説明

印刷装置、印刷方法、及びプログラム

【課題】印刷データの情報源として複数種類の情報源を適用可能な印刷装置において、ユーザからの再印刷要求に応じて、煩雑な設定を行うことなく簡単に印刷データの再印刷を行うことを可能にする。
【解決手段】印刷したデータに基づく再印刷が可能な印刷装置は、データを印刷装置に供給した供給元を判別し、判別された供給元が印刷装置と着脱可能な外部記憶媒体である場合にはそのデータを着脱可能な外部記憶媒体から取得するための参照情報を保存する。印刷装置は、データに対する再印刷の要求に応じて、上記保存された参照情報によって特定されるデータを着脱可能な外部記憶媒体から取得し、取得したデータに基づいて印刷部に画像を印刷させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、印刷装置及びその制御方法に関するものであり、特に印刷履歴管理を行って再印刷を行うことが可能な印刷装置、印刷方法、及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、不揮発性記憶装置を備え、パーソナルコンピュータ(以下、PC)から受信した印刷データを蓄積し、ユーザの指示に応じて不揮発性記憶装置に記憶した印刷データを用いて再印刷を行なう印刷装置が普及している(特許文献1を参照)。しかしながら、この種の印刷装置においては、不揮発性記憶装置を備えることによってコストが上昇するという課題がある。
【0003】
これに対して、PCから受信した印刷データの履歴を蓄積し、ユーザによる再印刷指示に応じてPCに再印刷要求を送信し、PCがこの再印刷要求に応答して印刷データを再送信する印刷システムが公開されている(特許文献2を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2001−350745号公報
【特許文献2】特開平11−105381号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、近年、PCから送信されたデータを印刷するプリント機能のみならず、複数種類の機能を具備した印刷装置が普及してきている。この種の印刷装置は、例えば、デジタルカメラから送信されたデータを印刷するプリント機能、メモリカードから読み出したデータを印刷するプリント機能、コピー機能、ファクシミリ機能、スキャン機能等の機能を具備する。即ち、PCのみならず、印刷データの情報源を複数種類利用することが可能となっている。従って、そのような印刷装置は、PCと接続することなく印刷ジョブを実行することが可能であり、PCと接続せずにジョブを実行した場合、特許文献2に記載された印刷システムでは、再印刷を実行させることが出来ないという課題がある。
【0006】
本発明は上記の課題に鑑みてなされたものであり、複数種類の供給元からの印刷データを処理可能な印刷装置において、多様な供給元からの印刷データに対する再印刷をメモリに負担をかけずに、良好な操作性を維持しながら可能にすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の目的を達成するための本発明の一態様による印刷装置は以下の構成を備える。即ち、
印刷したデータに基づく再印刷が可能な印刷装置であって、
データを前記印刷装置に供給した供給元を判別する判別手段と、
前記判別手段によって判別された供給元が、前記印刷装置と着脱可能な外部記憶媒体である場合、前記データを前記着脱可能な外部記憶媒体から取得するための参照情報を保存する保存手段と、
前記データに対する再印刷の要求に応じて、前記保存手段に保存された参照情報に基づいて前記着脱可能な外部記憶媒体からデータを取得し、取得したデータに基づいて印刷手段に画像を印刷させる制御手段と、を備える。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、印刷データの供給元に応じて印刷履歴データとして記憶する印刷データの情報を決定し、設定内容と共に記憶する。このため、履歴データによるメモリ容量の圧迫を防止すると共に、煩雑な設定を行うことなくユーザからの再印刷要求に応じて印刷データの再印刷を行うことが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】第1実施形態による印刷装置の構成の一例を示すブロック図である。
【図2】第1実施形態による印刷装置における、外部装置からの印刷データの取得形態の一例を示す図である。
