データを受信し、受信した前記第１解像度の画像データをそのまま前記印刷ステップで印刷させる制御を行い、前記第２解像度の画像データを受信し、受信した前記第２解像度の画像データを前記第１解像度の画像データに変換しながら前記印刷ステップで印刷させる制御を行う画像出力制御ステップと、を前記コンピュータに実行させる。
【発明の効果】
【００１２】
本発明によれば、装置構成を簡易にしつつ、高品質な印刷結果を得ることができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【００１３】
【図１】図１は、実施の形態１に適用可能な印刷システムの一例の構成を示す図である。
【図２】図２は、上位装置１０の一例の構成を示す図である。
【図３】図３は、実施の形態１にかかるプリンタ装置の機能的構成を示す図である。
【図４】図４は、本実施形態に適用可能な、用紙の搬送系を含めたプリンタ装置２００の一例の構造を概略的に示す図である。
【図５】図５は、本実施形態に適用される転送管理テーブルの一例を示す図である。
【図６】図６は、２４０ｄｐｉの印刷画像データの一例を示す図である。
【図７】図７は６００ｄｐｉの印刷画像データの一例を示す図である。
【図８】図８は、２４０ｄｐｉ印刷機構部１０６１による印刷処理の手順を示すフローチャートである。
【図９】図９は、６００ｄｐｉ印刷機構部１０６２による印刷処理の手順を示すフローチャートである。
【図１０】図１０は、印刷結果を示す図である。
【図１１】図１１は、本実施形態に適用可能な印刷処理を概念的に示す一例のシーケンス図である。
【図１２−１】図１２−１は、各実施形態に適用可能な印刷処理をより具体的に示す一例のシーケンス図である。
【図１２−２】図１２−２は、各実施形態に適用可能な印刷処理をより具体的に示す一例のシーケンス図である。
【図１２−３】図１２−３は、各実施形態に適用可能な印刷処理をより具体的に示す一例のシーケンス図である。
【図１３】図１３は、実施の形態２のプリンタ装置１３の機能的構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【００１４】
以下に添付図面を参照して、この発明にかかる印刷装置、印刷システム、印刷方法およびプログラムの実施の形態を詳細に説明する。
【００１５】
（実施の形態１）
以下に添付図面を参照して、この発明にかかる印刷装置、印刷システム、印刷方法およびプログラムの実施の形態を詳細に説明する。
【００１６】
先ず、理解を容易とするために、本実施形態による印刷システムが適用されるプロダクションプリンティングについて、概略的に説明する。プロダクションプリンティングでは、短時間に大量の印刷を行うことを基本的な考え方としている。そのために、プロダクションプリンティングでは、印刷の高速化を図ると共に、ジョブ管理や印刷データの管理などを効率的に行うために、印刷データの作成から印刷物の分配までの管理を行うワークフローのシステムを構築する。
【００１７】
本実施形態による印刷システムは、プロダクションプリンティングのワークフローにおける、印刷を実行する部分に関わるもので、ＲＩＰ(Raster Image Processor)処理と、ＲＩＰ処理により得られたビットマップデータの印刷とを別の装置で行う。ＲＩＰ処理は、印刷処理の中でも最も処理時間を要し、ＲＩＰ処理を行う装置と、印刷処理を行う装置とを分離することで、印刷の高速化が可能となる。
【００１８】
図１は、本実施形態に適用可能な印刷システムの一例の構成を示す。この印刷システムは、上位装置１０と、印刷装置としてのプリンタ装置１３とが、複数のデータ線１０３と、制御線１０２とで接続されて構成される。上位装置１０は、ホスト装置から供給される印刷ジョブデータに従ってＲＩＰ処理を行い、印刷画像データである各色毎のビットマップデータを作成する。それと共に、上位装置１０は、当該印刷ジョブデータやホスト装置の情報などに基づき、印刷動作を制御するための制御情報を作成する。
【００１９】
上位装置１０で作成された各色毎の印刷画像データは、複数のデータ線１１をそれぞれ介してプリンタ装置１３の図示されないプリンタエンジン部に供給される。また、上位装置１０とプリンタコントローラ１４との間で、制御線１２を介して制御情報の送受信が行われる。プリンタコントローラ１４は、この制御情報の送受信に基づきプリンタエンジン部を制御して、印刷ジョブに従った印刷を実行する。
【００２０】
印刷方式は特に限定されないが、本実施形態では、インクジェット方式により印刷用紙に対して印刷画像を形成する。また、印刷用紙は、切断可能なミシン目が所定間隔で打たれた連続紙である連帳紙（連続帳票）を用いるものとする。プロダクションプリンティングでは、印刷用紙としてこの連帳紙を用いることが多い。勿論、これに限らず、Ａ４サイズ、Ｂ４サイズなど、サイズが固定的とされたカット紙を印刷用紙として用いてもよい。なお、連帳紙において、ページは、例えば所定間隔で打たれたミシン目で挟まれる領域をいうものとする。
【００２１】
図２は、上位装置１０の一例の構成を示す。バス１００に対してＣＰＵ(Central Processing Unit)１０１、ＲＯＭ(Read Only Memory)１０２、ＲＡＭ(Random Access Memory)１０３、ハードディスクドライブ（ＨＤＤ）１０４が接続される。バス１００に対して、さらに、外部Ｉ／Ｆ１１０、制御情報用Ｉ／Ｆ１１１および画像データ用Ｉ／Ｆ１１２が接続される。バス１００に接続されたこれら各部は、バス１００を介して互いに通信可能とされている。
【００２２】
ＲＯＭ１０２およびＨＤＤ１０４は、ＣＰＵ１０１が動作するためのプログラムが予め格納される。ＲＡＭ１０３は、ＣＰＵ１０１のワークメモリとして用いられる。すなわち、ＣＰＵ１０１は、ＲＯＭ１０２およびＨＤＤ１０４に格納されるプログラムに従い、ＲＡＭ１０３をワークメモリとして用いて、この上位装置１０の全体の動作を制御する。
【００２３】
外部Ｉ／Ｆ１１０は、例えばＴＣＰ／ＩＰ(Transmission Control Protocol/Internet Protocol)に対応し、ホスト装置との通信を制御する。制御情報用Ｉ／Ｆ１１１は、制御情報の通信を制御する。また、画像データ用Ｉ／Ｆ１１２は、印刷画像データの通信を制御するもので、複数のチャネルを有する。例えば、上位装置１０において作成された、色Ｙ(Yellow)、Ｃ(Cyan)、Ｍ(Magenta)およびＫ(Black) による各色の印刷画像データは、これら複数のチャネルからそれぞれ出力される。画像データ用Ｉ／Ｆ１１２は、高速な転送速度が要求されるため、例えばＰＣＩ Ｅｘｐｒｅｓｓ(Peripheral Component Interconnect Bus Express)が用いられる。制御情報用Ｉ／Ｆ１１１の方式は特に限定されないが、ここでは、画像データ用Ｉ／Ｆ１１２と同様に、ＰＣＩ Ｅｘｐｒｅｓｓを用いるものとする。
【００２４】
このような構成において、ホスト装置から送信された印刷ジョブデータが、上位装置１０の外部Ｉ／Ｆ１１０に受信され、ＣＰＵ１０１を介してＨＤＤ１０４に格納される。ＣＰＵ１０１は、ＨＤＤ１０４から読み出した印刷ジョブデータに基づきＲＩＰ処理を行い、各色のビットマップデータを生成してＲＡＭ１０３にそれぞれ書き出す。例えば、ＣＰＵ１０１は、ＲＩＰ処理によりＰＤＬ(Page Description Language)をレンダリングして各色のビットマップデータを生成してＲＡＭ１０３に書き出す。ＣＰＵ１０１は、ＲＡＭ１０３に書き出された各色のビットマップデータを圧縮符号化してＨＤＤ１０４に一旦格納する。
【００２５】
ＣＰＵ１０１は、例えばプリンタ装置１３において印刷動作が開始される際に、ＨＤＤ１０４から圧縮符号化された各色のビットマップデータを読み出して圧縮符号を復号し、伸張された各色のビットマップデータをＲＡＭ１０３にそれぞれ書き込む。そして、ＣＰＵ１０１は、ＲＡＭ１０３からこれら各色のビットマップデータを読み出して、各色の印刷画像データとして画像データ用Ｉ／Ｆ１１２の各チャネルからそれぞれ出力させ、プリンタ装置１３に対して供給する。また、ＣＰＵ１０１は、印刷動作の進行などに応じて、プリンタ装置１３との間で制御情報用Ｉ／Ｆ１１１を介して制御情報の送受信を行う。
【００２６】
プリンタ装置１３は、プリンタコントローラ１０５、印刷機構部１０６１および１０６２、用紙搬送制御部１０７を有し、プリンタコントローラ１０５と各印刷機構部１０６および１０６２は印刷機構部制御線１１３にて接続されており、プリンタコントローラ１０５と用紙搬送制御部１０７は用紙搬送制御部制御線１１４で接続されている。
【００２７】
図３は、本実施の形態にかかるプリンタ装置の機能的構成を示す図である。プリンタ装置１３は、プリンタコントローラ１０５１およびプリンタエンジン１５を有する。プリンタコントローラ１４は、制御線１２が接続され、上位装置１０との間で制御線１２を介して制御情報の送受信を行って印刷動作の制御を行う。プリンタエンジン１５は、複数のデータ線１１ａ、１１ｂ、１１ｃおよび１１ｄがそれぞれ接続され、プリンタコントローラ１４の制御に従い、これらデータ線１１ａ、１１ｂ、１１ｃおよび１１ｄをそれぞれ介して上位装置１０から転送された各色の印刷画像データによる印刷処理を行う。