【図3】第1実施形態による印刷履歴データの登録処理を説明するフローチャートである。
【図4】本発明の第1実施形態における印刷履歴データの一例を示す図である。
【図5】本発明の第1実施形態における再印刷の処理を示すフローチャートである。
【図6】本発明の第2実施形態における印刷履歴データの一例を示す図である。
【図7】本発明の第2実施形態における再印刷の処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、添付の図面を参照して本発明の好適な実施形態を説明する。
【0011】
[第1実施形態]
本実施形態の印刷装置は、パーソナルコンピュータ(PC)からのプリント機能、コピー機能、ファクシミリ機能、スキャン機能、デジタルカメラからのプリント機能、メモリカードからのプリント機能のうちの少なくとも1つ以上の機能を有する。そして、印刷装置は、印刷データの情報源に応じて印刷履歴データとして記憶する印刷データの情報を「印刷データそのもの」または「印刷データの格納場所」のいずれかに決定し、印刷履歴データと共に設定内容を記憶する。その後、ユーザによる再印刷要求に応じて、印刷装置は、記憶されている印刷履歴データを基に印刷データを取得し、当該印刷データを対応して記憶されている設定内容で再印刷する。
【0012】
図1は、第1実施形態による印刷装置の構成の一例を示すブロック図である。本実施形態の印刷装置は、LCDなどの表示部101、キーボードやポインティグデバイスなどの入力部102、デジタル機器と接続する接続部103と、原稿を光学的にスキャンしてデジタルデータを生成する読み取り部104を有する。尚、接続部103はPCやデジタルカメラ等との接続を実現する。また、印刷装置は、画像データの合成、変換などを行う画像処理部105と、電話回線との接続を行う通信制御部106と、記録紙を排紙する排紙部107と、デジタルデータを記録紙に視認可能に印刷する印刷部108を有する。更に、印刷装置は、後述するフローチャートの手順を実現するCPU109と、記録紙を搬送する紙搬送部110と、CPU109の主メモリ、ワークエリア等として機能するRAM111と、プログラムを記憶するROM112を有する。
【0013】
CPU109はROM112に記憶されたプログラムを実行することにより、印刷履歴データ決定部113と、印刷履歴データ管理部114と、印刷データ取得部115と、パスワード設定部116と、パスワード認証部117として機能する。不揮発性メモリ118には、印刷履歴データ管理部114によって管理される印刷履歴データを記憶する。不揮発性メモリ118は、EPROM(Erasable Programmable ROM)やEEPROM(Electrically Erasable Programmable ROM)や、フラッシュメモリに代表されるメモリである。
【0014】
本実施形態の印刷装置は、コピー、プリンタ、スキャナおよびファクシミリの4種類のジョブを行なうようになっている。
・コピーのジョブは、読み取り部104を介して原稿を光学的に読みとってその複製を作成する、周知の処理である。
・プリンタのジョブは、デジタル機器が発行したプリントデータをプリントする処理である。例えば、PCやデジタルカメラが発行した印刷データをプリントする処理や、メモリカードスロットに挿入されたメモリカードに格納された印刷データをプリントする処理が含まれる。
・ファクシミリのジョブは通信制御部106を介して受信したファクシミリデータを印刷部108によりプリントしたり、所定のイメージデータをファクシミリデータとして通信制御部106を介して外部に送信したりする処理である。このようなファクシミリのジョブも周知である。
・スキャナのジョブは、読み取り部104を介して原稿を光学的に読取って生成した画像データをファイルとして不揮発性メモリ118或いは不図示の外部メモリに保存する処理である。
【0015】
図2は、第1実施形態による印刷装置とデジタル機器との接続の一例を示す図である。図2では、図1の構成を備えた印刷装置201が、外部デジタル機器の一例であるデジタルカメラ202とUSB(Universal Serial Bus)で接続されている様子が示されている。更に、図1の構成を備えた印刷装置201は、カードスロット203を備え、コンパクトフラッシュ(登録商標)の如きメモリカード204が挿入されている。なお、ここでは印刷装置201とデジタルカメラがUSBで接続されている様子を例に挙げたが、印刷装置とデジタルカメラを接続する方法は、有線、無線を問わず、他の接続方法であってもよい。また、ここではメモリカードの一例として、コンパクトフラッシュ(登録商標)を例に挙げたが、これに限らず、スマートメディア、SDメモリカード、メモリースティック等、他の記憶媒体であってもよい。