【００２８】
上位装置１０とプリンタ装置１３は、上位Ｉ／Ｆ制御線１０２とデータ通信路１０３で接続されている。上位Ｉ／Ｆ制御線１０２は、プリンタコントローラ１０５に接続され、、データ線１０３は印刷機構部１０６１および１０６２に接続される。データ線１０３のうち、一本は、２４０ｄｐｉの印刷データの転送用のデータ線であり、もう１本は、６００ｄｐｉの印刷データの転送用のデータ線である。
【００２９】
プリンタコントローラ１０５１にはＣＰＵ１１２および印刷制御部１１１が搭載されている。
【００３０】
印刷機構部１０６１には、２４０ｄｐｉデータ制御部１０８１、画像出力制御部１０９１、および４つのヘッド１１０１が搭載されている。同様に、印刷機構部１０６２には、６００ｄｐｉデータ制御部１０８２、画像出力制御部１０９２、およびヘッド１１０２が搭載されている。
【００３１】
２４０ｄｐｉデータ制御部１０８１、および６００ｄｐｉデータ制御部１０８２の内部にはそれぞれメモリ１１６１、およびメモリ１１６２が搭載されている。
【００３２】
上位装置１０は、印刷データをＲＩＰ処理して、文字などのデータは低解像度の２４０ｄｐｉのビットマップデータを作成し、光学的に読み取られる部分については６００ｄｐｉの高解像度のビットマップデータを作成する。
【００３３】
上位装置１０は、作成したビットマップに関する制御情報を、上位Ｉ／Ｆ制御線１０２より、プリンタコントローラ１０５１に送信する。
【００３４】
上位装置１０は、プリンタコントローラ１０５１からの転送開始要求を受信した印刷画像データを、データ通信路１０３を経由し、２４０ｄｐｉの印刷画像データを２４０ｄｐｉデータ制御部１０８１に、６００ｄｐｉの印刷画像データを６００ｄｐｉデータ制御部１０８２にそれぞれ転送する。
【００３５】
プリンタコントローラ１０５１は、上位装置１０より制御情報を受信すると、印刷制御部１１１より、２４０ｄｐｉデータ制御部１０８１および６００ｄｐｉデータ制御部１０８２に対し、印刷機構部制御線１１３を介して、印刷画像データの転送開始を通知し、上位Ｉ／Ｆ制御線１０２より、上位装置１０に印刷画像データの転送開始を要求する。
【００３６】
プリンタコントローラ１０５１内の印刷制御部１１１は、用紙搬送制御部制御線１１４を経由し、用紙搬送制御部１０７に用紙搬送要求を通知する。
【００３７】
印刷制御部１１１は、印刷機構部制御線１１３を経由し、各データ制御部１０８１、１０８２、および各画像出力制御部１０９１、１０９２に用紙の搬送開始を通知する。
【００３８】
用紙搬送制御部１０７は、用紙搬送要求に従い、搬送を開始し、印刷制御部１１１に、印刷可能状態を報告する。
【００３９】
印刷機構部１０６１，１０６２の各データ制御部１０８１、１０８２は、転送された印刷画像データを、それぞれ内部のメモリ１１６１、および１１６２に格納する。
【００４０】
画像出力制御部１０９１では、用紙搬送にあわせて、２４０ｄｐｉデータ制御部１０８１内部のメモリ１１６１に格納した２４０ｄｐｉの印刷画像データを読み出し、ヘッド１１０１の解像度（本実施例では６００ｄｐｉとする）に解像度変換しながら、ヘッド１１０１へと出力し、同様に画像出力制御部１０９２では、用紙搬送にあわせて、６００ｄｐｉデータ制御部１０８２内部のメモリ１１６２に格納された６０００ｄｐｉの印刷画像データを読み出し、こちらは解像度変換無しにそのままヘッド１１０２へと出力する。
【００４１】
ヘッド１１０１では画像出力制御部１０９１から送られたデータに従いインクを用紙上に吐出して印刷を行い、同様にヘッド１１０２では画像出力制御部１０９２から送られたデータに従いインクを用紙上に吐出して印刷を行うことで、２つのデータの重ね印字が実行できる。
【００４２】
図４は、本実施形態に適用可能な、用紙の搬送系を含めたプリンタ装置２００の一例の構造を概略的に示す。既に述べたように、本実施形態では、プリンタ装置２００は、印刷用紙として連帳紙を用いる。
【００４３】
印刷用紙２０１は、印刷用紙補給部２１０から電源操作ボックス２２０を介して第１搬送部２３０に供給される。印刷用紙２０１は、第１搬送部２３０において、搬送制御部５１の搬送制御により複数のローラなどを介して搬送されて位置合わせなどがなされ、上述のプリンタエンジン１５に対応するプリンタエンジン部２４０および２５０に供給される。
【００４４】
プリンタエンジン部２４０および２５０は、上述の画像出力部５０に対応する印刷部２４１において、第１搬送部２３０から供給された印刷用紙２０１に対して印刷画像データに従った印刷を行う。印刷が終了した印刷用紙２０１は、搬送制御部５１の搬送制御によりプリンタエンジン部２５０から排出され、第２搬送部２６０に供給される。印刷後の印刷用紙２０１は、第２搬送部２６０の内部で所定に搬送されて排出され、裁断部２７０に供給される。印刷後の印刷用紙２０１は、裁断部２７０によりミシン目に従い裁断され各ページを分離される。
【００４５】
ここで、プリンタ装置２００は、ページが連続した連続紙である印刷用紙２０１に印刷を行うため、プリンタエンジン部２４０および２５０における印刷用紙２０１への印刷後、当該印刷用紙２０１が第２搬送部２６０から排出されるまでの経路にも、印刷用紙２０１が絶えず存在することになる。
【００４６】
なお、第１搬送部２３０、プリンタエンジン部２４０および２５０、ならびに、第２搬送部２６０からなる構成をもう一組用意して、前側の第２搬送部２６０から排出された印刷後の印刷用紙２０１を表裏反転して後側の第１搬送部２３０に供給することで、印刷用紙２０１に対する両面印刷が可能となる。
【００４７】
図５は、本実施形態に適用される転送管理テーブルの一例を示す。転送管理テーブルは、Ｋ２４０ｄｐｉ，Ｋ６００ｄｐｉの各色に共通の情報と、各色毎の情報とを含む。また、各色共通の情報および各色毎の情報は、それぞれ、上位装置１０からの画像データの転送のために用いるデータ転送用の情報と、画像出力制御部５０に対する印刷指示に関する情報である印刷用の情報とを含む。
【００４８】
本実施形態による各色共通の情報について説明する。各色共通の情報において、データ転送用および印刷用以外の情報として、ＰＢＩＤと、ステーション１６の順序を示すステーション番号と、１ページ当たりのデータ数とが含まれる。ＰＢＩＤは、印刷ページを識別するためのページ識別子であり、当該転送管理テーブルは、このＰＢＩＤにより識別される。ステーション番号は、上述したように、ステーション１６が有する識別部５２に設定されたステーション識別情報の値であって、用紙送り方向の手前側から値が「１」、「２」、「３」、…と値「１」から順次増加される。ここでは、プリンタ装置１３が４台のステーション１６1、１６2、１６3および１６4を備え、ステーション番号は、値「１」〜値「４」の各値を取る。１ページ当たりのデータ数は、ＰＢＩＤで識別されるページに用いられる色数であり、例えばモノクロの場合は値が「１」、フルカラーの場合は値が「４」とされる。
【００４９】
本実施形態に適用される各色共通の情報におけるデータ転送用の情報は、データ格納先アドレス、１ラスタデータ転送サイズ、アドレス更新値および更新回数を含む。データ転送元アドレスは、上位装置１０においてＰＢＩＤで示されるページの画像データが格納されるアドレスを示す。データ格納先アドレスは、上述した入力ポインタが示すアドレスである。したがって、入力ポインタが更新される度に、データ格納先アドレスも更新される。
【００５０】
１ラスタデータ転送サイズは、各ステーション１６1〜１６4のデータ制御部の要求により転送される、１ラスタ（１ライン）分の画像データのデータサイズを示す。１ラスタデータ転送サイズは、バウンダリ調整サイズを含む。
【００５１】
アドレス更新値は、上位装置１０に対して１のラスタ画像データを要求する際に指定する際の、前回１ラスタ画像データを指定した際のアドレスに対するアドレスの増加分であって、アドレスがデータサイズに従い指定される場合、１ラスタデータ転送サイズにステーション数ｍを乗じた値とされる。ステーション数ｍが４のこの例では、アドレス更新値＝１ラスタデータ転送サイズ×４とされる。更新回数は、１ページ内においてアドレス更新値によるアドレスの更新を何回行うかを示し、１ページ分の画像データサイズ（バウンダリ調整サイズ含む）をステーション数ｍで除した値が用いられる。ステーション数ｍが４のこの例では、更新回数＝１ページ分の画像データサイズ÷４とされる。
【００５２】
また、本実施の形態では、転送する印刷画像データの解像度を示すための解像度が設定れている。この解像度は、２４０ｄｐｉ、６００ｄｐｉのいずれかが設定される。
【００５３】
本実施形態に適用される各色共通の情報における印刷用の情報について説明する。印刷用の情報は、印刷を行う画像データの情報として解像度および階調を含み、印刷対象に関する情報として用紙送り長、用紙幅、印刷面（表／裏）、印刷不可領域（上／下／左／右）および画像情報を含む。画像情報は、ビットマップ印刷位置Ｘおよびビットマップ印刷位置Ｙ、ならびに、Ｘ方向有効サイズおよびＹ方向有効サイズを含む。
【００５４】