【0016】
次に、図1の構成を備えた第1実施形態における印刷装置の動作について説明する。まず、図3のフローチャートを参照して、印刷ジョブの実行時における印刷履歴データの保存処理を説明する。
【0017】
今、印刷装置201において、PCからのプリント、コピー、スキャン、ファクシミリ、デジタルカメラからのプリント、メモリカードからのプリントのうち、いずれかの印刷ジョブが実行されたとする。ステップS301において、印刷履歴データ決定部113は、このような印刷ジョブの実行を検出すると、処理をステップS302に進める。ステップS302において、印刷履歴データ決定部113は、当該印刷データ(印刷ジョブ)の情報源を判別する。即ち、印刷処理がなされた印刷データを当該印刷装置に供給した供給元が判別される。そして、印刷履歴データ決定部113は、検出された情報源が第1のタイプか第2のタイプのいずれに属するかを判断し、情報源のタイプに応じて印刷履歴データとして記憶する情報を決定する。
【0018】
例えば、印刷データの情報源がデジタルカメラやメモリカードの場合は第1のタイプであると判定される。この場合、ステップS304において、印刷履歴データ管理部114は、当該印刷ジョブの印刷データをアクセスするための情報(印刷データの格納位置)と印刷設定内容を示す設定情報を印刷履歴データとして保存する。この場合、印刷データは印刷の完了と共に破棄されることになる。一方、印刷データの情報源がファクシミリやスキャナデバイスであった場合は第2のタイプであると判定される。この場合、ステップS306において、印刷履歴データ管理部114は、当該印刷ジョブの印刷データそのものと印刷設定内容を示す設定情報印刷履歴データとして保存する。
【0019】
例えば、印刷データの情報源がデジタルカメラであると判別された場合は、後にその印刷データを当該デジタルカメラから取得可能とする情報が印刷履歴データとして保存される。具体的には、印刷履歴データ管理部114は、機種情報(プロダクトID、ベンダーID)とデバイスドライバ情報(USBデバイスドライバに割り当てられたドライブ名など)とデジタルカメラにおける印刷データへのパスを印刷履歴データとして保存する。また、このとき、印刷履歴データ管理部114は、印刷種別、回転、トリミング、枚数、紙種、紙サイズ、濃度などの印刷設定内容(設定情報)や、日付、時刻、サイズなどの印刷履歴情報も印刷履歴データに含める。印刷履歴データ管理部114は、こうして得られた印刷履歴データを不揮発性メモリ118に記憶する。
【0020】
また、印刷データの情報源がメモリカードであると判別された場合は、後にその印刷データを当該メモリカードから取得可能とする情報が印刷履歴データとして保存される。より具体的には、生成される印刷履歴データは、機種情報(製品の認識文字列、プロダクトID、機能ID)と、デバイスドライバ情報(カードデバイスドライバに割り当てられたドライブ名など)と、メモリカードにおける印刷データへのパスとを含む。そして、印刷履歴データ管理部114は、上述したような印刷設定内容や印刷履歴情報を上記印刷履歴データに含め、得られた印刷履歴データを不揮発性メモリ118に記憶する。
【0021】
一方、印刷データの情報源が、スキャナデバイスやファクシミリ機能である場合は、第2のタイプの情報源として処理される。この場合、印刷履歴データ管理部114は、スキャン結果として得られた印刷データやファクシミリ受信により得られた印刷データを、上記印刷設定内容や印刷履歴情報と共に、印刷履歴データとして不揮発性メモリ118に記憶する。
【0022】
以上のように、印刷履歴データの保存処理においては、ステップS302において判別された供給元に基づいて、印刷データを保持するか否かが決定される(ステップS303〜S306)。例えば、判別された供給元が、当該印刷装置から印刷データを取得できるように格納している外部機器であった場合は、当該印刷データを保持しないと決定される。そのような外部機器としては、PC、デジタルカメラ、当該印刷装置に着脱可能なメモリカード等があげられる。一方、供給元が、スキャナ装置或いはファクシミリ受信機能であった場合は、印刷データを保持すると決定される。そのような供給元においては一般には印刷データは保持されず、当該印刷装置から印刷データを取得するべくアクセスするために煩雑な操作が要求され、印刷データを取得することが困難となる可能性があるためである。例えば、ファクシミリ受信した印刷データであれば、送信者に再度ファクシミリ送信を依頼する必要があろう。或いは、スキャナからの印刷データであれば、再度原稿をスキャナに読み取らせる操作が必要となろう。