印刷を行う画像データの情報において、解像度は、主走査および副走査方向それぞれの印刷解像度を示す。また、階調は、１画素当たりのビット数を示す。
【００５５】
印刷不可領域上、下、左、右は、印刷を禁止する印刷不可領域２０３を、ページ領域２０２の上端（用紙送り方向の先頭）、下端（用紙送り方向の後端）、左端（用紙幅方向の用紙送り方向に向けて左端）、右端（用紙幅方向の用紙送り方向に向けて右端）それぞれからのドット数で示す。
【００５６】
画像情報のうち、ビットマップ印刷位置ＸおよびＹは、ページ領域２０２の左上（用紙送り方向の先頭、且つ、用紙幅方向の左端）を原点とした場合の、印刷開始位置のアドレス（座標）をドット数で示す。また、画像情報のうち、Ｘ方向有効サイズは、Ｘ方向（用紙幅方向）のバウンダリ調整領域２０５を含まないサイズをドット数で示す。バウンダリ調整領域２０５は、１ラスタデータのデータサイズが所定単位（例えばバイト単位）以下の端数を含む場合に、データサイズを所定単位に揃えるために設けられる。また、Ｙ方向有効サイズがＹ方向（用紙送り方向）のサイズをドット数で示す。すなわち、Ｘ方向有効サイズは、１のラスタデータにより印刷される有効なサイズを示し、Ｙ方向有効サイズは、Ｘ方向有効サイズで印刷されるラスタ数（ライン数）を示す。
【００５７】
本実施形態による各色毎の情報について説明する。各色毎の情報において、データ転送用および印刷用以外の情報として、Ｋ２４０ｄｐｉ，Ｋ６００ｄｐｉ各色のうち何れの印刷色に関する情報が記述されるかを示すＣｏｌｏｒ識別子が含まれる。各色毎の情報は、構成が共通するので、以下では、Ｃｏｌｏｒ識別子が「Ｋ２４０ｄｐｉ」の情報について説明する。転送管理テーブルには、各色毎の情報がＫ２４０ｄｐｉ，Ｋ６００ｄｐｉ各色についてそれぞれ含まれる。
【００５８】
本第１の実施形態に適用される各色毎の情報におけるデータ転送用の情報は、データ転送元アドレス、データ転送要否および転送済みフラグを含む。転送済みフラグは、ステーション番号で示されるステーション１６における、Ｃｏｌｏｒ識別子で識別される色の１ページ分の画像データの転送が完了したか否かを示す。転送完了で、値を「ＯＮ」とする。
【００５９】
データ転送元アドレスは、上位装置１０においてＰＢＩＤで示されるページの画像データが格納されるアドレスを示す。
【００６０】
データ転送要否は、当該印刷色の画像データの転送の要否を示す。例えば、白紙すなわち印刷を行わない場合は、Ｋ２４０ｄｐｉ，Ｋ６００ｄｐｉの全色について、データ転送要否を「否」とする。また、Ｃｏｌｏｒ（Ｋ２４０ｄｐｉ，Ｋ６００ｄｐｉ）で指示される色以外は、データ転送要否を「否」に設定する。
【００６１】
本第１の実施形態に適用される各色毎の情報における印刷用の情報は、印刷要否を含む。印刷要否は、当該印刷色の画像データの印刷の要否を示す。例えば、白紙すなわち印刷を行わない場合は、Ｋ２４０ｄｐｉ，Ｋ６００ｄｐｉの全色について、印刷要否を「否」とする。また、Ｃｏｌｏｒ識別子で指示される色以外は、印刷要否を「否」に設定する。
【００６２】
以下、本実施の形態の印刷処理について説明する。上位装置１０では、ＲＩＰ処理により２４０ｄｐｉの印刷画像データと６００ｄｐｉの印刷画像データを生成する。図６は、２４０ｄｐｉの印刷画像データの一例を示す図である。図７は６００ｄｐｉの印刷画像データの一例を示す図である。この例では、文字、罫線については２４０ｄｐｉの印刷画像データを生成し、バーコードについては６００ｄｐｉの印刷画像データを生成している。そして、上位装置１０は、２４０ｄｐｉの印刷画像データを２４０ｄｐｉ用のデータ通信路１０３で印刷機構部１０６１に送信し、６００ｄｐｉの印刷画像データを６００ｄｐｉ用のデータ通信路１０３で印刷機構部１０６１に送信する。
【００６３】
図８は、２４０ｄｐｉ印刷機構部１０６１による印刷処理の手順を示すフローチャートである。データ制御部１０８１は、上位装置１０から２４０ｄｐｉ印刷画像データ（ビットマップデータ）を受信し（ステップＳ１１）、メモリ１１６１に保存する。そして、画像出力制御部１０９１は、メモリ１１６１から２４０ｄｐｉ印刷画像データを取得して、６００ｄｐｉの解像度に変換しながら、ヘッド１１０１に出力する（ステップＳ１２）。次に、ヘッド１１０１は、６００ｄｐｉに変換された印刷画像データをインク吐出して用紙に印刷する（ステップＳ１３）。
【００６４】
図９は、６００ｄｐｉ印刷機構部１０６２による印刷処理の手順を示すフローチャートである。データ制御部１０８２は、上位装置１０から６００ｄｐｉ印刷画像データ（ビットマップデータ）を受信し（ステップＳ２１）、メモリ１１６２に保存する。そして、画像出力制御部１０９２は、メモリ１１６２から６００ｄｐｉ印刷画像データを取得して、解像度変換せずにそのままヘッド１１０２に出力する（ステップＳ２２）。次に、ヘッド１１０１は、６００ｄｐｉの印刷画像データを、２４０ｄｐｉの印刷画像データが印刷された用紙上に重ねてインク吐出して印刷する（ステップＳ２３）。このようにして印刷された結果は図１０に示すようになる。
【００６５】
図１１は、本実施形態に適用可能な印刷処理を概念的に示す一例のシーケンス図である。図１２−１〜図１２−３は、各実施形態に適用可能な印刷処理をより具体的に示す一例のシーケンス図である。
【００６６】
このように本実施の形態では、上位装置１０とプリンタ装置１３の間の制御線及びデータ線を分離し、データ転送路１０３を解像度毎に分離し、一解像度あたり一個のデータ制御部１０８１，１０８２を備え、各解像度のデータ制御部１０８１，１０８２とデータ線で接続する画像制御出力部１０９１，１０９２を経由し印刷画像データをヘッド１１０１、１１０２に出力する構成になっている。このような本実施の形態において、低解像度（２４０ｄｐｉ）の印刷画像データと高解像度（６００ｄｐｉ）の印刷画像データとをそれぞれ個別のデータ制御部１０８１，１０８２に転送し、画像出力制御部１０９１，１０９２によって印刷解像度を統一した上でヘッド１１０１，１１０２に出力することで、低解像度の印刷データと高解像度の印刷データを合成印刷（重ね印刷）できる。このため、本実施の形態では、低解像度の印刷画像データを解像度変換した高解像度データを格納するためのビットマップメモリ、およびそのビットマップデータと高解像度部分のビットマップデータを合成して出力するためのデータ合成部を必要とせず、装置構成を簡易にしつつ、高品質な印刷結果を得ることができる。
【００６７】
（実施の形態２）
図１３は、実施の形態２のプリンタ装置１３の機能的構成を示す図である。この実施の形態２では、画像出力制御部１０９１とヘッド１１０１とを、２４０ｄｐｉの印刷画像データ、６００ｄｐｉの印刷画像データとで共用した点が実施の形態１と異なっている。
【００６８】
すなわち、本実施の形態の画像出力制御部１０９１は、２４０ｄｐｉデータ制御部１０８１から２４０ｄｐｉの印刷画像データを受信し、受信した２４０ｄｐｉの印刷画像データを６００ｄｐｉの解像度に変換しながら、ヘッド１１０１に出力する。一方、画像出力制御部１０９１は、６００ｄｐｉデータ制御部１０８２から６００ｄｐｉの印刷画像データを受信し、受信した６００ｄｐｉの印刷画像データを解像度変換せずにヘッド１１０１に出力する。これにより、上述した図１０と同様の印刷結果を得られる。各データ制御部１０８１，１０８２の機能、構成は実施の形態１と同様である。
【００６９】
このように本実施の形態では、画像出力制御部１０９１とヘッド１１０１とを、２４０ｄｐｉの印刷画像データ、６００ｄｐｉの印刷画像データとで共用しているので、装置構成をより簡易にしつつ、高品質な印刷結果を得ることができる。
【００７０】
（変形例）
なお、上記実施の形態１、２ではモノクロ印刷を例にあげて説明したが、カラー印刷において、ブラック（Ｋ）を低解像度、高解像度の２種類わけて印刷する場合にも適用することができる。
【００７１】
また、本実施の形態では、印刷画像データの解像度を２４０ｄｐｉと６００ｄｐｉとして説明したが、解像度についてはこれらに限定されるものではない。
【００７２】
なお、本実施の形態のプリンタ装置で実行される印刷プログラムは、ＲＯＭ等に予め組み込まれて提供される。
【００７３】
本実施の形態のプリンタ装置で実行される印刷プログラムは、インストール可能な形式又は実行可能な形式のファイルでＣＤ−ＲＯＭ、フレキシブルディスク（ＦＤ）、ＣＤ−Ｒ、ＤＶＤ（Ｄｉｇｉｔａｌ Ｖｅｒｓａｔｉｌｅ Ｄｉｓｋ）等のコンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録して提供するように構成してもよい。
【００７４】
さらに、本実施の形態のプリンタ装置で実行される印刷プログラムを、インターネット等のネットワークに接続されたコンピュータ上に格納し、ネットワーク経由でダウンロードさせることにより提供するように構成しても良い。また、本実施の形態のプリンタ装置で実行される印刷プログラムをインターネット等のネットワーク経由で提供または配布するように構成しても良い。
【００７５】
本実施の形態のプリンタ装置で実行される印刷プログラムは、上述した各部を含むモジュール構成となっており、実際のハードウェアとしてはＣＰＵ（プロセッサ）が上記ＲＯＭから印刷プログラムを読み出して実行することにより上記各部が主記憶装置上にロードされ、各部が主記憶装置上に生成されるようになっている。
【符号の説明】
【００７６】
１０ 上位装置
１０３ データ線
１０２ 制御線
１３ プリンタ装置
１０５１ プリンタコントローラ
１０６１，１０６２ 印刷機構部
２２ 印刷制御部
１０８１，１０８２ データ制御部
１１６１，１１６２ メモリ
１０９１，１０９２ 画像出力制御部
１１０１，１１０２ ヘッド
１０７ 用紙搬送制御部
【先行技術文献】
【特許文献】
【００７７】
【特許文献１】特開２００４−２８７５１９号公報
【特許文献２】特開２００２−２５４７６３号公報
【特許文献３】特開２００８−９３１号公報
【技術分野】
【０００１】
本発明は、印刷装置、印刷システム、印刷方法およびプログラムに関する。
【背景技術】
【０００２】
画像形成システムとして、画像形成装置と、この画像形成装置に印刷データを渡し印刷指示をする上位装置であるＤＦＥ（Ｄｉｇｉｔａｌ Ｆｒｏｎｔ Ｅｎｄ Ｐｒｏｃｅｓｓｏｒ）装置とから構成されているものがある。描画機能を備えたＤＦＥ装置は、たとえば、ホスト装置から送信されたページ記述言語ＰＤＬで記述された印刷データからラスタイメージを生成するＲＩＰ処理（Ｒａｓｔｅｒ Ｉｍａｇｅ Ｐｒｏｃｅｓｓ）を行い、生成したラスタイメージを画像形成装置に転送するシステムが既に知られている（例えば、特許文献１参照）。
【０００３】
また、上記画像形成装置とは異なり、プリンタコントローラ、プリンタエンジン、及び、プリンタコントローラとプリンタエンジンとの間を接続するデータ線を備えるプリンタ装置が既に知られている（例えば、特許文献２参照）。このプリンタ装置では、データ転送を高速化する目的で、各種制御情報をやり取りする制御線と印刷データのやり取りを行うデータ線を分離し、データ転送の高速化が図られている。
【０００４】
一方、特許文献３には、低解像度の印刷データのうち、バーコードやＯＣＲ等光学的に読み取られる印刷箇所については高解像度で印刷可能にする印刷装置に関する内容が開示されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【０００５】
しかしながら、このような従来技術の方式では、低解像度部分に関しては、一旦低解像度でラスター処理されてビットマップメモリに格納されているビットマップデータを高解像度に変換して別のビットマップメモリに格納し、高解像度でラスター処理されている高解像度部分のビットマップデータと合成して印刷を行う方式となっている。
【０００６】
このため、最終的には高解像度のビットマップデータ同士を合成して印刷しており、そのため上記した低解像度データを解像度変換して高解像度のビットマップデータを格納するビットマップメモリ、およびそのビットマップデータと高解像度部分のビットマップデータを合成して出力するためのデータ合成部が必要となり、装置構成が過大になるという問題があった。
【０００７】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、装置構成を簡易にしつつ、高品質な印刷結果を得ることができる印刷装置、印刷システム、印刷方法およびプログラムを提供することを主な目的とする。
【課題を解決するための手段】
【０００８】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明にかかる印刷装置は、画像生成装置と第１転送路と第２転送路とで接続された印刷装置であって、画像データを第１解像度で印刷する印刷手段と、第１解像度の画像データを、前記画像生成装置から前記第１転送路を介して受信する第１データ制御手段と、前記第１解像度より低い第２解像度の画像データを、前記画像生成装置から前記第２転送路を介して受信する第２データ制御手段と、前記第１データ制御手段から前記第１解像度の画像データを受信し、受信した前記第１解像度の画像データをそのまま前記印刷手段で印刷させる制御を行い、前記第２データ制御手段から前記第２解像度の画像データを受信し、受信した前記第２解像度の画像データを前記第１解像度の画像データに変換しながら前記印刷手段で印刷させる制御を行う画像出力制御手段と、を備えたことを特徴とする。
【０００９】
また、本発明にかかる印刷システムは、印刷対象の画像データを生成する画像生成装置と、前記画像生成装置と第１転送路と第２転送路とで接続された印刷装置とを備えた印刷システムであって、前記画像生成装置は、第１解像度の画像データを前記第１転送路を介して前記印刷装置に送信し、前記第１解像度より低い第２解像度の画像データを前記第２転送路を介して前記印刷装置に送信し、前記印刷装置は、前記画像データを前記第１解像度で印刷する印刷手段と、前記第１解像度の画像データを、前記画像生成装置から前記第１転送路を介して受信する第１データ制御手段と、前記第２解像度の画像データを、前記画像生成装置から前記第２転送路を介して受信する第２データ制御手段と、前記第１データ制御手段から前記第１解像度の画像データを受信し、受信した前記第１解像度の画像データをそのまま前記印刷手段で印刷させる制御を行い、前記第２データ制御手段から前記第２解像度の画像データを受信し、受信した前記第２解像度の画像データを前記第１解像度の画像データに変換しながら前記印刷手段で印刷させる制御を行う画像出力制御手段と、を備えたことを特徴とする。
【００１０】
また、本発明にかかる印刷方法は、画像生成装置と第１転送路と第２転送路とで接続された印刷装置で実行される印刷方法であって、印刷手段が、画像データを第１解像度で印刷する印刷ステップと、第１データ制御手段が、第１解像度の画像データを前記第１転送路を介して受信する第１データ制御ステップと、第２データ制御手段が、前記第１解像度より低い第２解像度の画像データを前記第２転送路を介して受信する第２データ制御ステップと、画像出力制御手段が、前記第１データ制御手段から前記第１解像度の画像データを受信し、受信した前記第１解像度の画像データをそのまま前記印刷手段で印刷させる制御を行い、前記第２データ制御手段から前記第２解像度の画像データを受信し、受信した前記第２解像度の画像データを前記第１解像度の画像データに変換しながら前記印刷手段で印刷させる制御を行う画像出力制御ステップと、を含むことを特徴とする。
【００１１】
また、本発明にかかるプログラムは、画像生成装置と第１転送路と第２転送路とで接続されたコンピュータに実行させるためのプログラムであって、画像データを第１解像度で印刷する印刷ステップと、第１解像度の画像データを前記第１転送路を介して受信する第１データ制御ステップと、前記第１解像度より低い第２解像度の画像データを前記第２転送路を介して受信する第２データ制御ステップと、前記第１解像度の画像データを受信し、受信した前記第１解像度の画像データをそのまま前記印刷ステップで印刷させる制御を行い、前記第２解像度の画像データを受信し、受信した前記第２解像度の画像データを前記第１解像度の画像データに変換しながら前記印刷ステップで印刷させる制御を行う画像出力制御ステップと、を前記コンピュータに実行させる。
【発明の効果】
【００１２】
本発明によれば、装置構成を簡易にしつつ、高品質な印刷結果を得ることができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【００１３】
【図１】図１は、実施の形態１に適用可能な印刷システムの一例の構成を示す図である。
【図２】図２は、上位装置１０の一例の構成を示す図である。
【図３】図３は、実施の形態１にかかるプリンタ装置の機能的構成を示す図である。
【図４】図４は、本実施形態に適用可能な、用紙の搬送系を含めたプリンタ装置２００の一例の構造を概略的に示す図である。
【図５】図５は、本実施形態に適用される転送管理テーブルの一例を示す図である。
【図６】図６は、２４０ｄｐｉの印刷画像データの一例を示す図である。
【図７】図７は６００ｄｐｉの印刷画像データの一例を示す図である。
【図８】図８は、２４０ｄｐｉ印刷機構部１０６１による印刷処理の手順を示すフローチャートである。
【図９】図９は、６００ｄｐｉ印刷機構部１０６２による印刷処理の手順を示すフローチャートである。
【図１０】図１０は、印刷結果を示す図である。
【図１１】図１１は、本実施形態に適用可能な印刷処理を概念的に示す一例のシーケンス図である。
【図１２−１】図１２−１は、各実施形態に適用可能な印刷処理をより具体的に示す一例のシーケンス図である。
【図１２−２】図１２−２は、各実施形態に適用可能な印刷処理をより具体的に示す一例のシーケンス図である。
【図１２−３】図１２−３は、各実施形態に適用可能な印刷処理をより具体的に示す一例のシーケンス図である。
【図１３】図１３は、実施の形態２のプリンタ装置１３の機能的構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【００１４】
以下に添付図面を参照して、この発明にかかる印刷装置、印刷システム、印刷方法およびプログラムの実施の形態を詳細に説明する。
【００１５】
（実施の形態１）
以下に添付図面を参照して、この発明にかかる印刷装置、印刷システム、印刷方法およびプログラムの実施の形態を詳細に説明する。