【0023】
図4は、上記の処理により、図1の構成を備えた印刷装置201の不揮発性メモリ118に記憶される印刷履歴データの一例を示す図である。印刷装置201の印刷履歴データ管理部114が不揮発性メモリ118に記録する印刷履歴データは、履歴番号301、印刷種別302、日付303、時刻304、サイズ305、機種情報306、ドライブ名310、パス名311、アドレス312を含む。尚、機種情報306としては、プロダクトID308及びベンダーID307及びファンクションID309が含まれている。また、印刷履歴データは、印刷時設定内容として、枚数313、トリミング314、回転315、濃度316、紙種317、紙サイズ318を含む。
【0024】
図4の例では、印刷種別302として、デジタルカメラからの印刷を示す「0」、メモリカードからの印刷を示す「1」、コピーを示す「2」、スキャンを示す「3」、ファクシミリを示す「4」を有する印刷履歴データが記憶されている。また、デジタルカメラからの印刷ジョブに対する印刷履歴データは、プロダクトID308及びベンダーID307により構成される機種情報306と、ドライブ名310と、パス名311を含む。また、メモリカードからの印刷データに対する印刷履歴データは、ベンダーID307とプロダクトID308とファンクションID309から構成される機種情報306と、ドライブ名310、パス名311を含む。更に、スキャンやコピーやファクシミリの印刷履歴データは、印刷データの保存場所である不揮発性メモリ118のアドレス312を含んでいる。
【0025】
なお、図4では、印刷データを特定するための情報として、機種情報306(ベンダーID307、プロダクトID308、ファンクションID309)と、ドライブ名310と、パス名311を用いたがこれに限られるものではない。要は、再印刷時に、対応する印刷データを識別し、取得することを可能とする情報であればよい。
【0026】
また、印刷履歴データは、履歴番号301、印刷種別302、日付303、時刻304、サイズ305、枚数313、トリミング314、回転315、濃度316、紙種317、紙サイズ318を含む。特に、枚数313、トリミング314、回転315、濃度316、紙種317、紙サイズ318は印刷設定内容に対応する。但し、印刷履歴データに含まれる情報の構成は図4に限られるものではなく、再印刷時に必要十分な情報であればよい。
【0027】
以上のように、保持すると決定された印刷データ(S305、S306)については当該保持された印刷データを取得するための情報がアドレス312として保持されることになる。一方、保持しないと決定された印刷データ(S303、S304)については、当該供給元である外部機器から印刷データを取得するための情報として、機種情報306、ドライブ名310及びパス名311が履歴データとして保持される。これらは、再印刷時において、当該印刷データを取得するためのアクセス情報として用いられることになる。
【0028】
以上のようにして印刷装置201に保存された印刷履歴データを用いて、ユーザは所望の印刷データ(印刷ジョブ)を再印刷させることができる。即ち、印刷装置は、印刷データを用いた再印刷の要求に応じて、上記の如く保持された履歴データに基づいて印刷データを取得し、取得した印刷データを印刷する。
【0029】
再印刷において、印刷履歴データ管理部114は不揮発性メモリ118に記憶された印刷履歴データの一覧を表示部101上に表示し、ユーザによる印刷履歴データの選択を促す。印刷データ取得部115は、ユーザによって選択された印刷履歴データに応じて、印刷データを取得する。そして、印刷データ取得部115は、当該印刷履歴データに含まれる印刷設定内容に従って、上記取得した印刷データを印刷する。
【0030】
尚、表示部101上における印刷履歴データの一覧表示は、印刷履歴データ管理部114によって管理されている、図3に示す印刷履歴データの全てを用いた一覧表示であってもよいし、印刷履歴データの一部を用いた一覧表示であってもよい。印刷履歴データの一部を用いた一覧表示においては、印刷履歴データから印刷履歴の概要を把握可能にする一部の印刷履歴データがまず一覧表示され、その後のユーザ操作に応じて他の印刷履歴データの部分が表示されるように画面構成がなされてもよい。