【００１６】
先ず、理解を容易とするために、本実施形態による印刷システムが適用されるプロダクションプリンティングについて、概略的に説明する。プロダクションプリンティングでは、短時間に大量の印刷を行うことを基本的な考え方としている。そのために、プロダクションプリンティングでは、印刷の高速化を図ると共に、ジョブ管理や印刷データの管理などを効率的に行うために、印刷データの作成から印刷物の分配までの管理を行うワークフローのシステムを構築する。
【００１７】
本実施形態による印刷システムは、プロダクションプリンティングのワークフローにおける、印刷を実行する部分に関わるもので、ＲＩＰ(Raster Image Processor)処理と、ＲＩＰ処理により得られたビットマップデータの印刷とを別の装置で行う。ＲＩＰ処理は、印刷処理の中でも最も処理時間を要し、ＲＩＰ処理を行う装置と、印刷処理を行う装置とを分離することで、印刷の高速化が可能となる。
【００１８】
図１は、本実施形態に適用可能な印刷システムの一例の構成を示す。この印刷システムは、上位装置１０と、印刷装置としてのプリンタ装置１３とが、複数のデータ線１０３と、制御線１０２とで接続されて構成される。上位装置１０は、ホスト装置から供給される印刷ジョブデータに従ってＲＩＰ処理を行い、印刷画像データである各色毎のビットマップデータを作成する。それと共に、上位装置１０は、当該印刷ジョブデータやホスト装置の情報などに基づき、印刷動作を制御するための制御情報を作成する。
【００１９】
上位装置１０で作成された各色毎の印刷画像データは、複数のデータ線１１をそれぞれ介してプリンタ装置１３の図示されないプリンタエンジン部に供給される。また、上位装置１０とプリンタコントローラ１４との間で、制御線１２を介して制御情報の送受信が行われる。プリンタコントローラ１４は、この制御情報の送受信に基づきプリンタエンジン部を制御して、印刷ジョブに従った印刷を実行する。
【００２０】
印刷方式は特に限定されないが、本実施形態では、インクジェット方式により印刷用紙に対して印刷画像を形成する。また、印刷用紙は、切断可能なミシン目が所定間隔で打たれた連続紙である連帳紙（連続帳票）を用いるものとする。プロダクションプリンティングでは、印刷用紙としてこの連帳紙を用いることが多い。勿論、これに限らず、Ａ４サイズ、Ｂ４サイズなど、サイズが固定的とされたカット紙を印刷用紙として用いてもよい。なお、連帳紙において、ページは、例えば所定間隔で打たれたミシン目で挟まれる領域をいうものとする。
【００２１】
図２は、上位装置１０の一例の構成を示す。バス１００に対してＣＰＵ(Central Processing Unit)１０１、ＲＯＭ(Read Only Memory)１０２、ＲＡＭ(Random Access Memory)１０３、ハードディスクドライブ（ＨＤＤ）１０４が接続される。バス１００に対して、さらに、外部Ｉ／Ｆ１１０、制御情報用Ｉ／Ｆ１１１および画像データ用Ｉ／Ｆ１１２が接続される。バス１００に接続されたこれら各部は、バス１００を介して互いに通信可能とされている。
【００２２】
ＲＯＭ１０２およびＨＤＤ１０４は、ＣＰＵ１０１が動作するためのプログラムが予め格納される。ＲＡＭ１０３は、ＣＰＵ１０１のワークメモリとして用いられる。すなわち、ＣＰＵ１０１は、ＲＯＭ１０２およびＨＤＤ１０４に格納されるプログラムに従い、ＲＡＭ１０３をワークメモリとして用いて、この上位装置１０の全体の動作を制御する。
【００２３】
外部Ｉ／Ｆ１１０は、例えばＴＣＰ／ＩＰ(Transmission Control Protocol/Internet Protocol)に対応し、ホスト装置との通信を制御する。制御情報用Ｉ／Ｆ１１１は、制御情報の通信を制御する。また、画像データ用Ｉ／Ｆ１１２は、印刷画像データの通信を制御するもので、複数のチャネルを有する。例えば、上位装置１０において作成された、色Ｙ(Yellow)、Ｃ(Cyan)、Ｍ(Magenta)およびＫ(Black) による各色の印刷画像データは、これら複数のチャネルからそれぞれ出力される。画像データ用Ｉ／Ｆ１１２は、高速な転送速度が要求されるため、例えばＰＣＩ Ｅｘｐｒｅｓｓ(Peripheral Component Interconnect Bus Express)が用いられる。制御情報用Ｉ／Ｆ１１１の方式は特に限定されないが、ここでは、画像データ用Ｉ／Ｆ１１２と同様に、ＰＣＩ Ｅｘｐｒｅｓｓを用いるものとする。
【００２４】
このような構成において、ホスト装置から送信された印刷ジョブデータが、上位装置１０の外部Ｉ／Ｆ１１０に受信され、ＣＰＵ１０１を介してＨＤＤ１０４に格納される。ＣＰＵ１０１は、ＨＤＤ１０４から読み出した印刷ジョブデータに基づきＲＩＰ処理を行い、各色のビットマップデータを生成してＲＡＭ１０３にそれぞれ書き出す。例えば、ＣＰＵ１０１は、ＲＩＰ処理によりＰＤＬ(Page Description Language)をレンダリングして各色のビットマップデータを生成してＲＡＭ１０３に書き出す。ＣＰＵ１０１は、ＲＡＭ１０３に書き出された各色のビットマップデータを圧縮符号化してＨＤＤ１０４に一旦格納する。
【００２５】
ＣＰＵ１０１は、例えばプリンタ装置１３において印刷動作が開始される際に、ＨＤＤ１０４から圧縮符号化された各色のビットマップデータを読み出して圧縮符号を復号し、伸張された各色のビットマップデータをＲＡＭ１０３にそれぞれ書き込む。そして、ＣＰＵ１０１は、ＲＡＭ１０３からこれら各色のビットマップデータを読み出して、各色の印刷画像データとして画像データ用Ｉ／Ｆ１１２の各チャネルからそれぞれ出力させ、プリンタ装置１３に対して供給する。また、ＣＰＵ１０１は、印刷動作の進行などに応じて、プリンタ装置１３との間で制御情報用Ｉ／Ｆ１１１を介して制御情報の送受信を行う。
【００２６】
プリンタ装置１３は、プリンタコントローラ１０５、印刷機構部１０６１および１０６２、用紙搬送制御部１０７を有し、プリンタコントローラ１０５と各印刷機構部１０６および１０６２は印刷機構部制御線１１３にて接続されており、プリンタコントローラ１０５と用紙搬送制御部１０７は用紙搬送制御部制御線１１４で接続されている。
【００２７】
図３は、本実施の形態にかかるプリンタ装置の機能的構成を示す図である。プリンタ装置１３は、プリンタコントローラ１０５１およびプリンタエンジン１５を有する。プリンタコントローラ１４は、制御線１２が接続され、上位装置１０との間で制御線１２を介して制御情報の送受信を行って印刷動作の制御を行う。プリンタエンジン１５は、複数のデータ線１１ａ、１１ｂ、１１ｃおよび１１ｄがそれぞれ接続され、プリンタコントローラ１４の制御に従い、これらデータ線１１ａ、１１ｂ、１１ｃおよび１１ｄをそれぞれ介して上位装置１０から転送された各色の印刷画像データによる印刷処理を行う。
【００２８】
上位装置１０とプリンタ装置１３は、上位Ｉ／Ｆ制御線１０２とデータ通信路１０３で接続されている。上位Ｉ／Ｆ制御線１０２は、プリンタコントローラ１０５に接続され、、データ線１０３は印刷機構部１０６１および１０６２に接続される。データ線１０３のうち、一本は、２４０ｄｐｉの印刷データの転送用のデータ線であり、もう１本は、６００ｄｐｉの印刷データの転送用のデータ線である。
【００２９】
プリンタコントローラ１０５１にはＣＰＵ１１２および印刷制御部１１１が搭載されている。
【００３０】
印刷機構部１０６１には、２４０ｄｐｉデータ制御部１０８１、画像出力制御部１０９１、および４つのヘッド１１０１が搭載されている。同様に、印刷機構部１０６２には、６００ｄｐｉデータ制御部１０８２、画像出力制御部１０９２、およびヘッド１１０２が搭載されている。
【００３１】
２４０ｄｐｉデータ制御部１０８１、および６００ｄｐｉデータ制御部１０８２の内部にはそれぞれメモリ１１６１、およびメモリ１１６２が搭載されている。
【００３２】
上位装置１０は、印刷データをＲＩＰ処理して、文字などのデータは低解像度の２４０ｄｐｉのビットマップデータを作成し、光学的に読み取られる部分については６００ｄｐｉの高解像度のビットマップデータを作成する。
【００３３】
上位装置１０は、作成したビットマップに関する制御情報を、上位Ｉ／Ｆ制御線１０２より、プリンタコントローラ１０５１に送信する。
【００３４】
上位装置１０は、プリンタコントローラ１０５１からの転送開始要求を受信した印刷画像データを、データ通信路１０３を経由し、２４０ｄｐｉの印刷画像データを２４０ｄｐｉデータ制御部１０８１に、６００ｄｐｉの印刷画像データを６００ｄｐｉデータ制御部１０８２にそれぞれ転送する。
【００３５】
プリンタコントローラ１０５１は、上位装置１０より制御情報を受信すると、印刷制御部１１１より、２４０ｄｐｉデータ制御部１０８１および６００ｄｐｉデータ制御部１０８２に対し、印刷機構部制御線１１３を介して、印刷画像データの転送開始を通知し、上位Ｉ／Ｆ制御線１０２より、上位装置１０に印刷画像データの転送開始を要求する。
【００３６】
プリンタコントローラ１０５１内の印刷制御部１１１は、用紙搬送制御部制御線１１４を経由し、用紙搬送制御部１０７に用紙搬送要求を通知する。
【００３７】