【0031】
次に、第1実施形態の印刷装置201による再印刷の動作について、図5に示すフローチャートに基づいて説明する。
【0032】
図5は、印刷装置201の印刷データ取得部115が、印刷履歴データ管理部114が管理する印刷履歴データに応じて印刷データを取得し、印刷履歴に含まれる印刷設定内容に従って印刷データを再印刷する処理を説明するフローチャートである。
【0033】
ステップS401は、本アルゴリズムの開始点である。ステップS402において、印刷履歴データ管理部114は、印刷装置201が一度発行したジョブの印刷履歴を用いて再印刷を行う再印刷モードであるか否かを判断する。再印刷モードであると判定された場合、処理はステップS403へ遷移し、そうでない場合はそのまま待機する。
【0034】
ステップS403において、印刷履歴データ管理部114は、不揮発性メモリ118に記憶されている図4に示す印刷履歴データの全てまたは一部を表示部101に表示する。そして、ステップS404において、印刷履歴データ管理部114は、表示部101に表示した印刷履歴データの中から、ユーザによって印刷履歴が選択されたか否かを判断する。印刷履歴が選択された場合、処理はステップS405へ遷移し、そうでない場合は、そのまま待機する。
【0035】
ステップS405において、印刷履歴データ管理部114は、図4で説明した印刷履歴データを参照し、選択された印刷履歴の印刷種別が2(コピー)または3(スキャン)または4(ファクシミリ)であるか否かを判定する。即ち、印刷履歴に対応する印刷データが不揮発性メモリ118に格納されているか否かを判断する。そして、印刷データが不揮発性メモリ118に格納されている場合はステップS406へ、そうでない場合はステップS407へ処理を進める。
【0036】
ステップS406において、印刷データ取得部115は、印刷履歴データのアドレス312に格納された値に従って不揮発性メモリ118より印刷データを取得し、RAM111に展開する。
【0037】
一方、ステップS407では、印刷履歴データ(図4)の機種情報306を参照して、印刷データをデジタルカメラまたはメモリカードから取得可能か否かを判定する。即ち、デジタルカメラの場合は機種情報306で指定されるデジタルカメラが接続されているか否か、メモリカードの場合は機種情報306で指定されるメモリカードが挿入されているか否かを判断する。例えば、図3の印刷履歴データのうち、履歴番号0のデジタルカメラからの印刷データを再印刷する場合を説明する。この場合、ドライブ名310で指定されている「drive1」に該当するドライブに接続されたデバイスの機種情報が、機種情報306(ベンダーID307、プロダクトID308)に記憶された内容と合致するか否かが判断される。また、履歴番号1のメモリカードからの印刷データが指定された場合は次のようになる。即ち、ドライブ名310で指定されている「drive2」に該当するドライブに挿入されたメモリカードの機種情報が、図3における機種情報306(ベンダーID307、プロダクトID308、ファンクションID309)に合致するか否かが判断される。ステップS407において印刷データを取得可能であると判定された場合、処理はステップS408へ、そうでない場合は、ステップS409へ進む。
【0038】
ステップS408において、印刷データ取得部115は、印刷履歴データ(図4)において示されている印刷データの格納位置へアクセスし、印刷データを取得する。例えば、図3の印刷履歴データのうち、履歴番号0のデジタルカメラからの印刷データを再印刷すると指定された場合は次のようになる。即ち、「drive1」のドライブ名、「/DCIM/100CANON/IMG_0100.JPG」、「/DCIM/100CANON/IMG_0110.JPG」、「/DCIM/100CANON/IMG_0120.JPG」のパス名によって印刷データが取得される。また、履歴番号1のメモリカードからの印刷データが指定された場合は、「drive2」のドライブ名、「/DCIM/200CANON/IMG_0200.JPG」のパス名によって印刷データが取得される。印刷データ取得部115は、こうして取得した印刷データをRAM111に展開する。
【0039】