印刷制御部１１１は、印刷機構部制御線１１３を経由し、各データ制御部１０８１、１０８２、および各画像出力制御部１０９１、１０９２に用紙の搬送開始を通知する。
【００３８】
用紙搬送制御部１０７は、用紙搬送要求に従い、搬送を開始し、印刷制御部１１１に、印刷可能状態を報告する。
【００３９】
印刷機構部１０６１，１０６２の各データ制御部１０８１、１０８２は、転送された印刷画像データを、それぞれ内部のメモリ１１６１、および１１６２に格納する。
【００４０】
画像出力制御部１０９１では、用紙搬送にあわせて、２４０ｄｐｉデータ制御部１０８１内部のメモリ１１６１に格納した２４０ｄｐｉの印刷画像データを読み出し、ヘッド１１０１の解像度（本実施例では６００ｄｐｉとする）に解像度変換しながら、ヘッド１１０１へと出力し、同様に画像出力制御部１０９２では、用紙搬送にあわせて、６００ｄｐｉデータ制御部１０８２内部のメモリ１１６２に格納された６０００ｄｐｉの印刷画像データを読み出し、こちらは解像度変換無しにそのままヘッド１１０２へと出力する。
【００４１】
ヘッド１１０１では画像出力制御部１０９１から送られたデータに従いインクを用紙上に吐出して印刷を行い、同様にヘッド１１０２では画像出力制御部１０９２から送られたデータに従いインクを用紙上に吐出して印刷を行うことで、２つのデータの重ね印字が実行できる。
【００４２】
図４は、本実施形態に適用可能な、用紙の搬送系を含めたプリンタ装置２００の一例の構造を概略的に示す。既に述べたように、本実施形態では、プリンタ装置２００は、印刷用紙として連帳紙を用いる。
【００４３】
印刷用紙２０１は、印刷用紙補給部２１０から電源操作ボックス２２０を介して第１搬送部２３０に供給される。印刷用紙２０１は、第１搬送部２３０において、搬送制御部５１の搬送制御により複数のローラなどを介して搬送されて位置合わせなどがなされ、上述のプリンタエンジン１５に対応するプリンタエンジン部２４０および２５０に供給される。
【００４４】
プリンタエンジン部２４０および２５０は、上述の画像出力部５０に対応する印刷部２４１において、第１搬送部２３０から供給された印刷用紙２０１に対して印刷画像データに従った印刷を行う。印刷が終了した印刷用紙２０１は、搬送制御部５１の搬送制御によりプリンタエンジン部２５０から排出され、第２搬送部２６０に供給される。印刷後の印刷用紙２０１は、第２搬送部２６０の内部で所定に搬送されて排出され、裁断部２７０に供給される。印刷後の印刷用紙２０１は、裁断部２７０によりミシン目に従い裁断され各ページを分離される。
【００４５】
ここで、プリンタ装置２００は、ページが連続した連続紙である印刷用紙２０１に印刷を行うため、プリンタエンジン部２４０および２５０における印刷用紙２０１への印刷後、当該印刷用紙２０１が第２搬送部２６０から排出されるまでの経路にも、印刷用紙２０１が絶えず存在することになる。
【００４６】
なお、第１搬送部２３０、プリンタエンジン部２４０および２５０、ならびに、第２搬送部２６０からなる構成をもう一組用意して、前側の第２搬送部２６０から排出された印刷後の印刷用紙２０１を表裏反転して後側の第１搬送部２３０に供給することで、印刷用紙２０１に対する両面印刷が可能となる。
【００４７】
図５は、本実施形態に適用される転送管理テーブルの一例を示す。転送管理テーブルは、Ｋ２４０ｄｐｉ，Ｋ６００ｄｐｉの各色に共通の情報と、各色毎の情報とを含む。また、各色共通の情報および各色毎の情報は、それぞれ、上位装置１０からの画像データの転送のために用いるデータ転送用の情報と、画像出力制御部５０に対する印刷指示に関する情報である印刷用の情報とを含む。
【００４８】
本実施形態による各色共通の情報について説明する。各色共通の情報において、データ転送用および印刷用以外の情報として、ＰＢＩＤと、ステーション１６の順序を示すステーション番号と、１ページ当たりのデータ数とが含まれる。ＰＢＩＤは、印刷ページを識別するためのページ識別子であり、当該転送管理テーブルは、このＰＢＩＤにより識別される。ステーション番号は、上述したように、ステーション１６が有する識別部５２に設定されたステーション識別情報の値であって、用紙送り方向の手前側から値が「１」、「２」、「３」、…と値「１」から順次増加される。ここでは、プリンタ装置１３が４台のステーション１６1、１６2、１６3および１６4を備え、ステーション番号は、値「１」〜値「４」の各値を取る。１ページ当たりのデータ数は、ＰＢＩＤで識別されるページに用いられる色数であり、例えばモノクロの場合は値が「１」、フルカラーの場合は値が「４」とされる。
【００４９】
本実施形態に適用される各色共通の情報におけるデータ転送用の情報は、データ格納先アドレス、１ラスタデータ転送サイズ、アドレス更新値および更新回数を含む。データ転送元アドレスは、上位装置１０においてＰＢＩＤで示されるページの画像データが格納されるアドレスを示す。データ格納先アドレスは、上述した入力ポインタが示すアドレスである。したがって、入力ポインタが更新される度に、データ格納先アドレスも更新される。
【００５０】
１ラスタデータ転送サイズは、各ステーション１６1〜１６4のデータ制御部の要求により転送される、１ラスタ（１ライン）分の画像データのデータサイズを示す。１ラスタデータ転送サイズは、バウンダリ調整サイズを含む。
【００５１】
アドレス更新値は、上位装置１０に対して１のラスタ画像データを要求する際に指定する際の、前回１ラスタ画像データを指定した際のアドレスに対するアドレスの増加分であって、アドレスがデータサイズに従い指定される場合、１ラスタデータ転送サイズにステーション数ｍを乗じた値とされる。ステーション数ｍが４のこの例では、アドレス更新値＝１ラスタデータ転送サイズ×４とされる。更新回数は、１ページ内においてアドレス更新値によるアドレスの更新を何回行うかを示し、１ページ分の画像データサイズ（バウンダリ調整サイズ含む）をステーション数ｍで除した値が用いられる。ステーション数ｍが４のこの例では、更新回数＝１ページ分の画像データサイズ÷４とされる。
【００５２】
また、本実施の形態では、転送する印刷画像データの解像度を示すための解像度が設定れている。この解像度は、２４０ｄｐｉ、６００ｄｐｉのいずれかが設定される。
【００５３】
本実施形態に適用される各色共通の情報における印刷用の情報について説明する。印刷用の情報は、印刷を行う画像データの情報として解像度および階調を含み、印刷対象に関する情報として用紙送り長、用紙幅、印刷面（表／裏）、印刷不可領域（上／下／左／右）および画像情報を含む。画像情報は、ビットマップ印刷位置Ｘおよびビットマップ印刷位置Ｙ、ならびに、Ｘ方向有効サイズおよびＹ方向有効サイズを含む。
【００５４】
印刷を行う画像データの情報において、解像度は、主走査および副走査方向それぞれの印刷解像度を示す。また、階調は、１画素当たりのビット数を示す。
【００５５】
印刷不可領域上、下、左、右は、印刷を禁止する印刷不可領域２０３を、ページ領域２０２の上端（用紙送り方向の先頭）、下端（用紙送り方向の後端）、左端（用紙幅方向の用紙送り方向に向けて左端）、右端（用紙幅方向の用紙送り方向に向けて右端）それぞれからのドット数で示す。
【００５６】
画像情報のうち、ビットマップ印刷位置ＸおよびＹは、ページ領域２０２の左上（用紙送り方向の先頭、且つ、用紙幅方向の左端）を原点とした場合の、印刷開始位置のアドレス（座標）をドット数で示す。また、画像情報のうち、Ｘ方向有効サイズは、Ｘ方向（用紙幅方向）のバウンダリ調整領域２０５を含まないサイズをドット数で示す。バウンダリ調整領域２０５は、１ラスタデータのデータサイズが所定単位（例えばバイト単位）以下の端数を含む場合に、データサイズを所定単位に揃えるために設けられる。また、Ｙ方向有効サイズがＹ方向（用紙送り方向）のサイズをドット数で示す。すなわち、Ｘ方向有効サイズは、１のラスタデータにより印刷される有効なサイズを示し、Ｙ方向有効サイズは、Ｘ方向有効サイズで印刷されるラスタ数（ライン数）を示す。
【００５７】
本実施形態による各色毎の情報について説明する。各色毎の情報において、データ転送用および印刷用以外の情報として、Ｋ２４０ｄｐｉ，Ｋ６００ｄｐｉ各色のうち何れの印刷色に関する情報が記述されるかを示すＣｏｌｏｒ識別子が含まれる。各色毎の情報は、構成が共通するので、以下では、Ｃｏｌｏｒ識別子が「Ｋ２４０ｄｐｉ」の情報について説明する。転送管理テーブルには、各色毎の情報がＫ２４０ｄｐｉ，Ｋ６００ｄｐｉ各色についてそれぞれ含まれる。
【００５８】
本第１の実施形態に適用される各色毎の情報におけるデータ転送用の情報は、データ転送元アドレス、データ転送要否および転送済みフラグを含む。転送済みフラグは、ステーション番号で示されるステーション１６における、Ｃｏｌｏｒ識別子で識別される色の１ページ分の画像データの転送が完了したか否かを示す。転送完了で、値を「ＯＮ」とする。
【００５９】
データ転送元アドレスは、上位装置１０においてＰＢＩＤで示されるページの画像データが格納されるアドレスを示す。
【００６０】
データ転送要否は、当該印刷色の画像データの転送の要否を示す。例えば、白紙すなわち印刷を行わない場合は、Ｋ２４０ｄｐｉ，Ｋ６００ｄｐｉの全色について、データ転送要否を「否」とする。また、Ｃｏｌｏｒ（Ｋ２４０ｄｐｉ，Ｋ６００ｄｐｉ）で指示される色以外は、データ転送要否を「否」に設定する。
【００６１】
本第１の実施形態に適用される各色毎の情報における印刷用の情報は、印刷要否を含む。印刷要否は、当該印刷色の画像データの印刷の要否を示す。例えば、白紙すなわち印刷を行わない場合は、Ｋ２４０ｄｐｉ，Ｋ６００ｄｐｉの全色について、印刷要否を「否」とする。また、Ｃｏｌｏｒ識別子で指示される色以外は、印刷要否を「否」に設定する。
【００６２】
以下、本実施の形態の印刷処理について説明する。上位装置１０では、ＲＩＰ処理により２４０ｄｐｉの印刷画像データと６００ｄｐｉの印刷画像データを生成する。図６は、２４０ｄｐｉの印刷画像データの一例を示す図である。図７は６００ｄｐｉの印刷画像データの一例を示す図である。この例では、文字、罫線については２４０ｄｐｉの印刷画像データを生成し、バーコードについては６００ｄｐｉの印刷画像データを生成している。そして、上位装置１０は、２４０ｄｐｉの印刷画像データを２４０ｄｐｉ用のデータ通信路１０３で印刷機構部１０６１に送信し、６００ｄｐｉの印刷画像データを６００ｄｐｉ用のデータ通信路１０３で印刷機構部１０６１に送信する。
【００６３】
図８は、２４０ｄｐｉ印刷機構部１０６１による印刷処理の手順を示すフローチャートである。データ制御部１０８１は、上位装置１０から２４０ｄｐｉ印刷画像データ（ビットマップデータ）を受信し（ステップＳ１１）、メモリ１１６１に保存する。そして、画像出力制御部１０９１は、メモリ１１６１から２４０ｄｐｉ印刷画像データを取得して、６００ｄｐｉの解像度に変換しながら、ヘッド１１０１に出力する（ステップＳ１２）。次に、ヘッド１１０１は、６００ｄｐｉに変換された印刷画像データをインク吐出して用紙に印刷する（ステップＳ１３）。
【００６４】
図９は、６００ｄｐｉ印刷機構部１０６２による印刷処理の手順を示すフローチャートである。データ制御部１０８２は、上位装置１０から６００ｄｐｉ印刷画像データ（ビットマップデータ）を受信し（ステップＳ２１）、メモリ１１６２に保存する。そして、画像出力制御部１０９２は、メモリ１１６２から６００ｄｐｉ印刷画像データを取得して、解像度変換せずにそのままヘッド１１０２に出力する（ステップＳ２２）。次に、ヘッド１１０１は、６００ｄｐｉの印刷画像データを、２４０ｄｐｉの印刷画像データが印刷された用紙上に重ねてインク吐出して印刷する（ステップＳ２３）。このようにして印刷された結果は図１０に示すようになる。
【００６５】
図１１は、本実施形態に適用可能な印刷処理を概念的に示す一例のシーケンス図である。図１２−１〜図１２−３は、各実施形態に適用可能な印刷処理をより具体的に示す一例のシーケンス図である。
【００６６】
このように本実施の形態では、上位装置１０とプリンタ装置１３の間の制御線及びデータ線を分離し、データ転送路１０３を解像度毎に分離し、一解像度あたり一個のデータ制御部１０８１，１０８２を備え、各解像度のデータ制御部１０８１，１０８２とデータ線で接続する画像制御出力部１０９１，１０９２を経由し印刷画像データをヘッド１１０１、１１０２に出力する構成になっている。このような本実施の形態において、低解像度（２４０ｄｐｉ）の印刷画像データと高解像度（６００ｄｐｉ）の印刷画像データとをそれぞれ個別のデータ制御部１０８１，１０８２に転送し、画像出力制御部１０９１，１０９２によって印刷解像度を統一した上でヘッド１１０１，１１０２に出力することで、低解像度の印刷データと高解像度の印刷データを合成印刷（重ね印刷）できる。このため、本実施の形態では、低解像度の印刷画像データを解像度変換した高解像度データを格納するためのビットマップメモリ、およびそのビットマップデータと高解像度部分のビットマップデータを合成して出力するためのデータ合成部を必要とせず、装置構成を簡易にしつつ、高品質な印刷結果を得ることができる。
【００６７】
（実施の形態２）
図１３は、実施の形態２のプリンタ装置１３の機能的構成を示す図である。この実施の形態２では、画像出力制御部１０９１とヘッド１１０１とを、２４０ｄｐｉの印刷画像データ、６００ｄｐｉの印刷画像データとで共用した点が実施の形態１と異なっている。
【００６８】
すなわち、本実施の形態の画像出力制御部１０９１は、２４０ｄｐｉデータ制御部１０８１から２４０ｄｐｉの印刷画像データを受信し、受信した２４０ｄｐｉの印刷画像データを６００ｄｐｉの解像度に変換しながら、ヘッド１１０１に出力する。一方、画像出力制御部１０９１は、６００ｄｐｉデータ制御部１０８２から６００ｄｐｉの印刷画像データを受信し、受信した６００ｄｐｉの印刷画像データを解像度変換せずにヘッド１１０１に出力する。これにより、上述した図１０と同様の印刷結果を得られる。各データ制御部１０８１，１０８２の機能、構成は実施の形態１と同様である。
【００６９】
このように本実施の形態では、画像出力制御部１０９１とヘッド１１０１とを、２４０ｄｐｉの印刷画像データ、６００ｄｐｉの印刷画像データとで共用しているので、装置構成をより簡易にしつつ、高品質な印刷結果を得ることができる。
【００７０】
（変形例）
なお、上記実施の形態１、２ではモノクロ印刷を例にあげて説明したが、カラー印刷において、ブラック（Ｋ）を低解像度、高解像度の２種類わけて印刷する場合にも適用することができる。
【００７１】
また、本実施の形態では、印刷画像データの解像度を２４０ｄｐｉと６００ｄｐｉとして説明したが、解像度についてはこれらに限定されるものではない。
【００７２】
なお、本実施の形態のプリンタ装置で実行される印刷プログラムは、ＲＯＭ等に予め組み込まれて提供される。
【００７３】
本実施の形態のプリンタ装置で実行される印刷プログラムは、インストール可能な形式又は実行可能な形式のファイルでＣＤ−ＲＯＭ、フレキシブルディスク（ＦＤ）、ＣＤ−Ｒ、ＤＶＤ（Ｄｉｇｉｔａｌ Ｖｅｒｓａｔｉｌｅ Ｄｉｓｋ）等のコンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録して提供するように構成してもよい。
【００７４】
さらに、本実施の形態のプリンタ装置で実行される印刷プログラムを、インターネット等のネットワークに接続されたコンピュータ上に格納し、ネットワーク経由でダウンロードさせることにより提供するように構成しても良い。また、本実施の形態のプリンタ装置で実行される印刷プログラムをインターネット等のネットワーク経由で提供または配布するように構成しても良い。
【００７５】
本実施の形態のプリンタ装置で実行される印刷プログラムは、上述した各部を含むモジュール構成となっており、実際のハードウェアとしてはＣＰＵ（プロセッサ）が上記ＲＯＭから印刷プログラムを読み出して実行することにより上記各部が主記憶装置上にロードされ、各部が主記憶装置上に生成されるようになっている。
【符号の説明】
【００７６】
１０ 上位装置
１０３ データ線
１０２ 制御線
１３ プリンタ装置
１０５１ プリンタコントローラ
１０６１，１０６２ 印刷機構部
２２ 印刷制御部
１０８１，１０８２ データ制御部
１１６１，１１６２ メモリ
１０９１，１０９２ 画像出力制御部
１１０１，１１０２ ヘッド
１０７ 用紙搬送制御部
【先行技術文献】
【特許文献】
【００７７】
【特許文献１】特開２００４−２８７５１９号公報
【特許文献２】特開２００２−２５４７６３号公報
【特許文献３】特開２００８−９３１号公報
【特許請求の範囲】
【請求項１】
画像生成装置と第１転送路と第２転送路とで接続された印刷装置であって、
画像データを第１解像度で印刷する印刷手段と、
第１解像度の画像データを、前記画像生成装置から前記第１転送路を介して受信する第１データ制御手段と、
前記第１解像度より低い第２解像度の画像データを、前記画像生成装置から前記第２転送路を介して受信する第２データ制御手段と、
前記第１データ制御手段から前記第１解像度の画像データを受信し、受信した前記第１解像度の画像データをそのまま前記印刷手段で印刷させる制御を行い、前記第２データ制御手段から前記第２解像度の画像データを受信し、受信した前記第２解像度の画像データを前記第１解像度の画像データに変換しながら前記印刷手段で印刷させる制御を行う画像出力制御手段と、
を備えたことを特徴とする印刷装置。
【請求項２】
前記画像出力制御手段は、
前記第１データ制御手段から前記第１解像度の画像データを受信し、受信した前記第１解像度の画像データをそのまま前記印刷手段で印刷させる制御を行う第１画像出力制御手段と、
前記第２データ制御手段から前記第２解像度の画像データを受信し、受信した前記第２解像度の画像データを前記第１解像度の画像データに変換しながらま前記印刷手段で印刷させる制御を行う第２画像出力制御手段と、を備え、
前記印刷手段は、
前記第１画像出力制御手段から前記第１解像度の画像データを受信して印刷する第１印刷手段と、
前記第２画像出力制御手段から、変換後の前記第１解像度の画像データを受信して印刷する第２印刷手段と、
を備えたことを特徴とする請求項１に記載の印刷装置。
【請求項３】
前記第１解像度の画像データおよび前記第２解像度の画像データは、モノクロ画像データであることを特徴とする請求項１または２に記載の印刷装置。