一方、ステップS409では、印刷データ取得部115は、印刷データを取得出来ない旨を表示部101に表示する。ここで、機種情報306を構成するベンダーID307、プロダクトID308、ファンクションID309を表示し、該当するデバイス(デジタルカメラまたはメモリカード)の接続または挿入を促してもよい。ステップS410において、印刷データ取得部115は、印刷部108を駆動し、予備吐出、目詰まり解消、ノズルの回復などを行う。そして、ステップS411において、印刷データ取得部115は、RAM111に展開、格納された印刷データを印刷部108により印刷させる。ステップS412では、ステップS411において印刷済みとなった用紙が用紙排出口より排出される。ステップS413は、本アルゴリズムの終点である。
【0040】
以上説明したように、第1実施形態によれば、印刷データの情報源に応じて印刷履歴データとして記憶する印刷データの情報(例えば、印刷データそのものか、印刷データの格納場所か)が決定され、設定内容と共に記憶される。そのため、ユーザからの再印刷要求に応じて、煩雑な設定を行うことなく簡単に印刷データの再印刷を行うことが出来るという効果がある。
【0041】
また、印刷データの情報源に応じて印刷履歴データとして記憶する印刷データの情報を印刷データそのものまたは印刷データの格納場所のいずれかに決定するので、不揮発性記憶装置の容量を必要最小限に抑えることが可能となる。このため、大容量の不揮発性記憶装置を備えることによるコストの上昇を抑制できるという効果がある。
【0042】
また、印刷データの情報源がデジタルカメラである場合は、印刷履歴データとして、印刷データの格納場所を記憶する。このため、デジタルカメラから受信した印刷データを記憶装置に記憶する必要がなく、記憶装置の記憶領域を圧迫することを抑制出来るという効果がある。
【0043】
また、印刷データの情報源がメモリカードである場合は、印刷履歴データとして、印刷データの格納場所を記憶することにより、メモリカードに格納された印刷データを記憶装置に記憶する必要がなくなる。このため、記憶装置の記憶領域を圧迫することを抑制することが出来るという効果がある。
【0044】
また、印刷データの情報源がスキャナデバイスである場合は、印刷履歴データとして印刷データが記憶される。このため、再度スキャンを行うことなく再印刷することができ、再印刷の操作性が向上するという効果がある。
【0045】
また、印刷データの情報源がファクシミリデバイスである場合は、印刷履歴データとして印刷データが記憶される。このため、ファクシミリデータを再受信することなく、再印刷出来るため、再印刷の操作性が向上するという効果がある。
【0046】
[第2実施形態]
次に、第2実施形態における印刷装置201の動作について説明する。第2実施形態では、再印刷の実行時に更にパスワードによる認証が行われる。
【0047】
第2実施形態の印刷装置201は、更にパスワード設定部116及びパスワード認証部117を有する。パスワード設定部116は、ジョブ発行時等において、印刷装置201にユーザを識別するためのパスワードを設定させる。印刷履歴データ管理部114は、印刷履歴データと共にパスワードを不揮発性メモリ118に記憶する。パスワード認証部117は、再印刷の要求に応じて、パスワードの入力を促し、印刷履歴データ管理部114によって記憶されたパスワードと入力部102を介して入力されたパスワードが一致するか否かを判断する。そして、一致する場合にのみ、第1実施形態に示したような再印刷を実行させる。
【0048】
図6は、印刷装置201の印刷履歴データ管理部114によって不揮発性メモリ118に記憶される印刷履歴データの一例を示す図である。第2実施形態の印刷履歴データは、第1実施形態で示した印刷履歴データの構成に加えて、パスワード設定部116によって設定されたパスワード319を含む。図6によれば、印刷履歴データと共にパスワード319が不揮発性メモリ118に記憶されている様子が示されている。
【0049】
なお、パスワード設定部116によるパスワードの設定は、印刷装置201においてジョブを発行する際に印刷装置201における操作によってなされるようにしてもよいし、印刷装置201と接続するPCや他のデバイスから設定されるようにしてもよい。例えば、取得された印刷データを印刷する際には、印刷装置の表示部101及び入力部102がパスワード設定のためのユーザインターフェースを提供し、ユーザにパスワードを入力させた後に印刷が行われる。その後、入力されたパスワードが履歴データとして保持される。また、PC等から印刷ジョブを発行する際に、PC側でパスワードを設定させるようにしてもよい。この場合、印刷ジョブに含まれるパスワードが履歴データとして保持される。
【0050】
次に、第2実施形態の印刷装置201による再印刷処理の動作について、図7に示すフローチャートを参照して説明する。
【0051】
図7は、第2実施形態の印刷装置201による再印刷処理を説明するフローチャートである。第2実施形態によれば、パスワード設定部116によって設定されたパスワードが、印刷履歴データ管理部114によって、印刷履歴データの一部として不揮発性メモリ118に記憶される。そして、パスワード認証部117は、再印刷するべく指定された印刷履歴データに含まれるパスワードと、入力部102を介して入力されたパスワードとが一致するか否かを判断する。パスワードの一致が確認された場合のみ、第1実施形態に示した再印刷が実行される。
【0052】
図7において、ステップS601〜ステップS604は図5のステップS401〜ステップS404と同様である。
【0053】
ステップ605において、パスワード認証部117は、表示部101にパスワード認証画面を表示し、ユーザにパスワードの入力を促す。ステップ606において、パスワード認証部117は、上記パスワード認証画面にパスワードが入力されたか否かを判断する。パスワードが入力された場合は、その入力されたパスワードをRAM111に記憶し、ステップ607へ処理を進める。
【0054】
ステップS607において、パスワード認証部117は、ステップS606でRAM111に記憶されたパスワードと、ステップS603,S604において選択された印刷履歴のパスワード319として登録されていパスワードとを比較する。パスワード認証部117は、両者が一致していると判定した場合には、ステップ608へ処理を進める。ステップS608〜S616に示される処理は、図5のステップS405〜S413の処理と同様である。即ち、ステップS607で比較されたパスワードが一致した場合、印刷データ取得部115は、再印刷処理が指定された印刷履歴データに基づいて印刷データを取得する。そして、印刷部108による印刷履歴データの印刷設定内容に応じて再印刷を行うための手順を実行する。
【0055】
ステップS607において、比較されたパスワードが一致しない場合は、ステップS605へ処理を戻し、パスワードの再入力を促す等の処理を行う。
【0056】
以上説明したように、第2実施形態によれば、印刷履歴データとして予め設定されたパスワードを含めて記憶し、ユーザによる再印刷要求時にはパスワードによる認証が行われる。このため、印刷履歴データによる再印刷時のセキュリティが向上する。
【0057】
以上、実施形態を詳述したが、本発明は、例えば、システム、装置、方法、制御プログラムもしくは記憶媒体等としての実施態様をとることが可能である。具体的には、複数の機器から構成されるシステムに適用してもよいし、また、一つの機器からなる装置に適用してもよい。
【0058】
尚、本発明は、ソフトウェアのプログラムをシステム或いは装置に直接或いは遠隔から供給し、そのシステム或いは装置のコンピュータが該供給されたプログラムコードを読み出して実行することによって前述した実施形態の機能が達成される場合を含む。この場合、供給されるプログラムは実施形態で図に示したフローチャートに対応したプログラムである。
【0059】
従って、本発明の機能処理をコンピュータで実現するために、該コンピュータにインストールされるプログラムコード自体も本発明を実現するものである。つまり、本発明は、本発明の機能処理を実現するためのコンピュータプログラム自体も含まれる。
【0060】
その場合、プログラムの機能を有していれば、オブジェクトコード、インタプリタにより実行されるプログラム、OSに供給するスクリプトデータ等の形態であってもよい。
【0061】
プログラムを供給するための記録媒体としては以下が挙げられる。例えば、フロッピー(登録商標)ディスク、ハードディスク、光ディスク、光磁気ディスク、MO、CD−ROM、CD−R、CD−RW、磁気テープ、不揮発性のメモリカード、ROM、DVD(DVD−ROM,DVD−R)などである。
【0062】
その他、プログラムの供給方法としては、クライアントコンピュータのブラウザを用いてインターネットのホームページに接続し、該ホームページから本発明のコンピュータプログラムをハードディスク等の記録媒体にダウンロードすることが挙げられる。この場合、ダウンロードされるプログラムは、圧縮され自動インストール機能を含むファイルであってもよい。また、本発明のプログラムを構成するプログラムコードを複数のファイルに分割し、それぞれのファイルを異なるホームページからダウンロードすることによっても実現可能である。つまり、本発明の機能処理をコンピュータで実現するためのプログラムファイルを複数のユーザに対してダウンロードさせるWWWサーバも、本発明に含まれるものである。