【請求項４】
第３転送路を介して、前記第１データ転送制御手段、前記第２データ転送制御手段毎に前記印刷データ生成装置に対して前記画像データの転送を要求する印刷制御部
をさらに備えたことを特徴とする請求項１〜３のいずれか一つに記載の印刷装置。
【請求項５】
印刷対象の画像データを生成する画像生成装置と、前記画像生成装置と第１転送路と第２転送路とで接続された印刷装置とを備えた印刷システムであって、
前記画像生成装置は、
第１解像度の画像データを前記第１転送路を介して前記印刷装置に送信し、前記第１解像度より低い第２解像度の画像データを前記第２転送路を介して前記印刷装置に送信し、
前記印刷装置は、
前記画像データを前記第１解像度で印刷する印刷手段と、
前記第１解像度の画像データを、前記画像生成装置から前記第１転送路を介して受信する第１データ制御手段と、
前記第２解像度の画像データを、前記画像生成装置から前記第２転送路を介して受信する第２データ制御手段と、
前記第１データ制御手段から前記第１解像度の画像データを受信し、受信した前記第１解像度の画像データをそのまま前記印刷手段で印刷させる制御を行い、前記第２データ制御手段から前記第２解像度の画像データを受信し、受信した前記第２解像度の画像データを前記第１解像度の画像データに変換しながら前記印刷手段で印刷させる制御を行う画像出力制御手段と、
を備えたことを特徴とする印刷システム。
【請求項６】
画像生成装置と第１転送路と第２転送路とで接続された印刷装置で実行される印刷方法であって、
印刷手段が、画像データを第１解像度で印刷する印刷ステップと、
第１データ制御手段が、第１解像度の画像データを前記第１転送路を介して受信する第１データ制御ステップと、
第２データ制御手段が、前記第１解像度より低い第２解像度の画像データを前記第２転送路を介して受信する第２データ制御ステップと、
画像出力制御手段が、前記第１データ制御手段から前記第１解像度の画像データを受信し、受信した前記第１解像度の画像データをそのまま前記印刷手段で印刷させる制御を行い、前記第２データ制御手段から前記第２解像度の画像データを受信し、受信した前記第２解像度の画像データを前記第１解像度の画像データに変換しながら前記印刷手段で印刷させる制御を行う画像出力制御ステップと、
を含むことを特徴とする印刷方法。
【請求項７】
画像生成装置と第１転送路と第２転送路とで接続されたコンピュータに実行させるためのプログラムであって、
画像データを第１解像度で印刷する印刷ステップと、
第１解像度の画像データを前記第１転送路を介して受信する第１データ制御ステップと、
前記第１解像度より低い第２解像度の画像データを前記第２転送路を介して受信する第２データ制御ステップと、
前記第１解像度の画像データを受信し、受信した前記第１解像度の画像データをそのまま前記印刷ステップで印刷させる制御を行い、前記第２解像度の画像データを受信し、受信した前記第２解像度の画像データを前記第１解像度の画像データに変換しながら前記印刷ステップで印刷させる制御を行う画像出力制御ステップと、
を前記コンピュータに実行させるプログラム。
【請求項１】
画像生成装置と第１転送路と第２転送路とで接続された印刷装置であって、
画像データを第１解像度で印刷する印刷手段と、
第１解像度の画像データを、前記画像生成装置から前記第１転送路を介して受信する第１データ制御手段と、
前記第１解像度より低い第２解像度の画像データを、前記画像生成装置から前記第２転送路を介して受信する第２データ制御手段と、
前記第１データ制御手段から前記第１解像度の画像データを受信し、受信した前記第１解像度の画像データをそのまま前記印刷手段で印刷させる制御を行い、前記第２データ制御手段から前記第２解像度の画像データを受信し、受信した前記第２解像度の画像データを前記第１解像度の画像データに変換しながら前記印刷手段で印刷させる制御を行う画像出力制御手段と、
を備えたことを特徴とする印刷装置。
【請求項２】
前記画像出力制御手段は、
前記第１データ制御手段から前記第１解像度の画像データを受信し、受信した前記第１解像度の画像データをそのまま前記印刷手段で印刷させる制御を行う第１画像出力制御手段と、
前記第２データ制御手段から前記第２解像度の画像データを受信し、受信した前記第２解像度の画像データを前記第１解像度の画像データに変換しながらま前記印刷手段で印刷させる制御を行う第２画像出力制御手段と、を備え、
前記印刷手段は、
前記第１画像出力制御手段から前記第１解像度の画像データを受信して印刷する第１印刷手段と、
前記第２画像出力制御手段から、変換後の前記第１解像度の画像データを受信して印刷する第２印刷手段と、
を備えたことを特徴とする請求項１に記載の印刷装置。
【請求項３】
前記第１解像度の画像データおよび前記第２解像度の画像データは、モノクロ画像データであることを特徴とする請求項１または２に記載の印刷装置。
【請求項４】
第３転送路を介して、前記第１データ転送制御手段、前記第２データ転送制御手段毎に前記印刷データ生成装置に対して前記画像データの転送を要求する印刷制御部
をさらに備えたことを特徴とする請求項１〜３のいずれか一つに記載の印刷装置。
【請求項５】
印刷対象の画像データを生成する画像生成装置と、前記画像生成装置と第１転送路と第２転送路とで接続された印刷装置とを備えた印刷システムであって、
前記画像生成装置は、
第１解像度の画像データを前記第１転送路を介して前記印刷装置に送信し、前記第１解像度より低い第２解像度の画像データを前記第２転送路を介して前記印刷装置に送信し、
前記印刷装置は、
前記画像データを前記第１解像度で印刷する印刷手段と、
前記第１解像度の画像データを、前記画像生成装置から前記第１転送路を介して受信する第１データ制御手段と、
前記第２解像度の画像データを、前記画像生成装置から前記第２転送路を介して受信する第２データ制御手段と、
前記第１データ制御手段から前記第１解像度の画像データを受信し、受信した前記第１解像度の画像データをそのまま前記印刷手段で印刷させる制御を行い、前記第２データ制御手段から前記第２解像度の画像データを受信し、受信した前記第２解像度の画像データを前記第１解像度の画像データに変換しながら前記印刷手段で印刷させる制御を行う画像出力制御手段と、
を備えたことを特徴とする印刷システム。
【請求項６】
画像生成装置と第１転送路と第２転送路とで接続された印刷装置で実行される印刷方法であって、
印刷手段が、画像データを第１解像度で印刷する印刷ステップと、
第１データ制御手段が、第１解像度の画像データを前記第１転送路を介して受信する第１データ制御ステップと、
第２データ制御手段が、前記第１解像度より低い第２解像度の画像データを前記第２転送路を介して受信する第２データ制御ステップと、
画像出力制御手段が、前記第１データ制御手段から前記第１解像度の画像データを受信し、受信した前記第１解像度の画像データをそのまま前記印刷手段で印刷させる制御を行い、前記第２データ制御手段から前記第２解像度の画像データを受信し、受信した前記第２解像度の画像データを前記第１解像度の画像データに変換しながら前記印刷手段で印刷させる制御を行う画像出力制御ステップと、
を含むことを特徴とする印刷方法。
【請求項７】
画像生成装置と第１転送路と第２転送路とで接続されたコンピュータに実行させるためのプログラムであって、
画像データを第１解像度で印刷する印刷ステップと、
第１解像度の画像データを前記第１転送路を介して受信する第１データ制御ステップと、
前記第１解像度より低い第２解像度の画像データを前記第２転送路を介して受信する第２データ制御ステップと、
前記第１解像度の画像データを受信し、受信した前記第１解像度の画像データをそのまま前記印刷ステップで印刷させる制御を行い、前記第２解像度の画像データを受信し、受信した前記第２解像度の画像データを前記第１解像度の画像データに変換しながら前記印刷ステップで印刷させる制御を行う画像出力制御ステップと、
を前記コンピュータに実行させるプログラム。
【図１】
【図２】
【図３】
【図４】
【図５】
【図６】
【図７】
【図８】
【図９】
【図１０】
【図１１】
【図１２−１】
【図１２−２】
【図１２−３】
【図１３】
【図２】
【図３】
【図４】
【図５】
【図６】
【図７】
【図８】
【図９】
【図１０】
【図１１】
【図１２−１】
【図１２−２】
【図１２−３】
【図１３】
【公開番号】特開２０１２−１９６８４４（Ｐ２０１２−１９６８４４Ａ）
【公開日】平成２４年１０月１８日（２０１２．１０．１８）
【国際特許分類】
【出願番号】特願２０１１−６１７９８（Ｐ２０１１−６１７９８）
【出願日】平成２３年３月１８日（２０１１．３．１８）
【出願人】（０００００６７４７）株式会社リコー (37,907)
【Ｆターム（参考）】
【公開日】平成２４年１０月１８日（２０１２．１０．１８）
【国際特許分類】
【出願日】平成２３年３月１８日（２０１１．３．１８）
【出願人】（０００００６７４７）株式会社リコー (37,907)
【Ｆターム（参考）】
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