【0063】
また、本発明のプログラムを暗号化してCD−ROM等の記憶媒体に格納してユーザに配布するという形態をとることもできる。この場合、所定の条件をクリアしたユーザに、インターネットを介してホームページから暗号を解く鍵情報をダウンロードさせ、その鍵情報を使用して暗号化されたプログラムを実行し、プログラムをコンピュータにインストールさせるようにもできる。
【0064】
また、コンピュータが、読み出したプログラムを実行することによって、前述した実施形態の機能が実現される他、そのプログラムの指示に基づき、コンピュータ上で稼動しているOSなどとの協働で実施形態の機能が実現されてもよい。この場合、OSなどが、実際の処理の一部または全部を行ない、その処理によって前述した実施形態の機能が実現される。
【0065】
さらに、記録媒体から読み出されたプログラムが、コンピュータに挿入された機能拡張ボードやコンピュータに接続された機能拡張ユニットに備わるメモリに書き込まれて前述の実施形態の機能の一部或いは全てが実現されてもよい。この場合、機能拡張ボードや機能拡張ユニットにプログラムが書き込まれた後、そのプログラムの指示に基づき、その機能拡張ボードや機能拡張ユニットに備わるCPUなどが実際の処理の一部または全部を行なう。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
印刷したデータに基づく再印刷が可能な印刷装置であって、
データを前記印刷装置に供給した供給元を判別する判別手段と、
前記判別手段によって判別された供給元が、前記印刷装置と着脱可能な外部記憶媒体である場合、前記データを前記着脱可能な外部記憶媒体から取得するための参照情報を保存する保存手段と、
前記データに対する再印刷の要求に応じて、前記保存手段に保存された参照情報に基づいて前記着脱可能な外部記憶媒体からデータを取得し、取得したデータに基づいて印刷手段に画像を印刷させる制御手段と、を有することを特徴とする印刷装置。
【請求項2】
前記再印刷の要求があった場合、前記外部記憶媒体が前記印刷装置に装着されているか否かを判定する判定手段を更に有し、
前記制御手段は、前記判定手段によって外部記憶媒体が前記印刷装置に装着されていると判定された場合、前記保存手段に保存された参照情報に基づいて特定されるデータを前記外部記憶媒体から取得し、取得したデータに基づいて画像を印刷させることを特徴とする請求項1に記載の印刷装置。
【請求項3】
前記判定手段によって外部記憶媒体が前記印刷装置に装着されていないと判定された場合に、前記保存手段に保存された第2の参照情報に基づく再印刷が不能であることをユーザに通知する通知手段を更に有することを特徴とする請求項2に記載の印刷装置。
【請求項4】
前記判定手段によって外部記憶媒体が前記印刷装置に装着されていないと判定された場合に、装着すべき外部記憶媒体を識別する情報を表示する表示手段を更に備えることを特徴とする請求項2又は3に記載の印刷装置。
【請求項5】
印刷したデータに基づく再印刷が可能な印刷装置の制御方法であって、
データを前記印刷装置に供給した供給元を判別する判別ステップと、
前記判別ステップで判別された供給元が、前記印刷装置と着脱可能な外部記憶媒体である場合、前記データを前記着脱可能な外部記憶媒体から取得するための参照情報を保存手段に保存する保存ステップと、
前記データに対する再印刷の要求に応じて、前記保存手段に保存された参照情報に基づいて前記着脱可能な外部記憶媒体からデータを取得し、取得したデータに基づいて印刷する印刷ステップと、を有することを特徴とする印刷方法。
【請求項6】
コンピュータを、請求項1乃至4の何れか1項に記載の印刷装置の各手段として機能させるためのプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−76468(P2012−76468A)
【公開日】平成24年4月19日(2012.4.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−3613(P2012−3613)
【出願日】平成24年1月11日(2012.1.11)
【分割の表示】特願2007−39822(P2007−39822)の分割
【原出願日】平成19年2月20日(2007.2.20)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】